説明

外張断熱外装材

【課題】本発明は建築、構築物の壁として使用する、新省エネルギー基準(平成4年告示)をクリアできる外張断熱外装材に関するものである。
【解決手段】金属製表面材1と合成樹脂発泡体よりなる芯材3より構成されると共に、裏目地部γ1に断熱気密パッキンPが形成されて熱抵抗値(m・K/W)を0.8以上とした外張断熱外装材Aである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は建築、構築物の壁として使用する、新省エネルギー基準(平成4年告示)をクリアできる外張断熱外装材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、金属製板材をロール成形、プレス成形等して加工した外装材は数多く上市されている。(例えば、特許文献1〜5参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平11−172884号公報
【特許文献2】特開平11−172892号公報
【特許文献3】特開平11−210149号公報
【特許文献4】特開2002−220908号公報
【特許文献5】特開2002−235423号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、図5に示すような家屋Hに気密層Kを形成し、外側に壁断熱層D1、屋根断熱層D2、床断熱層D3よりなる外張断熱構造Dにおいて、壁断熱層D1をこれら特許文献1〜5に示すような外装材を使用しても、新省エネルギー基準(平成4年告示)の適用基準をクリアする外張断熱構造を形成することは事実上困難であった。なお、新省エネルギー基準の「基準の地域の区分」と、住宅金融公庫における「適用基準」を表1、表2に示す。
【0005】
【表1】

【0006】
【表2】

【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明はこのような欠点を解決するために、金属製表面材と合成樹脂発泡体よりなる芯材より構成されると共に、裏目地部に断熱気密パッキンが形成されて熱抵抗値(m・K/W)を0.8以上とした外張断熱外装材を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る外張断熱外装材によれば、(1)新省エネルギー基準(平成4年告示)の、住宅金融公庫における(省エネタイプ、一般型・2〜4地域・気密)の適応基準を満たす断熱材の熱抵抗の基準値をクリアできる外張断熱外装材を形成できる。(2)気密構造の躯体に本発明に係る外張断熱外装材を張るだけで上記新省エネルギー基準(平成4年告示)をクリアできる構造を形成できる。(3)従来の施工に比べて大幅に工程が減り、コスト・施工性が良い。(4)暖房冷房費用の低減できる。(5)外張断熱では軸組が室温に近づくので結露防止になり木材が長持ちする。(7)地球環境への環境負荷を低減できる。等の特徴、効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に図面を用いて、本発明に係る外張断熱外装材の一実施例について詳細に説明する。すなわち、図1、図2(a)、(b)は外張断熱外装材Aの部分拡大断面図、図3は本発明に係る外張断熱外装材Aを使用して形成した外張断熱構造を示す断面図であり、表面材1と裏面材2で例えば合成樹脂発泡体からなる芯材3をサンドイッチしたものである。
【0010】
外張断熱外装材Aの全体形状の一例として図1、図2(a)、(b)に示すように、長尺状で金属製の薄板からなる表面材1と裏面材2間に芯材3をサンドイッチし、幅方向の一端に形成した雄型連結部4、他端に形成した雌型連結部5とから形成し、化粧面6の上下端部に側壁7、側壁8を形成したものである。また、図1において、αは気密構造に形成した躯体、βは固定具、γは表目地部、γ1は裏目地部、Pは断熱気密パッキン、P1は防水パッキンである。なお、躯体αの気密構造とは、新省エネルギー基準(平成4年告示)で定められた気密構造である。
【0011】
表面材1と裏面材2は金属薄板、例えば鉄、アルミニウム、銅、ステンレス、チタン、アルミ・亜鉛合金メッキ鋼板、ガルバリウム鋼板、ホーロー鋼板、クラッド鋼板、ラミネート鋼板(塩ビ鋼板等)、サンドイッチ鋼板(制振鋼板等)、塩化ビニル樹脂、ポリカーボネイト樹脂等(勿論、これらを各種色調に塗装したカラー板を含む)の一種をロール成形、プレス成形、押出成形等によって各種形状に成形したもの、あるいは裏面材2はアルミニウム蒸着紙、クラフト紙、アスファルトフェルト、金属箔(Al、Fe、Pb、Cu)、合成樹脂シート、ゴムシート、布シート、石膏紙、水酸化アルミ紙、ガラス繊維不織布等の1種、または2種以上をラミネートしたもの、あるいは防水処理、難燃処理されたシート状物からなるものである。
【0012】
なお、表面材1と裏面材2が共に金属製の場合には、熱橋防止のために端部で接触しない構造とするものである。勿論、表面材1は躯体αに接触しない構造として熱橋を防止するものでる。
【0013】
芯材3は例えばポリウレタンフォーム、ポリイソシアヌレートフォーム、フェノールフォーム、塩化ビニルフォーム、ポリエチレンフォーム、ポリスチレンフォーム、ユリアフォーム等、の合成樹脂発泡体からなるものである。
【0014】
断熱気密パッキンPは、外張断熱外装材A同士の嵌合部(裏目地部γ1)の断熱欠損を補うと共に、気密性を高める目的のために形成したパッキング材・コーキング材よりなるものであり、例えばEPDM等よりなるものである。また、これら外張断熱外装材Aにおいては、熱伝導率λが小さいほど、または熱抵抗R値が大きい程(所為、断熱性能が良いほど)、外張断熱外装材Aを施工したの連結部の断熱性・気密性の影響が、外張断熱外装材Aを壁材として使用したときの壁の熱抵抗R値に大きく影響するのが判っている。このために、この種熱抵抗R値の性能が大きく影響される構造(新省エネルギー基準:平成4年告示)では、裏目地部γ1の断熱気密パッキンPの存在が熱抵抗R値へ大きく影響するものである。
【0015】
防水パッキンP1は水密性を高めると共に、表目地部γから屋内外の熱の移動を防止するために形成したパッキング材・コーキング材よりなるものであり、例えばPE(ポリエチレン)等よりなるものである。
【0016】
なお、全厚さをW、化粧面6から固定面5aまでの厚さをW1、固定面5aから裏面材2までの厚さをW2とする。
【0017】
外張断熱外装材Aの厚さW、W1、W2と、芯材3の熱伝導率λと、断熱気密パッキンPの有る無しにおける、壁の熱抵抗値Rを算出してみた。以下、表3〜表8がその結果である。なお、その構造は図1に示す。なお、芯材3としては、熱伝導率λが0.022のペンタン発泡の芯材3、熱伝導率λが0.030の水発泡の芯材3、熱伝導率λが0.034の水発泡の芯材3を使用した。
【0018】
【表3】

【0019】
【表4】

【0020】
【表5】

【0021】
【表6】

【0022】
【表7】

【0023】
【表8】

【0024】
表3〜表5はW1=15mm、働き幅400mm、の外張断熱外装材Aを使用し、表3は断熱気密パッキンPの熱伝導率λを0.04としたもの、表4は断熱気密パッキンPの熱伝導率λを0.08としたもの、表5は断熱気密パッキンPを形成しない場合の表である。
【0025】
表3〜表5を比較すると、熱抵抗Rに大きな影響を及ぼすのは断熱気密パッキンPの熱伝導率λではなく、芯材3の熱伝導率λ、断熱気密パッキンPの有無と、外張断熱外装材Aの厚さWであった。
【0026】
表6〜表8はW1=10mm、働き幅400mm、の外張断熱外装材Aを使用し、表6は断熱気密パッキンPの熱伝導率λを0.04としたもの、表7は断熱気密パッキンPの熱伝導率λを0.08としたもの、表8は断熱気密パッキンPを形成しない場合の表である。
【0027】
表6〜表8を比較すると、熱抵抗Rに大きな影響を及ぼすのは断熱気密パッキンPの熱伝導率λではなく、芯材3の熱伝導率λ、断熱気密パッキンPの有無と、外張断熱外装材Aの厚さWであった。
【0028】
厚さW1の厚さ変化による熱抵抗R値への影響を比較するために、表3〜表5と、表6〜表8とを比較すると、断熱気密パッキンPが有る場合、W1=10mmの方が、W1=15mmよりも熱抵抗R値が大きい。
【0029】
以上の結果から判断すると、表3、表4、表6、表7に示すように、表2に示す新省エネルギー基準(平成4年告示)の、住宅金融公庫における(省エネタイプ、一般型・2〜4地域・気密)の適応基準を満たす外張断熱外装材Aの熱抵抗Rの基準値(R=0.8)をクリアできるのは塗り潰しで示す部分であった。特に外張断熱外装材Aの厚さW=30mm以上とした場合には、熱伝導率λが0.034以下で、W1=15mm以下、裏目地部γ1への断熱気密パッキンP有り、の場合となる。なお、表5と表8の裏目地部γ1に断熱気密パッキンPを形成しない場合は、熱抵抗Rの基準値(R=0.8)をクリアできなかった。
【0030】
以上説明したのは本発明に係る外張断熱外装材の一実施例にすぎず、図4(a)〜(d)に示すように外張断熱外装材Aを形成することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係る外張断熱外装材の代表例を示す断面図である。
【図2】本発明に係る外張断熱外装材の代表例を示す部分拡大断面図である。
【図3】本発明に係る外張断熱外装材を使用して形成した外張断熱構造の代表例を示す断面図である。
【図4】本発明に係る外張断熱外装材のその他の例を示す断面図である。
【図5】外断熱構造を示す概念図である。
【符号の説明】
【0032】
α 躯体
β 固定具
γ 表目地部
γ1 裏目地部
A 外張断熱外装材
D 外張断熱構造
D1 壁断熱層
D2 屋根断熱層
D3 床断熱層
H 家屋
P 断熱気密パッキン
P1 防水パッキン
1 表面材
2 裏面材
3 芯材
4 雄型連結部
5 雌型連結部
5a 固定面
6 化粧面
7 側壁
8 側壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製表面材と合成樹脂発泡体よりなる芯材より構成されると共に、裏目地部に断熱気密パッキンが形成されて熱抵抗値(m・K/W)を0.8以上としたことを特徴とする外張断熱外装材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−231529(P2007−231529A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−51393(P2006−51393)
【出願日】平成18年2月28日(2006.2.28)
【出願人】(000126333)株式会社アイジー技術研究所 (138)
【Fターム(参考)】