説明

外構基礎ユニット及び外構基礎構造並びに外構基礎の施工方法

【課題】外構基礎に於ける底盤を所望の幅に設定すると共に工事期間の短縮をはかる。
【課題手段】基礎ユニットAは、高さが等しく所定の間隔を持って対向して配置された二つの側板部材1、2を、該側板部材の高さよりも低い連結部材3によって連結し、少なくとも一方の側板部材2に貫通部4を設ける。施工方法は、予め施された地業20に基礎ユニットAを並べる工程、基礎ユニットAを並べた後、側板部材2側に沿って所定距離離隔した位置に型枠21を構成する工程、基礎ユニットAの上部にブロック10を積載すると共に配筋する工程、ブロック10の上方及び基礎ユニットAと型枠21とによって構成された空間にコンクリートを打設する工程、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリートブロック塀に代表される外構の基礎を構成する際に用いて有利な外構基礎ユニットと、この外構基礎ユニットを用いた外構基礎構造及び施工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
住宅等の建物では、コンクリートブロックを複数段積み上げて外構としての塀を構築することが行われる。このコンクリートブロック塀は地震による倒壊が発生することがないように、例えば、基礎は丈が35cm以上の鉄筋コンクリートであることが定められている。
【0003】
コンクリートブロック塀を構築する際の一般的な工法は、目的の構築部位に沿って砕石等を敷設転圧する地業を施した後、この地業面に鉄筋を配筋すると共に型枠を構成し、この型枠にコンクリートを打設して底盤(ベース)及び立ち上がり部を有する基礎を施工し、この基礎の養生期間が終了した後、型枠を撤去すると共に、硬化した基礎の立ち上がり部にコンクリートブロックを積み上げあげる。
【0004】
上記工法に於いて、打設されたコンクリートの養生期間として国土交通省は告示で、気温に応じて5日〜8日と定めている。また、日本建築学会の建築工事標準仕様書(JASS5)記載にあるように、コンクリート打設後、1日間は打設されたコンクリート上部での作業を禁止している。このようなコンクリートの養生期間は、行政的、法令的なものではなく、学術的な研究に基づくものである。
【0005】
充分な養生を行わないて強度が出ないうちに底盤に荷重を作用させた場合、基礎そのものが変形したり、基礎にクラックが入る等の問題が生じる。しかし、外構工事の施工現場では、短い工期の中に養生期間を設定せざるを得ず、職人のやりくりが煩雑になるという問題を抱えている。
【0006】
このため、型枠の組立・解体作業をなくして作業効率を高めると共に、基礎立ち上がり部分の施工がコンクリートの養生を待たずに可能となるようにしたコンクリートブロック塀用型枠状基礎スラブブロックが提案されている(特許文献1参照)。この技術は、直方体形状の型枠ブロックの外殻が対向する一対のフェイスシェルで形成され、この対向する一対のフェイスシェルの内殻側に、対向する一対のフェイスシェルと直交して連結固定し、配力筋を挿通する配力筋挿通凹溝を有する一対の主ウエブと、一対の主ウエブの内殻側中央部分に、一対の主ウエブを連結固定し、主筋と縦筋を支持する副ウエブと、対向する一対のフェイスシェルの内殻側中央部分に、主筋と縦筋を挿通し固定する主筋・縦筋挿通凹溝が対向して形成された基礎スラブブロックである。
【0007】
上記特許文献1の技術では、対向する一対のフェイスシェルが型枠としての機能を発揮し、フェイスシェルと主ウエブの上に基礎立ち上がり部分の型枠ブロックを積み上げることができるので、型枠の組立・解体作業がなくなり、基礎立ち上がり部分の施工を基礎スラブの施工後連続して行うことができ、施工期間の短縮化をはかることができる、という効果を有する。
【0008】
【特許文献1】実用新案登録第3122098号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1の技術では、基礎スラブブロックを構成する対向する一対のフェイスシェルが型枠としての機能を有するため、該基礎スラブブロックを設置することによって基礎スラブの幅寸法を設定する型枠を同時に組み立てることとなる。従って、基礎スラブ(底盤)の幅寸法は基礎スラブブロックに於ける対向する一対のフェイスシェルの間隔に依存することとなる。
【0010】
一方、外構基礎に於ける底盤の幅寸法は地盤の条件や積み上げるべきコンクリートブロックの段数等の条件に応じて変化する。このため、特許文献1の技術では、底盤の幅寸法に対応させて対向する一対のフェイスシェルの間隔を設定した多数種の基礎スラブブロックが必要となる。
【0011】
従って、基礎スラブブロックを製造する際の管理が煩雑になり、且つ在庫管理も複雑になるなどの問題が生じる虞がある。
【0012】
本発明の目的は、外構基礎に於ける底盤を所望の幅に設定することができる外構基礎ユニットと、この外構基礎ユニットを用いた外構基礎構造と、外構基礎の施工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために本発明に係る外構基礎ユニットは、高さが等しく所定の間隔を持って対向して配置された二つの側板部材を、該側板部材の高さよりも低い連結部材によって連結し、少なくとも一方の側板部材に該側板部材の厚さ方向に貫通する貫通部を設けたものである。
【0014】
また本発明に係る外構基礎構造は、予め施された地業に上記外構基礎ユニットを並べ、外構基礎ユニットの貫通部が設けられた側板側に沿って所定距離離隔した位置に型枠を構成すると共に所定の鉄筋を配筋することで、前記外構基礎ユニット及び該外構基礎ユニットに積載されるブロックの重量を地業面によって直接支持し得るように構成したものである。
【0015】
更に、本発明に係る外構基礎の施工方法は、予め施された地業に上記外構基礎ユニットを並べる工程、前記外構基礎ユニットを並べた後、貫通部が設けられた側板部材側に沿って所定距離離隔した位置に型枠を構成する工程、前記外構基礎ユニットの上部に外構の基礎を構成するブロックを積載すると共に、該外構基礎ユニット及びブロックと型枠とからなる部位に外構の基礎を構成する鉄筋を配筋する工程、前記外構基礎ユニットに積載されたブロックの上方、及び外構基礎ユニットと型枠とによって構成された空間にコンクリートを打設する工程、を含むことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
上記外構基礎ユニット(以下「基礎ユニット」という)では、高さが等しく少なくとも一方が貫通部を有する二つの側板部材を、所定の間隔を持って対向して配置すると共に連結部材によって連結したので、貫通部が設けられた側板部材は型枠としての機能を持たない。このため、貫通部が設けられた側板部材側には、該側板部材から底盤の幅寸法に対応した寸法だけ離隔した位置に型枠を構成し、基礎ユニットの上方、底盤部分の上方からコンクリートを打設することで外構基礎を構築することができる。
【0017】
従って、底盤の幅は基礎ユニットの他方の側面から型枠までの寸法となり、外構の構造や地盤の条件等に対応させて最適な基礎を構築することができる。
【0018】
また上記外構基礎構造では、地業に基礎ユニットを並べ、貫通部が設けられた側板部材に沿って型枠を構成すると共に配筋することで、基礎ユニットの上部に積載されるブロックの重量を地業面で直接支持することができる。このため、基礎ユニットと型枠とによって構成された底盤部分にコンクリートを打設しても、基礎ユニットに積載されたブロックの重量が打設されたコンクリートに作用することがなく、打設されたコンクリートに悪影響を及ぼすことがない。
【0019】
また上記施工方法では、地業に基礎ユニットを並べ、貫通部が設けられた側板部材に沿って所定距離離隔させて型枠を構成し、外構ユニットの上部に外構基礎の立ち上がり部となるブロックを積載すると共に配筋し、ブロックの上方及び外構基礎と型枠とによって構成された空間にコンクリートを打設することで、外構基礎を構築することができる。
【0020】
基礎ユニットが地業面に直接支持されることから、コンクリートを打設して、1日程度経過した後、型枠をはずすことなく外構基礎の立ち上がり部を構成するブロックの上部に外構を構成するコンクリートブロックを積載することによって、底盤部分に打設されたコンクリートに振動や重量を作用させることなく、外構工事にかかることができる。
【0021】
従って、打設されたコンクリートの養生期間として少なくとも5日以上必要であったものが、1日経過した後、コンクリートブロックの積載作業を行うことができ、このコンクリートブロックの積載作業の期間と養生期間とを重複させることができる。このため、外構工事に要する期間を短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明に係る基礎ユニット、外構基礎構造、施工方法の最も好ましい形態について説明する。
【0023】
本発明に係る基礎ユニットは、目的の外構の構造や地盤等の条件に対応させて最適な底盤の幅寸法を設定して外構基礎を構築し得るようにしたものであり、且つ外構基礎を構築する際に地業面に並べられることで、該基礎ユニットに作用する重量を地業面によって支持し得るようにしたものである。このため、底盤に対応して打設されたコンクリートが、有害な振動を与えてはいけないとされる1日間が経過した後、上方に例えばコンクリートブロックを積載しても、これらの重量を直接地業に伝えることが可能であり、打設されたコンクリートの養生期間であるにも関わらず、外構工事を進めることが可能である。
【0024】
本発明の基礎ユニットは、高さが等しく所定の間隔を持って対向して配置された二つの側板部材を有しており、これらの側板部材を該側板部材の高さよりも低い連結部材によって連結し、更に、少なくとも一方の側板部材に厚さ方向に貫通する貫通部を設けて構成されている。
【0025】
二つの側板部材は上方に外構基礎の立ち上がり部を構成するブロックが積載される積載部としての機能を有し、更に、該ブロックの上方に複数段積載されるコンクリートブロックの重量を地業に伝える重量の支持部材としての機能を有する。このため、側板部材は前記機能を満足し得る寸法と強度を有することが必要である。
【0026】
側板部材の高さ及び長さ(基礎ユニットの平面的な寸法)は特に限定するものではなく、外構基礎の底盤の厚さと等しい寸法であることが好ましい。
【0027】
連結部材は二つの側板部材を高さ方向の所定位置で連結し、側板部材に荷重が作用したとき、これらの側板部材を拘束する機能を有している。連結部材は基礎ユニットに打設されたコンクリートの流動を阻害するものであってはならず、このため、側板部材の高さよりも低くなるように形成される。
【0028】
側板部材の高さと連結部材の高さとの関係は特に限定するものではなく、二つの側板部材を連結したとき、連結部材の上方及び下方に夫々打設されたコンクリートが流動し得るような隙間が形成されることが好ましい。
【0029】
二つの側板部材間の寸法、即ち、基礎ユニットの厚さは特に限定するものではない。しかし、外構基礎を構築する際に、地業面に並べた基礎ユニットの上方に外構基礎の立ち上がり部を構成するブロックを積載するため、このブロックの厚さと同じであることが好ましい。
【0030】
基礎ユニットを構成する二つの側板部材のうち少なくとも一方の側板部材には、厚さ方向に貫通した貫通部が設けられる。この貫通部は、底盤を構築する際に底盤に配筋されるベース筋、或いはあばらベース筋を通過させると共に、コンクリートを打設したとき、基礎ユニットの内部、即ち、二つの側板部材の間の空間と底盤を構成する外部の空間とを連続させて一体的なコンクリート構造物を構築するためのものである。
【0031】
従って、貫通部が設けられた側板部材に沿って、且つ所定距離離隔した位置に底盤の端部を規定する型枠が設置される。また貫通部の寸法や数は特に限定するものではなく、ベース筋の地業面からの高さやコンクリートの流動性等の条件から適宜設定することが好ましい。
【0032】
本発明では、基礎ユニットを構成する二つの側板部材に夫々貫通部が設けられていても良く、この場合、基礎ユニットの二つの側板部材に沿って型枠が形成されることとなる。
【0033】
基礎ユニットは地業面に並べて設置され、且つ上方に外構基礎を構成するブロックが積載され、上方からコンクリートが打設される。特に、貫通部が設けられていない側板部材は型枠としての機能を有するものであり、並べられた基礎ユニットの間からコンクリートが漏れることは好ましいことではない。
【0034】
このため、基礎ユニットを構成する側板部材であって特に貫通部が設けられていない側板部材の長手方向の小口面に段差や凹凸からなる嵌合部を形成しておき、この嵌合部を嵌合させて並べることで、打設されたコンクリートの漏れを防ぐようにすることが好ましい。この嵌合部は長手方向の小口面に加えて上面にも形成しておくことが好ましく、このように、長手方向の小口面と上面に夫々嵌合部を形成しておくことで、複数の基礎ユニットを設置する際のガイドとして機能させることも可能となる。
【0035】
上記の如き基礎ユニットを構成する材料は特に限定するものではなく、前述した機能を発揮し得るものであれば良い。このような材料としては、コンクリートや鉄、アルミ等の金属類、或いは合成樹脂類があり、これらの材料を用いて、成形型にコンクリートを流し込んで硬化させたコンクリートブロック、或いは鋳鉄やアルミ鋳物、更に、合成樹脂の成型品、等とすることが可能である。これらの材料であれば、何れも外構基礎を構築する際に打設されたコンクリートとの付着性も問題はない。
【0036】
また本発明に係る外構基礎構造は、予め施された地業に上記基礎ユニットを並べ、貫通部が設けられた側板部材に沿って所定距離離隔させた位置に底盤を規定する型枠を構成し、基礎ユニットと型枠とによって規定された底盤に対応する空間に所定の鉄筋を配筋した構造を有するものであり、基礎ユニット及び該基礎ユニットに積載された外構基礎を構成するブロックの重量を地業面によって支持し得るようにしたものである。
【0037】
基礎ユニットと型枠との距離、即ち、底盤の寸法は目的の外構を構築するための外構基礎に必要な寸法に設定することが可能である。従って、目的の外構の構造や地盤の条件に対応して如何なる寸法を持った外構基礎であっても構築することが可能である。
【実施例1】
【0038】
次に、基礎ユニットの実施例について図を用いて説明する。図1は本実施例に係る基礎ユニットの構成を説明する図である。図2は基礎ユニットの嵌合部を説明する図である。
【0039】
図に示す基礎ユニットAはコンクリートブロックとして構成されており、高さが等しい二つの側板部材1、2が予め設定された間隔をおいて対向して配置され、これらの側板部材1、2の高さよりも低い高さを持った連結部材3によって連結されており、一方の側板部材2に二つの貫通部4が設けられている。
【0040】
連結部材3は側板部材1、2の長さ方向(図1の左右方向)の略中央に、且つ高さ方向(図1の上下方向)の略中央に配置されて夫々の側板部材1、2を連結している。このため、基礎ユニットAには側板部材1、2の間で連結部材3の上下、左右に夫々空間が形成され、この空間がコンクリートが流動し、且つ充填される空間となる。
【0041】
連結部材3の上面3aの高さは特に限定するものはないが、後述する主筋の配筋位置に対応している。このように、連結部材3の上面を主筋の配筋位置に対応させた高さとすることで、外構基礎を構築する際に、主筋の配筋作業を容易に進めることが可能となる。
【0042】
尚、本実施例の基礎ユニットAでは、側板部材1、2を一つの連結部材3によって連結しているが、この構成に限定するものではなく、複数の連結部材によって側板部材を連結しても良いことは当然である。
【0043】
貫通部4は、外構基礎の底盤を構成する際に配筋されたベース鉄筋を通過させると共に打設されたコンクリートを流通させるものであり、側板部材2の厚さ方向に貫通して設けられている。特に、貫通部4は側板部材2の長手方向に於ける連結部材3の両側に設けられており、基礎ユニットAの内部に外部に通じることのない空間を形成することがないように配置されている。
【0044】
本実施例に於いて、貫通部4は側板部材2にゲート状に形成されているが、この形状に限定するものではなく、側板部材2の長手方向の小口面2aに達するように形成しても良く(この場合、側板部材2は正面視がT字状になる)、また長手方向の両小口面2aから連結部材3側にかけて高さ方向にも貫通させて形成しても良い(この場合、平面視がエ字状になる)。
【0045】
基礎ユニットAに於ける貫通部4が設けられていない側板部材1の長手方向の小口面1aには図2(a)に示す段差からなる嵌合部5が形成されている。また側板部材1、2の上面1b、2bにも同様に外構基礎Cの立ち上がり部を構成するブロック10との間に、同図(b)に示す段差からなる嵌合部6が形成されている。
【0046】
上記の如き嵌合部5を形成することで、複数の基礎ユニットAを長手方向に並べる際に隣接する基礎ユニットAの嵌合部5を互いに嵌合させることで、比較的容易に直線性を保持することが可能であり、且つ隣接する基礎ユニットAの間に形成される隙間を可及的に小さくしてコンクリートの漏れを防ぐことが可能となる。
【0047】
更に、嵌合部6を形成することで、基礎ユニットAの上部にブロック10を積載する際に嵌合部6を互いに嵌合させることで、容易に互いの位置を確保することが可能であり、且つ上下に隣接する基礎ユニットAとブロック10の間に形成される隙間を小さくしてコンクリートの漏れを防ぐことが可能となる。
【実施例2】
【0048】
次に第2実施例に係る基礎ユニットBの構成について説明する。図3は本実施例に係る基礎ユニットの構成を説明する図である。尚、図に於いて前述の第1実施例と同一の部分及び同一の機能を有する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0049】
本実施例に係る基礎ユニットBは合成樹脂によって構成されており、側板部材1、2を夫々長手方向の両端部分及び略中央部分に配置した連結部材3によって連結して構成されている。側板部材1には補強リブ1cが設けられており、この補強リブ1cによって上方に積載されるブロックの重量に対抗し、且つ基礎ユニットBに打設されたコンクリートの圧力に対抗し得るように構成されている。
【0050】
連結部材3は側板部材1、2の高さよりも低く形成されており、側板部材1、2を連結したとき、該連結部材3の上下に夫々コンクリートを流動させる空間が形成されている。
【0051】
側板部材2には連結部材3の間に夫々貫通部4が形成されている。この貫通部4は、側板部材2の下端部分から該側板部材2の高さよりも低い高さと、同図に示すように連結部材3の間の位置を占めて形成されている。このため、側板部材2の上端部にはブリッジ2cが形成され、該ブリッジ2cによって基礎ユニットBの長手方向に連続した部分が形成されている。
【0052】
上記の如く構成された基礎ユニットBでは、全体が箱形に形成されることとなり、高い剛性を発揮すると共に安定した強度を発揮することが可能である。このため、合成樹脂以外の例えば鋼板を溶接したり、鋳鉄やアルミ鋳物等の種々の材料を用いて構成することが可能である。
【実施例3】
【0053】
次に、前述の基礎ユニットAを用いて構成した外構基礎構造と、この外構基礎構造を施工する方法について説明する。図4は外構をコンクリートブロックを7段積み上げて構成したコンクリートブロック塀としたときの外構基礎構造を説明する図である。図5は外構基礎構造を施工する手順を説明する図である。
【0054】
本実施例に係る外構基礎Cを構築するに際し、先ず、目的の外構を構築すべき地面を根伐りして地業20を形成しておく。次に、地業20に於ける予め設定された線に沿って複数の基礎ユニットAを並べる。このとき、基礎ユニットAの側板部材1を外構基礎Cの外側に向け、側板部材2を外構基礎Cの内側に向けて並べる。
【0055】
目的の外構基礎Cに沿って複数の基礎ユニットAを並べた後、側板部材2に沿って該側板部材2から予め設定された距離隔てた位置に型枠21を構成する。
【0056】
基礎ユニットAの側板部材2に設けた貫通部4及び連結部材3を利用してベース筋22、縦筋23、主筋24、配力筋25を配筋すると共に、基礎ユニットAの上方に外構基礎Cの立ち上がり部を構成するブロック10を積載する。
【0057】
尚、外構基礎Cの場合、ベース筋22と縦筋23を異なる鉄筋とすることもあり、一体的に形成することもある。また基礎ユニットAの上方にブロック10を積載する作業と配筋作業の順序は特に限定するものではなく、配筋作業を行った後、ブロック10の積載を行い、或いはブロック10を積載した後、配筋作業を行う場合もある。
【0058】
更に、配筋及びブロック10の積載作業と、基礎ユニットAの側板部材2に沿って型枠21を構成する作業の順序も特に限定するものではなく、配筋作業を行った後、型枠21を構成しても良い。特に、根伐り幅が狭いような場合、地業20に基礎ユニットAを並べ、所定の配筋を行うと共にブロック10を積載した後、型枠21を設置するようにすると作業性が良いこともある。
【0059】
上記の如くして地業20に基礎ユニットAを並べて配筋すると共にブロック10を積載し、且つ型枠21を構成したとき、基礎ユニットAとブロック10の重量は直接地業20に伝えられ、該地業20によって支持されることになる。
【0060】
次に、縦筋23を直立させて保持した状態で、ブロック10の上方から、及び基礎ユニットAの側板部材2と型枠21の上方からコンクリートを投入し、基礎ユニットAの側板部材1、2の間に形成された空間、及び基礎ユニットAと型枠の間に形成された空間に隙間なく投入されたコンクリートを充填する。
【0061】
上記の如くして外構基礎Cを構築することが可能である。しかし、この状態では打設されたコンクリートは高い流動性を有しており、外部から振動や加重をかけると変形やクラックが形成される虞がある。
【0062】
このため、外構基礎Cにコンクリートを打設して1日が経過した後、型枠21をそのままに保持した状態で、ブロック10の上方にコンクリートブロック11を積載する。このとき、予め設定された段数を積載する毎に横筋26を配置してゆき、所定段数のコンクリートブロック11を積載することで、目的の外構であるコンクリートブロック塀Dが完成する。
【0063】
従来は、外構基礎を構築するためにコンクリートを打設した後、5日間以上の養生期間が必要であり、この期間にコンクリートブロックを積載する作業を行うことができなかったが、本実施例ではコンクリートを打設した後、1日経過した後はコンクリートブロックを積載する作業を行っても打設されたコンクリートに悪影響を与えることがない。従って、外構工事の短縮化をはかることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明に係る基礎ユニット及び外構基礎構造は、コンクリートブロック塀の基礎以外にも土留め用の壁体の基礎としても利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】第1実施例に係る基礎ユニットの構成を説明する図である。
【図2】基礎ユニットの嵌合部を説明する図である。
【図3】第2実施例に係る基礎ユニットの構成を説明する図である。
【図4】外構をコンクリートブロックを7段積み上げて構成したコンクリートブロック塀としたときの外構基礎構造を説明する図である。
【図5】外構基礎構造を施工する手順を説明する図である。
【符号の説明】
【0066】
A、B 基礎ユニット
C 外構基礎
D コンクリートブロック塀
1、2 側板部材
1a、2a 小口面
1b、2b 上面
1c 補強リブ
2c ブリッジ
3 連結部材
4 貫通部
5、6 嵌合部
10 ブロック
11 コンクリートブロック
20 地業
21 型枠
22 ベース筋
23 縦筋
24 主筋
25 配力筋
26 横筋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高さが等しく所定の間隔を持って対向して配置された二つの側板部材を、該側板部材の高さよりも低い連結部材によって連結し、少なくとも一方の側板部材に該側板部材の厚さ方向に貫通する貫通部を設けたことを特徴とする外構基礎ユニット。
【請求項2】
予め施された地業に請求項1に記載した外構基礎ユニットを並べ、外構基礎ユニットの貫通部が設けられた側板側に沿って所定距離離隔した位置に型枠を構成すると共に所定の鉄筋を配筋することで、前記外構基礎ユニット及び該外構基礎ユニットに積載されるブロックの重量を地業面によって直接支持し得るように構成したことを特徴とする外構基礎構造。
【請求項3】
予め施された地業に請求項1に記載した外構基礎ユニットを並べる工程、
前記外構基礎ユニットを並べた後、貫通部が設けられた側板部材側に沿って所定距離離隔した位置に型枠を構成する工程、
前記外構基礎ユニットの上部に外構の基礎を構成するブロックを積載すると共に、該外構基礎ユニット及びブロックと型枠とからなる部位に外構の基礎を構成する鉄筋を配筋する工程、
前記外構基礎ユニットに積載されたブロックの上方、及び外構基礎ユニットと型枠とによって構成された空間にコンクリートを打設する工程、
を含むことを特徴とする外構基礎の施工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−190232(P2008−190232A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−26370(P2007−26370)
【出願日】平成19年2月6日(2007.2.6)
【出願人】(303046244)旭化成ホームズ株式会社 (703)
【Fターム(参考)】