説明

外気式気化器

LNG外気式気化器の除霜媒体として、ガス化されて加熱されたLNGの一部を使用するシステムおよび方法が企図される。最も好ましくは、LNGが、約100°Fから400°Fの温度まで加熱され、除霜後に、気化器の上流および/または下流の位置でLNGの流れへと戻され、あるいは天然ガス送出パイプラインへと戻される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2007年2月1日に出願された同時係属中の米国特許仮出願第60/899292号の優先権を主張する。
【0002】
本発明の分野は、液化天然ガス(LNG)の再ガス化であり、特にはLNG再ガス化ターミナルでの外気式気化器およびヒータの動作および除霜の構成および方法である。
【背景技術】
【0003】
大気式気化器(外気式気化器)は、当分野においてよく知られており、多数の極低温の液体プラントにおいて、産業用の液体窒素など、極低温の液体を気化させるために使用されている。多くの場合、外気式気化器は、低沸点の液体(例えば、液体酸素、液体窒素、など)を加熱するために外気の顕熱および/または周囲の水の潜熱を使用する熱交換器に基づいている。これらの気化器の気化の負荷は、LNG再ガス化ターミナルが必要とする大きな負荷に比べて、比較的小さい。したがって、知られている外気式気化器をLNGの再ガス化に適用するためには、きわめて大きな土地空間が必要であり、特には沖合および浮遊のLNG再ガス化設備において非経済的および/または非現実的である。
【0004】
最新の外気式気化器/熱交換器は、典型的には、いくつかの個別の多フィン式熱伝達素子を種々の直列および/または並列配置で備える。そのようなフィン式熱交換器は、外気とLNGとの間の大きな温度差ゆえ、LNGの気化および過熱のために外気からの熱を伝達するために、比較的効率的である。これらの交換器の多くは、縦向きであり、下向きの低温でより密度の高い空気(重力による)と気化器管内のLNGの上向きの流れとの間の対向流を有する。例えば、米国特許第4,479,359号および第5,252,425号が、外気式気化器の例示的な構成を示している。さらなる知られている同様なLNG再ガス化の構成が、米国特許出願公開第2006/0196449号、米国特許第7,155,917号、および特開平05−312300号に記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような知られている外気式交換器のすべてにおいて、氷が、特にはLNGが進入する交換器の下部において、外フィンに蓄積しがちである。交換器のフィンに氷層が形成されると、熱伝達プロセスの妨げとなる。さらには、そのようにして形成された氷層が、管に沿って不均一に分布する可能性があり、交換器の重量を増すとともに、交換器の重心を変化させることさえあり得る。過剰な氷層の形成は、風および地震の荷重について厳しい構造規格の要件を満足する必要がある場合に、特に問題である。
【0006】
氷層が、すでに全体としての熱伝達を低下させる容認できないレベルにまで蓄積している場合、LNGの気化プロセスを停止させ、交換器を待機の除氷サイクルに置かなければならないことが多い。多くの場合、除氷は、自然通気の対流によって行われるが、これでは、きわめて時間がかかる。除氷時間を短縮するために、強制通気の空気ファンを使用することが可能である。しかしながら、このような操作は、氷層が絶縁体として作用することで熱伝達が限られるため、除霜時間をわずかに短縮するにすぎない。また、強制空気ファンの使用は、空気循環ファンの追加のコストおよびエネルギー消費ゆえ、許されにくい。典型的には、外気式気化器の3分の1強が除霜中であり、残りの3分の2がLNGの再ガス化に従事している。さらに、そのような知られている外気式気化器の性能は、湿度および乾球温度の変化、外気温の変動、相対湿度、風、太陽放射、ならびに/あるいは周囲の構造物などといった環境要因の変化に依存する。
【0007】
このように、LNGの外気による気化について、多数の構成および方法が当分野において知られているが、そのすべてまたはほぼすべてが、1つ以上の欠点を抱えている。したがって、LNGの再ガス化のための優れた構成および方法を提供する必要が、依然として存在している。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、LNGを外気式気化器において再ガス化するLNGの再ガス化の構成および方法であって、外気式気化器が、ガス化LNGの加熱された一部を除霜媒体として使用して除霜される構成および方法に向けられている。最も好ましくは、加熱された一部が、天然ガス販売パイプラインへの送出前のガス化LNGの温度の調節/維持にも使用され、除霜導管からの冷却除霜ガスが、天然ガスパイプラインへと案内され、さらには/あるいはLNGの流れへと再循環される。
【0009】
本発明の主題の一態様においては、LNG再ガス化システムが、複数の外気式気化器を、ガス化LNGを生成するように構成された第1および第2の外気式気化器へとLNGを送出するLNG供給源とともに備える。ヒータが、第1および第2の外気式気化器に流体的に接続され、ガス化LNGの一部を受け取って周囲温度以上の温度へと加熱するように構成されている。第1および第2の外気式気化器が、それぞれ第1および第2の除霜導管へと熱的に接続されており、第1および第2の除霜導管は、加熱されたガス化LNGの少なくとも一部を受け取ることで、(a)第1および第2の外気式気化器の除霜を可能にし、(b)冷却ガス化LNGを形成するように構成されている。企図されるプラントは、第1および第2の除霜導管へと流体的に接続され、冷却ガス化LNGをガス化LNGを運んでいる導管および/またはLNGを運んでいる導管へと送るように構成された第1および第2の再循環導管をさらに備える。
【0010】
最も好ましくは、システムが、第1および第2の外気式気化器の交互の動作を可能にするように構成され、さらに/あるいは最終的なガス化生成物の温度を制御するために、加熱されたガス化LNGの別の一部をガス化LNGに混合できるように構成される。所望であれば、企図されるプラントが、気化器からの冷却ガス化LNGを、典型的にはパイプラインの圧力へと圧縮する圧縮機を含む。そのようなプラントにおいて、圧縮された冷却ガス化LNGの少なくとも一部を加熱されたガス化LNGに混合できるようにする第1の導管、および/または冷たくなり圧縮されたガス化LNGの一部を第1および第2の外気式気化器の上流の位置でLNGに混合できるようにする第2の導管を設けることができる。あるいは、差圧バルブを、第1および第2の外気式気化器の下流に備え、第1および第2の外気式気化器に流体的に接続することができる。そのようなバルブは、典型的には、加熱されたガス化LNGの第1および第2の外気式気化器への所定の流れを可能にするように構成される。いくつかの利点のなかでもとりわけ、このような構成が、典型的には圧縮機を必要とせず、したがってより経済的であり得ることに、留意すべきである。所望であれば、このようなプラントにおいて、第1および第2の再循環導管を、冷却ガス化LNGを差圧バルブの下流の位置においてガス化LNGを運んでいる導管へと送るように構成することができる。
【0011】
したがって、本発明の主題の別の態様においては、LNGの再ガス化の方法が、LNGを第1の外気式気化器へと供給してガス化LNGを生成するステップと、ガス化LNGの少なくとも一部を周囲温度を上回る温度(例えば、100°Fから400°Fの間)へと加熱するもう1つのステップとを含む。所望であれば、冷却ガス化LNGをパイプラインの圧力まで圧縮することができ、冷たくなり圧縮されたガス化LNGの少なくとも一部を、(a)両方の気化器の上流の位置のLNGの流れ、(b)ガス化LNGの加熱された一部、および/または(c)第1の外気式気化器から出るガス化LNGへと送ることができる。そのような方法においては、冷たくなり圧縮されたガス化LNGを、ガス化LNGの加熱された一部に、ガス化LNGの加熱された一部の温度を制御するために有効な量にて混合することが、特に好ましい。あるいは、差圧バルブを、除霜導管からの冷却ガス化LNGを差圧バルブの下流の点へと戻しつつ、ガス化LNGのヒータへの上流の流れを調節するために、設けることができる。さらに企図される方法においては、除霜動作および気化を、同じ気化器において同時に実行することができる。
【0012】
したがって、別の観点から見ると、さらに本発明は、LNGのガス化を行うプラントにおいて、外気式気化器の除霜のための熱容量を提供するために、加熱されたガス化LNGを使用することを企図し、プラントは、加熱されたガス化LNGを、除霜動作のために熱容量を提供した後で、LNGおよび/またはガス化LNGに混合することを可能にするように構成されている。さらに、加熱されたガス化LNGを、送出パイプラインへの進入前のガス化生成物の温度の制御にも使用することができる。好ましい使用においては、加熱されたガス化LNGが、100°Fから400°Fの間の温度を有し、プラントが、加熱されたガス化LNGを、熱容量を提供した後でガス化LNGに混合できるように構成されている。
【0013】
本発明の種々の目的、特徴、態様、および利点が、本発明の好ましい実施形態についての以下の詳細な説明から、さらに明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】冷却除霜ガスの再圧縮を備えるLNG再ガス化プラントの第1の例示的な構成の概略図である。
【図2】冷却除霜ガスの再循環のための差圧バルブを備えるLNG再ガス化プラントの第2の例示的な構成の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明者は、外気式気化器の除霜が、気化器に除霜媒体をもたらすためにガス化LNGの一部を外部の熱源によって加熱する種々の構成および方法にて、可能であることを発見した。最も好ましくは、冷却除霜媒体が、LNG外気式気化器の除霜動作へと再循環される。このような構成によれば、除霜に要する時間が大幅に短くなり、したがって熱交換器のサイズおよびプラントの専有面積が縮小されることが理解されるべきである。さらに、本明細書において企図される構成および方法が、他の要因のなかでもとりわけ除霜回路が気化プロセスに一体化されるため、土地空間が貴重であるLNGターミナル(例えば、沖合および浮遊のLNG再ガス化ターミナル)において特に有利であることが理解されるべきである。
【0016】
一般的に好ましい態様においては、外気による気化のために企図される方法および構成が、LNGの圧力を少なくともパイプラインの圧力まで高め、加圧されたLNGを従来からの加熱サイクルでLNGを気化させる外気式ヒータにおいて加熱するステップを含む。次いで、このようにして気化させられた天然ガスの少なくとも一部が、(典型的には除霜および除氷のサイクルにおいて)外部の熱源を使用してさらに加熱される。典型的には、外気式気化器が垂直な管の向きを有し、管が、除霜サイクルにおいて2つのモードで加熱されることが好ましい。すなわち、外側の自然対流モードの外気、および内側(LNGを気化させる管腔であっても、LNGを気化させる管腔でなくてもよい)を加熱する加熱された天然ガスである。このような二重の加熱は、除氷時間および必要なエネルギーを、これまでに知られている装置および方法に比べて大幅に少なくする。
【0017】
特に好ましい構成においては、加熱された天然ガスが、極低温のLNG入り口温度(典型的には、約−260°F)ゆえに氷層の蓄積が最も深刻である縦型の外気式気化器の底部へと案内される。あるいは、加熱された天然ガスを、除霜ガスと交換器との間の温度差が最も小さく、したがって設備への熱応力が小さい交換器の上部へと案内してもよい。下部の管の壁が32°Fを超えて暖められると、管またはフィンに隣接する氷層が溶け、氷が交換器の管から落下する。複数の気化器が運転されている場合には、1つの除霜中の交換器からの冷却天然ガスを、除霜サイクルにおける温度に応じて、別の外気式気化器の入り口または出口へと戻すことができ、あるいは送出パイプラインへと直接戻すことができると考えられる。さらに、冷却ガス化LNGの少なくとも一部を、再ガス化プラントの1つ以上のLNGの流れにおいて、温度制御に使用することも可能である。このようにして生成される除霜からの氷および水が、比較的高純度であり、住宅または工場での消費のために再循環することが可能であり、あるいは海洋または他の地点へと環境上の懸念なく直接放出できることに、留意すべきである。
【0018】
外気式LNG気化器について考えられる1つの例示的なプロセスが、図1に概略的に示されており、LNG貯蔵タンクまたは他の供給源(例えば、LNG輸送車または輸送船)からのLNGの流れ1が、典型的には約70psigから100psigの間の圧力および約−260°Fから−250°Fの温度にある。流れ1は、現場のパイプラインの圧力の要件に合致するよう、必要に応じて、LNGポンプ50によって適切な圧力(典型的には、約1200から1600psig)にされ、加圧LNGの流れ2を形成する。流れ3のLNGの流量が、バルブ55を使用して制御され、外気式気化器51へと送られる。外気式気化器51において、流れ4が形成され、流れ4において、ガス化LNGが約40°Fの温度にある。外気式気化器51のLNG加熱サイクルにおいて、交換器の入り口バルブ55および出口バルブ63が開かれる一方で、バルブ62(除霜機能に使用される)は閉じられている。
【0019】
ガス化LNGの流れ5が、除霜圧縮機54から再循環される流れ6と混合される。低温での動作時には、気化したガスの一部(流れ7)が、流れ7を典型的には約100°Fから400°Fの温度へと加熱して流れ8を形成する外部のヒータ53へと、バルブ61を経由して導かれる。流れ8は、2つの部分へとさらに分割される。流れ9が、ガス化LNGと混合されて天然ガスパイプラインでの輸送に適した温度の流れ10を形成する一方で、流れ11は、バルブ60を介して除霜モードの気化器へと送られる。最も典型的には、流れ11が、流れ15を交換器52での除霜動作のための所定の最適温度に保つよう、再循環のガスの流れ14の少なくとも一部分(流量は、バルブ61によって制御される)と混合される。最も好ましくは、除霜中の交換器52における温度の分布が、交換器の熱応力が最小になるように保たれる。暖かい環境での動作においては、流れ10の温度の調節に関して、ヒータ53の利用を中断することができる。そのような状況においては、外気式気化器の出口(流れ5)を、バルブ59を介してガスパイプライン(流れ10)へと直接送り込むことができる一方で、加熱されたガス化LNGの流れ11が除霜に使用される。この動作において、除霜動作によって冷却ガス化LNGの流れが圧縮され、流れ65としてバルブ64を介して外気式気化器51の入り口の上流の位置へと再循環される。
【0020】
交換器52の除霜サイクルにおいては、LNGの入り口バルブ56および出口バルブ58が閉じられる一方で、加熱されたガス化LNGの流れ12(最適な除霜温度にある)を氷の蓄積が最も深刻である縦型の交換器の底部または底部付近へと進入させることができるよう、除霜バルブ57が開かれる。除霜ガスが、交換器管(気化器のフィンまたは気化器の他の表面との熱交換にある管)を上方に流れる一方で、外フィン上の氷層が融解する。氷層の融解が、下方の管において優先的に生じ、溶けた氷の重量が、当然ながら重力による除去を可能にすることが理解されるべきである。同様に、交換器51の除霜サイクルにおいては、LNGの入り口バルブ55およびバルブ63が閉じられる一方で、加熱されたガス化LNGの流れ13によって交換器51の除霜のための熱容量をもたらすことができるよう、除霜バルブ62が開かれる。最も好ましくは、冷却されたガス化LNGの流れ16が、圧縮機54によって圧縮され、3つの部分、すなわち流れ65、14、および6へと分割される。流れ65は、流れ2と共に気化されるべく、外気式気化器51の入り口へと案内され、流れ14は、最適な除霜温度を実現および/または維持すべく、加熱されたガス化LNGと混合され、流れ6は、好ましくはヒータおよび/またはパイプラインの上流の位置で、ガス化LNGに混合される。
【0021】
外気式LNG気化器の除霜のための別の例示的なプロセスが、図2の概略図に示されており、図2においては、同様の番号が図1の同様の構成要素を指し示している。この例示的な構成において、図1の圧縮機54が必要とされないことを理解すべきである。代わりに、冷却ガス化LNGが、差圧バルブ90の動作によってガス化LNG生成物またはパイプラインへと戻され、比較的高価な圧縮機を不要にし、動作の複雑さを減らしている。そのような構成において、外気式気化器への除霜ガスの流れ11および冷却ガス化LNGの戻りの流れ6を維持するために必要な気化器出口とパイプライン圧力との間の適切な圧力差は、好ましくは少なくとも約20psiであり、より典型的には少なくとも25psi(場合によっては、少なくとも40psi、またはそれ以上)である。流れ6が、好ましくは差圧バルブ90の下流の位置でガス化LNG生成物と混合され、混合されたガス化生成物の流れ91が形成される。
【0022】
また、このように考えられた構成を使用することで、除霜のための外気の使用または強制通気ファンの使用を完全になくすことができ、したがって外気での除霜プロセスに要する時間を完全になくすことができ、結果として、待機の除霜動作に必要な外気式気化器の数を(たとえなくすことはできなくても)劇的に減らすことができることに留意されたい。廃熱の利用によるエネルギーの節約に加え、外気式気化器の数を、少なくとも30%も減らすことが可能である。
【0023】
適切なLNGの供給源として、固定ならびに移動式のLNG貯蔵装置が挙げられ、知られているLNG貯蔵装置はすべて、本明細書における使用に適すると考えられる。しかしながら、貯蔵装置が、海洋関連の装置であることが通常は好ましく、特に考えられる装置として、LNGタンカーおよび沖合浮遊LNG貯蔵タンクが挙げられる。したがって、外気式気化器が、最も好ましくは沖合の構造物に(最も典型的には垂直に)取り付けられ、そのような構造物が、LNG貯蔵容器をさらに含んでもよいことを、特に理解すべきである。好ましさは劣るが、いくつかの態様においては、適切な外気式気化器が、空気を密度の差によって交換器管の表面にわたって送るシステムを含む。気化させるLNGの量に応じて、複数の気化器管を、直列および/または並列に動作させることができ、それらの気化器のうちの少なくとも2つが、交互の順番で動作する(すなわち、一方の気化器が気化モードで動作する一方で、他方が除霜モードで動作する)ことが特に好ましい。
【0024】
気化器の数および動作の様式にかかわらず、気化器を加熱されたガス化LNGの少なくとも一部を受け入れるように構成された1つ以上の除霜導管へと熱的に接続させて、外気式気化器の除霜を可能にする(その結果、使用済みの除霜媒体として低温のガス化LNGが形成される)ことが考えられることに、留意すべきである。例えば、除霜導管は、LNGの気化が行われる導管と同じ導管であってもよい。そのような構成は、気化器の表面の氷層が中から外へと除去され、したがって氷層を単純に気化器の表面から滑落させることができるため、特に有利である。他方で、適切な除霜導管が、LNGの気化が行われる導管の外側にあって、交換器管のフィンへと熱的に接続され(例えば、除霜導管がフィンの一部分の内部に配置され)ても、さらには/あるいは気化用の導管へと熱的に接続され(例えば、除霜導管が、フィンまたは交換器管の一部分へと接続され)てもよい。そのようなシステムにおいては、除霜および気化を同時に実行できることを、特に理解すべきである。結果として、冷却ガス化LNGをガス化LNGを運んでいる導管および/またはLNGを運んでいる導管へと戻す再循環の導管は、大いにさまざまであってもよく、LNGを気化させる導管へと流通的に接続されても、あるいはLNGを気化させる導管から流体的に独立であってもよい。
【0025】
同様に、ヒータの種類はさまざまであってもよく、一般的には、知られているあらゆるヒータが、そのようなヒータがガス化LNGの少なくとも一部を周囲温度を上回る温度へと加熱する限りにおいて、本発明における使用に適していると考えられる。しかしながら、ガス化LNGが少なくとも100°Fの温度、より典型的には約100°Fから約200°Fの間の温度、最も典型的には約200°Fから約400°Fの間の温度まで加熱されることが、特に好ましい。本明細書において使用されるとき、用語「約」は、数字との組み合わせにおいて、その数字の絶対値を下回ること20%から始まり、その数字の絶対値を上回ること20%までの範囲(上下限値を含む)を指す。例えば、用語「約−100°F」は、−80°Fから−120°Fの範囲を指し、用語「約1000psig」は、800psigから1200psigの範囲を指す。したがって、適切なヒータとして、非気化のプロセスからの廃熱(例えば、タービン排気、燃焼プロセス、または発電プロセスからの廃熱)を使用するヒータ、または燃焼プロセスを使用するヒータ(例えば、ガス化LNGを燃料として用いる)が挙げられる。
【0026】
ひとたび加熱されると、ガス化LNGは、最も好ましくは、1つ以上の外気式気化器の除霜導管へと直接案内されるが、別の構成も適切であると考えられる。例えば、特には加熱されたガス化LNGが比較的高温である場合に、熱容量の一部を、再ガス化施設の任意の液体および/または気化させた流れの温度を調節するために、交換器において使用することができ、あるいは高温のガス化LNGの直接注入によって使用することができる。加熱されたガス化の流れは、気化器の除霜導管を通過した後に、冷却ガス化LNGの流れとして流出するが、これをプラント内の1つ以上の位置へと案内することができる。最も好ましくは、冷却流れが、LNG液体および/またはガス化LNGの流れへと再循環される。しかしながら、別の態様においては、冷却流れの少なくとも一部を、動力および使用済み燃料(例えば、ヒータまたはタービンのための)を生成すべく随意により膨張させることができる。冷却ガス化LNGを、例えば気化器へと供給される除霜の流れの温度制御機構として、(ヒータの上流または下流で)すでにガス化済みのLNGと混合させることが好ましく、さらには/あるいは冷却ガス化LNGを、極低温のLNGと混合させることが好ましい。
【0027】
冷却ガス化LNGを圧縮するために圧縮機が使用される場合、知られているあらゆる種類の圧縮機が適切であると考えられ、圧縮機を、特には極低温のLNGがパイプラインの圧力を上回る圧力へと高められる場合に、膨張機プロセスによって駆動できることに、留意すべきである。最も典型的には、圧縮機が、冷却ガス化LNGを天然ガスパイプラインの圧力まで圧縮するように構成される。差圧バルブが使用される場合には、減圧のエネルギーをターボ膨張機によって回収することができる。
【0028】
したがって、LNGの再ガス化方法は、概して、LNGを第1の外気式気化器へと供給してガス化LNGを生成することと、ガス化LNGの一部を周囲温度を上回る温度へと加熱することとを含む。すなわち、想定される構成および方法において、ガス化LNGが除霜媒体として使用されることが理解されるべきである。最も好ましくは、除霜媒体が、周囲温度を充分に上回るように加熱され、除霜媒体として使用された後に、LNG生成の流れへと戻される。本発明の主題のさらなる好ましい態様においては、同じ空気式気化器または第2の空気式気化器が、加熱されたガス化LNGの少なくとも一部を使用して除霜され、冷却ガス化LNGが形成される。所望であれば、加熱されたガス化LNGの別の一部を、すでにガス化したLNGを天然ガスパイプラインへの送出に先立って加熱して所望の送出温度を実現するために使用される。
【0029】
したがって、LNGのガス化および外気式気化器の除霜について、いくつかの具体的な実施形態および応用を開示した。しかしながら、すでに述べた以外にもさらに多くの変更が、本明細書に記載の本発明の考え方から離れることなく可能であることは、当業者にとって明らかであろう。したがって、本発明の主題が、添付の特許請求の範囲の技術的思想以外の場所で限定されることはない。さらに、本明細書および特許請求の範囲の両者の解釈においては、すべての用語が、文脈に矛盾しない限りにおいて可能な限り幅広い方法で解釈されなければならない。特には、用語「備える(comprises)」および「備えている(comprising)」は、構成要素、部品、またはステップに非排他的な様式で言及しているものと理解すべきであり、すなわち言及されている構成要素、部品、またはステップが存在でき、あるいは言及されている構成要素、部品、またはステップを利用でき、もしくは明示的には言及されていない他の構成要素、部品、またはステップと組み合わせることができることを、表わしている。さらに、参照により本明細書に組み込まれる参考文献における用語の定義または使用が、その用語の本明細書において提示される定義と矛盾または相反する場合には、その用語について、本明細書に提示の定義が適用され、参考文献における定義は適用されない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス化LNGをもたらすように構成された第1および第2の外気式気化器へとLNGを供給するように構成されたLNG供給源と、
第1および第2の外気式気化器に流体的に接続され、ガス化LNGの一部を受け取って周囲温度以上の温度へと加熱するように構成されたヒータと、
該第1および第2の外気気化器が、それぞれ第1および第2の除霜導管へと熱的に接続され、加熱されたガス化LNGの少なくとも一部を受け取ることで、第1および第2の外気式気化器の除霜を可能にするとともに、冷却ガス化LNGを形成するように構成され、
第1および第2の除霜導管へと流体的に接続され、冷却ガス化LNGをガス化LNGを運んでいる導管およびLNGを運んでいる導管の少なくとも一方へと送るように構成された第1および第2の再循環導管とを備える、LNG再ガス化システム。
【請求項2】
第1および第2の外気式気化器の交互の動作を可能にするように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
加熱されたガス化LNGの別の一部をガス化LNGと混合することを可能にするように構成された、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
冷却ガス化LNGを圧縮するように構成された圧縮機をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
圧縮された冷却ガス化LNGの一部を加熱されたガス化LNGと混合することを可能にするように構成された第1の導管をさらに備える、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
圧縮された冷却ガス化LNGの一部を第1および第2の外気式気化器の上流の位置でLNGと混合することを可能にするように構成された第2の導管をさらに備える、請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
第1および第2の外気式気化器の下流に位置し、第1および第2の外気式気化器に流体的に接続され、加熱されたガス化LNGの第1および第2の外気式気化器への所定の流れを可能にするように構成された差圧バルブをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
差圧バルブが、少なくとも20psiの圧力差を維持するように構成されている、請求項7に記載の再ガス化システム。
【請求項9】
第1および第2の再循環導管が、冷却ガス化LNGを、差圧バルブの下流の位置においてガス化LNGを運んでいる導管へと送るように構成されている、請求項7に記載の再ガス化システム。
【請求項10】
LNGの再ガス化方法であって、
LNGを第1の外気式気化器へと供給してガス化LNGを生成し、ガス化LNGの一部を周囲温度を上回る温度へと加熱するステップと、
加熱されたガス化LNGを使用して第2の空気式気化器を除霜し、冷却ガス化LNGを形成するステップとを含む、方法。
【請求項11】
冷却ガス化LNGを圧縮するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
圧縮された冷却ガス化LNGの一部が、(a)両方の気化器の上流の位置のLNG、(b)ガス化LNGの加熱された一部、および(c)第1の外気式気化器からのガス化LNGのうちの少なくとも1つと混合される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
圧縮された冷却ガス化LNGの一部が、ガス化LNGの加熱された一部と、ガス化LNGの加熱された一部の温度を制御するために有効な量にて混合される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
第1および第2の外気式気化器が、交互の順序で運転される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
ガス化LNGのヒータへの流れを調節するために差圧バルブを使用するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
加熱されたガス化LNGが、100°Fから400°Fの間の温度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
第1および第2の外気式気化器が、同じである、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
LNGのガス化を行うプラントにおいて、外気式気化器の除霜のための熱容量を提供するために、加熱されたガス化LNGを使用することであって、
プラントが、加熱されたガス化LNGを、熱容量を提供した後で、LNGおよびガス化LNGの少なくとも一方と混合することを可能にするように構成されている、使用。
【請求項19】
加熱されたガス化LNGが、100°Fから400°Fの間の温度を有する、請求項18に記載の使用。
【請求項20】
プラントが、加熱されたガス化LNGを、熱容量を提供した後でガス化LNGと混合することを可能にするように構成されている、請求項18に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−518328(P2010−518328A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−548218(P2009−548218)
【出願日】平成19年9月17日(2007.9.17)
【国際出願番号】PCT/US2007/020135
【国際公開番号】WO2008/094220
【国際公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願人】(506354434)フルオー・テクノロジーズ・コーポレイシヨン (35)
【Fターム(参考)】