説明

外用貼付剤

【課題】 印刷層を有する支持体を持つ貼付剤においても印刷面への薬物の吸着がなく、光暴露等による薬物の分解あるいは着色を抑制することのできる外用貼付剤を提供すること。
【解決手段】 支持体層、膏体層および剥離ライナーで構成される外用貼付剤であって、支持体層が片側にポリエステルコーティングされた印刷層を有するポリエステルフィルムであり、膏体層が有効成分としてニコチンを含有するものである外用貼付剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は薬物を含有する外用貼付剤に関し、さらに詳しくは、印刷層を有する支持体を持つ貼付剤において支持体の印刷面への薬物の吸着を防止し、光暴露等による薬物の分解や着色を抑制することが可能な外用貼付剤に関する。
【背景技術】
【0002】
外用貼付剤は、経口剤を服用した場合に問題となる薬物の副作用の発現や、生物学的利用率の低下等がなく、かつ薬物を持続的に投与できる点で、非常に優れた投与形態の一つである。現在、外用貼付剤として、例えば、薬物としてインドメタシンなどの消炎鎮痛薬、ニトログリセリンなどの狭心症/心不全治療薬、エストラジオールなどの更年期障害/骨粗鬆症治療薬、ツロブテロールなどの気管支拡張作用薬を含有した外用貼付剤が開発され、市販されている。
【0003】
この外用貼付剤は、一般的に、薬物または他の成分に対して不透過性の支持体層、薬物を含有する膏体層、および分離可能な剥離ライナーより構成される。そして、薬物を含有する外用貼付剤の貼付対象は主にヒトの皮膚であることから、可能な限り皮膚への悪影響が及ばないように考慮して製剤設計されている。中でも、外用貼付剤の支持体は、薬物不透過性の他にも、柔軟性、透湿性、自己支持性(剛性)、膏体層との接着性に優れているなどの特性が要求される。
【0004】
一方、外用貼付剤の膏体層に含有される薬物としては、種々の成分が挙げられるが、問題となる性質を有する成分も知られている。例えば揮発性の薬物であるニコチンは、強アルカリによる酸化、また光への暴露による分解あるいは着色などの性質がある。さらに、ニコチンは外用貼付剤に使用される支持体によっては、支持体へのニコチンの吸着や透過等を原因とするニコチン含有量低下などの問題が生じる。そのため、ニコチンを含有する貼付剤では、ニコチンの吸着や透過等が発生しない支持体を選択して使用することが必要である。
【0005】
そこで、上記のような問題を解決するため、例えば、ニコチン不透過性の支持体を使用したニコチン経皮投与用デバイスが開示されている(特許文献1)。しかしながら、この特許文献1発明の貼付剤の支持体は、ニコチン不透過性の支持体として透明なラミネートフィルム等を使用しているため、光による膏体層中のニコチンの分解あるいは着色等を抑制できないという問題がある。
【0006】
この光による膏体層中のニコチンの分解あるいは着色等の問題を解決するため、アルミニウムなどの金属で被覆した不透明なフィルムを支持体に使用するニコチン含有経皮吸収貼付剤が市販されている。金属被覆層を含むニコチン貼付剤として、例えば、アルミニウムをプラスチックフィルムの裏表両面に蒸着させた支持体および剥離ライナーを使用する貼付剤が開示されている(特許文献2)。
【0007】
また、その一方で、特許文献1に記載の支持体、すなわちニコチン不透過性ラミネートフィルム支持体の表面に、印刷層を形成することにより、光による膏体層中のニコチンの分解あるいは着色等を抑制することが可能である。支持体表面に肌色などの印刷層を施すことにより、光による膏体層中のニコチンの分解あるいは着色等を抑制し、かつ、貼付剤の適用を目立たないようにできるため、貼付時の使用感を向上させることが可能である。さらに、アルミニウム等の金属被覆層を含む場合と比較して、製造工程が少なく、材料費も安くなり、低コストで貼付剤を製造することが可能となる。
【0008】
しかしながら、貼付剤の支持体表面に印刷層を設けた場合、貼付剤の切断面(側面)から揮発したニコチンが該印刷層部分へ吸収あるいは吸着し、この印刷層部分に吸収あるいは吸着したニコチンが光により分解あるいは着色する等の問題が新たに発生した。以上のことから、印刷層部分へのニコチンの吸着を抑制し、かつ、貼付剤を適用したときの使用感を向上させ、さらに低コストで製造可能な貼付剤が求められていた。
【0009】
【特許文献1】特表2002−532540号公報
【特許文献2】特表2003−509363号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上記問題点を解決するものであり、印刷層を有する支持体を持つ貼付剤においても印刷面への薬物の吸着がなく、光暴露等による薬物の分解あるいは着色を抑制することのできる外用貼付剤を提供することがその課題である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意研究を重ねた結果、支持体層に設けた印刷層の上に、更にポリエステルコーティング層を積層したラミネートフィルムを使用することにより、上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成した。
【発明の効果】
【0012】
すなわち本発明は、支持体層、膏体層および剥離ライナーで構成される外用貼付剤であって、支持体層が片側にポリエステルコーティングされた印刷層を有するポリエステルフィルムであり、膏体層が有効成分としてニコチンを含有するものであることを特徴とする外用貼付剤である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明で使用する支持体層は、ポリエステルフィルムの片面に印刷層を施し、さらにその印刷層表面をポリエステルでコーティングしたラミネートフィルムである。支持体を形成するポリエステルフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリプロピレンイソフタレートなどが挙げられ、中でもポリエチレンテレフタレートが好ましい。
【0014】
このポリエステルフィルムとしては、特に制約はないが、柔軟性等の面から、1〜20μm程度の厚さのものが好ましく、特に、10〜16μm程度のものが好ましい。
【0015】
このポリエステルフィルム上に形成される印刷層は、光の透過を抑制し、かつ、貼付剤を貼付していることが目立たないように肌色などに着色するものである。この印刷に用いられるインクとしては、特に制限はなく、遮光性に優れ、かつ貼付剤適用時の使用感を向上させ、さらに、ニコチン吸収性あるいは吸着性があるインクを使用した場合に特に本発明の効果は高い。好ましいインクとしては、例えば、ウレタン系のインク等が挙げられる。
【0016】
また、印刷層を形成するための印刷方法としても、公知の印刷方法を用いることができ、例えば、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法などを使用することができる。このうち、本発明の支持体における好ましい印刷方法は、グラビア印刷法であり、十分な量のインキを転移することができ、濃度のある重厚な感じを持った印刷が可能である。
【0017】
更に、上記印刷層としては、1層であっても、また、2層、3層以上の多層を印刷したものであっても良いが、遮光性、風合、コスト等を考慮して、2層からなる印刷層を使用することが好ましい。
【0018】
なお、この印刷層には、必要に応じて取り扱い方法、注意事項、商品名などの情報を表示しても良い。
【0019】
本発明の支持体においては、上記印刷層の上に、更にポリエステルコーティングすることが必要である。このポリエステルコーティングは、従来使用されているコーティング法、例えば、ドライラミネート法等の方法により行われる。
【0020】
上記ポリエステルコーティングにおいて使用されるポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリプロピレンイソフタレート等が使用される。
【0021】
本発明で使用する支持体としては、上記したポリエステルフィルム/印刷層/ポリエステルコーティング層で良いが、この支持体の使用感や風合等を向上させるために、さらにポリエチレン等のポリオレフィン樹脂を積層させることができる。
【0022】
このポリオレフィン樹脂の積層は、例えば、押し出しコート・ラミネート法により行うことができる。使用されるポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレンフィルムが好ましく、そのフィルムの厚さとしては、5〜30μm程度であることが好ましい。
【0023】
本発明の外用貼付剤は、その膏体層中に有効成分としてニコチンを含有するものである。このニコチンは、揮発性を有すると共に、光暴露により分解、着色などの性質を有する薬物であるため、本発明の前記支持体層の効果が顕著である。
【0024】
本発明のニコチンを有効成分とする膏体層は、基剤中に粘着剤を含有する。該粘着剤としては、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコン系粘着剤等が挙げられる。その中でもゴム系粘着剤が好ましく、該ゴム系粘着剤のエラストマーとして天然ゴム、ポリイソプレン、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、ブチルゴム、スチレン・ブタジエンゴムおよびポリイソブチレンから選ばれた1種を単独で使用する、あるいは2種以上を併用することが好ましい。
【0025】
また、外用貼付剤は、その構成として、必要な薬物を貯蔵するための薬物含有手段と、該薬物含有層を皮膚上に固定するための固定手段とを含み、その代表的な形態としてマトリックス型貼付剤とリザバー型貼付剤があるが、本発明においてはその何れであっても良い。すなわち、薬物を含有する薬物貯蔵層と皮膚に固定するための粘着剤層の2層からなる貼付剤であるリザバー型貼付剤と、該2層が一体であり、薬物と粘着剤とを含む薬物含有粘着剤層からなるマトリックス型貼付剤の何れであっても良い。しかしながら、リザバー型貼付剤は薬物貯蔵層と粘着剤層を使用することにより製剤設計が複雑となり、高価な材料を使用する場合にはコストも上昇することから、マトリックス型貼付剤であることが製剤処方、経済性の面から好ましい。
【0026】
更に本発明の外用貼付剤としては、膏体層として薬物と粘着剤とを含む薬物含有粘着剤層の1層からなるものの他に、粘着剤を含む基剤中に薬物を含有する膏体層と、粘着剤を含む基剤中に薬物を含有するまたは含有しない膏体層の2層を積層させて形成したもの、あるいは3層以上の膏体層を積層させて形成したものを使用することも出来る。
【0027】
本発明において、薬物として用いられるニコチンは、膏体層を構成する組成物全体に対して0.1〜50質量%(以下単に「%」という)、好ましくは1〜30%の範囲の量で用いられる。0.1%未満では、十分な薬物の経皮吸収量が得られず、好ましくない。また、50%を超える量では、薬物の影響により膏体層の擬集性が低下し、良好な膏体層が得られない。
【0028】
本発明の外用貼付剤において、膏体層は、上記に記載の成分に加え、公知の任意成分を加えることができる。該任意成分としては、例えば、脂環族飽和炭化水素樹脂、テルペン樹脂、ロジン樹脂などの粘着付与剤、流動パラフィン、ひまし油、ラノリンなどの軟化剤、ペンタエリスリチル−テトラキス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ジブチルヒドロキシトルエンなどの酸化防止剤などが挙げられる。
【0029】
本発明の外用貼付剤での膏体層の厚さは特に制限はないが、30〜1000μm、好ましくは50〜800μmである。30μm未満では、膏体層の厚さを精度良く調整することが困難であり、良好な膏体層が得られない。また、1000μmを超えると薬物の経皮吸収性およびその利用率が低下するため好ましくない。
【0030】
本発明の外用貼付剤においては、膏体層の露出面(支持体付着面の反対側の面)に薬物不透過性の剥離ライナーを使用する。該剥離ライナーとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等の高分子材料で作られたフィルムや、フィルムにアルミニウムを蒸着させたもの、紙の上にシリコーンオイル等を塗付したものなどが挙げられるが、ニコチンの透過がなく、加工性や低コストなどの点でポリエステルフィルムが好ましく、ポリエチレンテレフタレートフィルムが特に好ましい。さらに、該剥離ライナーは、複数の材料を貼り合わせたラミネートフィルム等を使用しても良い。
【0031】
本発明の外用貼付剤の製造は、特に制限はなく、公知の製造方法により製造することができる。例えば、膏体層に配合する薬物および他の成分を適当な塗工方法で剥離ライナー等に塗布・展延してマトリックス層を設け、該マトリックス層に支持体を貼り合わせることにより実施することができる。また、別の方法としては、膏体層に配合する薬物および他の成分を適当な塗工方法で支持体に塗布・展延してマトリックス層を設け、該マトリックス層に剥離ライナー等を貼り合わせる方法も挙げられる。
【0032】
以上のようにして得られる本発明の外用貼付剤においては、使用する支持体層が、アルミニウム等の金属被覆を含まないポリエステルフィルムから形成されるものであることが好ましい。本発明の支持体として、金属被覆を有するポリエステルフィルムを用いることもできるが、本発明においては本来、金属被覆層を必要とせず、該金属被覆層が存在しなくても十分に薬物の分解あるいは着色を抑制することが可能である。また、金属被覆層を追加した場合、コストの増加や製造工程の繁雑化の原因となるので、好ましくない。
【実施例】
【0033】
以下に、実施例および試験例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら制約されるものではない。
【0034】
実施例 1
外用貼付剤(1):
下記の組成、製法により外用貼付剤を調製した。
( 組 成 ) 重量部
(1)ニコチン 10部
(2)生ゴム 20部
(3)スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 20部
(商品名:クレイトンKX−401、シェルジャパン社製)
(4)流動パラフィン 20部
(商品名:ハイコールM−352、カネダ社製)
(5)水添テルペン樹脂 30部
(商品名:クリアロンP−105、ヤスハラケミカル社製)
【0035】
( 製 法 )
ニコチン、生ゴム、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、流動パラフィンおよび水添テルペン樹脂をトルエンに溶解させ、溶剤留去後の厚さが50μmになるようにポリエチレンテレフタレートフィルム(平均厚さ75μm)上に展延し、トルエンを留去させて膏体層を得た。その後、膏体層を下記のラミネートフィルム(1)の下面側に貼り合わせた。その後、裁断・包装して外用貼付剤(本発明品1)を得た。
【0036】
ラミネートフィルム(1):
上面から下面に向けて、ポリエチレン(12μm、押し出しコート・ラミネート法)/ポリエチレンテレフタレート(13μm、ドライラミネート法)/印刷層(肌色・グラビア印刷)/ポリエチレンテレフタレート(13μm)で構成されるラミネートフィルム。
【0037】
実施例 2
外用貼付剤(2):
下記の組成、製法により外用貼付剤を調製した。
( 組 成 ) 重量部
(1)ニコチン 10部
(2)スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 25部
(商品名:クレイトンKX−401、シェルジャパン社製)
(3)脂環族飽和炭化水素樹脂 45部
(商品名:アルコンP−100、荒川化学社製)
(4)流動パラフィン 20部
(商品名:ハイコールM−352、カネダ社製)
【0038】
( 製 法 )
ニコチン、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、脂環族飽和炭化水素樹脂および流動パラフィンをトルエンに溶解させ、溶剤留去後の厚さが50μmになるようにポリエチレンテレフタレートフィルム(平均厚さ75μm)上に展延し、トルエンを留去させて膏体層を得た。その後、膏体層を上記ラミネートフィルム(1)の下面側に貼り合わせた。その後、裁断・包装し、外用貼付剤(本発明品2)を得た。
【0039】
実施例 3
外用貼付剤(3):
下記の組成、製法により外用貼付剤を調製した。
( 組 成 ) 重量部
(1)ニコチン 10部
(2)スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 25部
(商品名:クレイトンKX−401、シェルジャパン社製)
(3)ロジンエステル 45部
(商品名:KE−311、荒川化学社製)
(4)流動パラフィン 20部
(商品名:ハイコールM−352、カネダ社製)
【0040】
( 製 法 )
ニコチン、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、ロジンエステルおよび流動パラフィンをトルエンに溶解させ、溶剤留去後の厚さが100μmになるようにポリエチレンテレフタレートフィルム(平均厚さ75μm)上に展延し、トルエンを留去させて膏体層を得た。その後、膏体層を上記ラミネートフィルム(1)の下面側に貼り合わせた。その後、裁断・包装して外用貼付剤(本発明品3)を得た。
【0041】
実施例 4
外用貼付剤(4):
下記の組成、製法により外用貼付剤を調製した。
( 組 成 ) 重量部
(1)ニコチン 15部
(2)スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 25部
(商品名:クレイトンD−1107、シェルジャパン社製)
(3)流動パラフィン 20部
(商品名:ハイコールM−352、カネダ社製)
(4)ロジンエステル 40部
(商品名:エステルガムH、荒川化学社製)
【0042】
( 製 法 )
ニコチン、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、流動パラフィンおよびロジンエステルをトルエンに溶解させ、溶剤留去後の厚さが80μmになるようにポリエチレンテレフタレートフィルム(平均厚さ75μm)上に展延し、トルエンを留去させて膏体層を得た。その後、膏体層を上記ラミネートフィルム(1)の下面側に貼り合わせた。その後、裁断・包装して外用貼付剤(本発明品4)を得た。
【0043】
実施例 5
外用貼付剤(5):
下記の組成、製法により外用貼付剤を調製した。
( 組 成 ) 重量部
(1)ニコチン 5部
(2)アクリル系感圧接着剤 95部
(商品名:DURO−TAK 87−2516、
ナショナル・スターチ・アンド・ケミカル社製)
【0044】
( 製 法 )
ニコチンをアクリル系感圧接着剤に溶解させ、溶剤留去後の厚さが100μmになるようにポリエチレンテレフタレートフィルム(平均厚さ75μm)上に展延し、有機溶剤を留去させて膏体層を得た。その後、膏体層を上記ラミネートフィルム(1)の下面側に貼り合わせた。その後、裁断・包装して外用貼付剤(本発明品5)を得た。
【0045】
実施例 6
外用貼付剤(6):
下記の組成、製法により外用貼付剤を調製した。
( 組 成 )
A.第1の膏体層 重量部
(1)ニコチン 15部
(2)スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 25部
(商品名:クレイトンKX−401、シェルジャパン社製)
(3)水添テルペン樹脂 40部
(商品名:クリアロンP−105、ヤスハラケミカル社製)
(4)流動パラフィン 20部
(商品名:ハイコールM−352、カネダ社製)
B.第2の膏体層 重量部
(1)スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 30部
(商品名:クレイトンKX−401、シェルジャパン社製)
(2)水添テルペン樹脂 30部
(商品名:クリアロンP−105、ヤスハラケミカル社製)
(3)流動パラフィン 40部
(商品名:ハイコールM−352、カネダ社製)
【0046】
( 製 法 )
ニコチン、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、水添テルペン樹脂、および流動パラフィンをトルエンに溶解させ、溶剤留去後の厚さが100μmになるようにポリエチレンテレフタレートフィルム(平均厚さ25μm)上に展延し、トルエンを留去させて第1の膏体層を得た。その後、第1の膏体層を上記のラミネートフィルム(1)の下面側に貼り合わせた。次に、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、水添テルペン樹脂および流動パラフィンを加熱混合し、厚さが400μmになるようにポリエチレンテレフタレートフィルム(平均厚さ75μm)上に展延して第2の膏体層を得た。それから、第1の膏体層のポリエチレンテレフタレートフィルムを除去して第2の膏体層を積層させた後、裁断・包装して外用剤貼付剤(本発明品6)を得た。
【0047】
実施例 7
外用貼付剤(7):
下記の組成、製法により外用貼付剤を調製した。
( 組 成 )
A.第1の膏体層 重量部
(1)ニコチン 30部
(2)スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 40部
(商品名:クレイトンD−1107、シェルジャパン社製)
(3)ロジンエステル 30部
(商品名:KE−311、荒川化学社製)
B.第2の膏体層 重量部
(1)スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 30部
(商品名:クレイトンD−1107、シェルジャパン社製)
(2)ロジンエステル 30部
(商品名:KE−311、荒川化学社製)
(3)流動パラフィン 40部
(商品名:ハイコールM−352、カネダ社製)
【0048】
( 製 法 )
ニコチン、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体およびロジンエステルをトルエンに溶解させ、溶剤留去後の厚さが100μmになるようにポリエチレンテレフタレートフィルム(平均厚さ25μm)上に展延し、トルエンを留去させて第1の膏体層を得た。その後、第1の膏体層を上記ラミネートフィルム(1)の下面側に貼り合わせた。次に、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、ロジンエステルおよび流動パラフィンを加熱混合し、厚さが800μmになるようにポリエチレンテレフタレートフィルム(平均厚さ75μm)上に展延して第2の膏体層を得た。それから、第1の膏体層のポリエチレンテレフタレートフィルムを除去して第2の膏体層を積層させた後、裁断・包装して外用剤貼付剤(本発明品7)を得た。
【0049】
実施例 8
外用貼付剤(8):
下記の組成、製法により外用貼付剤を調製した。
( 組 成 )
A.第1の膏体層 重量部
(1)ニコチン 15部
(2)スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 25部
(商品名:クレイトンKX−401、シェルジャパン社製)
(3)水添テルペン樹脂 40部
(商品名:クリアロンP−105、ヤスハラケミカル社製)
(4)流動パラフィン 20部
(商品名:ハイコールM−352、カネダ社製)
B.第2の膏体層 重量部
(1)スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 30部
(商品名:クレイトンKX−401、シェルジャパン社製)
(2)水添テルペン樹脂 30部
(商品名:クリアロンP−105、ヤスハラケミカル社製)
(3)流動パラフィン 40部
(商品名:ハイコールM−352、カネダ社製)
【0050】
( 製 法 )
ニコチン、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、水添テルペン樹脂および流動パラフィンをトルエンに溶解させ、溶剤留去後の厚さが100μmになるようにポリエチレンテレフタレートフィルム(平均厚さ25μm)上に展延し、トルエンを留去させて第1の膏体層を得た。その後、第1の膏体層を下記ラミネートフィルム(2)の下面側に貼り合わせた。次に、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、水添テルペン樹脂および流動パラフィンを加熱混合し、厚さが400μmになるようにポリエチレンテレフタレートフィルム(平均厚さ75μm)上に展延して第2の膏体層を得た。それから、第1の膏体層のポリエチレンテレフタレートフィルムを除去して第2の膏体層を積層させた後、裁断・包装して外用剤貼付剤(本発明品8)を得た。
【0051】
ラミネートフィルム(2):
上面から下面に向けて、ポリエチレン(12μm、押し出しコート・ラミネート法)/ポリエチレンテレフタレート(13μm、ドライラミネート法)/印刷層(肌色、グラビア印刷)/アルミニウム蒸着ポリエチレンテレフタレート(13μm)で構成されるラミネートフィルム。
【0052】
比較例 1
比較外用貼付剤:
製造例1で得たラミネートフィルムに代えて下記の比較ラミネートフィルムを用いる以外は、実施例6と同様な組成および製法により、外用貼付剤(比較品1)を得た。
【0053】
比較ラミネートフィルム:
市販のアルミニウム蒸着支持体(上面から下面に向けて、ポリエチレン(染色)/アルミニウム蒸着ポリエチレンテレフタレートで構成されるラミネートフィルム)。
【0054】
試験例 1
光照射試験:
前記実施例で得られた本発明品6、本発明品8および比較品1並びに市販のニコチンパッチ(アルミニウム蒸着フィルム支持体:比較品2)を、それぞれ複合フィルム(外側:ポリエチレンテレフタレート/ポリアクリロニトリル:内側)からなる袋に1枚ずつ包装した。包装後、恒温恒湿室(3000Lux、25℃・60%RH)に25日間保存した。保存後の製剤の性状(支持体および膏体の着色の有無)を観察し、更に膏体層中の薬物含量を測定した。なお、ニコチンの定量はHPLC法により行った。この結果を表1に示す。
【0055】
【表1】

【0056】
表1から明らかなように、本発明品6は性状および薬物含量とも保存開始前と変化がなかった。また、本発明品8ではやや着色が認められたがその程度はごくわずかであり、薬物含量低下もなく、使用上の問題はないレベルであった。一方、比較品1および比較品2は支持体及び膏体に明らかな着色が認められ、さらに比較品1は薬物含量の低下が認められた。
【産業上の利用可能性】
【0057】
上述したように、支持体層、膏体層および剥離ライナーで構成される外用貼付剤において、支持体層としてポリエステルフィルムの片面に印刷層を施し、さらにその印刷層表面をポリエステルでコーティングしたラミネートフィルムを使用することにより、印刷面への薬物の吸着がなく、光暴露等による薬物の分解あるいは着色を抑制した外用貼付剤を得ることが可能である。
【0058】
特に、本発明の外用貼付剤の支持体は金属被覆層を含まないことにより、金属被覆層を含む場合と比較して製造工程を少なく、また、材料費も安くなり、低コストで製造することが可能である。そのため、市販の外用貼付剤と同等以上の保存安定性を有する外用貼付剤を低コストで製造、提供することが可能である。

以 上

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体層、膏体層および剥離ライナーで構成される外用貼付剤であって、支持体層が片側にポリエステルコーティングされた印刷層を有するポリエステルフィルムであり、膏体層が有効成分としてニコチンを含有するものであることを特徴とする外用貼付剤。
【請求項2】
支持体層のポリエステルフィルムが、ポリエチレンテレフタレートフィルムである請求項第1項記載の外用貼付剤。
【請求項3】
支持体層がポリエステルコーティングされた印刷層上に、更にポリオレフィン樹脂を積層したラミネートフィルムである請求項第1項または第2項記載の外用貼付剤。
【請求項4】
ポリオレフィン樹脂がポリエチレンである請求項第3項記載の外用貼付剤。
【請求項5】
支持体層中の印刷層が2層の印刷層から形成されたものである請求項第1項ないし第4項のいずれかの項記載の外用貼付剤。
【請求項6】
支持体層が金属被覆層を含まないものである請求項第1項ないし第5項のいずれかの項記載の外用貼付剤。


【公開番号】特開2007−22939(P2007−22939A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−204339(P2005−204339)
【出願日】平成17年7月13日(2005.7.13)
【出願人】(390000929)祐徳薬品工業株式会社 (14)
【Fターム(参考)】