説明

外科的癒着の治療のための、単独のまたは抗コネキシンポリヌクレオチドと組み合わせた抗コネキシンペプチドの使用

ヒトおよび非ヒト動物における癒着を治療および/または予防するための組成物、物品、デバイス、および方法。本発明はまた一般に、癒着を予防および/または軽減するための、1または複数の抗コネキシンペプチド、抗コネキシンペプチド模倣剤(例えば、アルファ−1抗コネキシンペプチド、アルファ−1抗コネキシンペプチド模倣剤)および/またはギャップジャンクション改変剤)ギャップジャンクション改変剤(例えば、コネキシンカルボキシ末端ポリペプチドおよびコネキシンリン酸化化合物を含むヘミチャネル閉鎖化合物)と組み合わせて、1または複数の抗コネキシンポリヌクレオチド(例えば、アルファ−1コネキシンオリゴデオキシヌクレオチドなど)の使用にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、癒着、より具体的には外科的癒着、およびその治療方法、ならびに組成物、製剤、物品およびキットならびにこのような組成物を含む送達デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
背景
以下は、本発明の理解に有用でありうる情報を含む。このことは、本明細書に記載される情報が、本明細書に記載または特許請求されている発明に対する先行技術であるか、もしくはこれに関連していることを認めるものでも、明示的にもしくは暗黙に言及される刊行物もしくは文書が先行技術であることを認めるものでもない。
【0003】
ヒトおよび他の哺乳動物において、創傷は、細胞イベントおよび生化学的イベントの組織化された複雑なカスケードを誘発し、この結果、大半の場合において創傷の治癒がもたらされる。理想的に治癒した創傷とは、細胞レベル、組織レベル、器官レベル、および生物レベルにおける正常な解剖学的構造、機能、および外見が回復しているものである。手術、疾患、外傷、微生物、または外来物質のいずれにより誘発されたものでも、創傷の治癒は、炎症、上皮形成、新脈管形成、およびマトリックス沈着を含めたいくつものオーバーラップした段階を包含する複雑な過程により進行する。通常、これらの過程により、創傷の完成(mature wound)およびある程度の瘢痕形成がもたらされる。
【0004】
癒着形成は、通常は分かれている体組織が瘢痕組織により連結される過程である。癒着は、最も一般的には手術切開、擦過または外傷に起因する。癒着はほとんど全ての型の手術の後に形成され得るが、通常の腹部手術、婦人科手術、整形外科手術および心臓外科手術後に最も高い頻度で生じる。腹部手術の後に、腹膜癒着形成の発生率は90%ほど高くなり得ることが報告されている。特許文献1を参照されたい。複数回の手術を受けた患者における癒着の形成の発生率も、90%ほど高いと考えられる。手術後の腹腔内および骨盤での癒着が、腹腔の手術から回復している患者における主な問題であり、癒着は患部組織間で形成される傾向がある。特許文献2を参照されたい。この問題が広く普及していることも、大きな経済的影響を有する。
【0005】
癒着は手術後に最も一般的に生じるが、癒着は、外傷性傷害、炎症性疾患、腹腔内化学療法および放射線療法を含む手術以外の組織傷害からも起こる場合がある。その他の合併症のなかでも、外科的癒着の存在は、疼痛、違和感、および婦人科手術に起因する女性不妊症を伴う場合がある。腸閉塞は、例えば、外科的癒着に起因する合併症である。癒着は、腸閉塞および不妊の主な原因であることも報告されており、関連する合併症は慢性骨盤痛、尿道閉塞および排尿不全を含む。特許文献3を参照されたい。癒着形成は、腹膜への傷害の結果起こり得るものであり、次いで、これが傷害または外傷部位が炎症になる原因となり得る。炎症は治癒過程の一部分であるが、これは、瘢痕組織の線維帯の発達に貢献することにより癒着形成に貢献できる。フィブリン溶解とよばれる過程を通じて、線維帯は最終的に溶解する。しかし、線維帯が溶解しない場合、これらは、増殖性癒着に発展する可能性があり、これらが通常は分かれている器官および組織を連結して結合させる。細胞外マトリクスの過剰な生成および沈着が、腹膜癒着の発生を含む体全体の組織線維症を生じる鍵となる因子であり得ることが報告されている(特許文献4を参照されたい)。
【0006】
癒着形成を予防するための種々のアプローチが報告されている。「The Peritoneum」、Dizerega, G. S.およびRodgers, K. E.編、Springer−Verlang、New York、307〜369頁(1992年)中のDizerega, G. S.およびRodgers, K. E.、「Prevention of Postoperative Adhesions」を参照されたい。報告されている癒着の治療の全般的なカテゴリーは:1)腹膜滲出液中のフィブリン沈着の防止、2)局所組織炎症の軽減、および3)フィブリン沈着物の除去を含む。同上。しかし、何年にもわたる研究にもかかわらず、手術後癒着を予防するための製品がほとんど得られていないことが報告されている。Johns, A.、Human Reproductive Update、7巻(6号):577〜579頁(2001年)。その間に、外科的癒着に伴う医療上の問題がより深刻になっている。なぜなら、いくつかの障害について繰り返しの外科手術が全般的に増えているからである。つまり、外科的癒着を予防し、それらが引き起こす合併症を軽減するための化合物および方法の開発に対する著しい要求がある。
【0007】
ギャップジャンクションは、直接的な細胞間情報伝達(cell−cell communication)を促進する細胞膜構造である。ギャップジャンクションチャネルは、各々が6つずつのコネキシンサブユニットからなる2つのコネクソン(connexin)(ヘミチャネル)から形成される。各6量体コネクソン(connexin)は、向い側の膜内のコネクソン(connexin)とドッキングして、単一のギャップジャンクションを形成する。ギャップジャンクションチャネルは、全身において見出されることが報告されている。例えば、角膜上皮などの組織は、6〜8層の細胞層を有するが、異なる層では異なるギャップジャンクションチャネルを発現することが報告されており、基底層ではコネキシン43を有し、基底層から中翼細胞層ではコネキシン26を有する。一般に、コネキシンは1つのタンパク質ファミリーであり、通常、それらの分子量により命名されるか、または系統発生に基づき、アルファ、ベータ、およびガンマのサブクラスに分類されている。ヒトで少なくとも20種のアイソフォームが、また、マウスで少なくとも19種のアイソフォームが同定されている。特徴的なパターンのコネキシンタンパク質発現を有する様々な組織および細胞型が報告されており、角膜などの組織は、傷害または移植後において、コネキシンタンパク質の発現パターンを変化させることが示されている(Qui, C.ら(2003年)、Current Biology、第13巻、1967〜1703頁; Brander ら(2004年)、J. Invest Dermatol.、第122巻、1310〜20頁)。
【0008】
異常なコネキシン機能は、特定の疾患状態(例えば、心疾患)と関連し得ることが報告されている(A. C. de Carvalhoら、J Cardiovasc Electrophysiol、1994年、第5巻、686頁)。ある種のコネキシンタンパク質では、ギャップジャンクションを介した細胞間情報伝達レベルに影響を及ぼしうる外因性物質の追加により、代謝回転特性および輸送特性の変化が誘導されうる(Darrow, B.、J. ら(1995年)、Circ Res、第76巻、381頁; Lin Rら(2001年)、J Cell Biol、第154巻、第4号、815頁)。ウイルス性疾患、真菌性疾患、および代謝性疾患に関係する遺伝子の発現調節について、アンチセンス技術が報告されている。例えば、特許文献1(HIVに対するオリゴヌクレオチド阻害剤)、特許文献2(単純ヘルペスウイルスのVmw65 mRNAにハイブリダイズし、複製を阻害するオリゴマー)を参照されたい。また、Beckerらに対する特許文献3(コネキシンに対するアンチセンスヌクレオチドを含む製剤)も参照されたい。ギャップジャンクションおよびヘミチャネルに対するペプチド阻害剤(模倣性ペプチドを含む)が報告されている。例えば、Berthoud, V.M. ら、Am J. Physiol. Lung Cell Mol. Physiol.、第279巻、L619〜L622頁(2000年); Evans, W.H.およびBoitano, S.、Biochem. Soc. Trans.、第29巻、606〜612頁;ならびにDe Vriese A.S. ら、Kidney Int.、第61巻、177〜185頁(2001年)を参照されたい。また、BeckerおよびGreen、PCT/US06/04131(「Anti−connexin compounds and uses thereof」)も参照されたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第6,613,325号明細書
【特許文献2】米国特許第5,002,551号明細書
【特許文献3】米国特許第6,689,803号明細書
【特許文献4】米国特許第6,841,153号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
簡単な要旨
本明細書で記載および特許請求される発明は、この「発明の概要」において説明または記載または言及される属性および実施形態を含むがこれらに限定されない多くの属性および実施形態を有する。それは包括的であることが意図されるものでなく、本明細書で記載および特許請求される発明は、限定ではなくて例示だけを目的として組み入れられているこの「発明の概要」に限定されるものでも、「発明の概要」において特定される特徴または実施形態により限定されるものでもない。
【0011】
本発明は一般に、外科的癒着および二次外科的癒着を含む癒着を予防および/または軽減するための1または複数の抗コネキシンペプチドまたは抗コネキシンペプチド模倣剤の使用に関する。
【0012】
本発明はまた一般に、癒着を予防および/または軽減するための、1または複数の抗コネキシンペプチド、抗コネキシンペプチド模倣剤(例えば、アルファ−1抗コネキシンペプチド、アルファ−1抗コネキシンペプチド模倣剤)および/またはギャップジャンクション改変剤)ギャップジャンクション改変剤(例えば、コネキシンカルボキシ末端ポリペプチドおよびコネキシンリン酸化化合物を含むヘミチャネル閉鎖化合物)と組み合わせて、1または複数の抗コネキシンポリヌクレオチド(例えば、アルファ−1コネキシンオリゴデオキシヌクレオチドなど)の使用にも関する。
【0013】
本発明は、一緒にもしくは任意の順序で逐次的にまたは1もしくは複数の組合せ調製物で投与される、任意の組合せでの、1または複数の抗コネキシンポリヌクレオチド、1または複数の抗コネキシンペプチド、1または複数のギャップジャンクション改変剤(例えばコネキシンタンパク質リン酸化剤などの1または複数のヘミチャネル閉鎖化合物、およびZO−1タンパク質相互作用を遮断または阻害する1または複数のコネキシンカルボキシ末端ポリペプチド)の(治療のため、または製剤、組成物、製品もしくはキットの製造または調製における)使用を含む。抗コネキシン43ポリヌクレオチド、抗コネキシン43ペプチドおよびコネキシン43ギャップジャンクション改変剤が好ましい。好ましくは、投与が逐次的である場合、抗コネキシンペプチド、例えば抗コネキシン43ペプチド、および/またはギャップジャンクション改変剤(例えば、コネキシンタンパク質リン酸化剤などのヘミチャネル閉鎖化合物、およびZO−1タンパク質相互作用を遮断または阻害するコネキシンカルボキシ末端ポリペプチドを含む)、例えばコネキシン43ギャップジャンクション改変剤(例えば、コネキシン43タンパク質リン酸化剤などのコネキシン43ヘミチャネル閉鎖化合物、およびZO−1タンパク質相互作用を遮断または阻害するコネキシン43カルボキシ末端ポリペプチドを含む)は、抗コネキシンポリヌクレオチド、例えば抗コネキシン43ポリヌクレオチドの投与前に投与される。好ましくは、コネキシンヘミチャネル、例えばコネキシン43ヘミチャネルの開口を閉鎖するかまたは遮断または阻害する薬剤は、コネキシンタンパク質発現、例えばコネキシン43タンパク質発現を下方制御またはそうでなければ阻害する抗コネキシンポリヌクレオチド、例えば抗コネキシン43ポリヌクレオチドの投与前に投与される。
【0014】
1もしくは複数の抗コネキシンペプチドまたは抗コネキシンペプチド模倣剤を単独で、あるいは1もしくは複数のギャップジャンクション改変剤および/または1もしくは複数の抗コネキシンポリヌクレオチドとの組合せで投与する工程を含む、癒着を予防および/または軽減するための、本発明の組成物および方法が開示されそして特許請求される。
【0015】
第1の抗コネキシン剤を第2の抗コネキシン剤と組み合わせて用いる、癒着を予防および/または軽減するための、本発明の組成物および方法もまた開示されそして特許請求される。第1の抗コネキシン剤は、抗コネキシンオリゴヌクレオチド、抗コネキシンペプチド、抗コネキシンペプチド模倣剤、ギャップジャンクション閉鎖化合物、ヘミチャネル閉鎖化合物、およびコネキシンカルボキシ末端ポリペプチドからなる群から選択することができる。第2の抗コネキシン剤は、そこから第1の抗コネキシン剤が選択された、抗コネキシン剤のサブカテゴリーを差し引いて改変した上記の群から選択される。
【0016】
本発明は、癒着を予防および/または軽減するための、1または複数の薬学的に許容される抗コネキシンペプチド、抗コネキシンペプチド模倣剤、または他のギャップジャンクション改変剤を含む医薬組成物を包含する。好ましいペプチドおよびペプチド模倣剤は、抗コネキシン43ペプチドおよび抗コネキシン43ペプチド模倣剤である。好ましいギャップジャンクション改変剤は、コネキシン43ギャップジャンクション改変剤である。
【0017】
本発明は、癒着を予防および/または軽減するための、薬学的に許容される抗コネキシンポリヌクレオチドおよび薬学的に許容される抗コネキシンペプチドまたは抗コネキシンペプチド模倣剤を含む医薬組成物を包含する。本発明はまた、第1の抗コネキシン剤および第2の抗コネキシン剤を含み、第1の抗コネキシン剤が、癒着形成を予防および/または軽減する、抗コネキシンオリゴヌクレオチド、抗コネキシンペプチド、抗コネキシンペプチド模倣剤、ギャップジャンクション閉鎖化合物、ヘミチャネル閉鎖化合物、およびコネキシンカルボキシ末端ポリペプチドからなる群から選択され、第2の抗コネキシン剤が、そこから第1の抗コネキシン剤が選択された抗コネキシン剤のサブカテゴリーを差し引いて改変した上記の群から選択される医薬組成物も包含する。このような製剤には、例えば、局所送達、点滴注入送達、および注射可能な送達形態および製剤が含まれる。このような送達の形態および製剤には、本明細書で開示される、対象を治療する形態および製剤が含まれる。好ましい抗コネキシンポリヌクレオチドは、抗コネキシン43オリゴヌクレオチド(ODN)である。好ましいペプチド、ペプチド模倣剤、またはギャップジャンクション改変剤は、抗コネキシン43ペプチド、抗コネキシン43ペプチド模倣剤、または抗コネキシン43ギャップジャンクション改変剤、例えば、抗コネキシン43ヘミチャネル遮断ペプチドまたは抗コネキシン43ヘミチャネル遮断ペプチド模倣剤である。好ましいギャップジャンクション閉鎖化合物およびヘミチャネル閉鎖化合物は、コネキシン43ギャップジャンクション閉鎖化合物およびコネキシン43ヘミチャネル閉鎖化合物である。好ましいコネキシンカルボキシ末端ポリペプチドは、コネキシン43カルボキシ末端ポリペプチドである。
【0018】
本発明の1または複数の医薬組成物、例えば、1または複数の抗コネキシンペプチドまたは抗コネキシンペプチド模倣剤;例えば、抗コネキシンオリゴヌクレオチド(例えば、抗コネキシンODN);例えば、ペプチドもしくはペプチド模倣剤、または第1の抗コネキシン剤および第2のコネキシン剤による、癒着に対する対象の治療は、それらの同時投与、個別投与、逐次投与、または持続投与を含みうる。
【0019】
本発明は、抗コネキシンペプチドまたは抗コネキシンペプチド模倣剤を含む、癒着を予防するそして/または軽減するのに有用な医薬組成物を包含する。本発明はまた、(a)抗コネキシンペプチド、抗コネキシンペプチド模倣剤、またはギャップジャンクション改変剤と、(b)コネキシンタンパク質のmRNAに対するアンチセンスのポリヌクレオチドとを含む、癒着を予防するそして/または軽減するのに有用な医薬組成物も包含する。このコネキシンは、コネキシン43であることが最も好ましい。本発明はまた、(a)抗コネキシンペプチドもしくは抗コネキシンペプチド模倣剤、および/または(b)1または複数のギャップジャンクション閉鎖化合物、ヘミチャネル閉鎖化合物、およびコネキシンカルボキシ末端ポリペプチドを含む、癒着を予防するそして/または軽減するのに有用な医薬組成物も包含する。ギャップジャンクション改変剤、例えば、ギャップジャンクション閉鎖化合物およびヘミチャネル閉鎖化合物の場合、ギャップジャンクションまたはヘミチャネルは、コネキシン43ギャップジャンクションまたはコネキシン43ヘミチャネルであることが最も好ましい。コネキシンカルボキシ末端ポリペプチドの場合、コネキシンは、コネキシン43であることが最も好ましい。
【0020】
癒着を予防するそして/または軽減するのに有用な医薬組成物はまた、例えば、2つ以上の抗コネキシン剤、例えば、1または複数の抗コネキシンポリヌクレオチド、および1もしくは複数の抗コネキシンペプチド、抗コネキシンペプチド模倣剤、またはギャップジャンクション改変剤の混合物としての組合せ調製物の形態で提供される。
【0021】
「組合せ調製物」という用語は、上記で定義した組合せパートナーを個別に投与することもでき、異なる量の組合せパートナー(a)および(b)による異なる固定の組合せを用いて投与することもできる、すなわち、同時投与、個別投与、または逐次投与しうるという意味における「要素キット(kit of parts)」を含む。したがって、キットの要素を、例えば、同時に投与することもでき、時間的にずらして投与する、すなわち、要素キットの任意の要素について、異なる時点および等しいかまたは異なる時間間隔で投与することもできる。
【0022】
一実施形態では、組合せ調製物が投与され、この場合、2つ以上の個別の組成物が対象に投与され、第1の組成物が治療有効量の抗コネキシン43ポリヌクレオチドを含み、第2の組成物が治療有効量の抗コネキシン43ペプチドまたは抗コネキシン43ペプチド模倣剤を含む。別の実施形態では、1もしくは複数の抗コネキシンポリヌクレオチド、抗コネキシンペプチド、抗コネキシンペプチド模倣剤、またはギャップジャンクション改変剤を含む第3の組成物が投与される。第3の組成物はまた、1もしくは複数のギャップジャンクション閉鎖化合物、ヘミチャネル閉鎖化合物、またはコネキシンカルボキシ末端ポリペプチドも含みうる。
【0023】
外科的癒着および二次外科的癒着を含む癒着を予防するそして/または軽減するのに有用な医薬組成物は、組合せ投与、同時投与、個別投与、逐次投与、または持続投与用に用意される。一実施形態において、1または複数の抗コネキシンポリヌクレオチドを含む組成物は、1もしくは複数の抗コネキシンペプチド、抗コネキシンペプチド模倣剤、またはギャップジャンクション改変剤と同時にまたはほぼ同時に投与される。一実施形態において、1または複数の抗コネキシンポリヌクレオチドを含む組成物は、1もしくは複数の抗コネキシンペプチド、抗コネキシンペプチド模倣剤、またはギャップジャンクション改変剤から少なくとも約30分以内に投与される。一実施形態において、1または複数の抗コネキシンポリヌクレオチドを含む組成物は、1もしくは複数の抗コネキシンペプチド、抗コネキシンペプチド模倣剤、またはギャップジャンクション改変剤から少なくとも約1時間以内に投与される。一実施形態において、1または複数の抗コネキシンポリヌクレオチドを含む組成物は、1もしくは複数の抗コネキシンペプチド、抗コネキシンペプチド模倣剤、またはギャップジャンクション改変剤から少なくとも約2〜12時間以内に投与される。一実施形態において、1または複数の抗コネキシンポリヌクレオチドを含む組成物は、1もしくは複数の抗コネキシンペプチド、抗コネキシンペプチド模倣剤、またはギャップジャンクション改変剤から少なくとも約24〜48時間以内に投与される。別の実施形態において、抗コネキシンポリヌクレオチド(polypnucleotide)、および抗コネキシンペプチド、または抗コネキシンペプチド模倣剤は、互いから約1〜8時間以内、互いから約1日以内、または互いから約1週間以内に投与される。他の実施形態は、1もしくは複数の抗コネキシンポリヌクレオチド、および/あるいは1もしくは複数の抗コネキシンペプチド、抗コネキシンペプチド模倣剤、またはギャップジャンクション改変剤、ならびに1もしくは複数のギャップジャンクション閉鎖化合物、1もしくは複数のヘミチャネル閉鎖化合物、および/または1もしくは複数のコネキシンカルボキシ末端ポリペプチドの投与を包含する。
【0024】
一態様において、本発明は、薬学的に許容される担体と治療有効量の抗コネキシンペプチド、抗コネキシンペプチド模倣剤とを、単独で含むかまたは抗コネキシンオリゴヌクレオチドおよび/もしくはギャップジャンクション改変剤との組合せで含む局所送達形態および製剤を含む、癒着を予防するそして/または軽減するのに有用な医薬組成物を包含する。別の態様において、本発明は、薬学的に許容される担体と治療有効量の抗コネキシンペプチド、抗コネキシンペプチド模倣剤とを、単独で含むかまたは抗コネキシンオリゴヌクレオチドおよび/もしくはギャップジャンクション改変剤との組合せで含む点滴注入送達または注射可能な送達の形態および製剤を含めた、癒着形成を予防する、または軽減するのに有用な医薬組成物を包含する。
【0025】
一態様において、本発明は、薬学的に許容される担体と、治療有効量の、本明細書に記載の第1の抗コネキシン剤および第2の抗コネキシン剤、例えば、抗コネキシンポリヌクレオチド、および1もしくは複数の抗コネキシンペプチド、抗コネキシンペプチド模倣剤、またはギャップジャンクション改変剤とを含む、局所送達、点滴注入送達、および注射可能な送達の形態および製剤を含めた、癒着を予防するそして/または軽減するのに有用な医薬組成物を包含する。抗コネキシンポリヌクレオチドの例には、アンチセンス(改変骨格アンチセンスおよび非改変骨格アンチセンスを含む)、RNAi、およびsiRNAを含めた抗コネキシンオリゴデオキシヌクレオチド(「ODN」)が含まれる。適切な抗コネキシンペプチドには、コネキシン結合ペプチドが含まれる。適切な抗コネキシン剤には、例えば、アンチセンスODNならびにコネキシン43、26、37、30、および31.1、および32に対する他の抗コネキシンオリゴヌクレオチド、抗コネキシンペプチド、および抗コネキシンペプチド模倣剤が含まれる。特定の実施形態では、適切な組成物に、例えば、抗コネキシン43剤、抗コネキシン26剤、抗コネキシン30剤、および抗コネキシン31.1剤を含めた、複数種の抗コネキシン剤の組合せが含まれる。抗コネキシンオリゴヌクレオチドと、抗コネキシンペプチドおよび抗コネキシンペプチド模倣剤とを含めた好ましい抗コネキシン剤は、コネキシン43に対するものである。
【0026】
本発明は、同時投与、個別投与、または逐次投与される2つ以上の抗コネキシン剤の使用を通じた、外科的癒着および二次外科的癒着を含む癒着の予防するそして/または軽減を提供する。好ましい実施形態において、本明細書に記載の第1の抗コネキシン剤および第2の抗コネキシン剤、例えば、1または複数の抗コネキシンポリヌクレオチド、および1もしくは複数の抗コネキシンペプチド、抗コネキシンペプチド模倣剤、またはギャップジャンクション改変剤の組合せ使用は、癒着を予防するそして/または軽減するのに相加効果、相乗効果、または超相加効果を有する。好ましい実施形態では、このような組合せ使用の結果として、組合せ調製物の投与により、投与時点が減少し、かつ/または投与間の時間間隔が延長される。別の好ましい実施形態では、本明細書に記載の第1の抗コネキシン剤および第2の抗コネキシン剤、例えば、1または複数の抗コネキシンポリヌクレオチド、および1もしくは複数の抗コネキシンペプチド、抗コネキシンペプチド模倣剤、またはギャップジャンクション改変剤の組合せ使用により、投与頻度を低下させることができる。別の好ましい実施形態では、本明細書に記載の第1の抗コネキシン剤および第2の抗コネキシン剤、例えば、1または複数の抗コネキシンポリヌクレオチド、および1もしくは複数の抗コネキシンペプチド、抗コネキシンペプチド模倣剤、またはギャップジャンクション改変剤の組合せ使用により、上記薬剤を単独で投与した場合に有効でありうる1または複数の用量と比較して、このような薬剤の用量を低減して用いることができる。一般に、これらの抗コネキシン剤の組合せは、抗コネキシン剤(複数)の単一の投与を上回る治療結果の改善を有する。
【0027】
別の態様において、本発明は、癒着の形成の危険性を示す対象に対して、遅延放出調製物、徐放調製物、持続放出調製物、制御放出調製物、および/または反復作用調製物の形で調合された、治療有効量の、本明細書に記載の第1の抗コネキシン剤および第2の抗コネキシン剤、例えば、1または複数の抗コネキシンポリヌクレオチド、および1もしくは複数の抗コネキシンペプチド、抗コネキシンペプチド模倣剤、またはギャップジャンクション改変剤を投与する方法を包含する。
【0028】
他のある態様において、本発明はまた、このような組成物を用いて、癒着に対する素因を有する、または癒着の発生の危険性を示す対象を治療する方法にも関する。そのような組成物には、例えば、局所送達の、点滴注入送達のおよび注射可能な送達の形態および製剤が含まれる。
【0029】
対象における術後癒着を予防または軽減する方法であって、抗コネキシンペプチド、抗コネキシンペプチド模倣剤またはギャップジャンクション改変剤を含む医薬組成物を手術部位で患者に投与する工程を含む方法。一実施形態において、抗コネキシンポリヌクレオチドは、手術切開の部位に投与される。一実施形態において、組成物は、手術間および/または手術後に投与される。一実施形態において、全体的または部分的に、(1)コネキシンタンパク質の発現を下方制御し、(2)ギャップジャンクション形成を軽減することにより細胞間連絡を阻害し、(3)ヘミチャネルもしくはギャップジャンクションを遮断することにより細胞間連絡を阻害し、および/または(4)手術もしくは外科的修復の部位にて外科的癒着を予防もしくは軽減する抑制組成物が効果的である。
【0030】
対象における術後癒着を予防または軽減する方法であって、抗コネキシンポリヌクレオチドを、抗コネキシンペプチド、抗コネキシンペプチド模倣剤またはギャップジャンクション改変剤と組み合わせて、手術部位で患者に投与する工程を含む方法。一実施形態において、組成物は、手術切開の部位に投与される。一実施形態において、組成物は、手術間および/または手術後に投与される。一実施形態において、全体的または部分的に、(1)コネキシンタンパク質の発現を下方制御し、(2)ギャップジャンクション形成を軽減することにより細胞間連絡を阻害し、(3)ヘミチャネルもしくはギャップジャンクションを遮断することにより細胞間連絡を阻害し、および/または(4)手術もしくは外科的修復の部位にて外科的癒着を予防もしくは軽減する抑制組成物が効果的である。
【0031】
対象における二次外科的癒着を予防または軽減する方法であって、抗コネキシンペプチド、抗コネキシンペプチド模倣剤またはギャップジャンクション改変剤を含む医薬組成物を手術部位で患者に投与する工程を含む方法。一実施形態において、抗コネキシンポリヌクレオチドが、手術切開の部位に投与される。一実施形態において、組成物は、手術間および/または手術後に投与される。一実施形態において、全体的または部分的に、(1)コネキシンタンパク質の発現を下方制御し、(2)ギャップジャンクション形成を軽減することにより細胞間連絡を阻害し、(3)ヘミチャネルもしくはギャップジャンクションを遮断することにより細胞間連絡を阻害し、および/または(4)手術もしくは外科的修復の部位にて外科的癒着を予防もしくは軽減する抑制組成物が効果的である。
【0032】
対象における二次外科的癒着を予防または軽減する方法であって、抗コネキシンポリヌクレオチドを、抗コネキシンペプチド、抗コネキシンペプチド模倣剤またはギャップジャンクション改変剤と組み合わせて含む医薬組成物を、手術部位で患者に投与する工程を含む方法。一実施形態において、組成物は、手術切開の部位に投与される。一実施形態において、組成物は、手術間および/または手術後に投与される。一実施形態において、全体的または部分的に、(1)コネキシンタンパク質の発現を下方制御し、(2)ギャップジャンクション形成を軽減することにより細胞間連絡を阻害し、(3)ヘミチャネルもしくはギャップジャンクションを遮断することにより細胞間連絡を阻害し、および/または(4)手術もしくは外科的修復の部位にて外科的癒着を予防もしくは軽減する抑制組成物が効果的である。
【0033】
特定の実施形態において、本発明の組成物は、上皮、結合、筋肉および神経の組織、または手術間にもしくは外傷の結果として曝露されたかまたは傷つけられたその他の組織に投与される。一実施形態において、組成物は局所投与される。別の実施形態において、抗コネキシンポリヌクレオチドは、移植または滴下注入または注射される。
【0034】
別の態様において、本発明は、癒着の危険性を示す患者における癒着の形成を予防する、そしてまたは軽減する方法であって、第1の抗コネキシン剤および第2の抗コネキシン剤の治療有効量を含む組成物を投与する工程を含み、前記第1の薬剤が抗コネキシンポリヌクレオチド剤であり、前記第2の薬剤が抗コネキシンペプチド、抗コネキシンペプチド模倣剤、またはギャップジャンクション改変剤である方法を提供する。
【0035】
さらに別の態様において、本発明は、癒着の形成を予防する、そしてまたは軽減する方法であって、それらを必要とする対象に第1の組成物および第2の組成物を投与する工程を含み、前記第1の組成物が治療有効量の抗コネキシン43ポリヌクレオチド剤を含み、前記第2の組成物が治療有効量の抗コネキシン43ペプチドまたは抗コネキシン43ペプチド模倣剤を含む方法を提供する。一実施形態では、第1の組成物が最初に投与される。別の実施形態では、第2の組成物が最初に投与される。さらなる実施形態において、上記方法は、抗コネキシンポリヌクレオチド、抗コネキシンペプチド、抗コネキシンペプチド模倣剤、またはギャップジャンクション改変剤を含む第3の組成物の投与をさらに含む。一実施形態では、第3の組成物が最初に投与される。
【0036】
好ましい方法は、本明細書に記載の第1の抗コネキシン剤および第2の抗コネキシン剤、例えば、1または複数の抗コネキシンポリヌクレオチド、および1もしくは複数の抗コネキシンペプチド、抗コネキシンペプチド模倣剤、またはギャップジャンクション改変剤の逐次投与または同時投与を含み、該薬剤(単数または複数)が単独で投与される場合、すなわち、それらが組み合わせて投与されない場合に用いられる量または用量よりも少ない量または用量でそれらの一方または両方が供給される。投与される薬剤のこのような低量は、単独で投与される場合の該薬剤の1つの量または複数の量の約20分の1〜約10分の1であることが典型的であり、単独で投与される場合の量の約8分の1、単独で投与される場合の量の約6分の1、単独で投与される場合の量の約5分の1、単独で投与される場合の量の約4分の1、単独で投与される場合の量の約3分の1、および単独で投与される場合の量の約2分の1でありうる。
【0037】
さらなる態様において、本発明は、包帯材およびマトリックス含み、前記物品は、治療有効量の本明細書に記載の第1の抗コネキシン剤および第2の抗コネキシン剤、例えば、1または複数の抗コネキシンポリヌクレオチド、および1もしくは複数の抗コネキシンペプチド、抗コネキシンペプチド模倣剤、またはギャップジャンクション改変剤を対象に送達することが可能である。
【0038】
別の態様において、本発明は、治療有効量の抗コネキシンペプチド(例えば、ヘミチャネル遮断剤)、または本明細書に記載の第1の抗コネキシン剤および第2の抗コネキシン剤、例えば、1または複数の薬学的に許容される抗コネキシンポリヌクレオチド、および1もしくは複数の薬学的に許容される抗コネキシンペプチド、抗コネキシンペプチド模倣剤、またはギャップジャンクション改変剤を含有する容器と、本明細書に記載のような対象の治療のための使用を含む使用のための指示書とを含む、癒着の形成を予防する、または軽減するのに有用な製品を包含する。
【0039】
本発明は、抗コネキシンペプチド(例えば、ヘミチャネル遮断剤)、または本明細書に記載の第1の抗コネキシン剤および第2の抗コネキシン剤、例えば、1または複数の抗コネキシンポリヌクレオチド、および1もしくは複数の抗コネキシンペプチド、抗コネキシンペプチド模倣剤、またはギャップジャンクション改変剤を含有する1または複数の剤形を含有する包装材料を含む、癒着の形成を予防する、または軽減するのに有用な製品であって、上記剤形を、癒着(例えば、外科的癒着および二次外科的癒着)を含めた、本明細書に記載されたかまたは本明細書に言及される疾患、障害、および/または状態のいずれかを有するか、またはこれを有することが疑われるか、またはこれに対する素因を有する対象に用い得ることを示すラベルを包装材料が有する製品を包含する。
【0040】
本発明は、癒着の形成を予防する、または軽減するのに有効な量で、本明細書に記載の抗コネキシンペプチド(例えば、ヘミチャネル遮断剤)または、第1の抗コネキシン剤および第2の抗コネキシン剤、例えば、1または複数の抗コネキシンポリヌクレオチド、および1もしくは複数の抗コネキシンペプチド、抗コネキシンペプチド模倣剤、またはギャップジャンクション改変剤を含む製剤を包含する。本発明は、癒着の形成を予防する、または軽減するのに有効な量で、本明細書に記載の第1の抗コネキシン剤および第2の抗コネキシン剤、例えば、1または複数の抗コネキシンポリヌクレオチド、および1もしくは複数の抗コネキシンペプチド、抗コネキシンペプチド模倣剤、またはギャップジャンクション改変剤を含む製剤を包含する。このような製剤は、例えば、局所送達の形態および製剤を含む。好ましい製剤は、例えば、泡沫、スプレー、またはゲルとして調合される本発明の医薬組成物を含む。一実施形態において、ゲルは、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマーベースのゲルまたはカルボキシメチルセルロースベースのゲルである。好ましい実施形態において、ゲルは、プルロニックゲルである。
【0041】
本発明は、癒着の形成を予防する、または軽減する医薬の製造において、本明細書に記載の第1の抗コネキシン剤および第2の抗コネキシン剤、例えば、1または複数の抗コネキシンポリヌクレオチド、および1もしくは複数の抗コネキシンペプチド、抗コネキシンペプチド模倣剤、またはギャップジャンクション改変剤を含む治療有効量の組成物を用いる方法を包含する。このような医薬には、例えば、局所送達の形態および製剤が含まれる。このような医薬には、本明細書で開示される対象を治療するための医薬が含まれる。このような医薬には、場合によって、このような薬剤が組合せで投与されない場合の投与量と比較して低量の、本明細書に記載の第1の抗コネキシン剤および第2の抗コネキシン剤、例えば、本明細書で言及される低量の、1または複数の抗コネキシンポリヌクレオチド、および1もしくは複数の抗コネキシンペプチド、抗コネキシンペプチド模倣剤、またはギャップジャンクション改変剤が含まれうる。
【0042】
本発明は、癒着の形成を予防する、または軽減するのに有用な医薬を調製する方法であって、ある量の抗コネキシンペプチド(例えば、ヘミチャネル遮断剤)、または例えば、第1の組成物および第2の組成物を含む、本明細書に記載の第1の抗コネキシン剤および第2の抗コネキシン剤を併せる工程を含み、前記第1の組成物が有効量の抗コネキシンポリヌクレオチドを含み、前記第2の組成物が有効量の抗コネキシンペプチドまたは抗コネキシンペプチド模倣剤を含む方法を包含する。癒着の形成を予防する、または軽減するのに有用な、抗コネキシンポリヌクレオチド、抗コネキシンペプチド、もしくは抗コネキシンペプチド模倣剤、ギャップジャンクション閉鎖化合物、ヘミチャネル閉鎖化合物、および/またはコネキシンカルボキシ末端ポリペプチドを含む第1の組成物および第2の組成物を含めた医薬を調製する他の実施形態。
【0043】
本発明は、癒着の形成を予防する、または軽減するのに有用な剤形の製造において、治療有効量の、本明細書に記載の第1の抗コネキシン剤および第2の抗コネキシン剤、例えば、1または複数の抗コネキシンポリヌクレオチド、および1もしくは複数の抗コネキシンペプチド、抗コネキシンペプチド模倣剤、またはギャップジャンクション改変剤を用いる方法を包含する。このような剤形は、例えば、局所送達の形態および製剤を含む。このような剤形には、本明細書で開示される対象を治療するための剤形が含まれる。このような剤形には、低量のギャップシャンクション閉鎖化合物、ヘミチャネル閉鎖化合物、および/またはコネキシンカルボキシ末端ポリペプチドを含めた、本明細書で言及される低量の、1または複数の抗コネキシンポリヌクレオチド、および1もしくは複数の抗コネキシンペプチド、抗コネキシンペプチド模倣剤、またはギャップジャンクション改変剤を含まれることが好ましい。
【0044】
別の態様において、本発明は、それらを必要とする患者における癒着の形成の予防、または軽減のための医薬品の製造における、本明細書に記載の第1の抗コネキシン剤および第2の抗コネキシン剤、例えば、抗コネキシンポリヌクレオチド(例えば、抗アルファ−1 ODN)および抗コネキシンペプチドまたは抗コネキシンペプチド模倣剤の使用を提供する。
【0045】
他のある態様において、本発明は、(i)癒着の形成を予防する、または軽減する別の抗コネキシン剤と組み合わせて用いるための指示書と共に抗コネキシン剤を含むパッケージと、(ii)癒着の形成を予防する、または軽減する1もしくは複数の抗コネキシンペプチド、抗コネキシンペプチド模倣剤、またはギャップジャンクション改変剤と組み合わせて用いるための指示書と共に、1または複数の抗コネキシンポリヌクレオチドを含むパッケージと、(iii)癒着の形成を予防する、または軽減するのに用いるための指示書と共に、1または複数の抗コネキシンポリヌクレオチド、および1もしくは複数の抗コネキシンペプチド、抗コネキシンペプチド模倣剤、またはギャップジャンクション改変剤を含むパッケージとを提供する。
【0046】
一実施形態において、本発明の医薬品は、癒着の形成を予防する、または軽減する包帯材またはマトリックスと組み合わせて提供される。包帯材またはマトリックスは、抗コネキシンペプチドまたは抗コネキシンペプチド模倣剤を有する固体基材の形態を単独で含んで提供するかまたは固体基材上もしくはこの中に分散したギャップジャンクション改変剤との組合せで抗コネキシンペプチドまたは抗コネキシンペプチド模倣剤を有する固体基材の形態を含んで提供することが適切である。固体基材上もしくはこの中に分散した、抗コネキシンペプチド(例えば、ヘミチャネル遮断剤)、または本明細書に記載の第1の抗コネキシン剤および第2の抗コネキシン剤、例えば、1または複数の抗コネキシンポリヌクレオチド、および1もしくは複数の抗コネキシンペプチド、抗コネキシンペプチド模倣剤、またはギャップジャンクション改変剤を有する固体基材の形態を含む、包帯材またはマトリックスを提供することが適切である。
【0047】
本明細書に記載の第1の抗コネキシン剤および第2の抗コネキシン剤、例えば、本発明の抗コネキシンポリペプチド、抗コネキシンペプチド、および抗コネキシンペプチド模倣剤は、同一の組成物中において投与することもでき、個別の組成物により投与することもできる。上記薬剤は、本明細書で言及される低量で投与されることが好ましい。
【0048】
抗コネキシン剤は、患者に同時投与、逐次投与、または個別投与することができる。個別投与される場合、本明細書に記載の第1の抗コネキシン剤および第2の抗コネキシン剤、例えば、(1または複数の)抗コネキシンポリヌクレオチドおよび(1もしくは複数の)抗コネキシンペプチド、または(1もしくは複数の)抗コネキシンペプチド模倣剤は、逐次投与されることが好ましい。上記薬剤は、本明細書で言及される時間内において逐次的に、投与されることが好ましい。抗コネキシン剤は、最初に投与されることが好ましい。例えば、コネキシンタンパク質発現の下方調節により、コネキシン発現またはヘミチャネルの形成もしくはギャップジャンクションの形成を遮断するかまたは低下させる抗コネキシンポリヌクレオチドを投与する前に、抗コネキシンペプチドまたは抗コネキシンペプチド模倣剤、例えば、ヘミチャネルの開口を遮断するかまたは低下させうる抗コネキシン剤を投与することが好ましい。1または複数の抗コネキシン剤は、(1または複数の)抗コネキシン43剤であることが好ましい。
【0049】
この「発明の概要」における情報に限定されるかまたはこれにより限定されることのない、本発明のこれらおよび他の態様を以下に記載する。
【発明を実施するための形態】
【0050】
詳細な説明
定義
本明細書で用いられる「対象」とは、ヒト、家畜動物、農場動物、動物園動物、競技動物、またはペット動物(イヌ、ウマ、ネコ、ヒツジ、ブタ、ウシなど)を含む任意の哺乳動物を指す。本明細書で好ましい哺乳動物は、成人、小児、および老齢者を含めたヒトである。
【0051】
本明細書で用いられる「予防する(preventing)」とは、全体的もしくは部分的に予防するか、または改善するかもしくは制御するか、または低減するか、軽減するか、減らすか、もしくは遅延させることを意味する。
【0052】
本発明の薬剤または組成物に関して本明細書で用いられる「治療有効量」または「有効量」とは、所望の生物学的結果、薬学的結果、または治療結果を誘導するのに十分な量を指す。その結果は、疾患もしくは障害もしくは状態の徴候、症状、もしくは原因の緩和、または生物学的系の他の任意の望ましい変化でありうる。本発明において、結果は、完全にまたは部分的に、癒着、外科的癒着および/または二次外科的癒着の発生率もしくは重篤の予防もしくは低減ならびに/または癒着、外科的癒着および/もしくは二次外科的癒着の形成の軽減もしくは遅延を伴うものであろう。
【0053】
本明細書で用いられる「治療する(treating)」という用語は、治療的処置および予防(prophylactic)措置または予防(preventative)措置の両方を指す。治療を必要とするものは、すでに癒着を有するもののほか、癒着を有する傾向があるか、または癒着が予防されるべきものを含む。
【0054】
本明細書で用いられる「抗コネキシン剤」とは、コネキシン、コネキシンヘミチャネル(コネクソン(connexin))、またはギャップジャンクションの活性、発現、または形成に影響を及ぼすかまたはこれを調節する化合物である。抗コネキシン剤は、限定せずに述べると、アンチセンス化合物(例えば、アンチセンスポリヌクレオチド)、RNAi化合物およびsiRNA化合物、抗体およびそれらの結合フラグメント、ならびに「ペプチド模倣剤」含むペプチドおよびポリペプチドと、ペプチド類似体とを含む。抗コネキシンポリヌクレオチド、および抗コネキシンペプチド、抗コネキシンペプチド模倣剤、またはギャップジャンクション改変剤に加えて、他の抗コネキシン剤は、ギャップジャンクション閉鎖化合物(例えば、コネキシンリン酸化化合物)、創傷治癒に有用なヘミチャネル閉鎖化合物(例えば、コネキシンリン酸化化合物)、ならびに癒着の形成を予防する、または軽減するのに有用なコネキシンカルボキシ末端ポリペプチドを含む。好ましい抗コネキシン剤は、抗コネキシン43剤、抗コネキシン43ギャップジャンクション剤、および抗コネキシン43ヘミチャネル剤である。例示的な抗コネキシン剤は、本明細書においてさらに詳細に論じられる。
【0055】
「ペプチド模倣剤」および「模倣剤」という用語は、それらが模倣するタンパク質領域と同じ構造的特徴および機能的特徴を実質的に有しうる天然に存在する化合物および合成化合物を含む。コネキシンの場合、これらは、例えば、コネキシン同士のドッキングおよび細胞間のチャネル形成に関与する、向かい合うコネキシンの細胞外ループを模倣してよい。
【0056】
「ペプチド類似体」とは、鋳型のペプチドの特性に類似する特性を有する化合物を指し、それらは非ペプチド薬剤でありうる。ペプチドベースの化合物を含む「ペプチド模倣剤」(また、「模倣ペプチド」としても公知)はまた、ペプチド類似体などの非ペプチドベースの化合物も含む。治療的に有用なペプチドに対して構造的に類似するペプチド模倣剤を用いて、同等であるかまたは増強された治療効果または予防効果をもたらすことができる。一般に、ペプチド模倣剤は、パラダイムポリペプチド(すなわち、生物学的または薬理学的な機能または活性を有するポリペプチド)と構造的に同一であるかまたはこれに構造的に類似するが、また、場合によって、例えば、−CH2NH−、−CH2S−、−CH2−CH2−、−CH=CH−(シスおよびトランス)、−COCH2−、−CH(OH)CH2−、および−CH2SO−からなる群から選択される結合により置換される1または複数のペプチド結合も有しうる。模倣剤は、天然のアミノ酸または非天然のアミノ酸類似体だけから構成されたものであっても、部分的に天然のペプチドアミノ酸と部分的に非天然のアミノ酸類似体からなるキメラ分子であってもよい。任意量の天然アミノ酸に対する保存的置換もまた実質的に模倣剤の活性を変化させない限りにおいて、模倣剤はまたこのような置換も含みうる。例えば、模倣剤組成物が、例えば、ヘミチャネル同士のドッキングによるギャップジャンクションを介する細胞間情報伝達の形成を予防すること、またはヘミチャネルの開口による細胞の細胞質の細胞外環境への曝露を予防することなどの、コネキシンタンパク質またはヘミチャネルの生物学的な作用または活性を下方調節することができる場合、それは、抗コネキシン剤として有用でありうる。
【0057】
ギャップジャンクション改変剤のほか、コネキシンリン酸化化合物およびコネキシンカルボキシ末端ポリペプチド(これは、例えば、コネキシン43などのコネキシンとZO−1タンパク質の相互作用を遮断するかまたは破壊しうる)を含むペプチド模倣剤には、本明細書で記載されるかまたは言及されるペプチド模倣剤のほか、現在公知の場合であれ将来的に開発される場合であれ、当技術分野において公知でありうるペプチド模倣剤が含まれる。
【0058】
本明細書においてその各形態において用いられるコネキシン活性の「調節剤」および「調節」という用語は、コネキシンまたはコネキシンヘミチャネルまたはコネキシンギャップジャンクションの発現または作用または活性に対する全体的または部分的な阻害を指し、抗コネキシン剤として機能しうる。
【0059】
一般に、「タンパク質」という用語は、1つのアミノ酸(またはアミノ酸残基)のアルファ炭素に結合したカルボン酸基のカルボキシル炭素原子が、隣接するアミノ酸のアルファ炭素に結合したアミノ基のアミノ窒素原子に共有結合する場合に生じるペプチド結合により連結される、2つ以上の個々のアミノ酸(天然の場合であれ非天然の場合であれ)による任意のポリマーを指す。これらのペプチド結合、およびこれらを含む原子(すなわち、アルファ炭素原子、カルボキシルの炭素原子(およびこれらの置換基の酸素原子)、およびアミノの窒素原子(およびこれらの置換基の水素原子))は、タンパク質の「ポリペプチド骨格」を形成する。加えて、本明細書で用いられる「タンパク質」という用語は、「ポリペプチド」および「ペプチド」(本明細書では、場合によって、互換的に用いられうる)という用語を含む形で理解される。同様に、本明細書では、タンパク質のフラグメント、類似体、誘導体、および変異体も「タンパク質」と称し、別段に示されない限り、「タンパク質」であるとみなされるものとする。タンパク質の「フラグメント」という用語は、タンパク質のすべてのアミノ酸残基よりも少数のアミノ酸残基を含むポリペプチドを指す。タンパク質の「ドメイン」もまたフラグメントであり、多くの場合、活性または機能を付与することが必要とされる、タンパク質のアミノ酸残基を含む。
【0060】
本明細書で用いられる「同時に」が、本発明の1または複数の薬剤を同時に(concurrently)投与することを意味するように用いられるのに対し、「組み合わせて」という用語は、同時にまたは物理的に混合してではないにせよ、それらの両方を治療的に作用させることに利用される時間枠内で「逐次的に」投与することを意味するように用いられる。したがって、「逐次的に」投与することにより、1または複数の抗コネキシンポリヌクレオチド、および1もしくは複数の抗コネキシンペプチド、抗コネキシンペプチド模倣剤、またはギャップジャンクション改変剤の両者が有効量で同時に存在する限りにおいて、1つの薬剤を、他の薬剤の投与後数分(例えば、1、2、3、4、5、10、15、20、25、30分)以内、またはおおよそ数時間以内、おおよそ数日以内、おおよそ数週間以内、もしくはおおよそ数カ月以内に投与することが可能となりうる。成分の1回または複数回の投与間における時間の遅延(time delay)は、成分の正確な性質、それらの間における相互作用、およびそれら各々の半減期に応じて変化する。
【0061】
外科的癒着
本発明の他の態様において、抗コネキシンポリヌクレオチドを患者に投与することにより、癒着、外科的癒着および/または二次外科的癒着の発生率もしくは重篤さの治療、軽減、ならびに/または癒着、外科的癒着および/もしくは二次外科的癒着の予防もしくは遅延させる方法が提供される。
【0062】
本明細書に記載されるように、外科的癒着の形成は、通常は分かれている体組織が一緒に成長する複雑な過程である。例えば、手術後癒着は、婦人科の大手術を受けた患者の約60%〜90%で起こると報告されている。組織(例えば上皮、結合、筋肉および神経の組織)の乾燥、虚血、熱傷、感染または異物の存在の結果としての外科的外傷は、組織癒着形成の刺激因子として長く認識されている。これらの癒着は、手術治療の失敗の主な原因であり、腸閉塞および不妊症の主な原因である。その他の癒着治療による合併症は、慢性骨盤痛、尿道閉塞および排尿不全を含む。
【0063】
一般的に、癒着形成は、血管透過性を増加させ、フィブリノゲン流入およびフィブリン沈着をもたらす因子が放出される炎症性反応である。この沈着は、隣接する組織を架橋するマトリクスを形成する。線維芽細胞が蓄積し、マトリクスに接着し、コラーゲンを沈着し、血管形成を誘導する。この事象のカスケードが手術後4〜5日以内に防止できれば、癒着形成は阻害できる。
【0064】
二次外科的癒着は、現存する癒着を修正するために設計された修正的外科的手順の結果としても形成され得る。この手順は、リリース手順または分離手順である。
【0065】
特定の治療用組成物または治療法をその治療能力について評価するために、広範囲の動物モデルを用いることができる。簡単に、腹膜癒着は、2つの隣接する表面を通常含む重篤な損傷が課された結果として動物に起こることが観察されている。傷害は、機械的であるか、虚血によるかまたは異物の導入の結果であり得る。機械的傷害は、腸の圧挫(Choateら、Arch. Surg. 88巻:249〜254頁、1964年)および腸壁外層のはぎ取りまたは擦り落とし(Gustavssonら、Acta Chir. Scand 109巻:327〜333頁、1955年)を含む。腸管の主要な血管をループに隔離することにより、虚血が誘導される(Jamesら、J. Path. Bact. 90巻:279〜287頁、1965年)。領域に導入され得る異物は、滑石(Greenら、Proc. Soc Exp. Biol. Med. 133巻:544〜550頁、1970年)、ガーゼスポンジ(LehmanおよびBoys、Ann. Surg 111巻:427435頁、1940年)、毒性化学物質(Chancy、Arch. Surg. 60巻:1151〜1153頁、1950年)、細菌(Moinら、Am. J. Med Sci. 250巻:675〜679頁、1965年)および糞便(Jackson、Surgery 44巻:507〜518頁、1958年)である。
【0066】
現在のところ、癒着の形成の予防を評価するための典型的な動物モデルは、ウサギの子宮の擦過を含むウサギ子宮角モデル(Linskyら、J. Reprod. Med. 32巻(1号):17〜20頁、1987年)、子宮の擦過および血行遮断を含むウサギの子宮角血行遮断改変モデル(Wisemanら、J. Invest Surg. 7巻:527〜532頁、1994年)および壁側腹膜の一部の切除と盲腸の擦過とを含むウサギ盲腸側壁モデル(WisemanおよびJohns、Fertil SteriL Suppl:25S、1993年)を含む。これらおよびその他の報告されている評価モデルが、本明細書に記載される。
【0067】
抗コネキシン剤
本明細書に記載の本発明の抗コネキシン剤は、細胞内への、また細胞からの分子の輸送を調節するかまたはこれに影響を及ぼす(例えば、遮断するかまたは阻害するかまたは下方調節する)ことができる。したがって、本明細書に記載の一部の抗コネキシン剤は、細胞情報伝達(例えば、細胞間)を調節する。一部の抗コネキシン剤は、ギャップジャンクション調節剤である。一部の抗コネキシン剤は、細胞の細胞質と、ペリプラズム腔または細胞外腔との間における分子の移送を調節するかまたはこれに影響を及ぼす。このような抗コネキシン剤は一般に、コネキシンおよび/またはコネキシンヘミチャネル(コネクソン)もしくはギャップジャンクション自体を標的とする。コネキシンを含むヘミチャネルおよび結果として生じるギャップジャンクションは、開口ヘミチャネルの場合における、細胞質と細胞外腔または細胞外組織との間における低分子の放出または交換、また開口ギャップジャンクションの場合における、隣接する細胞の細胞質間における低分子の放出または交換に独立して関与する。したがって、本明細書で提供される抗コネキシン剤は、細胞間における結合および情報伝達を直接的または間接的に低下させる場合もあり、細胞と細胞外腔または細胞外組織との間における情報伝達(または分子の伝達)を低下させるかまたは遮断する場合もあり、細胞から細胞外腔もしくは細胞外組織への(または細胞外腔もしくは細胞外組織から細胞内への)または隣接する細胞間における分子輸送の調節は、本発明の抗コネキシン剤および本発明の実施形態の範囲内にある。コネキシンは、コネキシン43であることが好ましい。
【0068】
本発明の実施形態では、ギャップジャンクションまたはコネキシンヘミチャネルを介する分子の通過(例えば、輸送)に対する望ましい阻害を誘発することが可能な任意の抗コネキシン剤を用いることができる。ギャップジャンクションまたはコネキシンヘミチャネルを介する分子の通過を調節する任意の抗コネキシン剤はまた、特定の実施形態においても提供される(例えば、ある細胞の細胞質から細胞外腔または隣接する細胞の細胞質への分子の通過を調節するか、遮断するか、または低下させる抗コネキシン剤)。このような抗コネキシン剤は、ギャップジャンクションの結合解除(ギャップジャンクションを介する分子輸送の遮断)を伴う場合であれ伴わない場合であれ、ギャップジャンクションまたはコネキシンヘミチャネルを介する分子の通過を調節しうる。このような化合物は、例えば、タンパク質およびポリペプチド、ポリヌクレオチド、および他の有機化合物を含み、これらは、例えば、部分的または全体的にギャップジャンクションまたはヘミチャネルの機能または発現を遮断する場合もあり、全体的または部分的にコネキシンの生成を下方調節する場合もある。一部のギャップジャンクション阻害剤は、Evans, W.H.およびBoitano, S.、Biochem. Soc. Trans.、第29巻、606〜612頁(2001年)において列挙されている。他の化合物は、全体的または部分的にギャップジャンクションおよび/またはヘミチャネルを閉鎖するコネキシンリン酸化化合物、ならびにコネキシンカルボキシ末端ポリペプチドを含む。コネキシンは、コネキシン43であることが好ましい。
【0069】
一部の抗コネキシン剤は、コネキシン発現の下方調節(例えば、mRNAの転写または翻訳に対する下方調節による)をもたらすか、またはこれ以外の形で、コネキシンタンパク質、コネキシンヘミチャネル、もしくはギャップジャンクションの活性を低下させるかもしくは阻害する。下方調節の場合、これは、コネキシン発現が下方調節される部位において、ギャップジャンクションによる直接的な細胞間情報伝達、またはヘミチャネルによる細胞の細胞質の細胞外腔への曝露を低下させる効果を有する。抗コネキシン43剤が好ましい。
【0070】
抗コネキシン剤の例は、コネキシンmRNAおよび/もしくはコネキシンタンパク質の発現もしくは機能を低下させるかもしくは阻害するか、またはコネキシン、コネキシンヘミチャネル、もしくはギャップジャンクションの活性、発現、もしくは形成を低下させる薬剤を含む。抗コネキシン剤は、アンチセンスポリヌクレオチドおよび他のポリヌクレオチド(siRNAまたはリボザイムの機能性を有するポリヌクレオチドなどの)などの抗コネキシポリヌクレオチドのほか、抗体およびその結合フラグメント、ならびにヘミチャネルまたはギャップジャンクションの活性または機能を調節するペプチド模倣剤およびペプチド類似体を含むペプチドおよびポリペプチドを含む。抗コネキシン43剤が好ましい。
【0071】
抗コネキシンポリヌクレオチド
抗コネキシンポリヌクレオチドは、コネキシンアンチセンスポリヌクレオチドのほか、それらによるコネキシン発現の下方調節を可能とする機能性を有するポリヌクレオチドも含む。他の適切な抗コネキシンポリヌクレオチドは、RNAiポリヌクレオチドおよびsiRNAポリヌクレオチドを含む。抗コネキシン43ポリヌクレオチドが好ましい。
【0072】
RNAi、siRNA、およびリボザイムポリヌクレオチドのほか、骨格が改変および混合されたポリヌクレオチドなどの、アンチセンスポリヌクレオチドおよび他の抗コネキシンポリヌクレオチドの合成は、当業者に公知である。例えば、Stein C.A.およびKrieg A.M.(編)、「Applied Antisense Oligonucleotide Technology」、1998年、(Wiley−Liss)を参照されたい。抗体および結合フラグメントのほか、ペプチド模倣剤およびペプチド類似体を含むペプチドおよびポリペプチドを合成する方法は、当業者に公知である。例えば、Lihu Yangら、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.、1;第95巻、第18号、10836〜10841頁(1998年9月1日); HarlowおよびLane(1988年)、「Antibodies: A Laboratory Manuel」、Cold Spring Harbor Publications、New York; HarlowおよびLane(1999年)、「Using Antibodies: A Laboratory Manuel」、Cold Spring Harbor Publications、New Yorkを参照されたい。
【0073】
一態様によれば、コネキシン発現の下方調節は一般に、アンチセンスポリヌクレオチド(DNAポリヌクレオチドまたはRNAポリヌクレオチドなど)を用いるアンチセンス法に基づき、またより具体的に、アンチセンスオリゴデオキシヌクレオチド(ODN)の使用に基づきうる。これらのポリヌクレオチド(例えば、ODN)は、(1または複数の)コネキシンタンパク質を標的としてこれらを下方調節する。ポリヌクレオチドは、一本鎖であることが典型的であるが、二本鎖の場合もある。
【0074】
アンチセンスポリヌクレオチドは、コネキシンの転写および/または翻訳を阻害しうる。ポリヌクレオチドは、コネキシン遺伝子またはコネキシンmRNAからの転写および/または翻訳の特異的な阻害剤であり、他の遺伝子またはmRNAからの転写および/または翻訳を阻害しないことが好ましい。生成物は、(i)コード配列に対する5’側、および/または(ii)コード配列に対する、および/または(iii)コード配列に対する3’側にあるコネキシン遺伝子またはコネキシンmRNAに結合しうる。
【0075】
アンチセンスポリヌクレオチドは一般に、コネキシンmRNA、好ましくはコネキシン43 mRNAに対してアンチセンスである。このようなポリヌクレオチドはコネキシンmRNAにハイブリダイズすることが可能であり、したがって、転写、mRNAのプロセッシング、核からのmRNAの輸送、翻訳、またはmRNAの分解を含む、コネキシンmRNA代謝の1つまたは複数の側面に干渉することにより、コネキシン発現を阻害しうる。アンチセンスポリヌクレオチドは、コネキシンmRNAにハイブリダイズして、mRNA翻訳の直接的な阻害および/またはmRNAの不安定化を引き起こしうる二重鎖を形成することが典型的である。このような二重鎖は、ヌクレアーゼによる分解に対して感受性でありうる。
【0076】
アンチセンスポリヌクレオチドは、コネキシンmRNAの全部または一部にハイブリダイズしうる。アンチセンスポリヌクレオチドは、コネキシンmRNAのリボソーム結合領域またはコード領域にハイブリダイズすることが典型的である。ポリヌクレオチドは、コネキシンmRNAの全部または一部の領域に対して相補的でありうる。例えば、ポリヌクレオチドは、コネキシンmRNAの全部または一部の完全な相補体でありうる。しかし、絶対的な相補性は必要とされず、生理学的条件下において約20℃、30℃、または40℃を超える融解温度を有する二重鎖を形成するのに十分な相補性を有するポリヌクレオチドが、本発明における使用に特に適する。
【0077】
したがって、ポリヌクレオチドは、mRNAに対して相補的な配列の相同体であることが典型的である。ポリヌクレオチドは、約50℃〜約60℃における0.03M塩化ナトリウムおよび0.03Mクエン酸ナトリウムなどの中程度〜高度に厳密な条件下においてコネキシンmRNAにハイブリダイズするポリヌクレオチドでありうる。
【0078】
一部の態様について述べると、適切なポリヌクレオチドは、約6〜40ヌクレオチドの長さであることが典型的である。ヌクレオチドは、好ましくは約12〜約35ヌクレオチドの長さでもあり、代替的には、約12〜約20ヌクレオチドの長さでもあり、より好ましくは、約18〜約32ヌクレオチドの長さでもありうる。代替的な態様によれば、ポリヌクレオチドは、少なくとも約40ヌクレオチド、例えば、少なくとも約60ヌクレオチドまたは少なくとも約80ヌクレオチドの長さでありえ、最長約100、約200、約300、約400、約500、約1000、約2000、または約3000ヌクレオチド以上の長さでありうる。
【0079】
ポリヌクレオチドにより標的とされる1または複数のコネキシンタンパク質は、下方調節が行われる部位に依存する。これは、コネキシンサブユニットの組成に関して、全身の異なる部位において(1または複数の)ギャップジャンクションの構成が一様でないことを反映する。コネキシンは、一態様における、ヒトもしくは動物の天然に存在するコネキシンであるか、またはコネキシンの発現または活性を低下させる予定の組織内の天然に存在するコネキシンである。コネキシン遺伝子(コード配列を含む)は一般に、表8に示すコネキシン43コード配列との相同性など、本明細書で言及される1または複数の特異的なコネキシンのコード配列との相同性を有する。コネキシンは、αコネキシンまたはβコネキシンであることが典型的である。コネキシンはαコネキシンであり、治療される組織において発現することが好ましい。
【0080】
しかし、組織内における分布に関して、一部のコネキシンタンパク質は、他のコネキシンタンパク質よりも遍在性である。最も広範に存在するコネキシンタンパク質の1つが、コネキシン43である。コネキシン43を標的とするポリヌクレオチドが、本発明における使用に特に適する。他の態様では、他のコネキシンが標的とされる。
【0081】
抗コネキシンポリヌクレオチドは、コネキシンアンチセンスポリヌクレオチドのほか、それらによるコネキシン発現の下方調節を可能とする機能性を有するポリヌクレオチドも含む。他の適切な抗コネキシンポリヌクレオチドは、RNAiポリヌクレオチドおよびsiRNAポリヌクレオチドを含む。
【0082】
好ましい一態様において、アンチセンスポリヌクレオチドは、1種のコネキシンタンパク質のmRNAだけを標的とする。このコネキシンタンパク質は、コネキシン43であることが最も好ましい。別の態様において、コネキシンタンパク質は、コネキシン26、30、31.1、32、36、37、40、または45である。他の態様において、コネキシンタンパク質は、コネキシン30.3、31、40.1、または46.6である。
【0083】
別個のコネキシンタンパク質を標的とするポリヌクレオチドを組み合わせて用いることもまた意図される(例えば、1種、2種、3種、4種以上の異なるコネキシンを標的とすることができる)。例えば、コネキシン43を標的とするポリヌクレオチドと、コネキシンファミリーの1つまたは複数の他のメンバー(コネキシン26、30、30.3、31.1、32、36、37、40、40.1、45、および46.6など)とを標的とするポリヌクレオチドを、組み合わせて用いることができる。
【0084】
代替的に、アンチセンスポリヌクレオチドは、複数種のコネキシンタンパク質に対するポリヌクレオチドを含みうる組成物の一部でもありうる。ポリヌクレオチドが対象とするコネキシンタンパク質の1つは、コネキシン43であることが好ましい。オリゴデオキシヌクレオチドが対象とする他のコネキシンタンパク質は、例えば、コネキシン26、30、30.3、31.1、32、36、37、40、40.1、45、および46.6を含みうる。各種のコネキシンを対象とするのに適する例示的なポリヌクレオチド(およびODN)を、表1に示す。
【0085】
個々のアンチセンスポリヌクレオチドは、特定のコネキシンに特異的な場合もあり、1種、2種、3種以上の異なるコネキシンを標的とする場合もある。特異的なポリヌクレオチドが一般に、コネキシン間において保存されないコネキシン遺伝子またはコネキシンmRNA内の配列を標的とする一方、非特異的なポリヌクレオチドは、各種コネキシンの保存的配列を標的とする。
【0086】
本発明で用いられるポリヌクレオチドは、非改変のホスホジエステルオリゴマーでありうるのが好都合である。このようなオリゴデオキシヌクレオチドは、長さが変わりうる。30マーのポリヌクレオチドが特に適することが分かっている。
【0087】
本発明の多くの態様は、オリゴデオキシヌクレオチドに関して説明される。しかし、これらの態様では、他の適切なポリヌクレオチド(RNAポリヌクレオチドなど)も用いうることが理解される。
【0088】
アンチセンスポリヌクレオチドは、化学修飾することができる。これにより、ヌクレアーゼに対するこれらの耐性を増強することができ、これらが細胞内に入る能力を増強することができる。例えば、ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドを用いることができる。他のデオキシヌクレオチド類似体は、メチルホスホネート、ホスホラミデート、ホスホロジチオエート、N3’P5’−ホスホラミデート、ならびにオリゴリボヌクレオチドホスホロチオエートおよびそれらの2’−O−アルキル類似体、ならびに2’−O−メチルリボヌクレオチドメチルホスホネートを含む。代替的に、混合骨格オリゴヌクレオチド(「MBO」)も用いることができる。MBOは、ホスホチオエートオリゴデオキシヌクレオチドのセグメントと、改変されたオリゴデオキシヌクレオチドまたはオリゴリボヌクレオチドの適切に配置されたセグメントとを含有する。MBOは、ホスホロチオエート結合のセグメントと、非イオン性で、ヌクレアーゼまたは2’−O−アルキルオリゴリボヌクレオチドに対して極めて耐性なメチルホスホネートなどの、他の改変オリゴヌクレオチドの他のセグメントとを有する。改変骨格オリゴヌクレオチドおよび混合骨格オリゴヌクレオチドを調製する方法は、当技術分野において公知である。
【0089】
本発明で用いられるアンチセンスポリヌクレオチドの正確な配列は、標的のコネキシンタンパク質に依存する。一実施形態において、適切なコネキシンアンチセンスポリヌクレオチドは、表1に記載される以下の配列から選択されるオリゴデオキシヌクレオチドなどのポリヌクレオチドを含みうる。
【0090】
【表1−1】

【0091】
【表1−2】

本明細書に記載の、ポリヌクレオチドの組合せ組成物の調製に適するポリヌクレオチドは、例えば、上記の表1に記載したコネキシンCx43に対するポリヌクレオチドと、コネキシン26、30、31.1、32、および37に対するポリヌクレオチドとを含む。
【0092】
本発明において用いられるアンチセンスポリヌクレオチドの正確な配列は、標的のコネキシンタンパク質に依存するが、コネキシン43の場合、以下の配列:
GTA ATT GCG GCA AGA AGA ATT GTT TCT GTC(配列番号1);
GTA ATT GCG GCA GGA GGA ATT GTT TCT GTC(配列番号2);および
GGC AAG AGA CAC CAA AGA CAC TAC CAG CAT(配列番号3)
を有するアンチセンスポリヌクレオチドが特に適することが分かっている。
【0093】
例えば、コネキシン26、31.1、および32に適するアンチセンスポリヌクレオチドは、以下の配列:
5’ TCC TGA GCA ATA CCT AAC GAA CAA ATA(コネキシン26)(配列番号4);
5’ CGT CCG AGC CCA GAA AGA TGA GGT C(コネキシン31.1)(配列番号9);および
5’ TTT CTT TTC TAT GTG CTG TTG GTG A(コネキシン32)(配列番号12)
を有する。
【0094】
本発明の方法により有用な他のコネキシンアンチセンスポリヌクレオチド配列は、
5’ CAT CTC CTT GGT GCT CAA CC 3’(コネキシン37)(配列番号5);
5’ CTG AAG TCG ACT TGG CTT GG 3’(コネキシン37)(配列番号6);
5’ CTC AGA TAG TGG CCA GAA TGC 3’(コネキシン30)(配列番号7);
5’ TTG TCC AGG TGA CTC CAA GG 3’(コネキシン30)(配列番号8);
5’ AGA GGC GCA CGT GAG ACA C 3’(コネキシン31.1)(配列番号10);および
5’ TGA AGA CAA TGA AGA TGT T 3’(コネキシン31.1)(配列番号11)
を含む。
【0095】
コネキシンタンパク質を対象とする、ODNを含むポリヌクレオチドは、任意の簡便な従来の手法により、それらのヌクレオチド配列に関して選択することができる。例えば、コンピュータプログラムであるMacVectorおよびOligoTech(Oligosなど、Eugene、Oregon、USA製)を用いることができる。選択されると、DNA合成器を用いてODNを合成することができる。
【0096】
ポリヌクレオチドの相同体
本明細書では、相同性および相同体(例えば、ポリヌクレオチドは、コネキシンmRNA中の配列に対する相補体の相同体でありうる)について論じる。このようなポリヌクレオチドは、例えば、(相同配列の)少なくとも約15、少なくとも約20、少なくとも約40、少なくとも約100以上の連続ヌクレオチドの領域にわたって、対象の配列と少なくとも約70%の相同性、好ましくは少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、または少なくとも約99%の相同性を有することが典型的である。
【0097】
相同性は、当技術分野における任意の方法に基づいて計算することができる。例えば、UWGCGパッケージでは、相同性を計算するのに用いうるBESTFITプログラム(例えば、そのデフォルト設定で用いられる)が提供される(Devereuxら(1984年)、Nucleic Acids Research、第12巻、387〜395頁)。PILEUPアルゴリズムおよびBLASTアルゴリズムは、例えば、Altschul S. F.(1993年)、J Mol Evol、第36巻、290〜300頁; Altschul, S, Fら(1990年)、J Mol Biol、第215巻、403〜10頁において説明される通り、相同性を計算するか、または配列を整列するのに用いることができる(それらのデフォルト設定における場合が典型的である)。
【0098】
BLAST解析を実施するためのソフトウェアは、米国国立バイオテクノロジー情報センター(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)により公に入手可能である。このアルゴリズムは、まず、データベース配列中における同じ長さのワードにより整列する場合、ある正の値の閾値スコアTにマッチするかまたはこれを満たすクエリー配列中における長さWの短いワードを同定することによる、高スコアリング配列対(HSP)の同定を伴う。Tを、近傍ワードスコア閾値(Altschulら、前出)と称する。これらの初期近傍ワードヒットは、それらを含有するHSPを見出す検索を開始するためのシード(seed)として作用する。ワードヒットは、累積のアライメントスコアが増大しうる限りにおいて、各配列に沿って両方向に延長される。各方向におけるワードヒットの延長は、累積アライメントスコアが、達成されたその最大値から量Xだけ低下する場合;累積スコアが、1つまたは複数の負のスコアの残基アライメントの累積により、ゼロ以下に低下する場合;またはいずれかの配列の端部に到達する場合に停止される。
【0099】
BLASTアルゴリズムのパラメータW、T、およびXにより、アラインメントの感度および速度が決定される。BLASTプログラムでは、ワード長(W)、BLOSUM62スコアリングマトリックス(HenikoffおよびHenikoff(1992年)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、第89巻、10915〜10919頁を参照されたい)によるアライメント(B=50)、期待値(E=10)、M=5、N=4、および両方の鎖の比較が、デフォルトとして用いられる。
【0100】
BLASTアルゴリズムでは、2つの配列間における類似性に対する統計学的解析が実施される。例えば、KarlinおよびAltschul(1993年)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、第90巻、5873〜5787頁を参照されたい。BLASTアルゴリズムにより提供される類似性の1つの尺度は、2つのヌクレオチド配列またはアミノ酸配列の間におけるマッチが偶然に生じる確率を示す、最小合計確率(P(N))である。例えば、第2の配列に対して第1の配列を比較した場合の最小合計確率が約1未満、好ましくは約0.1未満、より好ましくは約0.01未満、また最も好ましくは約0.001未満である場合、ある配列は別の配列に対して類似すると考えられる。
【0101】
相同配列は、少なくとも約2、5、10、15、20以上(または約2、5、10、15、20以下)の変異(置換、欠失、または挿入でありうる)により対象配列と異なることが典型的である。これらの変異は、相同性の計算との関連で、上述の領域のいずれかにわたって測定することができる。
【0102】
相同配列は、バックグラウンドを有意に上回るレベルで、元の配列に選択的にハイブリダイズすることが典型的である。選択的なハイブリダイゼーションは、中程度〜高度に厳密な条件(例えば、約50℃〜約60℃における0.03M塩化ナトリウムおよび0.03Mクエン酸ナトリウム)を用いて達成することが典型的である。しかし、このようなハイブリダイゼーションは、当技術分野において公知の任意の適切な条件下で実施することができる(Sambrookら(1989年)、「Molecular Cloning: A Laboratory Manual」を参照されたい)。例えば、高い厳密性が必要とされる場合、適切な条件は60℃における0.2×SSCを含む。より低い厳密性が必要とされる場合、適切な条件は60℃における2×SSCを含む。
【0103】
ペプチドおよびポリペプチドによる抗コネキシン剤
ペプチド、ペプチド模倣剤、抗体、抗体フラグメントなどを含む結合タンパク質もまた、ギャップジャンクションおよびヘミチャネルに適する調節剤である。
【0104】
結合タンパク質は、例えば、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、抗体フラグメント(例えば、Fabフラグメント、F(ab’)フラグメント、およびFvフラグメント;単鎖抗体;単鎖Fv;また例えば、特定の抗体または他の結合分子と接触する抗原決定基(すなわち、一般にエピトープと称する分子の部分)に結合可能な結合ドメイン、ヒンジ、CH2ドメインおよびCH3ドメイン、組換え抗体、ならびに抗体フラグメントを含む単鎖結合分子などの単鎖結合分子を含む)を含む。抗体、抗体フラグメントなどを含むこれらの結合タンパク質は、キメラの場合もあり、ヒト化される場合もあり、他の形でこれらが投与される対象においてより低い免疫原性に作製する場合もあり、また、合成する場合もあり、組換えにより作製する場合もあり、発現ライブラリー内において作製する場合もある。本明細書で言及され、かつ/または当技術分野においてより詳細に説明される結合分子など、当技術分野において公知であるかまたは将来的に発見される任意の結合分子が想定される。例えば、結合タンパク質は、抗体などだけではなく、リガンド、受容体、ペプチド模倣剤、または標的(例えば、コネキシン、ヘミチャネル、または関連する分子)に結合する他の結合フラグメントもしくは他の結合分子(例えば、ファージディスプレイにより作製される)も含む。
【0105】
結合分子は一般に、結合特異性を含むがこれに限定されない所望の特異性、および所望の親和性を有する。親和性は、例えば、約10−1以上、約10−1以上、約10−1以上、約10−1のKaでありうる。約10−1以上、約1010−1以上、約1011−1以上、および約1012−1以上の親和性など、約10−1をさらに超える親和性が適する。本発明による結合タンパク質の親和性は、従来の技法、例えば、Scatchardら、1949年、Ann. N.Y. Acad. Sci.、第51巻、660頁により説明される技法を用いて容易に決定することができる。
【0106】
ヒドロパシープロットから得られるデータを用いることにより、コネキシンは、4つの膜貫通領域および2つの短い細胞外ループを含有すると仮定されている。コネキシンの第1および第2の細胞外領域の配置は、分離されたギャップジャンクション上における対応するエピトープの免疫学的局在決定に用いられる抗ペプチド抗体の作製報告によりさらに特徴づけられた(Goodenough D.A.、J Cell Biol、第107巻、1817〜1824頁(1988年); Meyer R.A.、J Cell Biol、第119巻、179〜189頁(1992年))。
【0107】
隣接する2つの細胞が寄与するヘミチャネルの細胞外ドメインが互いに「結合(dock)」して、完全なギャップジャンクションチャネルが形成される。これらの細胞外ドメインの相互作用に干渉する試薬は、細胞間情報伝達を損なうことが可能である。ギャップジャンクションおよびヘミチャネルに対するペプチド阻害剤が報告されている。例えば、Berthoud, V.M.ら、Am J. Physiol. Lung Cell Mol. Physiol.、第279巻、L619〜L622頁(2000年); Evans, W.H.およびBoitano, S.、Biochem. Soc. Trans.、第29巻、606〜612頁;ならびにDe Vriese A.S.ら、Kidney Int.、第61巻、177〜185頁(2001年)を参照されたい。コネキシンの細胞外ループ内の配列に対応する短いペプチドが、細胞間情報伝達を阻害すると言われた(Boitano S.およびEvans W.、Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol、第279巻、L623〜L630頁(2000年))。Xenopusの卵母細胞対において発現されるコネキシン(Cx)32によりもたらされる細胞間チャネル形成に対する阻害剤としてのペプチドの使用もまた報告されている(Dahl Gら、Biophys J、第67巻、1816〜1822頁(1994年))。Berthoud, V.M.およびSeul, K.H.によりこれらの結果の一部がまとめられた(Am J., Physiol. Lung Cell Mol. Physiol.、第279巻、L619〜L622頁(2000年))。
【0108】
抗コネキシン剤は、コネキシン(例えば、コネキシン45、43、26、30、31.1、および37)の膜貫通領域(例えば、第1〜第4)に対応するアミノ酸配列を含むペプチドを含む。抗コネキシン剤は、コネキシン45の膜貫通領域の一部に対応するアミノ酸配列を含むペプチドを含みうる。抗コネキシン剤は、配列番号13の約5〜20の連続アミノ酸を含むアミノ酸配列を有するペプチド、配列番号13の約8〜15の連続アミノ酸を含むアミノ酸配列を有するペプチド、または配列番号13の約11〜13の連続アミノ酸を含むアミノ酸配列を有するペプチドを含む。他の実施形態は、配列番号13の少なくとも約5、少なくとも約6、少なくとも約7、少なくとも約8、少なくとも約9、少なくとも約10、少なくとも約11、少なくとも約12、少なくとも約13、少なくとも約14、少なくとも約15、少なくとも約20、少なくとも約25、または少なくとも約30の連続アミノ酸を含むアミノ酸配列を有するペプチドである抗コネキシン剤を対象とする。本明細書で提供される一部の抗コネキシン剤では、配列番号13の位置46〜75および199〜228にあるアミノ酸に対応するコネキシン45の細胞外ドメインを用いて、特定のペプチド配列を開発することができる。本明細書に記載の一部のペプチドは、配列番号13の位置46〜75および199〜228にある領域に対応するアミノ酸配列を有する。ペプチドは、配列番号13のこれらの部分と同一のアミノ酸配列を有する必要はなく、ペプチドが結合活性または機能活性を保持するような保存的アミノ酸変化を作製することができる。代替的に、ペプチドは、細胞外ドメイン以外のコネキシンタンパク質の領域(例えば、位置46〜75および199〜228に対応しない配列番号13の部分)も標的としうる。
【0109】
また、適切な抗コネキシン剤は、コネキシン43の膜貫通領域の一部に対応するアミノ酸配列を含むペプチドも含む。抗コネキシン剤は、配列番号14の約5〜20の連続アミノ酸を含むアミノ酸配列を有するペプチド、配列番号14の約8〜15の連続アミノ酸を含むアミノ酸配列を有するペプチド、または配列番号14の約11〜13の連続アミノ酸を含むアミノ酸配列を有するペプチドを含む。他の抗コネキシン剤は、配列番号14の少なくとも約5、少なくとも約6、少なくとも約7、少なくとも約8、少なくとも約9、少なくとも約10、少なくとも約11、少なくとも約12、少なくとも約13、少なくとも約14、少なくとも約15、少なくとも約20、少なくとも約25、または少なくとも約30の連続アミノ酸を含むアミノ酸配列を有するペプチドを含む。他の抗コネキシン剤は、配列番号14の位置37〜76および178〜208にあるアミノ酸に対応するコネキシン43の細胞外ドメインを含む。抗コネキシン剤は、配列番号14の位置37〜76および178〜208にある領域に対応するアミノ酸配列を有する、本明細書に記載のペプチドを含む。ペプチドは、配列番号14のこれらの部分と同一のアミノ酸配列を有する必要はなく、ペプチドが結合活性または機能活性を保持するような保存的アミノ酸変化を作製することができる。代替的に、ペプチドは、細胞外ドメイン以外のコネキシンタンパク質の領域(例えば、位置37〜76および178〜208に対応しない配列番号14の部分)も標的としうる。
【0110】
【化1】

【0111】
【化2】

【0112】
【化3】

抗コネキシンペプチドは、ペプチドが機能的に活性な抗コネキシン剤であるような保存的アミノ酸置換を伴う、コネキシンの細胞外ドメインの一部に対応する配列を含みうる。例示的な保存的アミノ酸置換は、例えば、別の非極性アミノ酸による非極性アミノ酸の置換、別の芳香族アミノ酸による芳香族アミノ酸の置換、別の脂肪族アミノ酸による脂肪族アミノ酸の置換、別の極性アミノ酸による極性アミノ酸の置換、別の酸性アミノ酸による酸性アミノ酸の置換、別の塩基性アミノ酸による塩基性アミノ酸の置換、および別のイオン性アミノ酸によるイオン性アミノ酸の置換を含む。
【0113】
コネキシン43を標的とする例示的なペプチドを、以下の表2に示す。M1、M2、M3、およびM4は、それぞれ、コネキシン43タンパク質の第1〜第4の膜貫通領域を指す。E1およびE2は、それぞれ、第1および第2の細胞外ループを指す。
【0114】
【表2】

表3は、ヘミチャネル機能またはギャップジャンクション機能を阻害するのに用いられる、さらなる例示的なコネキシンペプチドについて記載する。他の実施形態では、ペプチドまたはこれらのフラグメントに対して保存的なアミノ酸変化が作製される。
【0115】
【表3】

表4は、本明細書に記載の使用に供するペプチド阻害剤を開発するのに用いられるコネキシンファミリーメンバーの細胞外ループについて記載する。表4に記載されるペプチドおよびこれらのフラグメントは、一部の非限定的な実施形態においてペプチド阻害剤として用いられる。他の非限定的な実施形態では、この表4中のペプチドの約8〜約15、または約11〜約13の連続アミノ酸を含むペプチドが、ペプチド阻害剤である。ペプチドまたはこれらのフラグメントには、保存的なアミノ酸変化を作製することができる。
【0116】
【表4−1】

【0117】
【表4−2】

表5は、ペプチドによる抗コネキシン剤を開発するのに用いうるコネキシンファミリーメンバーの細胞外ドメインについて記載する。表5に記載されるペプチドおよびこれらのフラグメントもまた、ペプチドによる抗コネキシン剤として用いることができる。このようなペプチドは、この表5中のペプチド配列の約8〜約15、または約11〜約13の連続アミノ酸を含みうる。ペプチドまたはこれらのフラグメントには、保存的なアミノ酸変化を作製することができる。
【0118】
【表5】

表6は、コネキシン40の細胞外ループ(E1およびE2)に関して示されるコネキシン40に対するペプチド阻害剤について記載する。太字のアミノ酸は、コネキシン40の膜貫通領域を対象とする。
【0119】
【表6】

表7は、コネキシン45の細胞外ループ(E1およびE2)に関して示されるコネキシン45に対するペプチド阻害剤について記載する。太字のアミノ酸は、コネキシン45の膜貫通領域を対象とする。
【0120】
【表7】

一部の実施形態では、一部のペプチド阻害剤が、既存のギャップジャンクションを破壊することなく、ヘミチャネルを遮断することが好ましい。特定の理論または機構のいかなるものにも拘束されることを望まないが、一部のペプチド模倣剤(例えば、VCYDKSFPISHVR(配列番号23))はまた、ギャップジャンクションの結合解除を引き起こすことなくヘミチャネルを遮断する(Leybeartら、Cell Commun. Adhes.、第10巻、251〜257頁(2003年)を参照されたい)か、または低用量でヘミチャネルを遮断するとも考えられている。例えば、ギャップジャンクションの結合解除を伴わずにヘミチャネルを遮断するには、ペプチドSRPTEKTIFII(配列番号19)もまた用いることができる。ペプチドSRGGEKNVFIV(配列番号107)は、対照配列として用いることができる(DeVrieseら、Kidney Internat.、第61巻、177〜185頁(2002年))。コネキシン45に対するペプチド阻害剤の例は、YVCSRLPCHP (配列番号108)、QVHPFYVCSRL (配列番号109)、FEVGFLIGQYFLY (配列番号110)、GQYFLYGFQVHP (配列番号111)、GFQVHPFYVCSR (配列番号112)、AVGGESIYYDEQ (配列番号113)、YDEQSKFVCNTE (配列番号114)、NTEQPGCENVCY (配列番号115)、CYDAFAPLSHVR (配列番号116)、FAPLSHVRFWVF (配列番号117)およびLIGQY (配列番号118)、QVHPF (配列番号119)、YVCSR (配列番号120)、SRLPC (配列番号121)、LPCHP (配列番号122)およびGESIY (配列番号123)、YDEQSK (配列番号124)、SKFVCN (配列番号125)、TEQPGCEN (配列番号126)、VCYDAFAP (配列番号127)、LSHVRFWVFQ (配列番号128)である。ペプチドは、SRL、PCH、LCP、CHP、IYY、SKF、QPC、VCY、APL、HVRを含む3アミノ酸長だけの場合もあり、例えば、LIQYFLYGFQVHPF (配列番号129)、VHPFYCSRLPCHP (配列番号130)、VGGESIYYDEQSKFVCNTEQPG (配列番号131)、TEQPGCENVCYDAFAPLSHVRF (配列番号132)、AFAPLSHVRFWVFQ (配列番号133)など、より長い場合もある。
【0121】
【表8−1】

【0122】
【表8−2】

ギャップジャンクション調節剤
本明細書に記載の一部の抗コネキシン剤は、細胞内へ、また細胞からの分子の輸送を調節するかまたはこれに影響を及ぼす(例えば、遮断するかまたは阻害する)ことが可能である。したがって、本明細書に記載の一部のギャップジャンクション調節剤は、細胞情報伝達(例えば、細胞間)を調節する。一部のギャップジャンクション調節剤は、細胞の細胞質とペリプラズム腔または細胞外腔との間における分子の伝達を調節するかまたはこれに影響を及ぼす。このような薬剤は一般に、細胞の細胞質と細胞外腔または細胞外組織との間における小分子の交換に独立して関与しうるヘミチャネル(コネクソンとも呼ばれる)を標的とする。したがって、本明細書で提供される化合物は、細胞間(ギャップジャンクションを介する)または細胞と細胞外腔もしくは細胞外組織との間(ヘミチャネルを介する)における結合を直接的または間接的に低下させることが可能であり、細胞から細胞外腔内への分子の輸送の調節は、本発明の一部の化合物および実施形態の範囲内にある。
【0123】
本発明の実施形態では、ギャップジャンクションまたはヘミチャネルを介する分子の通過(例えば、輸送)に対する所望の阻害を誘発することが可能な任意の分子を用いることができる。ギャップジャンクションまたはヘミチャネルを介する分子の通過を調節する化合物はまた、特定の実施形態(例えば、細胞の細胞質から細胞外腔内への分子の通過を調節する実施形態)においても提供される。このような化合物は、ギャップジャンクションの結合解除を伴う場合であれ、伴わない場合であれ、ギャップジャンクションまたはヘミチャネルを介する分子の通過を調節しうる。このような化合物は、例えば、全体的または部分的にギャップジャンクションまたはヘミチャネルの機能または活性を遮断しうる、例えば、結合タンパク質、ポリペプチド、および他の有機化合物を含む。
【0124】
本明細書で用いられる「ギャップジャンクション調節剤」とは、ヘミチャネルまたはギャップジャンクションの活性、機能、または形成を全体的または部分的に防止するか、低下させるか、または調節するこれらの薬剤または化合物を広く含みうる。一部の実施形態において、ギャップジャンクション調節剤は、ヘミチャネルまたはギャップジャンクションの機能を、全体的または部分的に防止するかまたは低下させる。一部の実施形態において、ギャップジャンクション調節剤は、ヘミチャネルまたはギャップジャンクションの全体的または部分的な閉鎖を誘導する。他の実施形態において、ギャップジャンクション調節剤は、ヘミチャネルまたはギャップジャンクションを、全体的または部分的に遮断する。一部の実施形態において、ギャップジャンクション調節剤は、ヘミチャネルまたはギャップジャンクションの開口を、全体的または部分的に低下させるかまたは防止する。一部の実施形態において、ギャップジャンクション調節剤によるギャップジャンクションまたはヘミチャネルの前記遮断または閉鎖は、細胞外腔またはペリプラズム腔への開口チャネルを介する低分子の流動を防止するかまたは低下させることにより、また細胞外腔またはペリプラズム腔からの開口チャネルを介する低分子の流動を防止するかまたは低下させることにより、細胞外ヘミチャネル情報伝達を低下させることも可能であり、これを阻害することも可能である。ヘミチャネルおよび/またはギャップジャンクションの開口を遮断するペプチド模倣剤およびギャップジャンクションリン酸化化合物が現在好ましい。
【0125】
一部の実施形態において、ギャップジャンクション調節剤は、ヘミチャネルまたはギャップジャンクションの活性または機能を防止するか、低下させるか、または変化させる。本明細書で用いられるギャップジャンクションの活性または機能の調節は、ギャップジャンクションの閉鎖、ヘミチャネルの閉鎖、ならびに/またはギャップジャンクションおよび/もしくはヘミチャネルを介する分子もしくはイオンの通過を含みうる。
【0126】
例示的なギャップジャンクション調節剤は、限定なしに述べると、ポリペプチド(例えば、ペプチド模倣剤、抗体、これらの結合フラグメント、および合成構築物)、および他のギャップジャンクション遮断剤、およびギャップジャンクションタンパク質リン酸化剤を含みうる。ギャップジャンクションを閉鎖するのに用いられる例示的な化合物(例えば、コネキシン43のチロシン残基をリン酸化する)は、Jensenらへの米国特許第7,153,822号、米国特許第7,250,397号、および分類された(assorted)特許公報において報告されている。例示的なペプチドおよびペプチド模倣剤は、Greenら、WO2006134494において報告されている。また、Gourdieら、WO2006069181;およびTudorら、WO2003032964も参照されたい。
【0127】
本明細書で用いられる「ギャップジャンクションリン酸化剤」は、ギャップジャンクションまたはヘミチャネルの閉鎖を誘導するために、コネキシンのアミノ酸残基上においてリン酸化を誘導することが可能な薬剤または化合物を含みうる。ギャップジャンクション調節のための例示的なリン酸化部位は、コネキシンタンパク質上における1つもしくは複数のチロシン残基、セリン残基、またはトレオニン残基を含む。一部の実施形態において、リン酸化の調節は、1または複数のコネキシンタンパク質上における1つまたは複数の残基上において生じうる。例示的なギャップジャンクションリン酸化剤は当技術分野において周知であり、例えば、c−Srcチロシンキナーゼまたは他のGタンパク質共役受容体アゴニストを含みうる。Giepmans B(2001年)、J. Biol. Chem.、第276巻、第11号、8544〜8549頁を参照されたい。一実施形態において、1つまたは複数のこれらの残基上におけるリン酸化の調節は、特に、ヘミチャネルの閉鎖によって、ヘミチャネルの機能に影響を及ぼす。別の実施形態において、1つまたは複数のこれらの残基上におけるリン酸化の調節は、特に、ギャップジャンクションの閉鎖によって、ギャップジャンクションの機能に影響を及ぼす。コネキシン43ギャップジャンクションおよびコネキシン43ヘミチャネルの閉鎖を標的とするギャップジャンクションリン酸化剤が好ましい。
【0128】
結合タンパク質(例えば、抗体、抗体フラグメントなど)、ペプチド、ペプチド模倣剤、およびペプチド模倣剤を含むポリペプチド化合物が、適切なギャップジャンクション調節剤である。
【0129】
結合タンパク質は、例えば、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、抗体フラグメント(例えば、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、およびFvフラグメント;単鎖抗体;単鎖Fv;また例えば、特定の抗体または他の結合分子と接触する抗原決定基(すなわち、一般にエピトープと称する分子の部分)に結合可能な結合ドメイン、ヒンジ、CH2ドメインおよびCH3ドメイン、組換え抗体、ならびに抗体フラグメントを含む単鎖結合分子などの単鎖結合分子を含む)を含む。抗体、抗体フラグメントなどを含むこれらの結合タンパク質は、キメラの場合もあり、ヒト化される場合もあり、他の形でこれらが投与される対象においてより低い免疫原性であるよう作製する場合もあり、また、合成する場合もあり、組換えにより作製する場合もあり、発現ライブラリー内において作製する場合もある。本明細書で言及され、かつ/または当技術分野においてより詳細に説明される結合タンパク質などの、当技術分野において公知であるかまたは将来的に発見される任意の結合タンパク質が想定される。例えば、結合タンパク質は、抗体などだけではなく、リガンド、受容体、ペプチド模倣剤、または標的(例えば、コネキシン、コネキシン、ギャップジャンクション、または関連する分子)に結合する他の結合フラグメントもしくは分子(例えば、ファージディスプレイにより作製される)も含む。
【0130】
結合タンパク質は一般に、結合特異性を含むがこれに限定されない所望の特異性、および所望の親和性を有する。親和性は、例えば、約104M−1以上、約106M−1以上、約107M−1以上、約108M−1以上のKaでありうる。約109M−1以上、約1010M−1以上、約1011M−1以上、および約1012M−1以上の親和性など、約108M−1をさらに超える親和性が適する。本発明による結合タンパク質の親和性は、従来の技法、例えば、Scatchardら(1949年)、Ann. N.Y. Acad. Sci.、第51巻、660頁により説明される技法を用いて容易に決定することができる。
【0131】
本発明は、ギャップジャンクションおよびヘミチャネルを調節するペプチド(1および複数のペプチド模倣剤を含む)の使用を含む。ヒドロパシープロットから得られるデータを用いることにより、コネキシンは、4つの膜貫通領域および2つの短い細胞外ループを含有すると仮定されている。コネキシンの第1および第2の細胞外領域の配置は、分離されたギャップジャンクション上における対応するエピトープの免疫学的局在決定に用いられる抗ペプチド抗体の作製報告によりさらに特徴づけられた(Goodenough D.A.(1988年)、J Cell Biol、第107巻、1817〜1824頁; Meyer R.A.(1992年)、J Cell Biol、第119巻、179〜189頁)。
【0132】
ペプチドまたはこれらの変異体は、例えば、固相ペプチド合成法によっても、酵素触媒ペプチド合成によっても、組換えDNA法を援用しても、in vitroで合成することができる。固相ペプチド合成法は確立されて広く用いられている方法であり、以下:Stewartら(1969年)、「Solid Phase Peptide Synthesis」、W. H. Freeman Co.、San Francisco; Merrifield(1963年)、J. Am. Chem. Soc.、第85巻、2149頁; Meienhofer、「Hormonal Proteins and Peptides」、C.H. Li編、第2巻(Academic Press、1973年)、48〜267頁; ならびにBavaayおよびMerrifield、「The Peptides」、E. GrossおよびF. Meienhofer編、第2巻(Academic Press、1980年)、3〜285頁などの参考文献中において説明されている。これらのペプチドは、免疫親和性カラムまたはイオン交換カラム上における分画;エタノール沈殿;逆相HPLC;シリカまたはDEAEなどの陰イオン交換樹脂上におけるクロマトグラフィー;クロマトフォーカシング;SDS−PAGE;硫酸アンモニウム沈殿;例えば、Sephadex G−75を用いるゲル濾過;リガンド親和性クロマトグラフィー;または非極性溶媒もしくは非極性/極性溶媒の混合物からの結晶化もしくは沈殿によりさらに精製することができる。結晶化または沈殿による精製が好ましい。
【0133】
隣接する2つの細胞が寄与するヘミチャネルの細胞外ドメインが互いに「結合」して、完全なギャップジャンクションチャネルが形成される。これらの細胞外ドメインの相互作用に干渉する試薬は、細胞間情報伝達を損なうかまたは細胞外環境に対するヘミチャネルの開口を損なうことが可能である。
【0134】
ギャップジャンクション調節剤は、コネキシン(例えば、コネキシン45、43、26、30、31.1、および37)の膜貫通領域(例えば、第1〜第4)に対応するアミノ酸配列を含むペプチドを含む。コネキシン43の膜貫通領域の一部に対応するアミノ酸配列を含むペプチドを含むギャップジャンクション調節剤が、本発明における使用に好ましい。
【0135】
ギャップジャンクション調節剤は、コネキシン45の膜貫通領域の一部に対応するアミノ酸配列を含むペプチドを含みうる。ギャップジャンクション調節剤は、配列番号13の約5〜20の連続アミノ酸を含むアミノ酸配列を有するペプチド、配列番号13の約8〜15の連続アミノ酸を含むアミノ酸配列を有するペプチド、または配列番号13の約11〜13の連続アミノ酸を含むアミノ酸配列を有するペプチドを含む。他の実施形態は、配列番号13の少なくとも約5、少なくとも約6、少なくとも約7、少なくとも約8、少なくとも約9、少なくとも約10、少なくとも約11、少なくとも約12、少なくとも約13、少なくとも約14、少なくとも約15、少なくとも約20、少なくとも約25、または少なくとも約30の連続アミノ酸を含むアミノ酸配列を有するペプチドであるギャップジャンクション調節化合物を対象とする。本明細書で提供される一部のギャップジャンクション調節剤では、配列番号13の位置46〜75および199〜228にあるアミノ酸に対応するコネキシン45の細胞外ドメインを用いて、特定のペプチド配列を開発することができる。本明細書に記載の一部のペプチドは、配列番号13の位置46〜75および199〜228にある領域に対応するアミノ酸配列を有する。ペプチドは、配列番号13のこれらの部分と同一のアミノ酸配列を有する必要はなく、ペプチドが結合活性または機能活性を保持するような保存的アミノ酸変化を作製することができる。代替的に、ペプチドは、細胞外ドメイン以外のコネキシンタンパク質の領域(例えば、位置46〜75および199〜228に対応しない配列番号13の部分)も標的としうる。
【0136】
また、適切なギャップジャンクション調節剤は、コネキシン43の膜貫通領域の一部に対応するアミノ酸配列を含むペプチドも含みうる。ギャップジャンクション調節剤は、配列番号14の約5〜20の連続アミノ酸を含むアミノ酸配列を有するペプチド、配列番号14の約8〜15の連続アミノ酸を含むアミノ酸配列を有するペプチド、または配列番号14の約11〜13の連続アミノ酸を含むアミノ酸配列を有するペプチドを含む。他のギャップジャンクション調節剤は、配列番号14の少なくとも約5、少なくとも約6、少なくとも約7、少なくとも約8、少なくとも約9、少なくとも約10、少なくとも約11、少なくとも約12、少なくとも約13、少なくとも約14、少なくとも約15、少なくとも約20、少なくとも約25、または少なくとも約30の連続アミノ酸を含むアミノ酸配列を有するペプチドを含む。他のギャップジャンクション調節剤は、配列番号14の位置37〜76および178〜208にあるアミノ酸に対応するコネキシン43の細胞外ドメインを含む。ギャップジャンクション調節剤は、配列番号14の位置37〜76および178〜208にある領域に対応するアミノ酸配列を有する、本明細書に記載のペプチドを含む。ペプチドは、配列番号14のこれらの部分と同一のアミノ酸配列を有する必要はなく、ペプチドが結合活性または機能活性を保持するような保存的アミノ酸変化を作製することができる。代替的に、ペプチドは、細胞外ドメイン以外のコネキシンタンパク質の領域(例えば、位置37〜76および178〜208に対応しない配列番号14の部分)も標的としうる。
【0137】
さらに他の抗コネキシン剤は、コネキシンカルボキシ末端ポリペプチドを含む。Gourdieら、WO2006/069181を参照されたい。
【0138】
ギャップジャンクション改変剤:他の抗コネキシン剤
ギャップジャンクション調節剤は、ギャップジャンクションおよび/またはヘミチャネルを閉鎖もしくは遮断するか、またはギャップジャンクションを介する細胞間情報伝達を別の形で防止するかもしくは低下させるか、またはヘミチャネルを介する細胞外環境への細胞の情報伝達を別の形で防止するかもしくは低下させる薬剤を含む。これらは、ヘミチャネルまたはギャップジャンクションの活性、機能、または形成を、全体的または部分的に防止するか、低下させるか、または阻害する薬剤または化合物を含む。
【0139】
一部の実施形態において、ギャップジャンクション調節剤は、ヘミチャネルまたはギャップジャンクションの全体的または部分的な閉鎖を誘導する。他の実施形態において、ギャップジャンクション改変剤は、ヘミチャネルまたはギャップジャンクションを、全体的または部分的に遮断する。一部の実施形態において、ギャップジャンクション改変剤は、ヘミチャネルまたはギャップジャンクションの開口を、全体的または部分的に低下させるかまたは防止する。
【0140】
一部の実施形態において、ギャップジャンクション改変剤によるギャップジャンクションまたはヘミチャネルの前記遮断または閉鎖は、細胞外腔またはペリプラズム腔への開口チャネルを介する低分子の流動を防止するかまたは低下させることにより、、また細胞外腔またはペリプラズム腔からの開口チャネルを介する低分子の流動を防止するかまたは低下させることにより、細胞外ヘミチャネル情報伝達を低下させることも可能であり、これを阻害することも可能である。
【0141】
ヘミチャネルまたはギャップジャンクションを閉鎖するのに用いられるギャップジャンクション改変剤(例えば、コネキシン43のチロシン残基をリン酸化する)は、Jensenらへの米国特許第7,153,822号、米国特許第7,250,397号、および分類された特許公報において報告されている。例えば、ZO−1タンパク質の結合を阻害すると言われるコネキシンカルボキシ末端ポリペプチドに関しては、Gourdieら、WO2006069181もまた参照されたい。Gourdieら、WO2006069181は、このようなペプチドを含む製剤の使用について説明している。
【0142】
本明細書で用いられる「ギャップジャンクションリン酸化剤」は、ギャップジャンクションまたはヘミチャネルの閉鎖を誘導するために、コネキシンのアミノ酸残基上においてリン酸化を誘導することが可能な薬剤または化合物を含みうる。例示的なリン酸化部位は、コネキシンタンパク質上における1つもしくは複数のチロシン残基、セリン残基、またはトレオニン残基を含む。一部の実施形態において、リン酸化の調節は、1または複数のコネキシンタンパク質上における1つまたは複数の残基上において生じうる。例示的なギャップジャンクションリン酸化剤は当技術分野において周知であり、例えば、c−Srcチロシンキナーゼまたは他のGタンパク質共役受容体アゴニストを含みうる。Giepmans B, J. Biol. Chem.、第276巻、第11号、8544〜8549頁、2001年3月16日を参照されたい。一実施形態において、1つまたは複数のこれらの残基上におけるリン酸化の調節は、特に、ヘミチャネルの閉鎖によって、ヘミチャネルの機能に影響を及ぼす。別の実施形態において、1つまたは複数のこれらの残基上におけるリン酸化の調節は、特に、ギャップジャンクションの閉鎖によって、ギャップジャンクションの機能に影響を及ぼす。コネキシン43ギャップジャンクションおよびコネキシン43ヘミチャネルの閉鎖を標的とするギャップジャンクションリン酸化剤が好ましい。
【0143】
さらに他の抗コネキシン剤は、コネキシンカルボキシ末端ポリペプチドを含む。Gourdieら、WO2006/069181を参照されたい。
【0144】
ある別の態様において、ギャップジャンクション改変剤は、例えば、脂肪族アルコール;オクタノール;ヘプタノール;麻酔剤(例えば、ハロタン)、エトレン、フルオタン、プロポフォール、およびチオペンタール;アナンダミド;アリールアミノベンゾアート(FFA:親油性であるフルフェナム酸および類似の誘導体);カルベンオキソロン;カルコン(2’,5’−ジヒドロキシカルコン);CHF(クロロヒドロキシフラノン);CMCF(3−クロロ−4−(クロロメチル)−5−ヒドロキシ−2(5H)−フラノン);デキサメタゾン;ドキソルビシン(および他のアントラキノン誘導体);エイコサノイドであるトロンボキサンA(2)(TXA(2))模倣剤;NO(一酸化窒素);脂肪酸(例えば、アラキドン酸、オレイン酸、およびリポキシゲナーゼ代謝物);フェナム酸(フルフェナム酸(FFA)、ニフルミン酸(NFA)、およびメクロフェナム酸(MFA));ゲニステイン;グリチルレチン酸(GA):18a−グリチルレチン酸および18−β−グリチルレチン酸、ならびにこれらの誘導体;リンダン;リゾホスファチジン酸;メフロキン;メナジオン;2−メチル−1,4−ナフトキノン、ビタミンK(3);ナフェノピン;オカダ酸;オレアミド;オレイン酸;PH、細胞内酸性化によるゲーティング、例えば、酸性化剤;多価不飽和脂肪酸;脂肪酸GJIC阻害剤(例えば、オレイン酸およびアラキドン酸);キニジン;キニーネ;全 トランス−レチノイン酸;およびタモキシフェンを含みうる。
【0145】
剤形および製剤ならびに投与
治療有効量の各組合せパートナー(例えば、抗コネキシンポリヌクレオチド、および抗コネキシンペプチド、または抗コネキシンペプチド模倣剤)は、同時投与、個別投与、または逐次投与が可能であり、しかも任意の順序で可能である。薬剤は、個別投与される場合もあり、固定の組合せとして投与される場合もある。固定の組合せとして投与されない場合、好ましい方法は、物理的にまたは創傷の治療の過程において、1または複数の薬剤が単独で投与される場合、すなわち、それらが組み合わせて投与されない場合に用いられる量または用量よりも少ない量または用量でそれらの一方または両方が供給される、1または複数の抗コネキシンポリヌクレオチド、および1もしくは複数の抗コネキシンペプチドまたは抗コネキシンペプチド模倣剤の逐次的投与を含む。投与される薬剤のこのような低量は、単独で投与される場合の該薬剤の1つの量または複数の量の約20分の1〜約10分の1であることが典型的であり、単独で投与される場合の量の約8分の1、単独で投与される場合の量の約6分の1、単独で投与される場合の量の約5分の1、単独で投与される場合の量の約4分の1、単独で投与される場合の量の約3分の1、および単独で投与される場合の量の約2分の1であってよい。薬剤は、互いから少なくとも約30分以内に逐次投与されることが好ましい。薬剤はまた、互いから約1時間以内に投与することもでき、互いから約1日〜約1週間以内に投与することもでき、適切であるとみなされる他の形で投与することもできる。抗コネキシンペプチドまたは抗コネキシンペプチド模倣剤、例えば、ヘミチャネルの開口を遮断するかまたは低下させうる抗コネキシン剤は、例えば、コネキシンタンパク質発現の下方調節により、コネキシン発現またはヘミチャネルの形成もしくはギャップジャンクションの形成を遮断するかまたは低下させる抗コネキシン剤の投与よりも前に投与されることが好ましい。1または複数の抗コネキシン剤は、(1または複数の)抗コネキシン43剤であることが好ましい。
【0146】
本発明の薬剤は、本明細書で言及される疾患または状態のいずれかを有する対象など、治療を必要とする対象に投与することができる。こうして、対象の状態を改善することができる。したがって、抗コネキシン剤は、治療による対象の身体の処置に用いることができる。これらは、本明細書で言及される状態のいずれかを治療する薬剤の製造において用いることができる。したがって、本発明により、細胞間情報伝達を一過性の様式および部位特異的な様式で下方調節しうる製剤が提供される。
【0147】
抗コネキシン剤は、実質的に単離形態で存在しうる。生成物は、生成物の意図される目的に干渉しない担体または希釈剤と混合することができ、これをなおも実質的に単離状態にあるとみなしうることが理解される。本発明の生成物はまた、実質的に精製形態の場合もあり、この場合、生成物は一般に、ポリヌクレオチド(または他の抗コネキシン剤)の、または調製物の乾燥質量の、約80%、85%、または90%、例えば、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%を含む。
【0148】
意図される投与の経路に応じて、本発明の医薬品、医薬組成物、組合せ調製物、および薬剤は、例えば、溶液、懸濁液、点滴、軟膏剤(salves)、クリーム、ゲル、泡沫、軟膏(ointment)、エマルジョン、ローション、ペイント、持続放出製剤、または粉末の形態をとる可能性があり、(1または複数の)有効成分の約0.1%〜95%を含有することが典型的であり、(1または複数の)有効成分の約0.2%〜70%を含有することが好ましい。他の適切な製剤は、プロニックゲルベースの製剤、カルボキシメチルセルロース(CMC)ベースの製剤、およびヒドロキシプロピルメチルセルロース(hyroxypropylmethylcellulose)(HPMC)ベースの製剤を含む。プルロニックゲルを含む適切な製剤は、例えば、約10〜約15パーセント、適切には約12パーセントのプルロニックゲルを有する。他の有用な製剤は、徐放調製物または遅延放出調製物を含む。
【0149】
ゲルまたはゼリーは、ゼラチン、トラガカント、またはセルロース誘導体を含むがこれらに限定されない適切なゲル化剤を用いて作製することができ、保湿剤、皮膚軟化剤、および防腐剤としてグリセロールを含みうる。軟膏は、脂肪基剤、蝋基剤、または合成基剤中に組み込まれた有効成分からなる半固体調製物である。適切なクリームの例は、油中水エマルジョンおよび水中油エマルジョンを含むがこれらに限定されない。油中水クリームは、セチルアルコールまたはセトステアリルアルコールなどの脂肪族アルコールによる乳化剤および乳化蝋と類似するがこれらに限定されない特性を有する適切な乳化剤を用いて調合することができる。水中油クリームは、セトマクロゴール乳化蝋などの乳化剤を用いて調合することができる。適切な特性は、エマルジョンの粘稠度を変化させる能力、および広範なpHにわたる物理および化学の両面における安定性を含む。水溶性または混和性のクリーム基剤は、防腐剤系を含有する場合があり、また、許容される生理学的なpHを維持するように緩衝化することもできる。
【0150】
泡沫調製物は、不活性の噴霧剤を用いる適切なアプリケーターにより、加圧エアゾールキャニスターから送達するように調合することができる。泡沫基剤の製剤に適する賦形剤は、プロピレングリコール、乳化蝋、セチルアルコール、およびステアリン酸グリセリルを含むがこれらに限定されない。潜在的な防腐剤は、メチルパラベンおよびプロピルパラベンを含む。
【0151】
本発明の薬剤を薬学的に許容される担体または希釈剤と組合せて、医薬組成物を作製することが好ましい。適切な担体および希釈剤は、等張性の食塩液、例えば、リン酸塩緩衝化食塩液を含む。適切な希釈剤および賦形剤はまた、例えば、水、食塩液、デキストロース、グリセロールなど、およびこれらの組合せ物も含む。加えて、所望の場合、保湿剤または乳化剤、安定化剤またはph緩衝剤などの物質もまた存在しうる。
【0152】
「薬学的に許容される担体」という用語は、組成物を投与される個体に有害な抗体の生成をそれ自体では誘導せず、不適切な毒性なしに投与しうる任意の薬学的な担体を指す。適切な担体は、タンパク質、多糖、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリマーアミノ酸、およびアミノ酸コポリマーなどの大型でゆっくりと代謝される高分子でありうる。
【0153】
例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩などのような鉱酸塩、および酢酸塩、プロピオン酸塩、マロン酸塩、安息香酸塩などの有機酸塩など、薬学的に許容される塩もまた存在しうる。
【0154】
適切な担体物質は、局所投与用のクリーム、ローション、ゲル、エマルジョン、ローション、またはペイントのための基剤として一般に用いられる任意の担体またはビークルを含む。例は、乳化剤、炭化水素による基剤を含む不活性担体、乳化基剤、非毒性溶媒、または水溶性の基剤を含む。特に適切な例は、プルロニック、HPMC、CMC、および他のセルロース基剤の成分、ラノリン、硬質パラフィン、液体パラフィン、軟質黄色パラフィン、または軟質白色パラフィン、白色蜜蝋、黄色蜜蝋、セトステアリルアルコール、セチルアルコール、ジメチコーン、乳化蝋、ミリスチン酸イソプロピル、微晶質蝋、オレイルアルコール、およびステアリルアルコールを含む。
【0155】
薬学的に許容される担体またはビークルは、ゲルであることが好ましく、非イオン性ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマーゲル、例えば、プルロニックゲル、好ましくはPluronic F−127(BASF Corp.)であることが適切である。このゲルは、低温では液体であるが、生理学的温度では急速に固まり、これにより、薬剤の放出が適応部位またはその部位にすぐの近接部位に限定されるので特に好ましい。
【0156】
カゼイン、ゼラチン、アルブミン、膠、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、またはポリビニルアルコールなどの補助剤もまた、本発明の製剤中に組み入れることができる。
【0157】
他の適切な製剤は、プロニックゲル基剤の製剤、カルボキシメチルセルロース(CMC)基剤の製剤、およびヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)基剤の製剤を含む。組成物は、局所投与、点滴投与、非経口投与、筋肉内投与、皮下投与、または経皮投与を含む、任意の所望の送達形態に応じて調合することができる。他の有用な製剤は、徐放調製物または遅延放出調製物を含む。
【0158】
抗コネキシン剤が、ポリヌクレオチドなどの核酸である場合、哺乳動物細胞による核酸の取込みは、複数種の公知のトランスフェクション法、例えば、トランスフェクション剤の使用を含むトランスフェクション法により増強される。このような技法は、ポリヌクレオチドを含む一部の抗コネキシン剤と共に用いることができる。投与される製剤は、このようなトランスフェクション剤を含有しうる。これらの薬剤の例は、陽イオン剤(例えば、リン酸カルシウムおよびDEAEデキストラン)およびリポフェクション剤(例えば、lipofectam(商標)およびtransfectam(商標))、ならびに界面活性剤を含む。
【0159】
抗コネキシン剤がポリヌクレオチドを含む場合、製剤がポリヌクレオチドの細胞透過を補助する界面活性剤をさらに含むか、または製剤が任意の適切な充填剤を含有すると好都合である。DMSOなど、任意の適切な無毒性界面活性剤を組み入れることができる。代替的に、尿素などの経皮透過剤も組み入れることができる。
【0160】
所与の対象または状態に対して有効な用量は、日常的な実験または当技術分野において公知であるかもしくは将来的に開発される他の方法により決定することができる。例えば、ある範囲の用量値を調合するために、細胞培養アッセイおよび動物試験を用いることができる。このような化合物の用量は、集団の少なくとも50%に対して治療的に有効な用量内にあり、このレベルにおいてほとんどまたはまったく毒性を示さないことが好ましい。
【0161】
本発明の方法および組成物において用いられる各抗コネキシン剤の有効用量は、用いられる1または複数の特定の抗コネキシン剤、組合せのパートナー、投与方式、投与頻度、治療される状態、治療される状態の重症度、投与経路、治療される患者部分集団の必要、またはその患者の異なる必要がその患者に特異的な年齢、性別、体重、関連する治療状態に起因しうる個々の患者の必要を含むいくつかの因子に応じて異なりうる。
【0162】
患者に抗コネキシン剤が投与される場合の用量は、患者の年齢、体重、および全般的な状態、治療される状態、ならびに投与される特定の抗コネキシン剤などの、各種の因子に依存する。
【0163】
抗コネキシン剤の適切な治療有効用量は、約0.01〜約0.4mg/kg体重など、約0.001〜約1mg/kg体重でありうる。しかし、適切な用量は、約0.01〜約0.050mg/kg体重など、約0.001〜約0.1mg/kg体重でありうる。
【0164】
約1〜100、100〜200、100〜300または200〜300、100〜400または200〜400または300〜400、および100〜500または200〜500または300〜500または400〜500マイクログラムの治療有効用量の抗コネキシン剤が適切である。約1〜1000マイクログラムの用量もまた適切である。最大2ミリグラムの用量もまた用いることができる。1または複数の抗コネキシン剤が包帯材の形態で提供される場合、用量は適切な形で調整され、所望の総用量投与を維持するよう上方に調整されることが典型的である。
【0165】
代替的に、抗コネキシンオリゴヌクレオチドまたは抗コネキシンペプチド模倣剤の場合、組成物中における各ギャップジャンクション調節剤の用量は、それが適用される領域のサイズ、長さ、深さ、面積、または容積に対する組成物の濃度を基準として決定することができる。例えば、一部の局所適用において、医薬組成物の用量は、医薬組成物の質量(例えば、グラム)または適用領域の長さ、深さ、面積、もしくは容積当たりの医薬組成物の濃度(例えば、μg/ul)に基づいて計算することができる。有用な用量は、創傷サイズの平方センチメートル当たり約1〜約10マイクログラムの範囲にある。一部の用量は、創傷サイズの平方センチメートル当たり約1〜2、約1〜5、約2〜4、約5〜7、および約8〜10マイクログラムである。他の有用な用量は、創傷サイズの平方センチメートル当たり約10マイクログラムを超え、創傷サイズの平方センチメートル当たり少なくとも約15マイクログラム、創傷サイズの平方センチメートル当たり少なくとも約20マイクログラム、創傷サイズの平方センチメートル当たり少なくとも約25マイクログラム、創傷サイズの平方センチメートル当たり約30マイクログラム、創傷サイズの平方センチメートル当たり少なくとも約35マイクログラム、創傷サイズの平方センチメートル当たり少なくとも約40マイクログラム、創傷サイズの平方センチメートル当たり少なくとも約50マイクログラム、および創傷サイズの平方センチメートル当たり少なくとも約100〜少なくとも約150マイクログラムを含む。他の用量は、平方センチメートル当たり約150〜200マイクログラム、平方センチメートル当たり約200〜250マイクログラム、平方センチメートル当たり約250〜300マイクログラム、平方センチメートル当たり約300〜350マイクログラム、平方センチメートル当たり約350〜400マイクログラム、および平方センチメートル当たり約400〜500マイクログラムを含む。
【0166】
一部の実施形態において、抗コネキシン剤組成物は、治療部位および/または治療部位に隣接して、約0.01マイクロモル(μM)または0.05μM〜約200μM、 または最大300μM、または最大1000μM、または最大2000μM、または最大3200μM以上の最終濃度、およびこれらの用量数値内にある任意の用量および用量範囲で適用することができる。アンチセンスポリヌクレオチド組成物は約0.05μM〜約100μMの最終濃度で適用されることが好ましく、抗コネキシン剤組成物は約1.0μM〜約50μMの最終濃度で適用されることがより好ましく、抗コネキシン剤組成物は約5〜10μM〜約30〜50μMの最終濃度で適用されることがより好ましい。加えて、組合わされた抗コネキシン剤組成物は約8μM〜約20μMの最終濃度で適用され、また代替的に、抗コネキシン剤組成物は約10μM〜約20μMの最終濃度、または約10〜約15μMの最終濃度で適用される。他の一部の実施形態において、抗コネキシン剤は、約10μMの最終濃度で適用される。さらに別の実施形態において、抗コネキシン剤組成物は、約1〜15μMの最終濃度で適用される。他の実施形態において、抗コネキシン剤は、約20μM、30μM、40μM、50μM、60μM、70μM、80μM、90μM、100μM、10〜200μM、200〜300μM、300〜400μM、400〜500μM、500〜600μM、600〜700μM、700〜800μM、800〜900μM、900〜1000、または1000〜1500μM、または1500μM〜2000μM、または2000μM〜3000μM以上で適用される。
【0167】
抗コネキシン剤の投与量は、例えば、約0.1〜1、1〜2、2〜3、3〜4、または4〜5マイクログラム(μg)、約5〜約10μg、約10〜約15μg、約15〜約20μg、約20〜約30μg、約30〜約40μg、約40〜約50μg、約50〜約75μg、約75〜約100μg、約100μg〜約250μg、および250μg〜約500μgを含む。上記で言及した通り、0.5〜約1.0ミリグラム以上の投与量もまた提供される。投与容量は治療される部位のサイズに依存し、例えば、約25〜100μL〜約100〜200μL、約200〜500μL〜約500〜1000μLの範囲でありうる。より大きな治療部位には、ミリリットル用量もまた適切である。
【0168】
さらに他の用量は、本明細書に記載の各薬剤に対して、1日当たり約1ナノグラム(ng)/kg体重〜約1mg/kg体重のレベルである。一部の実施形態において、各対象化合物の用量は一般に、kg体重当たり約1ng〜約1マイクログラム、kg体重当たり約1ng〜約0.1マイクログラム、kg体重当たり約1ng〜約10ng、kg体重当たり約10ng〜約0.1マイクログラム、kg体重当たり約0.1マイクログラム〜約1マイクログラム、kg体重当たり約20ng〜約100ng、kg体重当たり約0.001mg〜約0.01mg、kg体重当たり約0.01mg〜約0.1mg、またはkg体重当たり約0.1mg〜約1mgの範囲である。一部の実施形態において、各対象化合物の用量は一般に、kg体重当たり約0.001mg〜約0.01mg、kg体重当たり約0.01mg〜約0.1mg、kg体重当たり約0.1mg〜約1mgの範囲である。複数種の抗コネキシン剤を用いる場合、各抗コネキシン剤の用量は、他方の用量と同じ範囲である必要はない。例えば、1種の抗コネキシン剤の用量はkg体重当たり約0.01mg〜約10mgの可能性があり、別の抗コネキシン剤の用量はkg体重当たり約0.1mg〜約1mgの可能性がある。
【0169】
本明細書で言及されるすべての用量および用量範囲は、例えば、抗コネキシンオリゴヌクレオチドに適用可能である。これらの用量範囲はまた、例えば、抗コネキシンペプチド、抗コネキシン模倣ペプチド、および抗コネキシンペプチド模倣剤にも適用可能である。
【0170】
抗コネキシン剤は、投与後少なくとも約0.5〜1時間、少なくとも約1〜2時間、少なくとも約2〜4時間、少なくとも約4〜6時間、少なくとも約6〜8時間、少なくとも約8〜10時間、少なくとも約12時間、または少なくとも約24時間にわたってコネキシンタンパク質の発現を下方調節するか、またはギャップジャンクションの形成もしくはコネクソン(connexin)の開口を調節するのに十分な量で投与されると好都合である。
【0171】
対象発明の組成物および方法における各抗コネキシン剤の用量はまた、それが適用される領域のサイズ、長さ、深さ、面積、または容積に対する組成物の濃度を基準として決定することもできる。例えば、一部の局所適用および他の適用、例えば、点滴において、医薬組成物の用量は、医薬組成物の質量(例えば、マイクログラム)または適用領域の長さ、深さ、面積、もしくは容積当たりの医薬組成物の濃度(例えば、μg/ul)に基づいて計算することができる。
【0172】
本明細書で言及される通り、組合せで投与される抗コネキシンポリヌクレオチド、抗コネキシンペプチドもしくは抗コネキシンペプチド模倣剤、またはこれらの一方もしくは両方との組合せで投与される他の抗コネキシン剤の用量は、単独で施される場合に投与される用量よりも下方に調整することができる。
【0173】
複数種の薬剤を組み合わせて用いることにより、異なる薬剤の効果の発生および持続が補完的となりうるため、任意の個々の薬剤に対して必要とされる用量を低減することができる。好ましい実施形態において、2つ以上の抗コネキシン剤を組み合わせて用いると、相加効果、相乗効果、または超相加効果が得られる。
【0174】
場合によって、1または複数の抗コネキシンポリヌクレオチド、および1もしくは複数の抗コネキシンペプチドまたは抗コネキシンペプチド模倣剤、あるいはこれらの一方との組合せで投与されるかまたはこれらの両方との組合せで投与される他の抗コネキシン剤を組み合わせると、相加効果が得られる。他の場合において、組合せは、相加を超える効果を有しうる。本明細書では、このような効果を「超相加(supra−additive)」効果と称し、これは、相乗的であるかまたは強化された相互作用に起因する可能性がある。
【0175】
「創傷治癒の超相加的促進」という用語は、1または複数の抗コネキシンポリヌクレオチド、および1もしくは複数の抗コネキシンペプチドまたは抗コネキシンペプチド模倣剤、あるいはこれらの一方との組合せで投与されるかまたはこれらの両方との組合せで投与される他の抗コネキシン剤の組合せを投与することによる癒着形成における軽減の和が、いずれかの薬剤を単独で個別に投与することによる癒着形成における軽減の和よりも統計学的に有意に高度であることを指す。1または複数の抗コネキシンポリヌクレオチド、および1もしくは複数の抗コネキシンペプチドまたは抗コネキシンペプチド模倣剤、あるいはこれらの一方との組合せで投与されるかまたはこれらの両方との組合せで投与される他の抗コネキシン剤の組合せ投与によりもたらされるものが、個々の化合物について予測される加算値よりも「統計学的に有意に高度」であるかどうかは、本明細書に記載され、かつ/または当業者により公知である各種の統計学的方法により判定することができる。「相乗的」という用語は、抗コネキシンポリヌクレオチド、および抗コネキシンペプチドもしくは抗コネキシンペプチド模倣剤の両方、またはこれらの一方との組合せでもしくはこれらの両方との組合せで投与される他の抗コネキシン剤が、癒着形成を予防または軽減する能力を個別に有する、超相加的阻害の種類を指す。「強化された」という用語は、抗コネキシンポリヌクレオチド、抗コネキシンペプチドもしくは抗コネキシンペプチド模倣剤、またはこれらの一方との組合せでもしくはこれらの両方との組合せで投与される他の抗コネキシン剤の一つが、癒着形成を予防または軽減する増大した能力を個別にもつ、超相加的効果の種類を指す。
【0176】
一般に、それらの治療群それぞれにおいて個々の治療によりもたらされる平均癒着形成の軽減の合計と比較した場合、組合せ治療が、治療群において統計学的に有意に超相加的な平均癒着形成の軽減をもたらすかどうかを判定することにより強化を評価することができる。平均癒着形成の軽減は、対照群の平均癒着形成の軽減と、治療群の癒着形成の軽減との間の差として計算することができる。癒着形成の軽減率である「作用率(fraction affected)」(Fa)は、治療群における平均癒着形成の軽減を、対照群における平均癒着形成の軽減で除することにより計算することができる。統計学的に有意な強化に対する検定は、各治療群に対するFaの計算を必要とする。組合せ治療に対して予測される相加Faは、組合せのいずれかのエレメントを投与される群に由来する平均Faの合計であると理解することができる。例えば、1試料による両側T検定を用いて、実験により得られる結果が偶然だけに起因する可能性はどの程度であるかを、p値による測定の形で評価することができる。0.05未満のp値は統計学的に有意である、すなわち、偶然だけに起因する可能性は低いと考えられる。したがって、組合せの結果として強化された超相加効果がもたらされるとみなすために、組合せ治療群に対するFaは、単一エレメントによる治療群に対して予測される相加Faよりも統計学的に有意に高度でなければならない。
【0177】
組合せ治療から相乗効果がもたらされるかどうかは、中央値効果/組合せ指標によるアイソボログラム法(Chou, T.およびTalalay, P.(1984年)、Ad. Enzyme Reg.、第22巻、27〜55頁)により評価することができる。この方法では、抗コネキシン剤単独に対する、1または複数の薬剤単独に対する、および固定したモル比での2者の組合せに対する中央値効果プロットに由来するパラメータに基づき、異なる用量効果レベルに対する組合せ指数(CI)値を計算する。CI値が&1t;1は相乗効果を示し、CI−1は相加効果を示し、CP1はアンタゴニスト効果を示す。この解析は、CalcuSyn,Windows(登録商標) Software for Dose Effect Analysis(Biosoft(D,Cambridge UK)などのコンピュータソフトウェアツールを用いて実施することができる。
【0178】
組合せ療法について、超相加効果が存在するかどうかを解析するための、当技術分野において公知であるかまたは将来的に開発される任意の方法は、組み合わせて用いるのに適する抗コネキシン剤のスクリーニングにおける使用が意図される。
【0179】
別の好ましい実施形態では、1または複数の抗コネキシンポリヌクレオチドと、1もしくは複数の抗コネキシンペプチドまたは抗コネキシンペプチド模倣剤とを組み合わせて用いることにより、前記薬剤が単独で投与される場合の有効用量と比較して、任意のこのような薬剤の有効用量が低下する。一部の実施形態において、組み合わせて用いられる場合の薬剤の有効用量は、単独で用いられる場合の薬剤用量の約1/15〜約1/2、約1/10〜約1/3、約1/8〜約1/6、約1/5、約1/4、約1/3、または約1/2である。
【0180】
別の好ましい実施形態では、1または複数の抗コネキシンポリヌクレオチド、および1もしくは複数の抗コネキシンペプチドまたは抗コネキシンペプチド模倣剤、あるいはこれらの一方と組み合わせるかまたはこれらの両方と組み合わせる他の抗コネキシン剤とを組み合わせて用いることにより、前記薬剤が単独で投与される場合の頻度と比較して、前記薬剤が投与される頻度が低下する。したがって、これらの組合せにより、所望の治療目標を達成するのにかつて必要とされた場合よりも低量および/または低頻度の投与で、各薬剤を用いることができる。
【0181】
用量は、単一の適用で投与することもでき、分割した適用で投与することもできる。用量は、一度に投与することもでき、適用を反復することもできる。創傷治癒が促進されるまで適用を毎週反復するか、または創傷治癒が遅れるかもしくは停滞する場合には反復適用を行いうることが典型的である。用量は、3〜7日間以上の間隔で適用することができる。慢性創傷の場合、例えば、毎週、もしくは隔週、もしくは毎月、または他の頻度、例えば、創傷治癒が遅れるかもしくは停滞する場合および時点において、反復適用を行うことができる。ある種の眼科使用など一部の適応の場合、最高1時間ごとのより高頻度の投与を用いることができる。
【0182】
1または複数の抗コネキシンポリヌクレオチド、および1もしくは複数の抗コネキシンペプチドまたは抗コネキシンペプチド模倣剤を、同じ経路または異なる経路を介して投与することができる。本発明の各種の薬剤は、治療経過における異なる時点において個別に投与することもでき、組合せ形態を分割して投与することもでき、単一の組合せ形態で同時に投与することもできる。
【0183】
本発明の一態様では、抗コネキシンポリヌクレオチドを1種の組成物で投与し、抗コネキシンペプチドまたは抗コネキシンペプチド模倣剤を第2の組成物で投与する。一実施形態では、1もしくは複数の抗コネキシンペプチドまたは抗コネキシンペプチド模倣剤を含む第1の組成物を、1または複数の抗コネキシンポリヌクレオチドを含む第2の組成物の前に投与する。一実施形態では、1もしくは複数の抗コネキシンペプチドまたは抗コネキシンペプチド模倣剤を含む第1の組成物を、1または複数の抗コネキシンポリヌクレオチドを含む第2の組成物の後に投与する。一実施形態では、1もしくは複数の抗コネキシンペプチドまたは抗コネキシンペプチド模倣剤を含む第1の組成物を、1または複数の抗コネキシンポリヌクレオチドを含む第2の組成物の前および後に投与する。一実施形態では、1または複数の抗コネキシンポリヌクレオチドを含む第2の組成物を、1または複数の抗コネキシンペプチドまたは抗コネキシンペプチド模倣剤を含む第1の組成物の前および後に投与する。一実施形態では、1もしくは複数の抗コネキシンペプチドまたは抗コネキシンペプチド模倣剤を含む第1の組成物を、1または複数の抗コネキシンポリヌクレオチドを含む第2の組成物とほぼ同時に投与する。
【0184】
1または複数の抗コネキシンポリヌクレオチド、および1もしくは複数の抗コネキシンペプチドまたは抗コネキシンペプチド模倣剤、あるいはこれらの一方との組合せで投与されるかまたはこれらの両方との組合せで投与される他の抗コネキシン剤は、固体支持体(包帯材および他のマトリックスなど)および医薬製剤(ゲル、混合物、懸濁液、および軟膏など)を用いる局所投与を含むがこれらに限定されない局所投与(末梢投与または部位への直接投与)により送達されることが好ましい。一実施形態において、固体支持体は、生体適合膜または治療部位内への挿入を含む。別の実施形態において、固体支持体は、包帯材またはマトリックスを含む。本発明の一実施形態において、固体支持体組成物は、1または複数の抗コネキシンポリヌクレオチド、および1もしくは複数の抗コネキシンペプチドまたは抗コネキシンペプチド模倣剤、あるいはこれらの一方との組合せで投与されるかまたはこれらの両方との組合せで投与される他の抗コネキシン剤が、アルギン酸塩、コラーゲン、または合成の生体吸収性ポリマーのマトリックスなどの徐放固体マトリックス中に分散される、徐放の固体支持体組成物でありうる。固体支持体組成物は、無菌であるかまたは低バイオバーデンであることが好ましい。一実施形態では、2つ以上の抗コネキシン剤を含む洗浄液を用いることができる。
【0185】
1または複数の抗コネキシンポリヌクレオチド、および1もしくは複数の抗コネキシンペプチドまたは抗コネキシンペプチド模倣剤、あるいはこれらの一方との組合せで投与されるかまたはこれらの両方との組合せで投与される他の抗コネキシン剤を含む製剤を、ある時間、場合によって、約1〜2時間、約2〜4時間、約4〜6時間、約6〜8時間、または約24時間以上にわたり送達することは、より重度の傷害または状態において特に有利でありうる。場合によって、細胞喪失は、手術部位をはるかに超えて、周囲の細胞にまで拡大しうる。このような喪失は、元の手術から24時間以内に生じる可能性があり、ギャップジャンクションによる細胞間情報伝達またはヘミチャネルの開口によって媒介される。したがって、例えば、コネキシン発現の下方調節、またはコネクソン(connexin)の開口もしくは活性の遮断もしくは阻害のための(1または複数の)抗コネキシン剤の投与により、細胞間情報伝達が調節されるか、またはコネクソン(connexin)調節の場合には細胞外腔内への喪失が調節され、さらなる細胞の喪失もしくは傷害または傷害の帰結が最小化される。
【0186】
下方調節が誘導される部位および所望される治療効果の両方に送達時間が依存する一方で、約0.5〜1時間、約1〜2時間、約2〜4時間、約4〜6時間、約6〜8時間または約24時間以上にわたる連続送達または徐放送達がもたらされる。本発明によれば、これは、1または複数の抗コネキシンポリヌクレオチド、および1もしくは複数の抗コネキシンペプチドまたは抗コネキシンペプチド模倣剤、あるいはこれらの一方と組み合わせるかまたはこれらの両方と組み合わせる他の抗コネキシン剤を、薬学的に許容される担体またはビークルと一体の製剤、特に、連続投与または徐放投与のための製剤の形態で組み入れることにより達成される。
【0187】
言及の通り、本発明の1または複数の薬剤は、例えば、創傷前、創傷の間、創傷直後、または例えば、癒着をもたらす可能性があるか、またはもたらすと推測される手順の後に、創傷後約180日以内、約120日以内、約90日以内、約60日以内、または約30日以内に投与し得るが、好ましくは創傷後約10日以内、約9日以内、約8日以内、約7日以内、約6日以内、約5日以内、約4日以内、約3日以内、または約2日以内に投与し得、最も好ましくは創傷後、または癒着をもたらす可能性があるか、またはもたらすと推測される手順の後に、約24時間以内、約12時間以内、約10時間以内、約9時間以内、約8時間以内、約7時間以内、約6時間以内、約5時間以内、約4時間以内、約3時間以内、約2時間以内、または創傷後約60分以内、約45分以内、約30分以内、約15分以内、約10分以内、約5分以内、約4分以内、約3分以内、約2分以内、約1分以内に投与することができる。1または複数の本発明の薬剤は、癒着をもたらす可能性があるか、またはもたらすと推測される手順の前および/または間に投与してもよい。
【0188】
本発明の薬剤は、所望の結果をもたらす任意の様式で投与できる。好ましい方法には、管周囲投与(手術の際の直接投与、または内視鏡、超音波、CT、MRIもしくは蛍光透視の誘導を用いて);手術移植片の「コーティング」;および手術部位での薬物溶出ポリマー移植片の配置が含まれる。好ましい実施形態において、0.5重量%〜20重量%の抗コネキシン剤(複数可)をポリマー担体に(以下の実施例に記載されるように)装填し、外科的癒着の発生率が軽減するようにある期間にわたって薬物を放出する「ペースト」、「フィルム」または「ラップ」として管周囲(腸管膜)表面に適用される。内視鏡手順の間に、抗コネキシンポリマー調製物は、内視鏡の送達ポートを介して「スプレー」として、手術間に操作される腹部および骨盤の器官の腸管膜に適用してよい。特に好ましい実施形態において、管周囲用組成物は、約0.1重量%〜約5重量%の抗コネキシンポリヌクレオチドである。別の好ましい実施形態において、約0.1%〜約20%以上の抗コネキシン剤を含有するポリマーコーティングを、手術移植片(例えば乳房移植片、人工関節、血管グラフトなど)の表面に適用して、移植片の周囲での被包/不適切な瘢痕形成を予防する。さらに別の好ましい実施形態において、約0.01重量%〜約20重量%以上の抗コネキシン剤を含有するポリマー移植片を、癒着形成が予防または軽減するように手術部位に直接適用する(例えば上顎洞、胸腔、腹腔または神経外科手術間に手術部位に直接)。一実施形態において、1または複数の抗コネキシン剤を、蛍光透視により誘導される関節内注射により投与できる。
【0189】
別の実施形態において、約1〜約100μg/cm(好ましくは約10〜約50μg/cm)の抗コネキシン剤(複数可)を含む洗浄液を、手術のときまたはその直後に用い、手術間または医師により腹腔内に投与する。全ての実施形態において、その他の抗コネキシン剤を、薬剤の能力および許容性について調整した等しい用量で投与する。
【0190】
好ましくは、1もしくは複数の抗コネキシンポリヌクレオチドおよび1もしくは複数の抗コネキシンペプチドまたは抗コネキシンペプチド模倣剤、あるいはこれらのいずれかまたは両方と組み合わせて投与されるその他の抗コネキシン剤は、それらに限定されないが、固体支持体(例えば包帯材およびその他のマトリクス)および医療製剤(例えばゲル、混合物、懸濁剤および軟膏)を用いる局所投与を含む、局所投与により送達される(末梢にまたは部位に直接)。一実施形態において、固体支持体は、生体適合性の膜または治療部位への挿入を含む。別の実施形態において、固体支持体は、包帯材またはマトリクスを含む。本発明の一実施形態において、固体支持体組成物は、1もしくは複数の抗コネキシンポリヌクレオチドおよび1もしくは複数の抗コネキシンペプチドまたは抗コネキシンペプチド模倣剤、あるいはこれらのいずれかまたは両方と組み合わせて投与されるその他の抗コネキシン剤が、アルギン酸塩、コラーゲンまたは合成生体吸収性ポリマーのマトリクスなどの、遅延放出固体マトリクス中に分散されている遅延放出固体支持体組成物であってよい。好ましくは、固体支持体組成物は、滅菌されているかまたは生物汚染度が低い。一実施形態において、2つ以上の抗コネキシン剤を含む洗浄溶液を用いることができる。
【0191】
ある期間、ときには約1〜2時間、約2〜4時間、約4〜6時間、約6〜8または約24時間以上にわたる抗コネキシンペプチドまたは1もしくは複数の抗コネキシンポリヌクレオチドおよび1もしくは複数の抗コネキシンペプチドまたは抗コネキシンペプチド模倣剤、あるいはこれらのいずれかまたは両方と組み合わせて投与されるその他の抗コネキシン剤を含む製剤の送達は、より重篤な傷害または状態において特に有利であろう。細胞の損失が、手順部位を超えて周囲の細胞にまで拡張されることがある。このような損失は、元の手順の24時間以内に起きる場合があり、ギャップジャンクション細胞間連絡またはヘミチャネル開口により媒介される。例えばコネキシン発現の下方制御のため、またはコネキシン解放もしくは活性の遮断または阻害のために抗コネキシン剤(複数可)を投与することは、よって、細胞間の連絡またはコネキシン調節の場合は細胞外空間への損失を調節し、さらなる細胞損失または傷害もしくは傷害の影響を最小限にする。
【0192】
送達期間は、下方制御が誘導される部位、および所望の治療効果の両方に依存するが、約0.5〜1時間、約1〜2時間、約2〜4時間、約4〜6時間、約6〜8、または約24時間以上の連続または遅延放出送達が提供される。本発明によると、このことは、薬学的に許容される担体またはビークルとの製剤、特に連続または遅延放出投与のための製剤の形態中に、1もしくは複数の抗コネキシンポリヌクレオチドおよび1もしくは複数の抗コネキシンペプチドまたは抗コネキシンペプチド模倣剤、あるいはこれらのいずれかまたは両方と組み合わせるその他の抗コネキシン剤を含むことにより達成される。
【0193】
記載されるように、本発明の1または複数の薬剤は、創傷の前、間、直後または手順の後、最も好ましくは例えば創傷の後、または癒着をもたらす可能性があるかもしくはもたらすと推測される手順の後、約24時間以内、約12時間以内、約10時間以内、約9時間以内、約8時間以内、約7時間以内、約6時間以内、約5時間以内、約4時間以内、約3時間以内、約2時間以内、または約60分以内、約45分以内、約30分以内、約15分以内、約10分以内、約5分以内、約4分以内、約3分以内、約2分以内、約1分以内に投与してよい。本発明の1または複数の薬剤は、癒着をもたらす可能性があるかもしくはもたらすと推測される手順の前および/またはその間に投与してもよい。
【0194】
医師により、任意の特定の患者および状態に対して最適な投与経路および用量が決定されるので、本明細書に記載の投与経路および用量は、指針だけのものとして意図される。
【0195】
本明細書で言及または説明される疾患、障害または状態を有する対象を治療する方法および外科的手段の後に対象を治療する方法のいずれかでは、本明細書に記載の用量、剤形、製剤、および/または組成物のいずれかが投与されうる。
【0196】
包帯材およびマトリックス
一態様において、1もしくは複数の抗コネキシンポリヌクレオチドおよび/または1もしくは複数の抗コネキシンペプチドまたは抗コネキシンペプチド模倣剤は、包帯材またはマトリックスの形態で提供される。一部の実施形態では、本発明の1または複数の薬剤が直接的な適用のための液体組成物、半固体組成物、もしくは固体組成物の形態で提供されるか、あるいは組成物が包帯材ガーゼもしくはマトリックスなどの固体接触層の表面へと適用されるか、またはこの中へと組み込まれる。包帯材組成物は、例えば、流体またはゲルの形態で提供することができる。1または複数の抗コネキシンポリヌクレオチド、および1もしくは複数の抗コネキシンペプチドまたは抗コネキシンペプチド模倣剤は、局所適用のための従来の医薬賦形剤と組合せて提供することができる。適切な担体は、プルロニックゲル、ポロキサマーゲル、セルロース誘導体(ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびこれらの混合物を含む)を含有するヒドロゲル;ならびにポリアクリル酸を含有するヒドロゲル(Carbopols)を含む。適切な担体はまた、局所医薬調製物に用いられるクリーム/軟膏、例えば、セトマクロゴール乳化軟膏に基づくクリームも含む。上記の担体は、アルギン酸塩(増粘剤または刺激剤として)、ベンジルアルコールなどの防腐剤、リン酸水素二ナトリウム/リン酸二水素ナトリウムなどのpH調整のための緩衝液、塩化ナトリウムなどの浸透圧を調整するための薬剤、およびEDTAなどの安定化剤を含みうる。
【0197】
既に言及した生物学的マトリックスに加え、適切な包帯材またはマトリックスは、例えば、1または複数の抗コネキシンポリヌクレオチド、および1もしくは複数の抗コネキシンペプチドまたは抗コネキシンペプチド模倣剤(またはこれらの一方もしくは両方と組み合わせて投与される他の抗コネキシン剤)を伴う以下のものを含みうる。
【0198】
1)吸収材:適切な吸収材は、例えば、セルロース、木綿、またはレーヨンなどの高度に吸収性の繊維層と組み合わせた、例えば、半接着質または非接着層をもたらしうる、例えば、吸収性包帯材を含みうる。代替的に、吸収材は、主要な(primary)包帯材または補助的な(secondary)包帯材として用いることができる。
【0199】
2)アルギン酸塩:適切なアルギン酸塩は、例えば、天然の多糖繊維または海藻に由来するキセロゲルからなる不織パッド、非接着パッド、およびリボンである包帯材を含む。適切なアルギン酸塩包帯材は、例えば、滲出物との接触の場合イオン交換過程を介して湿潤ゲルを形成しうる。一部の実施形態において、アルギン酸塩包帯材は、やわらかく快適であり、不規則的な形状をした領域上での填塞、陥入、または適合が容易であるように設計される。一部の実施形態において、アルギン酸塩包帯材は、第2の包帯材と共に用いることができる。
【0200】
3)抗菌包帯材:適切な抗菌包帯材は、例えば、例えば銀およびポリヘキサメチレンビグアニド(PHMB)などの生体活性薬剤の送達を促進して、これが必要であるかまたは望ましい場所で、感染に対する効力を維持しうる包帯材を含みうる。一部の実施形態において、適切な抗菌包帯材は、例えば、スポンジ、浸透化織りガーゼ、フィルム包帯材、吸収性製品、アイランド包帯材、ナイロン繊維、非接着バリア、または材料の組合せとして入手可能でありうる。
【0201】
4)生体物質および生合成物質:適した生体物質包帯材または生合成物質包帯材は、例えば、天然供給源(例えば、ブタまたはウシ)に由来するゲル、溶液、または半透性シートを含みうる。一部の実施形態において、ゲルまたは溶液は、治療部位に適用され、バリア保護のための包帯材により被覆される。別の実施形態では、膜として作用する可能性があり、単回の適用後においてその場に残存する生体物質基剤(例えば、ブタの腸粘膜または膀胱組織)もしくは生合成物質基剤のシートをin situで配置するか、または1もしくは複数、好ましくは2つの抗コネキシン剤を組み入れるように、生体物質包帯材もしくは生合成物質包帯材をあらかじめ調製することができる。
【0202】
5)コラーゲン:適切なコラーゲン包帯材は、例えば、ウシ、ブタ、もしくは鳥類の供給源、または他の天然の供給源もしくはドナーに由来する、例えば、ゲル、パッド、粒子、ペースト、粉末、シート、または溶液を含みうる。一部の実施形態において、コラーゲン包帯材は、治療部位における滲出物と相互作用してゲルを形成しうる。一部の実施形態において、コラーゲン包帯材は、補助的な包帯材と組み合わせて用いることができる。
【0203】
6)複合材料:適切な複合材料包帯材は、例えば、物理的に異なる成分を単一の生成物へと混合して、例えば、細菌バリア、吸収、および接着など複数の機能を提供する包帯材を含みうる。一部の実施形態において、複合材料包帯材は、例えば、複数の層からなり、半接着パッドまたは非接着パッドを組み込む。一部の実施形態において、複合材料はまた、例えば、接着性の輪郭を有する不織布製テープまたは透明フィルムも含む。他の一部の実施形態において、複合材料包帯材は、例えば、主要な包帯材としても補助的な包帯材としても機能することが可能であり、さらに別の実施形態において、包帯材は、局所医薬組成物と組み合わせて用いることができる。
【0204】
7)接触層:適切な接触層包帯材は、例えば、ある領域上に配置されて、例えば、治療部位に適用された他の薬剤または包帯材との直接的な接触から組織を保護する、薄型の非接着シートを含みうる。一部の実施形態において、接触層は、治療部位領域の形状に調和するように配置することができ、また多孔性であるため、透過する滲出物を、上部の補助的な包帯材に吸収させることができる。さらに別の実施形態において、接触層包帯材は、局所医薬組成物と組み合わせて用いることができる。
【0205】
8)弾性包帯:適切な弾性包帯は、例えば、伸縮して身体の外形に調和する包帯材を含みうる。一部の実施形態において、繊維成分は、例えば、木綿、ポリエステル、レーヨン、またはナイロンを含みうる。他の一部の実施形態において、弾性包帯は、例えば、第2層としてのまたは補助的包帯材としての吸収をもたらし、被覆をその場に保持するか、圧力を加えるか、または治療部位にクッションを与えることができる。さらに別の実施形態において、接触層包帯材は、局所医薬組成物と組み合わせて用いることができる。
【0206】
9)発泡体:適切な発泡体包帯材は、例えば、流体の保持が可能な小さな開放セルを有する、発泡ポリマー溶液(ポリウレタンを含む)のシートおよび他の形状を含みうる。例示的な発泡体は、例えば、他の材料と組み合わせて浸透化または層状化することができる。一部の実施形態では、発泡体の厚さおよび組成に基づいて吸収能を調製することができる。他の一部の実施形態において、治療部位と接触する領域は、取り外しを容易とするために非接着性でありうる。さらに別の実施形態において、発泡体は、接着性の輪郭および/または抗感染性バリアとして働きうる透明のフィルムコーティングと組み合わせて用いることができる。
【0207】
10)ガーゼおよび不織包帯材:適切なガーゼ包帯材および織地包帯材は、例えば、吸収性の程度が多様な乾燥織地スポンジまたは吸収性の程度が多様な乾燥不織スポンジおよび吸収性の程度が多様な乾燥織地ラップまたは吸収性の程度が多様な乾燥不織ラップを含みうる。例示的な繊維組成物は、例えば、木綿、ポリエステル、レーヨンを含みうる。一部の実施形態において、ガーゼおよび不織包帯材は、バルクにおいて滅菌の場合であれ非滅菌の場合であれ、また、接着性の輪郭を伴う場合であれ伴わない場合であれ入手可能でありうる。例示的なガーゼ包帯材および不織包帯材は、各種の治療部位を消毒、パッキング、被覆に用いることができる。
【0208】
11)親水コロイド:適切な親水コロイド包帯材は、例えば、ゼラチン、ペクチン、またはカルボキシメチルセルロースからなるウェハー、粉末、またはペーストを含みうる。一部の実施形態において、ウェハーは自己接着性であり、接着性の輪郭を伴う場合であれ伴わない場合であれ入手可能であり、また多種多様な形状およびサイズで入手可能である。例示的なハイドロコロイドは、外形合わせを必要とする領域において有用である。一部の実施形態において、粉末およびペーストの親水コロイドは、第2の包帯材と組み合わせて用いることができる。
【0209】
12)ヒドロゲル(アモルファス):適切なアモルファスヒドロゲル包帯材は、例えば、水分を与え、湿潤性の治癒環境を維持し、治療部位に水分を補給するように設計された、水、ポリマー、および不定形の他の成分による製剤を含みうる。一部の実施形態において、ヒドロゲルは、補助的な包帯材カバーと組み合わせて用いることができる。
【0210】
13)ヒドロゲル:浸透化包帯材:適切な浸透化ヒドロゲル包帯材は、例えば、アモルファスヒドロゲルに浸したガーゼおよび不織スポンジ、ロープ、ならびにストリップを含みうる。アモルファスヒドロゲルは、例えば、乾燥治療部位に水分を与え、湿潤性の治癒環境を維持するように設計された、水、ポリマー、および不定形の他の成分による製剤を含みうる。
【0211】
14)ヒドロゲルシート:適切なヒドロゲルシートは、例えば、水中において不溶性であり、膨潤により水溶液と相互作用する、架橋された親水性ポリマーの三次元ネットワークを含みうる。例示的なヒドロゲルは、高度に適合性でありそして透過性であり、それらの組成に応じて、広範な量のドレナージを吸収できる。一部の実施形態において、ヒドロゲルは、治療部位に対して非接着性であるか、または取り外しが容易であるように処置される。
【0212】
15)浸透化包帯材:適切な浸透化包帯材は、例えば、溶液、エマルジョン、油、ゲル、または例えば、食塩液、油、亜鉛塩、ワセリン、ゼロフォーム(xeroform)、およびスカーレットレッド(scarlet red)のほか、本明細書に記載の化合物を含む、他の一部の薬学的に活性な化合物もしくは担体薬剤に浸したガーゼおよび不織スポンジ、ロープ、ならびにストリップを含みうる。
【0213】
16)シリコンゲルシート:適切なシリコンゲルシート包帯材は、例えば、メッシュまたは布により補強されるかまたはこれに結合した架橋ポリマーからなる軟質カバーを含みうる。
【0214】
17)溶液:適切な液体包帯材は、例えば、細胞外マトリックス中に見出される多タンパク質物質および他のエレメントの混合物を含みうる。一部の実施形態では、デブリドマンおよび洗浄の後において例示的な溶液を治療部位に適用し、次いで、吸収性包帯材または非接着性パッドにより被覆することができる。
【0215】
18)透明フィルム:適切な透明フィルム包帯材は、片面が接着剤によりコーティングされる、多様な厚さのポリマー膜を含みうる。一部の実施形態において、透明フィルムは液体、水、および細菌に対しては不透過性であるが、水蒸気および大気中の気体に対しては透過性である。一部の実施形態では、透明性により、治療部位が視覚化される。
【0216】
19)充填剤:適切な充填剤包帯材は、例えば、ビーズ、クリーム、泡沫、ゲル、軟膏、パッド、ペースト、クッション(pillow)、粉末、ストランド、または他の調合物を含みうる。一部の実施形態において、充填剤は非接着性であり、経時放出型抗菌剤を含みうる。例示的な充填剤は、湿潤環境の維持、滲出物の管理、また、例えば、部分層創傷および全層創傷、感染創傷、排液性創傷、およびパッキングを要する深部創傷の治療に有用でありうる。
【0217】
創傷の組合せ治療
一般的な態様
本発明は、治療有効量の1もしくは複数の抗コネキシンポリヌクレオチド、および1もしくは複数の抗コネキシンペプチドまたは抗コネキシンペプチド模倣剤、あるいは1もしくは複数の抗コネキシンポリヌクレオチドおよび/または抗コネキシンペプチドまたは抗コネキシンペプチド模倣剤と組み合わせた他の抗コネキシン剤を含む医薬組成物およびそれらの使用法を対象とする。組成物は、急性創傷、および慢性創傷などの予測される速度では治癒しない創傷、ならびに従来の創傷治療または創傷治癒促進療法に対して治癒が遅いかあるいは不応な場合もある他の創傷を含む創傷の治癒を増強または促進するのに有用である。
【0218】
他の組織損傷(特に、創傷)の場合も同様に、本発明の方法および組成物は、創傷治癒過程の促進、腫脹および炎症の軽減、ならびに瘢痕形成の最小化において有効である。製剤は、それが外部外傷(火傷を含む)、内部外傷、または手術による介入のほか、慢性創傷のいずれの結果であれ、創傷の治療において明白な利益をもたらす。
【0219】
組成物
したがって、一態様において、本発明は、少なくとも1種の抗コネキシンポリヌクレオチド、および少なくとも1種の抗コネキシンペプチドもしくは抗コネキシンペプチド模倣剤、あるいはこれらの一方と組合せるかもしくはこれらの両方と組み合わせてまたは単独で投与される他の抗コネキシン剤を含む、治療的処置において用いられる組成物を提供する。好ましい実施形態において、組成物は、薬学的に許容される担体またはビークルをさらに含む。
【0220】
好ましい一形態において、組成物は、1種のコネキシンタンパク質のmRNAだけに対する1または複数のアンチセンスポリヌクレオチドを含有する。別の好ましい形態において、組成物は、1もしくは複数の抗コネキシンペプチドまたは抗コネキシンペプチド模倣剤、あるいはギャップジャンクションリン酸化剤もしくはヘミチャネルリン酸化剤またはコネキシンカルボキシ末端ポリペプチドを含む。このコネキシンタンパク質は、コネキシン43であることが最も好ましい。
【0221】
別の好ましい形態において、組成物は、抗コネキシンペプチドまたは抗コネキシンペプチド模倣剤、およびコネキシンタンパク質のmRNAに対するアンチセンスポリヌクレオチドを含む。このコネキシンタンパク質は、コネキシン43であることが最も好ましい。
【0222】
治療
本発明は、癒着を治療する、予防するそして/または軽減するための医薬組成物およびそれらの使用法であって、組成物が、治療有効量の1もしくは複数の抗コネキシンポリヌクレオチド、および1もしくは複数の抗コネキシンペプチド、抗コネキシンペプチド模倣剤、またはギャップジャンクション改変剤、あるいは1もしくは複数の抗コネキシンポリヌクレオチドおよび/または1もしくは複数の抗コネキシンペプチドまたは抗コネキシンペプチド模倣剤と組み合わせた他の抗コネキシン剤を含む医薬組成物およびそれらの使用法を対象とする。
【0223】
組成物
したがって、一態様において、本発明は、少なくとも1種の抗コネキシンポリヌクレオチド、および少なくとも1種の抗コネキシンペプチド、抗コネキシンペプチド模倣剤、あるいはこれらの一方との組合せで投与されるかもしくはこれらの両方と組み合わせてまたは単独で投与されるギャップジャンクション改変剤を含む、癒着の治療、予防および/または軽減において用いられる組成物を提供する。好ましい実施形態において、組成物は、薬学的に許容される担体またはビークルをさらに含む。
【0224】
一態様の別の態様において、本発明は、少なくとも1つの、抗コネキシン抗コネキシンペプチド、抗コネキシンペプチド模倣剤またはギャップジャンクション改変剤を含む癒着を予防および/または軽減するために用いる組成物を提供する。好ましい実施形態において、該組成物は、薬学的に許容される担体またはビークルをさらに含む。
【0225】
好ましい一形態において、組成物は、1種のコネキシンタンパク質のmRNAだけに対する1または複数のアンチセンスポリヌクレオチドを含有する。別の好ましい形態において、組成物は、1もしくは複数の抗コネキシンペプチド、抗コネキシンペプチド模倣剤、またはギャップジャンクション改変剤(例えば、ギャップジャンクションリン酸化剤もしくはヘミチャネルリン酸化剤またはコネキシンカルボキシ末端ポリペプチド)を含む。このコネキシンタンパク質は、コネキシン43であることが最も好ましい。
【0226】
別の好ましい形態において、組成物は、抗コネキシンペプチドまたは抗コネキシンペプチド模倣剤、およびコネキシンタンパク質のmRNAに対するアンチセンスポリヌクレオチドを含む。このコネキシンは、コネキシン43であることが最も好ましい。
【0227】
組成物は、複数種のコネキシンタンパク質を対象とする、ポリヌクレオチドもしくは抗コネキシンペプチド、またはこれらの一方もしくは両方を伴う他の抗コネキシン剤を含みうる。ポリヌクレオチドもしくは抗コネキシンペプチドまたは他の抗コネキシン剤が対象とするコネキシンタンパク質の1つが、コネキシン43であることが好ましい。ポリヌクレオチドもしくは抗コネキシンペプチドまたは他の抗コネキシン剤が対象とする他のコネキシンは、例えば、コネキシン26、30、30.3、31.1、32、36、37、40、40.1、44.6、45、および46を含みうる。各種のコネキシンを対象とするのに適する例示的なポリヌクレオチド(およびODN)を、表1に記載する。本明細書では、適切な抗コネキシンペプチドもまた提供される。適切なギャップジャンクションリン酸化剤またはヘミチャネルリン酸化剤およびコネキシンカルボキシ末端ポリペプチドは、当技術分野において公知である。
【0228】
キット、薬剤、および製品
場合によって、抗コネキシンペプチド、あるいは1または複数の抗コネキシンポリヌクレオチド、および1もしくは複数の抗コネキシンペプチド、抗コネキシンペプチド模倣剤、あるいはギャップジャンクションリン酸化剤もしくはヘミチャネルリン酸化剤またはコネキシンカルボキシ末端ポリペプチドなどのギャップジャンクション改変剤はまた、癒着を予防するそして/または軽減するための薬剤の製造においても用いることができる。
【0229】
一態様において、本発明は、記載される1もしくは複数の組成物または製剤を含む、癒着を予防するそして/または軽減するためのキットを提供する。例えば、本発明は、治療有効量の抗コネキシンペプチド、抗コネキシンペプチド模倣剤、またはギャップジャンクション改変剤を含む組成物を含むキットを含む。例えば、キットは、有効量の抗コネキシンペプチド、あるいは1または複数の抗コネキシンポリヌクレオチド、および1もしくは複数の抗コネキシンペプチド、抗コネキシンペプチド模倣剤を単独で含むか、あるいは1もしくは複数の、ギャップジャンクションリン酸化剤もしくはヘミチャネルリン酸化剤またはコネキシンカルボキシ末端ポリペプチドなどのギャップジャンクション改変剤との組合せで含む組成物を含みうる。
【0230】
癒着を予防するそして/または軽減するための製品であって、本明細書に記載の本発明の組成物または製剤を含有する容器と、対象の治療のために用いられる指示書とを含む製品もまた提供される。例えば、別の態様において、本発明は、治療有効量の抗コネキシンペプチドまたは抗コネキシンペプチド模倣剤を、単独で含むかまたは1もしくは複数のギャップジャンクション改変剤との組合せで含有する容器を含む製品を含む。別の態様において、本発明は、治療有効量の抗コネキシンペプチド、あるいは1または複数の抗コネキシンポリヌクレオチド、および1もしくは複数の抗コネキシンペプチド、抗コネキシンペプチド模倣剤、あるいはギャップジャンクションリン酸化剤もしくはヘミチャネルリン酸化剤またはコネキシンカルボキシ末端ポリペプチドなどのギャップジャンクション改変剤および/または他の抗コネキシン剤を含有する容器と、対象の治療のための使用を含む使用のための指示書とを含む製品を含む。
【0231】
治療
本発明の組成物および製剤は、癒着を予防するそして/または軽減するための組成物と共に用いることもでき、これと組み合わせて用いることができる。
【0232】
一態様において、本発明は、対象における癒着を予防するそして/または軽減する方法であって、治療有効量の1もしくは複数の抗コネキシンポリヌクレオチド、および1もしくは複数の抗コネキシンペプチド、抗コネキシンペプチド模倣剤を単独で投与するかまたは1もしくは複数のギャップジャンクション改変剤と組み合わせて投与するか、あるいは場合によって、1または複数の抗コネキシンポリヌクレオチド、および/または1もしくは複数の抗コネキシンペプチド、抗コネキシンペプチド模倣剤、あるいは、ギャップジャンクションリン酸化剤もしくはヘミチャネルリン酸化剤またはコネキシンカルボキシ末端ポリペプチドなどのギャップジャンクション改変剤を投与する工程を含む方法を対象とする。一部の実施形態において、投与は、外科的癒着を予防および/または軽減するのに有効である。一部の実施形態において、投与は、二次外科的癒着を予防および/または軽減するのに有効である。
【0233】
一態様において、本発明は、対象における癒着を予防するそして/または軽減する方法であって、治療有効量の抗コネキシンペプチド、または抗コネキシンペプチド模倣剤を単独で投与するか、また1もしくは複数のギャップジャンクション改変剤と組み合わせて投与する工程を含む方法を対象とする。一実施形態において、抗コネキシンペプチド、抗コネキシンペプチド模倣剤、またはギャップジャンクション改変剤は、外科的癒着を予防および/または軽減するのに有効である。一実施形態において、抗コネキシンペプチド、抗コネキシンペプチド模倣剤、またはギャップジャンクション改変剤は、二次外科的癒着を予防および/または軽減するのに有効である。一実施形態において、癒着は外科的癒着である。別の実施形態において、癒着は二次外科的癒着である。
【0234】
一実施形態において、抗コネキシン剤は、コネキシンタンパク質の発現を下方調節するのに有効なコネキシンアンチセンスポリヌクレオチドである。一実施形態において、コネキシンアンチセンスポリヌクレオチドは、コネキシン26のアンチセンスポリヌクレオチド、ペプチド、またはペプチド模倣剤、コネキシン43のアンチセンスポリヌクレオチド、ペプチド、もしくはペプチド模倣剤、またはこれらの混合物である。
【0235】
一態様において、本発明は、二次外科的癒着の形成を予防または軽減する方法であって、癒着を修復する手順の後に、(a)1もしくは複数の抗コネキシンペプチドまたは抗コネキシンペプチド模倣剤;(b)1もしくは複数の抗コネキシンポリヌクレオチドおよび1もしくは複数の抗コネキシンペプチド、抗コネキシンペプチド模倣剤単独または1もしくは複数のギャップジャンクション改変剤との組合せ、あるいは(c)1もしくは複数の抗コネキシンポリヌクレオチドおよび/または1もしくは複数の抗コネキシンペプチド、抗コネキシンペプチド模倣剤、またはギャップジャンクションもしくはヘミチャネルリン酸化剤もしくはコネキシンカルボキシ末端ポリペプチドなどのギャップジャンクション改変剤、の有効量を対象に投与する工程を含む方法に関する。一実施形態において、上記手順は分離手順またはリリース手順である。一実施形態において、抗コネキシンポリヌクレオチドは、手術切開の部位に投与される。一実施形態において、抗コネキシンポリヌクレオチドは、手術間および/または手術後に投与される。
【0236】
特定の実施形態において、抗コネキシンポリヌクレオチドは、上皮、結合、筋肉および神経の組織または手術間もしくは外傷の結果として曝露されたかまたは傷つけられたその他の組織に投与される。一実施形態において、抗コネキシンポリヌクレオチドは、局所投与される。その他の実施形態において、抗コネキシンポリヌクレオチドは、移植または滴下注入または注射される。
【0237】
本発明は、対象における傷害または外傷に関連する癒着を予防または軽減する方法であって、(a)1もしくは複数の抗コネキシンペプチドまたは抗コネキシンペプチド模倣剤;(b)1もしくは複数の抗コネキシンポリヌクレオチドおよび1もしくは複数の抗コネキシンペプチド、抗コネキシンペプチド模倣剤単独または1もしくは複数のギャップジャンクション改変剤との組合せ、あるいは(c)1もしくは複数の抗コネキシンポリヌクレオチドおよび/または1もしくは複数の抗コネキシンペプチド、抗コネキシンペプチド模倣剤、またはギャップジャンクションもしくはヘミチャネルリン酸化剤またはコネキシンカルボキシ末端ポリペプチドなどの、ギャップジャンクション改変剤の有効量を、外傷または傷害の部位にて患者に投与することを含む、方法に関する。
【0238】
一態様において、本発明は、1もしくは複数の抗コネキシンペプチドまたは抗コネキシンペプチド模倣剤、あるいは1または複数の抗コネキシンポリヌクレオチド、および1もしくは複数の抗コネキシンペプチドまたは抗コネキシンペプチド模倣剤の持続投与、あるいは場合によって、1もしくは複数の抗コネキシンポリヌクレオチド、および1もしくは複数の抗コネキシンペプチド、抗コネキシンペプチド模倣剤、ならびに/あるいは、ギャップジャンクションリン酸化剤もしくはヘミチャネルリン酸化剤またはコネキシンカルボキシ末端ポリペプチドなどのギャップジャンクション改変剤の持続投与を対象とする。一実施形態において、抗コネキシン剤は、少なくとも少なくとも約0.5時間、約1〜24時間、少なくとも約2時間、少なくとも約3時間、少なくとも約4時間、少なくとも約5時間、少なくとも約6時間、少なくとも約7時間、少なくとも約8時間、少なくとも約9時間、少なくとも約10時間、少なくとも約11時間、少なくとも約12時間、または少なくとも約24時間にわたり投与される。一実施形態において、コネキシンの発現は、持続的な期間にわたり下方調節される。別の実施形態において、コネキシンヘミチャネルは、好ましい期間にわたり、全体的または部分的に遮断されるかまたは閉鎖される。持続的な期間にわたり、全体的または部分的に、コネキシン43の発現が下方調節され、コネキシンヘミチャネルの開口が遮断されるかまたは阻害されることが好ましい。少なくとも約1、2、4、6、8、10、12、または24時間にわたりコネキシン43の発現が下方調節されるか、またはヘミチャネルが遮断されるかもしくは阻害されると好都合である。
【0239】
固定した組合せとして投与されない場合、好ましい方法は、1もしくは複数の抗コネキシンポリヌクレオチド、および1もしくは複数の抗コネキシンペプチドまたは抗コネキシンペプチド模倣剤、あるいは場合によって、1もしくは複数の抗コネキシンポリヌクレオチド、および/または1もしくは複数の抗コネキシンペプチド、抗コネキシンペプチド模倣剤、あるいはギャップジャンクションリン酸化剤もしくはヘミチャネルリン酸化剤またはコネキシンカルボキシ末端ポリペプチドなどのギャップジャンクション改変剤の逐次投与を含む。薬剤は、互いから少なくとも約30分以内に逐次投与されることが好ましい。薬剤はまた、互いから約1時間以内に投与することもでき、互いから約1日〜約1週間以内に投与することもでき、適切であるとみなされる他の形で投与することもできる。抗コネキシンペプチドまたは抗コネキシンペプチド模倣剤、例えば、ヘミチャネルの開口を遮断するかまたは低下させうる抗コネキシン剤は、例えば、コネキシンタンパク質発現の下方調節により、コネキシン発現またはヘミチャネルの形成もしくはギャップジャンクションの形成を遮断するかまたは低下させる抗コネキシン剤の投与よりも前に投与されることが好ましい。1または複数の抗コネキシン剤は、(1または複数の)抗コネキシン43剤であることが好ましい。
【0240】
以下の実施例は、例示のみを目的として記載されるものであり、本発明の範囲に対する限定を構成するものではないと理解される。
【実施例】
【0241】
(実施例1)
以下の例示的な配列:SRPTEKTIFIIを用いて調製された抗コネキシン43ペプチド製剤を逐次投与し、続いて以下の例示的な配列:GTAATTGCGGCAGGAGGAATTGTTTCTCTC(コネキシン43)(配列番号2)およびGACAGAAACAATTCCTCCTGCCGCATTTAC(センス対照)(配列番号7)を用いて調製された抗コネキシン43ポリヌクレオチド製剤を投与する方法を、外科的癒着の治療における効力について評価する。
【0242】
水溶液は、約4000のポリオキシプロピレン疎水性ベース平均分子量と、約11,500の総平均分子量とを有し、コポリマーの総重量の約70重量%の量のオキシエチレン基を含むポリエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマーで作製される。このコポリマーは、商標PLUFONIC(登録商標)F−127の下でBASF Corporation、Parsippany、NJにより販売される。
【0243】
溶液は、ポリマーを冷(4℃)蒸留水中に、約10重量%〜約30重量%の濃度になるように溶解することにより作製される。より具体的な溶液の手法は、「Artificial Skin I Preparation and Properties of Pluronic F−127 Gels for Treatment of Burns」、J. Biomed. Mater. Res. 6巻、527頁、1972年に記載される。このような溶液は、その開示が本明細書に参照により組み込まれる米国特許第5,366,735号に記載される。
【0244】
(実施例2)
ラットモデルにおける癒着に対する抗コネキシン剤の影響
以下の試験手法を、手術による傷害を受けたラットに対する上記の実施例1の溶液または抗コネキシンペプチドおよび抗コネキシンポリヌクレオチドを含む実施例1の溶液または他の製剤の影響を決定するために用いる。300〜400グラムの体重の22匹の雌のSprague−Dawleyラットにペントバルビタールナトリウム(体重1キログラムあたり30ミリグラム)を腹側の腹壁の左腰領域から腹腔内投与することにより麻酔をかける。その後、腹部表面をポビドンヨード溶液で洗浄し、剃毛した後に、5センチメートルの縦方向正中線切開により開腹する。各子宮角の1センチメートルの区画の漿膜をはがし、壁側腹膜の向かい合う1平方センチメートルを、その下にある筋肉層を含めて切除する。止血はしなくてよい。
【0245】
その後、実施例1の製剤を、子宮角の手術により傷害を受けた領域と、腹部の片側だけであるが壁側腹膜の手術による傷害との両方に4℃の温度にて適用する。製剤の1回目の適用がゲルを形成した後に、製剤の第2層を適用する。およそ0.5〜1.5立方センチメートルの製剤を、子宮角の手術により傷害を受けた1センチメートルの沈査および壁側腹膜組織の手術により傷害を受けた1平方センチメートルの領域の両方を適切に覆う(腹部の片側で)のに必要な量に応じて適用する。
【0246】
同様に手術により傷害を受けた腹部のもう一方の側は未処置のままにする。漿膜をはがした子宮角の一部分を、次いで、手術による傷害の0.5センチメートル内で、単一3−0VICRYL結紮縫合により壁側腹膜領域とつなげる。このことは、子宮角の傷害を受けた表面が、再腹膜化が起こるまで腹膜の壁側領域の手術による傷害の近傍に確実にあるようにするために行う。腹壁を1層の0−0VICRYL結節縫合で閉じ、21日後に、それぞれの動物を屠殺して、癒着の存在について腹部を調べる。
【0247】
以下の採点システムを用いて、得られた結果を評価する:
0=癒着は観察されない。
1=手術による傷害領域の25%での癒着。
2=手術による傷害領域の50%での癒着。
3=手術による傷害領域の100%での癒着。
【0248】
形成された癒着の粘着性を、以下の採点システムに従って評価する:
0.0=分離に対する抵抗なし。
0.5=癒着を断裂させるのに中程度の分離力が要求される。
1.0=分離のために強い力または切断が必要。
【0249】
得られた結果についての評点は、それぞれの採点システムにおける結果を加算することにより得られる。よって、結果は、評価されるそれぞれの手術による傷害領域について0.0〜4.0の範囲である。データを、順位和検定および分散分析によっても解析する。
【0250】
それぞれのラットの両側の手術による傷害領域の片側のみがブロックコポリマー溶液または抗コネキシン剤を含むブロックコポリマー溶液で処置されるので、それぞれのラットは、それ自体が対照を有する。
【0251】
生存動物を評価して、腹部の未処置の対照の側で癒着が発生したものを決定する。20匹の生存ラットの癒着の程度を記録する。癒着の面積および粘着性を含むブロックコポリマー処置領域についての併せた点数を評価する。
【0252】
(実施例3)
キトサンフィルムの調製
5gのキトサン塩酸塩(20%のアセチル化度、Pronova)を、2%酢酸溶液(0.5L、1%v/w)に溶解する。溶液を、滅菌を目的として、125℃にて1時間オートクレーブにかける。冷却の後に、フィルムをペトリ皿の中で、この場合は20mLの溶液を用いて作る。次いで、フィルムを室温にて乾燥させ、リン酸ナトリウムバッファー0.2M、pH9.0を皿に加えることにより中和する。フィルムをこのバッファー中で室温にて2〜4時間放置し、次いで、蒸留水で3〜4回洗浄し、再び乾燥させる。
【0253】
キトサンフィルムの代替調製物
5gのキトサン塩酸塩(45%のアセチル化度、Pronova)を水(0.5L、1%v/w)に溶解する。溶液を、滅菌を目的として、125℃にて1時間オートクレーブにかける。冷却の後に、フィルムをペトリ皿の中で、この場合は20mLの溶液を用いて作る。次いで、フィルムを室温にて乾燥させ、リン酸ナトリウムバッファー0.2M、pH9.0を皿に加えることにより中和する。フィルムをこのバッファー中で室温にて2〜4時間放置し、次いで、蒸留水で3〜4回洗浄し、再び乾燥させる。
【0254】
試験化合物をイオン結合させたキトサンフィルムの調製
5gのキトサン塩酸塩(45%のアセチル化度、Pronova)を水(0.5L、1%v/w)に溶解する。溶液を、滅菌を目的として、125℃にて1時間オートクレーブにかける。冷却の後に、フィルムをペトリ皿の中で、この場合は20mLの溶液を用いて作る。次いで、フィルムを室温にて乾燥させ、抗コネキシン試験化合物の溶液(例えば0.5Lの水中に125g)を加える。室温にて3時間後、フィルムを2×0.5Lの水ですすぎ、乾燥させる。
【0255】
(実施例4)
生物学的試験対照
実施例3のようにして調製したフィルムを、以下の動物モデルにおいて抗癒着膜として用いる。ラットの腹壁を開き、矢状線の両側に外科的様式で約12×10mmの創傷を作る。一方の欠損を、約18×15mmの小片の実施例3のフィルムで覆い、他方の欠損は覆わずに放置する。膜を、Dexon(登録商標)7−0を用いて、縫合線が腹腔に曝露されないような様式で縫合する。
【0256】
結果を2および4週間後に評価する。
【0257】
フィルムの下の腹部欠損は、瘢痕組織が実質的に形成されて治癒され、フィルム周囲には炎症反応および被膜形成の徴候がある。
【0258】
(実施例5)
ラットモデルにおける生物学的試験
実施例3Cに従って形成されたフィルムを、以下の動物モデルにおいて抗癒着膜として用いる。
【0259】
ラットの腹壁を開き、矢状線の両側に外科的様式で約12×10mmの創傷を作る。
【0260】
一方の欠損を、約18×15mmのフィルムで覆い、他方の欠損は覆わずに放置する。膜を、実施例4と同様の様式で縫合する。
【0261】
覆わずに放置した創傷の領域は、いくつかの癒着を示したのに対し、フィルムで覆われた創傷は癒着があったとしても非常に少なかった。
【0262】
(実施例6)
ラットモジュールにおける生物学的試験
上記の実施例3Cに記載されるようにしてキトサン抗コネキシン剤から調製したフィルムを、上記のように壁側腹壁上に作製した創傷(10×12mm、深さ1mm)を覆うように配置する。同じ創傷を腹壁の反対側に作製し、実施例3AまたはBに記載されるキトサンフィルムで覆う。癒着形成の発生を2週間後に評価する。フィルムの光学顕微鏡検査を用いて、中皮様細胞が覆う範囲、およびフィルムと傷つけた腹壁組織との間の界面での炎症性細胞の浸潤を含めて創傷の治癒を評価する。
【0263】
(実施例7)
ラットモデルにおける抗コネキシン剤の影響
それぞれ175〜225グラムの体重の雌のSprague Dawleyラットをこの研究で用いる。ラットを、手術の前に少なくとも2日間隔離する。ラットを、12:12時間の明暗サイクルで飼育器中にて飼育する。食物および水は、手術直後の期間以外は自由に与える。
【0264】
ラットは、開腹術の標準化された処置を受ける(ケタミン/ロンパンでの筋肉内麻酔、動物用ハサミでの剃毛、ベタジンでの洗浄、アルコールでの洗浄)。次いで、正中線上に2cmの切開を作る。2重壁ゼラチンカプセルを、切開部を通して腹部の右側に置く。適切な試験抗コネキシンペプチドおよび抗コネキシンポリヌクレオチドを、逐次的に投与する。例示的な投与計画は、抗コネキシンペプチド試験化合物(100μg/kg/日)を手術の前に1〜3日間もしくは1〜3時間、次いで剖検まで11日間、所望により種々の時間に投与することを含み得る。腹壁および皮膚を、次いで、2層の4−0 Ethilon縫合を用いて縫合して閉じる。手術後に、ラットに3日間鎮痛剤を与え、病的状態および死亡の徴候について1日2回観察する。
【0265】
11日間の手術後観察期間の後の総合観察の際に、創傷の閉鎖を評価し、動物を瘢痕形成について評価する。
【0266】
(実施例8)
ウサギにおける癒着形成の阻害
活性薬剤単独または抗癒着化合物との組合せの、腹膜手術後の癒着形成の改訂における有効性を確認するために、いくつかの研究を行う。2つのモデル系を用いる:側壁癒着モデルおよび子宮角モデル。これらのモデル両方を用いて得られた結果と、癒着予防における有用性との間の明確な相関がINTERCEED(TC7)で実証されており、これについては、臨床上の明確な有効性が示されており、婦人科手術における癒着予防についてのFDA承認が得られている。
【0267】
ウサギ側壁モデル
腹膜側壁モデルにおいて、ウサギに1.2mg/kgのアセチルプロマジンを用いて予備麻酔をかけ、55mg/kgのケタミン塩酸塩および5mg/kgキシラジンの混合物を用いて筋肉内麻酔をかける。滅菌手術の準備の後に、正中線開腹術を行う。腹膜および腹横筋の3×5cmの領域を、右側方腹壁にて除去する。盲腸を体外に出し、指で圧力を加えて、全ての盲腸表面にわたって漿膜下出血を創出する。次いで、盲腸をその正常な解剖学的位置に戻す。適切な試験抗コネキシンペプチドおよび抗コネキシンポリヌクレオチド、または試験されるその例示的組成物を、Alzetミニ浸透圧ポンプ(Alza Corporation、Palo Alto、Calif.、USA)に入れて、術後休止期にわたって分子の連続的な放出を可能にする。Alzetミニ浸透圧ポンプは、皮下空間に配置し、送達チューブはポンプと側壁の傷害部位とを連結する。対照ウサギのポンプ中にはビークルを入れる。腹壁および皮膚を、標準化された様式で閉じる。
【0268】
7日後に、ウサギを屠殺し、癒着に含まれる側壁傷害の面積を決定する。さらに、形成される癒着の粘着性を、以下のシステムを用いて評点する。
0=癒着なし
1=軽度、容易に剥離可能な癒着
2=中等度の癒着;剥離可能でない、器官を引き裂かない
3=密な癒着;剥離可能でない、除去する際に引き裂く。
【0269】
癒着の面積または粘着性の低減は、有益であると考えられる。
【0270】
ウサギ子宮角モデル
さらなる実験において、ウサギ子宮角モデルを用いる。このモデルは、手術後にウサギにおいて重篤な癒着を引き起こすことが以前に示されている[Nishimura, K.ら、「The Use of Ibuprofen for the Prevention of Postoperative Adhesions in Rabbits」、Am. J. Med.、77巻、102〜106頁(1984年)。ウサギに麻酔をかけ(130mg/kgケタミンおよび20mg/kgアセチルプロマジン、筋肉内)、滅菌手術の準備をする。正中線開腹術を行い、両方の子宮角に、点状出血が生じるまでガーゼで漿膜表面を擦ることにより手術による外傷を与える。副行血液供給を除去することにより、両方の子宮角の虚血を誘導する。いくつかの研究において、物質を、上記のようなAlzetミニ浸透圧ポンプおよびチューブを介して傷害部位に送達する。その他の研究においては、試験化合物の一部分を手術の最後に傷害部位に適用し、残りの物質を閉じる前に切開部位を通して適用する。対照は、手術対照およびビークル対照を含む。腹壁および皮膚を、標準化された様式で閉じる。
【0271】
7日後に、ウサギを屠殺し、癒着に含まれる子宮角傷害の面積のパーセンテージを決定する。癒着の全体の範囲を表す初期点数を得る(0〜4+)。種々の器官への癒着に含まれる子宮角の表面のパーセンテージを、次いで、決定する。
【0272】
(実施例9)
外科的癒着のモデルにおける抗コネキシン剤の影響
適切な試験抗コネキシンペプチドおよび抗コネキシンポリヌクレオチド装填PCLフィルムを、癒着を軽減するために投与するために使用することを、ウサギ子宮角モデルを評価することで調べる。
【0273】
方法
ウサギ子宮角モデルを、止血を行って、Wisemanら、1992年(Journal of Reproductive Medicine、37巻:766〜770頁)に実質的に記載されるようにして行う。雌のニュージーランドホワイトウサギに麻酔をかけ、皮膚および腹壁を通して正中線切開を行う。両方の子宮角を探して体外に出す。フレンチカテーテルスケールを用いて、それぞれの子宮角の直径を測定して記録する。フレンチスケールでサイズ8〜16(境界を含む)の子宮角を有するウサギのみを用いる。第10号外科用メスを用いて、子宮角分岐部からおよそ1cmの、5cmの長さのそれぞれの子宮角を片側について40回、点状出血が生じるまで掻爬する。止血は、タンポン挿入により達成する。
【0274】
動物は、無作為に:未処置(手術対照);ポリマービークル対照;抗コネキシン剤(ビークル中に0.1%);および抗コネキシン剤(ビークル中に0.001〜1%)を受ける。試験薬剤(0.4〜2.5ml)を、18ゲージの針を介して子宮角に適用する。子宮角を骨盤に戻し、腹部切開を閉じる。
【0275】
手術の18、31、32、33および60日後に、動物を、ペントバルビタールナトリウム(120mg/ml;1ml/kg)の静脈内注射により安楽死させる。動物の体重を記録する。開腹し、手術部位を検査する。癒着は、以下のようにして盲検観察者により採点される。
【0276】
癒着の範囲
癒着に含まれるそれぞれの子宮角の全長(cm)を判断して記録する。
【0277】
癒着の粘着性
癒着を、0(なし)、1.0(フィルム状癒着)および2.0(強固、鋭い剥離を必要とする)として採点する。
【0278】
子宮回旋の程度
子宮回旋の程度を、以下のスケールに従って記録する。
回旋なし:明確に識別される癒着したかまたは癒着していない子宮角のまっすぐな長さ。
部分的に回旋:子宮角は癒着し、子宮角長の50%〜75%が、まっすぐな部分の識別を妨げるようにもつれている。
完全に回旋:子宮角が完全にもつれているので、子宮の解剖学的分析が不可能である。
【0279】
(実施例11)
ハムスター癒着モデル
5週齢の雌のハムスター(1群あたり10匹のハムスター)に、ペントバルビタールナトリウム(50mg/kg)を腹腔内投与することにより麻酔をかけ、腹部領域での正中線切開の後に、子宮を綿棒でこする。その後、試験化合物(化合物24:10−4モル/L)の食塩水溶液1mLを腹腔内に滴下し、次いで切開部位を縫合する。一方、対照として、食塩水のみを滴下し、同様の処置を続ける。
【0280】
手術の4週間後に、動物を安楽死させ、腹部を曝露し、癒着を調べる。癒着は、以下の5段階の評点システムを用いて判定し、データをマン−ホイットニーU検定に従って解析する。
【0281】
癒着の点数
0:癒着なし
1:非常に弱い癒着(容易に剥離可能なフィルム様の癒着)
2:限定的な癒着(1点のみで剥離が困難な強い癒着)
3:広範囲の癒着(いくつかの点で剥離が困難な強い癒着)
4:非常に強い癒着(剥離不可能な非常に強い癒着)。
【0282】
(実施例12)
ラット盲腸掻爬癒着モデル
6週齢のSDラットを、ペントバルビタール麻酔(70mg/kg、筋肉内注射)の下で、下腹部領域での正中線切開に付し、切開部から盲腸を取り出す。盲腸の漿膜の2つの部分(それぞれ約2cm)を綿棒で100回、点状出血が生じるまで擦り、その後、100μLのエタノールを滴下する。盲腸を腹腔に再び配置し、次いで、適切な試験抗コネキシンペプチドおよび試験抗コネキシンポリヌクレオチドまたは化合物の2mLリン酸緩衝食塩水(以下、PBSと短縮する、pH7.4)溶液を腹腔内に滴下し、次いで切開部を縫合する。それぞれの試験化合物溶液の濃度は所望されるとおりである。対照群において、PBSのみを滴下し、同様の処置を続ける。それぞれの群は11または12匹のラットを有する。手術の1週間後に、動物を安楽死させ、腹部を再切開し、盲腸の癒着状態を、癒着強度および癒着面積を指標として用いる癒着点数に従って評価する。点数の値を、以下の5段階の点数に従って決定する。この関係において、癒着領域(%)は、擦った領域の面積に対する癒着部分の合計面積のパーセンテージとして決定する。
【0283】
癒着の点数
0:癒着なし
1:一部分(癒着領域の25%未満)のみに限定された容易に剥離可能な癒着
2:広範囲にわたる(癒着領域の25%以上)容易に剥離可能な癒着、または剥離が困難な一部分のみに限定された癒着(癒着領域の25%未満)
3:広範囲にわたる(癒着領域の25%以上)剥離が困難な癒着
4:剥離が不可能な癒着、または剥離の際に漿膜の傷害を伴う癒着。
【0284】
(実施例13)
イヌの眼の手術後癒着モデル
ビーグル犬に麻酔をかけ、その両目の結膜をそれぞれ、実体顕微鏡の下で10mm×5mmのサイズではがす。その時に、腱は結膜側に残し、強膜側には残さない。抗コネキシンペプチドの食塩水溶液に浸漬したスポンジ、次いで抗コネキシン試験化合物に浸漬したスポンジを、逐次的に切開部位に3分間置き、切開部に10−0ナイロン糸の一針を施す。試験化合物溶液の濃度は所望されるとおりであり、ビークルまたは食塩水を対照群に用いる(1群あたり6匹のイヌ)。
【0285】
手術の7日後に、動物を安楽死させ、眼球を取り出し、癒着を調べる。モデルの準備において縫合に用いた糸を切断した後に、ピンセットで結膜部分を引っ張り、癒着の状態を評点することにより評価を行う。点数の値は、以下の5段階の点数に従って決定し、マン−ホイットニーU検定をデータの解析に用いる。
【0286】
癒着の点数
0:癒着なし
1:非常に弱い癒着(容易に剥離可能なフィルム様の癒着)
2:限定的な癒着(1点のみで剥離が困難な強い癒着)
3:広範囲の癒着(いくつかの点で剥離が困難な強い癒着)
4:非常に強い癒着(剥離不可能な非常に強い癒着)。
【0287】
(実施例14)
抗コネキシン剤は、好都合には、本発明の方法による投与に適する形態に調合される。
【0288】
適当な製剤は、以下の調合剤の混合物を含む。1つまたは複数の個々の抗コネキシン剤および調合剤の量は、予定される特定の用途に依存するはずである。
【0289】
【表9】

(実施例15)
本発明の方法による使用のための製剤を、下記の割合で化合物を混合することによって調製する。好ましい一実施形態において、抗コネキシン剤は、抗コネキシンポリヌクレオチドである。別の実施形態において、抗コネキシンポリヌクレオチドは、アンチセンスオリゴヌクレオチド、例えば、配列番号1のアンチセンスオリゴヌクレオチドである。
【0290】
製剤A
以下の材料で構成されている(%w/w)−リン酸塩緩衝化食塩水中抗のコネキシン剤(0.47%);メチルパラベン(0.17%);プロピルパラベン(0.03%);プロピレングリコール(1.5%);HPMC(1.5%);および10mMリン酸緩衝液(96.33%)。製剤は、pH約6.74および浸透圧モル濃度244の透明なゲルである。
【0291】
製剤B
以下の材料で構成されている(%w/w)−リン酸塩緩衝化食塩水中の抗コネキシン剤(0.47%);メチルパラベン(0.17%);プロピルパラベン(0.03%);プロピレングリコール(1.5%);HPMC(1.5%);0.5%BAC(0.1%);および10mMリン酸緩衝液(96.23%)。製剤は、pH約6.65および浸透圧モル濃度230の透明なゲルである。
【0292】
製剤C
以下の材料で構成されている(%w/w)−リン酸塩緩衝化食塩水中の抗コネキシン剤(0.47%);メチルパラベン(0.17%);プロピルパラベン(0.03%);プロピレングリコール(1.5%);HPMC(1.5%);ポリクオタニウム10(0.5%);ポロキサマー188(0.1%);および10mMリン酸緩衝液(95.73%)。製剤は、pH約6.59および浸透圧モル濃度233のやや濁ったゲルである。
【0293】
製剤D
以下の材料で構成されている(%w/w)−リン酸塩緩衝化食塩水中の抗コネキシン剤(0.47%);メチルパラベン(0.17%);プロピルパラベン(0.03%);プロピレングリコール(1.5%);HPMC(1.5%);SLES(0.5%);および10mMリン酸緩衝液(95.83%)。製剤は、pH約6.8および浸透圧モル濃度246の透明なゲルである。
【0294】
製剤E
以下の材料で構成されている(%w/w)−リン酸塩緩衝化食塩水中の抗コネキシン剤(0.47%);メチルパラベン(0.17%);プロピルパラベン(0.03%);プロピレングリコール(1.5%);HPMC(1.5%);ポロキサマー188(0.1%);25Kポリエチレンイミン(0.075%);および10mMリン酸緩衝液(96.155%)。製剤は、pH約7.8および浸透圧モル濃度249の濁ったゲルである。
【0295】
製剤F
以下の材料で構成されている(%w/w)−リン酸塩緩衝化食塩水中の抗コネキシン剤(0.47%);メチルパラベン(0.17%);プロピルパラベン(0.03%);プロピレングリコール(1.5%);HPMC(1.5%);ヒアルロン酸ナトリウム(0.1%);および10mMリン酸緩衝液(96.23%)。製剤は、pH約6.88および浸透圧モル濃度289の透明なゲルである。
【0296】
製剤G
以下の材料で構成されている(%w/w)−リン酸塩緩衝化食塩水中の抗コネキシン剤(0.47%);メチルパラベン(0.17%);プロピルパラベン(0.03%);プロピレングリコール(1.5%);ヒアルロン酸ナトリウム(1.0%);および10mMリン酸緩衝液(96.83%)。製剤は、pH約6.81および浸透圧モル濃度248の透明なゲルである。
【0297】
本明細書において参照されたかまたは言及されたすべての特許、出版物、科学論文、ウェブサイトならびに他の文書および資料は、本発明が属する技術分野の当業者の技術水準を示すものであり、これらの参照文書および資料はそれぞれ、個別にその全体が参照により組み込まれたか、またはその全体が本明細書に記載された場合と同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。出願人は、任意の上記の特許、出版物、科学論文、ウェブサイト、電子的に利用可能な情報、および別の参照資料または文書の、任意のおよびすべての資料および情報を本明細書に物理的に組み込む権利を保有する。
【0298】
本明細書に記載されている具体的な方法および組成物は、好ましい実施形態を代表するものであり、それらは例示的であって本発明の範囲を限定するものではない。別の目的、態様、および実施形態が、本明細書を考慮すれば当業者には思いつくはずであり、本特許請求の範囲によって定義されている通り本発明の精神に包含される。本発明の範囲および精神から逸脱することなく、様々な置換および変更を本明細書に開示されている本発明に対して行ってもよいことが、当業者には容易に明らかとなるはずである。例示的に本明細書に適当に記載されている本発明は、本明細書において不可欠であると特に開示されていない任意の1つまたは複数の要素、あるいは1つまたは複数の限定の不在下で実施されてもよい。したがって、例えば、本発明の実施形態または実施例において、本明細書におけるそれぞれの場合において、「含む」、「から本質的になる」、および「からなる」のいずれかの用語は、本明細書中の他の2つの用語のいずれかと置き換えてもよい。また、「含む(comprising)」、「含んでいる(including)」、「含有している」などの用語は、包括的であって限定ではないと読み取るべきである。例示的に本明細書に記載されている方法およびプロセスは、異なる順序の工程で適当に実施されてもよく、必ずしも本明細書または本特許請求の範囲に示された工程の順序に制限されない。本明細書および添付の特許請求の範囲においても使用されているように、単数形「a」「an」および「the」は、文脈上別途明確に指示のない限り複数形への言及を含む。いかなる場合においても、本特許は、本明細書に特に開示されている具体的な実施例または実施形態または方法に限定されると解釈されるものではない。いかなる場合においても、本特許は、そのような陳述が、出願人による答弁書において明確に認められた限定または制限がなければ、特許商標庁のいかなる審査官またはいかなる別の当局者もしくは関係者によってなされたいかなる陳述によっても限定されると解釈されるものではない。
【0299】
採用されている用語および表現は、説明であって限定するものではない用語として使用され、このような用語および表現の使用において、示されているおよび説明されている特徴のいかなる均等物またはその一部も除外する意図はないが、請求されている本発明の範囲内で様々な変更形態が可能であることが認識される。したがって、本発明を、好ましい実施形態および任意選択の特徴によって具体的に開示してきたが、本明細書に開示されている概念の変更形態および変形形態が当業者によって用いられてもよいこと、およびこのような変更形態および変形形態が、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内であるとみなされることが理解されるはずである。
【0300】
本発明が、本明細書において広く一般的に記載された。一般的開示に含まれるそれぞれのより狭い種(species)および亜属集団(subgeneric grouping)もまた、本発明の一部を形成する。これは、削除された材料が本明細書で具体的に挙げられているか否かに関係なく、その属の任意対象を除くという条件または否定的な限定を伴う本発明の一般的記載を含む。
【0301】
別の実施形態は以下の特許請求の範囲内である。加えて、本発明の特徴または態様がマーカッシュ(Markush)グループに関して記載される場合、当業者は、本発明がマーカッシュグループの任意の個々のメンバーまたはメンバーのサブグループに関してもそれによって記載されることを認識するはずである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
癒着形成を予防または軽減する方法であって、癒着形成の予防および/または軽減を必要とする対象に、治療有効量の抗コネキシンペプチドを含む組成物を投与する工程を含む方法。
【請求項2】
前記ペプチドが、配列番号14〜23から選択される配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ペプチドが、抗コネキシン43ペプチドまたは抗コネキシン43ペプチド模倣剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
組成物が、約0.01〜約1ミリグラムの前記抗コネキシン43ペプチドまたは抗コネキシン43ペプチド模倣剤を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
癒着形成を予防または軽減する方法であって、癒着形成の予防および/または軽減を必要とする対象に、第1の抗コネキシン剤および第2の抗コネキシン剤の治療有効量を含む組成物を投与する工程を含み、前記第1の薬剤が抗コネキシンポリヌクレオチド剤であり、前記第2の薬剤が抗コネキシンペプチドまたは抗コネキシンペプチド模倣剤である方法。
【請求項6】
前記ポリヌクレオチドがアンチセンスポリヌクレオチドである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記アンチセンスポリヌクレオチドが、配列番号1〜12から選択される配列を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記アンチセンスポリヌクレオチドが、GTA ATT GCG GCA AGA AGA ATT GTT TCT GTC (配列番号1); GTA ATT GCG GCA GGA GGA ATT GTT TCT GTC (配列番号2);および、GGC AAG AGA CAC CAA AGA CAC TAC CAG CAT (配列番号3)から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記アンチセンスポリヌクレオチドが、約15〜約35ヌクレオチドを有し、生理学的条件下において20℃を超える融点を有する二重鎖を形成するのに十分な程度にコネキシン43 mRNAに対して相補的である、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記アンチセンスポリヌクレオチドが、約15〜約35ヌクレオチドを有し、コネキシン43 mRNAのアンチセンス配列に対して少なくとも約70パーセントの相同性を有する、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記組成物が、約0.1〜約1000マイクログラムの前記抗コネキシン剤を含み、前記抗コネキシン43剤がアンチセンスポリヌクレオチドである、請求項5に記載の方法。
【請求項12】
前記ペプチドが、配列番号14〜23から選択される配列を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項13】
前記組成物が、約0.01〜約100ミリグラムの前記抗コネキシン43ペプチドまたは抗コネキシン43ペプチド模倣剤を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項14】
前記抗コネキシン剤が、RNAiポリヌクレオチドまたはsiRNAポリヌクレオチドである、請求項5に記載の方法。
【請求項15】
前記対象が哺乳動物である、請求項5に記載の方法。
【請求項16】
前記哺乳動物がヒトである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記哺乳動物が、家畜動物、農場動物、動物園動物、競技動物、およびペットからなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記哺乳動物がウマである、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記哺乳動物がイヌまたはネコである、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
癒着の形成を予防または軽減する方法であって、癒着の形成の予防または軽減を必要とする対象に、第1の抗コネキシン剤および第2の抗コネキシン剤の治療有効量を含む組成物を投与する工程を含み、前記第1の薬剤が抗コネキシンポリヌクレオチド剤であり、前記第2の薬剤が抗コネキシンペプチドまたは抗コネキシンペプチド模倣剤である方法。
【請求項21】
前記ポリヌクレオチドがアンチセンスポリヌクレオチドである、請求項5に記載の方法。
【請求項22】
前記アンチセンスポリヌクレオチドが、配列番号1〜12から選択される配列を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項23】
前記アンチセンスポリヌクレオチドが、GTA ATT GCG GCA AGA AGA ATT GTT TCT GTC (配列番号1); GTA ATT GCG GCA GGA GGA ATT GTT TCT GTC (配列番号2);およびGGC AAG AGA CAC CAA AGA CAC TAC CAG CAT (配列番号3)から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項24】
前記アンチセンスポリヌクレオチドが、約15〜約35ヌクレオチドを有し、生理学的条件下において20℃を超える融点を有する二重鎖を形成するのに十分な程度にコネキシン43 mRNAに対して相補的である、請求項6に記載の方法。
【請求項25】
前記アンチセンスポリヌクレオチドが、約15〜約35ヌクレオチドを有し、コネキシン43 mRNAのアンチセンス配列に対して少なくとも約70パーセントの相同性を有する、請求項6に記載の方法。
【請求項26】
前記組成物が約0.1〜約1000マイクログラムの前記抗コネキシン剤を有し、抗コネキシン43剤がアンチセンスポリヌクレオチドである、請求項5に記載の方法。
【請求項27】
前記ペプチドが、配列番号14〜23から選択される配列を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項28】
前記組成物が、約0.01〜約100ミリグラムの抗コネキシン43ペプチドまたは抗コネキシン43ペプチド模倣剤を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項29】
前記抗コネキシン剤が、RNAiポリヌクレオチドまたはsiRNAポリヌクレオチドである、請求項5に記載の方法。
【請求項30】
前記対象が哺乳動物である、請求項5に記載の方法。
【請求項31】
前記哺乳動物がヒトである、請求項15に記載の方法。
【請求項32】
前記哺乳動物が、家畜動物、農場動物、動物園動物、競技動物、およびペットからなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項33】
前記哺乳動物がウマである、請求項15に記載の方法。
【請求項34】
前記哺乳動物がイヌまたはネコである、請求項15に記載の方法。
【請求項35】
外科的癒着の形成の危険性がある患者にて、外科的癒着形成を予防または軽減する方法であって、外科的癒着形成の予防または軽減を必要とする対象に、第1の抗コネキシン剤および第2の抗コネキシン剤の治療有効量を含む組成物を投与する工程を含み、前記第1の薬剤が抗コネキシンポリヌクレオチド剤であり、前記第2の薬剤が抗コネキシンペプチドまたは抗コネキシンペプチド模倣剤である方法。
【請求項36】
二次外科的癒着の形成を予防または軽減する方法であって、癒着を修復する手順の後に、第1の抗コネキシン剤および第2の抗コネキシン剤の治療有効量を含む、有効量の組成物を対象に投与する工程を含み、前記第1の薬剤が抗コネキシンポリヌクレオチド剤であり、前記第2の薬剤が抗コネキシンペプチドまたは抗コネキシンペプチド模倣剤である方法。
【請求項37】
前記組成物が、手術切開の部位で投与される、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記組成物が、手術中および/または手術後に投与される、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
前記手順が、分離手順またはリリース手順である、請求項36に記載の方法。
【請求項40】
前記組成物が、手術切開の部位で投与される、請求項36に記載の方法。
【請求項41】
前記組成物が、手術中および/または手術後に投与される、請求項36に記載の方法。
【請求項42】
治療の方法であって、治療を必要とする対象に、癒着形成を予防または軽減するのに有効な第1の組成物および第2組成物を投与する工程を含み、前記第1の組成物が治療有効量の抗コネキシン43ポリヌクレオチドを含み、前記第2の組成物が治療有効量の抗コネキシン43ペプチド、抗コネキシン43ペプチド模倣剤、またはギャップジャンクション改変剤を含む方法。
【請求項43】
前記第1の組成物および第2の組成物が同時投与される、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記第1の組成物および第2の組成物が、互いから少なくとも約30分以内に投与される、請求項42に記載の方法。
【請求項45】
第1の組成物および第2の組成物が、互いから約1時間以内に投与される、互いから約1日以内に投与される、または互いから約1週間以内に投与される、請求項42に記載の方法。
【請求項46】
前記第1の組成物が最初に投与される、請求項42に記載の方法。
【請求項47】
前記第2の組成物が最初に投与される、請求項42に記載の方法。
【請求項48】
抗コネキシンポリヌクレオチド、抗コネキシンペプチド、抗コネキシンペプチド模倣剤、またはギャップジャンクション改変剤を含む第3の組成物の投与をさらに含む、請求項42に記載の方法。
【請求項49】
前記第3の組成物が最初に投与される、請求項42に記載の方法。
【請求項50】
前記ポリヌクレオチドがアンチセンスポリヌクレオチドである、請求項42に記載の方法。
【請求項51】
前記アンチセンスポリヌクレオチドが、配列番号1〜12から選択される配列を含む、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記アンチセンスポリヌクレオチドが、GTA ATT GCG GCA AGA AGA ATT GTT TCT GTC (配列番号1); GTA ATT GCG GCA GGA GGA ATT GTT TCT GTC (配列番号2);および、GGC AAG AGA CAC CAA AGA CAC TAC CAG CAT (配列番号3)から選択される、請求項50に記載の方法。
【請求項53】
前記アンチセンスポリヌクレオチドが、約15〜約35ヌクレオチドを有し、生理学的条件下において20℃を超える融点を有する二重鎖を形成するのに十分な程度にコネキシン43 mRNAに対して相補的である、請求項50に記載の方法。
【請求項54】
前記アンチセンスポリヌクレオチドが、約15〜約35ヌクレオチドを有し、コネキシン43 mRNAのアンチセンス配列に対して少なくとも約70パーセントの相同性を有する、請求項50に記載の方法。
【請求項55】
前記組成物が約0.1〜約1000マイクログラムの抗コネキシン剤を有し、前記抗コネキシン43剤がアンチセンスポリヌクレオチドである、請求項42に記載の方法。
【請求項56】
前記ペプチドが、配列番号14〜23から選択される配列を含む、請求項42に記載の方法。
【請求項57】
前記組成物が、約0.01〜約100ミリグラムの前記抗コネキシン43ペプチドまたは前記抗コネキシン43ペプチド模倣剤を含む、請求項42に記載の方法。
【請求項58】
抗コネキシン剤が、RNAiポリヌクレオチドまたはsiRNAポリヌクレオチドである、請求項42に記載の方法。
【請求項59】
前記対象が哺乳動物である、請求項42に記載の方法。
【請求項60】
前記哺乳動物がヒトである、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記哺乳動物が、家畜動物、農場動物、動物園動物、競技動物、およびペットからなる群から選択される、請求項59に記載の方法。
【請求項62】
前記哺乳動物がウマである、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記哺乳動物がイヌまたはネコである、請求項61に記載の方法。
【請求項64】
癒着形成を予防または軽減するのに用いられる医薬組成物であって、治療有効量の抗コネキシン43ポリヌクレオチドおよび抗コネキシン43ペプチドまたは抗コネキシン43ペプチド模倣剤を含む医薬組成物。
【請求項65】
前記ポリヌクレオチドがアンチセンスポリヌクレオチドである、請求項64に記載の医薬組成物。
【請求項66】
前記アンチセンスポリヌクレオチドが、配列番号1〜12から選択される配列を含む、請求項65に記載の医薬組成物。
【請求項67】
前記アンチセンスポリヌクレオチドが、GTA ATT GCG GCA AGA AGA ATT GTT TCT GTC (配列番号1); GTA ATT GCG GCA GGA GGA ATT GTT TCT GTC (配列番号2);および、GGC AAG AGA CAC CAA AGA CAC TAC CAG CAT (配列番号3)から選択される、請求項65に記載の医薬組成物。
【請求項68】
前記アンチセンスポリヌクレオチドが、約15〜約35ヌクレオチドを有し、生理学的条件下において20℃を超える融点を有する二重鎖を形成するのに十分な程度にコネキシン43 mRNAに対して相補的である、請求項65に記載の医薬組成物。
【請求項69】
前記アンチセンスポリヌクレオチドが、約15〜約35ヌクレオチドを有し、コネキシン43 mRNAのアンチセンス配列に対して少なくとも約70パーセントの相同性を有する、請求項65に記載の医薬組成物。
【請求項70】
前記医薬組成物が約0.1〜約1000マイクログラムの抗コネキシン剤を有し、抗コネキシン43剤がアンチセンスポリヌクレオチドである、請求項65に記載の医薬組成物。
【請求項71】
前記ペプチドが、配列番号14〜23から選択される配列を含む、請求項64に記載の医薬組成物。
【請求項72】
前記医薬組成物が、約0.01〜約100ミリグラムの前記抗コネキシン43ペプチドまたは前記抗コネキシン43ペプチド模倣剤を含む、請求項64に記載の医薬組成物。
【請求項73】
抗コネキシン剤が、RNAiポリヌクレオチドまたはsiRNAポリヌクレオチドである、請求項64に記載の医薬組成物。
【請求項74】
局所投与用に調合される、請求項64に記載の医薬組成物。
【請求項75】
ゲルとして調合される、請求項64に記載の医薬組成物。
【請求項76】
ゲルが、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマーベースのゲルまたはカルボキシメチルセルロースベースのゲルである、請求項64に記載の医薬組成物。
【請求項77】
ゲルがプルロニックゲルである、請求項64に記載の医薬組成物。
【請求項78】
癒着形成を予防または軽減するための医薬を調製する方法であって、ある量の第1の組成物およびある量の第2の組成物を併せる工程を含み、前記第1の組成物が有効量の抗コネキシンポリヌクレオチドを含み、前記第2の組成物が有効量の抗コネキシンペプチドまたは抗コネキシンペプチド模倣剤を含む方法。
【請求項79】
抗コネキシン剤が抗コネキシン43アンチセンスポリヌクレオチドを含む、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
薬剤が局所投与用に調合される、請求項78に記載の方法。
【請求項81】
薬剤が持続放出のために調合される、請求項78に記載の方法。
【請求項82】
対象の中で使用するかまたは対象の表面で使用して癒着形成を予防または軽減するための、請求項64に記載の医薬組成物と指示書を共に含有するパッケージ材料を含む製品。
【請求項83】
癒着形成を予防または軽減する方法であって、癒着形成の予防または軽減を必要とする対象に、治療有効量の抗コネキシンペプチドを、単独で含むか、または1つまたは複数の抗コネキシンオリゴヌクレオチド、ヘミチャネルリン酸化化合物、およびZO−1タンパク質相互作用を阻害するコネキシンカルボキシ末端ペプチドとの組合せで含む組成物を投与する工程を含む方法。
【請求項84】
前記コネキシンがコネキシン43である、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
癒着形成を予防または軽減する方法であって、癒着形成の予防または軽減を必要とする対象に、抗線維化量の抗コネキシンペプチドを、単独で含むか、または1つまたは複数のコネキシンタンパク質発現を下方調節する抗コネキシンオリゴヌクレオチド、ヘミチャネルを閉鎖するヘミチャネルリン酸化化合物、およびZO−1タンパク質相互作用を阻害するコネキシンカルボキシ末端ペプチドとの組合せで含む組成物を投与する工程を含む方法。
【請求項86】
前記コネキシンがコネキシン43である、請求項85に記載の方法。

【公表番号】特表2011−507855(P2011−507855A)
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−539511(P2010−539511)
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【国際出願番号】PCT/US2008/014019
【国際公開番号】WO2009/085268
【国際公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(509135588)コーダ セラピューティクス, インコーポレイテッド (16)
【Fターム(参考)】