外装パネル
【課題】歩留りを向上できる電気機器を提供する。
【解決手段】光透過部30bを有した表面パネル30が表面に取り付けられ、光透過部30bを介して内部を視認可能に形成される電気機器1において、表面パネル30の背面側の空間内で光透過部30b以外の領域に、表面パネル30を取り付けるための固着材料である粘着性物質32を露出するように設けた。
【解決手段】光透過部30bを有した表面パネル30が表面に取り付けられ、光透過部30bを介して内部を視認可能に形成される電気機器1において、表面パネル30の背面側の空間内で光透過部30b以外の領域に、表面パネル30を取り付けるための固着材料である粘着性物質32を露出するように設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部を視認可能な光透過部を有した表面パネルが表面に配される電気機器に関する。
【背景技術】
【0002】
光透過部を有した表面パネルが表面に配される従来の電気機器は特許文献1に開示される。この電気機器は加熱調理器から成り、前面を開閉する扉から成る外装パネルを有している。外装パネルは開口部を有した樹脂製の外枠の前面側に透明なスクリーン(表面パネル)が配される。スクリーンは周部に遮光部が設けられ、中央が光透過部になっている。外枠の開口部の周囲に両面粘着テープ等の粘着材が設けられ、粘着材によって外枠とスクリーンとが接着されている。これにより、光透過部及び開口部が覗き窓を構成し、加熱調理器の内部を視認可能になっている。
【0003】
【特許文献1】特開平7−12352号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の電気機器によると、外装パネルの製造工程中に光透過部の背面に塵埃が付着し、完成品で光透過部上に塵埃が残存すると外装パネルが不良となる。製造工程の進行に応じて外枠の反転等により塵埃が脱落しても、脱落した塵埃が再度付着する場合もある。従って、電気機器の歩留りが低下する問題があった。
【0005】
本発明は、歩留りを向上できる電気機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明は、光透過部を有した表面パネルが表面に取り付けられ、前記光透過部を介して内部を視認可能に形成される電気機器において、前記表面パネルの背面側の空間内で前記光透過部以外の領域に粘着性物質が露出するように設けられていることを特徴としている。
【0007】
この構成によると、電気機器の表面に光透過部を有した表面パネルが取り付けられる。光透過部が覗き窓となって電気機器の内部が視認される。表面パネルの背面側の空間には光透過部の周囲等の光透過部以外の領域に粘着性物質が露出して設けられ、電気機器の製造工程中に光透過部近傍に到達した塵埃が粘着性物質に捕集される。
【0008】
また本発明は、上記構成の電気機器において、前記粘着性物質は、前記表面パネルを取り付けるための固着材料であることを特徴としている。この構成によると、表面パネルを固着する固着材料により塵埃が捕集される。
【0009】
また本発明は、上記構成の電気機器において、前記粘着性物質の端縁を前記光透過部の近傍に設けたことを特徴としている。
【0010】
また本発明は、上記構成の電気機器において、前記光透過部を介して内部を視認可能な位置に、表示パネルが取り付けられることを特徴としている。この構成によると、光透過部から成る覗き窓から表示パネルに表示される画像が視認される。
【0011】
また本発明は、上記構成の電気機器において、前記表面パネルは開口部を有する基材の表面に前記光透過部が前記開口部と重なるように配置され、前記表示パネルを実装した基板をネジ止めするボスを前記基材の背面に突設したことを特徴としている。この構成によると、基材の表面に表面パネルが取り付けられ、表示パネルを実装した基板が基材に設けたボスにネジ止めされる。表示パネルは開口部を介して光透過部と対向配置される。
【0012】
また本発明は、上記構成の電気機器において、前記粘着性物質は両面粘着シートから成り、前記両面粘着シートは前記開口部に重なるように形成される貫通孔を有することを特徴としている。この構成によると、両面粘着シートから成る粘着材は打ち抜き加工等により貫通孔が形成され、貫通孔と開口部とが重なるように基材上に粘着性物質が配置される。
【0013】
また本発明は、上記構成の電気機器において、前記表面パネルは、除電処理が行なわれていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、表面パネルの背面側の空間内で光透過部以外の領域に粘着性物質が露出するように設けられるので、電気機器の製造工程中に光透過部近傍に到達した塵埃が粘着性物質に捕集される。従って、光透過部の背面に付着する塵埃を低減し、電気機器の歩留りを向上することができる。
【0015】
また本発明によると、粘着性物質は表面パネルを取り付けるための固着材料であるので、光透過部の周縁近傍に容易に粘着性物質を設けることができる。
【0016】
また本発明によると、粘着性物質の端縁を光透過部の近傍に設けたので、粘着性物質を光透過部に接近して配置して光透過部の背面に付着する塵埃をより低減することができる。
【0017】
また本発明によると、光透過部を介して内部を視認可能な位置に、表示パネルが取り付けられるので、表示パネルの視認性を低下させる塵埃を低減して電気機器の歩留りを向上することができる。
【0018】
また本発明によると、表示パネルを実装した基板をネジ止めするボスを基材の背面に突設したので、製造工程中のネジの着脱によって発生するボスの切り屑が光透過部の背面に付着することを低減することができる。
【0019】
また本発明によると、両面粘着シートから成る粘着性物質が開口部に重なる貫通孔を有するので、光透過部近傍に粘着性物質を容易に配することができる。
【0020】
また本発明によると、表面パネルは除電処理が行なわれているので、静電気による塵埃の付着を防止し、光透過部に付着する塵埃をより低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は一実施形態の加熱調理器を示す正面図である。加熱調理器1は直方体形状のキャビネット10を備えている。キャビネット10の正面には扉11が設けられる。
【0022】
扉11は下端を中心に垂直面内で回動可能に枢支され、上部には扉11を開閉するためのハンドル12が設けられている。扉11の中央部11Cには耐熱ガラスがはめ込まれている。中央部11Cの左右には金属製の装飾板21を表面に設けた左側部11L及び右側部11Rが対称的に配置されている。
【0023】
扉11の右側部11Rには操作パネルを形成する外装パネル13が一体に設けられている。外装パネル13の前面に配される装飾板21には開口部21a、21b、21cが形成される。下方の円形の開口部21b、21cを介して操作スイッチ22、23が表面に露出する。上方の矩形の開口部21aを介して詳細を後述する表面パネル30及び操作スイッチ24、25が表面に露出する。表面パネル30の後方には後述する表示パネル35(図2参照)が配される。
【0024】
図2は外装パネル13の要部を示す縦断面図である。外装パネル13の筐体は扉11のシャーシ31(基材)により形成されている。シャーシ31は樹脂成形品から成り、開口部31aが設けられる。また、シャーシ31の背面側にはネジ孔を有する複数のボス31bが開口部31aの周囲に突設されている。ボス31bには基板36がネジ37によりネジ止めされている。基板36には液晶パネル等の表示パネル35が実装され、表示パネル35が開口部35に臨んで配置されている。
【0025】
シャーシ31の前面側には透明なアクリル樹脂から成る表面パネル30が配される。表面パネル30の背面は着色材30aを塗布して着色され、着色材30aを塗布しない光透過部31bが形成されている。光透過部31bは開口部30aよりも狭い面積で形成される。表面パネル30は両面粘着シートから成る粘着材32(粘着性物質)によってシャーシ31の前面に接着され、光透過部30bが開口部30aに重なるように配置されている。
【0026】
図3、図4は粘着材32を配した状態の表面パネル30を示す正面図及び背面図である。これらの図において、着色材31a(図2参照)が視認される部分をドットにより示している。また、図4において、粘着材32をハッチングにより示している。表面パネル30には複数の貫通孔30c、30d、30e、30fが設けられる。貫通孔30c、30dにはそれぞれ操作スイッチ24、25(図1参照)が挿通される。貫通孔30e、30fにはそれぞれ操作スイッチ22、23(図1参照)が挿通される。
【0027】
粘着材32は両面粘着シートを打ち抜き加工して形成され、表面パネル30の貫通孔30c、30d、30e、30fに対応する貫通孔32c、32d、32e、32fが設けられる。また、光透過部30bに対応する貫通孔32bが形成される。貫通孔32bは光透過部30bよりも広い面積に形成され、その周縁は光透過部30bの周縁よりも外側にに配される。また、貫通孔32bの周縁は開口部31aの周縁よりも内側に配される。即ち、粘着材32は開口部31aの周縁から内側にはみ出して設けられている。
【0028】
上記構成の外装パネル13は、粘着材32によって表面パネル30がシャーシ31に固着される。即ち、粘着材32は表面パネル30を取り付ける固着材料を構成する。表面パネル30には予め除電処理が施され、静電気によって塵埃が付着しにくいようになっている。また、シャーシ31のボス31bには表示パネル35を有する基板36がネジ止めされる。そして、表面パネル30上に装飾板21が取り付けられ、外装パネル13を有した扉11が得られる。
【0029】
これにより、光透過部30bが覗き窓となり、光透過部30b及び開口部31aを介して表示パネル35の画像を視認することができる。
【0030】
本実施形態によると、シャーシ31と表面パネル30とを固着する粘着材32が光透過部30bの周縁よりも外側で開口部31a周縁から内側にはみ出して設けられ、表面パネル30の背面側の空間内で光透過部30b以外の領域に粘着材32が露出するように設けられる。これにより、加熱調理器1の製造工程中に光透過部30b近傍に到達した塵埃が露出した粘着材32に捕集される。従って、光透過部30bの背面に付着する塵埃を低減し、加熱調理器1の歩留りを向上することができる。
【0031】
また、前述の図4に示すように、粘着材32の貫通孔32bの端縁は開口部31aの周縁よりも光透過部30bの周縁近傍に設けられる。これにより、粘着材32を光透過部30bに接近して配置し、光透過部30bの背面に付着する塵埃をより低減することができる。
【0032】
特に、光透過部30bに対向して表示パネル35がシャーシ31に取り付けられるため、塵埃が光透過部30bの背面に付着すると表示パネル35の視認性を著しく低下させる。このため、塵埃が僅かに残存しても加熱調理器1が不良となるため、粘着材32により塵埃を捕集することで加熱調理器1の歩留り向上効果がより大きい。
【0033】
また、表示パネル35を実装した基板36をネジ止めするボス31bをシャーシ31の背面に突設したので、製造工程中のネジ37の着脱によって発生するボス31bの切り屑が光透過部30bの背面に付着することを低減することができる。
【0034】
本実施形態において、光透過部30bの背面側の周囲に粘着材32を設けて塵埃を捕集するようになっているが、光透過部30bの近傍の他の位置に粘着材32を設けてもよい。例えば、前述の図2に一点鎖線Dで示すように、開口部31aの背面側の周囲に粘着材32を設けてもよい。即ち、表面パネル30の背面側の空間内で光透過部30b以外の領域に粘着材32を露出して設ければよい。これにより、光透過部30b近傍に到達した塵埃を粘着材32により捕集することができる。
【0035】
また、本実施形態において開口部30aの全周縁が光透過部30bよりも外側に配置されているが、開口部30aの周縁の少なくとも一部を光透過部30bの周縁よりも外側に形成し、光透過部30bの周縁よりも外側の開口部30a周縁の内側に粘着材32を配してもよい。
【0036】
尚、本実施形態において外装パネル13を加熱調理器1の前面に設けているが、他の電気機器、例えば、透過面を前面に有して表示部を備えた、液晶テレビ、携帯電話、冷蔵庫、空気調和機、洗濯機等の表面に外装パネル13を設けてもよい。これにより、表面パネル30の光透過部30bから電気機器本体の内部や表示パネルを視認する外装パネル13の歩留りを向上するとともに、該電気機器の歩留りを向上することができる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、光透過部を有する表面パネルを表面に備えた加熱調理器、液晶テレビ、携帯電話、冷蔵庫、空気調和機、洗濯機等の電気機器に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施形態の加熱調理器を示す正面図
【図2】本発明の実施形態の加熱調理器の外装パネルを示す縦断面図
【図3】本発明の実施形態の加熱調理器の表面パネルを示す正面図
【図4】本発明の実施形態の加熱調理器の表面パネルを示す背面図
【符号の説明】
【0039】
1 加熱調理器
11 扉
13 外装パネル
21 装飾板
22〜25 操作スイッチ
30 表面パネル
30a 着色材
30b 光透過部
31 シャーシ(基材)
31a 開口部
32 粘着材
32b〜32f 貫通孔
35 表示パネル
36 基板
37 ネジ
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部を視認可能な光透過部を有した表面パネルが表面に配される電気機器に関する。
【背景技術】
【0002】
光透過部を有した表面パネルが表面に配される従来の電気機器は特許文献1に開示される。この電気機器は加熱調理器から成り、前面を開閉する扉から成る外装パネルを有している。外装パネルは開口部を有した樹脂製の外枠の前面側に透明なスクリーン(表面パネル)が配される。スクリーンは周部に遮光部が設けられ、中央が光透過部になっている。外枠の開口部の周囲に両面粘着テープ等の粘着材が設けられ、粘着材によって外枠とスクリーンとが接着されている。これにより、光透過部及び開口部が覗き窓を構成し、加熱調理器の内部を視認可能になっている。
【0003】
【特許文献1】特開平7−12352号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の電気機器によると、外装パネルの製造工程中に光透過部の背面に塵埃が付着し、完成品で光透過部上に塵埃が残存すると外装パネルが不良となる。製造工程の進行に応じて外枠の反転等により塵埃が脱落しても、脱落した塵埃が再度付着する場合もある。従って、電気機器の歩留りが低下する問題があった。
【0005】
本発明は、歩留りを向上できる電気機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明は、光透過部を有した表面パネルが表面に取り付けられ、前記光透過部を介して内部を視認可能に形成される電気機器において、前記表面パネルの背面側の空間内で前記光透過部以外の領域に粘着性物質が露出するように設けられていることを特徴としている。
【0007】
この構成によると、電気機器の表面に光透過部を有した表面パネルが取り付けられる。光透過部が覗き窓となって電気機器の内部が視認される。表面パネルの背面側の空間には光透過部の周囲等の光透過部以外の領域に粘着性物質が露出して設けられ、電気機器の製造工程中に光透過部近傍に到達した塵埃が粘着性物質に捕集される。
【0008】
また本発明は、上記構成の電気機器において、前記粘着性物質は、前記表面パネルを取り付けるための固着材料であることを特徴としている。この構成によると、表面パネルを固着する固着材料により塵埃が捕集される。
【0009】
また本発明は、上記構成の電気機器において、前記粘着性物質の端縁を前記光透過部の近傍に設けたことを特徴としている。
【0010】
また本発明は、上記構成の電気機器において、前記光透過部を介して内部を視認可能な位置に、表示パネルが取り付けられることを特徴としている。この構成によると、光透過部から成る覗き窓から表示パネルに表示される画像が視認される。
【0011】
また本発明は、上記構成の電気機器において、前記表面パネルは開口部を有する基材の表面に前記光透過部が前記開口部と重なるように配置され、前記表示パネルを実装した基板をネジ止めするボスを前記基材の背面に突設したことを特徴としている。この構成によると、基材の表面に表面パネルが取り付けられ、表示パネルを実装した基板が基材に設けたボスにネジ止めされる。表示パネルは開口部を介して光透過部と対向配置される。
【0012】
また本発明は、上記構成の電気機器において、前記粘着性物質は両面粘着シートから成り、前記両面粘着シートは前記開口部に重なるように形成される貫通孔を有することを特徴としている。この構成によると、両面粘着シートから成る粘着材は打ち抜き加工等により貫通孔が形成され、貫通孔と開口部とが重なるように基材上に粘着性物質が配置される。
【0013】
また本発明は、上記構成の電気機器において、前記表面パネルは、除電処理が行なわれていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、表面パネルの背面側の空間内で光透過部以外の領域に粘着性物質が露出するように設けられるので、電気機器の製造工程中に光透過部近傍に到達した塵埃が粘着性物質に捕集される。従って、光透過部の背面に付着する塵埃を低減し、電気機器の歩留りを向上することができる。
【0015】
また本発明によると、粘着性物質は表面パネルを取り付けるための固着材料であるので、光透過部の周縁近傍に容易に粘着性物質を設けることができる。
【0016】
また本発明によると、粘着性物質の端縁を光透過部の近傍に設けたので、粘着性物質を光透過部に接近して配置して光透過部の背面に付着する塵埃をより低減することができる。
【0017】
また本発明によると、光透過部を介して内部を視認可能な位置に、表示パネルが取り付けられるので、表示パネルの視認性を低下させる塵埃を低減して電気機器の歩留りを向上することができる。
【0018】
また本発明によると、表示パネルを実装した基板をネジ止めするボスを基材の背面に突設したので、製造工程中のネジの着脱によって発生するボスの切り屑が光透過部の背面に付着することを低減することができる。
【0019】
また本発明によると、両面粘着シートから成る粘着性物質が開口部に重なる貫通孔を有するので、光透過部近傍に粘着性物質を容易に配することができる。
【0020】
また本発明によると、表面パネルは除電処理が行なわれているので、静電気による塵埃の付着を防止し、光透過部に付着する塵埃をより低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は一実施形態の加熱調理器を示す正面図である。加熱調理器1は直方体形状のキャビネット10を備えている。キャビネット10の正面には扉11が設けられる。
【0022】
扉11は下端を中心に垂直面内で回動可能に枢支され、上部には扉11を開閉するためのハンドル12が設けられている。扉11の中央部11Cには耐熱ガラスがはめ込まれている。中央部11Cの左右には金属製の装飾板21を表面に設けた左側部11L及び右側部11Rが対称的に配置されている。
【0023】
扉11の右側部11Rには操作パネルを形成する外装パネル13が一体に設けられている。外装パネル13の前面に配される装飾板21には開口部21a、21b、21cが形成される。下方の円形の開口部21b、21cを介して操作スイッチ22、23が表面に露出する。上方の矩形の開口部21aを介して詳細を後述する表面パネル30及び操作スイッチ24、25が表面に露出する。表面パネル30の後方には後述する表示パネル35(図2参照)が配される。
【0024】
図2は外装パネル13の要部を示す縦断面図である。外装パネル13の筐体は扉11のシャーシ31(基材)により形成されている。シャーシ31は樹脂成形品から成り、開口部31aが設けられる。また、シャーシ31の背面側にはネジ孔を有する複数のボス31bが開口部31aの周囲に突設されている。ボス31bには基板36がネジ37によりネジ止めされている。基板36には液晶パネル等の表示パネル35が実装され、表示パネル35が開口部35に臨んで配置されている。
【0025】
シャーシ31の前面側には透明なアクリル樹脂から成る表面パネル30が配される。表面パネル30の背面は着色材30aを塗布して着色され、着色材30aを塗布しない光透過部31bが形成されている。光透過部31bは開口部30aよりも狭い面積で形成される。表面パネル30は両面粘着シートから成る粘着材32(粘着性物質)によってシャーシ31の前面に接着され、光透過部30bが開口部30aに重なるように配置されている。
【0026】
図3、図4は粘着材32を配した状態の表面パネル30を示す正面図及び背面図である。これらの図において、着色材31a(図2参照)が視認される部分をドットにより示している。また、図4において、粘着材32をハッチングにより示している。表面パネル30には複数の貫通孔30c、30d、30e、30fが設けられる。貫通孔30c、30dにはそれぞれ操作スイッチ24、25(図1参照)が挿通される。貫通孔30e、30fにはそれぞれ操作スイッチ22、23(図1参照)が挿通される。
【0027】
粘着材32は両面粘着シートを打ち抜き加工して形成され、表面パネル30の貫通孔30c、30d、30e、30fに対応する貫通孔32c、32d、32e、32fが設けられる。また、光透過部30bに対応する貫通孔32bが形成される。貫通孔32bは光透過部30bよりも広い面積に形成され、その周縁は光透過部30bの周縁よりも外側にに配される。また、貫通孔32bの周縁は開口部31aの周縁よりも内側に配される。即ち、粘着材32は開口部31aの周縁から内側にはみ出して設けられている。
【0028】
上記構成の外装パネル13は、粘着材32によって表面パネル30がシャーシ31に固着される。即ち、粘着材32は表面パネル30を取り付ける固着材料を構成する。表面パネル30には予め除電処理が施され、静電気によって塵埃が付着しにくいようになっている。また、シャーシ31のボス31bには表示パネル35を有する基板36がネジ止めされる。そして、表面パネル30上に装飾板21が取り付けられ、外装パネル13を有した扉11が得られる。
【0029】
これにより、光透過部30bが覗き窓となり、光透過部30b及び開口部31aを介して表示パネル35の画像を視認することができる。
【0030】
本実施形態によると、シャーシ31と表面パネル30とを固着する粘着材32が光透過部30bの周縁よりも外側で開口部31a周縁から内側にはみ出して設けられ、表面パネル30の背面側の空間内で光透過部30b以外の領域に粘着材32が露出するように設けられる。これにより、加熱調理器1の製造工程中に光透過部30b近傍に到達した塵埃が露出した粘着材32に捕集される。従って、光透過部30bの背面に付着する塵埃を低減し、加熱調理器1の歩留りを向上することができる。
【0031】
また、前述の図4に示すように、粘着材32の貫通孔32bの端縁は開口部31aの周縁よりも光透過部30bの周縁近傍に設けられる。これにより、粘着材32を光透過部30bに接近して配置し、光透過部30bの背面に付着する塵埃をより低減することができる。
【0032】
特に、光透過部30bに対向して表示パネル35がシャーシ31に取り付けられるため、塵埃が光透過部30bの背面に付着すると表示パネル35の視認性を著しく低下させる。このため、塵埃が僅かに残存しても加熱調理器1が不良となるため、粘着材32により塵埃を捕集することで加熱調理器1の歩留り向上効果がより大きい。
【0033】
また、表示パネル35を実装した基板36をネジ止めするボス31bをシャーシ31の背面に突設したので、製造工程中のネジ37の着脱によって発生するボス31bの切り屑が光透過部30bの背面に付着することを低減することができる。
【0034】
本実施形態において、光透過部30bの背面側の周囲に粘着材32を設けて塵埃を捕集するようになっているが、光透過部30bの近傍の他の位置に粘着材32を設けてもよい。例えば、前述の図2に一点鎖線Dで示すように、開口部31aの背面側の周囲に粘着材32を設けてもよい。即ち、表面パネル30の背面側の空間内で光透過部30b以外の領域に粘着材32を露出して設ければよい。これにより、光透過部30b近傍に到達した塵埃を粘着材32により捕集することができる。
【0035】
また、本実施形態において開口部30aの全周縁が光透過部30bよりも外側に配置されているが、開口部30aの周縁の少なくとも一部を光透過部30bの周縁よりも外側に形成し、光透過部30bの周縁よりも外側の開口部30a周縁の内側に粘着材32を配してもよい。
【0036】
尚、本実施形態において外装パネル13を加熱調理器1の前面に設けているが、他の電気機器、例えば、透過面を前面に有して表示部を備えた、液晶テレビ、携帯電話、冷蔵庫、空気調和機、洗濯機等の表面に外装パネル13を設けてもよい。これにより、表面パネル30の光透過部30bから電気機器本体の内部や表示パネルを視認する外装パネル13の歩留りを向上するとともに、該電気機器の歩留りを向上することができる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、光透過部を有する表面パネルを表面に備えた加熱調理器、液晶テレビ、携帯電話、冷蔵庫、空気調和機、洗濯機等の電気機器に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施形態の加熱調理器を示す正面図
【図2】本発明の実施形態の加熱調理器の外装パネルを示す縦断面図
【図3】本発明の実施形態の加熱調理器の表面パネルを示す正面図
【図4】本発明の実施形態の加熱調理器の表面パネルを示す背面図
【符号の説明】
【0039】
1 加熱調理器
11 扉
13 外装パネル
21 装飾板
22〜25 操作スイッチ
30 表面パネル
30a 着色材
30b 光透過部
31 シャーシ(基材)
31a 開口部
32 粘着材
32b〜32f 貫通孔
35 表示パネル
36 基板
37 ネジ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過部を有した表面パネルが表面に取り付けられ、前記光透過部を介して内部を視認可能に形成される電気機器において、前記表面パネルの背面側の空間内で前記光透過部以外の領域に粘着性物質が露出するように設けられていることを特徴とする電気機器。
【請求項2】
前記粘着性物質は、前記表面パネルを取り付けるための固着材料であることを特徴とする請求項1に記載の電気機器。
【請求項3】
前記粘着性物質の端縁を前記光透過部の近傍に設けたことを特徴とする請求項2に記載の電気機器。
【請求項4】
前記光透過部を介して内部を視認可能な位置に、表示パネルが取り付けられることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の電気機器。
【請求項5】
前記表面パネルは開口部を有する基材の表面に前記光透過部が前記開口部と重なるように配置され、前記表示パネルを実装した基板をネジ止めするボスを前記基材の背面に突設したことを特徴とする請求項4に記載の電気機器。
【請求項6】
前記粘着性物質は両面粘着シートから成り、前記両面粘着シートは前記開口部に重なるように形成される貫通孔を有することを特徴とする請求項5に記載の電気機器。
【請求項7】
前記表面パネルは、除電処理が行なわれていることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の電気機器。
【請求項1】
光透過部を有した表面パネルが表面に取り付けられ、前記光透過部を介して内部を視認可能に形成される電気機器において、前記表面パネルの背面側の空間内で前記光透過部以外の領域に粘着性物質が露出するように設けられていることを特徴とする電気機器。
【請求項2】
前記粘着性物質は、前記表面パネルを取り付けるための固着材料であることを特徴とする請求項1に記載の電気機器。
【請求項3】
前記粘着性物質の端縁を前記光透過部の近傍に設けたことを特徴とする請求項2に記載の電気機器。
【請求項4】
前記光透過部を介して内部を視認可能な位置に、表示パネルが取り付けられることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の電気機器。
【請求項5】
前記表面パネルは開口部を有する基材の表面に前記光透過部が前記開口部と重なるように配置され、前記表示パネルを実装した基板をネジ止めするボスを前記基材の背面に突設したことを特徴とする請求項4に記載の電気機器。
【請求項6】
前記粘着性物質は両面粘着シートから成り、前記両面粘着シートは前記開口部に重なるように形成される貫通孔を有することを特徴とする請求項5に記載の電気機器。
【請求項7】
前記表面パネルは、除電処理が行なわれていることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の電気機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図2】
【図3】
【図4】
【公開番号】特開2008−64333(P2008−64333A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−239783(P2006−239783)
【出願日】平成18年9月5日(2006.9.5)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月5日(2006.9.5)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]