説明

外装部品、外装構造および画像形成装置

【課題】汚れが激しい部分を容易に除去できる一体成形の外装部品を提供する。
【解決手段】外装部品1の汚れが顕著になる部分2を取り囲んで、ミシン目状に孔4を開けたり材料の厚みを部分的に減じたりして剛性を低下させた弱体化部5を形成し、好ましくは、弱体化部5の周長の一部の剛性を他の部分よりもさらに低下させ、汚れが顕著になる部分2の裏側に、弱体化部5が破断するまで外装部品1が変形しないように支える構造材6が位置するように配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外装部品、外装構造および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置などの機器は、樹脂製パネルのような外装部品を有することが多い。近年、環境に配慮するため、樹脂部品のリサイクルが求められている。例えば、特許文献1に記載されている画像形成装置では、通気口のグリル(ルーバ)を別部材とした外装部品を使用している。
【0003】
汚れた外装部品をそのままリサイクルすると、リサイクルした樹脂の品質を低下させることになる。外装備品の通気口部分は、汚れが激しいため、リサイクルする前に洗剤で洗ったりグラインダで表面を削り落としたりしなければならず、採算がとれないだけでなく、却って環境負荷が高くなる場合もある。従って、このような外装部品は、通気口のような汚れが顕著な部分を取り除いて、周囲のパネル部分のみをリサイクルすることが好ましい。
【0004】
特許文献1のように、通気口部分を別部品とすれば、リサイクルの際に容易に分離できるが、部品成形時の使用材料や使用エネルギーの増加によって、製造コストだけでなく環境負荷も高くなってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−254329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記問題点に鑑みて、本発明は、汚れが激しい部分を容易に除去できる一体成形の外装部品を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明による外装部品は、剛性を低下させた弱体化部を、汚れが顕著になる部分を取り囲んで形成したものとする。
【0008】
この構成によれば、弱体化部を破断して汚れが顕著な部分を除去し、汚れが少ない他の部分のみをリサイクルすることができる。
【0009】
また、本発明の外装部品において、前記弱体化部は、ミシン目状に孔を開けて形成してもよく、材料の厚みを部分的に減じて形成してもよい。
【0010】
この構成によれば、射出成形のような通常の製造方法によって、汚れが顕著になる部分を一体、且つ、容易に分離できるように外装部品を形成できる。
【0011】
また、本発明の外装部品において、前記弱体化部は、その周長の一部の剛性を、他の部分よりもさらに低下させてもよい。
【0012】
この構成によれば、剛性をさらに低下させた部分を弱体化部の破断の起点とすることで、汚れが顕著な部分を容易に分離できる。
【0013】
また、本発明の外装部品において、前記弱体化部は、外側表面に深部に応力を集中させる溝が形成されていてもよい。
【0014】
この構成によれば、装置の外側からの力に対してはある程度の強度を有するが、装置の内側からの力に対しては溝の深部に応力が集中して容易に破断する。このため、外装部品を装置に装着した状態では十分な強度があり、外装部品を装置から取り外すことで汚れの顕著な部分が容易に分離できるようになる。
【0015】
また、本発明の外装部品において、前記汚れが顕著になる部分は、通気口であってもよい。
【0016】
通気口は空気中の汚れが付着しやすいので、リサイクルに不適当であることが多い。
【0017】
また、本発明による外装構造は、前記外装部品のいずれかと、前記汚れが顕著になる部分の裏側に、前記弱体化部が破断するまで前記外装部品が変形しないように支える構造材とを有する構造とする。
【0018】
外装部品を装置に装着した状態では、外装部品の外側から力が作用するのが通常であるため、外装部品の内側に構造材を設けたことで、外装部品を装着した状態で弱体化部に過度の応力が加わることを防止でき、装置の耐用期間内に弱体化部が破断することを防止できる。
【0019】
また、本発明による画像形成装置は、前記外装部品のいずれか、または、前記外装構造を有するものとする。
【0020】
この構成によれば、外装部品のリサイクルが容易であり、低コストの画像形成装置を提供できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、外装部品に汚れが顕著になる部分を取り囲む弱体化部を形成するので、外装部品のリサイクル時に汚れが顕著な部分を簡単に分離できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1実施形態の外装部品を有する画像形成装置の斜視図である。
【図2】図1の外装部品を裏側から見た部分斜視図である。
【図3】図1の画像形成装置の構造材と外装部品との関係を示す部分斜視図である。
【図4】本発明の第2実施形態の外装部品を裏側から見た部分斜視図である。
【図5】本発明の第3実施形態の外装部品を裏側から見た詳細部分斜視図である。
【図6】本発明の第4実施形態の外装部品を裏側から見た部分斜視図である。
【図7】図6の外装部品の部分断面図である。
【図8】本発明の第5実施形態の外装部品の部分断面図である。
【図9】本発明の第6実施形態の外装部品の部分断面図である。
【図10】本発明の第7実施形態の外装部品の部分断面図である。
【図11】本発明の第8実施形態の外装部品の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
これより、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。先ず、図1に、本発明の第1実施形態の外装部品1を有する画像形成装置を示す。図示するように、本発明に係る外装部品1は、画像形成装置の化粧パネルのような、装置の外装となる部品である。外装部品1は、例えば樹脂を射出成形して形成される。
【0024】
外装部品1は、画像形成装置内部の電子部品を冷却するための冷却ファンの排気を行う通気口2を有する。通気口2は、図2に拡大して示すように、排気の方向を定めるルーバ3を有している。さらに、外装部品1は、通気口2を取り囲むように、ミシン目状に並んで開設された孔4によって、部分的に剛性を低下させた弱体化部5が形成されている。
【0025】
画像形成装置を使用すると、通気口2から空気が排出され、排気中に含まれる汚れがルーバ3に付着する。このため、画像形成装置が寿命を迎えたときには、通気口2は、外装部品1の他の部分に比べて汚れが顕著となる。尚、本実施形態において、通気口2は空気を排出するためのものであるが、給気ファンのためのものであっても、自然対流等による空気の出入りを可能にするものであってもよい。
【0026】
外装部品1は、弱体化部5に外力を作用させて、弱体化部5を破断させることにより、外装部品1から汚れの顕著な通気口2だけを容易に分離できる。これにより、外装部品1の汚れの少ない部分だけをリサイクルし、汚れの混入によるリサイクル品の品質低下を防止できる。
【0027】
分離された通気口2だけは、リサイクルされずに廃棄されることになるが、これは、洗浄等によって通気口2の汚れを除去しようとすると、洗剤やその他のエネルギーの使用によって、却って環境負荷が大きくなるからである。よって、汚れの顕著な通気口2だけを分離して廃棄することが最も環境負荷を低減できる。
【0028】
また、外装部品1は、通気口2を一体に樹脂成形しているので、通気口2を別部材とするよりも樹脂の使用量が少なく、成形のための消費エネルギーも少ない。このため、外装部品1は、製造時の環境負荷も低く、低コストでもある。特に、本実施形態のミシン目状の孔4は、通常の射出成形で容易に形成できるため、製造コストの上昇を招くことがない。
【0029】
図3に、外装部品1と、外装部品1が画像形成装置に装着されるときに、外装部品1の裏側に位置する構造材6との関係を示す。画像形成装置は、鋼板をプレス加工してなる構造材6を有しており、構造材6は、外装部品1の通気口2の裏面に寸法誤差を吸収するための僅かな隙間を空けて隣接するリブ7を有する。
【0030】
外装部品1が画像形成装置に装着されている状態では、外装部品1には、主に外側から外力が加わる。従って、通気口2に外力が作用したなら、通気口2を装置内側に移動させるような撓みが生じる。このとき、リブ7が通気口2の裏面に当接し、外力を受け止めることで、外装部品1が過度に変形することを防止する。これにより、弱体化部5に大きな応力を作用させず、意図しない弱体化部5の破断を防止できる。
【0031】
本実施形態の弱体化部5は、外装部品1から、それ自体の剛性が低い通気口2を分離可能とするためのものである。従って、本実施形態の外装部品1では、作業者が、通気口2を避けて選択的に弱体化部5に応力を加えて、弱体化部5の周長に沿って破断を進行させられるように、通気口2と弱体化部5との間隔を取っている。
【0032】
図4に、本発明の第2実施形態に係る外装部品1aを示す。本実施形態の外装部品1aは、第1実施形態の外装部品1の弱体化部5の上辺の孔4を長く形成したものである。つまり、外装部品1aの弱体化部5aは、周長の一部である上辺の剛性が、他の3辺の剛性よりもさらに低下させられている。これにより、外装部品1aは、弱体化部5aの上辺を破断の起点とすることで、容易に弱体化部5aの周長に沿って破断させることができ、汚れが顕著になる通気口2を簡単に分離することができる。
【0033】
さらに、図5に、本発明の第3実施形態に係る外装部品1bを示す。本実施形態の外装部品1bは、第2実施形態の外装部品1aの弱体化部5aの外側表面に、さらに、応力を集中させるV字型断面の溝8を、隣接する孔4を繋ぐように形成したものである。
【0034】
外装部品1bから通気口2を取り外すときは、外装部品1bの裏側から、弱体化部5bを押すように力を加えるとよい。外装部品1bの裏側から力を作用させると、外装部品1bの外側表面に引っ張り応力が作用する。外装部品1bの外側表面にはV字型の溝8が形成されているので、引っ張り応力が溝8の底部のエッジに集中する。これにより、外装部品1bの弱体化部5bは、比較的小さい力で破断させることができる。一方、画像形成装置に装着した外装部品1bに外力が作用するときは、外装部品1bの裏側に引っ張り応力が作用する。この場合、内側から押すときのような応力集中は起こらず、外側表面の溝8は、弱体化部5bの見かけ上の強度を大きく低下させない。
【0035】
図6および7に、本発明の第4実施形態に係る外装部品1cを示す。外装部品1cは、汚れが顕著になる通気口2を取り囲んで、図5に示すような矩形の断面形状を有する溝9を形成、つまり、その周長全体に亘って材料の厚みを減じることによって剛性を低下させた弱体化部5cを形成している。本実施形態が示すように、本発明の弱体化部は、汚れが顕著になる部分を取り囲むように剛性を低下させたものであれば、どのような形状のものであってもよい。
【0036】
図8に、本発明の第5実施形態に係る外装部品1dを示す。本実施形態の外装部品1dは、第4実施形態の外装部品1cの弱体化部5cの外側表面に、第3実施形態と同様の応力を集中させる溝8を形成したものである。尚、溝8は、弱体化部5cの周長全体に亘って形成しても、破断の基点とするために部分的に形成してもよい。
【0037】
また、本発明によれば、図9に示す第6実施形態に係る外装部品1eのように、外側表面に矩形断面の溝9を形成することで薄肉化した弱体化部5eを設けてもよい。
【0038】
また、図10に示す本発明の第7実施形態に係る外装部品1fの弱体化部5fのように、外側表面に、例えば半円形(V字型等他の形状でもよい)の断面形状を有する溝9を形成して、材料の厚みを減じて剛性を低下させるとともに第3実施形態の溝8および第5実施形態の溝8と同様に応力を集中させる効果を持たせてもよい。
【0039】
また、図11に示す本発明の第8実施形態に係る外装部品1gの弱体化部5gのように、材料の厚みを減じるために外側表面に形成した矩形断面の溝9の底部に、さらに、応力を集中させるための溝8を形成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、画像形成装置だけでなく、あらゆる機器の外装部品に適用でき、通気口に限らずリサイクルに適さない汚れが顕著になるいかなる部分を分離し易くするために適用してもよい。
【符号の説明】
【0041】
1,1a,1b,1c,1d,1e,1f,1g…外装部品
2…通気口(汚れが顕著になる部分)
3…ルーバ
4…孔
5a,5b,5c,5d,5e,5f,5g…弱体化部
6…構造材
7…リブ
8…応力を集中させる溝
9…厚みを減じる溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
剛性を低下させた弱体化部を、汚れが顕著になる部分を取り囲んで形成したことを特徴とする外装部品。
【請求項2】
前記弱体化部は、ミシン目状に孔を開けて形成したことを特徴とする請求項1に記載の外装部品。
【請求項3】
前記弱体化部は、材料の厚みを部分的に減じて形成したことを特徴とする請求項1に記載の外装部品。
【請求項4】
前記弱体化部は、その周長の一部の剛性を、他の部分よりもさらに低下させていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の外装部品。
【請求項5】
前記弱体化部は、外側表面に深部に応力を集中させる溝が形成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の外装部品。
【請求項6】
前記汚れが顕著になる部分は、通気口であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の外装部品。
【請求項7】
請求項1から6の外装部品と、
前記汚れが顕著になる部分の裏側に、前記弱体化部が破断するまで前記外装部品が変形しないように支える構造材とを有することを特徴とする外装構造。
【請求項8】
請求項1から6のいずれかに記載の外装部品、または、請求項7に記載の外装構造を有することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2011−13276(P2011−13276A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−155045(P2009−155045)
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】