説明

外観検査用照明装置

【課題】 高精度な外観検査を行うことができる照明装置を提供する。
【解決手段】 この発明に係る外観検査用照明装置20は、暗視野用の発光ダイオード群68と、明視野用の発光ダイオード群70とを、備える。暗視野法による外観検査時には、暗視野用の発光ダイオード群68のみが有効化され、明視野法による外観検査時には、明視野用の発光ダイオード群70のみが有効化される。それぞれの発光ダイオード群68または70から発せられた照明光は、拡散板74または78によって拡散されてから、検査対象物であるコンタクトレンズ50に照射される。従って、コンタクトレンズ50は、一様な明るさで照明され、いわゆる照度むらは生じない。このため、当該コンタクトレンズ50全体にわたって、一様な精度で外観検査を行うことができる。なお、暗視野法による外観検査時には、明視野用拡散板78の上方は、シャッタ板80によって覆われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、外観検査用照明装置に関し、特に例えば外観検査装置による検査対象物に照明用の光を照射する、外観検査用照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の照明装置は、例えばコンタクトレンズ用の外観検査装置に用いられる。そして、かかるコンタクトレンズ用の外観検査装置として、従来、例えば特許文献1に開示されたものがある。この従来技術によれば、照明装置としての円形光源手段が、検査対象物(被検査物)であるコンタクトレンズの下方に配置される。そして、この円形光源手段から、円形状の照明光が発せられ、この照明光は、コンタクトレンズに投射される。ここで、コンタクトレンズに疵等の欠陥がある場合、当該コンタクトレンズに投射された照明光は、この欠陥部分によって乱反射される。そして、乱反射された光は、コンタクトレンズの上方に配置された電子撮像装置に入射される。この結果、欠陥部分が強調された撮像画像が得られ、この撮像画像に基づいてコンタクトレンズの外観検査判定が行われる。なお、コンタクトレンズと電子撮像装置との間には、コンタクトレンズの外周外側を通過する不要照明光を遮蔽するためのマスク手段が、設けられる。
【0003】
【特許文献1】特開平11−23414号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述の従来技術では、円形光源手段から発せられた照明光が、直接、コンタクトレンズに投射されるため、当該コンタクトレンズ上に言わば照度むら(分布)が生じる。このため、コンタクトレンズ上で上述の欠陥部分が見え易い場所とそうでない場所とが生じ、場合によっては当該欠陥部分が見落とされる恐れがある、つまり外観検査精度が低下する、という問題がある。
【0005】
そこで、この発明は、従来よりも高精度に外観検査を行うことができる外観検査用照明装置を提供することを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するために、この発明は、外観検査装置による検査対象物に照明用の光を照射する外観検査用照明装置において、検査対象物に向けて光を発する発光手段と、この発光手段と検査対象物との間に設けられ当該光に対して略半透明な性質を持つ光拡散手段と、を具備することを特徴とするものである。
【0007】
即ち、この発明では、発光手段から照明用の光、つまり照明光が発せられ、この照明光は、光拡散手段を介して、検査対象物に照射される。ここで、光拡散手段は、照明光に対して略半透明な性質を有し、換言すれば当該照明光を散乱させる作用を奏する。従って、照明光は、この光拡散手段による散乱作用によって拡散され、拡散された照明光が、検査対象物に照射される。この結果、検査対象物が一様な明るさで照明され、照度むらが抑制される。
【0008】
なお、発光手段は、複数であってもよい。このようにすれば、照明光による照明範囲(領域)が拡大し、また当該照明光の光度(検査対象物の照度)が向上する。
【0009】
この場合、全ての発光手段と検査対象物との間に、光拡散手段が設けられる。そして、各発光手段から検査対象物までの距離が略均等とされ、かつ当該各発光手段から光拡散手段までの距離もまた略均等とされるのが、望ましい。このようにすれば、各発光手段から光拡散手段を介して検査対象物までの照明光の照射条件が略均等となり、複数の発光手段が設けられた場合でも、照度むらの発生が抑制される。
【0010】
かかる発明は、例えば、検査対象物に対して斜め方向から照明光を照射し、この照明光の散乱や反射を観察することによって外観検査を行う、いわゆる暗視野法の外観検査装置に、適用される。この場合、検査対象物は、外観検査装置が備える対物レンズの光軸上に、配置される。そして、発光手段は、当該光軸に沿う方向において検査対象物の配置位置からずれており、かつ当該光軸に対して直角な方向において検査対象物の周縁よりも当該光軸から離れた位置に、設けられる。
【0011】
なお、この暗視野法による外観検査は、例えば、検査対象物の輪郭(エッジ)や、当該検査対象物の表面状態、特に当該表面における疵等の欠陥の有無を検査するのに、好適である。
【0012】
さらに、この暗視野法による外観検査用途において、例えば、検査対象物が照明光に対して略透明な性質を持つ透明体である場合には、発光手段は、対物レンズの光軸に沿う方向において当該検査対象物よりも当該対物レンズから離れた位置に設けてもよい。この構成によれば、対物レンズの光軸に沿う方向において、検査対象物を挟んで当該対物レンズとは反対側から、検査対象物に照明光が照射される。
【0013】
そしてさらに、照明光が直接的に対物レンズに入射するのを防止する防止手段を、設けてもよい。即ち、発光手段から発せられた照明光、或いは光拡散手段を透過した照明光が、直接、対物レンズに入射するのを防止するべく、当該防止手段を設ける。かかる防止手段を設けることで、暗視野法による外観検査において(換言すれば照明光の散乱や反射を観察する上で)障害となる言わば直接光を排除することができ、コントラストの高い光学像を得ることができる。
【0014】
また、検査対象物の態様によっては、当該検査対象物に照射された照明光が極端に屈折し、その屈折光が対物レンズに入射することがある。そしてまた、検査対象物とこれを保持するための容器との間で照明光が乱反射し、その乱反射光が対物レンズに入射することもあり得る。このように屈折光や乱反射光が対物レンズに入射されると、これら屈折光や乱反射光による発光手段の光学像が検査対象物の光学像に重畳される、つまり映り込む、という言わば映り込み現象が生じる。そして、この映り込み現象によって、外観検査作業に支障を来たす恐れがある。そこで、かかる映り込み現象を回避するべく、対物レンズの光軸に沿う方向において検査対象物と発光手段との間の距離を変更する変更手段を、設けてもよい。即ち、この変更手段によって当該距離が変更されると、検査対象物に対する照明光の照射角度が変わる。そして、このように照明光の照射角度が変わると、上述の屈折光や乱反射光の進行方向が変わり、これによって映り込み現象が回避される。
【0015】
この発明はまた、検査対象物に対して真っ直ぐに照明光を照射し、この照明光のうち検査対象物を透過した透過光を観測することによって外観検査を行う、いわゆる明視野法の外観検査装置にも、適用することができる。この場合、検査対象物は、外観検査装置の対物レンズの光軸上に配置される。そして、発光手段は、検査対象物を挟んで対物レンズと対向する位置に、設けられる。
【0016】
なお、この明視野法による外観検査は、例えば、略透明な検査対象物の内部状態、特に気泡や異物混入等の欠陥の有無を検査するのに、好適である。
【0017】
また、この明視野法による外観検査用途においては、検査対象物と光拡散手段との間に、当該光拡散手段を介して検査対象物に照射される照明光の向きを変更する変更手段を、さらに設けてもよい。なお、ここで言う変更手段とは、回折作用や屈折作用によって当該照明光の向きを変更するものであり、かかる変更手段としては、例えば透明なシートに不透明なインクで特定の模様が描かれたものや、或いは透明なシートの表面に特定の凹凸が形成されたもの等がある。即ち、光拡散手段と検査対象物との間にかかる変更手段が介在することで、当該検査対象物に照射される照明光の向きが言わば斜め方向に変更される。そして、このように検査対象物に対してその斜め方向から照明光が照射されることによって、上述した暗視野法による外観検査と同様に、検査対象物の輪郭や当該検査対象物の表面における疵等の欠陥の有無を、認識することができるようになる。また、検査対象物内における気泡等の欠陥の有無も、より認識し易くなる。
【0018】
このような明視野法に適用される照明装置は、上述した暗視野法に適用される照明装置と共に、1つの筺体に収容することができる。この場合、いずれか一方の照明装置を有効化する有効化手段を、設ける。このようにすれば、暗視野法による外観検査および明視野法による外観検査のいずれにも対応することができる。つまり、暗視野法および明視野法の両用の照明装置を実現することができる。
【0019】
なお、この発明における検査対象物としては、例えばコンタクトレンズがある。
【発明の効果】
【0020】
この発明によれば、検査対象物を一様な明るさで照明することができ、つまり照度むらが生じない。従って、当該照度むらの影響によって外観検査精度が低下するという上述した従来技術に比べて、より高い精度で外観検査を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
この発明を、コンタクトレンズ用の外観検査装置10に適用した場合の第1実施形態について、図1〜図15を参照して説明する。
【0022】
図1に示すように、この第1実施形態に係る外観検査装置10は、基部としての基台部12と、この基台部12の上方に設けられたヘッド部14と、これら基台部12およびヘッド部14を互いに連結する連結部16とを、備えている。
【0023】
基台部12は、概略直方体の形状をしており、その内部には、画像処理装置としてのパーソナルコンピュータ(厳密にはパーソナルコンピュータの本体)18と、後述する光源ユニット20用の電源装置22とが、配置されている。そして、この基台部12の上面24上に、試料台ユニット26が、設けられている。
【0024】
試料台ユニット26は、基台部12の上面24に固定された方形板状のベース28と、このベース28上の適宜位置に固定されたZ軸ステージ30と、このZ軸ステージ30にL字状の固定具32を介して固定された照明装置としての光源ユニット20と、を有している。そして、後で詳しく説明するが、この光源ユニット20上の所定位置に、概略椀型の透明な容器34が載置され、この容器34内に、検査対象物としてのコンタクトレンズ50が収容され、言わばセットされる。
【0025】
なお、試料台ユニット26は、容器34の中心O(図2参照)が次に説明するCCD(Charge Coupled Device)カメラ36の光軸38上に位置するように、構成されている。また、Z軸ステージ30が操作されると、容器34と共に光源ユニット20が、当該光軸38に沿う方向に移動する。これによって、CCDカメラ36の焦点調整が行われる。このZ軸ステージ30の操作は、手動により直接行うこともできるし、上述したパーソナルコンピュータ18(図示しないキーボードやマウス等の命令入力手段)によって言わば間接的に行うこともできる。また、当該パーソナルコンピュータ18による画像処理を利用して、自動でZ軸ステージ30を操作し、つまり自動焦点調整を行うこともできる。
【0026】
CCDカメラ36は、これと光軸38を共にする単焦点型の拡大対物レンズ40を備えており、当該拡大対物レンズ40の入射面を下方に向けた状態、つまり容器34に対向させた状態で、ヘッド部14内に設けられている。そして、このCCDカメラ36の図示しない映像出力端子は、パーソナルコンピュータ18の図示しない映像入力端子に接続されている。なお、拡大対物レンズ40は、倍率の異なるものに任意に交換可能とされており、例えば5倍〜100倍の範囲内で当該倍率を任意に変更することができる。また、CCDカメラ36に代えて、例えばCMOS(Complimentary Metal Oxide Semiconductor)型等の他形式のカメラを用いてもよい。
【0027】
さらに、ヘッド部14内には、表示手段としての液晶型のディスプレイ42が、その表示画面を当該ヘッド部14の前方側に露出させた状態で、設けられている。そして、このディスプレイ42の図示しない映像入力端子は、パーソナルコンピュータ18の図示しない映像出力端子に接続されている。なお、この液晶型のディスプレイ42に代えて、例えばCRT(Cathode Ray Tube)型等の他形式のディスプレイを採用してもよい。
【0028】
このように構成された外観検査装置10によれば、容器34内にセットされたコンタクトレンズ50に対して、光源ユニット20から照明光が照射されと、当該コンタクトレンズ50の光学像が、拡大対物レンズ40を介して、CCDカメラ36に入射される。CCDカメラ36は、入射された光学像を電気信号である映像信号に変換し、変換された映像信号は、パーソナルコンピュータ18を経由して、ディスプレイ42に入力される。これによって、ディスプレイ42の表示画面にコンタクトレンズ50の拡大映像が表示される。そして、この拡大映像から、コンタクトレンズ50の外観検査が行われ、例えば形状や寸法、或いは疵や気泡等の欠陥の有無等が検査される。なお、この外観検査(良否判定)は、パーソナルコンピュータ18による画像処理によって自動的に行うこともできる。
【0029】
ところで、この第1実施形態に係る外観検査装置10は、これ1台で、暗視野法による外観検査と、明視野法による外観検査と、の両方を実施することができる。これは、光源ユニット20が暗視野法および明視野法の両用の照明装置として機能することによって実現される。このため、光源ユニット20は、次のように構成されている。
【0030】
即ち、図2に示すように、光源ユニット20は、概略直方体状の筺体60を有している。そして、この光源ユニット20が上述の如く固定具32を介してZ軸ステージ30に固定されている状態においては、当該筺体60の上面部62および底面部64は水平を成し、かつ上述した拡大対物レンズ40(CCDカメラ36)の光軸38と直交する。さらに、上面部62には、当該光軸38を中心とする円形の貫通孔66が、穿設されている。そして、この貫通孔66を上方から塞ぐように、容器34が載置される。
【0031】
容器34は、上述したように概略椀型であり、具体的には、下方に向かって突出した概略球冠状の底部34aと、この底部34aの周縁から上方に向かって真っ直ぐに延伸する短い円筒状の壁部34bと、から成る。かかる容器34は、光源ユニット20による照明光に対して透明な素材、例えばソーダガラスや石英ガラス等の透明ガラス、或いはポリカーボネイトやABS樹脂等の透明樹脂によって、一体に形成されている。そして、この容器34は、底部34aの外側面を貫通孔66の周縁に当接させた状態で、当該貫通孔66の周縁によって支持され、言わば当該貫通孔66に浅く嵌合される。
【0032】
このような貫通孔66による容器34の支持状態を形成するために、当該容器34の直径φaは、貫通孔66の直径φbよりも大きく、例えば貫通孔66の直径φbが30[mm]〜60[mm]であるのに対して、容器34の直径は50[mm]〜80[mm]とされている。また、容器34の底部34aの中心Oは、当該底部34aの頂点でもあり、容器34は、この底部34aの中心Oが拡大対物レンズ40の光軸38上に位置するように、載置される。
【0033】
そして、この容器34内に、無色透明の液体52が注入され、この液体52が注入された容器34内に、コンタクトレンズ50が、その前面(突出した側の面)を下方に向けた状態で、静かに投入される。すると、コンタクトレンズ50は、下方に向かって、つまり容器34の底部34aに向かって、ゆっくり(ゆらゆらと)沈む。そして、底部34aの内側面に到達する(接触する)と、コンタクトレンズ50は、重力に従って自然に、当該内側面の頂点、つまり中心Oに向かって、移動する。この結果、コンタクトレンズ50は、当該中心Oを基準とする一定位置に落ち着き、つまり光軸38上にセットされる。
【0034】
なお、液体52は、コンタクトレンズ50の乾燥(特にソフトタイプの場合には収縮)を防ぐための言わば乾燥防止剤である。また、この液体52は、コンタクトレンズ50への機械的な衝撃を緩和するための緩衝剤としても機能する。かかる液体52としては、例えば一般に知られているコンタクトレンズ用保存液が好適であるが、コンタクトレンズ50および人体に無害であれば保存液以外のものを採用してもよい。
【0035】
また、液体52は、コンタクトレンズ50が十分に浸る程度に注入されるが、この液体52が容器34の外部に流出するのを防止するために、壁部34bが設けられている。つまり、壁部34bは、液体52の流出を防止するための言わば液体流出防止手段として機能する。かかる壁部34bの高さ寸法Haは、少なくとも数[mm]以上であれば足り、例えば10[mm]〜20[mm]程度である。
【0036】
そして、容器34の厚さ寸法taは、底部34aおよび壁部34bのいずれにおいても略一定であり、例えば1[mm]〜3[mm]程度である。そしてまた、底部34aの内側面の曲率半径Rも、略一定である。この内側面の曲率半径Rは、当該内側面と接触するコンタクトレンズ50の前面の曲率半径(前面カーブ)よりも大きいのが望ましく、例えば100[mm]〜300[mm]程度である。
【0037】
なお、コンタクトレンズ50は、ソフトタイプおよびハードタイプのいずれであってもよい。いずれの場合も、コンタクトレンズ50の直径φcは、上述した貫通孔66の直径φbよりも小さく、例えばソフトタイプのものであれば、13.8[mm]〜14.5[mm]程度であり、ハードタイプのものであれば、8.4[mm]〜9.4[mm]程度である。
【0038】
さて、筺体60の内部には、暗視野法による外観検査時に用いられる言わば暗視野用の発光ダイオード(LED)群68と、明視野法による外観検査時に用いられる言わば明視野用の発光ダイオード群70とが、設けられている。このうち、暗視野用の発光ダイオード群68は、発光手段としての多数(数十個〜百数十個)の白色発光ダイオード72,72,…を有している。これらの発光ダイオード72,72,…は、筺体60内の上面部62の近傍において、拡大対物レンズ40の光軸38を中心として当該光軸38を取り囲むように、言わば環状に、設けられている。また、発光ダイオード72,72,…は、垂直方向(光軸38に沿う方向)にも複数の段を成しており、例えば3段構成とされている。そして、各発光ダイオード72,72,…の発光部(砲弾状の部分)は、貫通孔66の中心付近に向けられており、換言すれば当該貫通孔66の中心付近に位置するコンタクトレンズ50に向けられている。さらに、各発光ダイオード72,72,…の発光部から貫通孔66の中心付近までの距離は、略一定とされている。このため、下方に配置された発光ダイオード72,72,…ほど、上方に配置された発光ダイオード72,72,…よりも、光軸38に近くなる。ただし、光軸38から各発光ダイオード72,72,…までの距離は、当該光軸38から貫通孔66の周縁までの距離(φb/2)よりも大きい。換言すれば、水平方向(光軸38に対して直角な方向)において、各発光ダイオード72,72,…は、コンタクトレンズ50の周縁(エッジ部分)よりも光軸38から離れた位置にある。
【0039】
そして、各発光ダイオード72,72,…の並び(発光ダイオード群68)の内側、詳しくは当該各発光ダイオード72,72,…とコンタクトレンズ50との間には、光拡散手段としての概略球帯状の暗視野用拡散板74が、設けられている。この暗視野用拡散板74は、発光ダイオード72,72,…から発せられる光、言わば暗視野用の照明光、に対して、半透明な素材によって形成されており、例えばポリプロピレンやアクリル等の熱可塑性樹脂につや消し加工を施したものである。そして、この暗視野用拡散板74の内側面から貫通孔66の中心付近(例えばコンタクトレンズ50の前面の中心)までの距離は、当該内側面全体にわたって略均等とされており、当該暗視野用拡散板74の外側面から各発光ダイオード72,72,…の発光部までの距離もまた、当該外側面全体にわたって略均等とされている。さらに、この暗視野用拡散板74の厚さ寸法tbは、当該暗視野用拡散板74全体にわたって均一であり、例えば0.5[mm]〜3[mm]程度である。なお、この暗視野用拡散板74の上方端(大きな開口部側)は、筺体60の上面部62に密着されており、下方端(小さな開口部側)は、最下方に位置する発光ダイオード72,72,…よりもさらに下方において開放されている。
【0040】
一方、明視野用の発光ダイオード群70もまた、暗視野用発光ダイオード群68の発光ダイオード72,72,…と同規格の多数(数十個)の白色発光ダイオード76,76,…を有している。これらの発光ダイオード76,76,…は、筺体60の底面部64の近傍であって、貫通孔66の真下、換言すれば当該貫通孔66を介して拡大対物レンズ40と対向する位置に、当該貫通孔66と略同等の大きさの広がりを持って言わば平面(2次元)的に密集して、設けられている。そして、これらの発光ダイオード76,76,…の発光部は、真上に向けられており、つまり貫通孔66に向けられている。
【0041】
さらに、各発光ダイオード76,76,…(発光ダイオード群70)の上方、詳しくは当該発光ダイオード76,76,…と暗視野用拡散板74の下方端との間には、光拡散手段としての円板状の明視野用拡散板78が、水平に設けられている。この明視野用拡散板78もまた、上述の暗視野用拡散板74と同様の半透明素材によって形成されており、その厚さ寸法tcは、当該明視野用拡散板78全体にわたって均一であり、例えば0.5[mm]〜3[mm]程度である。従って、明視野用拡散板78の上面から貫通孔66までの垂直方向における距離は、当該上面全体にわたって均等であり、また、当該明視野用拡散板78の下面から各発光ダイオード76,76,…の発光部までの距離も、当該下面全体にわたって均等である。なお、明視野用拡散板78の直径φdは、貫通孔66の直径φbよりも大きく、例えば50[mm]〜80[mm]である。
【0042】
また、明視野用拡散板78のさらに上方、詳しくは当該明視野用拡散板78と暗視野用拡散板74の下方端との間に、光遮蔽手段としての円板状のシャッタ板80が、水平に設けられている。このシャッタ板80は、発光ダイオード76,76,…から発せられる言わば明視野用の照明光に対し不透明な素材によって形成されており、例えばアルミニウムやステンレス等の金属製、或いはアクリルやABS等の樹脂製とされている。さらに、このシャッタ板80の表面には、当該明視野用照明光(および暗視野用照明光)に対して高い吸収率を示すつや消しの黒色塗料が、塗布されている。そして、このシャッタ板80は、筺体60の外部、例えば上面部62の上部、に設けられたシャッタ操作用ノブ82に連結されており、このシャッタ操作用ノブ82の操作によって、明視野用拡散板78の上方から任意に排除可能とされている。具体的には、当該シャッタ操作用ノブ82が、図2(a)に矢印84で示す方向に操作(回転)されると、シャッタ板80は、同図に二点鎖線80aで示す位置に移動し、明視野用拡散板78の上方から排除される。なお、シャッタ板80の直径φeは、明視野用拡散板78の直径φdよりも大きく、さらに詳しくは暗視野用拡散板74の下方端の開口部直径よりも大きく、例えば60[mm]〜100[mm]程度である。
【0043】
このように構成された光源ユニット20によれば、暗視野法による外観検査時には、上述した電源装置22によって、暗視野用発光ダイオード群68のみが有効化され、明視野用発光ダイオード群70は無効化される。つまり、暗視野用の発光ダイオード72,72,…のみが発光し、明視野用の発光ダイオード76,76,…は非発光とされる。これによって、図3に点線の矢印90,90,…で示すように、暗視野用の発光ダイオード72,72,…から暗視野用照明光が発せられ、この暗視野用照明光は、暗視野用拡散板74および容器34(底部34a)を介して、コンタクトレンズ50に照射される。つまり、当該コンタクトレンズ50に対して、斜め下方から暗視野用照明光が照射される。
【0044】
ここで、暗視野用拡散板74は、上述したように暗視野用照明光に対して半透明な素材によって形成されており、換言すれば当該暗視野用照明光を散乱させる作用を奏する。従って、各発光ダイオード72,72,…から発せられた暗視野照明光は、この暗視野用拡散板74による散乱作用によって拡散され、この拡散された光が、コンタクトレンズ50に照射される。よって、円形光源手段から発せられる照明光がそのままコンタクトレンズに投射されるという上述した従来技術とは異なり、コンタクトレンズ50全体を一様な(ぼんやりした)明るさで照射することができ、当該コンタクトレンズ50上に照度むらは生じない。
【0045】
また、暗視野用の各発光ダイオード72,72,…から暗視野用拡散板74を介して容器34内のコンタクトレンズ50に至るまでの言わば暗視野用照明光の伝播条件、つまり当該各発光ダイオード72,72、…によるコンタクトレンズ50への暗視野用照明光の照射条件は、概ね平等である。従って、当該照射条件の違いによる照度むら(バラツキ)も生じない。
【0046】
さて、今、コンタクトレンズ50の表面に疵等の欠陥があるとする。この場合、コンタクトレンズ50に照射された暗視野用照明光は、欠陥部分によって乱反射される。そして、乱反射された光が、拡大対物レンズ40を介して、CCDカメラ36に入射される。この結果、上述したディスプレイ42の表示画面には、当該欠陥部分が強調された画像が、映し出される。なお、暗視野用照明光は、コンタクトレンズ50のエッジ部分によっても乱反射される。従って、ディスプレイ42の表示画面には、当該エッジ部分も、映し出される。一方、コンタクトレンズ50に欠陥がない場合には、エッジ部分のみが映し出され、他の部分はシャッタ板80の表面(上面)を背景とする暗い(言わば真っ暗な)画像で、映し出される。
【0047】
このように暗視野法による外観検査によれば、コンタクトレンズ50のエッジ部分や、当該コンタクトレンズ50の表面における欠陥の有無等を、効果的に検査することができる。
【0048】
なお、暗視野用の各発光ダイオード72,72,…の上方は、筺体60の上面部62によって覆われた状態にある。換言すれば、当該各発光ダイオード72,72,…と拡大対物レンズ40との間に、筺体60の上面部62が介在している状態にある。従って、各発光ダイオード72,72,…から発せられる暗視野用照明光が、直接的(直線的)に拡大対物レンズ40に入射することはない。つまり、筺体60の上面部62は、各発光ダイオード72,72,…から拡大対物レンズ40に対して直接的に暗視野用照明光が入射するのを防止する防止手段として、機能する。そして、このように拡大対物レンズ40に対する言わば直接光の入射を防止することによって、暗視野方による外観検査において、コントラストの高い光学像を得ることができる。
【0049】
また、暗視野用の発光ダイオード72,72,…とコンタクトレンズ50との位置関係によっては、当該発光ダイオード72,72,…の光学像がコンタクトレンズ52の光学像に映り込むという、言わば映り込み現象が生じる。この映り込み現象は、例えば、図4に点線の矢印92で示すようにコンタクトレンズ50に照射された暗視野用照明光が、同図に二点鎖線の矢印94で示すように当該コンタクトレンズ50と容器34(底部34a)との間で乱反射し、この乱反射した光が拡大対物レンズ40に入射することにより発生する、と推察される。また、図には示さないが、コンタクトレンズ50或いは容器34によって暗視野用照明光が極端に大きく屈折し、この屈折光が拡大対物レンズ40に入射することによっても、当該映り込み現象が生じることがある、とも推察される。そして、かかる映り込み現象が生じると、外観検査作業に支障を来たす恐れがある。
【0050】
そこで、この第1実施形態においては、暗視野用の各発光ダイオード72,72,…とコンタクトレンズ50との相対的な位置関係が変更可能とされており、具体的には、当該コンタクトレンズ50を含む容器34の位置が拡大対物レンズ40の光軸38に沿う方向において任意に変更可能とされている。より具体的には、例えば図5に示すように、容器34が載置される筺体60の上面部62を、貫通孔66の直径φbの異なるものに任意に交換することができる。なお、図5は、例えば図3の上面部62よりも貫通孔66の直径φbが大きいものに交換された状態を示し、この場合、容器34の位置は下方に移動する。これとは反対に、筺体60の上面部62が貫通孔66の直径φbの小さいものに交換された場合には、容器34の位置は上方に移動する。また、例えば図6に示すように、容器34(底部34a)と筺体60の上面部62との間に、環状のスペーサ100を設けることで、当該容器34の位置を移動させることもできる。この場合、当該スペーサ100の高さ寸法Hbによって、容器34の位置が調整される。
【0051】
このように光軸38に沿う方向において容器34の位置が移動すると、当該容器34にセットされたコンタクトレンズ50に対する暗視野用照明光の照射角度が変わる。そして、このように暗視野用照明光の照射角度が変わることによって、上述の映り込み現象の原因となる乱反射光や屈折光の進行方向(角度)が変わり、ひいては当該映り込み現象が回避される。なお、この映り込み現象は、光軸38に沿う方向において、各発光ダイオード72,72,…がコンタクトレンズ50(前面中心)よりも少し、例えば数[mm]ほど下方にあるときに、回避される。
【0052】
一方、明視野法による外観検査時には、上述の電源装置22によって、明視野用発光ダイオード群70のみが有効化され、暗視野用発光ダイオード群68は無効化される。つまり、明視野用の発光ダイオード76,76,…のみが発光し、暗視野用の発光ダイオード72,72,…は非発光とされる。また、これと併せて、上述したシャッタ操作用ノブ82によって、図7に示すように、明視野用拡散板78の上方からシャッタ板80が排除される。この結果、同図に点線の矢印110,110,…で示すように、明視野用の発光ダイオード76,76,…から明視野用照明光が発せられ、この明視野用照明光は、明視野用拡散板78を介して、容器34内のコンタクトレンズ50に照射される。つまり、当該コンタクトレンズ50に対して、真下から明視野用照明光が照射される。
【0053】
ここで、明視野用照明光は、明視野用拡散板78を透過する際に、当該明視野用拡散板78によって拡散される。そして、この拡散された光が、コンタクトレンズ50に照射される。従って、コンタクトレンズ50全体を一様な明るさで照射することができ、上述した照度むらも生じない。また、明視野用の各発光ダイオード76,76,…から明視野用拡散板78を介して容器12内のコンタクトレンズ50に至るまでの言わば明視野用照明光の伝播条件、つまり当該各発光ダイオード76,76,…によるコンタクトレンズ50への明視野用照明光の照射条件は、概ね平等である。従って、当該照射条件の違いによる照度むらも生じない。
【0054】
このようにしてコンタクトレンズ50の真下から照射された明視野用照明光は、当該コンタクトレンズ50を透過して、拡大対物レンズ40に入射される。この結果、上述したディスプレイ42の表示画面に、当該透過光に基づくコンタクトレンズ50の画像が、映し出される。なお、コンタクトレンズ50の内部に気泡等の欠陥がある場合には、明視野用照明光は、この欠陥部分によって散乱する。従って、当該欠陥部分については、他の(良好な)部分と異なった態様で、映し出される。
【0055】
ただし、コンタクトレンズ50は極めて薄く、また、明視野用照明光を含む可視光線に対して極めて高い透過率を示すので、ディスプレイ42に映し出される画像上で、上述の気泡のような欠陥部分については認識することができるものの、それ以外の部分、例えばコンタクトレンズ50の輪郭(エッジ)等を認識することは、容易ではない。そこで、この第1実施形態では、図8に示すように、明視野用拡散板78の上に、変更手段としての模様シート120を、載置する。この模様シート120とは、明視野用拡散板78を介してコンタクトレンズ50に照射される明視野用照明光の伝播方向を変更するためのものであり、かかる模様シート120を用いることで、コンタクトレンズ50の輪郭等を認識し易くしている。
【0056】
即ち、模様シート120は、図9に示すように、OHP(Over Head Projector)シート等のような透明なシート(フィルム)122に、黒色インク等の不透明なインクで所定の模様124、例えば格子模様が描かれたものである。かかる模様シート120は、例えば、当該所定模様124をCAD(Computer
Aided Design)等で描画し、これを透明シート122に印刷することによって、作成することができる。
【0057】
この模様シート120が明視野用拡散板78上に載置された状態では、当該明視野用拡散板78を介してコンタクトレンズ50に照射される明視野用照明光の一部が、当該模様シート120(模様124の部分)によって回折する。この結果、図8に点線の矢印112,112,…で示すように、当該一部の明視野用照明光の伝播方向が変更され、例えば光軸38に対して斜めの方向に向けられる。そして、この斜めの方向に伝播する明視野用照明光がコンタクトレンズ50に照射されることによって、上述した暗視野法による外観検査時と同様の状態が形成され、コンタクトレンズ50の輪郭等が認識し易くなる。なお、コンタクトレンズ50には、同図に点線の矢印110,110,…で示すように、模様シート120(模様124以外の部分)を直線的に透過する明視野用照明光も、照射される。
【0058】
図10(参考図1)に、模様シート120が用いられたときにディスプレイ42の表示画面に映し出される画像の一例を、示す。この図10において、暗い格子状の模様で見える部分が、模様シート120に描かれた模様124の像である。そして、同画像の全範囲を少しはみ出す程度に見える円形の模様が、コンタクトレンズ50の輪郭部分の像である。このように、コンタクトレンズ50と明視野用拡散板78との間に模様シート120が介在することによって、当該コンタクトレンズ50の輪郭部分が認識し易くなる。なお、コンタクトレンズ50の周縁よりも内側には、ブレンドと呼ばれる不連続な部分が存在するが、同図によれば、このブレンドについても、認識することができるようになる(同図において輪郭像の内側に見える当該輪郭像よりも小さめの円形模様がブレンドの像である)。かかるブレンドは、これまでの明視野法による外観検査では、認識することが困難であったが、模様シート120を用いることで、当該ブレンドを明確化することに成功した。また、図には示さないが、コンタクトレンズ50内に気泡等の欠陥がある場合には、この欠陥部分も明確に映し出される。なお、このとき、模様124の像は、コンタクトレンズ50の像の言わば背景となる。そして、この背景としての模様124の像が、例えばコンタクトレンズ50内の欠陥部分の像と重なって、当該欠陥部分が認識し難くなるのではないか、と懸念される。しかし、上述した拡大対物レンズ40の焦点はコンタクトレンズ50に合わせられており、よって、模様124の像はボケるため、そのような不都合は生じない。
【0059】
なお、図10は、所定模様124として、約0.5[mm]幅の直線が約1.0[mm]間隔で格子状に描かれた模様シート120を用いた場合の、ディスプレイ40に表示される画像の一例である。また、図11(参考図2)に、当該所定模様124として、約0.5[mm]幅の直線が約5.0[mm]間隔で格子状に描かれた模様シート120を用いた場合の、表示画像の一例を示す。このように、所定模様124の態様によって、画像の見え方が異なるため、検査対象物であるコンタクトレンズ50の態様に併せて当該所定模様124を選択すればよい。
【0060】
かかる所定模様124は、格子状に限らず、例えば図12に示すような斑点(ドット)模様や、或いは図13に示すような同心円状の模様であってもよい。この場合も、斑点の大きさや、線の間隔等を、適宜変えてもよい。そして、言うまでもなく、これ以外の模様、例えば放射線条に直線を描いた模様や、平行線を描いた模様、さらには曲線を描いた模様等を、採用してもよい。ただし、模様は、ランダムな形状のものではなく、一定のパターンに従って描かれたものであるのが、望ましい。また、模様シート120に代えて、単なる網状のもの(いわゆるみかん網のようなもの)を、置いてもよい。
【0061】
さらに、模様シート120として、例えば図14に示すように、透明なシート130の上に、当該透明シート130と同質の短冊状(または長尺状)の複数の透明体132,132,…を格子状に重ねることによって、当該透明シート130上に凹凸を形成したものを、採用してもよい。この場合、明視野用拡散板78を介してコンタクトレンズ50に照射される明視野用照明光は、当該凹凸部分によって回折されるだけでなく、屈折もする。そして、この回折作用および屈折作用によって、明視野用照明光の伝播方向が変更され、結果的に、上述と同様の効果が得られる。この図14に示す模様シート120が用いられたときの画像の一例を、図15(参考図3)に示す。この図15から分かるように、図14に示す模様シート120が用いられたときも、特にコンタクトレンズ50の輪郭部分が明確化される。なお、透明体132,132,…の形状や配置等は、図14に示す態様に限らず、これ以外の態様であってもよい。
【0062】
かかる模様シート120を用いる場合、つまり明視野法による外観検査によってコンタクトレンズ50の輪郭やブレンド部分、さらには当該コンタクトレンズ50表面の疵等の有無を検査する場合には、明視野用拡散板78は、特に無くても構わない。即ち、明視野用拡散板78を設けなくても、模様シート120を設けることで、当該模様シート120による回折作用または屈折作用によって、コンタクトレンズ50の輪郭やブレンド部分、表面の疵等を明確化することができる。
【0063】
以上のように、この第1実施形態によれば、暗視野用照明光および明視野用照明光のいずれについても、直接ではなく、拡散板74または78によって拡散された状態で、コンタクトレンズ50に照射される。従って、コンタクトレンズ50上に照度むらが生じず、当該コンタクトレンズ50は一様な明るさで照明される。即ち、照度むらの影響によって外観検査精度が低下するという上述した従来技術に比べて、より高い精度でコンタクトレンズ50の外観検査を行うことができる。
【0064】
なお、上述した暗視野用拡散板74は、樹脂製としたが、これに限らない。例えば、摺りガラスや白ガラス等の半透明なガラス製であってもよいし、トレース紙等のような半透明用紙製であってもよい。このことは、明視野用拡散板78についても、同様である。
【0065】
また、暗視野用発光ダイオード72,72,…および明視野用発光ダイオード76,76,…は、白色発光ダイオードに限らず、別の発光色のものであってもよい。そして、これらの発光ダイオード72,72,…および76,76,…に代えて、電球等の他の発光手段を用いてもよい。また、発光ダイオード72,72,…および76,76,…の配列(各発光ダイオード群68および70の形状)も、この第1実施形態で説明した内容に限らない。
【0066】
さらに、暗視野用発光ダイオード72,72,…(発光ダイオード群68)については、拡大対物レンズ40の光軸38に沿う方向において、コンタクトレンズ50よりも上方に設けてもよい。この場合、言うまでもなく、暗視野用拡散板68についても、当該コンタクトレンズ50よりも上方に設けることとする。
【0067】
そしてさらに、容器34については、概略椀型としたが、これに限らない。即ち、これ以外の形状の容器34を用いてもよいし、シャーレのように一般に市販されているものを利用してもよい。
【0068】
また、検査対象物としてコンタクトレンズ50を例に挙げたが、これ以外のもの、例えば各種工業用部品や医療用器具等を、当該検査対象物とすることもできる。
【0069】
続いて、この発明の第2実施形態について、図16〜図18を参照して説明する。なお、この第2実施形態は、上述した第1実施形態における光源ユニット20に代えて、図16に示すような光源ユニット200を採用するものである。
【0070】
即ち、図16に示すように、この第2実施形態における光源ユニット200は、第1実施形態における光源ユニット20において、明視野用の発光ダイオード群70を筺体60の底面部64から浮かすと共に、上述したシャッタ板80を構成から外したものである。
【0071】
より具体的に説明すると、貫通孔66の真下に、概略円板状の可動板202が、設けられている。この可動板202は、筺体60の底面部64から浮いた状態で水平に設けられており、この可動板202の上に、明視野用の発光ダイオード群70が設けられ、詳しくは当該発光ダイオード群70を構成する各発光ダイオード76,76,…がそれぞれの発光部を真上に向けた状態で平面的に密集して設けられている。そして、これらの発光ダイオード76,76,…の上方に、明視野用拡散板78が水平に設けられている。なお、この明視野用拡散板78は、例えば円筒形の支持具204を介して、可動板202の上面に固定されている。そして、これら可動板202,発光ダイオード群70,明視野用拡散板78および支持具204によって、明視野用照明ユニット206が、構成される。
【0072】
この明視野用照明ユニット206は、筺体60の外部にある照明用操作ノブ208に連結されている。そして、この証明用操作ノブ208の操作によって、当該明視野用照明ユニット206は、貫通孔66の真下から任意に排除可能とされている。詳しくは、照明用操作ノブ208が、図16(a)に矢印210で示す方向に操作(回転)されると、明視野用照明ユニット206は、同図に二点鎖線206aで示す位置に移動し、貫通孔66の真下から排除される。
【0073】
さらに、筺体60内の底面部64のうち、少なくとも貫通孔66の真下に位置する部分には、円形状の黒体シート212が貼着されている。この黒体シート212は、上述したつや消し黒色塗料と同様、暗視野用照明光に対して高い吸収率を示す。なお、この黒体シート212の直径φfは、貫通孔66の直径φbよりも大きく、例えば60[mm]〜100[mm]程度である。
【0074】
このように構成された光源ユニット200によれば、暗視野法による外観検査時には、上述した電源装置22によって、暗視野用発光ダイオード群68のみが有効化され、明視野用発光ダイオード群70は無効化される。つまり、暗視野用の発光ダイオード72,72,…のみが発光し、明視野用の発光ダイオード76,76,…は非発光とされる。また、これと併せて、照明用操作ノブ208によって、図17に示すように、貫通孔66の真下から明視野用発光ダイオード群68を含む明視野用証明ユニット206が排除される。この結果、同図に点線の矢印220,220,…で示すように、明視野用の発光ダイオード76,76,…から明視野用照明光が発せられ、この明視野用照明光は、明視野用拡散板78を介して、容器34内のコンタクトレンズ50に照射される。そして、この状態で、暗視野法による外観検査が実施される。
【0075】
この暗視野法による外観検査においては、黒体シート212が、コンタクトレンズ50の背景となる。ここで、上述した第1実施形態においては、シャッタ板80の上面が背景となることを鑑みると、当該背景からコンタクトレンズ50までの距離Hcは、第1実施形態に比べて第2実施形態の方が大きい。一般には、この距離Hcが大きいほど、背景が理想的な黒体に近づくので、暗視野法による外観検査に好都合になる、とされている。つまり、この第2実施形態によれば、第1実施形態に比べて、暗視野法による外観検査を良好に行うことができる。
【0076】
一方、明視野法による外観検査時には、照明用操作ノブ208によって、図18に示すように、貫通孔66の真下に明視野用発光ダイオード群68が配置される。そして、上述の電源装置22によって、明視野用発光ダイオード群70のみが有効化され、暗視野用発光ダイオード群68は無効化される。つまり、明視野用の発光ダイオード76,76,…のみが発光し、暗視野用の発光ダイオード72,72,…は非発光とされる。この結果、同図に点線の矢印230,230,…で示すように、明視野用の発光ダイオード76,76,…から明視野用照明光が発せられ、この明視野用照明光は、明視野用拡散板78を介して、容器34内のコンタクトレンズ50に照射される。そして、この状態で、明視野法による外観検査が行われる。
【0077】
なお、この第2実施形態においても、明視野用拡散板78の上に、上述した模様シート120を置いてもよい。
【0078】
また、黒体シート212は、底面部64の全体にわたって貼着してもよいし、当該黒体シート212に代えて、上述のつや消し黒色塗料を塗布してもよい。
【0079】
以上、第1実施形態および第2実施形態で説明した内容は、この発明を実現するための一部の例であり、この発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】この発明の第1実施形態に係る外観検査装置の全体構成を示す図である。
【図2】同第1実施形態における光源ユニットの概略構成を示す図である。
【図3】暗視野法による外観検査時の同光源ユニットの状態を示す図解図である。
【図4】映り込み現象を説明するための図解図である。
【図5】同映り込み現象を回避するための一例を示す図解図である。
【図6】図5とは異なる回避例を示す図解図である。
【図7】明視野法による外観検査時の光源ユニットの状態を示す図解図である。
【図8】同明視野法による外観検査において模様シートが用いられている状態を示す図解図である。
【図9】同模様シートの一例を示す図である。
【図10】図9の模様シートの使用時に得られた画像の一例を示す図である。
【図11】図10とは異なる模様シートの使用時に得られた画像を示す図である。
【図12】図9とは異なる模様シートの一例を示す図である。
【図13】図12とはさらに異なる模様シートの一例を示す図である。
【図14】図13とはさらに異なる模様シートの一例を示す図である。
【図15】図14の模様シートの使用時に得られた画像の一例を示す図である。
【図16】この発明の第2実施形態における光源ユニットの概略構成を示す図である。
【図17】同第2実施形態において暗視野法による外観検査時の光源ユニットの状態を示す図解図である。
【図18】同第2実施形態において明視野法による外観検査時の光源ユニットの状態を示す図解図である。
【符号の説明】
【0081】
10 外観検査装置
20 光源ユニット
50 コンタクトレンズ
68 暗視野用発光ダイオード群
70 明視野用発光ダイオード群
72 暗視野用発光ダイオード
74 暗視野用拡散板
76 明視野用発光ダイオード
78 明視野用拡散板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外観検査装置による検査対象物に照明用の光を照射する外観検査用照明装置において、
上記検査対象物に向けて上記光を発する発光手段と、
上記発光手段と上記検査対象物との間に設けられ上記光に対して略半透明な性質を持つ光拡散手段と、
を具備することを特徴とする、外観検査用照明装置。
【請求項2】
複数の上記発光手段を備え、
上記光拡散手段は上記複数の発光手段のそれぞれと上記検査対象物との間に設けられ、
上記複数の発光手段から上記検査対象物までの距離が略均等であり、
上記複数の発光手段から上記光拡散手段までの距離が略均等である、
請求項1に記載の外観検査用照明装置。
【請求項3】
上記外観検査装置は上記検査対象物の光学像が入射される対物レンズを備えており、
上記検査対象物は上記対物レンズの光軸上に配置され、
上記発光手段は上記光軸に沿う方向において上記検査対象物の配置位置を外れておりかつ該光軸に対して直角な方向において該検査対象物の周縁よりも該光軸から離れた位置に設けられる、
請求項1または2に記載の外観検査用照明装置。
【請求項4】
上記検査対象物は上記光に対して略透明な透明体であり、
上記発光手段は上記光軸に沿う方向において上記検査対象物よりも上記対物レンズから離れた位置に設けられる、
請求項3に記載の外観検査用照明装置。
【請求項5】
上記光が直接的に上記対物レンズに入射するのを防止する防止手段をさらに備える、
請求項3または4に記載の外観検査用照明装置。
【請求項6】
上記光軸に沿う方向において上記検査対象物と上記発光手段との間の距離を変更する変更手段をさらに備える、
請求項3ないし5のいずれかに記載の外観検査用照明装置。
【請求項7】
上記外観検査装置は上記検査対象物の光学像が入射される対物レンズを備えており、
上記検査対象物は上記光に対して略透明な透明体であり上記対物レンズの光軸上に配置され、
上記発光手段は上記検査対象物を挟んで上記対物レンズと対向する位置に設けられる、
請求項1または2に記載の外観検査用照明装置。
【請求項8】
上記検査対象物と上記光拡散手段との間に設けられ該光拡散手段を介して該検査対象物に照射される上記光の向きを変更する変更手段をさらに備える、請求項7に記載の外観検査用照明装置。
【請求項9】
請求項3ないし6のいずれかに記載の外観検査用照明装置と請求項7または8に記載の外観検査用照明装置とを1つの筺体に収容し、
上記筐体に収容されたいずれか一方の上記外観検査用照明装置を有効化する有効化手段をさらに備える、
外観検査用照明装置。
【請求項10】
上記検査対象物はコンタクトレンズである、請求項1ないし9のいずれかに記載の外観検査用照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図10】
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【図11】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−78581(P2007−78581A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−268700(P2005−268700)
【出願日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【出願人】(000192567)神港精機株式会社 (54)
【Fターム(参考)】