説明

外設部材の取付構造、及び取付方法

【課題】太陽電池パネル等の寸法サイズに応じて容易に調整して支持させることができる外設部材の取付構造、及び外設部材の取付方法を提供する。
【解決手段】側方が解放する側方調整溝上方が解放する上方調整溝とを長手方向に備える支持部材2を、取付対象面に固定すると共に外設部材1を取り付けた外設部材1の取付構造であって、前記支持部材2の各調整溝内には、各棒状材2a,2bの頭部が嵌合保持されることにより長手方向に摺動可能であり、側方調整溝の所望位置に第1棒状材2aを調整し、第1締着具にて締め付けることにより、第1棒状材2aの頭部を側方調整溝の所望位置に係止させ、上方調整溝の所望位置に第2棒状材2bを調整し、第2棒状材2bの先端に外設部材1を取り付けるための取付具5を取り付けた状態で第2締着具にて締め付けることにより、第2棒状材2bの頭部を上方調整溝の所定位置に係止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池パネル等の寸法サイズに応じて容易に調整して支持させることができる外設部材の取付構造、及び取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、社会的情勢及び政治的情勢が相俟って太陽エネルギー変換モジュールへの期待はますます高まっており、既設の構造物や建築物の屋根面への太陽電池パネルの取り付け要請もまた高まっている。
他方、二酸化炭素を減少させるために、屋根面を緑化して温度低下や光合成を行わせる試みも盛んに行われている。
【0003】
新設や既設の屋根の上に太陽電池パネルを取り付ける場合には、大別して屋根材自体に太陽電池パネルを一体的に組み込む方法と、屋根面に支持架台などの取付部材を固定してその上に太陽電池パネルを取り付ける方法とが知られている。
前記屋根材自体に太陽電池パネルを一体的に組み込む方法は、屋根材を製造する技術と太陽電池パネルを製造する技術とが必要であり、様々な仕様の建物(屋根)に適用することは到底困難であった。
【0004】
一方、屋根面に取付部材を介して太陽電池パネルを取り付ける方法としては、鋼材を桁状に組み合わせて支持架台(取付部材)とするため、使用する太陽電池パネルのサイズに応じて異なる支持架台を用いる必要があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、新設や既設にかかわらず、屋根面を構築する屋根材のサイズも、前記太陽電池パネルのサイズと同様に多種に及んでいるため、その施工に際し、選定した太陽電池パネルに応じて取付部材を用いても、特定に既設屋根に対して太陽電池パネルを施工できないという不具合を生ずることもあった。例えば既設屋根の垂木等の配設間隔と、太陽電池パネルの寸法が合わないことが多かった。
【0006】
そこで、本発明は、太陽電池システム等の外設部材の寸法サイズに応じて容易に調整して支持させることができる外設部材の取付構造、及び取付方法を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記に鑑み提案されたものであって、側方が解放する側方調整溝と上方が解放する上方調整溝とを長手方向に備える支持部材を、取付対象面に固定すると共に外設部材を取り付けた外設部材の取付構造であって、前記支持部材の各調整溝内には、それぞれ棒状材の頭部が嵌合保持されることにより、各棒状材は長手方向に摺動可能であり、前記側方調整溝の所望位置に第1棒状材を調整し、該第1棒状材の先端に取付対象面を連絡させた状態で第1締着具にて締め付けることにより、第1棒状材の頭部を側方調整溝の所望位置に係止させ、前記上方調整溝の所望位置に第2棒状材を調整し、該第2棒状材の先端に外設部材を取り付けるための取付具を取り付けた状態で第2締着具にて締め付けることにより、第2棒状材の頭部を上方調整溝の所定位置に係止させることを特徴とする外設部材の取付構造に関するものである。
【0008】
また、本発明は、前記外設部材の取付構造において、支持部材の側方調整溝内には、複数の第1棒状材の頭部が嵌合保持され、複数の取付対象面に架け渡して支持部材が固定されていることを特徴とする外設部材の取付構造も提案する。
【0009】
また、本発明は、前記外設部材の取付構造において、支持部材の上方調整溝には、複数の第2棒状材の頭部が嵌合保持され、複数の取付具が取り付けられていることを特徴とする外設部材の取付構造をも提案する。
【0010】
また、本発明は、前記外設部材の取付構造において、支持部材は、流れ方向に配設する縦桟であり、取付具は、横支持材を兼ねる横桟であることを特徴とする外設部材の取付構造をも提案する。
【0011】
また、本発明は、前記外設部材の取付構造において、既設屋根を構成する外装材の表面を金属材にて覆い、この金属材に持出部材を固定して取付対象面とすることを特徴とする外設部材の取付構造をも提案する。
【0012】
さらに、本発明は、取付施工面に、側方が解放する側方調整溝と上方が解放する上方調整溝とを長手方向に備える支持部材を固定すると共に外設部材を取り付ける方法であって、前記支持部材の各調整溝には、予め前記各棒状材の頭部が嵌合保持されることにより、各棒状材は長手方向に摺動可能であり、前記側方調整溝の所望位置に第1棒状材を調整する第1の工程と、位置を調整した第1棒状材に取付対象面を連絡させた状態で第1締着具にて締め付けることにより、第1棒状部材の頭部を側方調整溝の所望位置に係止させる第2の工程と、前記上方調整溝の所望位置に第2棒状材を調整する第3の工程と、位置を調整した第2棒状材に外設部材を取り付けるための取付具を取り付けた状態で第2締着具にて締め付けることにより、第2棒状材の頭部を上方調整溝の所定位置に係止させる第4の工程と、からなることを特徴とする外設部材の取付方法をも提案する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の外設部材の取付構造は、長手方向に複数の調整溝を備える支持部材を用いる方法であって、取付対象面の所望の位置に配設することができ、さらには所望の位置に外設部材の取付具を取り付けることができ、各種の外設部材を容易に且つ安定に支持して取り付けることができる。
したがって、例えば様々な取付対象面に対して各種の寸法サイズ(モジュールサイズ)を有する太陽電池パネル等に応じて容易に調整して支持させることができる。
また、本発明では、側方調整溝に第1棒状材を配置して取付対象面を連絡させて第1締着具にて締め付けるので、取付対象面として持出部材を配設する場合には、持出部材の下地への取付に仮に誤差があっても吸収することができ、取付誤差に影響を受けずに支持部材を取り付けることができる。
【0014】
また、支持部材の側方調整溝内に、複数の第1棒状材の頭部が嵌合保持され、取付対象面の複数の取付箇所に架け渡して支持部材が固定されている場合には、支持部材を安定に配設することができる。
【0015】
また、支持部材の上方調整溝内に、複数の第2棒状材の頭部が嵌合保持され、複数の取付具が取り付けられている場合、例えば外設部材として太陽電池パネルを用いる際にその寸法サイズに応じて所望の位置に取付具を配設することができる。
【0016】
また、支持部材は、流れ方向に配設する縦桟であり、取付具は、横支持材を兼ねる横桟である場合、横長に形成される太陽電池パネル等の寸法に容易に対応させて安定に支持させることができる。
【0017】
また、既設屋根を構成する外装材の表面を金属材にて覆い、この金属材に持出部材を固定して取付対象面とする場合、金属材により強度の向上が図れ、外装材の割れが生じにくく、また仮に外装材に割れが生じても漏水を生じないので防水効果が著しく高いものとなる。
【0018】
さらに、本発明の外設部材の取付方法は、第1〜第4の工程の何れも容易に実施できるものであって、各種の外設部材に応じて支持部材及び取付具を容易に且つ安定に支持して取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】(a)本発明を既設屋根に適用した一実施例(第1実施例)の要部を拡大して示す側断面図、(b)その正断面図である。
【図2】(a)第1実施例を構成する太陽電池パネル、(b)横支持材、(c)固定金具、(d)吊子、(e)支持部材、(f)持出金具、(g)受金具をさらに拡大して示す斜視図、(h)支持部材の2つの調整溝を示す拡大断面図である。
【図3】第1実施例における太陽電池パネルの取付構造を示す拡大斜視図である。
【図4】第1実施例における一部構成を意図的に取り外して示した斜視図である。
【図5】(a)本発明を既設屋根に適用した他の一実施例(第2実施例)の要部を拡大して示す側断面図、(b)その正断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の外設部材の取付構造は、側方が解放する側方調整溝と上方が解放する上方調整溝とを長手方向に備える支持部材を用いる構成であって、各調整溝内には、それぞれ棒状材の頭部が嵌合保持されることにより、各棒状材は長手方向に摺動可能である。
そして、側方調整溝は、支持部材自体を取付対象面の所望の位置に配設するための構成であり、上方調整溝は、外設部材を取り付けるための取付具を所望の位置に固定するための構成である。
【0021】
前記支持部材は、前述のように長手方向に2本の調整溝を有する構成であって、後述する図示実施例のように流れ方向に沿って配するものに限定されるものではなく、どのように配設してもよいが、図示実施例では、支持部材が縦桟となり、該支持部材に固定される取付具が横支持材を兼ねる横桟である場合には、太陽電池パネルの寸法サイズに容易に対応させて安定に支持させることができる。
【0022】
なお、前述のように本発明に用いる支持部材は、側方が解放する側方調整溝と上方が解放する上方調整溝とを長手方向に備える構成としたが、さらに予め上下左右のうち何れか三方向、又は四方向にそれぞれ調整溝を形成しておき、取り付ける外設部材の構成及び固定する取付対象面の構成に応じて適宜に使用する調整溝を選択するようにしてもよい。
【0023】
前記側方調整溝内には、第1棒状材の頭部が嵌合保持され、この第1棒状材は長手方向に摺動可能であるため、前記側方調整溝の所望位置に第1棒状材を調整し、該第1棒状材の先端に取付対象面を連絡させた状態で第1締着具にて締め付けることにより、第1棒状材の頭部を側方調整溝の所望位置に係止させることができる。
前述のようにこの側方調整溝は、支持部材自体を取付対象面の所望の位置に配設するための構成であり、取付対象面としては、各種の下地や既設屋根、或いはその表面に取り付けた持出部材(金具)などから適宜に選択することができる。また、後述する図示実施例のように持出部材にL字状の連結材を介して取り付けるようにしてもよい。
【0024】
前記上方調整溝内には、第2棒状材の頭部が嵌合保持され、この第2棒状材は長手方向に摺動可能であるため、前記上方調整溝の所望位置に第2棒状材を調整し、該第2棒状材の先端に外設部材を取り付けるための取付具を取り付けた状態で第2締着具にて締め付けることにより、第2棒状材の頭部を上方調整溝の所定位置に係止させることができる。
前述のようにこの上方調整溝は、外設部材を取り付けるための取付具を所望の位置に固定するための構成であり、取付具としては、外設部材の種類や構成に応じて適宜に選択することができる。
【0025】
前記第1棒状材及び第2棒状材としては、それぞれの調整溝に嵌合保持される頭部を備え、それぞれの締着具を螺合できる先端を備えるものであれば、その具体的な構成を特定するものではなく、例えば後述する図示実施例のようにボルトを用いてもよく、締着具としてはナットを用いてもよい。
なお、各棒状材の頭部が各調整溝に嵌合保持される構成とは、例えば摺動時などに調整溝から頭部が脱落することなく保持されていることを意味しており、さらには締め付け時に回転しないことが望ましい。このような構成としては、例えば棒状材が六角ボルトや四角ボルトである場合、調整溝の横幅が、頭部の対向角を結ぶ長さより小さく、且つ対向辺間の距離よりも大きく形成されていればよい。また、調整溝から、頭部が脱落しない構成としては、棒状材の頭部を陥入可能な溝部分に対し、その開放部分は棒状材の頭部より小さく棒状材の脚部分の太さより大きく形成していればよい。
【0026】
前記側方調整溝内に、複数の第1棒状材の頭部が嵌合保持され、それぞれの第1棒状材が長手方向に摺動可能とした場合には、取付対象面の複数の取付箇所に調整して取り付けることができ、支持部材を安定に架け渡して固定することができる。
【0027】
前記上方調整溝内に、複数の第2棒状材の頭部が嵌合保持され、それぞれ第2棒状材が長手方向に摺動可能とした場合には、複数の取付具を適宜間隔にて調整して取り付けることができ、例えば外設部材として太陽電池パネルを用いる際にその寸法サイズに応じて所望の位置に取付具を配設することができる。
【0028】
なお、本発明において、支持部材を取り付ける取付対象面としては、前述のように各種の下地や既設屋根、或いはその表面に取り付けた持出部材(金具)などから適宜に選択することができが、既設屋根の場合には、後述する図示実施例に示すように、少なくとも持出部材を取り付ける外装材の表面を金属材にて覆うことが望ましい。
この場合、金属材により強度の向上が図れ、外装材の割れが生じにくく、また仮に外装材に割れが生じても漏水を生じないので防水効果が著しく高いものとなる。
【0029】
また、本発明の外設部材の取付方法は、以下の手順にて実施される。
第1の工程として、前記側方調整溝の所望位置に第1棒状材を摺動させて調整する。
前述のように第1棒状材の頭部は側方調整溝に嵌合保持され、摺動時などに頭部が脱落することなく保持されているので、長手方向に適宜に摺動させて所望位置に調整して配置させればよい。
第2の工程として、位置を調整した第1棒状材に取付対象面を連絡させた状態で第1締着具にて締め付ける。
これにより、第1棒状部材の頭部が側方調整溝の所望位置に係止される。
第3の工程として、前記上方調整溝の所望位置に第2棒状材を調整する。
前述のように第2棒状材の頭部は上方調整溝に嵌合保持され、摺動時などに頭部が脱落することなく保持されているので、長手方向に適宜に摺動させて所望位置に調整して配置させればよい。
第4の工程として、位置を調整した第2棒状材に外設部材を取り付けるための取付具を取り付けた状態で第2締着具にて締め付ける。
これにより、第2棒状材の頭部が上方調整溝の所定位置に係止される。
【0030】
前記支持部材に支持される外設部材としては、太陽電池システムを後述する図示実施例にて説明するが、それに限定するものではなく、取付施工面に適用される外設部材であれば、例えば緑化構造でも、雪止め金具でもよいし、避雷針、アンテナなどでもよい。
この外設部材の配設位置は、前述のように前記支持部材を任意の位置に取り付けることができるので、取付施工面の任意の位置に取り付けることができる。
【実施例】
【0031】
図1〜図4に示す本発明の第1実施例の外設部材(太陽電池パネル)1の取付構造は、側方が解放する側方調整溝21と上方が解放する上方調整溝22とを長手方向に備える支持部材2を用いる構成であり、各調整溝21,22内には、それぞれ棒状材2a,2bの頭部が嵌合保持されることにより、各棒状材2a,2bは長手方向に摺動可能である。
【0032】
図示実施例の前記支持部材2は、流れ方向に沿って配される縦桟であって、一方の側面には、側方が解放する側方調整溝21が形成され、上面には、上方が解放する上方調整溝22が形成される構成である。
各調整溝21,22の横幅は、図2(h)に示すように各棒状材2a,2bの頭部の頂面の対向角を結ぶ長さより小さく、且つ対向辺間の距離よりも大きく形成されているので、各棒状材2a,2bの頭部が各調整溝21,22内に嵌合保持され、しかも締め付け時に回転することなく保持されている。
また、調整溝21,22から、棒状材2a,2bの頭部を陥入可能な溝幅に対し、その開放幅は棒状材2a,2bの頭部より小さく、棒状材2a,2bの脚部分の太さより大きく形成されているので、例えば摺動時などに頭部が脱落することがない。
【0033】
前記第1棒状材2a及び第2棒状材2bとしては、それぞれの調整溝21,22に嵌合保持される頭部を備え、それぞれの締着具2c,2dを螺合できる先端を備えるものであり、図示実施例では、前記棒状材2a,2bは六角ボルトであり、該棒状材2a,2bの脚部分には締め付けナットである締着具2c,2dを螺着した。
【0034】
前記外設部材1としての太陽電池パネルは、太陽電池11の周縁にフレーム12A〜12Dを配したものであり、各フレーム12A〜12Dは、太陽電池11の端縁を保持する略コ字状の保持部を備え、この保持部から下方へ延在する中空の被支持部を備える簡易な構成である。
上記太陽電池パネル1の周縁のうち、水上側及び水下側の端縁(フレーム12A,12B)は、前記支持部材2に支持される。
【0035】
図示実施例では、図1及び図4に示す既設屋根の上に、図2(f)に示す持出部材3を設置し、該持出部材3に図2(g)に示すL字状の連結材4を介して前記構成の支持部材2が固定され、この支持部材2には、取付具として図2(b)に示す横支持材5が任意の位置に固定され、該横支持材5に図2(a)に示す太陽電池パネル1を支持させた構成である。なお、図2(c)に示す固定金具5aは、図3に示すように上方から横支持材5の端縁を保持して支持部材2に固定する部材であり、図2(d)に示す押さえ部材8は、図3に示すように上方から流れ方向に隣接する太陽電池パネル1,1の上端を押さえる部材である。
また、前記持出部材3が設置された既設屋根は、C形鋼からなる躯体6Aの上に、木毛セメント板等の下地材6B、防水シート6Cが敷設されて下地を構成し、該下地の上に断熱材6D及び金属垂木6E(固定具6f)が取り付けられ、その上に外装材7として、横葺き屋根材が施工されている。
【0036】
前記持出部材3は、既設屋根上に沿わせる横片状の固定部31と、上方へ向く取付ボルトを保持する保持部32とを備えるピース材であり、前記保持部32に保持された取付ボルト3aにはL字状の連結材4の横片41が取り付けられ、ナット3cにて締め付けられて固定されている。なお、固定部31にはビス3bを取り付ける孔311が2カ所設けられている。
連結材4は、断面L字状のピース材であって、その横片41にも縦片42にも通孔(411,421)が形成され、縦片42の通孔421に前記支持部材2の側方調整溝21に保持される第1棒状材2aが挿通し、第1締着具2cを締め付けて固定されている。
【0037】
前記横支持材5は、前記支持部材2に固定される取付具に相当する部材であって、太陽電池パネル1の桁行き方向に沿う端縁を支持する横桟であって、桁行き方向に沿って配される定尺材である。
この横支持材5は、略箱状の土台部分の略中央に形成された塔状部51の両側に、太陽電池パネル1を支持する支持部52,52を備え、前記塔状部51には、上方が解放する溝部511が形成され、該溝部511に上向きボルトである接続ボルト9の頭部が保持され、押さえ部材8を配設してナット9bにて締め付けることにより、押さえ部材8が取り付けられると共に接続ボルト9の頭部が溝部511に強固に係止される。
また、その側端には、上向きの係止片53,53が設けられ、該係止片53,53に、上方から固定金具5a,5aを取り付け、該固定金具5aに設けた通孔54に前記支持部材2の上方調整溝22に保持される第2棒状材2bが挿通し、第2締着具2dを締め付けて固定されている。
【0038】
既設屋根への本発明の外設部材1の取付方法を以下に示す。
まず、既設屋根の上に、前記持出部材3を沿わせ、ビス3bにて固定する。その際、固定部31の他端を、既設屋根の外装材7,7の重合部に挿入する状態で固定する。
固定した持出部材3の保持部32に取付ボルト3aを保持させ、この取付ボルト32をL字状の連結材4の横片41の通孔411に挿通させ、ナット3cを取り付けて締め付ける。これによって、連結材4が持出部材3に取り付けられると共に、取付ボルト3aが保持部32に強固に係止される。
なお、持出部材3には、予め保持部32に取付ボルト3aを保持させておいてもよく、さらにL字状の連結材4を予め固定しておいてもよい。
【0039】
次に、第1の工程として、前記支持部材2の側方調整溝21に予め保持させた第1棒状材2aを所望の位置に摺動させて調整する。なお、複数の第1棒状材2aを使用する場合には、必要個数の第1棒状材2aを嵌合保持させておく。
【0040】
続いて第2の工程として、前述のように固定したL字状の連結材4の縦片42の通孔421に、前記第1の工程にて位置を調整した第1棒状材2aを挿通させ、第1締着具2cを取り付けて締め付ける。
これによって、連結材4に支持部材2が取り付けられると共に、第1棒状材2aの頭部が側方調整溝21の所定位置に強固に係止される。
【0041】
次に、第3の工程として、前記支持部材2の上方調整溝22に予め保持させた第2棒状材2bを所望の位置に摺動させて調整する。なお、複数の第2棒状材2bを使用する場合には、必要個数の第2棒状材2bを嵌合保持させておく。
この例では、取付具として横支持材5を用いたので、太陽電池パネル1の流れ方向の寸法が横支持材5の配設間隔と略等しくなるように配設されるので、それに応じて複数の第2棒状材2b,2bの配設間隔も太陽電池パネル1の流れ方向の寸法と略等しく配設される。
【0042】
続いて第4の工程として、横支持材5を固定するための固定金具5aの通孔54に、前記第3の工程にて位置を調整した第2棒状材2bを挿通させ、第2締着具2dを取り付けて締め付ける。
これにより、支持部材2に横支持材5が固定されると共に、第2棒状材2bの頭部が上方調整溝22の所定位置に強固に係止される。
なお、図4における1Xは雨押さえ、1Yは補強材である。
【0043】
このように施工される本発明の外設部材1の取付構造は、支持部材2を取付対象面の所望の位置に配設することができ、さらには所望の位置に外設部材1の取付具(この例では横支持材5)を取り付けることができ、各種の外設部材1を容易に且つ安定に支持して取り付けることができる。
したがって、例えば様々な取付対象面に対して各種の寸法サイズを有する太陽電池パネル1に応じて容易に調整して支持させることができる。
また、本発明では、持出部材3の既設屋根への取付に仮に誤差があっても吸収することができ、この取付誤差に影響を受けずに支持部材2を取り付けることができる。そして、持出金具3を軒棟方向に等間隔で固定しなくても容易に支持部材2を取り付けることができ、強度を補うために持出金具3の数を増やしても対応できる。
【0044】
また、図示実施例(図4)では支持部材2の側方調整溝21内に、複数の第1棒状材2aの頭部が嵌合保持され、取付対象面の複数の取付箇所に架け渡して支持部材2を固定したので、支持部材2を安定に配設することができる。
【0045】
また、図示実施例では支持部材2の上方調整溝22内に、複数の第2棒状材2bの頭部が嵌合保持され、複数の横支持材5を取り付けたので、外設部材として太陽電池パネル1を用いる際にその寸法サイズに応じて所望の位置に横支持材5を配設することができる。
【0046】
また、図示実施例では支持部材2は、流れ方向に配設する縦桟であり、取付具は、横支持材5を兼ねる横桟であるので、横長に形成される太陽電池パネル1の寸法に容易に対応させて安定に支持させることができる。
【0047】
さらに、本発明の外設部材1の取付方法は、前記第1〜第4の工程の何れも容易に実施できるものであって、各種の外設部材1に応じて支持部材2及び横支持材5を容易に且つ安定に支持して取り付けることができる。
【0048】
図5に示す第2実施例は、支持部材2'の上方調整溝22の位置が側方にせり出した形状であり、取付対象面が、木造躯体6A'の上に、木毛セメント板等の下地材6B、防水シート6Cが敷設されて下地を構成し、該下地の上に略均一厚みを有する外装材7'を段葺き状に敷設して施工されている。また、既設屋根を構成する外装材7'の表面を金属材7Bにて覆っている。
【0049】
さらに、前記持出部材3'としては、前記既設屋根に固定する第1部材3Dと、前記第1部材3Dの表面側の全外周を覆う第2部材3Eと、前記第1部材3D及び前記第2部材3Eを連結するナット3fとからなる。
前記第1部材3Dは、屋根面に防水材を介して固定する固定部と該固定部に立設した縦杆33とを備え、前記縦杆33は、ボルト材である。
前記第2部材3は、平面視円形状(略ハット形状)に形成され、前記第1部材3Dを覆う被覆部の外側に屋根面に防水材を介して接地させる接地部を周設し、前記被覆部には前記縦杆33を挿通させる挿通孔を設けている。
前記第3部材3fは、前記第1部材3Dの前記縦杆33に取り付けて締着することにより、前記第2部材3Eを屋根面に圧着する部材であって、前記縦杆(ボルト材)33に螺合するナットである。
この第3部材3fであるナットを締め付けることにより、前記第2部材3Eを既設屋根に圧着することができ、上方へ向かう縦杆33を立設することができる。
それ以外の構成は、前記第1実施例とほとんど同様であるから、図面に同一符号を付して説明を省略する。
【0050】
さらに、この第2実施例では、外設部材1を取り付けるための取付具は、流れ方向に隣接する太陽電池パネル1,1の上端を押さえる押さえ部材8と、その裏面に配される断面逆U字状のピース材5'であり、前記支持部材2'の上方調整溝22に保持される第2棒状材2bであるボルトにこれらのピース材5'及び押さえ部材8を挿通させ、その先端に第2締着具2dであるナットを取り付けて締め付ける。それによって、前記支持部材2'にピース材5'及び押さえ部材8を一体的に固定して押さえ部材8にて流れ方向に隣接する太陽電池パネル1,1の上端を押さえることができると共に、第2棒状材2bの頭部を上方調整溝22の所定位置に係止させることができる。
【0051】
この第2実施例では、前記第1実施例に比べて簡易構成のピース材5'を用いてほぼ同様の効果を得ることができ、押さえ部材8の取り付けもより簡単に行うことができる。
【0052】
また、この第2実施例では、既設屋根を構成する外装材7'の表面を金属材7Bにて覆い、この金属材7Bに持出部材3'を固定して取付対象面としたので、金属材7Bにより強度の向上が図れ、外装材7'の割れが生じにくく、また仮に外装材7'に割れが生じても漏水を生じないので防水効果が著しく高いものとなる。
【符号の説明】
【0053】
1 外設部材(太陽電池パネル)
12A〜12D フレーム
2,2' 支持部材
21 側方調整溝
22 上方調整溝
2a 第1棒状材
2b 第2棒状材
2c 第1締着具
2d 第2締着具
3,3' 持出部材
4 連結材
41 横片
42 縦片
5 横支持材
6A 躯体
6B 下地材
7,7' 外装材
7B 金属材
8 押さえ部材
9 接続ボルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
側方が解放する側方調整溝と上方が解放する上方調整溝とを長手方向に備える支持部材を、取付対象面に固定すると共に外設部材を取り付けた外設部材の取付構造であって、
前記支持部材の各調整溝内には、それぞれ各棒状材の頭部が嵌合保持されることにより、各棒状材は長手方向に摺動可能であり、
前記側方調整溝の所望位置に第1棒状材を調整し、該第1棒状材の先端に取付対象面を連絡させた状態で第1締着具にて締め付けることにより、第1棒状材の頭部を側方調整溝の所望位置に係止させ、
前記上方調整溝の所望位置に第2棒状材を調整し、該第2棒状材の先端に外設部材を取り付けるための取付具を取り付けた状態で第2締着具にて締め付けることにより、第2棒状材の頭部を上方調整溝の所定位置に係止させることを特徴とする外設部材の取付構造。
【請求項2】
支持部材の側方調整溝内には、複数の第1棒状材の頭部が嵌合保持され、取付対象面の複数の部位に架け渡して支持部材が固定されていることを特徴とする請求項1に記載の外設部材の取付構造。
【請求項3】
支持部材は、連結材を介して下地に固定した持出部材に固定され、前記連結材は、側方調整溝に保持させた第1棒状材が挿通する孔が設けられる縦片と、下地に固定した持出部材の上端が挿通する孔が設けられる横片とを備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の外設部材の取付構造。
【請求項4】
支持部材の上方調整溝内には、複数の第2棒状材の頭部が嵌合保持され、複数の取付具が取り付けられていることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の外設部材の取付構造。
【請求項5】
支持部材は、流れ方向に配設する縦桟であり、取付具は、横支持材を兼ねる横桟であることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の外設部材の取付構造。
【請求項6】
既設屋根を構成する外装材の表面を金属材にて覆い、この金属材に持出部材を固定して取付対象面とすることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の外設部材の取付構造。
【請求項7】
取付施工面に、側方が解放する側方調整溝と上方が解放する上方調整溝とを長手方向に備える支持部材を固定すると共に外設部材を取り付ける方法であって、
前記支持部材の各調整溝には、予め前記各棒状材の頭部が嵌合保持されることにより、各棒状材は長手方向に摺動可能であり、
前記側方調整溝の所望位置に第1棒状材を調整する第1の工程と、
位置を調整した第1棒状材に取付対象面を連絡させた状態で第1締着具にて締め付けることにより、第1棒状部材の頭部を側方調整溝の所望位置に係止させる第2の工程と、
前記上方調整溝の所望位置に第2棒状材を調整する第3の工程と、
位置を調整した第2棒状材に外設部材を取り付けるための取付具を取り付けた状態で第2締着具にて締め付けることにより、第2棒状材の頭部を上方調整溝の所定位置に係止させる第4の工程と、
、からなることを特徴とする外設部材の取付方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−149168(P2011−149168A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−9984(P2010−9984)
【出願日】平成22年1月20日(2010.1.20)
【出願人】(000165505)元旦ビューティ工業株式会社 (159)
【Fターム(参考)】