説明

多モード動作のための非共振的照明及び共振的集光/画像化機能を有する光ファイバスコープ

複数の異なるモードで選択的に動作する走査型ファイバ内視鏡システムを提供する。1つ又は複数の照射用光ファイバは、異なるタイプの光を内部位置に運ぶ。所望のパターンで共振的に駆動された走査器は、内部位置からの光を集める。走査器は、走査光ファイバ又は走査鏡のカンチレバーの末端でありうる。照射用光ファイバは、光が放出される方向を変えるために、非共振式に動くことができる。治療モードでは、比較的高出力の光が前記位置に入射でき、一方、監視モードでは、治療後に又は治療中に、走査器は前記内部位置での組織を画像化するために用いられることができる。例示的なSFEプローブが、前記内部位置での(大きい癌細胞の核対細胞質比を検出できる)散乱角、吸収深さ、組織までの軸に沿った距離、その他の条件を測定するために開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
多モード動作のための非共振的照明及び共振的集光/画像化機能を有する光ファイバスコープに関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡を用いて行う処置のような侵襲性の少ない医学的処置では、光学的治療は、一般的に、単一の大きなコアを有する多モード光ファイバに接続されたレーザによって実行される。この多モード光ファイバの末端は、人の手を用いて身体内に導入され、その尖端が内部位置にある対象の組織に物理的に接触するように進められる。代替としては、光ファイバの末端の尖端から放出する光ビームが組織上で人の手を用いて走査されるか、又は、光ファイバの末端に取り付けられた光拡散器を用いて対象の組織に亘って輻射線量を拡散させる。治療の前後で対象の組織を画像化することは(及び治療の有効性又は程度を監視することは)、一般的に、監視光ファイバを身体内の対象の領域へ運ぶ柔軟な又は堅い内視鏡を用いて行われる。心臓血管の応用では、光ファイバは、一般に、非画像化用のカテーテルと一緒に導入され、処置部の画像化は、患者の身体の外部で、蛍光透視法のような従来からの画像化方法などを用いて行われる。
【0003】
近年、新しい非常に薄く柔軟な形態の走査型ファイバ内視鏡(SFE)又はカテーテルスコープ技術が開発され、カテーテルを経て導入されるものと同様に、フレキシブル内視鏡、堅い腹腔鏡、気管支鏡、及び他の堅い、又は柔らかいスコープのような、侵襲性の少ない医学的処置に用いられる装置に光輻射を身体内に導入することを可能にした。光輻射は、例えば、共振性ファイバ走査器のコア及び/又はクラッドに直接結合する方法のようないくつかの方法の1つを用いて組織へ供給されることができ、又は単一の、又は2つの、又は多層のクラッド光ファイバを用いて供給されることができ、又は、より従来法であるが、別の共振性光ファイバ走査器と同時に光ファイバを経由して供給されることができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】「超短レーザパルスを用いた全光学的組織学(All−Optical Histology Using Ultrashort Laser Pulses)」、フィルバート S.ツァイ(Philbert S. Tsai)ら、ニューロン(Neuron)、39巻、ページ27−41、(2003年7月3日)
【非特許文献2】「光力学的治療中の組織内の光増感剤濃度の非侵襲性測定のための定量的反射率分光測定法(Quantitative reflectance spectrophotometry for the noninvasive measurement of photosensitizer concentration in tissue during Photodynamic therapy))」、M.S.パターソン(Patterson)、E.シュワルツ(Schwartz)、及びB.C.ウィルソン(Wilson)、光力学的治療:メカニズム(Photodynamic Therapy:Mechanisms), プロシーディングSPIE,1065巻、ページ115−122、(1989年)
【非特許文献3】「組織の光学的反射率及び透過率:原理と応用(Optical reflectance and transmittance of tissues: principles and applications)」、B.C.ウィルソン(Wilson)及びS.L.ジャキーズ(Jacques)、アイ・イー・イー・イー・ジャーナル・オブ・カンタム・エレクトロニックス(IEEE Journal of Quantum Electronics)、26巻、12号、ページ2186−2199 (1990年12月)
【非特許文献4】「光力学的治療の線量測定への時間分解光散乱測定の応用(Application of time−resolved light scattering measurements to photodynamic therapy dosimetry)」」、M.S.パターソン(Patterson)、J.D.ムールトン(Moulton)、B.C.ウィルソン(Wilson)、及びB.チャンス(Chance)、光力学的治療:メカニズム(Photodynamic Therapy:Mechanisms)、プロシーディングSPIE,1203巻、ページ62−75、(1990年)
【非特許文献5】「フルカラー走査型ファイバ内視鏡(A full color scanning fiber endoscope)」、医学的診断及び治療応用のための光ファイバとセンサVI(Optical Fibers and Sensors for Medical Diagnostics and Treatment Applications VI)、E.J.ザイベル(Seibel)、R.S.ジョンストン(Johnston)、及びC.D.メルヴィル(Melville)、プロシーディングSPIE,6083巻、ID#608303(2006年)
【非特許文献6】「光散乱分光のための内視鏡ファイバ束を通したフーリエ領域角度分解低コヒーレンス干渉計(Fourier−Domain Angle−Resolved Low Coherence Interferometry through an Endoscopic Fiber Bundle for Light−Scattering Spectroscopy)」、ジョン W.ピチラ(John W. Pyhtila)、ジェフェリー D. ボイヤー(Jeffrey D. Boyer)、ケヴィン J.チャルー(Kevin J. Chalut)、及びアダム ワックス(Adam Wax)、オプティックス・レターズ(OPTICS LETTERS)、31巻、6号、2006年3月15日
【非特許文献7】「改良された角度分解低コヒーレンス干渉計システムを用いた核形態の判定(Determining Nuclear Morphology Using an Improved Angle−Resolved Low Coherence Interferometry System)」、ジョン W.ピチラ(John W. Pyhtila)、ロバート N.グラフ(Robert N. Graf)、及びアダム ワックス(Adam Wax)、 オプティックス・エキスプレス(OPTICS EXPRESS)、ページ3473、11巻、25号、2003年12月15日
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以前に開発されたSFE技術は、光を部位に供給するために共振性光ファイバ走査器を用いており、この方法では、光のスポットは常に照明面上を移動している。大きな治療力のある光輻射線量が必要な場合は、治療が供給されるべき対象の領域に対応する必要な照明画素と走査型ファイバ尖端が位置合わせされた時に、極端に高出力のレーザを瞬時にオン及びオフしなければならない。以前に提案されたSFE画像化を用いた光学的治療の直接集積化は、それ故に、この短時間の間に供給されることができる光出力のレベルで制限される。この制約を乗り越えることは経費のかかることである。
【0006】
治療(又は他の処置)時間を走査光ファイバの位置合わせ時間に限定することなく、治療が供給される間(又は他の処置が行われる間)に、内部位置を実時間で監視することは明らかに望ましいであろう。例えば、光学的治療の進行を熱的に、又は蛍光で監視することができることが望ましく、これらの波長を用いて部位の画像が実時間で医療の実践者に表示されるようになる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
走査型プローブの様々な実施例が、複数の異なるタイプの光を用いる複数の異なるモードで選択的に操作することにより、患者の身体内で多くの異なる機能を果たすことに用いるために開発されてきた。具体的には、プローブのある実施形態は、少なくとも2つの異なるモードを実装することに有用である。例えば、異なるモードは、可視光を用いて部位を画像化すること、該部位の組織の条件を測定するのに有用な光を用いて該部位の医学的条件の診断を行うこと、適当な波長帯の比較的高出力の光で該部位へ治療を施すこと、及び、行われた治療の結果を判定するために該部位を、例えば、実時間で監視することを含むことができる。医学的条件の診断と関連して、内部位置を画像化する、又は該部位から光を集めるために共振性走査器を用いるというSFEプローブの1つの実施形態が開発されてきた。SFEプローブは、該部位からの光の散乱角を判定することができ、この情報は、測定された散乱角及び光の周波数又は波長の関数として判定された細胞核のサイズに基づいて、例えば、癌の診断に用いることができる。吸収は、光学距離に比例し、光学距離は照明の点又はビームからのSFEプローブ内の走査器によって提供される螺旋走査の半径によって変化させることができるため、(所望の波長での)光の侵入深さに対して組織による光の吸収が判定されることができる。更に、プローブと組織の表面との間の軸方向の長さは、照明された組織から反射される光を集めるための例示的なSFEプローブ内の走査器を用いて判定することができる。固定の、又は非共振的に移動可能な照射用光ファイバ及び画像化又は集光用の共振性走査器を用いて、これらの異なるモードの少なくとも2つを実装する例示的な新しいSFEプローブの様々な実施形態のこれらの機能と応用は、以下に詳しく説明される。
【0008】
具体的には、異なるモードにおける異なるタイプの光で患者の身体の内部位置を照明し、内部位置から受光した光に応答するための例示的な光ファイバシステムを以下に記述する。システムは、異なるタイプの光を発生する複数の光源を含む。末端を有する照射用光ファイバは、現在のモードに関する光を照射用光ファイバの末端に運び、内部位置を照明するための複数の光源に選択的に結合される。駆動信号によって励起されるように適合された走査駆動器又はアクチュエータが含まれ、末端に近接した走査光ファイバに接続される。走査駆動器又はアクチュエータは、走査器を駆動して、内部位置の少なくとも一部分を所望のパターンで走査するように構成される。現在のモードにおける照射用光ファイバからの光によって照明された内部位置の少なくとも一部分から受光される光は、走査器光ファイバの末端に入り、走査器光ファイバによって近端の方へ運ばれる。光センサ又は検出器が、走査器光ファイバに結合し、運ばれた光を受光する。それに応答して、光センサは、内部位置から受光した光の少なくとも1つのパラメータを示す出力信号を発生する。
【0009】
本方法の他の側面は、患者の身体の内部位置を複数の異なるモードで走査するための方法に関する。実装される複数の異なるモードの少なくとも2つのモードの各々に対して、方法は、少なくとも2つのモードの現在のモードで用いるために選ばれた光源から複数の異なるタイプの光の一つを照射用光ファイバの末端へ運ぶステップを含む。照射用光ファイバの末端から放出される光は、内部位置上へ向けられる。照射用光ファイバの末端は、静止、又は、非共振的運動で比較的ゆっくりと移動可能である。該内部位置の少なくとも一つの部分は、受光される光を集めるために走査される。内部位置の少なくとも該部分から受光される光は、走査器光ファイバを介して走査器光ファイバの近端へ運ばれる。受光される光は検出されて、それに応答して出力信号を発生する。内部位置の少なくとも一部分の少なくとも1つのパラメータが、そのとき実装されている現在のモードに対して、出力信号を用いて判定される。
【0010】
さらに他の側面は、患者の身体内の内部位置を、複数の異なるモードでの動作中に複数の異なるタイプの光で照明し、内部位置から受光される光に応答するための光ファイバスコープに向けられる。1つの例示的な構成では、光ファイバスコープは、内部位置を照明するための異なるタイプの光を発生する複数の異なる光源を含む。長く伸びた筐体が、光ファイバスコープの末端に配置される。そして、走査器は、光ファイバスコープの末端の概ね中心に配置される。走査器は、所望のパターンにおいて共振周波数付近で動くように駆動され、内部位置の少なくとも所望の部分から受光される光が、走査器によって集められ、走査器光ファイバを介して走査器光ファイバの近端へ運ばれるように構成される。末端を有する複数の照明用光ファイバは、分離されていて、長く伸びた筐体内で走査器の周りに配置される。複数の照明用光ファイバは、複数の異なる光源の選択された一つの光を、現在のモードで動作中の照明用光ファイバの末端へ運ぶ。照明用光ファイバの末端から放出される光は、その後、内部位置へ向けられる。センサは、走査器光ファイバに結合され、走査器光ファイバを介して運ばれる受光される光に応答する。センサは、光ファイバスコープによって実装中の現在のモードに対する内部位置での組織に関するデータを提供するために処理されることができる出力信号を発生する。
【0011】
この課題を解決するための手段は、以下の説明で更に詳しく説明する2,3の概念を簡単な形で紹介するために提供した。しかしながら、この課題を解決するための手段は、請求項に記した主題の重要又は本質的な特徴を定めようとするものではなく、請求項に記した主題の技術範囲を決定する補助手段として用いようとするものでもない。
【0012】
添付の図面とともに考えたときに、以下の詳細な記述を参照することによってよりよく理解されるので、1つ又は複数の実施例及びその変形の色々な側面と付随する利点がより容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】患者の身体の内部位置からの光を集光し、及び/又は画像化する、非共振的な照射用光ファイバ及び共振性走査光ファイバを有する例示的なプローブの末端の概略的な立面図である。
【図2】患者の身体の内部位置からの光を集光し、及び/又は画像化する、非共振的な照射用光ファイバ及び共振性走査鏡を有する他の例示的なプローブの末端の概略的な立面図である。
【図3】超高速レーザパルスを用いた比較的高出力のレーザ治療と、共振性光ファイバ走査器を用いて内部位置の非共焦点又は準共焦点多光子走査を用いた画像化による部位の監視と、を行うために適合された、さらに他の例示的なプローブの末端の概略的な立面図である。
【図4A】使用可能な異なる共振性走査パターンのいくつかの例として、螺旋走査パターン、中心軸の周りを回る線形走査パターン、ラスター走査パターン、中心軸の周りを回るプロペラ走査パターン、リサジュー走査パターンを示す図である。
【図4B】使用可能な異なる共振性走査パターンのいくつかの例として、螺旋走査パターン、中心軸の周りを回る線形走査パターン、ラスター走査パターン、中心軸の周りを回るプロペラ走査パターン、リサジュー走査パターンを示す図である。
【図4C】使用可能な異なる共振性走査パターンのいくつかの例として、螺旋走査パターン、中心軸の周りを回る線形走査パターン、ラスター走査パターン、中心軸の周りを回るプロペラ走査パターン、リサジュー走査パターンを示す図である。
【図4D】使用可能な異なる共振性走査パターンのいくつかの例として、螺旋走査パターン、中心軸の周りを回る線形走査パターン、ラスター走査パターン、中心軸の周りを回るプロペラ走査パターン、リサジュー走査パターンを示す図である。
【図4E】使用可能な異なる共振性走査パターンのいくつかの例として、螺旋走査パターン、中心軸の周りを回る線形走査パターン、ラスター走査パターン、中心軸の周りを回るプロペラ走査パターン、リサジュー走査パターンを示す図である。
【図5】共振性走査器の周りにグループ化された、異なる目的に用いられる複数の光ファイバを示す例示的なプローブの末端を概略的に示す図である。
【図6】走査光ファイバの向かい合う側上に非共振的な照射用光ファイバを有し、内部位置上に集光するための複数のレンズを用いるプローブの、他の実施例を概略的に示す図である。
【図7】一実施例によるプローブを用いる走査システムの概略的ブロック図である。
【図8】組織表面からの鏡面反射光と拡散性反射光との関係を示す概略図である。
【図9】例えば、プローブの末端の部分と表面との間の距離を判定するために用いることができる走査システムの制御器の図である。
【図10】内部位置の表面に対する照射用光ファイバと走査器との間の機能的な関係を示す概略図である。
【図11A】プローブの末端と内部組織の表面との間の異なる距離での3つの異なる鏡面反射パターンを示す図である。
【図11B】プローブの末端と内部組織の表面との間の異なる距離での3つの異なる鏡面反射パターンを示す図である。
【図11C】プローブの末端と内部組織の表面との間の異なる距離での3つの異なる鏡面反射パターンを示す図である。
【図11D】プローブが照明中に回転したとき、及びプローブが回転している間に照明が半径方向に変位したときにプローブの末端と内部組織の表面との間の同一距離での2つの異なる照明パターンを示す図である。
【図11E】プローブが照明中に回転したとき、及びプローブが回転している間に照明が半径方向に変位したときにプローブの末端と内部組織の表面との間の同一距離での2つの異なる照明パターンを示す図である。
【図12】半径が可変の円、又は螺旋の走査モードを含む任意の複数の異なる走査パターンで領域を走査するために駆動可能で、領域を画像化するときには、走査デバイスの末端にある集合レンズの周りに配置された複数の照射用光ファイバからの光によって照明された領域からの光を集光する共振性走査光ファイバを有する例示的な走査デバイスを示す図である。
【図13】流体が満たされた風船を用いてファイバを(非共振的に)動かし、照射用光ファイバから放出される光が内部の表面上に入射する場所を選択的に変える一実施例の概略的断面図である。
【図14】バイモルフ変位器を用いてファイバを動かし、照射用光ファイバから放出される光が内部の表面上に入射する場所を選択的に変える他の実施例の一側面の概略的断面図である。
【図15A】図13に示したものと同様の実施例の末端部分(4つの照射用光ファイバのうちの1つは図を簡単化するために除去された)の概略的断面等尺図であり、風船が一般的に膨らんでいない時の照明用光ファイバの位置、及び加圧流体が風船を少なくとも部分的に大きく膨らませた後の照明用光ファイバの別の位置を示す図である。
【図15B】図13に示したものと同様の実施例の末端部分(4つの照射用光ファイバのうちの1つは図を簡単化するために除去された)の概略的断面等尺図であり、風船が一般的に膨らんでいない時の照明用光ファイバの位置、及び加圧流体が風船を少なくとも部分的に大きく膨らませた後の照明用光ファイバの別の位置を示す図である。
【図15C】図15Aと図15Bの実施例の末端部分の概略的等尺図であり、各々、風船が一般的に膨らんでいないときの照明用ファイバの位置、及び流体が風船を少なくとも部分的に膨らませるために用いられる時の照明用光ファイバの別の位置を示す図である。
【図15D】図15Aと図15Bの実施例の末端部分の概略的等尺図であり、各々、風船が一般的に膨らんでいないときの照明用ファイバの位置、及び流体が風船を少なくとも部分的に膨らませるために用いられる時の照明用光ファイバの別の位置を示す図である。
【図16】管腔を通って近くに伸びているケーブル又は線が、ファイバを動かすために用いられ、照射用光ファイバから放出される光が内部の表面上に入射する位置を選択的に変える例示的なSFEプローブのさらに他の実施例の末端部分の一側面の概略的断面図である。
【図17】フーリエ変換レンズが、光散乱及び、光を散乱させる細胞の構成要素又は粒子のサイズを判定するために用いられる例示的なSFEプローブの概略的断面図である。
【図18】フーリエ変換レンズ及び縦方向に可動な共振性光ファイバ走査器を用いて、高精細画像化及び異なる散乱角の捕捉の両方が可能なプローブのさらに他の実施例の断面図ある。
【図19】例えば、走査光ファイバの内部クラッド内に集められた局所的拡散反射の測定/地図化に関する、同様に、走査光ファイバの単一モードコアを用いて高精細画像化に関する、異なる特性の光源に結合する照射用光ファイバを含むプローブの断面図である。
【図20】様々な機能に関して用いることができる、図19の2つの照射用光ファイバ及び12個の他の多モード光ファイバを含む(見えないが、走査器を有する)、例示的なSFEプローブの実施例の概略図である。
【図21】2つの照射用光ファイバからの光で照明された内部位置の概略的軸方向図であり、異なる特性を有する各々の異なる照射用光ファイバから放出される光に対するベクトルを示す図である。
【図22】例えば、画像化、監視、診断を行うこと、及び患者の身体の内部位置に治療を施すことの任意の1つ以上を行うために、本明細書に記載したようなSFEプローブを用いるシステム内の機能部品と信号の流れを示す例示的な機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図面及び開示された実施形態は限定されない
実施例は、参照図面において例示される。本明細書に開示される実施形態及び図面は、制限的でなく、例示的と考えられるべきであると意図される。本技術と以下の特許請求の範囲に関する制限は、図面に示された、及び、本明細書で説明された例が負うものではない。
【0015】
共振走査器の実施例
本明細書で開示される複数の実施例の各々は、異なるタイプの光を用いて少なくとも2つの異なるモードを選択的に実装するためのシステムに用いることができる。例えば、複数の異なるモードは、(1)組織から受光される光に応答することによって内部位置での組織の条件を判定するために用い、組織の条件を示すパラメータを判定する診断モードと、(2)(例えば、可視光単色光又は赤、緑、及び青(RGB)の成分を有する光を用いての)画像化技術を用いて内部位置の画像を発生するために用いる画像化モードと、(3)比較的高出力の治療光を用いて内部位置にある組織へ治療を施すための治療モードと、(4)内部位置へ治療を実行する前後、及び/又は最中に、部位を画像化することによって、内部位置にある組織の条件を評価するために用いる監視モードと、を含む。以下に説明される実施例の各々によって実装されるモードは、必ずしも具体的には示されていないが、本開示に基づいて、当業者には明らかになるであろう。
【0016】
以下に図示され、説明される、例えば、図1,2、及び10の実施形態のような実施例のいくつかでは、対物レンズシステムは示されていない。しかしながら、この技術の内視鏡応用に用いるプローブに対しては、対物レンズシステムの多くの可能な異なる組み合わせの1つが、大きな開口数の光学系を用いて、高倍率焦点(及び画像化)を実現すること及び高い集光効率を確保することの両方のための利用に含まれうると考えられる。含まれる可能性がある例示的な対物レンズシステムは、図3,6,12,13、及び17−19に示される。説明された例示的なプローブの内視鏡応用に関して、このような画像化レンズシステムは、大きな開口数の光学系を用いてより大きな効率で集光するために、共振性走査器と照明された組織との間に配置してもよい。更に、対物レンズシステムは、その末端(すなわち、先端の)表面で組織と接触及び/又は水に浸漬するように設計することもできる。
【0017】
共振性走査器を用いて、(不図示の)患者の身体内の内部位置44から集光又は画像化を行うために適当なプローブ30の第1の実施例は、図1に例示される。プローブ30は、末端の部分だけが概略図に示された筐体32を含む。筐体32内には、複数の照射用光ファイバ34が配置される。そのような照射用光ファイバの2つだけがこの図に例示されるが、以下の説明から明らかになるように、SFEプローブは、単一の照射用光ファイバだけを含むことができ、同様に2本より多く含むことができるとも考えられる。選択肢としては、照射用光ファイバ34の各々は、変位器36を含み、変位器は単純にこの図の概略的ブロックとして例示され、照明光を放出する方向を変えるための照射用光ファイバを非共振的に動かす機構を表すことを意図し、従って、照明光が内部位置44に入射する場所を選択的に変える。更なる選択肢として、各々の照射用光ファイバは、ロッドレンズ38、及び、より効率よく照射用光ファイバから放出された光を内部位置上に集光するための、例えば、段階的屈折率(GRIN)レンズを含むことができる。
【0018】
示された例において、ロッドレンズ38を通して放出された照明光40は、内部位置上に入射され、点42に集光される。照射用光ファイバは、比較的大きな多モードコアを有することができ、それ故、以下に詳しく説明するように、適当に選択された波長で比較的強い強度の光を運ぶことができ、様々な異なる機能を達成する。いくつかの実施例では、1つ又は複数の照射用光ファイバは単一モード光ファイバを備えることができる。
【0019】
プローブ30は、様々な異なる応用に用いることができる。画像化応用では、照射用光ファイバ34を通して運ばれ、内部位置44に向けられた照明光は、内部の表面を照明するのに適する単純な(赤、緑、及び青の成分を有する)白色光であってもよいし、又は単色光であってもよい。内部位置に治療を施すために用いる場合、治療力のある光輻射は、通常、照射用光ファイバ34を通して、十分に高出力及び十分なパルス幅又はパルス時間で、照射用光ファイバ34に損傷を与えずに運ばれることができ、所望の治療力のある効果を達成する。さらに、変位器36が含まれる場合は、内部位置44を固定スポット42で照明する代わりに、照明光40は、他の複数のスポットに、又は、例えば、スポット46のような、単一のスポットに集光することができ、内部位置へ供給される実効出力を増大させ、全てのコヒーレンス効果を低減する。
【0020】
更に含まれるのは、走査光ファイバ50であり、これは、所望のパターンにおいて、共振周波数で、又は共振周波数の近くで、圧電セラミック管アクチュエータ52によって、又は、他の適当な走査駆動器によって動くように駆動される。走査光ファイバは、光ファイバ50’の破線の位置によって示されるように、直線的な、共振又は共振に近い運動で選択的に駆動されることができ、又は、2つの直交する軸に対して印加される駆動力を用いて、より複雑な二次元的な運動において駆動されることができる。走査光ファイバ50によって実現することができる走査パターンのいくつかの例は、以下に図面で示され、説明される。走査光ファイバ50は、単一モード(又は、多モード)光ファイバ54の末端を備え、ファイバは、(不図示の)近端へ伸びていて、そこで走査光ファイバへと入る光は、センサ又は検出器で検知されることができ、又は、以下により詳しく説明されるように、画像を表示装置上に発生するために用いることができる。選択肢としては、1つ又は複数の対物レンズが、光ファイバ54と内部位置44との間に配置されることができ、以下に説明される他の実施形態において示されるように、高開口数の光学系を用いて高出力の拡大及びより大きな集光効率を提供する。本明細書に説明される様々な応用及び実施形態において、代替として、走査光ファイバはまた、多層クラッド光ファイバ又は多モード光ファイバ及び単一モード光ファイバの組み合わせを備えることもできる。
【0021】
SFEプローブ30は、侵襲性の少ない医学的処置のために用いられる、カテーテルと関連したスコープと同様に、柔軟なスコープ、堅い腹腔鏡、ロッコ(Rocco)スコープ、及び他の堅い又は柔軟なスコープのような様々な異なる装置で、患者の身体内に容易に導入できるような構成であり、大きさを有する。走査光ファイバ50は、治療のために用いられる照明光40の運搬とは独立に、内部位置44を画像化できるので、走査光ファイバは、内部位置44を実時間で監視し、内部位置の治療の進展及びその効果を判定するために用いることができる。照明光を供給し、治療を実施するために用いられる照射用光ファイバ34は、内部位置から受光され、治療中に発生する熱を監視する赤外(IR)光を集光するために用いることもできる。照射用光ファイバの近端では、治療のために用いられ、近IR波長の光を発生する照明用のレーザは、例えば、45°の角度で配置された長波長通過フィルタのような(不図示の)、二色性ビームスプリッタを用いて、集中熱除去及びより長波長のIRから分離することができる。照射用光ファイバ34から放出された治療力のある光輻射は、治療力のある光の波長のために特別に設計したロッドレンズ38で集光されることができる。
【0022】
例えば、プローブ30のようなSFEに関する走査画像化面とともに照明/治療面を登録するための技術が発展してきた。SFEを制御するためのコンピュータを用いることによって(図22及び関連説明を参照のこと)、2つの画像面を正確に登録することが可能である。例えば、低出力の近IR光源は、通常、治療に用いるより高出力の光を供給するために用いる照射用光ファイバ34の近端に選択的に結合できる。単一モード(又は多モード)光ファイバ54の近端に結合され、通常、内部位置を画像化し、又は実行中の治療の結果又は進展を監視するために用いる同一のセンサ又は光検出器は、その後、低出力IR光スポットの赤、緑、及び青(RGB)画像内の画素位置をマッピングするために用いられる。測定された位置、サイズ、及び形状のスポットは、走査光ファイバを制御するコンピュータシステムによって記録されることができる。ユーザの所望のように、色付の円がユーザに対して初期化過程中に測定された光出力分布の半値全幅で各スポットの周りに描かれ、表示される。SFEプローブをコンピュータシステムで選択的に制御することによって、SFEプローブは巧みに動かされることができ、全高出力治療光の照射が、照射用光ファイバを通して実施される前に、対象の画像化された領域は1つ又は複数の色付の円によって丸く囲まれ、これによって、治療が走査光ファイバによって提供された領域の画像に登録された内部位置の所望の部分又は領域に供給されることを確証する。
【0023】
適用される応用に依存して、SFEプローブは、光学的治療のために用いられる複数の照明光ビームが走査光ファイバ50の画像化視野内の単一スポットに組み合わされ、内部位置44の走査された表面内の所望の領域に供給されることができる治療光の全強度を増大させるように設計し、構成することができる。このように、4本の照射用光ファイバから放出された治療光が画像化視野内の単一スポット上に集光される場合、スポットに供給される全出力は、照射用光ファイバの1本だけで供給される治療光の出力の約4倍になるであろう。代替としては、複数の照射用光ファイバは、それらが放出する治療光が、四角形、長方形、円、又は他の形状を形成し、それらは単一スポットの面積の約4倍であるように構成されることができる。もっと大きな面積が所望の場合は、SFEプローブは手動で動かすことができ、例えば、末端を前後に掃引する、又は回転させて、光学的治療の光が、内部位置44にある対象の面積に亘って掃引することができる。例えば、擬似カラーの(図1には示していないが以下に詳しく記述される。)ユーザインターフェイス又は表示装置は、光学的治療が実行されている間に組織の条件のリアルタイムフィードバックとして、組織の表面温度表示を提供できる。更なる例として、走査光ファイバは、光学的治療が実施されている部位から赤外光を検出可能であり、光学的治療の進行又は治療に対する組織の応答の表示を提供する。熱が光学的治療の進行の尺度でない場合は、走査光ファイバ50は、その代わりに、燐光、自己蛍光比(波長又は偏向)、又は外因性蛍光強度又は(治療が光力学療法(PDT)である場合に特に有用である)発光寿命に応答するように内部位置を画像化するために構成されることができる。
【0024】
図1に示した走査光ファイバ50を用いる代替として、図2に示したSFEプローブ30’は、例えば、内部位置44上のスポット46のような所望の領域を走査するために、共振周波数又は共振周波数付近で駆動される1つ又は複数の(不図示の)反射性表面を有する鏡走査器56を含む。鏡走査器56は、1つ又は複数の可動微小電気機械システム(MEMS)の反射性表面を含むことができ、又は、例えば、1つの反射性表面を有するx方向において、及び、他の反射性表面を有するy方向において、共振的に走査するために、直交方向に駆動される反射性表面に結合した1つ又は複数の圧電式、又は検流計式駆動器を含んでもよい。SFEプローブ30’は、その他の面では、プローブ30と実質的に同一の部品を含み、照射用光ファイバ34の末端から放出された照明光40は、点42にある内部位置44を照明するために、又は他の所望のように向けられる。変位器36によって選択的に動かすように照明用のファイバを適当に構成することにより、照射用光ファイバは、放出された照明光を内部位置44上の所望の領域又は点に向けることができる。選択肢としては、1つ又は複数の対物走査レンズは、鏡走査器56と内部位置との間に配置されることができ、照明光を集光するため及び光学的信号を集光するために、より大きな開口数で大きな光学的倍率の両方を提供する。
【0025】
高出力レーザパルスを用いる非共焦点SFEの実施例
高出力のレーザ照明の両方を実現して、内部位置にある材料を除去する(光学的に取り除く)ために、増幅された超短レーザパルスは組織の表面上に集光される。一般的に、これらのレーザ増幅器は、光学的スペクトルの近赤外(NIR)領域で動作し、フェムト秒(fs)からピコ秒(ps)範囲のパルス持続時間を有するが、他の光学的周波数のナノ秒(ns)からミリ秒(ms)のパルスでも十分ではある。材料を取り除き、又は焦点のみにある組織を除去し、及び他の組織へ引き起こす側副性欠陥を最小にするために、高いパルス繰返し数は回避される。一般的に、光源は約800nmの波長の出力を有する増幅されたfsパルスレーザシステムを備えることができる。この必要条件を備えたレーザ光源は、現在では、スペクトラ・フィジクス社(Spectra−Physics)、ニューポート社(Newport Corporation)及び、コヒーレント社(Coherent Inc)のような米国の主要な製造会社から入手可能である。このNlRの光学的周波数で組織を除去するために、組織での出力レベルが約1μジュール又はそれ以上のパルスが一般的に必要になる。超高速NIRパルスを内部位置へ伝えるために、特別に設計され、製造された中空コア及び/又は大面積コア径を有するフォトニック結晶光ファイバが開発され、例えば、デンマークのクリスタル・ファイバ社(Crystal Fibre, Denmark)から入手可能である。単一モード・フォトニック結晶ファイバ、及び任意のロッド、GRIN,又は対物レンズシステムは、高出力のレーザ照明光を内部位置上に集光するために用いられることができる。この照明光の非共振的走査によって、単一の又は複数の高出力の超高速パルスは、低繰返し速度の増幅器を用いて組織の表面へ照射されることができる。 同時に、共振性ファイバ(又は鏡)による内部位置の高速走査は、照明された内部位置から光信号を集光するために用いられ、レーザ切断工程を実時間で監視する。理想的な監視用ファイバは、治療を監視するために、内部クラッド内の多モードの集光に加えて、単一モードコアからの高解像度表面画像化を可能にする2重クラッド光ファイバであってもよい。代替としては、二重クラッドフォトニック結晶光ファイバが、現在では、デンマークのクリスタル・ファイバ社(Crystal Fibre, Denmark)から市販され入手可能である。中空コアとバンドギャップを有する光ファイバと同様に、標準の単一モード又は多モード光ファイバを用いることができる。監視方法は、可視の波長(例えば、赤、緑、及び青の可視光)の走査ビームを用いて、内部位置から後方散乱光を集光することによる直接内視鏡画像化法を含むことができる。レーザ治療を監視するための更なる方法は、蛍光、熱放射、及び可視スペクトルの外側の光の波長で組織を画像化することによるマッピングを含む。また、組織の光学的特性は、非共振的にファイバを走査された照明光及び共振性走査による検出の両方を用いて、残りの組織の病気の状態を監視するために、治療中に又は治療に続いて同時に評価されることができる。さらに、除去プロセス又は他のレーザ治療の非共振的走査のパターンは、照明の所望のパターンが辿られることを保証するために共振性走査によって監視できる。
【0026】
レーザ除去プロセス及び組織内の病気の蛍光マーカの深さを監視するための例示的な望ましい方法は、超短NlR光学的周波数で、比較的低出力のレーザ照明光を用いた多光子蛍光画像化である。二光子走査ファイバ内視鏡に対して非共焦点の設計を用いることの利点は、以下に説明される。NIR光は、紫外又は可視の波長を用いるときに生じる散乱及び吸収による光学的損失より小さい光学的損失で組織に侵入する。このように、NIRの波長は、紫外又は可視光よりも長いが、NIR光は、組織内で最小の損失でシャープな焦点を作る。測定可能な二光子吸収を作り出すために十分な光出力が、焦点にだけで存在する。従って、組織から伝達された全ての蛍光性の光子は、蛍光を測定するための信号に加算されることができる。組織を2次元に走査することにより、2−D蛍光画像を発生できる。一般的に、オリジナルの2−D画像は、異なる軸方向の深さ(薄片)に対して繰り返されて、3−D蛍光画像を発生する。二光子蛍光画像化の技術は、3−D画像を発生するために最も頻繁に用いられるので、組織の表面の下から発生する蛍光信号は、非常に高い確率で組織の表面から出る前に散乱される。散乱が、実効的な光源点を、照明される体積内の蛍光を発する点から、組織外へ出る前の最後の散乱点へ方向を変えるので、蛍光信号を集光するための共焦点の光学的設計は、信号の大部分を除去することができる。照明される体積から散乱されないほんの僅かの割合の蛍光光子が、共焦点の光学的設計で検出されることができる。非共焦点の設計では、光検出の領域は数桁大きいとすることができるという事実により、擬似及び非共焦点の光学的設計に関して、共焦点の設計に比べて、蛍光信号の集光効率も数桁大きくなる。照明光の出力を増加せずに達成される大きな信号強度は、組織の表面の下の点からの蛍光の二光子画像化に対する非共焦点の設計のSFEプローブの重要な利点である。
【0027】
二光子画像化を行う前に、SFEプローブを患者の身体内の位置に動かす必要がある。これを行うための1つの方法は、組織の表面からの照明光の後方散乱から作られた画像を用いて、プローブをその位置に案内することである。画像化用の照明光を提供するために、可視の蛍光の二光子励起用に用いられるNIR光に、赤、緑、及び青の成分を含む白色光を加える必要がある。可視の後方散乱光で形成された画像を見ることによって、オペレータは、SFEプローブの特定の位置を判定でき、二光子画像化を実装すべき位置を判定できる。この場合に、二光子SFEプローブシステムは、最低でも2つの画像化モードを有することになる。二光子画像化モードは、蛍光の放出に整合した単一の可視のチャネルを用いることになり、一方、可視光画像化モードは、赤、緑、及び青の光源及び、対応する可視光の検出器を用いるであろう。さらに、可視画像化は、例えば、3つのレーザ又は発光ダイオード又はフィルタ付きアークランプのような他の赤、緑、及び青の光源を用いたフルカラー、又は単一のレーザ又は可視光の単一の色を放出する他の光源を用いたモノクロであることは明らかであろう。さらに、このプローブシステムは、オペレータからの要求に基づいて、フレーム毎のベースで、画像ごとに、又は標準の可視画像として集められた他の部分と結合した二光子画像化を経由して集められた単一画像の部分ごとについて、別の表示装置を用いて、二光子画像化と標準の可視画像化との間を切り替えることを可能にすべきである。また、赤、緑、又は青の可視光検出器の1つは、二光子蛍光の検出のために用いることができ、又は、別の光検出器は、二光子光に応答して蛍光画像を発生するために用いることもできる。このタイプのSFEプローブは、可視表示装置上に、二光子蛍光信号を標準の可視の内視鏡画像信号と重ねる機能を有することも考えられる。
【0028】
図3は、比較的高い強度のNIRレーザ光源に接続された近端を有する2つ又はそれ以上の照射用光ファイバ62を含む二光子SFEプローブ60を例示する。選択肢として、ロッドレンズ64は、照射用光ファイバ62の末端上に配置され、これは、例えば、照明光と集光された光信号との間の任意の大きな色シフトを補正するGRINレンズを含む。この構成では、ロッドレンズは、レンズ70及び72と協働でNIR光74を照明場76に集光することは注意すべきである。プローブを回転することによって、環状の照明場76は、内部位置上の個々の照明スポットの運動によって作成されることができる。対物レンズ70及び72も、内部位置での組織から走査光ファイバ66の末端上へ受光される二光子光を集束する。照明場76内の走査領域は、走査光ファイバの共振又は共振付近の周波数で圧電式二軸性駆動器68によって、所望の走査パターンにおいて走査するように駆動される走査光ファイバ66に入射する二光子光78を放出する。二光子光は、適当な光センサへ運び戻され、フィルタを通して走査光ファイバの近端に位置する(不図示の)励起光を取り除く。追加の光は、照明及び集光用の二重クラッド光ファイバを用いることによって、又は、単純に、中心におかれた共振性走査器の周りを取り囲む追加の集光用の光ファイバを加えることによって、集光されることができる。理想的には、照明場76は、SFEプローブ60の末端の非常に近くに、又は末端に接触して配置され、例えば、(不図示の)吸入管又は機械的手段によって保持され、又は移動することができる。対物レンズの前面の水浸漬又は組織接触(油浸漬)による接触は、レーザ治療を実施するために用いられる高解像度の画像化及び高出力の光学系に必要である画像の安定性を実現することができる。
【0029】
SFEプローブ60の例示的な応用は、非特許文献1において説明された技術を実行することにある。この文献は、脳組織の三次元の組織学的解析を自動化するために用いられた技術を説明し、固定された、及び新鮮な脳組織を繰り返して切断及び画像化するためにフェムト秒レーザパルスの使用を実証している。本明細書に開示されたプローブ60及び方法は、そのような研究を実行することに、及び多くの他の応用に、有効に用いられることは明らかである。
【0030】
例示的な走査パターン
図4A−Eは、SFEプローブの様々な実施例と関連して本明細書で説明される走査装置によって実装されることができるいくつかの異なる走査パターンを例示する。図4Aは、例えば、第1の軸に沿って三角形で変調した正弦波で、及び直交する第2の軸に沿って三角形で変調した余弦波で、光学的走査型ファイバを駆動することによって実現される螺旋走査パターン90を例示する。図4Bは、中心軸に対して回転する線形走査パターン92を例示する。図4Cは、例示的なラスター走査パターン94を示す。図4Dは、中心軸に対して回転する例示的なプロペラ走査パターン96を示す。図4Eは、例示的なリサジュー走査パターン98を示す。多くの他の走査パターンは、1つ又は複数の適当な駆動信号で走査装置のアクチュエータを駆動することによって実現できる。
【0031】
追加の光ファイバを有する実施例
上で説明したSFEプローブに関する実施例は全て、走査される内部位置にある組織へ光を運ぶために、1つ又は複数の照射用光ファイバを含む。図5は、画像化及び/又は光学的診断に用いられる走査装置が配置された中心領域116の周辺に配置された4つの照射用光ファイバ102、104、106、及び108を含む例示的なSFEプローブ100の末端を示す。更に、SFEプローブ100は、光照明用のファイバの隣接対の間に配置された集光用のファイバ110、112、及び114を含む。これらの集光用のファイバは、静止し、内部位置にある組織から受光される光である赤、緑、及び青の光又は他の波長の光を集光するために動作する。代替として、集光用のファイバは、SFEプローブの末端の近くに配置された光検出器又はセンサに置き換えられる。光学的治療が照射用光ファイバを通して施される最中又は後に、組織の診断又は監視を行う仕事の一部として、集光用のファイバによって(又は、代替の光検出器又はセンサによって)集光された光は、内部位置にある組織の条件を画像化又は判定するために用いることができる。代替として、これらの光照明用のファイバの間に配置された、より大きな管腔又は導管118は、例えば、洗浄、洗浄処理、光学的標識化、組織の着色、又は細胞又は分泌液の除去のような目的のために、加える圧力を変えることによって、内部位置へ流体を導入し、内部位置から流体を取り去るために用いられることができる。管腔又は導管は、生検の道具、針、又はブラシを通過させることができる十分なサイズとすることができる。
【0032】
図6のSFEプローブ120の実施例に示すように、照射用光ファイバ122は各々、個別のレンズ124が備えられ、一方、レンズ132は、内部位置からの光を、アクチュエータ128によって共振的に駆動される走査光ファイバ130の末端内へ集光する。走査光ファイバへ入る光は、その後、光ファイバ126を通って(不図示の)適当な検出器又はセンサの近くへ運ばれる。
【0033】
走査器と組織表面との間の距離を判定する例示的なシステム
図7は、インターフェイス及び接続器部材133を通してSFEプローブ131に結合した例示的な外部制御システム134を示す簡略化されたブロック図である。SFEプローブ131及び外部制御システム134は、組織の表面からの鏡面反射の関数として、プローブと内部位置140にある組織との間の距離を判定するために、以下に記載されるように一般的に構成される。SFEプローブ131は、一般的に、上記のように、照明光を内部位置140へ運ぶ1つ又は複数の照射用光ファイバ138を含む。内部位置140の表面から反射される照明光は、拡散反射成分及び鏡面反射成分を含む2つの主成分を有する。拡散反射成分は、照明光が内部位置にある組織の表面に入射する方向に対してより広い角度に亘って拡がり、この角度は、一般に、ランバーチアン角度と呼ばれる。対照的に、鏡面反射成分は、表面に入射した角度と同じ角度で組織の表面から反射される。組織によって吸収される、又は拡散反射される、又は鏡面反射される光の割合は、組織表面の材料特性及び入射する照明光の波長に依存する。輝いている又は濡れている組織表面は、くすんだ表面よりも一般的により高い鏡面反射成分を有する。
【0034】
内部位置140にある組織の表面からの反射光は、走査器142に入り、該走査器は、用いられる実施例に依存して、上で説明したように、走査光ファイバの末端又は走査鏡とすることができる。走査器によってこのように集光されたこの光は、光走査器導波路144、例えば、光ファイバを通って、光を外部制御システム134へ結合するインターフェイス及びコネクタ部材133へ運ばれる。走査器142は、外部制御システムからインターフェイス及びコネクタ部材133を経由して受信した信号に応答して走査器駆動器又はアクチュエータ150によって駆動される。
【0035】
外部制御システム134は、インターフェイス及びコネクタ部材133を通して運ばれる、照射用光ファイバ138の近端への入力に関する1つ又は複数の波長のコヒーレント光を発生する1つ又は複数のレーザ光源を一般的に備える光源136を含む。選択肢としては、光源136はまた、任意の1つ又は複数の赤、緑、及び青の光源、IR光源、及び紫外光源を含むことができる。光源は、応用に依存して、又は、光源が用いられる場合に依存して、例えば、一連のフレームにおける1つのフレームでは画像化のために、他のフレームでは治療を施すために、及びさらに他のフレームではさらに他の目的のために、連続モードからパルスモードへ切替可能としてもよい。複数の異なる波長の光が光源136によって発生される場合、異なる波長を結合するために結合器を用いてもよく、又は、異なる波長の光が異なる照射用光ファイバ138を通って別々に運ばれてもよい。
【0036】
外部制御システムはまた、制御器152を含み、該制御器は、例えば、1つ又は複数のマイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、ゲートアレイ、論理装置、又は他の形態の計算装置を含むことができる。制御器152は、1つ又は複数の適当な駆動信号を提供することによって走査器駆動器150を制御するために用いられ、共振周波数又は共振近くの周波数で走査器142を駆動することにより所望の走査パターンを実現する。制御器152は、制御器152を備える中央処理ユニット(CPU)又は他の計算装置を制御するために記憶される機械言語の命令を有するメモリ154と結合することができ、本明細書で開示されるような、外部制御システムの機能を実行する。表示装置146は、一般的に、オペレータによって見られる走査器によって内部位置から受光された光に応答して作られた内部位置140の画像を有効にするために含まれる。選択肢としては、画像記憶装置148は、引き続く更なる処理、表示装置、又は記憶保管の目的に関する走査器142から運ばれる光から導出された内部位置の画像に対応したデータを記憶するために備えられることができる。ユーザが制御パラメータを入力し、又は様々な所望の機能をSFEプローブ131で実行することができるように、及び、ユーザが所望のようにSFEプローブを制御するためにユーザインターフェイス156が備えられる。ユーザインターフェイスは、ユーザの制御行為、選択、及び数値を入力するためのキーボード、キーパッド、指示装置、又は他の適当な機構を含むことができる。電源158は、外部の制御器134に含まれる電子部品の各々を動作させるために適当な電圧及び電流レベルを供給する。本明細書に開示したようなSFEプローブと結合して制御するために用いることができる多くの他の部品及び構成は、同等の利便さを有して用いることができるため、外部制御システム134のこの実施例は、これに限定しようとするものではないということは当業者には理解されよう。
【0037】
外部制御システム134の更なる機能的な詳細は、図9に示されている。外部制御システム134を用いて画像化及び距離の測定の両方を可能にするために、制御器152は、走査器によって受光された光の鏡面反射部分を拡散性の部分から分離するために用いられる鏡面反射光/分散光の分離器166を含む。光の拡散性の部分に応答して、信号が発生され、画像プロセッサ162に入力される。光の鏡面反射部分に応答して発生された信号は、表面幾何プロセッサ164へ運ばれる。画像プロセッサ162からの画像データは、制御器152から出力され、表示装置146を駆動して、オペレータが内部位置の画像を見ることができるように用いられる。しかしながら、表面幾何プロセッサ164はまた、データを表示装置146に伝達することもでき、このデータの一部は、幾何データ出力168へ与えられる。 代替としては、幾何情報は、表示装置146上に提供される内部位置の従来画像上に重ね合わせられて、又は分離されて異なる表示装置上又は、内部位置の画像と異なる時間に示される。
【0038】
画像プロセッサ162は、内部位置の組織の表面から受光される光の分散部分を主に用いるが、画像プロセッサはまた、鏡面反射部分の光を用いることもできることは理解すべきである。さらに、表面幾何プロセッサ164は、鏡面反射光/分散光の分離器166から分散された光信号をいくらか利用することもできる。さらに、鏡面反射光/分散光の分離器166、画像プロセッサ162、及び表面幾何プロセッサ164はハードウェア及び/又はソフトウェアを含むモジュールを備えることができる。例えば、鏡面反射の光の測定のような機能を実行するための機械言語プログラムは、記憶媒体170から制御器152に備えられることができる。記憶媒体170は、例えば、コンパクトディスク読み出し専用メモリ(CD−ROM)、又はメディアドライブ172によって読み出されるディジタル多目的ディスク(DVD)のような光ディスクを備えることができる。これらのプログラム命令及び/又はデータの入力のための他の代替物は、ネットワーク、無線接続、又はインターネットを経由して制御器へ結合される遠方のデータ源と同様に、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、又は取り除き可能なハードディスクのような磁気記録媒体を含む。
【0039】
組織の表面182に入射した照明光180と、鏡面反射184と、及び拡散性反射188との間の関係を例示する概略的表示は、図8に示される。表面法線186に対する鏡面反射184の角度は、照明光180と表面法線との間の角度に等しい。それに対して、拡散性反射188は、表面法線に対して様々な他の角度に分布している。組織の表面182にぶつかる照明光180のいくらかは、組織に吸収されて反射されない。
【0040】
組織の表面182からの鏡面反射を測定する重要な理由は、SFEプローブの末端と組織の表面との間の距離が、鏡面反射の関数としてとして容易に判定されることができるということである。図10は、照射用光ファイバ138から放出された照明光180と関連して、SFEプローブ137の末端と組織の表面182との間の幾何学的関係を概略的に例示する。この図に示されるように、鏡面の光184は、走査器142に入り、走査器光ファイバ144を通って近端まで運ばれる。図7及び9において、距離dは、制御器152によって、照明光180に対する走査器位置の関数として容易に判定される。走査器の1つの位置において、主に拡散反射の光は走査器によって受光され、一方、走査器が異なる第2の位置にあるときは、主に鏡面反射の光が受光され、走査器に入力される。走査器に入力される光の鏡面反射の部分は、拡散反射の部分よりも実質的により高いエネルギーを有するため、内部位置から拡散反射の光を受光するときに比べて鏡面反射の光を受光するときのほうが走査器の信号応答は、はるかに大きい。制御器152(図9)における鏡面反射光/分散光の分離器166は、鏡面反射部分から拡散反射の部分を分離するための閾値を含んでもよい。公知の画像処理技術は、光の鏡面反射部分の周囲の長さ、面積、断面サイズ、重心などを同定するために容易に用いることができる。
【0041】
図11Aは、SFEプローブ137が、SFEプローブの軸に垂直である組織の表面の画像化のために用いられるときに作られる画像200を例示する。図11Aに示される画像では、照射用光ファイバが走査器の走査中心の回りに対称的に位置する場合、8つの明るいスポット202aは、画像の中心での鏡面反射パターンを規定している。(画像形成が主に基づいている)拡散反射部分と比較して、鏡面反射の高い強度が、所望の画像形成をだめにする、又は歪曲する傾向があるので、鏡面反射パターンは、SFEプローブ137を用いた画像形成中は問題を含んでいる。組織の表面の表示された画像中の鏡面反射の影響を低減するために、鏡面反射部分の分離、鏡面反射パターンの同定、フィルタリング、及び/又は他の画像処理ステップを採用することができる。
【0042】
鏡面反射パターンのサイズは、少なくとも一部において、角度視野(FOV)として表すことができる画像化中のSFEプローブ137による走査の大きさによって、及び走査器と組織の表面182との間の距離によって判定される。一定のFOVを有する走査時において、図11B及び11Cの画像200におけるスポット202b及び202cを備えた鏡面反射パターンを図11Aの鏡面反射パターンと比較することにより明らかなように、鏡面反射パターンは、走査器が表面により接近している場合は大きく、表面から離れるように動くと小さくなる。このように、鏡面反射パターンのサイズは、SFEプローブの末端と組織の表面との間の距離を判定するために用いることができる。
【0043】
上に論じた簡単な場合において、組織の表面は走査方向に垂直であると仮定している。SFEプローブ137に関するあるパラメータが知られる。例えば、rは、走査光ファイバの中心と照射用光ファイバ138との間の既知の距離である。
【0044】
【数1】

【0045】
は走査器の既知の最大視野であり、
【0046】
【数2】

【0047】
は、(螺旋走査パターンが用いられると仮定して)画像を形成する走査螺旋の既知の数である。これらの既知のパラメータを用いて、プローブの末端と組織の表面との間の距離dは、画像を捕まえて、画像データ上に二値の閾値を実行することにより計算でき、鏡面反射を受光する画像内の画素は二進数の0を割り当てる。走査器の末端に対応する少なくとも1つの結ばれた画像対象は、結ばれた画像内に同定されるべきである。この結ばれた対象の中心、又はそれに最も近い画素は、その後判定され、再マッピングが、画像走査の中心と結ばれた対象の中心又は重心
【0048】
【数3】

【0049】
との間の走査角度を判定するために用いられる。走査角度は、各画素に対するルックアップテーブルの再マッピングにおいて記憶されることができる。
【0050】
プローブの末端から組織の表面への距離dは、次のように計算される。
【0051】
【数4】

【0052】
複数の照射用光ファイバが用いられるために生じる、一つ以上の結合された対象を画像が含む場合、SFEプローブの末端から組織の表面への距離は、結合された対象の各々に対して計算され、より正確な値を与えるために平均化される。組織の表面の法線がSFEプローブの長手軸と軸が合っていない場合は、計算は少し複雑になる。しかしながら、複数の照射用光ファイバの使用は、中心の走査器に対する距離が容易に計算されることを可能にする。
【0053】
組織表面182からの鏡面光反射を測定する更なる理由は、固定された距離dで、照明のパターンが非共振的走査によって変形されるので、照明のパターンを監視することができるということである。図11Dの画像200に示すように、照明ビームが組織の方位に対して回転すると、図11A−11Cの個々のスポットは、環帯の照明204を作る。SFEプローブ60全体が内部位置に対して回転する場合に、対応する照明場76は、図3にも示される。図11Eの画像200に示されるように、組織に関する回転と同時に、照明ビームが内側に中心の光軸の方へ向くときに、図11A−11Cの個々のスポットが合わさり、螺旋軌道208を時間をかけて辿る領域補填パターンの照明206を作る。変化する非共振的照明走査パターンを監視する目的は、照明の空隙は生じなかったとの認識を持って、対象の全領域にわたって治療力のある照明を提供することである。
固定された照明用光ファイバを有する例示的なSFEプローブ
【0054】
図12は、幻影図の参照番号222’の位置で示したような、所望の走査パターンにおける共振周波数で、又はその付近の周波数で走査するように駆動される走査光ファイバ222を含む例示的なSFEプローブ220を示す。集合レンズ224は、SFEプローブ220の末端に備えられ、走査光ファイバ222によって受光される光を集光するために用いられる。2本又はそれ以上の照射用光ファイバ226が、走査光ファイバ222の周辺に配置され、照明光又は治療の光を(不図示の)患者の身体内の所望の内部位置へ運ぶために用いられる。この実施例では、照射用光ファイバ226は、定位置に固定されるが、各々、照射用光ファイバから放出される光をより効率的に集光するために、末端に配置された任意選択のロッドレンズ238を含むことができる。走査光ファイバ222は、SFEプローブ220から近端に伸びている電気リード線236を通して電極232及び234に供給された駆動信号に応答して、所望のパターンにおいて、2つの直交軸に関連する圧電管アクチュエータ230で駆動される。単一軸(直線的)走査パターンは、例えば、圧電管アクチュエータ230の対向する電極232の1つ又は2つに電圧を印加することにより発生できる。底で励振される走査光ファイバカンチレバーの機械的共振周波数、又はその付近の周波数を有する振動周期電圧(例えば、正弦波)を、電気リード線236を通してアクチュエータへ印加することにより、尖端の運動の振幅は、走査光ファイバカンチレバーの機械的共振によって機械的に増幅できる。更に、例えば、同じ又は少し異なる共振周波数の第2の周期電圧(余弦波)をアクチュエータ上の(電極232に直交した)電極234に同時に印加することにより、共振するファイバ尖端を楕円状走査パターンで動かすことができる。
【0055】
画像を作成するために有用な信号は、照射用光ファイバ226からの光を内部位置の領域上に向けることによる図12に示された光ファイバ走査器によって発生される。該領域から走査光ファイバカンチレバーによって受光される光は、画像化レンズ224を用いて集束される。一般的に、画像化レンズは、直線的(一次元)パターンで、又は、螺旋又は楕円の(二次元的)パターンで該部位を共振的に走査することによって内部位置の走査される部分を集束して拡大する。楕円走査中にアクチュエータに印加される電圧の振幅を変えることによって、二次元的(2−D)な空間補填走査パターンが形成される。光ファイバ走査器を取り巻く照射用光ファイバ226は、内部位置にある組織から反射される照明光を提供するために用いられ、2−D画像を発生する、又は、組織の他のパラメータを評価するために用いられる光を集光する。一般的に、照射用光ファイバ226は、優れた光伝達効率を備える大きな開口数(NA)を有する大きなコアの多モード光ファイバである。代替として、新規の大きなコアであるが、単一モードのフォトニック結晶光ファイバが、0.5Watt又はそれ以上の光出力を供給するために用いられてもよい。対照的に、走査された光を集光するために、又は画像化のために用いられる光ファイバカンチレバー222は、機能性を加えるために大きなNAの多モードの内部クラッドを有する多層クラッド光ファイバの一部として、例えば、直径の小さい単一モードコアを備えることができる。
【0056】
多くの応用において、照射用光ファイバが内部位置へ向けられる光を放出するように、ファイバの方向又は焦点を変更する必要はないので、固定の照射用光ファイバを用いることにいかなる不便もない。しかしながら、他の応用においては、例えば、照射用光ファイバの角度方位を変えることによって、またいくつかの場合は、照射用光ファイバの焦点を変えることによって、光が照射用光ファイバから放出される方向を選択的に変更することが必要になる場合もある。
【0057】
例えば、SFEプローブの1つの例示的な応用では、組織の光学的特性は、点光源又は集束されたビームの光で組織の表面を照明することによって測定されることができ、その後、組織の反射率を波長及び点光源からの空間距離の関数として測定する。組織の表面からの定常状態の拡散性反射率の全空間分布及び相対的空間分布を測定することにより、局所的な組織の伝播散乱係数及び吸収係数の光学的特性が計算できる。組織内の光伝播の拡散理論は、赤色からIRまでの光周波数の光学的窓において、すなわち、600nmから1300nmの波長範囲において、光と組織の相互作用のモデル化を行う理論的枠組みである。この光学的窓における吸収係数及び散乱係数の光学的特性は、例えば、光力学的治療、レーザ加熱及びレーザ除去のようなレーザ治療にとって、どれくらいの量のレーザ光が組織内の異なる深さに届いているか、及び、この光のどのフラクションが吸収されるかを判定するために有用である。この光学的窓内の複数の異なる波長の光で組織を照明することにより、及び、既知の大きさの半径を有する、円形又は螺旋の走査パターン又は他の走査パターンを用いることによって、組織内の光照射の侵入深さ及び空間分布をより正確に測定すること、組織の光吸収体の吸収及び濃度を計算すること、及び、取り囲んでいる組織に対する侵襲を少なくして組織特性における治療力のある変化の様子を監視することと、が可能になる。
【0058】
点照明は、1つ又は複数の光ファイバを用いて供給されることができ、一方、拡散性反射率の空間分布は、図1に示した走査される光ファイバ、又は、図2に示した鏡走査システムを用いて検出されることができる。光学的レンズシステムは、図3及び6に示すように、照射光を集束して組織の表面上のより小さい面積を照明するために、照射用光ファイバと組織の表面との間で用いることができる。各光ファイバからの照明光は、個々の点光源として組織の表面上に集束でき、又は、光は、図8に示すように結合して単一の中心点を照明することができる。理想的には、単一の中心点の光照明が用いられる場合、その時は、上に論じたような共振性ファイバ走査器又は鏡走査器を用いて、ゆっくりと拡大する螺旋で、又は、この中心照明点光源から所望の半径方向の距離で単純に円形のパターンを用いて走査される検出法を用いることが望ましい。円形パターンにおける各走査サイクルは、中心の点光源から一定の半径方向であるので、この円形パターンから検出される全ての光は、(測定中の雑音を低減するために)平均化でき、この特定の半径方向の距離での拡散性反射率R(ρ)の正確な判定結果を与える。半径方向の距離(ρ)は、単に共振性走査器の走査角度を変えることによって、広い範囲にわたって変えることができる。照明用に用いられる光ファイバ内の光出力を測定することによって、光反射率の相対的な空間分布を、広い範囲の半径方向の距離に対して測定できる。最後に、単一の点光源からの反射率の絶対的測定は、測定された半径のこの限られた範囲に亘ってこれらの空間の測定結果を集積化することによって、及びその後、一様で半無限の組織の特性を仮定して全ての半径が測定された場合の反射率分布の推定を判定するためにこの値を縮尺することによって、推定されることができる。
【0059】
測定される組織の光学的特性と、点光源からの組織の表面の反射率の絶対的及び相対的空間分布のこれらの測定結果と、の間の関係は、拡散理論を適用する場合に組織の単純化の仮定がなされる時でさえ、インビトロの測定結果と良好な相関を提供する。当業者は、これらの測定が実施される方法及び組織の光学的特性を適用する方法をすぐに理解するであろうから、さらなる詳細を提供する必要はない。当業者の知識を実証する目的で、これらの数学的及び実験的関係及び測定技術は、非特許文献2、及び、その研究の延長を詳述している非特許文献3に論じられている。しかしながら、2つの参考文献に開示された組織の光学的特性を測定する従来からの実装は、医療の実施に適用されるときは制限がある。侵襲性の少ない医療器具に対する主な挑戦課題は、サイズの小さく、かつ高精度の光学的測定が要求されることである。招待論文である非特許文献4に注記されているように、これらの参考文献に開示された技術の著者でさえ、彼らの方法論の実際上の2つの制限を認めている。そこに述べられた技術の2つの制限は、拡散性反射率の測定は、組織表面の多くの異なる位置でなされなければならないこと、及び、これらの測定は、入射する照射量に定量的に関係付けられなければならないことである。これらの参考文献に開示された方法は、Rを測定するために積分球を、R(ρ)を測定するために移動ステージを用いたが、一方でカメラ検出器アレイは、将来の実施形態として提案されているだけである。しかしながら、本明細書に開示された新しい本方法を用いると、R(ρ)は、1つ又は複数の光ファイバによって照明された後、共振性走査システムを用いて測定できると考えられる。各光ファイバは、この入射の照明量を測定されたR(ρ)に定量的に関係付けるために測ることができる。特定の実施例は、単一及び中心の点光源での照明を用い、中心の点光源からゆっくりと変化する距離(ρ)で検出された拡散性反射率Rを平均化する円形の、又は螺旋の走査パターンを用いてR(ρ)の検出を行う。共振性走査検出システムは、走査範囲をより大きく、又は小さくするために、簡単に走査器への駆動信号を調整することにより、測定されるR(ρ)の範囲を広く、可変にすることができる。非特許文献5に報告されているように、直径が2mm未満のサイズの同じ小さなサイズに対して、共振性ファイバ走査器は、柔軟な内視鏡用の標準のコヒーレントファイバ束又は微小カメラを有するチップの画像解像度の2倍より大きい解像度を実現することを実証した。それ故に、R(ρ)測定は、以前に光学的特性の局所的測定を実用的とさせなかった技術的な挑戦課題を克服した小型で正確な共振性ファイバ走査装置を用いて、人体内の深い位置の組織の表面上の多くの位置でなされることができる。
【0060】
非共振的に可動な照明用光ファイバを有する実施例
図13は、照射用光ファイバ252が選択的に移動する(すなわち、徐々に、共振速度ではなく)ことができ、照明光256が選択肢のロッドレンズ254から放出される方向を、所望のように変えることができる第1の実施例を含むSFEプローブ240の末端を例示する。SFEプローブ240は、走査光ファイバ244が駆動器(この図には示されない)によって共振周波数で、又は共振周波数付近で、及び、所望の操作パターンで移動するように駆動される筐体242を有する。内部位置258からの光260は、SFEプローブの末端に配置された透明なカバー268を通過し、それから、レンズ250、248、及び246を通過した後、走査光ファイバ244によって受光される。照射用光ファイバ252の末端(備えられている場合は、ロッドレンズ254を含む)は、SFEプローブの近端の近くに配置される加圧された源から伸びている1つ又は複数の管腔262を通って運ばれる流体を用いて風船264を膨らませることによって、SFEプローブ240の長手方向の中心に対して内側に向かって半径方向に選択的に移動される。風船264内の加圧流体は風船を膨らませ、風船は、照射用光ファイバ252の末端に対して半径方向の内側に向かって力を加える。
【0061】
照射用光ファイバの自然の剛性は、膨らまされたときに風船264によって加えられる偏向力に抵抗しようとする。代替として、外向きに向いた力を及ぼす(例えば、照射用光ファイバの長手方向の軸に沿って伸びる螺旋バネ又は平坦バネ)バネ又は他の機構が備えられてもよく、風船によって加えられた力に抵抗するように、照射用光ファイバの末端を半径の外向きに片寄らせる。風船がしぼむと、照射用光ファイバの末端は、この片寄らせる力によって半径方向の外向きに動かされる。リング(又は1つ又は複数のつまみ)266は、照射用光ファイバ/ロッドレンズの所望の制限範囲を超えた半径方向の外向きの動きを禁じるストッパとして役立つことができる。
【0062】
図15Aは、(照射用光ファイバと走査器レンズ筐体274の外側表面との間に配置された)風船272が概ね萎んでおり、位置において半径方向の内側に配置され、及び角度付けられた、照射用光ファイバ252及びロッドレンズ254の例示を示す代替のSFEプローブ270の末端の切断図である。図15Bに示すように、照射用光ファイバ及びロッドレンズは、SFEプローブの近端に配置された(不図示の)源から供給された加圧流体で選択的に膨らまされた風船272に応答して、半径方向のより外向きに角度付けされている。図15C及び15Dは、各々図15A及び15Bに対応するSFEプローブ270の等尺図であり、弾性材のカバー276を示している。
【0063】
図14は選択肢のロッドレンズ254を有する1つ又は複数の照射用光ファイバ252を含む。例示的なSFEプローブ280の部分切断図を示す。SFEプローブ280は、1つ又は複数の照射用光ファイバを異なる角度方位へ移動するための風船を含まない。その代わりに、それは、止め具288の近くに延びるねじ/支持286を固定することによってその場に保持された電気機械アクチュエータ又は圧電式バイモルフ曲げ器284を用いる。止め具288は、照射用光ファイバの所望の限界を超えた半径方向の外向きの運動を防ぐ。電気リード線292は、SFEプローブの近端に配置された(不図示の)電源から管腔282を通って伸びる。電気リード線288内の電流は非常に低く、電圧は比較的低い。これらのパラメータの1つ又は両方は、選択的に制御され、電気機械アクチュエータ又は圧電式バイモルフ曲げ器284を用いて所望の角度方位に照射用光ファイバを動かすことができる。摩擦が低く及び非伝導性の尖端290は、電気機械アクチュエータ又は圧電式バイモルフ曲げ器の端部に備えられ、そこで照射用光ファイバと接続する。照射用光ファイバに沿って長手方向に伸びている(不図示の)バネ又は半径方向に伸びていて筐体242と接続する(これも不図示の)螺旋バネは、電気機械アクチュエータ又は圧電式バイモルフ曲げ器284によって提供される半径方向の内側に向いた力に対抗する半径方向の外向きに向いた片寄らせる力を提供するために選択肢として用いることができる。
【0064】
照射用光ファイバを動かすための手段を有するSFEプローブ300のさらに他の実施例の末端の部分切断図を図16に例示する。具体的には、SFEプローブ300は、ループ306を経由した照射用光ファイバ252の周りに(又はロッドレンズ254の周りに) 結合されたケーブル又はワイヤ302を含み、管腔304を通って近端にまで伸びている。止め具288は、照射用光ファイバ又はロッドレンズの所望の限界を超えた半径方向の外向きの動きを防ぐ。螺旋バネ308は、筐体242の内側表面上の先端310に結合し、照射用光ファイバ252(又はロッドレンズ254)に対して半径方向の内側に向いた片寄らせる力を発生するために用いられる。ケーブル又はワイヤ302が引かれると、照射用光ファイバ又はロッドレンズに加えられる力は螺旋バネ308を圧縮し、照射用光ファイバを半径方向の外向きに動かし、その角度方向及び照射用光ファイバから放出された光が内部位置へ向けて伝わる方向を変える。ケーブル又はワイヤの張力が緩んだ場合、螺旋バネは照射用光ファイバ252及びロッドレンズ254を半径方向の内側に動かす。
【0065】
異なる散乱角を捕捉するための実施例
1つ又は複数の照射用光ファイバ324を用いてフーリエ変換面で内視鏡的に散乱角を測定するために設計された例示的なSFEプローブ320の末端が、図17に例示される。各照射用光ファイバの末端は、実効的な点光源の照明を実現するためにロッドレンズ326を備える。また、SFEプローブの中に含まれるのは、共振性走査光ファイバ338である。SFEプローブ320は、焦点距離fを有するフーリエ変換レンズ330を支持している筐体322内に配置される。照射用光ファイバを通って運ばれる光328は、ロッドレンズ326で平行光線化又は準平行光線化され、フーリエ変換レンズ330によって光332のように内部位置上の局所的領域334へ向けられる。ロッドレンズは、照明光の実効的な点光源の位置及び平行度を調節するように構成されることができる。領域334にある粒子から散乱された光336は、フーリエ変換レンズ330に入り、レンズは準平行光線化した光337を作り、その光は走査光ファイバ338によって集光される。走査光ファイバの近端に結合した(この図には示されていない)検出器によって発生される信号は、集光された光の散乱角を判定するために用いられる。この散乱角は、散乱を引き起こした粒子の相対的サイズを示す。
【0066】
散乱角の測定は、内部位置にある組織の条件を診断するために非常に有用である。例えば、癌細胞は、正常な細胞よりもはるかに大きな核対細胞質比(細胞直径で割った核の直径の値)を有する傾向にあることが知られている。従って、内部位置からの光の正規化された散乱を測定することは、正常な細胞核のそれに比して、より大きな癌細胞核に対してよりシャープなピークを可能にする。
【0067】
散乱角を判定するために用いることのできる技術は、当業者によく知られており、更なる詳細はこの開示文書に提供する必要はない。例えば、例示的な技術は、非特許文献6、及び、非特許文献7に開示されている。これら2つの論文に開示された従来からの方法は、光ファイバ束及び対物球レンズの後ろに配置された最低限静止している単一モード光ファイバを用いており、SFEで画像化する機能は有していない。しかしながら、該論文は、コヒーレンス効果を用いて組織内の光散乱の深さを選択する機能を注記しているが、一方で、その代わりに、標準の偏光フィルタ技術がこの目的に関して用いられることができると考えられる。更に、該論文に開示された従来の技術とは異なり、本方法は、組織の光学的特性を測定及びマッピングするために走査された光を用い、より効率がよい。
【0068】
図17に示したシステムで測定することができる、例えば、細胞の核のような細胞成分の散乱角の例示的な範囲は、約5°から約30°である。最小の散乱角は、フーリエ変換レンズの焦点距離によって制限され、それは、この実施例では約3mmである。一方、最大の散乱角は、走査光ファイバ338で作られる螺旋走査パターンの半径rによって制限され、それは30°の最大散乱角に対して約1mmである。螺旋走査パターンに対してこの半径を実現するには、他のSFEプローブにおいて上記の走査光ファイバに比べて(走査光ファイバの直径は、約l25μmの公称値に維持されると仮定して)走査光ファイバの長さを増大すること、及び/又は走査光ファイバのアクチュエータに印加される駆動信号の大きさを20ボルトを超える値まで増大させることが必要である。
【0069】
一実施例では、走査光ファイバは、内部位置の高解像度の画像化を可能にする一方で、二重クラッド単一モード光ファイバを備え、様々な角度で散乱をサンプリングするために集光効率が増大されることを確実にする。例えば、連続するフレームにおいて、散乱角が測定されることができ、その後、走査光ファイバを用いて内部位置が画像化される。代替としては、1つ又は複数の追加の光ファイバ(例えば、照明光を提供するために用いられない光ファイバ)が、散乱角を測定するために後方散乱された光に応答することができる一方で、平行光線化するマイクロレンズ(例えば、球レンズ)を走査光ファイバ338の末端の尖端に備えることができ、走査光ファイバは内部位置を画像化するためにより効率的に用いられることができる。内部位置にある粒子に対する内部位置の画像化及び異なる散乱角の捕捉の両方に対する、さらに他の代替の実施形態は、図18に示され、以下に論じられる。
【0070】
複数の照射用光ファイバを用いることにより、内部位置にある組織内で異なる侵入深さを可能にし、異なる深さでの組織構造に対する相対的散乱角を変えるために、2つ又はそれ以上の実質的に異なる波長の照明光を用いることができる。また、複数の照射用光ファイバ324を用いることは、異なる偏光を有する照明光の供給を容易にすることができ、レーザ又は他の光源のスペックルからのノイズを低減することができる。組織の表面領域(例えば上皮層)からであって、組織のより深い領域からではない光散乱を識別するために、偏光フィルタ技術が用いられることができる。多重散乱された光子を単一散乱された光子又は僅か数回の散乱を受けただけの光子からフィルタリングするこの技術を実装するために、直線偏光の照明光が用いられることができる。この場合、照明用のファイバ324は、偏光保持光ファイバとすることができる。ワイヤ格子の偏光フィルタが、選択肢としては、照明光の偏光と整合した特性を有するプローブの末端の尖端339に配置されることができ、多重の散乱事象による任意の偏光シフトを減衰させるであろう。
【0071】
図18を参照すると、内部位置346の画像化及び内部位置にある組織内の粒子に対する異なる散乱角の捕捉の両方のために設計されたSFEプローブ340の実施例が例示される。この実施形態においては、照射用光ファイバ342は、1つ又は複数の異なる光源からの光を、ロッドレンズ344を通して運び、ロッドレンズは光を少なくとも部分的に平行光線化して、光348として内部位置に向ける。圧電式管状アクチュエータ350は、圧電式管状アクチュエータ及び走査光ファイバ352の長手方向の動きを画像面と変換面との間の距離に対応するΔzに等しい全距離に制限する環状の溝358を含むスライド式継ぎ環354に搭載される。照射用光ファイバ342は、溝358及び係合する止め具356を含む。代替として、一実施例において、同様のスライド式装置は、レンズ360及び362を含む、照明供給システム及び対物レンズシステムを動かすために用いられることができる。
【0072】
散乱角を判定するために内部位置から散乱された光を集光する場合、走査光ファイバ352の末端は変換面上に位置し、一方、内部位置を画像化する場合、圧電式管状アクチュエータ及び走査光ファイバは長手方向に動き、走査光ファイバの末端が画像面上に配置される。その代わりに、距離Δzにわたる同様の動きが対物レンズシステムに加えられることができ、散乱角が測定されるか、又は内部位置の対象面が画像されるかに依存して、走査光ファイバの末端が変換面又は画像面のどちらかにあるように変えるために、対物レンズシステムを位置づける。
【0073】
局所的拡散反射率の測定/マッピングのための実施例
図19に例示された例示的なSFEプローブ364は、高解像度の画像化及びより高い反射光の集光化の両方のために構成され、内部位置にある組織の表面からの局所的拡散性反射を測定及び/又はマッピングするときに有用である。筐体366内において、第1の照射用光ファイバ368aは、選択的なロッドレンズ370aを通して照明光372aを運び、光は内部位置上に集束される。同様に、第2の照射用光ファイバ368bは、ロッドレンズ370bを通して照明光372bを運び、ロッドレンズは光を内部位置上へ集束する。各々の照明光372a及び372bに対応する光374a及び光374bは、内部位置から透明な窓377の近くに配置され、反射光を走査光ファイバ378の末端へ集束するレンズ376a、376b、及び376cへ向けて反射される。
【0074】
この実施形態において、走査光ファイバ378は、二重クラッド単一モードコア光ファイバである。内部位置を画像化するために、単一モードコアは、反射光を走査光ファイバの近端に配置された検出器へ運ぶ。所望の軸方向の深さからの光を選択的に集光するために、同一の単一モード二重クラッド光ファイバコアを通して照明と集光する共焦点の配置に、選択的な空間フィルタリングを用いてもよい。しかしながら、走査光ファイバの内部の、単一モードコアよりもかなり大きな開口数(NA)を有する多モードクラッド層は、反射光の高い集光のために(すなわち、内部位置からの反射光をより多く集光するために)用いることができ、反射光の高い集光は、集光された光のある特性を検出することにおいて有用であり、従って、光が集光された組織の条件を評価する。このSFEプローブを利用することができる方法の1つの例として、照射用光ファイバ368aは、画像化又は他の目的のためにモノクロの光、又は赤、緑、及び青の光を内部位置の照明のために運ぶことができ、一方で、照射用光ファイバ368bは、診断目的を意図した偏向光又は特定の波長の光を運ぶことができる。その後、走査光ファイバは、単一モードコアを用いて内部位置を画像化することができ、そして次に内部のクラッド層を用いて、診断又は他の目的に用いられる光を集光することができる。連続の画像化と集光は、フレーム毎に交互に変えることができ、又はいくつかの他の所望のつながりで実行することもできる。
【0075】
SFEプローブは、1つ又は複数の照射用光ファイバ及び走査光ファイバの他に、他の光ファイバを含むことができることも理解すべきである。図20は、後ろに(この図には具体的には示されていない)走査光ファイバを配置し、中心の走査用の開口の周りにグループ化された、第1の照射用光ファイバ384、第2の照射用光ファイバ386、(個々に「A」−「F」として指定される)6本の多モード光ファイバ388、及び(個々に「G」−「L」として指定される)6本の多モード光ファイバ390を有する筐体382を含む例示的なSFEプローブ380の末端面を例示する。組織から反射された拡散性の光を、表面反射及び最上表面から散乱された光から完全に分離するために、偏光フィルタリングが用いられることができる。内部位置の深い領域から後方散乱する光を選択するために、交差偏光フィルタリングが用いられることができる。この方法を実装するために、照明用のファイバは、特定の方位の偏光保持光ファイバとなるであろう。しかしながら、図17とは対照的に、図19に用いられる偏光フィルタは、中心に配置され、フィルタリングされる光子は共振走査された光ファイバだけに当たり、偏光フィルタは、照明光の偏光軸に関して直交又は軸交差している。1つ又は複数の多モード光ファイバ388及び390は、(二重クラッド走査光ファイバ378の単一モードコアからの照明からの赤、緑、及び青の後方散乱を集光する)高解像度SFE画像化に用いられることができ、又は更なる照明光を運ぶため、又は光学的治療を供給するため、又は診断及び他の目的に関して有用な集光のために用いられることができる。この例から、1つ又は複数の照射用光ファイバ、走査光ファイバ、及び1つ又は複数の他の多モード光ファイバの多くの他の組み合わせは、1つ又は複数の個別に固定された、又は非共振的に可動な照射用光ファイバとともに(例えば、走査光ファイバ又は走査鏡等)走査装置を用いることの利益を達成するために、本明細書に記載したSFEプローブのほぼ全てに備えられることができることは明らかであろう。
【0076】
図21は、内部位置394からの光が、上に論じられたようなSFEプローブ内の走査光ファイバを用いて受光されるときに、異なる特性を有する2つ又はそれ以上の照明光源に結合した2つ又はそれ以上の照射用光ファイバが、異なる結果を達成するために用いられることができる方法を例示する。この図において、内部位置の軸方向の図(すなわち、不図示のSFEプローブの長手方向の軸に直交した方向の図)が示される。照明光スポット396が、内部位置394上に第1の照明光源を用いたSFEプローブの1つ又は複数の照射用光ファイバによって作られる。同様に、照明光スポット398は、SFEプローブ上の1つ又は複数の他の照射用光ファイバによって作られる。この図に示された円は、走査光ファイバのFOVを表す。光スポット396及び398は、このFOVによって表される集光面積の内部にある、又は近傍、及び1つの光スポットだけ、又は、2個より多い光スポットがあることは理解すべきである。さらに、複数の光スポットは、各々、異なる特性を有することができ、又は同じ特性を有することができ、又は、光スポットの組み合わせは、光スポットの他の組み合わせとは異なる特性を有することができる。異なる照明光スポットを作るために用いられる照明光源は、例えば、異なる波長、偏光、コヒーレンス、又は変調特性を有する照明光を発生する。図21のFOV内に示された2つのベクトルは、光スポット396を発生するために用いられる光が光スポット398を発生するための用いられたものとは異なる特性を有することを示す。照射用光ファイバの偏向器が用いられる場合、その後、画像化の場の周囲に示された2つの光スポットは、場の中の単一の点で一つになり、理想的には、中心に点光源の照明を形成することができる。組織表面からの拡散性の反射率R(ρ)は、共振性螺旋又はゆっくりと変化する円形の走査パターンを用いて測定でき、照明された組織の局所的光学特性の非常に正確な測定を可能にする。
【0077】
例示的な走査システム
図22は、患者の身体の内部にあるSFEプローブによって発生された信号が、外部の機器によって処理される方法、及び、SFEプローブシステムを制御するために用いられ、走査フレーム内の走査パラメータを変える信号が、患者の身体の内部に位置するSFEプローブに入力される方法を示すシステム450を例示する。画像化及び他の機能の集積化を実現するために、システム450は、このように、患者の身体の外部にある部品及び内部で用いられるもの(すなわち、破線452内のSFEプローブ上の部品、そのうちのいくつかは任意選択である)に分割される。ブロック454はSFEシステムの末端に配置された機能部品を列挙する。ここに示されたように、これらの例示的な部品は、照明光学系、走査光ファイバ又は走査鏡を駆動できる1つ又は複数の電気機械走査アクチュエータ、1つ又は複数の照射用光ファイバアクチュエータ、内部位置を画像化するための選択的な光子検出器、及び、選択的に、診断目的及び治療及び/又は監視の目的の更なる光子検出器又は多モード光ファイバを含むことができる。画像化に関する光子集光器は、SFEプローブ上に搭載された個別部品のセンサとすることができ、又は、図20に示され、上に論じられたような別の多モード光ファイバとすることができる。システム450に関しては、SFEシステムの特定の応用のために実際に必要になる機能部品だけが含まれていることを注意すべきである。また、画像化以外の更なる機能は、診断、又は治療、又はそれらの任意の組み合わせでありうる。
【0078】
ブロック456に示されるように、外部から、照明光学系及び走査器は、画像化用の光源及び変調器から光を供給される。光ファイバシステムの末端へ運ばれるRGB、UV、IR及び高強度の光を発生するための外部の光源システム458のいくつかの好適な実施形態に関する更なる詳細は、当業者には明らかなことであろう。(任意選択の)走査器センサは、フィードバックされる信号を発生するために用いられることができ、走査器アクチュエータ、照明光源、及び変調器を制御し、ブロック460における信号処理の後に走査制御を実装する。
【0079】
ブロック460において、画像信号のフィルタ作用、緩衝作用、走査の変換、増幅、及び他の処理機能は、画像化用光子検出器及び診断/治療及び監視の目的で用いられる任意の他の光子検出器によって発生する電子的信号を用いて実装される。ブロック456、458、及び460は、各々の個々のブロックで行われる機能を可能にする信号を運ぶために双方向に相互接続される。同様に、これらのブロックの各々は、画像の取得、処理、関連プログラムを実行するため、及び他の機能のために用いることができるコンピュータワークステーションのユーザインターフェイス又は他の計算装置へ供給される信号を処理するためにアナログ−ディジタル(A/D)及びディジタル−アナログ(D/A)変換器が備えられているブロック462と通信して双方向に結合している。コンピュータワークステーションからの制御信号は、適当な場合に、ブロック456、458、及び460に備えられた機能の各々を制御、又は有効にするためにブロック462にフィードバックされ、アナログ信号に変換される。ブロック462内のA/Dコンバータ及びD/Aコンバータは、また、データ記憶装置を備えるブロック464及びブロック466と双方向に結合する。ブロック466は、患者の身体内のSFEプローブの操作、位置決め、及び安定化のためのユーザインターフェイスを表す。
【0080】
ブロック464では、データ記憶装置は、患者の身体内の検出器によって作られた画像データを記憶するために、及び、画像化及びSFEプローブによって実装される機能に関係した他のデータを記憶するために用いられる。ブロック464は、また、コンピュータワークステーション468、及び、ブロック470内の対話式表示装置のモニタと双方向に結合している。ブロック470は、ブロック460から入力信号を受信し、内部位置の画像が対話式に表示可能になっている。さらに、ブロック472に示すように、1つ又は複数の受動型ビデオ表示装置のモニタが、システム内に含まれてもよい。例えば、頭部に搭載される表示装置(HMD)システムのような他のタイプの表示装置474を備えることもでき、医師が擬似ステレオ画像として内部位置を見ることを可能にする。
【0081】
本明細書に開示された概念は、実行するための好適な形態及びその変形と関連して記載されたが、当業者は、以下の請求項の範囲内で多くの他の変形ができることを理解するであろう。従って、この概念の技術範囲は、上の記述によって制限されるものとは決して意図されてはおらず、むしろ以下の請求項を参照することによって全てが決められる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の異なるモードで選択的に動作可能な、少なくとも2つの異なるモードの各々に関する異なるタイプの光で患者の身体内の内部位置を照明して、前記複数の異なるモードの少なくとも1つのモードにおいて前記内部位置から受光された光に応答する光ファイバシステムにおいて、
(a)前記異なるタイプの光を発生する複数の光源であって、現在のモードにおける前記光ファイバシステムの動作中に、少なくとも1つの光源が選択的に励起されることができる複数の光源と、
(b)末端を有する照射用光ファイバであって、前記複数の光源の異なるものに選択的に結合して、それによって放出される前記タイプの光を前記現在のモードにおいて動作中の前記照射用光ファイバの末端へ運び、前記複数の異なるタイプの1つの光で前記内部位置を照明する照射用光ファイバと、
(c)駆動信号によって励起されるように適合される走査駆動器と、
(d)近端、及び、前記走査駆動器に結合した末端を有する走査器光ファイバであって、前記走査駆動器は、前記内部位置の少なくとも一つの部分を所望のパターンで走査し、前記現在のモードにおける前記照射用光ファイバからの光によって照明された前記内部位置の少なくとも前記部分からの光を受光するように構成され、前記走査器光ファイバによって受光される前記光は、前記走査器光ファイバの前記末端に入射し、前記走査器光ファイバによってその近端に運ばれる走査器光ファイバと、
(e)前記走査器光ファイバに結合し、前記走査器光ファイバによって運ばれた前記光を受光し、前記光ファイバ走査システムが前記現在のモードにおいて動作中である場合、前記内部位置の少なくとも前記部分から受光した前記光の少なくとも1つのパラメータを示す出力信号を発生する光センサと
を備えることを特徴とする光ファイバシステム。
【請求項2】
少なくとも2つの異なるモードは、
(a)診断光が前記照射用光ファイバを通して運ばれる診断モードと、
(b)画像化光が前記照射用光ファイバを通して運ばれる画像化モードと、
(c)比較的高出力の治療光が前記照射用光ファイバを通して運ばれる治療モードと
から成るグループの中から選択されることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ走査システム。
【請求項3】
前記出力信号に応答して、前記内部位置の少なくとも前記部分の画像を作成するための前記光センサから前記出力信号を受信するように前記光センサに結合する表示装置を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ走査システム。
【請求項4】
前記内部位置の少なくとも前記部分から受光され、前記走査器光ファイバの前記末端に入る光は、前記照射用光ファイバを通して運ばれ、前記現在のモードの動作において前記内部位置を照明する前記複数の光源のうちの1つによって発生される光と比べて実質的に異なる波長であることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ走査システム。
【請求項5】
前記少なくとも1つのパラメータは、
(a)受光された光の強度と、
(b)受光された光が前記内部位置から伝わった方向と、
(c)受光された光が前記内部位置から伝わった角度と、
(d)受光された光が前記内部位置から伝わった距離と、
(e)受光された光が前記内部位置から伝わった期間と、
(f)受光された光が伝わった前記内部位置での組織内の深さと、
(g)受光された光の波長と
の少なくとも1つを備えることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ走査システム。
【請求項6】
前記照射用光ファイバに結合し、非共振的運動で前記照射用光ファイバを選択的に変位させ、前記照射用光ファイバが以前の位置にあったときと比べて、前記照射用光ファイバが前記内部位置の異なる領域を照明するように構成された照射用光ファイバ変位器を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ走査システム。
【請求項7】
前記照射用光ファイバ変位器は、前記照射用光ファイバが前記内部位置の方へ向けられた前記複数の異なるタイプの光の1つを放出する方向を変え、前記現在のモードにおいて前記複数の異なるタイプの前記1つの光で前記異なる領域を照明することを特徴とする請求項6に記載の光ファイバ走査システム。
【請求項8】
前記照射用光ファイバ変位器は、前記内部位置の組織内で、前記照射用光ファイバによって放出される前記複数の異なるタイプの前記1つの光の焦点の深さを変え、前記組織内の異なる深さにある前記異なる領域を照明することを特徴とする請求項6に記載の光ファイバ走査システム。
【請求項9】
前記照射用光ファイバ変位器は、前記走査器光ファイバに対して動くケーブルを備え、前記照射用光ファイバの前記末端を変位させることを特徴とする請求項6に記載の光ファイバ走査システム。
【請求項10】
前記照射用光ファイバ変位器は、加圧流体源と流体で情報交換をするように結合した体積を定める弾性材の膜であって、前記体積内の加圧流体の量が選択的に変化した場合に、前記末端を変位させるように前記照射用光ファイバの前記末端の近傍に配置された弾性材の膜を備えることを特徴とする請求項6に記載の光ファイバ走査システム。
【請求項11】
前記照射用光ファイバ変位器は、選択的に印加された電気信号に応答して、前記末端を変位させるように前記照射用光ファイバの前記末端に近接して配置された電気機械アクチュエータを備えることを特徴とする請求項6に記載の光ファイバ走査システム。
【請求項12】
前記照射用光ファイバ変位器は、ワイヤ及び復元用ばねアクチュエータを備え、力が前記ワイヤに選択的に加えられたときに、前記末端を変位させるように前記照射用光ファイバの前記末端の近傍に配置されることを特徴とする請求項6に記載の光ファイバ走査システム。
【請求項13】
前記走査駆動器は、前記走査器光ファイバの前記末端を駆動して、前記走査器光ファイバの前記末端の共振周波数付近で、前記所望のパターンにおいて動かすことを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ走査システム。
【請求項14】
前記内部位置の少なくとも前記部分から前記走査器光ファイバの前記末端へ伝わる受光用の光を反射するために配置された可動の反射性表面を更に備え、前記可動の反射性表面は、共振周波数付近で前記走査駆動器によって動くように駆動され、それによって前記内部位置の少なくとも前記部分を前記所望のパターンにおいて走査することを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ走査システム。
【請求項15】
前記複数の異なるタイプの1つの光の反射を生じる前記内部位置の少なくとも一部分に関して、前記光ファイバ走査システム内の前記照射用光ファイバの位置及び方向から発生する画像視野内の反射光の位置を測定するプロセッサを更に備えることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ走査システム。
【請求項16】
前記照射用光ファイバは、多モード光ファイバを備えることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ走査システム。
【請求項17】
前記照射用光ファイバは、単一モード光ファイバを備えることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ走査システム。
【請求項18】
前記走査器光ファイバは、
(a)多モード光ファイバと、
(b)単一モード光ファイバと、
(c)多層クラッド光ファイバと、
(d)多モード及び単一モードの両方の光ファイバと
から成るグループの中から選択される光ファイバを備えることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ走査システム。
【請求項19】
前記走査器光ファイバによって受光される光の散乱角の関数として、前記内部位置の少なくとも前記部分にある組織内の微粒子のサイズを判定するためのプロセッサを更に備え、前記微粒子のサイズは、前記内部位置にある前記組織を含む微粒子から受光される光の強度及び受光される光の前記散乱角に比例することを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ走査システム。
【請求項20】
前記微粒子は、細胞の構成要素であることを特徴とする請求項19に記載の光ファイバ走査システム。
【請求項21】
走査の前記所望のパターンは、螺旋であり、前記内部位置にある組織の特性を判定するためのプロセッサをさらに備え、前記特性は、前記組織が前記複数の異なるタイプの1つの光によって照明される点からの距離の関数として測定される反射率であり、前記反射率は、照明された前記組織の吸収、散乱、及び実効散乱係数から成るグループの中から選択される1つのパラメータを判定するために用いられることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ走査システム。
【請求項22】
走査の前記所望のパターンは、螺旋であり、前記内部位置にある前記組織の特性を判定するためのプロセッサをさらに備え、前記特性は、前記組織が照明される点からの光の伝播時間の関数として測定される反射率であり、前記伝播時間は、前記光によって照明された前記組織の吸収、散乱、及び実効散乱係数から成るグループの中から選択される1つのパラメータを判定するために前記プロセッサによって用いられることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ走査システム。
【請求項23】
走査の前記所望のパターンは、
(a)螺旋走査と、
(b)プロペラ走査と、
(c)線形走査と、
(d)ラスター走査と、
(e)リサジュー走査と
から成るグループの中から選択されることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ走査システム。
【請求項24】
前記少なくとも1つのパラメータは、前記光ファイバ走査システムと前記内部位置にある前記組織の表面との間の距離及び角度の少なくとも1つを備え、前記少なくとも1つのパラメータは、前記受光された光において検出された前記内部位置にある前記組織の表面からの鏡面反射に応答して判定されることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ走査システム。
【請求項25】
前記現在のモードにおける前記照明ファイバに結合する前記複数の光源の1つの光源は、前記内部位置に治療を行うために選択される少なくとも1つの特性を有する光を発生し、前記特性は、出力レベル及び波長帯から成るグループの中から選択される少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ走査システム。
【請求項26】
前記現在のモードにおいて前記内部位置の方へ向けられた前記光を集光するために、前記照射用光ファイバの前記末端の近傍に配置されたレンズを更に備えることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ走査システム。
【請求項27】
複数の異なるモードで患者の身体の内部位置を走査する方法であって、実装される前記複数の異なるモードの少なくとも2つのモードの各々に対して、前記方法は、
(a)複数の異なるタイプの1つの光を、前記少なくとも2つのモードの現在のモードにおいて用いるために選択された光源から照射用光ファイバの末端へ運ぶステップであって、前記末端から放出される前記光を前記内部位置上へ方向付け、前記照射用光ファイバの前記末端は静止、又は、非共振的運動をして比較的ゆっくりと移動可能であるステップと、
(b)前記内部位置の少なくとも前記部分から受光される光を集めるために、前記内部位置の少なくとも一つの部分を走査するステップと、
(c)前記内部位置の少なくとも前記部分からの前記受光される光を、走査器光ファイバを通って、前記走査器光ファイバの近端へ運ぶステップと、
(d)前記受光される光を検出して、前記受光される光に応答した出力信号を生成するステップと、
(e)そのとき実装されている前記現在のモードの間、前記内部位置の少なくとも前記部分の少なくとも1つのパラメータを判定するための前記出力信号を用いるステップと
を備えることを特徴とする方法。
【請求項28】
前記少なくとも2つのモードは、
(a)診断光が前記照射用光ファイバを通して運ばれる診断モードと、
(b)画像化光が前記照射用光ファイバを通して運ばれる画像化モードと、
(c)比較的高出力の治療光が前記照射用光ファイバを通して運ばれる治療モードと
から成るグループの中から選択されることを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記出力信号を用いるステップは、前記出力信号に応答して、前記内部位置の少なくとも前記部分の画像を表示するステップを備え、 前記少なくとも1つのパラメータは前記内部位置の少なくとも前記部分の外観を備えることを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記受光される光は、前記照射用光ファイバから前記内部位置に向けられた前記光と比べて実質的に異なる波長であり、前記出力信号を用いるステップは、前記内部位置にある組織の特性を判定するステップを備えることを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項31】
前記少なくとも1つのパラメータは、
(a)前記受光される光の強度と、
(b)前記受光される光のパワーと、
(c)前記受光される光が伝わった方向と、
(d)前記内部位置から前記受光される光が伝わった角度と、
(e)受光される光が伝わった前記内部位置での組織内の深さと、
(f)前記受光される光の波長と、
(g)前記受光される光の伝播時間と
から成るグループから選択されることを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項32】
前記内部位置の異なる領域を照明するように前記照射用光ファイバを選択的に変位するステップを更に備えることを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項33】
前記選択的に変位するステップは、前記異なる領域を照明するために、前記照射用光ファイバが前記内部位置へ向かう光を放出する方向を変化するステップを備えることを特徴とする請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記選択的に変位するステップは、前記組織内の異なる深さにある前記異なる領域を照明するために、前記内部位置にある組織内の前記照射用光ファイバによって放出される光の焦点の深さを変化するステップを備えることを特徴とする請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記走査するステップは、前記走査器光ファイバの前記末端の共振周波数付近で前記走査器光ファイバの前記末端を動かすように駆動するステップを備えることを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項36】
前記走査するステップは、前記内部位置の少なくとも前記部分から前記走査器光ファイバの前記末端の方へ前記受光される光を反射させるように配置された可動の反射性表面を駆動するステップを備え、前記可動の反射性表面は、前記可動の反射性表面の共振周波数付近で動くように駆動されることを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項37】
前記出力信号を用いるステップは、前記走査器光ファイバによって集められた前記受光される光の視野内で、前記組織を照明する前記光の反射の位置を判定するステップを含むことを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項38】
前記出力信号を用いるステップは、前記受光される光の散乱角の関数として前記内部位置にある組織内の微粒子のサイズを判定するステップを備え、前記微粒子のサイズは、前記受光される光の強度及び前記受光される光の前記散乱角に比例することを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項39】
微粒子のサイズを判定するステップは、前記組織内の細胞の構成要素のサイズを判定するステップを備えることを特徴とする請求項38に記載の方法。
【請求項40】
走査の前記所望のパターンは、螺旋であり、前記出力信号を用いるステップは、前記内部位置にある組織の特性を判定するステップを備え、前記特性は、前記照射用光ファイバから放出される光が前記組織上に入射する点からの距離の関数として測定される反射率であり、前記反射率は、前記光で照明された前記組織の吸収、散乱、及び実効散乱係数から成るグループの中から選択されるパラメータを判定するために用いられることを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項41】
前記走査のステップは、
(a)螺旋パターンと、
(b)プロペラパターンと、
(c)線形パターンと、
(d)ラスターパターンと、
(e)リサジューパターンと
から成るグループの中から選択されるパターンで走査するステップを備えることを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項42】
前記出力信号を用いるステップは、前記受光される光に含まれる前記組織の表面の鏡面反射に応答して、前記光ファイバ走査システムと前記内部位置にある前記組織の表面との間の距離及び角度から成るグループの中から選択される少なくとも1つのパラメータを判定するステップを備えることを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項43】
治療モードで動作する場合、前記内部位置に治療を行うために選択される少なくとも1つの特性を有する光を前記照射用光ファイバから放出するステップを更に備え、前記少なくとも1つの特性は、前記光の比較的高出力及び波長帯から成るグループの中から選択される少なくとも1つを備えることを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項44】
前記照射用光ファイバから前記内部位置へ向かう前記光を集束するステップを更に備えることを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項45】
複数の異なるモードの間で複数の異なるタイプの光で患者の身体の内部位置を照明し、前記内部位置から受光する光に応答するための光ファイバスコープであって、
(a)前記内部位置を照明するための異なるタイプの光を発生する複数の異なる光源と、
(b)前記光ファイバスコープの末端に配置された長く伸びた筐体と、
(c)前記光ファイバスコープの前記末端にある一般的に中心に配置された走査器であって、前記走査器は所望のパターンにおいて共振周波数付近で動くように駆動され、前記内部位置の少なくとも所望の部分から受光される光が、前記走査器によって集められ、走査器光ファイバを通して前記走査器光ファイバの近端へ運ばれるように構成された走査器と、
(d)前記長く伸びた筐体内の前記走査器から隔てられ、前記走査器の周りに配置された末端を有する複数の照明用光ファイバであって、前記照明用光ファイバの前記末端から放出される前記光が前記内部位置へ向けられるように、前記複数の異なる光源の選ばれた1つからの光を現在のモードにおいて動作中の前記照明用光ファイバの前記末端へ運ぶ複数の照明用光ファイバと、
(e)前記走査器光ファイバに結合し、前記走査器光ファイバを通して運ばれた前記受光される光に応答するセンサであって、前記光ファイバスコープによって実行されている前記現在のモードの間に、前記内部位置の組織に関するデータを提供するために処理されることができる出力信号を発生する前記センサと
を備えることを特徴とする光ファイバスコープ。
【請求項46】
前記少なくとも2つの異なるモードは、
(a)診断光が前記複数の照射用光ファイバを通して運ばれる診断モードと、
(b)画像化光が前記複数の照射用光ファイバを通して運ばれる画像化モードと、
(c)比較的高出力の治療光が前記複数の照射用光ファイバを通して運ばれる治療モードと
から成るグループの中から選択されることを特徴とする請求項45に記載の光ファイバスコープ。
【請求項47】
前記内部位置の前記所望の部分を選択的に走査するために、前記走査器は、前記走査器光ファイバの前記末端に結合する駆動器を備え、前記駆動器は、前記所望のパターンにおいて前記末端を共振的に動かす力を加えることを特徴とする請求項45に記載の光ファイバスコープ。
【請求項48】
前記照明用光ファイバから放出された光が前記内部位置上に入射する場所を制御するために、前記照明用光ファイバの前記末端を選択的に変位する変位器を更に備えることを特徴とする請求項45に記載の光ファイバスコープ。
【請求項49】
前記センサは、前記現在のモードにおいて動作中の前記複数の照明用光ファイバによって放出された前記光の波長帯と比べて実質的に異なる特定の波長帯の前記受光される光に応答することを特徴とする請求項45に記載の光ファイバスコープ。
【請求項50】
前記走査器は、前記受光される光を前記走査器光ファイバの前記末端の中へ反射する反射性表面を備え、前記反射性表面を共振周波数付近で動かすための駆動器を含むことを特徴とする請求項45に記載の光ファイバスコープ。
【請求項51】
前記走査器は、前記受光される光を伝送する光ファイバを備え、前記光ファイバは、
(a)多モード光ファイバと、
(b)単一モード光ファイバと、
(c)多層クラッド光ファイバと、
(d)多モード及び単一モードの結合した光ファイバと
から成るグループの中から選択されるタイプのものであることを特徴とする請求項45に記載の光ファイバスコープ。
【請求項52】
前記走査器は、前記受光される光が反射される前記内部位置の少なくとも一部分に関して、前記光ファイバ走査システム内の前記複数の照射用光ファイバの位置及び方向から生じる画像視野内で反射光の位置を測定するプロセッサを備えることを特徴とする請求項45に記載の光ファイバスコープ。
【請求項53】
走査のための前記所望のパターンは、
(a)螺旋パターンと、
(b)プロペラパターンと、
(c)線形パターンと、
(d)ラスターパターンと、
(e)リサジューパターンと
から成るグループの中から選択されるパターンを含むことを特徴とする請求項45に記載の光ファイバスコープ。
【請求項54】
前記センサによって発生した前記出力信号は、画像化モード及び監視モードの両方において前記内部位置の少なくとも前記部分の画像を表示するために使用可能であることを特徴とする請求項45に記載の光ファイバスコープ。
【請求項55】
前記センサによって発生した前記出力信号は、前記複数の照明用光ファイバから放出された前記光の侵入深さに対する吸収を計算するために使用可能であることを特徴とする請求項45に記載の光ファイバスコープ。
【請求項56】
前記センサによって発生した前記出力信号は、前記組織の前記表面からの鏡面反射に応答して、前記光ファイバスコープと前記内部位置にある前記組織の表面との間の距離及び角度から成るグループの中から選択される少なくとも1つのパラメータを判定するために使用可能であり、前記鏡面反射は前記受光される光を含むことを特徴とする請求項45に記載の光ファイバスコープ。
【請求項57】
前記センサによって発生した前記出力信号は、前記内部位置にある前記組織内の微粒子のサイズを、前記受光される光の散乱角の関数として判定するために使用可能であり、前記微粒子のサイズは、前記受光される光の強度及び前記受光される光の散乱角に比例することを特徴とする請求項45に記載の光ファイバスコープ。
【請求項58】
前記微粒子のサイズは、細胞の構成要素のサイズに対応することを特徴とする請求項57に記載の光ファイバスコープ。
【請求項59】
前記組織が前記現在のモードにおける前記複数の照明用光ファイバから放出される前記光によって照明された場所から測定された反射率の関数として、前記センサによって発生した前記出力信号は、前記内部位置にある前記組織の吸収、散乱及び実効散乱係数から成るグループの中から選択されるパラメータを計算するために使用可能であることを特徴とする請求項45に記載の光ファイバスコープ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図11D】
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【図11E】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15A】
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【図15B】
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【図15C】
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【図15D】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公表番号】特表2010−501246(P2010−501246A)
【公表日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−525530(P2009−525530)
【出願日】平成18年8月21日(2006.8.21)
【国際出願番号】PCT/US2006/032545
【国際公開番号】WO2008/024101
【国際公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願人】(502457803)ユニヴァーシティ オブ ワシントン (93)
【Fターム(参考)】