説明

多値符号化装置および多値符号化方法

【課題】回路規模を大きくせず、遷移不足および波形歪等の影響による信号点(振幅レベル)の識別誤りを回避し、かつ高効率伝送を実現する多値符号化装置を提供する。
【解決手段】本発明の多値符号化装置は、データを所定のタイムスロット単位で分解した複数のビットパターンについて、隣接するタイムスロット間におけるビットパターンの遷移確率を算出する遷移確率算出部と、算出された遷移確率に基づいて、多値信号の振幅レベルの変動が小さくなるようにビットパターンを所定の信号点にマッピングし、ビットパターンと信号点との対応関係を示すマッピング情報を生成するマッピング情報生成部と、マッピング情報を含むヘッダ部と、データを含むデータ部とから構成されるパケットを生成するパケット生成部と、マッピング情報に基づいて、データ部に含まれるデータを所定の信号点に変調するデータ変調部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信器と受信器との間でデータ通信するために用いられる多値符号化装置および多値符号化方法に関し、より特定的には、送受信するデータのビットパターンを所定の信号点にマッピングする多値符号化装置および多値符号化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、送信器と受信器との間でデータを通信する際、より高効率なデータ通信を実現するために、多値符号化がさまざまな通信方式に導入されている。多値符号化は、複数のビットから構成されるビットパターンを異なる信号点にマッピングすることによって、伝送速度の高速化を図る方法である。多値符号化における多値数を増加すれば、1つの信号点に割り当てるビット数を増やすことができる。これにより、伝送効率を向上することができる。
【0003】
しかし、限られた振幅レベルの範囲内で多値符号化を行う場合には、多値数に反比例して、信号点間距離が縮まってしまう。このため、多値符号化されたデータを復号する際に、信号点(振幅レベル)の識別誤りが生じるようになる。また、急激に振幅レベルが変動する場合には、信号波形の立上りおよび立下りに要する時間の不足(遷移不足)、および波形歪等の影響によって、さらに信号点(振幅レベル)の識別誤りが発生しやすくなる。その結果、データ通信における伝送誤りとなってしまう。
【0004】
そこで、特許文献1では、多値符号化される振幅レベルの遷移を、0または当該振幅レベルの上下方向に隣接する振幅レベルに限定することが提案されている。これにより、上述した遷移不足および波形歪等の影響による信号点(振幅レベル)の識別誤りを回避している。また、このように振幅レベルの遷移を限定することによって発生するシンボル誤りは、後段において誤り訂正処理を施している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−198737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来技術では、振幅レベルの遷移を限定することによって故意に発生させた誤りを訂正するために、単なる雑音誤り訂正処理能力よりも大きな訂正処理能力を必要とする。つまり、誤り訂正回路における拘束長の増大等を招き、その結果、回路規模が大きくなってしまう。一方、信号点(振幅レベル)の識別誤りを回避するために、多値数を減少させる等によって符号化率を小さくすれば、データの伝送効率を悪化させることになってしまう。
【0007】
それ故に、本発明の目的は、送信データにおけるビットパターンの遷移に着目した多値符号化を施すことによって、回路規模を大きくせず、遷移不足および波形歪等の影響による信号点(振幅レベル)の識別誤りを回避し、かつ高効率伝送を実現する多値符号化装置および多値符号化方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の多値符号化装置は、送信器と受信器との間で通信されるパケットに含まれるデータを、所定の複数の振幅レベルを有する多値信号に変調する多値符号化装置であって、データを所定のタイムスロット単位で分解した複数のビットパターンについて、隣接するタイムスロット間におけるビットパターンの遷移確率を算出する遷移確率算出部と、算出された遷移確率に基づいて、多値信号の振幅レベルの変動が小さくなるようにビットパターンを所定の信号点にマッピングし、ビットパターンと信号点との対応関係を示すマッピング情報を生成するマッピング情報生成部と、マッピング情報を含むヘッダ部と、データを含むデータ部とから構成されるパケットを生成するパケット生成部と、マッピング情報に基づいて、データ部に含まれるデータを所定の信号点に変調するデータ変調部とを備える。
【0009】
好ましいマッピング情報生成部は、遷移確率が大きいビットパターンを隣接する信号点に順にマッピングすることを特徴とする。
【0010】
さらに、好ましいマッピング情報生成部は、ハミング距離が1であるビットパターンを隣接する信号点にマッピングすることを特徴とする。
【0011】
また、好ましくは、本発明の多値符号化装置は、データに含まれるビットパターンの発生確率を算出する発生確率算出部を、さらに備え、マッピング情報生成部は、発生確率算出部で算出した発生確率が最大となるビットパターンを、振幅レベルが最小または最大となる信号点にマッピングすることを特徴とする。
または、好ましくは、本発明の多値符号化装置は、データに含まれるビットパターンの発生確率を算出する発生確率算出部を、さらに備え、マッピング情報生成部は、発生確率算出部で算出した発生確率が最大となるビットパターンを、振幅レベルが最小となる信号点にマッピングすることを特徴とする。
【0012】
さらに、好ましいマッピング情報生成部は、発生確率算出部で算出した発生確率と、生成したマッピング情報とに基づいて、平均送信電力を算出することを特徴とする。
【0013】
さらに、好ましいマッピング情報生成部は、算出した平均送信電力に基づいて、平均送信電力が最小となるように、ビットパターンを所定の信号点にマッピングすることを特徴とする。
【0014】
また、好ましくは、ヘッダ部は、算出した平均送信電力を示す平均送信電力情報を含むことを特徴とする。
【0015】
さらに、好ましくは、本発明の多値符号化装置は、ビットパターンと信号点との対応関係を示すマッピング情報と、当該マッピング情報に対応するマッピング番号とを予め格納するマッピングテーブルを、さらに備え、マッピング情報生成部は、マッピングテーブルを参照して、生成したマッピング情報に対応するマッピング番号を、マッピング情報とすることを特徴とする。
【0016】
また、好ましい遷移確率算出部は、データを所定長の複数のセグメントに細分化したセグメントデータについて、セグメント毎に遷移確率を算出し、マッピング情報生成部は、セグメント毎に算出された遷移確率に基づいて、セグメントデータについて、セグメント毎にマッピング情報を生成することを特徴とする。
または、好ましい遷移確率算出部は、データを所定長の複数のセグメントに細分化したセグメントデータについて、セグメント毎に遷移確率を算出し、発生確率算出部は、セグメントデータについて、セグメント毎に発生確率を算出し、マッピング情報生成部は、セグメント毎に算出された遷移確率および発生確率に基づいて、セグメントデータについて、セグメント毎にマッピング情報を生成することを特徴とする。
【0017】
上記目的を達成するために、本発明の多値復号化装置は、送信器と受信器との間で通信されるパケットに含まれる所定の複数の振幅レベルを有する多値信号を復調する多値復号化装置であって、所定の信号点と、所定のタイムスロット単位で分解した複数のビットパターンについて、隣接するタイムスロット間におけるビットパターンの遷移確率が大きいビットパターンを隣接する信号点に順にマッピングしたビットパターンとの対応関係を示すマッピング情報を、パケットから抽出し、当該抽出したマッピング情報を解析するマッピング解析部と、マッピング情報に基づいて、多値信号を復調するデータ復調部とを備える。
【0018】
さらに、好ましくは、本発明の多値復号化装置は、所定の信号点と、所定のタイムスロット単位で分解した複数のビットパターンについて、隣接するタイムスロット間におけるビットパターンの遷移確率が大きいビットパターンを隣接する信号点に順にマッピングしたビットパターンとの対応関係を示すマッピング情報と、当該マッピング情報に対応するマッピング番号とを予め格納するマッピングテーブルを、さらに備え、パケットには、マッピング情報としてマッピング番号が含まれており、マッピング解析部は、マッピングテーブルを参照して、パケットに含まれるマッピング番号に対応するマッピング情報を抽出し、データ復調部は、抽出されたマッピング情報に基づいて、多値信号を復調することを特徴とする。
【0019】
さらに、好ましくは、本発明の多値復号化装置は、パケットには、所定のタイムスロット単位で分解した複数のビットパターンについて、ビットパターンの発生確率と、マッピング情報とに基づいて算出された平均送信電力情報が含まれており、平均送信電力情報に基づいて、直流ドリフト量推定値を生成する直流ドリフト量推定部を、さらに備え、データ復調部は、直流ドリフト量推定値に基づいて、多値信号を復調する際、振幅レベルの信号判定における閾値を調整して、マッピング情報に基づいて、多値信号を復調することを特徴とする。
【0020】
上記目的を達成するために、本発明の多値符号化方法は、データを所定の複数の振幅レベルを有する多値信号に変調する多値符号化装置が実行する多値符号化方法であって、データを所定のタイムスロット単位で分解した複数のビットパターンについて、隣接するタイムスロット間におけるビットパターンの遷移確率を算出する遷移確率算出ステップと、算出された遷移確率に基づいて、多値信号の振幅レベルの変動が小さくなるようにビットパターンを所定の信号点にマッピングし、ビットパターンと信号点との対応関係を示すマッピング情報を生成するマッピング情報生成ステップと、マッピング情報に基づいて、データ部に含まれるデータを所定の信号点に変調するデータ変調ステップとを実行する。
【0021】
上記目的を達成するために、本発明の多値復号化方法は、所定の複数の振幅レベルを有する多値信号を復調する多値復号化装置が実行する多値復号化方法であって、所定の信号点と、所定のタイムスロット単位で分解した複数のビットパターンについて、隣接するタイムスロット間におけるビットパターンの遷移確率が大きいビットパターンを隣接する信号点に順にマッピングしたビットパターンとの対応関係を示すマッピング情報を解析するマッピング解析ステップと、マッピング情報に基づいて、多値信号を復調するデータ復調ステップとを実行する。
【0022】
上述した本発明の多値符号化方法および多値復号化方法は、一連の処理手順をコンピュータに実行させるためのプログラムの形式で提供される。このプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録された形態で、コンピュータに導入されてもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明の多値符号化装置および多値符号化方法によれば、送信データにおけるビットパターンの遷移に着目した多値符号化を施すことによって、回路規模を大きくせず、遷移不足および波形歪等の影響による信号点(振幅レベル)の識別誤りを回避し、かつ高効率伝送を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る多値符号化装置100を示す図
【図2】遷移確率算出部101によって算出された遷移確率151に基づいて、ビットパターンを所定の信号点にマッピングする手順を示す図
【図3】パケット153の構成を示す図
【図4】本発明の第1の実施形態に係る多値復号化装置200を示す図
【図5】遷移確率算出部101によって算出された遷移確率151と、ハミング距離の制約とに基づいて、ビットパターンを所定の信号点にマッピングする手順を示す図
【図6】本発明の第3の実施形態に係る多値符号化装置300を示す図
【図7】遷移確率算出部101によって算出された遷移確率151と、発生確率算出部301によって算出された発生確率351とに基づいて、ビットパターンを所定の信号点にマッピングする手順を示す図
【図8】多値識別誤りが発生する様子を示す図
【図9】図2で示した2通りのマッピング候補について、それぞれのマッピング候補を選択した場合の平均送信電力を算出する手順を示す図
【図10】本発明の第4の実施形態に係る多値符号化装置400を示す図
【図11】4値の振幅レベル(信号点)「0」、「1」、「2」、「3」にビットパターン「00」、「01」、「10」、「11」を割り当てる場合のマッピングテーブル401を示す図
【図12】図11に示したマッピングテーブル401のうち、隣接する信号点にマッピングされるビットパターンは、ハミング距離を1とする制約を加えた場合のマッピングテーブル402を示す図
【図13】本発明の第4の実施形態に係る多値復号化装置500を示す図
【図14】本発明の第5の実施形態に係る多値符号化装置におけるパケット生成部103が生成するパケットの構成を示す図
【図15】本発明の第6の実施形態に係る多値符号化装置におけるパケット生成部103が生成するパケットの構成を示す図
【図16】本発明の第6の実施形態に係る多値復号化装置600を示す図
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の各実施形態を、図面を参照しながら説明する。
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る多値符号化装置100を示す図である。図1において、多値符号化装置100は、遷移確率算出部101と、マッピング情報生成部102と、パケット生成部103と、データ変調部104とを備える。
【0026】
遷移確率算出部101は、送信データ150をタイムスロット単位で分解した複数のビットパターンについて、隣接するタイムスロット間におけるビットパターンの遷移確率151を算出する。
【0027】
具体的には、例えば、送信データ150を「00101110001010」とし、4値の振幅レベル(信号点)0、1、2、3にビットパターン「00」、「01」、「10」、「11」を割り当てる場合について説明する。
【0028】
先ず、送信データ150「00101110001010」を7つのタイムスロット単位で分解し、2ビットずつのビットパターン「00」、「10」、「11」、「10」、「00」、「10」、「10」とする。
【0029】
次に、隣接するタイムスロット間におけるビットパターンの遷移を分析する。ここで、遷移元ビットパターンが「00」、「01」、「10」、「11」の4種類に対して、それぞれ遷移先ビットパターンが「00」、「01」、「10」、「11」の4種類である。つまり、隣接するタイムスロット間におけるビットパターンの遷移は、16通りの遷移が発生し得る。
【0030】
送信データ150「00101110001010」において、実際に発生するビットパターンの遷移確率151を計算する。ビットパターンの遷移は、「00」→「10」、「10」→「11」、「11」→「10」、「10」→「00」、「00」→「10」、「10」→「10」の6つである。そして、「00」→「10」の遷移確率は2/6となり、「10」→「11」の遷移確率は1/6となり、「11」→「10」の遷移確率は1/6となり、「10」→「00」の遷移確率は1/6となり、「10」→「10」の遷移確率は1/6となる。このようにして、ビットパターンの遷移確率151を導出する。
【0031】
マッピング情報生成部102は、遷移確率算出部101によって算出された遷移確率151に基づいて、ビットパターンを所定の信号点にマッピングし、マッピング情報152を生成する。ここで、マッピング情報152は、ビットパターンと信号点との対応関係を示す情報であって、以下の手順によって生成される。
【0032】
図2は、遷移確率算出部101によって算出された遷移確率151に基づいて、ビットパターンを所定の信号点にマッピングする手順を示す図である。図2(1)は、遷移確率算出部101によって算出された遷移確率151を示す図である。ここでは、遷移確率算出部101によって算出された遷移確率151の一例として、「00」→「00」への遷移確率が5%、「00」→「01」への遷移確率が16%、「00」→「10」への遷移確率が11%、「00」→「11」への遷移確率が8%、・・・のように、遷移元と遷移先との関係について、各々の遷移確率151をマトリックス状に示している。
【0033】
マッピング情報生成部102は、図2(1)に示された遷移確率151に基づいて、遷移確率が大きい順に、遷移元および遷移先ビットパターンを隣接する信号点に割り当てる。図2(2)は、遷移確率が大きい順に、遷移元および遷移先ビットパターンを隣接する信号点にマッピングする手順を示す図である。
【0034】
第1ステップでは、遷移確率が最大である遷移「00」→「01」について、ビットパターン「00」と「01」とを隣接する信号点に割り当てる。このとき、振幅レベルの小さい順から、「00」−「01」に割り当てるマッピングと、「01」−「00」に割り当てるマッピングとの2通りのマッピング候補がある。
【0035】
第2ステップでは、第1ステップで得られたマッピング候補を踏襲した上で、遷移確率が2番目に大きい遷移「01」→「10」について、ビットパターン「01」と「10」とを隣接する信号点に割り当てる。ここで、第1ステップで得られたマッピング候補におけるビットパターンの隣接関係を崩さないか否かを検討する。ビットパターン「01」と「10」とを隣接する信号点に割り当てる場合、第1ステップで得られたマッピング候補におけるビットパターンの隣接関係「00」−「01」、および「01」−「00」を崩さない。つまり、振幅レベルの小さい順から、「00」−「01」−「10」に割り当てるマッピングと、「10」−「01」−「00」に割り当てるマッピングとの2通りのマッピング候補が得られる。
【0036】
第3ステップでは、第2ステップで得られたマッピング候補を踏襲した上で、遷移確率が3番目に大きい遷移「00」→「10」について、ビットパターン「00」と「10」とを隣接する信号点に割り当てる。ここで、第2ステップで得られたマッピング候補におけるビットパターンの隣接関係を崩さないか否かを検討する。ビットパターン「00」と「10」とについて、第2ステップで得られたマッピング候補におけるビットパターンの隣接関係が既に確定している。このため、第3ステップでは、新たに、ビットパターン「00」と「10」とを隣接する信号点に割り当てずに、第2ステップで得られたマッピング候補「00」−「01」−「10」、および「10」−「01」−「00」を引き継ぐ。
【0037】
第4ステップでは、第3ステップで得られたマッピング候補を踏襲した上で、遷移確率が4番目に大きい遷移「01」→「11」について、ビットパターン「01」と「11」とを隣接する信号点に割り当てる。ここで、第3ステップで得られたマッピング候補におけるビットパターンの隣接関係を崩さないか否かを検討する。第3ステップで得られたマッピング候補におけるビットパターンの隣接関係において、ビットパターン「01」について、当該上下隣接信号点は既に確定している。このため、第4ステップでは、新たに、ビットパターン「01」と「11」とを隣接する信号点に割り当てずに、第3ステップで得られたマッピング候補「00」−「01」−「10」、および「10」−「01」−「00」を引き継ぐ。
【0038】
第5ステップでは、第4ステップで得られたマッピング候補を踏襲した上で、遷移確率が5番目に大きい遷移「00」→「11」について、ビットパターン「00」と「11」とを隣接する信号点に割り当てる。ここで、第4ステップで得られたマッピング候補におけるビットパターンの隣接関係を崩さないか否かを検討する。ビットパターン「00」と「11」とを隣接する信号点に割り当てる場合、第4ステップで得られたマッピング候補におけるビットパターンの隣接関係「00」−「01」−「10」、および「10」−「01」−「00」を崩さない。つまり、振幅レベルの小さい順から、「11」−「00」−「01」−「10」に割り当てるマッピングと、「10」−「01」−「00」−「11」に割り当てるマッピングとの2通りのマッピング候補が得られる。
【0039】
このように、マッピング情報生成部102は、第1〜第5ステップにおいて、遷移確率算出部101によって算出された遷移確率151に基づいて、遷移確率が大きい順に、遷移元および遷移先ビットパターンを隣接する信号点に割り当てる。
【0040】
なお、上述した第1〜第5ステップでは、結果として、2通りのマッピング候補が得られたが、マッピング情報生成部102は、当該2通りのマッピング候補のうち、いずれかを用いて、マッピング情報152を生成する。ここで、当該2通りのマッピング候補のうち、いずれを選択しても構わないが、いずれを選択するかについての選択基準を設定しても構わない。例えば、後述する本発明の第3の実施形態においては、当該2通りのマッピング候補のうち、平均送信電力が小さくなる方を選択することに関して説明している。
【0041】
また、上述した第1〜第5ステップにおいて、遷移確率が同一となるビットパターンを選択する場合は、例えば、予め設定した選択基準に基づいて、いずれかのビットパターンを選択しても構わないし、ランダムに選択しても構わない。または、遷移確率が同一となるそれぞれのビットパターンに対して、さらにマッピング候補を生成し、当該生成されたより多くのマッピング候補から、いずれかを選択しても構わない。
【0042】
パケット生成部103は、送信器と受信器との間でデータ通信するためのパケット153を生成する。図3は、パケット153の構成を示す図である。図3において、パケット153は、ヘッダ部161とデータ部162とから構成される。
【0043】
ヘッダ部161は、パケット制御に関する制御情報を格納する制御情報部163と、マッピング情報生成部102によって生成されたマッピング情報152を格納するマッピング情報部164とから構成される。マッピング情報部164の構成は、例えば、振幅レベルの小さい順に、割り当てるビットパターンを羅列したもの等がある。具体的には、振幅レベル0、1、2、3に対して、それぞれビットパターン「11」、「00」、「01」、「10」を割り当てる場合、マッピング情報部164に格納されるマッピング情報152は、「11000110」となる。
【0044】
データ部162は、送信データ150が格納される。なお、制御情報部163にデータ部162に関する情報を格納すれば、データ部162に格納されるデータは、固定長であっても、可変長であっても構わない。
【0045】
データ変調部104は、マッピング情報生成部102で生成したマッピング情報152に基づいて、パケット生成部103によって生成されたパケット153のデータ部162に格納される送信データ150のビットパターンを所定の信号点に変調する。
【0046】
具体的には、マッピング情報152に基づいて、振幅レベル0、1、2、3に対して、それぞれビットパターン「11」、「00」、「01」、「10」を割り当てる場合を説明する。例えば、パケット153のデータ部162に格納される送信データ150を「1000111101011001」とすると、データ変調部104は、「1000111101011001」を「31002232」に変調する。そして、多値符号化装置100は、パケット153のデータ部162に格納される送信データ150が変調された多値変調信号154を出力する。
【0047】
以上のように、本発明の第1の実施形態に係る多値符号化装置100によれば、遷移確率算出部101によって算出された遷移確率151に基づいて、遷移確率が大きい順に、遷移元および遷移先ビットパターンを隣接する信号点に割り当てることができる。これにより、多値変調信号において、振幅レベルの変化量が大きい遷移を確率的に減少させ、平均遷移量を小さく抑えることができるため、回路規模を大きくせず、遷移不足および波形歪等の影響による信号点(振幅レベル)の識別誤りを回避し、かつ高効率伝送を実現することができる。
【0048】
図4は、本発明の第1の実施形態に係る多値復号化装置200を示す図である。図4において、多値復号化装置200は、多値符号化装置100から出力された多値変調信号154を復号するものであって、マッピング解析部201と、データ復調部202とを備える。
【0049】
多値復号化装置200は、多値符号化装置100から送信された多値変調信号154を受信する。ここで、多値変調信号154は、図3に示したパケット153の構成であって、上述したように、データ部162に格納される送信データ150が多値変調されている。
【0050】
マッピング解析部201は、受信したパケットから、マッピング情報部164に格納されているマッピング情報152を抽出し、抽出したマッピング情報152を解析する。そして、多値復号化装置200は、多値符号化装置100で施されたマッピングを把握する。
【0051】
データ復調部202は、マッピング解析部201によって解析されたマッピング情報152に基づいて、受信したパケットのデータ部162に格納されているデータを復調して、受信データ155を出力する。
【0052】
ここで、多値復号化装置200が受信したパケットのデータ部162に格納されているデータは、多値符号化装置100において、遷移確率算出部101によって算出された遷移確率151に基づいて、遷移確率が大きい順に、遷移元および遷移先ビットパターンを隣接する信号点に割り当てるマッピング処理が施されている。したがって、多値復号化装置200は、多値符号化装置100から受信した多値変調信号154を復号する際、遷移不足および波形歪等の影響による信号点(振幅レベル)の識別誤りを回避することがきる。
【0053】
以上のように、本発明の第1の実施形態に係る多値符号化装置100および多値復号化装置200によれば、多値変調信号において、振幅レベルの変化量が大きい遷移を確率的に減少させ、平均遷移量を小さく抑えることができるため、回路規模を大きくせず、遷移不足および波形歪等の影響による信号点(振幅レベル)の識別誤りを回避し、かつ高効率伝送を実現することができる。
【0054】
<第2の実施形態>
本発明の第2の実施形態に係る多値符号化装置の構成は、図1に示した本発明の第1の実施形態に係る多値符号化装置100の構成と同様であるため、図1を援用する。本発明の第1の実施形態では、マッピング情報生成部102は、遷移確率が大きい順に、遷移元および遷移先ビットパターンを隣接する信号点に割り当てていたが、本実施形態では、マッピング情報生成部102は、さらに、ハミング距離の制約を加えてビットパターンを所定の信号点に割り当てる。本実施形態においては、本発明の第1の実施形態と異なる点について詳しく説明する。
【0055】
図5は、遷移確率算出部101によって算出された遷移確率151と、ハミング距離の制約とに基づいて、ビットパターンを所定の信号点にマッピングする手順を示す図である。図5(1)は、図2(1)と同様に、遷移確率算出部101によって算出された遷移確率151を示す図である。マッピング情報生成部102は、本発明の第1の実施形態と同様に、図5(1)に示された遷移確率151に基づいて、遷移確率が大きい順に、さらにハミング距離を1とする制約を加えて、遷移元および遷移先ビットパターンを隣接する信号点に割り当てる。
【0056】
なお、ハミング距離とは、2つのビットパターンの対応するビット位置における値が異なる個数を示すものである。例えば、2つのビットパターン「01」と「10」とについて、1ビット目および2ビット目の値が異なっているため、ハミング距離は2となる。また、4つのビットパターン「00」、「01」、「10」、「11」について、ハミング距離が1となる組み合わせは、「00」−「01」と、「00」−「10」と、「01」−「11」と、「10」−「11」との4種類である。
【0057】
図5(2)は、遷移確率が大きい順に、さらにハミング距離を1とする制約を加えて、遷移元および遷移先ビットパターンを隣接する信号点にマッピングする手順を示す図である。
【0058】
第1ステップでは、遷移確率が最大である遷移「00」→「01」について、ビットパターン「00」と「01」とを隣接する信号点に割り当てる。ここで、ビットパターン「00」と「01」とのハミング距離が1であるため、振幅レベルの小さい順から、「00」−「01」に割り当てるマッピングと、「01」−「00」に割り当てるマッピングとの2通りのマッピング候補が得られる。
【0059】
第2ステップでは、第1ステップで得られたマッピング候補を踏襲した上で、遷移確率が2番目に大きい遷移「01」→「10」について、ビットパターン「01」と「10」とを隣接する信号点に割り当てる。ここで、第1ステップで得られたマッピング候補におけるビットパターンの隣接関係を崩さないか否かを検討する。ビットパターン「01」と「10」とを隣接する信号点に割り当てる場合、第1ステップで得られたマッピング候補におけるビットパターンの隣接関係「00」−「01」、および「01」−「00」を崩さない。しかし、ビットパターン「01」と「10」とのハミング距離が2であるため、新たに、ビットパターン「01」と「10」とを隣接する信号点に割り当てずに、第1ステップで得られたマッピング候補「00」−「01」、および「01」−「00」を引き継ぐ。
【0060】
第3ステップでは、第2ステップで得られたマッピング候補を踏襲した上で、遷移確率が3番目に大きい遷移「00」→「10」について、ビットパターン「00」と「10」とを隣接する信号点に割り当てる。ここで、第2ステップで得られたマッピング候補におけるビットパターンの隣接関係を崩さないか否かを検討する。ビットパターン「00」と「10」とについて、ビットパターン「00」と「10」とを隣接する信号点に割り当てる場合、第2ステップで得られたマッピング候補におけるビットパターンの隣接関係「00」−「01」、および「01」−「00」を崩さない。さらに、ビットパターン「00」と「10」とのハミング距離が1であるため、振幅レベルの小さい順から、「10」−「00」−「01」に割り当てるマッピングと、「01」−「00」−「10」に割り当てるマッピングとの2通りのマッピング候補が得られる。
【0061】
第4ステップでは、第3ステップで得られたマッピング候補を踏襲した上で、遷移確率が4番目に大きい遷移「01」→「11」について、ビットパターン「01」と「11」とを隣接する信号点に割り当てる。ここで、第3ステップで得られたマッピング候補におけるビットパターンの隣接関係を崩さないか否かを検討する。ビットパターン「01」と「11」とについて、ビットパターン「01」と「11」とを隣接する信号点に割り当てる場合、第3ステップで得られたマッピング候補におけるビットパターンの隣接関係「10」−「00」−「01」、および「01」−「00」−「10」を崩さない。さらに、ビットパターン「01」と「11」とのハミング距離が1であるため、振幅レベルの小さい順から、「10」−「00」−「01」−「11」に割り当てるマッピングと、「11」−「01」−「00」−「10」に割り当てるマッピングとの2通りのマッピング候補が得られる。
【0062】
このように、マッピング情報生成部102は、第1〜第4ステップにおいて、遷移確率算出部101によって算出された遷移確率151に基づいて、遷移確率が大きい順に、さらにハミング距離を1とする制約を加えて、遷移元および遷移先ビットパターンを隣接する信号点に割り当てる。
【0063】
以上のように、本発明の第2の実施形態に係る多値符号化装置によれば、多値変調信号において、振幅レベルの変化量が大きい遷移を確率的に減少させ、平均遷移量を小さく抑えることができるため、回路規模を大きくせず、遷移不足および波形歪等の影響による信号点(振幅レベル)の識別誤りを回避し、かつ高効率伝送を実現することができる。
【0064】
さらに、多値変調信号において、隣接する信号点間のビットパターンのハミング距離が1であるため、隣接する信号点(振幅レベル)の識別誤りに対して、ビット誤りを最小限に抑えることができる。具体的には、隣接する信号点に、ハミング距離が2である「01」と「10」とマッピングした場合、仮に識別誤りが発生すれば、2ビットの誤りとなってしまう。一方、隣接する信号点に、ハミング距離が1である「00」と「10」とマッピングした場合、仮に識別誤りが発生しても、誤りは1ビット目のみであり、ビット誤りを最小限に抑えることができる。
【0065】
<第3の実施形態>
図6は、本発明の第3の実施形態に係る多値符号化装置300を示す図である。図6において、多値符号化装置300は、図1に示した本発明の第1の実施形態に係る多値符号化装置100に、さらに、発生確率算出部301を備える。図6において、図1に示した同一の構成要素については、同一の参照符号を付して、説明を省略する。本実施形態においては、本発明の第1の実施形態と異なる構成である発生確率算出部301を用いたマッピング手順について、詳しく説明する。
【0066】
発生確率算出部301は、送信データ150に含まれるビットパターンの発生確率を算出する。
【0067】
具体的には、例えば、送信データ150を「00101110001010」とし、4値の振幅レベル(信号点)0、1、2、3にビットパターン「00」、「01」、「10」、「11」を割り当てる場合について説明する。
【0068】
先ず、送信データ150「00101110001010」を7つのタイムスロット単位で分解し、2ビットずつのビットパターン「00」、「10」、「11」、「10」、「00」、「10」、「10」とする。
【0069】
次に、各タイムスロットのビットパターンを分析する。ここで、ビットパターンは、「00」、「01」、「10」の4種類が発生し得る。
【0070】
送信データ150「00101110001010」において、実際に発生するビットパターンの発生確率351を計算する。ビットパターンは、「00」、「10」、「11」、「10」、「00」、「10」、「10」の7つである。そして、「00」の発生確率は2/7となり、「01」の発生確率は0/7となり、「10」の発生確率は4/7となり、「11」の発生確率は1/7となる。このようにして、ビットパターンの発生確率351を導出する。
【0071】
マッピング情報生成部102は、遷移確率算出部101によって算出された遷移確率151と、発生確率算出部301によって算出された発生確率351とに基づいて、ビットパターンを所定の信号点にマッピングし、マッピング情報152を生成する。以下に、マッピング情報152を生成する手順について説明する。
【0072】
図7は、遷移確率算出部101によって算出された遷移確率151と、発生確率算出部301によって算出された発生確率351とに基づいて、ビットパターンを所定の信号点にマッピングする手順を示す図である。図7(1)は、発生確率算出部301によって算出された発生確率351を示す図である。ここでは、発生確率算出部301によって算出された発生確率351の一例として、「00」の発生確率が40%、「01」の発生確率が30%、「10」の発生確率が20%、「11」の発生確率が10%であることを示している。
【0073】
ここで、発生確率が大きいビットパターンのマッピングについて説明する。図8は、多値識別誤りが発生する様子を示す図である。図8において、送信データは、振幅レベルが0、1、2、および3である信号点を用いて、4値に多値符号化されている。当該4値に多値符号化されたデータを復号する場合、受信器等で発生する雑音の影響によって、信号点(振幅レベル)の識別誤りが生じる可能性がある。
【0074】
具体的には、例えば、信号レベル(1)で示される信号点について、雑音の影響によって、当該振幅レベルが第1の判定閾値のより小さくなってしまった場合、隣接する信号レベル(0)として識別される。逆に、信号レベル(1)で示す信号点について、雑音の影響によって、当該振幅レベルが第2の判定閾値のより大きくなってしまった場合、隣接する信号レベル(2)として識別される。このように、信号レベル(1)で示される信号点は、雑音の影響によって、上下両方の隣接する信号点に誤って識別される可能性がある。同様に、信号レベル(2)で示される信号点は、隣接する信号レベル(3)、または隣接する信号レベル(1)に誤って識別される可能性がある。
【0075】
一方、信号レベル(0)で示される信号点は、雑音の影響によって、当該振幅レベルが第1の判定閾値のより大きくなってしまった場合のみ、隣接する信号レベル(1)に誤って識別される。つまり、信号レベル(0)で示される信号点は、振幅レベルが最小であるため、下に隣接する信号点に誤って識別されることはない。同様に、信号レベル(3)で示される信号点は、振幅レベルが最大であるため、上に隣接する信号点に誤って識別されることはない。
【0076】
このように、振幅レベルが最小または最大となる信号点にマッピングされたビットパターンは、その他の振幅レベルの信号点にマッピングされたビットパターンと比較して、受信器等で発生する雑音の影響がある場合でも、誤って識別される可能性は低い。
【0077】
したがって、マッピング情報生成部102は、図7(1)に示された発生確率351に基づいて、発生確率が最大となるビットパターンを、振幅レベルが最小または最大となる信号点にマッピングする。さらに、発生確率が最大となるビットパターンを、振幅レベルが最小または最大となる信号点のうち、振幅レベルが最小となる信号点にマッピングすれば、平均送信電力を低減することもできる。
【0078】
図7(2)は、図2(1)と同様に、遷移確率算出部101によって算出された遷移確率151を示す図である。図7(3)は、図7(1)に示された発生確率351に基づいて、発生確率が最大となるビットパターンを振幅レベルが最小となる信号点にマッピングし、図7(2)に示された遷移確率151に基づいて、遷移確率が大きい順に、遷移元および遷移先ビットパターンを隣接する信号点にマッピングする手順を示す図である。
【0079】
第1ステップでは、発生確率が最大であるビットパターン「00」を振幅レベルが最小となる信号点に割り当てる。なお、発生確率が同一となるビットパターンを選択する場合は、例えば、予め設定した選択基準に基づいて、いずれかのビットパターンを選択しても構わないし、ランダムに選択しても構わない。または、遷移確率が同一となるそれぞれのビットパターンに対して、マッピング候補を生成し、当該生成された複数のマッピング候補から、いずれかを選択しても構わない。
【0080】
第2ステップ以降は、本発明の第1の実施形態と同様に、図7(2)に示された遷移確率151に基づいて、遷移確率が大きい順に、遷移元および遷移先ビットパターンを隣接する信号点に割り当てる。
【0081】
第2ステップでは、第1ステップで得られたマッピング候補を踏襲した上で、遷移確率が最大である遷移「00」→「01」について、ビットパターン「00」と「01」とを隣接する信号点に割り当てる。したがって、振幅レベルの小さい順から、「00」−「01」に割り当てるマッピング候補が得られる。
【0082】
第3ステップでは、第2ステップで得られたマッピング候補を踏襲した上で、遷移確率が2番目に大きい遷移「01」→「10」について、ビットパターン「01」と「10」とを隣接する信号点に割り当てる。したがって、振幅レベルの小さい順から、「00」−「01」−「10」に割り当てるマッピング候補が得られる。
【0083】
第4ステップでは、ビットパターン「11」のみが未割り当てであるため、自動的に未割り当ての信号点(振幅レベル3)に割り当てることになる。したがって、振幅レベルの小さい順から、「00」−「01」−「10」−「11」に割り当てるマッピング候補が得られる。
【0084】
このように、マッピング情報生成部102は、第1〜第4ステップにおいて、発生確率351に基づいて、発生確率が最大となるビットパターンを振幅レベルが最小となる信号点にマッピングし、遷移確率151に基づいて、遷移確率が大きい順に、遷移元および遷移先ビットパターンを隣接する信号点に割り当てる。
【0085】
以上のように、本発明の第3の実施形態に係る多値符号化装置300によれば、多値変調信号において、振幅レベルの変化量が大きい遷移を確率的に減少させ、平均遷移量を小さく抑えることができるため、回路規模を大きくせず、遷移不足および波形歪等の影響による信号点(振幅レベル)の識別誤りを回避し、かつ高効率伝送を実現することができる。
【0086】
さらに、発生確率が最大となるビットパターンを、振幅レベルが最小または最大となる信号点にマッピングすることによって、多値変調信号における多値識別誤りの発生率を減少させることができる。
【0087】
また、発生確率が最大となるビットパターンを、振幅レベルが最小または最大となる信号点のうち、振幅レベルが最小となる信号点にマッピングすることによって、平均送信電力を低減することもできる。
【0088】
なお、本実施形態において、図7(3)に示したマッピング手順について、第2ステップ以降は、本発明の第2の実施形態で示したように、さらにハミング距離を1とする制約を加えて、遷移元および遷移先ビットパターンを隣接する信号点に割り当てても構わない。
【0089】
なお、本実施形態では、平均送信電力を低減する手段として、発生確率が最大となるビットパターンを、振幅レベルが最小または最大となる信号点のうち、振幅レベルが最小となる信号点にマッピングしていた。しかし、複数のマッピング候補を生成して、各マッピング候補を選択した場合の平均送信電力を算出し、当該生成された複数のマッピング候補うち、平均送信電力が小さいマッピング候補を選択しても構わない。
【0090】
具体的には、例えば、本発明の第1の実施形態で示した2通りのマッピング候補について説明する。図2で示したように、本発明の第1の実施形態では、振幅レベルの小さい順から、「11」−「00」−「01」−「10」に割り当てるマッピングと、「10」−「01」−「00」−「11」に割り当てるマッピングとの2通りのマッピング候補が得られた。それぞれのマッピング候補を選択した場合の平均送信電力を算出し、2通りのマッピング候補うち、平均送信電力が小さいマッピング候補を選択する手順について、以下に説明する。
【0091】
図9は、図2で示した2通りのマッピング候補について、それぞれのマッピング候補を選択した場合の平均送信電力を算出する手順を示す図である。平均送信電力は、当該ビットパターンがマッピングされる振幅レベルと、当該ビットパターンの発生確率とを乗じた値の総和によって算出される。ここで、送信データは、振幅レベルが0、1、2、および3である信号点を用いて、4値に多値符号化される。また、発生確率算出部301によって算出された発生確率351は、図7(1)で示したように、「00」の発生確率が40%、「01」の発生確率が30%、「10」の発生確率が20%、「11」の発生確率が10%であるとする。
【0092】
先ず、図9(1)において、マッピング候補A(「11」−「00」−「01」−「10」)を選択した場合の平均送信電力Waを算出する。
平均送信電力Wa=(0×0.1)+(1×0.4)+(2×0.3)+(3×0.2)=1.6
【0093】
次に、図9(2)において、マッピング候補B(「10」−「01」−「00」−「11」)を選択した場合の平均送信電力Wbを算出する。
平均送信電力Wb=(0×0.2)+(1×0.3)+(2×0.4)+(3×0.1)=1.4
【0094】
このように、マッピング候補Bを選択した場合の平均送信電力Wbは、マッピング候補Aを選択した場合の平均送信電力Waよりも小さい。したがって、図2で示した2通りのマッピング候補については、振幅レベルの小さい順から、「10」−「01」−「00」−「11」に割り当てるマッピングを選択すれば、平均送信電力を低減することができる。
【0095】
なお、上述した説明では、平均送信電力は、当該ビットパターンがマッピングされる振幅レベルを用いて算出したが、実際には、送信する電圧値(V)、電流値(A)、および電力値(W)等を用いて算出することが望ましい。
【0096】
<第4の実施形態>
図10は、本発明の第4の実施形態に係る多値符号化装置400を示す図である。図10において、多値符号化装置400は、図1に示した本発明の第1の実施形態に係る多値符号化装置100に、さらに、マッピングテーブル401を備える。図10において、図1に示した同一の構成要素については、同一の参照符号を付して、説明を省略する。本実施形態においては、本発明の第1の実施形態と異なる構成であるマッピングテーブル401を用いたマッピング手順について、詳しく説明する。
【0097】
図11は、4値の振幅レベル(信号点)0、1、2、3にビットパターン「00」、「01」、「10」、「11」を割り当てる場合のマッピングテーブル401を示す図である。図11において、マッピングテーブル401は、ビットパターンを4値の振幅レベルに割り当てるため、マッピング方法は、24(=4!)通り存在している。つまり、マッピングテーブル401は、ビットパターンを4値の振幅レベルに割り当てるすべての類型を予め格納している。
【0098】
マッピング情報生成部102は、本発明の第1〜第3の実施形態に記載したマッピング手順によって、ビットパターンを所定の信号点に割り当てる。その後、マッピング情報生成部102は、マッピングテーブル401を参照して、割り当てたマッピングに対応するマッピング番号をマッピング情報152として生成する。
【0099】
具体的には、例えば、マッピング情報生成部102が、本発明の第1の実施形態で示したように、振幅レベル0、1、2、3に対して、それぞれビットパターン「11」、「00」、「01」、「10」を割り当てる場合について説明する。この場合、マッピング情報生成部102は、マッピングテーブル401を参照して、マッピング番号「18」をマッピング情報152として生成する。
【0100】
そして、パケット生成部103では、マッピング番号「18」をマッピング情報152として、図3に示したパケット153のマッピング情報部164に格納して、パケット153を生成する。
【0101】
ここで、本発明の第1の実施形態で示したマッピング情報部164に格納されるマッピング情報152は、「11000110」で8ビットの情報であった。一方、マッピング番号「18」を2進数で表すと「10010」で5ビットの情報である。つまり、マッピングテーブル401を用いて、マッピング番号をマッピング情報152とすることによって、マッピング情報部164に格納されるマッピング情報152の情報量を削減することができる。なお、図11に示したマッピングテーブル401の場合、マッピング番号「0」〜「23」については、5ビット(25=32通りの表現可能)の情報量となる。
【0102】
また、本発明の第2の実施形態で示したように、隣接する信号点にマッピングされるビットパターンは、ハミング距離を1とする制約を加えた場合、さらに、マッピング情報部164に格納されるマッピング情報152の情報量を削減することができる。
【0103】
図12は、図11に示したマッピングテーブル401のうち、隣接する信号点にマッピングされるビットパターンは、ハミング距離を1とする制約を加えた場合のマッピングテーブル402を示す図である。図12において、マッピングテーブル402は、8通りに限定されたマッピング類型が格納されている。つまり、マッピング番号「0」〜「7」については、3ビット(23=8通りの表現可能)の情報量となる。
【0104】
以上のように、本発明の第4の実施形態に係る多値符号化装置400によれば、マッピング情報部164に格納されるマッピング情報152の情報量を削減することができるため、オーバーヘッドが小さいパケット153を用いて、より優れた高効率伝送を実現することができる。
【0105】
図13は、本発明の第4の実施形態に係る多値復号化装置500を示す図である。図13において、多値復号化装置500は、図4に示した本発明の第1の実施形態に係る多値復号化装置200に、さらに、マッピングテーブル401を備える。図13において、図4に示した同一の構成要素については、同一の参照符号を付して、説明を省略する。本実施形態においては、本発明の第1の実施形態と異なる構成であるマッピングテーブル401を用いたマッピング情報の解析について、詳しく説明する。
【0106】
多値復号化装置500が備えるマッピングテーブル401は、図10に示した多値符号化装置100が備えるマッピングテーブル401と同一の内容のものである。具体的には、多値符号化装置100が図11に示したマッピングテーブル401を備える場合は、多値復号化装置500も同一のマッピングテーブル401を備え、多値符号化装置100が図12に示したマッピングテーブル402を備える場合は、多値復号化装置500も同一のマッピングテーブル402を備えることになる。
【0107】
マッピング解析部201は、受信したパケットから、マッピング情報部164に格納されているマッピング情報152を抽出し、抽出したマッピング情報152を解析する。このとき、マッピング情報部164に格納されているマッピング情報152は、マッピング番号である。このため、マッピング解析部201は、マッピングテーブル401を参照して、当該マッピング番号に対応するマッピング情報を抽出して、多値符号化装置100で施されたマッピングを把握する。
【0108】
データ復調部202は、マッピング解析部201によって解析されたマッピング情報152に基づいて、受信したパケットのデータ部162に格納されているデータを復調して、受信データ155を出力する。
【0109】
以上のように、本発明の第4の実施形態に係る多値符号化装置400および多値復号化装置500によれば、マッピング情報部164に格納されるマッピング情報152の情報量を削減することができるため、オーバーヘッドが小さいパケット153を用いて、より優れた高効率伝送を実現することができる。
【0110】
<第5の実施形態>
本発明の第5の実施形態に係る多値符号化装置の構成は、図1に示した本発明の第1の実施形態に係る多値符号化装置100の構成と同様であるため、図1を援用する。本発明の第1の実施形態では、パケット生成部103は、図3に示したパケット153を生成していたが、本実施形態では、パケット生成部103は、セグメント単位で構成されるパケットを生成する。本実施形態においては、本発明の第1の実施形態と異なる構成であるパケットの構成について、詳しく説明する。
【0111】
先ず、マッピング情報生成部102は、送信データ150を所定長のN個(Nは2以上の整数)のセグメントに細分化して、セグメント単位のセグメントデータに対して、上述した本発明の第1〜第4の実施形態で示したマッピング処理を実施する。つまり、マッピング情報生成部102は、送信データ150をセグメント単位に細分化したN個のセグメントデータに対応するN個のマッピング情報を生成する。
【0112】
そして、パケット生成部103は、N個のマッピング情報と、N個のセグメントデータとに基づいて、パケットを生成する。図14は、本発明の第5の実施形態に係る多値符号化装置におけるパケット生成部103が生成するパケットの構成を示す図である。図14(1)および(2)において、送信データ150をセグメント単位に細分化したN個のセグメントデータが、それぞれ第1のデータ部162−1、第2のデータ部162−2、・・・、および第Nのデータ部162−Nに格納される。また、第1のデータ部162−1、第2のデータ部162−2、・・・、および第Nのデータ部162−Nに格納されたN個のセグメントデータに対応するN個のマッピング情報が、それぞれ第1のマッピング情報部164−1、第2のマッピング情報部164−2、・・・、および第Nのマッピング情報部164−Nに格納される。
【0113】
データ変調部104は、マッピング情報部に格納されるマッピング情報に基づいて、それぞれ対応するデータ部に格納されるセグメントデータのビットパターンを所定の信号点に変調する。
【0114】
なお、パケット生成部103が生成するパケットの構成は、図14(1)および(2)に示した構成に限定されるものではない。セグメント単位に細分化したN個のセグメントデータと、当該N個のセグメントデータに対応するN個のマッピング情報との関係が担保されるパケットの構成であればよい。
【0115】
送信データ150は、基本的にランダムなビットパターンで構成されるため、データ長が長くなると、ビットパターンの遷移確率151および発生確率351は、すべて均等な値に近づく傾向になる。つまり、送信データ150を細分化することによって、ビットパターンの遷移確率151および/または発生確率351の偏りに応じたマッピング処理を行う。
【0116】
以上のように、本発明の第5の実施形態に係る多値符号化装置によれば、1つのパケットに含まれる送信データ150を複数のセグメントに細分化することによって、それぞれセグメント単位に最適なマッピング処理を実現することができる。
【0117】
<第6の実施形態>
本発明の第6の実施形態に係る多値符号化装置の構成は、図6に示した本発明の第3の実施形態に係る多値符号化装置300の構成と同様であるため、図6を援用する。本発明の第3の実施形態では、パケット生成部103は、図3に示したパケット153を生成していたが、本実施形態では、パケット生成部103は、さらに平均送信電力情報部を備えるパケットを生成する。本実施形態においては、平均送信電力情報部を備えるパケットを用いるデータ通信について、詳しく説明する。
【0118】
図15は、本発明の第6の実施形態に係る多値符号化装置におけるパケット生成部103が生成するパケットの構成を示す図である。図15に示すパケットにおいて、ヘッダ部161は、平均送信電力情報部165を備える点で、図3に示したパケット153と異なる。
【0119】
マッピング情報生成部102は、本発明の第3の実施形態に示したように、当該ビットパターンがマッピングされる振幅レベルと、当該ビットパターンの発生確率とに基づいて、平均送信電力を計算する。そして、パケット生成部103は、図15に示したように、マッピング情報生成部102によって算出された平均送信電力の情報を含むパケットを生成する。
【0120】
図16は、本発明の第6の実施形態に係る多値復号化装置600を示す図である。図16において、多値復号化装置600は、図4に示した本発明の第1の実施形態に係る多値復号化装置200に、さらに、直流ドリフト量推定部601を備える。図16において、図4に示した同一の構成要素については、同一の参照符号を付して、説明を省略する。本実施形態においては、本発明の第1の実施形態と異なる構成である直流ドリフト量推定部601について、詳しく説明する。
【0121】
直流ドリフト量推定部601は、図15に示したパケットの平均送信電力情報部165に含まれる平均送信電力情報を取得する。そして、直流ドリフト量推定部601は、取得した平均送信電力情報に基づいて、データを復調する際に発生する直流ドリフト量を推定し、直流ドリフト量推定値171を生成する。
【0122】
データ復調部202は、直流ドリフト量推定部601によって生成された直流ドリフト量推定値171に基づいて、信号判定における閾値をバイアスさせて、マッピング解析部201によって解析されたマッピング情報152に基づいて、受信したパケットのデータ部162に格納されているデータを復調する。つまり、送信信号に含まれる直流成分をキャンセルし、データ部162に含まれる送信データの多値復号化の精度を向上することができる。
【0123】
以上のように、本発明の第6の実施形態に係る多値復号化装置600によれば、直流ドリフト量推定値171に基づいて、信号判定における閾値をバイアスさせることによって、より高精度な多値復号化が実現できる。
【0124】
なお、本発明の第1〜第6の実施形態において、データをタイムスロット単位で分解した複数のビットパターンについて、2ビットのビットパターンを4値の振幅レベルを有する多値信号に変調していたが、これに限定されるわけではない。例えば、3ビットのビットパターンを8値の振幅レベルを有する多値信号に変調しても構わない。その他、任意の多値信号に変調する構成であっても、同様の効果が得られることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0125】
本発明の多値符号化装置、多値復号化装置、多値符号化方法、および多値復号化方法は、多値符号化を用いる高効率のデータ伝送等に有用である。
【符号の説明】
【0126】
100、300、400 多値符号化装置
101 遷移確率算出部
102 マッピング情報生成部
103 パケット生成部
104 データ変調部
150 送信データ
151 遷移確率
152 マッピング情報
153 パケット
154 多値変調信号
155 受信データ
161 ヘッダ部
162、162−1〜162−N データ部
163 制御情報部
164、164−1〜164−N マッピング情報部
165 平均送信電力情報部
171 直流ドリフト量推定値
200、500、600 多値復号化装置
201 マッピング解析部
202 データ復調部
301 発生確率算出部
351 発生確率
401、402 マッピングテーブル
601 直流ドリフト量推定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信器と受信器との間で通信されるパケットに含まれるデータを、所定の複数の振幅レベルを有する多値信号に変調する多値符号化装置であって、
前記データを所定のタイムスロット単位で分解した複数のビットパターンについて、隣接するタイムスロット間におけるビットパターンの遷移確率を算出する遷移確率算出部と、
前記算出された遷移確率に基づいて、前記多値信号の振幅レベルの変動が小さくなるように前記ビットパターンを所定の信号点にマッピングし、前記ビットパターンと前記信号点との対応関係を示すマッピング情報を生成するマッピング情報生成部と、
前記マッピング情報を含むヘッダ部と、前記データを含むデータ部とから構成されるパケットを生成するパケット生成部と、
前記マッピング情報に基づいて、前記データ部に含まれるデータを前記所定の信号点に変調するデータ変調部とを備える、多値符号化装置。
【請求項2】
前記マッピング情報生成部は、前記遷移確率が大きいビットパターンを隣接する信号点に順にマッピングすることを特徴とする、請求項1に記載の多値符号化装置。
【請求項3】
前記マッピング情報生成部は、ハミング距離が1である前記ビットパターンを隣接する信号点にマッピングすることを特徴とする、請求項1〜2のいずれかに記載の多値符号化装置。
【請求項4】
前記データに含まれるビットパターンの発生確率を算出する発生確率算出部を、さらに備え、
前記マッピング情報生成部は、前記発生確率算出部で算出した発生確率が最大となるビットパターンを、前記振幅レベルが最小または最大となる信号点にマッピングすることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の多値符号化装置。
【請求項5】
前記データに含まれるビットパターンの発生確率を算出する発生確率算出部を、さらに備え、
前記マッピング情報生成部は、前記発生確率算出部で算出した発生確率が最大となるビットパターンを、前記振幅レベルが最小となる信号点にマッピングすることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の多値符号化装置。
【請求項6】
前記マッピング情報生成部は、前記発生確率算出部で算出した発生確率と、前記生成したマッピング情報とに基づいて、平均送信電力を算出することを特徴とする、請求項4〜5のいずれかに記載の多値符号化装置。
【請求項7】
前記マッピング情報生成部は、前記算出した平均送信電力に基づいて、前記平均送信電力が最小となるように、前記ビットパターンを所定の信号点にマッピングすることを特徴とする、請求項6に記載の多値符号化装置。
【請求項8】
前記ヘッダ部は、前記算出した平均送信電力を示す平均送信電力情報を含むことを特徴とする、請求項6〜7のいずれかに記載の多値符号化装置。
【請求項9】
前記ビットパターンと前記信号点との対応関係を示すマッピング情報と、当該マッピング情報に対応するマッピング番号とを予め格納するマッピングテーブルを、さらに備え、
前記マッピング情報生成部は、前記マッピングテーブルを参照して、前記生成したマッピング情報に対応するマッピング番号を、前記マッピング情報とすることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の多値符号化装置。
【請求項10】
前記遷移確率算出部は、前記データを所定長の複数のセグメントに細分化したセグメントデータについて、前記セグメント毎に前記遷移確率を算出し、
前記マッピング情報生成部は、前記セグメント毎に算出された遷移確率に基づいて、前記セグメントデータについて、前記セグメント毎に前記マッピング情報を生成することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の多値符号化装置。
【請求項11】
前記遷移確率算出部は、前記データを所定長の複数のセグメントに細分化したセグメントデータについて、前記セグメント毎に前記遷移確率を算出し、
前記発生確率算出部は、前記セグメントデータについて、前記セグメント毎に前記発生確率を算出し、
前記マッピング情報生成部は、前記セグメント毎に算出された遷移確率および発生確率に基づいて、前記セグメントデータについて、前記セグメント毎に前記マッピング情報を生成することを特徴とする、請求項4〜9のいずれかに記載の多値符号化装置。
【請求項12】
送信器と受信器との間で通信されるパケットに含まれる所定の複数の振幅レベルを有する多値信号を復調する多値復号化装置であって、
所定の信号点と、所定のタイムスロット単位で分解した複数のビットパターンについて、隣接するタイムスロット間におけるビットパターンの遷移確率が大きいビットパターンを隣接する信号点に順にマッピングしたビットパターンとの対応関係を示すマッピング情報を、前記パケットから抽出し、当該抽出したマッピング情報を解析するマッピング解析部と、
前記マッピング情報に基づいて、前記多値信号を復調するデータ復調部とを備える、多値復号化装置。
【請求項13】
前記所定の信号点と、前記所定のタイムスロット単位で分解した複数のビットパターンについて、隣接するタイムスロット間におけるビットパターンの遷移確率が大きいビットパターンを隣接する信号点に順にマッピングしたビットパターンとの対応関係を示すマッピング情報と、当該マッピング情報に対応するマッピング番号とを予め格納するマッピングテーブルを、さらに備え、
前記パケットには、前記マッピング情報としてマッピング番号が含まれており、
前記マッピング解析部は、前記マッピングテーブルを参照して、前記パケットに含まれるマッピング番号に対応するマッピング情報を抽出し、
前記データ復調部は、前記抽出されたマッピング情報に基づいて、前記多値信号を復調することを特徴とする、請求項12に記載の多値復号化装置。
【請求項14】
前記パケットには、前記所定のタイムスロット単位で分解した複数のビットパターンについて、前記ビットパターンの発生確率と、前記マッピング情報とに基づいて算出された平均送信電力情報が含まれており、
前記平均送信電力情報に基づいて、直流ドリフト量推定値を生成する直流ドリフト量推定部を、さらに備え、
前記データ復調部は、前記直流ドリフト量推定値に基づいて、前記多値信号を復調する際、前記振幅レベルの信号判定における閾値を調整して、前記マッピング情報に基づいて、前記多値信号を復調することを特徴とする、請求項12〜13のいずれかに記載の多値復号化装置。
【請求項15】
データを所定の複数の振幅レベルを有する多値信号に変調する多値符号化装置が実行する多値符号化方法であって、
前記データを所定のタイムスロット単位で分解した複数のビットパターンについて、隣接するタイムスロット間におけるビットパターンの遷移確率を算出する遷移確率算出ステップと、
前記算出された遷移確率に基づいて、前記多値信号の振幅レベルの変動が小さくなるように前記ビットパターンを所定の信号点にマッピングし、前記ビットパターンと前記信号点との対応関係を示すマッピング情報を生成するマッピング情報生成ステップと、
前記マッピング情報に基づいて、前記データを前記所定の信号点に変調するデータ変調ステップとを実行する、多値符号化方法。
【請求項16】
所定の複数の振幅レベルを有する多値信号を復調する多値復号化装置が実行する多値復号化方法であって、
所定の信号点と、所定のタイムスロット単位で分解した複数のビットパターンについて、隣接するタイムスロット間におけるビットパターンの遷移確率が大きいビットパターンを隣接する信号点に順にマッピングしたビットパターンとの対応関係を示すマッピング情報を解析するマッピング解析ステップと、
前記マッピング情報に基づいて、前記多値信号を復調するデータ復調ステップとを実行する、多値復号化方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−130152(P2011−130152A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−286256(P2009−286256)
【出願日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】