多光軸光電センサ、形状認識装置
【課題】多光軸光電センサを用いて物体の形状を認識するにあたり、形状認識に必要な箇所の分解能を光軸数を増やすことなく向上させると共に、形状認識に必要な処理時間を短縮する。
【解決手段】多光軸光電センサ1において、水平又は斜めスキャン動作を順次実行させる第1の実行手段(受光制御部24)と、前記一方側のスキャン動作が実行された全光軸について受光状態を判定する第1判定手段(受光制御部24)と、前記受光状態について反転があることを条件に、他方側のスキャン動作を特定光軸について実行する第2実行手段(受光制御部24)と、前記他方側のスキャン動作が行われた特定光軸の受光状態を判定する第2判定手段(受光制御部24)と、前記第2判定手段(受光制御部24)の判定結果を出力する出力回路30と、を備える。
【解決手段】多光軸光電センサ1において、水平又は斜めスキャン動作を順次実行させる第1の実行手段(受光制御部24)と、前記一方側のスキャン動作が実行された全光軸について受光状態を判定する第1判定手段(受光制御部24)と、前記受光状態について反転があることを条件に、他方側のスキャン動作を特定光軸について実行する第2実行手段(受光制御部24)と、前記他方側のスキャン動作が行われた特定光軸の受光状態を判定する第2判定手段(受光制御部24)と、前記第2判定手段(受光制御部24)の判定結果を出力する出力回路30と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多光軸光電センサ、形状認識装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、洗車機などの車形検出装置として多光軸光電センサが用いられている。すなわち、洗車エリアを挟むように投光素子を複数備えた投光器と、それらの複数の投光素子に対応する複数の受光素子とを対向させて車体検出手段を構成して、洗車機と自動車の相対移動に伴い各々車体検出させて、この検出データを記憶蓄積し、蓄積したデータから車体の輪郭を抽出するものである。このような多光軸光電センサにおいて、車体の輪郭を正確に検出しようとする場合、多光軸光電センサの光軸ピッチをできるだけ小さくして分解能を上げることが考えられる。しかしながら、投受光器の光軸ピッチを小さくすることは、光軸数を増加させることでもあるから、コスト高になることは、避けられない。
【0003】
このような課題に対しては、下記特許文献1に示されるように、光軸数を増やすことなく、光軸ピッチを小さくしたのと同等の分解能を得られるようにしたものがある。このものによれば、通常の対向する投受光素子(水平方向)で光軸を形成しつつスキャンする第1の単位動作と、一の投光素子に対して斜め上の受光素子(斜め上方向)で光軸を形成しつつスキャンする第2の単位動作と、一の投光素子に対して斜め下の受光素子(斜め下方向)で光軸を形成しつつスキャンする第3の単位動作とを行い、第1の単位動作で高さを判定すると共に、第2の単位動作と第3の単位動作の双方を行って、その検出結果のORでもって水平方向で形成される光軸間の中間位置の高さを判定するというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4047672号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記技術では、第1の単位動作、第2の単位動作、第3の単位動作の全てを行い、かつ第1〜第3の単位動作では、全ての光軸における入光/遮光の状態を判定する。そのため、形状判定に時間がかかる。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、多光軸光電センサを用いて物体の形状を認識するにあたり、形状認識に必要な箇所の分解能を光軸数を増やすことなく向上させると共に、形状認識に必要な処理時間を短縮することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の多光軸光電センサは、複数の投光素子を備えた投光器と、この投光器と計測対象物を間に挟んで対向し、前記複数の投光素子にそれぞれ対向する複数の受光素子を備えた受光器と、を備えた多光軸光電センサにおいて、前記一投光素子とその投光素子に水平対向する受光素子にて形成される水平光軸により投受光する水平スキャン動作、又は前記一投光素子とその投光素子と斜め対向する受光素子にて形成される斜め光軸により投受光する斜めスキャン動作のいずれか一方のスキャン動作を、設定された光軸数順次実行させる第1の実行手段と、前記一方側のスキャン動作が実行された全光軸について受光状態を判定する第1判定手段と、前記一方側のスキャン動作が行われた光軸の受光状態について反転があることを条件に、他方側のスキャン動作を、受光状態が反転した光軸と反転する直前の光軸との間の特定光軸について実行する第2実行手段と、前記他方側のスキャン動作が行われた特定光軸の受光状態を判定する第2判定手段と、少なくとも、前記第2判定手段の判定結果を出力する出力回路と、を備える。
【0007】
本発明の形状認識装置は、本発明の多光軸光電センサと、前記多光軸光電センサの出力する判定結果に基づいて前記計測対象物の形状を認識する認識装置と、を備える。
【0008】
このような構成であれば、一方側のスキャン動作で受光状態が反転した領域の物体形状を、他方側のスキャン動作の受光状態から、更に細かく認識できる。よって、素子数を増やすことなく、分解能を上げることが可能となる。また、他方側のスキャン動作に関し、受光状態について判定が行われるのは、一方のスキャン動作にて受光状態が反転した光軸と反転する直前の光軸との間の特定光軸に限定されている。そのため、判定回数が少なく、処理時間の短縮化を図ることが可能となる。
【0009】
上記発明(多光軸光電センサ)の実施態様として、以下の構成とすることが好ましい。
・前記第1実行手段は、前記一方のスキャン動作として、前記水平スキャン動作を実行し、前記第2実行手段は、前記他方のスキャン動作として、前記一投光素子に対して前記受光素子が斜め上側に対向して斜め光軸を形成する第1パターン又は、前記投光素子に対して前記受光素子が斜め下側に対向して斜め光軸を形成する第2パターンのいずれか一方の斜めスキャン動作を実行する構成であると共に、前記第2判定手段による受光状態の判定結果が入光状態であることを条件に、前記特定光軸について他方側のパターンにより前記斜めスキャン動作を実行する第3実行手段と、前記第3実行手段により斜めスキャン動作が行われた特定光軸の受光状態を判定する第3判定手段と、を備え、前記出力回路は少なくとも、前記第2判定手段の判定結果と第3判定手段の判定結果とを出力する。
【0010】
このような構成としておけば、受光状態が反転した光軸と反転する直前の光軸との間の計測対象物の有無を、第一パターンによる斜めスキャン動作と第二パターンによる斜めスキャン動作により二重に判定するから、計測対象物の形状を正確に判別できる。
【0011】
・前記第1実行手段は、前記一方のスキャン動作として、前記水平スキャン動作を実行し、前記第2実行手段は、前記他方のスキャン動作として、前記受光状態が反転した水平光軸を構成する投光素子とその投光素子に対して水平対向する受光素子に対して素子1つ下側に離れたところに位置する受光素子とにより形成した斜め光軸により投受光する斜めスキャン動作を、実行する構成であると共に、前記第2判定手段による受光状態の判定結果が入光状態であることを条件に、前記受光状態が反転した水平光軸を構成する投光素子とその投光素子に対して水平対向する受光素子に対して少なくとも、素子2つ以上は下側に離れたところに位置する受光素子とにより形成した斜め光軸により投受光する斜めスキャン動作を実行させる第4実行手段と、前記第4実行手段により斜めスキャン動作が行われた斜め光軸の受光状態を判定する第4判定手段と、を備え、前記出力回路は少なくとも、前記第2判定手段の判定結果と前記第4判定手段の判定結果を出力する。
【0012】
このような構成としておけば、受光状態が反転した光軸と反転する直前の光軸との間の計測対象物の有無を、勾配の異なる複数の斜め光軸を利用して検出するので、検出精度が高まる。
【0013】
本発明の多光軸光電センサは、複数の投光素子を備えた投光器と、この投光器と計測対象物を間に挟んで対向し、前記複数の投光素子にそれぞれ対向する複数の受光素子を備えた受光器と、を備えた多光軸光電センサにおいて、前記一投光素子とその投光素子に水平対向する受光素子にて形成される水平光軸により投受光する水平スキャン動作、又は前記一投光素子とその投光素子と斜め対向する受光素子にて形成される斜め光軸により投受光する斜めスキャン動作のいずれか一方のスキャン動作を、設定された光軸数順次実行させる第1の実行手段と、前記一方側のスキャン動作が実行された全光軸について受光状態を判定する第1判定手段と、前記一方側のスキャン動作が行われた光軸の受光状態について反転があることを条件に、他方側のスキャン動作を、受光状態が反転した光軸と反転する直前の光軸との間の特定光軸について実行する第2実行手段と、前記他方側のスキャン動作が行われた特定光軸の受光状態を判定する第2判定手段と、前記第2判定手段の判定結果に基づいて前記計測対象物の形状を認識するデータ処理手段と、を備える。
【0014】
このような構成であれば、一方側のスキャン動作で受光状態が反転した領域の物体形状を、他方側のスキャン動作の受光状態から、更に細かく認識できる。よって、素子数を増やすことなく、分解能を上げることが可能となる。また、他方側のスキャン動作に関し、受光状態について判定が行われるのは、一方のスキャン動作にて受光状態が反転した光軸と反転する直前の光軸との間の特定光軸に限定されている。そのため、判定回数が少なく、処理時間の短縮化を図ることが可能となる。
【0015】
上記発明(多光軸光電センサ)の実施態様として、以下の構成とすることが好ましい。
・前記第1実行手段は、前記一方のスキャン動作として、前記水平スキャン動作を実行し、前記第2実行手段は、前記他方のスキャン動作として、前記一投光素子に対して前記受光素子が斜め上側に対向して斜め光軸を形成する第1パターン又は、前記投光素子に対して前記受光素子が斜め下側に対向して斜め光軸を形成する第2パターンのいずれか一方の斜めスキャン動作を実行する構成であると共に、前記第2判定手段による受光状態の判定結果が入光状態であることを条件に、前記特定光軸について他方側のパターンにより前記斜めスキャン動作を実行する第3実行手段と、前記第3実行手段により斜めスキャン動作が行われた特定光軸の受光状態を判定する第3判定手段と、を備え、前記データ処理手段は、第2判定手段の判定結果と前記第3判定手段の判定結果とに基づいて前記計測対象物の形状を認識する。
【0016】
このような構成としておけば、受光状態が反転した光軸と反転する直前の光軸との間の計測対象物の有無を、第一パターンによる斜めスキャン動作と第二パターンによる斜めスキャン動作により二重に判定するから、計測対象物の形状を正確に判別できる。
【0017】
・前記第1実行手段は、前記一方のスキャン動作として、前記水平スキャン動作を実行し、前記第2実行手段は、前記他方のスキャン動作として、前記受光状態が反転した水平光軸を構成する投光素子とその投光素子に対して水平対向する受光素子に対して素子1つ下側に離れたところに位置する受光素子とにより形成した斜め光軸により投受光する斜めスキャン動作を、実行する構成であると共に、前記第2判定手段による受光状態の判定結果が入光状態であることを条件に、前記受光状態が反転した水平光軸を構成する投光素子とその投光素子に対して水平対向する受光素子に対して少なくとも、素子2つ以上は下側に離れたところに位置する受光素子とにより形成した斜め光軸により投受光する斜めスキャン動作を実行させる第4実行手段と、前記第4実行手段により斜めスキャン動作が行われた斜め光軸の受光状態を判定する第4判定手段と、を備え、前記データ処理手段は、前記第2判定手段の判定結果と前記第4判定手段の判定結果とに基づいて前記計測対象物の形状を認識する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、形状認識に必要な箇所の分解能を光軸数を増やすことなく向上させると共に、形状認識に必要な処理時間を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態1における、車体及び多光軸光電センサの側面図
【図2】その平面図
【図3】多光軸光電センサの電気的構成を示すブロック図
【図4】水平スキャン動作を示す図
【図5】斜めスキャン動作(第1パターン)を示す図
【図6】斜めスキャン動作(第2パターン)を示す図
【図7】車体の形状認識手順を示すフローチャート図
【図8】各光軸の受光状態を示す図
【図9】(a)特定光軸8uの遮光状態を示す図 (b)特定光軸8uの入光状態を示す図
【図10】各光軸の受光状態と、それに基づく形状判定結果をまとめた図表
【図11】各光軸の受光状態と、それに基づく形状判定結果をまとめた図表
【図12】実施形態2における車体の形状認識手順を示すフローチャート図
【図13】各光軸の入光/遮光を示す図
【図14】各光軸の受光状態と、それに基づく形状判定結果をまとめた図表
【図15】実施形態3における車体の形状認識手順を示すフローチャート図
【図16】特定光軸8u、特定光軸8dと車体との位置関係を示す図
【図17】各光軸の受光状態と、それに基づく形状判定結果をまとめた図表
【図18】実施形態4における車体の形状認識手順を示すフローチャート図
【図19】特定光軸8d、光軸8d'と車体との位置関係を示す図
【図20】各光軸の受光状態と、それに基づく形状判定結果をまとめた図表
【図21】実施形態4における、多光軸光電センサの電気的構成を示すブロック図
【図22】多光軸光電センサの他の構成例を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0020】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図11によって説明する。
(1)全体構成
【0021】
本実施形態の形状認識装置Uは、多光軸光電センサ1と、多光軸光電センサ1とは別装置であるデータ処理装置50とを備えて構成され、例えば車体Wの形状を認識するために使用される。多光軸光電センサ1は、図1、図2に示すように、車体Wの両側に配置される投光器2及び受光器3を備えて構成される。
【0022】
投光器2には、受光器3に相対する対向面側に、例えば8つの投光素子11(11a〜11h)を上下方向に一列状に配列されている。一方、受光器3には、やはり投光器2との対向面側に、例えば8つの受光素子21(21a〜21h)が上下方向に沿って一列状に配列されている。なお、各投光素子11a〜11h及び各受光素子21a〜21hはそれぞれ同一高さに配置されており、また、投光器2と受光器3とは同期線L1により接続されている。
【0023】
(2)電気的構成
図3には、多光軸光電センサ1の電気的構成が示されている。投光器10には投光素子11が連なる投光回路14が設けられており、この投光回路14は、同期線L1を通じてタイミング信号(投光開始指令)を受けることを条件に、列の下側に位置する投光素子11aから上側の投光素子11hへと順次に駆動信号を一定間隔で与える。これにより、下側の投光素子11aから上側の投光素子11hへ投光動作を一定間隔で順次行わせる構成となっている。
【0024】
一方、受光器20には、各受光素子21の出力する受光信号を信号処理する受光回路22と、出力回路30とが設けられている。受光回路22は、各受光素子21に対応してそれぞれ専用に設けられたアナログスイッチ25と、シフトレジスタ23と、受光制御部24などからなる。各受光素子21はアナログスイッチ25を介して共通の信号線L2に接続され、更に信号線L2が受光制御部24に連なっている。また、各アナログスイッチ25はシフトレジスタ23を介して受光制御部24に接続されている。
【0025】
受光制御部24は、シフトレジスタ23にタイミング信号(受光開始指令)を与えて受光動作を制御する機能、及び受光状態を判定する機能を主に担うものである。シフトレジスタ23は受光制御部24からタイミング信号を受けると、各アナログスイッチ25に対して、それをオン状態にするゲート制御信号を順次送る。これにより、オンしたアナログスイッチ25に連なる受光素子21の受光信号だけが、共通の信号線L2を経由して受光制御部24に取り込まれるようになっている。
【0026】
そして、投光側と受光側で投光動作、受光動作の開始タイミングを調整することで、以下に説明する水平スキャン動作、斜めスキャン動作をそれぞれ実行できる。
【0027】
(3)スキャン動作の説明
水平スキャン動作とは、図4にて示すように、一投光素子11とその投光素子11に水平対向する受光素子21にて形成される水平光軸により投受光するスキャン動作である。この水平スキャン動作を実行するには、投光動作の開始タイミングと受光動作の開始タイミングが一致するように、タイミングを調整してやればよい。尚、タイミング調整は、受光制御部24が行うようになっている。すなわち、同期線L1を通じて投光回路14にタイミング信号(投光開始指令)を送ることで投光側と受光側の動作タイミングが調整されるシステム構成となっている。
【0028】
斜めスキャン動作とは、一投光素子11とその投光素子11と斜めに対向する受光素子21にて形成される斜め光軸により投受光するスキャン動作である。そして、この斜めスキャン動作には、次の第1パターンと、第2パターンの2種のパターンがある。第1パターンとは、図5に示すように、一投光素子11に対して受光素子21が斜め上側に対向して斜め光軸を形成(具体的には、投光素子11と、それに対して水平対向する受光素子21に対して素子1つ上側にずれた受光素子21が斜め光軸を形成)するパターンである。また、第2パターンとは、図6に示すように、一投光素子11に対して受光素子21が斜め下側に対向して斜め光軸を形成(具体的には、投光素子11と、それに対して水平対向する受光素子21に対して素子1つ下側にずれた受光素子21が斜め光軸を形成)するパターンである。
【0029】
尚、第1パターンの斜めスキャン動作(図5のパターン)を実行するには、上記した同期線L1を用いてタイミング信号をやりとりすることで、投光動作の開始タイミングより受光動作の開始タイミングがやや早くなる(具体的には、投光素子11aが投光状態となったときに、受光素子21bが受光状態となる)ように、タイミングを調整してやればよい。また、第2パターンの斜めスキャン動作(図6のパターン)を実行するには、投光動作の開始タイミングより受光動作の開始タイミングがやや遅くなる(具体的には、投光素子11bが投光状態となったときに、受光素子21aが受光状態となる)ように、タイミングを調整してやればよい。そして、これらタイミング調整についても、いずれも受光制御部24が投光回路14と協働して行うシステム構成となっている。
【0030】
尚、図4〜図6では、各光軸の全てについて投受光がされたものが図示されているが、スキャン動作という言葉は、光軸単位の投受光を意味する。すなわち、例えば、図5の例であれば、斜めに張られた各光軸を投受光させる動作の一つ一つがスキャン動作である。
【0031】
また、以下の説明において、図4に示す水平光軸を下から順に、光軸1、光軸3、光軸5、光軸7、光軸9、光軸11、光軸13、光軸15と呼ぶ。また、図5に示す第1パターンの斜め光軸を下から順に、光軸2u、光軸4u、光軸6u、光軸8u、光軸10u、光軸12u、光軸14u、光軸16uと呼ぶ。また、図6に示す第2パターンの斜め光軸を下から順に光軸2d、光軸4d、光軸6d、光軸8d、光軸10d、光軸12d、光軸14d、光軸16dと呼ぶ。
【0032】
(4)車体Wの形状認識動作
車体Wの形状認識動作を図7のフローチャート図を参照して説明する。まず、ステップ10では、投光器10と受光器20との間のスペースに向けて計測対象となる車体Wが移動を開始する。
【0033】
ステップ20では、水平スキャン動作を全光軸について実行する処理と、全光軸の受光状態を判定する処理とが受光制御部24の制御下で行われる。具体的に説明すると、まず、受光制御部24は、投光回路14に投光開始指令を与えて各投光素子11a〜11hを順次投光させる。一方、受光制御部24は、投光開始指令と同期してシフトレジスタ23に受光開始指令を与え、各投光素子11a〜11hの投光を、それに水平対向する各受光素子21a〜21hにてそれぞれ受光させる。
【0034】
すると、各受光素子21a〜21hからは受光量に応じた信号レベルの受光信号が順次出力され、それら受光信号は共通の信号線L2を通じて受光制御部24に取り込まれる。受光制御部24では、各受光素子21a〜21hの出力する受光信号のレベルと閾値とを比較して、全光軸すなわち光軸1、光軸3、光軸5、光軸7、光軸9、光軸11、光軸13、光軸15について受光状態がそれぞれ判定される。そして、各光軸の受光状態の判定結果(入光/遮光の判定)は光軸の番号と共に、受光制御部24から出力回路30を通じてデータ処理装置50へと出力される。
【0035】
尚、受光制御部24が実行するステップ20の処理により、本発明の「第1実行手段(水平スキャン動作、又は斜めスキャン動作のいずれか一方のスキャン動作を設定された光軸数(上記例では、全光軸)順次実行させる手段)」の果たす処理機能、「第1判定手段(スキャン動作が実行された全光軸について受光状態を判定する手段)」の果たす処理機能が実現されている。
【0036】
続く、ステップ30では、光軸の受光状態について、反転の有無が受光制御部24により判定される。これにより、全光軸がいずれも入光状態であれば、NO判定され、光軸の一部が遮光、残りが入光であればYES判定される。尚、移動を開始した直後は、車体Wは投光器10と受光器20との間のスペースに入っていないので、全光軸とも入光状態となり、ステップ30でNo判定されることとなる。ステップ30でNo判定されると、再び、ステップ20に戻り、ステップ20、ステップ30のループを繰り返す状態となる。
【0037】
そして、車体Wが投光器10と受光器20との間のスペースに入ると、全8つの光軸のうち、車体Wにより遮られる水平光軸(例えば、光軸1、光軸3、光軸5、光軸7)は遮光状態となり、残りの水平光軸(例えば、光軸9、光軸11、光軸13、光軸15)は入光状態となる。
【0038】
そのため、ステップ20の全光軸を対象とする受光状態の判定に続いて、ステップ30の判定処理を行なったときに、受光制御部24によりYES判定され、ステップ40に移行する。
【0039】
ステップ40では、斜めスキャン動作(第1パターン)を、入光と遮光が反転する反転区間Nを横切る特定光軸について行い、その特定光軸の受光状態を判定する処理が行われる。すなわち、この例であれば、図8に示すように、水平光軸7から水平光軸9までの間で遮光から入光に切り換わっている(反転区間N)。そのため、斜めスキャン動作を、反転区間Nを横切る特定光軸8uについての行い、特定光軸8uの受光状態が受光制御部24にて判定される。そして、特定光軸8uの判定結果(入光、遮光の判定)は、光軸の番号と共に、受光制御部24から出力回路30を通じてデータ処理装置50へと出力される。
【0040】
ここで、説明を加えておくと、投光素子11、受光素子21は列の下側から順番にしかオン出来ないから、斜めスキャン動作を特定光軸8uについて行う場合にも、まず、斜め光軸(投光素子11aと受光素子21bの組)2uから斜め光軸4u、斜め光軸6uの順に投受光を行ってゆく。これにより、受光制御部24には、各斜め光軸2u、光軸4u、光軸6uの受光信号が取り込まれることとなるが、このとき、受光制御部24は、これらの受光信号については入力信号として扱わず、斜め光軸2u、4u、6uの受光状態は何ら判定しない。そして、受光制御部24は、特定光軸8uについて受光信号が取り込まれると、その信号は入力信号として扱い、特定光軸8uの受光状態(入光/遮光の別)を判定する。
【0041】
また、受光制御部24は、特定光軸8uについて投受光が行われたら、その時点でリセットをかけて(投光回路14とシフトレジスタ23にそれぞれリセット信号を出力する)、投光回路14、シフトレジスタ23の動作をストップさせ、それ以降の斜め光軸、すなわち光軸10u、光軸12u、光軸14uについては、投受光動作そのものを行わないように制御する。
【0042】
このようにすることで、反転区間Nを横切る特定光軸8uの受光状態を、必要最小限の投光回数(斜め光軸2u、斜め光軸4u、斜め光軸6u、斜め光軸8uの全4回)、必要最小限の受光判定回数(斜め光軸8uの判定の1回のみ)にて判定することが可能となる。
【0043】
尚、受光制御部24が実行するステップ40の処理により、本発明の「第2実行手段(前記一方側のスキャン動作(この例では、水平スキャン動作)が行われた光軸の受光状態について反転があることを条件に、他方側のスキャン動作(この例では、斜めスキャン動作)を、受光状態が反転した光軸と反転する直前の光軸との間の特定光軸(この例では、斜め光軸8u)について実行する手段)」の果たす処理機能、「第2判定手段(他方側のスキャン動作が行われた特定光軸(この例では、斜め光軸8u)の受光状態を判定する手段)」の果たす処理機能が実現されている。
【0044】
さて、ステップ40の処理が完了すると、続いて、ステップ50の処理がデータ処理装置50にて行われる。ステップ50では、ステップ20にて行った全光軸1〜15の受光状態の判定結果、ステップ40にて行った反転区間Nを横切る特定光軸8uの受光状態の判定結果に基づいて、車体Wの形状が認識される。
【0045】
すなわち、図9の(a)にて示すように、特定光軸8uが遮光状態になるケースであれば、車体Wは、反転区間Nである水平光軸7と水平光軸9の中間位置(光軸8の高さ)にあると認識される(図10参照)。すなわち、このものでは、隣接する2つの水平光軸の中間高さにおける遮光物体の有無を斜め光軸の受光状態により判定する構成をとっている。
【0046】
また、図9の(b)にて示すように、特定光軸8uが入光状態になるケースであれば、車体Wは、水平光軸7の高さにあると認識される(図11参照)。
【0047】
その後、処理はステップ60に移行する。ステップ60では、車体Wの移動が完了したか、どうかが判別される。このとき、車体Wが多光軸光電センサ1に対して移動を続けていれば、ステップ60にてYES判定され、処理は再びステップ10に戻る。その後、ステップ10〜ステップ60までの一連の処理が、条件分岐しながら繰り返し行われる。これにより、各断面における車体Wの形状が、データ処理装置50により認識される。そして、車体Wが投光器10と受光器20との間のスペースを抜けて停止すると、ステップ60でNO判定される。これにて、車体Wの形状認識動作が完了する。
【0048】
(5)効果説明
このものは、反転区間Nについて、それを斜めに横切る特定光軸8uにて投受光を行い、その特定光軸8uの受光状態を判定するようにしている。そのため、反転区間Nの中間高さにおける車体Wの有無を判別することが可能となり、車体Wの形状を細かく認識できる(分解能の向上)。
【0049】
また、特定光軸8uは、水平光軸を構成する各素子を組み合わせて形成したものであるから、分解能を向上させるにあたり、素子数の増加を伴うこともない。
【0050】
また、特定光軸8uの受光状態を、必要最小限の投光回数(斜め光軸2u、斜め光軸4u、斜め光軸6u、斜め光軸8uの全4回)、必要最小限の受光判定回数(斜め光軸8uの判定の1回のみ)にて検出している。そのため、分解能を上げても、形状認識に必要な処理が従来構成のものと比較して格段に少なく、処理時間の短縮化を図ることが可能となる。
【0051】
<実施形態2(請求項1に対応)>
次に、本発明の実施形態2を図12ないし図14によって説明する。
実施形態では、水平スキャン動作を全光軸(全水平光軸)に行って、受光状態をまず判定(ステップ20)し、その後、斜めスキャン動作(第1パターン)を特定光軸8uに対して行って受光状態を判定(ステップ40)する例を挙げた。
【0052】
水平スキャン動作と斜めスキャン動作は、入れ替えることが可能であり、実施形態2では、斜めスキャン動作(第1パターン、第2パターンのどちらのパターンでもよい)を全光軸について行って、受光状態をまず判定(ステップ20)し、その後、水平スキャン動作を特定光軸に対して行って、その受光状態を判定(ステップ40)するようにしている。
【0053】
例えば、図13、図14にて示すように、斜め光軸2u、斜め光軸4u、斜め光軸6u、斜め光軸8uが遮光状態となり、斜め光軸10u、斜め光軸12u、斜め光軸14uが入光状態となった場合、反転区間Nは、斜め光軸8uと斜め光軸10uとの間の斜めのエリアと言うことになる。
【0054】
そのため、この反転区間Nを横切る光軸(投光素子11eと受光素子21eによる形成される水平光軸9)が特定光軸となり、当該特定光軸9について受光状態が判定されることとなる。
【0055】
以上のことから、反転区間Nの中間の高さにおける物体の有無を判別することが可能となり、車体Wの形状を細かく認識できる(分解能の向上)。尚、上記以外の構成は、実施形態1と同一である。
【0056】
<実施形態3(請求項2に対応)>
次に、本発明の実施形態3を図15ないし図17によって説明する。
実施形態3のものは、実施形態1に対して、ステップ43の処理、ステップ45の処理を追加したものであり、それ以外の構成は、実施形態1と同じである。追加された処理について説明すると、ステップ43では、ステップ40にて行った特定光軸の受光状態が入光であるか、遮光であるかが、受光制御部24により判定される。
【0057】
特定光軸が遮光である場合(ステップ43でNO判定)された場合は、ステップ50に移行し、データ処理装置50にて、車体の形状を認識する処理が行われる。具体的には、ステップ20にて行った全光軸の受光状態の判定結果、ステップ40にて行った反転区間Nを横切る特定光軸の受光状態の判定結果に基づいて、車体Wの形状が認識される(実施形態1と同じ形状認識となる)。
【0058】
一方、特定光軸が入光状態(ステップ43でYES判定)である場合には、ステップ45へ移行し、反転区間Nを横切る特定光軸について斜めスキャン動作(ただし、ステップ40のそれに対してパターンは変更)を実行する処理と、その特定光軸の受光状態を判定する処理が、受光制御部24の制御下で行われる。
【0059】
今、実施形態1で例示したものと同様に、水平光軸7と水平光軸9との間が反転区間Nであり、特定光軸8uの受光状態が入光状態であったとすると、ステップ45では、第2パターンの斜めスキャン動作を、反転区間Nを横切る特定光軸、すなわち斜め光軸8dについて行う。そして、特定光軸8dについて受光状態、すなわち入光/遮光の別が受光制御部24にて判定される。そして、特定光軸8uの判定結果は光軸の番号のデータと共に、受光制御部24から出力回路30を通じてデータ処理装置50へと出力される。
【0060】
その後、処理はステップ50に移行し、データ処理装置50にて、車体の形状を認識する処理が行われる。具体的には、ステップ20にて行った全光軸の受光状態の判定結果、ステップ40にて行った特定光軸8uの受光状態の判定結果、及びステップ45にて行った特定光軸8dの受光状態に基づいて、車体Wの形状が認識される(図17参照)。
【0061】
すなわち、図16、図17にて示すように、特定光軸(第1パターンの斜めスキャン動作)8uが入光状態であったとしても、もう一方の特定光軸(第2パターンの斜めスキャン動作)8dが遮光状態であれば、車体Wは、水平光軸7と水平光軸9の中間位置(光軸8)にあると認識される。一方、もう一方の特定光軸8dが入光状態であれば、車体は、水平光軸7の高さにあると認識される。
【0062】
この実施形態では、反転区間Nにおける車体Wの形状認識を、クロスする2つの斜め光軸8u、8dを用いて調べているので、検出不能な不感帯エリアが狭くなり、反転区間Nにおける車体Wの形状認識(反転区間Nの中間高さにおける車体Wの有無)を正確に検出することが可能となる。
【0063】
尚、受光制御部24が実行するステップ45の処理により、本発明の「第3実行手段」の果たす処理機能、「第3判定手段」の果たす処理機能が実現されている。
【0064】
<実施形態4(請求項3に対応)>
次に、本発明の実施形態4を図18ないし図20によって説明する。
実施形態4のものは、実施形態1に対して、ステップ40の処理にて行う斜めスキャン動作のパターンを第1パターンから第2パターンに入れ替えた点、及びステップ43の処理、ステップ47の処理を追加した点が異なり、それ以外の構成は実施形態1と同じである。
【0065】
変更点について説明すると、ステップ40では、第2パターンの斜めスキャン動作を、反転区間を横切る特定光軸について行う処理と、その受光状態を判定する処理と、が受光制御部24の制御下で行われることとなる。
【0066】
第2パターンとは、図6に示すように、一投光素子11に対して受光素子21が斜め下側に対向して斜め光軸を形成(具体的には、投光素子11と、それに対して水平対向する受光素子21に対して素子1つ下側にずれた受光素子21が斜め光軸を形成)するパターンである。
【0067】
従って、今、実施形態1で例示したものと同様に、水平光軸7と水平光軸9との間が反転区間Nであったとすると、S40では、受光状態が反転した水平光軸9を構成する投光素子11eとその投光素子11eに対して水平対向する受光素子21eに対して素子1つ下側に離れたところに位置する受光素子21dとにより形成した斜め光軸8dにより投受光する斜めスキャン動作が実行される。
【0068】
斜め光軸8dについて斜めスキャン動作が実行されると、斜め光軸8dの受光状態を判定する処理が、受光制御部24により行われる。斜め光軸8dの判定結果(光軸の番号のデータを含む)は、受光制御部24から出力回路30を通じてデータ処理装置50へと出力される。
【0069】
尚、この受光制御部24が実行するステップ40の処理により、本発明の「第2実行手段」の果たす処理機能、「第2判定手段」の果たす処理機能が実現されている。
【0070】
そして、判定の結果、斜め光軸8dが入光状態である場合にはステップ47へ移行し、次のスキャン動作が行われ、受光状態が判定されることとなる。
【0071】
次のスキャン動作とは、受光状態が反転した水平光軸9を構成する投光素子11eとその投光素子11eに対して水平対向する受光素子21eに対して素子2つ下側(素子2つ以上下側でもよい)に離れたところに位置する受光素子21cとにより形成した斜め光軸8d’により投受光する斜めスキャン動作である(図19参照)。
【0072】
そして、斜め光軸8d’について斜めスキャン動作が実行されると、斜め光軸8d’について受光状態、すなわち入光、遮光の別が受光制御部24にて判定される。斜め光軸8d’の判定結果は光軸の番号のデータと共に、受光制御部24から出力回路30を通じてデータ処理装置50へと出力される。
【0073】
その後、処理はステップ50に移行する。ステップ50では、データ処理装置50にて、車体の形状を認識する処理が行われる。具体的には、ステップ20にて行った全光軸の受光状態の判定結果、ステップ40にて行った斜め光軸8dの受光状態の判定結果、及びステップ47にて行った斜め光軸8d'の受光状態の判定結果に基づいて、車体Wの形状を認識する処理が行われる(図20参照)。
【0074】
すなわち、斜め光軸8dが入光状態であっても、斜め光軸8d’が遮光状態であれば、車体Wは、光軸7と光軸9の中間位置(光軸8の高さ)にあると認識される(図19、図20参照)。一方、斜め光軸8d’が入光状態であれば、車体は、光軸7の高さにあると認識される。
【0075】
この実施形態では、斜め光軸8dが入光状態である場合には、斜め光軸8dより更に下り勾配の大きい斜め光軸8d’の受光状態を判定することとしている。そのため、図19に示すように、反転区間Nの中間高さであって斜め光軸8dの不感帯エリアに含まれるような領域に、遮光物体(例えば、車体に取り付けられたミラー)が存在していたときに、その有無を正確に検出可能となる。
【0076】
また、ステップ43でNo判定された場合は、ステップ50にて、ステップ20にて行った全光軸の受光状態の判定結果、ステップ40にて行った特定光軸の受光状態の判定結果に基づいて車体Wの形状が認識される(実施形態1と同じ形状認識となる)。
【0077】
尚、受光制御部24が実行するステップ47の処理により、本発明の「第4実行手段」の果たす処理機能、「第4判定手段」の果たす処理機能が実現されている。
【0078】
<実施形態4(請求項5〜7に対応)>
次に、本発明の実施形態4を図21によって説明する。上記した実施形態1では、多光軸光電センサ1は光軸の受光状態について判定だけ行い、結果を出力回路30を通じてデータ処理装置50に出力した。そして、車体の形状認識は、別装置のデータ処理装置50にて行う構成とした。
【0079】
実施形態4の多光軸光電センサ100は、図21にて示すように、データ処理回路(本発明の「データ処理手段」に相当)40を追加して、実施形態1では別装置50に機能負担させたデータ処理機能(すなわち、受光状態の判定結果に基づいて車体の形状認識を行う機能)をセンサに取り込んだものである。その他の構成については、実施形態1のものと同一であり、実施形態1の形状認識フロー(図7)に従って、車体Wの形状が認識される。
【0080】
そのため、実施形態4の多光軸光電センサ100は、実施形態1と同様の作用、効果が得られ、また、実施形態2、実施形態3のような形状認識フロー(図15、図18)を適用することが無論可能である。
【0081】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0082】
(1)実施形態1ではS40の処理にて第一パターンの斜めスキャン動作を行う例を挙げた。斜めスキャン動作のパターンは入れ替えることが可能であり、第一パターンに変えて第二パターンの斜めスキャン動作を行うようにしてもよい。
【0083】
(2)実施形態1では、受光側にだけシフトレジスタを設けた構成のものを例示したが、投光側にもシフトレジスタを持つ構成にしてもよい。また、投光側、受光側ともにシフトレジスタを持たない構成にしてもよい。投光側、受光側ともシフトレジスタを持たない構成とした場合には各投光素子11、各受光素子21を個別に制御することになるから、そのような構成の場合には、必要な光軸(反転区間Nを横切る特定光軸)についてのみ投光、受光させるようにすると、投光回路を一層少なくすることが可能となる。
【0084】
(3)実施形態1では、出力回路30からデータ処理装置50に対して、ステップ20の判定結果(全光軸を対象とした判定結果)、ステップ40の判定結果(特定光軸の判定結果)の双方を出力する例を示した。また、実施形態3では、出力回路30からデータ処理装置50に対してステップ20の判定結果(全光軸を対象とした判定結果)、ステップ40の判定結果(特定光軸8uの判定結果)、ステップ45の判定結果(特定光軸8dの判定結果)を全て出力する例を示した。また、実施形態4では、出力回路30からデータ処理装置50に対して、ステップ20の判定結果(全光軸を対象とした判定結果)、ステップ40の判定結果(斜め光軸8dの判定結果)、ステップ47の判定結果(斜め光軸8d’の判定結果)を全て出力する例を示した。
【0085】
出力回路30からデータ処理装置50に出力するデータには、少なくとも次のデータ、実施形態1であれば、ステップ40の判定結果、実施形態3であれば、ステップ40とステップ45の判定結果、実施形態4であれば、ステップ40とステップ47の判定結果が含まれていればよい。言い換えれば、S20の全光軸を対象とする判定結果は、必ずしも送る必要がない。
【0086】
というのも、例えば、実施形態1で説明したように、S40の判定結果(特定光軸8u)が遮光であれば、車体はその光軸8の位置であると認識でき(図10参照)、また、S40の判定結果(特定光軸8u)が入光状態であれば、車体はその光軸8よりも一つ低い光軸7の位置であると認識できるからである(図11参照)。尚、判定結果には、光軸の番号のデータは含める必要がある。
【0087】
(4)実施形態1では、第1パターンの斜めスキャン動作として、投光素子11と、それに対して水平対向する受光素子21に対して素子1つ上側にずれた受光素子21が斜め光軸を形成するものを例示した。また、第2パターンの斜めスキャン動作として、投光素子11と、それに対して水平対向する受光素子21に対して素子1つ下側にずれた受光素子21が斜め光軸を形成するものを例示した。斜め光軸は、光軸が水平方向に対して傾斜していればよく、素子のずれ量は、素子1つ分に限定されない。すなわち、素子2つ分ずらして斜め光軸を形成するなどの変形が可能である。
【符号の説明】
【0088】
1、100…多光軸光電センサ
10…投光器
11(11a〜11hの総称)…投光素子
14…投光回路
20…受光器
21(21a〜21hの総称)…受光素子
22…受光回路
23…シフトレジスタ
24…受光制御部(本発明の「第1実行手段」、「第1判定手段」、「第2実行手段」、「第2判定手段」、「第3実行手段」、「第3判定手段」、「第4実行手段」、「第4判定手段」に相当)
25…アナログスイッチ
30…出力回路
40…データ処理回路(本発明の「データ処理手段」に相当)
50…データ処理装置
L1…同期線
L2…信号線
U…形状認識装置
W…車体(本発明の「計測対象物」に相当)
【技術分野】
【0001】
本発明は、多光軸光電センサ、形状認識装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、洗車機などの車形検出装置として多光軸光電センサが用いられている。すなわち、洗車エリアを挟むように投光素子を複数備えた投光器と、それらの複数の投光素子に対応する複数の受光素子とを対向させて車体検出手段を構成して、洗車機と自動車の相対移動に伴い各々車体検出させて、この検出データを記憶蓄積し、蓄積したデータから車体の輪郭を抽出するものである。このような多光軸光電センサにおいて、車体の輪郭を正確に検出しようとする場合、多光軸光電センサの光軸ピッチをできるだけ小さくして分解能を上げることが考えられる。しかしながら、投受光器の光軸ピッチを小さくすることは、光軸数を増加させることでもあるから、コスト高になることは、避けられない。
【0003】
このような課題に対しては、下記特許文献1に示されるように、光軸数を増やすことなく、光軸ピッチを小さくしたのと同等の分解能を得られるようにしたものがある。このものによれば、通常の対向する投受光素子(水平方向)で光軸を形成しつつスキャンする第1の単位動作と、一の投光素子に対して斜め上の受光素子(斜め上方向)で光軸を形成しつつスキャンする第2の単位動作と、一の投光素子に対して斜め下の受光素子(斜め下方向)で光軸を形成しつつスキャンする第3の単位動作とを行い、第1の単位動作で高さを判定すると共に、第2の単位動作と第3の単位動作の双方を行って、その検出結果のORでもって水平方向で形成される光軸間の中間位置の高さを判定するというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4047672号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記技術では、第1の単位動作、第2の単位動作、第3の単位動作の全てを行い、かつ第1〜第3の単位動作では、全ての光軸における入光/遮光の状態を判定する。そのため、形状判定に時間がかかる。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、多光軸光電センサを用いて物体の形状を認識するにあたり、形状認識に必要な箇所の分解能を光軸数を増やすことなく向上させると共に、形状認識に必要な処理時間を短縮することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の多光軸光電センサは、複数の投光素子を備えた投光器と、この投光器と計測対象物を間に挟んで対向し、前記複数の投光素子にそれぞれ対向する複数の受光素子を備えた受光器と、を備えた多光軸光電センサにおいて、前記一投光素子とその投光素子に水平対向する受光素子にて形成される水平光軸により投受光する水平スキャン動作、又は前記一投光素子とその投光素子と斜め対向する受光素子にて形成される斜め光軸により投受光する斜めスキャン動作のいずれか一方のスキャン動作を、設定された光軸数順次実行させる第1の実行手段と、前記一方側のスキャン動作が実行された全光軸について受光状態を判定する第1判定手段と、前記一方側のスキャン動作が行われた光軸の受光状態について反転があることを条件に、他方側のスキャン動作を、受光状態が反転した光軸と反転する直前の光軸との間の特定光軸について実行する第2実行手段と、前記他方側のスキャン動作が行われた特定光軸の受光状態を判定する第2判定手段と、少なくとも、前記第2判定手段の判定結果を出力する出力回路と、を備える。
【0007】
本発明の形状認識装置は、本発明の多光軸光電センサと、前記多光軸光電センサの出力する判定結果に基づいて前記計測対象物の形状を認識する認識装置と、を備える。
【0008】
このような構成であれば、一方側のスキャン動作で受光状態が反転した領域の物体形状を、他方側のスキャン動作の受光状態から、更に細かく認識できる。よって、素子数を増やすことなく、分解能を上げることが可能となる。また、他方側のスキャン動作に関し、受光状態について判定が行われるのは、一方のスキャン動作にて受光状態が反転した光軸と反転する直前の光軸との間の特定光軸に限定されている。そのため、判定回数が少なく、処理時間の短縮化を図ることが可能となる。
【0009】
上記発明(多光軸光電センサ)の実施態様として、以下の構成とすることが好ましい。
・前記第1実行手段は、前記一方のスキャン動作として、前記水平スキャン動作を実行し、前記第2実行手段は、前記他方のスキャン動作として、前記一投光素子に対して前記受光素子が斜め上側に対向して斜め光軸を形成する第1パターン又は、前記投光素子に対して前記受光素子が斜め下側に対向して斜め光軸を形成する第2パターンのいずれか一方の斜めスキャン動作を実行する構成であると共に、前記第2判定手段による受光状態の判定結果が入光状態であることを条件に、前記特定光軸について他方側のパターンにより前記斜めスキャン動作を実行する第3実行手段と、前記第3実行手段により斜めスキャン動作が行われた特定光軸の受光状態を判定する第3判定手段と、を備え、前記出力回路は少なくとも、前記第2判定手段の判定結果と第3判定手段の判定結果とを出力する。
【0010】
このような構成としておけば、受光状態が反転した光軸と反転する直前の光軸との間の計測対象物の有無を、第一パターンによる斜めスキャン動作と第二パターンによる斜めスキャン動作により二重に判定するから、計測対象物の形状を正確に判別できる。
【0011】
・前記第1実行手段は、前記一方のスキャン動作として、前記水平スキャン動作を実行し、前記第2実行手段は、前記他方のスキャン動作として、前記受光状態が反転した水平光軸を構成する投光素子とその投光素子に対して水平対向する受光素子に対して素子1つ下側に離れたところに位置する受光素子とにより形成した斜め光軸により投受光する斜めスキャン動作を、実行する構成であると共に、前記第2判定手段による受光状態の判定結果が入光状態であることを条件に、前記受光状態が反転した水平光軸を構成する投光素子とその投光素子に対して水平対向する受光素子に対して少なくとも、素子2つ以上は下側に離れたところに位置する受光素子とにより形成した斜め光軸により投受光する斜めスキャン動作を実行させる第4実行手段と、前記第4実行手段により斜めスキャン動作が行われた斜め光軸の受光状態を判定する第4判定手段と、を備え、前記出力回路は少なくとも、前記第2判定手段の判定結果と前記第4判定手段の判定結果を出力する。
【0012】
このような構成としておけば、受光状態が反転した光軸と反転する直前の光軸との間の計測対象物の有無を、勾配の異なる複数の斜め光軸を利用して検出するので、検出精度が高まる。
【0013】
本発明の多光軸光電センサは、複数の投光素子を備えた投光器と、この投光器と計測対象物を間に挟んで対向し、前記複数の投光素子にそれぞれ対向する複数の受光素子を備えた受光器と、を備えた多光軸光電センサにおいて、前記一投光素子とその投光素子に水平対向する受光素子にて形成される水平光軸により投受光する水平スキャン動作、又は前記一投光素子とその投光素子と斜め対向する受光素子にて形成される斜め光軸により投受光する斜めスキャン動作のいずれか一方のスキャン動作を、設定された光軸数順次実行させる第1の実行手段と、前記一方側のスキャン動作が実行された全光軸について受光状態を判定する第1判定手段と、前記一方側のスキャン動作が行われた光軸の受光状態について反転があることを条件に、他方側のスキャン動作を、受光状態が反転した光軸と反転する直前の光軸との間の特定光軸について実行する第2実行手段と、前記他方側のスキャン動作が行われた特定光軸の受光状態を判定する第2判定手段と、前記第2判定手段の判定結果に基づいて前記計測対象物の形状を認識するデータ処理手段と、を備える。
【0014】
このような構成であれば、一方側のスキャン動作で受光状態が反転した領域の物体形状を、他方側のスキャン動作の受光状態から、更に細かく認識できる。よって、素子数を増やすことなく、分解能を上げることが可能となる。また、他方側のスキャン動作に関し、受光状態について判定が行われるのは、一方のスキャン動作にて受光状態が反転した光軸と反転する直前の光軸との間の特定光軸に限定されている。そのため、判定回数が少なく、処理時間の短縮化を図ることが可能となる。
【0015】
上記発明(多光軸光電センサ)の実施態様として、以下の構成とすることが好ましい。
・前記第1実行手段は、前記一方のスキャン動作として、前記水平スキャン動作を実行し、前記第2実行手段は、前記他方のスキャン動作として、前記一投光素子に対して前記受光素子が斜め上側に対向して斜め光軸を形成する第1パターン又は、前記投光素子に対して前記受光素子が斜め下側に対向して斜め光軸を形成する第2パターンのいずれか一方の斜めスキャン動作を実行する構成であると共に、前記第2判定手段による受光状態の判定結果が入光状態であることを条件に、前記特定光軸について他方側のパターンにより前記斜めスキャン動作を実行する第3実行手段と、前記第3実行手段により斜めスキャン動作が行われた特定光軸の受光状態を判定する第3判定手段と、を備え、前記データ処理手段は、第2判定手段の判定結果と前記第3判定手段の判定結果とに基づいて前記計測対象物の形状を認識する。
【0016】
このような構成としておけば、受光状態が反転した光軸と反転する直前の光軸との間の計測対象物の有無を、第一パターンによる斜めスキャン動作と第二パターンによる斜めスキャン動作により二重に判定するから、計測対象物の形状を正確に判別できる。
【0017】
・前記第1実行手段は、前記一方のスキャン動作として、前記水平スキャン動作を実行し、前記第2実行手段は、前記他方のスキャン動作として、前記受光状態が反転した水平光軸を構成する投光素子とその投光素子に対して水平対向する受光素子に対して素子1つ下側に離れたところに位置する受光素子とにより形成した斜め光軸により投受光する斜めスキャン動作を、実行する構成であると共に、前記第2判定手段による受光状態の判定結果が入光状態であることを条件に、前記受光状態が反転した水平光軸を構成する投光素子とその投光素子に対して水平対向する受光素子に対して少なくとも、素子2つ以上は下側に離れたところに位置する受光素子とにより形成した斜め光軸により投受光する斜めスキャン動作を実行させる第4実行手段と、前記第4実行手段により斜めスキャン動作が行われた斜め光軸の受光状態を判定する第4判定手段と、を備え、前記データ処理手段は、前記第2判定手段の判定結果と前記第4判定手段の判定結果とに基づいて前記計測対象物の形状を認識する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、形状認識に必要な箇所の分解能を光軸数を増やすことなく向上させると共に、形状認識に必要な処理時間を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態1における、車体及び多光軸光電センサの側面図
【図2】その平面図
【図3】多光軸光電センサの電気的構成を示すブロック図
【図4】水平スキャン動作を示す図
【図5】斜めスキャン動作(第1パターン)を示す図
【図6】斜めスキャン動作(第2パターン)を示す図
【図7】車体の形状認識手順を示すフローチャート図
【図8】各光軸の受光状態を示す図
【図9】(a)特定光軸8uの遮光状態を示す図 (b)特定光軸8uの入光状態を示す図
【図10】各光軸の受光状態と、それに基づく形状判定結果をまとめた図表
【図11】各光軸の受光状態と、それに基づく形状判定結果をまとめた図表
【図12】実施形態2における車体の形状認識手順を示すフローチャート図
【図13】各光軸の入光/遮光を示す図
【図14】各光軸の受光状態と、それに基づく形状判定結果をまとめた図表
【図15】実施形態3における車体の形状認識手順を示すフローチャート図
【図16】特定光軸8u、特定光軸8dと車体との位置関係を示す図
【図17】各光軸の受光状態と、それに基づく形状判定結果をまとめた図表
【図18】実施形態4における車体の形状認識手順を示すフローチャート図
【図19】特定光軸8d、光軸8d'と車体との位置関係を示す図
【図20】各光軸の受光状態と、それに基づく形状判定結果をまとめた図表
【図21】実施形態4における、多光軸光電センサの電気的構成を示すブロック図
【図22】多光軸光電センサの他の構成例を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0020】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図11によって説明する。
(1)全体構成
【0021】
本実施形態の形状認識装置Uは、多光軸光電センサ1と、多光軸光電センサ1とは別装置であるデータ処理装置50とを備えて構成され、例えば車体Wの形状を認識するために使用される。多光軸光電センサ1は、図1、図2に示すように、車体Wの両側に配置される投光器2及び受光器3を備えて構成される。
【0022】
投光器2には、受光器3に相対する対向面側に、例えば8つの投光素子11(11a〜11h)を上下方向に一列状に配列されている。一方、受光器3には、やはり投光器2との対向面側に、例えば8つの受光素子21(21a〜21h)が上下方向に沿って一列状に配列されている。なお、各投光素子11a〜11h及び各受光素子21a〜21hはそれぞれ同一高さに配置されており、また、投光器2と受光器3とは同期線L1により接続されている。
【0023】
(2)電気的構成
図3には、多光軸光電センサ1の電気的構成が示されている。投光器10には投光素子11が連なる投光回路14が設けられており、この投光回路14は、同期線L1を通じてタイミング信号(投光開始指令)を受けることを条件に、列の下側に位置する投光素子11aから上側の投光素子11hへと順次に駆動信号を一定間隔で与える。これにより、下側の投光素子11aから上側の投光素子11hへ投光動作を一定間隔で順次行わせる構成となっている。
【0024】
一方、受光器20には、各受光素子21の出力する受光信号を信号処理する受光回路22と、出力回路30とが設けられている。受光回路22は、各受光素子21に対応してそれぞれ専用に設けられたアナログスイッチ25と、シフトレジスタ23と、受光制御部24などからなる。各受光素子21はアナログスイッチ25を介して共通の信号線L2に接続され、更に信号線L2が受光制御部24に連なっている。また、各アナログスイッチ25はシフトレジスタ23を介して受光制御部24に接続されている。
【0025】
受光制御部24は、シフトレジスタ23にタイミング信号(受光開始指令)を与えて受光動作を制御する機能、及び受光状態を判定する機能を主に担うものである。シフトレジスタ23は受光制御部24からタイミング信号を受けると、各アナログスイッチ25に対して、それをオン状態にするゲート制御信号を順次送る。これにより、オンしたアナログスイッチ25に連なる受光素子21の受光信号だけが、共通の信号線L2を経由して受光制御部24に取り込まれるようになっている。
【0026】
そして、投光側と受光側で投光動作、受光動作の開始タイミングを調整することで、以下に説明する水平スキャン動作、斜めスキャン動作をそれぞれ実行できる。
【0027】
(3)スキャン動作の説明
水平スキャン動作とは、図4にて示すように、一投光素子11とその投光素子11に水平対向する受光素子21にて形成される水平光軸により投受光するスキャン動作である。この水平スキャン動作を実行するには、投光動作の開始タイミングと受光動作の開始タイミングが一致するように、タイミングを調整してやればよい。尚、タイミング調整は、受光制御部24が行うようになっている。すなわち、同期線L1を通じて投光回路14にタイミング信号(投光開始指令)を送ることで投光側と受光側の動作タイミングが調整されるシステム構成となっている。
【0028】
斜めスキャン動作とは、一投光素子11とその投光素子11と斜めに対向する受光素子21にて形成される斜め光軸により投受光するスキャン動作である。そして、この斜めスキャン動作には、次の第1パターンと、第2パターンの2種のパターンがある。第1パターンとは、図5に示すように、一投光素子11に対して受光素子21が斜め上側に対向して斜め光軸を形成(具体的には、投光素子11と、それに対して水平対向する受光素子21に対して素子1つ上側にずれた受光素子21が斜め光軸を形成)するパターンである。また、第2パターンとは、図6に示すように、一投光素子11に対して受光素子21が斜め下側に対向して斜め光軸を形成(具体的には、投光素子11と、それに対して水平対向する受光素子21に対して素子1つ下側にずれた受光素子21が斜め光軸を形成)するパターンである。
【0029】
尚、第1パターンの斜めスキャン動作(図5のパターン)を実行するには、上記した同期線L1を用いてタイミング信号をやりとりすることで、投光動作の開始タイミングより受光動作の開始タイミングがやや早くなる(具体的には、投光素子11aが投光状態となったときに、受光素子21bが受光状態となる)ように、タイミングを調整してやればよい。また、第2パターンの斜めスキャン動作(図6のパターン)を実行するには、投光動作の開始タイミングより受光動作の開始タイミングがやや遅くなる(具体的には、投光素子11bが投光状態となったときに、受光素子21aが受光状態となる)ように、タイミングを調整してやればよい。そして、これらタイミング調整についても、いずれも受光制御部24が投光回路14と協働して行うシステム構成となっている。
【0030】
尚、図4〜図6では、各光軸の全てについて投受光がされたものが図示されているが、スキャン動作という言葉は、光軸単位の投受光を意味する。すなわち、例えば、図5の例であれば、斜めに張られた各光軸を投受光させる動作の一つ一つがスキャン動作である。
【0031】
また、以下の説明において、図4に示す水平光軸を下から順に、光軸1、光軸3、光軸5、光軸7、光軸9、光軸11、光軸13、光軸15と呼ぶ。また、図5に示す第1パターンの斜め光軸を下から順に、光軸2u、光軸4u、光軸6u、光軸8u、光軸10u、光軸12u、光軸14u、光軸16uと呼ぶ。また、図6に示す第2パターンの斜め光軸を下から順に光軸2d、光軸4d、光軸6d、光軸8d、光軸10d、光軸12d、光軸14d、光軸16dと呼ぶ。
【0032】
(4)車体Wの形状認識動作
車体Wの形状認識動作を図7のフローチャート図を参照して説明する。まず、ステップ10では、投光器10と受光器20との間のスペースに向けて計測対象となる車体Wが移動を開始する。
【0033】
ステップ20では、水平スキャン動作を全光軸について実行する処理と、全光軸の受光状態を判定する処理とが受光制御部24の制御下で行われる。具体的に説明すると、まず、受光制御部24は、投光回路14に投光開始指令を与えて各投光素子11a〜11hを順次投光させる。一方、受光制御部24は、投光開始指令と同期してシフトレジスタ23に受光開始指令を与え、各投光素子11a〜11hの投光を、それに水平対向する各受光素子21a〜21hにてそれぞれ受光させる。
【0034】
すると、各受光素子21a〜21hからは受光量に応じた信号レベルの受光信号が順次出力され、それら受光信号は共通の信号線L2を通じて受光制御部24に取り込まれる。受光制御部24では、各受光素子21a〜21hの出力する受光信号のレベルと閾値とを比較して、全光軸すなわち光軸1、光軸3、光軸5、光軸7、光軸9、光軸11、光軸13、光軸15について受光状態がそれぞれ判定される。そして、各光軸の受光状態の判定結果(入光/遮光の判定)は光軸の番号と共に、受光制御部24から出力回路30を通じてデータ処理装置50へと出力される。
【0035】
尚、受光制御部24が実行するステップ20の処理により、本発明の「第1実行手段(水平スキャン動作、又は斜めスキャン動作のいずれか一方のスキャン動作を設定された光軸数(上記例では、全光軸)順次実行させる手段)」の果たす処理機能、「第1判定手段(スキャン動作が実行された全光軸について受光状態を判定する手段)」の果たす処理機能が実現されている。
【0036】
続く、ステップ30では、光軸の受光状態について、反転の有無が受光制御部24により判定される。これにより、全光軸がいずれも入光状態であれば、NO判定され、光軸の一部が遮光、残りが入光であればYES判定される。尚、移動を開始した直後は、車体Wは投光器10と受光器20との間のスペースに入っていないので、全光軸とも入光状態となり、ステップ30でNo判定されることとなる。ステップ30でNo判定されると、再び、ステップ20に戻り、ステップ20、ステップ30のループを繰り返す状態となる。
【0037】
そして、車体Wが投光器10と受光器20との間のスペースに入ると、全8つの光軸のうち、車体Wにより遮られる水平光軸(例えば、光軸1、光軸3、光軸5、光軸7)は遮光状態となり、残りの水平光軸(例えば、光軸9、光軸11、光軸13、光軸15)は入光状態となる。
【0038】
そのため、ステップ20の全光軸を対象とする受光状態の判定に続いて、ステップ30の判定処理を行なったときに、受光制御部24によりYES判定され、ステップ40に移行する。
【0039】
ステップ40では、斜めスキャン動作(第1パターン)を、入光と遮光が反転する反転区間Nを横切る特定光軸について行い、その特定光軸の受光状態を判定する処理が行われる。すなわち、この例であれば、図8に示すように、水平光軸7から水平光軸9までの間で遮光から入光に切り換わっている(反転区間N)。そのため、斜めスキャン動作を、反転区間Nを横切る特定光軸8uについての行い、特定光軸8uの受光状態が受光制御部24にて判定される。そして、特定光軸8uの判定結果(入光、遮光の判定)は、光軸の番号と共に、受光制御部24から出力回路30を通じてデータ処理装置50へと出力される。
【0040】
ここで、説明を加えておくと、投光素子11、受光素子21は列の下側から順番にしかオン出来ないから、斜めスキャン動作を特定光軸8uについて行う場合にも、まず、斜め光軸(投光素子11aと受光素子21bの組)2uから斜め光軸4u、斜め光軸6uの順に投受光を行ってゆく。これにより、受光制御部24には、各斜め光軸2u、光軸4u、光軸6uの受光信号が取り込まれることとなるが、このとき、受光制御部24は、これらの受光信号については入力信号として扱わず、斜め光軸2u、4u、6uの受光状態は何ら判定しない。そして、受光制御部24は、特定光軸8uについて受光信号が取り込まれると、その信号は入力信号として扱い、特定光軸8uの受光状態(入光/遮光の別)を判定する。
【0041】
また、受光制御部24は、特定光軸8uについて投受光が行われたら、その時点でリセットをかけて(投光回路14とシフトレジスタ23にそれぞれリセット信号を出力する)、投光回路14、シフトレジスタ23の動作をストップさせ、それ以降の斜め光軸、すなわち光軸10u、光軸12u、光軸14uについては、投受光動作そのものを行わないように制御する。
【0042】
このようにすることで、反転区間Nを横切る特定光軸8uの受光状態を、必要最小限の投光回数(斜め光軸2u、斜め光軸4u、斜め光軸6u、斜め光軸8uの全4回)、必要最小限の受光判定回数(斜め光軸8uの判定の1回のみ)にて判定することが可能となる。
【0043】
尚、受光制御部24が実行するステップ40の処理により、本発明の「第2実行手段(前記一方側のスキャン動作(この例では、水平スキャン動作)が行われた光軸の受光状態について反転があることを条件に、他方側のスキャン動作(この例では、斜めスキャン動作)を、受光状態が反転した光軸と反転する直前の光軸との間の特定光軸(この例では、斜め光軸8u)について実行する手段)」の果たす処理機能、「第2判定手段(他方側のスキャン動作が行われた特定光軸(この例では、斜め光軸8u)の受光状態を判定する手段)」の果たす処理機能が実現されている。
【0044】
さて、ステップ40の処理が完了すると、続いて、ステップ50の処理がデータ処理装置50にて行われる。ステップ50では、ステップ20にて行った全光軸1〜15の受光状態の判定結果、ステップ40にて行った反転区間Nを横切る特定光軸8uの受光状態の判定結果に基づいて、車体Wの形状が認識される。
【0045】
すなわち、図9の(a)にて示すように、特定光軸8uが遮光状態になるケースであれば、車体Wは、反転区間Nである水平光軸7と水平光軸9の中間位置(光軸8の高さ)にあると認識される(図10参照)。すなわち、このものでは、隣接する2つの水平光軸の中間高さにおける遮光物体の有無を斜め光軸の受光状態により判定する構成をとっている。
【0046】
また、図9の(b)にて示すように、特定光軸8uが入光状態になるケースであれば、車体Wは、水平光軸7の高さにあると認識される(図11参照)。
【0047】
その後、処理はステップ60に移行する。ステップ60では、車体Wの移動が完了したか、どうかが判別される。このとき、車体Wが多光軸光電センサ1に対して移動を続けていれば、ステップ60にてYES判定され、処理は再びステップ10に戻る。その後、ステップ10〜ステップ60までの一連の処理が、条件分岐しながら繰り返し行われる。これにより、各断面における車体Wの形状が、データ処理装置50により認識される。そして、車体Wが投光器10と受光器20との間のスペースを抜けて停止すると、ステップ60でNO判定される。これにて、車体Wの形状認識動作が完了する。
【0048】
(5)効果説明
このものは、反転区間Nについて、それを斜めに横切る特定光軸8uにて投受光を行い、その特定光軸8uの受光状態を判定するようにしている。そのため、反転区間Nの中間高さにおける車体Wの有無を判別することが可能となり、車体Wの形状を細かく認識できる(分解能の向上)。
【0049】
また、特定光軸8uは、水平光軸を構成する各素子を組み合わせて形成したものであるから、分解能を向上させるにあたり、素子数の増加を伴うこともない。
【0050】
また、特定光軸8uの受光状態を、必要最小限の投光回数(斜め光軸2u、斜め光軸4u、斜め光軸6u、斜め光軸8uの全4回)、必要最小限の受光判定回数(斜め光軸8uの判定の1回のみ)にて検出している。そのため、分解能を上げても、形状認識に必要な処理が従来構成のものと比較して格段に少なく、処理時間の短縮化を図ることが可能となる。
【0051】
<実施形態2(請求項1に対応)>
次に、本発明の実施形態2を図12ないし図14によって説明する。
実施形態では、水平スキャン動作を全光軸(全水平光軸)に行って、受光状態をまず判定(ステップ20)し、その後、斜めスキャン動作(第1パターン)を特定光軸8uに対して行って受光状態を判定(ステップ40)する例を挙げた。
【0052】
水平スキャン動作と斜めスキャン動作は、入れ替えることが可能であり、実施形態2では、斜めスキャン動作(第1パターン、第2パターンのどちらのパターンでもよい)を全光軸について行って、受光状態をまず判定(ステップ20)し、その後、水平スキャン動作を特定光軸に対して行って、その受光状態を判定(ステップ40)するようにしている。
【0053】
例えば、図13、図14にて示すように、斜め光軸2u、斜め光軸4u、斜め光軸6u、斜め光軸8uが遮光状態となり、斜め光軸10u、斜め光軸12u、斜め光軸14uが入光状態となった場合、反転区間Nは、斜め光軸8uと斜め光軸10uとの間の斜めのエリアと言うことになる。
【0054】
そのため、この反転区間Nを横切る光軸(投光素子11eと受光素子21eによる形成される水平光軸9)が特定光軸となり、当該特定光軸9について受光状態が判定されることとなる。
【0055】
以上のことから、反転区間Nの中間の高さにおける物体の有無を判別することが可能となり、車体Wの形状を細かく認識できる(分解能の向上)。尚、上記以外の構成は、実施形態1と同一である。
【0056】
<実施形態3(請求項2に対応)>
次に、本発明の実施形態3を図15ないし図17によって説明する。
実施形態3のものは、実施形態1に対して、ステップ43の処理、ステップ45の処理を追加したものであり、それ以外の構成は、実施形態1と同じである。追加された処理について説明すると、ステップ43では、ステップ40にて行った特定光軸の受光状態が入光であるか、遮光であるかが、受光制御部24により判定される。
【0057】
特定光軸が遮光である場合(ステップ43でNO判定)された場合は、ステップ50に移行し、データ処理装置50にて、車体の形状を認識する処理が行われる。具体的には、ステップ20にて行った全光軸の受光状態の判定結果、ステップ40にて行った反転区間Nを横切る特定光軸の受光状態の判定結果に基づいて、車体Wの形状が認識される(実施形態1と同じ形状認識となる)。
【0058】
一方、特定光軸が入光状態(ステップ43でYES判定)である場合には、ステップ45へ移行し、反転区間Nを横切る特定光軸について斜めスキャン動作(ただし、ステップ40のそれに対してパターンは変更)を実行する処理と、その特定光軸の受光状態を判定する処理が、受光制御部24の制御下で行われる。
【0059】
今、実施形態1で例示したものと同様に、水平光軸7と水平光軸9との間が反転区間Nであり、特定光軸8uの受光状態が入光状態であったとすると、ステップ45では、第2パターンの斜めスキャン動作を、反転区間Nを横切る特定光軸、すなわち斜め光軸8dについて行う。そして、特定光軸8dについて受光状態、すなわち入光/遮光の別が受光制御部24にて判定される。そして、特定光軸8uの判定結果は光軸の番号のデータと共に、受光制御部24から出力回路30を通じてデータ処理装置50へと出力される。
【0060】
その後、処理はステップ50に移行し、データ処理装置50にて、車体の形状を認識する処理が行われる。具体的には、ステップ20にて行った全光軸の受光状態の判定結果、ステップ40にて行った特定光軸8uの受光状態の判定結果、及びステップ45にて行った特定光軸8dの受光状態に基づいて、車体Wの形状が認識される(図17参照)。
【0061】
すなわち、図16、図17にて示すように、特定光軸(第1パターンの斜めスキャン動作)8uが入光状態であったとしても、もう一方の特定光軸(第2パターンの斜めスキャン動作)8dが遮光状態であれば、車体Wは、水平光軸7と水平光軸9の中間位置(光軸8)にあると認識される。一方、もう一方の特定光軸8dが入光状態であれば、車体は、水平光軸7の高さにあると認識される。
【0062】
この実施形態では、反転区間Nにおける車体Wの形状認識を、クロスする2つの斜め光軸8u、8dを用いて調べているので、検出不能な不感帯エリアが狭くなり、反転区間Nにおける車体Wの形状認識(反転区間Nの中間高さにおける車体Wの有無)を正確に検出することが可能となる。
【0063】
尚、受光制御部24が実行するステップ45の処理により、本発明の「第3実行手段」の果たす処理機能、「第3判定手段」の果たす処理機能が実現されている。
【0064】
<実施形態4(請求項3に対応)>
次に、本発明の実施形態4を図18ないし図20によって説明する。
実施形態4のものは、実施形態1に対して、ステップ40の処理にて行う斜めスキャン動作のパターンを第1パターンから第2パターンに入れ替えた点、及びステップ43の処理、ステップ47の処理を追加した点が異なり、それ以外の構成は実施形態1と同じである。
【0065】
変更点について説明すると、ステップ40では、第2パターンの斜めスキャン動作を、反転区間を横切る特定光軸について行う処理と、その受光状態を判定する処理と、が受光制御部24の制御下で行われることとなる。
【0066】
第2パターンとは、図6に示すように、一投光素子11に対して受光素子21が斜め下側に対向して斜め光軸を形成(具体的には、投光素子11と、それに対して水平対向する受光素子21に対して素子1つ下側にずれた受光素子21が斜め光軸を形成)するパターンである。
【0067】
従って、今、実施形態1で例示したものと同様に、水平光軸7と水平光軸9との間が反転区間Nであったとすると、S40では、受光状態が反転した水平光軸9を構成する投光素子11eとその投光素子11eに対して水平対向する受光素子21eに対して素子1つ下側に離れたところに位置する受光素子21dとにより形成した斜め光軸8dにより投受光する斜めスキャン動作が実行される。
【0068】
斜め光軸8dについて斜めスキャン動作が実行されると、斜め光軸8dの受光状態を判定する処理が、受光制御部24により行われる。斜め光軸8dの判定結果(光軸の番号のデータを含む)は、受光制御部24から出力回路30を通じてデータ処理装置50へと出力される。
【0069】
尚、この受光制御部24が実行するステップ40の処理により、本発明の「第2実行手段」の果たす処理機能、「第2判定手段」の果たす処理機能が実現されている。
【0070】
そして、判定の結果、斜め光軸8dが入光状態である場合にはステップ47へ移行し、次のスキャン動作が行われ、受光状態が判定されることとなる。
【0071】
次のスキャン動作とは、受光状態が反転した水平光軸9を構成する投光素子11eとその投光素子11eに対して水平対向する受光素子21eに対して素子2つ下側(素子2つ以上下側でもよい)に離れたところに位置する受光素子21cとにより形成した斜め光軸8d’により投受光する斜めスキャン動作である(図19参照)。
【0072】
そして、斜め光軸8d’について斜めスキャン動作が実行されると、斜め光軸8d’について受光状態、すなわち入光、遮光の別が受光制御部24にて判定される。斜め光軸8d’の判定結果は光軸の番号のデータと共に、受光制御部24から出力回路30を通じてデータ処理装置50へと出力される。
【0073】
その後、処理はステップ50に移行する。ステップ50では、データ処理装置50にて、車体の形状を認識する処理が行われる。具体的には、ステップ20にて行った全光軸の受光状態の判定結果、ステップ40にて行った斜め光軸8dの受光状態の判定結果、及びステップ47にて行った斜め光軸8d'の受光状態の判定結果に基づいて、車体Wの形状を認識する処理が行われる(図20参照)。
【0074】
すなわち、斜め光軸8dが入光状態であっても、斜め光軸8d’が遮光状態であれば、車体Wは、光軸7と光軸9の中間位置(光軸8の高さ)にあると認識される(図19、図20参照)。一方、斜め光軸8d’が入光状態であれば、車体は、光軸7の高さにあると認識される。
【0075】
この実施形態では、斜め光軸8dが入光状態である場合には、斜め光軸8dより更に下り勾配の大きい斜め光軸8d’の受光状態を判定することとしている。そのため、図19に示すように、反転区間Nの中間高さであって斜め光軸8dの不感帯エリアに含まれるような領域に、遮光物体(例えば、車体に取り付けられたミラー)が存在していたときに、その有無を正確に検出可能となる。
【0076】
また、ステップ43でNo判定された場合は、ステップ50にて、ステップ20にて行った全光軸の受光状態の判定結果、ステップ40にて行った特定光軸の受光状態の判定結果に基づいて車体Wの形状が認識される(実施形態1と同じ形状認識となる)。
【0077】
尚、受光制御部24が実行するステップ47の処理により、本発明の「第4実行手段」の果たす処理機能、「第4判定手段」の果たす処理機能が実現されている。
【0078】
<実施形態4(請求項5〜7に対応)>
次に、本発明の実施形態4を図21によって説明する。上記した実施形態1では、多光軸光電センサ1は光軸の受光状態について判定だけ行い、結果を出力回路30を通じてデータ処理装置50に出力した。そして、車体の形状認識は、別装置のデータ処理装置50にて行う構成とした。
【0079】
実施形態4の多光軸光電センサ100は、図21にて示すように、データ処理回路(本発明の「データ処理手段」に相当)40を追加して、実施形態1では別装置50に機能負担させたデータ処理機能(すなわち、受光状態の判定結果に基づいて車体の形状認識を行う機能)をセンサに取り込んだものである。その他の構成については、実施形態1のものと同一であり、実施形態1の形状認識フロー(図7)に従って、車体Wの形状が認識される。
【0080】
そのため、実施形態4の多光軸光電センサ100は、実施形態1と同様の作用、効果が得られ、また、実施形態2、実施形態3のような形状認識フロー(図15、図18)を適用することが無論可能である。
【0081】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0082】
(1)実施形態1ではS40の処理にて第一パターンの斜めスキャン動作を行う例を挙げた。斜めスキャン動作のパターンは入れ替えることが可能であり、第一パターンに変えて第二パターンの斜めスキャン動作を行うようにしてもよい。
【0083】
(2)実施形態1では、受光側にだけシフトレジスタを設けた構成のものを例示したが、投光側にもシフトレジスタを持つ構成にしてもよい。また、投光側、受光側ともにシフトレジスタを持たない構成にしてもよい。投光側、受光側ともシフトレジスタを持たない構成とした場合には各投光素子11、各受光素子21を個別に制御することになるから、そのような構成の場合には、必要な光軸(反転区間Nを横切る特定光軸)についてのみ投光、受光させるようにすると、投光回路を一層少なくすることが可能となる。
【0084】
(3)実施形態1では、出力回路30からデータ処理装置50に対して、ステップ20の判定結果(全光軸を対象とした判定結果)、ステップ40の判定結果(特定光軸の判定結果)の双方を出力する例を示した。また、実施形態3では、出力回路30からデータ処理装置50に対してステップ20の判定結果(全光軸を対象とした判定結果)、ステップ40の判定結果(特定光軸8uの判定結果)、ステップ45の判定結果(特定光軸8dの判定結果)を全て出力する例を示した。また、実施形態4では、出力回路30からデータ処理装置50に対して、ステップ20の判定結果(全光軸を対象とした判定結果)、ステップ40の判定結果(斜め光軸8dの判定結果)、ステップ47の判定結果(斜め光軸8d’の判定結果)を全て出力する例を示した。
【0085】
出力回路30からデータ処理装置50に出力するデータには、少なくとも次のデータ、実施形態1であれば、ステップ40の判定結果、実施形態3であれば、ステップ40とステップ45の判定結果、実施形態4であれば、ステップ40とステップ47の判定結果が含まれていればよい。言い換えれば、S20の全光軸を対象とする判定結果は、必ずしも送る必要がない。
【0086】
というのも、例えば、実施形態1で説明したように、S40の判定結果(特定光軸8u)が遮光であれば、車体はその光軸8の位置であると認識でき(図10参照)、また、S40の判定結果(特定光軸8u)が入光状態であれば、車体はその光軸8よりも一つ低い光軸7の位置であると認識できるからである(図11参照)。尚、判定結果には、光軸の番号のデータは含める必要がある。
【0087】
(4)実施形態1では、第1パターンの斜めスキャン動作として、投光素子11と、それに対して水平対向する受光素子21に対して素子1つ上側にずれた受光素子21が斜め光軸を形成するものを例示した。また、第2パターンの斜めスキャン動作として、投光素子11と、それに対して水平対向する受光素子21に対して素子1つ下側にずれた受光素子21が斜め光軸を形成するものを例示した。斜め光軸は、光軸が水平方向に対して傾斜していればよく、素子のずれ量は、素子1つ分に限定されない。すなわち、素子2つ分ずらして斜め光軸を形成するなどの変形が可能である。
【符号の説明】
【0088】
1、100…多光軸光電センサ
10…投光器
11(11a〜11hの総称)…投光素子
14…投光回路
20…受光器
21(21a〜21hの総称)…受光素子
22…受光回路
23…シフトレジスタ
24…受光制御部(本発明の「第1実行手段」、「第1判定手段」、「第2実行手段」、「第2判定手段」、「第3実行手段」、「第3判定手段」、「第4実行手段」、「第4判定手段」に相当)
25…アナログスイッチ
30…出力回路
40…データ処理回路(本発明の「データ処理手段」に相当)
50…データ処理装置
L1…同期線
L2…信号線
U…形状認識装置
W…車体(本発明の「計測対象物」に相当)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の投光素子を備えた投光器と、
この投光器と計測対象物を間に挟んで対向し、前記複数の投光素子にそれぞれ対向する複数の受光素子を備えた受光器と、を備えた多光軸光電センサにおいて、
前記一投光素子とその投光素子に水平対向する受光素子にて形成される水平光軸により投受光する水平スキャン動作、又は前記一投光素子とその投光素子と斜め対向する受光素子にて形成される斜め光軸により投受光する斜めスキャン動作のいずれか一方のスキャン動作を、設定された光軸数順次実行させる第1の実行手段と、
前記一方側のスキャン動作が実行された全光軸について受光状態を判定する第1判定手段と、
前記一方側のスキャン動作が行われた光軸の受光状態について反転があることを条件に、他方側のスキャン動作を、受光状態が反転した光軸と反転する直前の光軸との間の特定光軸について実行する第2実行手段と、
前記他方側のスキャン動作が行われた特定光軸の受光状態を判定する第2判定手段と、
少なくとも、前記第2判定手段の判定結果を出力する出力回路と、を備えることを特徴とする多光軸光電センサ。
【請求項2】
前記第1実行手段は、前記一方のスキャン動作として、前記水平スキャン動作を実行し、
前記第2実行手段は、前記他方のスキャン動作として、前記一投光素子に対して前記受光素子が斜め上側に対向して斜め光軸を形成する第1パターン又は、前記投光素子に対して前記受光素子が斜め下側に対向して斜め光軸を形成する第2パターンのいずれか一方の斜めスキャン動作を実行する構成であると共に、
前記第2判定手段による受光状態の判定結果が入光状態であることを条件に、前記特定光軸について他方側のパターンにより前記斜めスキャン動作を実行する第3実行手段と、
前記第3実行手段により斜めスキャン動作が行われた特定光軸の受光状態を判定する第3判定手段と、を備え、
前記出力回路は少なくとも、前記第2判定手段の判定結果と第3判定手段の判定結果とを出力することを特徴とする請求項1に記載の多光軸光電センサ。
【請求項3】
前記第1実行手段は、前記一方のスキャン動作として、前記水平スキャン動作を実行し、
前記第2実行手段は、前記他方のスキャン動作として、前記受光状態が反転した水平光軸を構成する投光素子とその投光素子に対して水平対向する受光素子に対して素子1つ下側に離れたところに位置する受光素子とにより形成した斜め光軸により投受光する斜めスキャン動作を、実行する構成であると共に、
前記第2判定手段による受光状態の判定結果が入光状態であることを条件に、前記受光状態が反転した水平光軸を構成する投光素子とその投光素子に対して水平対向する受光素子に対して少なくとも、素子2つ以上は下側に離れたところに位置する受光素子とにより形成した斜め光軸により投受光する斜めスキャン動作を実行させる第4実行手段と、
前記第4実行手段により斜めスキャン動作が行われた斜め光軸の受光状態を判定する第4判定手段と、を備え、
前記出力回路は少なくとも、前記第2判定手段の判定結果と前記第4判定手段の判定結果を出力することを特徴とする請求項1に記載の多光軸光電センサ。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の多光軸光電センサと、
前記多光軸光電センサの出力する判定結果に基づいて前記計測対象物の形状を認識するデータ処理装置と、を備えた形状認識装置。
【請求項5】
複数の投光素子を備えた投光器と、
この投光器と計測対象物を間に挟んで対向し、前記複数の投光素子にそれぞれ対向する複数の受光素子を備えた受光器と、を備えた多光軸光電センサにおいて、
前記一投光素子とその投光素子に水平対向する受光素子にて形成される水平光軸により投受光する水平スキャン動作、又は前記一投光素子とその投光素子と斜め対向する受光素子にて形成される斜め光軸により投受光する斜めスキャン動作のいずれか一方のスキャン動作を、設定された光軸数順次実行させる第1の実行手段と、
前記一方側のスキャン動作が実行された全光軸について受光状態を判定する第1判定手段と、
前記一方側のスキャン動作が行われた光軸の受光状態について反転があることを条件に、他方側のスキャン動作を、受光状態が反転した光軸と反転する直前の光軸との間の特定光軸について実行する第2実行手段と、
前記他方側のスキャン動作が行われた特定光軸の受光状態を判定する第2判定手段と、
前記第2判定手段の判定結果に基づいて前記計測対象物の形状を認識するデータ処理手段と、を備えることを特徴とする多光軸光電センサ。
【請求項6】
前記第1実行手段は、前記一方のスキャン動作として、前記水平スキャン動作を実行し、
前記第2実行手段は、前記他方のスキャン動作として、前記一投光素子に対して前記受光素子が斜め上側に対向して斜め光軸を形成する第1パターン又は、前記投光素子に対して前記受光素子が斜め下側に対向して斜め光軸を形成する第2パターンのいずれか一方の斜めスキャン動作を実行する構成であると共に、
前記第2判定手段による受光状態の判定結果が入光状態であることを条件に、前記特定光軸について他方側のパターンにより前記斜めスキャン動作を実行する第3実行手段と、
前記第3実行手段により斜めスキャン動作が行われた特定光軸の受光状態を判定する第3判定手段と、を備え、
前記データ処理手段は、第2判定手段の判定結果と前記第3判定手段の判定結果とに基づいて前記計測対象物の形状を認識する請求項5に記載の多光軸光電センサ。
【請求項7】
前記第1実行手段は、前記一方のスキャン動作として、前記水平スキャン動作を実行し、
前記第2実行手段は、前記他方のスキャン動作として、前記受光状態が反転した水平光軸を構成する投光素子とその投光素子に対して水平対向する受光素子に対して素子1つ下側に離れたところに位置する受光素子とにより形成した斜め光軸により投受光する斜めスキャン動作を、実行する構成であると共に、
前記第2判定手段による受光状態の判定結果が入光状態であることを条件に、前記受光状態が反転した水平光軸を構成する投光素子とその投光素子に対して水平対向する受光素子に対して少なくとも、素子2つ以上は下側に離れたところに位置する受光素子とにより形成した斜め光軸により投受光する斜めスキャン動作を実行させる第4実行手段と、
前記第4実行手段により斜めスキャン動作が行われた斜め光軸の受光状態を判定する第4判定手段と、を備え、
前記データ処理手段は、前記第2判定手段の判定結果と前記第4判定手段の判定結果とに基づいて前記計測対象物の形状を認識する請求項5に記載の多光軸光電センサ。
【請求項1】
複数の投光素子を備えた投光器と、
この投光器と計測対象物を間に挟んで対向し、前記複数の投光素子にそれぞれ対向する複数の受光素子を備えた受光器と、を備えた多光軸光電センサにおいて、
前記一投光素子とその投光素子に水平対向する受光素子にて形成される水平光軸により投受光する水平スキャン動作、又は前記一投光素子とその投光素子と斜め対向する受光素子にて形成される斜め光軸により投受光する斜めスキャン動作のいずれか一方のスキャン動作を、設定された光軸数順次実行させる第1の実行手段と、
前記一方側のスキャン動作が実行された全光軸について受光状態を判定する第1判定手段と、
前記一方側のスキャン動作が行われた光軸の受光状態について反転があることを条件に、他方側のスキャン動作を、受光状態が反転した光軸と反転する直前の光軸との間の特定光軸について実行する第2実行手段と、
前記他方側のスキャン動作が行われた特定光軸の受光状態を判定する第2判定手段と、
少なくとも、前記第2判定手段の判定結果を出力する出力回路と、を備えることを特徴とする多光軸光電センサ。
【請求項2】
前記第1実行手段は、前記一方のスキャン動作として、前記水平スキャン動作を実行し、
前記第2実行手段は、前記他方のスキャン動作として、前記一投光素子に対して前記受光素子が斜め上側に対向して斜め光軸を形成する第1パターン又は、前記投光素子に対して前記受光素子が斜め下側に対向して斜め光軸を形成する第2パターンのいずれか一方の斜めスキャン動作を実行する構成であると共に、
前記第2判定手段による受光状態の判定結果が入光状態であることを条件に、前記特定光軸について他方側のパターンにより前記斜めスキャン動作を実行する第3実行手段と、
前記第3実行手段により斜めスキャン動作が行われた特定光軸の受光状態を判定する第3判定手段と、を備え、
前記出力回路は少なくとも、前記第2判定手段の判定結果と第3判定手段の判定結果とを出力することを特徴とする請求項1に記載の多光軸光電センサ。
【請求項3】
前記第1実行手段は、前記一方のスキャン動作として、前記水平スキャン動作を実行し、
前記第2実行手段は、前記他方のスキャン動作として、前記受光状態が反転した水平光軸を構成する投光素子とその投光素子に対して水平対向する受光素子に対して素子1つ下側に離れたところに位置する受光素子とにより形成した斜め光軸により投受光する斜めスキャン動作を、実行する構成であると共に、
前記第2判定手段による受光状態の判定結果が入光状態であることを条件に、前記受光状態が反転した水平光軸を構成する投光素子とその投光素子に対して水平対向する受光素子に対して少なくとも、素子2つ以上は下側に離れたところに位置する受光素子とにより形成した斜め光軸により投受光する斜めスキャン動作を実行させる第4実行手段と、
前記第4実行手段により斜めスキャン動作が行われた斜め光軸の受光状態を判定する第4判定手段と、を備え、
前記出力回路は少なくとも、前記第2判定手段の判定結果と前記第4判定手段の判定結果を出力することを特徴とする請求項1に記載の多光軸光電センサ。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の多光軸光電センサと、
前記多光軸光電センサの出力する判定結果に基づいて前記計測対象物の形状を認識するデータ処理装置と、を備えた形状認識装置。
【請求項5】
複数の投光素子を備えた投光器と、
この投光器と計測対象物を間に挟んで対向し、前記複数の投光素子にそれぞれ対向する複数の受光素子を備えた受光器と、を備えた多光軸光電センサにおいて、
前記一投光素子とその投光素子に水平対向する受光素子にて形成される水平光軸により投受光する水平スキャン動作、又は前記一投光素子とその投光素子と斜め対向する受光素子にて形成される斜め光軸により投受光する斜めスキャン動作のいずれか一方のスキャン動作を、設定された光軸数順次実行させる第1の実行手段と、
前記一方側のスキャン動作が実行された全光軸について受光状態を判定する第1判定手段と、
前記一方側のスキャン動作が行われた光軸の受光状態について反転があることを条件に、他方側のスキャン動作を、受光状態が反転した光軸と反転する直前の光軸との間の特定光軸について実行する第2実行手段と、
前記他方側のスキャン動作が行われた特定光軸の受光状態を判定する第2判定手段と、
前記第2判定手段の判定結果に基づいて前記計測対象物の形状を認識するデータ処理手段と、を備えることを特徴とする多光軸光電センサ。
【請求項6】
前記第1実行手段は、前記一方のスキャン動作として、前記水平スキャン動作を実行し、
前記第2実行手段は、前記他方のスキャン動作として、前記一投光素子に対して前記受光素子が斜め上側に対向して斜め光軸を形成する第1パターン又は、前記投光素子に対して前記受光素子が斜め下側に対向して斜め光軸を形成する第2パターンのいずれか一方の斜めスキャン動作を実行する構成であると共に、
前記第2判定手段による受光状態の判定結果が入光状態であることを条件に、前記特定光軸について他方側のパターンにより前記斜めスキャン動作を実行する第3実行手段と、
前記第3実行手段により斜めスキャン動作が行われた特定光軸の受光状態を判定する第3判定手段と、を備え、
前記データ処理手段は、第2判定手段の判定結果と前記第3判定手段の判定結果とに基づいて前記計測対象物の形状を認識する請求項5に記載の多光軸光電センサ。
【請求項7】
前記第1実行手段は、前記一方のスキャン動作として、前記水平スキャン動作を実行し、
前記第2実行手段は、前記他方のスキャン動作として、前記受光状態が反転した水平光軸を構成する投光素子とその投光素子に対して水平対向する受光素子に対して素子1つ下側に離れたところに位置する受光素子とにより形成した斜め光軸により投受光する斜めスキャン動作を、実行する構成であると共に、
前記第2判定手段による受光状態の判定結果が入光状態であることを条件に、前記受光状態が反転した水平光軸を構成する投光素子とその投光素子に対して水平対向する受光素子に対して少なくとも、素子2つ以上は下側に離れたところに位置する受光素子とにより形成した斜め光軸により投受光する斜めスキャン動作を実行させる第4実行手段と、
前記第4実行手段により斜めスキャン動作が行われた斜め光軸の受光状態を判定する第4判定手段と、を備え、
前記データ処理手段は、前記第2判定手段の判定結果と前記第4判定手段の判定結果とに基づいて前記計測対象物の形状を認識する請求項5に記載の多光軸光電センサ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2011−160087(P2011−160087A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−18635(P2010−18635)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000106221)パナソニック電工SUNX株式会社 (578)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000106221)パナソニック電工SUNX株式会社 (578)
【Fターム(参考)】
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