説明

多孔性樹脂シートの空孔率測定方法、及び多孔性樹脂シートの製造方法

【課題】バッテリセパレーター向け多孔性樹脂シートのサブミクロンサイズの空孔状態を非接触で測定すること。製膜工程ならびにスリット工程または加工工程において、空孔率とそれに関する透気抵抗をインライン測定し、品質の向上に寄与する。
【解決手段】微細な空孔の多重散乱を用いて、周波数毎の音速の変化も用いて、空孔率と相関する特性値を得、多孔性樹脂シートの空孔率を測定することを目的とする。また、該方法を有する多孔性樹脂フィルムの製造方法を提供することを目的とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多孔性樹脂シートの空孔率測定方法、及び多孔性樹脂シートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリプロピレンフィルムやポリエチレンフィルムを始めとするポリオレフィンフィルムを微多孔化した多孔性フィルムはその透気性、低比重などの特性から、リチウムイオン2次電池や電解コンデンサーのセパレーター用途へ展開されている。
【0003】
リチウムイオン2次電池向けセパレーターは、電池の正極と負極電極間の絶縁を確保すると共に、リチウムイオンがセパレーターに含浸した電解質中を正極から負極に透過する役目を有する。すなわち、リチウムイオンを透過させる空孔の形成や密度が電池の特性を左右するため、樹脂シート中に空孔との割合である空孔率が重要な品質項目である。空孔率などの多孔性樹脂シートの構造に起因する測定値には透気抵抗がある。透気抵抗は、空孔を透過する空気やイオンなどの透過しやすさの指標である。
【0004】
ここで、多孔性の指標となる空孔率、すなわち、樹脂シートが有する空隙の体積を樹脂シートの体積で割った割合の定量方法としては、次のようなものが知られている。樹脂シートの重量と嵩密度より全体体積を求め、この値と実際の体積との差から空孔体積を求める方法や、エタノールや水などの溶媒を樹脂シートに含浸させて、含浸したエタノールの重量を体積に換算し、これを空孔体積とする方法がある。しかしながら、どちらの方法もシートを製造後オフラインで試料を切り出し測定するものである。セパレーター向けの多孔性樹脂シートは柔軟で、シート内部の空孔はつぶれやすく、また、溶媒の種類によっては多孔性樹脂シートに含浸させると樹脂が収縮するなどして空孔の大きさが変化してしまう課題があった。
【0005】
セパレーターの重要な特性の1つである透気抵抗は、空孔率などの多孔性樹脂シートの構造に起因する。透気抵抗測定方法としてガーレー試験機法がある(JISP8117「紙及び板紙(透気度試験方法)ガーレー試験機法」)。この試験機法は、JISP8117に則って、シートを搬送させながら測定するインライン方式で、走行する多孔性樹脂シートに測定子を圧着し空気を吸引する。この方法は、ガーレー試験と同様に、一定体積、たとえば0.1×10−3の空気が多孔性シートから透過する時間を計測するものである。しかしながら、測定子を密着させて空気のもれを防ぐ必要があり、接触させた測定子が搬送されるシートをこすり、スリキズを発生させることがあった。
【0006】
一方、非接触で樹脂内部の空気ボイドなどを測定する方法として、従来から樹脂成型品などで超音波を利用する測定方法がある。一般に超音波の測定は水中で実施される場合が多い。これは、大気中では空気と樹脂との音響インピーダンスが大きく異なるので、空中からシートには超音波が伝播しにくいからである。多孔性樹脂シートの製造は大気中で行われるので、空中で超音波の測定を行うことになる。つまり、ごくわずかな超音波の透過量で測定を実施しなければならない。
【0007】
特許文献1に示す通り、超音波素子を樹脂成型品の片面に設置し、素子から超音波を発振し樹脂成型品の反対面で反射してくる超音波を、同じ超音波素子で受信する構成である。すなわち、樹脂成型品の背面での反射波を利用する構成で、樹脂成型品に超音波を入射し成型品の裏面で反射して戻るまでの伝播時間を計測する技術が特許文献1に開示されている。超音波の伝播速度は樹脂成型品のヤング率と密度に関係するが、空隙量が大きい樹脂成型品は密度が小さく、伝播速度が遅くなる原理を用い空隙量を測定する。あらかじめ求めておいた空隙量と伝播速度との間の相関関係を用い、試料に超音波を入射し伝播速度から空隙量を換算するものである。特許文献1の技術は、樹脂成型品のような肉厚な対象物であって、伝播時間の差が十分に計測できる場合に用いられる。本発明者らの知見によると、上記のような構成で反射波を計測する方法は、シートのような厚みが小さい試料においては入射する波と反射する波とが重なってしまう。すなわち、多孔性樹脂シートの厚みは数10μmであって、波長より厚みが小さく伝播時間の違いを得ることが困難であった。すなわち、特許文献1の技術では、肉厚が数10mmの対象物の1mm程度の空気ボイドを測定することに限られている。つまり、シートの厚さが30μm以下と薄い多孔性樹脂シートの内部にある空孔は測定できなかった。
【0008】
さらに、超音波を利用して、固体材料の気孔率を測定する方法としては、超音波が気孔に当って迂回波となる点に着目し、その伝播遅れから気孔率を求める方法が知られている(特許文献2)。特許文献2で開示された技術は、入射した超音波の応答波形を、気泡がまったく存在しない同じ材質から得た応答波形との対比から逆畳み込み積分処理により気孔関数を求める。横軸に時間、縦軸に気孔関数をとって、伝播遅れ時間、気孔関数の半値幅又は気孔関数のピーク値を得る。体積置換法で得た気孔率の結果と伝播遅れ時間、ピーク値の相関関係を使って、気孔率を算出するものである。この方法では、数μmオーダーまでの気泡検出が可能である。
【0009】
本発明者らの知見によると、応答波形の分解能は、超音波の波長に依存する。周波数の逆数である波長は、空中超音波に利用しやすい20kHzの場合、波長は50μmである。特許文献2の測定では試料の板厚は15mmであって、シートの厚みが波長に比べて十分大きく、入射した波形と迂回波とが分かれて観察される。しかしながら、波長より厚みが薄いシートであっては、入射した波形と迂回波が重なって観察され、伝播遅れ時間や気孔関数のピーク値を得ることが困難であった。つまり、セパレーターに用いられる多孔性樹脂シートの0.3μm以下の微小な空孔の割合を測定することはできなかった。
【0010】
つまり、本発明者らの知見によれば、従来の技術では、多孔性樹脂シートの空孔状態や透気抵抗を、非接触で連続測定することはできないでいた。さらに、従来の超音波の透過強度の減衰量や、伝播時間の遅れや波長におけるピーク関数を用いた方法であっては、超音波の波長以下の測定が不可能で、1μm以下、特に0.3μm以下の空孔の測定はできないでいた。このため、多孔性樹脂シートの製造方法において、インラインで連続的に空孔状態や透気抵抗を評価する手段はなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平8−210965号公報
【特許文献2】特開平6−18403号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記従来技術の課題を解決する。すなわち、多孔性樹脂シートの空孔状態を、超音波を用いて非接触で測定する、超音波の伝播速度の差や応答波形から気孔関数を得る計測方法では、超音波の波長以下のシート厚みのサブミクロンサイズの空孔を測定することはできないでいた。
【0013】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、微細な空孔の多重散乱を用いて、空孔率と相関する特性値を用いて、多孔性樹脂シートの空孔率を測定することを目的とする。また、該方法を有する多孔性樹脂フィルムの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る測定方法は、以下の通りである。本発明者らは、超音波を用いて、固体材料中の気孔特性を非破壊的に評価する方法を提供する。シート厚みより波長が長い超音波を用い、シートを通過した際に空孔で散乱する伝播波形を用いて、周波数毎の位相速度の変化または透過量の減少から、固体材料の空孔率を求める方法を提案する。また、あらかじめ、空孔率と透気抵抗の関係式を得ておき、空孔率から透気抵抗を算出する方法を提供する。
【0015】
すなわち、本発明によれば、シート内部に多数の空孔を有する多孔性樹脂シートにおいて、空中に発信された10kHzから2MHzの超音波を前記多孔性樹脂シートに透過させ、空孔での散乱を含む透過音波を受信し、前記多孔性樹脂シートの空孔率を測定する多孔性樹脂シートの空孔率測定方法が提供される。
【0016】
また、本発明の好ましい形態によれば、周波数の異なる超音波を前記多孔性樹脂シートに発信し、受信した超音波波形を周波数毎の音速測定結果において、前記多孔性樹脂シートの厚みより波長が長い超音波を用い、周波数毎の位相速度の変化から多孔性樹脂シートの空孔率を測定する多孔性樹脂シートの空孔率測定方法が提供される。
【0017】
また、本発明の好ましい形態によれば、周波数の異なる超音波を前記多孔性樹脂シートに発信し、受信した超音波波形の周波数毎に減衰量測定結果を用い、多孔性樹脂シートの空孔率を測定する多孔性樹脂シートの空孔率測定方法が提供される。
【0018】
また、本発明の好ましい形態によれば、前記空孔率が樹脂量の重量に対して、40%以上80%以下を測定する前記多孔性樹脂シートの空孔率測定方法が提供される。
【0019】
また、本発明の別の形態によれば、前記多孔性樹脂シートの空孔率測定結果と、あらかじめ求めた空孔率と透気抵抗の関係を用いて、多孔性樹脂シートの透気抵抗を測定する多孔性樹脂シートの透気度測定方法が提供される。
【0020】
また、本発明の好ましい形態によれば、透気抵抗80秒以上400秒以下を測定する多孔性樹脂シートの透気度測定方法が提供される。
【0021】
また、本発明の別の形態によれば、樹脂をシート状に成型し、連続的に製膜する多孔性樹脂シートの製造方法であって、シート成型した後延伸した状態で、前記多孔性樹脂シートの空孔率測定方法を備える多孔性樹脂シートの製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、多孔性樹脂シートを破壊することなく、大気中で多孔性樹脂シート内部に存在する1μm以下の気孔の分布状況による空孔率を測定することが可能になる。
【0023】
また、多孔性樹脂シートの空孔率は透気抵抗と相関することを利用して透気抵抗値を得ることができる。これにより、多孔性樹脂シートの製造方法において、インラインで連続的に空孔状態や透気抵抗を評価できるので、品質が安定化するだけでなく、空孔率ムラのばらつきが大きいために発生する生産ロスを最小に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の超音波測定方法を示す概略図である。
【図2A】本発明の多孔性樹脂シートを透過する超音波を示す概念図である。
【図2B】本発明の空孔での超音波散乱状況を示す概念図である。
【図3】本発明の超音波測定器を有するフィルム製膜工程の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0026】
なお、本実施形態にかかる測定対象である多孔性樹脂シートとしては、リチウムイオン2次電池用のセパレーターフィルムが好ましく適用される。セパレーターフィルムの材質では、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系フィルムが好適に用いられるが、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアミド、ポリビニリデンフルオライド等の樹脂を測定対象としても好ましく用いられる。多孔性樹脂シートには、酸化防止剤、熱安定剤、帯電防止剤や無機あるいは有機粒子からなる滑剤、さらにはブロッキング防止剤や充填剤、非相溶性ポリマーなどの各種添加剤を含有した多孔性樹脂シートも測定対象に含まれる。
【0027】
図1において、多孔性樹脂シートを挟んで、空中に超音波を放射する放射部21を有する超音波発振手段2と、上記超音波を受波し電気信号に変換する受波部31を有する超音波受波手段3が対向して配置されている。超音波発振手段2は、超音波振動子を有し、超音波USを放射する放射部21と、超音波振動子を所定の周波数で駆動する駆動回路22とからなる。なお、超音波USは、超音波振動子に曲率を持たせるなどして収束させて放射している。超音波受波手段3は、超音波USを受波するとその強度に応じた振幅の電気信号を発生する超音波振動子を有する受波部31、及び、この超音波振動子の出力(電気信号)を、その大きさに応じた電圧値を有する直流電圧信号に変換する受波回路32からなる。上記超音波受波手段3で受波した信号は、超音波発振手段2と超音波受波手段3との間に配置した測定対象物を透過した信号である。
【0028】
上記超音波発振手段2は、上記放射部21から、互いに周波数の異なる超音波を放射する。周波数の異なる超音波は、2つ以上の複数の定常波を複数回に分けて放射しても良いが、周波数を連続的に変化させるチャープ波をパルス発振して放射部21から放射することが好ましく用いられる。制御部4は、CPU、ROM、RAMを含む公知のマイクロコンピュータ(図示しない)を有し、記憶されているプログラムに従って、超音波発振手段2と超音波受波手段3を制御している。具体的な制御は、駆動回路22を介して超音波発振手段2に接続されており、パルス波を連続的に照射するように制御している。上述のチャープ波は、周波数10kHzから2MHzの成分をパルス波で放射し、そのパルス放射回数は、1000〜10000回連続放射できるようになっている。そして、超音波受信手段3で、繰り返し放射されたパルス波の透過波形を順々に取り込む。取り込んだ波形は、記録部5で記録されるととともに演算される。演算は、波形をフーリエ変換し周波数毎のパワーを表示させる機能を有する。
【0029】
次に、測定方法について、図2を用いて説明する。本発明者らは、リチウムイオン2次電池向けセパレーターの多孔性樹脂シートが、一般的な樹脂シートや樹脂成型品よりも空中で超音波を伝播することを見出した。超音波発信手段2から空中に照射された超音波US0は多孔性樹脂シートSに入射し、微小な空気孔を伝播して多孔性シートを透過し透過超音波US1となる。図2A、図2B中、超音波US0は模式的に表しており、超音波US0は、10kHzから2MHzの周波数を有するチャープ波を示している。従来、空中で超音波US0は樹脂シートを透過しにくいと考えられていた。多孔性樹脂シートSは0.1μm以下の微小なフィブリルと呼ばれる網目構造体18が不連続に形成され、空気孔はつながっておらず不連続に位置する。それぞれの空孔では、超音波USが空気と樹脂の界面での入射と放射を繰り返すため減衰が大きく、多孔性樹脂シートSでは超音波はさらに透過しにくいと考え、多孔性樹脂シートの空孔率の測定は困難と考えられていた。
【0030】
しかしながら、図2Bに示すように、超音波US0がこの複雑で不連続な空気孔を伝播できることを見出し、さらに、1つ1つの空気孔を形成する樹脂フィブリルと衝突し入射や透過を繰り返すことで、超音波が多重に散乱し、その多重散乱した音波19を含む超音波US1の波形に注目することで、超音波USの波長より小さい空孔の空孔率に関する測定ができることを見出した。
【0031】
すなわち、シートの厚みや空孔の大きさは波長より小さいので、多孔性樹脂シートSを透過してくる透過応答波形には、空孔で多重散乱した音波19が重畳している。多重散乱した音波19は、超音波発振手段2から発振したパルス波形より強度が小さく、伝播速度に遅れが生じている。そこで、図2Aの超音波受信手段3で受信した波形をフーリエ変換し、周波数毎の強度を解析し、多重散乱した音波19分の変化を求める。ここで、多孔性樹脂シートSの空孔の大きさや形状と散乱する音波には、波長依存性がある。周波数の異なる2つ以上の音波で散乱状態を観察すると、空孔の大きさや形状によって周波数応答が変化するので、周波数解析結果から空孔の情報が得られる。すなわち、周波数が連続的に変化するチャープ波やスイープ波を用いて受波した波形を周波数解析し、特定の周波数帯域の特性値に注目することで空孔状態、すなわち空孔率と相関することを見出した。特性値としては、透過減衰量、音速、位相速度の情報が有効である。多孔性樹脂シートSがない状態で取得した波形や孔がない樹脂シートで取得した波形と、多孔性樹脂シートSで測定した波形の比や差で表すと、変化を精度よく測定することができる。
【0032】
本発明者らが見出した超音波の波長より小さいシート厚みの多孔性樹脂シートSの多重散乱現象を以下に述べる。
(1)同じシート厚みにおいて空孔率が大きい方が周波数毎の超音波の減衰量が小さい。
(2)それぞれの空孔直径が大きいと散乱が大きくなりやすく、透過波形の減衰量が大きい。
(3)シート厚みが厚いほうが超音波の減衰量が大きい。
(4)空孔の大きさと減衰特性には周波数依存性がある。空孔の大きさに依存して散乱しやすい周波数帯域が変化する。傾向として、空孔の大きい場合には広い周波数帯域で減衰が大きい。周波数の高い、つまり波長の短い音波に対しても減衰しやすいからである。したがって、周波数特性を取ると広い範囲の周波数帯域で減衰が大きい。
(5)音の進む速度を表す位相速度が周波数依存性がある。空孔の大きさや空孔率が大きくなると、音波の山や谷の特定の位置が移動する位相速度が大きくなる。
【0033】
なお、音の速度として、群速度と位相速度の速度がある。位相速度は、位相すなわち波の山や谷の特定の位置が移動する速度のことである。速度は直線を移動する速さであり単位時間当たりに進んだ距離を表すが、位相速度は円の外周の1点がどれだけの速度で移動するかを表す。たとえば、定位置で回転運動する円の外周の1点の高さだけに注目すると、点は上下することとなる。点の上下の位置を縦軸とし横軸を時間軸とすると正弦波で表され、円周上の1点は正弦波の波一つの山であったり、谷であったりする。位相速度はその1点の外周での移動速度を表す。位相速度の例としては、しゃくとり虫の動きがある。歩行しているしゃくとり虫を横から見るとこぶが波打って見える。こぶの波打ちが位相速度、しゃくとり虫そのものの移動が群速度である。波が媒質中を伝播する際、周波数の異なる成分の位相速度は異なる。つまり、シートの厚みより伝播する超音波の波長が長い場合においても、位相速度から超音波の伝播状態の変化を知ることができる。本発明において、空孔で散乱する超音波が伝播する際の位相速度は、空孔の大きさや割合によって変化し、音波の周波数に対して位相速度が遅れやすい場合や速まる場合がある。すなわち、その周波数特性を用いることで多孔性樹脂シートの空孔率評価が可能となる。
【0034】
上記の波長より小さいシート厚みを有する多孔性樹脂シートの超音波透過現象を利用した空孔率測定方法の1実施形態を以下に示す。
【0035】
まず、最初にあらかじめ空孔率を測定した多孔性樹脂シートを用いて、透過波形を周波数解析し、空孔率と相関関係を導いておく。厚みや空孔率を変えたものを測定し、その透過波形を周波数解析して特定の周波数に着目して検量線を作成した。具体的には、空孔率が既知の試料として、空孔率30、40、50、60%の試料に超音波USを透過して受波した結果を周波数解析した。このとき、空孔の大きさがたとえば、0.1μm、0.05μm、0.02μm、0.01μmでは散乱の周波数特性が異なるので、それぞれの空孔の大きさで別々の検量線を準備しておく。なお、製膜のインライン測定の際には、延伸などの製膜条件によって空孔の大きさはほぼ一定であり、どの大きさの空孔の検量線を使用するかは決めることができる。周波数は、10kHz、100kHz、1MHzなどの空孔情報が明確に判別しやすい周波数を選ぶが、横軸に周波数、縦軸に特性値をとってグラフ化しておくと良い。特性値としては、多孔性樹脂シートがない状態と測定した波形と比較した透過量や伝播時間の速度変化(たとえば、位相速度)が好ましく用いられる。
【0036】
次に測定試料を測定し、上述の検量線または周波数解析のグラフとの類似性から空孔率を算出する。このとき、シートの厚みが必要な場合は、既存の厚さ計を用いてあらかじめ測定しておくのが好ましい。
【0037】
以上の通り、超音波を用いた多孔性樹脂シートの空孔率測定は、シートに接触させることなく、超音波を伝播させて非接触で連続的に測定できる利点がある。
【0038】
また、透気抵抗は、空孔率の値との相関もあるが、空孔が大きさとその単位体積あたりの個数に影響される。同じ空孔率でも空孔の大きさが大きく数が少ない場合は透気抵抗が小さいし、空孔の大きさが小さく数が多い場合は透気抵抗が大きくなる傾向を有するからである。本発明の超音波の透過波形による多重散乱の周波数解析結果では、空孔の大きさに関する情報を得ることができるので、透気抵抗との相関がより得られる利点がある。透気抵抗測定の場合も、あらかじめ検量線や周波数毎の透過量や伝播遅れや位相速度の変化のグラフを準備する必要がある。厚さと密度の積に比例する、X線や赤外吸収量から透気抵抗を評価するよりは、本発明の超音波測定の方が相関性良く評価することができる。
【0039】
次に、本発明の空孔率測定方法が好適に適用できる、ポリオレフィンフィルムを多孔化する手法を述べる。多孔性樹脂シートの製造方法には、湿式法と乾式法がある。超高分子量のポリエチレン樹脂と抽出樹脂としてパラフィンなどの有機液状物を添加して押出し成形したシートから有機液状物を抽出除去し、多孔質化してから延伸する抽出後延伸する方法である。抽出後延伸法の利点としては、孔が広がりやすく高倍率延伸しなくても低透気度化することが挙げられる。その結果、横延伸工程にて低倍率延伸で低透気度化するので、低透気度で低収縮応力及び低収縮率の微多孔膜の作製が可能となる。一方、乾式法としては、たとえば溶融押出時に低温押出、高ドラフト比を採用することにより、シート化した延伸前のフィルム中のラメラ構造を制御し、これを長手方向に一軸延伸することでラメラ界面での開裂を発生させ、空隙を形成する方法が知られている。乾式法として、無機粒子またはマトリックス樹脂であるポリプロピレンなどに非相溶な樹脂を粒子として多量添加し、シートを形成して延伸することにより粒子とポリプロピレン樹脂界面で開裂させ、空隙形成する方法も提案されている。たとえば、ポリプロピレンフィルムの場合は、ポリプロピレンの結晶多形であるα型結晶(α晶)とβ型結晶(β晶)の結晶密度の差と結晶転移を利用してシート中に空隙を形成させる方法が知られている。本発明の空孔率測定は、いずれの多孔性樹脂シートの製造方法でも適用することができる。
【0040】
湿式法は、湿式法と乾式法のいずれにおいても、多孔性フィルムの製膜における課題のひとつは、空孔の大きさと空孔率、透気抵抗の均一化である。均一化を達成するために製造方法においては、幅方向の延伸時の温度ムラによる延伸ムラを小さくして空孔率を均一化してきた。
【0041】
乾式法による多孔性樹脂シート製造工程に、本発明の空孔率測定方法を適用した実施形態を図3を用いて説明する。図3は、多孔性樹脂シートの乾式法製造方法の一例を示す概略工程図である。図3では矢印の方向にシートが移動し多孔性樹脂シートが製造される。高分子量のポリプロピレン樹脂と低密度ポリエチレン樹脂を混合した原料を、混錬押出手段10で溶融温度以上で加熱し、口金12よりキャストドラム13上に樹脂を押し出し、未延伸樹脂シートを得る。この際、β晶分率を制御するためにキャストドラム13は表面温度が110℃〜130℃とし、未延伸樹脂シートのβ晶分率を高く制御する。得られた未延伸シートを二軸延伸する。シート長手方向に延伸手段14でシート長手方向に延伸され、続いて、シート幅方向に延伸手段15でシート幅方向に延伸される。延伸倍率は、長手方向に3〜8倍、シート幅方向に3〜8倍である。その後、エッジをカットするなどの渡り17を経て、巻き取り手段16で多孔性樹脂シートはコアに巻き取られる。
【0042】
本発明の超音波測定器1は、長手方向とシート幅方向に延伸された後、巻き取り手段16までの間に設置されている。図3では、シート幅方向延伸手段15の下流に、搬送される樹脂シートを挟んで設置されている。多孔性樹脂シートと超音波発振手段2の発振部21の最表面との距離は、5mmから20mmにする。10mmより狭いと、多孔性樹脂シートに発振部21が接触してしまう可能性がある。また、20mmを超えると超音波の空中での減衰が大きく感度が低下してしまうため、5mmから20mmが好ましく用いられる。より好ましくは10mmから15mmの距離が好ましい。
これにより、空孔を形成する延伸手段15の下流で空孔率の均一が保たれるようにシート搬送方向において空孔率を連続的に測定している。空孔率測定用の超音波測定器1は、シート幅方向にスキャンさせてもよいし、複数個の超音波測定器1を配置しても良い。シート幅方向にスキャンさせる場合は、速度10mm/秒程度で行う。
【0043】
多孔性樹脂シートの製膜速度は10m/分〜80m/分である。本発明の空孔率測定装置は、製膜工程でインライン測定できるように設置したのでシート全長に渡り、連続的に空孔率の測定が可能で、品質の均一化の達成や品質管理が行える。従来、空孔率や透気抵抗は、シートをロール上に巻き上げてから表層を巻きだし製品からオフラインで測定していた。このため、製品のロスが発生することがあったが、本発明により長手方向のオンラインプロセスモニタとして異常を早期発見でき成製品のロスを小さくすることができる効果がある。
【0044】
本発明の空孔率測定が適用される空孔率は、20%から80%である。80%を超えると、フィルムの機械強度が低くなりすぎて、ロールに巻取った状態での保管時にロールの巻芯でフィルム自重によりフィルムが圧縮され、セパレーターとして使用する際の強度が得られない場合がある。より好ましくは、65〜75%であればなおよい。
【0045】
本発明における多孔性ポリプロピレンフィルムは、セパレーターとして用いた際に優れた電池特性と安全性を両立する観点から空孔の直径は20〜300nmであることが好ましい。空孔の直径が20nm未満では透気抵抗が高くなり、イオン透過時のエネルギーロスが大きくなる場合があるからである。反対に、空孔の直径が300nmを超えると、イオンが過剰に透過する場合がある。よって、空孔の直径として20以上300nm以下であればより好ましい。
【0046】
本発明における好適に使用される多孔性ポリプロピレンフィルムは、フィルム総厚みが5〜50μmであることが好ましい。多孔性樹脂シートの膜厚は、電池のエネルギー密度や安全性の点から、好ましくは5〜35μm、さらに好ましくは5〜25μmである。膜厚が5μm未満の場合、絶縁性が十分でなく、安全性を確保することが困難となり好ましくない。また、膜厚が50μmより大きい場合、電池のエネルギー密度が低くなるため好ましくない。
【0047】
また、本発明における多孔性ポリプロピレンフィルムは、組成の異なる、もしくは同一組成からなる複数の層を積層してなる積層フィルムであってもよい。積層フィルムとすると、フィルム表面特性とフィルム全体の特性を好ましい範囲に個別に制御できる場合があるので、好ましい。なお、積層厚み比は、本発明の効果を損なわない範囲において制限されない。突刺強度は2.5N/20μm以上であるが、好ましくは2.8N/20μm以上、さらに好ましくは3.0N/20μm以上である。突刺強度が2.5N/20μmよりも低いと安全性と取り扱い時のハンドリングに問題がある。
【0048】
このように測定された製品は、一旦巻き上げられたあと、最終製品の幅は、使用する用途、蓄電デバイスであればそのサイズに合わせて適切な幅に合わせて二次スリットすることが好ましく、0.005〜1m幅、より好ましくは0.01〜0.5m幅とすることが好ましい。
【0049】
本発明の多孔性ポリプロピレンフィルムロールは透気性や空孔率に優れるだけでなく、透気性や空孔率のバラツキが極めて小さいので、蓄電デバイス用セパレーターに使用した際に蓄電デバイス間の特性バラツキが小さく、均一な品質を得ることができる。したがって、特に電気自動車などで用いる大型リチウムイオン二次電池のセパレーターとして特に好ましく用いることができる。
【実施例】
【0050】
以下、実施例を用いて本発明の実施形態の一例を説明する。各種の測定は以下の通り行った。
(1)透気抵抗の測定
製膜後の多孔性樹脂シートを切りだし、JIS P 8117(紙及び板紙−透気度試験方法−ガーレー試験機法)に準拠したガーレー試験機とその測定方法を使用した。また、その際のガーレー試験機のガスケット内径は28.6mmとし、100mLの空気を透過させた。100mLが透過する時間を測定し、透気抵抗[sec/100mL]とした。
(2)空孔率の測定
多孔性樹脂シートを100mm角に切りだし、溶融温度より高い温度150℃で5MPaの加圧で気泡のないシートを得た。この樹脂シートの重量と体積を求め、密度dを算出した。その結果、ポリプロピレン樹脂からなるシートの密度は0.92g/cmであった。100mm角に切り出した多孔性樹脂シートを電子比重計を用いて比重ρを測定した。電子比重計は、ミラージュ貿易(株)製SD−120Lを用いた。多孔性樹脂シートの比重ρと樹脂の密度dから、以下の式により空孔率を算出した。
【0051】
空孔率(%) = 〔( d − ρ ) / d 〕 × 100
なお、多孔性樹脂シートの厚みは、東洋精機製の微小測厚器(タイプKBN、端子径Φ5mm、測定圧62.47kPa)を用いて、雰囲気温度23±2℃で測定した。
(3)空孔の大きさ
多孔性樹脂シート試料を空孔がつぶれないように処理を行い、電子顕微鏡観察した結果から画像処理にて空孔の大きさと分布を算出した。
(4)超音波空孔率測定
検量線作成は、(2)で得た空孔率と(3)で得た空孔の大きさが既知のサンプルを用いてオフラインで実施した。検量線や検量するための周波数特性グラフは、空孔率40%、50%、60%、70%のサンプルを使用した。また、空孔の直径は、空孔率40%で中心値が50nm、空孔率70%75nmを使用した。検量線を作成する超音波測定は以下のように行った。検量線はオフラインで切り出したシートを固定して実施した。空中超音波素子として、型番は3K12.7NR10(ジャパンプローブ社製)で発信と受信装置は同じ素子を対向させた。超音波は発振周波数の中心が300kHzで、パルス発振したチャープ波の周波数は10kHzから2MHzとした。超音波発振手段21の発振部21と超音波受信手段3の受信部31を16mmの間隔をあけて設置し、多孔性樹脂シートをほぼ中央に配置した。多孔性樹脂シートにパルス状のチャープ波を20μsec間隔でパルス発信し、受信したパルス波形を1000回積算して試料の透過波形Aを得た。さらに、多孔性樹脂シートのない状態つまり、多孔性樹脂シートを取り除いて同様の測定を行い、リファレンス透過波形Bを得た。A/Bの値を周波数解析して、横軸に10kHzから1MHzの周波数をとった。雰囲気温度23±2℃で測定した。
【0052】
また、10kHz、100kHz、1MHzの周波数成分の位相速度を求めた。位相速度は、周波数毎に正弦波で回転する角速度をω[rad/秒]とし、外周で1秒間に移動した距離、すなわち長さにおける位相の進行度合いを波数κ[rad/μm]とし、位相速度VpをVp=ω/κ[μm/秒]から求めた。以上のようにして、空孔率と超音波の透過強度、伝播速度の変化の相関性を表す検量線(周波数解析グラフ)を作成した。
【実施例1】
【0053】
超音波空孔率測定装置は、図3に示す通り、製膜工程の横延伸工程15の下流で、超音波発振手段21の発振部21と超音波受信手段3の受信部31を16mmの間隔をあけた。温度23℃湿度50%の環境に設置した。このとき、超音波が温度の影響を受けるため、発信部と、受信部をカバーするようにアクリル製のボックスに入れ、温度管理を行った。
【0054】
ポリプロピレン樹脂として、MFR8g/10分の市販のホモポリプロピレン樹脂94質量部、同じく市販のMFR2.5g/10分高溶融張力ポリプロピレン樹脂1質量部、さらにメルトインデックス18g/10分の超低密度ポリエチレン樹脂5質量部にN,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミド0.2質量部を混合し、二軸押出機10を使用して予め所定の割合で混合した原料を準備する。この際、溶融温度は270〜300℃とすることが好ましい。次に、上述の混合原料を220℃にて溶融押出を行った。口金12よりキャストドラム上13に吐出し、未延伸シートを得る。この際、キャストドラム13は表面温度が120℃とし、キャストフィルムのβ晶分率を高く制御した。シートをドラムへ密着させるためにエアナイフを用いて空気を吹き付ける方法を採用した。このようにして得られた未延伸シートを二軸延伸してフィルム中に空孔を形成する。二軸延伸の方法としては、フィルム長手方向に延伸後幅方向に延伸、あるいは幅方向に延伸後長手方向に延伸する逐次二軸延伸法、またはフィルムの長手方向と幅方向をほぼ同時に延伸していく同時二軸延伸法などを用いることができるが、逐次二軸延伸法を採用し、長手方向に5.2倍延伸後、幅方向に7倍延伸した。製膜速度は35m/分であった。
【0055】
以上のような条件で製膜、延伸を行った多孔性ポリプロピレンフィルムについてクリップで把持していたフィルム端部をトリミングしてフィルムの中央部のみをコアに巻きつけてシートロール体を得た。巻き取り長さは、4000mであった。
【0056】
超音波測定器1は、シート幅方向の中央部に設置した。搬送される多孔性樹脂シートを連続して測定した。使用した超音波素子の構成は、上記(4)超音波空孔率測定と同等とした。使用したチャープ波も同等とした。超音波測定結果を周波数解析し、あらかじめ得た検量線と、透過した超音波波形の周波数解析グラフの近似性から、空孔率を55%と推定できた。測定のばらつきは、+/−5%であった。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、超音波を用いて気孔率又は気孔径を測定する方法に関するものである。さらに詳しくいえば、本発明は、固体材料に入出力センサを取り付けて超音波を発信させ、その応答波形を分析することによって、該材料を破壊せずに、材料内部に存在する気孔の気孔率、平均気孔径を測定する方法に関するものである。
【符号の説明】
【0058】
1 超音波測定器
2 超音波発振手段
21 放射部
22 発振用駆動回路
3 超音波受信手段
31 受信部
32 受信回路
4 制御部
5 記録部
10 混錬押出手段
11 押出手段
12 口金
13 キャストドラム
14 シート移動方向延手段
15 シート幅方向延伸手段
16 シート巻き取り部(ワインダー)
17 シート厚み計
US 空中超音波
S 多孔性樹脂シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート内部に多数の空孔を有する多孔性樹脂シートにおいて、空中に発信された10kHzから2MHzの超音波を前記多孔性樹脂シートに透過させ、空孔での散乱を含む透過音波を受信し、前記多孔性樹脂シートの空孔率を測定することを特徴とする、多孔性樹脂シートの空孔率測定方法。
【請求項2】
周波数の異なる超音波を前記多孔性樹脂シートに発信し、受信した超音波波形を周波数毎の音速測定結果において、前記多孔性樹脂シートの厚みより波長が長い超音波を用い、周波数毎の位相速度の変化から多孔性樹脂シートの空孔率を測定することを特徴とする、請求項1に記載の多孔性樹脂シートの空孔率測定方法。
【請求項3】
周波数の異なる超音波を前記多孔性樹脂シートに発信し、受信した超音波波形の周波数毎に減衰量測定結果を用い、多孔性樹脂シートの空孔率を測定することを特徴とする、請求項1に記載の多孔性樹脂シートの空孔率測定方法。
【請求項4】
前記空孔率が樹脂量の重量に対して、40%以上80%以下を測定することを特徴とする請求項1または2に記載の多孔性樹脂シートの空孔率測定方法。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の多孔性樹脂シートの空孔率測定結果と、あらかじめ求めた空孔率と透気抵抗の関係を用いて、多孔性樹脂シートの透気抵抗を測定することを特徴とする多孔性樹脂シートの透気度測定方法。
【請求項6】
透気抵抗80秒以上400秒以下を測定することを特徴とする、請求項5に記載の多孔性樹脂シートの透気度測定方法。
【請求項7】
樹脂をシート状に成型し、連続的に製膜する多孔性樹脂シートの製造方法であって、シート成型した後延伸した状態で、前記請求項1から4のいずれかに記載の多孔性樹脂シートの空孔率測定方法を備えることを特徴とする、多孔性樹脂シートの製造方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−44536(P2013−44536A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−180184(P2011−180184)
【出願日】平成23年8月22日(2011.8.22)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】