説明

多層ポリウレタン保護膜

多層保護膜は、第1の層、第2の層及びPSA層を含む。前記第1の層は、少なくともポリエステルベースのポリウレタン、ポリカーボネートベースのポリウレタン又は両方の組み合わせ若しくはブレンドである。前記第2の層は、少なくともポリカプロラクトンベースの熱可塑性ポリウレタンを含む。前記PSA層は、感圧接着剤を含む。前記第1の層の1つの主表面を、前記第2の層の1つの主表面に結合させ、且つ前記PSA層を前記第2の層の反対側主表面に結合させて、前記第2の層が前記第1の層と前記PSA層との間に挟まれるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面を保護するために使用される多層膜、特に、乗り物(例えば、自動車、航空機、船など)の表面(例えば、塗面)を保護するために使用されるような膜、及びより具体的には、感圧接着剤で裏加工され且つポリウレタン層を熱可塑性ポリウレタン層の最上部に有するような多層保護膜に関する。本発明は更に、乗り物、又はその本体部分で、多層膜で保護されているもの並びに多層保護膜の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
1つ以上のポリウレタン材料の層を含む多層膜が知られている。これらの膜のいくつかは、米国特許第6,607,831号、米国特許第5,405,675号、米国特許第5,468,532号及び米国特許6,383,644号並びに国際(PCT)特許出願番号PCT/EP93/01294(即ち、PCT国際公開特許WO 93/24511)に開示されている。これらの膜のいくつかは、表面保護の用途に使用されてきた。例えば、選択された車体部品の塗面を保護するために使用されてきた実際の膜製品としては、3M社(ミネソタ州、セントポール)製の多層膜(製品名、スコッチカル(Scotchcal)(登録商標)、高性能保護膜、PUL0612、PUL1212及びPUL1212DC)が挙げられる。これら3M社製の膜製品は各々、感圧接着剤(PSA)にて主表面の1つを裏加工し且つ水系ポリエステルポリウレタン層で反対側主表面を被覆した熱可塑性ポリエステルポリウレタン層を含む。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、このような多層保護膜技術における改善である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一態様によれば、多層保護膜は第1の層、第2の層及びPSA層で構成される。前記第1の層は、主として溶剤系又は水系ポリウレタンから構成され、又は少なくともそれらを含む。前記ポリウレタンは、ポリエステルベースのポリウレタン、ポリカーボネートベースのポリウレタン又は両方の組み合わせ若しくはブレンドである。前記第2の層は、主としてポリカプロラクトンベースの熱可塑性ポリウレタンから構成され、又は少なくともそれを含む。前記PSA層は、感圧接着剤、さらに好ましくは室温で粘着性であるものを含む。前記第1の層の1つの主表面を、前記第2の層の1つの主表面に結合させ、且つ前記PSA層を前記第2の層の反対側主表面に結合させて、前記第2の層が前記第1の層と前記PSA層との間に挟まれるようにする。
【0005】
前記第1の層内で使用されるポリウレタンは、少なくともわずかに架橋されたポリウレタンであり、高度に架橋された又は熱硬化性樹脂ポリウレタンではないことが望ましい。前記ポリウレタンは、1つ以上のポリオールと1つ以上のジイソシアネートを含む成分の反応生成物であることができる。好ましくは、1つ以上のジイソシアネートと1つ以上のトリイソシアネートの混合を使用する。本発明の多層膜内に脂肪族物質を使用することにより、改善された性能が得られた。例えば、本発明の膜に、脂肪族ポリウレタン、脂肪族ポリカプロラクトンベースの熱可塑性ポリウレタン又は両方を使用するのが望ましい。ポリウレタンの製造においては、脂肪族構成成分を使用することも望ましい。
【0006】
本発明の膜は、乗り物本体部分の表面に沿う様なサイズと形状にすることができる。
【0007】
本発明の別の態様では、本明細書中に記載する多層保護膜によって保護された塗面を有する乗り物本体部分が提供される。
【0008】
本発明の追加の態様では、そのような保護された本体部分を含む乗り物(例えば、自動車、航空機、船など)が提供される。
【0009】
本発明の別の態様では、多層保護膜の作成方法が提供される。本方法は、(a)第1の層を形成すること、(b)第2の層を形成すること、(c)感圧接着剤を含むPSA層を形成すること、(d)第1の層の1つの主表面を、第2の層の1つの主表面に結合させること、及び(e)PSA層を第2の層の反対側主表面に結合させることから構成される。前記第1の層は、主として溶剤系又は水系ポリウレタンから構成され、又は少なくともそれらを含む。前記ポリウレタンは、ポリエステルベースのポリウレタン、ポリカーボネートベースのポリウレタン又は両方の組み合わせ若しくはブレンドである。前記第2の層は、主としてポリカプロラクトンベースの熱可塑性ポリウレタンから構成され、又は少なくともそれを含む。前記PSA層は、感圧接着剤、さらに好ましくは室温で粘着性であるものを含む。各層は、共に結合されて、前記第2の層が前記第1の層と前記PSA層との間に挟まれるようにする。
【0010】
前記第2の層の反対側主表面を事前にコロナ処理して、前記PSA層との結合を改善することができる。
【0011】
第1の層を形成する方法の工程は、水性ポリウレタン分散体又は溶剤系ポリウレタン溶液を剥離可能な支持ウェブ又はライナー上にキャスティング又は別の方法でコーティングすることを更に含むことができる。第2の層を形成する方法の工程は、前記ポリカプロラクトンベースの熱可塑性ポリウレタンを昇温にてダイを通して押し出して、第2の層を形成することを更に含むことができる。前記第1の層を前記第2の層へ結合する方法の工程は、前記第1の層の1つの主表面を前記第2の層の1つの主表面にラミネート加工し、前記第2の層の押出加工後且つ前記第2の層の少なくとも1つの主表面が、又は前記第2の層及び前記第1の層の両方が、室温より十分に高い温度である間に、前記第1の層と前記第2の層との間に適切な結合を促進することを更に含むこともできる。
【0012】
前記第1の層を前記第2の層へ結合する方法の工程は、あるいは、少なくとも前記第2の層の1つの主表面、少なくとも前記第1の層の1つの主表面、又は前記第1の層及び前記第2の層の両方の1つの主表面を昇温まで加熱すること、並びに前記第2の層を剥離可能なライナー上に押出加工、キャスト又はコーティング、ないしは別の方法で形成した後に、前記第1の層の1つの主表面を前記第2の層の1つの主表面にラミネート加工することを含むことができる。加熱は、ラミネート加工の前及び/又はその最中に行うことができる。前記昇温は、前記ラミネート加工中に、前記第1の層と前記第2の層との間で適切な結合を促進するように、室温より十分高い。本結合方法は、前記第1の層の少なくとも1つの主表面及び前記第2の層の1つの主表面がほぼ室温又は少なくとも前記第1の層と前記第2の層の間に適切な結合を促進することができない程に低温である場合に、有用であり得る。
【0013】
本発明の他の特徴及び利点は、本発明の実施形態についての以下の説明及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明は、本明細書にて特定の実施形態の観点から記載されるが、本発明の精神から逸脱することなく、各種変更、再構成、及び修正を行うことができることは、当業者には極めて明らかである。
【0015】
本発明の多層保護膜は、第1の層又はPU層、第2の層又はTPU層及びPSA層で構成されている。前記PU層は、主として溶剤系又は水系ポリウレタンから構成され、又は少なくともそれらを含み、前記ポリウレタンは、ポリエステルベースのポリウレタン、ポリカーボネートベースのポリウレタン又は両方の組み合わせ若しくはブレンドである。前記水系ポリウレタンは、水性ポリウレタン分散体(即ち、PUD)から調製することができ、且つ前記溶剤系ポリウレタンは、溶剤系ポリウレタン溶液(即ち、PUS)から調製することができる。揮発性溶剤の排除は典型的には、PUSの使用に付随するため、PUDを使用することが好ましい。前記TPU層は、主としてポリカプロラクトンベースのTPU(即ち、熱可塑性ポリウレタン)から構成され、又は少なくともそれを含む。前記PSA層は、感圧接着剤、さらに好ましくは室温で粘着性であるものを含む。前記PU層を前記TPU層の1つの主表面に結合し、且つ前記PSA層を前記TPU層の反対側主表面に結合して、前記TPU層が前記PU層及び前記PSA層の間に挟まれるようにする。
【0016】
優れた結果が、本発明の多層膜によって得られ、これにはポリカーボネートベースのポリウレタン又はポリエステルベースのポリウレタンを使用するPUD層が含まれる。優れた結果は、同様にポリカーボネートベースのポリウレタン又はポリエステルベースのポリウレタンを使用するPUS層によっても得られると考えられている。ポリカーボネートベースのポリウレタンを使用するPUD層は、ポリエステルベースのポリウレタンを使用するPUD層によって得られるものよりも優れた結果を示すこともまた見出された。ポリエステルベースのポリウレタンを使用するPUS層と比較した場合、ポリカーボネートベースのポリウレタンを使用するPUS層によっても同様に優れた結果が得られると考えられている。
【0017】
前記ポリウレタンは、1つ以上のポリオール部分と1つ以上のジイソシアネート部分の反応生成物であることができる。1つ以上のトリイソシアネート部分は、ジイソシアネートと共に使用するのが望ましい。反応構成成分の総重量を基準にして、ジイソシアネートと共に使用するトリイソシアネート部分が約10重量%以下であることが望ましいということがわかった。前記ポリオールは、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール又は両方の組み合わせである。優れた結果が、ポリカーボネートポリオールを使用して得られた。ジイソシアネート例えば、イソホロンジイソシアネート、ビス(4−イソシアナト−シクロヘキシル)メタン又は両者の組み合わせを使用するのが望ましいことも見出された。
【0018】
改善された性能が、本発明の多層膜に脂肪族物質例えば、脂肪族水系ポリウレタン、脂肪族ポリカプロラクトンベースの熱可塑性ポリウレタン又は両方を使用することにより得られた。改善された性能は、脂肪族物質を溶剤系例えば、脂肪族溶剤系ポリウレタンなどを使用することにより同様に得られると考えられている。このため、ポリウレタンの調製においては、脂肪族ポリオール、脂肪族ジイソシアネート及び脂肪族トリイソシアネートの1つ又はそれらの組み合わせを使用することが望ましい。優れた結果は、例えば脂肪族ポリカーボネートポリオールをPUD層内に使用して得られた。優れた結果は、例えば脂肪族ポリカーボネートポリオールをPUS層内に使用しても得られると考えられている。
【0019】
少なくともわずかに架橋したポリウレタンではあるが熱硬化性ポリウレタンではないポリウレタンを使用することが、本発明の多層膜には望ましいということが見出された。本発明で使用する場合、わずかに架橋したポリウレタンは、十分な昇温に加熱した時、ポリウレタン層を熱可塑性ポリウレタン層へラミネート加工した際、「テープスナップ接着力試験」に合格するだけの十分に強力な結合を形成するのに少なくとも十分な融解又は少なくとも十分な柔軟化を示すことができるものの1つである。一方、本発明で使用する場合、熱硬化性ポリウレタンは高度に架橋しているために、加熱時に十分な量の融解又は柔軟化を示さない。即ち、熱硬化性ポリウレタンは一般に、融解又は柔軟化するのではなくむしろ燃焼し、且つ熱硬化性ポリウレタン層を熱可塑性ポリウレタン層にラミネート加工した際に、たとえ熱可塑性ポリウレタンをラミネート加工する前に加熱したとしても、「テープスナップ接着力試験」に合格するだけの十分強い結合を形成しない。
【0020】
本発明の多層膜は、主に前記PSA層が室温(即ち、約22〜24℃(75°F))で粘着性である感圧接着剤から構成され、又は少なくともそれを含む際には、より適用が容易である。
【0021】
本発明に係る多層膜は、塗料保護用途の場合、典型的には透明であるが、更に半透明の場合もある。本発明に係る多層膜は、他の表面保護又は強化用途のために、透明、半透明、又は更に不透明であってもよい。いくつかの用途のためには、本発明の多層膜が有色であることが望ましい場合がある。本発明の膜は、例えば1つ以上の当該膜が色素又は他の着色剤を更に含むことで着色されている場合もある。
【0022】
例えば、塗料保護膜として使用する場合、本発明の多層膜は当該膜を適用する前に、保護される表面に沿う様なサイズと形状にするのが望ましい。予め寸法及び形状が整えられた本発明の多層膜片は、例えば自動車、航空機、船等の乗り物の各種本体部分、特に飛んでくる破片(例えば、砂、石など)、昆虫類などの危険に晒される車体(例えば、前側フードの先端及び他の先端表面、ロッカーパネル等)の塗面保護のために商業的に望ましい。
【0023】
製造方法
本発明の多層保護膜の作成方法は、(a)第1の層又はPU層を形成すること、(b)第2の層又はTPU層を形成すること、(c)PSA層を形成すること、(d)PUD層の1つの主表面を、TPU層の1つの主表面に結合させること、及び(e)前記PSA層を前記TPU層の反対側主表面に、当該TPU層が前記PU層及び当該PSA層の間に挟まれるように結合させる(例えば、コロナ処理及び熱的ラミネート加工、コーティングあるいは接着するように感圧接着剤を適用することによって)ことを含み、。前記PU層は、主として水性ポリウレタン分散体(即ち、PUD)又は溶剤系ポリウレタン溶液から調製されるポリウレタンから構成され、又は少なくともそれらを含むことができる。前記ポリウレタンは、ポリエステルベースのポリウレタン、ポリカーボネートベースのポリウレタン又は両方の組み合わせ若しくはブレンドであり得る。前記TPU層は、主としてポリカプロラクトンベースのTPU(即ち、熱可塑性ポリウレタン)から構成され、又は少なくともそれを含む。前記PSA層は、感圧接着剤、さらに好ましくは室温で少なくとも幾分粘着性であるものを含む。
【0024】
本発明の方法の実施に際して、前記PU層は例えば、水性分散液又は溶媒溶液混合物を剥離可能な支持ウェブ又はライナー上にキャストするかあるいはコーティングするなどの従来方法を用いて形成され得る。当業者は、剥離可能な支持ウェブ上に既知の技術を使用して、本発明の水性分散液又は溶媒溶液混合物をキャストするかあるいはコーティングすることができる。適した担体としては、2軸配向ポリエステルなどの膜及びポリウレタン組成物から放出可能な組成物でコーティング又は印刷された紙を挙げることができる。このようなコーティングとしては、ポリアクリル酸類、シリコーン、及びフルオロケミカル類から形成されるものが挙げられる。前記水性分散液又は溶媒溶液混合物は、ナイフコーター、ロールコーター、リバースロールコーター、ノッチバーコーター、カーテンコーター、輪転グラビアコーター、輪転印刷機等の当業者には既知の従来装置を使用して、支持ウェブ上にコーティングすることができる。前記水性又は溶剤混合物の粘度は、使用するコーターの種別に応じて調整することができる。次に、コーティングされた混合物中の水又は溶剤は、例えば乾燥などによって除去される。
【0025】
前記PU層は、例えば、水性PUD(即ち、ポリウレタン分散体)又は溶剤PUS(即ち、ポリウレタン溶液)を、平滑表面を有する、速やかに剥離可能な支持ウェブ又はライナー(例えば、ポリエステル支持ウェブ)上にキャスティングあるいはコーティングすることによって形成することができる。平滑表面(この上に水性PUD又は溶剤PUSを適用する)を有するこのような支持ウェブ又はライナーを使用することにより、結果として得られるPU層は、剥離可能な支持ウェブ又はライナーの滑らかな主表面上にキャスティングされ、乾燥あるいは硬化され且つ当該支持ウェブが取り外された外観を持つ、露出した主表面を示すことができる。対照的に、前記PU層が例えば、当該PU層を前記TPU層の1つの主表面上にキャスティング又はコーティングする等により、外気で乾燥又は硬化された場合には、当該PU層の露出した主表面が同一の滑らかな外観を示さない。
【0026】
前記TPU層は、前記ポリカプロラクトンベースのTPU(即ち、熱可塑性ポリウレタン)を昇温にて、押出成形ダイを通して押し出すことにより形成することができる。前記TPU層も又、前記ポリカプロラクトンベースのTPUを所望の形状へ、キャスティングあるいはモールディング(例えば、射出成形)することにより形成してよい。
【0027】
前記PU層とTPU層は、例えば昇温且つ高圧にて、層をラミネート加工することによって、一緒に結合させることができる。例えば、前記PU層の1つの主表面は、前記押出TPU層の1つの主表面に加圧下にてコールドラミネーションすることができ、一方で少なくとも前記TPU層の1つの主表面、又は前記TPU層及び前記PU層の両方が、前記PU層及び前記TPU層の間で適切な結合を促進するに十分なだけの昇温にある。本明細書で使用する時、コールドラミネーションとは、2つのニップ表面(nip surface)間で一緒にラミネート加工する層が、ほぼ室温又は周囲温度の環境(即ち、各層がラミネーションプロセス中に意図的に熱環境に維持されない)にあることを言う。ニップ表面は、2つのニップローラー、1つの静止ニップ表面(例えば、平面板又は曲面板の低摩擦表面)及び1つのニップローラー、又は2つの静止ニップ表面であってよい。ラミネーションプロセスは、周囲温度未満の環境(即ち、前記ラミネーションプロセス中に、各層が意図的に冷却される)にて実施されてもよい。ポリウレタン層の露出した主表面(即ち、ニップ表面が接触する主表面)を冷却するために、例えば、ニップ表面の1つ又は両方を周囲より低い温度まで冷却することができる。このような冷却された表面を使用することで、前記ラミネーションプロセスに起因する各層の反りを除去し、又は少なくとも減らす手助けをすることができる。同時に、前記各ポリウレタン層間の界面にて接触する主表面は、ニップ表面に作用するラミネーション圧力によって共に十分に結合するのに足りるだけ長い間、昇温に保持される。このようなコールドラミネーションは、予め形成されたPU層上に直接、新たに押出加工されたTPU層をラミネート加工することによって達成することができ、一方、TPU物資は依然として押出成形プロセスからのかなりの熱を保持している。前記PU層は典型的には、依然として放出可能に前記支持ウェブ又はライナーに結合され、追加の構造強度を提供する。
【0028】
或いは、ホットラミネーションプロセスを使用して、前記PU層の1つの主表面を前記押出TPU層の1つの主表面へ結合させることもできる。本プロセスでは、前記PU層と前記TPU層の両方の初期温度が、ほぼ室温又は少なくとも前記PU層及び前記TPU層間の適切な結合を促進するには低すぎる温度である。次に、少なくとも前記TPU層の1つの主表面、少なくとも前記PU層の1つの主表面、又は前記PU層及び前記TPU層の両方の1つの主表面は、室温より十分に高い昇温まで加熱され、前記PU層及び前記TPU層間で、ラミネーション圧力下にて、適切な結合を促進する。前記ホットラミネーションプロセスでは、前記各層はラミネーション圧力の適用前又はその最中に加熱される。ホットラミネーションプロセスを使用する場合、追加の構造支持体によって押し出されたばかりのTPU層を提供するために、前記TPU層の主表面は典型的には、速やかに剥離可能な支持ウェブ又はライナー(例えば、ポリエステル支持ウェブ)に対して、前記TPU層押出後、直接的に剥離可能にラミネート加工される。
【0029】
コールドラミネーションプロセス又はホットラミネーションプロセスのいずれかを使用して、各層を結合するための許容可能な最低温度及び最低圧力は、少なくとも約93℃(200°F)の温度及び少なくとも約0.10MPa(15lb/インチ又はpsi(10.3N/cm))の圧力である。
【0030】
前記TPU層と前記PSA層間の結合を促進するため又は少なくとも改善するためには、コロナ処理(例えば、空気又は窒素コロナ処理)し且つ前記PSA層に結合させる前記押出TPU層の主表面を熱的にラミネート加工することが望ましい。これを完了させるためには、前記TPU層の主表面(これは、前記PU層と接触していない)を露出させ且つ次にコロナ処理する。ホットラミネーションプロセスが使用された場合(即ち、前記TPU層が剥離可能な支持ウェブ又はライナー上に押出加工された場合)、前記支持ウェブ又はライナーは、最初に前記TPU層を取り除かなければならない。
【0031】
図1を参照すると、本発明の原則に従う、例示の多層膜10は、少なくとも第1の又はPU層12、第2の又はTPU層14及び第3の又はPSA層16を含む。任意の剥離可能な支持ウェブ又はライナー18は、前記PU層12の表面を保護するように、剥離可能に結合することができる。前記膜10が、前記PSA層16を保護するように剥離可能に結合された、別の剥離ライナー20も含むことが望ましい。
【実施例】
【0032】
テープスナップ接着力試験
本試験は、各種条件への曝露後に、膜構成がいかに良好に共にとどまっているかの指標を提供する。感圧性接着剤でコーティングしたポリウレタン構造体の試料を、塗装パネルに付着させて、室温で24時間エージングさせた。次に、以下に記載される各条件を使用して、別個のパネルをエージングする。
【0033】
・浸水−パネルを40℃の水浴に7日間浸漬する。
【0034】
・噴霧チャンバ−パネルを約30度の角度のラック上でエージングし、且つ7日間、38℃にてチャンバ内で100%凝結に晒す。
【0035】
・塩水噴霧−パネルをラック上に約30度の角度で置き、且つ7日間、35℃にて、5%塩化ナトリウム溶液を使用して、塩水噴霧チャンバ内で晒す。
【0036】
エージング後、必要であれば前記パネルを乾燥させ、次に室温(約22℃)にて24時間、コンディショニングする。次に、前記膜をかみそりの刃でクロスハッチングして、各々約1mmX1mmの寸法の約20個の正方形で出来た格子を形成する。610テープ(3M社(ミネソタ州、セントポール)から入手可能)の細長い一片を、前記クロスハッチングした領域に指で強く押し当てながら付着させ、次に当該テープを素早く引っ張って剥がす。試料は、合格(上記テープを取り除いた後に、いかなる正方形の層間剥離又は水疱形成が膜に観察されなかった場合)又は不合格(少なくとも1つの正方形がテープと共に除去されたり、又は水疱形成がテープ除去後に観察された場合)と評価される。
【0037】
染み及び変色試験
本試験は、異なった自動車用流体に晒した際に、膜が示す変色量の評価である。前記膜又は前記ポリウレタン構造体を、試験用パネルに付着させる。流体の一滴を前記膜の上に置き、24時間エージングする。前記流体を軽油で洗浄し、前記流体の各々について変色を視覚的に検査する。合格とは、変色が視覚的に全く観察されなかったことを意味し、不合格とはその変色が観察されたことを意味する。前記パネルは、比色計を使用して測定し、変色を決定することもできる。試験用流体は、グリース、タール、トランスミッション液、潤滑油、燃料油、ディーゼル油、ギア油、及びSUNOCO潤滑油/グリースであった。
【0038】
実施例1〜3
水性ポリウレタンコーティング分散体は、83.78グラムの水系、ポリカーボネートベースのポリウレタン分散体(Alberdingk Boley社(ノースカロライナ州、シャーロット)から入手可能なALBERDINGK U933)、0.03グラムのpH調整剤(アンガス・ケミカル社(Angus Chemical Co.)(イリノイ州、バッファローグローブ)からのAMP−95として入手可能なアミノメチルプロパノール)、0.19グラムのスルホスクシネート型アニオン性界面活性剤(ダウケミカル社(ミシガン州、ミッドランド)から入手可能なトリトンGR−7M)、8.47グラムのブチルカルビトール(イーストマン・ケミカル社から入手可能)、1.08グラムの2−エチルヘキシル−α−シアノ−α、β’−ジフェニルアクリレート紫外線吸収体、及び0.45グラムの光安定剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社(Ciba Specialty Chemicals)からチヌビン(TINUVIN)123として入手可能なアミノエーテル官能性部を主成分としたヒンダードアミン系光安定剤)、を混合することによって調製した。前記分散体を脱イオン水で希釈し、粘度を70cpsから180cpsの間に維持した。コーティング直前に、1.30%の架橋剤(NEOCRYL CX−100としてネオレジン社(オランダ、ワールワイク)(DSMの事業単位))から入手可能なアジリジン架橋剤を攪拌しながら添加した。前記分散体を、ポリエステル支持ウェブ上へ約50ミクロンの厚さでコーティングした。前記のコーティングされた分散体を乾燥させ、引き続いて別個のオーブン内にて約0.5分間ずつ硬化させた。前記オーブン温度は、第1、第2、及び第3オーブンのそれぞれについて、121℃、149℃、及び163℃に設定した。結果として得られる透明の膜は、約11〜12ミクロンの厚みであった。熱可塑性ポリウレタン(TECOFLEX CLA 93A−Vとして、ノベオン社から入手可能なカプロラクトンベースのポリウレタン)を、150ミクロンの厚さに押し出し、且つ冷却ロールに対するバックアップロールのニップの間で、当該押出品を透明の膜にラミネート加工した。前記ラミネートを冷却後、前記熱可塑性ポリウレタン膜の反対側を1キロワットで空気中でのコロナ処理を行い、且つ紙剥離ライナー上で、121℃(250°F)にて、アクリル系感圧性接着剤へ熱的にラミネート加工して、ポリウレタン構造体を形成した。
【0039】
熱可塑性ポリウレタン膜をそれぞれ200ミクロン及び300ミクロンの厚みにした点を除いて、実施例2及び3を同様に調製した。
【0040】
各実施例のポリウレタン構造体は、前述したテープスナップ接着力試験のエージング後、透明塗料の前記押出熱可塑性ポリウレタンへの接着性を試験した。全ての試料が合格となった。ポリウレタン構造体もまた、全ての流体について、染み及び変色試験に合格した。
【0041】
実施例4
ポリウレタン構造体は、前記透明膜のために使用した分散体が8.28グラムのブチルカルビトール、0.39グラムのチヌビン−123光安定剤、及び0.26グラムの界面活性剤(Byk−Chemie社(コネチカット州、ウォリンフォード)からBYK−331として入手可能なシリコーン系界面活性剤)を有する以外は、前記実施例1の手順に従って調製した。結果として得られる構造体は、全ての流体についての染み及び変色試験に加えて、3つ全てのエージング条件後にテープスナップ接着力試験に合格した。
【0042】
実施例5
熱可塑性のカプロラクトンベースのポリウレタン(Tecoflex CLA 93A−V)を、ポリエステル支持ウェブ上にて約150ミクロンの厚さに押し出し、室温まで冷却した。実施例1に記載されている水系ポリウレタン分散体から調製した透明膜を、121℃に設定され、ニップ圧力を30psiに設定した、ニップロールを使用して、前記熱可塑性ポリウレタン膜にラミネート加工した。押し出された熱可塑性ポリウレタン上のポリエステル支持ウェブを取り除き、熱可塑性ポリウレタンの表面を1キロワットにて空気中でのコロナ処理を行い、且つ紙剥離ライナー上のアクリル系感圧性接着剤へ121℃(250°F)にて熱的にラミネート加工した。結果として得られる構造体は、全ての流体についての染み及び変色試験に加えて、全てのエージング条件後にテープスナップ接着力試験に合格した。
【0043】
実施例6
ポリウレタン構造体を、押出ポリウレタン膜を空気中でコロナ処理を行い且つアクリル系感圧性接着剤へまずラミネート加工し、次に前記透明膜にラミネート加工した以外は、実施例5の手順に従って調製した。結果として得られる構造体は、全ての流体についての染み及び変色試験に加えて、全てのエージング条件後にテープスナップ接着力試験に合格した。
【0044】
実施例7
水性ポリウレタンコーティング分散体は、89.30グラムのポリカーボネートベースのポリウレタン分散体(ネオレジン社から入手可能なNEOREZ−986)、0.35グラムのチヌビン−123光安定剤、0.20グラムのBYK−025界面活性剤、0.05グラムのAMP−95pH調整剤、0.20グラムのトリトンGR−7M界面活性剤、8.5グラムのブチルカルビトール、1.16グラムの2−エチルヘキシル−α−シアノ−α、β’−ジフェニルアクリレート、及び0.20グラムのBYK−331界面活性剤を混合することによって調製した。前記溶液混合物を脱イオン水で希釈し、その粘度を100cpsから200cpsの間に維持した。コーティング直前に、1.78グラムのNeocryl CX−100を添加し、且つ前記分散体を約0.76μmの厚さで熱可塑性ポリウレタン膜上にコーティングした。前記熱可塑性ポリウレタン膜は、ポリエステルベースの熱可塑性ポリウレタンの押し出しによって形成される150μmの厚みの膜であった。前記透明塗料は乾燥させ、且つ引き続いて66℃、107℃、及び141℃に設定した3つの各オーブン内にて約1分間ずつ硬化させた。結果として得られるポリウレタン構造体は、約20μmの厚みの透明塗料膜を有していた。前記構造体を周囲温度にて48時間放置し、前記透明塗料の前記熱可塑性ポリウレタンへの接着性及び染み及び変色の試験をした。前記構造体は、全ての試験に合格した。
【0045】
実施例8
ポリウレタン構造体は、前記透明膜分散体が、89.18グラムのポリエステルベースのポリウレタン(ネオレジン社から入手可能なNEOREZ−9679)、0.02グラムのAMP−95pH調整剤、0.18グラムのトリトンGR−7M界面活性剤、9.03グラムのブチルカルビトール、1.07グラムの紫外線吸収体(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社(Ciba Specialty Chemicals)から入手可能なチヌビン1130)及び0.52グラムの光安定剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社(Ciba Specialty Chemicals)から入手可能なチヌビン292)を混合することによって調製されること以外は、実施例1の手順に従って調製した。前記分散体を、ポリエステル支持ウェブ上へ約65μmの厚さでコーティングした。乾燥及び硬化後に、前記透明膜は約18〜20μmの厚さを有した。前記ポリウレタン構造体の接着性を試験し、全てのエージング条件にて合格した。
【0046】
実施例9〜14
透明膜は、ポリカーボネートベースのポリウレタン分散体を使用し、且つ結果として得られる膜厚が次の様なものである以外は、実施例1の手順に従って調製した。
【0047】
実施例9−ノベオン社から入手可能なNEOREZ−985−20μm
実施例10−ノベオン社から入手可能なNEOREZ−9603−20μm
実施例11−ソルオールケミカル社(Soluol Chemicals)から入手可能なソルコート(SOLUCOTE)−1026−20μm
実施例12−Alberdingk Boleyから入手可能なALBERDINGK U930−20μm
実施例13−Alberdingk Boleyから入手可能なALBERDINGK U933−20μm
実施例14−Alberdingk Boleyから入手可能なALBERDINGK U911−20μm
前記透明膜の全ては、全ての前記流体について染み及び変色試験に合格した。
【0048】
実施例15〜17
ポリウレタン構造体は、以下に示す厚みでコーティングしたポリウレタン分散体を使用し、実施例7の手順に従って調製した。
【0049】
実施例15−NEOREZ−9603−5.5μm
実施例16−ALBERDINGK U933−11μm
実施例17−ALBERDINGK U911−11μm
実施例1〜17の全ての構造体は、全てのエージング条件にてテープスナップ接着力試験に合格し、加えて全ての流体についての染み及び変色試験に合格した。
【0050】
実施例4〜7では、界面活性剤BYK−331を処方から除外するのが望ましいことが見出された。なぜなら、前記多層膜をテープスナップ接着力試験中に40℃浸水エージングにさらした後に、それが層内に曇りを生じるためである。それ以外には、本界面活性剤の使用はいかなる悪影響をもたらすと思われない。
【0051】
実施例18
溶剤系ポリウレタン溶液は、パートA溶液及びパートB溶液で調製した。前記パートA溶液は、50グラムのポリエステルポリオールFomrez−55−225(クロンプトン社より)、20グラムのポリエステルポリオールFomrez−55−112(クロンプトン社より)、5グラムのポリカプロラクトンポリオールTone−305(ダウケミカル社より)、20グラムのモノマー、1,4−ブタンジオール(BASF社より)、0.008グラムの触媒、ジブチルスズジラウレート(エアプロダクト社より)、2グラムのUV光安定剤 コソーブ(Cosorb)OSG(3M社から)、1グラムのUV光安定剤、チヌビン−292(チバ−ガイギー・ケミカルズ社から)、30グラムの溶媒、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、20グラムの溶媒、酢酸ブチル、及び20グラムの溶媒、キシレンを混ぜ合わせることにより調製した。前記パートB溶液は、75グラムのジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、デスモデュール(Desmodur)W(等量=132)(バイエル社から)、10グラムの脂肪族ポリイソシアネート(ヘキサメチレンジイソシアネートをベースにしたもの、デスモデュール(Desmodur)N75(等量=255)(バイエル社から))、及び15グラムのブチルアセテートを混ぜ合わせることにより調製される。パートAとパートBを混合した後、結果として得られる溶液をポリエステル支持ウェブ上にコーティングし、且つ次の条件に従って硬化させる。79℃(176°F)にて1分間、107℃(225°F)にて1分間、129℃(265°F)にて1分間、及び141℃(285°F)にて1分間。結果として得られる透明の膜は、約11〜12ミクロンの厚みであった。熱可塑性ポリウレタン(TECOFLEX CLA 93A−Vとして、ノベオン社から入手可能なカプロラクトンベースのポリウレタン)を150ミクロンの厚さを有する膜へと押し出す。結果として得られる押し出された膜の片面を、冷却ロールに対するバックアップロールのニップの間の透明膜にラミネート加工する。前記熱可塑性ポリウレタン膜の反対側を4キロワットにて空気中でコロナ処理し、且つアクリル系感圧接着剤の層に熱的にラミネート加工し、88℃(190°F)にて紙剥離ライナーに取り外し可能に付着させ、例示のポリウレタン構造体を形成する。
【0052】
実施例19
溶剤系ポリウレタン溶液は、パートA及びパートBによって調製した。前記パートA溶液は、45グラムのポリ(脂環式カーボネート)ポリオール PC−1667(スタール社(Stahl)(米国)から)、20グラムのポリカーボネートポリオール PC−1122(スタール社(Stahl)(米国)より)、5グラムのポリカプロラクトンポリオール Tone−305、20グラムの1,4−ブタンジオール、0.008グラムのジブチルスズジラウレート、2グラムのUV光安定剤 コソーブ(Cosorb)OSG、1グラムのUV光安定剤 チヌビン−292、30グラムのプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、20グラムの酢酸ブチル、及び20グラムのキシレンを混ぜ合わせることにより調製した。前記パートBは、75グラムのジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、デスモデュール(Desmodur)W(等量=132)、10グラムの脂肪族ポリイソシアネート(ヘキサメチレンジイソシアネートをベースにしたもの、デスモデュール(Desmodur)N75(等量=255)、及び15グラムのブチルアセテートを混ぜ合わせることにより調製した。パートAとパートBを混合した後、結果として得られる溶液をポリエステル支持ウェブ上にコーティングし、且つ次の条件に従って硬化させる。79℃(176°F)にて1分間、107℃(225°F)にて1分間、129℃(265°F)にて1分間、及び141℃(285°F)にて1分間。結果として得られる透明の膜は、約11〜12ミクロンの厚みであった。熱可塑性ポリウレタン(TECOFLEX CLA 93A−Vとして、ノベオン社から入手可能なカプロラクトンベースのポリウレタン)を150ミクロンの厚さを有する膜へと押し出す。結果として得られる押し出された膜の片面を、冷却ロールに対するバックアップロールのニップの間の透明膜にラミネート加工する。前記熱可塑性ポリウレタン膜の反対側を4キロワットにて空気中でコロナ処理し、且つアクリル系感圧接着剤の層に熱的にラミネート加工し、88℃(190°F)にて紙剥離ライナーに取り外し可能に付着させ、例示のポリウレタン構造体を形成する。
【0053】
本発明の一般原則及びに先立つ「発明を実施するための最良の形態」の上記開示から、当業者は本発明に対して容易に各種の変更、再構成、及び修正を行うことができることが速やかに理解されるであろう。従って、本発明の範囲は以下の請求項及びそれらと同等であるものによってのみ制限されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の多層膜の断面図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリウレタンを含む第1の層で、該ポリウレタンはポリエステルベースのポリウレタン、ポリカーボネートベースのポリウレタン又は両方の組み合わせであり、
ポリカプロラクトンベースの熱可塑性ポリウレタンを含む第2の層、及び
感圧接着剤を含むPSA層を含み、
前記第1の層は、前記第2の層の1つの主表面に結合し、且つ前記PSA層は前記第2の層の反対側主表面に結合して、前記第2の層が前記第1の層と前記PSA層とによって挟まれる、多層保護膜。
【請求項2】
ポリウレタンは、ポリオールと少なくともジイソシアネートとの反応生成物であり、且つ前記ポリオールはポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール又は両方の組み合わせである、請求項1に記載の多層保護膜。
【請求項3】
前記ポリオールは、脂肪族ポリオールである、請求項2に記載の多層保護膜。
【請求項4】
前記ポリウレタンは、前記ポリオールとジイソシアネート及びトリイソシアネートとの混合物の反応生成物である、請求項2又は3に記載の多層保護膜。
【請求項5】
前記トリイソシアネートは、脂肪族トリイソシアネートである、請求項4に記載の多層保護膜。
【請求項6】
前記ジイソシアネートは、脂肪族ジイソシアネートである、請求項2〜5のいずれか1項に記載の多層保護膜。
【請求項7】
前記ジイソシアネートは、イソホロンジイソシアネートを含む、請求項2〜6のいずれか1項に記載の多層保護膜。
【請求項8】
前記ジイソシアネートは、ビス(4−イソシアナト−シクロヘキシル)メタンを含む、請求項2〜7のいずれか1項に記載の多層保護膜。
【請求項9】
前記ポリウレタンは、前記ポリカーボネートベースのポリウレタンである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の多層保護膜。
【請求項10】
前記ポリウレタンは、前記ポリエステルベースのポリウレタンである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の多層保護膜。
【請求項11】
前記ポリウレタンは、前記ポリエステルベースのポリウレタンと前記ポリカーボネートベースのポリウレタンの組み合わせである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の多層保護膜。
【請求項12】
前記ポリウレタンは、脂肪族ポリウレタンである、請求項1〜11のいずれか1項に記載の多層保護膜。
【請求項13】
前記ポリウレタンは、わずかに架橋したポリウレタンである、請求項1〜12のいずれか1項に記載の多層保護膜。
【請求項14】
前記ポリウレタンは、水系ポリウレタンである、請求項1〜13のいずれか1項に記載の多層保護膜。
【請求項15】
前記ポリウレタンは、溶剤系ポリウレタンである、請求項1〜13のいずれか1項に記載の多層保護膜。
【請求項16】
前記第1の層は、剥離可能な支持ウェブの滑らかな主表面上にキャストされ、乾燥され且つ前記支持ウェブが取り除かれた外観を持つ露出した主表面を有する、請求項1〜15のいずれか1項に記載の多層保護膜。
【請求項17】
前記第2の層の反対側主表面は、コロナ処理されている、請求項1〜16のいずれか1項に記載の多層保護膜。
【請求項18】
前記感圧接着剤は、室温で粘着性である、請求項1〜17のいずれか1項に記載の多層保護膜。
【請求項19】
前記多層保護膜は透明である、請求項1〜18のいずれか1項に記載の多層保護膜。
【請求項20】
前記多層保護膜は有色である、請求項1〜19のいずれか1項に記載の多層保護膜。
【請求項21】
前記膜は、乗り物本体部分の表面に沿う様なサイズと形状にされた、請求項1〜20のいずれか1項に記載の多層保護膜。
【請求項22】
請求項21に記載の多層保護膜によって保護された塗面を有する乗り物本体部分。
【請求項23】
請求項22に記載の本体部分を含む乗り物。
【請求項24】
(a)ポリエステルベースのポリウレタン、ポリカーボネートベースのポリウレタン又は両方の組み合わせであるポリウレタンを含む第1の層を形成すること、
(b)ポリカプロラクトンベースの熱可塑性ポリウレタンを含む第2の層を形成すること、
(c)感圧接着剤を含むPSA層を形成すること、
(d)第1の層の1つの主表面を、第2の層の1つの主表面に結合させること、及び
(e)PSA層を第2の層の反対側主表面に結合させ、第2の層は第1の層及びPSA層の間に挟まれることを含む、多層保護膜作成方法。
【請求項25】
前記第1の層の形成は、水性ポリウレタン分散体を剥離可能な支持ウェブ上にコーティングすることを更に含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記第1の層の形成は、溶剤系ポリウレタン溶液を剥離可能な支持ウェブ上にコーティングすることを更に含む、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記第2の層の形成は、前記ポリカプロラクトンベースの熱可塑性ポリウレタンを昇温にてダイを通して押し出して、第2の層を形成することを更に含む、請求項24〜26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記第1の層のボンディングは、前記押出加工後且つ前記第2の層の1つの主表面が室温より十分に高い温度にあって前記第1の層と前記第2の層との適切な結合を促進するときに、前記第1の層の1つの主表面を前記第2の層の1つの主表面にラミネート加工することを更に含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記第1の層のボンディングは、前記押出加工後且つ前記第1の層及び前記第2の層のうち少なくとも1つの主表面の温度が低すぎて、前記第1の層と前記第2の層との適切な結合を施すことができない状態にて、前記第1の層の1つの主表面を前記第2の層の1つの主表面にラミネート加工すること、並びに前記第2の層の1つの主表面を、室温より十分に高い温度にまで加熱し、前記ラミネート加工中に、前記第1の層と前記第2の層との適切な結合を促進すること、前記加熱は前記ラミネート加工の前又はその最中に施すことを更に含む、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記第2の層の反対側主表面をコロナ処理することを更に含む、請求項24〜29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記押出加工後に、前記第2の層の反対側主表面を、剥離可能な支持ウェブに剥離可能にラミネート加工することを更に含む、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記剥離可能なラミネート加工後に、前記第2の層の反対側主表面を露出させること、及び前記露出後且つ前記PSA層の結合前に、前記第2の層の反対側主表面をコロナ処理することを更に含む、請求項31に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2008−539107(P2008−539107A)
【公表日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−509057(P2008−509057)
【出願日】平成18年4月26日(2006.4.26)
【国際出願番号】PCT/US2006/015699
【国際公開番号】WO2006/118883
【国際公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】