説明

多層剥離フィルム

多層フィルムは、ジエンエラストマーと約40wt%以下のポリオレフィンとのブレンドを含む第1の層を含む。多層フィルムはまた、第1の層に直接に接触し、そして直接結合する第2の層を含む。第2の層は、フルオロポリマーを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般的に、多層剥離フィルム、およびそうしたフィルムを作製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ますます、メーカーは、化学損傷および環境被害に耐性のある表面を作り出すためのポリマーを探している。さらに、メーカーは他の表面との接着しにくい表面を生成する剥離特徴を有するフィルムを探している。特定の用途では、そうしたポリマーで形成されたフィルムは、航空機および列車の貨物保持具、ヴァイナルサイディング表面処理、太陽電池の保護被覆、および剥離フィルムとして使用されてきた。そうしたポリマーの例は、低表面エネルギーポリマーを含む。フルオロポリマー等の低表面エネルギーポリマーは、メチルエチルケトン(MEK)等の薬品への暴露によって引き起こされる損傷に耐性を示し、汚れに対して耐性があり、環境条件への暴露によって引き起こされる損傷に対して耐性を示し、そして典型的には、剥離表面を形成する。
【0003】
そうした低表面エネルギーポリマーが必要である一方で、このポリマーは高価である傾向がある。さらに、そうしたポリマーは、低濡れ特徴および剥離表面を形成する元々のそれらの傾向を示し、他のポリマー基材とあまり接着しない。PVDF等の特別なフルオロポリマーでは、フルオロポリマー層を相容れない基材に接着させるために、メーカーは、アクリルポリマーを含む接着層に集中してきた。しかし、アクリルポリマーは、典型的には紫外線曝露および高温等の環境ストレスに、より耐性がない。したがって、フルオロポリマー層フィルムと下にある基材との接着は、時間と共に劣化する場合がある。さらに、下にある基材とフルオロポリマー層との機械的な特性の不一致は、継続する機械的な応力を有する基材と層との間の接触を低下させ、剥離強度の低下を生じ、そしてフルオロポリマー層と下にあるフィルム層との間の接着の潜在的な劣化を生じる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、改善された多層フィルム、およびそうした多層フィルムを製造する方法が、望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
特定の態様では、多層フィルムは、ジエンエラストマーと約40wt%以下のポリオレフィンとのブレンドを含む第1の層を含む。多層フィルムはまた、第1の層に直接接触し、そして直接接着されている第2の層を含む。第2の層は、フルオロポリマーを含む。
【0006】
別の例示的な態様では、多層フィルムを生成する方法は、ジエンエラストマーと約40wt%以下のポリオレフィンとをブレンドして、ポリマーブレンドを生成すること、第1の層と第2の層とを含む多層フィルムを共押し出しすること、および多層フィルムを照射に曝すことを含む。第1の層はポリマーブレンドを含み、そして第2の層はフルオロポリマーを含む。照射は、第1の層中の架橋を促進する。
【0007】
さらなる例示的な態様において、多層フィルムは、ジエンエラストマーと高結晶化度ポリオレフィンとのブレンドを含む第1の層を含み、そしてフルオロポリマーを含む第2の層を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
特定の態様では、多層フィルムは、第1の層と第2の層とを含む。第1の層は、ジエンエラストマーとポリオレフィンとのブレンドを含むことができる。例えば、ブレンドは、ジエンエラストマーと少なくとも約40wt%のポリオレフィンとを含むことができる。第2の層は、低表面エネルギーポリマーを含む。例えば、低表面エネルギーポリマーは、フルオロポリマーを含むことができる。第2の層は、第1の層に直接接着され、そして直接接触している。例示的な態様では、多層フィルムはまた、第1の層に直接接着され、そして直接接触する第3の層を含むことができる。第3の層は、例えば、低表面エネルギーポリマーを含むことができる。特定の例では、第2の層と第3の層とは、多層フィルムの正反対にある最も外側の層を形成する。
【0009】
例示的な態様では、多層フィルムは、ジエンエラストマーと少なくとも40wt%のポリオレフィンとをブレンドすることによって生成できる。第1の層と第2の層とを含む多層フィルムは、押し出されてもよい。第1の層は、ジエンエラストマーとポリオレフィンとのブレンドを含む。第2の層は、低表面エネルギーポリマーを含む。例示的な態様では、互いに直接接触するように、第1の層と第2の層とは共押し出しされる。さらに、架橋を通して等で、第1の層は硬化される。例えば、多層フィルムは、電子線照射または紫外電磁線等の照射に曝すことができる。あるいは、水分活性架橋剤を、第1の層のポリマーブレンドを硬化するために使用できる。
【0010】
図1中で具体的に説明されるように、多層フィルム100は、最も外側の表面112を形成する層102を含むことができる。層102は、層104の主表面108に沿って層104に接着できる。例示的な態様では、多層フィルム100は、層102および層104等の2つの層を含む。あるいは、多層フィルム100は、3層等の2つまたは3つ以上の層を含むことができる。例えば、第3の層106は、層104の第2の主表面110に接着できる。第2の主表面110は、例えば、主表面108の反対側の主表面である。そうした例では、第3の層106は、最も外側の表面112の反対側にある最も外側の表面114を形成できる。さらにほかの態様では、層104は、複数のコアまたは中間層から形成できる。
【0011】
一般的に、中間層104は、最も外側の層102、またはさらなる最も外側の層106より大きい厚みを有し、例えば、層102等の最も外側の層、および任意選択的に層106は、多層フィルム100の容積で、約20%以下で形成できる。例えば、層102は、多層フィルム100の容積で約10%以下等の、多層フィルム100の容積で約15%以下で形成できる。中間層104は、多層フィルム100の容積で少なくとも約70%または多層フィルム100の容積で少なくとも約80%等の、多層フィルム100の容積で少なくとも約60%で形成できる。多層フィルム100の全フィルム厚は、少なくとも約13μmであることができる。例えば、多層フィルム100は、少なくとも約50μm、少なくとも約100μm、または200μm以上もの厚み等の少なくとも約25μmの全厚を有することができる。
【0012】
例示的な態様では、層102は、低表面エネルギーポリマーを含む。例えば、低表面エネルギーポリマーは、低表面エネルギーの表面を形成する傾向を有するポリマーであることができる。例として、低表面エネルギーポリマーは、フルオロポリマーを含む。例示的なフルオロポリマーは、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、ビニルフルオライド、パーフルオロプロピルビニルエーテル、パーフルオロメチルビニルエーテル、もしくはそれらいずれかの組み合わせ等のモノマーから生成されたホモポリマー、コポリマー、ターポリマー、またはポリマーブレンドから生成できる。例示的なフルオロポリマーは、フッ化エチレンプロピレンコポリマー(FEP)、テトラフルオロエチレンとパーフルオロプロピルビニルエーテル(PFA)とのコポリマー、テトラフルオロエチレンとパーフルオロメチルビニルエーテル(MFA)とのコポリマー、エチレンとテトラフルオロエチレン(ETFE)とのコポリマー、エチレンとクロロトリフルオロエチレン(ECTFE)とのコポリマー、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、テトラフルオロエチレンを含むターポリマー、ヘキサフルオロプロピレン、およびビニリデンフルオライド(THV)、またはそれらの任意のブレンドまたは任意のアロイを含む。例えば、フルオロポリマーは、FEPを含むことができる。さらなる例では、フルオロポリマーは、PVDFを含むことができる、例示的な態様では、フルオロポリマーは、電子線照射等の照射を通して架橋できるポリマーであることができる。例示的な架橋可能なフルオロポリマーは、ETFE,THV、PVDF、またはそれらいずれかの組み合わせを含むことができる。THV樹脂は、Dyneon 3M Corporation Minneapolis、Minnから入手できる。ECTFEポリマーは、商標名Halar(商標)の下で、Ausimont Corporation(イタリア)から入手できる。本明細書中で使用される他のフルオロポリマーは、ダイキン(日本)およびDuPont (USA)から得ることができる。特に、FEPフルオロポリマーは、NP−12X等としてダイキンから市販されている。
【0013】
例示的な態様では、層104は、エラストマー材料を含む。特定の態様では、エラストマー材料は、架橋可能なエラストマーのポリマーを含む。例えば、層104は、ジエンエラストマーを含むことができる。特定の例では、エラストマー材料は、ジエンエラストマーとポリオレフィンとのブレンドを含む。特定の例では、ジエンエラストマーは、少なくとも1種のジエンモノマーから生成されたコポリマーである。例えば、ジエンエラストマーは、エチレン、プロピレンおよびジエンモノマー(EPDM)のコポリマーであることができる。例示的なジエンモノマーは、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、もしくはその同類のもの等の共役ジエン;1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、2、5−ジメチル−1,5−ヘキサジエン、1,4−オクタジエン、もしくはその同類のもの等の5〜約25炭素原子を含む非共役ジエン;シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、ジシクロペンタジエン、もしくはその同類のもの等の環状ジエン;1−ビニル−1−シクロペンテン、1−ビニルシクロヘキセン、もしくはその同類のもの等のビニル環状エン;3−メチルビシクロ−(4,2,1)−ノナ−3,7−ジエン、もしくはその同類のもの等のアルキルビシクロノナジエン;メチルテトラヒドロインデン、もしくはその同類のもの等のインデン;5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ブチリデン−2−ノルボルネン、2−メタリル−5−ノルボルネン、2−イソプロペニル−5−ノルボルネン、5−(1,5−ヘキサジエニル)−2−ノルボルネン、5−(3,7−オクタジエニル)−2−ノルボルネン、もしくはその同類のもの等のアルケニルノルボルネン;3−メチルトリシクロ(5,2,1,0,6)−デカ−3,8−ジエンもしくはその同類のもの等のトリシクロジエン;またはそれらいずれかの組み合わせを含む。特定の態様では、ジエンは、非共役ジエンを含む。別の態様では、ジエンエラストマーは、アルケニルノルボルネンを含む。ジエンエラストマーは、ジエンエラストマーの全質量に基づいて、例えば、ポリマーの、約63wt%〜約95wt%のエチレン;約5wt%〜約37wt%のプロピレン、および約0.2wt%〜約15wt%のジエンモノマーを含むことができる。特定の例では、エチレン含有量は、ジエンエラストマーの約70wt%〜約90wt%、プロピレンは、ジエンエラストマーの約17wt%〜約31wt%、およびジエンモノマーはジエンエラストマーの約2wt%〜約10wt%である。ジエンエラストマーは、典型的には約25〜約150(125℃でML1+8)等の少なくとも約20のムーニー粘度を有する、例示的な態様では、ジエンエラストマーは、1デシリットルのトルエン当たり0.1グラムのジエンポリマーの溶液として、25℃で測定して、約13〜約3等の少なくとも約1の希釈液粘度(DSV)を有する。架橋の前に、ジエンエラストマーは、約900psi〜約1,600psi等の約800psi〜約1,800psiの未硬化(green)引っ張り強度を有することができる、架橋していないジエンエラストマーは、少なくとも約600%の破断伸長を有することができる。一般的に、ジエンエラストマーは、ジシクロペンタジエン、エチルノルボルネン、メチルノルボルネン、非共役ヘキサジエン、またはその同類のもの等の少量のジエンモノマー、を含み、そして典型的には、約50,000〜約100,000の数平均分子量を有する。例示的なジエンエラストマーは、Dow DupontからNordel(商標)の商標で市販されている。
【0014】
ブレンドのポリオレフィンは、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、メチルペンテン、オクテン、またはそれらいずれかの組み合わせ等のモノマーから生成されたホモポリマー、コポリマー、ターポリマー、アロイ、またはそれらいずれかの組み合わせを含むことができる。例示的なポリオレフィンは、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、超低密度ポリエチレン、エチレンプロピレンコポリマー、エチレンブテンコポリマー、ポリプロピレン(PP)、ポリブテン、ポリペンテン、ポリメチルペンテン、ポリスチレン、エチレンプロピレンゴム(EPR)、エチレンオクテンコポリマー、またはそれらいずれかの組み合わせを含む。特定の例では、ポリオレフィンは、高密度ポリエチレンを含む。もう一つの例では、ポリオレフィンは、ポリプロピレンを含む。さらなる例では、ポリオレフィンは、エチレンオクテンコポリマーを含む。特定の態様では、ポリオレフィンは、カルボン酸官能基改質ポリオレフィン等の改質ポリオレフィンではなく、そして特にエチレンビニルアセテートではない。さらに、ポリオレフィンは、ジエンモノマーから生成されない。特定の例では、ポリオレフィンは、ある程度の結晶化度を有する。例えば、ポリオレフィンは、少なくとも約35%の結晶化度を有することができる。特定の例では、ポリオレフィンは、少なくとも約60%または少なくとも約70%の結晶化度等の、少なくとも約50%の結晶化度を有することができる。特定の例では、ポリオレフィンは、高結晶化度ポリオレフィンであることができる。あるいは、ポリオレフィンは、35%以下の結晶化度を有する低結晶化度ポリオレフィンであることができる。低結晶化度ポリオレフィンは、剥離フィルムの順応性を高めるか、または透明性を改善できる。例示的な市販されているポリオレフィンは、Equistar 8540、エチレンオクテンコポリマー;Equistar GA−502−024,LLDPE;Dow DMDA−8904NT7,HDPE;Basell Pro−Fax SR275M,ランダムポリプロピレンコポリマー;Dow7C50、ブロックPPコポリマー;またはDupont DowによってEngageの商標で、以前販売された製品を含む。
【0015】
例では、ブレンドは、約30wt%以下のポリオレフィン等の、約40wt%以下のポリオレフィンを含む。例えば、ブレンドは、10wt%以下等の、約20wt%以下のポリオレフィンを含むことができる。特定の例では、ブレンドは、約10wt%〜約30wt%、約10wt%〜約25wt%、または約10wt%〜約20wt%等の、約5wt%〜約30wt%を含む。
【0016】
一般的に、ブレンドは、ポリマー成分間で相溶性を示す。DMA分析は、相溶性の証拠を提供することができる。DMA分析は、ブレンドの主成分のガラス転移点間に単一のtanδピークを示すことができ、相溶性を示す。あるいは、不相溶なブレンドは、1超のtanδピークを示すことができる。例では、ブレンドは、単一のtanδピークを示すことができ、特に、単一のtanδピークは、ポリオレフィンのガラス転移点とジエンエラストマーのガラス転移点との間にあることができる。
【0017】
一般的に、ブレンドは、架橋を通して硬化できる。特定の例では、ジエンエラストマーは、X線照射、γ線照射、紫外電磁線、可視光照射、電子ビーム(e−beam)照射、またはそれらいずれかの組み合わせを使用すること等の照射を通して架橋できる。紫外(UV)線照射は、一つの波長で照射または170nm〜220nmの範囲内等の、170nm〜400nmの範囲内にある複数の波長を含むことができる。電離放射は、イオンを生成できる高エネルギー照射を含み、そして、電子ビーム(e−beam)照射、γ線照射、およびX線照射を含む。特定の例では、e−beam電離照射は、ファンデグラーフ発電機、電子加速器によって生成された電子ビーム、またはX線を含む。他の態様では、ジエンエラストマーは、熱的方法を通して架橋可能であることができる。さらなる例では、ジエンエラストマーは、シラン架橋剤と水との間の反応等の化学反応を通して架橋可能であることができる。
【0018】
例示的な態様では、ブレンドは、架橋剤、光開始剤、フィラー、可塑剤、またはそれらいずれかの組み合わせをさらに含むことができる。あるいは、ブレンドは、架橋剤、光開始剤、フィラー、または可塑剤を有さなくてもよい。特に、ブレンドは、光開始剤または架橋剤を有さなくてもよい。
【0019】
架橋を促進するために、エラストマー層104の材料は、光開始剤または鋭敏剤(sensibilizer)組成物を含むことができる。例えば、照射の形態として紫外線が考えられる場合、または照射の形態としてe−ビーム照射が考えられる場合、材料は、架橋効率、すなわち照射の単位投与量当たり架橋度を高めるために、光開始剤を含むことができる。
【0020】
例示的な光開始剤は、ベンゾフェノン、オルトおよびパラ−メトキシベンゾフェノン、ジメチルベンゾフェノン、ジメトキシベンゾフェノン、ジフェノキシベンゾフェノン、アセトフェノン、o−メトキシアセトフェノン、アセナフテンキノン、メチルエチルケトン、バレロフェノン、ヘキサノフェノン、α−フェニルブチロフェノン、p−モルフォリノプロピオフェノン、ジベンゾスベロン(suberone),4−モルフォリノベンゾフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、3−o−モルフォリノデオキシベンゾイン、p−ジアセチルベンゼン、4−アミノベンゾフェノン、4'−メトキシアセトフェノン、α−テトラロン、9−アセチルフェナントレン、2−アセチルフェナントレン、10−チオキサンテノン、3−アセチルフェナントレン、3−アセチルインドール、9−フルオレノン、1−インダノン、1,3,5−トリアセチルベンゼン、チオキサンテン−9−オン、キサンテン−9−オン、7−H−ベンズ[デ]アントラセン−7−オン、ベンゾインテトラヒドロピラニルエーテル、4,4'−ビス(ジメチルアミノ)−ベンゾフェノン、1'−アセトナフトン、2'アセトナフトン、アセトナフトンおよび2,3−ブタンジオン、ベンズ[ザ]アントラセン−7,12−ジオン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、α−ジエトキシアセトフェノン、α−ジブトキシアセトフェノン、アントラキノン、イソプロピルチオキサントン、またはそれらいずれかの組み合わせを含む。例示的なポリマーの開始剤は、ポリ(エチレン/一酸化炭素)、オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)−フェニル]プロパン]、ポリメチルビニルケトン、ポリビニルアリールケトン、またはそれらいずれかの組み合わせを含むことができる。
【0021】
別の例示的な光開始剤は、ベンゾフェノン;アントロン;キサントン;2、2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン(Irgacure(商標)651),1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(Irgacure(商標)184)、または2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン(Irgacure(商標)907)を含むCiba−Geigy CorpからのIrgacure(商標)シリーズの光開始剤;またはそれらいずれかの組み合わせを含む。一般的に、光開始剤は、エラストマー層104の材料からの低移動性を示す。さらに、光開始剤は、典型的には押し出し温度で、低蒸気圧および効率的な架橋を与えるために、エラストマー層104のポリマーまたはポリマーブレンド中において、充分な溶解度を有する。例示的な態様では、光開始剤の蒸気圧および溶解度、またはポリマー相溶性は、光開始剤を誘導体化することによって改善できる。例示的な誘導体化光開始剤は、例えば、4−フェニルベンゾフェノン、4−アリロキシベンゾフェノン、4−ドデシロキシベンゾフェノン、またはそれらいずれかの組み合わせ等の、ベンゾフェノンの高分子量誘導体を含む。ある例では、光開始剤は、エラストマーの層104の材料のポリマーに共有結合していてもよい。
【0022】
例示的な態様では、エラストマーの層104の材料は、約0.1wt%〜約2.0wt%等の約0.0wt%〜約3.0wt%の光開始剤を含む。
【0023】
架橋はまた、過酸化物、アミン、シラン、またはそれらいずれかの組み合わせ等の化学架橋剤によって促進できる。例示的な態様では、エラストマーの層104の材料は、固体状態の形のポリマーと、すなわち、粉末形態の架橋剤との乾燥ブレンドによって、調製してもよい。あるいは、材料は、液体の形態、不活性粉末化担体に吸着されて、または被覆されたペレット、またはその同類のものを調製することによって、調製できる。
【0024】
例示的な熱的に活性化可能な架橋剤は、熱に曝された場合に、架橋を行うために、分解して少なくとも1種の、そして典型的には2種または3種以上のフリーラジカルを生成するフリーラジカルを生成する薬品を含む。例示的な態様では、架橋剤は、有機過酸化物、アミン、シラン、またはそれらいずれかの組み合わせを含む有機架橋剤である。
【0025】
例示的な有機過酸化物は、2、7−ジメチル−2、7−ジ(t−ブチルペロキシ)オクタジン−3、5’;2,7−ジメチル−2,7−ジ(ペロキシエチルカーボネート)オクタジン−3,5;3,6−ジメチル−3,6−ジ(ペロキシエチルカーボネート)オクチン−4;3,6−ジメチル−3,6−(t−ブチルペロキシ)オクチン−4;2,5−ジメチル−2,5−ジ(ペロキシベンゾエート)ヘキシン−3;2,5−ジメチル−2,5−ジ(ペロキシ−n−プロピルカーボネート)ヘキシン−3;2,5−ジメチル−2,5−ジ(ペロキシイソブチルカーボネート)ヘキシン−3;2,5−ジメチル−2,5−ジ{ペロキシエチルカーボネート)ヘキシン−3;2,5−ジメチル−2,5−ジ(α−クミルペロキシ)ヘキシン−3;2,5−ジメチル−2,5−ジ(ペロキシβ−クロロエチルカーボネート)ヘキシン−3;2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペロキシ)ヘキシン−3;またはそれらいずれかの組み合わせを含む。特別な架橋剤は、Elf Atochemから、商品名Lupersol130で入手可能な2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペロキシ)ヘキシン−3である。別の例示的な架橋剤は、Elf AtochemからLuperox 500Rとして入手可能な過酸化ジクミルである。特定の態様では、架橋剤は、材料の質量に基づいて、約0.5wt%〜約2.0wt%等の約0.1wt%〜約5.0wt%の量で材料中に存在する。
例示的なシラン架橋剤は、一般式
【0026】
【化1】

【0027】
を有する。
式中、Rは、水素原子またはメチル基であり;xが1である場合、yは1であるという条件で、xおよびyは、0または1であり;nは1〜12、好ましくは1〜4の整数であり、そしてそれぞれのRは、独立して1〜12炭素原子(例えば、メトキシ、エトキシ、ブトキシ)を有するアルコキシ基、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ)、アラロオキシ基(例えば、ベンジロキシ),1〜12炭素原子(例えば、フォルミロキシ、アセチロキシ、プロパノイロキシ)を有する脂肪族アシルオキシ基、アミノ又は置換アミノ基(例えば、アルキルアミノ、アリールアミノ)、または3つのR基の1つ以下がアルキルであるという条件で、1〜6炭素原子を有する低級アルキル基等の加水分解可能な有機基である。そうしたシランは、有機過酸化物の使用を通してポリマーにグラフト化されてもよい。熱および光安定剤、顔料またはそれらいずれかの組み合わせ等の追加の成分はまた、材料中に含まれることができる。一般的に、架橋反応は、グラフト化されたシラン基と水との間の反応で生じることができる。水は、雰囲気からまたは水浴または"サウナ(sauna)"からバルクポリマーに浸透できる、例示的なシランは、ビニル、アリル、イソプロペニル、ブテニル、シクロヘキセニルまたはγ−(メタ)アクリロキシアリル基等のエチレン性不飽和ヒドロカルビル基、および例えば、ヒドロカルビロキシ、ヒドロカルボニロキシ、またはヒドロカルビルアミノ基等の加水分解可能基を含む不飽和シランを含む。加水分解可能基の例は、メトキシ基、エトキシ基、フォルミロキシ基、アセトキシ基、プロプリオニロキシ(proprionyloxy)基、アルキル基、アリールアミノ基、またはそれらいずれかの組み合わせを含む。特別なシランは、ポリマーにグラフト化できる不飽和アルコキシシランである。特に、シランは、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、またはそれらいずれかの組み合わせを含むことができる。
【0028】
シラン架橋剤の量は、ブレンドの性質、シラン、処理条件、グラフト効率、最終用途、および類似の因子に広く依存して変化できる。典型的には、少なくとも約0.7phr等の、100の樹脂当たり(phr)少なくとも0.5部が使用される。一般的に、シラン架橋剤の量は、約2phr以下等の5phrを超えない。
【0029】
別の例示的な態様では、アミン架橋剤は、モノアルキル、ジアルキルまたはトリアルキルモノアミンを含むことができ、アルキル基は、約2〜約14炭素原子;式N(RNのトリアルキレンジアミン;式HN(RNHのジアルキレンジアミン;アルキレンジアミン、HNRNH;ジアルキレントリアミン、HMRNHRNH;4〜6炭素原子の環状鎖を有する脂肪族のアミン;またはそれらいずれかの組み合わせを含む。上式中のアルキレン基Rは、約2〜約14炭素原子を含むことができる。例示的な環状アミンは、酸素等のヘテロ原子を有する(例えば、N−アルキルモルホリン)ことができる。別の例示的な環状アミンは、ピリジン、N,N−ジアルキルシクロヘキシルアミン、またはそれらいずれかの組み合わせを含む。例示的なアミンは、トリエチルアミン;ジ−n−プロピルアミン;トリ−n−プロピルアミン;n−ブチルアミン;シクロヘキシルアミン;トリエチレンジアミン;エチレンジアミン;プロピレンジアミン;ヘキサメチレンジアミン;N,N−ジエチルシクロヘキシルアミン;ピリジン;エチル−p−ジメチルアミンベンゾエート(EDAB);オクチル−p−ジメチルアミノベンゾエート(ODAB);またはそれらいずれかの組み合わせである。例示的な態様では、材料は、約0.5wt%〜約10.0wt%のアミンを含む。
【0030】
特定の例では、硬化は、Albemarle、Incから入手可能であるFirstCure ITXを使用して高められる。FirstCtire ITXはまた、エチル−p−ジメチルアミンベンゾエート(BDAB)またはオクチル−p−ジメチルアミノベンゾエート(ODAB)等のアミン共力剤とともに使用できる。
【0031】
図1に戻ると、多層フィルム100は、同時押出、コラミネーション、押し出しラミネーション、予め形成された層のメルトコーティング、または共成形(comolding)等の方法を通して形成できる。特に、共押し出しは、フィルムまたはシートを生成できる。例えば、それぞれの層102,104、および任意選択的に106のシートは、予め形成された物品を形成するために、共押し出しダイ中およびダイの出口の後での熱を緩和した条件で共に押し出され、そして配置できる。化学的架橋剤が存在する場合、架橋が起こることができる。あるいは、シートは、放射線架橋に曝されることができる。
【0032】
いったん多層品が予め形成して、架橋を行なってもよい。例では、架橋は、層102,104、および任意選択的に106を共に結合することを行うことができる。そうした架橋は、エラストマーの層104の機械的な特性を変更することができ、そして層102,104、および106間の剥離強度を改善することができる。層102,104および任意選択的に106が、いずれかの成分の融点より上に、室温に、またはその間の任意の温度に共に置かれる場合等の高温で、架橋を行うことができる。
【0033】
照射による架橋を具体的に示すために、フィルムを押し出し加工によって調製する。押し出し加工では、層102の材料、層104の材料、および任意選択的に層106の材料は、層102,104および任意選択的に106を含むフィルムが生成される共押し出し供給ブロックおよびダイヘッドに、別々に溶融されそして別々に供給でき、または一緒に溶融されそして供給できる。例示的なダイは、"コートハンガー(coat hanger)"型の配置を用いる。例示的な直線コートハンガーダイヘッドは、Extrusin Dies、 Inc(コネティカット)またはCloeren Die Corp.,(テキサス)から市販されている。例示的な態様では、共押し出しされた多層フィルムは、20:1以下等の30:1以下の比率で引き出され。あるいは、押し出し層は0.1MPa〜80MPaの範囲の圧力で共にプレスできる。
【0034】
一旦フィルムが形成されると、放射線架橋を直ちに行うことができ、そしてフィルムは巻取りできる。あるいは、フィルムは未架橋状態で巻き取りでき、後で広げてそして照射架橋に曝すことができる。
【0035】
照射は、層104の架橋可能なポリマー中に架橋を作り出すのに効果的であることができる。層104内のポリマー分子の層内架橋は、硬化組成物を提供し、そして多層フィルム100の層104に構造的な強度を与える。さらに、照射は、層間架橋を通してなどで、フルオロポリマーで形成された最も外側の層102とコア層104との間で結合を生じさせることができる。特定の態様では、層と硬化されたコア層との間の層間架橋結合の化合は、相間剥離に非常に耐性を有する統合された複合物を提示し、高い品質の難接着性および保護表面を有し、最少量の難接着材料を取り込み、そしてまた、便利な取り扱いおよび多層フィルム100の展開に物理的に重要である。例えば、多層フィルムは、室温に置いて標準"T"−剥離の配置でテストする場合、少なくとも約5gm/幅cmの剥離強度を示すことができる。特に、厚さ1mm未満の内側フィルムは、少なくとも約10gm/cm等の少なくとも約5gm/cmの剥離強度を有することができる。さらなる例では、多層フィルムの剥離強度は、少なくとも約40gm/cm、少なくとも約45gm/cm、または少なくとも約50gm/cmまでも等の、少なくとも約30gm/cmであることができる。特に、広い温度範囲にかけて厚いフィルムまたは粘着テープと合わせて使用されるフィルムは、少なくとも約30gm/cmの剥離強度を有することができる。
【0036】
特定の態様では、照射は、約170nm〜約220nm等の170nm〜400nmの波長を有する紫外電磁線であることができる。架橋は、少なくとも約120J/cmの照射を使用して行うことができる。
【0037】
一旦形成され、そして硬化されると、多層ポリマーフィルムは、望ましい機械的な特性を示すことができる。例えば、多層ポリマーフィルムは、ASTM D882−02試験方法に基づいて、少なくとも約12MPの引っ張り強度を有することができる。例えば、多層フィルムは、少なくとも約20MPa等の少なくとも約15MPaの引っ張り強度を有することができる。
【0038】
別の例示的な態様では、多層フィルムは、ASTM D882−02試験方法に基づく最大引っ張り強度で望ましい伸長を示す。例えば、多層フィルムは、最大引っ張り強度で少なくとも約170%または少なくとも約200%等の少なくとも約145%の伸長を示すことができる。
【0039】
EPDMとポリオレフィンのブレンドで形成されたコア層を含み、そしてフルオロポリマーで形成された最も外側の層を含む多層フィルムの特定の態様は、架橋能力および層間結合を維持しながら、改善された機械的な特性を有利に示すことができる。例えば、EPDMと約40wt%以下のポリオレフィンのブレンドで形成されたコア層と、フルオロポリマーの最も外側の層とを含む多層フィルムの態様は、最大引っ張り強度において、改善された引っ張り強度および伸長を示すことができる。EPDMと約40wt%以下のポリオレフィンとのブレンドで形成されたコア層と、フルオロポリマーの最も外側の層とを含む多層フィルムのさらなる態様は、コア層内の層間架橋、および介在接着層の使用なしでコア層とフルオロポリマーの最も外側の層との間の結合を示すことができる。さらに、ブレンドを含む態様は、機械的応力に応答した界面の分離を減少させる、機械的応力に類似の応答を示す層を含むことができる。
【実施例】
【0040】
5種のポリマーをブレンドの研究のために選択した。特異的に、EPDMと5種の市販されているポリオレフィンの1種とを含むブレンドを生成した。市販されているポリオレフィンは、Equistar8540、エチレンオクテンコポリマー;Equistar GA−502−024,LLDPE;Dow DMDA−8904NT7,HDPE;Basell Pro−Fax SR275M、ランダムポリプロピレンコポリマー;およびDow7C50、ブロックPPコポリマーである。選択されたEPDMグレードは、Dupont−Dowから入手可能であるNordel4725である。EPDMと少なくとも1種のポリオレフィンとを含むブレンドが、ダイキンNP−12XFEPで形成された最も外側の層を含む多層フィルムの中間またはコア層として含まれる。多層フィルムは、共押し出しされ、そしてコア層のブレンドを硬化させる紫外電磁線に曝される。
【0041】
多層フィルムを厚さで1milに共押し出しし、そしてFusion UV Systems Model VPS−6 systemに含まれるH+電球によって生成される紫外線に曝す。サンプルを、129J/cmの全照射量の紫外線に複数の経路を通して曝す。ブレンドは、光開始剤を含まなかった。
【0042】
例1
動的機械分析(DMA)をブレンドの相溶性を評価するために使用する。DMA走査のtanδピークは、全体的なブレンドのガラス転移点(Tg)を提供する。相溶系では、Tgは、二成分ブレンド中のそれぞれの成分の相対量に応じて動く、すなわち、ブレンドのTgは2つの成分のガラス転移点に関連した中間値を有し、そしてTg値は成分の相対的な量によって変化する。あるいは、不相溶ブレンドは、少なくとも2種の異なる材料として挙動し、そして少なくとも2つのtanδピークがDMA走査に現れる。上記に記載したサンプルブレンドのそれぞれは、成分ポリマーのガラス転移点の間に単一のtanδピークを示す。
【0043】
例2
サンプルの引っ張り強度および最大引っ張り強度での%伸長等の機械的な特性をテストする。手順は、ASTM D882−02に従う、5kNロードセルを有する1分当たり20インチのクロスヘッド速度を使用する。サンプルを、試験の前に23℃および50相対湿度(RH)で12時間調整する。
【0044】
表1.ポリマーブレンドを含むフィルムのための機械的な特性
【表1】

【0045】
コア層として100%Nordel4725EPDMを含む比較サンプルは、12.5MPaの引っ張り強度を有する。表1中で具体的に説明したように、サンプルのそれぞれは、少なくとも約12MPaの引っ張り強度を示す。中間またはコア層中にブレンドを含む多くのサンプルは、少なくとも約15MPaの引っ張り強度を示し、そして特別なサンプルは、20MP超の引っ張り強度を示す。一般的に、コア層のブレンドへのポリオレフィンの添加は、コア層中に100%Nordel4725EPDMを含むサンプルと比較して、サンプルの引っ張り強度を増加させる。リニアー低密度ポリエチレンブレンドを含むブレンドを含むサンプル、およびエチレンオクテンコポリマーを含むブレンドを含むサンプル等の特別なサンプルは、約10%でピーク引っ張り強度を示す。高密度ポリエチレンを含むブレンドを含むサンプルおよびポリプロピレンブロックコポリマーを含むブレンドを含むサンプル等の他のサンプルは、30%もの高い量でさらに高い引っ張り強度を示す。
【0046】
また最大引っ張り強度での%伸長を測定する。コア層として100%Nordel4725EPDMを含む比較サンプルは、最大引っ張り強度で149%の伸長を有する。表2は、上記のサンプルの%伸張を含む。サンプルのそれぞれは、少なくとも最大引っ張り強度で約147%の伸長を示す。エチレンオクテンコポリマーブレンドを含むサンプルは、10〜20%のエチレンオクテンコポリマーの組成物でピーク%伸長を示す。LLDPブレンドを含むサンプルおよびポリプロピレンランダムコポリマーブレンドを含むサンプル等の他のサンプルは、30%でさらに高い%伸長を示す。
【0047】
表2ポリマーブレンドを含むフィルムの機械的な特性
【表2】

【0048】
例3
コア層としてEngage(商標)8540ポリオレフィンとNordel4725のブレンドを含む一式のサンプルの熱的挙動を、Vicatプローブを使用する熱的挙動のためにテストする。FEP層によって封入されたコア層を含む多層フィルムを形成する。サンプルは、100% EPDM Nordel4725, Nordel4725と10% Engage(商標)8540ポリオレフィンとを含むブレンド、またはNordet4725と30% Engage(商標)8540ポリオレフィンとを含むブレンドから選択される材料で形成されたコア層を含む。サンプルをH+電球を使用してUV処理し、さらに、未処理のサンプルをテストする。
【0049】
図1は、温度に対するプローブ高さの図式的な具体的な説明を含む。未処理サンプルは、上昇した温度でのプローブ高さで急激な落ち込みを示す。対照的に、ポリオレフィンを含むUV処理サンプルのそれぞれは、100% EPDMサンプルのプローブ高さに類似する、温度に対するプローブ高さの変化を示す。したがって、コア層は、EPDMと30%ものポリオレフィンとのブレンドを含むサンプル中で架橋できる。さらに、FEPの最も外側の層は、層間接着層の使用なしでEPDMと約30%以下のポリオレフィンとのブレンドを含む層に接着できる。
【0050】
上記の開示された主題は、具体的に説明し、そして制限しないものと考えられ、そして付随する請求項は、本発明の範囲内にあるそうした改変、増強、および他の態様を全て網羅することを目的とする。従って、法によって最大限に許容される範囲まで、本発明範囲は、以下の請求項およびそれらの均等物の最も広く許容される解釈によって決定されるべきであり、そして先の詳細な記載によって制限または限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0051】
本開示を、よりよく理解でき、そしてその多数の特徴および利点が添付図面を参照することによって当業者に明らかになる。
【図1】図1は、例示的な多層フィルムの具体的な説明を含む。
【図2】図2は、ポリオレフィンとジエンエラストマーとのブレンドの熱的性能を表すデータの図式の具体的な説明を含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジエンエラストマーと約40wt%以下のポリオレフィンとのブレンドを含む第1の層と、
第1の層に直接接触し、そして直接結合する第2の層であって、フルオロポリマーを含む第2の層と、
を含んで成る多層フィルム。
【請求項2】
該ブレンドが、約30wt%以下の該ポリオレフィンを含む、請求項1の多層フィルム。
【請求項3】
該ブレンドが、約20wt%以下の該ポリオレフィンを含む、請求項2の多層フィルム。
【請求項4】
該ポリオレフィンが、少なくとも約35%の結晶化度を有する、請求項1の多層フィルム。
【請求項5】
該結晶化度が、少なくとも約50%である、請求項4の多層フィルム。
【請求項6】
該結晶化度が、少なくとも約60%である、請求項5の多層フィルム。
【請求項7】
該結晶化度が、少なくとも約70%である、請求項6の多層フィルム。
【請求項8】
該ポリオレフィンが、約35%以下の結晶化度を有する、請求項1の多層フィルム。
【請求項9】
該ポリオレフィンが、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、メチルペンテン、およびオクテンからなる群から選択されるモノマーのホモポリマー、コポリマー、およびターポリマーからなる群から選択される、請求項1の多層フィルム。
【請求項10】
該ポリオレフィンが、高密度ポリエチレンを含む、請求項9の多層フィルム。
【請求項11】
該ポリオレフィンが、ポリプロピレンを含む、請求項9の多層フィルム。
【請求項12】
該ポリオレフィンが、エチレンオクテンコポリマーを含む、請求項9の多層フィルム。
【請求項13】
該ジエンエラストマーが、架橋できる、請求項1の多層フィルム。
【請求項14】
該ジエンエラストマーが、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)エラストマーを含む、請求項1の多層フィルム。
【請求項15】
該エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)エラストマーのジエンモノマーが、アルケニルノルボルネンを含む、請求項14の多層フィルム。
【請求項16】
該フルオロポリマーが、フッ化エチレンプロピレンコポリマー(FEP)、テトラフルオロエチレンとパーフルオロプロピルビニルエーテル(PFA)とのコポリマー、テトラフルオロエチレンとパーフルオロメチルビニルエーテル(MFA)とのコポリマー、エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)、エチレンクロロトリフルオロエチレンコポリマー(ECTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、およびテトラフルオロエチレンヘキサフルオロプロピレンビニリデンフルオライドターポリマー(THV)からなる群から選択される、請求項1の多層フィルム。
【請求項17】
該フルオロポリマーが、フッ化エチレンプロピレンコポリマー(FEP)を含む、請求項16の多層フィルム。
【請求項18】
該ブレンドが、単一のtanδピークを示す、請求項1の多層フィルム。
【請求項19】
該単一のtanδピークが、該ポリオレフィンのガラス転移点と該ジエンエラストマーのガラス転移点との間にある、請求項18の多層フィルム。
【請求項20】
該多層ポリマーフィルムが、ASTM D882−02に基づいて、少なくとも約12MPaの引っ張り強度を有する、請求項1の多層フィルム。
【請求項21】
該引っ張り強度が、少なくとも約15MPaである、請求項20の多層フィルム。
【請求項22】
該引っ張り強度が、少なくとも約20MPaである、請求項21の多層フィルム。
【請求項23】
該多層フィルムが、最大引っ張り強度でASTM D882−02に基づいて、少なくとも約145%の伸長を示す。請求項1の多層フィルム。
【請求項24】
最大引っ張り強度での該伸長が、少なくとも約170%である、請求項23の多層フィルム。
【請求項25】
最大引っ張り強度での該伸長が、少なくとも約200%である、請求項24の多層フィルム。
【請求項26】
該ブレンドが、光開始剤をさらに含む、請求項1の多層フィルム。
【請求項27】
該ブレンドが、約3.0wt%以下の該光開始剤を含む、請求項26の多層フィルム。
【請求項28】
該多層フィルムが、少なくとも約13μmの厚さを有する、請求項1の多層フィルム。
【請求項29】
該厚さが、少なくとも約25μmである、請求項28の多層フィルム。
【請求項30】
該フルオロポリマーを含む第3の層をさらに含む、請求項1の多層フィルム。
【請求項31】
該第3の層が、該第1の層に直接結合し、そして直接接触する、請求項30の多層フィルム。
【請求項32】
多層フィルムの生成方法、該方法は:
ポリマーブレンドを生成させるために、ジエンエラストマーと約40%以下のポリオレフィンとをブレンドさせること;
該第1の層が該ポリマーブレンドを含み、そして該第2の層がフルオロポリマーを含む、第1の層と第2の層とを含む多層フィルムを共押し出しすること;および
照射が該第1の層中の架橋を促進する照射に、該多層フィルムを曝すこと、
を含んで成る。
【請求項33】
該ポリマーブレンドを生成するために、ブレンドすることが、光開始剤をブレンドすることさらに含む、請求項32の方法。
【請求項34】
該多層フィルムを照射に曝すことが、紫外電磁線で照射することを含む、請求項32の方法。
【請求項35】
照射が少なくとも約120J/cmの紫外電磁線で照射することを含む、請求項34の方法。
【請求項36】
該ジエンエラストマーが、エチレンプロピレンジエンモノマー(BPDM)エラストマーを含む、請求項32の方法。
【請求項37】
該ポリオレフィンが、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、メチルペンテン、およびオクテンからなる群から選択されるモノマーのホモポリマー、コポリマー、およびターポリマーからなる群から選択される、請求項32の方法。
【請求項38】
該フルオロポリマーが、フッ化エチレンプロピレンコポリマー(FEP)、テトラフルオロエチレンとパーフルオロプロピルビニルエーテル(PFA)とのコポリマー、テトラフルオロエチレンとパーフルオロメチルビニルエーテル(MFA)とのコポリマー、エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)、エチレンクロロトリフルオロエチレンコポリマー(ECTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、およびテトラフルオロエチレンヘキサフルオロプロピレンビニリデンフルオライドターポリマー(THV)からなる群から選択される、請求項32の方法。
【請求項39】
ジエンエラストマーと、高結晶化度ポリオレフィンとのブレンドを含む第1の層と、
フルオロポリマーを含む第2の層と、
を含んで成る多層フィルム。
【請求項40】
該ポリオレフィンが、少なくとも約35%の結晶化度を有する、請求項39の多層フィルム。
【請求項41】
該結晶化度が、少なくとも約50%である、請求項40の多層フィルム。
【請求項42】
該結晶化度が、少なくとも約60%である、請求項41の多層フィルム。
【請求項43】
該結晶化度が、少なくとも約70%である、請求項42の多層フィルム。
【請求項44】
該ジエンエラストマーが架橋できる、請求項39の多層フィルム。
【請求項45】
該ジエンエラストマーが、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)エラストマーを含む、請求項39の多層フィルム。
【請求項46】
該高結晶化度ポリオレフィンが、ポリプロピレンを含む、請求項39の多層フィルム。
【請求項47】
該高結晶化度ポリオレフィンが、高密度ポリエチレンを含む、請求項39の多層フィルム。
【請求項48】
該フルオロポリマーが、フッ化エチレンプロピレンコポリマー(FEP)を含む、請求項39の多層フィルム。
【請求項49】
該第2の層が該第1の層に直接結合し、そして直接接触する、請求項39の多層フィルム。
【請求項50】
フルオロポリマーを含む第3の層をさらに含む、請求項39の多層フィルム。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−526667(P2009−526667A)
【公表日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−554541(P2008−554541)
【出願日】平成19年2月13日(2007.2.13)
【国際出願番号】PCT/US2007/062032
【国際公開番号】WO2007/095521
【国際公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【出願人】(500149223)サン−ゴバン パフォーマンス プラスティックス コーポレイション (64)
【Fターム(参考)】