説明

多層医療バルーン

ポリ(エーテル−ブロック−アミド)共重合体から形成される内層及びポリアミドから形成される外層を備え、破裂強度が約344,737.850kPa(約50,000psi)より高い拡張型医療バルーン、ならびに同バルーンの製造方法及び使用方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、拡張型医療バルーンに関し、より詳細には、医療器具の拡張及び搬送に用いられるバルーンに関する。
【背景技術】
【0002】
拡張型医療バルーンは、バルーン単独による拡張術(POBA)等の様々な医療処置に用いられ、また、ステント搬送等、医療器具を治療部位に搬送するためにも使用される。
POBAやステント搬送等のために医療バルーンを体腔内にて用いる医療用途においては、血管が非常に細く、治療部位に到達するまでのカテーテルの経路が蛇行している上に長いため、バルーンに対する要求度が高くなる。このような用途に用いるバルーンは、薄い壁を有していることが望ましいが、同時に、高い強度を有していることが要求される。通常、強度はフープ強度又は破裂耐圧にて測定される。また、このような用途に用いるバルーンは、弾性が比較的低く、さらに予測可能な膨張特性を有していることが望ましい。
【0003】
バルーン径の制御を容易にするためには弾性が低いことが望ましいが、バルーンにある程度の弾性をもたせることにより、個々の部位の治療に応じて医師がバルーン径を変えることが可能となる。圧力のわずかな変化により、バルーン径が大きく変化してしまうことは好ましくない。
【0004】
単一のポリマー材を用いて、バランスの良い特性をもたらすことは困難である。そのため、様々なポリマー混合物及び多層ポリマーバルーンが長年にわたって開発されている。
しかし、バランスの良い物理特性を有する拡張型医療バルーンは現在も必要とされている。
【0005】
以下に記載する本発明の実施形態の概要は、本発明の範囲を限定するものではない。以下に概要を述べる本発明の実施形態についての詳細及び/又は本発明のさらなる実施形態が、「発明を実施するための形態」に記載される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、バランスの良い物理特性を有する多層医療バルーンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態は、より高い柔軟性及び弾性を有する材料から形成された内層ならびにより高い硬度とより低い弾性とを有する外層の少なくとも2層を備える。
本発明の一実施形態は、ショアD硬さが約25〜70であるポリマー材料から形成される内径、及びロックウェル硬さが約60〜115であるポリマー材料から形成される外層を備える拡張型医療バルーンに関する。この拡張型医療バルーンの破裂強度は約310,264.065kPa(約45,000psi)より高く、より好ましくは約327,500.957kPa(約47,500psi)より高く、最も好ましくは約344,737.850kPa(約50,000psi)より高い。
【0008】
本発明の一実施形態は、ポリ(エーテル−ブロック−アミド)共重合体から形成される内層及びポリアミドから形成される外層を備える拡張型医療バルーンに関する。この拡張型医療バルーンの破裂強度は約310,264.065kPa(約45,000psi)より高く、より好ましくは約327,500.957kPa(約47,500psi)より高く、最も好ましくは約344,737.850kPa(約50,000psi)より高い。
【0009】
本発明の一実施形態は、拡張型医療バルーンを製造する方法に関する。この方法には、ポリ(エーテル−ブロック−アミド)共重合体から形成される内層及びポリアミドから形成される外層を有する円筒状パリソンを形成する工程と、円筒状パリソンを4.0未満の延伸率にて長手方向に延伸する工程と、円筒状パリソンをバルーン型内にて放射状に拡張する工程と、150度未満の温度にてバルーンを熱硬化させる工程とを含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明による二層バルーンにおいては、フープ強度が相乗効果的に向上されている。
本発明の他の側面、実施形態、及び効果が、下記の説明及び特許請求の範囲より当業者に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】ロックウェル硬さ、ショアA硬さ、及びショアD硬さのスケールの比較を示す表。
【図2】本発明の一実施形態による二層コーティングを有するバルーンの断面図。
【図3】図2の3−3線における断面図。
【図4】本発明の一実施形態によるバルーンを備えたカテーテルアセンブリの断面図。
【図5】ステントが配置された拡張型医療バルーンの側面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は多様な形態にて実施可能であるが、本明細書においては、本発明の特定の実施形態が詳細に説明される。本説明は、本発明の原理の例証であり、本発明を例証される特定の実施形態に限定するように意図されていない。
【0013】
米国特許文献を含め、本明細書で言及されている全ての文献は、言及することによりその内容のすべてが本明細書で開示されることとする。本明細書で言及されている全ての係属中の出願も、言及することによりその内容のすべてが本明細書で開示されることとする。
【0014】
本発明は、少なくとも2層からなる拡張型医療バルーンに関する。この2層は、より高い柔軟性及び弾性を有する内層、ならびに、より高い硬度とより低い弾性を有する外層である。より高い柔軟性及び弾性を有する内層は、引っ張り永久ひずみ(ASTM D412参照)が低い材料から形成することが望ましい。引っ張り永久ひずみが低い材料により内層を形成すると、拡張後の折り畳み性が向上するため、処置後のバルーンの後退が容易になる。
【0015】
内層のショアD硬さは約75D未満であることが好ましく、より好ましくは、約70D未満である。範囲は、約25〜75Dであることが好ましく、より好ましくは、約25〜70Dである。いくつかの実施形態においては、約50〜75Dの範囲であり、より好ましくは、約50〜70Dである。
【0016】
外層は、内層より硬質であることが好ましい。外層のロックウェル硬さは約60〜115であり、より好ましくは約70〜115、最も好ましくは約80〜115であるが、この範囲は変更可能である。外層のショアD硬さ(ASTM D2240)は、約70Dより高く、より好ましくは約75Dより高く、最も好ましくは約80Dより高い。ショアA硬さ、ショアD硬さ、ロックウェル硬さの比較は図1に示されている。図1は、「http://www.calce.umd.edu/general/Facilities/Hardness_ad_.htm」を元に作成された。このスケールに示されるように、ナイロンのショアD硬さは80より高く、ロックウェル硬さは95より高い。これらの数字はスケールより求められた近似値である。
【0017】
一実施形態においては、内層がポリ(エチル−ブロック−アミド)であり、外層がナイロンである。一実施形態においては、外層は、ラウロラクタムから形成されるナイロン12である。ナイロン12は、デグサ・ヒュルス・エイジー・ノースアメリカ(Degussa−Huels AG,North America)よりVestamid(登録商標)L2101Fの商品名にて入手可能である。デグサの本社は独国のデュッセルドルフに所在している。ナイロン12は、様々なポリマー製造会社から入手可能である。ポリ(エーテル−ブロック−アミド)共重合体は、アルケマ・ノースアメリカ(Arkema,North America)よりPebax(登録商標)の商品名にて入手可能である。アルケマの本社は、米国ペンシルバニア州フィラデルフィアに所在している。本発明において使用可能なPebax(登録商標)の等級の例としては6333及び7033が挙げられるが、7033の方がより好ましい。
【0018】
一実施形態においては、バルーンが、本明細書に記載するように、内層及び外層からのみ形成される。バルーンの破裂強度の少なくとも10%、もしくは他の実施形態においては少なくとも20%が内層によりもたらされる。必要に応じて、潤滑コーティングを外層の上に施してもよい。この潤滑コーティングは、バルーンの構造結合性には寄与しない。
【0019】
Pebax(登録商標)の6333、7033及び7233のショアD硬さは「http://www.pebax.com/sites/pebax/en/properties/mechanical_properties1.page」に記載されており、以下の表1に示す。これらの測定に適用された基準はISO 868であるが、これはASTM規格のD2240と同等である。
【0020】
【表1】

Tecothane(登録商標)ポリウレタン等の他のポリウレタンエラストマーも、より高い柔軟性を有する内層として使用可能である。Tecothane(登録商標)は、米国オハイオ州クリーブランドのノベオン社(Noveon,Inc.)より入手できる。具体例としては、Tecothane(登録商標)TT−1074が挙げられる。
【0021】
バルーンの破裂圧力は、約2,787.902KPa(約400psi)より高く、より好ましくは約3,102.640KPa(約450psi)より高い。または、バルーンの算出された破裂強度は約310,264.065kPa(約45,000psi)より高く、より好ましくは約327,500.957kPa(約47,500psi)より高く、最も好ましくは約344,737.850kPa(約50,000psi)より高い。破裂強度は、本明細書においてフープ強度や半径方向引っ張り強度とも称される。
【0022】
バルーンは周知の方法により形成可能である。いくつかの実施形態においては、バルーンの形成方法は、円筒状パリソンを形成する工程、円筒状パリソンを延伸する工程、バルーンパリソンをバルーン型内に配置する工程、バルーン型内にて円筒状パリソンを放射状に拡張させてバルーンを形成する工程を含む。その後、バルーンは熱硬化される。延伸及び放射状拡張によるバルーン形成に関しては、米国特許第5,913,861号明細書、米国特許第5,643,279号明細書、米国特許第5,948,345号明細書、同一出願人による米国特許第6,946,092号明細書、及び米国特許第7,1010,597号明細書に記載されている
円筒状パリソンは共押し出し法により形成可能である。円筒状パリソンは、柔軟な内層及び硬質な外層の2層を有していてもよいし、もしくは、柔軟層及び硬質層を交互に有していてもよい。例えば、層1、層3、及び層5(層1がバルーンの最も内側の層)を、可撓性を有する柔軟な材料から形成し、層2、層4、及び層6を、硬度及び強度がより高い材料から形成してもよい。
【0023】
さらに、より柔軟性及び可撓性の高い内層を、バルーンパリソン上に施してもよいし、バルーンパリソンからバルーンを形成した後にバルーン自体の上に施してもよい。コーティングは、溶媒又は溶媒混合物を用いて施すことができる。例えば、コーティングは円筒状パリソン又はバルーンに注入してもよい。
【0024】
いくつかの実施形態においては、バルーンのウェスト部は単一の層により形成されることが好ましい。ウェスト部はチューブを挿入して覆ってもよいし、コーティングを施した後に洗浄してもよい。
【0025】
好適には、円筒状パリソンは、4.0X未満の延伸率により軸方向(長手方向)に延伸される。ここで、Xは円筒状パリソンの初期長さである。一実施形態においては、バルーンの形成方法には、3.50Xの延伸率にてバルーンを延伸する工程が含まれる。ここでも、Xは円筒状パリソンの初期長さである。
【0026】
上記を大幅に上回る延伸率、例えば4.25の延伸率にてバルーンを延伸した場合、バルーンの破裂圧力の20%超の減少が確認された。その結果、算出された破裂強度も10%を超えて減少した。
【0027】
続いて、型成形等の適宜な方法により円筒状パリソンからバルーンが形成される。型成形においては、円筒状パリソンが型内に配置され、放射状に拡張される。型圧力は、約3,447.378〜4,136.854kPa(約500〜600psi)である。
【0028】
好適には、バルーンの熱硬化温度は150度以下である。いくつかの実施形態においては、熱硬化温度は、125度以下である。一実施形態においては、熱硬化温度は120度である。この温度よりも大幅に高い温度で熱硬化を行った場合、バルーンの実際の破裂強度に悪影響が及ぼされる。例えば、140度の熱硬化温度においては、120度で熱硬化を行った場合に比べて15%超の破裂圧力の減少がみられた。その結果、破裂強度は10%を超えて減少した。
【0029】
例えば心臓血管治療に用いるバルーン等のバルーンの壁厚は、約10〜30ミクロンであり、より好ましくは、約10〜20ミクロンである。
図2に、本発明の一実施形態によるバルーン10を長手方向に切断した断面を示す。本発明の一実施形態によるバルーン10は、内層12及び外層14の2層からなる。図3は、図2における3−3線断面図である。
【0030】
バルーンは潤滑コーティング(図示しない)をさらに有していてもよい。潤滑コーティングは、バルーンウェスト部16,18、バルーン円錐部17,19、及びバルーン本体21に適用可能であり、これらのうちいずれに施されていてもよい。潤滑コーティングの厚さは例えば0.1〜5.0ミクロンであり、より好ましくは、0.5〜2.0ミクロンである。
【0031】
潤滑コーティングは、適宜な潤滑性材料により形成可能である。このような潤滑コーティングは周知である。潤滑コーティングに使用可能な材料の例としては、熱可塑性材料及び熱硬化性材料の両方が挙げられる。潤滑ポリマーは、疎水性又は親水性のどちらであってもよい。しかし、概して生体分解性を有する親水性材料の方が好ましい場合が多い。潤滑コーティングに関しては、同一出願人による米国特許第5,509,899号明細書に記載されている。
【0032】
相互貫入ポリマーネットワークを用いることも可能である。そのような材料は、同一出願人による米国特許第5,693,034号明細書に記載されている。
また、治療薬の搬送を制御するためのコーティングを必要に応じて追加してもよい。
【0033】
図4は、本発明の一実施形態によるバルーン10を備えたカテーテルアセンブリ20を長手方向に切断した断面図である。カテーテルアセンブリ20は、内側シャフト22及び外側シャフト24を有する二重管腔カテーテルである。内側シャフト22は、ガイドワイヤ管腔26を形成する内面23を有する。ガイドワイヤ28は、図示されるように、管腔26内に配置される。
【0034】
バルーン10の基端側ウェスト部16は外側シャフト24の先端のまわりに配置され、バルーン10の先端側ウェスト部18は内側シャフト22の先端のまわりに配置される。
図5に示すように、アセンブリは、バルーン10のまわりにステント30を備えていてもよい。ステント搬送に用いる場合には、ウェスト部16,18及び円錐部17,19のいずれか、または両方のみに潤滑コーティングを施すことが望ましい。
【0035】
本明細書に記載のバルーンは、様々な医療処置に使用可能である。例としては、血管形成術(PTCA)、ステント等の医療器具の搬送(SDS)、泌尿生殖器治療、胆管治療、神経系治療、末梢血管治療、腎臓治療等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0036】
本発明の他の側面を、以下の非限定的実施例により説明する。
実施例
実施例1
Vestamid(登録商標)L2101F及びPebax(登録商標)7033が、内径約0.49mm(0.0196インチ)及び外径約0.88mm(0.0348インチ)の管を形成すべく軸方向に共押し出しされた。外層は、Vestamid(登録商標)L2101Fからなり、断面積の70%(材料比率)を占めた。内層は、Pebax(登録商標)7033からなり、断面積の30%(材料比率)を占めた。この管は、速さが秒速50mm、温度が45度、内圧が約2,757.902KPa(400psi)、延伸率が3.50の条件において延伸された。延伸された管は約3.2mm(0.126インチ)バルーン型(バルーン型の内径)に挿入され、95度の温度においてバルーンが形成された。形成されたバルーンは、形成直後から1分間にわたり120度の温度にて熱硬化された。バルーンの形成圧力は約3,447.378KPa(約500psi)であった。
【0037】
平均的バルーンは約3,206.062kPa(465psi、31.6atm)(破裂圧力)にて破裂し、破裂時の平均的な二重壁の厚さは約0.028mm(0.00114インチ)であった。バルーンの平均膨張率は、約607.950/1621.200kPa(6/16atm)の範囲において約5.8%であった。平均バルーン直径は3.3024mmであった。
【0038】
破裂強度は以下の式により算出した。
強度=P×D/2t
Pは、バルーン破裂時の内圧(kg/cm)(psi)であり、Dは6.2kg/cm(88psi)の圧力がかけられた際のバルーンの外径(mm)である。tはバルーンの外径の大きい部分の壁厚である。
【0039】
算出された破裂強度は、約365,649.647kPa(53,033psi)であった。
フープ率は以下の式により算出できる。
【0040】
ID(BM)/(OD−ID)×(In(OD/ID)=フープ率
ID(BM)はバルーン型の内径であり、OD及びIDは円筒状パリソンの外径及び内径をそれぞれ表す。実施例1においては、フープ率は4.758であった。
比較例A
比較を行うために、材料比率は上記の実施例と同じであるが、材料の配置を逆にし、より柔軟な材料を外側に配置した。この比較例においては、内層にVestamid(登録商標)L2101Fを用い(材料費率70%)、外層にPebax(登録商標)7033を用いた(材料費率30%)。同じ直径の管が押し出しされ、上記実施例と同じバルーン形成工程により同サイズのバルーンが形成された。
【0041】
管は、速さが秒速50mm、温度が45度、内圧が約2,757.902kPa(400psi)、延伸率が3.50の条件において延伸された。延伸率は、管の初期長さXを基準とする。つまり、延伸率は3.50Xである。延伸された管は約3.2mm(0.1260インチ)バルーン型に挿入され、95度の温度においてバルーンが形成された。形成されたバルーンは、形成直後から1分間にわたり120度の温度にて熱硬化された。バルーンの形成圧力は約3,447.378KPa(500psi)であった。
【0042】
バルーンは約2,611.376kPa(386psi、平均26.3atm)(破裂圧力)にて破裂し、破裂時の平均的な二重壁の厚さは約0.027mm(0.00108インチ)であった。バルーンの膨張率は、約607.950/1,621.200kPa(6/16atm)の範囲において6.7%であった。平均バルーン直径は3.360mmであった。
【0043】
算出された破裂強度は約328,052.538kPa(47,280psi)であった。
比較例B
この比較例においては、内層及び外層は実施例1と同じであるが、管の延伸率が異なる。
【0044】
管は、速さが秒速50mm、温度が45度、内圧が約2,757.902kPa(400psi)、延伸率が4.25の条件において延伸された。延伸された管は約3.2mm(0.1260インチ)バルーン型に挿入され、95度の温度においてバルーンが形成された。形成されたバルーンは、形成直後から1分間にわたり120度の温度にて熱硬化された。バルーンの形成圧力は約4,136.854KPa(600psi)であった。
【0045】
平均的バルーンは約2,523.481kPa(366psi、24.9atm)にて破裂し、破裂時の平均的な二重壁の厚さは約0.026mm(0.00103インチ)であった。バルーンの平均膨張率は、約607.950/1,621.200kPa(6/16atm)の範囲において約6.0%であった。平均バルーン直径は3.3505mmであった。
【0046】
算出された破裂強度は約323,171.050kPa(46,872psi)であった。
比較例C
この比較例においては、内層及び外層は実施例1と同じであるが、熱硬化温度が異なる。
【0047】
管は、速さが秒速50mm、温度が45度、内圧が約2,757.902kPa(400psi)、延伸率が3.50(実施例1と同じ延伸率)の条件において延伸された。延伸された管は約3.2mm(0.1260インチ)バルーン型に挿入され、95度の温度においてバルーンが形成された。形成されたバルーンは、形成直後から1分間にわたり140度の温度にて熱硬化された。バルーンの形成圧力は約3,447.378KPa(約500psi)であった。
【0048】
平均的バルーンは約2,695.849kPa(391psi、26.6atm)(破裂圧力)にて破裂し、破裂時の平均的な二重壁の厚さは約0.0028mm(0.00113インチ)であった。バルーンの平均膨張率は、約607.950/1621.200kPa(6/16atm)の範囲において約6.8%であった。平均バルーン直径は3.362mmであった。
【0049】
算出された破裂強度は約315,793.660kPa(45,802psi)であった。
熱硬化温度を140度に上げることより破裂圧力に悪影響が与えられ、実施例1に比べて破裂圧力が15%を超えて減少した。その結果、算出された破裂強度は、実施例1に比べ10%を超えて減少した。
【0050】
上記の開示内容は例示的なものであり、すべてを包括するものでない。本明細書は本発明の多くの変形例を当業者に示唆するであろう。個々の図面に記載される前述の構成要素は、組み合わせ可能であり、また組み合わせるために変更可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリ(エーテル−ブロック−アミド)共重合体から形成される内層と、
ポリアミドから形成される外層と、を備え、
310,264.065kPa(45,000psi)より高い破裂強度を有する拡張型医療バルーン。
【請求項2】
前記破裂強度が327,500.957kPa(47,500psi)より高い請求項1に記載の拡張型医療バルーン。
【請求項3】
前記破裂強度が344,737.850kPa(50,000psi)より高い請求項1に記載の拡張型医療バルーン。
【請求項4】
前記ポリアミドがラウロラクタムから形成される請求項1に記載の拡張型医療バルーン。
【請求項5】
前記内層のショアD固さが25〜70Dである請求項1に記載の拡張型医療バルーン。
【請求項6】
前記外層のロックウェル固さが60〜115である請求項1に記載の拡張型医療バルーン。
【請求項7】
前記外層の少なくとも一部の上に潤滑コーティングを有する請求項1に記載の拡張型医療バルーン。
【請求項8】
バルーンの壁厚が10〜30ミクロンである請求項1に記載の拡張型医療バルーン。
【請求項9】
前記外層の少なくとも一部の上に潤滑コーティングを有し、該潤滑コーティングの厚さが0.1〜2ミクロンである請求項8に記載の拡張型医療バルーン。
【請求項10】
前記潤滑コーティングの厚さが0.5〜1ミクロンである請求項9に記載の拡張型医療バルーン。
【請求項11】
バルーンの前記破裂強度の少なくとも10%が前記内層によりもたらされる請求項1に記載の拡張型医療バルーン。
【請求項12】
ウェスト部と円錐部と本体部を備え、該円錐部及び本体部が前記内層及び外層を有する請求項1に記載の拡張型医療バルーン。
【請求項13】
ポリ(エーテル−ブロック−アミド)共重合体から形成される内層及びポリアミドから形成される外層を有する円筒状パリソンを形成する工程と、
前記円筒状パリソンを4.0未満の延伸率にて長手方向に延伸する工程と、
前記円筒状パリソンをバルーン型内にて放射状に拡張する工程と、を含む拡張型医療バルーンを製造する方法。
【請求項14】
前記ポリアミドがラウロラクタムから形成される請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記バルーンを150度未満の温度にて熱硬化させる工程を含む請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記熱硬化の温度が120度である請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記延伸率が3.5以下である請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記外層の少なくとも一部の上に潤滑コーティングを施す工程を含む請求項13に記載の方法。
【請求項19】
浸漬、噴霧、ブラッシング、スポンジコーティング、パッド印刷からなる群より選択される方法により前記潤滑コーティングが施される請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記バルーン型の圧力が3,447.378〜4,136.854kPa(500〜600psi)である請求項13に記載の方法。
【請求項21】
前記ポリアミドがラウロラクタムから形成される請求項13に記載の方法。
【請求項22】
前記円筒状パリソンの径方向の断面において外層対内層の材料比率が70%対30%である請求項13に記載の方法。
【請求項23】
ショアD硬さが25〜70であるポリマー材料から形成される内層と、
ロックウェル硬さが60〜115であるポリマー材料から形成される外層と、を備え、
310,264.065kPa(45,000psi)より高い破裂強度を有する拡張型医療バルーン。
【請求項24】
前記破裂強度が327,500.957kPa(47,500psi)より高い請求項23に記載の拡張型医療バルーン。
【請求項25】
前記破裂強度が344,737.850kPa(50,000psi)より高い請求項23に記載の拡張型医療バルーン。
【請求項26】
前記内層が、ショアD硬さが50〜70であるポリマー材料から形成される請求項23に記載の拡張型医療バルーン。
【請求項27】
バルーンの前記破裂強度の少なくとも10%が前記内層によりもたらされる請求項23に記載の拡張型医療バルーン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−501730(P2012−501730A)
【公表日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−526079(P2011−526079)
【出願日】平成21年8月3日(2009.8.3)
【国際出願番号】PCT/US2009/052547
【国際公開番号】WO2010/027588
【国際公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(506192652)ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド (172)
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
【Fターム(参考)】