説明

多層抄き合わせ紙の製造方法及び多層抄き合わせ装置

【課題】ICチップを内包して、秘匿情報量が多く、偽造防止効果に優れ、ICチップが用紙の所定の定位置に正確に配置され、しかも150μm以下の薄い多層抄き合わせ紙を実現する。
【解決手段】下部紙層3と上部紙層4の間に不織布2が抄き込まれているとともに、すき入れ6が付与されており、不織布2に内包されたICチップ5がすき入れ6の位置pから抄造方向に所定の間隔s離れた位置qに挿入されており、下部紙層3、不織布2及び上部紙層4は、互いに繊維が絡み合って結合される多層抄き合わせ紙の製造方法及び多層抄き合わせ装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多層抄き合わせ紙の製造方法及び多層抄き合わせ装置に関し、特に、ICチップを内包した不織布を多層抄き合わせにより紙層間に抄き込むことにより、ICチップを挿入した(埋め込んだ)多層抄き合わせ紙から成る多層抄き合わせ紙の製造方法及び多層抄き合わせ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
単一の網上に複数の原料槽を配置し各々の原料槽から紙料を網上に吐出して多層紙を製造する技術は従来公知である(例えば、特許文献1参照。)。又、予め上下のシートを抄造して準備しておき、別工程で接着剤を用いて中層となるポリマー基材と張り合わせて多層紙を製造する技術は公知である(例えば、特許文献2参照。)。
【0003】
ところで、本発明者らは既に、紙層中に、有色顔料、磁性体、赤外吸収材料、赤外反射材料、蛍光発光材料、金属繊維、サーモクロミック等の機械読み取り可能な機能性物質を付与した不織布を多層抄き合わせする技術を提案している(例えば、特許文献3参照。)。
【0004】
さらに、ICチップを抄き込んだ用紙については、円網抄紙機を2層用いて、1層目の円網抄紙機で抄紙した湿紙にICチップを付与した後、2層目の湿紙を積層する技術が知られている(例えば、特許文献4参照。)。
【0005】
さらに、ICチップを用紙内部又は表裏面に付与するために、ICチップをスレッド等に付与して紙層を形成する技術が知られている(例えば、特許文献5参照。)。
【0006】
さらに、ICカードやフレキシブルICモジュールを作製する際に、ICチップを保持することを目的に不織布を用いる技術は既に知られている(例えば、特許文献6、7参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−323764号公報
【特許文献2】特表平8−501838号公報
【特許文献3】特開2003−13395号公報
【特許文献4】特開2002−298118号公報
【特許文献5】特表2002−512406号公報
【特許文献6】特開平10−171954号公報
【特許文献7】特開2003−6604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者らが特許文献3で既に提案している、紙層中に有色顔料や赤外吸収材料等の機械読み取り可能な機能性物質を付与した不織布を多層抄き合わせする技術は、複製品を作ることが困難であるという点ですぐれているが、紙層中に付与するものは機能性物質であるために、その秘匿情報の量は少なく高機能の情報が必要な多層抄き合わせ紙としてはさらに改良が望まれているところである。
【0009】
特許文献4では、ICチップを抄き込んだ用紙については既に提案されているが、これは、1層目の円網抄紙機で抄紙した湿紙にICチップを付与する場合、単にICチップを付与するものであり、流動状態の湿紙にICチップを挿入しても、ICチップを定置する位置やその向きはきわめて不安定と考えられる。しかも、抄紙中の用紙の地合いを乱してしまい平滑度を低下させる危険性がある。また、円網2層で構成されており、各々の円網でそれぞれ湿紙を形成した後に湿紙を接触させ、2層の接着を行うことから、2層間のパルプ繊維の絡み合いがない。従って、2層間で剥離が生じてしまう危険性がある。
【0010】
特許文献5では、ICチップを用紙内部又は表裏面に付与するために、ICチップをスレッド等に付与して紙層を形成する技術を開示しているが、ICチップを付与したスレッド等を紙に装着するので、紙の厚さとICチップの厚さで厚みが出てしまい、薄い用紙内に埋め込むものとしては適していない。
【0011】
さらに、ICチップを予め担持する部片はスレッド等の細片であるから、紙層中に供給される際に捻れたり撚れたりなりやすい。又、スレッドを定位置に付与すると、その部位は抄造中の巻取りに段差ができて厚みが厚くなる危険性がある。このため、従来は、スレッドの挿入位置を幅方向にずらして抄造するのが一般的であるので、紙層中の定位置に付与することができない。
【0012】
特許文献6、7では、ICチップを保持することを目的に不織布を用いているが、カード等の厚みに加えてICチップの厚みがでてしまい特許文献5同様に薄い用紙内に埋め込むものとしては適していない。
【0013】
本発明は、上記従来の様々な問題を解決し、ICチップを内包して、秘匿情報量が多く、偽造防止効果に優れ、ICチップが用紙の所定位置に正確に配置され、しかも紙厚が150μm以下で平滑度が10秒以上、層間剥離強度10g/15mm以上の薄い多層抄き合わせ紙、その製造方法及び多層抄き合わせ装置を実現することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は上記課題を解決するために、下部紙層と上部紙層の間に不織布が抄き込まれて成る多層抄き合わせ紙であって、上記不織布にはICチップが内包されており、 上記下部紙層、不織布及び上部紙層は、互いに繊維が絡み合って結合されていることを特徴とする多層抄き合わせ紙を提供する。
【0015】
上記多層抄き合わせ紙には、抄き入れ及びマークの両方又はいずれか一方が付与されていることを特徴とする。
【0016】
上記多層抄き合わせ紙の紙厚は、150μm以下であることを特徴とする。
【0017】
上記多層抄き合わせ紙はベック平滑度が10秒以上であることを特徴とする。
【0018】
上記多層抄き合わせ紙は層間剥離強度が10g/15mm以上であることを特徴とする。
【0019】
上記ICチップは、各ICチップが所定の位置に定置されていることを特徴とする。
【0020】
上記ICチップにはアンテナが付設されており、該アンテナは上記ICチップの周囲且つ同じ平面内において上記不織布に内包されていることを特徴とする。
【0021】
上記ICチップにはアンテナが付設されており、該アンテナは上記ICチップ内に組み込まれていることを特徴とする。
【0022】
本発明は上記課題を解決するために、位置ズレ検出装置と不織布位置修正装置とを備えており、ICチップが内包された不織布を紙層中に挿入する装置において、
上記位置ズレ検出装置は、上記ICチップ間の間隔を測定し、該測定された間隔の予め設定された所定間隔からのズレを検出し、基準となる特定位置と上記不織布位置修正装置は、上記位置ズレ検出装置で検出されたズレに基づき不織布の供給速度及び不織布の幅方向の供給位置の両方又はいずれか一方を制御して、基準となる特定位置と上記ICチップ間の間隔を上記予め設定された所定の間隔に制御するものであることを特徴とする多層抄き合わせ装置を提供する。
【0023】
本発明は上記課題を解決するために、位置ズレ検出装置と不織布位置修正装置とを備えており、ICチップが内包された不織布を紙層中に挿入する装置を用いて抄き合わせ紙を製造する方法において、
上記位置ズレ検出装置で、基準となる特定位置と上記ICチップ間の間隔を測定し、該測定された間隔の予め設定された所定間隔からのズレを検出し、該検出されたズレに基づき上記不織布位置修正装置で不織布の供給速度及び不織布の幅方向の供給位置の両方又はいずれか一方を制御して、基準となる特定位置と上記ICチップ間の間隔を上記予め設定された所定の間隔に制御することを特徴とする多層抄き合わせ紙製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、次のような効果が生じる。
(1)別工程が不要である。
多層抄き合わせ紙を抄紙中に、不織布とともにICチップが挿入されることから、張り合わせのような後工程が必要ない。
(2)用紙の紙厚を150μm以下することが可能である。
不織布を用いることにより、多層抄き合わせ紙の紙厚を150μm以下にすることが可能である。
(3)ベック平滑度が10秒以上の用紙表面を得ることができる。
下層紙料+ICチップを内包した不織布+上層紙料を積層した後に、紙層形成する(地合いを整える)ことから、多層抄き合わせ紙の紙層を乱さずに抄紙することが可能である。
(4)層間剥離強度が10g/15mm以上の用紙が得られる。
不織布を用いると、上層紙料が不織布繊維間に入り込むとともに下層紙料との絡み合いを有し、層間結合力が向上する。その結果として、層間耐剥離強度が10g/15mm以上の用紙が得られる。
(5)定位置へのICチップ付与が可能である。
「位置ズレ検出装置」と「位置修正装置」を用いてICチップの挿入位置を制御することにより、所定の位置にICチップを付与することが可能である。
(6)印刷条件、デザイン構成への制約が少ない。
紙層内面にICチップを付与することが可能であることから、表裏面へ印刷する際における印刷条件への制約やデザイン構成への制約を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本実施例に係る多層抄き合わせ紙の実施例1の構成を説明する図である。(a)、(b)は多層抄き合わせ紙の模式的断面図であり、(c)は多層抄き合わせ紙の詳細断面図であり、(d)は多層抄き合わせ紙を用紙表面から透過光で見た図である。
【図2】(a)実施例1の多層抄き合わせ紙を製造する製造装置の実施例の全体構成及び製造方法を説明する図である。(b)多層抄き合わせ紙を製造する別の製造装置の概略図である。
【図3】本実施例に係る多層抄き合わせ紙の実施例2の構成を説明する図である。(a)、(b)は多層抄き合わせ紙の模式的断面図であり、(c)は多層抄き合わせ紙の詳細断面図であり、(d)は多層抄き合わせ紙を用紙表面から透過光で見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明に係る多層抄き合わせ紙、その製造方法及び多層抄き合わせ装置の発明を実施するための最良の形態を実施例に基づき図面1〜3を参照して、以下説明する。
【実施例1】
【0027】
(多層抄き合わせ紙)
図1は、本実施例に係る多層抄き合わせ紙の実施例1を説明する図である。図1(a)は、後述する本実施例に係る多層抄き合わせ装置で最終的に製造され巻取ドラムに巻き取られる帯状の多層抄き合わせ紙1の長手方向に切断した模式的な断面図を示す図である。
この帯状の多層抄き合わせ紙1では、ICチップが内包された不織布2が、下部紙層3と上部紙層4との間に抄き合わされて多層で一体に形成された構成を示している。
【0028】
ICチップ5は、予め不織布2内にその長手方向に複数個、一定の間隔で内包されており、不織布2が下部紙層3と上部紙層4との間に抄き込まれる際に、不織布2とともに挿入され、図1(a)に示すように、多層抄き合わせ紙1の長手方向に一定の間隔で定置された構成となる。
【0029】
図1(b)は、図1(a)の一部を拡大し、その構造をより分かりやすく説明するための模式的な断面図である。この多層抄き合わせ紙1は、基本的には図1(b)で示すように、下部紙層3、ICチップ5が内包された不織布2及び上部紙層4が互いに抄き合わされて多層で一体に形成されて成る構造のものである。
【0030】
本実施例の多層抄き合わせ紙1では、抄き入れ6が付与されており、この抄き入れ6の位置(以下、「抄き入れ位置」という。)pに対して(を基準として)、ICチップの位置q(本実施例1ではICチップ5一つの角部の位置としたが、予め決めておけば中心位置等でもよい。)を、多層抄き合わせ紙1の長手方向(抄紙の際にワイヤ上で用紙が移動する方向であり、本明細書では「抄造方向」ともいう。)に所定の間隔sだけ離れた位置と定めて、不織布2内のICチップ5が挿入されて定置されている。
【0031】
なお、ICチップの位置qは、抄き入れ6の位置pに対して多層抄き合わせ紙1の長手方向ではなく、多層抄き合わせ紙1の幅方向(以下、単に「幅方向」ともいう。)に所定間隔離れて定置されるような構成としてもよい。
【0032】
図1(a)、(b)では、多層構造を構成する各層を分かりやすく示す説明の都合上、多層抄き合わせ紙1を構成する各層が互いの境界で分かれているかのような構成として示されている。しかしながら、実際の構造は、図1(c)に示すように、下部紙層3、不織布2及び上部紙層4をそれぞれ構成する繊維が互いに絡み合って、剥離しにくい多層であるが一体の紙層として形成されている。
【0033】
即ち、抄紙の際に、下部紙層3を形成する下層紙料が不織布2繊維間に入り込み、下部紙料の繊維と不織布2の繊維は互いに絡み合い、下部紙層3と不織布2はきわめて強い層間接着力で互いに結合されている。
【0034】
又、抄紙の際に、上部紙層4を形成する上層紙料が不織布2の繊維間に入り込み、上部紙料の繊維は、不織布2の繊維と互いに絡み合うとともに、不織布2の繊維間まで入り込んでいる下層紙料の繊維とも絡み合う。
【0035】
この結果、多層抄き合わせ紙1の厚み方向において、不織布2の繊維内はもとより、不織布2と下部紙層3の境界7や不織布2と上部紙層4の境界層8等において、下層紙層3、不織布2及び上層紙層4のそれぞれの繊維が互いに絡み合って成る強い層間接着力の結合層9が形成されている。
【0036】
よって、多層抄き合わせ紙1は、下部紙層3、不織布2及び上部紙層4が互いに強い層間接着力で強固に結合され、剥離しにくい一体の多層の用紙として形成されたものとなっている。このように、下部紙層3、不織布2及び上部紙層4が互いに強固に結合されているから、不織布2に内包されているICチップ5は、下部紙層3と上部紙層4の間に挿入され、結合層9内で強固に定置された状態にある。
【0037】
図1(d)は、多層抄き合わせ紙1を用紙表面から透過光で見た図である。図1(c)、(d)に示すように、ICチップ5には、同じ水平面内にあって、ICチップ5の周囲を囲うようにアンテナ10が付設されている。
【0038】
ICチップ5及びアンテナ10は、図1(c)に示すように、共に不織布2の厚み方向ほぼ中央に内包されて配置され、抄紙の際に上述のとおり、下部紙層3と上部紙層4の間に挿入され、結合層9内で強固に定置される。なお、アンテナ10がICチップ5内に組み込まれている構成(アンテナ内蔵型ICチップ)についても本実施例は適用可能である。
【0039】
以上、本実施例1の多層抄き合わせ紙は、下部紙層3、不織布2及び上部紙層4から成る3層構造について説明したが、不織布2を挟む下部紙層3及び上部紙層4が含まれていれば、4層、5層等のさらに多層な構造でもよい。また、ICチップを内包した不織布については、多層抄き合わせ紙に挿入する形態としては、全幅に限らず短冊状にしたものを挿入しても良く、短冊状のものは1本と限らず複数本挿入が可能である。
【0040】
以上、本実施例1の多層抄き合わせ紙を説明したが、この実施例1の変形例を以下説明する。ICチップの位置qの位置決めについて、上記実施例1では、ICチップの位置qを抄き入れ6の位置を基準として決めたが、このICチップの位置qの位置について次の変形例1、2を説明する。
【0041】
(変形例1)
即ち、通常、多層抄き合わせ紙1では、図1(d)において十字マークで示すように、白抄きから成るレジスターマーク又はIJPによるマーク6’が抄造方向に一定間隔をおいて複数箇所に付与されている。この変形例1はこのレジスターマーク又はIJPによるマーク6’に着目して、ICチップ5が、このレジスターマーク又はIJPによるマーク6’に対して(を基準として)、抄造方向及び幅方向に所定間隔離れた位置に定置するような構成とされている。
【0042】
具体的には、図1(d)に示すように、レジスターマーク又はIJPによるマーク6’の位置r(十字マークの交差中心点)に対して、ICチップ5の位置qを、抄造方向に間隔m、幅方向に間隔nだけ離れた位置となるように、不織布2内のICチップ5が挿入されて定置されている構成とする。この変形例1は、実施例1のように抄き入れが付与された多層抄き合わせ紙1で適用してもよいが、後述する実施例2のように抄き入れが付与されていない多層抄き合わせ紙では好適である。
【0043】
(変形例2)
上記実施例1及びその変形例1では、ICチップ5を抄き入れ位置やレジスターマーク又はIJPによるマークを基準として所定の位置に定置しているが、このような基準に対してではなく、巻取装置に巻き取られた多層抄き合わせ紙1を切断する際に、切断された多層抄き合わせ紙1の辺の位置からICチップ5の位置qまでが所定の間隔となるように切断する。これにより、多層抄き合わせ紙1から製造されるICチップ入りの紙葉の所定の位置に配置されたものが形成された構成となる。
【0044】
(製造装置)
以上説明した実施例に係る多層抄き合わせ紙1を製造する製造装置の実施例を図2(a)で説明する。図2(a)は、多層抄き合わせ紙1の製造装置の全体構成を示す図である。図に示すように、該装置については長網抄紙機を用いて説明するが、これに限定されるものではない。図2(a)において、この多層抄き合わせ装置11は、網帯から成り、循環するエンドレスな抄紙用のワイヤ12を有する。このワイヤ12は、従動用プーリ13と駆動用プーリ14と間に架け渡され、さらに図示しないが、ワイヤ12に沿っての内側に配置された複数の支持や案内をするローラにより支持され、案内されて循環移動する。
【0045】
ワイヤ12の上流部(ワイヤ12の上面における移動始端部)15には、上流側から下流側に向けて、下層紙料供給槽16、不織布供給装置17、上層紙料供給槽18が、間隔をおいて順次、配設されている。
【0046】
下層紙料供給槽16及び上層紙料供給槽18内には、それぞれ下層紙料19及び上層紙料20が充填され、適宜、図示しない供給源から補給され、所定の液位を維持するように制御されている。下層紙料19及び上層紙料20は、下部紙層3及び上部紙層4の素材となる材料であり、主にパルプ繊維、水及び添加剤から成る。
【0047】
下層紙料供給槽16及び上層紙料供給槽18のそれぞれにおける下流部分には、下層紙料用目止め板21及び上層紙料用目止め板22が配置されている。下層紙料用目止め板21及び上層紙料用目止め板22のそれぞれとワイヤ12との間の隙間を通して、それぞれワイヤ12上に下層紙料及び上層紙料を供給し抄紙を可能とする。
【0048】
不織布供給装置17による不織布供給部位は、下層紙料供給槽16の下流側であって上層紙料供給槽18の上流側に設けられており、不織布2をワイヤ12上に形成される下層紙料層(湿紙)23上に向けて供給する。この不織布供給装置17は、不織布供給ドラム24、テンションローラ25、及び不織布2に内包されたICチップ5の抄造方向への挿入位置を修正するための位置修正装置26における位置修正ローラ29を備えている。
【0049】
不織布供給ドラム24には、帯状の不織布2が巻きつけられており、この不織布2をワイヤ12に向けて繰り出しながら供給する。帯状の不織布2には、上述のとおり、その長手方向に一定の間隔をおいてICチップ5が予め内包されている。このICチップ5は、図1(c)に示すように、不織布2内のその厚み方向の中間位置にあり、ICチップ5の上下が不織布2にカバーされている状態で内包されている。
【0050】
不織布供給装置17から供給される帯状の不織布2の横幅wは、下層紙料用目止め板21からワイヤ12の上面(搬送面)に供給されて形成される下層紙料層(下部湿紙)23の横幅とほぼ同じであり、さらに上層紙料用目止め板22から下層紙料層23の上面に供給されて形成される上層紙料層(上部湿紙)27の横幅ともほぼ同じである。
【0051】
不織布位置修正装置26は、位置修正ローラ29を制御するための位置制御器28を有する。位置修正ローラ29は、多層抄き合わせ紙1の抄き入れ位置pとICチップ位置qの間隔が予め設定された所定の間隔sからズレた場合に、不織布2及びICチップ5の位置のズレを修正するローラである。
【0052】
位置修正ローラ29は、位置制御器28からの制御信号で速度制御可能なモータにより駆動され、不織布2の送り速度を積極的に増減できる送り制御の可能なローラの構成とする。
【0053】
不織布供給ドラム24は、その軸心の長手方向(図2(a)において紙面に対して垂直の方向)、即ち不織布2の幅方向に、巻き付けてある不織布ごと移動して幅方向に位置を調整できるように、図示しない不織布供給ドラム幅方向位置調整装置で調整される構成となっている。これにより、後述するが、多層抄き合わせ紙1において、ICチップ位置qが抄き入れ位置p又はレジスターマークの位置rから多層抄き合わせ紙1の幅方向に予め設定された所定の間隔n又はuからズレた場合に、多層抄き合わせ紙1に対して不織布2を幅方向に移動してズレを修正することができる。
【0054】
ワイヤ12の下流部(ワイヤの上面の移動終端部)の下側には、搾水ボックス30が配置されている。この搾水ボックス30は、抄紙工程におけるワイヤ12の下流部において、下部紙層3、不織布2及び上部紙層4内に含まれている水を吸引して搾水するものである。
【0055】
ワイヤ12で形成された多層抄き合わせ紙1は、図示しないガイドロールで案内され最終製品として巻取ロールで巻き取られるが、ワイヤ12と巻取ロールの間には、上流側からプレスロール31、乾燥装置32(図2(a)中、想像線で示す。)及び位置ズレ検出装置33が配設されている。
【0056】
プレスロール31は、多層抄き合わせ紙1を挟持してさらに下流の巻取ロール側に送る。抄き入れ6は、周知のプレスロール31又はダンディロール35が利用される。乾燥装置32は、周知の乾燥装置を利用するが、その説明は省略する。
【0057】
位置ズレ検出装置33は、位置検出器34と位置ズレ判別器36とを備えている。位置検出器34はCCDを有する光学的な検知手段であり、検出対象である多層抄き合わせ紙1を挟んで反対側に配置されたライトテーブル37からの透過光を利用して抄き入れ位置pとICチップ5の挿入位置qを検出することによって両者の間隔を測定し、これを電気信号として位置ズレ判別器36に送るものである。
【0058】
位置ズレ判別器36は、位置検出器34から送られてきた抄き入れ位置pとICチップ5の挿入位置qとの間隔と予め設定されている所定の間隔sとのズレの大きさ及びそのズレの方向を判別し、位置ズレ情報として位置制御器28に送るものである。なお、抄き入れ位置pとICチップ5の挿入位置qとの幅方向の間隔を測定し、そのズレを検出する場合も縦方向(抄造方向)か横方向(横幅方向)かの違いはあるが、そのズレの検出については基本的には同様である。
【0059】
変形例1において、ICチップ5が、レジスターマーク又はIJPによるマーク6’を基準として、抄造方向及び幅方向に所定間隔離れた位置に定置するような構成とされている場合でも、位置ズレの検出は、位置ズレ検出装置33により上記同様に検出される。
【0060】
即ち、位置検出器34がライトテーブル37からの透過光を利用してレジスターマーク又はIJPによるマーク6’の位置rとICチップ5の挿入位置qを検出することによって両者の抄造方向の間隔m、幅方向に間隔nを測定し、これを電気信号として位置ズレ判別器36に送り、位置ズレ判別器36は、位置検出器34から送られてきたレジスターマーク又はIJPによるマーク6’の位置rとICチップ5の挿入位置qとの抄造方向の間隔及び幅方向の間隔と予め設定されている所定の抄造方向の間隔m及び幅方向の間隔nとのズレの大きさ及びそのズレの方向を判別し、位置ズレ情報として位置制御器28に送るものである。
【0061】
変形例2では、巻取装置に巻き取られた多層抄き合わせ紙1を切断するための切断装置(特に図示せず。)の近くに、ライトテーブルからの透過光を検出してICチップ5の位置を検出する位置検出器を設ける。この位置検出器で検出したICチップ5の位置情報に基づいて、切断されるべき多層抄き合わせ紙1の辺の位置からICチップ5を抄き入れ位置までの間隔が所定の間隔となるように、切断装置を制御するものである。
【0062】
以上長網抄紙機を用いた実施例で詳述してきたが、長網抄紙機に限らず、例えば円網抄紙機を用いた場合には、詳述はしないが、図2(b)に示すような構成とすることで、前述した長網抄紙機で作製したICチップを挿入した多層抄き合わせ紙からなる多層抄き合わせ紙と同様の多層抄き合わせ紙が得られる。
【0063】
(製造方法)
以上説明した図2(a)に示す実施例の多層抄き合わせ紙1の製造装置による製造方法の実施例について、以下、順次説明する。
(1)下層紙料供給槽16から下層紙料用目止め板21とワイヤ12の隙間を通して、下層紙料19を循環移動中のワイヤ12の上面に供給する。ワイヤ12上に供給された下層紙料23は、下層紙料層(下部湿紙)23として抄造方向に送られる。
【0064】
(2)この下層紙料層23の上面に、不織布供給装置17からICチップ5の内包された帯状の不織布2を連続的に供給する。すると、帯状の不織布2と下層紙料層23とはワイヤ12上で抄造方向に送られながら重なり、下層紙料19は不織布2の繊維間に入り込み、下層紙料19のパルプ繊維と不織布2の繊維が絡み合い両者の強固な結合が生成されていく。
【0065】
(3)下層紙料19のパルプ繊維と重ねられた帯状の不織布2のさらに上面に、上層紙料供給槽18から上層紙料用目止め板22とワイヤ12の隙間を通して上層紙料20を供給する。すると、上層紙料20は、ワイヤ12上で上層紙料層27として抄造方向に送られながら不織布2と重なり、上層紙料20は不織布2の繊維間に入り込む。これにより、上層紙料20のパルプ繊維は、不織布2の繊維と絡み合うとともに、不織布2内に既に入りこんでいる下層紙料19のパルプ繊維とも絡み合い、強固な結合が生成されていく。
【0066】
(4)このように、ワイヤ12上に順次、下層紙料19、ICチップ5の内包された不織布2及び上層紙料20を供給し、多層に重ね合わせて抄紙することにより、下層紙料19、不織布2及び上層紙料20の各繊維が互いに入り組んで絡み合い強固な結合層9を形成し、この結合層9内に、ICチップ5が挿入されて成る多層の多層抄き合わせ紙1の抄造が行われる。
【0067】
(5)多層に抄き合わされた多層抄き合わせ紙1は、搾水ボックス30を通過し、プレスロール31により、抄き入れ6が施される。この抄き入れ6は、ICチップ5の挿入された位置qから多層抄き合わせ紙1の長手方向(抄造方向)に、予め設定された所定の間隔sで離れた位置に施されるようにする。
【0068】
即ち、ワイヤの送り速度及び不織布内のICチップの内包位置を考慮して、プレスロールの回転速度等を制御して抄き入れのタイミングを設定する。しかしながら、実際は、不織布挿入時において、ICチップ5の挿入位置qは、予定される抄き入れ位置pに対して予め設定された所定の間隔sだけ離れた位置からズレているので、後述のようなズレ位置の修正が必要となる。
【0069】
(6)このように形成された多層抄き合わせ紙1は、さらに乾燥装置内を通過して乾燥され、最終製品として完成される。そして、多層抄き合わせ紙1は、製品として巻き取る巻取装置に送られる途中で、位置ズレ検出装置33により、抄き入れ位置pとICチップ5の挿入位置qの実際の間隔について、予め設定された所定の間隔sからのズレの量を検出し位置ズレ情報を生成して、位置修正装置26の位置制御器28に送る。
【0070】
なお、位置ズレ検出装置33により、抄き入れ位置pとICチップ5の挿入位置qの幅方向の実際の間隔についても同様に、予め設定された所定の間隔uからのズレの量を検出し位置ズレ情報を生成して、位置修正装置26の位置制御器28に送る。
【0071】
(7)位置制御器28は、この位置ズレ情報を受けて位置修正ローラ29を制御して、不織布2の送りを制御する。即ち、位置制御器28によりモータを介して位置修正ローラ29の送り速度を調整することで、帯状の不織布2の送り速度を上げたり下げたりして不織布2内に内包されたICチップ5の下層紙料層23に対する抄造方向の相対的な位置が調整でき、抄き入れ位置pとICチップ5の挿入位置qの間隔が、予め設定された所定の間隔sになるように修正することができる。
【0072】
なお、位置制御器28に送られ入力された抄き入れ位置pとICチップ5の挿入位置qの幅方向の位置ズレ情報については、図示しない不織布供給ドラム24の幅方向への不織布供給ドラム幅方向位置調整装置に送り、これにより多層抄き合わせ紙1に対して不織布2を幅方向に移動してズレを修正することができる。
【0073】
又、ICチップ位置qが抄き入れ位置p又はレジスターマークの位置rから多層抄き合わせ紙1の幅方向に予め設定された所定の間隔u又はnからズレた場合についても、上記同様に、位置制御器28に送られ入力された抄き入れ位置p又はレジスターマークの位置rに対するICチップ位置qのズレ情報に基づいて、不織布供給ドラム幅方向位置調整装置により、抄造方向及び幅方向のそれぞれについて修正が行われる。
【0074】
上記変形例2では、巻取装置に巻き取られた多層抄き合わせ紙1を切断する際に、切断装置の近くに設けた位置検出器でライトテーブルからの透過光を検出してICチップ5の位置を検出して、この検出値に基づいて、切断されるべき多層抄き合わせ紙1の辺の位置からICチップ5を抄き入れ位置までの間隔が所定の間隔となるように切断位置を算出して切断を行う。これにより、多層抄き合わせ紙1から製造されるICチップ入りの紙葉の所定の位置に配置されたものを形成することができる。
【0075】
(本実施例の多層抄き合わせ紙等の特徴)
以上説明した多層抄き合わせ紙、製造装置及び製造方法についての構成、作用効果に関する特徴を、さらに以下に説明する。
【0076】
ICチップ5は、通常は樹脂やセラミック等のケース内にパッケージングされているので、識別機能を有する有色顔料や赤外線材料を紙層内に定位置に塗布する場合と異なり、紙層内でケースがズレたり、その向きが変わったりして、正確に位置決めして定置しにくい点がある。特に抄造中は下層紙料層(湿紙)及び上層紙料層(湿紙)は流動状態であるから、抄き入れ位置に対して正確に挿入しても若干ズレてしまうということが生じ厄介である。
【0077】
しかしながら、本実施例の多層抄き合わせ紙1は、ICチップを単独で下層紙料層(湿紙)上に落とし込むのではなく、予め不織布内の定位置に内包した状態で挿入されて抄造されるから、位置決めが容易であり、位置ズレも防止しやすい。
【0078】
この場合、細い帯片にICチップ5が支持されて下部紙層3上に供給されると、細い帯片がよじれたり、或いは幅方向にぶれたりして、多層抄き合わせ紙1の幅方向におけるICチップ5の挿入位置が安定しない。
【0079】
しかしながら、本実施例の多層抄き合わせ紙1は、ICチップ5を内包する不織布の横幅は、下層紙料用目止め板21から供給される下層紙料層23の横幅、上層紙料用目止め板22から供給される上層紙料層27の横幅と同じであるから、不織布2を抄き込みの際に、不織布2がよじれたり、幅方向にぶれたりしないので、ICチップ5は多層抄き合わせ紙1の幅方向についてもぶれたりすることなく、定位置に配置される。
【0080】
ICチップ5を、下層紙料層23と上層紙料層27の間に挿入後も、下層紙料層(湿紙)及び上層紙料層(湿紙)は流動状態であるから、ズレが生じる可能性があるが、本実施例に係る製造装置及び製造方法では、位置ズレ検出装置33で位置ズレを検出し、位置ズレ情報を位置修正装置26に送って、抄造工程中、未だ下層紙料層(湿紙)及び上層紙料層(湿紙)が固まらない状態において、絶えず位置ズレの修正を行っているから、ICチップ5は、抄き入れ位置pに対して所定の間隔s離れた位置に精度良く定置することができる。
【0081】
本実施例の多層抄き合わせ紙1においては、ICチップ5は、下部紙層3、不織布2及び上部紙層4のそれぞれの繊維が絡み合って形成された強固の結合層9内に繊維組織で拘束されて定着された構造であるから、製造後の流通状態での温度や湿度の変化等の苛酷な条件下で用紙自体が若干変形したりしても、ICチップ5がズレたりすることはない。
【0082】
そして、ICチップ5は多層抄き合わせ紙1内で強固の結合層9内に繊維組織で拘束されて定着された構造であるから、不正使用の目的で、多層抄き合わせ紙1からICチップ5のみ取り出そうとしても、ICチップ5の周囲の結合層9等の紙層において破断を生じ、ICチップを取り出して操作を加えたり、別のICチップを埋め込み変造する等の不正行為は、実質的に不可能となり、偽造防止の点でもきわめてすぐれている。
【0083】
特に、本実施例の多層抄き合わせ紙1において、アンテナ10線も結合層9内に封じ込められている構造であると、ICチップ5のアンテナ10線はきわめて微細な線で形成されており、その近傍に破断を生じるような力が加えられると破断してしまうので、ICチップ5に対する変造作業等の不正行為はきわめて困難となる。
【0084】
ICチップ5は、通常、上述のとおり、ケース内にパッケージングされているので、どうしても厚みが出てしまい、さらにその上下から紙層で保護しようとすると多層抄き合わせ紙1全体としてはさらに厚みが大きくなる。しかしながら、本実施例の多層抄き合わせ紙1は、下層紙料19及び上層紙料20が不織布2の繊維組織内に入りこむために、三層を単純に互いに貼り合わせて成るものとは異なり、その厚さを、150μm以下というきわめて薄くすることができる。
【0085】
なお、本実施例の多層抄き合わせ紙1が真偽判別されるような場合は、例えば、真偽判別装置において、抄き入れ識別装置で抄き入れ情報を読み取るとともに、抄き入れ識別装置から一定間隔sをおいて配置されたICチップ読取装置で、ICチップ5内に秘匿する情報を読み取るなどして真偽判別される。従って、上述のとおり、抄き入れ位置pとICチップ5の挿入位置qが正確に所定の間隔sになるように調整されて位置決めされることはきわめて重要である。
【実施例2】
【0086】
図3(a)〜(d)は、本実施例に係る多層抄き合わせ紙の実施例2を示すものであり、この多層抄き合わせ紙1’は、レジスターマーク6’は付与されているが、抄き入れは付与されていない構成を特徴とする。その他の構成については、上記実施例1と同じであるから明細書及び図面中で同じ符号を使用し、その同じ構成についての説明は省略する。
【0087】
この実施例2の多層抄き合わせ紙1’では、上記実施例1の変形例1で説明したように、ICチップ5はレジスターマーク6’を基準として所定の位置に形成される構成としてもよいし、同じく変形例2で説明したように、多層抄き合わせ紙1’を切断の際に、切断された多層抄き合わせ紙1’の辺の位置からICチップ5を抄き入れ位置までが所定の間隔となるように切断して、多層抄き合わせ紙1’から製造されるICチップ入りの紙葉の所定の位置に配置されたものが形成される構成としてもよい。
【0088】
なお、実施例2の多層抄き合わせ紙1’の製造装置及び製造方法は、実施例1と同じ製造装置により、プレスロール31(ダンディロールで抄き入れする場合はダンディロール35)に抄き入れ型を装着せずに、抄き入れを付与しないようにすればよい。
【0089】
以上、本発明に係る多層抄き合わせ紙の発明を実施するための最良の形態を実施例に基づいて説明したが、本発明はこのような実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された技術的事項の範囲内でいろいろな実施例があることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明に係る多層抄き合わせ紙、その製造方法及び多層抄き合わせ装置は、ICチップを内包して、秘匿情報量が多く、偽造防止効果に優れ、用紙の所定の定位置に正確に配置され、しかも紙厚が150μm以下で平滑度が10秒以上、層間剥離強度10g/mm以上の薄い多層抄き合わせ紙を実現することができるから、有価証券類、旅券、各種の金券、紙幣、図書、極秘資料(例.設計書、契約書、ノウハウ資料)等の各種の偽造防止機能を必要とする分野に利用可能である。
【符号の説明】
【0091】
1、1’ 多層抄き合わせ紙
2 不織布
3 下部紙層
4 上部紙層
5 ICチップ
6 抄き入れ
6’ レジスターマーク
7 不織布と下部紙層の境界
8 不織布と上部紙層の境界層
9 結合層
10 アンテナ
11 多層抄き合わせ装置
12 抄紙用のワイヤ
13 従動用プーリ
14 駆動用プーリ
15 ワイヤの上流部
16 下層紙料供給槽
17 不織布供給装置
18 上層紙料供給槽
19 下層紙料
20 上層紙料
21 下層紙料用目止め板
22 上層紙料用目止め板
23 下層紙料層(下部湿紙)
24 不織布供給ドラム
25 テンションローラ
26 位置修正装置
27 上層紙料層(上部湿紙)
28 位置制御器
29 位置修正ローラ
30 搾水ボックス
31 プレスロール
32 乾燥装置
33 位置ズレ検出装置
34 位置検出器
35 タンディロール
36 位置ズレ判別器
37 ライトテーブル
p 抄き入れ位置
q ICチップの挿入位置
r レジスターマークの位置
s、m、n、u 所定の間隔
t 幅方向のズレの間隔
w 下層紙料層の横幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置ズレ検出装置と不織布位置修正装置とを備えており、ICチップが内包された不織布を紙層中に挿入する装置を用いて抄き合わせ紙を製造する方法において、
上記位置ズレ検出装置で、基準となる特定位置と上記ICチップ間の間隔を測定し、該測定された間隔のあらかじめ設定された所定間隔からのズレを検出し、該検出されたズレに基づき上記不織布位置修正装置で不織布の供給速度及び不織布の幅方向の供給位置の両方又はいずれか一方を制御して、基準となる特定位置と上記ICチップ間の間隔を上記あらかじめ設定された所定の間隔に制御することを特徴とする多層抄き合わせ紙製造方法。
【請求項2】
位置ズレ検出装置と不織布位置修正装置とを備えており、ICチップが内包された不織布を紙層中に挿入する装置において、
上記位置ズレ検出装置は、基準となる特定位置と上記ICチップ間の間隔を測定し、該測定された間隔のあらかじめ設定された所定間隔からのズレを検出し、上記不織布位置修正装置は、上記位置ズレ検出装置で検出されたズレに基づき不織布の供給速度及び不織布の幅方向の供給位置の両方又はいずれか一方を制御して、基準となる特定位置と上記ICチップ間の間隔を上記あらかじめ設定された所定の間隔に制御するものであることを特徴とする多層抄き合わせ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−243032(P2009−243032A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−123647(P2009−123647)
【出願日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【分割の表示】特願2003−408951(P2003−408951)の分割
【原出願日】平成15年12月8日(2003.12.8)
【出願人】(303017679)独立行政法人 国立印刷局 (471)
【Fターム(参考)】