説明

多層配線形成方法および多層配線構造

【目的】 多層配線の層間接続において、下層配線にオーバラップ部を設けることなく、接続孔開口時の合わせずれマージンを導入する、多層配線形成方法およびその構造を提供する。
【構成】 下層配線3の厚さ方向の1部をエッチングして第1のパターンを形成した後、マスク8と第1のパターンの側面にイオウ系材料による昇華性側壁9を形成し、下層配線の厚さ方向の残部をエッチングし第2のパターンを形成する。第2のパターンのテラス部3Tが接続孔開口時の合わせずれマージンとなる。
【効果】 接続孔のアライメントがずれても、テラス部Tがエッチングトッパとなり、絶縁層2に損傷を与えることがない。テラス部3Tの幅はセルフアラインで決定されるのでプロセスは安定であり、配線密度の高集積化が達成される。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は半導体装置等に用いる多層配線形成方法および多層配線構造に関し、更に詳しくは多層配線の下層配線の接続孔部分を、オーバラップなしで形成する多層配線形成方法および多層配線構造に関する。
【0002】
【従来の技術】LSI等の半導体装置の高集積度化に伴い、多層配線プロセスの重要性が益々高まりつつある。半導体装置の集積度向上には、半導体チップ上で大きな面積を占める配線および配線間のピッチを狭めることが1つのポイントであることから、そのデザインルールもサブハーフミクロンからクォータミクロンのレベルへと微細化されてきている。
【0003】かかる微細幅の下層配線上の層間絶縁膜に接続孔を開口し、ここにコンタクトプラグを形成して上層配線との層間接続をとる多層配線プロセスにおいては、リソグラフィ時のマスク合わせずれを補償するマージン確保の意味から、オーバラップ部を設けることが通常行われる。これを図3(a)〜(b)を参照して説明する。
【0004】図3(a)は多層配線のオーバラップ部を示す概略断面図である。半導体基板1上の絶縁層2上に下層配線3を形成し、この上の層間絶縁膜5に下層配線3に臨む接続孔6を開口する。この接続孔6開口部の下層配線3には、下層配線3の幅を拡げたオーバラップ部4を形成しておく。図3(b)は同じく多層配線のオーバラップ部を示す概略平面図であり、隣り合う複数の下層配線3を示している。接続孔6形成のためのレジスト層へのパターン露光においては、半導体チップ上の図示しないアライメントマークにより位置合わせを行うが、この位置合わせずれを見越してオーバラップ部4を図3(b)に示すように下層配線3より広い幅に形成しておくのである。これにより、接続孔開口用マスクが例え下層配線3からずれても、接続孔6開口時のエッチングにより絶縁層2が掘られたり、オーミックコンタクトが不安定になる不都合を回避できる。
【0005】しかしながら、下層配線3間のスペース間隔D1 は、オーバラップ部4が存在する限り、ある限界以下には狭めることは不可能である。すなわち、オーバラップ部のスペース間隔D2 をリソグラフィ時の解像限界値に設定したとしても、D1 はD2 にオーバラップ部の張り出し幅D3 の2倍を加えた間隔となるためである。この関係は、D1 =D2 +2D3 で表される。すなわち、オーバラップ部4以外の下層配線3間のスペース間隔D2 は、配線レイアウト上無駄な2D3 に起因するエリアを含むこととなり、半導体装置の高集積化の妨げとなっていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明の課題は、接続孔開口部の下層配線にオーバラップ部を形成することなく、しかも接続孔形成用のマスク合わせずれが生じた場合にも、下地絶縁層を損傷することがない、多層配線の形成方法および多層配線構造を提供することである。
【0007】また本発明の別の課題は、接続孔開口部の下層配線にオーバラップ部を形成することなく、下層配線のスペース間隔を狭め、これにより半導体装置の集積度を向上することが可能な多層配線の形成方法および多層配線構造を提供することである。本発明の上記以外の課題は、本願明細書および添付図面の説明により明らかにされる。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の多層配線形成方法は、上述の課題を解決するために発案したものである。すなわち、下層配線上の層間絶縁膜にこの下層配線に臨む接続孔を開口する工程を有する多層配線の形成方法であって、この下層配線の形成工程は、マスク層をマスクとして下層配線層の厚さ方向の1部をパターニングして第1のパターンを形成する工程、マスク層および第1のパターン側面に昇華性側壁を形成する工程、マスク層および前記昇華性側壁を新たなマスクとして上記下層配線層の厚さ方向の残部をパターニングして第2のパターンを形成する工程を含んでなることを特徴とするものである。
【0009】この昇華性側壁は、S(イオウ)層または(SN)n (ポリチアジル)層により形成する。このうち、イオウ層は、放電解離条件下でプラズマ中に遊離のイオウを生成しうるガスを用いて気相中から形成する。またポリチアジル層は、放電解離条件下でプラズマ中に遊離のイオウを生成しうるガスと、N系ガスとを用いてやはり気相中から形成する。
【0010】放電解離条件下でプラズマ中に遊離のイオウを生成しうるガスとしては、S22 、SF2 、SF4 、S2 10、S2 Cl2 、S3 Cl2 、SCl2 、S2 Br2 、S3 Br2 、SBr2 等のハロゲン化イオウ系ガスおよびH2 Sガスのいずれかを用いる。ハロゲン化イオウガスとして一般的なSF6 は、放電解離条件下でプラズマ中に遊離のイオウを生成しないので、本発明からは除外する。
【0011】またN系ガスとしては、N2 、NF3 、N2 4 およびN2 4 のいずれかを用いる。N系ガスのうち、NH3 はポリチアジルを形成することはなく、むしろ難昇華性の(NH4 2 S(硫化アンモニウム)を形成するので、本発明から除外する。
【0012】一方、本発明の多層配線構造は、同じく上述の課題を解決するために発案したものである。すなわち、下層配線上の層間絶縁膜に該下層配線に臨む接続孔を有する多層配線構造であって、この下層配線は、幅の狭い第1のパターンと、この第1のパターンの下部に接し、かつ第1のパターン幅より広い幅の第2のパターンとにより、配線の長手方向に直角な断面が、凸字状に形成されていることを特徴とするものである。
【0013】この第1のパターンはAl系金属層を含み、第2のパターンはW等の高融点金属層を含むことを特徴とする。また第1のパターン幅は、高集積度半導体装置に用いる観点から、0.5μm以下であることが望ましい。
【0014】
【作用】本発明のポイントは、オーバラップ部を不要とする下層配線の構造およびその形成工程にある。すなわち、接続孔開口用のマスク形成時の露光時に、マスク合わせずれが生じても上述した不都合が起こらないためのマージンを、下層配線パターニングマスクにオーバラップ部を予め付加しておくことにより導入するという、従来のマスク形状に依存することのない下層配線の形成工程およびその構造にある。
【0015】本発明の多層配線形成方法によれば、下層配線層を微細なスペース間隔のマスクを用いて中途までパターニングして第1のパターンを形成した後、マスクおよび第1のパターンの側面に昇華性の側壁を形成して見掛け上のマスク幅を拡げ、この側壁を有するマスクを新たなマスクとして下層配線層を更にパターニングして第2のパターンを形成し、下層配線パターンを完成する。この2段階パターニング法によれば、下層配線の下部をしめる第2のパターンによるテラス部が下層配線の全長に渡って形成され、このテラス部が前述したマスク合わせずれが生じた場合に、合わせずれマージンとして機能するのである。この関係を、本発明の原理を示す概略断面図である図2(a)〜(b)を参照して説明する。
【0016】図2(a)は本発明の多層配線構造に採用する下層配線3の断面形状であり、配線の長手方向に直角な断面を示すものである。同図で明らかなように下層配線3は、上部の第1のパターン3Aと、下部の第1のパターン3Bとにより凸字状に構成され、第2のパターン3Bには第1のパターン3Aから張り出したテラス部3Tが形成されている。
【0017】つぎにこのテラス部3Tの機能について説明する。図2(b)は本発明の多層配線構造による複数の下層配線3が、あるスペース間隔をもって平行に形成され、この複数の下層配線の臨む複数の接続孔(ヴァイアホール)6を開口した状態を示す。接続孔6は、本来、第1のパターン3Aの直上に開口されるべきものである。しかし図2(b)においては、接続孔形成用のマスク露光時のアライメント合わせずれにより、接続孔6は第1のパターン3Aから部分的にずれて開口されている。この場合、下層配線3パターンが単なる矩形形状であれば接続孔6開口時のオーバーエッチングにより下地の絶縁層2が掘られ、損傷を受ける場合がある。しかし本発明の多層配線構造による下層配線3の構造であれば、第2のパターン3Aから張り出したテラス部3Tの存在により、これがエッチングストッパとなりこのような不都合を回避できるのである。
【0018】さらに、テラス部3Tは昇華性側壁により、その幅はセルフアラインで形成される。すなわち、第2のパターン3B間のスペース間隔も自己整合的に決定される。このため、複数の第1のパターン3A間のスペース間隔をリソグラフィ時の解像限界あるいは解像限界に近い値に設定した場合であっても、第2のパターン3B間のスペース間隔は解像限界を超える微細幅にセルフアラインで形成され、高集積化に寄与する。
【0019】通常、このような側壁を形成する場合には、第1のパターン3Aを形成後SiO2 のような絶縁膜をコンフォーマルに形成後、エッチバックにより残留形成することがおこなわれる。しかしこのように残留形成した側壁をもマスクとして第2のパターン3Bをエッチングする場合には、第1のパターン3Aを保護するマスクを新たに形成する必要があり、プロセスが煩雑となる。他の方法として、第1のパターン3A形成後、カーボン系ポリマを側壁に付着形成してこれをマスク層として用いれば工程は単純化する。しかしこの場合には、余剰のカーボン系ポリマがエッチングチャンバ内壁等にも付着し、パーティクルレベルの悪化等プロセスのクリーン化に新たな問題が生じる。
【0020】本発明は上記の問題点をいずれも解決し、スループットを低下することなく、クリーンなプロセスを達成することが可能である。すなわち、イオウ系材料層は昇華点以下に温度制御された被エッチング基板上に気相中から堆積することが可能である。この温度はイオウでは約90℃以下、ポリチアジルであれば約150℃以下である。またエッチング終了後には、被エッチング基板を加熱すればこれらイオウ系材料層は昇華除去され、何ら汚染を残すことはない。昇華除去温度は、イオウ層は約90℃、ポリチアジル層では150℃を超える温度である。
【0021】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例につき図面を参照しながら説明する。
【0022】実施例1本実施例は、高融点金属層上に形成されたAl系金属層を含む下層配線層をパターニングする際に、イオウ層からなる昇華性側壁を用いた例であり、これを図1(a)〜(c)を参照して説明する。なお同図では、図2および図3中と同じ構成部分には同一の参照符号を付すものとする。
【0023】まず、Si等の半導体基板1上にSiO2 等からなる絶縁層2を形成する。半導体基板1は多結晶シリコンやAl系金属からなる配線層であってもよい。また絶縁層2には図示しない接続孔が開口されていてもよい。次にTiおよびTiONをこの順に30nmと70nmの厚さにスパッタリングにより形成し、密着層兼バリアメタル層31とする。続けてブランケットCVDによりWからなる高融点金属層32を200nm、スパッタリングによるTi層33を50nm、Al−1%SiからなるAl系金属層34を500nm、そしてTiONからなる反射防止層7を25nmの厚さに形成する。密着層兼バリアメタル層31からAl系金属層34迄の各層は、下層配線を構成する層である。なお各層の厚さや層構成は代表的な例を示すものであり、これに限定されることはない。次に、例えば化学増幅型レジストとKrFエキシマレーザリソグラフィにより、0.35μm幅の複数のマスク8を形成する。マスク8間のスペースも0.35nmとする。ここまで形成した図1(a)に示す試料を被エッチング基板とする。
【0024】この被エッチング基板をRFバイアス印加型ヘリコン波プラズマエッチング装置を用いて、一例として下記条件により反射防止層7とAl系金属層34およびTi層33をエッチングして第1のパターン3Aを形成する。
BCl3 80 sccm Cl2 120 sccm ガス圧力 0.13 Pa ヘリコン波電源パワー 2500 W(13.56MHz)
RFバイアスパワー 100 W(2MHz)
基板温度 0 ℃Cl系ガスによる本エッチング工程では、高融点金属層32が露出した時点でエッチングはストップして第1のパターンが形成される。
【0025】次に同じエッチング装置内でガスを切り替え、下記条件によりイオウ層からなる昇華性側壁9を形成する。
2 2 40 sccm H2 10 sccm ガス圧力 0.13 Pa ヘリコン波電源パワー 2500 W(13.56MHz)
RFバイアスパワー 30 W(2MHz)
基板温度 0 ℃本工程では、プラズマ中に解離生成するS* (Sラジカル)は遊離のイオウとなって被エッチング基板上全面に堆積するが、弱いRFバイアスを印加しているので、マスク8および第1のパターン側壁にのみ昇華性側壁9が形成される。昇華性側壁9の厚さは一例として75nmである。この状態を図1(b)に示す。RFバイアスは印加しなくても良いが、この場合にはイオウは被エッチング基板上にコンフォーマルに形成される。なおH2 ガスの添加は、F* (Fラジカル)を補足してイオウの堆積を助長する効果を担うが、必ずしも添加する必要はない。このようにハロゲンラジカルを補足する効果のあるガスとしてSiH4 等、他のH系ガスを用いてもよい。
【0026】引き続き同じエッチング装置により、ガスを切り替えて一例として下記条件により高融点金属層32と密着層兼バリアメタル層31をエッチングし、第2のパターン3Bを形成する。
2 2 30 sccm Cl2 20 sccm ガス圧力 0.13 Pa ヘリコン波電源パワー 2500 W(13.56MHz)
RFバイアスパワー 100 W(2MHz)
基板温度 0 ℃本エッチング工程では、マスク8および昇華性側壁9とを共にエッチングマスクとしてエッチングが進行する結果、第1のパターンより幅広の第2のパターン3Bが形成される。エッチング終了後、被エッチング基板を約90℃以上に加熱すると昇華性側壁9は昇華除去される。昇華性薄膜9の除去は、マスク8のアッシング時に同時に酸化除去してもよい。この状態を図1(c)に示す。第2のパターン3Bにはテラス部3Tが自己整合的に形成されるが、この幅は昇華性側壁9の厚さに相当する約75nmである。また隣り合う第2のパターン間のスペースは約200nmに縮小される。
【0027】マスク9をアッシングまたウエット剥離して凸字型の断面形状を有する下層配線3が完成する。以下、図2(b)で示したように層間絶縁膜5を形成し、下層配線3に臨む接続孔6を開口し、さらに図示しない上層配線ないしはコンタクトプラグを形成して多層配線構造が完成する。本実施例によれば、イオウの昇華性側壁の利用により、オーバラップ部なしでアライメントマージンを有する多層配線構造を実現することが可能である。
【0028】実施例2本実施例は高融点金属層上に形成されたAl系金属層を含む下層配線層をパターニングする際に、ポリチアジル層からなる昇華性側壁を用いた例であり、これを再び図1(a)〜(c)を参照して説明する。ただし本実施例は基本的には実施例1と同じであり、昇華性側壁9としてイオウ層をポリチアジル層に変更した点が異なるのみであるので、この特徴部分のみを説明する。
【0029】Cl系ガスにより第1のパターン3Aを形成した後、同じヘリコン波プラズマエッチング装置内でガスを切り替え、下記条件によりポリチアジル層からなる昇華性側壁9を形成する。
2 2 40 sccm N2 10 sccm ガス圧力 0.13 Pa ヘリコン波電源パワー 2500 W(13.56MHz)
RFバイアスパワー 30 W(2MHz)
基板温度 0 ℃本工程では、プラズマ中に解離生成するS* (Sラジカル)はN原子と反応し、まずチアジル(S≡N)が形成される。チアジルは、分子中に不対電子を持っているので容易に重合し、(SN)2 を形成する。さらにこの(SN)2 は重合を繰り返し、ポリマ状の(SN)n となる。ポリチアジルは安定な物質であり、150℃程度迄は分解しない。本実施例では基板温度を0℃に制御しているのでポリチアジルを被エッチング基板上に堆積できるのである。また弱いRFバイアスの印加により、マスク8および第1のパターン3A側壁にのみ昇華性側壁9が形成される。昇華性側壁9の厚さは一例として75nmである。この状態を図1(b)に示す。RFバイアスは印加しなくても良いが、この場合にはポリチアジル層は被エッチング基板上にコンフォーマルに形成される。なおN2 以外のN系ガスとして、NF3 、N2 4 またはN2 4 を使用してもよい。
【0030】以下の工程は実施例1と同じであり、重複する記述を省略する。ポリチアジルからなる昇華性薄膜もアッシングで除去してもよい。本実施例によれば、エッチングマスクとして、イオウ層よりさらにイオン照射耐性の強いポリチアジルからなる昇華性側壁をもマスクの1部として用いることにより、第2のパターンのテラス部321の幅の制御性を向上することができる。これにより、オーバラップ部なしでアライメントマージンを有する多層配線構造を安定に実現することが可能である。
【0031】以上、本発明を2種類の実施例をもって説明したが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
【0032】下層配線の層構成として、高融点金属層上にAl系金属層が積層された構造を例示したが、多結晶シリコン上に高融点金属シリサイド層が積層されたポリサイド層や、多結晶シリコン層、Al系金属層等の単層であってもよい。これらの材料層により形成される、微細な線幅とスペース幅を有する下層配線上の層間絶縁膜に、この下層配線に臨む接続孔を開口する場合に、本発明はアライメントマージンを自己整合的に導入することが可能である。
【0033】層間絶縁膜としてSiO2 を例示したが、不純物を含むSiO2 、すなわちPSG、BSG、BPSG、AsSGやSiON、Si3 4 であってもよい。F等のハロゲン元素を含むSiOF、SiONFは一般に比誘電率が小さく、本発明のように配線間隔を極限まで狭めた多層配線構造においては、配線間容量の低減、信号伝送遅延の低減に有用である。これらのF含有層間絶縁膜は、C2 6、NF3 等のF系ガスを併用したCVDやスパッタリングにより成膜することができる。
【0034】エッチング装置としてヘリコン波プラズマエッチング装置を用いたが、より一般的な平行平板型RIEやECRプラズマエッチング装置、さらにはICP(Inductively Coupled Plasma)エッチング装置、TCP(Transformer Coupled Plasma)エッチング装置等を適宜用いてよい。これらのエッチング装置に基板RFバイアス印加手段と基板ステージ温度制御手段を組み込み使用することができる。
【0035】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明によれば接続孔開口部の下層配線にオーバラップ部を形成することなく、たとえ接続孔形成用のリソグラフィ時のマスク合わせずれが生じたとしても、下地絶縁層を損傷することがない。このため、配線レイアウトの設計段階から無駄なスペースを排除でき、高密度に下層配線群を配置できる。
【0036】下層配線上部、すなわち第1のパターン間のスペースをリソグラフィの解像限界、あるいはそれに近い値に設計しても、下層配線下部すなわち第2のパターン間隔はセルフアラインで決定されるので高集積化に寄与するとともに、配線間短絡等の事故が生じることがない。また凸字型の配線断面により、断面積はむしろ増加するので、配線抵抗の低減にも役立つ。
【0037】イオウ系材料からなる昇華性側壁は、エッチング終了後の基板加熱あるいはアッシングにより基板汚染を残すことなく除去できる。エッチングチャンバ内壁に付着したイオウ系材料についても同様に加熱除去できる。このためパーティクル汚染のないクリーンなプロセスが可能である。
【0038】以上の効果により、接続孔開口時のマスク合わせ対策を含む多層配線構造およびその形成方法を自己整合で信頼性高く提供することが可能となった。本発明による多層配線構造および形成方法は、特に0.5μm以下の微細な配線幅を有する半導体装置の下層配線に用いて効力を発揮するものであり、本発明が奏する効果は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の多層配線形成方法を適用した実施例1および2における下層配線のドライエッチング工程を示す概略断面図であり、(a)は下地絶縁層上に積層構造の下層配線層およびマスクを形成した状態、(b)は下層配線層の厚さ方向の1部をパターニングして第1のパターンを形成し、さらに昇華性側壁を形成した状態、(c)は続けて下層配線層の厚さ方向の残部をパターニングして第2のパターンを形成し、昇華性側壁を除去した状態である。
【図2】本発明の多層配線構造の原理を示す概略断面図であり、(a)は下層配線の断面形状、(b)は下層配線に臨む接続孔を開口した状態である。
【図3】従来の多層配線におけるオーバラップ部を示す概略図であり、(a)は断面図、(b)は平面図である。
【符号の説明】
1 半導体基板
2 絶縁層
3 下層配線
31 密着層兼バリアメタル層
32 高融点金属層
33 Ti層
34 Al系金属層
3A 第1のパターン
3B 第2のパターン
3T テラス部
4 オーバラップ部
5 層間絶縁膜
6 接続孔
7 反射防止層
8 マスク
9 昇華性側壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】 下層配線上の層間絶縁膜に、該下層配線に臨む接続孔を開口する工程を有する多層配線の形成方法であって、該下層配線の形成工程は、マスク層をマスクとして下層配線層の厚さ方向の1部をパターニングして第1のパターンを形成する工程、前記マスク層および第1のパターン側面に昇華性側壁を形成する工程、前記マスク層および前記昇華性側壁をマスクとして上記下層配線層の厚さ方向の残部をパターニングして第2のパターンを形成する工程、を含んでなることを特徴とする、多層配線形成方法。
【請求項2】 昇華性側壁は、イオウ層およびポリチアジル層のうちのいずれか1種により形成することを特徴とする、請求項1記載の多層配線形成方法。
【請求項3】 イオウ層は、放電解離条件下でプラズマ中に遊離のイオウを生成しうるガスを用いて形成することを特徴とする、請求項2記載の多層配線形成方法。
【請求項4】 ポリチアジル層は、放電解離条件下でプラズマ中に遊離のイオウを生成しうるガスとN系ガスとを用いて形成することを特徴とする、請求項2記載の多層配線形成方法。
【請求項5】 放電解離条件下でプラズマ中に遊離のイオウを生成しうるガスは、S2 2 、SF2 、SF4 、S2 10、S2 Cl2 、S3 Cl2 、SCl2、S2 Br2 、S3 Br2 、SBr2 およびH2 Sからなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする、請求項3および4記載の多層配線系方法。
【請求項6】 N系ガスは、N2 、NF3 、N2 4 およびN2 4 からなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする、請求項4記載の多層配線系方法。
【請求項7】 下層配線上の層間絶縁膜に、該下層配線に臨む接続孔を有する多層配線構造であって、該下層配線は、幅の狭い第1のパターンと、前記第1のパターンの下部に接し、かつ前記第1のパターン幅より広い幅の第2のパターンとからなり、断面凸字状に形成されていることを特徴とする、多層配線配線構造。
【請求項8】 第1のパターンはAl系金属層を含み、第2のパターンは高融点金属層を含むことを特徴とする、請求項7記載の多層配線構造。
【請求項9】 第1のパターン幅は、0.5μm以下であることを特徴とする、請求項7記載の多層配線構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開平8−17924
【公開日】平成8年(1996)1月19日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平6−152473
【出願日】平成6年(1994)7月4日
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)