説明

多数の画像を有する基材

本出願は、光透過領域および光遮蔽領域を含む第1の主面を含む基材に関する。画像受容層が、基材の第1の主面の光遮蔽領域上に存在する。基材は実質的に連続している。いくつかの実施形態において、画像受容層は基材の第2の主面上にある。いくつかの実施形態において、光透過領域は実質的に画像受容層がない。特定の実施形態において、光遮蔽コーティングが、画像受容層と基材との間の光遮蔽領域上に存在する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、光透過領域と、光遮蔽領域とを有する基材に関する。
【背景技術】
【0002】
一方向グラフィック物品の設計および製造は、知られており、たとえば、「一方向グラフィック物品を製造するための方法(Method for Making Unidirectional Graphic Article)」という名称の、本出願と同じ譲受人に譲渡された米国特許第6,254,711号明細書に詳細に記載されている。
【0003】
一方向グラフィック物品がいくつかのディスプレイ環境において有用であるが、これらの物品は、典型的には、第1の照明条件において、1つのディスプレイオプションのみ、たとえば反射画像を提供する。すなわち、昼光などの高明度条件において画像を見ることができ(物品の見る側から)、夜間などの低明度条件において画像は見えない(物品の見る側から)。
【0004】
多数のディスプレイオプションを提供するためのデュアルディスプレイフィルムおよびシステムも、当該技術において説明される。すなわち、第1の照明条件において反射画像を示し、第2の照明条件において透過画像または一連の画像を示すことができるフィルム。そのようなフィルムの例が、たとえば、米国特許第3,888,029号明細書;米国特許第5,962,109号明細書;米国特許第6,226,906号明細書;米国特許第6,577,355号明細書;ならびに国際公開第2004042684号パンフレット、国際公開第9747481号パンフレット、および米国特許出願公開第20040090399号明細書に示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前のデュアルディスプレイフィルムおよびシステムは、特にフィルムの近くで見たとき、画像質が低い。また、多くのデュアルディスプレイシステムが、電子装置であり、屋外で使用されると問題が生じる。本出願は、高画像質を有し、かつ静止画像およびアクティブ画像の両方を考慮する二重基材に関する。さらに、限られた電子部品を有するマルチプルディスプレイが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本出願は、光透過領域および光遮蔽領域を含む第1の主面を含む基材に関する。画像受容層が、基材の第1の主面の光遮蔽領域上に存在する。基材は実質的に連続している。いくつかの実施形態において、画像受容層は基材の第2の主面上にある。
【0007】
いくつかの実施形態において、光透過領域は実質的に画像受容層がない。特定の実施形態において、光遮蔽コーティングが、画像受容層と基材との間の光遮蔽領域上に存在する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本出願の目的のため、次の用語を定義する。
【0009】
画像は、ソリッドカラーフィールド、あるものの類似(likeness of something)(これは、多くの色、たとえば、正方形、車、またはパターンを含むことができる)、またはそれらの組合せを含むことができる。
【0010】
色は、黒色、白色、および色の可視スペクトル内のいかなる色も含む。
【0011】
本出願は、基材に関する。特に、二重機能性を提供することができるディスプレイ基材。たとえば、二重機能性能力を有する基材の第1の主面が、フィルムの同じ側から見た(すなわち、第1の主面上で見た)とき、第1の照明条件(たとえばフロントライト条件)において第1の外観を有し、第2の照明条件(たとえばバックライト条件)において第2の外観を有することができる。一般に、基材は全体として、正透過性(specularly transmissive)ではなく、すなわち、見る人が、いずれの側からも、他の側のあるものを見るために、基材を通して見ることができない。
【0012】
一般に、反射画像が、基材の第1の外観を作る。一般に、光源が、基材の、第1の主面と同じ側にある第1の照明条件(すなわち、反射光またはフロントライト)において、反射画像は、見える反射画像になる。反射画像は、あるものの類似および/またはソリッドカラーフィールドを含むことができる。ソリッドカラーは、フィルム上のコーティング、またはフィルム内の色添加剤であることができる。
【0013】
一般に、透過画像が基材の第2の外観を作る。透過画像は、第1の主面と反対側の、基材の第2の主面上に存在し、第2の照明条件において第1の主面上で見える。第2の照明条件は、たとえば、照明源からの光であり、すなわち、照明源は、基材の、見る人から反対側にある(すなわち、透過光またはバックライト)。透過画像は、あるものの類似、透過光、および/またはソリッドカラーフィールドを含むことができる。照明源は、たとえば、電球、発光ダイオード、フォトルミネセンスフィルム、エレクトロルミネセンスフィルムなどであることができる。
【0014】
一般に、フロントライトまたは反射光条件において、反射画像は見え、透過画像は見えない。一般に、バックライトまたは透過光条件において、透過画像は見え、反射画像は見えない。いくつかの照明条件において、反射画像および透過画像の両方が、ディスプレイのすべてまたは一部にわたって、ある程度見える。
【0015】
ここで説明される基材は、一般に、光透過領域と、光遮蔽領域とを含む。光遮蔽領域および光透過領域の特性は、特定の見る条件および所望の視覚効果が与えられると、反射画像および透過画像の外観を最大にするように選択される。光遮蔽領域は、光透過領域より多くの透過光を遮断する。
【0016】
特定の実施形態において、光透過領域は、基材内の透明な(transparent)または透明な(clear)領域である。他の実施形態において、光透過領域は、基材内の半透明領域である。
【0017】
いくつかの実施形態において、光遮蔽領域は不透明である。光遮蔽領域は、任意の手段によって基材内に形成することができる。一般に、光遮蔽領域は、光遮蔽層を使用してフィルム上に、または光遮蔽添加剤を使用してフィルム内に形成される。光遮蔽領域が十分に正反射性である場合、光遮蔽領域は、また、鏡状であることができる。光遮蔽層は、たとえば、着色コーティング、金属フレーク、金属化コーティング、両面鏡などを含む。光遮蔽添加剤は、任意の不透明化充填剤、たとえば、二酸化チタン、カーボンブラック、炭酸カルシウム、金属フレークなどを含む。添加剤および層の組合せおよびブレンドも使用することができる。
【0018】
特定の実施形態において、光遮蔽領域は、フィルム内の光遮蔽添加剤から形成される。たとえば、フィルムは、フィルム内に光遮蔽添加剤を有し、光遮蔽フィルムを作る。そのような実施形態での光透過領域は、フィルムを規定された領域内で薄くして、薄い領域内に光遮蔽添加剤が存在する場合でも、フィルムがそれらの領域内で光透過性になることを可能にすることによって形成することができる。
【0019】
したがって、基材は、第1の主面の平面内に光透過性である特定の平面領域を有する。光透過性である基材の領域は、一般に約90%未満、たとえば約50%未満である。特定の実施形態において、光透過性である基材の領域は、約25%未満、たとえば約15%未満である。特定の実施形態において、光透過性である基材の領域は、約0.5%を超え、たとえば1%を超える。
【0020】
反射画像は、一般に、基材の第1の主面の光遮蔽領域上に作られる。たとえば、反射画像は、光遮蔽領域の上の着色インクのコーティングから生じることができる。特定の実施形態において、着色インクは、それ自体が光遮蔽層であるのに十分な不透明性を有し、インクのコーティングは光遮蔽領域を作る。他の実施形態において、インクは別個の光遮蔽層の上に堆積している。反射画像は、また、第2の主面上に形成することができ、第1の主面から見ることができ、光遮蔽領域を作る。そのような実施形態において、着色インクは光遮蔽領域上に配置され、任意の光遮蔽層が、第1の主面と反対側の着色インクの上に配置される。
【0021】
基材は、また、一般に、透過画像を含む。透過画像は、一般に、第1の主面と反対側の、基材の第2の主面の光透過領域上に作られる。透過画像は、また、基材の第2の主面上の印刷画像によって作ることができる。他の実施形態において、透過画像は、基材の第2の主面上の投影光または投影画像によって作られる。投影画像はアクティブであるか静止していることができる。別の実施形態において、透過画像は、第2の主面に近接した透過性フィルム層を使用して作られ、透過画像は透過性フィルム上にある。透過性フィルムは、たとえば、透明フィルムまたは半透明フィルムであることができる。
【0022】
基材は、ディフューザスクリーンとして作用することができ、プロジェクタから投影画像または一連の画像を受容し、見る人によって見るためにそれらの画像を表示するように、当該技術において知られているように構成することができる。基材は、使用される材料、たとえば、基材に使用されるフィルムの十分なヘイズによって、または、光を基材内に拡散させるためにフィルムに加えられる特定の添加剤、たとえばチタニアで、ディフューザスクリーンとして作用することができる。
【0023】
いくつかの実施形態において、基材の第1の主面は構造化表面である。いくつかの実施形態において、第1の主面と反対側の、基材の第2の主面は、構造化表面である。いくつかの実施形態において、両方の主面が構造化される。
【0024】
構造化表面は、平面性から逸脱した表面である。一般に、構造化表面は、一連の特徴部、または平面性からの逸脱を含む。特徴部は任意の幾何学的形状であることができる。特徴部の形状の例としては、リッジ、ポスト、角錐、半球、および円錐が挙げられる。特徴部は、突出特徴部であることができ、すなわち、それらは表面から突出する。他の実施形態において、特徴は窪んだ特徴部であり、すなわち、それらは表面内に窪む。突出特徴部は、平坦なトップ、尖ったトップ、切頭トップ、または丸いトップを有することができる。窪んだ特徴部は、平坦なベース、尖ったベース、切頭ベース、または丸いベースを有することができる。任意の特徴部の側部は、角度をつけるか、表面に垂直であることができる。いくつかの実施形態において、二次的な特徴部が、特徴部上にまたは特徴部内に存在することができる。
【0025】
いくつかの実施形態において、構造化表面はパターンを有することができる。パターンは、規則的、ランダム、または2つの組合せであることができる。「規則的」は、パターンが計画され、再現可能であることを意味する。「ランダム」は、構造の1つ以上の特徴部が不規則的に変えられることを意味する。変えられる特徴部の例としては、たとえば、特徴部ピッチ、山から谷までの距離、深さ、高さ、壁角度、端縁半径などが挙げられる。組合せパターンが、たとえば、規定された領域にわたってランダムであるパターンを含むことができるが、これらのランダムパターンは、パターン全体内でより大きい距離にわたって再現することができる。
【0026】
いくつかの実施形態において、特徴部は、平面(たとえば突出特徴部のベース、または窪んだ特徴部のトップ)において隣接した特徴部に接触することができる。
【0027】
特定の実施形態において、構造化表面は一連の微細構造特徴部を含む。微細構造特徴部は、55ミル(1.4mm)未満の少なくとも2つの横方向の寸法(すなわち、フィルムの平面内の寸法)を有する特徴部である。特徴部は、突出特徴部または窪んだ特徴部であることができる。いくつかの実施形態において、微細構造特徴部は、40ミル(1.02mm)未満、たとえば25ミル(635マイクロメートル)未満の、少なくとも1つの、たとえば2つの横方向の寸法を有する。特定の実施形態において、微細構造特徴部は、10ミル(254マイクロメートル)未満の、少なくとも1つの、たとえば2つの横方向の寸法を有する。特定の実施形態において、微細構造特徴部は、1マイクロメートルを超える、たとえば25マイクロメートルを超える、少なくとも1つの、たとえば2つの横方向の寸法を有する。
【0028】
特定の実施形態において、第1の主面は一連の微細貫通穴を規定する。穴は基材の第1の主面から基材の第2の主面まで進む。微細貫通穴は、55ミル(1.4mm)未満の少なくとも2つの横方向の寸法(すなわち、フィルムの平面内の寸法)を有する穴である。いくつかの実施形態において、微細貫通穴は、40ミル(1.02mm)未満、たとえば25ミル(635マイクロメートル)未満の、少なくとも1つの、たとえば2つの横方向の寸法を有する。特定の実施形態において、微細貫通穴は、10ミル(254マイクロメートル)未満の、少なくとも1つの、たとえば2つの横方向の寸法を有する。特定の実施形態において、微細貫通穴は、1マイクロメートルを超える、たとえば25マイクロメートルを超える、少なくとも1つの、たとえば2つの横方向の寸法を有する。
【0029】
特定の実施形態において、基材は実質的に連続している。実質的に連続しているとは、本出願の目的のため、基材の平面領域が、基材の第1の主面から基材の第2の主面まで進む穴によって除去された表面領域10%未満を有することを意味する。
【0030】
基材は、一般に、少なくとも1つのフィルム層を含む。一般に、フィルムはポリマー材料である。適切なポリマー材料としては、たとえば、ポリオレフィン材料(たとえばポリプロピレンまたはポリエチレン)、変性ポリオレフィン材料、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリフッ化ビニリデン、(メタ)アクリル(たとえばポリメチルメタクリレート)、ウレタン、およびアクリルウレタン、エチレン酢酸ビニルコポリマー、アクリレート変性エチレン酢酸ビニルポリマー、エチレンアクリル酸コポリマー、ナイロン、ならびにポリケトンまたはポリメチルペンタンなどのエンジニアリングポリマーが挙げられる。フィルムは、また、エラストマーであることができる。エラストマーとしては、たとえば、天然または合成ゴム、イソプレン、ブタジエン、またはエチレン(ブチレン)ブロックを含有するスチレンブロックコポリマー、メタロセン触媒ポリオレフィン、ポリウレタン、およびポリジオルガノシロキサンが挙げられる。ポリマーおよび/またはエラストマーの混合物も使用することができる。
【0031】
フィルムは添加剤を含むことができる。そのような添加剤の例としては、制限なく、所望の物理的または光学的利点を提供するための、安定剤、紫外線吸収剤、つや消し剤、蛍光増白剤、および組合せが挙げられる。
【0032】
基材は多層構造であることができる。いくつかの実施形態において、構造特徴部は、ベースフィルム層から別個の層であることができる。いくつかの実施形態において、多層基材は、光遮蔽フィルム層および光透過フィルム層の組合せであることができ、光遮蔽フィルム層には光透過領域がある。
【0033】
特定の実施形態において、基材は、反射画像または透過画像を受容するための、少なくとも1つの表面上の画像受容層を含む。特定の実施形態において、画像受容層は、また、光遮蔽層として役立つことができる。画像受容層の組成は、所望の画像形成方法(たとえば、スクリーン印刷、インクジェット印刷など)と適合しなければならない。一般に、画像受容層は、エチレン酢酸ビニルポリマー(EVA)、より好ましくは、酸または酸/アクリレート変性EVAポリマー、または一酸化炭素変性EVAポリマー、ポリ塩化ビニル、ウレタン、(メタ)アクリル、アクリルウレタン、またはそれらの組合せを含む。
【0034】
一般に、画像受容層は基材の光遮蔽領域の上にある。そのような実施形態において、画像受容層は、また、光遮蔽層であることができる。他の実施形態において、光遮蔽層が、基材表面と画像受容層との間の光遮蔽領域上にある。特定の実施例において、光透過領域は実質的に画像受容層がない。
【0035】
いくつかの実施形態において、基材は、光透過領域の上の低エネルギー表面層を含む。低エネルギー表面層は、いかなる画像の、光透過領域への湿潤を低減するのに役立つ。低エネルギー表面層の例としては、たとえば、シリコーンが挙げられる。
【0036】
他の実施形態において、基材は、光透過領域の上の、弱い境界層、たとえば剥離コーティングを含む。基材の表面上のコーティングが、弱い境界層に接着しない。したがって、弱い境界層は、光透過領域からいかなるコーティングもクリアするのに役立ち、それにより、光透過能力を向上させる。弱い境界層の例としては、ろう、セルロース層、および低分子量シリコーンが挙げられる。
【0037】
いくつかの実施形態において、基材は接着剤層を含む。接着剤層は、第1の主面または第2の主面上にあることができる。特定の実施形態において、接着剤層は、反射画像か透過画像かいずれでも、画像層の上にある。剥離ライナが、また、使用前、接着剤層を被覆することができる。適切な接着剤の例としては、いかなる任意の粘着付与剤、可塑剤、または架橋剤とともに、(メタ)アクリル接着剤、スチレンブロックコポリマー接着剤、および天然ゴム樹脂接着剤が挙げられる。適切な剥離ライナの例としては、シリコーンコーティング紙およびポリエステルが挙げられる。
【0038】
図1は、本発明の実施形態での使用のためのフィルムを表す。基材10はフィルム12を含む。基材10は第1の主面14を有する。図1に示された実施形態において、第1の主面14は構造を含む。構造は、たとえば微細構造であることができる。
【0039】
図2は、図1の実施形態の修正例を表す。図2は、フィルム12の表面上の画像受容層20を示す。画像受容層は、画像受容層20とフィルム12との間に、下の光遮蔽コーティング(図示せず)を有することができる。光遮蔽コーティングは、光遮蔽領域22および光透過領域24を作る。光透過領域24を透過する光が、波線として示されている。上述されたように、いくつかの実施形態において、光遮蔽コーティングは不透明な層であることができ、画像受容層が光遮蔽コーティング上に形成される。他の実施形態において、光遮蔽領域を作るために十分な不透明性を有するインクが、画像受容層の上に反射画像を作る。さらに、図2は、基材の第2の主面上の画像層26の実施形態を示す。画像層26は透過画像を作る。
【0040】
図3は、本発明の実施形態での使用のためのフィルムを表す。基材30はフィルム32を含む。基材30は第1の主面34を有する。図3に示された実施形態において、第1の主面34は構造を含む。構造は、たとえば微細構造であることができる。フィルム32は、さらに、光遮蔽添加剤36を含む。構造および光遮蔽添加剤は、光透過領域38および光遮蔽領域39を作る。この実施形態において、構造は、光透過領域内のフィルムを、フィルムが光透過性になることを可能にするのに十分薄くする。光透過領域38は、一般にフィルム32内の窪みである。光透過領域38を透過する光が、波線として示されている。
【0041】
図4は、図3の実施形態の修正例を表す。図4は、フィルム32の表面上の画像受容層42を示す。画像受容層42は、一般に、反射画像(図示せず)を受容する。さらに、図4は、基材の第2の主面上の画像層44を示す。画像層44は透過画像を作る。
【0042】
図5は、本発明の実施形態での使用のためのフィルムを表す。フィルム52は一連の貫通穴54を含む。
【0043】
図6は、本発明の実施形態での使用のためのフィルム62を表す。フィルムは構造化表面64を含む。構造化表面は一連の角錐を含む。
【0044】
基材は、さまざまな方法を用いて製造することができる。一実施形態において、フィルムは光透過フィルムであることができる。次に、光透過フィルムを、最終的に画像になることができる光遮蔽物質でコーティングする。コーティング方法としては、スクリーン印刷、回転スクリーン、グラビア印刷などが挙げられる。次に、コーティングされた表面を構造化する。表面は、たとえばエンボス加工を含むさまざまな方法を用いて構造化することができる。
【0045】
他の実施形態において、フィルムは光遮蔽フィルムであり、フィルムの表面を、光透過領域を提供するために十分に薄い部分を残すように構造化する。そのような実施形態において、フィルムは、エンボス加工に加えて、キャストフィルム押出プロセスまたは硬化プロセスを用いて構造化することができる。
【0046】
他の実施形態において、フィルムは光透過フィルムであることができる。フィルムを構造化する。次に、光透過フィルムを光遮蔽コーティングでコーティングし、次に、光遮蔽コーティングを第1の主面の突出部から除去する。除去は、コーティングプロセスの間、または完全なコーティング後であることができる。いくつかの実施形態において、光遮蔽コーティングを、手動で、たとえば研磨によって除去し、他の実施形態において、光透過領域は光遮蔽コーティングおよびいかなるインクも反発する。いくつかの実施形態において、光遮蔽コーティングはインクだけであり、他の実施形態において、インクを光遮蔽コーティングの上にコーティングする。
【0047】
他の実施形態において、フィルム形成材料を構造化表面上にコーティングして、フィルムを形成する。フィルムを構造化表面から除去して、構造化表面を有するフィルムを提供する。次に、フィルムを、フィルムの構造化表面上で光遮蔽コーティングでコーティングし、光遮蔽物質を光透過領域からクリアする。フィルム形成材料は、また、光遮蔽添加剤を含むことができる。
【0048】
基材を製造する付加的な方法は、光遮蔽層を構造化表面の少なくとも一部の上にコーティングすることを含む。次に、フィルム形成材料を構造化表面上にコーティングして、フィルムを形成する。フィルムおよび光遮蔽層を構造化表面のトップから除去して、光遮蔽領域を有する構造化表面を有するフィルムを形成する。
【0049】
基材をさまざまな方法で使用することができる。一般に、照明源を提供する。実質的に連続した基材を、照明源と見る人との間に配置し、基材は、光遮蔽領域と、光透過領域とを含む。他の実施形態において、基材は、55ミル未満の少なくとも2つの横方向の寸法を有する一連の微細貫通穴を有する。
【0050】
反射画像が照明源と反対側の基材上に存在し、透過画像が基材と照明源との間に存在する。反射画像は照明源がオフの状態で見え、透過画像は照明源がオンの状態で見える。たとえば、上で説明されたように、反射画像は印刷画像であることができ、透過画像は、印刷画像、トランスペアレンシー上の画像、または投影画像であることができる。
【0051】
一般に、反射画像は、照明光源がオフであるときのみ見え、透過画像は、照明光源がオンであるときのみ見える。
【0052】
基材はさまざまな用途において有用である。たとえば、基材は、ソリッドカラーである反射画像を有することができる。ソリッドカラーは、周囲の環境に適合し、照明源がオンであるときに見えるだけである透過画像をカムフラージュすることができる。1つの特定の例は、自動車のブレーキライトをカムフラージュすること、または自動車の内部オーバーヘッドライトをカムフラージュすることを含む。警告標識、注意標識、指示標識、および広告標識も、必要とされるまでカムフラージュすることができる。
【0053】
別の用途はデュアルグラフィックまたは標識においてである。基材は、標識情報を与える反射視覚画像を有することができる。次に、この標識は、フロントライト条件において見える。次に、標識は、バックライト条件において異なった標識に容易に変えることができる。たとえば、静止標識が昼(フロントライト)の間表示し、夜に、投影アクティブ標識が、同じ基材上の透過画像である。
【0054】
次の実施例は、本発明の実施形態をさらに開示する。
【実施例】
【0055】
比較例A
赤色フィルム(ミネソタ州セントポールの3Mカンパニー(3M Co., Saint Paul, MN)から商品名3M 3635デュアル・カラー・フィルム(Dual Color Film)で市販される)のピースに、230メッシュ「ABC」テストパターンスクリーンを使用して、黒色インク(商品名3Mスコッチカル(SCOTCHCAL)1905で市販される)を印刷し、24時間空気乾燥させた。結果として生じるフィルムは赤色外観を有し、黒色「ABC」テストパターンはフィルムの穿孔された穴によって中断された。次に、印刷されたフィルムを10cm×15cmのサイズにトリミングした。
【0056】
次に、3Mインク・ジェット・トランスペアレンシー・フィルム(Ink Jet Transparency Film)#CG3460のピースに、ヒューレット・パッカード・デスクジェット(Hewlett Packard DeskJet)810Cインクジェットプリンタを使用して、自動車の画像を印刷した。空気乾燥後、画像を10cm×15cmのサイズにトリミングした。次に、自動車の画像を、厚さ37ミクロンの透明なケルビックス(Kelvx)シーティングの30cm×30cmピース上に配置した。3M#232マスキングテープのストリップをトランスペアレンシーフィルムの周囲に付与することによって、自動車の印刷画像をケルビックスに接合した。次に、スクリーン印刷されたデュアル・カラー・フィルムの10cm×25cmピースを、印刷された「ABC」テキストが上方に面する状態で、自動車の画像の上に直接付与した。次に、3M 3635−22Bブロックアウト(blockout)フィルムを、微細構造化フィルム/トランスペアレンシーの周囲のケルビックスシーティングに付与し、結果として生じる複合体をライトボックス内に配置した。ライトボックスがオフにされた状態で、フロントライト条件下で見たとき、表面は赤色に見え、「ABC」テストテキストは、見えるが、デュアル・カラー・フィルムの穿孔によって乱された(図7a)。
【0057】
ライトボックスがオフにされた状態で、暗くした部屋内に配置すると、「ABC」テキストは再び見えた。ライトボックスをオンにすると、自動車の画像がすぐに見えるようになったが、画像は、デュアル・カラー・フィルムの粗い穴のパターンによって、解像するのが困難であった(図7b)。
【0058】
実施例1
角錐形微細構造を有する、商品名3Mプレサイス・マウジング・サーフェス・フィルム(PRECISE MOUSING SURFACE FILM)(ミネソタ州セントポールの3Mカンパニー(3M Company, St. Paul, MN)から入手可能)で販売される、印刷されていない22センチメートル×30センチメートルのフィルムのピースを、157メッシュフラッドコート(floodcoat)スクリーンを使用して、製造業者仕様(620グラムのインク、120グラムのシンナー)に従って希釈された、商品名3Mスコッチカル1905黒色スクリーン印刷インク(ミネソタ州セントポールの3Mカンパニーから入手可能)で販売されるインクを使用して、微細構造化側にスクリーン印刷した。24時間の空気乾燥後、次に、フィルムを、157メッシュフラッドコートスクリーンを使用して、製造業者仕様に合せて希釈された、商品名3Mスコッチカル1933インク(ミネソタ州セントポールの3Mカンパニーから市販される)で販売されるオレンジ色スクリーン印刷インクを使用して、黒色インクの上に再び印刷した。24時間の空気乾燥後、材料に、230メッシュ「ABC」テストパターンスクリーンを使用して、黒色インクを印刷し、24時間空気乾燥させた。結果として生じるフィルムは、微細構造化側から見たとき、オレンジ色外観を有し、黒色「ABC」テストパターンが存在した。バックライトに保持すると、光透過領域が見えた。重力およびスクリーン印刷プロセスの使用のため、インクは、角錐に沿って流れ、角錐間の谷においてより厚く、角錐のトップが光透過領域になり、谷が光遮蔽領域になることをもたらした。次に、フィルムを10cm×15cmのサイズにトリミングした。
【0059】
次に、商品名3Mインク・ジェット・トランスペアレンシー・フィルム#CG3460で販売される透明なフィルムのピースに、ヒューレット・パッカード・デスクジェット810Cインクジェットプリンタを使用して、自動車の画像を印刷した。空気乾燥後、画像を10cm×15cmのサイズにトリミングした。次に、自動車の画像を、イーストマン・ケミカル・コーポレーション(Eastman Chemical Corp.)(テネシー州キングスポート(Kingsport, Tennessee))から入手可能な、商品名ケルビックス(Kelvx)で販売される、厚さ37ミクロンの透明なシーティングの30cm×30cmピース上に配置した。3M#232マスキングテープのストリップをトランスペアレンシーフィルムの周囲に付与することによって、自動車の印刷画像を透明なシーティングに接合した。次に、印刷されたフィルムの10cm×25cmピースを、印刷された微細構造表面が上方に面する(フィルムの滑らかな側がトランスペアレンシーフィルムと接触する)状態で、自動車の画像の上に直接付与し、マスキングテープのストリップを材料の周囲に付与することによって所定位置に保持した。次に、光遮断フィルムを、微細構造化フィルム/トランスペアレンシーの周囲のシーティングに付与した。結果として生じる複合体をライトボックス(ミネソタ州ミネトンカのクリア・コーポレーション(Clearr Corporation, Minnetonka, MN)によって製造されたルミネア・ウルトラ(Luminaire Ultra)II)内に配置した。ライトボックスがオフにされた状態で、フロントライト条件下で見たとき、表面はオレンジ色に見え、「ABC」テストテキストは見えた。
【0060】
ライトボックスがオフにされた状態で、暗くした部屋内に配置すると、「ABC」テキストは再び見えた。ライトボックスをオンにすると、自動車の画像はすぐに見えるようになり、「ABC」テキストのかすかな「ゴースト」画像が存在した。
【0061】
実施例2
実施例#1の構造を製造し、ライトボックス内に配置した後、光透過領域を向上させるために、フィルムを、商品名3M 413Q 600グリットウエットオアドライ(WETORDRY)トライ−エム−アイト(TRI−M−ITE)で販売される研磨シーティング(ミネソタ州セントポールの3Mカンパニーから入手可能)を使用して、微細構造化側で軽く研磨した。ライトボックスがオフにされた状態で、フロントライト条件下で見たとき、表面はオレンジ色に見え、「ABC」テストテキストは見えた(図8a)。
【0062】
ライトボックスがオフにされた状態で、暗くした部屋内に配置すると、「ABC」テキストは再び見えた。ライトボックスをオンにすると、自動車の画像はすぐに見えるようになり、「ABC」テキストの「ゴースト」画像は存在しなかった(図8b)。
【0063】
実施例3
実施例1を、次を除いて繰返した。トランスペアレンシーを透過画像として使用する代わりに、印刷されたフィルムに、230メッシュ「ABC」テストパターンスクリーンを使用して、商品名3Mスコッチカル1916青色スクリーン印刷インク(ミネソタ州セントポールの3Mカンパニーから入手可能)で販売されるインクを、後側にスクリーン印刷した。次に、フィルムを10cm×15cmのサイズにトリミングした。
【0064】
結果として生じる印刷されたフィルムを、ライトボックス内に配置した。ライトボックスがオフにされた状態で、昼光条件下で見たとき、表面はオレンジ色に見え、「ABC」テストテキストは見えた。
【0065】
ライトボックスがオフにされた状態で、暗くした部屋内に配置すると、黒色「ABC」テキストは、オレンジ色バックグラウンドに対して再び見えた。ライトボックスをオンにすると、後側青色「ABC」テキストテストパターンの逆の画像がすぐに見えるようになり、前側黒色「ABC」テキストのかすかな「ゴースト」画像が存在した。
【0066】
実施例4
実施例3の構造を製造し、ライトボックス内に配置した後、フィルムを、研磨シーティングを使用して、微細構造化側で軽く研磨した。ライトボックスがオフにされた状態で、昼光条件下で見たとき、表面はオレンジ色に見え、黒色「ABC」テストテキストは見えた。
【0067】
ライトボックスがオフにされた状態で、暗くした部屋内に配置すると、黒色「ABC」テキストは、オレンジ色バックグラウンドに対して再び見えた。ライトボックスをオンにすると、後側青色「ABC」テキストの逆の画像の画像は、に対してすぐに見えるようになり、前側黒色「ABC」テキストの「ゴースト」画像は存在しなかった。
【0068】
実施例5
薄いスキンの窪んだ特徴部を支持するフィルム基材を、ポリプロピレンの押出に典型的な条件で動作される単軸押出機を使用して、ポリマー溶融処理方法によって製造した。所望の特徴部構造をフィルムに与えるように設計されたポストを支持する金属ロールを提供した。ポストを、各特徴部のスキンで覆われた(skinned)末端において、特徴部の直径が約5ミル(125マイクロメートル)であるように設けた。ポスト間隔は、六角形アレイ上で中心から中心まで50ミル(1.25mm)であった。したがって、薄いスキンで覆われた領域の対応するパーセンテージ面積(総フィルム表面積のパーセンテージとしての)は約0.9%であった。ポストは、15ミル(375マイクロメートル)のフィルム厚さについて、キャビティの開いた端部によって占められる%面積(スキンで覆われた側から反対側の表面における)が、フィルムの総表面積の約5%であるように幾分テーパを付けた。したがって、フィルムの開いたキャビティ表面上の残りの(印刷可能な)表面積は約95%であった。
【0069】
商品名アトフィナ(ATOFINA)3868(テキサス州ヒューストンのアトフィナ(AtoFina, Houston, TX)から市販される)で入手可能な溶融ポリプロピレン樹脂を、ポリエステル(デラウェア州ウィルミントンのデュポン(Dupont, Wilmington DE)から商品名マイラー(MYLAR)Dで市販される)の厚さ3ミル(75マイクロメートル)の層をバッキングフィルム(これは、使用後すぐに除去し捨てた)として使用して、ポスト支持ロールと鋼バッキングロールとの間のニップに押出すことによって、プロセスを行った。結果として生じる構造化フィルム製品において、各特徴部の末端に残る薄いスキンが厚さが約0.5から2ミル(10から50マイクロメートル)であるように、ポストロールをバッキングフィルム/バッキングロール組合せに対して加圧した。
【0070】
そのようなフィルムを、ポリプロピレン中の濃縮物の形態の、白色(光散乱)添加剤(二酸化チタン、クラリアント(Clariant)P−ホワイト(White)2%)、および黒色(光吸収)添加剤(クラリアントPP−ブラック(Black)1%)で製造した。白色濃縮物の場合10から50重量%、黒色濃縮物の場合2から15重量%の量で、濃縮物をベースポリマー樹脂に加えた。白色濃縮物の場合、濃縮物の50重量%ものローディングにおいて、目視検査すると、フィルムの薄いスキンで覆われた領域が依然として光に対して著しく透過性であることがわかった。しかし、50%の白色濃縮物においてさえ、用いられるバルクフィルム厚さ(15ミル)において、バルクフィルムは依然として光に対して幾分透過性であることがわかった。黒色濃縮物の場合、15重量%もの濃縮物のローディングにおいて、目視検査すると、フィルムの薄いスキンで覆われた領域が依然として光に対して透過性であることがわかった。この添加剤ローディングにおいて、かつ15ミルのバルクフィルム厚さにおいて、バルクフィルムは、光に対して完全に不透明であった。
【0071】
15%の黒色濃縮物を有する構造化フィルムのサンプルを、印刷調査のために使用した。典型的な白色溶剤ベースのスクリーン印刷インクのスクリーン印刷によって、画像をフィルムの前(周囲光)面上に堆積させた。380メッシュスクリーンを使用することによって、インク堆積が主としてフィルムの表面に制限され、穴へのインクの侵入が最小であった。感圧接着剤を支持する着色光透過性フィルムのピースを切取り、これらのフィルムを構造化フィルムのスキンで覆われた側に直接積層することによって、画像を構造化フィルムの後側に配置した。
【0072】
上で製造された画像支持フィルムを、スキンで覆われた側(色透過性ピースを支持する)がライトボックス内に面し、開いた穴側(白色前側画像を支持する)が外に面する状態で、ライトボックス上に配置した。フィルムサンプルを囲むライトボックスのボーダーを、不透明なフィルムでマスクオフした。
【0073】
通常の照明(すなわち、典型的なオフィス環境中にある光レベル)の条件下でまっすぐ前方から視覚化すると、前側画像は容易に見え、後側画像は完全に見えなかった。ライトボックスを内部から照明すると、背面照明されたカラー画像はここで見え、前側画像は、著しく薄れるが、依然として見えた。
【0074】
わずかにより小さい光の条件下で(すなわち、調整可能な光レベルが完全の約2分の1に薄暗くした)、前側画像は依然として容易に見え、後側画像は完全に見えなかった。(図9a)ライトボックスを内部から照明すると、背面照明されたカラー画像はここで見え、前側画像は見えなくなった。これらの条件下で、背面照明された画像は、視覚化された外観を完全に支配した。(図9b)
【0075】
実施例6
フィルムを、次を除いて、実施例5のように準備した。所望の特徴部構造をフィルムに与えるように設計されたポストを支持する金属ロールを提供した。ポストは、断面が正方形であり、かつ、各窪んだ特徴部のスキンで覆われた末端において、特徴部の横方向の寸法が10ミル(0.25mm)×10ミルであるように設けた。ポスト間隔は、正方形アレイ上で中心から中心まで29.7ミル(0.74mm)であった。したがって、薄いスキンで覆われた領域の対応するパーセンテージ面積(総フィルム表面積のパーセンテージとしての)は約11.3%であった。ポストは高さが20ミル(0.5mm)であった。ポストは、20ミルのフィルム厚さについて、キャビティの開いた端部によって占められた%面積(スキンで覆われた側から反対側の表面における)が、フィルムの総表面積の約15%であるように幾分テーパを付けた。したがって、フィルムの開いたキャビティ表面上の残りの(印刷可能な)表面積は約85%であった。
【0076】
溶融ポリプロピレン樹脂(テキサス州ヒューストンのアトフィナから商品名3868で市販される)を、低ヘイズポリエステル(ミネソタ州セントポールの3Mカンパニーから市販される)の厚さ3.8ミル(97マイクロメートル)の層をバッキングフィルム(これは、使用後すぐに除去し捨てた)として使用して、ポスト支持ロールと鋼バッキングロールとの間のニップに押出すことによって、プロセスを行った。結果として生じる構造化フィルム製品において、各窪んだ特徴部の末端に残る薄いスキンが厚さが約0.5から2ミル(10から50マイクロメートル)であるように、ポストロールをバッキングフィルム/バッキングロール組合せに対して加圧した。バルクフィルムの厚さは約20ミル(0.5mm)であった。
【0077】
そのようなフィルムを、ポリプロピレン中の濃縮物の形態の、白色光散乱二酸化チタン添加剤(クラリアント・コーポレーション(Clariant Corporation)から商品名P−ホワイト2%で市販される)のブレンド、および黒色光吸収カーボンブラック添加剤(クラリアント・コーポレーションから商品名PP−ブラック1%で市販される)で製造した。たとえば、フィルムを、30重量%の白色添加剤および1.0から1.5重量%の黒色添加剤を使用して製造した(したがって、ベースポリマーは全体の68.5〜69重量%を構成した)。そのようなフィルムは、依然として薄いスキンで覆われた領域内の優れた光透過を可能にしながら、フィルムのバルク領域内で不透明であることがわかった。
【0078】
付加的なフィルムを、多層形態で上記ベースポリマーおよび添加剤を使用して製造した。たとえば、不透明化コア層を囲む白色外層を含むフィルムを、標準多層ポリマー押出技術を用いて製造した。典型的な構造において、フィルムは、30%の白色添加剤を有する、スキンで覆われた側の厚さ10ミル(0.25mm)の外層と、開いた穴側の、30%の白色添加剤を有する、厚さ4ミル(100ミクロン)の外層と、2つの外層の間に挟まれた、30%の白色添加剤および10%の黒色添加剤を有する(したがって、コア層のバランスは60%のベースポリマーである)厚さ6ミル(150ミクロン)のコア層とを含んだ。コア層は、ポストによって与えられたキャビティによって中断されたところ以外は、不透明であった。このように、不透明であり、かつ非常に白色の外面を有する(先に説明された淡灰色フィルムと対照的に)フィルムを製造した。
【0079】
淡灰色フィルムおよび白色多層フィルムの両方に、白色と対照的に青色インクを使用して、実施例5で説明されたスクリーン印刷技術によって、開いた穴側に視覚画像を印刷した。次に、カラー層を、実施例5で説明された方法によって、フィルムのスキンで覆われた側に配置した。
【0080】
通常の照明(すなわち、典型的なオフィス環境中にある光レベル)の条件下でまっすぐ前方から視覚化すると、前側画像は容易に見え、後側画像は完全に見えなかった。ライトボックスを内部から照明すると、背面照明されたカラー画像はここで見え、前側画像は、著しく薄れるが、依然として見えた。
【0081】
薄暗くした光の条件下で、前側画像は依然として容易に見え、後側画像は完全に見えなかった。そのような条件下で、ライトボックスを内部から照明すると、背面照明されたカラー画像はここで見え、前側画像は見えなくなった。これらの条件下で、背面照明された画像は、視覚化された外観を完全に支配した。
【0082】
実施例7〜9
以下で詳述されるフィルムを、2つのプレートのうちの1つでエンボス加工した。プレート1は、125マイクロメートルの直径、150マイクロメートルの高さ、および860マイクロメートルのピッチを有するポストを有する構造を有した。プレート2は、250マイクロメートルの直径、150マイクロメートルの高さ、および860マイクロメートルのピッチを有するドットを有する構造を有した。
【0083】
【表1】

【0084】
各フィルムを、パターンがフィルムと接触する状態で、プレートと接触して配置し、ニップを通して走らせた。圧力を70PSI(0.48MPa)に設定し、温度を鋼ロール上で300〜325°F(148.9〜162.8℃)から変え、速度は.5から1.5FPMであった。フィルムをエンボス加工し、穴のベースにおける薄い領域をもたらし、より高い光透過を可能にした。好ましい配向は、プレートが加熱されたロールの隣にあり、次に、ボトム上のライナを有するフィルムであった。PETバッキングは、紙剥離ライナより良好に働いた。金属化フィルムの場合、蒸気コーティング層は高度にゆがめられ、透明なポリマー中に開いた領域を作った。すべてのサンプルが向上された光透過を実証した。
【0085】
実施例10
フィルムを、ポリマー溶液の、パターニングされた剥離ライナ上への直接キャストを用いて製造した。ポリ塩化ビニルビニルオルガノゾル(polyvinyl chloride vinyl organosol)を構造化ポリ塩化ビニル剥離ライナ上にキャストして、ポストまたは穴を形成した。
【0086】
オルガノゾルをライナ上にナイフコーティングした。サンプルを、120F度のオーブン内に30秒間、次いで200°F(93℃)度のオーブン内に30秒間、次いで275°F(135℃)度のオーブン内に30秒間、次いで375°F(190℃)度のオーブン内に45秒間配置した。次に、サンプルを冷却させ、ビニルフィルムをキャストライナからピールし、8ミル(0.203mm)のピッチで深さが約5ミル(0.127mm)の穴をもたらした。
【0087】
比較例B−デュアルカラーリアプロジェクション
比較例Aのフィルムを30cm×30cmのサイズにトリミングした。コンピュータ駆動テスト画像を、暗くした部屋内で、3M MP7760マルチメディアプロジェクタを使用して投影した。プロジェクタを、視距離を最小にするように焦点を合せた。上で説明された印刷されたフィルムを、非印刷側がプロジェクタに面する状態で、投影画像の経路内に配置した。プロジェクタから見える画像はなく、光は穴を通過し、プロジェクタバルブの明るい光のみが穴を通して見えた。
【0088】
実施例11
角錐形微細構造を有する、印刷されていない22センチメートル×30センチメートルの3Mプレサイス(Precise)(登録商標)マウジング・サーフェス・フィルム(Mousing Surface Film)(ミネソタ州セントポールの3Mカンパニー)のピースを、157メッシュフラッドコートスクリーンを使用して、製造業者仕様(620グラムの1905インク、120グラムの3M CGS−50シンナー)に従って希釈された3Mスコッチカル1905黒色スクリーン印刷インクを使用して、微細構造化側にスクリーン印刷した。24時間の空気乾燥後、次に、フィルムを、157メッシュフラッドコートスクリーンを使用して、製造業者仕様に合せて希釈された3Mスコッチカル1933オレンジ色スクリーン印刷インクを使用して、黒色インクの上に再び印刷した。24時間の空気乾燥後、材料に、230メッシュ「ABC」テストパターンスクリーンを使用して、3Mスコッチカル1905黒色インクを印刷し、24時間空気乾燥させた。結果として生じるフィルムは、微細構造化側から見たとき、オレンジ色外観を有し、黒色「ABC」テストパターンが存在した。
【0089】
コンピュータ駆動テスト画像を、暗くした部屋内で、3M MP7760マルチメディアプロジェクタを使用して投影した。プロジェクタを、視距離を最小にするように焦点を合せた。上で説明された印刷されたフィルムを、滑らかな非印刷側がプロジェクタに面する状態で、投影画像の経路内に配置した。テストビデオ画像は印刷微細構造側から見え、約1.5メートルの距離において、ビデオ画像は非常にはっきり焦点が合い、「ABC」テキストのいくらかのゴースト画像が見えた。
【0090】
実施例12
実施例10のテストフィルムを、微細構造化側で、3M 413Q 600グリットウエットオアドライ(Wetordry)(登録商標)トライ−エム−アイト(Tri−M−ite)(登録商標)研磨シーティングで研磨した。反射光条件下で見たとき、「ABC」テキストは、オレンジ色バックグラウンドに対してはっきり見えるままであった。実施例#1で説明されたように、フィルムを投影画像の経路内に配置すると、テストビデオは、微細構造化側で見たとき、逆にはっきり見え、「ABC」テキストのゴースティングが低減された。
【0091】
本発明のさまざまな修正および変更が、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、当業者には明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の実施形態を表すフィルムの断面図である。
【図2】多数の画像を有する図1のフィルムの断面図である。
【図3】本発明の第2の実施形態を表すフィルムの断面図である。
【図4】多数の画像を有する図3のフィルムの断面図である。
【図5】本発明の第3の実施形態を表すフィルムの断面図である。
【図6】本発明の第4の実施形態を表すフィルムの断面図である。
【図7】先行技術のフィルムの立面図のデジタル画像である。
【図8】本発明の実施形態を表すフィルムの立面図のデジタル画像である。
【図9】本発明の実施形態を表すフィルムの立面図のデジタル画像である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材であって、
光透過領域および光遮蔽領域を含む第1の主面と、前記基材の第1の主面の光遮蔽領域上の画像受容層とを含み、
前記基材が実質的に連続している、基材。
【請求項2】
前記光透過領域が、実質的に前記画像受容層がない、請求項1に記載の基材。
【請求項3】
前記画像受容層と前記基材との間の前記光遮蔽領域上の光遮蔽コーティングを含む、請求項1に記載の基材。
【請求項4】
前記第1の主面が構造化表面である、請求項1に記載の基材。
【請求項5】
前記基材が多層基材である、請求項1に記載の基材。
【請求項6】
前記基材の第1の主面が構造化表面であり、前記表面が別個の層である、請求項5に記載の基材。
【請求項7】
前記基材が、前記第1の主面を形成する光透過フィルムを含む、請求項1に記載の基材。
【請求項8】
前記フィルムが、前記光遮蔽領域内の光遮蔽添加剤を含む、請求項7に記載の基材。
【請求項9】
前記基材が、前記第1の主面を形成する光遮蔽フィルムを含む、請求項1に記載の基材。
【請求項10】
前記フィルムが、前記光遮蔽領域より前記光透過領域において薄い、請求項9に記載の基材。
【請求項11】
前記基材が、前記第1の主面を形成するポリマーフィルムを含む、請求項1に記載の基材。
【請求項12】
前記フィルムが、ポリオレフィン材料、変性ポリオレフィン材料、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリフッ化ビニリデン、アクリル、ウレタン、およびアクリルウレタンからなる群から選択される材料である、請求項11に記載の基材。
【請求項13】
前記第1の主面が、約50%未満の光透過領域を含む、請求項1に記載の基材。
【請求項14】
前記基材の第1の主面の光遮蔽領域上の反射画像を含む、請求項1に記載の基材。
【請求項15】
前記基材の第1の主面の光透過領域を通る透過画像を含む、請求項1に記載の基材。
【請求項16】
前記透過画像が、前記第1の主面と反対側の、前記基材の主面上の印刷画像である、請求項1に記載の基材。
【請求項17】
前記透過画像が、前記第1の主面と反対側の、前記基材の主面上の投影画像である、請求項1に記載の基材。
【請求項18】
前記投影画像がアクティブである、請求項17に記載の基材。
【請求項19】
前記投影画像が静止している、請求項17に記載の基材。
【請求項20】
前記第2の主面に近接した透過性フィルム層を含み、前記透過画像が前記透過性フィルム上にある、請求項1に記載の基材。
【請求項21】
前記反射画像が、前記基材の光遮蔽領域上の印刷画像である、請求項1に記載の基材。
【請求項22】
安定剤を含む、請求項1に記載の基材。
【請求項23】
前記第1の主面と反対側の第2の主面を含み、前記第2の主面が構造化される、請求項1に記載の基材。
【請求項24】
前記基材の第1の主面上の前記光遮蔽領域が鏡状である、請求項1に記載の基材。
【請求項25】
金属フレークが前記光遮蔽領域上にある、請求項24に記載のディスプレイフィルム。
【請求項26】
鏡が前記光遮蔽領域上にある、請求項24に記載のディスプレイフィルム。
【請求項27】
両面鏡が前記光遮蔽領域上にある、請求項24に記載のディスプレイフィルム。
【請求項28】
基材であって、
光透過領域および光遮蔽領域を含む第1の主面と、前記基材の光遮蔽領域に対応する、前記基材の第2の主面の光遮蔽領域上の画像受容層とを含む基材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7a】
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【図7b】
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【図8a】
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【図8b】
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【図9a】
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【図9b】
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【公表番号】特表2008−511863(P2008−511863A)
【公表日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−529898(P2007−529898)
【出願日】平成17年8月5日(2005.8.5)
【国際出願番号】PCT/US2005/027973
【国際公開番号】WO2006/028626
【国際公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】