多方向操作スイッチ装置
【課題】使用者の操作意図と異なる方向判定が成されることを防止可能な多方向操作スイッチ装置を提供すること。
【解決手段】軸Zに直交する平面方向に変位可能に第1基板20に支持された操作ノブ10と、操作ノブ10の変位方向に応じてON,OFFが切り換わるよう配置された方向検出スイッチ2a〜2dと、方向検出スイッチ2a〜2dのON,OFF状態に基づいて操作ノブ10の操作方向を判定する制御回路100と、を備え、制御回路100は、方向検出スイッチ2a〜2dの1個の切り換わりを検出すると、遅延タイマをカウントし、遅延タイマのカウント中に2個目の方向検出スイッチ2a〜2dの切り換わりがあるか、遅延タイマのカウント値が設定値となるタイムアップ時まで方向判定を遅延させる遅延処理を実行する多方向操作スイッチ装置とした。
【解決手段】軸Zに直交する平面方向に変位可能に第1基板20に支持された操作ノブ10と、操作ノブ10の変位方向に応じてON,OFFが切り換わるよう配置された方向検出スイッチ2a〜2dと、方向検出スイッチ2a〜2dのON,OFF状態に基づいて操作ノブ10の操作方向を判定する制御回路100と、を備え、制御回路100は、方向検出スイッチ2a〜2dの1個の切り換わりを検出すると、遅延タイマをカウントし、遅延タイマのカウント中に2個目の方向検出スイッチ2a〜2dの切り換わりがあるか、遅延タイマのカウント値が設定値となるタイムアップ時まで方向判定を遅延させる遅延処理を実行する多方向操作スイッチ装置とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件発明は、例えば、カーナビゲーション装置において画面表示内容のスクロール操作などを行うのに用いられ、操作ノブを、軸方向に直交する平面方向に変位可能な多方向操作スイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カーナビゲーション装置の画面表示内容のスクロール操作などを行うのに、操作ノブの軸直交方向に配置された4つの方向検出スイッチのON,OFF状態に基づいて操作ノブの操作方向を検出し、この操作方向に応じて画面表示をスクロールさせるようにした多方向操作スイッチ装置が、例えば、特許文献1などにより知られている。
【0003】
この従来の多方向操作スイッチ装置では、軸状の操作ノブの軸直交方向において、周方向に等間隔となる90度ごと(例えば、上下左右)の4箇所に方向検出スイッチが設けられている。
【0004】
そして、方向検出スイッチの投入状態に基づいて、方向検出スイッチが単独でONとなっている場合には、その方向検出スイッチに対応する直方向を操作方向と判定し、2個の方向検出スイッチがONとなっている場合には、これら2個の方向検出スイッチの中間位置を操作方向と判定するようにしていた。
【特許文献1】特願2006−216815号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の多方向操作スイッチ装置では、2個の方向検出スイッチの中間位置に向けて操作ノブを傾動させた場合に、以下に述べるような問題が生じていた。
すなわち、方向検出スイッチの設置位置にばらつきがあったり、また、使用者の操作ノブの操作方向が、操作初期から正確に両検出スイッチの中間位置に操作されることが少なかったりする。このため、2個の方向検出スイッチがONとなる場合に、同時にONとなることはまれであり、まず、2個の方向検出スイッチの一方がONとなり、これに遅れてもう一方の方向検出スイッチがONとなる。
【0006】
このような場合、操作方向判定装置は、まず、1個の方向検出スイッチのONが示す直方向に操作されたと判定し、その後、2個の方向検出スイッチのONが示す中間位置に操作したと判定する。
したがって、操作方向の判定に基づいてスクロールが実行された場合に、使用者は、操作意図と異なる方向のスクロールが成されたと感じ、使用者に違和感を与えるおそれがあった。
【0007】
本件発明は、上述のような従来の問題に着目してなされたもので、使用者の操作意図と異なる方向判定が成されることを防止可能な多方向操作スイッチ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するため、本発明は、基板に直交する軸に沿って延在され、前記軸に直交する平面方向に変位可能に前記基板に支持された操作ノブと、前記軸を囲む複数個所に設置され、前記操作ノブの変位方向に応じてON,OFFが切り換わるよう配置された方向検出スイッチと、前記方向検出スイッチのON,OFF状態に基づいて前記操作ノブの操作方向を判定する方向判定装置と、を備え、前記方向判定装置は、前記方向検出スイッチの1個の切り換わりを検出すると、遅延タイマのカウントを開始し、前記方向判定の実行を、前記遅延タイマのカウント中における2個目の前記方向検出スイッチの切り換わり時か、前記遅延タイマのカウント値が設定値となるタイムアップ時まで遅延させる遅延処理を実行することを特徴とする多方向操作スイッチ装置とした。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の多方向操作スイッチ装置において、前記遅延タイマのカウント時間は、前記操作ノブを操作した使用者が、前記操作ノブの操作を行ってから前記方向判定が開始されるまでの遅れに違和感を与えない時間に設定されていることを特徴とする多方向操作スイッチ装置とした。
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の多方向操作スイッチ装置において、前記遅延タイマとして、前記操作ノブを中立位置から前記平面方向へ変位させた外径方向操作時にカウントを開始する外径方向操作時遅延タイマを備え、この外径方向操作時遅延タイマのタイムアップとなるまでのカウント時間は、前記操作ノブの前記外径方向操作時に、周方向で隣り合う前記2個の方向検出スイッチの中間位置方向へ変位させた際に想定される前記2個の方向検出スイッチの切り換わりタイミングのずれ量よりも長い時間に設定されていることを特徴とする多方向操作スイッチ装置とした。
また、請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の多方向操作スイッチ装置において、前記遅延タイマとして、前記操作ノブを外径方向操作位置から前記中立位置へ変位させた戻し操作時にカウントを開始する戻し操作時遅延タイマを備え、この戻し操作時遅延タイマのタイムアップとなるまでのカウント時間は、前記操作ノブを、前記中間位置から前記中立位置へ変位させた際に想定される前記2個の方向検出スイッチの切り換わりタイミングのずれ量よりも長い時間に設定されていることを特徴とする多方向操作スイッチ装置とした。
また、請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の多方向操作スイッチ装置において、前記遅延タイマのカウント時間が、数十msec〜数百msecの範囲内に設定されていることを特徴とする多方向操作スイッチ装置とした。
とした。
【発明の効果】
【0010】
本発明の多方向操作スイッチ装置では、操作ノブを操作した場合、まず、複数の方向検出スイッチの1個のON,OFFが切り換わった時点で、方向判定装置は、遅延処理を実行して遅延タイマのカウントを開始する。
この遅延処理により、方向判定の実行開始が、遅延タイマのカウント中における2個目の方向検出スイッチの切り換わり時か、遅延タイマのカウント値のタイムアップ時まで遅延される。
【0011】
したがって、操作ノブの操作方向が、軸外径方向で方向検出スイッチと重なり1個の方向検出スイッチのみの切り換わりが成される直方向の場合は、遅延タイマのカウント値がタイムアップした時点で、方向判定が実行される。この場合、1個の方向検出スイッチの切り換わりに基づいて操作方向の判定が成される。
【0012】
一方、操作ノブの操作方向が、軸外径方向で周方向に隣り合う2個の方向検出スイッチの中間位置方向である場合は、2個の方向検出スイッチの切り換わりが成された時点で方向判定が実行される。この場合、2個の方向検出スイッチの切り換わりに基づいて、操作方向の判定が成される。
したがって、操作ノブの操作方向が、2個の方向検出スイッチの中間位置方向である場合に、従来のように、2個の方向検出スイッチの一方のみがONになることに対応した処理が成されることがなくなり、使用者の操作意図と異なる方向判定が成されることを防止できる。
【0013】
さらに、請求項2に記載の発明では、遅延タイマのカウント時間は、操作ノブを操作した使用者が、操作ノブの操作を行ってから方向判定が開始されるまでの遅れに違和感を与えない時間に設定されているため、方向判定装置が、遅延処理を行っても、使用者に違和感を与えないようにできる。
また、請求項3に記載の発明では、操作ノブを中立位置から外径方向操作を行った際の遅延処理の実行時には、外径方向操作時遅延タイマのカウントが開始される。
この外径操作時遅延タイマのカウント時間は、操作ノブを中間位置方向へ変位させた際に想定される2個の方向検出スイッチの切り換わりタイミングのずれ量よりも長い時間に設定されている。このため、操作ノブを中間位置方向へ変位させた際には、2個の方向検出スイッチが確実に切り換わった後に、方向判定が実行される。
よって、外径方向操作時遅延タイマのカウント後に、2個目の方向検出スイッチの切り換わりが成されることによる誤判定を防止することができる。
また、請求項4に記載の発明では、操作ノブを中間位置から中立位置へ戻し操作を行った際の遅延処理の実行時には、戻し操作時遅延タイマのカウントが開始される。
この戻し操作時遅延タイマのカウント時間は、操作ノブを中間位置から中立位置へ戻し操作を行った際に想定される2個の方向検出スイッチの切り換わりタイミングのずれ量よりも長い時間に設定されている。このため、操作ノブを中間位置から中立位置へ戻し操作した際には、2個の方向検出スイッチが確実に切り換わった後に、方向判定が実行される。
よって、戻し操作時遅延タイマのカウント後に、2個目の方向検出スイッチの切り換わりが成されることによる誤判定を防止することができる。
請求項5に記載の発明では、遅延タイマのカウント時間が、数十msec〜数百msecの範囲内に設定されているため、遅延処理による方向判定処理の遅れに違和感を与えない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
この実施の形態の多方向操作スイッチ装置は、基板(20)に直交する軸(Z)に沿って延在され、前記軸(Z)に直交する平面方向に変位可能に前記基板(20)に支持された操作ノブ(10)と、前記軸(Z)を囲む複数個所に設置され、前記操作ノブ(10)の変位方向に応じてON,OFFが切り換わるよう配置された方向検出スイッチ(2a〜2d)と、前記方向検出スイッチ(2a〜2d)のON,OFF状態に基づいて前記操作ノブ(10)の操作方向を判定する方向判定装置(100)と、を備え、前記方向判定装置(100)は、前記方向検出スイッチ(2a〜2d)の1個の切り換わりを検出すると、遅延タイマのカウントを開始し、前記方向判定の実行を、前記遅延タイマのカウント中における2個目の前記方向検出スイッチ(2a〜2d)の切り換わり時か、前記遅延タイマのカウント値が設定値となるタイムアップ時まで遅延させる遅延処理を実行することを特徴とする多方向操作スイッチ装置である。
【実施例1】
【0015】
以下に、図1〜図11に基づいて、この発明の最良の実施の形態の実施例1の多方向操作スイッチ装置について説明する。
【0016】
図1は、実施例1の多方向操作スイッチ装置の外観斜視図であって、この多方向操作スイッチ装置は、カーナビゲーション装置の入力操作に用いられる。
この多方向操作スイッチ装置は、操作ノブ10を有したスイッチ本体1と、このスイッチ本体1から送られる信号に基づいて、操作ノブ10の操作に応じた処理を行う制御装置(方向判定装置)100と、を備えている。
【0017】
操作ノブ10は、軸Zを中心とする回転操作、軸Z方向への押圧操作、および軸Zに直交するXY平面方向へのスライド操作、が可能に構成されている。なお、XY平面方向のスライドは、本実施例1の場合、図4に示すように、上方向a、下方向b、左方向c、右方向d、右上方向e、左上方向f、右下方向g、左下方向hの計8方向にスライド可能となっている。
【0018】
以下に、操作ノブ10をXY平面の8方向に変位可能に支持する構造について詳細に説明する。
図5に示すように、スイッチ本体1は、第1基板20と、機構部30と、操作ノブ10とを備えている。
【0019】
まず、第1基板20について説明する。
第1基板20は、樹脂などにより略8角形の板状に形成されており、中央部分には、支持穴21が設けられ、第1基板20の上面に、軸Zを中心として周方向に4つの方向検出スイッチ2a〜2dが設けられている。
これら4つの方向検出スイッチ2a〜2dは、図4に示すように、軸Zを中心に、周方向に90度の等間隔に配置されており、図において、上方向a、下方向b、左方向c、右方向dの4箇所に配置されている。
これら方向検出スイッチ2a〜2dは、図1に示すように、接触子2pが、軸Z方向である内径方向に向けて突出されている。そして、各方向検出スイッチ2a〜2dは、接触子2pが突出した状態ではOFFとなっており、一方、接触子2pが内部に押し込まれると、ONに切り換わる構造となっている。
【0020】
次に、機構部30について説明する。
機構部30は、図5に示すように、ベース31と、スライド部材32と、節度感付与機構330と、パッド35と、ダンパ36と、ベースカバー37と、第2基板38とを備えている。
【0021】
ベース31は、第1基板20の上面に複数のビス22で固定されている。このベース31は、4つの方向検出スイッチ2a〜2dの径方向外周を覆うことが可能な外径のキャップ状に形成されており、円盤状の支持プレート313と、この支持プレート313の外周に設けられた円筒状の円筒フランジ314とを備えている。
【0022】
また、支持プレート313には、その中央部分を貫通して円筒部311が設けられているとともに、同一円周上に周方向に長い4つの長穴312が開口されている。なお、各長穴312は、各方向検出スイッチ2a〜2dと軸Z方向で重なる位置であって、各方向検出スイッチ2a〜2dの接触子2pが、軸Z方向に露出する位置に開口されている(図1参照)。
さらに、支持プレート313の軸Z方向の端面(以下、軸Z方向であって図5の上方を前方と称し、この端面を前面、その逆方向の端面を後面と称する)に、2つのスライド溝315が、軸Zに直交する方向であって、本実施例1では、c,d方向(これをY方向とする)に延在され、かつ、軸Zを中心として対称に配置されている。
【0023】
次に、スライド部材32について説明する。
スライド部材32は、略十字の薄板状に形成されている。そして、スライド部材32の中央部分に、挿通穴321が設けられ、かつ、スライド部材32の前面には、2つのスライド溝322が形成されている。2つのスライド溝322は凹溝状に形成されており、軸Zを中心として、a,b方向(これをX方向とする)に延在されている。
【0024】
なお、詳細な図示は省略するが、スライド部材32の後面には突起が形成されており、この突起が、ベース31に形成されたスライド溝315にスライド可能に挿入されている。これにより、スライド部材32は、ベース31に対してY方向(a,b方向)にスライド可能に支持されている。
【0025】
次に、パッド35について説明する。
パッド35は、略円板状に形成されている。また、パッド35の中央部分には、ピン受部351が設けられている。このピン受部351は、パッド35の中心を、断面略V字状に前方向に突出させることで、図1および図2に示すように、パッド35の後面にすり鉢凹状の凹部351aが形成されている。
【0026】
また、ピン受部351の外周には、嵌合用内筒部352が形成されており、この嵌合用内筒部352が第2基板38の後面に結合されたダンパ36の内周にきつく嵌合されている。これにより、パッド35は、第2基板38と一体的に結合されている。なお、ダンパ36は、操作ノブ10の各操作に伴って第2基板38を介して、パッド35に振動が伝わるのを防止している。
【0027】
さらに、パッド35の下面には、図5に示すスライド部材32のスライド溝322に沿ってY方向にスライド可能な断面凸状のスライドレール(図示省略)が形成されている。これにより、パッド35は、スライド部材32に対してY方向にスライド可能に結合されている。
【0028】
すなわち、パッド35は、スライド部材32に対して、Y方向にスライド可能に支持されているとともに、ベース31に対して、スライド部材32と共にX方向にスライド可能に支持されており、すなわち、第1基板20およびベース31に対して、XY平面上をX,Y方向にスライド可能に支持されている。
【0029】
さらに、パッド35の後面には、図1に示すように、四角あるいは円形の筒状のスイッチ押圧筒354が形成されている。このスイッチ押圧筒354は、各方向検出スイッチ2a〜2dの接触子2pの内径方向に近接して配置されている。
【0030】
さらに、パッド35の外周には、外周フランジ355が、後方へ突出されている。この外周フランジ355は、ベース31の円筒フランジ314の内周に外径方向に隙間を介して対向されている。
【0031】
次に、節度感付与機構330について説明する。
この節度感付与機構330は、図1に示すように、スプリング33とセンタピン34とピン受部351とで構成されている。
スプリング33は、軸Z方向に伸縮可能はコイルスプリングである。センタピン34は、図1に示すように、その後端部が、スプリング33の内側に嵌合された状態で、ベース31の円筒部311に対して軸Z方向にスライド可能に支持され、かつ、その前端部が、ピン受部351の凹部351aに圧接されている。
よって、パッド35を、XY平面方向にスライドさせると、センタピン34に対する凹部351aが軸Zの直交方向へ変位し、スプリング33を短縮させながら、センタピン34を後退させる。したがって、パッド35の軸Zの直交方向への変位量が大きくなるほど、センタピン34の凹部351aに対する圧接力が増大し、操作ノブ10の変位に対する節度感が得られる。
【0032】
次に、ベースカバー37について説明する。
ベースカバー37は、図5に示すように、円形のキャップ状に形成され、パッド35の前面を覆ってベース31に結合されている。また、ベースカバー37の中央部分には開口371が設けられており、第2基板38に結合されたダンパ36が挿通されている。
【0033】
次に、第2基板38について説明する。
第2基板38は、図1に示すように、基板本体381と、ダイヤルスイッチ382と、押圧スイッチ383とを備えている。
基板本体381は、前述したようにパッド35に結合されており、第1基板20の回路部分とケーブル384で接続されている。
【0034】
ダイヤルスイッチ382は、円筒状に形成されており、基板本体381にビス380で固定された内筒部382aと、この内筒部382aの外周に軸Zを中心に回動可能に支持されたダイヤルガイド部422とを備えている。
押圧スイッチ383は、ダイヤルスイッチ382の内筒部382aの内部に配置されて基板本体381に支持されている。
【0035】
次に、操作ノブ10について説明する。
操作ノブ10は、図5に示すように、押圧操作部41と、ダイヤル42とを備えている。
押圧操作部41は、押しボタン411と、ボタンガイド部412とを備えている。ボタンガイド部412は、円筒状に形成され、図1に示すように、ダイヤルスイッチ382の内筒部382aの内側に前後方向にスライド可能に支持されている。ボタンガイド部412の内部には、押圧スイッチ383の上面に当接されてこの押圧スイッチ383を軸Z方向に押圧可能な押圧部412aが一体に形成されている。
押しボタン411は、ボタンガイド部412の前面の開口を塞ぐようにしてボタンガイド部412に装着されている。
【0036】
ダイヤル42は、図5に示すように、把持部421とダイヤルガイド部422とを備えている。ダイヤルガイド部422は、円筒状に形成され、図1に示すように、ダイヤルスイッチ382の内筒部382aの外周に、相対回動可能に装着されている。把持部421は、図5に示すように、リング状に形成されており、ダイヤルガイド部422の前端部に結合されている。なお、前述した押圧操作部41は、この把持部421の内周に、軸Z方向に相対移動可能に設けられている。
【0037】
図6に示すように、前述した方向検出スイッチ2a〜2d、ダイヤルスイッチ382、押圧スイッチ383は、第1基板20に設けられた制御回路100に接続されている。そして、制御回路100と図外のカーナビゲーション装置とは、通信手段200を介して接続されている。なお、第1基板20には、操作に応じて音を発するブザー201や、照明用のインジケータ202が設けられている。
【0038】
以上のように構成された多方向操作スイッチ装置を、図外のカーナビゲーション装置の入力操作に用いた場合について説明する。
図外のカーナビゲーション装置の操作画面に表示されている複数のメニューにおいて任意のメニューを選択する場合、乗員は、把持部421を、軸Zを中心として、左右のいずれかの方向に回転操作を行う。これにより、ダイヤルスイッチ382が回転されるとともに、ダイヤルスイッチ382から、回転操作量に応じた信号が出力される。制御回路100は、この回転操作量を示す信号をカーナビゲーション装置に出力し、画面上では、この回転操作量に応じてカーソルが移動される。
【0039】
したがって、乗員は、カーソルが、画面上の所望の任意のメニューの位置に来たところで、回転操作を停止させ、カーソルを、画面上の任意のメニューの位置に配置させることができる。
【0040】
次に、乗員は、カーソルが配置されたメニューを選択する場合、押しボタン411を、軸Z方向の後方へ押圧操作する。これにより、ボタンガイド部412が押し込まれ、押圧部412aにより押圧スイッチ383が押されON信号が出力される。したがって、制御回路100からの出力に基づいて、カーナビゲーション装置では、カーソル位置のメニューを確定する処理を実行する。
なお、乗員が、押しボタン411の押圧を解除すると、押しボタン411は元の位置に戻る。
【0041】
乗員は、カーナビゲーション装置の画面上に地図が表示されている場合に、その画面をスクロールするには、操作ノブ10を、図4に示した8方向(矢印a〜矢印h)のいずれかの方向にスライド操作させ、その操作方向にスクロールさせることができる。
【0042】
以下に、操作ノブ10を、各方向へスライド操作する場合の動作について説明する。
まず、操作ノブ10が、図1に示す中立位置に配置されているときには、操作ノブ10およびパッド35は、軸Z上に配置されている。
このとき、パッド35のスイッチ押圧筒354は、各方向検出スイッチ2a〜2dの接触子2pから離れており、各方向検出スイッチ2a〜2dは、OFF状態となっている。
【0043】
次に、操作ノブ10を、中立位置から上方向aへスライド操作した場合について説明する。この場合、操作ノブ10と一体的にスライドするパッド35は、スライド部材32のスライド溝322に沿ってスライドし、第1基板20およびベース31に対して上方向aへスライドする。
これに伴い、パッド35のスイッチ押圧筒354が上方向aに設置された方向検出スイッチ2aの接触し2pを押し込む。
したがって、この場合には、4つの方向検出スイッチ2a〜2dの上方向aの方向検出スイッチ2aのみがONとなる。
【0044】
また、操作ノブ10のスライド量が最大ストローク量となると、パッド35の外周フランジ355がベース31の円筒フランジ314に突き当たり、操作ノブ10のスライドが規制される。
なお、操作ノブ10をスライド操作した際には、パッド35のXY平面方向のスライドにより、センタピン34が凹部351aの傾斜面に押され、スプリング33を短縮させながら、後方へ変位する。
【0045】
このスプリング33の短縮に伴って、パッド35に対するセンタピン34の押圧力が増大し、操作ノブ10のスライド量が大きくなるにつれて節度感が大きくなり、最終的にパッド35の外周フランジ355がベース31の円筒フランジ314に突き当たった状態で、スライドが規制されて節度感が最大となる。
【0046】
その後、操作ノブ10に対するスライド操作力を取り除くと、スプリング33が復元し、センタピン34がパッド35を軸Z方向に押圧することで、パッド35ならびに操作ノブ10が中立位置に戻される。
【0047】
一方、操作ノブ10を、4つの方向検出スイッチ2a〜2dのうちの周方向に隣り合うものの中間位置の方向(e,f,g,hの方向)へスライドさせた場合を、右上方向eにスライドさせた場合を例に挙げ説明する。この場合、操作ノブ10と一体的にスライドするパッド35は、スライド部材32のスライド溝322に沿って上方向aにスライドすると同時に、スライド部材32は、ベース31のスライド溝315に沿って、右方向dへスライドする。
【0048】
これに伴い、操作ノブ10およびパッド35が、右上方向eへスライドし、パッド35のスイッチ押圧筒354は、上方向aに設置された方向検出スイッチ2aと右方向dに設置された方向検出スイッチ2dとの接触子2pをそれぞれ押し込んで、両スイッチ2a,2dがONとなる。
【0049】
また、この場合も、操作ノブ10のスライド量が最大ストローク量となると、パッド35の外周フランジ355がベース31の円筒フランジ314に突き当たり、操作ノブ10のスライドが規制される。
【0050】
本実施例1では、操作ノブ10を、a〜hの8方向にスライドさせた場合、そのスライド方向に応じ、方向検出スイッチ2a〜2dが、1個のみ、あるいは2個同時にONとなるもので、このスライド方向と、方向検出スイッチ2a〜2dのON,OFFの関係は、図7の方向特性図に示す関係になる。なお、全ての方向検出スイッチ2a〜2dがOFFの場合は、中立位置であって、「方向なし」と判定する。
【0051】
上述のように制御回路100では、方向検出スイッチ2a〜2dのON,OFF状態に基づいて、操作ノブ10の操作方向を判定する操作方向判定処理を実行する。
さらに、この操作方向判定処理を実行するのにあたり、本実施例1では、操作ノブ10の外径方向へのスライド操作時に、方向検出スイッチ2a〜2dのいずれか1個がONとなった時点で直ちに操作方向判定を行わずに、あらかじめ設定されたON時遅延タイマ(外径方向操作時遅延タイマ)T0のカウント時間だけ待って操作方向判定を行うON時遅延処理を実行する。同様に、操作ノブ10を、外径方向へスライド操作した状態から、中立位置へ戻す際にも、OFF時遅延タイマ(戻し操作時遅延タイマ)T1のカウント時間だけ待って、操作方向判定を行うOFF時遅延処理を実行する。
【0052】
そこで、このような遅延処理を実行するのにあたり、本実施例1では、図8のフローチャートに示すタイマ設定処理と、図9のフローチャートに示す操作方向判定処理と、を実行するものであり、以下、詳細に説明する。
【0053】
まず、図8に基づいてタイマ設定処理について説明する。
このタイマ設定処理では、最初のステップS1において、方向検出スイッチのON,OFF状態を参照し「現在状態」を最新の状態に更新する。
次のステップS2では、後述する操作方向判定処理における判定結果の最新のものである「現在判定方向」を取得する。
次のステップS3では、ステップS1で得られた方向検出スイッチの現在のON,OFFの状態である「現在状態」が、「前回状態」と一致しているか否か判定し、一致している場合には、ステップS4へ進み、不一致の場合には、ステップS5へ進む。
【0054】
ステップS4では、方向検出スイッチの前回のON,OFF状態を示す「前回状態」を「現在状態」に書き換える。
ステップS5では、「現在状態」が、方向検出スイッチの1個のみがONであるか否か判定し、1個のみがONの場合はステップS6に進み、違う場合は、1回のタイマ設定処理を終える。
【0055】
次のステップS6では、ステップS2で取得した「現在判定方向」が「方向なし」であるか否か判定し、「方向なし」の場合にはステップS7に進み、「方向なし」以外の場合はステップS8へ進む。
ステップS7では、ON時タイマT0をセットするとともにタイマカウントを開始し、一方、OFF時タイマT1を停止させるとともに、そのカウントをクリアする。
ステップS8では、「前回状態」が方向検出スイッチ2a〜2dの1個のみがONであるか否か判定し、1個のみがONの場合は、ステップS7に進み、2個がONの場合には、ステップS9へ進む。
【0056】
ステップS9では、方向検出スイッチ2a〜2dにおいて、現在ONとなっているものが、「前回状態」でONになっている2個とは異なるか否か判定し、異なっている場合には、ステップS7へ進み、異なっていない場合にはステップS10に進む。
ステップS10では、OFF時タイマT1をセットするとともに、タイマカウントをスタートさせ、一方、ON時タイマT0を停止させるとともに、カウントをクリアする。
【0057】
したがって、操作ノブ10が中立の状態(方向なし)から、方向検出スイッチ2a〜2dが1個のみONとなった状態となったときには、ステップS1→S2→S3→S5→S6→S7の流れに基づいて、ON時タイマT0のカウントが開始され、そのカウントアップが成される。
【0058】
一方、操作ノブ10を外径方向へスライド操作して方向検出スイッチ2a〜2dの2個がONとなった状態から、1個のみがONとなった状態に変化した場合には、ステップS1→S2→S3→S5→S6→S8→S9→S10の流れに基づいて、OFF時タイマT1のカウントが開始され、そのカウントアップが成される。
【0059】
なお、本実施例1では、ON時タイマT0ならびにOFF時タイマT1のタイムアップ時間Tup0、Tup1は、数十msec〜数百msecの範囲内の時間に設定されている。すなわち、本実施例1では、操作ノブ10を、方向検出スイッチ2a〜2dの中間位置であるe,f,g,hの方向へスライド操作した際に、各方向検出スイッチ2a〜2dが、1個のみONから2個ONとなるずれ時間Tz0,Tz1(図10参照)を、サンプリングし、そのサンプリング時間で最も多い値に設定している。なお、図10は、操作ノブ10を、右上方向eへスライド操作した場合の一例を示しており、両方向検出スイッチ2a,2dは、同時にONにならずに、上方の方向検出スイッチ2aがONとなった時点t1から、ずれ時間Tz1が経過した時点t2で右方向の方向検出スイッチ2dがONとなっている。同様に、操作ノブ10を右上方向eに操作した状態から、中立位置に戻す際にも、右方向の方向検出スイッチ2dがOFFになった時点t3から、ずれ時間Tz1が経過した時点t4に、上方向aの方向検出スイッチ2aがOFFとなっている。
【0060】
そこで、これらのずれ時間Tz0,Tz1を多数サンプリングし、その最も多い値を基準にタイムアップ時間Tup0,Tup1を設定しており、本実施例1の場合は、Tup0==Tup1=130msecとしている。なお、これらのタイムアップ時間Tup0,Tup1は、操作ノブ10のストローク量や節度感付与機構330により付与される節度感(スライド抵抗)などに応じて、それぞれ独立して適宜設定される。
【0061】
次に、図9にフローチャートを示す操作方向判定処理について説明する。
まず、ステップS101では、方向検出スイッチ2a〜2dの「現在状態」と「前回状態」とを取得する。
次のステップS102では、方向検出スイッチ2a〜2dの2個がONであるか否か判定し、2個がONの場合、ステップS103に進み、それ以外(全OFFか、1個のみON)は、ステップS105に進む。
【0062】
ステップS103では、図7の操作方向判定特性に基づいて、方向検出スイッチ2a〜2dの「現在状態」に応じて操作方向判定を行う。
続く、ステップS104では、ON時タイマT0とOFF時タイマT1のいずれも停止するとともに、カウントをクリアする。
【0063】
ステップS105では、ON時タイマT0がカウント中であるか否か判定し、カウント中の場合には、ステップS106に進み、カウント中でない場合には、ステップS112に進む。
【0064】
ステップS106では、ON時タイマT0がタイムアップしたか否か判定し、タイムアップした場合には、ステップS107に進んで、方向検出スイッチ2a〜2dの「現在状態」から方向判定を行い、さらに、続くステップS108で、ON時タイマT0を停止させるとともに、カウントをクリアする。
【0065】
一方、ステップS106において、ON時タイマT0がタイムアップしていない場合には、ステップS109に進み、方向検出スイッチ2a〜2dの「現在状態」が、全OFFであるか否か判定し、全OFFの場合にはステップS110に進み、全OFF以外の場合には、1回の操作方向判定処理を終了する。
【0066】
ステップS110では、方向検出スイッチ2a〜2dの「前回状態」に基づいて操作方向の判定を行い、続くステップS111において、ON時タイマT0を停止させるとともに、カウントをクリアする。
【0067】
また、ステップS105でON時タイマT0の非動作中に進むステップS112では、OFF時タイマT1が動作中であるか否か判定し、動作中の場合にはステップS113に進み、非動作中の場合は、ステップS119へ進む。
【0068】
さらに、ステップS113では、OFF時タイマT1がタイムアップしたか否か判定し、タイムアップした場合には、ステップS114に進んで、方向検出スイッチ2a〜2dの「現在状態」から方向判定を行い、さらに、続くステップS115で、OFF時タイマT1を停止させるとともに、カウントをクリアする。
【0069】
一方、ステップS113において、OFF時タイマT1がタイムアップしていない場合には、ステップS116に進み、方向検出スイッチ2a〜2dの「現在状態」が、全OFFであるか否か判定し、全OFFの場合にはステップS117に進み、全OFF以外の場合には、1回の操作方向判定処理を終了する。
【0070】
ステップS117では、方向検出スイッチ2a〜2dの「現在状態」に基づいて操作方向の判定を行い、続くステップS118において、OFF時タイマT1を停止させるとともに、カウントをクリアする。
【0071】
ステップS112において、OFF時タイマT1の非動作中である場合に進むステップS119では、方向検出スイッチ2a〜2dの「現在状態」に基づいて、操作方向の判定を行う。
【0072】
なお、以上の処理により操作ノブ10の操作方向が判定されると、図外のカーナビゲーション装置では、得られた操作方向判定に基づいて、画面上で地図のスクロールが成される。
【0073】
以下に、操作ノブ10を、a〜hの各方向へスライド操作する場合の動作を、図10のタイムチャートおよび図11の状態遷移図に基づいて説明する。なお、上述の図8,図9のフローチャートには表れていないが、方向検出スイッチ2a〜2dにおいて、ON、OFFの切り換わりが、設定時間未満のごく短時間実行された場合には、チャタリング防止のために無効とみなすようにしている。この設定時間は、数十msecであり、例えば、20msecとする。この無効とみなした切り換わりは、以下、無効スイッチングと称する。
【0074】
(操作ノブ10の中立時)
まず、操作ノブ10が、図1に示す中立位置に配置されているときには、操作ノブ10およびパッド35は、軸Z上に配置されている。
このとき、パッド35のスイッチ押圧筒354は、各方向検出スイッチ2a〜2dの接触子2pから離れており、方向検出スイッチ2a〜2dは、全てOFFとなっている。
【0075】
この場合、タイマ判定処理では、S1→S2→S3の順に処理が成され、両タイマT0,T1は、停止されている。
そして、操作方向判定処理では、ステップS101→S102→S105→S112→S119の順で処理が成される。よって、ステップS119の処理により、全方向検出スイッチ2a〜2dがOFFとなっていることから、「方向なし」と判定される。
したがって、図11の状態遷移図では、Aの「方向なし」と判定した状態にある。
【0076】
(操作ノブ10を方向検出スイッチ2a〜2dに重なる直方向であるa,b,c,dのいずれかの方向にスライドさせた場合)
操作ノブ10を、中立位置から各方向検出スイッチ2a〜2dに径方向に重なる直方向であるa,b,c,dのいずれかの方向にスライドさせた場合の動作を、上方向aへスライドさせた場合を例に挙げて説明する。
【0077】
この場合、操作ノブ10の上方向aのスライド操作に伴い、パッド35が操作ノブ10と一体的に上方向aへスライドする。
これに伴い、パッド35のスイッチ押圧筒354が上方向aに設置された方向検出スイッチ2aの接触子2pを押し込み、4つの方向検出スイッチ2a〜2dのうちの1個の方向検出スイッチ2aのみがONとなり、すなわち、方向検出スイッチ2a〜2dが全てOFFの状態から上方向aの方向検出スイッチ2aのみがONとなった状態に変化する。また、この時点では、操作方向は、前回の処理で判定された操作方向が現在の操作方向であって、「方向なし」と判定されている。
【0078】
この場合、図8に示すタイマ設定処理では、ステップS1→S2→S3→S5→S6→S7の順に処理が成され、ON時タイマT0のカウントが開始される。
【0079】
そして、図9に示す操作方向判定処理では、S101→S102→S105→S106→S109→ENDの処理流れとなり、この時点は、操作方向判定が実行されずにON時遅延処理が成される。
したがって、図11の状態遷移図では、Bの状態、すなわち「ON待ち(ON時遅延処理)」状態となる。なお、上述の方向検出スイッチ2a〜2dの1個のみのONが無効スイッチングである場合には、Bの状態に移行せずに、Aの状態を繰り返す。
【0080】
上述のBの状態におけるON時遅延処理は、ON時タイマT0がタイムアップするか、方向検出スイッチ2a〜2dの全てがOFFとなるまで実行される。
そして、ON時タイマT0がタイムアップすると、S101→S102→S105→S106→S107→S108の処理が順に成される。したがって、ステップS107の処理により、方向検出スイッチ2a〜2dの「現在状態」から操作方向判定が実行される。この例の場合には、上方向aの方向検出スイッチ2aのみがONとなっていることから、操作方向は、上方向aと判定される。そして、ステップS108の処理に基づいて、ON時タイマT0は停止されるとともに、カウント値がクリアされる。
したがって、図11の状態遷移図では、Bの状態からCの状態、すなわち、操作方向が上方向a,下方向b,左方向c,右方向dのいずれかの「直方向」と判定された状態へ移行される。
【0081】
また、Bの状態において、ON時タイマT0がタイムアップされる前に操作ノブ10が中立位置に戻されて、方向検出スイッチ2a〜2dの全てがOFFとなった場合には、S101→S102→S105→S106→S109→S110→S111の処理が順に成され、方向検出スイッチ2a〜2dの「前回状態」(この例の場合には、方向検出スイッチ2aのみがON)に基づく操作方向判定が実行される。
したがって、この場合も、図11の状態遷移図では、Bの状態からCの状態へ移行される。
【0082】
なお、操作ノブ10を外径方向へスライド操作した際には、パッド35のXY平面方向のスライドにより、センタピン34が凹部351aの傾斜面に押され、スプリング33を短縮させながら、後方へ変位する。
【0083】
このスプリング33の短縮に伴って、パッド35に対するセンタピン34の押圧力が増大し、操作ノブ10のスライド量が大きくなるにつれて節度感が大きくなる。
【0084】
(操作ノブ10を、直方向(a,b,c,dの方向)から中立位置へ戻す場合)
上述のように操作ノブ10を上方向aへスライドさせた状態からスライド操作力を取り除くと、スプリング33が復元し、センタピン34がパッド35を軸Z方向に押圧することで、パッド35ならびに操作ノブ10が中立位置に戻される。
この操作ノブ10の動きにより、上方向検出スイッチ2a〜2dは、上方向aの方向検出スイッチ2aのみがONとなった状態から、全てがOFFの状態へ変化する。
【0085】
この場合、図8のフローチャートに示すタイマ設定処理では、ステップS1→S2→S3→S5→ENDとなり、両タイマT0,T1は、共にはセットされない。
【0086】
一方、図9に示す操作方向判定処理では、S101→S102→S105→S112→S119の処理流れとなり、現在状態から方向判定が行われ、この例の場合には、全ての方向検出スイッチ2a〜2dが全てOFFとなっていることから、「方向なし」と判定される。
したがって、図11の状態遷移図では、Cの状態からAの状態へ移行する。
【0087】
(操作ノブ10を中間位置へ操作時)
操作ノブ10を、中立位置から、4つの方向検出スイッチ2a〜2dの中間位置、すなわち、e,f,g,hのいずれかの方向へスライドさせた場合を、右上方向eにスライドさせた場合を例に挙げ説明する。
【0088】
この場合、操作ノブ10と一体的にスライドするパッド35は、スライド部材32のスライド溝322に沿って上方向aにスライドすると同時に、スライド部材32は、ベース31のスライド溝315に沿って、右方向dへスライドする。
【0089】
これに伴い、操作ノブ10およびパッド35が、右上方向eへスライドし、パッド35のスイッチ押圧筒354は、上方向aに設置された方向検出スイッチ2aと右方向dに設置された方向検出スイッチ2dとの接触子2pをそれぞれ押し込んで、両スイッチ2a,2dがONとなる。
この場合、両方向検出スイッチ2a,2dが同時にONとなることはまれであり、両者がONとなるのに時差が生じる。
そこで、以下の説明では、図10のタイムチャートに示すように、全ての方向検出スイッチ2a〜2dがOFFの状態から、まず、t1の時点で上方向aの方向検出スイッチ2aがONに切り換わり、その後、t2の時点で右方向dの方向検出スイッチ2dがONに切り換わった場合を例に挙げ説明する。
【0090】
この場合、図8に示すタイマ設定処理では、t1の時点で、ステップS1→S2→S3→S5→S6→S7の処理が順に成される。したがって、ステップS7の処理に基づきON時タイマT0のカウントが開始される。
【0091】
そこで、図9に示す操作方向判定処理では、S101→S102→S105→S106→S109→ENDの処理流れとなり、方向検出スイッチ2aがONに切り換わっても、操作方向判定が成されず、ON時遅延処理が実行される。
したがって、図11の状態遷移図では、Aの状態からBの状態へ移行される。
【0092】
この場合のON時遅延処理は、もう1個の方向検出スイッチ2dがONに切り換わるまで行われる。すなわち、ON時タイマT0のタイムアップ値は、図10に示すずれ時間Tz0よりも長く設定されており、ON時タイマT0のタイムアップ前の時点で方向検出スイッチ2dがONに切り換わる。
【0093】
そこで、図10に示す例においてt2の時点で、方向検出スイッチ2dがONに切り換わると、操作方向判定処理では、S101→S102→S103→S104の処理が順に成され、ステップS103において、操作方向判定が実行される。この場合には、2個の方向検出スイッチ2a,2dがONになっている「現在状態」に基づいて、操作方向が右上方向eと判定され、その後、ステップS104の処理により、ON時タイマT0が停止されるとともに、カウントがクリアされる。
したがって、この場合には、図11の状態遷移図では、Bの状態からDの状態、すなわち、操作方向が右上方向e,左上方向f,右下方向g,左下方向hのいずれかの「中間位置」と判定された状態へ移行する。
【0094】
なお、上述のように操作ノブ10を中間位置へ操作した際に、方向検出スイッチ2a〜2dの1個のみがONに切り換わった状態から、これとは異なる他の1個のみがONに切り換わった際には、タイマ設定処理では、S1→S2→S3→S5→S6→S8→S7の流れとなって、改めてON時タイマT0のセットおよびタイマカウントのスタートが成され、ON時遅延処理が行われる。
したがって、図11の状態遷移図では、Bの状態が繰り返される。
【0095】
(操作ノブ10を中間位置からから中立位置へ戻す場合)
上述のように操作ノブ10を右上方向eへスライドさせた状態からスライド操作力を取り除くと、スプリング33が復元し、パッド35ならびに操作ノブ10が中立位置に戻される。この操作ノブ10の動きにより、両方向検出スイッチ2a,2dが共にOFFに切り換わり、全方向検出スイッチ2a〜2dがOFFとなるが、このとき、図10に示すように、t3の時点で方向検出スイッチ2dがOFFに切り換わり、その後、t4の時点で方向検出スイッチ2aがOFFに切り換わった場合について説明する。
【0096】
この場合、操作ノブ10を中立位置へ戻す前の時点では、操作方向判定は「右上方向」と判定され、2個の方向検出スイッチ2a,2dがONとなっている。また、図11の状態遷移図では、Dの状態となっている。
この状態から、方向検出スイッチ2dがOFFに切り換わった時点で、タイマ設定処理では、ステップS1→S2→S3→S5→S6→S8→S9→S10の順で処理が成され、ステップS10の処理により、OFF時タイマT1がセットされて、タイマカウントがスタートされる。
【0097】
そこで、図9に示す操作方向判定処理では、S101→S102→S105→S112→S113→S116→ENDとなり、操作方向判定を遅延させるOFF時遅延処理が実行される。よって、図11の状態遷移図では、Eの状態、すなわち、「OFF待ち(OFF時遅延処理)」状態へ移行する。
OFF時遅延処理は、全方向検出スイッチ2a〜2dがOFFとなるか、OFF時タイマT1がタイムアップされるか、方向検出スイッチ2a〜2dの現在と異なる1個がONとなるか、有効な2個がONとなるまで実行される。
【0098】
まず、全方向検出スイッチ2a〜2dがOFFとなった場合、すなわち、操作ノブ10を中間位置から中立位置へ戻した場合を説明する。この場合には、図10のタイムチャートに示すように、方向検出スイッチ2aがOFFに切り換わったt4の時点では、OFF時タイマT1がカウント中であることから、S101→S102→S105→S112→S113→S116→S117→S118の処理が順に成される。したがって、ステップS117の操作方向判定により、「現在状態」=全方向検出スイッチ2a〜2dOFFに基づいて、「方向なし」の判定が成され、かつ、ステップS118の処理に基づいてOFF時タイマT1が停止され、カウントがクリアされる。
【0099】
次に、OFF時タイマT1がタイムアップされた場合について説明する。この場合というのは、操作ノブ10を中間位置から、この中間位置に隣り合う直方向へ操作した場合であって、このときには、S101→S102→S105→S112→S113→S114→S115の処理が順に成され、方向検出スイッチ2a〜2dの「現在状態」すなわち、1個のみONに基づいて、操作方向判定が成される。
【0100】
また、方向検出スイッチ2a〜2dの現在と異なる1個がONとなるか、有効な2個がONとなる場合というのは、操作ノブ10を、ある中間位置から、この中間位置とは隣り合わない直方向あるいは、他の中間位置へ操作した場合である。
【0101】
ここで、前者の方向検出スイッチ2a〜2dの現在と異なる1個がONとなった場合には、図11の状態遷移図において、Eの状態からBの状態に移行されて、ON時遅延処理が実行される。すなわち、タイマ設定処理では、S1→S2→S3→S5→S6→S8→S7の処理に基づいて、ON時タイマT0がスタートされる。また、これに応じて、操作方向判定処理では、S101→S102→S105→S106→S109→ENDの処理となって、操作方向判定が行われない。
【0102】
一方、後者の有効な2個がONとなった場合には、図11の状態遷移図において、Eの状態からDの状態に移行される。すなわち、タイマ設定処理では、S1→S2→S3→S5→ENDにより両タイマT0,T1がスタートされることはない。そして、操作方向判定処理では、S101→S102→S103の処理が成され、現在の方向検出スイッチ2a〜2dのON,OFF状態に基づいて、操作方向判定が成される。
【0103】
以上説明したように、本実施例1では、制御回路100では、操作ノブ10を中立位置から中間位置方向へスライド操作した場合に、複数の方向検出スイッチ2a〜2dの1個のみがONとなった時点では、ON時タイマT0のカウントをスタートさせ、方向判定処理を遅延させる。そして、方向検出スイッチ2a〜2dの2個目がONとなった時点で、操作方向判定を行うようにした。
したがって、従来のように、操作ノブ10を中間位置へスライド操作した際に、方向検出スイッチ2a〜2dの1個のみがONになることに対応した処理が成されることがなくなり、使用者の操作意図と異なる方向判定が成されることを防止できる。
【0104】
すなわち、図10に示すタイムチャートに示すように、操作ノブ10を右上方向eにスライド操作した場合に、従来では、方向検出スイッチ2aがONに切り換わった時点t1で、操作方向を上方向aと判定され、その後、2個目の方向検出スイッチ2dがONとなった時点t2で、右上方向eと判定されていた。
それに対し、本実施例1では、方向検出スイッチ2aがONとなった時点t1では、操作方向判定が成されず、2個目の方向検出スイッチ2dがONとなった時点t2で、操作方向判定が行なわれ、使用者の意図に反する操作方向判定を回避できる。
【0105】
しかも、操作ノブ10を直方向へスライド操作して方向検出スイッチ2a〜2dの1個のみのがONとなっている場合、上述のON時遅延処理は、ON時タイマT0のタイムアップ時点で終了して操作方向判定を実行するため、方向検出スイッチ2a〜2dの2個目がONとならない直方向への操作時でも、正確な操作方向判定が可能であり、使用者の意図に反する操作方向判定が生じることもない。
加えて、このON時タイマT0のカウント時間は、多数のサンプルに基づいて設定しており、数十〜数百msecの短時間に設定しているため、このON時遅延処理による操作方向判定遅れが、使用者に違和感を与えることがない。
【0106】
同様に、本実施例1では、操作ノブ10を、方向検出スイッチ2a〜2dがONとなる中間位置から中立位置へ戻す際にも、方向検出スイッチ2a〜2dの1個のみがOFFに切り換わると、OFF時タイマT1をカウントさせて、方向検出スイッチ2a〜2dの1個がOFFに切り換わったことに対応した、使用者の意図に反した操作方向判定が実行されるのを防止できるようにした。
【0107】
しかも、操作ノブ10を直方向へスライド操作した状態から中立位置へ戻す場合は、上述のOFF時遅延処理は実行されず、方向検出スイッチ2a〜2dの1個のみがONからOFFに切り換わった時点で、操作方向判定が行われ、使用者の意図に反する操作方向判定が生じることがない。
【0108】
さらに、本実施例1では、上述のような使用者の意図に反する方向判定防止を、制御回路100における制御で行うようにしたため、スイッチ本体1としては、従来と同じものを使用でき、低コストで上述の効果を得ることができる。
【0109】
加えて、実施例1では、操作ノブ10を中間位置へ操作した場合に、方向検出スイッチ2a〜2dの2個がONとなった後に、操作方向判定を行うため、従来と比較すると、方向検出スイッチ2a〜2dの軸Zに対する径方向の位置精度を低くしても誤判定が生じることがなく、組付性の向上が可能であり、かつ、方向検出スイッチ2a〜2dの位置を軸Zに近付けるとともに、フルストローク量を小さくして、作動応答性を高めることも可能となる。
【0110】
(他の実施例)
以下に、他の実施例について説明する。
なお、これら他の実施例を説明するのにあたり、実施例1と共通する構成には同じ符号を付けて説明を省略する。また、作用効果についても、実施例1と同様のものは、説明を省略する。
【実施例2】
【0111】
次に、実施例2の多方向操作スイッチ装置について、図12に基づいて説明する。
この実施例2の多方向操作スイッチ装置は、制御回路100がダイヤルキャンセル処理を実行するようにした例である。すなわち、操作ノブ10を、XY平面方向へスライドさせた際に、そのスライド方向に押す力で、使用者の意図に反して、把持部421が回転する場合がある。このダイヤルキャンセル処理は、このような使用者の意図に反した把持部421の回転が生じてダイヤルスイッチ382から信号が出力されても、その信号に応じた処理が成されないようにこれをキャンセルする処理である。
【0112】
このダイヤルキャンセル処理の流れを示すのが図12のフローチャートであって、ステップS301では、現在状態が「方向なし」であるか否か判定し、「方向なし」以外は、ステップ303に進んで、ダイヤルスイッチ382の信号をキャンセルするダイヤルキャンセル処理を実行する。
【0113】
また、ステップS302では、ON時タイマT0とOFF時タイマT1のいずれかがカウント中であるか否か判定し、カウント中であれば、ステップS303に進んで、ダイヤルキャンセル処理を行う。
【0114】
したがって、操作ノブ10をスライド操作し、方向検出スイッチ2a〜2dのいずれか1個がONとなると、その時点からダイヤルスイッチ382の信号がキャンセルされる。そして、このキャンセルは、全方向検出スイッチ2a〜2dがOFFとなるか、両タイマT0,T1が停止されるまで成される。すなわち、図10のタイムチャートでは、t1の時点からt5の時点までダイヤルスイッチ382の信号がキャンセルされる。
これにより、図11の状態遷移図では、B,C,D,Eの状態で、ダイヤルスイッチ382の信号がキャンセルされる。
【0115】
よって、操作ノブ10をスライドさせて、地図のスクロールを行っている際に、使用者の意図に反してダイヤル42が回転されても、ダイヤルスイッチ382の出力に対する応答がキャンセルされ、乗員に違和感を与えることを防止できる。
【0116】
以上、図面を参照して、本発明の実施の形態および実施例1,2を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態および実施例1,2に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0117】
例えば、実施例1,2では、多方向操作スイッチとして、方向検出スイッチ2a〜2dの他に、ダイヤルスイッチ382と押圧スイッチ383とを備えたものを示したが、これに限定されるものではなく、少なくとも複数の方向検出スイッチを備えていればよい。
【0118】
また、実施例1,2では、軸Zの直交方向へ変位可能な操作ノブとして、第1基板20に対してYX平面方向にスライド可能に支持された操作ノブ10を示したが、この軸Zに直交方向への変位は、XY平面方向へスライドするものに限らず、第1基板20上の支持点を中心に、傾動可能に支持されたものを用いてもよい。
【0119】
また、実施例1,2では、方向検出スイッチとして、軸Zの周囲の4箇所に設置したものを示したが、これに限定されず、軸Zの周囲に3以上の複数個が周方向に等間隔に設置されていればよい。例えば、3個設置の場合には、6方向を判定可能であり、5個設置の場合には、10方向判定可能である。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】本発明最良の実施の形態の実施例1の多方向操作スイッチ装置を示す断面図である。
【図2】実施例1の多方向操作スイッチ装置の操作ノブ10を軸Zの直交方向へスライドさせた状態を示す断面図である。
【図3】実施例1の多方向操作スイッチ装置を示す斜視図である。
【図4】実施例1の多方向操作スイッチ装置の方向検出スイッチ2a〜2dの配置を示す説明図である。
【図5】実施例1の多方向操作スイッチ装置を示す分解斜視図である。
【図6】実施例1の多方向操作スイッチ装置の制御回路100を示す回路説明図である。
【図7】実施例1の多方向操作スイッチ装置の方向判定特性図である。
【図8】実施例1の多方向操作スイッチ装置におけるタイマ設定処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】実施例1の多方向操作スイッチ装置における方向判定処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】実施例1の多方向操作スイッチ装置における操作ノブ10のスライド時の作動例を示すタイムチャートである。
【図11】実施例1ならびに実施例2の多方向操作スイッチ装置の状態遷移を示す状態遷移図である。
【図12】実施例2の多方向操作スイッチ装置におけるダイヤルキャンセル処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0121】
2a 方向検出スイッチ
2b 方向検出スイッチ
2a 方向検出スイッチ
2c 方向検出スイッチ
2d 方向検出スイッチ
10 操作ノブ
20 第1基板
100 制御回路(方向判定装置)
382 ダイヤルスイッチ
T0 ON時タイマ(外径方向操作時遅延タイマ)
T1 OFF時タイマ(戻し操作時遅延タイマ)
Tup0 タイムアップ時間
Tup1 タイムアップ時間
Tz0 ずれ時間
Tz1 ずれ時間
Z 軸
【技術分野】
【0001】
本件発明は、例えば、カーナビゲーション装置において画面表示内容のスクロール操作などを行うのに用いられ、操作ノブを、軸方向に直交する平面方向に変位可能な多方向操作スイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カーナビゲーション装置の画面表示内容のスクロール操作などを行うのに、操作ノブの軸直交方向に配置された4つの方向検出スイッチのON,OFF状態に基づいて操作ノブの操作方向を検出し、この操作方向に応じて画面表示をスクロールさせるようにした多方向操作スイッチ装置が、例えば、特許文献1などにより知られている。
【0003】
この従来の多方向操作スイッチ装置では、軸状の操作ノブの軸直交方向において、周方向に等間隔となる90度ごと(例えば、上下左右)の4箇所に方向検出スイッチが設けられている。
【0004】
そして、方向検出スイッチの投入状態に基づいて、方向検出スイッチが単独でONとなっている場合には、その方向検出スイッチに対応する直方向を操作方向と判定し、2個の方向検出スイッチがONとなっている場合には、これら2個の方向検出スイッチの中間位置を操作方向と判定するようにしていた。
【特許文献1】特願2006−216815号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の多方向操作スイッチ装置では、2個の方向検出スイッチの中間位置に向けて操作ノブを傾動させた場合に、以下に述べるような問題が生じていた。
すなわち、方向検出スイッチの設置位置にばらつきがあったり、また、使用者の操作ノブの操作方向が、操作初期から正確に両検出スイッチの中間位置に操作されることが少なかったりする。このため、2個の方向検出スイッチがONとなる場合に、同時にONとなることはまれであり、まず、2個の方向検出スイッチの一方がONとなり、これに遅れてもう一方の方向検出スイッチがONとなる。
【0006】
このような場合、操作方向判定装置は、まず、1個の方向検出スイッチのONが示す直方向に操作されたと判定し、その後、2個の方向検出スイッチのONが示す中間位置に操作したと判定する。
したがって、操作方向の判定に基づいてスクロールが実行された場合に、使用者は、操作意図と異なる方向のスクロールが成されたと感じ、使用者に違和感を与えるおそれがあった。
【0007】
本件発明は、上述のような従来の問題に着目してなされたもので、使用者の操作意図と異なる方向判定が成されることを防止可能な多方向操作スイッチ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するため、本発明は、基板に直交する軸に沿って延在され、前記軸に直交する平面方向に変位可能に前記基板に支持された操作ノブと、前記軸を囲む複数個所に設置され、前記操作ノブの変位方向に応じてON,OFFが切り換わるよう配置された方向検出スイッチと、前記方向検出スイッチのON,OFF状態に基づいて前記操作ノブの操作方向を判定する方向判定装置と、を備え、前記方向判定装置は、前記方向検出スイッチの1個の切り換わりを検出すると、遅延タイマのカウントを開始し、前記方向判定の実行を、前記遅延タイマのカウント中における2個目の前記方向検出スイッチの切り換わり時か、前記遅延タイマのカウント値が設定値となるタイムアップ時まで遅延させる遅延処理を実行することを特徴とする多方向操作スイッチ装置とした。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の多方向操作スイッチ装置において、前記遅延タイマのカウント時間は、前記操作ノブを操作した使用者が、前記操作ノブの操作を行ってから前記方向判定が開始されるまでの遅れに違和感を与えない時間に設定されていることを特徴とする多方向操作スイッチ装置とした。
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の多方向操作スイッチ装置において、前記遅延タイマとして、前記操作ノブを中立位置から前記平面方向へ変位させた外径方向操作時にカウントを開始する外径方向操作時遅延タイマを備え、この外径方向操作時遅延タイマのタイムアップとなるまでのカウント時間は、前記操作ノブの前記外径方向操作時に、周方向で隣り合う前記2個の方向検出スイッチの中間位置方向へ変位させた際に想定される前記2個の方向検出スイッチの切り換わりタイミングのずれ量よりも長い時間に設定されていることを特徴とする多方向操作スイッチ装置とした。
また、請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の多方向操作スイッチ装置において、前記遅延タイマとして、前記操作ノブを外径方向操作位置から前記中立位置へ変位させた戻し操作時にカウントを開始する戻し操作時遅延タイマを備え、この戻し操作時遅延タイマのタイムアップとなるまでのカウント時間は、前記操作ノブを、前記中間位置から前記中立位置へ変位させた際に想定される前記2個の方向検出スイッチの切り換わりタイミングのずれ量よりも長い時間に設定されていることを特徴とする多方向操作スイッチ装置とした。
また、請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の多方向操作スイッチ装置において、前記遅延タイマのカウント時間が、数十msec〜数百msecの範囲内に設定されていることを特徴とする多方向操作スイッチ装置とした。
とした。
【発明の効果】
【0010】
本発明の多方向操作スイッチ装置では、操作ノブを操作した場合、まず、複数の方向検出スイッチの1個のON,OFFが切り換わった時点で、方向判定装置は、遅延処理を実行して遅延タイマのカウントを開始する。
この遅延処理により、方向判定の実行開始が、遅延タイマのカウント中における2個目の方向検出スイッチの切り換わり時か、遅延タイマのカウント値のタイムアップ時まで遅延される。
【0011】
したがって、操作ノブの操作方向が、軸外径方向で方向検出スイッチと重なり1個の方向検出スイッチのみの切り換わりが成される直方向の場合は、遅延タイマのカウント値がタイムアップした時点で、方向判定が実行される。この場合、1個の方向検出スイッチの切り換わりに基づいて操作方向の判定が成される。
【0012】
一方、操作ノブの操作方向が、軸外径方向で周方向に隣り合う2個の方向検出スイッチの中間位置方向である場合は、2個の方向検出スイッチの切り換わりが成された時点で方向判定が実行される。この場合、2個の方向検出スイッチの切り換わりに基づいて、操作方向の判定が成される。
したがって、操作ノブの操作方向が、2個の方向検出スイッチの中間位置方向である場合に、従来のように、2個の方向検出スイッチの一方のみがONになることに対応した処理が成されることがなくなり、使用者の操作意図と異なる方向判定が成されることを防止できる。
【0013】
さらに、請求項2に記載の発明では、遅延タイマのカウント時間は、操作ノブを操作した使用者が、操作ノブの操作を行ってから方向判定が開始されるまでの遅れに違和感を与えない時間に設定されているため、方向判定装置が、遅延処理を行っても、使用者に違和感を与えないようにできる。
また、請求項3に記載の発明では、操作ノブを中立位置から外径方向操作を行った際の遅延処理の実行時には、外径方向操作時遅延タイマのカウントが開始される。
この外径操作時遅延タイマのカウント時間は、操作ノブを中間位置方向へ変位させた際に想定される2個の方向検出スイッチの切り換わりタイミングのずれ量よりも長い時間に設定されている。このため、操作ノブを中間位置方向へ変位させた際には、2個の方向検出スイッチが確実に切り換わった後に、方向判定が実行される。
よって、外径方向操作時遅延タイマのカウント後に、2個目の方向検出スイッチの切り換わりが成されることによる誤判定を防止することができる。
また、請求項4に記載の発明では、操作ノブを中間位置から中立位置へ戻し操作を行った際の遅延処理の実行時には、戻し操作時遅延タイマのカウントが開始される。
この戻し操作時遅延タイマのカウント時間は、操作ノブを中間位置から中立位置へ戻し操作を行った際に想定される2個の方向検出スイッチの切り換わりタイミングのずれ量よりも長い時間に設定されている。このため、操作ノブを中間位置から中立位置へ戻し操作した際には、2個の方向検出スイッチが確実に切り換わった後に、方向判定が実行される。
よって、戻し操作時遅延タイマのカウント後に、2個目の方向検出スイッチの切り換わりが成されることによる誤判定を防止することができる。
請求項5に記載の発明では、遅延タイマのカウント時間が、数十msec〜数百msecの範囲内に設定されているため、遅延処理による方向判定処理の遅れに違和感を与えない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
この実施の形態の多方向操作スイッチ装置は、基板(20)に直交する軸(Z)に沿って延在され、前記軸(Z)に直交する平面方向に変位可能に前記基板(20)に支持された操作ノブ(10)と、前記軸(Z)を囲む複数個所に設置され、前記操作ノブ(10)の変位方向に応じてON,OFFが切り換わるよう配置された方向検出スイッチ(2a〜2d)と、前記方向検出スイッチ(2a〜2d)のON,OFF状態に基づいて前記操作ノブ(10)の操作方向を判定する方向判定装置(100)と、を備え、前記方向判定装置(100)は、前記方向検出スイッチ(2a〜2d)の1個の切り換わりを検出すると、遅延タイマのカウントを開始し、前記方向判定の実行を、前記遅延タイマのカウント中における2個目の前記方向検出スイッチ(2a〜2d)の切り換わり時か、前記遅延タイマのカウント値が設定値となるタイムアップ時まで遅延させる遅延処理を実行することを特徴とする多方向操作スイッチ装置である。
【実施例1】
【0015】
以下に、図1〜図11に基づいて、この発明の最良の実施の形態の実施例1の多方向操作スイッチ装置について説明する。
【0016】
図1は、実施例1の多方向操作スイッチ装置の外観斜視図であって、この多方向操作スイッチ装置は、カーナビゲーション装置の入力操作に用いられる。
この多方向操作スイッチ装置は、操作ノブ10を有したスイッチ本体1と、このスイッチ本体1から送られる信号に基づいて、操作ノブ10の操作に応じた処理を行う制御装置(方向判定装置)100と、を備えている。
【0017】
操作ノブ10は、軸Zを中心とする回転操作、軸Z方向への押圧操作、および軸Zに直交するXY平面方向へのスライド操作、が可能に構成されている。なお、XY平面方向のスライドは、本実施例1の場合、図4に示すように、上方向a、下方向b、左方向c、右方向d、右上方向e、左上方向f、右下方向g、左下方向hの計8方向にスライド可能となっている。
【0018】
以下に、操作ノブ10をXY平面の8方向に変位可能に支持する構造について詳細に説明する。
図5に示すように、スイッチ本体1は、第1基板20と、機構部30と、操作ノブ10とを備えている。
【0019】
まず、第1基板20について説明する。
第1基板20は、樹脂などにより略8角形の板状に形成されており、中央部分には、支持穴21が設けられ、第1基板20の上面に、軸Zを中心として周方向に4つの方向検出スイッチ2a〜2dが設けられている。
これら4つの方向検出スイッチ2a〜2dは、図4に示すように、軸Zを中心に、周方向に90度の等間隔に配置されており、図において、上方向a、下方向b、左方向c、右方向dの4箇所に配置されている。
これら方向検出スイッチ2a〜2dは、図1に示すように、接触子2pが、軸Z方向である内径方向に向けて突出されている。そして、各方向検出スイッチ2a〜2dは、接触子2pが突出した状態ではOFFとなっており、一方、接触子2pが内部に押し込まれると、ONに切り換わる構造となっている。
【0020】
次に、機構部30について説明する。
機構部30は、図5に示すように、ベース31と、スライド部材32と、節度感付与機構330と、パッド35と、ダンパ36と、ベースカバー37と、第2基板38とを備えている。
【0021】
ベース31は、第1基板20の上面に複数のビス22で固定されている。このベース31は、4つの方向検出スイッチ2a〜2dの径方向外周を覆うことが可能な外径のキャップ状に形成されており、円盤状の支持プレート313と、この支持プレート313の外周に設けられた円筒状の円筒フランジ314とを備えている。
【0022】
また、支持プレート313には、その中央部分を貫通して円筒部311が設けられているとともに、同一円周上に周方向に長い4つの長穴312が開口されている。なお、各長穴312は、各方向検出スイッチ2a〜2dと軸Z方向で重なる位置であって、各方向検出スイッチ2a〜2dの接触子2pが、軸Z方向に露出する位置に開口されている(図1参照)。
さらに、支持プレート313の軸Z方向の端面(以下、軸Z方向であって図5の上方を前方と称し、この端面を前面、その逆方向の端面を後面と称する)に、2つのスライド溝315が、軸Zに直交する方向であって、本実施例1では、c,d方向(これをY方向とする)に延在され、かつ、軸Zを中心として対称に配置されている。
【0023】
次に、スライド部材32について説明する。
スライド部材32は、略十字の薄板状に形成されている。そして、スライド部材32の中央部分に、挿通穴321が設けられ、かつ、スライド部材32の前面には、2つのスライド溝322が形成されている。2つのスライド溝322は凹溝状に形成されており、軸Zを中心として、a,b方向(これをX方向とする)に延在されている。
【0024】
なお、詳細な図示は省略するが、スライド部材32の後面には突起が形成されており、この突起が、ベース31に形成されたスライド溝315にスライド可能に挿入されている。これにより、スライド部材32は、ベース31に対してY方向(a,b方向)にスライド可能に支持されている。
【0025】
次に、パッド35について説明する。
パッド35は、略円板状に形成されている。また、パッド35の中央部分には、ピン受部351が設けられている。このピン受部351は、パッド35の中心を、断面略V字状に前方向に突出させることで、図1および図2に示すように、パッド35の後面にすり鉢凹状の凹部351aが形成されている。
【0026】
また、ピン受部351の外周には、嵌合用内筒部352が形成されており、この嵌合用内筒部352が第2基板38の後面に結合されたダンパ36の内周にきつく嵌合されている。これにより、パッド35は、第2基板38と一体的に結合されている。なお、ダンパ36は、操作ノブ10の各操作に伴って第2基板38を介して、パッド35に振動が伝わるのを防止している。
【0027】
さらに、パッド35の下面には、図5に示すスライド部材32のスライド溝322に沿ってY方向にスライド可能な断面凸状のスライドレール(図示省略)が形成されている。これにより、パッド35は、スライド部材32に対してY方向にスライド可能に結合されている。
【0028】
すなわち、パッド35は、スライド部材32に対して、Y方向にスライド可能に支持されているとともに、ベース31に対して、スライド部材32と共にX方向にスライド可能に支持されており、すなわち、第1基板20およびベース31に対して、XY平面上をX,Y方向にスライド可能に支持されている。
【0029】
さらに、パッド35の後面には、図1に示すように、四角あるいは円形の筒状のスイッチ押圧筒354が形成されている。このスイッチ押圧筒354は、各方向検出スイッチ2a〜2dの接触子2pの内径方向に近接して配置されている。
【0030】
さらに、パッド35の外周には、外周フランジ355が、後方へ突出されている。この外周フランジ355は、ベース31の円筒フランジ314の内周に外径方向に隙間を介して対向されている。
【0031】
次に、節度感付与機構330について説明する。
この節度感付与機構330は、図1に示すように、スプリング33とセンタピン34とピン受部351とで構成されている。
スプリング33は、軸Z方向に伸縮可能はコイルスプリングである。センタピン34は、図1に示すように、その後端部が、スプリング33の内側に嵌合された状態で、ベース31の円筒部311に対して軸Z方向にスライド可能に支持され、かつ、その前端部が、ピン受部351の凹部351aに圧接されている。
よって、パッド35を、XY平面方向にスライドさせると、センタピン34に対する凹部351aが軸Zの直交方向へ変位し、スプリング33を短縮させながら、センタピン34を後退させる。したがって、パッド35の軸Zの直交方向への変位量が大きくなるほど、センタピン34の凹部351aに対する圧接力が増大し、操作ノブ10の変位に対する節度感が得られる。
【0032】
次に、ベースカバー37について説明する。
ベースカバー37は、図5に示すように、円形のキャップ状に形成され、パッド35の前面を覆ってベース31に結合されている。また、ベースカバー37の中央部分には開口371が設けられており、第2基板38に結合されたダンパ36が挿通されている。
【0033】
次に、第2基板38について説明する。
第2基板38は、図1に示すように、基板本体381と、ダイヤルスイッチ382と、押圧スイッチ383とを備えている。
基板本体381は、前述したようにパッド35に結合されており、第1基板20の回路部分とケーブル384で接続されている。
【0034】
ダイヤルスイッチ382は、円筒状に形成されており、基板本体381にビス380で固定された内筒部382aと、この内筒部382aの外周に軸Zを中心に回動可能に支持されたダイヤルガイド部422とを備えている。
押圧スイッチ383は、ダイヤルスイッチ382の内筒部382aの内部に配置されて基板本体381に支持されている。
【0035】
次に、操作ノブ10について説明する。
操作ノブ10は、図5に示すように、押圧操作部41と、ダイヤル42とを備えている。
押圧操作部41は、押しボタン411と、ボタンガイド部412とを備えている。ボタンガイド部412は、円筒状に形成され、図1に示すように、ダイヤルスイッチ382の内筒部382aの内側に前後方向にスライド可能に支持されている。ボタンガイド部412の内部には、押圧スイッチ383の上面に当接されてこの押圧スイッチ383を軸Z方向に押圧可能な押圧部412aが一体に形成されている。
押しボタン411は、ボタンガイド部412の前面の開口を塞ぐようにしてボタンガイド部412に装着されている。
【0036】
ダイヤル42は、図5に示すように、把持部421とダイヤルガイド部422とを備えている。ダイヤルガイド部422は、円筒状に形成され、図1に示すように、ダイヤルスイッチ382の内筒部382aの外周に、相対回動可能に装着されている。把持部421は、図5に示すように、リング状に形成されており、ダイヤルガイド部422の前端部に結合されている。なお、前述した押圧操作部41は、この把持部421の内周に、軸Z方向に相対移動可能に設けられている。
【0037】
図6に示すように、前述した方向検出スイッチ2a〜2d、ダイヤルスイッチ382、押圧スイッチ383は、第1基板20に設けられた制御回路100に接続されている。そして、制御回路100と図外のカーナビゲーション装置とは、通信手段200を介して接続されている。なお、第1基板20には、操作に応じて音を発するブザー201や、照明用のインジケータ202が設けられている。
【0038】
以上のように構成された多方向操作スイッチ装置を、図外のカーナビゲーション装置の入力操作に用いた場合について説明する。
図外のカーナビゲーション装置の操作画面に表示されている複数のメニューにおいて任意のメニューを選択する場合、乗員は、把持部421を、軸Zを中心として、左右のいずれかの方向に回転操作を行う。これにより、ダイヤルスイッチ382が回転されるとともに、ダイヤルスイッチ382から、回転操作量に応じた信号が出力される。制御回路100は、この回転操作量を示す信号をカーナビゲーション装置に出力し、画面上では、この回転操作量に応じてカーソルが移動される。
【0039】
したがって、乗員は、カーソルが、画面上の所望の任意のメニューの位置に来たところで、回転操作を停止させ、カーソルを、画面上の任意のメニューの位置に配置させることができる。
【0040】
次に、乗員は、カーソルが配置されたメニューを選択する場合、押しボタン411を、軸Z方向の後方へ押圧操作する。これにより、ボタンガイド部412が押し込まれ、押圧部412aにより押圧スイッチ383が押されON信号が出力される。したがって、制御回路100からの出力に基づいて、カーナビゲーション装置では、カーソル位置のメニューを確定する処理を実行する。
なお、乗員が、押しボタン411の押圧を解除すると、押しボタン411は元の位置に戻る。
【0041】
乗員は、カーナビゲーション装置の画面上に地図が表示されている場合に、その画面をスクロールするには、操作ノブ10を、図4に示した8方向(矢印a〜矢印h)のいずれかの方向にスライド操作させ、その操作方向にスクロールさせることができる。
【0042】
以下に、操作ノブ10を、各方向へスライド操作する場合の動作について説明する。
まず、操作ノブ10が、図1に示す中立位置に配置されているときには、操作ノブ10およびパッド35は、軸Z上に配置されている。
このとき、パッド35のスイッチ押圧筒354は、各方向検出スイッチ2a〜2dの接触子2pから離れており、各方向検出スイッチ2a〜2dは、OFF状態となっている。
【0043】
次に、操作ノブ10を、中立位置から上方向aへスライド操作した場合について説明する。この場合、操作ノブ10と一体的にスライドするパッド35は、スライド部材32のスライド溝322に沿ってスライドし、第1基板20およびベース31に対して上方向aへスライドする。
これに伴い、パッド35のスイッチ押圧筒354が上方向aに設置された方向検出スイッチ2aの接触し2pを押し込む。
したがって、この場合には、4つの方向検出スイッチ2a〜2dの上方向aの方向検出スイッチ2aのみがONとなる。
【0044】
また、操作ノブ10のスライド量が最大ストローク量となると、パッド35の外周フランジ355がベース31の円筒フランジ314に突き当たり、操作ノブ10のスライドが規制される。
なお、操作ノブ10をスライド操作した際には、パッド35のXY平面方向のスライドにより、センタピン34が凹部351aの傾斜面に押され、スプリング33を短縮させながら、後方へ変位する。
【0045】
このスプリング33の短縮に伴って、パッド35に対するセンタピン34の押圧力が増大し、操作ノブ10のスライド量が大きくなるにつれて節度感が大きくなり、最終的にパッド35の外周フランジ355がベース31の円筒フランジ314に突き当たった状態で、スライドが規制されて節度感が最大となる。
【0046】
その後、操作ノブ10に対するスライド操作力を取り除くと、スプリング33が復元し、センタピン34がパッド35を軸Z方向に押圧することで、パッド35ならびに操作ノブ10が中立位置に戻される。
【0047】
一方、操作ノブ10を、4つの方向検出スイッチ2a〜2dのうちの周方向に隣り合うものの中間位置の方向(e,f,g,hの方向)へスライドさせた場合を、右上方向eにスライドさせた場合を例に挙げ説明する。この場合、操作ノブ10と一体的にスライドするパッド35は、スライド部材32のスライド溝322に沿って上方向aにスライドすると同時に、スライド部材32は、ベース31のスライド溝315に沿って、右方向dへスライドする。
【0048】
これに伴い、操作ノブ10およびパッド35が、右上方向eへスライドし、パッド35のスイッチ押圧筒354は、上方向aに設置された方向検出スイッチ2aと右方向dに設置された方向検出スイッチ2dとの接触子2pをそれぞれ押し込んで、両スイッチ2a,2dがONとなる。
【0049】
また、この場合も、操作ノブ10のスライド量が最大ストローク量となると、パッド35の外周フランジ355がベース31の円筒フランジ314に突き当たり、操作ノブ10のスライドが規制される。
【0050】
本実施例1では、操作ノブ10を、a〜hの8方向にスライドさせた場合、そのスライド方向に応じ、方向検出スイッチ2a〜2dが、1個のみ、あるいは2個同時にONとなるもので、このスライド方向と、方向検出スイッチ2a〜2dのON,OFFの関係は、図7の方向特性図に示す関係になる。なお、全ての方向検出スイッチ2a〜2dがOFFの場合は、中立位置であって、「方向なし」と判定する。
【0051】
上述のように制御回路100では、方向検出スイッチ2a〜2dのON,OFF状態に基づいて、操作ノブ10の操作方向を判定する操作方向判定処理を実行する。
さらに、この操作方向判定処理を実行するのにあたり、本実施例1では、操作ノブ10の外径方向へのスライド操作時に、方向検出スイッチ2a〜2dのいずれか1個がONとなった時点で直ちに操作方向判定を行わずに、あらかじめ設定されたON時遅延タイマ(外径方向操作時遅延タイマ)T0のカウント時間だけ待って操作方向判定を行うON時遅延処理を実行する。同様に、操作ノブ10を、外径方向へスライド操作した状態から、中立位置へ戻す際にも、OFF時遅延タイマ(戻し操作時遅延タイマ)T1のカウント時間だけ待って、操作方向判定を行うOFF時遅延処理を実行する。
【0052】
そこで、このような遅延処理を実行するのにあたり、本実施例1では、図8のフローチャートに示すタイマ設定処理と、図9のフローチャートに示す操作方向判定処理と、を実行するものであり、以下、詳細に説明する。
【0053】
まず、図8に基づいてタイマ設定処理について説明する。
このタイマ設定処理では、最初のステップS1において、方向検出スイッチのON,OFF状態を参照し「現在状態」を最新の状態に更新する。
次のステップS2では、後述する操作方向判定処理における判定結果の最新のものである「現在判定方向」を取得する。
次のステップS3では、ステップS1で得られた方向検出スイッチの現在のON,OFFの状態である「現在状態」が、「前回状態」と一致しているか否か判定し、一致している場合には、ステップS4へ進み、不一致の場合には、ステップS5へ進む。
【0054】
ステップS4では、方向検出スイッチの前回のON,OFF状態を示す「前回状態」を「現在状態」に書き換える。
ステップS5では、「現在状態」が、方向検出スイッチの1個のみがONであるか否か判定し、1個のみがONの場合はステップS6に進み、違う場合は、1回のタイマ設定処理を終える。
【0055】
次のステップS6では、ステップS2で取得した「現在判定方向」が「方向なし」であるか否か判定し、「方向なし」の場合にはステップS7に進み、「方向なし」以外の場合はステップS8へ進む。
ステップS7では、ON時タイマT0をセットするとともにタイマカウントを開始し、一方、OFF時タイマT1を停止させるとともに、そのカウントをクリアする。
ステップS8では、「前回状態」が方向検出スイッチ2a〜2dの1個のみがONであるか否か判定し、1個のみがONの場合は、ステップS7に進み、2個がONの場合には、ステップS9へ進む。
【0056】
ステップS9では、方向検出スイッチ2a〜2dにおいて、現在ONとなっているものが、「前回状態」でONになっている2個とは異なるか否か判定し、異なっている場合には、ステップS7へ進み、異なっていない場合にはステップS10に進む。
ステップS10では、OFF時タイマT1をセットするとともに、タイマカウントをスタートさせ、一方、ON時タイマT0を停止させるとともに、カウントをクリアする。
【0057】
したがって、操作ノブ10が中立の状態(方向なし)から、方向検出スイッチ2a〜2dが1個のみONとなった状態となったときには、ステップS1→S2→S3→S5→S6→S7の流れに基づいて、ON時タイマT0のカウントが開始され、そのカウントアップが成される。
【0058】
一方、操作ノブ10を外径方向へスライド操作して方向検出スイッチ2a〜2dの2個がONとなった状態から、1個のみがONとなった状態に変化した場合には、ステップS1→S2→S3→S5→S6→S8→S9→S10の流れに基づいて、OFF時タイマT1のカウントが開始され、そのカウントアップが成される。
【0059】
なお、本実施例1では、ON時タイマT0ならびにOFF時タイマT1のタイムアップ時間Tup0、Tup1は、数十msec〜数百msecの範囲内の時間に設定されている。すなわち、本実施例1では、操作ノブ10を、方向検出スイッチ2a〜2dの中間位置であるe,f,g,hの方向へスライド操作した際に、各方向検出スイッチ2a〜2dが、1個のみONから2個ONとなるずれ時間Tz0,Tz1(図10参照)を、サンプリングし、そのサンプリング時間で最も多い値に設定している。なお、図10は、操作ノブ10を、右上方向eへスライド操作した場合の一例を示しており、両方向検出スイッチ2a,2dは、同時にONにならずに、上方の方向検出スイッチ2aがONとなった時点t1から、ずれ時間Tz1が経過した時点t2で右方向の方向検出スイッチ2dがONとなっている。同様に、操作ノブ10を右上方向eに操作した状態から、中立位置に戻す際にも、右方向の方向検出スイッチ2dがOFFになった時点t3から、ずれ時間Tz1が経過した時点t4に、上方向aの方向検出スイッチ2aがOFFとなっている。
【0060】
そこで、これらのずれ時間Tz0,Tz1を多数サンプリングし、その最も多い値を基準にタイムアップ時間Tup0,Tup1を設定しており、本実施例1の場合は、Tup0==Tup1=130msecとしている。なお、これらのタイムアップ時間Tup0,Tup1は、操作ノブ10のストローク量や節度感付与機構330により付与される節度感(スライド抵抗)などに応じて、それぞれ独立して適宜設定される。
【0061】
次に、図9にフローチャートを示す操作方向判定処理について説明する。
まず、ステップS101では、方向検出スイッチ2a〜2dの「現在状態」と「前回状態」とを取得する。
次のステップS102では、方向検出スイッチ2a〜2dの2個がONであるか否か判定し、2個がONの場合、ステップS103に進み、それ以外(全OFFか、1個のみON)は、ステップS105に進む。
【0062】
ステップS103では、図7の操作方向判定特性に基づいて、方向検出スイッチ2a〜2dの「現在状態」に応じて操作方向判定を行う。
続く、ステップS104では、ON時タイマT0とOFF時タイマT1のいずれも停止するとともに、カウントをクリアする。
【0063】
ステップS105では、ON時タイマT0がカウント中であるか否か判定し、カウント中の場合には、ステップS106に進み、カウント中でない場合には、ステップS112に進む。
【0064】
ステップS106では、ON時タイマT0がタイムアップしたか否か判定し、タイムアップした場合には、ステップS107に進んで、方向検出スイッチ2a〜2dの「現在状態」から方向判定を行い、さらに、続くステップS108で、ON時タイマT0を停止させるとともに、カウントをクリアする。
【0065】
一方、ステップS106において、ON時タイマT0がタイムアップしていない場合には、ステップS109に進み、方向検出スイッチ2a〜2dの「現在状態」が、全OFFであるか否か判定し、全OFFの場合にはステップS110に進み、全OFF以外の場合には、1回の操作方向判定処理を終了する。
【0066】
ステップS110では、方向検出スイッチ2a〜2dの「前回状態」に基づいて操作方向の判定を行い、続くステップS111において、ON時タイマT0を停止させるとともに、カウントをクリアする。
【0067】
また、ステップS105でON時タイマT0の非動作中に進むステップS112では、OFF時タイマT1が動作中であるか否か判定し、動作中の場合にはステップS113に進み、非動作中の場合は、ステップS119へ進む。
【0068】
さらに、ステップS113では、OFF時タイマT1がタイムアップしたか否か判定し、タイムアップした場合には、ステップS114に進んで、方向検出スイッチ2a〜2dの「現在状態」から方向判定を行い、さらに、続くステップS115で、OFF時タイマT1を停止させるとともに、カウントをクリアする。
【0069】
一方、ステップS113において、OFF時タイマT1がタイムアップしていない場合には、ステップS116に進み、方向検出スイッチ2a〜2dの「現在状態」が、全OFFであるか否か判定し、全OFFの場合にはステップS117に進み、全OFF以外の場合には、1回の操作方向判定処理を終了する。
【0070】
ステップS117では、方向検出スイッチ2a〜2dの「現在状態」に基づいて操作方向の判定を行い、続くステップS118において、OFF時タイマT1を停止させるとともに、カウントをクリアする。
【0071】
ステップS112において、OFF時タイマT1の非動作中である場合に進むステップS119では、方向検出スイッチ2a〜2dの「現在状態」に基づいて、操作方向の判定を行う。
【0072】
なお、以上の処理により操作ノブ10の操作方向が判定されると、図外のカーナビゲーション装置では、得られた操作方向判定に基づいて、画面上で地図のスクロールが成される。
【0073】
以下に、操作ノブ10を、a〜hの各方向へスライド操作する場合の動作を、図10のタイムチャートおよび図11の状態遷移図に基づいて説明する。なお、上述の図8,図9のフローチャートには表れていないが、方向検出スイッチ2a〜2dにおいて、ON、OFFの切り換わりが、設定時間未満のごく短時間実行された場合には、チャタリング防止のために無効とみなすようにしている。この設定時間は、数十msecであり、例えば、20msecとする。この無効とみなした切り換わりは、以下、無効スイッチングと称する。
【0074】
(操作ノブ10の中立時)
まず、操作ノブ10が、図1に示す中立位置に配置されているときには、操作ノブ10およびパッド35は、軸Z上に配置されている。
このとき、パッド35のスイッチ押圧筒354は、各方向検出スイッチ2a〜2dの接触子2pから離れており、方向検出スイッチ2a〜2dは、全てOFFとなっている。
【0075】
この場合、タイマ判定処理では、S1→S2→S3の順に処理が成され、両タイマT0,T1は、停止されている。
そして、操作方向判定処理では、ステップS101→S102→S105→S112→S119の順で処理が成される。よって、ステップS119の処理により、全方向検出スイッチ2a〜2dがOFFとなっていることから、「方向なし」と判定される。
したがって、図11の状態遷移図では、Aの「方向なし」と判定した状態にある。
【0076】
(操作ノブ10を方向検出スイッチ2a〜2dに重なる直方向であるa,b,c,dのいずれかの方向にスライドさせた場合)
操作ノブ10を、中立位置から各方向検出スイッチ2a〜2dに径方向に重なる直方向であるa,b,c,dのいずれかの方向にスライドさせた場合の動作を、上方向aへスライドさせた場合を例に挙げて説明する。
【0077】
この場合、操作ノブ10の上方向aのスライド操作に伴い、パッド35が操作ノブ10と一体的に上方向aへスライドする。
これに伴い、パッド35のスイッチ押圧筒354が上方向aに設置された方向検出スイッチ2aの接触子2pを押し込み、4つの方向検出スイッチ2a〜2dのうちの1個の方向検出スイッチ2aのみがONとなり、すなわち、方向検出スイッチ2a〜2dが全てOFFの状態から上方向aの方向検出スイッチ2aのみがONとなった状態に変化する。また、この時点では、操作方向は、前回の処理で判定された操作方向が現在の操作方向であって、「方向なし」と判定されている。
【0078】
この場合、図8に示すタイマ設定処理では、ステップS1→S2→S3→S5→S6→S7の順に処理が成され、ON時タイマT0のカウントが開始される。
【0079】
そして、図9に示す操作方向判定処理では、S101→S102→S105→S106→S109→ENDの処理流れとなり、この時点は、操作方向判定が実行されずにON時遅延処理が成される。
したがって、図11の状態遷移図では、Bの状態、すなわち「ON待ち(ON時遅延処理)」状態となる。なお、上述の方向検出スイッチ2a〜2dの1個のみのONが無効スイッチングである場合には、Bの状態に移行せずに、Aの状態を繰り返す。
【0080】
上述のBの状態におけるON時遅延処理は、ON時タイマT0がタイムアップするか、方向検出スイッチ2a〜2dの全てがOFFとなるまで実行される。
そして、ON時タイマT0がタイムアップすると、S101→S102→S105→S106→S107→S108の処理が順に成される。したがって、ステップS107の処理により、方向検出スイッチ2a〜2dの「現在状態」から操作方向判定が実行される。この例の場合には、上方向aの方向検出スイッチ2aのみがONとなっていることから、操作方向は、上方向aと判定される。そして、ステップS108の処理に基づいて、ON時タイマT0は停止されるとともに、カウント値がクリアされる。
したがって、図11の状態遷移図では、Bの状態からCの状態、すなわち、操作方向が上方向a,下方向b,左方向c,右方向dのいずれかの「直方向」と判定された状態へ移行される。
【0081】
また、Bの状態において、ON時タイマT0がタイムアップされる前に操作ノブ10が中立位置に戻されて、方向検出スイッチ2a〜2dの全てがOFFとなった場合には、S101→S102→S105→S106→S109→S110→S111の処理が順に成され、方向検出スイッチ2a〜2dの「前回状態」(この例の場合には、方向検出スイッチ2aのみがON)に基づく操作方向判定が実行される。
したがって、この場合も、図11の状態遷移図では、Bの状態からCの状態へ移行される。
【0082】
なお、操作ノブ10を外径方向へスライド操作した際には、パッド35のXY平面方向のスライドにより、センタピン34が凹部351aの傾斜面に押され、スプリング33を短縮させながら、後方へ変位する。
【0083】
このスプリング33の短縮に伴って、パッド35に対するセンタピン34の押圧力が増大し、操作ノブ10のスライド量が大きくなるにつれて節度感が大きくなる。
【0084】
(操作ノブ10を、直方向(a,b,c,dの方向)から中立位置へ戻す場合)
上述のように操作ノブ10を上方向aへスライドさせた状態からスライド操作力を取り除くと、スプリング33が復元し、センタピン34がパッド35を軸Z方向に押圧することで、パッド35ならびに操作ノブ10が中立位置に戻される。
この操作ノブ10の動きにより、上方向検出スイッチ2a〜2dは、上方向aの方向検出スイッチ2aのみがONとなった状態から、全てがOFFの状態へ変化する。
【0085】
この場合、図8のフローチャートに示すタイマ設定処理では、ステップS1→S2→S3→S5→ENDとなり、両タイマT0,T1は、共にはセットされない。
【0086】
一方、図9に示す操作方向判定処理では、S101→S102→S105→S112→S119の処理流れとなり、現在状態から方向判定が行われ、この例の場合には、全ての方向検出スイッチ2a〜2dが全てOFFとなっていることから、「方向なし」と判定される。
したがって、図11の状態遷移図では、Cの状態からAの状態へ移行する。
【0087】
(操作ノブ10を中間位置へ操作時)
操作ノブ10を、中立位置から、4つの方向検出スイッチ2a〜2dの中間位置、すなわち、e,f,g,hのいずれかの方向へスライドさせた場合を、右上方向eにスライドさせた場合を例に挙げ説明する。
【0088】
この場合、操作ノブ10と一体的にスライドするパッド35は、スライド部材32のスライド溝322に沿って上方向aにスライドすると同時に、スライド部材32は、ベース31のスライド溝315に沿って、右方向dへスライドする。
【0089】
これに伴い、操作ノブ10およびパッド35が、右上方向eへスライドし、パッド35のスイッチ押圧筒354は、上方向aに設置された方向検出スイッチ2aと右方向dに設置された方向検出スイッチ2dとの接触子2pをそれぞれ押し込んで、両スイッチ2a,2dがONとなる。
この場合、両方向検出スイッチ2a,2dが同時にONとなることはまれであり、両者がONとなるのに時差が生じる。
そこで、以下の説明では、図10のタイムチャートに示すように、全ての方向検出スイッチ2a〜2dがOFFの状態から、まず、t1の時点で上方向aの方向検出スイッチ2aがONに切り換わり、その後、t2の時点で右方向dの方向検出スイッチ2dがONに切り換わった場合を例に挙げ説明する。
【0090】
この場合、図8に示すタイマ設定処理では、t1の時点で、ステップS1→S2→S3→S5→S6→S7の処理が順に成される。したがって、ステップS7の処理に基づきON時タイマT0のカウントが開始される。
【0091】
そこで、図9に示す操作方向判定処理では、S101→S102→S105→S106→S109→ENDの処理流れとなり、方向検出スイッチ2aがONに切り換わっても、操作方向判定が成されず、ON時遅延処理が実行される。
したがって、図11の状態遷移図では、Aの状態からBの状態へ移行される。
【0092】
この場合のON時遅延処理は、もう1個の方向検出スイッチ2dがONに切り換わるまで行われる。すなわち、ON時タイマT0のタイムアップ値は、図10に示すずれ時間Tz0よりも長く設定されており、ON時タイマT0のタイムアップ前の時点で方向検出スイッチ2dがONに切り換わる。
【0093】
そこで、図10に示す例においてt2の時点で、方向検出スイッチ2dがONに切り換わると、操作方向判定処理では、S101→S102→S103→S104の処理が順に成され、ステップS103において、操作方向判定が実行される。この場合には、2個の方向検出スイッチ2a,2dがONになっている「現在状態」に基づいて、操作方向が右上方向eと判定され、その後、ステップS104の処理により、ON時タイマT0が停止されるとともに、カウントがクリアされる。
したがって、この場合には、図11の状態遷移図では、Bの状態からDの状態、すなわち、操作方向が右上方向e,左上方向f,右下方向g,左下方向hのいずれかの「中間位置」と判定された状態へ移行する。
【0094】
なお、上述のように操作ノブ10を中間位置へ操作した際に、方向検出スイッチ2a〜2dの1個のみがONに切り換わった状態から、これとは異なる他の1個のみがONに切り換わった際には、タイマ設定処理では、S1→S2→S3→S5→S6→S8→S7の流れとなって、改めてON時タイマT0のセットおよびタイマカウントのスタートが成され、ON時遅延処理が行われる。
したがって、図11の状態遷移図では、Bの状態が繰り返される。
【0095】
(操作ノブ10を中間位置からから中立位置へ戻す場合)
上述のように操作ノブ10を右上方向eへスライドさせた状態からスライド操作力を取り除くと、スプリング33が復元し、パッド35ならびに操作ノブ10が中立位置に戻される。この操作ノブ10の動きにより、両方向検出スイッチ2a,2dが共にOFFに切り換わり、全方向検出スイッチ2a〜2dがOFFとなるが、このとき、図10に示すように、t3の時点で方向検出スイッチ2dがOFFに切り換わり、その後、t4の時点で方向検出スイッチ2aがOFFに切り換わった場合について説明する。
【0096】
この場合、操作ノブ10を中立位置へ戻す前の時点では、操作方向判定は「右上方向」と判定され、2個の方向検出スイッチ2a,2dがONとなっている。また、図11の状態遷移図では、Dの状態となっている。
この状態から、方向検出スイッチ2dがOFFに切り換わった時点で、タイマ設定処理では、ステップS1→S2→S3→S5→S6→S8→S9→S10の順で処理が成され、ステップS10の処理により、OFF時タイマT1がセットされて、タイマカウントがスタートされる。
【0097】
そこで、図9に示す操作方向判定処理では、S101→S102→S105→S112→S113→S116→ENDとなり、操作方向判定を遅延させるOFF時遅延処理が実行される。よって、図11の状態遷移図では、Eの状態、すなわち、「OFF待ち(OFF時遅延処理)」状態へ移行する。
OFF時遅延処理は、全方向検出スイッチ2a〜2dがOFFとなるか、OFF時タイマT1がタイムアップされるか、方向検出スイッチ2a〜2dの現在と異なる1個がONとなるか、有効な2個がONとなるまで実行される。
【0098】
まず、全方向検出スイッチ2a〜2dがOFFとなった場合、すなわち、操作ノブ10を中間位置から中立位置へ戻した場合を説明する。この場合には、図10のタイムチャートに示すように、方向検出スイッチ2aがOFFに切り換わったt4の時点では、OFF時タイマT1がカウント中であることから、S101→S102→S105→S112→S113→S116→S117→S118の処理が順に成される。したがって、ステップS117の操作方向判定により、「現在状態」=全方向検出スイッチ2a〜2dOFFに基づいて、「方向なし」の判定が成され、かつ、ステップS118の処理に基づいてOFF時タイマT1が停止され、カウントがクリアされる。
【0099】
次に、OFF時タイマT1がタイムアップされた場合について説明する。この場合というのは、操作ノブ10を中間位置から、この中間位置に隣り合う直方向へ操作した場合であって、このときには、S101→S102→S105→S112→S113→S114→S115の処理が順に成され、方向検出スイッチ2a〜2dの「現在状態」すなわち、1個のみONに基づいて、操作方向判定が成される。
【0100】
また、方向検出スイッチ2a〜2dの現在と異なる1個がONとなるか、有効な2個がONとなる場合というのは、操作ノブ10を、ある中間位置から、この中間位置とは隣り合わない直方向あるいは、他の中間位置へ操作した場合である。
【0101】
ここで、前者の方向検出スイッチ2a〜2dの現在と異なる1個がONとなった場合には、図11の状態遷移図において、Eの状態からBの状態に移行されて、ON時遅延処理が実行される。すなわち、タイマ設定処理では、S1→S2→S3→S5→S6→S8→S7の処理に基づいて、ON時タイマT0がスタートされる。また、これに応じて、操作方向判定処理では、S101→S102→S105→S106→S109→ENDの処理となって、操作方向判定が行われない。
【0102】
一方、後者の有効な2個がONとなった場合には、図11の状態遷移図において、Eの状態からDの状態に移行される。すなわち、タイマ設定処理では、S1→S2→S3→S5→ENDにより両タイマT0,T1がスタートされることはない。そして、操作方向判定処理では、S101→S102→S103の処理が成され、現在の方向検出スイッチ2a〜2dのON,OFF状態に基づいて、操作方向判定が成される。
【0103】
以上説明したように、本実施例1では、制御回路100では、操作ノブ10を中立位置から中間位置方向へスライド操作した場合に、複数の方向検出スイッチ2a〜2dの1個のみがONとなった時点では、ON時タイマT0のカウントをスタートさせ、方向判定処理を遅延させる。そして、方向検出スイッチ2a〜2dの2個目がONとなった時点で、操作方向判定を行うようにした。
したがって、従来のように、操作ノブ10を中間位置へスライド操作した際に、方向検出スイッチ2a〜2dの1個のみがONになることに対応した処理が成されることがなくなり、使用者の操作意図と異なる方向判定が成されることを防止できる。
【0104】
すなわち、図10に示すタイムチャートに示すように、操作ノブ10を右上方向eにスライド操作した場合に、従来では、方向検出スイッチ2aがONに切り換わった時点t1で、操作方向を上方向aと判定され、その後、2個目の方向検出スイッチ2dがONとなった時点t2で、右上方向eと判定されていた。
それに対し、本実施例1では、方向検出スイッチ2aがONとなった時点t1では、操作方向判定が成されず、2個目の方向検出スイッチ2dがONとなった時点t2で、操作方向判定が行なわれ、使用者の意図に反する操作方向判定を回避できる。
【0105】
しかも、操作ノブ10を直方向へスライド操作して方向検出スイッチ2a〜2dの1個のみのがONとなっている場合、上述のON時遅延処理は、ON時タイマT0のタイムアップ時点で終了して操作方向判定を実行するため、方向検出スイッチ2a〜2dの2個目がONとならない直方向への操作時でも、正確な操作方向判定が可能であり、使用者の意図に反する操作方向判定が生じることもない。
加えて、このON時タイマT0のカウント時間は、多数のサンプルに基づいて設定しており、数十〜数百msecの短時間に設定しているため、このON時遅延処理による操作方向判定遅れが、使用者に違和感を与えることがない。
【0106】
同様に、本実施例1では、操作ノブ10を、方向検出スイッチ2a〜2dがONとなる中間位置から中立位置へ戻す際にも、方向検出スイッチ2a〜2dの1個のみがOFFに切り換わると、OFF時タイマT1をカウントさせて、方向検出スイッチ2a〜2dの1個がOFFに切り換わったことに対応した、使用者の意図に反した操作方向判定が実行されるのを防止できるようにした。
【0107】
しかも、操作ノブ10を直方向へスライド操作した状態から中立位置へ戻す場合は、上述のOFF時遅延処理は実行されず、方向検出スイッチ2a〜2dの1個のみがONからOFFに切り換わった時点で、操作方向判定が行われ、使用者の意図に反する操作方向判定が生じることがない。
【0108】
さらに、本実施例1では、上述のような使用者の意図に反する方向判定防止を、制御回路100における制御で行うようにしたため、スイッチ本体1としては、従来と同じものを使用でき、低コストで上述の効果を得ることができる。
【0109】
加えて、実施例1では、操作ノブ10を中間位置へ操作した場合に、方向検出スイッチ2a〜2dの2個がONとなった後に、操作方向判定を行うため、従来と比較すると、方向検出スイッチ2a〜2dの軸Zに対する径方向の位置精度を低くしても誤判定が生じることがなく、組付性の向上が可能であり、かつ、方向検出スイッチ2a〜2dの位置を軸Zに近付けるとともに、フルストローク量を小さくして、作動応答性を高めることも可能となる。
【0110】
(他の実施例)
以下に、他の実施例について説明する。
なお、これら他の実施例を説明するのにあたり、実施例1と共通する構成には同じ符号を付けて説明を省略する。また、作用効果についても、実施例1と同様のものは、説明を省略する。
【実施例2】
【0111】
次に、実施例2の多方向操作スイッチ装置について、図12に基づいて説明する。
この実施例2の多方向操作スイッチ装置は、制御回路100がダイヤルキャンセル処理を実行するようにした例である。すなわち、操作ノブ10を、XY平面方向へスライドさせた際に、そのスライド方向に押す力で、使用者の意図に反して、把持部421が回転する場合がある。このダイヤルキャンセル処理は、このような使用者の意図に反した把持部421の回転が生じてダイヤルスイッチ382から信号が出力されても、その信号に応じた処理が成されないようにこれをキャンセルする処理である。
【0112】
このダイヤルキャンセル処理の流れを示すのが図12のフローチャートであって、ステップS301では、現在状態が「方向なし」であるか否か判定し、「方向なし」以外は、ステップ303に進んで、ダイヤルスイッチ382の信号をキャンセルするダイヤルキャンセル処理を実行する。
【0113】
また、ステップS302では、ON時タイマT0とOFF時タイマT1のいずれかがカウント中であるか否か判定し、カウント中であれば、ステップS303に進んで、ダイヤルキャンセル処理を行う。
【0114】
したがって、操作ノブ10をスライド操作し、方向検出スイッチ2a〜2dのいずれか1個がONとなると、その時点からダイヤルスイッチ382の信号がキャンセルされる。そして、このキャンセルは、全方向検出スイッチ2a〜2dがOFFとなるか、両タイマT0,T1が停止されるまで成される。すなわち、図10のタイムチャートでは、t1の時点からt5の時点までダイヤルスイッチ382の信号がキャンセルされる。
これにより、図11の状態遷移図では、B,C,D,Eの状態で、ダイヤルスイッチ382の信号がキャンセルされる。
【0115】
よって、操作ノブ10をスライドさせて、地図のスクロールを行っている際に、使用者の意図に反してダイヤル42が回転されても、ダイヤルスイッチ382の出力に対する応答がキャンセルされ、乗員に違和感を与えることを防止できる。
【0116】
以上、図面を参照して、本発明の実施の形態および実施例1,2を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態および実施例1,2に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0117】
例えば、実施例1,2では、多方向操作スイッチとして、方向検出スイッチ2a〜2dの他に、ダイヤルスイッチ382と押圧スイッチ383とを備えたものを示したが、これに限定されるものではなく、少なくとも複数の方向検出スイッチを備えていればよい。
【0118】
また、実施例1,2では、軸Zの直交方向へ変位可能な操作ノブとして、第1基板20に対してYX平面方向にスライド可能に支持された操作ノブ10を示したが、この軸Zに直交方向への変位は、XY平面方向へスライドするものに限らず、第1基板20上の支持点を中心に、傾動可能に支持されたものを用いてもよい。
【0119】
また、実施例1,2では、方向検出スイッチとして、軸Zの周囲の4箇所に設置したものを示したが、これに限定されず、軸Zの周囲に3以上の複数個が周方向に等間隔に設置されていればよい。例えば、3個設置の場合には、6方向を判定可能であり、5個設置の場合には、10方向判定可能である。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】本発明最良の実施の形態の実施例1の多方向操作スイッチ装置を示す断面図である。
【図2】実施例1の多方向操作スイッチ装置の操作ノブ10を軸Zの直交方向へスライドさせた状態を示す断面図である。
【図3】実施例1の多方向操作スイッチ装置を示す斜視図である。
【図4】実施例1の多方向操作スイッチ装置の方向検出スイッチ2a〜2dの配置を示す説明図である。
【図5】実施例1の多方向操作スイッチ装置を示す分解斜視図である。
【図6】実施例1の多方向操作スイッチ装置の制御回路100を示す回路説明図である。
【図7】実施例1の多方向操作スイッチ装置の方向判定特性図である。
【図8】実施例1の多方向操作スイッチ装置におけるタイマ設定処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】実施例1の多方向操作スイッチ装置における方向判定処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】実施例1の多方向操作スイッチ装置における操作ノブ10のスライド時の作動例を示すタイムチャートである。
【図11】実施例1ならびに実施例2の多方向操作スイッチ装置の状態遷移を示す状態遷移図である。
【図12】実施例2の多方向操作スイッチ装置におけるダイヤルキャンセル処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0121】
2a 方向検出スイッチ
2b 方向検出スイッチ
2a 方向検出スイッチ
2c 方向検出スイッチ
2d 方向検出スイッチ
10 操作ノブ
20 第1基板
100 制御回路(方向判定装置)
382 ダイヤルスイッチ
T0 ON時タイマ(外径方向操作時遅延タイマ)
T1 OFF時タイマ(戻し操作時遅延タイマ)
Tup0 タイムアップ時間
Tup1 タイムアップ時間
Tz0 ずれ時間
Tz1 ずれ時間
Z 軸
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に直交する軸に沿って延在され、前記軸に直交する平面方向に変位可能に前記基板に支持された操作ノブと、
前記軸を囲む複数個所に設置され、前記操作ノブの変位方向に応じてON,OFFが切り換わるよう配置された方向検出スイッチと、
前記方向検出スイッチのON,OFF状態に基づいて前記操作ノブの操作方向を判定する方向判定装置と、
を備え、
前記方向判定装置は、前記方向検出スイッチの1個の切り換わりを検出すると、遅延タイマのカウントを開始し、前記方向判定の実行を、前記遅延タイマのカウント中における2個目の前記方向検出スイッチの切り換わり時か、前記遅延タイマのカウント値が設定値となるタイムアップ時まで遅延させる遅延処理を実行することを特徴とする多方向操作スイッチ装置。
【請求項2】
前記遅延タイマのカウント時間は、前記操作ノブを操作した使用者が、前記操作ノブの操作を行ってから前記方向判定が開始されるまでの遅れに違和感を与えない時間に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の多方向操作スイッチ装置。
【請求項3】
前記遅延タイマとして、前記操作ノブを中立位置から前記平面方向へ変位させた外径方向操作時にカウントを開始する外径方向操作時遅延タイマを備え、
この外径方向操作時遅延タイマのタイムアップとなるまでのカウント時間は、前記操作ノブの前記外径方向操作時に、周方向で隣り合う前記2個の方向検出スイッチの中間位置方向へ変位させた際に想定される前記2個の方向検出スイッチの切り換わりタイミングのずれ量よりも長い時間に設定されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の多方向操作スイッチ装置。
【請求項4】
前記遅延タイマとして、前記操作ノブを外径方向操作位置から前記中立位置へ変位させた戻し操作時にカウントを開始する戻し操作時遅延タイマを備え、
この戻し操作時遅延タイマのタイムアップとなるまでのカウント時間は、前記操作ノブを、前記中間位置から前記中立位置へ変位させた際に想定される前記2個の方向検出スイッチの切り換わりタイミングのずれ量よりも長い時間に設定されていることを特徴ことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の多方向操作スイッチ装置。
【請求項5】
前記遅延タイマのカウント時間が、数十msec〜数百msecの範囲内に設定されていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の多方向操作スイッチ装置。
【請求項1】
基板に直交する軸に沿って延在され、前記軸に直交する平面方向に変位可能に前記基板に支持された操作ノブと、
前記軸を囲む複数個所に設置され、前記操作ノブの変位方向に応じてON,OFFが切り換わるよう配置された方向検出スイッチと、
前記方向検出スイッチのON,OFF状態に基づいて前記操作ノブの操作方向を判定する方向判定装置と、
を備え、
前記方向判定装置は、前記方向検出スイッチの1個の切り換わりを検出すると、遅延タイマのカウントを開始し、前記方向判定の実行を、前記遅延タイマのカウント中における2個目の前記方向検出スイッチの切り換わり時か、前記遅延タイマのカウント値が設定値となるタイムアップ時まで遅延させる遅延処理を実行することを特徴とする多方向操作スイッチ装置。
【請求項2】
前記遅延タイマのカウント時間は、前記操作ノブを操作した使用者が、前記操作ノブの操作を行ってから前記方向判定が開始されるまでの遅れに違和感を与えない時間に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の多方向操作スイッチ装置。
【請求項3】
前記遅延タイマとして、前記操作ノブを中立位置から前記平面方向へ変位させた外径方向操作時にカウントを開始する外径方向操作時遅延タイマを備え、
この外径方向操作時遅延タイマのタイムアップとなるまでのカウント時間は、前記操作ノブの前記外径方向操作時に、周方向で隣り合う前記2個の方向検出スイッチの中間位置方向へ変位させた際に想定される前記2個の方向検出スイッチの切り換わりタイミングのずれ量よりも長い時間に設定されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の多方向操作スイッチ装置。
【請求項4】
前記遅延タイマとして、前記操作ノブを外径方向操作位置から前記中立位置へ変位させた戻し操作時にカウントを開始する戻し操作時遅延タイマを備え、
この戻し操作時遅延タイマのタイムアップとなるまでのカウント時間は、前記操作ノブを、前記中間位置から前記中立位置へ変位させた際に想定される前記2個の方向検出スイッチの切り換わりタイミングのずれ量よりも長い時間に設定されていることを特徴ことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の多方向操作スイッチ装置。
【請求項5】
前記遅延タイマのカウント時間が、数十msec〜数百msecの範囲内に設定されていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の多方向操作スイッチ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−301861(P2009−301861A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−154894(P2008−154894)
【出願日】平成20年6月13日(2008.6.13)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月13日(2008.6.13)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】
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