説明

多方弁装置

本発明は、特に家庭用器具用の、中空体(11)とこの中空体の内部に取り付けられた軸方向可動ピストン(12)とを備える多方弁装置に関する。中空体(11)には、液体溶媒用の少なくとも1つの入口オリフィス(15)とこの溶媒用の少なくとも2つの出口オリフィス(16、17)とが設けられる。可動ピストン(12)は、固体物質の線形計量要素(30)の軸方向可動計量ステム(31)に連結されていて、この計量ステム(31)は、機械式アクチュエータ(32)によって駆動され、復帰ばね(35)に関連付けられる。この可動ピストン(12)は、入口オリフィス(15)においてこの可動ピストン(12)に加えられた液体溶媒の圧力の影響を受けて、自由に、もしくは復帰ばね(35)の圧力に逆らって一方向に移動し、かつ復帰ばね(35)によって計量ステム(31)に加えられた圧力の影響を受けて逆方向に移動するように配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中空体と上記中空体の内部に取り付けられた軸方向可動ピストンとを有する多方弁装置(multi−way valve device)に関し、この中空体は、液体溶媒用の少なくとも1つの入口オリフィスとこの溶媒用の少なくとも2つの出口オリフィスとを備える。
【背景技術】
【0002】
多くの応用例では、産業用と家庭用の両方の自動化機器は、例えば微粒(granules)、粉末(powders)、粒(grains)、凝集粒子(aggregated particles)または類似要素の形をとる固体物質と1つ以上の溶媒とをベースとする溶液を調製するように設計されている。この調製では、通常、一方では固体物質を重量で計量することもあり、より頻繁には体積で計量し、次いで、他方では適切な溶媒をやはり重量で、より一般的には体積で計量し、最後に、その固体物質と溶媒を、混合物を調製するために様々な成分を受容するための容器に運ぶ必要がある。
【0003】
工業生産設備では、固体物質の計量要素(measuring elements)は通常、シリンダによって、電磁石のプランジャコアによって、または直線もしくは回転駆動モータによって、あるいは他の公知のアクチュエータによって駆動される可動部材を備える。この種の設備では、液体溶媒は、通常はポンピングによって移され、液体溶媒の計量は、所定の期間にわたって流れの調節およびポンプの作動によって行われる。様々な温度または圧力条件での1つ以上の溶媒あるいは同一の溶媒が容器へ運搬されることは、独立制御される多方弁によって行われる。これらの重々しい工業設備では、これらの機器、固体成分計量要素、液体溶媒ポンプおよび多方弁のそれぞれが、それ自体の電動式駆動システムを備えているのは明らかである。コスト低減およびスペース削減に対する要求を追求することは、通常、設計者の主要な関心事ではない。効率、生産性および信頼性が優先事項として追及される。
【0004】
一方、屋内機器、特に消費財、例えば家庭用器具では、多機能機器の製造コストが、製造業者の主要な関心事である。機器が、固体物質を計量し、液体を計量し、かつこれらの液体をいくつかの経路を有する弁を通じて運ばなければならないとき、上記機能を担う構成要素にそれぞれ属する様々な可動部材を動かすことができる機械化アクチュエータを備える必要がある。これらのアクチュエータは、比較的高価であり、独立している場合には上記機器のコストを大幅に増大させる。液体溶媒を運ぶためのポンプには、必然的に電動機が設けられる。固体物質の計量要素は、ソレノイドの端子に電圧が印加されたときにプランジャコアがソレノイド内に吸引されるリニアアクチュエータを備えることが多い。多方弁は、通常、ピストンを一方向また逆方向に移動させるソレノイドを備える。ソレノイドは、特に高価であり、多機能機器の総価格を大幅に増大させ、多機能機器の組立てを複雑にし、かつ多機能機器の空間要求を増大させる。
【0005】
さらに、微粒、粉末、粒などの固体物質を溶解させることによる溶媒の調製は、固体と溶媒とを異なるステップで特定の順序で導入することを要求し、あるいは異なる種類の溶媒の順次の使用を要求することがある。これは、特に、脱水粉末をベースとする飲料を調製する分野でのケースであり、最初に第1の溶媒量を粉末と混合することができ、その後、テクスチャ効果(texture effect)、例えば泡を生成するために第2の溶媒量を第1の混合物中に入れて、希釈を完了させることができる。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、これらの欠点を、溶媒を所定の温度および圧力の状態で送出するための多方弁装置を、この溶媒中への可溶性生成物を計量するための装置と組み合わせて製造することにより軽減することを提案するものであり、上記多方弁装置は、信頼性があり、構成し使用するのが経済的であり、かつ製作し維持するのが容易である。
【0007】
この目的は、中空体と上記中空体の内部に取り付けられた軸方向可動ピストンとを有し、この中空体が液体溶媒の入口用の少なくとも1つのオリフィスとこの溶媒用の少なくとも2つの出口オリフィスとを備える多方弁装置によって達成され、この装置は、上記可動ピストンが、特に粒、微粒、粉末または類似の粒子に分割された粒子から構成される固体物質の線形計量要素の軸方向移動計量ステムに連結されており、この計量ステムが、機械式アクチュエータによって駆動され、かつ、復帰ばねに結合されており、上記可動ピストンが、上記入口オリフィスにおいてこの可動ピストンに負荷された上記液体溶媒の圧力の影響を受けて、自由にもしくは上記復帰ばねの圧力に逆らって一方向に移動し、上記復帰ばねによって上記計量ステムに負荷された圧力の影響を受けて逆方向に移動するように、配置されることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、入口オリフィスおよび2つの出口オリフィスは、通常、すべてが分離している。計量ステムの移動は、可動ピストンと機械式アクチュエータの両方によって制御される。というのは、これらの2つの移動手段が分離しているからである。
【0009】
装置の好ましい一実施形態では、上記可動ピストンは、ピストンヘッドおよびピストンステムを備え、上記ピストンヘッドには、上記入口オリフィスのうちの少なくとも1つと上記出口オリフィスのうちの少なくとも1つとを上記可動ピストンの決定位置で連通させるために配置された少なくとも1つの内部流路が設けられる。
【0010】
別の実施形態では、上記可動ピストンは、ピストンヘッドおよびピストンステムを備え、上記ピストンヘッドは、第1の入口オリフィスと上記出口オリフィスのうちの少なくとも1つとを上記可動ピストンの決定位置で連通させるために配置された第1の内部流路と、少なくとも1つの第2の入口オリフィスと上記出口オリフィスのうちの少なくとも1つとを上記可動ピストンの別の決定位置で連通させるために配置された第2の内部流路と、を備える。
【0011】
特に有利な様態では、上記計量ステムは、上記固体物質を貯留するための少なくとも1つの貯留器を支持する中空シース内で摺動するために配置され、この少なくとも1つの貯留器は上記シース内に現れる出口開口部を有し、この計量ステムは少なくとも1つの周囲溝を備え、この少なくとも1つの周囲溝は、上記計量ステムが移動してこの周囲溝が貯留器の上記出口開口部に対向して位置したときに上記固体物質の1回計量分(single measure)を受容するために配置される。
【0012】
上記シースは、上記計量ステムが決定位置にあるときにガスが通過できるようにするために配置された少なくとも1つの貫通開口部を備えることが好ましい。
【0013】
固体物質の正確な計量を確実に行うために、上記計量ステムは、軸方向にずらされた少なくとも2つの周囲溝を備えることができ、2つの周囲溝を隔てる距離は、貯留器の上記出口開口部と上記シースの上記貫通開口部とを隔てる距離に実質的に等しい。
【0014】
有利には、上記計量ステムは、機械式アクチュエータのプランジャコアに連結され、上記復帰ばね用のベアリングカラーを備える。
【0015】
中空体は、好ましくは中空体の両端部の一方で閉鎖端部片(closure end−piece)によって閉鎖され、ピストンヘッドの長さは、上記ピストンヘッドが上記閉鎖端部片を押し付けているときに、上記第1の流路が第2の出口オリフィス内に現れるような長さである。
【0016】
別の実施形態によれば、ピストンヘッドの長さは、上記ピストンヘッドが上記閉鎖端部片を押し付けているときに、上記第2の流路が第2の出口オリフィス内に現れるような長さであってもよい。
【0017】
有利には、可動ピストン、計量ステムおよびプランジャコアは、同軸上に設置されている。
【0018】
特に有利な様態では、計量ステムおよびプランジャコアは、一部品で作製されている。
【0019】
本発明および本発明の利点は、指標として、かつ非限定的に与える添付図面を参照しながら本発明の装置の好ましい実施形態の詳細な説明を読んだときに、より良く理解される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の装置の第1の実施形態を第1の動作状態で示す概略断面図である。
【図2】本発明の装置の第1の実施形態を第2の動作状態で示す概略断面図である。
【図3】本発明の装置の第1の実施形態を第3の動作状態で示す概略断面図である。
【図4】本発明の装置の第1の実施形態を第4の動作状態で示す概略断面図である。
【図5】本発明の装置の第2の実施形態を第1の動作状態で示す概略断面図である。
【図6】本発明の装置の第2の実施形態を第2の動作状態で示す概略断面図である。
【図7】本発明の装置の変形形態を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1を参照すると、多方弁装置10は、図示のように、好ましくは円筒形状の中空体11を備え、中空体11内では、ピストンヘッド13を備える可動ピストン12とピストンヘッド13に取り付けられたピストンステム14が軸方向に摺動することができる。この例示的な実施形態では、中空体11には、この中空体の一方の軸端内に配置された入口オリフィス15と中空体11の側壁に配置された2つの出口オリフィス16および17とが設けられる。上記ピストンヘッド13には、内部流路18が設けられ、内部流路18の役割は本明細書を通じてより詳細に記載されるが、この流路は、ピストン12の位置に応じて上記入口オリフィス15を一方の出口オリフィス16または他方の出口オリフィス17と連通させるために配置される。中空体は、ピストンステム14が軸方向移動時に通過するための中央開口部20が設けられた閉鎖端部片19も備える。Oリング21は、中央開口部20とピストンステム14の間の封止を可能にする。
【0022】
弁装置10はまた、機械式アクチュエータ32に連結された軸方向可動計量ステム31を備える線形計量要素30と復帰ばね35とを備え、機械式アクチュエータ32が好ましくは上記計量ステム31に連結されたプランジャコア34に作用する電磁石33を備える。計量ステム31は、シース36内に部分的に収容され、計量ステム31は、以下でより詳細に説明するように、特に機械式アクチュエータ32または装置の他の構成要素の作用を受けたときに摺動する。ホッパー37の形をとる貯留器が、固体物質38を収容するためにシース36上に取り付けられ、固体物質38は、分離した粒子、特に粒、凝集微粒、粉末または類似の粒子の形をとることができる。ホッパー37は、スリーブ36内に現れる、ホッパー37内に入れられた固体物質38用の出口開口部37aを備え、この出口開口部37aによりホッパー37の内部をシース36の内部と連通させることが可能になる。シース36は、以下で説明するように、空気の通過または固体物質38の通過あるいは空気と固体物質38の同時通過を可能にするために、実際には互いに対向して配置された2つの開口部、すなわち上部開口部39aおよび下部開口部39bを備える貫通開口部をさらに備える。出口開口部37aと貫通開口部39a、39bとの間の距離は、計量ステムの特定の部分の幾何形状に従って正確に決定される。
【0023】
示されている実施形態では、復帰ばね35は、プランジャコア34に同軸で取り付けられ、かつ一方で機械式アクチュエータ32の横側面40を押し、他方で上記プランジャコア34または上記計量ステム31に対して半径方向に配置された突出ベアリングカラー41を押すコイルばねである。この計量ステム31は、上記プランジャコア34と共に一部品で作製されかつプランジャコア34の軸延長部に配置されることが有利である。
【0024】
計量ステム31は、軸方向にずらされた2つの周囲溝42、43を備え、この周囲溝の役割については以下で説明する。以下の説明で明確になる理由により、2つの周囲溝42および43の間の距離は、ホッパー37の出口開口部37aをシース36の貫通開口部39a、39bから隔てる距離に実質的に等しい。
【0025】
プランジャコア34を備える機械式アクチュエータ32は、公知のタイプのものであり、機械式アクチュエータ32の電磁石33は、プランジャコア34を中央ハウジング45内で軸方向に移動させるように磁界を生成するために配置され、電気エネルギー源(図示せず)に接続された少なくとも1つのソレノイド44を備える。この移動は、計量ステム31を操作しかつ復帰ばね35を圧縮させる効果を有する。
【0026】
本発明の装置のこの実施形態の様々な動作順序について、図1〜4を参照しながら以下で詳細に説明する。
【0027】
図1は、初期段階における装置を示す。中空体11の端部に押し付けている可動ピストン12には、入口オリフィス15において溶媒(図示せず)によって圧力が加えられていない。機械式アクチュエータ32のソレノイド44は電力供給されず、したがって、プランジャコア34はハウジング45の中に吸引されず、計量ステム31は、計量ステム31をピストン12のピストンステム14の端部に押し付ける復帰ばね35の圧力を受けない。この位置では、ホッパー37は閉鎖されており、固体物質38がホッパー37の下部開口部37aから放出されることはない。出口オリフィス16および17は閉鎖され、したがって液体溶媒が出口オリフィス16および17から流れ出ることはない。しかし、周囲溝42は、シース36内に配置された貫通開口部39a、39bに対向して設置され、したがって、前もってホッパー37の中身から取り出されている一定量の固体物質38は、受容容器(図示せず)に自由に流れ込むことができる。固体物質の単回用量(the single dose of solid substance)を調製するための段階について、図3を参照しながら説明する。上部開口部39aは、矢印Aで示されているように、外気と、あるいはダクト(図示せず)を通って運ばれた加圧空気またはガスと連通する。この空気またはこのガスは、最初に固体物質38の1回計量分が入った周囲溝42を通過し、矢印Bで示されているように、下部開口部39bから放出される。周囲溝42に入れられた1回計量分の固体物質もまた、矢印Cに示されているように、下部開口部39bから放出される。
【0028】
図2は、第1の動作段階における装置を示す。従来のダクト(図示せず)を通って入口オリフィス15に運ばれた溶媒は、この入口オリフィス15に所定の圧力をかけ、それがピストン12に対する押圧力となる。この力は、復帰ばね35によって計量ステム31を介して加えられた力に対向しかつピストンを押す作用を有し、したがって、流路18が出口オリフィス16に対向して位置し、出口オリフィス16は溶媒源(図示せず)を受容容器(図示せず)と連通した状態にし、受容容器には出口オリフィス16から出て来る溶媒が所与の圧力および温度で流れ込む。所望の温度は、入口オリフィス15の上流にある従来の加熱または冷却手段(図示せず)によって得ることができる。圧力は、溶媒源と入口オリフィス15の間に設置された従来の供給ポンプ(図示せず)によって生成される。この状態では、装置10は、溶媒を所望の温度および圧力条件で送出する。一方、計量要素30は、依然として動作しないままである。というのは、計量ステム31は、部分的に押されてはいるが、周囲溝42がホッパー37の出口開口部の下に来るほど十分には移動していないからである。それにもかかわらず空気はこの溝の中を矢印AおよびBで示されているように通過することができ、これは図1に例示されている状態にも対応していることに留意されたい。
【0029】
図3は、装置の第3の状態に対応しており、固体物質38が計量される。最初に、溶媒の圧力は入口オリフィス15で緩和され、それによって、計量ステム31を用いてピストンステム14に対する復帰ばね35の軸方向圧力を発生させ、その結果、ピストン13のヘッドは、当接するまで押され、入口オリフィス15を閉鎖し、出口オリフィス16も閉鎖する。次に、ソレノイド44には、電力が供給され、プランジャコア34をハウジング45の中に吸引することによってプランジャコア34を始動させる。それによって復帰ばね35が圧縮され、復帰ばね35は、図1を参照して説明した順序で放出することができる機械エネルギーを蓄積する。それによって計量ステム31が引き出されるため、周囲溝42は、ホッパー37の出口開口部37aの下に位置付けられ、固体物質38で満たされる。この溝は、計量されるべき物質の体積、すなわちこの物質の1回計量分に対応する空洞を画成している。このシーケンスの終わりに1回計量分が取り出されるが、1回計量分は依然として周囲溝42内に閉じ込められたままである。空気またはガスは、矢印AおよびBで示されているように、シース36の貫通開口部39aおよび39bを通過し続ける。
【0030】
図4は、装置の第4の状態に対応しており、溶媒は、所定の温度および/または圧力条件下で、前の段階の間に出口オリフィス16から出て来た溶媒を計量ステム31によって取り出されかつシース36内に配置された下部開口部39bを通って放出された1回分の物質に加えることによって調製された溶液中に注入され、そのすべてが従来の手段によって容器(図示せず)に入れられる。この段階の間、計量ステム31は、図3に示されている前の段階の位置のままである。一方、溶媒は、ピストン12を押して閉鎖端部片19に当接する作用を有する入口オリフィス15に圧力をかけ、ピストンステム14の端部は、計量ステム31に対向して配置された端部に当接することになる。この位置では、流路18は入口オリフィス15を第2の出口オリフィス17と連通した状態にし、第1の出口オリフィス16が閉鎖される。混合物のより良い均質性を確保するために混合物の攪拌を行うことを目的とする噴流を発生させるために、溶媒の圧力を例えばより高くすることができ、出口は例えばより小さい断面をもつことができる。空気または加圧ガスは、貫通開口部39a、39bを通過し続ける。
【0031】
図5および6を参照すると、示されている多方弁装置10は、既述のように、好ましくは円筒形状の中空体11を備え、ピストン12はピストンヘッド13を含み、ピストンヘッド13に取り付けられたピストンステム14は軸方向に摺動することができる。これらの構成要素の形状および機能は、上述の実施形態のものと実質的に同じである。しかし、この実施形態では、上記ピストンヘッド13に、図1〜4のものと実質的に同じである第1の流路18と、以下で説明する機能をもつ第2の貫通流路18aとが付いている。第1の下部流路18は、第1の入口オリフィス15に連結された第1の溶媒源に連結されるように設計されており、この溶媒を異なる温度および圧力条件下で2つの出口オリフィス16および17に送出することができるが、第2の貫通流路18aは、第2の入口オリフィス15aに連結された第2の溶媒源に連結されるように設計されており、第2の溶媒を出口オリフィス17に送出することができる。したがって、示されている実施形態では、第2の流路18aが直線状であるため、第2の入口オリフィス15aは第2の出口オリフィス17に対向して配置されることに留意されたい。流路18aが別のプロファイルを有する場合、2つのオリフィス15aおよび17が異なって配置され得ることは明らかである。この実施形態は、非常に簡単な方法で2つの異なる溶媒を使用できるので、装置をより幅広い用途に適合させることを可能にする。
【0032】
図5は、図2によって示されている状態に対応しており、入口オリフィス15は出口オリフィス16と連通する。この実施形態では、第1の溶媒は、混合物の容器(図示せず)に入れられ得る。
【0033】
図6は、次のシーケンスに対応している。入口オリフィス15における第1の溶媒の圧力が増大し、それによって、復帰ばね35をさらに圧縮して、第2の貫通流路18aが入口オリフィス15aおよび出口オリフィス17と連結する位置にまで押されたピストン12に付加的な力を及ぼす。次いで、第2の溶媒が送出され得る。
【0034】
他の動作段階は、図1〜4を参照して説明した動作段階と実質的に同じである。
【0035】
図7は変形形態を示し、プランジャコア34aを備える機械式アクチュエータ32aの電磁石33aのソレノイド44aは、図1〜6で示されているソレノイド44の構造とは異なる構造に従って製造される。この例示的な実施形態では、ソレノイドは、独立してまたは同時に電力供給され得る2つのコイル51、52から構成される。この構造により、プランジャコア34aの移動を、したがってプランジャコア34aに取り付けられている計量ステム31の移動を、調節することが可能になる。この移動の振幅は、装置の応用に応じて負荷される力によって変えることができる。
【0036】
入口オリフィスの数、出口オリフィスの数、および好ましくは可動ピストンヘッド内に配置される流路の数は、限定されないことに留意されたい。ある応用例が複数の溶媒の使用を必要とする場合、入口の数は、結果として、例えば1つ以上の固体物質が付加されることになる溶媒の温度と圧力のパラメータによって変わる出口の数として適合される。また、固体物質に関して、ホッパーは、異なる物質または異なる状態の同じ物質が入る複数のホッパーで置き換えることができる。この場合、計量ステムは、結果として適合されるべきであり、かつ周囲溝の数は必要に応じて増やされるべきであることは明らかである。
【0037】
これらの変形例はすべて、本発明の分野から逸脱しない。というのは、これらの変形形態は、1つ以上の混合物を製造することを可能にする作動機構の数を削減することにある基本原理を適用していて、使用される力が、ピストンヘッドの表面に溶媒によって加えられた圧力によって生成される力まで、並びに電磁石を備える機械式アクチュエータによって圧縮状態にされた復帰ばねによって加えられた圧力によって生成される力までに低減されるからである。
【産業上の利用可能性】
【0038】
上述の装置は、微粒状に、粉末状に、または種々の凝集要素および類似要素の形に分離された粒子の形状をもつ固体物質と、水であってもよい少なくとも1つの溶媒との混合物、あるいは他の適切な物質を、自動的に作る器具における多くの応用例を見いだす。これらの器具は、家庭用タイプ、例えば、飲料を調整する機械や、乾燥微粒と溶媒または適切な溶媒との混合物とをベースとする塗料や洗剤のような家事の準備を可能にする機械とすることができる。これらの器具は、産業用タイプとすることもでき、上述の装置は、その機能が様々な製品の溶液を調製するプロセスを管理することにある設備に組み込まれ得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空体(11)と前記中空体(11)内に取り付けられた軸方向可動ピストン(12)とを備え、前記中空体(11)が、液体溶媒の入口用の少なくとも1つのオリフィスと前記溶媒用の少なくとも2つの出口オリフィス(16、17)とを備える多方弁装置であって、
前記可動ピストン(12)が、特に粒、微粒、粉末または類似の粒子に分割された粒子から構成される固体物質の線形計量要素の軸方向移動計量ステム(31)に連結されており、
前記計量ステム(31)が、機械式アクチュエータ(32、32a)によって駆動され、かつ、復帰ばね(35)に結合されており、
前記可動ピストン(12)が、前記入口オリフィス(15)において前記可動ピストン(12)に負荷された前記液体溶媒の圧力の影響を受けて、自由にもしくは前記復帰ばね(35)の圧力に逆らって一方向に移動し、前記復帰ばね(35)によって前記計量ステム(31)に負荷された圧力の影響を受けて逆方向に移動するように、配置されることを特徴とする、多方弁装置。
【請求項2】
前記可動ピストン(12)が、ピストンヘッド(13)およびピストンステム(14)とを備える弁装置において、
前記ピストンヘッド(13)には、少なくとも1つの入口オリフィス(15)と前記出口オリフィス(16、17)のうちの少なくとも1つとを前記可動ピストン(12)の決定位置で連通させるために配置された少なくとも1つの内部流路(18)が設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の弁装置。
【請求項3】
前記可動ピストン(12)が、ピストンヘッド(13)およびピストンステム(14)を備える弁装置において、
前記ピストンヘッド(13)が、
第1の入口オリフィス(15)と前記出口オリフィス(16または17)のうちの少なくとも1つとを前記可動ピストン(12)の決定位置で連通させるために配置された第1の内部流路(18)と、
少なくとも1つの第2の入口オリフィス(15a)と前記出口オリフィス(17)のうちの少なくとも1つとを前記可動ピストン(12)の別の決定位置で連通させるために配置された第2の内部流路(18a)と、
を備えることを特徴とする、請求項1に記載の弁装置。
【請求項4】
前記計量ステム(31)が、前記固体物質(38)を貯留するための少なくとも1つの貯留器(37)を支持する中空シース(36)内で摺動するために配置されており、
少なくとも1つの貯留器(37)が、前記シース(36)内に現れる出口開口部(37a)を有しており、
前記計量ステム(31)が、少なくとも1つの周囲溝(42)を含み、前記少なくとも1つの周囲溝(42)が、前記計量ステム(31)が移動して前記周囲溝(42)が前記出口開口部(37a)に対向して位置したときに、前記固体物質(38)の1回計量分を受容するために配置されることを特徴とする、請求項1に記載の弁装置。
【請求項5】
前記シース(36)が、前記計量ステム(31)が決定位置にあるときにガスが通過できるようにするために配置された少なくとも1つの貫通開口部(39a、39b)を備えることを特徴とする、請求項4に記載の弁装置。
【請求項6】
前記計量ステム(31)が、軸方向にずらされた少なくとも2つの周囲溝(42、43)を備え、前記2つの周囲溝(42、43)を隔てる距離が、前記貯留器の前記出口開口部(37a)と前記シース(36)の前記貫通開口部(39a、39b)とを隔てる距離に実質的に等しいことを特徴とする、請求項3および4に記載の弁装置。
【請求項7】
前記計量ステム(31)が、前記機械式アクチュエータ(32)のプランジャコア(34)に連結され、前記復帰ばね(35)用のベアリングカラー(41)を備えることを特徴とする、請求項1に記載の弁装置。
【請求項8】
前記中空体(11)が、前記中空体(11)の両端部の一方で閉鎖端部片(19)によって閉鎖される弁装置であって、前記ピストンヘッド(13)の長さが、前記ピストンヘッドが前記閉鎖端部片(19)を押し付けているときに、前記第1の流路(18)が前記第2の出口オリフィス(17)内に現れるような長さであることを特徴とする、請求項2に記載の弁装置。
【請求項9】
前記中空体(11)が、前記中空体(11)の両端部の一方で閉鎖端部片(19)により閉鎖されており、
前記ピストンヘッド(13)の長さが、前記ピストンヘッドが前記閉鎖端部片(19)を押し付けているときに、前記第2の流路(18a)が前記第2の出口オリフィス(17)内に現れるような長さであることを特徴とする、請求項3に記載の弁装置。
【請求項10】
前記可動ピストン(12)、前記計量ステム(31)および前記プランジャコア(34)が、同軸上に設置されていることを特徴とする、請求項1に記載の弁装置。
【請求項11】
前記計量ステム(31)および前記プランジャコア(34)が、一部品で作製されていることを特徴とする、請求項10に記載の弁装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2010−501812(P2010−501812A)
【公表日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−526018(P2009−526018)
【出願日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際出願番号】PCT/EP2007/058010
【国際公開番号】WO2008/025638
【国際公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】