説明

多機能スイッチ

【課題】多機能スイッチの操作感の向上を図る。
【解決手段】多機能スイッチ10は、操作可能な方向を複数有するキートップ11を備え、
該キートップ11に割り当てられた機能の内容に応じてキートップの可動な操作方向を操作方向変更部12によって変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の方向に操作可能な多機能スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車では、IT技術やカーナビ技術の進歩によって搭載される電子制御される機器、例えば、オーディオ、エアコンおよびカーナビゲーションなどの機能が増大する傾向にあり、これに伴って対応する操作パネル上の操作キーの数が増加している。
【0003】
一方、車室内で提供できる操作パネルの面積は限られており、限られた操作面積で複数の機能を操作する操作ディバイスが必要となってくる。また、操作性の観点から分散した配置よりは集中した配置の方が、目的とする操作スイッチを探し出し易くなる。
【0004】
このため、キートップを複数の方向に操作可能として、複数の機能を選択できる多機能スイッチが提案されている(例えば、特許文献1参照)。即ち、同文献に提案された多機能スイッチは、対向接点部を有する接点回路を形成したプリント基板にラバーシートを重設し、そのラバーシートにキートップ(多方向入力キー)を一体的に形成してある。そのキートップは操作部表面が溝部によって複数に分割されて、それぞれの分割部分を押圧することにより、それぞれに対応した可動接点が前記接点回路を閉じる構成である。
【0005】
つまり、複数の方向に傾倒可能なキートップと、そのキートップの傾倒に応じて押し下げ動作をする複数の検出ディバイスと、によってキートップを傾倒した方向に対応した電気信号を発生させる。このようにして、1つのキートップであっても広い操作面積を確保しつつ操作力を加える方向によって、単一のキーで複数の電気信号を発生させることができる。
【特許文献1】特開2000−276982号公報(第2頁、図2、4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、かかる従来の多機能スイッチでは、垂直方向を含めた他方向へのプッシュまたは傾倒操作が可能なキートップを操作することによって、傾倒方向に割り当てられた複数の機能を選択操作する構造となっている。このため、キートップは、常時、全ての方向への傾倒操作が可能となるため、例えば、キートップにオン・オフの機能のみを割り当てた場合であっても、キートップは他方向に傾倒可能であり、明確な操作感や操作結果のフィードバックが得難くなってしまう。
【0007】
そこで、本発明は、多機能スイッチの操作感の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、多機能スイッチにおいて、キートップに割り当てられた機能の内容に応じて前記キートップの可動な操作方向を変更する操作方向変更部を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、キートップに割り当てられた機能の内容に応じてキートップの可動な操作方向を操作方向変更部によって変更できることにより、多機能スイッチの操作感の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面と共に詳述する。
【0011】
(第1実施形態)
図1〜図6は、本発明の第1実施形態にかかる多機能スイッチを示し、図1は、外部機器制御装置の模式図、図2は、多機能スイッチの操作パネルを外した拡大平面図、図3は、図2中III−III線に沿った断面図、図4は、多機能スイッチの通常状態と通常状態操作時と操作方向変更後の操作時とを(a)〜(c)に示す図3に対応した断面図、図5は、外部機器がエアコン機器である場合の操作パネルの切り換え状態を(a)、(b)に示す説明図、図6は、外部機器がナビゲーションである場合の操作パネルの切り換え状態を(a)、(b)に示す説明図である。
【0012】
本実施形態の多機能スイッチは、自動車に搭載したオーディオ、エアコンおよびカーナビゲーションなどの外部機器の操作パネルに適用した場合を示す。
【0013】
図1に示すように、本実施形態が適用される外部機器制御装置1は、操作パネル2と多機能制御装置3を備え、多機能制御装置3から出力される制御信号により各外部機器4、4A、4B…の1つを操作するようになっている。
【0014】
操作パネル2には複数(本実施形態では6個)の多機能スイッチ10を設けてある。多機能制御装置3は、多機能スイッチ10の操作によって出力される電気信号が入力されるエンコーダ5と、所定の多機能スイッチ10が操作された信号が入力される処理回路6と、を備える。処理回路6では、予め決められた操作フローに従って次ぎの操作に必要な複数の操作選択肢を決定し、その操作選択肢の機能内容を表す画像信号を指示して画像発生回路7に送る。また、操作フローに従って、外部機器制御回路8に接続した上述の各外部機器4、4A、4B…の1つを制御する。
【0015】
多機能スイッチ10は、図2、図3に示すように、操作可能な方向を複数有するキートップ11を備え、該キートップ11の操作方向に応じて複数の機能のうちのある機能を選択することができるようになっている。そして、キートップ11に割り当てられた機能の内容に応じてキートップ11の操作方向を変更する操作方向変更部12を設けてある。
【0016】
キートップ11は、図2に示すように、配置部材である操作パネル2に配置される。詳しくは、キートップ11は、操作パネル2に形成した矩形状の開口部2aに裏側(図3中下側)からそれぞれ配置し、このキートップ11は、操作パネル2の裏側に結合したケース2Cによって覆ってある。
【0017】
多機能スイッチ10は、操作パネル2の開口部2aから操作面11sが外側に臨む矩形状のキートップ11と、このキートップ11の下面に結合してキートップ11の外周から所定量突出するフリンジ部11Fと、を備えている。そして、そのフリンジ部11Fの四隅を、バネ13とスイッチユニット14とによって操作パネル2とケース2Cとの間に支持してある。
【0018】
従って、キートップ11は、中央部を押し込んだ場合と、四隅部分を個々に押し込んだ場合とで、複数の方向に操作できるようになっている。また、上述した操作方向変更部12は、ケース2Cとフリンジ部11Fとの間に設けてある。
【0019】
多機能スイッチ10は、自然状態では図4(a)に示すように、バネ13とスイッチユニット14との釣合い関係によってキートップ11の操作面11sが操作パネル2とほぼ並行に開口部2aから突出している。そして、図4(b)に示すように、キートップ11の操作面11sの中央部を指(指以外でもよい)で全体的に押し込むと、キートップ11は操作パネル2に対してほぼ垂直方向に移動して、フリンジ部11Fの四隅のスイッチユニット14が均等に押し下げられる。すると、四隅のスイッチユニット14からほぼ同時に電気信号がコネクタ15を介して多機能制御装置3のエンコーダ5に送出される。
【0020】
操作方向変更部12は、図2、図3に示すように、キートップ11の対向辺の中央部に一対設けてあり、キートップ11の一部をケース2Cに対して解除可能に位置規制する位置規制部12K1と、この位置規制部12K1を作動する駆動部12D1と、を備えて構成してある。この操作方向変更部12は、位置規制部12K1の後述する第1の係合部である凹部12Kh1と第2の係合部であって出没部材としてのロッド12Kr1との係脱によってキートップ11の可動な操作方向を変更する。
【0021】
位置規制部12K1は、キートップ11の側面、詳細にはフリンジ部11Fの側面11Fsに形成した凹部12Kh1と、この凹部12Kh1に回転自在に嵌合するロッド12Kr1と、を備えて構成してある。
【0022】
駆動部12D1は、ロッド12Kr1の外側を囲繞する図示省略したソレノイドを備えており、このソレノイドが励磁されることによりロッド12Kr1をフリンジ部11F方向に突出させて、凹部12Kh1に係合させるようになっている。このとき、凹部12Kh1は半球状に凹設してある一方、ロッド12Kr1の先端部を半球状に形成してあり、ロッド12Kr1を凹部12Kh1に係合した状態では、対向した一対のロッド12Kr1を中心としてキートップ11がシーソー状に回動可能となる。勿論、前記ソレノイドを消磁することにより、図外の付勢部材によってロッド12Kr1が駆動部12D1内に没入して凹部12Kh1から離脱し、キートップ11の垂直方向の移動が可能となる。
【0023】
多機能スイッチ10には、上述したコネクタ15以外にもう1つのコネクタ16を設けてあり、多機能制御装置3のアクチュエータ制御回路9からの制御信号がコネクタ16を介して駆動部12D1に加えられると、前記ソレノイドを励磁してロッド12Kr1を突出させて凹部12Kh1に係合させるようになっている。
【0024】
この状態で、図4(c)に示すように、キートップ11を押し込むと、キートップ11はロッド12Kr1を中心にしてシーソー動作を行うことになる。その結果、フリンジ部11Fの四隅に配置した4つのスイッチユニット14のうち、操作方向変更部12を設けた2つの辺以外の2辺のいずれか一方の両端部に配置した2つのスイッチユニット14のみがオンとなる。そして、それら2つのスイッチユニット14からほぼ同時に電気信号がコネクタ15を介して多機能制御装置3のエンコーダ5に送出される。
【0025】
エンコーダ5は、4つのスイッチユニット14からのオン信号であるか、2つのスイッチユニット14からのオン信号であるかを判断して、それぞれ対応する信号を処理回路6に送る。
【0026】
また、キートップ11の操作面11sに、そのキートップ11に割り当てられた機能に応じた操作内容を表示する表示部17を設けてある。
【0027】
従って、多機能制御装置3では、処理回路6で決定した操作選択肢の機能内容を表す画像信号を、画像発生回路7を介して表示部17に送出して、その表示部17で表示するようになっている。
【0028】
図5は、外部機器制御装置1で制御される複数の外部機器4、4A、4B…のうち、エアコン機器の操作例を示しており、操作パネル2の各表示部17の表示が(a)と(b)との間で切り換わるようになっている。
【0029】
即ち、図5(a)の状態はエアコン操作の初期画面を表示してあり、この画面では各キートップ11の操作方向は、操作パネル2の面に対して垂直な方向への押し込みのみが動作可能となっている。この画面で、左下のManual(マニュアル)モードと表示されたキートップ11を押し込み操作すると、各表示部17の表示は図5(b)の状態に切り換わる。
【0030】
切り換わった(b)の画面では、左右中央部の上方のキートップ11にFAN(ファン)の上下の矢印マークが表示されるとともに、下方のキートップ11にMODE(モード)の上下の矢印マークが表示される。
【0031】
このとき、それぞれのキートップ11に上下2方向の操作機能を割り当てることにより、必要な機能を一群の操作場面でコンパクトに操作可能となっている。この状態では、中央部上下のキートップ11は、それぞれ操作方向変更部12が作動した状態となっており、上下方向に傾倒するシーソースイッチ的な操作動作のみが許容されることになる。
【0032】
従って、操作する者は、キートップ11に表示された上下の矢印マークに従って、キートップ11の上端または下端を押し込み操作することによって、ファンの風量調節やモードの切り換えを行うことができる。尚、(b)の画面で右下のキートップ11に割り当てられた戻るを押し込むと、(a)の初期画面に戻ることができる。
【0033】
また、図6は複数の外部機器4、4A、4B…のうち、ナビゲーションの操作例を示しており、操作パネル2の各表示部17の表示が同様に(a)と(b)との間で切り換わるようになっている。
【0034】
即ち、図6(a)の状態はナビゲーション操作の初期画面を表示してあり、この画面では各キートップ11の操作方向は、操作パネル2の面に対して垂直な方向への押し込みのみが動作可能となっている。この画面で、左下の電話番号と表示されたキートップ11を押し込み操作すると、各表示部17の表示は図6(b)の状態に切り換わる。
【0035】
切り換わった(b)の画面では、6個のキートップ11のうち右下のキートップ11を除いて順番に、1と2、3と4、…、9と0のように1〜10の数字機能が2つづつ上下に表示される。尚、右下のキートップ11は戻るの機能が下に表示される。
【0036】
このとき、それぞれのキートップ11に上下2方向の操作機能を割り当てることにより、操作する者は、各キートップ11の表示に従って、例えば、数字の1を入力する時は左上のキートップ11の上端を、また、数字の2を入力する時は同キートップ11の下端をそれぞれ押し込み操作することによって、所望の数字を電話番号として入力することができる。尚、(b)の画面で右下のキートップ11の下端を押し込むと、(a)の初期画面に戻ることができる。
【0037】
このようにして、通常は6個のキートップ11で構成されている操作パネル2でありながら、それぞれの外部機器に応じて、かつ、それら外部機器の操作モードに応じ、それぞれの機能を割り当てることが可能となる。このため、少ない選択肢で大きくて見やすい操作と、多くの選択肢が必要な操作と、を1つの操作パネル2で実現できる。
【0038】
以上の構成により本実施形態の多機能スイッチ10によれば、操作可能な方向を複数有するキートップ11の操作方向に応じて複数の機能のうちのある機能を選択することができるようになっており、キートップ11に割り当てられた機能の内容に応じて操作方向変更部12を作動して、キートップ11の可動な操作方向を変更できるようになっている。これにより、操作する者にとってキートップ11の操作方向を明確に区別することができる。操作する者は、通常、表示された内容に従って事前に自らの指などによる操作形態を準備しつつ操作を行うことになる。
【0039】
即ち、キートップ11の操作内容を示す表示内容が、単純な状態の選択を行うプッシュ操作から、上下2方向へのシーソー状の傾倒操作へと変化した場合、操作する者は押し込み操作と傾倒操作という操作形態の違いに応じて、キートップ11に対する指の着地点や操作の力の入れ方などを予め準備して操作に臨むことになる。このような準備動作に対応してキートップ11の操作方向を変更することにより、操作する者が予想した操作感触を提供できることとなり、操作感を向上させるとともに、誤操作率を低下させることが可能となる。
【0040】
また、操作方向変更部12は、第1の係合部である凹部12Kh1および第2の係合部であるロッド12Kr1を有する位置規制部12K1と、この位置規制部12K1を作動する駆動部12D1と、を備えて構成してある。これにより、駆動部12D1に信号を出力することにより位置規制部12K1が作動してキートップ11の一部をケース2C側に拘束できるので、キートップ11の操作方向を容易に変更することができる。また、このように位置規制部12K1が凹部12Kh1とロッド12Kr1との機械的な結合を行なう構造であるので、剛性の高い、操作感に優れた入力ディバイスを提供することができる。
【0041】
また、第1の係合部は、キートップ11の側面(フリンジ部11Fの側面11Fs)に形成した凹部12Kh1であり、第2の係合部は、凹部12Kh1に回転自在に嵌合するロッド12Kr1である。これにより、キートップ11は、凹部12Kh1に嵌合したロッド12Kr1の先端部側面でキートップ11を支持できるので、位置規制部12K1の剛性を確保しつつ構成を簡素化できる。
【0042】
また、キートップ11の操作面11sに、そのキートップ11に割り当てられた機能に応じた操作内容を表示する表示部17を設けたので、操作内容の確認がし易くなり誤操作率を低下させることができるとともに、別途、操作内容の表示部分を設ける必要が無く、操作パネル2のコンパクト化を図ることができる。
【0043】
(第2実施形態)
図7〜図9は、本発明の第2実施形態を示し、図7は、多機能スイッチの操作パネルを外した拡大平面図、図8は、図7中VIII−VIII線に沿った断面図、図9は、多機能スイッチの通常状態と通常状態操作時と操作方向変更後の操作時とを(a)〜(c)に示す図3に対応した断面図である。なお、第1実施形態と同一構成部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0044】
図7、図8に示すように、本実施形態の多機能スイッチ10Aは、基本的に第1実施形態の多機能スイッチ10とほぼ同様の構成となり、キートップ11に割り当てられた機能の内容に応じてキートップ11の可動な操作方向を変更する操作方向変更部12Aを設けてある。また、操作方向変更部12Aは、キートップ11の対向辺の中央部に一対設けてあり、位置規制部12K2と、この位置規制部12K2を作動する駆動部12D2と、を備えて構成してある。
【0045】
本実施形態が第1実施形態と主に異なる点は、位置規制部12K2を、キートップ11の底面、詳細にはフリンジ部11Fの底面11Fbに形成した第1の係合部である凹部12Kh2と、この凹部12Kh2に揺動自在に嵌合する第2の係合部であって出没部材としてのロッド12Kr2と、を備えて構成したことにある。
【0046】
本実施形態の駆動部12D2は、フリンジ部11Fの凹部12Kh2の形成位置に対応させてケース2Cの底面2Cbの外側に固定してあり、駆動部12D2から凹部12Kh2に向かって突出するロッド12Kr2を、ケース2Cの底面2Cbに形成した開口部2Chからケース2C内に突出してある。
【0047】
そして、駆動部12D2は、ロッド12Kr2の外側を囲繞する図示省略したソレノイドを備えており、このソレノイドが励磁されることによりロッド12Kr2をフリンジ部11F方向に突出させて、凹部12Kh2に係合させるようになっている。このとき、凹部12Kh2は半球状に凹設してある一方、ロッド12Kr2の先端部を半球状に形成してあり、ロッド12Kr2を凹部12Kh2に係合した状態では、一対のロッド12Kr2と一対の凹部12Kh2との当接部を支点として、キートップ11がシーソー状に回動可能となる。勿論、前記ソレノイドを消磁することにより、図外の付勢部材によってロッド12Kr2が駆動部12D2内に没入して凹部12Kh2から離脱し、キートップ11の垂直方向の移動が可能となる。
【0048】
そして、第1実施形態と同様に、多機能制御装置3のアクチュエータ制御回路9からの制御信号がコネクタ16を介して駆動部12D2に加えられると、前記ソレノイドを励磁してロッド12Kr2を突出させて凹部12Kh2に係合させるようになっている。
【0049】
従って、本実施形態の多機能スイッチ10Aでは、図4(a)に示す自然状態から図4(b)に示すように、開口部2aから突出しているキートップ11の操作面11sの中央部を指(指以外でもよい)で全体的に押し込む。すると、キートップ11は操作パネル2に対してほぼ垂直方向に移動して、フリンジ部11Fの四隅のスイッチユニット14が均等に押し下げられて、四隅のスイッチユニット14からほぼ同時に電気信号がコネクタ15を介して多機能制御装置3のエンコーダ5に送出される。
【0050】
次に、操作方向変更部12Aを作動した後は、図4(c)に示すように、キートップ11を押し込むと、キートップ11はロッド12Kr2と凹部12Kh2との当接部を中心にしてシーソー動作を行うことになる。その結果、第1実施形態と同様に2つのスイッチユニット14のみがオンとなり、それら2つのスイッチユニット14からほぼ同時に電気信号がコネクタ15を介して多機能制御装置3のエンコーダ5に送出される。
【0051】
以上の構成により本実施形態の多機能スイッチ10Aは、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができ、特に、本実施形態では位置規制部12K2を、キートップ11の底面(フリンジ部11Fの底面11Fb)に形成した凹部12Kh2と、この凹部12Kh2に揺動自在に嵌合する出没部材としてのロッド12Kr2と、を備えて構成してある。これにより、キートップ11は、凹部12Kh2に嵌合したロッド12Kr2の先端部の頂点でキートップ11を支持できるので、位置規制部12K2の剛性を確保しつつ構成を簡素化できる。
【0052】
また、ロッド12Kr2をキートップ11の操作面11sに対して直角方向に配置できるので、駆動部12D2をキートップ11の操作面11sに対する直角方向の投影面内により進入させて配置でき、一対の駆動部12D2の配置方向(図7中上下方向)の小型化を図ることができる。
【0053】
本実施形態にあっても、キートップ11の操作面11sに、そのキートップ11に割り当てられた機能に応じた操作内容を表示する表示部17を設けることが好ましい。
【0054】
(第3実施形態)
図10は、本発明の第3実施形態にかかる操作方向変更部の拡大断面図である。なお、第1実施形態と同一構成部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0055】
図10に示すように、本実施形態の多機能スイッチ10Bは、基本的に第1実施形態の多機能スイッチ10とほぼ同様の構成でるが、キートップ11の可動な操作方向を変更する操作方向変更部12Bが第1の実施形態に対して異なる。
【0056】
本実施形態の操作方向変更部12Bは、キートップ11が配置される操作パネル2(図3参照)とキートップ11との結合状態を電磁アクチュエータ12D3の電磁力を用いて可変であり、当該操作方向変更部12Bは、キートップ11と操作パネル2との結合状態を変更することでキートップ11の可動な操作方向を変更するようにしてある。
【0057】
詳しくは、操作方向変更部12Bは、キートップ11の対向辺の中央部に一対設けてあり、位置規制部12K3と、この位置規制部12K3を作動する前述の電磁アクチュエータ12D3と、を備えて構成してある。
【0058】
また、位置規制部12K3は、キートップ11の側面、詳細にはフリンジ部11Fの側面11Fsに回転自在に取り付けた磁性体からなる回転軸12Kr3と、この回転軸12Kr3に接触若しくは近接状態で励磁・消磁される接触片12Ktと、を備えて構成してある。
【0059】
電磁アクチュエータ12D3は、電磁コイルを内蔵して電磁石として構成し、それの1つの極側に円盤状の接触片12Ktを取り付けてある。勿論、接触片12Ktは磁性体の材料で形成される。
【0060】
そして、フリンジ部11Fの側面11Fsの中央部に収納穴11Fhを形成し、その収納穴11Fhに嵌着した筒状の軸受部12Kbに回転軸12Kr3を回転自在に取り付けてある。回転軸12Kr3は、外側端部に円盤部12KrDを一体に設けてあり、少なくとも、その円盤部12KrDを磁性体の材料で形成してある。
【0061】
円盤部12KrDと接触片12Ktとは近接して配置してあり、電磁アクチュエータ12D3に通電して接触片12Ktを励磁すると、その接触片12Ktに円盤部12KrDが吸着して双方が互いに結合する。すると、回転軸12Kr3は、接触片12Kt、電磁アクチュエータ12D3およびケース2Cを介して操作パネル2に固定した状態となり、キートップ11は一対の回転軸12Kr3を中心としてシーソー状に回動可能となる。
【0062】
一方、電磁アクチュエータ12D3への通電を遮断して接触片12Ktを消磁すると、その接触片12Ktと円盤部12KrDが分離してそれら両者が自由に相対移動可能となり、キートップ11の垂直方向の移動が可能となる。
【0063】
以上の構成により本実施形態の多機能スイッチ10Bによれば、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができ、特に、本実施形態では、操作方向変更部12Bは、キートップ11が配置される操作パネル2(図3参照)とキートップ11との結合状態を電磁アクチュエータ12D3の電磁力を用いて可変であり、当該操作方向変更部12Bは、キートップ11と操作パネル2との結合状態を変更することでキートップ11の可動な操作方向を変更するようにしてある。これにより、キートップ11と操作パネル2との結合状態を、電磁力、つまり、電磁アクチュエータ12D3への通電および通電遮断により瞬時に固定および固定解除できるので、キートップ11の可動な操作方向の切り換えを迅速に行うことができる。
【0064】
また、位置規制部12K3を、キートップ11の側面(フリンジ部11Fの側面11Fs)に回転自在に取り付けた磁性体からなる回転軸12Kr3と、この回転軸12Kr3に接触若しくは近接状態で励磁・消磁される接触片12Ktと、を備えて構成してある。これにより、回転軸12Kr3は、常時、キートップ11側に回転自在に取り付いた状態であるため、回転軸12Kr3とキートップ111との間に軸受部12Kbを介在させることができるようになるとともに、回転軸12Kr3の支持位置の精度を高めることができる。従って、キートップ11のシーソー状の回動をより円滑に行うことができ、キートップ11の操作性を向上することができる。
【0065】
本実施形態にあっても、キートップ11の操作面11sに、そのキートップ11に割り当てられた機能に応じた操作内容を表示する表示部17を設けることが好ましい。
【0066】
ところで、上述した第1〜第3実施形態では、キートップ11の操作面11sに表示部17を設けることを述べたが、図11に示すように、操作パネル2とは別に表示器20を設け、この表示器20に各キートップ11に割り当てられた機能に応じた操作内容を表示させることもできる。即ち、表示器20は、操作パネル2の近傍に配置してあり、その表示器20内には、操作パネル2に配置したキートップ11にそれぞれ対応した位置に表示部21を配置してある。
【0067】
従って、操作する者は表示器20の表示部21に表示された操作内容に応じて、その表示部21に対応した位置にあるキートップ11を操作することにより、目的とする外部機器の制御操作を行うことができる。
【0068】
また、本発明の多機能スイッチは前記各実施形態に例をとって説明したが、これら実施形態に限ることなく本発明の要旨を逸脱しない範囲で他の実施形態を各種採用することができる。例えば、前記各実施形態では多機能スイッチを自動車に搭載した外部機器の操作パネルに適用したが、これに限ることなく航空機や工場あるいは家庭用として用いられる外部機器の操作パネルにあっても本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる外部機器制御装置の模式図。
【図2】本発明の第1実施形態にかかる多機能スイッチの操作パネルを外した拡大平面図。
【図3】図2中III−III線に沿った断面図。
【図4】本発明の第1実施形態にかかる多機能スイッチの通常状態と通常状態操作時と操作方向変更後の操作時とを(a)〜(c)に示す断面図。
【図5】本発明の第1実施形態にかかる外部機器がエアコン機器である場合の操作パネルの切り換え状態を(a)、(b)に示す説明図。
【図6】本発明の第1実施形態にかかる外部機器がナビゲーションである場合の操作パネルの切り換え状態を(a)、(b)に示す説明図。
【図7】本発明の第2実施形態にかかる多機能スイッチの操作パネルを外した拡大平面図。
【図8】図7中VIII−VIII線に沿った断面図。
【図9】本発明の第2実施形態にかかる多機能スイッチの通常状態と通常状態操作時と操作方向変更後の操作時とを(a)〜(c)に示す断面図。
【図10】本発明の第3実施形態にかかる操作方向変更部の拡大断面図。
【図11】本発明にかかる操作パネルの他の実施形態を示す模式図。
【符号の説明】
【0070】
2 操作パネル(配置部材)
10 多機能スイッチ
11 キートップ
11s 操作面
11F フリンジ部
11Fs フリンジ部の側面
12、12A、12B 操作方向変更部
12K1、12K2、12K3 位置規制部
12Kh1、12Kh2 凹部(第1の係合部)
12Kr1、12Kr2 ロッド(出没部材、第2の係合部)
12Kr3 回転軸
12Kt 接触片
12D1、12D2 駆動部
12D3 電磁アクチュエータ
17 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作可能な方向を複数有するキートップを備え、該キートップの操作方向に応じて複数の機能のうちのある機能を選択する多機能スイッチにおいて、
前記キートップに割り当てられた機能の内容に応じて前記キートップの可動な操作方向を変更する操作方向変更部を備えたことを特徴とする多機能スイッチ。
【請求項2】
前記操作方向変更部は、第1の係合部および第2の係合部を有する係脱部と、該係脱部を作動する駆動部と、を備え、当該操作方向変更部は、前記第1の係合部と前記第2の係合部との係脱によって前記キートップの可動な操作方向を変更することを特徴とする請求項1に記載の多機能スイッチ。
【請求項3】
前記第1の係合部は、前記キートップの側面に形成した凹部であり、前記第2の係合部は、前記凹部に回転自在に嵌合する出没部材であることを特徴とする請求項2に記載の多機能スイッチ。
【請求項4】
前記第1の係合部は、前記キートップの底面に形成した凹部であり、前記第2の係合部は、前記凹部に揺動自在に嵌合する出没部材であることを特徴とする請求項2に記載の多機能スイッチ。
【請求項5】
前記操作方向変更部は、前記キートップが配置される配置部材と前記キートップとの結合状態を電磁アクチュエータの電磁力を用いて可変であり、当該操作方向変更部は、前記キートップと前記配置部材との結合状態を変更することで前記キートップの可動な操作方向を変更することを特徴とする請求項1に記載の多機能スイッチ。
【請求項6】
前記キートップの操作面に、該キートップに割り当てられた機能に応じた操作内容を表示する表示部を設けたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の多機能スイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−252462(P2009−252462A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−97516(P2008−97516)
【出願日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】