説明

多機能一体型ICカード定期券

【課題】 定期券情報の表示エリアを広くして定期券情報の視認性を向上させる。
【解決手段】 非接触で自動改札機と通信するメモリ機能、演算機能を有するICチップと、接触状態でリーダ/ライタとデータ交信を行うメモリ機能を有する磁気ストライプとを有するICカード(10)において、前記ICチップには定期券情報が格納されてその内容がICカードの一方の面に形成されたリライト部(16)に表示され、前記磁気ストライプには定期券以外の他の機能の情報が格納されてその関連情報がICカードの他方の面にエンボス加工せずに印字表示されているものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はクレジット機能等の定期券以外の他の機能を一体化したICカード定期券に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、定期券機能とクレジット機能を合わせもつようにし、定期券の情報をリライト表示するようにした定期券兼用クレジットカードが提案されている(特許文献1)。
この提案のカードでは、自動改札機と非接触で通信する乗車券情報を格納したICチップと、クレジット機能を有し、個人情報を格納した接触ICチップ及び磁気ストライプとを有していて、クレジット情報をエンボス加工してカード表面に記載し、これと同じ表面の中央部の細長いエリアにリライト部を設けて定期券情報を表示するようにしている。なお、カード裏面には個人のサイン用エリアが形成される。
【特許文献1】特開2003−132308号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記提案のカードでは、クレジット情報を記載するエンボス加工部、ICチップや磁気ストライプ部、クレジットカードやプリペイドカードの約款等の記載部分を避けたエリアに定期券情報を表示するリライト部を形成する必要があるため、カード中央部の細長い小さなエリアにしか定期券情報等を表示することができず、表示範囲が狭いため視認性に欠けるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は上記課題を解決しようとするものであり、定期券情報の表示エリアを広くして定期券情報の視認性を向上させることを目的とする。
そのために請求項1の発明は、非接触で自動改札機と通信するメモリ機能、演算機能を有するICチップと、接触状態でリーダ/ライタとデータ交信を行うメモリ機能を有する磁気ストライプとを有するICカードにおいて、
前記ICチップには定期券情報が格納されてその内容がICカードの一方の面に形成されたリライト部に表示され、
前記磁気ストライプには定期券以外の他の機能の情報が格納されてその関連情報がICカードの他方の面にエンボス加工せずに印字表示されていることを特徴とする。
また、請求項2の発明は、前記リライト部が、同一面に形成された磁気ストライプ、サイバネ規格による刻印部、及びサインパネル部、前記ICチップを避けたエリアに形成されていることを特徴とする。
また、請求項3の発明は、前記他の機能がクレジット機能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明は、クレジット機能等の定期券以外の他の機能の情報をカードの一方の面にエンボス加工せずに印字表示し、定期券情報を表示するリライト部をカードの他方の面に形成することにより、定期券以外の他の機能の情報の印字表示部を避けることなくリライト部を形成することができ、定期券情報の表示エリアを広くし、通常の定期券と同じ条件の情報を視認性よく表示することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明の多機能一体型ICカード定期券を説明する概念図で、図1(a)はクレジット等の定期券以外の他の機能の面、図1(b)は定期券の面を示しており、本実施形態ではクレジット機能を例にして説明する。
ICカード10はサイバネ規格(日本鉄道技術協会の特定部会「日本鉄道サイバネティクス協議会」が定めたICカードを利用した乗車券の規格)で作成され、86mm×54mmのサイズで、一方の面はクレジット面として使用している(図1(a))。本実施形態では通常、エンボス加工を必要とするクレジット情報の記載を、印字処理で行い、エンボス加工による記載を行わないことを1つの特徴としている。
【0007】
図1(b)に示すように、定期券面は、クレジット面の反対側の面を使用する。ICカード1に設けられる非接触タイプのICチップは、自動改札機との通信を行うためのアンテナ(図示せず)を設ける必要がある。しかし、クレジット情報の記載のためのエンボス加工を行うと、アンテナに孔を開けてしまう不都合が生ずる。そこで本実施形態ではエンボス加工は行わない。そして、エンボス加工を行わないため、クレジット情報の記載エリアの裏面側は平坦面となり、定期券情報を表示する面として利用する。
【0008】
図1(b)において、11は表裏判定マーク、12は磁気ストライプである。磁気ストライプは海外と国内用とがあるため、クレジット面と反対側の面にも設けられていて、リーダ/ライタとの通信を行うとともに、クレジット情報を格納するメモリ機能も有している。13は非接触ICチップが形成される領域を示し、14はクレジット利用者名をサインするためのサインパネルである。また、15はサイバネ規格で定められたカード固有の番号を刻印する部分である。
【0009】
本実施形態ではこれら磁気ストライプ、非接触ICチップの領域、サインパネル、サイバネ規格による刻印部を避けたエリア16を定期券情報を表示するリライト層のエリアとして使用する。このリライト層は、温度変化で発色、消色するサーモクロミク物質をコーティングして形成され、このような物質として、例えば、フルオラン、フェニルメタン系化合物、インドリルフタリド、スピロピラン、ロイコオーラミン類、オキサジン系化合物、ジアリールエテン系化合物等を使用する。そして、この層を所定温度にすることにより、利用区間、有効期間等の定期券情報が印字され、印字された表示情報は、サーモクロミック物質を他の所定温度とすることにより消して再利用できる。
【0010】
本実施形態では、リライト層エリア16として48mm×31mmの面積が確保できており、通常の定期券の縦横比をほぼ確保して僅か縮小するだけで、定期券とほぼ同じ条件で情報を表示することが可能であり、従来に比して格段に視認性を向上させることが可能である。なお、上記の例では定期券以外の他の機能としてクレジット機能を例にして説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、キャッシュカード、社員証、メンバーズカード等の情報を記憶させて定期券と一体化する場合、或いは定期券以外の他の機能としてクレジットカード、キャッシュカード等の複数の機能を用い、これら複数の機能の情報を記憶させて定期券と一体化する場合にも適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0011】
本発明によれば、クレジット機能等の定期券以外の他の機能を一体化したICカード定期券における定期券情報の表示エリアを広くし、視認性よく表示することが可能となるので産業上の利用価値は大きい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の多機能一体型ICカード定期券を説明する概念図である。
【符号の説明】
【0013】
10…ICカード、11…表裏判定マーク、12…磁気ストライプ、13…非接触ICチップ領域、14…サインパネル、15…サイバネ規格による刻印部、16…リライト層エリア。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非接触で自動改札機と通信するメモリ機能、演算機能を有するICチップと、接触状態でリーダ/ライタとデータ交信を行うメモリ機能を有する磁気ストライプとを有するICカードにおいて、
前記ICチップには定期券情報が格納されてその内容がICカードの一方の面に形成されたリライト部に表示され、
前記磁気ストライプには定期券以外の他の機能の情報が格納されてその関連情報がICカードの他方の面にエンボス加工せずに印字表示されていることを特徴とする多機能一体型ICカード定期券。
【請求項2】
前記リライト部は、同一面に形成された磁気ストライプ、サイバネ規格による刻印部、及びサインパネル部、前記ICチップを避けたエリアに形成されていることを特徴とする請求項1記載のICカード定期券。
【請求項3】
前記他の機能がクレジット機能であることを特徴とする請求項1または2記載のICカード定期券。

【図1】
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【公開番号】特開2006−285887(P2006−285887A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−108229(P2005−108229)
【出願日】平成17年4月5日(2005.4.5)
【出願人】(593092482)ジェイアール東日本メカトロニクス株式会社 (85)
【Fターム(参考)】