説明

多機能性防護織物および汚染除去方法(関連出願の相互参照)この特許出願は、2002年2月25日出願の米国特許仮出願60/360,050の優先日の利益を主張する。

反応性および吸着性(すなわち、多機能防護性)の織物および少なくとも化学反応性および生物致死性を有する織物を構成し、そして使用するための方法。異なるクラス、例えば金属酸化物、金属水酸化物、金属水和物およびPOMのナノ粒子を要素の中に組み込み、これは広範で、多様な防護性材料において使用可能である。前記ナノ粒子を処理して、水溶性を低下させるか、あるいはハロゲン、アルカリ金属または2次的な金属酸化物を組み合わせて、前記ナノ粒子を特に加工して、特定の化学脅威または生物致死性脅威に対処してもよい。一つの態様においては、内部構造物を有し、防護性ナノ粒子が前記内部構造物に結合して、防護用近傍から前記物体に前記ナノ粒子を分散させずに、前記織物の近傍に維持される物体または物体の一部が汚染された環境を安全に通過することができるようになった織物を含む防護用の空間的に分布された生物致死性インタフェースが提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、防護織物に関し、特に、化学剤および生物剤に対する多機能性防護をもたらすための反応性および吸着性の織物と、汚染除去のためにこのような織物を提供し、使用するための方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
歴史的に、活性炭を衣服用の織物およびフィルタの中に組み込んで、吸着性防護を提供してきた。活性炭は、有毒蒸気を吸着するのに極めて有効であるが、細孔内への物理的捕捉により捕らえられる化学剤に対する部分的な防護を付与するのみである。この捕捉は物理的な方法であるので、活性炭は、吸着された化学物質を中和することはせず、それを単純に蓄積する。このような蓄積は多数の問題を提示する。これらの材料が経時的に放出されることもあり、このカーボンが容量の制約を有し、従って無制限には使用できず、そして蓄積は使用後の廃棄問題を生じる。最後に、活性炭は、生物剤(炭疸または天然痘など)からの防護をもたらさない。以前には、生物的な汚染に対する防護は、バリア法、すなわちフルボディスーツに回されてきた。密閉に関連する生命維持の問題に加えて、これらのバリアは、有害な物体により被覆された後に類似の廃棄問題を生じる。
【0003】
軍および民間のEMS用途に対する防護システムのために生物致死性構成成分を提供する長年の必要性を充たすために、科学者は金属ベースのナノ粒子を開発してきた。米国特許第6,057,488号は、粉末として分散するか、あるいは試験管中で生物的な汚染物質と合体する場合の金属酸化物ナノ粒子の有効な生物致死性を開示している。ナノ粒子の独特の物理的な特性およびサイズにより、防護システムに柔軟に集積し、従来の吸着剤と合体することができる有形の形にナノ粒子を分離し、固定することはこれまで不可能であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、化学剤の吸着、分解および中和のための反応性に加えて、生物剤を破壊するための生物致死性を有する効率的で有効な防護システムが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、化学的反応性、生物致死的反応性、化学的吸着性、またはこのような性質の組み合わせを有する、反応性および吸着性の織物を指向する。有利なこととしては、本発明は、材料の取り扱いの顕著な難問を成功裡に克服し、そして有害な化学剤並びに生物剤の効率的かつ有効な吸着および中和を例えば織物の形で提供することができるシステムをもたらす。
【0006】
このシステムを従来の活性炭(例えば、ビーズあるいは粉末)と組み合わせて、増強された化学吸着並びに生物致死性を有する防護システムを製造してもよい。
【0007】
更なるもう一つの態様においては、ウエットラーリゼーションした(wettlerized)いかなる従来の活性炭(例えば、ビーズあるいは粉末)も使用して、血液剤の結合/中和能を付加してもよい。
【0008】
一つの態様においては、防護性ナノ粒子を結合した内部構造物を有する織物を含む、化学剤および生物剤の脅威に対して防護するための装置が提供される。
【0009】
更なるもう一つの態様においては、内部構造物を有し、防護性ナノ粒子が前記内部構造物に結合し、防護用近傍から物体までこのナノ粒子を分散せずに、織物の近傍に維持される物体または物体の一部が汚染された環境を安全に通過することができるようになった織物を含む、防護用の空間的に分布された生物致死性インタフェースが提供される。
【0010】
更なるもう一つの態様においては、防護性を有するナノ粒子を提供し、織物にナノ粒子を非閉塞性保持手段により結合し、織物の内部が、織物の内部と遭遇する環境の一部内に配設された化学剤または生物剤を汚染除去するようにされている工程を含む、織物ベースの汚染除去物質による化学剤または生物剤に対する防護方法が提供される。
【0011】
更なるもう一つの態様においては、非閉塞性保持手段により織物に結合された防護性を有するナノ粒子を備える織物を提供し、織物の内部が、織物の内部と遭遇する化学剤または生物剤を汚染除去するようにされている工程を含む、織物ベースの汚染除去物質による化学剤または生物剤に対する防護方法が提供される。織物を化学的あるいは生物的な脅威に暴露した時、脅威が織物に入るのに従って、脅威は低減されるか、あるいは無くなる。
【0012】
本発明のこれらの、および他の態様、特徴および利点は、添付の図面を参照して読まれるべき以下の好適な実施形態の詳細な説明で述べられるか、あるいは明白になるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、化学戦および生物戦の両方の脅威に対して防護する潜在能力を有する防護システムをもたらすために反応性/吸着性粒状物質を接着させた織物を含む。例えば、これらの防護システムを使用して、衣服、シェルタまたは空気フィルタとして使用するための化学的および生物的な防護性織物を製造してもよい。本発明の主要な態様は次のように掲げられる(これらの態様において述べられた要素の詳細な説明が更に下記に説明される)。
【0014】
一つの態様によれば、本発明は、内部構造物を有する織物、およびこの内部構造物に結合した防護性ナノ粒子からなる、化学剤および生物剤の脅威に対して防護する装置を提供する。
【0015】
もう一つの態様においては、本発明は、例えば化学剤および生物剤に対して防護性の空間的に分布された生物致死性インタフェースを提供する。このインタフェースは、内部構造物を有する織物と、内部構造物に結合し、防護用近傍から物体にナノ粒子を分散させずに、汚染された環境から織物の近傍に維持される物体または物体の一部を安全に通過するようにせしめた防護性ナノ粒子とを含む。
【0016】
ナノ粒子は、非閉塞性保持手段を用いて織物に好ましくは結合し、織物の内部が、織物の内部と遭遇する環境の一部内に配設された化学剤または生物剤を汚染除去するようにせしめていることを特記しなければならない。本発明による防護用装置を化学的あるいは生物的な脅威に暴露した時、この脅威がこの織物に入るのに従って、この脅威は低減されるか、あるいは無くなる(例えば、化学的脅威は不活性とされ、生物剤/物体は溶菌を受けるようにされ、および/またはは再生しないようにされる)。脅威への暴露に続いて、防護性織物を再使用(例えば、ナノ粒子が暴露工程時に非消費のまま残る場合)してもよく、あるいは更なる非閉塞性保持手段(初期ナノ粒子結合工程で使用される非閉塞性保持手段と同一あるいは異なってもよい)により更なるナノ粒子を織物に結合することにより、元の状態に戻してもよい。
【0017】
有利なこととしては、本発明による防護用装置/生物致死性インタフェースを化学的あるいは生物的な脅威に暴露した時、この脅威がこれに入るのに従って、このような脅威は低減されるか、あるいは無くなる。
(織物構成法)
本発明は、織物体によりナノ粒子技術を有効に集積して、例えば独立に使用可能、あるいは他の材料と共に使用(例えば層で)するために組み込み可能である形で化学的および生物的な防護をもたらす防護システムを製造する問題を克服した。この防護性織物を、例えば衣服または種々の織物製品(例えば、軍服、フィルタ、テント、ストレッチャー、野外装置、毛布および他の織物ベースの製品)に組み込んでもよい。
【0018】
本発明で使用される織物体は、例えばいかなるタイプの合成あるいは天然の繊維材料(例えば、ポリエステル、木綿など)または合成および天然の少なくとも一方の繊維のいかなる組み合わせも含んでもよいことを特記すべきである。一つの態様においては、ナノ粒子で処理された織物を、例えば多層に、および/または他の材料/織物と組み合わせて、多層防護性布地を形成することができる。繊維それ自身が種々のタイプの材料から構成されるナノ粒子処理の繊維からこのような布地を構成してもよいことを特記すべきである。好ましくは、加工された繊維の少なくとも一部から構成される織物がナノ粒子を受容するために使用される。これらの加工された繊維は、低い融点(Tg)を有するポリマーにより被覆されるコア材料からなる。
【0019】
本発明が取り組む問題は、部分的に、ナノ粒子それ自身のサイズが小さい結果であることを特記すべきである。有利なこととしては、本発明は、ナノ粒子を織物体に有効に組み込んで、このナノ粒子を過度に閉塞せず、あるいは付着対象のナノ粒子の反応性を低減せずに、必要かつ有効な装填および均一性の要求で織物へのナノ粒子の付着/結合を成功させることができる。
【0020】
本発明の更なる態様は、実際的かつ柔軟な方法で相補的なフィルタ媒体と容易に組み合わせて、広範で、多様な生物的および化学的な脅威に対処することができるナノ粒子状物質を装填したフィルタを構成することを含む。この方法によって、本発明は、実質的に目に見えない粒子状物質から工業的規模の生物致死性織物ベースの構成成分にナノ粒子を転換する点で著しい進歩をもたらす。
【0021】
上述のように、一つの態様においては、本発明により使用される織物は、好ましくは、内部構造物を有する織物を含む。これらの内部構造物は、例えば織物の隙間を含んでもよい。もう一つの態様においては、この内部構造物は、織物の上方および下方の外表面の間に配設される繊維(例えば、スペーサ繊維および非垂直な繊維の少なくとも一方)を含む。このような繊維は、例えば汚染除去域を形成する。
【0022】
例えば織物の上方および下方の外表面の間にスペーサ繊維(例えば、垂直な繊維)並びに非垂直な繊維を目前の用途に依って必要とされる任意の量/密度/構成で添加することができることを特記すべきである。これらの繊維は、また、種々の厚さを含んでもよい。加えて、例えばスペーサ繊維の長さを調整して、汚染除去域を通る距離を制御してもよい。有利なこととしては、これらの手段は、環境との接触時間の量と、防護用装置によりもたらされる防護レベルを、カスタマイズ/調整するための種々の手段を提供する。
【0023】
本発明は、もたらされる防護のレベルおよびタイプの少なくとも一方をカスタマイズするための更なる手段を提供する。一つの実施形態においては、内部構造物は、その上に結合したナノ粒子を有する第1の層を含み、第2の層を前記第1の層に実質的に平行に付加して、防護用装置を完成させてもよいことを特記すべきである。第2の層は、好ましくは活性炭を含有する。これによって、少なくとも生物的な脅威に対して防護するための第1の層と化学的脅威に対して防護するための第2の層を含む、多構成成分の防護システムが作り出される。有利なこととしては、このような防護システムは、増強された機能性と増補された防護能(例えば、現存の防護システムに更なる防護能を付加する方法を提供する)を持つ。事実、一つの態様においては、他の材料(透過性あるいは非透過性)、例えば他の織物、フィルタ/濾過媒体などにナノ粒子で処理した織物を追加物として組み込んでもよい。
【0024】
一つの態様においては、織物にナノ粒子を結合する工程は、スペーサ繊維上にナノ粒子を装填して、予め決められた化学的あるいは生物的な汚染除去能を得ることを含むことを特記すべきである。更には、本発明は、環境内の距離と汚染物質の接触時間に基づいて目標の汚染除去速度を得るように、ナノ粒子の装填量が決定されることを含む。
【0025】
このように、一つの態様においては、本発明は、蒸気および液体の拡散速度を有する空気透過性織物であって、拡散速度が、織物の厚さ、スペーサ繊維の大きさ、スペーサ繊維の密度、スペーサ繊維の構成および外部層の透過性のうち、1つの関数であるものを提供する。
【0026】
いずれかの層は、活性炭性能増強性ナノ粒子および生物致死性ナノ粒子の少なくとも一方を含んでもよいこと、そして織物は、その上に塗布されたナノ粒子を有するカーボンビーズを追加的に含んでもよいことを特記すべきである。用途およびこのシステムが受ける要求などの少なくとも一方の要因に依って、この防護システムにおいてカーボンと生物致死性構成成分を相互に種々の距離に置いてもよいことも特記すべきである。
【0027】
更なるもう一つの実施形態においては、層化されて、積層を形成する化学剤および生物剤の脅威に対して防護するための複数の層(例えば、織物層)を含む、防護システムが提供される。適切なタイプ/レベルの反応性/吸着性物体(例えば、防護性ナノ粒子、活性炭、ヨウ素化樹脂構成成分など)によりこれらの層の各々を必要とされるようにカスタマイズして、その上に取り付けて、種々のタイプ/レベル/数の脅威に対して防護をもたらしてもよい。
【0028】
織物は、その間に内部構造物を結合する上方および下方の布地を更に含んでもよいことを特記すべきである。上方および下方の布地は、好ましくはその上に塗布したナノ粒子を有する。
【0029】
図1は本発明の実施形態による防護性織物10の例示の断面図を図示する。特に、この実施形態は、隙間14と垂直な繊維15を含む内部構造物が3Dスペーサ布地の上方外表面12aと下方外表面12bの間に延びることを示す。ナノ粒子16は垂直な繊維15に結合し、表面12aおよび12bの内部を含む隙間14と隣接する任意の他の領域にも結合してもよい。有利なこととしては、このような構成は、織物10の増大した密度および深さの少なくとも一方をもたらし、織物10のナノ粒子装填量と織物10と遭遇する任意の化学剤および生物剤の少なくとも一方の滞留時間の両方を増大させる。防護性織物10も表面12aおよび12bの間(例えば、18aと18b)または表面12aおよび12bの外部(例えば、18c)の任意の個所に配設された1つ以上の任意の活性炭層を含んでもよい。
【0030】
図2は、本発明のもう一つの実施形態による防護性織物20の例示の断面図を示す。この実施形態においては、この内部構造物は、織物20の上方外表面22aと下方外表面22bの間に配設された繊維であって、外表面22aおよび22bの間の直接の垂直な経路を横切って、織物を通る曲がりくねった経路30を形成する非垂直な繊維24を含む繊維を含む。ナノ粒子26は、好ましくは非垂直な繊維24に結合し、そして表面22aおよび22bの内部を含む織物20内の任意の他の領域にも結合してよい。非垂直な繊維24は、織物を通る気流28中に望ましい遮断を引き起こす。有利なこととしては、非垂直な繊維24は、織物と遭遇する化学剤と生物剤の滞留時間の増加を生じる。このことは、今度はナノ粒子との接触を増大させ、防護能の増大および増強を生じる。
【0031】
防護性織物20は、表面22aおよび22bの間(例えば、32aと32b)または表面22bの外部(例えば、32c)の任意の個所に配設された1つ以上の任意の活性炭層を含んでもよい。
【0032】
実質的に非透過性の材料を含む更なる層を本発明の防護性装置/生物致死性インタフェースに付加してもよいことを特記すべきである。防護システム内あるいは外のいかなる位置/個所(例えば、織物内、織物と上方および下方の布地の間、あるいは上方および下方の布地のいずれか/両方の外部)にもこのような層を付加してもよく、例えばこの防護システムの内/上に埋め込まれたナノ粒子が例えば液体あるいは気体流の汚染物質により壊滅されないための更なるバリア手段を提供する。従って、このシステムが受けると考えられる特定の条件/要求に依って、この実質的に不透過性な層を全防護システムに付加しても、あるいは付加しなくともよい。
【0033】
図3は、織物系40の上方外表面42aと下方外表面42bの間に配設される繊維であって、垂直な繊維45と非垂直な繊維44の両方を含む繊維からなる、内部構造物を有する防護性織物系40の例示の断面図を示す。ナノ粒子46は、好ましくは垂直な繊維45と非垂直な繊維44に結合し、そして表面42aおよび42bの内部を含む織物内の任意の他の領域にも結合してよい。
【0034】
任意の外層43a(例えば低透過性である、例えばquarpel処理された層)および任意の内層43b(例えば、低透過性あるいは非透過性)の少なくとも一方を含めて、織物系40を通る空気流47を低下あるいは制限してもよい。「quarpel」処理は耐水性および耐油性の仕上げである。quarpel処理された層は、低空気透過性および高液体耐久性の2つの目的で機能する。有利なこととしては、これは、化学剤が織物40から直接に瞬間に浸み込み、ナノ粒子46を壊滅しないようにする。図示するように、層43aおよび43bのいずれか、あるいは両方は、プラスチックス材料からできた不織のバリア層であってもよい。
【0035】
加えて、防護性織物系40は、表面の間(例えば、48aおよび48bの少なくとも一方)あるいは表面の外部(例えば、48c)の任意の個所に配設される1つ以上の活性炭層を場合によっては含んでもよい。
【0036】
図4は、本発明の態様による生物致死性インタフェースとしての防護性織物の使用を示す例示の図である。操作時には、防護性織物は、物体62と、化学的脅威60aおよび生物的な脅威60bの少なくとも一方を含有する汚染された環境60の間の、生物致死性インタフェースとして本質的に作用する。生物致死性インタフェース64は、例えば少なくともその上に結合したナノ粒子を有する。矢印66は、汚染された環境60の中/内で生物致死性インタフェース64中に包み込まれる物体62の例示の通路を図示する。
【0037】
物体の例は、ヒト、食品、生命体を格納する空間の少なくとも一部を含む。好ましくは、物体62は、汚染された環境に入る前に防護性織物中に包み込まれるか、あるいはインタフェースに他の方法で連結される。一つの実施形態においては、インタフェースは空気/液体透過性である。有利なこととしては、本発明は、防護性近傍から物体62にナノ粒子を分散させずに、生物致死性インタフェース64(例えば、防護性織物)の近傍に維持される物体62を汚染された環境60から安全に通過できるようにするための手段を提供する。加えて、本発明は、生物致死性インタフェース64(例えば、防護性織物)中のナノ粒子を相互に実質的に固定された位置に残留させるための手段を提供する。
【0038】
図5は、本発明の態様による織物ベースの汚染防止物質によって生物剤または化学剤に対して防護する方法を示す例示のフローチャートである。工程51においては、対処対象の脅威のタイプが目標の汚染除去速度で特定される。脅威のタイプに依って、化学吸着性のナノ粒子52、化学反応性のナノ粒子52または生物反応性のナノ粒子54のナノ粒子のいずれかあるいはすべてを使用してもよい。使用されるナノ粒子のタイプを決定した時、装填するための関係因子を計算してもよい(工程55)。
【0039】
織物を準備し、そして織物の因子を分析する(工程56)。このような因子は織物特性(例えば、長さ、サイズ、繊維の構成と密度、スペーサ繊維および非垂直な繊維の少なくとも一方、蒸気または液体の拡散速度、外層の透過性)を決定あるいは調整することのいずれかを含んでもよい。活性炭が存在するならば、ナノ粒子とカーボンの間の有効な相互作用距離を求める(工程57)。次に、好ましくは、目標汚染除去速度を得るために非閉塞性保持手段を使用して、ナノ粒子を織物上に装填する(工程58)。
(反応性ナノ粒子)
本発明により使用される反応性/吸着性粒子状物質は、好ましくは約1nmから約200nmのサイズのナノ粒子クラスタから形成される無機の反応性ナノ粒子である。
【0040】
反応性ナノ粒子は、高化学反応性をもたらす高表面積および独特の形態の環境的に安定なナノメーターサイズの原子および分子のクラスタである。ナノ粒子は非常に大きい表面積を有するので、大量の関連化学種とは区別される驚異的な触媒特性および反応性を保有する。大量の化学種と対照的に、ナノ粒子は、クラスタの表面に存在する統計的に著しく多数の原子/イオン/分子を有する。これらの反応性ナノ粒子は、好ましくは酸化物の金属錯体、水酸化物の金属錯体、水和物の金属錯体並びにポリオキソメタレート(POM)からなる。
【0041】
本発明による防護システム用途に好ましくは使用される反応性ナノ粒子は、特に化学物質および微生物を破壊的に吸着するように加工される。このようなナノ粒子は、分子結合を破壊して、無害な最終製品を生じることにより、危害を加える化学物質を吸着し、無毒化する能力がある。同様に、このような反応性ナノ粒子は、細胞膜を攻撃し、そして重要な機能性のタンパクまたはDNAを酸化することにより、微生物を殺すか、あるいは不活性化することができる。このナノ粒子を環境目的のために増強あるいは変成してもよい。このように、本発明により好ましくは使用されるナノ粒子は、化学吸着性のナノ粒子、化学反応性のナノ粒子、および生物致死的反応性のナノ粒子の少なくとも1つを含む。更には、本発明により使用されるナノ粒子は、好ましくは従来のナノ粒子に対する少なくとも約70m/gから更に進歩したナノ粒子に対する少なくとも約1200m/g以上までのブルナウアー・エメット・テラー(BET)多点表面積を有し、そして少なくとも約45オングストロームから少なくとも約100オングストロームの平均細孔径を有する。
【0042】
使用してもよい例示のナノ粒子は、粉末ナノ粒子の形で金属酸化物複合物を含む。これらの金属酸化物複合物は、表面上に酸素イオン部分を有する金属酸化物ナノ粒子を含み、反応性原子がこれらの表面酸素イオンと相互作用あるいは化学吸着される。例えば、この金属酸化物ナノ粒子は、Mg、Ti、Ca、Al、Sn、Fe、Co、V、Mn、Ni、Cr、Cu、Zn、Zr、またはこれらの混合物の酸化物からなる群から得られてもよい。例えば、この金属酸化物ナノ粒子は、MgO、TiO、CaO、Al、SnO、Fe、FeO、CoO、V、MnO、NiO、Cr、CuO、ZnO、ZrOおよびこれらの混合物を含んでもよい。水酸化物の金属錯体、水和物の金属錯体並びにポリオキソメタレート(POM)でできているナノ粒子も好適である。
【0043】
この段落で掲げたナノ粒子の一部を更に加工して、例えば反応性ハロゲン原子、アルカリ金属原子、金属硝酸塩、SO、NO、オゾンまたは第2の異なる金属酸化物を含むようにしてもよい。代替の加工は、溶解せず、これらを防水性とする防護性コーティングをナノ粒子にもたらすことができる。これらの進歩した加工工程は、米国特許第6,057,488号、第5,914,436号、第5,990,373号、第5,712,219号、第6,087,294号、第6,093,236号、第5,759,939号および第6,417,423号および公開された米国特許出願2002/0035032に開示されており、これらの開示は全て参照により本明細書に組み込まれる。これらの製品のいずれも本発明の態様による多機能防護性製品に組み込んでもよい。
【0044】
これらの種々のクラスのナノ粒子は、古典的な化学戦剤並びに有毒な工業化学物質(TIC)および有毒な工業材料(TIM)の多くを化学的に分解する能力があるために注目されてきた。この相互作用の反応性状は、分子結合を破壊して、化学種を非毒性副生成物に還元する。例えば、ナノ粒子は、四塩化炭素(CCl)、ジメチル−メチル−ホスホネート(DMMP)、パラオキソン(VXとGD用の模倣物)、2−クロロエチル−エチルスルフィド(2−CEES、一腕型マスタード)、軍用剤および酸ガスの化学的分解に有効であることが示されてきた。
【0045】
活性炭に比較して、ナノ粒子は化学戦模倣物を不活性化する極めて高い能力を有することが研究により証明された。特に、ナノ粒子は、既知のHD分解生成物の1,4−ジチアンの存在により示されるようにマスタード(HD)剤を化学的に分解する。ある場合には、ナノ粒子は、活性炭と同一あるいはそれよりも良好な機能を示すが、軽量材料によりコンパクトな容積である。
【0046】
生物的な防護をもたらす場合、防護性繊維は、生物戦剤または伝染性微生物、例えばウイルス、(増殖性)バクテリア、胞子形成したバクテリア(炭疸)、真菌または原生動物に対する防護をもたらす。異なる機構を利用して、反応性ナノ粒子は、微生物の細胞壁、タンパクおよびDNAを瞬時に攻撃し、破壊する。
【0047】
用語「有害な物体」は、本出願で使用されるように上記すべての生物剤および化学剤を単独で、あるいは組み合わせで含むように定義されることを特記すべきである。
(更なる活性炭構成成分)
生物戦剤は、ある胞子種が休眠種またはこれら自身の遺伝的前駆体として発生させるバクテリア、ウイルス、真菌または胞子であってよい。これらの種の化学剤との主な差異は大きさであり、これらは数10分の1μm(ミクロン)からμm(ミクロン)以上の大きさであり、化学剤よりも少なくとも約1000倍大きい。活性炭の細孔は、細孔それ自身よりもはるかに大きいこれらの物体を吸着することができない。これらの生物的な物体の初期波は、活性炭の外部細孔を急速に封鎖し、それにより細孔内で別なやり方で容易に捕捉される小化学種の吸着を防止する。汚染された環境がナノ粒子を含有する繊維の網目と最初に遭遇する場合、その中に含有されるいかなる生物剤/物体も溶菌を受けるようにされる。溶菌の副生成物は化学的毒素であり、下流の活性炭により更に容易に吸着される。このように、生物致死性ナノ粒子を含有する多構成成分の防護性材料は、化学および生物戦剤の両方を含有する環境中で活性炭の効能を改善することができる。
【0048】
いかなるタイプのカーボンも本発明で使用してもよい一方で、驚異的に高い表面積(例えば、約1500m/gm)と驚異的な硬さ(例えば、ローム・アンド・ハース社(Rohm & Haas)および呉羽化学(Kureha)のビーズよりも約2倍から約10倍硬い)を持つ活性炭質ビーズ(カーボテックス社(CarboTex)のビーズ)は、好ましくは本発明の態様により使用される活性炭ビーズを含む。本発明で使用される好ましい活性炭ビーズの製造に使用される材料および方法は、Giebelhausenらによる「微細構造を持つ球状の高性能吸着剤」と題する2001年3月8日出願の公開された米国特許出願第2002−0028333号、Giebelhausenらによる「賦型高性能吸着剤の製造方法」と題する2000年3月15日出願の米国特許第6,376,404号、およびGiebelhausenらによる「賦型活性炭の製造方法」と題する2000年3月15日出願の米国特許第6,316,378号に記述されており、これらの開示はすべて参照により本明細書に組み込まれる。
【0049】
代替の実施形態においては、活性炭上に金属イオンを装填(例えば、ウエットラーリゼーション)して、接触する血液剤に対して防護をもたらすために反応性を更に付与した活性炭ビーズを使用してもよいことを特記すべきである。
(更なるヨウ素化樹脂構成成分)
空気および水を精製するためのフィルタにおいてヨウ素化樹脂を使用する。これは、イオン交換樹脂マトリックスに固定されたヨウ素からなる微生物致死性剤である。微生物がこのヨウ素化樹脂に接触すると、ヨウ素が放出される。微生物のタイプに依って、このヨウ素は、細胞膜、生体タンパクまたはDNAを酸化して殺すか、あるいは再生不能とする。ヨウ素化樹脂は、ウイルス、バクテリア、胞子形成したバクテリア、真菌および原生動物に対する生物致死性の効能を有する。ヨウ素化樹脂は、通常、ビーズ、破片または粉末の形でまとめて販売されている。トリオシン(Triosyn(登録商標))樹脂は、好ましくは本発明で使用されるヨウ素化樹脂のタイプの一つの例である。このようなヨウ素化樹脂をこのナノ粒子と組み合わせてもよい。
(付着法)
与えられた用途と所望の防護レベルに依って、活性炭を生物致死性ナノ粒子と同じ織物層内に収容するか、あるいは隣接した、あるいは更に間隔をあけた層中に収容することができる。層間隔を置くことによって、外周の空気流れの滞留時間を増大することができ、一方圧縮された層は更に薄い、更に軽量の防護性材料を提供する。このヨウ素化樹脂と活性炭粉末を以下の例示の方法のいずれかによる織物に付着させることができる。
【0050】
(スクィーズコーティング)−この積層方法は、例えばフラー(Fuller)装置を利用することができる。好ましい実施形態においては、この装置を使用して、織物(例えばポリエステル)を接着剤により浸漬タンクを介して完全に濡らし、次に過剰な液をニップロールにより絞り出す。過剰な接着剤を除去したならば、濡れた、あるいは部分的に硬化した織物上に粉末を例えばシェーカー系により塗布する。次に、織物を充分に硬化し、続いて真空または強制空気により、織物の表面からいかなる異質な粉末も除去する。代替の実施形態においては、接着剤(例えばウレタンあるいはアクリルの粉末)を合体してスラリーとし、次にフラー装置を通す。
【0051】
(プリプレグ法)−プリプレグ法は、更なる積層の前に樹脂または接着剤により織物(例えば、ポリエステル)を予備含浸することを含む。最初に、織物を接着剤により完全に被覆し、次にニップロールにかけて、過剰の接着剤を除去する。プリプレグされた材料は室温では乾燥および非粘着のままでなければならないが、好ましい接着剤は、プリプレグ後の加熱時には粘着性/溶融状態となる能力を有しなければならない。例示の接着剤は、約20%から約25%固体のウレタンベースの接着剤、または約30%の固体を有するホットメルト熱可塑性接着剤を含む。接着剤によるコーティング後、粘着性でなくなるまでこの織物を引き続いて乾燥する。ここで、乾燥した接着剤により被覆された織物は、「プリプレグ」されていると考えられる。次に、プリプレグされた織物上に粉末を塗布し、これを短時間で急速加熱する。接着剤は加熱により粘着性となるので、粉末は接着剤に永久に結合状態となる。次に、織物を冷却し、再度接着剤を非粘着性とする。最後に、いかなる異質な粉末も除去するために、得られた織物を強制空気により掃気することができる。
【0052】
(ホットメルト法)−ホットメルト技術は、室温で固体である熱可塑性ポリマーからなる織物を利用する。次に、これらのポリマーを溶融の形まで加熱するが、この時点で異なるタイプの材料をこのポリマー上に接着することができる。次に、化学的硬化または溶剤の蒸発でなく、単純な冷却によりこのポリマーを固化するが、有利なこととしては、このことはホットメルト法を更に環境に優しいものとする。ホットメルト技術は、(i)加工された繊維および(ii)ホットメルト接着剤の2つのグループに分けることができる。
【0053】
加工された繊維は、融解してなくなるか、あるいは融解状態となるように設計された低融点を有するポリマーにより被覆された繊維である。例示のホットメルト繊維は、補強あるいは非補強の熱可塑性物質、例えばポリエステル、ポリアミドおよびエチレン酢酸ビニル(EVA)からできた外側を有する。通常、加工された繊維は種々の直径で入手可能であり、いかなる直径の大きさも本発明で利用してよいことを特記すべきである。これらの加工された繊維を、例えば織った、あるいは不織の基材の中に組み込んで、布地を形成することができる。溶融したならば、加工された繊維の外側を接着剤として使用して、材料、例えば他の繊維、布地または粒子状物質を結合することができる。これによって、大多数の他の用途方法(例えば、スクィーズコーティング)に比較して、例えば粒子状物質の清潔で、効率的かつ高度制御性の塗布が得られる。
【0054】
ホットメルト接着剤は100%固体の熱可塑性接着剤であり、本発明で利用してもよい例示のタイプは、EVA、ポリオレフィン、ポリアミドおよび他の好適な接着剤である。熱発生装置により、例えば携帯型装置または溶融状態までこの固体接着剤を減粘するバルク系の使用によって、これらの接着剤を塗布してもよい。次に、冷却により接着剤を硬化させ、これにより大多数の基材と急速な耐久性の二重結合を形成する。例えば、異なる基材と結合するように、ホットメルト材を特に配合してもよい。
【0055】
ホットメルト接着剤を使用することに対しては多数の利点がある。例えば、ホットメルト接着剤は100%固体系であるので、輸送および貯蔵の問題を低減させる。加えて、これらの接着剤によりもたらされる瞬間的な結合強度によって、更に迅速で、更に効率的な製造が可能となる。事実、水あるいは溶剤ベースの接着剤と比較して、ホットメルトは、強い結合を殆ど瞬時に形成し、加工に使用される装置の大きさと量を低減させる。装置の低減は、乾燥あるいは硬化オーブンを必要としないという事実によるものである。更には、溶剤ベースの系に比較したホットメルト接着剤の高粘度によって、結合強度を犠牲にせずに、種々の多孔質と非多孔質基材上でこれらを使用することができる。最後に、ホットメルト接着剤は溶剤蒸発により固化するものではないので、環境にやさしいと考えられ、更に厳しい環境ガイドラインに鑑みると重要性が増しつつある。
【0056】
一つの実施形態においては、ホットメルト接着剤から製造される粉末を使用して、織物上に活性炭粉末を付着させてもよい。例えばスペーサ布地上に粉末を永久に付着させるためには、ホットメルト接着剤によりこの織物を予備含浸するか、あるいは「プリプレグ」する。ホットメルト接着剤が微細粉末である場合には、例えばこの布地の表面上にこれを単純に撒き散らし、この織物を被覆することにより、プリプレグを行うことができる。次に、粉末を被覆した織物を加熱して、接着剤粉末を固定する。
【0057】
一様な分布を得るために、そして取り扱いの容易さを促進するために、別法としては、ホットメルト粉末接着剤および粉末の少なくとも一方を静電流動床技術(下記の第2部で更に述べる)により塗布することができることを特記すべきである。強制空気により掃気することにより、いかなる非結合の、あるいは異質な粉末および接着剤粉末の少なくとも一方を除去してもよい。
(静電付着)
織物の表面上に粉末を付着させるための代替的な方法は静電付着を含む。一つの実施形態においては、静電付着は、接着剤または結合剤(例えば、活性炭粉末、ヨウ素化樹脂粉末など)を使用せずに、静電的に帯電した流動床の技術並びに粉末管理システムを利用して、種々の織物に粉末を塗布する。本発明においては、織物に粉末化粒子状物質の組み込む法を使用するが、不織のバリア、フィルムまたは膜上に粒状物質を被覆するために、静電付着法も使用可能であることを特記すべきである。
【0058】
静電的流動床法においては、粒子状物質を流動チャンバ中で曝気し、イオン化空気により静電的に帯電させる。帯電状態となるに従って、粒子状物質は相互に反発する。粒子は流動床の上に上昇し、帯電粒子雲を形成する。次に、静電的に帯電した粒子状物質の雲に織物を導入する(例えば、それを通して搬送する)。帯電した粒子状物質は、織物に引き付けられ、付着し、織物を被覆する。粒子状物質は、既に被覆された領域よりも露出した領域に引き付けられるので、織物上に粉末の均一なコーティングをもたらす。有利なこととしては、静電的流動床法は、均一な粉末堆積をもたらし、粒子状物質追加物を増加あるいは減少するようにこれを調整することができる。帯電した媒体への印加電圧並びに帯電粒子雲への織物の暴露時間を調整することにより、コーティング厚さと堆積重量を制御することができる。
【0059】
静電的流動床法についての更なる詳細は、以下の米国特許に示されており、この完全な開示が参照により本明細書に組み込まれる。この参照は、第4,797,318号、第5,639,307号、第6,294,222号、第5,486,410号、第5,736,473号、第5,482,773号および第6,024,813号および公開された米国特許出願第2002/0187258号である。静電的流動床法についての詳細は、この完全な開示が参照により本明細書に組み込まれる外国特許JP513 1136にも記述されている。
【0060】
静電付着による織物上への粉末の組み込みにおいて本発明が取り組んだ問題点は、
(a)静電付着について利用される装置に対する最良のプロセスパラメータを確立すること、
(b)粉末を捕捉して、ナノ粒子の目的の装填量を得るための理想的な基材を選択すること、
(c)場合によっては、織物を接着性増強剤または結合剤により前処理すること、
(d)静電的に付着させた後に、粉末を永久に付着させるための方法を開発すること、そして、
(e)増強された接着に対しては、化学接着剤を場合によってはダウンセレクトして、織物への粒子の付着を改善すること、
を含む。
【0061】
(生物致死的反応性の有効な織物の例)
樹脂粉末および活性炭粉末の付着について種々の付着法を開示してきたが、ナノ粒子に対する付着法は多数の特別な条件の平衡を必要とする。これらの要件の成功的な実施は、「非閉塞性保持手段」と総称して呼ばれる。本発明者らは、下記に掲げた因子のいくつかを最適化して、織物の中に自由流動性のナノ粒子の吸着性および反応性を移す付着法の改変または制御として「非閉塞性保持手段」を定義する。これらの因子の例示の列挙は次の通りである。ナノ粒子クラスタの間の空間的な距離を維持して、塊形成による閉塞を回避すること、織物および付着機構にナノ粒子を適合させて、適合性を保証すること、接着剤(例えば、できるだけ低いTgの)をダウンセレクトして、融解流動によりナノスケールサイズの粒子を物理的に壊滅することを回避すること、ポップコーンタイプのクラスタへの凝集の比率が低くても原子およびイオンの大部分がナノ粒子の表面に存在する特性的ナノ粒子物質構造を維持すること、溶菌を促進する原子/イオンのギザギザの縁からなる表面構造を侵食する変化を回避すること、そして化学的物体の吸着と生物的および化学的物体に対する反応性/吸着を不利に妥協させる化学変化および反応を回避すること。
【0062】
静電付着と一緒に接着剤も使用してもよいが、静電付着単独で更なる接着剤を使用せずに基材へのナノ粒子の結合を成功させることができる。有利なこととしては、更なる接着剤を無くすることによって、非反応性を起こさせるナノ粒子の過閉塞を同時に防止しながら、最終製品中の接着剤とナノ粒子の間のいかなる望まれない化学反応の可能性も除去される。
【0063】
一つの実施形態においては、静電付着の方法を使用して、合成の二成分(あるいは多成分)繊維からなる織物にナノ粒子を付着させることができる。二成分繊維は、例えば少なくとも2つ以上の異なるタイプのポリマーからなる。このポリマーは、例えばポリオレフィン、ポリアミドおよびポリエステルを含んでもよい。例えば、各二成分繊維は、ポリエステルからなる内コアと所望の特性に依ってはポリプロピレンまたはナイロンからなる外シースを有してもよい。この実施形態によれば、この二成分繊維上に帯電したナノ粒子を激しく吹き付けるための電磁的/静電的機構を使用した流動床装置の中に凝集したナノ粒子を導入する。この二成分繊維の表面上に粒状物質を空間的に分布させたならば、注意深く制御した方法で場合によっては熱を加えて、粒子状物質を永久的に固定してもよい。顕微鏡下で、ナノ粒子が低Tgの熱可塑性繊維中に埋め込まれていることを見ることができる。このように、繊維のポリマーはそれ自身の接着剤として作用する。有利なこととしては、この方法は、更なる接着剤を使用する必要性を不用とし、したがって粒状物質の過閉塞、接着剤の硬化から生じる蒸気からの望まない化学反応または意図しない吸着を最少とする。
【0064】
この粒子状物質の非閉塞性保持に続いて、強制空気を使用して、織物に結合しなかった異質な粒子状物質を除去することができることを特記すべきである。この方法で処理された織物は、有利なこととしては、例えば織物構成物(例えば、衣服、テント、衣服など)中で生物致死能を提供することができる。
【0065】
(試験データ)
化学剤試験をCalspan University of Buffalo Research Center(CUBRC)により行った。この試料をCUBRCに送って、マスタード(HD)とソマン(GD)の液体/蒸気(L/V)および蒸気/蒸気(V/V)に対して曝露した。CRDC−SP−84010、「化学剤に対する衣服系を評価するための実験室方法−Mo Jo Waters法」1984年6月に記述されている手順の改変版からなる、CUBRCの標準操作手順「SOP−AEC−CHEM2−R00」により、試料を試験した。 この試料を外周温度(〜23℃)および50%の相対湿度で曝露した。各試料小片のサイズは11.4cmであった。
【0066】
示した試験結果は、ナイロン/木綿(50/50)の「Ripstop」材料を含むカバー布地を使用する試料のものである。この布地は、「quarpel」処理した耐風性ナイロン/木綿ポプリンである。「quarpel」処理は耐水および耐油性の仕上げである。このカバー布地は、低空気透過性および高液体耐久性の2つの目的で機能する。これは、化学剤が直接この布地から瞬時に浸み込み、ナノ粒子を壊滅しないようにするためである。
【0067】
試験した剤に依って、10g/mの汚染密度を生じるMeS、HDまたはGDの10−1μLの液滴により各試料を曝露した。試験剤をカバー布地の外表面に塗布した。すべての試料を三重で試験し、各試料タイプは1つのコントロール試料を含んでいた。このコントロール試料は反応性/吸着性の構成成分を含有しないものであった。試験パラメータの完全なリストを表1に掲げる。
【0068】
【表1】

【0069】
高ロフト濾過媒体は、合成の二成分繊維からなる不織布である。二成分繊維は2つ以上のポリマーからできている(内/外コアを有することができる)。この濾過媒体試料を上述のquarpel処理したカバー布地によりすべて試験した。
【0070】
MgOナノ粒子無しの試料(コントロール)に比較して、MgOナノ粒子により装填された高ロフト濾過媒体試料は極めて良く機能した。MeS曝露(この結果を下記の表2に示す)においては、コントロール試料についての324.0nm/分/cmと反対に、この試験試料は、1時間で単に31.9nm/分/cmのMeS平均透過速度を有していた。
【0071】
【表2】

【0072】
表3はMgOナノ粒子により装填された高ロフト濾過媒体による液体/蒸気HD透過試験の結果を示す。驚くべきこととして、これらの試験試料は、HDの累積重量を85%まで低減させることが可能であった。
【0073】
【表3】

【0074】
表4は、HDのみならず揮発性液体のフッ素化有機リン化合物である生の化学剤ソマン(GD)に対して試験した試料の内容を示す。HDおよびGDの曝露におけるこの試料についての試験結果を表5および6に示す。
【0075】
【表4】

【0076】
【表5】

【0077】
【表6】

【0078】
有利なこととしては、試料021902−7は、HDの累積重量を86%低減させることが可能であり、そしてGDの累積重量を99.8%低減させることが可能である。
【0079】
傾向の限りでは、上記の表4−6中のデータは、HDあるいはGDの吸着に対するナノ粒子の装填量の直接の相関を示す。すなわち、フィルタ媒体上のナノ粒子装填量が高い程、吸着されるHDまたはGDは多い。
【0080】
CUBRCは、CRDC−SP−84010、「化学剤に対する衣服系を評価するための実験室方法−Mo Jo Waters法」1984年6月に記述されている手順の改変版からなる、CUBRCの標準操作手順「SOP−AEC−CHEM2−R00」に従って織物試料についての透過試験も行った。
【0081】
この試験は、外周温度(〜23℃)および50%相対湿度における液体汚染/蒸気透過からなるものであった。11.4cmの寸法の試料を10g/mの汚染密度を生じる化学剤HDの9μLの液滴により曝露させた。この試料を液体透過セル(CRDC−SP−84010規格)に入れ、そして下にポリエチレンフィルムを置かなかった。試料の上方および下方の表面に環境的制御された空気を〜0.9slpmで8時間流した。
【0082】
それぞれ12の個所を順次サンプリングする能力のある多ポートバルブを順次に開閉するStream Selections Systems(SSS)から構成されている2つのMINICAMS(登録商標)(Miniature Chemical Agent Monitoring System)により透過HDの分析定量化を行った。SSSは試験物体と実験室空気のブランクの流出物のサンプリングの間を行き来した。試料の間でブランクを使用することによって、MINICAMS(登録商標)が高濃度レベルの試料に続くこの装置内の残存HDを低減することができた。
【0083】
この試験した試料は、反応性−吸着性構成成分を含有する織物であった。この試料を三重で試験し、そしてコントロール試料(この反応性/吸着性構成成分を含有しない)を含めた。この試料は、上記に挙げたナイロン/木綿(50/50)の「Ripstop」布地からなるカバー層を含むものであった。このカバー布地の外表面にHDを塗布しなかった。示した試料(112901−22HL装填)およびその関連のコントロール試料に対する含浸層は、一方の側では白色であり、他方の側では黄色であった。白色側を外表面の下側に向けてこれを配向させた。この試験結果の要約を表7に示す。この結果から判るように、コントロールに比較した場合試験試料による83%の累積重量の低下があった。
【0084】
【表7】

【0085】
本発明により使用されるナノ粒子は防護性を有するもの、すなわち防護性ナノ粒子または防護性ナノ粒子体である。この用途の目的には、用語「防護性ナノ粒子」は、以下の3つの特定のタイプのナノ粒子、化学吸着性ナノ粒子、化学反応性ナノ粒子、および生物致死的反応性ナノ粒子の1つ以上を網羅する。
【0086】
防護性ナノ粒子は、金属含有ナノ粒子または金属含有ナノ結晶である。この金属は、金属酸化物、金属水酸化物、金属水和物、POMとして存在する。防護性を増強するために、このような金属含有保護剤を金属酸化物、I族金属、IA族金属、反応性ハロゲン、金属硝酸塩、SO、NO、またはオゾンの1つ以上と組み合わせてもよい。
【0087】
粉末まで磨砕したバルク金属含有粒子は、従来の表面性能を有するために、本発明により使用されるナノ粒子の防護性を有さないことを特記すべきである。見掛け上同一のサイズ範囲内にあるナノ粒子と粉末を区別するためには、本発明による防護剤は、微粉砕されたナノ粒子または微粉砕されたナノ結晶と呼ばれる。防護性ナノ粒子は、1nmから200nmのサイズのナノ粒子クラスタから形成される。これらのクラスタはファン・デル・ワールス力により一緒にくっつき、それゆえ多くの識別可能な構成部分を有する。磨砕粉末はまったく単一の物体であり、均一な外表面を持つ。これと対照的に、このナノメーターサイズのクラスタが一緒にくっつく場合には、元の表面積の多くが保存され、初期の防護性ナノ粒子に対しての少なくとも70m/gのブルナウアー・エメット・テラー(BET)多点表面積および最近の品種に対しては少なくとも1200m/g以上の表面積をもたらす。これらの表面は、45オングストロームから100オングストロームの平均細孔径を有する細孔を含有してもよい。
【0088】
構造、表面積および細孔サイズはナノ粒子に防護性を付与するが、これらの構造的特徴が有形の防護性フィルタ前駆体の中にナノ粒子を組み込む過去の試みも妨げてきた。不成功であった試みは、ファン・デル・ワールス力をコントロールすることができず、過度の塊化を生じることの、あるいは接着あるいは保持手段をコントロールすることができず、有用な表面積または細孔の閉塞を生じることの結果であった。本発明は、化学吸着性、化学反応性または生物致死的反応性の1つ以上を容易に組み込むために、ナノ粒子を柔軟な方法で使用する製品および方法に関する。
【0089】
本発明の例示の実施形態を本明細書に述べたが、本発明はこれらの明確な実施形態に限定されるものでないこと、および当業者ならば本発明の範囲または精神から逸脱せずに種々の他の変更および変型をこれらの実施形態中で用いてもよいことを理解するべきである。例えば、実質的に同一の方法で実質的に同一の機能を果たして、同一の結果を与えるカーボンビーズ、金属イオン、ナノ粒子および/または方法の工程および/または基材材料のすべての組み合わせは、本発明の範囲内にあるということを明白に意図している。更には、本発明のいかなる開示された形または実施形態も、いかなる他の開示あるいは記述あるいは示唆された形、または用途方法の適合性の一般的事項として、組み込んでもよいことを認識すべきである。それゆえ、添付の特許請求の範囲により示される通りに限定することを意図する。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の実施形態による防護性織物の例示の断面図である。
【図2】本発明のもう一つの実施形態による防護性織物の例示の断面図である。
【図3】本発明の更にもう一つの実施形態による外層と内層を有する防護性織物系の例示の断面図である。
【図4】本発明の態様による生物致死性インタフェースとしての防護性織物の使用を示す例示の図である。
【図5】本発明の態様による織物ベースの汚染除去物質による生物剤または化学剤に対する防護方法を図示する例示のフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部構造物を有する織物、および、
前記内部構造物に結合されている防護性ナノ粒子、
を含む、化学剤および生物剤の脅威に対して防護するための装置。
【請求項2】
前記内部構造物は前記織物の隙間を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記内部構造物は3Dスペーサ布地の上方および下方の布地層の間に延びる垂直な繊維を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記織物は上方外表面と下方外表面を含み、前記内部構造物が前記上方および下方の外表面の間に配設されている繊維を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
外表面の間の直接の垂直な経路を横切って、前記織物を通る曲がりくねった経路を形成し、前記織物と遭遇する化学剤および生物剤の滞留時間を長くして、前記ナノ粒子との接触を増大させる非垂直な繊維を前記繊維が含む、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記内部構造物は第1の層を含み、前記装置は前記第1の層に平行な第2の層を更に含み、前記第2の層は活性炭を含有する、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
化学および生物の脅威を接触させるのに有効表面積を維持しながら、前記内部構造物に前記防護性ナノ粒子を結合するための非閉塞性結合手段を更に含む、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記防護性ナノ粒子は化学吸着性のナノ粒子、化学反応性のナノ粒子、および生物致死的反応性のナノ粒子の少なくとも1つを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記ナノ粒子は金属酸化物、金属水酸化物、金属水和物、およびPOMの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記ナノ粒子を金属酸化物、反応性ハロゲン、アルカリ金属、金属硝酸塩、SO、NOおよびオゾンの少なくとも1つと組み合わせる、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記ナノ粒子は1から200nmサイズのナノ粒子クラスタから形成される、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記ナノ粒子は少なくとも約70m/gから少なくとも約120m/gのブルナウアー・エメット・テラー(BET)多点表面積を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記ナノ粒子は少なくとも約45オングストロームから少なくとも約100オングストロームの平均細孔径を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記装置は非空気透過性層を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
化学脅威に対して防護するための第1の層と生物脅威に対して防護するための第2の層を前記装置は含む、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記第1の層は活性炭を含む、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記層の1つは活性炭性能増強性ナノ粒子を含む、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記層の1つは生物致死性ナノ粒子を含む、請求項16に記載の装置。
【請求項19】
前記装置は衣服、フィルタ、テント、ストレッチャー、野外器具、毛布および織物ベースの製品の1つに含まれる、請求項1に記載の装置。
【請求項20】
内部構造物を有する織物、
前記内部構造物に結合して、防護用近傍から前記物体に前記ナノ粒子を分散させずに、前記織物の近傍に維持される物体または物体の一部が汚染された環境を安全に通過することができる防護性ナノ粒子、
を含む、防護用の空間的に分布された生物致死性インタフェース。
【請求項21】
前記内部構造物は3Dスペーサ布地の上方および下方の布地層の間に延びる垂直な繊維を含む、請求項20に記載のインタフェース。
【請求項22】
前記内部構造物は前記織物の上方および下方の外表面の間に配設されている繊維を含む、請求項20に記載のインタフェース。
【請求項23】
前記繊維は外表面の間の直接の垂直な経路を横切り、それによって前記ナノ粒子と接触するための滞留時間を増大させる非垂直な繊維である、請求項22に記載のインタフェース。
【請求項24】
前記内部構造物は第1の層を含み、前記インタフェースは前記第1の層に平行な第2の層を更に含み、そして前記第2の層は活性炭を含有する、請求項20に記載のインタフェース。
【請求項25】
化学および生物の脅威を接触させるのに有効表面積を維持しながら、前記内部構造物に前記防護性ナノ粒子を結合するための非閉塞性結合手段を更に含む、請求項20に記載のインタフェース。
【請求項26】
前記防護性ナノ粒子は化学吸着性のナノ粒子、化学反応性のナノ粒子、および生物致死的反応性のナノ粒子の少なくとも1つを含む、請求項20に記載のインタフェース。
【請求項27】
前記ナノ粒子は金属酸化物、金属水酸化物、金属水和物、およびPOMの少なくとも1つを含む、請求項20に記載のインタフェース。
【請求項28】
前記ナノ粒子を金属酸化物、反応性ハロゲン、アルカリ金属、金属硝酸塩、SO、NOおよびオゾンの少なくとも1つと組み合わせる、請求項20に記載のインタフェース。
【請求項29】
前記ナノ粒子は1から200nmサイズのナノ粒子クラスタから形成される、請求項20に記載のインタフェース。
【請求項30】
前記ナノ粒子は少なくとも約70m/gから少なくとも約120m/gのブルナウアー・エメット・テラー(BET)多点表面積を有する、請求項20に記載のインタフェース。
【請求項31】
前記ナノ粒子は少なくとも約45オングストロームから少なくとも約100オングストロームの平均細孔径を有する、請求項20に記載のインタフェース。
【請求項32】
前記織物は、その上に塗布されたナノ粒子を有するカーボンビーズを含む、請求項20に記載のインタフェース。
【請求項33】
前記織物はその間に前記内部構造物を結合する上方および下方の布地を含み、前記上方および下方の布地はその上に塗布されたナノ粒子を有する、請求項20に記載のインタフェース。
【請求項34】
前記上方および下方の布地の少なくとも1つは前記材料を通る気体流を妨害する材料に取り付けられているか、あるいはそれを含む、請求項33に記載のインタフェース。
【請求項35】
積層を形成するように層化された化学および生物の脅威に対して防護するための複数の層を更に含む、請求項20に記載のインタフェース。
【請求項36】
前記積層の各層は異なる脅威に対する防護を提供する、請求項35に記載のインタフェース。
【請求項37】
前記積層の各層は異なるレベルの脅威に対する防護をもたらす、請求項35に記載のインタフェース。
【請求項38】
前記インタフェースを衣服中に含ませる、請求項20に記載のインタフェース。
【請求項39】
前記インタフェースは軍服、テント、ストレッチャー、野外器具、毛布および織物製品の少なくとも1つに含まれる、請求項20に記載のインタフェース。
【請求項40】
前記物体はヒトの少なくとも一部を含む、請求項20に記載のインタフェース。
【請求項41】
前記物体を前記織物中に包み込む、請求項20に記載のインタフェース。
【請求項42】
前記物体は食物を含む、請求項20に記載のインタフェース。
【請求項43】
前記物体は生命体を収容する空間を含む、請求項20に記載のインタフェース。
【請求項44】
前記汚染された環境に入る前に前記インタフェースを前記物体に連結させる、請求項20に記載のインタフェース。
【請求項45】
前記インタフェースは空気/液体透過性である、請求項20に記載のインタフェース。
【請求項46】
前記織物中のナノ粒子は相互に実質的に固定された位置に留まる、請求項20に記載のインタフェース。
【請求項47】
防護性を有するナノ粒子を準備する工程、および、
前記織物に前記ナノ粒子を非閉塞性保持手段により結合し、前記織物の内部は前記織物の内部と遭遇する環境の一部内に配設された化学剤または生物剤を汚染除去するようにされている工程、
を含む、織物ベースの汚染除去物質により化学剤または生物剤に対して防護する方法。
【請求項48】
前記織物が汚染除去域を形成するスペーサ繊維を含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記結合工程は前記スペーサ繊維上にナノ粒子を装填して、予め決められた化学的あるいは生物的な汚染除去能力を得る、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記スペーサ繊維の長さを調節して、前記汚染除去域を通る距離を制御することを更に含む、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記スペーサ繊維の密度を調節して、環境との接触時間を制御することを更に含む、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記環境内での汚染物質の距離と接触時間を基準とした目標の汚染除去速度を得るためのナノ粒子装填量を求めることを更に含む、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記織物は蒸気および液体の拡散速度を有する空気透過性織物であり、前記拡散速度は織物の厚さ、スペーサ繊維のサイズ、スペーサ繊維の密度、スペーサ繊維の構成および外部層の透過性の1つの関数である、請求項49に記載の方法。
【請求項54】
前記拡散速度の関数として目標の汚染除去速度を得るためのナノ粒子装填量を求めることを更に含む、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記ナノ粒子は1から200nmサイズのナノ粒子クラスタから形成される、請求項47に記載の方法。
【請求項56】
前記ナノ粒子は金属酸化物、金属水酸化物、金属水和物、およびPOMの1つを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項57】
前記ナノ粒子を第2の異なる金属酸化物、反応性ハロゲン原子、アルカリ金属、金属硝酸塩、SO、NOおよびオゾンの1つを含む組成物と組み合わせる、請求項47に記載の方法。
【請求項58】
実質的にナノ粒子が前記層の外部の上に残存しない、請求項47に記載の方法。
【請求項59】
非閉塞性保持手段により前記織物に結合された防護性を有するナノ粒子を有する織物を準備し、前記織物の内部は前記織物の内部と遭遇する化学剤または生物剤を汚染除去するようにされている工程、および、
前記織物を化学脅威または生物脅威に暴露し、前記脅威は前記織物に入るに従って、前記脅威が低下するか、あるいは無くなる工程、
を含む、織物ベースの汚染除去物質により化学剤または生物剤に対して防護する方法。
【請求項60】
前記暴露工程は前記化学的脅威を不活性とすることを含む、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記暴露工程は前記織物内の生物剤を溶菌にかけることを含む、請求項59に記載の方法。
【請求項62】
前記暴露工程は生物体を再生しないようにすることを含む、請求項59に記載の方法。
【請求項63】
衣服あるいは織物製品の中に前記織物を組み込む工程を更に含む、請求項59に記載の方法。
【請求項64】
前記暴露工程に続いて、更なる非閉塞性保持手段により更なるナノ粒子を前記織物に結合することによって、前記方法は前記織物を元の状態に戻す工程を更に含む、請求項59に記載の方法。
【請求項65】
前記更なる非閉塞性保持手段は前記提供工程の非閉塞性保持手段と同一である、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記更なる非閉塞性保持手段は前記提供工程の非閉塞性保持手段と異なる、請求項64に記載の方法。
【請求項67】
複数の織物を積層して、脅威または多数個の脅威に対して防護する工程を更に含む、請求項59に記載の方法。
【請求項68】
前記ナノ粒子は前記暴露工程時に消費されないまま残る場合には、前記暴露工程に続いて、前記方法は前記織物を再使用する工程を更に含む、請求項59に記載の方法。
【請求項69】
前記ナノ粒子が1から200nmサイズのナノ粒子クラスタから形成される、請求項59に記載の方法。
【請求項70】
前記ナノ粒子が金属酸化物、金属水酸化物、金属水和物、およびPOMの1つを含む、請求項59に記載の方法。
【請求項71】
前記ナノ粒子を第2の異なる金属酸化物、反応性ハロゲン原子、金属硝酸塩、SO、NOおよびオゾンの1つを含む組成物と組み合わせる、請求項59に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2006−502322(P2006−502322A)
【公表日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−548250(P2004−548250)
【出願日】平成15年2月21日(2003.2.21)
【国際出願番号】PCT/US2003/005177
【国際公開番号】WO2004/039187
【国際公開日】平成16年5月13日(2004.5.13)
【出願人】(503342812)ジェンテックス コーポレーション (1)
【Fターム(参考)】