説明

多次元のデータセットにオブジェクトをマッピングする方法、コンピュータプログラム、装置、画像分析システム及びイメージングシステム

多次元のデータセットにオブジェクトのマッピングを可能にするように配される装置(40)は、如何なる適切な形式の多次元のデータセットを入力するための入力部を有する。前記装置の中核は、例えば従来のマイクロプロセッサ又は信号プロセッサのようなプロセッサ(44)、(通常はハードディスクに基づく)バックグラウンド記憶装置(48)、及び(通常はRAMに基づく)作業メモリ(46)により形成される。このバックグラウンド記憶装置(48)は、処理を行っていない場合、前記データセット(又はその一部)を記憶するのに使用され、(プロセッサにより実行されない場合)図形リレーショナルアプリケーションのマクロ及びモデルの動作を記憶するのに使用されることができる。メインメモリ(46)は通例、処理を行っているデータセット(の一部)と、このデータセットの部分を処理するために使用される図形リレーショナルアプリケーションのマクロ及びモデルの命令とを保持している。本発明による装置(40)は、幾何学リレーショナルアプリケーションのフレームワークマクロを用いて一連の幾何学テンプレートの間における一連の幾何学的関係を規定するように構成される計算手段(45)、及び前記多次元の図形オブジェクトをこれら幾何学テンプレートと関連付ける手段(47)を有する。好ましくは、手段(45)及び(47)は、好ましくは記憶装置(48)に記憶されるコンピュータプログラム(43)により動作可能である。出力部(49)はマッピングの結果を出力するのに使用される。好ましくはこの出力は、多次元の図形オブジェクトと、図形リレーショナルアプリケーションのマクロにより相関付けされる幾何学テンプレートとの関連付けした結果を有する。本発明はさらに、多次元のデータセットにおいてオブジェクトをマッピングする方法、コンピュータプログラム、画像分析及びイメージングシステムにも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多次元のデータセットにオブジェクトをマッピングする方法に関し、この方法は、多次元の図形オブジェクトを用いて前記多次元のデータセットの分割を実行するステップを有する。
【0002】
本発明はさらにコンピュータプログラムにも関する。
【0003】
本発明はさらに、多次元のデータセットにオブジェクトをマッピングすることを可能にする装置にも関し、この装置は、
−前記多次元のデータセットを読み込む入力手段、及び
−多次元の図形オブジェクトを用いて前記多次元のデータセットの分割を実行する処理手段
を有する。
【0004】
本発明はさらに、多次元のデータセットをマッピングするように配される画像分析システムにも関する。
【0005】
本発明はさらに、イメージングシステムにも関する。
【背景技術】
【0006】
冒頭の段落に述べたような方法の実施例は、米国特許公報US 5,559,901から既知である。この既知の方法は、変形可能な二次元又は三次元の図形オブジェクトを使用し、これらオブジェクトは多次元の画像データ内に置かれ、その後所定の基準に従ってその形状及び位置を自動的に最適化する。例えば、解剖学的構造の境界がボクセル値の傾斜により特徴付けられる場合、最大の傾斜位置を辿って多次元の図形オブジェクトを再び作り直すことがこの解剖学的構造の形状のモデルとなる。図1は、簡単な形状2から始まり、多次元のデータセット内においてオブジェクト1を表す最終的な形状3となるまで、傾斜路を辿り自動的に変形させる既知の変形可能な二次元のオブジェクトの実施例を示す。図2は、簡単な形状2から始まり、多次元のデータセット内においてオブジェクト1を表す最終的な形状3となるまで、傾斜路を辿り自動的に2’、2”を変形させる既知の変形可能な三次元のオブジェクトの実施例を示す。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
既知の方法の欠点は、既知の分割が単に前記構造物のコンター(contour)又は形状に対するモデルを提供するだけである。分割された構造物の幾何学的特徴に関心がある場合、追加のデータ処理ステップが必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の目的は、多次元のデータセットにオブジェクトをマッピングする方法を提供することであり、分割された構造物の幾何学的特徴に関する情報は、前記多次元のデータセットから自動的に抽出可能である。
【0009】
本目的のために、本発明による方法は、
−幾何学リレーショナルアプリケーションのフレームワークマクロを用いて、一連の幾何学テンプレートの間における一連の幾何学的関係を規定するステップ、及び
−多次元の図形オブジェクトを前記幾何学テンプレートと関連付けるステップ
を有する。
【0010】
本発明の技術的手段は、多次元の図形オブジェクトを図形アプリケーションのフレームワークと関連付けることにより、正確に位置特定され、配向され及び大きが調整された多次元の図形オブジェクトは図形テンプレートに合わせられ、これにより図形アプリケーションのフレームワークマクロにより動作可能でもある洞察に基づく。この特性は、多次元のデータセットの正確な分割だけでなく、幾何学テンプレートに対し規定される幾何学アプリケーションのフレームワークマクロを用いて、前記分割された構造物の幾何学的特徴を自動的に抽出することも保証する。本出願の範囲内において“関連付け”という用語は、多次元の図形オブジェクトの夫々の空間座標と、図形テンプレートの空間座標との間における如何なるリンクでもあると理解されなければならない。これら空間座標は、厳密なユークリッド(Euclidian)座標、極座標又は如何なる適切な座標系内の座標とすることができることに注意しなければならない。その上、多次元の図形オブジェクトの空間座標が関連するテンプレートの座標に又はその逆に機能的に関連付けられることができる。多次元の図形オブジェクトを生じさせる分割ステップが達成した後であり、幾何学テンプレートが選択された後、夫々の空間座標は適当なルックアップテーブルに記憶され、多次元の図形オブジェクト又は前記幾何学テンプレートの一方が多次元のデータセット内に再び位置特定されるイベントが起こる際に、適切な再構成手段によりアドレッシングされる。代わりに、機能的な関連が用いられる場合、前記適切な再構成手段は新しい空間座標の計算を実行し、他の関連する項目が再び位置特定される場合、関連する項目の実行中の空間座標を更新する。
【0011】
幾何学アプリケーションのフレームワークマクロを用いた画像処理の実施例は、本出願人に付与されている国際出願公開番号WO/0063844から既知である。この幾何学アプリケーションのフレームワークマクロは、画像内に規定される様々な幾何学テンプレートの詳細な記述を提供する、特に画像の幾何学図形内に前記テンプレートを構造的に相互に関係付けるように構成され、これによりテンプレート間におけるある所定の幾何学的整合性が維持されるように、様々な幾何学テンプレートの構造的な取り扱いを提供する。この幾何学アプリケーションのフレームワークマクロはさらに、解剖学的構造物が適当なランドマークを備えている場合、この構造物の幾何学的特性の分析及び/又は測定を可能にする。円、線分、球体等のような所定の幾何学テンプレート間に起こり得る多様な幾何学的関係が可能であり、幾何学アプリケーションのフレームワークマクロ内に規定される。幾何学テンプレートは、ランドマーク、すなわち幾何学テンプレートと関連付けられた一連のランドマークを用いて、幾何学アプリケーションのフレームワークマクロにより動作可能である。図3は、幾何学テンプレート4、5a、5b、6間に幾何学的関係を規定するように配される幾何学アプリケーションのフレームワークマクロにより制御可能である既知の幾何学テンプレートの実施例を示す。既知の図形アプリケーションのフレームワークマクロはさらに、一度何れかの幾何学テンプレートが再び位置特定されると、規定される幾何学的関係を維持するように配される。夫々の幾何学テンプレートは、夫々の関連するランドマーク7a、7b、7e、7fを用いて規定される。これらランドマークに次いで、ランドマーク7c及び7dが、幾何学リレーショナルアプリケーションのフレームワークマクロにより設定される。
【0012】
この幾何学リレーショナルアプリケーションのフレームワークマクロは、3次元の幾何学テンプレート(図示せず)を動作させるように配されることもできる。この既知の幾何学アプリケーションのフレームワークマクロは、幾何学テンプレートと関連付けたランドマークが手動で変更しなければならない欠点を持ち、これは主観的な復元不可能な結果となる。例えば図3において、大腿骨頭を示すランドマーク7a及び7bは手動で位置特定される。
【0013】
本発明の技術的手法は、多次元の図形オブジェクトと、図形リレーショナルアプリケーションのマクロとの間に相乗効果を有し、それが多次元のデータセットに画像をマッピングする全自動の方法を供給するだけでなく、高い信頼性の記述及び測定工具も提供する。
【0014】
前記方法の実施例において、この方法は、
−多次元の図形オブジェクトの更新を幾何学テンプレートの更新と相関付けさせるステップ
を有する。
【0015】
この技術的手法の結果として、幾何学テンプレートが移動したときの多次元の図形オブジェクトの更新は手動で更新を行う。多次元の図形オブジェクトが再び規定される場合、関連する図形テンプレートの位置の自動更新は、手動での適合の必要性を無くす。手動での対話が依然として所望される場合、前記図形テンプレートの位置は、手動で適応するための自動的な提案として使用されることができ、これにより対話の労力を減少させる。好ましくは、幾何学テンプレートの位置は、関連する自動的に位置特定される多次元の図形オブジェクトから導き出せるように配される。例えば、円である図形テンプレートは、多次元の図形オブジェクトの経路に合致することができる。同様に、多次元の図形オブジェクトは、例えば前記図形テンプレートの経路に沿った不連続な頂点位置を計算する、及び図形テンプレートの各変更が行われた後、この図形テンプレートの経路に沿った多次元の図形オブジェクトを再び初期化することにより、幾何学テンプレートから得られる。
【0016】
本発明による方法のさらに他の実施例において、幾何学リレーショナルアプリケーションのフレームワークマクロは、関連する多次元の図形オブジェクトに制約を規定するように配される。
【0017】
この技術的特徴は、医療用の多次元のデータセットを処理することを目的とする臨床的応用に対し、解剖学的構造物を集めた物の相対的な位置及び方位に関する解剖学的知識を幾何学リレーショナルアプリケーションのマクロに組み込むことが利点であり、これは特定の臨床的問題を解決する又はデータ分析ステップの特定のシーケンスを実施するように調整される。図形リレーショナルアプリケーションのマクロは好ましくは、一連の多次元の図形オブジェクトを初期化するのに使用される。結果生じる画像のマッピングが目標であり、これによりユーザとの対話量を減少させる。
【0018】
図形リレーショナルアプリケーションのマクロは好ましくは、多次元の図形構造の変形中に、この構造に制約及び関係を課すように配される。結果として、臨床的な専門技能と互換性の無い状況は避けられる。その上、多次元の図形オブジェクトの位置は、多次元のデータセットに含まれる情報に関して自動的に最適化され、この最適化は、幾何学テンプレートの特徴及びその位置の目標の自動変更にし、これにより必要とされる手動の対話をさらに減少させる。
【0019】
本発明による方法のさらに他の実施例において、前記方法は、
−構成素モデルを組み立てるステップであり、前記構成素モデル各々は夫々の既定された構成素構造を分割するように構成されているステップ
−前記多次元の図形オブジェクトに組み込まれる又は関連付けられる少なくとも2つの構成素構造を決めることにより、前記多次元の図形データセットを分割するための合成モデルを組み立てるステップ、及び
−前記夫々決められた構成素構造に対応する夫々の構成素モデルに基づいて前記合成モデルを形成するステップであり、前記合成モデルは前記構成素モデルを制御することにより、前記多次元の図形データセットを分割するように動作するステップ
をさらに有する。
【0020】
この技術手法によれば、合成モデルは構成素モデルを用いて合成構造物を分割するように配されるので、各々は多次元のデータセット(例えば二次元画像)において一番もっともらしい解法を見つけるように配される。各構成素モデルは、合成構造物に組み込まれる又は関係付けられる構成素構造を分割するように構成される。構造に関しては、前記データセットにおいて関心のある領域又はオブジェクトは、医療データセット内における器官の描写を意味している。本来、上記構成素モデルがどのように動作するかは関係無い。例えば、前記解法又はそれらの組み合わせの可能性に関する画像情報自身(モデルが画像情報にどの位上手く対応しているか)に基づくことができる。このような挙動は、モデルのエネルギーを最小にする、すなわち同等には前記解法の可能性を最大にすることにより表されることができる。構成素モデルは、そのオブジェクトの先験的な知識を単独で使用し、他のモデルの使用/援助を受けることなく、夫々の基本構造、例えば左肺、右肺及び心臓を分割するために開発された基本モデルでもよい。これら基本モデルは、肺及び心臓を分割するための1つの合成モデルに結合されてもよい。それ自体では、この合成モデルは、3つの基本構造、左肺、右肺及び心臓を含む又はそれらに関連付けられる構成素構造を識別する。同様に、胸椎を分割するための同じ幾つかの基本モデルが脊椎を分割するための合成モデルに結合されてもよい。本質的に、各基本モデルは何れかの適切な分割技術を用いて、そのために設計される基本構造を分割する。前記合成モデルは、根本にある基本モデルの何らかの実施面を知っておく必要はない。本発明のよる方法に如何なる制限も課すことなく、説明だけを目的として特定の器官を参照することに注意されなければならない。
【0021】
本実施例によるモジュラーフレームワークは、別のアプリケーションに対するオブジェクトの分割を実行するのに使用することができる。既に展開した割体の再利用は、最初から再スタートするのではなく、既存の技術で製造することにより、素早い進行を可能にする。新しく展開したモデルが異なる分割技術に基づいていたとしても、既存の基本モデルの先行モデルを既に使用した何らかの合成モデルにおいて何ら労力を要することなく、改良されたモデルが利用されるので、前記フレームワークも上記基本モデルに改良を促進する。特に、医療撮像において、多くのオブジェクトはかなり複雑であるが、見つけるのが単純且つ容易である別々の部位に分離されることができる。さらに、隣接する構造物及びオブジェクトはしばしば、関心のあるオブジェクト自身よりも見つけるのが容易であり、これは、関心のあるオブジェクトを位置特定及び分割するとき役に立つ。このようにして、高い品質の合成モデルは、既存の通常は単純な基本モデルに基づいて組み立てられることができる。
【0022】
本発明による方法のさらに他の実施例において、多次元の図形オブジェクトと、関連する図形テンプレートとの間の通信を可能にすると共に、この通信を制御するインタフェースが設けられる。
【0023】
この技術的手法によれば、構成素モデルは、前記モデルを制御するためのインタフェースを具備する。これはモデルからなるフレームワークの製造を可能にし、ここで、(合成構造を分割するための)高いレベルのモデルは、前記合成構造における構成素構造に対する構成素モデルを使用して製造される。好ましくは、一律のインタフェースが選択される。このインタフェースは好ましくは、アクティブオブジェクトとリレーショナル図形との間の関係を設定及び制御する、例えば関係を規定し、アクティブワールドとリレーショナルワールドとの間の更新計画を制御する特定用途向けの制御器と製造するように配される。これに加え、ユーザは前記モードと対話するために、リレーショナル図形のインタフェースを使用することができる。前記アプリケーションの設計者(及び任意にユーザ)は、ホビット(Hobbit)インタフェース(以下に記載)が1つの可能な実施例である、アクティブオブジェクトユーザインタフェースにアクセスすることも可能である。前記モデルの一律のインタフェースは、合成モデルが同じやり方で全構成素モデルを制御可能にさせ、これにより合成モデルの製造をかなり簡単にする。その上、本来モデルに依存していない一律のユーザインタフェースはこれらモデルの内部の働きを隠す。これは、別の分割技術等を用いて、構成素モデルを別の実施と、例えば改良した性能と簡単に置き換えさせる。
【0024】
本発明はさらに、多次元のデータセットにオブジェクトをマッピングすることを可能にするように構成されるコンピュータプログラムにも関する。
【0025】
本発明によるコンピュータプログラムの好ましい実施例において、このコンピュータプログラムは、
−多次元の図形オブジェクトを用いて多次元のデータセットの分割を実行するために構成されるコンピュータコードを動作させ、
−幾何学アプリケーションのフレームワークマクロを用いて、一連の幾何学テンプレートの間における一連の幾何学的関係を規定し、及び
−前記多次元の図形オブジェクトを前記幾何学テンプレートと関連付ける
ように構成される。
【0026】
前記コンピュータプログラムの規定される動作の各々は、別々に実行可能なサブルーチンにおいて達成されてもよく、このコンピュータプログラムは適当なやり方で前記サブルーチンを実行するように構成されていることに注意すべきである。代わりに、本発明によるコンピュータプログラムは、その目的を実施するために、必要な命令全てをそれ自身で有してもよい。当業者は、コンピュータプログラムが物理的に実現されるやり方に対し多くの改良が可能であることを分かっている。本発明の範囲内にある全ての改良が考慮されることに注意されたい。
【0027】
本発明はさらに、多次元のデータセットにオブジェクトをマッピングすることを可能にする装置も関する。前記装置は、
−多次元のデータセットを読み込むための入力手段、
−多次元の図形オブジェクトを用いて前記多次元のデータセットの分割を実行するための処理手段、
−幾何学リレーショナルアプリケーションのフレームワークマクロを用いて、一連の幾何学テンプレートの間における一連の幾何学的関係を規定するように構成される計算手段、及び
−前記多次元の図形オブジェクトを前記幾何学テンプレートと関連付ける手段
を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明のこれら及び他の態様は、図を参照して以下に詳細に説明される。ここで同じ参照符号は同じ項目を指している。
【0029】
図1は、構造物の輪郭を自動的に描くように構成される二次元コンターの実施例10を示す。本実施例において、膝の断面である構造物1が示されている。前記二次元コンター2は、構造物1に関する傾斜情報1’を有する画像の上に位置決めされている。二次元コンター2は、それ自体は知られるやり方でその形状を発展させるように構成されるので、傾斜情報1’とコンター2との間の一致が達成される。変形可能なオブジェクトを操作するそれ自体は知られた複数の方法が、本目的に応用可能であり、例えばその方法は米国特許公報US 5,559,901号から知られている。
【0030】
図2は、自動的に再形成し、構造物の空間形状を一致させるように構成される三次元のオブジェクトの実施例11を示す。本実施例において、円筒の断面は、変形可能な三次元の図形オブジェクトとして示されている。当然、他の形状も同様に使用されることができる。円筒状の三次元の図形オブジェクト2aは脈管構造の一区間をマッピングするのが好ましい。脈管構造の様々な部分がこれにより連続してマッピングされることができる。加えて、この円筒状の三次元の図形オブジェクト2aは、動脈瘤をマッピングするのにも適している。通常は、この変形可能な三次元の図形オブジェクト2aは、一致3’に達する前に、多数の変形体2a’、2a”を経る。
【0031】
図3は、既知の二次元の図形リレーショナルアプリケーションのマクロ12の実施例を示す。このマクロは幾何学テンプレート4、5a、5b、6間における幾何学的関係を規定するように配される。既知の図形アプリケーションのフレームワークマクロはさらに、一度何らかの幾何学テンプレートが再位置特定されると、規定された幾何学的関係を維持するように構成される。夫々の幾何学テンプレートは、夫々の関連するランドマーク7a、7b、7e、7fを用いて規定される。幾何学アプリケーションのフレームワークマクロは、三次元の幾何学テンプレート(図示せず)を動作させるために配されることもできる。
【0032】
図4は、本発明による幾何学テンプレートに関連付けされる多次元の図形オブジェクトのアプリケーション20の第1の実施例を示す。この特定の実施例は、X線画像に基づく脚長の差の測定に関係するアプリケーションを説明している。他の如何なる適切なイメージング様式による他の如何なる適切な画像も同様に、本発明を実施するために使用されてもよい。図形リレーショナルアプリケーションのマクロにより相関付けされる図形テンプレートは、対応する大腿骨の先端部のサイズ及び位置を形に表す(modeling)ために配される2つの円22a、22bと、骨盤の基部を示すために配される線分26とを有する。両方の円の中心21c、21c’からこの基線までの距離は幾何学リレーショナルアプリケーションのマクロ構造の一部でもあり、自動的に計算される。それ故に、脚長の差を表している距離24aと24bとの間の差も自動的に高精度で得られる。
【0033】
ある要素(円22a又は線分26)が変更される場合、この変更を反映するために他の要素全ては自動的に更新される。本発明に従って、多次元の図形オブジェクト23a、23b、25a、25bは、夫々の図形テンプレート22a、22b、26と関連付けされる。これら多次元の図形オブジェクトは、多次元の画像データセットの端部又は他の外観に沿ってオブジェクト自身を自動的に位置特定するように配される。図形リレーショナルアプリケーションのマクロにより相関付けされる幾何学テンプレート22a、22b、26と、多次元の図形オブジェクト23a、23b、25a、25bとの間の関係を特に規定することにより、これら図形オブジェクトの位置及び次元が多次元の図形オブジェクトの位置及び次元に再び自動的に適合する。つまり、円22a、22bは閉じたコンター23a、23bの軌道に最適に嵌合するように位置特定される一方、直線26は、開いたコンター25a、25bの両方に接するように位置特定される。幾何学テンプレートは結合され、そして円22a、22b又は直線26の適合は、測定距離24a、24bに自動的に反映される。好ましくは、幾何学オブジェクト間に存在する制約及び関係は、これらオブジェクトの適合を制限するために配され、そして次に多次元の図形オブジェクトの適合に対する制限へ自動的に変換される。
【0034】
図5は、本発明による幾何学テンプレートと関連付けされる多次元の図形オブジェクトのアプリケーション30の第2の実施例を示す。図5は大腿骨の自動直径測定を示す。直線32、34は幾何学テンプレート、つまり大腿骨の軸を形に表す線分32、直径測定35の方向を形に表す第2の垂線34を示す。この垂線34は2つの幾何学テンプレート、すなわち関連する直径測定で2つのポイントオブジェクト33a、33bを含むように構成され、これら全ては幾何学リレーショナルアプリケーションのマクロ内に規定されている。本発明によれば、多次元の図形オブジェクト31である開いたコンターは、ポイント33a、33bと関連付けられている。これらコンターは大腿骨の縁に沿って自動的に自分自身を位置特定する。幾何学リレーショナルアプリケーションのマクロの幾何学テンプレートと、多次元の図形オブジェクト31との間において特に規定した関係により、これら2つのポイントオブジェクト33a、33bの位置は垂線34と各々の多次元の図形オブジェクト31との交点に自動的に適合される。
【0035】
ユーザが前記垂線34を持ち上げ、大腿骨の軸に沿ってこの垂線を移動させる場合、直径測定35は垂線34の新しい位置における現在の大腿骨の直径に依存して適合される。代替的な実施例では、多次元の図形オブジェクトが図形テンプレートに統合されることが可能である。この実施例において、例えば正又は負の傾斜(縁)を見つけるために、適切なアクティブ機能を制御するスイッチを持つアクティブな幾何学リレーショナルアプリケーションのマクロブロックが実施される。このブロックに対する入力は、垂線34及び多次元のデータセットである。この垂線が多次元のデータセット内においてその位置を変更する場合、多次元の図形オブジェクト31の1回の更新サイクルを実施することにより、前記ブロックは更新する。
【0036】
図6は、本発明による装置の実施例を概略的なやり方で示す。装置40は、如何なる適切な形式の多次元のデータセットを入力するための入力部42を有する。例えば、この装置40は多次元のデータセットの取得に関係してもよい。この場合、前記データセットはアナログ形式で取得され、適切なA/D変換器を用いてさらに処理を行うためのデジタル形式に変換されてもよい。前記データセットはデジタル形式で、例えばデジタル形式での直接取得により、又は他のコンピュータ/医療器具により取得した後、コンピュータネットワークを介して入力されてもよい。この装置の中核は、例えば従来のマイクロプロセッサ又は信号プロセッサのようなプロセッサ44、(通常はハードディスクに基づく)バックグラウンド記憶装置48、及び(通常はRAMに基づく)作業メモリ46により形成される。このバックグラウンド記憶装置48は、処理を行っていない場合、前記データセット(又はその一部)を記憶するのに使用され、(プロセッサにより実行されていない場合)図形リレーショナルアプリケーションのマクロ及びモデルの動作を記憶するのに使用されることができる。メインメモリ46は通例、処理を行っているデータセット(の一部)と、このデータセットの部分を処理するために使用される図形リレーショナルアプリケーションのマクロ及びモデルの命令とを保持している。本発明による装置40は、幾何学リレーショナルアプリケーションのフレームワークマクロを用いて、一連の幾何学テンプレートの間における一連の幾何学的関係を規定するように構成される計算手段45、及び前記多次元の図形オブジェクトをこれら幾何学テンプレートと関連付ける手段47を有する。好ましくは、手段45及び47は、好ましくは記憶装置48に記憶されるコンピュータプログラム43により動作可能である。出力部49はマッピングの結果を出力するのに使用される。例えば、プロセッサ44が記憶装置48から取得した分割プログラムを読み込んだ場合、このとき出力は適当な表示手段上に映像で示されるような分割した構造でもよい。好ましくはこの出力は、多次元の図形オブジェクトと、図形リレーショナルアプリケーションのマクロにより相関付けられる幾何学テンプレートとの関連付けした結果を有する。
【0037】
図7は、本発明による画像分析システムの実施例を概略的なやり方で示す。本発明による画像分析システム50は、幾何学リレーショナルアプリケーションのマクロを用いて相関付けされる幾何学テンプレートと関連付けした多次元の幾何学オブジェクトを用いて、多次元のデータセット59をマッピングするように構成される装置40を有する。装置40の出力は好ましくは、図形リレーショナルアプリケーションのマクロにより相関付けされる幾何学テンプレートと関連付けした多次元の図形オブジェクトがマッピングされた画像を有する。装置40の出力は画像ビューワ51の入力手段55に利用可能とする。好ましくは、入力手段55は、幾何学テンプレート53bと関連付けされる多次元の幾何学オブジェクト53aを有する画像53が映像化されるように、ユーザインタフェース54を制御するように適合されるプログラム56を用いて、適当なインタフェースを動作させるように構成される適当な処理手段を有する。好ましくは、ユーザの便宜のために、ビューワ51は高解像度の表示手段52を具備し、ユーザインタフェースは例えばマウス、キーボード又は他の何らかの適当なユーザ入力装置のような適当なユーザインタフェース手段57を用いて動作可能である。
【0038】
図8は、本発明によるイメージングシステムの実施例を概略的なやり方で示す。イメージングシステム60は、データ取得ユニット61と通信可能である画像分析システム50を有する。しかしながら、本実施例ではX線装置が示されているが、他のデータ取得様式、例えばCT、磁気共鳴装置又は超音波装置も同様に考えられる。X線装置は、前記ユニット61の取得容積Vに位置決めされる例えば患者のようなオブジェクトから画像データを取得するように構成される。この目的のために、X線のビーム(図示せず)がX線源63から放射される。送信される放射線(図示せず)は、適当な検出器65により記録される。斜めからの撮像を可能にするために、X線源63及びX線検出器65はスタンド67に回転可能な形態で接続されるガントリ64に搭載されている。
【0039】
多次元のデータセットを有する、前記検出器からの信号は、イメージングシステム50の適当な入力手段に与えられる。好ましくは、多次元のデータセットは、適当なコンピュータプログラムにより動作可能である装置40において、幾何学テンプレートと関連付けされる多次元のオブジェクトを用いてマッピングされ、このコンピュータプログラムはこのマッピングを実行するように構成される。結果生じる画像は画像分析システム51に利用可能とし、この結果生じる画像(図示せず)は、適当な表示手段(図示せず)を用いてユーザに映像化する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】構造物の輪郭を自動的に描くように構成される二次元コンターの実施例を示す(従来技術)。
【図2】構造物の空間形状を調和させるために自動的に再製造するように構成される三次元オブジェクトの実施例を示す(従来技術)。
【図3】二次元の図形リレーショナルアプリケーションのマクロの実施例を示す(従来技術)。
【図4】本発明による幾何学テンプレートに関連する多次元の図形オブジェクトのアプリケーションの第1の実施例を示す。
【図5】本発明による幾何学テンプレートに関連する多次元の図形オブジェクトのアプリケーションの第2の実施例を示す。
【図6】本発明による装置の実施例を概略的なやり方で示す。
【図7】本発明による画像分析システムの実施例を概略的なやり方で示す。
【図8】本発明によるイメージングシステムの実施例を概略的なやり方で示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多次元のデータセットにオブジェクトをマッピングする方法であり、
−多次元の図形オブジェクトを用いて前記多次元のデータセットの分割を行うステップ、
−幾何学リレーショナルアプリケーションのフレームワークマクロを用いて、一連の幾何学テンプレートの間における一連の幾何学的関係を規定するステップ、及び
−前記多次元の図形オブジェクトを前記幾何学テンプレートと関連付けるステップ
を有する方法。
【請求項2】
前記方法はさらに、
−多次元の図形オブジェクトの更新を前記幾何学テンプレートの更新と相関付けるステップ
をさらに有する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記幾何学リレーショナルアプリケーションのフレームワークマクロは、関連する多次元の図形オブジェクトに制約を規定するように構成される請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
多次元の図形オブジェクト各々に対し、
−構成素モデルを組み立てるステップであり、前記構成素モデル各々は夫々の既定された構成素構造を分割するように構成されているステップ、
−前記多次元の図形オブジェクトに組み込まれる又は関連付けされる少なくとも2つの構成素構造を決めることにより、前記多次元の図形データセットを分割するための合成モデルを組み立てるステップ、及び
−前記夫々の決められた構成素構造に対応する夫々の構成素モデルに基づいて前記合成モデルを形成するステップであり、前記合成モデルは前記構成素モデルを制御することにより、前記多次元の図形データセットを分割するように動作するステップ
をさらに有する請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記多次元の図形オブジェクトと前記関連する図形テンプレートとの間の通信を可能にするためのインタフェースが選択される請求項4に記載の方法。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか一項に記載の方法のステップをプロセッサに実行させるためのコンピュータプログラム。
【請求項7】
多次元のデータセットにオブジェクトのマッピングを可能にする装置において、
−前記多次元のデータセットを読み込むための入力手段、
−多次元の図形オブジェクトを用いて前記多次元のデータセットの分割を実行するための処理手段、
−幾何学リレーショナルアプリケーションのフレームワークマクロを用いて、一連の幾何学テンプレートの間における一連の幾何学的関係を規定するように構成される計算手段、及び
−前記多次元の図形オブジェクトを前記幾何学テンプレートと関連付ける手段
を有する装置。
【請求項8】
関連付ける手段は、
−多次元の図形オブジェクト各々に対し構成素モデルを組み立て、夫々の既定された構成素構造を分割するために各構成素モデルが設計され、
−前記多次元の図形オブジェクトに組み込まれる又は関連付けられる少なくとも2つの構成素構造を決めることにより、前記多次元の図形データセットを分割するための合成モデルを組み立て、及び
−前記夫々決められた構成素構造に対応する夫々の構成素モデルに基づいて前記合成モデルを形成し、前記合成モデルは前記構成素モデルを制御することにより、前記多次元の図形データセットを分割するように動作する
ように構成される請求項7に記載の装置。
【請求項9】
マッピングされた多次元のデータセットを映像化するために構成される画像分析システムにおいて、
−請求項7又は8に記載の前記装置及び幾何学テンプレートに関連付けされる前記多次元の図形オブジェクトを映像化するように構成されるビューイング手段
を有するシステム。
【請求項10】
請求項9に記載の画像分析システムに結合される前記多次元のデータセットを取得するために構成されるデータ取得ユニットを有するイメージングシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2007−534416(P2007−534416A)
【公表日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−510187(P2007−510187)
【出願日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【国際出願番号】PCT/IB2005/051298
【国際公開番号】WO2005/106793
【国際公開日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】