説明

多段階医療プロセスの異なる段階にそれぞれが対応する複数のダッシュボードの組を起動すること

【課題】本願発明の目的は、様々な医療状況に基づいた医療患者の治療で看護師および医師を支援するように、ダッシュボードの形態のウィンドウペイン表示を調整するためのロバストなウィンドウペイン表示システムおよび方法を提供する。
【解決手段】このウィンドウペイン表示システムは、コンピュータまたはコンピュータネットワークにリンクすることができる。このシステムは、多段階の手技の各段階に対して別個のダッシュボードを有する、多段階の手技または手術のための複数のダッシュボードを含むことができる。このウィンドウペイン表示システムで使用するための新しいダッシュボードを作成する方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2008年7月30日に出願された「Launching of Multiple Dashboard Sets That Each Correspond to Different Stages of A Multi−Stage Medical Process」と題する米国仮特許出願第61/137,518号の、米国法典第35巻第119(e)条における利益を主張し、またこの仮出願の内容を、参照により本明細書に組み込む。
【0002】
本出願は、2009年7月27日に出願された「Single Select Clinical Informatics」と題する米国特許出願第12/509,989号に関連しており、この出願の内容を、参照により本明細書に組み込む。
【0003】
本発明は、様々な医療状況に基づいた医療患者の治療において看護師および医師を支援するようにウィンドウペイン表示を調整するロバストなウィンドウペイン表示システムを提供する分野に関する。
【背景技術】
【0004】
病院または医療施設では、医師および看護師が、日々の用途に、また特に外科手術中に、関連する患者情報を閲覧するのを支援するように様々な技術を使用することは有用である。看護師および医師は、患者に関する最も関連しかつ最新の医療情報にアクセスすることが必要であり、またこの情報を読みやすくかつアクセスしやすい形式で提供させることが必要である。関連情報を医師および看護師に提供することは、医師および看護師が患者を治療するのを支援しかつ助けるので、これは重要である。さらに、看護師と医師とでは、異なる情報を必要とする可能性があり、看護師は、通常、患者の日々の看護に関する関連情報(例えば、血圧および心拍数)を必要とするが、医師は、患者の長期間の看護状態、医療状態の更新、および健康全体に関する情報(例えば、癌の成長に対する更新、白血球数など)を必要とする可能性がある。
【0005】
したがって、このような関連情報を、医師と看護師の両方に対して表示するためのロバストな方法およびシステムを提供することが望ましく、またこのようなシステムは動的であることがさらに望ましい。この動的なシステムが、医師または看護師などの特定のユーザの指定に従って、患者に関する最も関連する情報を表示することがさらに望ましい。このようなシステムをユーザにより変更できることがさらに望ましく、それにより、本システムおよび方法により提供される表示は、個々の患者に基づいて、またユーザの指定に基づいて変更することが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国仮特許出願第61/137,518号
【特許文献2】米国特許出願第12/509,989号
【特許文献3】米国特許出願第12/036,281号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、医師と看護師の両方に関連情報を表示するためのロバストな方法を提供することである。本発明のさらなる目的は、表示する必要のある情報に応じて、ユーザがダッシュボード間で切り換えることを可能にする方法および装置を提供することである。本発明の他の目的は、要素に、ダッシュボード間の切換えを可能にすることであり、それによって、ユーザは、ダッシュボード間を手動で切り換えることが可能になり、あるいはこのような要素はダッシュボード間で自動的なスクロールを提供することができる。本発明の他の目的は、セーブできる新しいダッシュボードを作成する方法を提供することであり、したがって、システムは、医師または看護師など、ユーザの個々の必要性に基づいて、カスタマイズすることができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
これらの、および他の目的は、臨床情報を表示するための装置であって、第1の表示領域および第2の表示領域を有するインターフェースと、1つまたは複数のウィンドウペインをそれぞれが有する1つまたは複数のダッシュボードとを備え、第1のダッシュボードが第1の表示領域中に表示され、かつ残りのダッシュボードが、第2の表示領域中で選択可能なアイコンとして表示され、また第1のダッシュボードおよび残りのダッシュボードを要素によって切り換えることができ、その要素が、第1の表示領域中に表示される第1のダッシュボードを、第2の表示領域中に表示される選択可能なアイコンに対応するダッシュボードに切り換える装置を提供することにより達成される。
【0009】
第2の表示領域は、第1の表示領域の上に、第1の表示領域の横に、または第1の表示領域と部分的に重複して存在することができる。第1のダッシュボードを切り換える要素は、タッチセンサ式の要素、スクロール要素、カーソル、スイッチ、自動化された要素、タグ、RFIDタグ、音声制御、または無線装置からなる群から選択することができる。
【0010】
好ましい実施形態では、この装置は、5段階の手術に対して5つのダッシュボードを有しており、その場合、5段階は、1)プリファレンスカード段階、2)タイムアウト段階、3)麻酔段階4)手術段階、および5)術後段階とすることができる。
【0011】
この装置は、ダッシュボードに対応する各段階を有することができ、また第1の表示領域および第2の表示領域はモニタとすることができる。
【0012】
この装置は、ダッシュボードを自動的にスクロールすることを可能にし、コンピュータシステム、コンピュータネットワーク、ならびに/または入力装置および出力装置と組み合わせることができる。
【0013】
本発明は、臨床情報を起動する方法であって、インターフェースを提供するステップと、1つまたは複数のダッシュボードを提供するステップと、インターフェースの第1の表示領域中に第1のダッシュボードを表示するステップと、残りのダッシュボードを、インターフェースの第2の表示領域中に選択可能なアイコンとして表示するステップと、第2の表示領域から選択可能なアイコンを選択し、かつ第1の表示領域中に、選択された選択可能なアイコンに対応するダッシュボードを表示するステップと、第1のダッシュボードを、第2の表示領域中に選択可能なアイコンとして表示するステップとを含む方法をさらに提供する。
【0014】
この方法は、多段階の手技または手術用として、追加のダッシュボードを第1の表示領域中に表示するための追加の選択可能なアイコンを選択するステップをさらに含むことができ、選択された追加の選択可能なアイコンは第1の表示領域中に表示される。選択するステップは、選択可能なアイコンを第2の表示領域から選ぶことを可能にする要素をさらに含むことができる。この要素は、タッチセンサ式の要素、スクロール要素、カーソル、スイッチ、自動化された要素、タグ、RFIDタグ、音声制御、または無線装置からなる群から選択することができる。
【0015】
この要素は、ダッシュボードを自動的にスクロールすることを可能にすることもでき、あるいはダッシュボードを手動でスクロールすることを可能にすることもできる。ユーザは、この要素を装着すること、または運ぶことができ、したがって、ユーザは、システムの近傍にいる場合、ダッシュボードを、ユーザのプリファレンスに基づくことのできる要素の構成に基づいて切り換えることも可能である。
【0016】
この方法は、第1のダッシュボードを第2の表示領域中に選択可能なアイコンとして表示させることがさらに可能である。この方法は、第1のダッシュボードが、選択されたユーザプロファイルに基づいた事前定義の構成を有することを可能にすることができ、またダッシュボードのそれぞれが複数のウィンドウペインを有することを可能にすることができる。
【0017】
本発明は、臨床情報を起動する方法であって、インターフェースと、1つまたは複数のウィンドウペインをそれぞれが有する1つまたは複数のダッシュボードとを提供するステップと、第1のダッシュボードを、インターフェースの第1の表示領域中に表示するステップと、残りのダッシュボードを、インターフェースの第2の表示領域中に選択可能なアイコンとして表示するステップと、第1のダッシュボードのウィンドウペイン中の項目を選択し、かつ選択された項目に対して構成された対応するダッシュボードをインターフェースの第1の表示領域中に表示するステップとを含む方法をさらに含む。選択されたウィンドウペインは、第2の表示領域中に表示された選択可能なアイコンおよびダッシュボードに対応することができる。
【0018】
この方法は、第1の表示領域中で第1のダッシュボードを隠してまたは閉じて、選択された項目に対して構成された対応するダッシュボードを第1の表示領域中に表示するステップをさらに含むことができる。選択された項目に対して構成された対応するダッシュボードを、第1の表示領域と部分的に重複する第3の表示領域中に表示することができる。ダッシュボードは、複数のダッシュボードの多段階手術を形成するようにリンクすることができる。
【0019】
本発明は、新しいダッシュボードを作成する方法であって、第1の組のウィンドウペインを有するダッシュボードを表示するステップと、ダッシュボードの1つまたは複数のウィンドウペインのビューを変更することにより、新しいダッシュボードを作成するための変更要求を受け取るステップと、第2の組のビューを表示するために、ダッシュボードの1つまたは複数のウィンドウペインのビューを変更するステップと、新しいダッシュボードを表示するための1組のルールをユーザから受け取るステップと、新しいダッシュボードを表示するステップと、新しいダッシュボードをデータベースにセーブするステップとを含む方法をさらに含む。
【0020】
この方法は、新しいダッシュボードを他のダッシュボードにリンクさせるステップ、および/または新しいダッシュボードを専用にしておくステップをさらに含むことができる。この方法は、ユーザが、ダッシュボードを変更するための許可を有するかどうかを判定するステップを含むことができる。
【0021】
ダッシュボードは、単一の表示プレゼンテーションの一部であるウィンドウペインの集合体として定義される。ダッシュボードのウィンドウペインのすべては、通常、表示中で集合的に見ることができるが、いくつかの実施形態では、ダッシュボード(したがって、そのウィンドウペインのいくつか)は、表示の境界を越えて広がることもありうる。
【0022】
ウィンドウペイン中に表示される情報(ウィンドウペインの「ビュー」とも呼ばれる)は、報告、リスト、注意書き、グラフ、画像などを含む様々な形態のものとすることができる。各ウィンドウペインは、(1)1つまたは複数の臨床データ項目の1つまたは複数のビューを提示する(例えば、生命信号もしくは検査室測定に関連するリストもしくはグラフを提示する)ことができるが、あるいは(2)確立された治療のガイドラインまたはプロトコル(例えば、公開された参照情報源からのガイドライン、あるいは特定の状態または測定に関するカスタマイズされた病院の内部ポリシーからのガイドライン)の1つまたは複数のビューを提示することができる。
【0023】
上記で述べたように、いくつかの実施形態の方法は、多段階の手技または手術に対する複数のダッシュボードを開始する(「起動する」または「インスタンス化する」とも呼ばれる)。いくつかの実施形態では、起動されたダッシュボードの1つが、表示装置の第1の表示領域中にそのフル解像度で表示され、一方、他の起動されたダッシュボードは、表示装置の第2の表示領域中に(例えば、第1の表示領域の下、上、または横の表示領域中に、あるいは第1の表示領域の底部、上部、左側、または右側に重複する表示領域中に)選択可能なアイコンとして表示される(例えば、選択可能なサムネイルとして表示される)。これらの実施形態のいくつかはまた、第2の表示領域中に、第1の表示領域中で表示されているダッシュボードに対する選択可能なアイコンを表示する。
【0024】
第2の表示領域中の選択可能なアイコンを選択する(例えば、そのアイコン上をカーソルクリックする)ことにより、そのアイコンの関連するダッシュボードを第1の表示領域に表示させる。この選択手法に加えて、またはこの手法に代えて、他の実施形態は、第1の表示領域中で特定の時間に閲覧されていない起動されたダッシュボードを表示し、かつそれをナビゲートするために他の技法を使用する。例えば、タッチセンサ式のディスプレイ上でダッシュボードを表示する実施形態では、いくつかの実施形態は、ユーザが、自分の手を表示装置上で、特定の方向に(例えば、左または右に)スワイプすることによって、ダッシュボード間を切換えできる(すなわち、第1の表示領域中に表示されているダッシュボードを変更する)ようにしてもよい。このスワイプ動作は、第1の表示領域を、特定のダッシュボードの表示から、スワイプ動作とは反対方向にある、その特定のダッシュボードの横のダッシュボードの表示へと切り換えるようにする。
【0025】
いくつかの実施形態は、多段階手術または手技と関連する様々なダッシュボードを介してスクロールするための自動化された技法を提供する。例えば、いくつかの実施形態は、5段階の手術に対して、5つのダッシュボードを、または5組のリンクされたドリルダウンダッシュボードを定義する。これらの5段階は、プリファレンスカード段階(看護師が器具を集める段階)、タイムアウト段階(患者および手術を検証するための段階)、麻酔段階(麻酔を開始するための段階)、手術段階、および術後段階とすることができる。
【0026】
このような手術のために、いくつかの実施形態は、各段階に対して1つずつ、5つのダッシュボードを起動する。代替的には、各段階に対して1組ずつ、5組のドリルダウンダッシュボードを起動することもできる。1組のドリルダウンダッシュボードは、本明細書に参照により組み込まれる「Drill Down Clinical Information Dashboard」と題する米国特許出願第12/036,281号に記載のように、共にリンクされるいくつかのダッシュボードである。
【0027】
手術室は、通常、ダッシュボードを表示する1つまたは複数のモニタを含む。このようないくつかの実施形態は、(1)従事者が身につけている物(例えば、リストバンド)と関連付けられたRFIDタグを読み取ることにより、かつ(2)表示に適したダッシュボードを表示または示唆することにより、手術室のモニタ上のダッシュボードをスクロールすることを自動化する。例えば、いくつかの実施形態は、手術室内で看護師のRFIDだけを検出したとき、プリファレンスカードのダッシュボード、またはダッシュボードの組をモニタ上に表示する。麻酔科医が入室すると、これらの実施形態は、そのRFIDを検出することになり、それに応じて、麻酔段階ダッシュボードもしくはダッシュボードの組へと切り換える、あるいはこのようなダッシュボードもしくはダッシュボードの組を表示すべきかどうかを尋ねるポップアップウィンドウを提供する。
【0028】
本発明の他の目的、ならびにその特定の特徴および利点は、以下の諸図面および添付の詳細な説明を検討することにより、さらに明らかとなろう。詳細な説明および特有の例は、本発明の好ましい実施形態を示しているが、例示目的が意図されているに過ぎず、また本発明の範囲を限定することを意図していないことを理解されたい。
【0029】
本発明の新規な特徴は、添付の特許請求の範囲に記載される。しかし、説明のために、いくつかの実施形態が以下の諸図に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】いくつかの実施形態のシステムアーキテクチャを示す図である。
【図2】いくつかの実施形態のダッシュボードの例を示す図である。
【図2a】患者名および場所を表示するウィンドウを示す図である。
【図2b】患者の「血液ガス」に対する検査室報告を表示するウィンドウを示す図である。
【図2c】様々な走査の異なるモードおよび説明を表示する走査ウィンドウを示す図である。
【図2d】ある時間期間にわたる患者の(RR)のパーセンテージを描くグラフである。
【図2e】ある時間期間にわたる患者の血中酸素飽和度(SpO2)のパーセンテージを描くグラフである。
【図3】様々なダッシュボードを共にリンクさせる例を提供するダッシュボードの階層を示す図である。
【図4】いくつかの実施形態における様々なダッシュボードを共にリンクさせるためのプロセスを概念的に示す図である。
【図5】他のダッシュボードにリンクするダッシュボードの例を示す図である。
【図5a】患者名を表示する患者リストウィンドウを示す図である。
【図5b】患者の統計情報を表示する統計情報ウィンドウを示す図である。
【図5c】global care quest(グローバル ケア クエスト社)情報を表示するウィンドウを示す図である。
【図5d】看護師に関連する情報を表示する看護情報ウィンドウを示す図である。
【図5e】患者の走査結果を表示する走査結果ウィンドウを示す図である。
【図5f】患者の報告を表示する報告ウィンドウを示す図である。
【図5g】いくつかの検査室結果を表示する検査室結果ウィンドウを示す図である。
【図5h】患者の生命徴候を表示する生命徴候ウィンドウを示す図である。
【図6】図5で示されたダッシュボードにリンクされたダッシュボードの一例を示す図である。
【図6a】患者名を表示する患者リストウィンドウを示す図である。
【図6b】時間経過に対する温度値のグラフである。
【図6c】患者の体のX線を表示するウィンドウを示す図である。
【図6d】時間経過に対する血液中のグルコースレベルのグラフである。
【図6e】検査室結果を表示するウィンドウを示す図である。
【図7】ダッシュボードのウィンドウ内のビューをカスタマイズする例を提供するダッシュボードの階層を示す図である。
【図8】ダッシュボード内のウィンドウをカスタマイズする例を提供するダッシュボードの階層を示す図である。
【図9】ユーザにより、既存のダッシュボードに基づいて、新しいダッシュボードを作成するためのプロセスを概念的に示す図である。
【図10】ダッシュボード中のウィンドウのビューをカスタマイズする説明用の例を提供する図である。
【図11】ダッシュボード中のウィンドウのビューをカスタマイズする説明用の例を提供する図である。
【図11a】時間経過に対するグルコースレベルのグラフを表示するウィンドウを示す図である。
【図12】患者の状態が患者要約ウィンドウから選択されたとき、関連情報を表示する説明用の例を提供する図である。
【図12a】要約リストを表示するウィンドウを示す図である。
【図13】患者の状態が患者要約ウィンドウから選択されたとき、関連情報を表示する説明用の例を提供する図である。
【図13a】検査室結果を表示するウィンドウを示す図である。
【図13b】患者のグルコースレベルに関する情報を提供するグルコースグラフを表示するウィンドウを示す図である。
【図13c】走査ウィンドウを示す図である。
【図13d】患者の診断の詳細な論議を表示する報告ウィンドウを示す図である。
【図14】医療手技中に表示することのできる1組のフェーズ特有のダッシュボードの説明用の例を提供する図である。
【図15】本発明のいくつかの実施形態を実施するのに使用されるコンピュータシステムを概念的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
[I.概観]
本発明のいくつかの実施形態は、多段階の手術に、または複数のダッシュボードにおける手術に関する臨床情報を起動するためのロバストな方法を提供する。ダッシュボードは、単一の表示プレゼンテーションの一部であるウィンドウペインの集合体である。ダッシュボードのウィンドウペインのすべては、通常、表示の中で集合的に見ることができるが、いくつかの実施形態では、ダッシュボード(したがって、そのウィンドウペインのいくつか)は、表示の境界を越えて広がることもありうる。
【0032】
ウィンドウペイン中に表示される情報(ウィンドウペインの「ビュー」とも呼ばれる)は、報告、リスト、注意書き、グラフ、画像などを含む様々な形態のものとすることができる。各ウィンドウペインは、(1)1つまたは複数の臨床データ項目の1つまたは複数のビューを提示する(例えば、生命信号もしくは検査室測定に関連するリストもしくはグラフを提示する)ことができるが、あるいは(2)確立された治療のガイドラインまたはプロトコル(例えば、公開された参照情報源からのガイドライン、あるいは特定の状態または測定に関するカスタマイズされた病院の内部ポリシーからのガイドライン)の1つまたは複数のビューを提示することができる。
【0033】
上記で述べたように、いくつかの実施形態の方法は、多段階の手技または手術に対する複数のダッシュボードを開始する(「起動する」または「インスタンス化する」とも呼ばれる)。いくつかの実施形態では、起動されたダッシュボードの1つが、表示装置の第1の表示領域中にそのフル解像度で表示され、一方、他の起動されたダッシュボードは、表示装置の第2の表示領域中に(例えば、第1の表示領域の下、上、または横の表示領域中に、あるいは第1の表示領域の底部、上部、左側、または右側に重複する表示領域中に)選択可能なアイコンとして表示される(例えば、選択可能なサムネイルとして表示される)。これらの実施形態のいくつかはまた、第2の表示領域中に、第1の表示領域中で表示されているダッシュボードに対する選択可能なアイコンを表示する。
【0034】
第2の表示領域中の選択可能なアイコンを選択する(例えば、そのアイコン上をカーソルクリックする)ことにより、そのアイコンの関連するダッシュボードを第1の表示領域に表示させる。この選択手法に加えて、またはこの手法に代えて、他の実施形態は、第1の表示領域中で特定の時間に閲覧されていない起動されたダッシュボードを表示し、かつそれをナビゲートするために他の技法を使用する。例えば、タッチセンサ式のディスプレイ上でダッシュボードを表示する実施形態では、いくつかの実施形態は、ユーザが、自分の手を表示装置上で、特定の方向に(例えば、左または右に)スワイプすることによって、ダッシュボード間を切換えできる(すなわち、第1の表示領域中に表示されているダッシュボードを変更する)ようにしてもよい。このスワイプ動作は、第1の表示領域を、特定のダッシュボードの表示から、スワイプ動作とは反対方向にある、その特定のダッシュボードの横のダッシュボードの表示へと切り換えるようにする。
【0035】
いくつかの実施形態は、多段階手術または手技と関連する様々なダッシュボードを介してスクロールするための自動化された技法を提供する。例えば、いくつかの実施形態は、5段階の手術に対して、5つのダッシュボードを、または5組のリンクされたドリルダウンダッシュボードを定義する。これらの5段階は、プリファレンスカード段階(看護師が器具を集める段階)、タイムアウト段階(患者および手術を検証するための段階)、麻酔段階(麻酔を開始するための段階)、手術段階、および術後段階とすることができる。
【0036】
このような手術のために、いくつかの実施形態は、各段階に対して1つずつ、5つのダッシュボードを起動する。代替的には、各段階に対して1組ずつ、5組のドリルダウンダッシュボードを起動することもできる。1組のドリルダウンダッシュボードは、本明細書に参照により組み込まれる「Drill Down Clinical Information Dashboard」と題する米国特許出願第12/036,281号に記載のように、共にリンクされるいくつかのダッシュボードである。
【0037】
手術室は、通常、ダッシュボードを表示する1つまたは複数のモニタを含む。このようないくつかの実施形態は、(1)従事者が身につけている物(例えば、リストバンド)と関連付けられたRFIDタグを読み取ることにより、かつ(2)表示に適したダッシュボードを表示または示唆することにより、手術室のモニタ上のダッシュボードをスクロールすることを自動化する。例えば、いくつかの実施形態は、手術室内で看護師のRFIDだけを検出したとき、プリファレンスカードのダッシュボード、またはダッシュボードの組をモニタ上に表示する。麻酔科医が入室すると、これらの実施形態は、そのRFIDを検出することになり、それに応じて、麻酔段階ダッシュボードもしくはダッシュボードの組へと切り換える、あるいはこのようなダッシュボードもしくはダッシュボードの組を表示すべきかどうかを尋ねるポップアップウィンドウを提供する。
【0038】
[II.ドリルダウン臨床情報ダッシュボード]
A.序論
図1は、いくつかの実施形態のシステムアーキテクチャを示している。患者データは、いくつかの異種の患者データ源105から、臨床データマネジャ110で受け取られる。臨床データマネジャ110は、患者を監視するモニタからの生命徴候、検査室報告、および医療画像(例えば、X線、磁気共鳴映像法(MRI)、コンピュータ断層撮影法(CT)走査など)などの客観的データ、ならびに医師の評価、医師の診断、または様々なデータ源105からの医師の治療計画などの主観的データを収集する。このデータ収集は、様々な検査室および病院など、1つまたは複数の場所からのものでもよい。
【0039】
臨床データマネジャ110は、個々の患者に関するデータを(患者データのスナップショットとして、または時間経過に対するデータの記録として)収集するために、かつ/または様々な理由、例えば、医療資源を効率的に割り振るために、患者間の統計量(いくつかの場合には、各患者の統計量における変化を含む)を比較するために、患者データを受け取り、正規化し、分析し、かつ/または集約する。
【0040】
臨床データマネジャ110は、様々な臨床情報インターフェース115を介して、データを報告し、データを配布し、かつ/またはデータに対してユーザの注意を喚起する。いくつかの実施形態では、これらのインターフェースは、医療システム内のユーザの仕事に応じて、またはインターフェースが表示される個々の端末に応じて、かつ/あるいは個々のユーザおよび/または患者の一時的な必要性に応じて互いに異なる。いくつかの実施形態では、インターフェースは、その場所に応じて異なる。例えば、心臓の集中治療室中のユーザはある1組のデータを受け取り、神経外科にいるユーザは、別の組のデータを受け取ることになる。以下でさらに述べるように、インターフェースは、特定の患者の診断または状態に応じて異なる可能性がある。いくつかの実施形態では、臨床データマネジャは、様々なインターフェース115に対して、実時間でデータを提供する。
【0041】
図2は、1つのこのような臨床情報インターフェース200の説明用の例を提供する。図示のように、インターフェースは、グラフィカルに提供され、(1)タイトルバー230、(2)メニューバー235、(3)マスタツールバー240、および(4)いくつかのウィンドウ205を含む。マスタツールバー240は、インターフェース200の底部にあり、様々なアプリケーション機能への容易なアクセスを含む。例えば、マスタツールバーは、臨床データをリフレッシュし、検査室結果を閲覧し、課金情報を閲覧し、他のウィンドウを開くなどを行うボタンを含んでもよい。
【0042】
インターフェース200におけるウィンドウのいくつかは、1人または複数の患者に対する臨床データを表示する。ウィンドウペイン中に表示される情報(ウィンドウペインのビューとも呼ばれる)は、報告、リスト、注意書き、グラフ、画像などを含む様々な形式のものとすることができる。例えば、表示される情報は、患者の病気の重篤度、病気の傾向(例えば、軽減および悪化していること)、病気の原因、病気の二次的な影響などを評価するために必要なデータを含むことができる。図示のように、各ウィンドウ205は、任意選択で、そのウィンドウに関する情報を表示するタイトルバー220と、選択可能なタブ、プルダウンメニュー、検索バー、または様々な他のツールボタンを含むことのできるメニューバー225とを有することができる。
【0043】
ウィンドウペインのいくつかは、1つまたは複数の臨床データ項目の異なるビューを提示する。例えば、ウィンドウペイン210(さらに拡大形式で図2bに示されている)は、患者の「血液ガス」に関する検査室報告を表示するためのビューを提供する。検査室報告は、いくつかの血液ガスに対する測定値のリストとして提示されており、いくつかの場合には、リスト上の特定の項目を、さらなる詳細を示すように拡大することができる。一方、検査室報告はまた、リスト中の項目を選択することにより、かつメニューバー225のタブ245を選択することにより、グラフとして提示されうる。いくつかの実施形態では、検査室報告は、リスト中の項目を単に選択することにより(例えば、その項目をダブルクリックすることにより)グラフとして示すことができる。ウィンドウペイン215により提供されるビュー(さらに拡大形式で図2eに示されている)は、ある時間期間にわたる患者の血中酸素飽和度(SpO2)のパーセンテージを描くグラフの例である。いくつかの実施形態では、ビューの中で表示される情報は、確立された治療、ガイドライン、またはプロトコルを含むことができる。このようなガイドラインは、公開された参照情報源から、またはカスタマイズされた病院の内部ポリシーからのものとすることができる。例えば、患者が高血糖症であると診断された場合、ダッシュボードのビューの1つは、その病気をどのように治療するかに関する大学のポリシーを提示することができる。
【0044】
1つまたは複数のウィンドウペイン205〜210の集合体は、ダッシュボードと呼ばれる。いくつかの実施形態は、ダッシュボードを提示するためのロバストな方法論を提供する。この方法論は、2つのダッシュボードを共にリンクさせることを可能にし、したがって、第1のダッシュボードを閲覧しながら、第1のダッシュボード中の項目を選択すると、第2のダッシュボードを開くことができる。いくつかの実施形態では、第2のダッシュボードが開かれたとき、第1のダッシュボードは、自動的に最小化され、隠され、あるいはいくつかの場合には閉じられる。いくつかの実施形態では、第2のダッシュボードが開かれたとき、第1のダッシュボードは、両方のダッシュボードを同時に閲覧できるような方法で配置される。
【0045】
いくつかの実施形態では、ダッシュボードのリンクは、ユーザが最も見たいものに基づく。具体的には、ダッシュボードの1つまたは複数のビュー中に表示される情報は、典型的な思考の過程に従い、また医師などの訓練された、または経験のある専門家の一連の評価に従うように意図されて設計され、かつ構成される。例えば、1つのダッシュボードは、時間経過に対して最も関連する検査室結果のスプレッドシートにリンクさせてもよく、あるいは時間経過に対する1つまたは2つの重要な検査室結果の傾向プロットへと導くこともありうる。こうすることにより、インターフェースのユーザは、大量の情報を選別する必要なく、最も関連する情報を取得することが可能になる。
【0046】
いくつかの実施形態は、ダッシュボードのリンクを可能にするだけではなく、ダッシュボードを事前定義の構成で開くようにすることもできる。この方法では、ユーザには、最初に最も関連する情報が提示される。最初に最も関連する情報を提示するこの概念はまた、ドリルダウン概念とも呼ばれるが、それは、大量のデータを貫通し、ユーザが最初に見たいデータを迅速に引き出すからである。ダッシュボードは、例えば、患者のすべての放射線走査のリストを含むビューで開始するのではなく、現在の胸部X線のビューおよび以前の胸部X線のビューで開始するように構成することができる。したがって、プル型モデル(例えば、関連データを受け取るために様々なリンクを選択すること)によりデータを引き出す代わりに、ダッシュボードのいくつかの実施形態は、最初のビューとして、関連データをプッシュするプッシュ型モデルを利用する。いくつかの実施形態では、ダッシュボードの様々な構成が提供され、図1で示すように、ダッシュボードライブラリ、またはデータベース120中に記憶される。いくつかの実施形態では、関連データは、医療施設から取得されるだけではなく、インターネット全域にわたって様々なサーバ(例えば、図書館、教育施設など)から取得される。
【0047】
本発明のいくつかのさらに詳細な実施形態が、以下のセクションで述べられる。具体的には、セクションIIIは、医療手術の様々なフェーズ中に、いくつかの事前に構成されたダッシュボードを用いるマルチフェーズの情報学表示を述べる。最後にセクションIVは、本発明のいくつかの実施形態を実施するために使用するコンピュータシステムの説明を行う。
【0048】
B.様々なダッシュボードのリンク
いくつかの実施形態は、様々なダッシュボードを互いにリンクさせることのできるダッシュボードの階層を提供する。いくつかの実施形態では、これらのダッシュボードの最初の組は事前に構成されており、それを、ユーザが、1人または複数の患者に対する臨床情報を閲覧するために利用することができる。ユーザは、最上位レベルのダッシュボードから開始し、現在のダッシュボード中の項目またはリンクを選択することにより、他のダッシュボードを活動化することができる。
【0049】
図3は、いくつかの実施形態におけるダッシュボードの階層300を示す。図は、最上位レベルのノード305、およびいくつかの他のノード310〜340を含む。階層の各ノードは、1つの特定のダッシュボードを表す。各ダッシュボードは、それに関連する1つまたは複数のウィンドウペイン345〜380を有する。例えば、ダッシュボード325は、3つのウィンドウペイン365を有する。各ウィンドウペインは、1つまたは複数の臨床データ項目に対する特有のビューを提供する。例えば、これらのウィンドウは、特定の患者に関する様々な情報を示すことも可能である。1つのウィンドウペインは、患者のCT走査を示し、他のウィンドウペインが、検査室報告を示し、第3のウィンドウが、酸素飽和度のグラフを示すことも可能である。
【0050】
さらに、図3で示すように、各ダッシュボードは、1つまたは複数の他のダッシュボードにリンクさせてもよい。例えば、ダッシュボード315は、3つの他のダッシュボード330〜340にリンクされている。これらのダッシュボードのそれぞれは、ダッシュボード315中で、(例えば、ウィンドウペイン中に表示された項目上をダブルクリックすることにより)項目が選択されたとき活動化される。いくつかの実施形態では、他のダッシュボードの活動化または表示は、現在選択されているダッシュボードを最小化し、隠し、または閉じる。
【0051】
いくつかの実施形態では、ダッシュボードのリンクは、ユーザが最も見たいものに基づく。上記で指定したように、ダッシュボードの1つまたは複数のビューで表示される情報は、典型的な思考の過程に従い、また経験のある、もしくは訓練された専門家の一連の評価に従うように意図されて設計されかつ構成される。こうすることにより、インターフェースのユーザは、データの様々な集合体を選別する必要なく、最も関連するデータを取得できるようになる。
【0052】
図4は、いくつかの実施形態で、種々のダッシュボードを共にリンクさせるためのプロセス400を概念的に示している。図示のように、プロセスは、(405で)臨床情報インターフェース中に臨床的に関連するデータのリストを表示する。例えば、プロセスは、病院中の特定の病棟における様々な患者のリスト、特定の医師のすべての患者のリスト、または特定の疾患を有するすべての患者のリストを表示することができる。いくつかの場合、プロセスは、1人または複数の患者に関する情報を含む要約ウィンドウを表示することもできる。
【0053】
次に410で、プロセスは、リスト中の特定の項目に関係する1組の臨床データを表示するための1組のペインを有するダッシュボードを表示することを求める要求を受け取る。例えば、医師は、患者の名前をクリックして、その患者に関係するデータを表示することもできる。プロセスは、次いで、(415で)ダッシュボードを表示する。図5は、患者が、患者リストウィンドウ505(図5aにも示されている)から選択されたときに表示されるダッシュボード500のこのような一例を示す。具体的には、このダッシュボードは、患者リストウィンドウ505から選択された患者に対する臨床データを含むいくつかのウィンドウペインを表示している。いくつかの実施形態では、患者リストウィンドウ505は、ダッシュボードの一部とは見なされない。
【0054】
図5で示されるように、ユーザが、患者リストウィンドウから患者を選択したとき、ユーザには、(1)患者の走査結果を表示する走査結果ウィンドウ510(さらに拡大形式で図5eに示されている)、(2)いくつかの検査室結果を表示する検査室結果ウィンドウ515(さらに拡大形式で図5gに示されている)、(3)患者の統計情報を表示する統計情報ウィンドウ520(さらに拡大形式で図5bに示されている)、(4)看護情報を表示する看護情報ウィンドウ525(さらに拡大形式で図5dに示されている)、(5)患者の生命徴候を表示する生命徴候ウィンドウ530(さらに拡大形式で図5hに示されている)、および(6)患者の報告を表示する報告ウィンドウ535(さらに拡大形式で図5fに示されている)を含むダッシュボード500が提示される。
【0055】
次に、420で、プロセスは、項目がダッシュボード中で選択されたという指示を受け取る。図3に戻って参照すると、ダッシュボード(315など)は、ダッシュボード中の様々な項目を介していくつかの他のダッシュボード330〜340にリンクしている可能性がある。これらの項目の1つが(例えば、その項目上をクリックして)選択された場合、それに対応するダッシュボードが表示される。例えば、ウィンドウのビューは、特定の状態に対するいくつかの推奨されたダッシュボードへのリンクを含むことができる。いくつかの実施形態では、特定の項目が選択された場合(例えば、ユーザが右クリックする、または他の何らかの方法で選択した場合)、ユーザには、1つまたは複数の推奨されるダッシュボードが提示される。いくつかの実施形態では、項目を選択することにより、推奨されるダッシュボードを示すウィンドウペインの既存のビューは、その選択された項目に関係する推奨ダッシュボードを示すようにする。この方法では、ユーザは、関連データを容易に閲覧することができるように、1つのダッシュボードから他のダッシュボードへとナビゲートすることができる。
【0056】
したがって、プロセスが、(425で)現在のダッシュボードが、選択された項目を介して他のダッシュボードへとリンクされていると判定した場合、プロセスは、(430で)他のダッシュボードを表示する。図6は、ダッシュボード500から項目が選択されたときに表示される他のダッシュボード600の一例を示す。具体的には、ユーザは、ウィンドウの1つにおけるリンクを選択する、あるいはいくつかの推奨されるダッシュボードから、1つの推奨されるダッシュボードを選択している。図示のように、いくつかの表および報告を示すのではなく、ダッシュボード600は、ユーザに、グルコースのグラフ605(さらに拡大形式で図6dに示されている)、温度のグラフ610(さらに拡大形式で図6bに示されている)、および患者の画像ビュー615(さらに拡大形式で図6cに示されている)を含むダッシュボードを提示する。いくつかの実施形態では、様々なダッシュボードが、状況的に適切な情報を表示するようにリンクされる。例えば、患者の病気を示すダッシュボードは、その病気を治療することに関係する他のダッシュボードへとリンクさせることができる。
【0057】
プロセスは、次いで、上記で述べたように420に進む。一方、プロセスが、現在のダッシュボードは、選択された項目を介して、いずれかの他のダッシュボードにリンクされていないと判定した場合、プロセスは(435で)現在のダッシュボードを表示し続ける。例えば、ダッシュボード500中の項目が、いずれかの他のダッシュボードへとリンクしていない(例えば、この項目に関係するデータがもはやない)場合、現在のダッシュボードは表示された状態のままである。435の後、プロセスは、上記で述べた420へと進む。
【0058】
C.ダッシュボードへのドリルダウン
いくつかの実施形態は、1つまたは複数のダッシュボードを、事前定義の構成で開かれるようにすることができる。この方法では、ユーザには、最初に最も関連する情報が提示される。最も関連する情報を最初に提示するというこの概念はまた、ドリルダウン概念とも呼ばれ、それは、多量のデータを貫通し、ユーザが最初に見たいデータを迅速に取り出すからである。例えば、患者のすべての放射線走査のリストを含むビューで開始するのではなく、ダッシュボードは、現在の胸部X線のビューおよび以前の胸部X線のビューで開始するように事前に構成することができる。いくつかの実施形態では、データの取出しは、患者レベルで行われるだけではなく、ユーザレベルでも行われる。言い換えると、ユーザの役割(例えば、医師、看護師)、およびユーザの場所もまた、関連データを取得するための寄与因子とすることができる。例えば、心臓の集中治療室中の看護師は、神経外科医とは異なるデータの組を受け取ることになる。
【0059】
いくつかの実施形態は、ユーザが、既存のダッシュボードに基づいて、新しいダッシュボードを作成することを可能にする。ユーザは、ダッシュボード中の1つまたは複数のウィンドウペインのビューを変更して、新しいダッシュボードを作成することができる。例えば、ユーザは、ウィンドウペインの表示を、検査室報告から、その検査室報告中の特定の項目のグラフに変更することができる。あるいは、ユーザは、ウィンドウペインのビューを、グラフの表示から1組のデータ値に対する表の表示へと変更することができる。いくつかの実施形態は、ウィンドウのビューを変更できるようにするだけではなく、ダッシュボードの1つまたは複数のウィンドウを変更できるようにする。
【0060】
図7は、ダッシュボードのカスタマイズを示すダッシュボードの階層700を提示する。その階層は、ユーザが、既存のダッシュボード325に基づいて新しいダッシュボード385を作成していることを除いて、図3のものと同じダッシュボードを有する。図示のように、ダッシュボード325は、3つの異なるビューA、B、およびCを有する3つのウィンドウペインを有する。これらのウィンドウペインは、例えば、CT走査、検査室報告、および酸素飽和度のグラフを示すことができる。
【0061】
図7の例では、ユーザは、特定の患者に対しては、第2のウィンドウペイン中に完全な検査室報告を示すのではなく、グルコース変化のグラフを示すことがより適切であると決定している。ユーザは、第2のウィンドウペイン中のビューが、検査室報告からグルコース変化に対するグラフへと変更されたことを除き、ダッシュボード325と同様である新しいダッシュボードを作成することができる。新しいダッシュボード385は、3つのウィンドウペイン390を有する。これらのペインのうちの2つは、ダッシュボード325におけるものと同じビューA、およびCを有する。しかし、他のウィンドウペインは、グルコース変化のグラフを示す新しいビューBを有する。新しいダッシュボード385はセーブすることができる。いくつかの実施形態では、この新しいダッシュボードは、図1で示されたダッシュボードデータベース、またはライブラリ120中にセーブされる。それ以降は、この特定の患者に対して、ダッシュボード385が(ダッシュボード325に代えて)ダッシュボード310から開かれる。この構成もセーブすることができ、したがって、ユーザは、他の患者に対してダッシュボード325に代えてダッシュボード385を使用することもできる。例えば、同様の医療状態を有する患者を治療する場合、ユーザには、デフォルトの事前に構成されたダッシュボードではなく、再構成されたダッシュボード385が提示される。いくつかの実施形態では、この再構成されたダッシュボードは、自動的に、または選択可能な選択肢(例えば、メニュー項目、ツールボタン)として提供される。
【0062】
図8は、ダッシュボードを構成する他の方法を示すダッシュボードの他の階層800を提供する。この図は、図7と同様のものである。しかし、この例では、ダッシュボード385は、ペインの異なる組合せを含むようにカスタマイズされる。これは、ウィンドウペインが置き換えられているので図7で示す例と異なっている。一方、前の例では、ウィンドウペインは変更されていないが、そのビューだけが変更されていた。したがって、新しいダッシュボード385は3つのペイン395を有しており、そのうちの2つが、前の図と同じである。しかし、ペインCに代えて、別のペイン(すなわち、ペインD)がダッシュボード385に含まれる。ビュー構成をセーブするのと同様に、新しいペイン構成もまた、セーブすることができ、したがって、ユーザは、他の患者に対してダッシュボード385を使用することができる。
【0063】
さらに以下で述べるように、ユーザは、新しいダッシュボードを専用にしておく選択肢を、または他のユーザがそのダッシュボードを共用する、かつ/または変更することを可能にする選択肢を有する。いくつかの実施形態は、ユーザが、新しいダッシュボードを階層中の他のダッシュボードとリンクできるようにする。例えば、ユーザは、新しいダッシュボード385をダッシュボード305へとリンクさせることもできる。例えば、ダッシュボード305が患者の要約リストを含む場合、ユーザは、新しいダッシュボード385を、ダッシュボード305中の1人または複数の患者の名前にリンクさせて、ダッシュボード305中のこれらの患者を選択すると、ダッシュボード385を表示することができる。言い換えると、ユーザは、階層中で数レベル高い他のダッシュボードから、ダッシュボード385へと直接ドリルダウンすることができる。
【0064】
図9は、既存のダッシュボードに基づいて、新しいダッシュボードを作成するためのプロセス900を概念的に示している。図示のように、プロセスは、(905で)前に構成されたダッシュボードを表示するための要求を受け取る。例えば、ユーザが、ダッシュボード600を表示させるダッシュボード500中の患者リストウィンドウ505中の項目上をクリックした可能性がある。
【0065】
次に910で、プロセスは、ユーザが、選択されたダッシュボードを使用するための許可を有するかどうかを判定する。ユーザが、選択されたダッシュボードを使用するための許可を有していない場合、プロセスは、(930で)現在のダッシュボードの表示を継続し、上記で述べた910へと進む。一方、ユーザが、選択されたダッシュボードを使用するための許可を有する場合、プロセスは、(915で)選択されたダッシュボードを表示する。図10は、ユーザが許可を有する場合に表示されたダッシュボード1000の説明用の例を提供する。具体的には、ダッシュボード1000は、検査室結果ウィンドウ1005を含むいくつかのウィンドウを含む。
【0066】
次に920で、プロセスは、現在のダッシュボードに基づいて、新しいダッシュボードを作成するための要求を受け取る。ユーザは、この新しいダッシュボードを、現在のダッシュボードの1つまたは複数のウィンドウペインのビューを変更することにより作成することができる。例えば、ユーザは、検査室結果ウィンドウ1005中のリストの代わりに、グルコースに対するグラフを表示することがより適切であると判断する可能性がある。プロセスは、(925で)ユーザが、選択されたダッシュボードを変更するための許可を有するかどうか判定する。ユーザが、このような許可を有していない場合、プロセスは、(930で)現在のダッシュボードの表示を継続し、上記で述べた910に進む。
【0067】
一方、ユーザが、選択されたダッシュボードを変更するための許可を有する場合、プロセスは、(935で)1つまたは複数のウィンドウペインのビューにおいて要求された変更を行うことによって、新しいダッシュボードを作成する。図11は、既存のダッシュボード1000に基づいて作成された新しいダッシュボード1100の説明用の例を提供する。図示のように、ダッシュボード1100中で、ウィンドウペイン1005のビューは、リストを示すことから、グルコースのためのグラフ1105を示すことへと変更されている(さらに拡大形式で図11aに示されている)。
【0068】
次に940で、ユーザは、新しいダッシュボードを表示または変更することのできる人を決定するための1組のルールを任意選択で作成する。ユーザはまた、どの患者に対して、またはどのカテゴリの患者(例えば、糖尿病患者)に対して、新しいダッシュボードを使用すべきかを決定することできる。ユーザはまた、新しいダッシュボードを、1つまたは複数の他のダッシュボードにリンクさせることもできる。例えば、ユーザは、ダッシュボード1100を、要約リスト中の特定の患者の名前にリンクさせて、その患者の名前がユーザにより選択されたとき、新しいダッシュボードを表示させることができる。
【0069】
いくつかの実施形態は、新しいダッシュボードを、専用のままにすべきか、それとも何人かの他のユーザがそのダッシュボードを表示できるようにするかを、ユーザが指定できるようにする。いくつかの実施形態ではまた、ユーザが、さらにダッシュボードを変更するための許可を何人かの他のユーザに与えることを可能にする。いくつかの実施形態は、ユーザが、新しいダッシュボードを、階層中の他のダッシュボードにリンクさせることを可能にする。いくつかの実施形態は、ユーザが、1人または複数の患者に対する臨床データを示すために、新しいダッシュボードを指定できるようにする。
【0070】
次に945で、プロセスは、新しいダッシュボードおよびその関連するルールを将来の使用のために記憶する。したがって、特定の医療状態を有する患者を治療する場合、医師には、最初に、最も関連する情報がダッシュボード内に提示される。図12〜13は、最も本質的な要素へとドリルダウンするダッシュボードを表示する説明用の例を提供する。図12で示すように、ユーザには、まず、1人または複数の患者に対する要約リスト1205が提示される。いくつかの実施形態では、要約リストは、メニューバー中のメニュー項目が選択されたとき提示される。要約リスト1205(さらに拡大形式で図12aに示されている)は、患者の医療状態1210を含む。さらに、要約リストは、患者の部屋番号、MR番号、PAD、担当者名、サービス名、検査室、生命徴候範囲、手術のリスト(それぞれに日付、術後診断、手術名、外科医が付される)、直近のCXRの印象部分、MRI走査、CT走査、最後の看護師EOSS、24時間グラフ(例えば、HR、RR、全身BP、温度、酸素飽和度、GCS、MEWS、Apache、SAPS、MAR)などの他の情報を含むことができる。この例では、医療状態は、患者が高血糖症に対して治療されていることを述べている。
【0071】
医療状態1210が(例えば、項目をクリックすることにより)選択されたとき、ユーザには、図13で示されるダッシュボード1300が提示される。図示のように、このダッシュボードは、(1)患者の診断の詳細な論議を提供する報告ウィンドウ1305(さらに拡大形式で図13dとして示されている)、(2)患者のグルコースレベルに関する情報を提供するグルコースグラフ1310(さらに拡大形式で図13bとして示されている)、(3)検査室結果ウィンドウ1315(さらに拡大形式で図13aとして示されている)、および(4)走査ウィンドウ1320(さらに拡大形式で図13cとして示されている)を含む。したがって、要約リスト1205中の患者の状態を一回クリックすることにより、ユーザには、関連情報を含むダッシュボードが提示される。目標は、ある状態が特定された後は、ユーザが見たい情報を表示するために、さらなる選択を何も必要としないことである。
【0072】
いくつかの実施形態では、患者名を選択することにより、患者の入院診断に関連する第1のダッシュボードが開かれ、また医療状態を選択することにより、医療状態の治療に関係する第2のダッシュボードが開かれる。上記で論じたように、ダッシュボードは、このような状態を有する患者を治療するための様々なプロトコルを記述するものなど他のダッシュボードへの1つまたは複数のリンクを提供することができる。いくつかの実施形態では、ユーザが、要約ウィンドウ中の状態などの項目を選択した場合、ユーザには、1つだけのダッシュボードではなく、いくつかのダッシュボードが提示される。例えば、患者の状態に関係するダッシュボード、およびこのような状態を治療することに関係するダッシュボードが、ユーザが項目を選択すると提示されうる。
【0073】
[III.マルチフェーズ情報学表示]
図14は、いくつかの実施形態の1組のマルチフェーズ情報学ダッシュボード1420a〜eを示している。これらの様々なダッシュボード1420a〜eは、医療手技(例えば、外科的な手術)の持続期間にわたり表示することができる。上記で述べたように、これらのダッシュボードの1つまたは複数のものは、ドリルダウンダッシュボードとすることができる。これらのダッシュボードのそれぞれは、医療手技の特定の段階中に1組の関連データを表示する(例えば、一度に1つのダッシュボードが表示される)ように、(その手技を実施する外科医、または誰か他のユーザにより)事前に構成することができる。例えば、第1のダッシュボードを、「プリファレンスカード」ダッシュボード1420a、第2のダッシュボードを「タイムアウト」ダッシュボード1420b、第3のダッシュボードを麻酔学ダッシュボード1420c、第4のダッシュボードを外科手術ダッシュボード1420d、および第5のダッシュボードを術後ダッシュボード1420eとすることができる。
【0074】
図14の例では、「プリファレンスカード」ダッシュボード1420aが、特定の手技に対して最初に示される。このダッシュボード1420aは、その手技のために準備するのに必要な予備的な情報(例えば、手技を行うのに必要な器具および備品のリスト)を提供する。この情報は、例えば、その手技に必要な器具および備品を集めることを担当する看護師が使用することができる。
【0075】
「タイムアウト」ダッシュボード1420bは、「プリファレンスカード」ダッシュボード1420aの後に表示される。「タイムアウト」ダッシュボード1420bは、手術が開始する前に医療の専門家(例えば、看護師)が安全性を確認するのを容易にする。「タイムアウト」ダッシュボード1420bは、医療の専門家が、患者の識別、手術する体の側、手術する体の部位、どの手技が行われるか、緊急の場合、危険な薬物を利用できるかなどの情報を検証することを助ける。「タイムアウト」ダッシュボード1420bはまた、同意書、医師の注意書き、X線などを含む一連の文書を表示する。いくつかの実施形態では、「タイムアウト」ダッシュボード1420bは、特定の情報(例えば、患者の識別など)が検証されていることを確認するようにユーザに要求するユーザインターフェース要素(例えば、ダイアログボックス1440、ボタン1430など)を含む。
【0076】
麻酔学ダッシュボード1420cが次に表示される。このダッシュボード1420cは、例えば、患者の麻酔法実施中、またはその後に、麻酔科医によって使用することができる。このダッシュボード1420cは、血圧、心拍数、および麻酔下における患者の健康状態に関連する他の情報(例えば、生命徴候)などの情報を含む。
【0077】
次に、外科手術ダッシュボード1420dが表示される。拡大図1400は、外科手術ダッシュボード1420dの例示的なレイアウトを提供する。外科手術ダッシュボード1420dは、X線を含む外科医により使用される情報を含むことができ、それは、ダッシュボードの第1のペイン1405中に表示される。外科手術ダッシュボード1420dはまた、ダッシュボードの第2のペイン1415中に患者の生命徴候(例えば、心拍数、血圧など)を表示する。さらに、外科手術ダッシュボード1420dは、ダッシュボードの第3のペイン1410中に実時間のビデオフィードを表示する。このビデオフィードは、カメラを備える外科医のツール(例えば、内視鏡、顕微鏡など)を介して捕捉されうる。ビデオフィードは、外科手術を行うことを直接支援するために、外科医により使用されるだけではなく、他の医療の専門家(例えば、過度の出血を止めるのを支援する麻酔科医、緊急の場合に薬剤を取り出す看護師など)によっても使用されうる。
【0078】
最後に、いくつかの実施形態の術後ダッシュボード1420eが表示される。このダッシュボードは、手技が終了した後に実行される命令および/または指示を表示する。例えば、術後ダッシュボード1420eは、手技の後に患者に投与するための1組の薬剤を示すことができる。
【0079】
拡大図1400により示されるように、特定のダッシュボードが、手技の関連する段階中に表示される(例えば、外科手術ダッシュボード1420dが外科手術中に表示される)ことを保証するために、ダッシュボードのいくつか、またはすべてが1組のボタン1425を有する。これらのボタン1425により、医療の専門家(例えば、看護師、外科医、麻酔科医など)があるダッシュボードから他のものへとナビゲートすることを可能にする。1組のボタン1425は、次のダッシュボードに進むためのフォワード(または「次」)ボタンを含む。1組のボタン1425はまた、前のダッシュボードに移るための戻り(または「前」)ボタンも含む。
【0080】
ボタン1425は、様々なダッシュボードを表示するソフトウェアを動作させるコンピュータに接続されるカーソル制御装置(例えば、マウス、タッチパッドなど)により操作されうる。ボタン1425はまた、コンピュータに接続されたキーボードによっても操作されうる。さらに、ダッシュボードは、医療の専門家が、触れることによって1組のボタン1425を操作することを可能にする1つまたは複数のタッチ画面表示装置(例えば、タッチ画面フラットパネルLCDモニタ)上に表示することができる。
【0081】
あるダッシュボードから他ダッシュボードへとナビゲートすることはまた、視覚的な制御(例えば、ボタン1425)に加えて、またはそれに代えて代替の機構により達成することもできる。いくつかの実施形態のうちの1つのこのような代替の機構は、音声制御である。例えば、麻酔学ダッシュボード1420cが表示されたとき、外科医は音声コマンドを話す。この音声コマンドは、「次」などの単一の用語、または「次のダッシュボード」などのフレーズとすることができる。音声コマンドにより、外科手術ダッシュボード1420dを表示させることができる。
【0082】
様々なダッシュボードを介してナビゲートする他の代替の機構は、無線装置を含む(例えば、無線周波数識別(radio frequency identification)、または「RFID」タグ)。各医療の専門家、医療の専門家のタイプ(例えば、看護師、外科医、麻酔科医など)、および/または患者が、特定のRFIDタグに関連付けられる。これらのRFIDタグは、衣料品またはアクセサリ(例えば、リストバンド、バッジなど)へと一体化することができる。これらのRFIDタグは、手技が行われている部屋(例えば、手術室)に存在する人物(例えば、医療の専門家、患者)の識別を示すために使用することができる。例えば、「プリファレンスカード」ダッシュボード1420aは、看護師だけが存在する場合に表示され、「タイムアウト」ダッシュボード1420bは、患者が部屋に運ばれたときに表示され、麻酔学ダッシュボード1420cは、麻酔科医が入室したときに表示されるなどである。
【0083】
いくつかの実施形態では、上記で論じた様々なダッシュボードが、複数の画面上で表示される。外科手術ダッシュボード1420dは、50インチ画面上で表示することができ、同様に単一の手術室中で3個の21インチ画面上で表示することができる。しかし、いくつかの画面は、1段階のダッシュボードを表示できるが、他の画面は、異なる段階のダッシュボードを表示することができる。例えば、前述の50インチ画面と、前述の21インチ画面のうちの2つが、外科手術中に、外科手術ダッシュボード1420dを表示することができる。第3の21インチ画面は、主に麻酔科医によって閲覧され、外科手術ダッシュボード1420dではなく、麻酔学ダッシュボード1420cを表示することができる。さらに、1つまたは複数の画面が、前述の段階特有のダッシュボードの1つを表示する間に、別の画面が、段階特有ではない、全く異なるダッシュボード(例えば、患者の検査室結果を示す「検査室」ダッシュボード)を表示することもできる。
【0084】
[IV.コンピュータシステム]
図15は、本発明のいくつかの実施形態を実施するのに使用されるコンピュータシステムを概念的に示している。コンピュータシステム1500は、バス1505、プロセッサ1510、システムメモリ1515、読取り専用メモリ1520、恒久的な記憶装置1525、入力装置1530、および出力装置1535を含む。いくつかの実施形態では、コンピュータシステムはまた、グラフィック処理ユニット(GPU)1575を含む。
【0085】
バス1505は、コンピュータシステム1500の内部装置間の通信をサポートするすべてのシステムバス、周辺バス、およびチップセットバスを集合的に表す。例えば、バス1505は、プロセッサ1510を、読取り専用メモリ1520、システムメモリ1515、および恒久的な記憶装置1525と通信可能に接続する。
【0086】
これらの様々な記憶ユニットから、プロセッサ1510(中央処理装置もしくはCPUとも呼ばれる)は、本発明のプロセスを実行するために、実行すべき命令および処理すべきデータを取得する。読取り専用メモリ(ROM)1520は、プロセッサ1510、およびコンピュータシステムの他のモジュールにより必要である静的なデータと命令を記憶する。一方で、恒久的な記憶装置1525は、読取り/書込み記憶装置である。この装置は、コンピュータシステム1500がオフである場合であっても、命令およびデータを記憶する不揮発性の記憶ユニットである。本発明のいくつかの実施形態は、恒久的な記憶装置1525として、(磁気または光ディスク、およびそれに対応するディスクドライブなどの)大容量記憶装置を使用する。他の実施形態は、恒久的な記憶装置として、(フロッピー(登録商標)ディスク、またはzip(登録商標)、およびそれに対応するディスクドライブなどの)取外し可能な記憶装置を使用する。
【0087】
恒久的な記憶装置1525と同様に、システムメモリ1515は、読取り/書込み記憶装置である。しかし、記憶装置1525とは異なり、システムメモリは、ランダムアクセスメモリなどの揮発性の読取り/書込みメモリである。システムメモリは、プロセッサが動作時に必要となるいくつかの命令およびデータを記憶する。
【0088】
いくつかの実施形態のプロセスを実施するために必要な命令および/またはデータは、システムメモリ1515、恒久的な記憶装置1525、読取り専用メモリ1520、またはその3つの任意の組合せ中に記憶される。例えば、様々な記憶ユニットは、いくつかの実施形態に従って、マルチメディア項目(item)を処理するための命令を含むことができる。これらの様々な記憶ユニットから、プロセッサ1510は、いくつかの実施形態のプロセスを実行するために、実行すべき命令および処理すべきデータを取得する。
【0089】
バス1505はまた、入力装置1530および出力装置1535に接続される。入力装置は、ユーザが、コンピュータシステムに対して情報を伝え、またコマンドを選択することを可能にする。入力装置1530は、英数字キーボード、タッチパネル、およびカーソルコントローラを含む。入力装置1530はまた、画像をコンピュータシステムに入力できるスキャナを含む。出力装置1535は、コンピュータシステムにより生成された画像を表示する。例えば、これらの装置は、IC設計レイアウトを表示する。出力装置は、プリンタ、ペンプロッタ、レーザプリンタ、インクジェットプロッタ、フィルム記録装置、および陰極線管(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)、またはエレクトロルミネッセンスディスプレイなどの表示装置を含む。
【0090】
さらに、図15で示すように、バス1505はまた、コンピュータ1500を、ネットワークアダプタ(図示せず)を介して、ネットワーク1565に結合する。この方法では、コンピュータは、複数コンピュータのネットワーク(ローカルエリアネットワーク(「LAN」)、広域ネットワーク(「WAN」)、またはイントラネットなど)の一部、あるいは複数ネットワークのネットワーク(インターネットなど)の一部とすることができる。最後に、図15で示すように、いくつかの実施形態におけるコンピュータシステムはまた、任意選択で、グラフィック処理ユニット(GPU)1575を含む。GPU(視覚的な処理ユニット、または表示プロセッサとも呼ばれる)は、コンピュータグラフィックスを操作し、表示するのが非常に効率的である専用のグラフィックスレンダリング装置である。GPUは、ビデオカード(図示せず)中に含めることができるが、あるいはプロセッサ1510と共にコンピュータシステムのマザーボード中に統合することもできる。さらに、コンピュータシステム1500は、パーソナルコンピュータ、ワークステーション、ゲームコンソールなどとして使用することができる。コンピュータシステム1500のコンポーネントの任意のもの、またはすべてを、本発明と共に使用することができる。しかし、当業者であれば、任意の他のシステム構成もまた、本発明と共に使用できることが理解されよう。
【0091】
本発明は、数多くの特有の細部を参照して述べられているが、当業者であれば、本発明は、本発明の趣旨から逸脱することなく、他の特有な形態で実施できることを理解されよう。他の場所では、様々な変更を行うことができ、また本発明の真の範囲を逸脱することなく、記述された要素に対して均等物で代用することができる。例えば、いくつかの例示的なダッシュボードが、マルチドキュメントインターフェース(MDI)の一部として示されているが、当業者であれば、ダッシュボードは、親ウィンドウをもたない1群のペインとして提供できることが理解されよう。当業者であればさらに、ダッシュボードは、様々な実施形態における様々なインターフェース装置、例えば、コンピュータディスプレイ、PDA、セル電話上などで表示できることも理解されよう。さらに、当業者であれば、様々なウィンドウのビューのいくつかは、統一されたビューを提供するように組み合わせることができることも理解されよう。例えば、検査室結果のグラフを閲覧するためにタブを選択する代わりに、ウィンドウは、検査室結果と1つまたは複数のグラフとを共に含むことができる。
【符号の説明】
【0092】
105 患者データ源
110 臨床データマネジャ
115 臨床情報インターフェース
120 ダッシュボードデータベース、ダッシュボードライブラリ
200 臨床情報インターフェース
205 ウィンドウペイン
210 ウィンドウペイン
215 ウィンドウペイン
220 タイトルバー
225 メニューバー
230 タイトルバー
235 メニューバー
240 マスタツールバー
245 タブ
300 階層
305 ダッシュボード
310 ダッシュボード
315 ダッシュボード
320 ダッシュボード
325 ダッシュボード
330 ダッシュボード
335 ダッシュボード
340 ダッシュボード
345 ウィンドウペイン
350 ウィンドウペイン
355 ウィンドウペイン
360 ウィンドウペイン
365 ウィンドウペイン
370 ウィンドウペイン
375 ウィンドウペイン
380 ウィンドウペイン
385 ダッシュボード
390 ウィンドウペイン
500 ダッシュボード
505 患者リストウィンドウ
510 走査結果ウィンドウ
515 検査室結果ウィンドウ
520 統計情報ウィンドウ
525 看護情報ウィンドウ
530 生命徴候ウィンドウ
535 報告ウィンドウ
600 ダッシュボード
605 グルコースのグラフ
610 温度のグラフ
615 患者の画像ビュー
1000 ダッシュボード
1005 検査室結果ウィンドウ
1100 ダッシュボード
1105 グルコースのためのグラフ
1205 要約リスト
1210 患者の医療状態
1305 報告ウィンドウ
1310 グルコースグラフ
1315 検査室結果ウィンドウ
1320 走査ウィンドウ
1400 拡大図
1405 第1のペイン
1415 第2のペイン
1420a 「プリファレンスカード」ダッシュボード
1420b 「タイムアウト」ダッシュボード
1420c 麻酔学ダッシュボード
1420d 外科手術ダッシュボード
1420e 術後ダッシュボード
1425 ボタン
1430 ボタン
1440 ダイアログボックス
1500 コンピュータシステム
1505 バス
1510 プロセッサ
1515 システムメモリ
1520 読取り専用メモリ
1525 恒久的な記憶装置
1530 入力装置
1535 出力装置
1565 ネットワーク
1575 グラフィック処理ユニット(GPU)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
臨床情報を表示するための装置であって、
第1の表示領域および第2の表示領域を有するインターフェースと、
1つまたは複数のウィンドウペインをそれぞれが有する1つまたは複数のダッシュボードと、を備え、
第1のダッシュボードが前記第1の表示領域中に表示され、かつ残りのダッシュボードが、前記第2の表示領域中で選択可能なアイコンとして表示され、また前記第1のダッシュボードおよび前記残りのダッシュボードを要素によって切り換えることができ、前記要素が、前記第1の表示領域中に表示される前記第1のダッシュボードを、前記第2の表示領域中に表示される選択可能なアイコンに対応するダッシュボードに切り換える装置。
【請求項2】
前記第2の表示領域が、前記第1の表示領域の上に、前記第1の表示領域の横に、または前記第1の表示領域と部分的に重複して存在する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記要素が、タッチセンサ式の要素、スクロール要素、カーソル、スイッチ、自動化された要素、タグ、RFIDタグ、音声制御、または無線装置からなる群から選択される、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記装置は、5段階の手術に対して5つの別個の段階を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記別個の段階が、1)プリファレンスカード段階、2)タイムアウト段階、3)麻酔段階、4)手術段階、および5)術後段階である、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
各段階が、別個のダッシュボードに対応する、請求項4に記載の装置。
【請求項7】
前記第1の表示領域および前記第2の表示領域がモニタである、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記1つまたは複数のダッシュボードを自動的にスクロールすることを可能にする、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
当該装置をコンピュータシステムと組み合わせることをさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
当該装置をコンピュータネットワークならびに入力装置および出力装置にリンクさせることをさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
臨床情報を起動する方法であって、
インターフェースを提供するステップと、
1つまたは複数のダッシュボードを提供するステップと、
前記インターフェースの第1の表示領域中に第1のダッシュボードを表示するステップと、
残りのダッシュボードを、前記インターフェースの第2の表示領域中に選択可能なアイコンとして表示するステップと、
前記第2の表示領域から選択可能なアイコンを選択し、かつ前記第1の表示領域中に、前記選択された選択可能なアイコンに対応するダッシュボードを表示するステップと、
前記第1のダッシュボードを、前記第2の表示領域中に選択可能なアイコンとして表示するステップと
を含む方法。
【請求項12】
多段階の手技または手術用として、追加のダッシュボードを前記第1の表示領域中に表示するための追加の選択可能なアイコンを選択するステップをさらに含み、選択された前記追加の選択可能なアイコンが前記第1の表示領域中に表示される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記選択するステップが、選択可能なアイコンを前記第2の表示領域から選ぶことを可能にする要素をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記要素が、タッチセンサ式の要素、スクロール要素、カーソル、スイッチ、自動化された要素、タグ、RFIDタグ、音声制御、または無線装置からなる群から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記要素が、前記ダッシュボードを自動的にスクロールすることを可能にする、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記要素が、ユーザにより装着され、または運ばれる、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記残りのダッシュボードを第2の表示領域中に選択可能なアイコンとして表示する前記ステップが、前記第1のダッシュボードを前記第2の表示領域中に選択可能なアイコンとして表示するステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記第1のダッシュボードが、選択されたユーザプロファイルに基づいた事前定義の構成を有する、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記1つまたは複数のダッシュボードが、複数のウィンドウペインを有する、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
臨床情報を起動する方法であって、
インターフェースと、1つまたは複数のウィンドウペインをそれぞれが有する1つまたは複数のダッシュボードとを提供するステップと、
第1のダッシュボードを、前記インターフェースの第1の表示領域中に表示するステップと、
残りのダッシュボードを、前記インターフェースの第2の表示領域中に選択可能なアイコンとして表示するステップと、
前記第1のダッシュボードのウィンドウペイン中の項目を選択し、かつ選択された前記項目に対して構成された対応するダッシュボードを前記インターフェースの前記第1の表示領域中に表示するステップと
を含む方法。
【請求項21】
前記第1の表示領域中で前記第1のダッシュボードを隠してまたは閉じて、選択された前記項目に対して構成された前記対応するダッシュボードを前記第1の表示領域中に表示するステップをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
選択された前記項目に対して構成された前記対応するダッシュボードが、前記第1の表示領域と部分的に重複する第3の表示領域中に表示される、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記1つまたは複数のダッシュボードが、複数のダッシュボードの多段階手術を形成するようにリンクされる、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
選択された前記ウィンドウペインが、前記第2の表示領域中に表示された選択可能なアイコンおよびダッシュボードに対応することができる、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
新しいダッシュボードを作成する方法であって、
第1の組のウィンドウペインを有するダッシュボードを表示するステップと、
前記ダッシュボードの1つまたは複数のウィンドウペインのビューを変更することにより、新しいダッシュボードを作成するための変更要求を受け取るステップと、
第2の組のビューを表示するために、前記ダッシュボードの1つまたは複数のウィンドウペインの前記ビューを変更するステップと、
前記新しいダッシュボードを表示するための1組のルールをユーザから受け取るステップと、
前記新しいダッシュボードを表示するステップと、
前記新しいダッシュボードをデータベースにセーブするステップと
を含む方法。
【請求項26】
前記新しいダッシュボードを他のダッシュボードにリンクさせるステップをさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記新しいダッシュボードを専用にしておくステップをさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記ユーザが、前記ダッシュボードを変更するための許可を有するかどうかを判定するステップをさらに含む、請求項25に記載の方法。

【図3】
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【図4】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図14】
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【図15】
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【図1】
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【図2】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図2d】
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【図2e】
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【図5】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【図5d】
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【図5e】
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【図5f】
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【図5g】
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【図5h】
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【図6】
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【図6a】
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【図6b】
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【図6c】
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【図6d】
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【図6e】
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【図10】
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【図11】
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【図11a】
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【図12】
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【図12a】
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【図13】
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【図13a】
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【図13b】
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【図13c】
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【図13d】
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【公開番号】特開2010−33579(P2010−33579A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−178476(P2009−178476)
【出願日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(592130699)ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア (364)
【氏名又は名称原語表記】The Regents of The University of California
【Fターム(参考)】