多液混合システム、多液混合装置の制御装置、多液混合装置の制御方法及びプログラム
【課題】混合比を高い精度で適正に保つ。
【解決手段】硬化剤(第1液)と主剤(第2液)を共用流路2に交互投入して混合する多液混合装置1の投入動作を制御する制御装置60は、主剤の実測投入量V2aを検出する主剤投入量検出部65Mdと、硬化剤投入量検出部65Hdの検出結果に基づいて主剤の次回の投入予定量VC4を決定する主剤投入予定量決定部65Meと、主剤の次回の投入予定量VC4と、予め設定されている主剤と硬化剤の目標混合比N1:1と前回投入済みの主剤と硬化剤の実測混合比V2a:V1aとの誤差とに基づいて、硬化剤の次回の投入予定量VC6を決定する硬化剤投入予定量決定部65Heとを備えている。
【解決手段】硬化剤(第1液)と主剤(第2液)を共用流路2に交互投入して混合する多液混合装置1の投入動作を制御する制御装置60は、主剤の実測投入量V2aを検出する主剤投入量検出部65Mdと、硬化剤投入量検出部65Hdの検出結果に基づいて主剤の次回の投入予定量VC4を決定する主剤投入予定量決定部65Meと、主剤の次回の投入予定量VC4と、予め設定されている主剤と硬化剤の目標混合比N1:1と前回投入済みの主剤と硬化剤の実測混合比V2a:V1aとの誤差とに基づいて、硬化剤の次回の投入予定量VC6を決定する硬化剤投入予定量決定部65Heとを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多液混合システム、多液混合装置の制御装置、多液混合装置の制御方法及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、第1液と第2液を共用流路に交互投入して混合する多液混合装置において、第1液と第2液の混合比を目標値に保つための技術が開示されている。ここに開示されている技術では、第1液を投入した後、この投入量を検出し、この検出値と第1液の目標投入量との誤差に基づいて、第2液の目標投入量に補正を加えることにより、第2液の投入予定量を決定する。つまり、1サイクルの交互投入が行われる毎に、第1液の実際の投入量の誤差に基づいて第2液の投入予定量を決定することによって、第1液と第2液の混合比を目標値に保とうとするのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3192286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
多液混合装置において両液を圧送する手段として、エア圧を駆動源とするプランジャポンプを用いることができるのであるが、このプランジャポンプは液体の吐出量を高い精度で制御することが難しいため、上記のように第2液の投入予定量を補正しても、実際の第2液の投入量に誤差が生じることは避けられない。したがって、上記のように1サイクル毎に第2液の投入量を補正する方法では、第2液の投入量の誤差の影響が、補正されずに後々まで残ることになり、その結果、この第2液の誤差が累積されることになるため、混合比を適正な値に保つことは困難である。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、混合比を高い精度で適正に保つようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、第1液と第2液を共用流路に交互投入して混合する多液混合装置の投入動作を制御装置によって制御するようにした多液混合システムであって、前記制御装置は、第2液の実測投入量を検出する第2液投入量検出部と、前記第2液投入量検出部の検出結果に基づいて第2液の次回の投入予定量を決定する第2液投入予定量決定部と、前記第2液の次回の投入予定量と、予め設定されている第1液と第2液の目標混合比と前回投入済みの第1液と第2液の実測混合比との誤差とに基づいて、第1液の次回の投入予定量を決定する第1液投入予定量決定部と、を備えているところに特徴を有する。
【0007】
請求項2の発明は、第1液と第2液を共用流路に交互投入して混合する多液混合装置の投入動作を制御する制御装置であって、第2液の実測投入量を検出する第2液投入量検出部と、前記第2液投入量検出部の検出結果に基づいて第2液の次回の投入予定量を決定する第2液投入予定量決定部と、前記第2液の次回の投入予定量と、予め設定されている第1液と第2液の目標混合比と前回投入済みの第1液と第2液の実測混合比との誤差とに基づいて、第1液の次回の投入予定量を決定する第1液投入予定量決定部と、を備えているところに特徴を有する。
【0008】
請求項3の発明は、請求項2に記載のものにおいて、前記第2液投入予定量決定部は、予め設定されている第2液の目標投入量に対し、第2液の実測投入量と前記第2液の目標投入量との誤差に相当する補正量の補正を加えるところに特徴を有する。
【0009】
請求項4の発明は、請求項3に記載のものにおいて、前記第1液投入予定量決定部は、予め設定されている第1液の目標投入量に対し、前記第2液の次回の投入予定量のうちの前記第2液の実測投入量と前記第2液の目標投入量との誤差に相当する補正量と対応する補正量の補正を加えるところに特徴を有する。
【0010】
請求項5の発明は、請求項2又は請求項4に記載のものにおいて、前記第1液投入予定量決定部は、予め設定されている第1液の目標投入量に対し、前記目標混合比と前記実測混合比との誤差と対応する補正量の補正を加えるところに特徴を有する。
【0011】
請求項6の発明は、第1液と第2液を共用流路に交互投入して混合する多液混合装置の投入動作を制御する方法であって、第2液の実測投入量を検出する第2液投入量検出ステップと、前記第2液投入量検出部の検出結果に基づいて第2液の次回の投入予定量を決定する第2液投入予定量決定ステップと、前記第2液の次回の投入予定量と、予め設定されている第1液と第2液の目標混合比と前回投入済みの第1液と第2液の実測混合比との誤差とに基づいて、第1液の次回の投入予定量を決定する第1液投入予定量決定ステップと、を含むところに特徴を有する。
【0012】
請求項7の発明は、第1液と第2液を共用流路に交互投入して混合する多液混合装置の投入動作を制御するコンピュータに、第2液の実測投入量を検出する第2液投入量検出処理と、前記第2液投入量検出部の検出結果に基づいて第2液の次回の投入予定量を決定する第2液投入予定量決定処理と、前記第2液の次回の投入予定量と、予め設定されている第1液と第2液の目標混合比と前回投入済みの第1液と第2液の実測混合比との誤差とに基づいて、第1液の次回の投入予定量を決定する第1液投入予定量決定処理と、を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0013】
第1液と第2液の順で1サイクルの投入が終わると、そのサイクルの混合比の誤差に基づいて第1液の次回の投入予定量が決定されるので、この第1液の次回の投入動作によって、前回のサイクルにおける混合比の誤差の解消を図ることができる。また、第2液の実測投入量を検出して、第2液の次回の投入予定量を決定するようにしたので、各投入サイクルにおける第2液の投入量のバラツキを小さく抑えることができる。しかも、第1液の次回の投入予定量の決定に際しては、この第2液の次回の投入予定量が考慮されるので、次回の投入サイクルにおける混合比の誤差を小さく抑えることができる。したがって、本発明によれば、各投入サイクルにおける混合比のバラツキを小さく抑えることができるとともに、1回の投入サイクルにおける第1液と第2液の平均投入量を目標投入量に近づけることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態1においてロッドとプランジャが上死点位置にある状態をあらわすプランジャポンプ(往復ポンプ)の正面図
【図2】ロッドとプランジャが下死点位置にある状態をあらわすプランジャポンプ(往復ポンプ)の正面図
【図3】プランジャポンプ(往復ポンプ)を構成するエアモータの断面図
【図4】プランジャポンプ(往復ポンプ)を構成するポンプ本体において、プランジャが上死点位置にある状態をあらわす断面図
【図5】プランジャポンプ(往復ポンプ)を構成するポンプ本体において、プランジャが下死点位置にある状態をあらわす断面図
【図6】ロッドが上死点位置にある状態をあらわす位置検出装置の側面図
【図7】ロッドが下死点位置にある状態をあらわす位置検出装置の側面図
【図8】位置検出装置の拡大平面図
【図9】多液混合システムの構成図
【図10】制御装置として機能するコンピュータのハードウエア構成を示すブロック図
【図11】制御装置(コンピュータ)によって実行される制御機能をあらわす機能構成図
【図12】制御装置(コンピュータ)によって実行される制御の手順をあらわすフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施形態1>
以下、本発明を具体化した実施形態1を図1乃至図12を参照して説明する。本実施形態では多液混合システムを塗装装置に適用した例を説明する。図9に示すように、多液混合システムは、多液混合装置1と制御装置60と塗装ガン70とを備えて構成されている。多液混合装置1は、主剤(本発明の構成要件である第2液)と硬化剤(本発明の構成要件である第1液)を、所定量ずつ共用流路2に交互に投入して混合することによって塗料を生成し、この生成された塗料を塗装ガン70に供給するようになっている。
【0016】
<多液混合装置1の概要の説明>
多液混合装置1は、共用流路2と、共用流路2の上流端に設けられた混合バルブ5と、混合バルブ5を介して主剤を共用流路2に圧送する主剤圧送装置6Mと、混合バルブ5を介して硬化剤を共用流路2に圧送する硬化剤用圧送装置6Hとを備えて構成されている。塗装ガン70には共用流路2の下流端が接続され、共用流路2の途中には、共用流路2に投入された主剤と硬化剤の混合促進を図るためのミキサ3(ミキシングホース)が設けられている。主剤と硬化剤は、ミキサ3を通過する間に混合されて塗料となる。
【0017】
共用流路2の上流端部は、主剤用分岐路2Mと硬化剤用分岐路2Hとの二叉に分岐しており、主剤用分岐路2Mの上流端は、多液混合装置1を構成する混合バルブ5の主剤流出口5Mbに接続され、硬化剤用分岐路2Hの上流端は、混合バルブ5の硬化剤流出口5Hbに接続されている。また、各分岐路2M,2Hには、主剤と硬化剤の逆流を防止するための逆止弁4が設けられている。
【0018】
<混合バルブ5の説明>
混合バルブ5は、主剤用バルブ5Mと硬化剤用バルブ5Hとを備えて構成されている。主剤用バルブ5Mは、主剤流入口5Maから主剤流出口5Mbへの主剤の流動を許容する開弁状態と、主剤流入口5Maから主剤流出口5Mbへの主剤の流動を遮断する閉弁状態との間で切り替わるようになっている。硬化剤用バルブ5Hは、硬化剤流入口5Haから硬化剤流出口5Hbへの硬化剤の流動を許容する開弁状態と、硬化剤流入口5Haから硬化剤流出口5Hbへの硬化剤の流動を遮断する閉弁状態との間で切り替わるようになっている。
【0019】
<主剤圧送装置6Mの説明>
主剤圧送装置6Mは、主剤タンク7Mと、主剤タンク7Mに貯留されている主剤を共用流路2側へ圧送するためのプランジャポンプ30と、主剤流路8Mとを有する。主剤流路8Mの上流端は、プランジャポンプ30の吐出口43(図4,5を参照)に接続され、主剤流路8Mの下流端は混合バルブ5の主剤流入口5Maに接続されている。主剤流路8Mの途中には、圧力計51Mが設けられている。
【0020】
<硬化剤圧送装置6Hの説明>
硬化剤用圧送装置6Hは、硬化剤タンク7Hと、硬化剤タンク7Hに貯留されている硬化剤を共用流路2側へ圧送するためのプランジャポンプ30と、硬化剤流路8Hとを有する。硬化剤流路8Hの上流端は、プランジャポンプ30の吐出口43に接続され、硬化剤流路8Hの下流端は混合バルブ5の硬化剤流入口5Haに接続されている。硬化剤流路8Hの途中には、圧力計51Hと硬化剤用レギュレータ52が設けられている。
【0021】
<プランジャポンプ30の概要の説明>
プランジャポンプ30(往復ポンプ)は、主剤流路8Mと硬化剤流路8Hに個別に設けらており、主剤用のプランジャポンプ30と硬化剤用のプランジャポンプ30は同じ構造のものである。プランジャポンプ30は、加圧エアを駆動源として電磁弁50A,50Bにより吐出動作を制御する復動式のポンプであって、図1,2に示すように、エアモータ31と、ポンプ本体36と、位置検出装置10を構成する検出プレート11と、位置検出装置10を構成する光センサ20の発光部26及び受光部27とを備えて構成されている。
【0022】
<プランジャポンプ30を構成するエアモータ31の説明>
エアモータ31は、図3に示すように、シリンダ32内を上下動可能なピストン33により上部加圧室32Aと下部加圧室32Bとに仕切った構造である。上部加圧室32Aには、シリンダ32内に形成した下降用エア圧送路34Aが連通され、下部加圧室32Bには、シリンダ32内に形成した上昇用エア圧送路34Bが連通されている。下降用エア圧送路34Aと上昇用エア圧送路34Bには、図9に示す共通のエア圧送源53から共用エア圧送路54を介して加圧エアが圧送されるようになっている。
【0023】
このエア圧送源53は、主剤用のプランジャポンプ30と硬化剤用のプランジャポンプ30との間においても共通となっている。共用エア圧送路54の下流端部は4本のエア分岐路54M,54Hとして分岐されており、4本のうち2本のエア分岐路54Mは、主剤用のプランジャポンプ30の下降用エア圧送路34Aと上昇用エア圧送路34Bに接続され、残りの2本のエア分岐路54Hは、硬化剤用のプランジャポンプ30の下降用エア圧送路34Aと上昇用エア圧送路34Bに接続されている。また、共用エア圧送路54の途中には、上流側から順に、開閉弁55とエアフィルタ56とエアレギュレータ57が設けられている。
【0024】
また、図1〜3に示すように、シリンダ32の上面には、下降用電磁弁50Aと上昇用電磁弁50Bが設けられている。下降用電磁弁50Aは、下降用エア圧送路34Aとエア分岐路54Mとの間に設けられている。下降用電磁弁50Aは、エア分岐路54Hから下降用エア圧送路34A及び上部加圧室32Aへのエアの圧送を許容する開弁状態と、上部加圧室32A及び下降用エア圧送路34A内のエアを大気中に排出させる排気状態との間で切り替わるようになっている。
【0025】
上昇用電磁弁50Bは、上昇用エア圧送路34Bとエア分岐路54Hとの間に設けられている。上昇用電磁弁50Bは、エア分岐路54Hから上昇用エア圧送路34B及び下部加圧室32Bへのエアの圧送を許容する開弁状態と、下部加圧室32B及び上昇用エア圧送路34B内のエアを大気中に排出させる排気状態との間で切り替わるようになっている。この上昇用電磁弁50Bの作動と、上記下降用電磁弁50Aの作動とは、制御装置60の制御によって独立して行われるようになっている。
【0026】
図3に実線で示すようにピストン33が上方に位置する状態において、下降用電磁弁50Aが開弁状態に切り替わると同時に、上昇用電磁弁50Bが排気状態に切り替わると、下部加圧室32B内のエアが大気中に排出されるとともに、上部加圧室32Aに加圧エアが圧送されて、ピストン33が下降する。また、図3に想像線で示すようにピストン33が下方に位置する状態において、上昇用電磁弁50Bが開弁状態に切り替わると同時に、下降用電磁弁50Aが排気状態に切り替わると、上部加圧室32A内のエアが大気中に排出されるとともに、下部加圧室32Bに加圧エアが圧送されて、ピストン33が上昇する。ピストン33の上下動に伴い、ピストン33に一体移動するように固着したロッド35も、上下方向に直線的に移動する。ロッド35は、その移動方向と平行に細長く延びた形態であって、エアモータ31の上方と下方に突出されている。
【0027】
<プランジャポンプ30を構成するポンプ本体36の説明>
ポンプ本体36は、図4及び図5に示すように、ポンプ室37を上下動可能なプランジャ38により上部ポンプ室37Aと下部ポンプ室37Bとに区画したものである。プランジャ38には、ロッド35の下端部が一体に移動するように固着されており、したがって、上部ポンプ室37Aの容積の一部は、ロッド35の一部で占められている。プランジャ38は、図4に示す上死点位置と、図5に示す下死点位置との間で、上下方向に往復移動するようになっている。そして、このプランジャ38の上下動に伴い、上部ポンプ室37Aと下部ポンプ室37Bの容積が交互に増減するようになっている。
【0028】
ポンプ本体36には、その底壁部を貫通する吸引口39が形成され、吸引口39には、主剤タンク7M又は硬化剤タンク7Hが接続されている。また、ポンプ本体36の下端部には、吸引口39に連通するとともに、下部ポンプ室37Bに臨むようにフートバルブ40が設けられている。また、プランジャ38とロッド35の組付け部分には、下部ポンプ室37Bと上部ポンプ室37Aを連通する連通路41と、連通路41を開閉するチェックバルブ42が設けられている。ポンプ本体36には、その側壁を貫通するとともに上部ポンプ室37Aに連通した形態の吐出口43が形成され、この吐出口43には、主剤流路8M又は硬化剤流路8Hの上流端が接続されている。
【0029】
エアモータ31の駆動によってプランジャ38が上方へ移動すると、フートバルブ40が開き、主剤又は硬化剤が吸引口39から下部ポンプ室37B内に吸い込まれるとともに、チェックバルブ42が閉じて、上部ポンプ室37A内に貯留されていた主剤又は硬化剤が、吐出口43から主剤流路8M又は硬化剤流路8Hへ吐出される。また、プランジャ38が下方へ移動すると、フートバルブ40が閉じるとともにチェックバルブ42が開き、下部ポンプ室37B内の主剤又は硬化剤が、連通路41を通り、上部ポンプ室37A内の主剤又は硬化剤と合流して、吐出口43から主剤流路8M又は硬化剤流路8Hへ吐出される。
【0030】
プランジャ38の上下動に伴う主剤又は硬化剤の吐出量は、プランジャ38の昇降ストローク(変位量)に比例する。プランジャ38の上昇行程では、プランジャ38の昇降方向と直角に切断したときのポンプ室37(下部ポンプ室37B)の断面積に上昇ストロークを乗じた体積の主剤又は硬化剤が吸引されると同時に、ポンプ室37とロッド35の断面積の差に上昇ストロークを乗じた体積の主剤又は硬化剤が吐出される。一方、プランジャ38の下降行程では、主剤又は硬化剤の吸引は行われず、ロッド35の断面積に下降ストロークを乗じた体積の主剤又は硬化剤が吐出される。したがって、ポンプ室37の断面積がロッド35の断面積が同じであれば、上昇行程と下降行程の吐出量も同じとなるが、ポンプ室37の断面積とロッド35の断面積が異なれば、上昇行程と下降行程の吐出量も異なる。
【0031】
エアモータ31では、電磁弁50A,50Bによってピストン33及びロッド35の移動・停止と昇降動作の切替とを行うのであるが、電磁弁50A,50Bを適正なタイミングで作動させても、エアの圧力変動等のためにピストン33とロッド35の動きに誤差が生じることは避けられない。そこで、位置検出装置10を用いることによって、ロッド35の位置と移動方向を検出し、この検出結果により、プランジャ38の移動方向を判別(即ち、上昇しているか下降しているかを判別)するとともに、上昇時のストロークと下降時のストロークに基づいて、夫々の行程における主剤又は硬化剤のプランジャポンプ30からの吐出量(即ち、共用流路2への主剤及び硬化剤の投入量)を検出するようになっている。
【0032】
<位置検出装置10の説明>
位置検出装置10は、検出プレート11と、光センサ20とを備えて構成されている。検出プレート11は、所定形状に打ち抜いた金属板材に、レーザー光による穿孔加工と、曲げ加工とを施して成形されており、全体として上下方向(ロッド35の移動方向と平行な方向)に細長く延びた形態である。図6,7に示すように、検出プレート11は、上下方向(後述する貫通孔16の並び方向)に細長い被検出用板部12と、被検出用板部12の上端部に連なった取付用板部14とを備えている。
【0033】
被検出用板部12には、上下方向(ロッド35の移動方向と平行な方向)に一定のピッチで並列するスリット状をなす複数の貫通孔16が形成されている。詳しい図示は省略するが、この水平な複数の貫通孔16は、上下方向に細長いスリット状(溝状)をなす複数の連通孔17(図8を参照)を介して九十九折り状に連なっている。取付用板部14は、ブラケット19を介してロッド35の上端部に取り付けられている。これにより、検出プレート11は、その被検出用板部12をロッド35と平行に保った状態で、ロッド35と一体に上下方向に移動するようになっている。尚、ブラケット19は、ロッド35と平行なガイドバー44に嵌合されることにより、水平方向への旋回を規制されている。
【0034】
光センサ20は、電気信号と光信号との変換を行う光電素子(図示省略)を含む信号処理部61(図10を参照)と、発光用及び受光用の光ファイバー21,22(図1〜3,8を参照)と、光ファイバー21,22を保持するためのホルダ23(図1〜3,6〜8を参照)とを備えて構成されている。主剤側の信号処理部61からは、受光用の光電素子からの電気信号に基づき、パルス信号が制御装置60の主剤用のプランジャ位置検出部62Mへ出力されるようになっている。硬化剤側の信号処理部61からは、受光用の光電素子からの電気信号に基づき、パルス信号が制御装置60の硬化剤用のプランジャ位置検出部62Hへ出力されるようになっている。
【0035】
発光用の光電素子と受光用の光電素子は、A相用及びB相用として2組設けられており、各光電素子に、夫々、光ファイバー21,22が接続されている。エアモータ31の上面にはベース24が固定され、ベース24の上面における検出プレート11の近傍位置には、ホルダ23が固定されている。図8に示すように、ホルダ23は、水平方向(被検出用板部12の板面と直角な方向)に間隔を空けた発光用と受光用の一対のアーム部25を有している。この一対のアーム部25は、被検出用板部12を挟むように配置されている。
【0036】
発光用のアーム部25には、発光用の光電素子に接続された2本の発光用の光ファイバー21の発光側端部(発光部26)が、上下方向に所定の間隔を空けて固定されている。一方、受光用のアーム部25には、受光用の光電素子に接続された2本の発光用の光ファイバー22の受光側端部(受光部27)が、発光用の光ファイバー21の発光側端部(発光部26)と同じ高さで(上下方向に発光用の光ファイバー21と同じ間隔を空けて)且つ、発光部26と対向するように固定されている。この上下に並ぶA相用とB相用の光ファイバー21,22のピッチは、貫通孔16の並列ピッチの整数倍の寸法とは異なる寸法とされている。
【0037】
エアモータ31を駆動して主剤と硬化剤を共用流路2に投入する際には、A相とB相の両発光部26から検知光を被検出用板部12(検出プレート11における貫通孔16の並列領域)に向けて照射する。すると、ロッド35とプランジャ38が上下動するのに伴い、検知光が各貫通孔16を通過するため、受光部27では、貫通孔16を通過した検知光が間欠的に受光される。信号処理部61では、受光部27で検知光を検出されたときにON状態(ハイレベル)となるA相のパルス信号及びB相のパルス信号を制御装置60に出力する。また、上述したように、A相用とB相用の光ファイバー21,22のピッチは、貫通孔16の並列ピッチの整数倍の寸法とは異なる寸法とされている。したがって、A相のパルス信号とB相のパルス信号は、パルスの1/4周期だけ位相がずれている。
【0038】
<制御装置60の説明>
多液混合装置1では、プランジャポンプ30と混合バルブ5の切り替えによって主剤と硬化剤が、所定量ずつ共用流路2へ交互に投入されるのであるが、プランジャポンプ30の両電磁弁50A,50Bの切替動作と、混合バルブ5の主剤用バルブ5Mと硬化剤用バルブ5Hの開閉動作は、制御装置60によって制御される。
【0039】
図10は、制御装置60として機能するコンピュータ80のハードウエア構成を示す。コンピュータ80は、CPU81と,RAM及びRAMからなるメモリ67とをバス82で接続し、バス82に、入出力インタフェース83を接続して構成されている。入出力インタフェース83には、光センサ20の信号処理部61、プランジャポンプ30の下降用電磁弁50Aと上昇用電磁弁50B、混合バルブ5の主剤用バルブ5Mと硬化剤用バルブ5H、圧力計51M,51H、入力装置84、表示装置85等が接続されている。
【0040】
また、図11に示すのは、制御装置60(コンピュータ80)によって実行される機能をあらわす機能構成図である。制御装置60は、主剤用のプランジャ位置検出部62Mと、硬化剤用のプランジャ位置検出部62Hと、バルブ制御部63と、電磁弁制御部64と、演算部65と、圧力検出部66と、メモリ67を備えている。
【0041】
プランジャ位置検出部62M,62Hには、光センサ20の信号処理部61から出力されたA相のパルス信号及びB相のパルス信号が入力される。この信号処理部61から入力されるパルス信号に基づき、プランジャ位置検出部62M,62Hでは、ロッド35とプランジャ38の往復行程(上昇及び下降行程)における位置と、各行程における移動ストローク(即ち、プランジャ38の移動工程でカウントされるパルス数)を検出する。また、上述したように、A相用とB相用の光ファイバー21,22のピッチは、貫通孔16の並列ピッチの整数倍の寸法とは異なる寸法とされ、A相のパルス信号とB相のパルス信号は、パルスの1/4周期だけ位相がずれている。この位相のずれにより、プランジャ位置検出部62M,62Hでは、プランジャ38とロッド35の移動方向(即ち、上昇行程であるか、下降工程であるか)が検出される。このプランジャ位置検出部62M,62Hの検出結果は、演算部65に入力される。
【0042】
演算部65は、プランジャ位置検出部62M,62Hから入力される検出結果(プランジャ38の移動工程におけるパルス数と、プランジャ38の移動方向の情報を含む)と、予めメモリ67に記憶されている各種情報とに基づいて演算を行い、主剤投入量検出部65Md(本発明の構成要件である第2液投入量検出部)としての機能、硬化剤投入量検出部65Hdとしての機能、主剤投入予定量決定部65Me(本発明の構成要件である第2液投入予定量決定部)としての機能、及び、硬化剤投入予定量決定部65He(第1液投入予定量決定部)としての機能とを発揮する。メモリ67には、主剤の投入予定量VC4と硬化剤の投入予定量VC6を決定して主剤用バルブ5Mと硬化剤用バルブ5Hを制御するために必要な各種の情報が記憶されている。
【0043】
バルブ制御部63は、演算部65の演算結果に基づいて、混合バルブ5を構成する主剤用バルブ5Mと硬化剤用バルブ5Hに対し、個別に開弁状態と閉弁状態とを切り替えるための制御信号を出力するようになっている。このバルブ制御部63からの制御信号により、主剤用バルブ5Mと硬化剤用バルブ5Hは、共用流路2に対する主剤と硬化剤の投入動作が交互に行われるように開閉される。また、バルブ制御部63からの制御信号により、主剤用バルブ5M又は硬化剤用バルブ5Hを開弁して主剤又は硬化剤の投入が開始した後は、プランジャ38がその往復行程における死点に達する前に、その主剤用バルブ5M又は硬化剤用バルブ5Hが閉弁状態に切り替えられ、液剤投入が停止される。
【0044】
電磁弁制御部64は、演算部65の演算結果に基づき、主剤側のプランジャポンプ30の下降用電磁弁50A、主剤側のプランジャポンプ30の上昇用電磁弁50B、硬化剤側のプランジャポンプ30の下降用電磁弁50A、硬化剤側のプランジャポンプ30の上昇用電磁弁50Bに対し、個別に開弁状態と排気状態とを切り替えるための制御信号を出力する。この電磁弁制御部64からの制御信号により、主剤用バルブ5M又は硬化剤用バルブ5Hを閉弁してから次回の液剤投入のために開弁するまでの間に、電磁弁50A,50Bが切り替えられて、プランジャ38の次回投入時の移動方向が反転される。
【0045】
圧力検出部66には、主剤流路8Mの圧力計51Mと硬化剤流路8Hの圧力計51Hから、夫々、主剤と硬化剤の圧力値をあらわす信号が入力されるようになっている。圧力検出部66においては、これらの圧力計51M,51Hからの信号により、主剤や硬化剤の吐出圧力の異常が検出される。異常が検出された場合には、主剤と硬化剤の共用流路2への投入量が不正となり、混合比が狂うことが懸念されるので、装置の運転が停止される。
【0046】
<主剤と硬化剤の投入行程の説明>
主剤と硬化剤の投入量の割合(混合比)は、主剤の方が、硬化剤よりも2倍以上多くなるように設定されている。また、1回当たりの主剤の投入量は、プランジャ38の片道行程(上下両死点間を移動する行程)における主剤の最大吐出量よりも少ない量に設定されている。尚、上昇行程と下降行程で主剤の最大吐出量が相違する場合は、少ない側の行程における最大吐出量よりも、1回の主剤の投入量の方が少なくなるように設定される。
【0047】
初期状態では、全ての電磁弁50A,50Bを排気状態にし、主剤用バルブ5Mと硬化剤用バルブ5Hを閉弁状態にし、主剤側と硬化剤側のロッド35とプランジャ38を下死点(原点位置)で待機させておき、エア供給源53から主剤用と硬化剤用の両プランジャポンプ30のエアモータ31に対し、加圧エアを圧送する。
【0048】
この後、プランジャポンプ30では、下降用電磁弁50Aと下降用電磁弁50Bが、開弁状態と排気状態との間で交互に切り替えられる。下降用電磁弁50Aが開弁状態になると、加圧エアの圧力によりプランジャ38が下降方向へ付勢され、上昇用電磁弁50Bが開弁状態になると、加圧エアの圧力によりプランジャ38が上昇方向へ付勢される。したがって、プランジャ38は、常に、下降方向又は上昇方向へ付勢された状態に保たれる。
【0049】
また、混合バルブ5では、主剤用バルブ5Mと硬化剤用バルブ5Hが、開弁状態と閉弁状態との間で交互に切り替えられる。主剤用バルブ5Mが開弁状態になると、主剤側のプランジャ38が上昇又は下降するのに伴って、主剤が共用流路2に投入される。主剤が投入されている間は、プランジャ38と一体に下降又は上昇するロッド35の位置が位置検出装置10によって検出され、主剤投入量検出部65Mdでは主剤の投入量が算出される。そして、主剤の投入量が所定量に達したところで、主剤用バルブ5Mが閉弁状態に切り替わり、主剤の投入が一時停止する。また、主剤が投入されている間、硬化剤側では、プランジャ38は移動せず、加圧エアの付勢力によって硬化剤流路8H内の硬化剤が加圧された状態に保たれる。
【0050】
逆に、硬化剤用バルブ5Hが開弁状態になると、硬化剤側のプランジャ38が上昇又は下降するのに伴って、硬化剤が共用流路2に投入される。硬化剤が投入されている間は、プランジャ38と一体に下降又は上昇するロッド35の位置が位置検出装置10によって検出され、硬化剤投入量検出部65Hdでは硬化剤の投入量が算出される。そして、硬化剤の投入量が所定量に達したところで、硬化剤用バルブ5Hが閉弁状態に切り替わり、硬化剤の投入が一時停止する。また、硬化剤が投入されている間、主剤側では、プランジャ38は移動せず、加圧エアの付勢力により主剤流路8M内の主剤が加圧された状態に保たれる。
【0051】
このように、主剤用バルブ5Mと硬化剤用バルブ5Hが交互に開閉されることにより、主剤と硬化剤が共用流路2に交互に投入される。
【0052】
<主剤と硬化剤の投入量決定処理の説明>
本実施形態の多液混合装置1では、主剤と硬化剤の1投入サイクルにおける目標投入量V1t,V2tが設定されているのであるが、エア圧を駆動源として電磁弁50A,50Bの切替によってプランジャ38を往復移動させる復動式のプランジャポンプ30では、電磁弁50A,50Bの切替を適正なタイミングで制御しても、プランジャ38を目標通りのタイミングで停止させることは難しいため、実際の主剤と硬化剤の投入量が目標値よりも多くなる傾向にある。このように主剤と硬化剤の実測投入量が目標投入量V1t,V2tよりも多くなると、主剤と硬化剤の混合比に狂いが生じることが懸念される。
【0053】
その対策として、本実施形態では、実測投入量と目標とする投入量との誤差を補正するために、1投入サイクル毎に、主剤の次回の投入予定量VC4と硬化剤の次回の投入予定量VC6を決定し、これに基づいて主剤用バルブ5Mと硬化剤用バルブ5Hの開閉動作と、必要に応じて主剤側と硬化剤側の電磁弁50A,50Bの切替動作の制御を行っている。以下、その手順を、図12に示すフローチャートを参照して説明する。
【0054】
コンピュータ80のメモリ67には、主剤と硬化剤の目標混合比N1:1、1投入サイクルにおける硬化剤の目標投入量V1t、光センサ20の信号処理部61からプランジャ位置検出部62M,62Hに入力されるパルス信号の数(以下、カウント数という)であって硬化剤の目標投入量V1tと対応する硬化剤の目標カウント数C1t、1投入サイクルにおける主剤の目標投入量V2t、主剤の目標投入量V2tと対応する主剤の目標カウント数C2t、硬化剤と主剤の目標投入量V1t,V2tを併せた合計目標投入量M、主剤のパルス信号1カウント当たりの投入量P2、硬化剤のパルス信号1カウント当たりの投入量P1等が記憶されている。
【0055】
主剤の目標カウント数C2tは、次式(A)によって算出される。
C2t=4×k2×(M/(N1+1))×N1/P2…(A)
k2は、主剤用の補正係数であり、定数4は、2相パルスを4逓倍で加減算するための倍数である。
主剤の目標投入量V2tは、次式(B)によって算出される。
V2t=(C2×P2)/(k2×4)…(B)
硬化剤の目標投入量V1tは、次式(C)によって算出される。
V1t=V2t/N1…(C)
硬化剤の目標カウント数C1tは、次式(D)によって算出される。
C1t=4×k1×V1t/P1…(D)
k1は、硬化剤用の補正係数である。
【0056】
尚、主剤のパルス信号1カウント当たりの投入量P2は、プランジャ38の上昇時と下降時で別々の値が記憶されており、したがって、主剤の目標投入量V2tも、プランジャ38の上昇時と下降時で別々の値が記憶されている。また、硬化剤のパルス信号1カウント当たりの投入量P1も、プランジャ38の上昇時と下降時で別々の値が記憶されている。そして、硬化剤の目標投入量V1tは、主剤側のプランジャ38と硬化剤側のプランジャ38の昇降の組み合わせに応じて4種類の別々の値が記憶されている。
【0057】
また、主剤側と硬化剤側のプランジャ位置検出部62M,62Hでは、夫々、主剤側の信号処理部61と硬化剤側の信号処理部61から入力されたパルス信号がカウントされ、そのカウント値が、演算部65に入力されるようになっている。演算部65では、入力されたカウント値とメモリ67に記憶されている情報に基づいて、演算が行われ、主剤と硬化剤の実測投入量V1a,V2a、及び主剤と硬化剤の次回の投入予定量VC4,VC6が決定されるようになっている。
【0058】
主剤と硬化剤の目標投入量V1t,V2tの決定に際しては、まず、硬化剤投入量検出部65Hdにおいて、硬化剤の前回の実測投入量V1aが、次式(E)によって検出される(ステップS101)。
V1a=|C1_end−C1_old|×P1/(k1×4)…(E)
C1_endは、硬化剤の前回の投入開始時における硬化剤側のプランジャポンプ30のカウント値であり、C1_oldは、硬化剤の前回の投入終了時におけるカウント値であり、k1は、硬化剤用の補正係数である。
【0059】
また、主剤投入量検出部65Mdにおいて、主剤の前回の実測投入量V2aが次式(F)によって検出される(ステップS102)。
V2a=|C2_end−C2_old|×P2/(k2×4)…(F)
C2_endは、主剤の前回の投入開始時における主剤側のプランジャポンプ30のカウント値であり、C2_oldは、主剤の前回の投入終了時におけるカウント値であり、k2は、主剤用の補正係数である。
したがって、前回投入済みの主剤と硬化剤の実測混合比は、V2a:V1aである。
【0060】
次に、主剤投入予定量決定部65Meにおいて、主剤の次回の投入予定量VC4が、次の手順で決定される(ステップS103)。主剤の次回の投入予定量VC4は、次式(G)によって算出される。
VC4=(C4×P2)/(k2×4)…(G)
C4は、主剤の次回の投入予定量VC4と対応するカウント数であり、次式(H)によって算出される。
C4=C2t−off_m1…(H)
off_m1は、前回の主剤の実測投入量V2aと目標投入量V2tとの誤差に対応して補正される補正カウント数であって、次式(I)によって算出される。
off_m1=|C2_end−C2_old|…(I)
したがって、主剤の実測投入量V2aと主剤の目標投入量V2tとの誤差に相当する第1補正量Voff_m1は、次式(J)によって算出される。
Voff_m1=(off_m1×P2)/(k2×4)…(J)
以上のように、主剤の目標投入量V2tに対して、前回の主剤の実測投入量V2aの誤差に基づいた補正を加える処理により、主剤の次回の投入予定量VC4が決定される。
【0061】
次に、硬化剤投入予定量決定部65Heにおいて、硬化剤の次回の投入予定量VC6が、次の手順で決定される(ステップS104)。硬化剤の次回の投入予定量VC6は、次式(K)によって算出される。
VC6=(C6×P1)/(k1×4)…(K)
C6は、硬化剤の次回の投入予定量VC6と対応するカウント値であり、次式(L)又は(M)によって算出される。
C6=C1t+(4×k1×(Voff_m2+Voff_m3)/P1)…(L)
C6=C1t+off_m2+off_m3…(M)
Voff_m2は、前回の投入サイクルで投入済みの主剤と硬化剤の実測混合比V2a:V1aと目標混合比N1:1との誤差と対応する第2補正量(前回の混合比に対する補正量)であり、次式(N)によって算出される。
Voff_m2=(V2a−V1a×N1)/N1…(N)
off_m2は、第2補正量Voff_m2と対応する第2補正カウント値であり、次式(O)によって算出される。
off_m2=Voff_m2×k1×4/P1…(O)
Voff_m3は、主剤の次回の投入予定量VC4のうちの主剤の実測投入量V2aと主剤の目標投入量V2tとの誤差に相当する第1補正量Voff_m1と対応する第3補正量(次回の主剤の投入予定量VC4に対する補正量)であり、次式(P)によって算出される。
Voff_m3=Off_m1×P2/(k2×4×N1)…(P)
off_m3は、第3補正量Voff_m3と対応する第3補正カウント値であり、次式(Q)によって算出される。
off_m3=Voff_m3×k1×4/P1…(Q)
以上のように、硬化剤の目標投入量V1tに対して、前回の混合比の誤差に基づいた補正と、次回の主剤の投入予定量VC6に基づいた補正との2つの補正を加える処理により、硬化剤の次回の投入予定量VC6が決定される。
【0062】
この硬化剤の次回の投入予定量VC6を決定する処理は、主剤の前回の投入工程が完了した後であって、硬化剤の次回の投入工程の途中で行われる。即ち、次式(R)の条件が成立した時点で、決定処理(補正処理)が行われる。
C5=C1t/2≦|C1_now−C1_old|…(R)
C5は、硬化剤の次回の投入が開始してから、決定処理を開始するまでのカウント数であり、C1_oldは、硬化剤の前回の投入終了時における硬化剤側のプランジャポンプ30のカウント値であり、C1_nowは、1msec毎に硬化剤側のプランジャ位置検出部62Hで読み込まれる硬化剤側のプランジャポンプ30のカウント値である。したがって、硬化剤の投入が開始した時点では、その投入工程における硬化剤の投入予定量VC6は確定していないのであり、その投入工程における投入予定量VC6は、その投入工程の途中で決定される。
【0063】
この後は、決定された硬化剤の投入予定量VC6に基づいて、硬化剤用バルブ5Hが閉弁状態に切り替わり、硬化剤の投入が一時停止する。閉弁状態への切替は、次式(S)、(T)が成立したときに行われる。
(C6−off1)≦|C1_now−C1_old|…(S)
off1=4×Td2_1×4/T4p_1(0以上)…(T)
Td2_1は、硬化剤用バルブ5Hが閉弁してから硬化剤用のプランジャ位置検出部62Hへのパルス信号の入力が停止するまでの遅れ時間(10〜150msec、初期値は40msec)であり、学習機能または初期設定で決定される。T4p_1は、制御中にプランジャ位置検出部62Hに入力される硬化剤の4パルス分連続流れ時の時間(単位はmsec)である。
また、硬化剤用バルブ5Hの切替に伴って硬化剤側のプランジャ38の上昇行程と下降行程を切り替える必要があると判断された場合は、硬化剤用バルブ5Hの切替と併せて、硬化剤側の電磁弁50A,50Bの切替も行う。
【0064】
硬化剤の投入が一時停止すると、主剤用バルブ5Mが開弁状態に切り替わり、主剤の投入が開始する。そして、決定された主剤の投入予定量VC4に基づいて、主剤用バルブ5Mが閉弁状態に切り替わり、主剤の投入が一時停止する。閉弁への切替は、次式(U)、(V)が成立したときに行われる。
(C4−off2)≦|C2_now−C2_old|…(U)
off2=4×Td2_2×4/T4p_2(0以上)…(V)
Td2_2は、主剤用バルブ5Mが閉弁してから主剤用のプランジャ位置検出部62Mへのパルス信号の入力が停止するまでの遅れ時間(10〜150msec、初期値は40msec)であり、学習機能または初期設定で決定される。T4p_2は、制御中にプランジャ位置検出部62Mに入力される主剤の4パルス分連続流れ時の時間(単位はmsec)である。
また、主剤用バルブ5Mの切替に伴って主剤側のプランジャ38の上昇行程と下降行程を切り替える必要があると判断された場合は、主剤用バルブ5Mの切替と併せて、主剤側の電磁弁50A,50Bの切替も行う。
【0065】
本実施形態では、多液混合システムにおいて多液混合装置1を制御する制御装置60は、主剤の実測投入量V2aを検出する主剤投入量検出部65Mdと、主剤投入量検出部65Mdの検出結果に基づいて主剤の次回の投入予定量VC4を決定する主剤投入予定量決定部65Meと、主剤の次回の投入予定量VC4と、予め設定されている硬化剤と主剤の目標混合比N1:1と前回投入済みの主剤と硬化剤の実測混合比V2a:V1aとの誤差とに基づいて、硬化剤の次回の投入予定量VC6を決定する硬化剤投入予定量決定部65Heとを備えている。
【0066】
そして、コンピュータ80が、主剤投入量検出部65Mdによって主剤実測投入量V2aを検出する処理と、主剤投入予定量決定部65Meによって主剤の次回の次回の投入予定量VC4を決定する処理と、硬化剤投入予定量決定部65Heによって硬化剤の次回の投入予定量VC6を決定する処理とを実行することで、制御装置60は、主剤と硬化剤の交互投入動作を制御する。
【0067】
また、主剤投入予定量決定部65Meは、予め設定されている主剤の目標投入量V2tに対し、主剤の実測投入量V2aと主剤の目標投入量V2tとの誤差に相当する第1補正量Voff_m1の補正を加えるようになっている。硬化剤投入予定量決定部65Heは、予め設定されている硬化剤の目標投入量V1tに対し、主剤の次回の投入予定量VC4のうちの主剤の実測投入量V2aと主剤の目標投入量V2tとの誤差に相当する第1補正量Voff_m1と対応する第3補正量Voff_m3の補正を加える。さらに、硬化剤投入予定量決定部65Heは、予め設定されている硬化剤の目標投入量V1tに対し、目標混合比N1:1と実測混合比V2a:V1aとの誤差と対応する第2補正量Voff_m2の補正を加えるようになっている。
【0068】
本発明によれば、硬化剤と主剤の順で1サイクルの投入が終わると、そのサイクルの混合比の誤差に基づいて硬化剤の次回の投入予定量VC6が決定されるので、この硬化剤の次回の投入動作によって、前回のサイクルにおける混合比の誤差の解消を図ることができる。
【0069】
また、主剤の実測投入量V2aを検出して、主剤の次回の投入予定量VC4を決定するようにしたので、各投入サイクルにおける主剤の投入量のバラツキを小さく抑えることができる。しかも、硬化剤の次回の投入予定量VC6の決定に際しては、この主剤の次回の投入予定量VC4も考慮されるので、次回の投入サイクルにおける混合比の誤差も小さく抑えることができる。したがって、本実施形態の制御装置、制御方法及びコンピュータ80のプログラムによれば、各投入サイクルにおける混合比のバラツキを小さく抑えることができるとともに、1回の投入サイクルにおける硬化剤と主剤の平均投入量を目標投入量V1t,V2tに近づけることができる。
【0070】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、第1液の次回の投入予定量を決定する手段として、第1液の目標投入量に対し、混合比の誤差値及び第2液の投入予定量に基づいて演算して得られた補正量の補正を加えたが、これに替えて、予めコンピュータのメモリに、混合比の誤差値及び第2液の投入予定量と対応する第1液の次回の投入予定量の情報を記憶させておき、このメモリに記憶されている第1液の次回の投入予定量を読み出すようにしてもよい。
(2)上記実施形態では、2種類の液体(主剤と硬化剤)のみを混合する場合について説明したが、本発明は、3種類以上の液体を順次に共用流路に投入して混合する多液混合装置にも適用することができる。この場合、第1液の次回の投入予定量を決定する際には、第1液の目標投入量に対し、他の複数の液体の投入予定量と対応する補正と、複数種類の液体による1サイクルの混合比の誤差に基づいた補正とを加えればよい。
(3)上記実施形態では、主剤と硬化剤を混合して塗料が生成される場合について説明したが、本発明は、液剤の混合物が塗料以外のものである場合にも適用できる。
(4)上記実施形態では、プランジャの1回の往動行程及び復動行程で、硬化剤の投入が2回行われる場合について説明したが、プランジャの1回の往動行程及び復動行程で行われる硬化剤の投入回数は、1回であってもよく、3回以上であってもよい。
【符号の説明】
【0071】
1…多液混合装置
2…共用流路
60…制御装置
65He…硬化剤投入予定量決定部(第1液投入予定量決定部)
65Me…主剤投入予定量決定部(第2液投入予定量決定部)
65Md…主剤投入量検出部(第2液投入量検出部)
80…コンピュータ
N1:1…主剤(第2液)S硬化剤(第1液)の目標混合比
V1a…硬化剤(第1液)の実測投入量
V1t…硬化剤(第1液)の目標投入量
V2t…主剤(第2液)の目標投入量
V2a…主剤(第2液)の実測投入量
V2a:V1a…前回投入済みの主剤(第2液)と硬化剤(第1液)の実測混合比
VC4…主剤(第2液)の次回の投入予定量
VC6…硬化剤(第1液)の次回の投入予定量
Voff_m1…第1補正量(第2液の実測投入量と第2液の目標投入量との誤差に相当する補正量)
Voff_m2…第2補正量(目標混合比と実測混合比との誤差と対応する補正量)
Voff_m3…第3補正量(第2液の次回の投入予定量のうちの第2液の実測投入量と第2液の目標投入量との誤差に相当する補正量と対応する補正量)
【技術分野】
【0001】
本発明は、多液混合システム、多液混合装置の制御装置、多液混合装置の制御方法及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、第1液と第2液を共用流路に交互投入して混合する多液混合装置において、第1液と第2液の混合比を目標値に保つための技術が開示されている。ここに開示されている技術では、第1液を投入した後、この投入量を検出し、この検出値と第1液の目標投入量との誤差に基づいて、第2液の目標投入量に補正を加えることにより、第2液の投入予定量を決定する。つまり、1サイクルの交互投入が行われる毎に、第1液の実際の投入量の誤差に基づいて第2液の投入予定量を決定することによって、第1液と第2液の混合比を目標値に保とうとするのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3192286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
多液混合装置において両液を圧送する手段として、エア圧を駆動源とするプランジャポンプを用いることができるのであるが、このプランジャポンプは液体の吐出量を高い精度で制御することが難しいため、上記のように第2液の投入予定量を補正しても、実際の第2液の投入量に誤差が生じることは避けられない。したがって、上記のように1サイクル毎に第2液の投入量を補正する方法では、第2液の投入量の誤差の影響が、補正されずに後々まで残ることになり、その結果、この第2液の誤差が累積されることになるため、混合比を適正な値に保つことは困難である。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、混合比を高い精度で適正に保つようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、第1液と第2液を共用流路に交互投入して混合する多液混合装置の投入動作を制御装置によって制御するようにした多液混合システムであって、前記制御装置は、第2液の実測投入量を検出する第2液投入量検出部と、前記第2液投入量検出部の検出結果に基づいて第2液の次回の投入予定量を決定する第2液投入予定量決定部と、前記第2液の次回の投入予定量と、予め設定されている第1液と第2液の目標混合比と前回投入済みの第1液と第2液の実測混合比との誤差とに基づいて、第1液の次回の投入予定量を決定する第1液投入予定量決定部と、を備えているところに特徴を有する。
【0007】
請求項2の発明は、第1液と第2液を共用流路に交互投入して混合する多液混合装置の投入動作を制御する制御装置であって、第2液の実測投入量を検出する第2液投入量検出部と、前記第2液投入量検出部の検出結果に基づいて第2液の次回の投入予定量を決定する第2液投入予定量決定部と、前記第2液の次回の投入予定量と、予め設定されている第1液と第2液の目標混合比と前回投入済みの第1液と第2液の実測混合比との誤差とに基づいて、第1液の次回の投入予定量を決定する第1液投入予定量決定部と、を備えているところに特徴を有する。
【0008】
請求項3の発明は、請求項2に記載のものにおいて、前記第2液投入予定量決定部は、予め設定されている第2液の目標投入量に対し、第2液の実測投入量と前記第2液の目標投入量との誤差に相当する補正量の補正を加えるところに特徴を有する。
【0009】
請求項4の発明は、請求項3に記載のものにおいて、前記第1液投入予定量決定部は、予め設定されている第1液の目標投入量に対し、前記第2液の次回の投入予定量のうちの前記第2液の実測投入量と前記第2液の目標投入量との誤差に相当する補正量と対応する補正量の補正を加えるところに特徴を有する。
【0010】
請求項5の発明は、請求項2又は請求項4に記載のものにおいて、前記第1液投入予定量決定部は、予め設定されている第1液の目標投入量に対し、前記目標混合比と前記実測混合比との誤差と対応する補正量の補正を加えるところに特徴を有する。
【0011】
請求項6の発明は、第1液と第2液を共用流路に交互投入して混合する多液混合装置の投入動作を制御する方法であって、第2液の実測投入量を検出する第2液投入量検出ステップと、前記第2液投入量検出部の検出結果に基づいて第2液の次回の投入予定量を決定する第2液投入予定量決定ステップと、前記第2液の次回の投入予定量と、予め設定されている第1液と第2液の目標混合比と前回投入済みの第1液と第2液の実測混合比との誤差とに基づいて、第1液の次回の投入予定量を決定する第1液投入予定量決定ステップと、を含むところに特徴を有する。
【0012】
請求項7の発明は、第1液と第2液を共用流路に交互投入して混合する多液混合装置の投入動作を制御するコンピュータに、第2液の実測投入量を検出する第2液投入量検出処理と、前記第2液投入量検出部の検出結果に基づいて第2液の次回の投入予定量を決定する第2液投入予定量決定処理と、前記第2液の次回の投入予定量と、予め設定されている第1液と第2液の目標混合比と前回投入済みの第1液と第2液の実測混合比との誤差とに基づいて、第1液の次回の投入予定量を決定する第1液投入予定量決定処理と、を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0013】
第1液と第2液の順で1サイクルの投入が終わると、そのサイクルの混合比の誤差に基づいて第1液の次回の投入予定量が決定されるので、この第1液の次回の投入動作によって、前回のサイクルにおける混合比の誤差の解消を図ることができる。また、第2液の実測投入量を検出して、第2液の次回の投入予定量を決定するようにしたので、各投入サイクルにおける第2液の投入量のバラツキを小さく抑えることができる。しかも、第1液の次回の投入予定量の決定に際しては、この第2液の次回の投入予定量が考慮されるので、次回の投入サイクルにおける混合比の誤差を小さく抑えることができる。したがって、本発明によれば、各投入サイクルにおける混合比のバラツキを小さく抑えることができるとともに、1回の投入サイクルにおける第1液と第2液の平均投入量を目標投入量に近づけることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態1においてロッドとプランジャが上死点位置にある状態をあらわすプランジャポンプ(往復ポンプ)の正面図
【図2】ロッドとプランジャが下死点位置にある状態をあらわすプランジャポンプ(往復ポンプ)の正面図
【図3】プランジャポンプ(往復ポンプ)を構成するエアモータの断面図
【図4】プランジャポンプ(往復ポンプ)を構成するポンプ本体において、プランジャが上死点位置にある状態をあらわす断面図
【図5】プランジャポンプ(往復ポンプ)を構成するポンプ本体において、プランジャが下死点位置にある状態をあらわす断面図
【図6】ロッドが上死点位置にある状態をあらわす位置検出装置の側面図
【図7】ロッドが下死点位置にある状態をあらわす位置検出装置の側面図
【図8】位置検出装置の拡大平面図
【図9】多液混合システムの構成図
【図10】制御装置として機能するコンピュータのハードウエア構成を示すブロック図
【図11】制御装置(コンピュータ)によって実行される制御機能をあらわす機能構成図
【図12】制御装置(コンピュータ)によって実行される制御の手順をあらわすフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施形態1>
以下、本発明を具体化した実施形態1を図1乃至図12を参照して説明する。本実施形態では多液混合システムを塗装装置に適用した例を説明する。図9に示すように、多液混合システムは、多液混合装置1と制御装置60と塗装ガン70とを備えて構成されている。多液混合装置1は、主剤(本発明の構成要件である第2液)と硬化剤(本発明の構成要件である第1液)を、所定量ずつ共用流路2に交互に投入して混合することによって塗料を生成し、この生成された塗料を塗装ガン70に供給するようになっている。
【0016】
<多液混合装置1の概要の説明>
多液混合装置1は、共用流路2と、共用流路2の上流端に設けられた混合バルブ5と、混合バルブ5を介して主剤を共用流路2に圧送する主剤圧送装置6Mと、混合バルブ5を介して硬化剤を共用流路2に圧送する硬化剤用圧送装置6Hとを備えて構成されている。塗装ガン70には共用流路2の下流端が接続され、共用流路2の途中には、共用流路2に投入された主剤と硬化剤の混合促進を図るためのミキサ3(ミキシングホース)が設けられている。主剤と硬化剤は、ミキサ3を通過する間に混合されて塗料となる。
【0017】
共用流路2の上流端部は、主剤用分岐路2Mと硬化剤用分岐路2Hとの二叉に分岐しており、主剤用分岐路2Mの上流端は、多液混合装置1を構成する混合バルブ5の主剤流出口5Mbに接続され、硬化剤用分岐路2Hの上流端は、混合バルブ5の硬化剤流出口5Hbに接続されている。また、各分岐路2M,2Hには、主剤と硬化剤の逆流を防止するための逆止弁4が設けられている。
【0018】
<混合バルブ5の説明>
混合バルブ5は、主剤用バルブ5Mと硬化剤用バルブ5Hとを備えて構成されている。主剤用バルブ5Mは、主剤流入口5Maから主剤流出口5Mbへの主剤の流動を許容する開弁状態と、主剤流入口5Maから主剤流出口5Mbへの主剤の流動を遮断する閉弁状態との間で切り替わるようになっている。硬化剤用バルブ5Hは、硬化剤流入口5Haから硬化剤流出口5Hbへの硬化剤の流動を許容する開弁状態と、硬化剤流入口5Haから硬化剤流出口5Hbへの硬化剤の流動を遮断する閉弁状態との間で切り替わるようになっている。
【0019】
<主剤圧送装置6Mの説明>
主剤圧送装置6Mは、主剤タンク7Mと、主剤タンク7Mに貯留されている主剤を共用流路2側へ圧送するためのプランジャポンプ30と、主剤流路8Mとを有する。主剤流路8Mの上流端は、プランジャポンプ30の吐出口43(図4,5を参照)に接続され、主剤流路8Mの下流端は混合バルブ5の主剤流入口5Maに接続されている。主剤流路8Mの途中には、圧力計51Mが設けられている。
【0020】
<硬化剤圧送装置6Hの説明>
硬化剤用圧送装置6Hは、硬化剤タンク7Hと、硬化剤タンク7Hに貯留されている硬化剤を共用流路2側へ圧送するためのプランジャポンプ30と、硬化剤流路8Hとを有する。硬化剤流路8Hの上流端は、プランジャポンプ30の吐出口43に接続され、硬化剤流路8Hの下流端は混合バルブ5の硬化剤流入口5Haに接続されている。硬化剤流路8Hの途中には、圧力計51Hと硬化剤用レギュレータ52が設けられている。
【0021】
<プランジャポンプ30の概要の説明>
プランジャポンプ30(往復ポンプ)は、主剤流路8Mと硬化剤流路8Hに個別に設けらており、主剤用のプランジャポンプ30と硬化剤用のプランジャポンプ30は同じ構造のものである。プランジャポンプ30は、加圧エアを駆動源として電磁弁50A,50Bにより吐出動作を制御する復動式のポンプであって、図1,2に示すように、エアモータ31と、ポンプ本体36と、位置検出装置10を構成する検出プレート11と、位置検出装置10を構成する光センサ20の発光部26及び受光部27とを備えて構成されている。
【0022】
<プランジャポンプ30を構成するエアモータ31の説明>
エアモータ31は、図3に示すように、シリンダ32内を上下動可能なピストン33により上部加圧室32Aと下部加圧室32Bとに仕切った構造である。上部加圧室32Aには、シリンダ32内に形成した下降用エア圧送路34Aが連通され、下部加圧室32Bには、シリンダ32内に形成した上昇用エア圧送路34Bが連通されている。下降用エア圧送路34Aと上昇用エア圧送路34Bには、図9に示す共通のエア圧送源53から共用エア圧送路54を介して加圧エアが圧送されるようになっている。
【0023】
このエア圧送源53は、主剤用のプランジャポンプ30と硬化剤用のプランジャポンプ30との間においても共通となっている。共用エア圧送路54の下流端部は4本のエア分岐路54M,54Hとして分岐されており、4本のうち2本のエア分岐路54Mは、主剤用のプランジャポンプ30の下降用エア圧送路34Aと上昇用エア圧送路34Bに接続され、残りの2本のエア分岐路54Hは、硬化剤用のプランジャポンプ30の下降用エア圧送路34Aと上昇用エア圧送路34Bに接続されている。また、共用エア圧送路54の途中には、上流側から順に、開閉弁55とエアフィルタ56とエアレギュレータ57が設けられている。
【0024】
また、図1〜3に示すように、シリンダ32の上面には、下降用電磁弁50Aと上昇用電磁弁50Bが設けられている。下降用電磁弁50Aは、下降用エア圧送路34Aとエア分岐路54Mとの間に設けられている。下降用電磁弁50Aは、エア分岐路54Hから下降用エア圧送路34A及び上部加圧室32Aへのエアの圧送を許容する開弁状態と、上部加圧室32A及び下降用エア圧送路34A内のエアを大気中に排出させる排気状態との間で切り替わるようになっている。
【0025】
上昇用電磁弁50Bは、上昇用エア圧送路34Bとエア分岐路54Hとの間に設けられている。上昇用電磁弁50Bは、エア分岐路54Hから上昇用エア圧送路34B及び下部加圧室32Bへのエアの圧送を許容する開弁状態と、下部加圧室32B及び上昇用エア圧送路34B内のエアを大気中に排出させる排気状態との間で切り替わるようになっている。この上昇用電磁弁50Bの作動と、上記下降用電磁弁50Aの作動とは、制御装置60の制御によって独立して行われるようになっている。
【0026】
図3に実線で示すようにピストン33が上方に位置する状態において、下降用電磁弁50Aが開弁状態に切り替わると同時に、上昇用電磁弁50Bが排気状態に切り替わると、下部加圧室32B内のエアが大気中に排出されるとともに、上部加圧室32Aに加圧エアが圧送されて、ピストン33が下降する。また、図3に想像線で示すようにピストン33が下方に位置する状態において、上昇用電磁弁50Bが開弁状態に切り替わると同時に、下降用電磁弁50Aが排気状態に切り替わると、上部加圧室32A内のエアが大気中に排出されるとともに、下部加圧室32Bに加圧エアが圧送されて、ピストン33が上昇する。ピストン33の上下動に伴い、ピストン33に一体移動するように固着したロッド35も、上下方向に直線的に移動する。ロッド35は、その移動方向と平行に細長く延びた形態であって、エアモータ31の上方と下方に突出されている。
【0027】
<プランジャポンプ30を構成するポンプ本体36の説明>
ポンプ本体36は、図4及び図5に示すように、ポンプ室37を上下動可能なプランジャ38により上部ポンプ室37Aと下部ポンプ室37Bとに区画したものである。プランジャ38には、ロッド35の下端部が一体に移動するように固着されており、したがって、上部ポンプ室37Aの容積の一部は、ロッド35の一部で占められている。プランジャ38は、図4に示す上死点位置と、図5に示す下死点位置との間で、上下方向に往復移動するようになっている。そして、このプランジャ38の上下動に伴い、上部ポンプ室37Aと下部ポンプ室37Bの容積が交互に増減するようになっている。
【0028】
ポンプ本体36には、その底壁部を貫通する吸引口39が形成され、吸引口39には、主剤タンク7M又は硬化剤タンク7Hが接続されている。また、ポンプ本体36の下端部には、吸引口39に連通するとともに、下部ポンプ室37Bに臨むようにフートバルブ40が設けられている。また、プランジャ38とロッド35の組付け部分には、下部ポンプ室37Bと上部ポンプ室37Aを連通する連通路41と、連通路41を開閉するチェックバルブ42が設けられている。ポンプ本体36には、その側壁を貫通するとともに上部ポンプ室37Aに連通した形態の吐出口43が形成され、この吐出口43には、主剤流路8M又は硬化剤流路8Hの上流端が接続されている。
【0029】
エアモータ31の駆動によってプランジャ38が上方へ移動すると、フートバルブ40が開き、主剤又は硬化剤が吸引口39から下部ポンプ室37B内に吸い込まれるとともに、チェックバルブ42が閉じて、上部ポンプ室37A内に貯留されていた主剤又は硬化剤が、吐出口43から主剤流路8M又は硬化剤流路8Hへ吐出される。また、プランジャ38が下方へ移動すると、フートバルブ40が閉じるとともにチェックバルブ42が開き、下部ポンプ室37B内の主剤又は硬化剤が、連通路41を通り、上部ポンプ室37A内の主剤又は硬化剤と合流して、吐出口43から主剤流路8M又は硬化剤流路8Hへ吐出される。
【0030】
プランジャ38の上下動に伴う主剤又は硬化剤の吐出量は、プランジャ38の昇降ストローク(変位量)に比例する。プランジャ38の上昇行程では、プランジャ38の昇降方向と直角に切断したときのポンプ室37(下部ポンプ室37B)の断面積に上昇ストロークを乗じた体積の主剤又は硬化剤が吸引されると同時に、ポンプ室37とロッド35の断面積の差に上昇ストロークを乗じた体積の主剤又は硬化剤が吐出される。一方、プランジャ38の下降行程では、主剤又は硬化剤の吸引は行われず、ロッド35の断面積に下降ストロークを乗じた体積の主剤又は硬化剤が吐出される。したがって、ポンプ室37の断面積がロッド35の断面積が同じであれば、上昇行程と下降行程の吐出量も同じとなるが、ポンプ室37の断面積とロッド35の断面積が異なれば、上昇行程と下降行程の吐出量も異なる。
【0031】
エアモータ31では、電磁弁50A,50Bによってピストン33及びロッド35の移動・停止と昇降動作の切替とを行うのであるが、電磁弁50A,50Bを適正なタイミングで作動させても、エアの圧力変動等のためにピストン33とロッド35の動きに誤差が生じることは避けられない。そこで、位置検出装置10を用いることによって、ロッド35の位置と移動方向を検出し、この検出結果により、プランジャ38の移動方向を判別(即ち、上昇しているか下降しているかを判別)するとともに、上昇時のストロークと下降時のストロークに基づいて、夫々の行程における主剤又は硬化剤のプランジャポンプ30からの吐出量(即ち、共用流路2への主剤及び硬化剤の投入量)を検出するようになっている。
【0032】
<位置検出装置10の説明>
位置検出装置10は、検出プレート11と、光センサ20とを備えて構成されている。検出プレート11は、所定形状に打ち抜いた金属板材に、レーザー光による穿孔加工と、曲げ加工とを施して成形されており、全体として上下方向(ロッド35の移動方向と平行な方向)に細長く延びた形態である。図6,7に示すように、検出プレート11は、上下方向(後述する貫通孔16の並び方向)に細長い被検出用板部12と、被検出用板部12の上端部に連なった取付用板部14とを備えている。
【0033】
被検出用板部12には、上下方向(ロッド35の移動方向と平行な方向)に一定のピッチで並列するスリット状をなす複数の貫通孔16が形成されている。詳しい図示は省略するが、この水平な複数の貫通孔16は、上下方向に細長いスリット状(溝状)をなす複数の連通孔17(図8を参照)を介して九十九折り状に連なっている。取付用板部14は、ブラケット19を介してロッド35の上端部に取り付けられている。これにより、検出プレート11は、その被検出用板部12をロッド35と平行に保った状態で、ロッド35と一体に上下方向に移動するようになっている。尚、ブラケット19は、ロッド35と平行なガイドバー44に嵌合されることにより、水平方向への旋回を規制されている。
【0034】
光センサ20は、電気信号と光信号との変換を行う光電素子(図示省略)を含む信号処理部61(図10を参照)と、発光用及び受光用の光ファイバー21,22(図1〜3,8を参照)と、光ファイバー21,22を保持するためのホルダ23(図1〜3,6〜8を参照)とを備えて構成されている。主剤側の信号処理部61からは、受光用の光電素子からの電気信号に基づき、パルス信号が制御装置60の主剤用のプランジャ位置検出部62Mへ出力されるようになっている。硬化剤側の信号処理部61からは、受光用の光電素子からの電気信号に基づき、パルス信号が制御装置60の硬化剤用のプランジャ位置検出部62Hへ出力されるようになっている。
【0035】
発光用の光電素子と受光用の光電素子は、A相用及びB相用として2組設けられており、各光電素子に、夫々、光ファイバー21,22が接続されている。エアモータ31の上面にはベース24が固定され、ベース24の上面における検出プレート11の近傍位置には、ホルダ23が固定されている。図8に示すように、ホルダ23は、水平方向(被検出用板部12の板面と直角な方向)に間隔を空けた発光用と受光用の一対のアーム部25を有している。この一対のアーム部25は、被検出用板部12を挟むように配置されている。
【0036】
発光用のアーム部25には、発光用の光電素子に接続された2本の発光用の光ファイバー21の発光側端部(発光部26)が、上下方向に所定の間隔を空けて固定されている。一方、受光用のアーム部25には、受光用の光電素子に接続された2本の発光用の光ファイバー22の受光側端部(受光部27)が、発光用の光ファイバー21の発光側端部(発光部26)と同じ高さで(上下方向に発光用の光ファイバー21と同じ間隔を空けて)且つ、発光部26と対向するように固定されている。この上下に並ぶA相用とB相用の光ファイバー21,22のピッチは、貫通孔16の並列ピッチの整数倍の寸法とは異なる寸法とされている。
【0037】
エアモータ31を駆動して主剤と硬化剤を共用流路2に投入する際には、A相とB相の両発光部26から検知光を被検出用板部12(検出プレート11における貫通孔16の並列領域)に向けて照射する。すると、ロッド35とプランジャ38が上下動するのに伴い、検知光が各貫通孔16を通過するため、受光部27では、貫通孔16を通過した検知光が間欠的に受光される。信号処理部61では、受光部27で検知光を検出されたときにON状態(ハイレベル)となるA相のパルス信号及びB相のパルス信号を制御装置60に出力する。また、上述したように、A相用とB相用の光ファイバー21,22のピッチは、貫通孔16の並列ピッチの整数倍の寸法とは異なる寸法とされている。したがって、A相のパルス信号とB相のパルス信号は、パルスの1/4周期だけ位相がずれている。
【0038】
<制御装置60の説明>
多液混合装置1では、プランジャポンプ30と混合バルブ5の切り替えによって主剤と硬化剤が、所定量ずつ共用流路2へ交互に投入されるのであるが、プランジャポンプ30の両電磁弁50A,50Bの切替動作と、混合バルブ5の主剤用バルブ5Mと硬化剤用バルブ5Hの開閉動作は、制御装置60によって制御される。
【0039】
図10は、制御装置60として機能するコンピュータ80のハードウエア構成を示す。コンピュータ80は、CPU81と,RAM及びRAMからなるメモリ67とをバス82で接続し、バス82に、入出力インタフェース83を接続して構成されている。入出力インタフェース83には、光センサ20の信号処理部61、プランジャポンプ30の下降用電磁弁50Aと上昇用電磁弁50B、混合バルブ5の主剤用バルブ5Mと硬化剤用バルブ5H、圧力計51M,51H、入力装置84、表示装置85等が接続されている。
【0040】
また、図11に示すのは、制御装置60(コンピュータ80)によって実行される機能をあらわす機能構成図である。制御装置60は、主剤用のプランジャ位置検出部62Mと、硬化剤用のプランジャ位置検出部62Hと、バルブ制御部63と、電磁弁制御部64と、演算部65と、圧力検出部66と、メモリ67を備えている。
【0041】
プランジャ位置検出部62M,62Hには、光センサ20の信号処理部61から出力されたA相のパルス信号及びB相のパルス信号が入力される。この信号処理部61から入力されるパルス信号に基づき、プランジャ位置検出部62M,62Hでは、ロッド35とプランジャ38の往復行程(上昇及び下降行程)における位置と、各行程における移動ストローク(即ち、プランジャ38の移動工程でカウントされるパルス数)を検出する。また、上述したように、A相用とB相用の光ファイバー21,22のピッチは、貫通孔16の並列ピッチの整数倍の寸法とは異なる寸法とされ、A相のパルス信号とB相のパルス信号は、パルスの1/4周期だけ位相がずれている。この位相のずれにより、プランジャ位置検出部62M,62Hでは、プランジャ38とロッド35の移動方向(即ち、上昇行程であるか、下降工程であるか)が検出される。このプランジャ位置検出部62M,62Hの検出結果は、演算部65に入力される。
【0042】
演算部65は、プランジャ位置検出部62M,62Hから入力される検出結果(プランジャ38の移動工程におけるパルス数と、プランジャ38の移動方向の情報を含む)と、予めメモリ67に記憶されている各種情報とに基づいて演算を行い、主剤投入量検出部65Md(本発明の構成要件である第2液投入量検出部)としての機能、硬化剤投入量検出部65Hdとしての機能、主剤投入予定量決定部65Me(本発明の構成要件である第2液投入予定量決定部)としての機能、及び、硬化剤投入予定量決定部65He(第1液投入予定量決定部)としての機能とを発揮する。メモリ67には、主剤の投入予定量VC4と硬化剤の投入予定量VC6を決定して主剤用バルブ5Mと硬化剤用バルブ5Hを制御するために必要な各種の情報が記憶されている。
【0043】
バルブ制御部63は、演算部65の演算結果に基づいて、混合バルブ5を構成する主剤用バルブ5Mと硬化剤用バルブ5Hに対し、個別に開弁状態と閉弁状態とを切り替えるための制御信号を出力するようになっている。このバルブ制御部63からの制御信号により、主剤用バルブ5Mと硬化剤用バルブ5Hは、共用流路2に対する主剤と硬化剤の投入動作が交互に行われるように開閉される。また、バルブ制御部63からの制御信号により、主剤用バルブ5M又は硬化剤用バルブ5Hを開弁して主剤又は硬化剤の投入が開始した後は、プランジャ38がその往復行程における死点に達する前に、その主剤用バルブ5M又は硬化剤用バルブ5Hが閉弁状態に切り替えられ、液剤投入が停止される。
【0044】
電磁弁制御部64は、演算部65の演算結果に基づき、主剤側のプランジャポンプ30の下降用電磁弁50A、主剤側のプランジャポンプ30の上昇用電磁弁50B、硬化剤側のプランジャポンプ30の下降用電磁弁50A、硬化剤側のプランジャポンプ30の上昇用電磁弁50Bに対し、個別に開弁状態と排気状態とを切り替えるための制御信号を出力する。この電磁弁制御部64からの制御信号により、主剤用バルブ5M又は硬化剤用バルブ5Hを閉弁してから次回の液剤投入のために開弁するまでの間に、電磁弁50A,50Bが切り替えられて、プランジャ38の次回投入時の移動方向が反転される。
【0045】
圧力検出部66には、主剤流路8Mの圧力計51Mと硬化剤流路8Hの圧力計51Hから、夫々、主剤と硬化剤の圧力値をあらわす信号が入力されるようになっている。圧力検出部66においては、これらの圧力計51M,51Hからの信号により、主剤や硬化剤の吐出圧力の異常が検出される。異常が検出された場合には、主剤と硬化剤の共用流路2への投入量が不正となり、混合比が狂うことが懸念されるので、装置の運転が停止される。
【0046】
<主剤と硬化剤の投入行程の説明>
主剤と硬化剤の投入量の割合(混合比)は、主剤の方が、硬化剤よりも2倍以上多くなるように設定されている。また、1回当たりの主剤の投入量は、プランジャ38の片道行程(上下両死点間を移動する行程)における主剤の最大吐出量よりも少ない量に設定されている。尚、上昇行程と下降行程で主剤の最大吐出量が相違する場合は、少ない側の行程における最大吐出量よりも、1回の主剤の投入量の方が少なくなるように設定される。
【0047】
初期状態では、全ての電磁弁50A,50Bを排気状態にし、主剤用バルブ5Mと硬化剤用バルブ5Hを閉弁状態にし、主剤側と硬化剤側のロッド35とプランジャ38を下死点(原点位置)で待機させておき、エア供給源53から主剤用と硬化剤用の両プランジャポンプ30のエアモータ31に対し、加圧エアを圧送する。
【0048】
この後、プランジャポンプ30では、下降用電磁弁50Aと下降用電磁弁50Bが、開弁状態と排気状態との間で交互に切り替えられる。下降用電磁弁50Aが開弁状態になると、加圧エアの圧力によりプランジャ38が下降方向へ付勢され、上昇用電磁弁50Bが開弁状態になると、加圧エアの圧力によりプランジャ38が上昇方向へ付勢される。したがって、プランジャ38は、常に、下降方向又は上昇方向へ付勢された状態に保たれる。
【0049】
また、混合バルブ5では、主剤用バルブ5Mと硬化剤用バルブ5Hが、開弁状態と閉弁状態との間で交互に切り替えられる。主剤用バルブ5Mが開弁状態になると、主剤側のプランジャ38が上昇又は下降するのに伴って、主剤が共用流路2に投入される。主剤が投入されている間は、プランジャ38と一体に下降又は上昇するロッド35の位置が位置検出装置10によって検出され、主剤投入量検出部65Mdでは主剤の投入量が算出される。そして、主剤の投入量が所定量に達したところで、主剤用バルブ5Mが閉弁状態に切り替わり、主剤の投入が一時停止する。また、主剤が投入されている間、硬化剤側では、プランジャ38は移動せず、加圧エアの付勢力によって硬化剤流路8H内の硬化剤が加圧された状態に保たれる。
【0050】
逆に、硬化剤用バルブ5Hが開弁状態になると、硬化剤側のプランジャ38が上昇又は下降するのに伴って、硬化剤が共用流路2に投入される。硬化剤が投入されている間は、プランジャ38と一体に下降又は上昇するロッド35の位置が位置検出装置10によって検出され、硬化剤投入量検出部65Hdでは硬化剤の投入量が算出される。そして、硬化剤の投入量が所定量に達したところで、硬化剤用バルブ5Hが閉弁状態に切り替わり、硬化剤の投入が一時停止する。また、硬化剤が投入されている間、主剤側では、プランジャ38は移動せず、加圧エアの付勢力により主剤流路8M内の主剤が加圧された状態に保たれる。
【0051】
このように、主剤用バルブ5Mと硬化剤用バルブ5Hが交互に開閉されることにより、主剤と硬化剤が共用流路2に交互に投入される。
【0052】
<主剤と硬化剤の投入量決定処理の説明>
本実施形態の多液混合装置1では、主剤と硬化剤の1投入サイクルにおける目標投入量V1t,V2tが設定されているのであるが、エア圧を駆動源として電磁弁50A,50Bの切替によってプランジャ38を往復移動させる復動式のプランジャポンプ30では、電磁弁50A,50Bの切替を適正なタイミングで制御しても、プランジャ38を目標通りのタイミングで停止させることは難しいため、実際の主剤と硬化剤の投入量が目標値よりも多くなる傾向にある。このように主剤と硬化剤の実測投入量が目標投入量V1t,V2tよりも多くなると、主剤と硬化剤の混合比に狂いが生じることが懸念される。
【0053】
その対策として、本実施形態では、実測投入量と目標とする投入量との誤差を補正するために、1投入サイクル毎に、主剤の次回の投入予定量VC4と硬化剤の次回の投入予定量VC6を決定し、これに基づいて主剤用バルブ5Mと硬化剤用バルブ5Hの開閉動作と、必要に応じて主剤側と硬化剤側の電磁弁50A,50Bの切替動作の制御を行っている。以下、その手順を、図12に示すフローチャートを参照して説明する。
【0054】
コンピュータ80のメモリ67には、主剤と硬化剤の目標混合比N1:1、1投入サイクルにおける硬化剤の目標投入量V1t、光センサ20の信号処理部61からプランジャ位置検出部62M,62Hに入力されるパルス信号の数(以下、カウント数という)であって硬化剤の目標投入量V1tと対応する硬化剤の目標カウント数C1t、1投入サイクルにおける主剤の目標投入量V2t、主剤の目標投入量V2tと対応する主剤の目標カウント数C2t、硬化剤と主剤の目標投入量V1t,V2tを併せた合計目標投入量M、主剤のパルス信号1カウント当たりの投入量P2、硬化剤のパルス信号1カウント当たりの投入量P1等が記憶されている。
【0055】
主剤の目標カウント数C2tは、次式(A)によって算出される。
C2t=4×k2×(M/(N1+1))×N1/P2…(A)
k2は、主剤用の補正係数であり、定数4は、2相パルスを4逓倍で加減算するための倍数である。
主剤の目標投入量V2tは、次式(B)によって算出される。
V2t=(C2×P2)/(k2×4)…(B)
硬化剤の目標投入量V1tは、次式(C)によって算出される。
V1t=V2t/N1…(C)
硬化剤の目標カウント数C1tは、次式(D)によって算出される。
C1t=4×k1×V1t/P1…(D)
k1は、硬化剤用の補正係数である。
【0056】
尚、主剤のパルス信号1カウント当たりの投入量P2は、プランジャ38の上昇時と下降時で別々の値が記憶されており、したがって、主剤の目標投入量V2tも、プランジャ38の上昇時と下降時で別々の値が記憶されている。また、硬化剤のパルス信号1カウント当たりの投入量P1も、プランジャ38の上昇時と下降時で別々の値が記憶されている。そして、硬化剤の目標投入量V1tは、主剤側のプランジャ38と硬化剤側のプランジャ38の昇降の組み合わせに応じて4種類の別々の値が記憶されている。
【0057】
また、主剤側と硬化剤側のプランジャ位置検出部62M,62Hでは、夫々、主剤側の信号処理部61と硬化剤側の信号処理部61から入力されたパルス信号がカウントされ、そのカウント値が、演算部65に入力されるようになっている。演算部65では、入力されたカウント値とメモリ67に記憶されている情報に基づいて、演算が行われ、主剤と硬化剤の実測投入量V1a,V2a、及び主剤と硬化剤の次回の投入予定量VC4,VC6が決定されるようになっている。
【0058】
主剤と硬化剤の目標投入量V1t,V2tの決定に際しては、まず、硬化剤投入量検出部65Hdにおいて、硬化剤の前回の実測投入量V1aが、次式(E)によって検出される(ステップS101)。
V1a=|C1_end−C1_old|×P1/(k1×4)…(E)
C1_endは、硬化剤の前回の投入開始時における硬化剤側のプランジャポンプ30のカウント値であり、C1_oldは、硬化剤の前回の投入終了時におけるカウント値であり、k1は、硬化剤用の補正係数である。
【0059】
また、主剤投入量検出部65Mdにおいて、主剤の前回の実測投入量V2aが次式(F)によって検出される(ステップS102)。
V2a=|C2_end−C2_old|×P2/(k2×4)…(F)
C2_endは、主剤の前回の投入開始時における主剤側のプランジャポンプ30のカウント値であり、C2_oldは、主剤の前回の投入終了時におけるカウント値であり、k2は、主剤用の補正係数である。
したがって、前回投入済みの主剤と硬化剤の実測混合比は、V2a:V1aである。
【0060】
次に、主剤投入予定量決定部65Meにおいて、主剤の次回の投入予定量VC4が、次の手順で決定される(ステップS103)。主剤の次回の投入予定量VC4は、次式(G)によって算出される。
VC4=(C4×P2)/(k2×4)…(G)
C4は、主剤の次回の投入予定量VC4と対応するカウント数であり、次式(H)によって算出される。
C4=C2t−off_m1…(H)
off_m1は、前回の主剤の実測投入量V2aと目標投入量V2tとの誤差に対応して補正される補正カウント数であって、次式(I)によって算出される。
off_m1=|C2_end−C2_old|…(I)
したがって、主剤の実測投入量V2aと主剤の目標投入量V2tとの誤差に相当する第1補正量Voff_m1は、次式(J)によって算出される。
Voff_m1=(off_m1×P2)/(k2×4)…(J)
以上のように、主剤の目標投入量V2tに対して、前回の主剤の実測投入量V2aの誤差に基づいた補正を加える処理により、主剤の次回の投入予定量VC4が決定される。
【0061】
次に、硬化剤投入予定量決定部65Heにおいて、硬化剤の次回の投入予定量VC6が、次の手順で決定される(ステップS104)。硬化剤の次回の投入予定量VC6は、次式(K)によって算出される。
VC6=(C6×P1)/(k1×4)…(K)
C6は、硬化剤の次回の投入予定量VC6と対応するカウント値であり、次式(L)又は(M)によって算出される。
C6=C1t+(4×k1×(Voff_m2+Voff_m3)/P1)…(L)
C6=C1t+off_m2+off_m3…(M)
Voff_m2は、前回の投入サイクルで投入済みの主剤と硬化剤の実測混合比V2a:V1aと目標混合比N1:1との誤差と対応する第2補正量(前回の混合比に対する補正量)であり、次式(N)によって算出される。
Voff_m2=(V2a−V1a×N1)/N1…(N)
off_m2は、第2補正量Voff_m2と対応する第2補正カウント値であり、次式(O)によって算出される。
off_m2=Voff_m2×k1×4/P1…(O)
Voff_m3は、主剤の次回の投入予定量VC4のうちの主剤の実測投入量V2aと主剤の目標投入量V2tとの誤差に相当する第1補正量Voff_m1と対応する第3補正量(次回の主剤の投入予定量VC4に対する補正量)であり、次式(P)によって算出される。
Voff_m3=Off_m1×P2/(k2×4×N1)…(P)
off_m3は、第3補正量Voff_m3と対応する第3補正カウント値であり、次式(Q)によって算出される。
off_m3=Voff_m3×k1×4/P1…(Q)
以上のように、硬化剤の目標投入量V1tに対して、前回の混合比の誤差に基づいた補正と、次回の主剤の投入予定量VC6に基づいた補正との2つの補正を加える処理により、硬化剤の次回の投入予定量VC6が決定される。
【0062】
この硬化剤の次回の投入予定量VC6を決定する処理は、主剤の前回の投入工程が完了した後であって、硬化剤の次回の投入工程の途中で行われる。即ち、次式(R)の条件が成立した時点で、決定処理(補正処理)が行われる。
C5=C1t/2≦|C1_now−C1_old|…(R)
C5は、硬化剤の次回の投入が開始してから、決定処理を開始するまでのカウント数であり、C1_oldは、硬化剤の前回の投入終了時における硬化剤側のプランジャポンプ30のカウント値であり、C1_nowは、1msec毎に硬化剤側のプランジャ位置検出部62Hで読み込まれる硬化剤側のプランジャポンプ30のカウント値である。したがって、硬化剤の投入が開始した時点では、その投入工程における硬化剤の投入予定量VC6は確定していないのであり、その投入工程における投入予定量VC6は、その投入工程の途中で決定される。
【0063】
この後は、決定された硬化剤の投入予定量VC6に基づいて、硬化剤用バルブ5Hが閉弁状態に切り替わり、硬化剤の投入が一時停止する。閉弁状態への切替は、次式(S)、(T)が成立したときに行われる。
(C6−off1)≦|C1_now−C1_old|…(S)
off1=4×Td2_1×4/T4p_1(0以上)…(T)
Td2_1は、硬化剤用バルブ5Hが閉弁してから硬化剤用のプランジャ位置検出部62Hへのパルス信号の入力が停止するまでの遅れ時間(10〜150msec、初期値は40msec)であり、学習機能または初期設定で決定される。T4p_1は、制御中にプランジャ位置検出部62Hに入力される硬化剤の4パルス分連続流れ時の時間(単位はmsec)である。
また、硬化剤用バルブ5Hの切替に伴って硬化剤側のプランジャ38の上昇行程と下降行程を切り替える必要があると判断された場合は、硬化剤用バルブ5Hの切替と併せて、硬化剤側の電磁弁50A,50Bの切替も行う。
【0064】
硬化剤の投入が一時停止すると、主剤用バルブ5Mが開弁状態に切り替わり、主剤の投入が開始する。そして、決定された主剤の投入予定量VC4に基づいて、主剤用バルブ5Mが閉弁状態に切り替わり、主剤の投入が一時停止する。閉弁への切替は、次式(U)、(V)が成立したときに行われる。
(C4−off2)≦|C2_now−C2_old|…(U)
off2=4×Td2_2×4/T4p_2(0以上)…(V)
Td2_2は、主剤用バルブ5Mが閉弁してから主剤用のプランジャ位置検出部62Mへのパルス信号の入力が停止するまでの遅れ時間(10〜150msec、初期値は40msec)であり、学習機能または初期設定で決定される。T4p_2は、制御中にプランジャ位置検出部62Mに入力される主剤の4パルス分連続流れ時の時間(単位はmsec)である。
また、主剤用バルブ5Mの切替に伴って主剤側のプランジャ38の上昇行程と下降行程を切り替える必要があると判断された場合は、主剤用バルブ5Mの切替と併せて、主剤側の電磁弁50A,50Bの切替も行う。
【0065】
本実施形態では、多液混合システムにおいて多液混合装置1を制御する制御装置60は、主剤の実測投入量V2aを検出する主剤投入量検出部65Mdと、主剤投入量検出部65Mdの検出結果に基づいて主剤の次回の投入予定量VC4を決定する主剤投入予定量決定部65Meと、主剤の次回の投入予定量VC4と、予め設定されている硬化剤と主剤の目標混合比N1:1と前回投入済みの主剤と硬化剤の実測混合比V2a:V1aとの誤差とに基づいて、硬化剤の次回の投入予定量VC6を決定する硬化剤投入予定量決定部65Heとを備えている。
【0066】
そして、コンピュータ80が、主剤投入量検出部65Mdによって主剤実測投入量V2aを検出する処理と、主剤投入予定量決定部65Meによって主剤の次回の次回の投入予定量VC4を決定する処理と、硬化剤投入予定量決定部65Heによって硬化剤の次回の投入予定量VC6を決定する処理とを実行することで、制御装置60は、主剤と硬化剤の交互投入動作を制御する。
【0067】
また、主剤投入予定量決定部65Meは、予め設定されている主剤の目標投入量V2tに対し、主剤の実測投入量V2aと主剤の目標投入量V2tとの誤差に相当する第1補正量Voff_m1の補正を加えるようになっている。硬化剤投入予定量決定部65Heは、予め設定されている硬化剤の目標投入量V1tに対し、主剤の次回の投入予定量VC4のうちの主剤の実測投入量V2aと主剤の目標投入量V2tとの誤差に相当する第1補正量Voff_m1と対応する第3補正量Voff_m3の補正を加える。さらに、硬化剤投入予定量決定部65Heは、予め設定されている硬化剤の目標投入量V1tに対し、目標混合比N1:1と実測混合比V2a:V1aとの誤差と対応する第2補正量Voff_m2の補正を加えるようになっている。
【0068】
本発明によれば、硬化剤と主剤の順で1サイクルの投入が終わると、そのサイクルの混合比の誤差に基づいて硬化剤の次回の投入予定量VC6が決定されるので、この硬化剤の次回の投入動作によって、前回のサイクルにおける混合比の誤差の解消を図ることができる。
【0069】
また、主剤の実測投入量V2aを検出して、主剤の次回の投入予定量VC4を決定するようにしたので、各投入サイクルにおける主剤の投入量のバラツキを小さく抑えることができる。しかも、硬化剤の次回の投入予定量VC6の決定に際しては、この主剤の次回の投入予定量VC4も考慮されるので、次回の投入サイクルにおける混合比の誤差も小さく抑えることができる。したがって、本実施形態の制御装置、制御方法及びコンピュータ80のプログラムによれば、各投入サイクルにおける混合比のバラツキを小さく抑えることができるとともに、1回の投入サイクルにおける硬化剤と主剤の平均投入量を目標投入量V1t,V2tに近づけることができる。
【0070】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、第1液の次回の投入予定量を決定する手段として、第1液の目標投入量に対し、混合比の誤差値及び第2液の投入予定量に基づいて演算して得られた補正量の補正を加えたが、これに替えて、予めコンピュータのメモリに、混合比の誤差値及び第2液の投入予定量と対応する第1液の次回の投入予定量の情報を記憶させておき、このメモリに記憶されている第1液の次回の投入予定量を読み出すようにしてもよい。
(2)上記実施形態では、2種類の液体(主剤と硬化剤)のみを混合する場合について説明したが、本発明は、3種類以上の液体を順次に共用流路に投入して混合する多液混合装置にも適用することができる。この場合、第1液の次回の投入予定量を決定する際には、第1液の目標投入量に対し、他の複数の液体の投入予定量と対応する補正と、複数種類の液体による1サイクルの混合比の誤差に基づいた補正とを加えればよい。
(3)上記実施形態では、主剤と硬化剤を混合して塗料が生成される場合について説明したが、本発明は、液剤の混合物が塗料以外のものである場合にも適用できる。
(4)上記実施形態では、プランジャの1回の往動行程及び復動行程で、硬化剤の投入が2回行われる場合について説明したが、プランジャの1回の往動行程及び復動行程で行われる硬化剤の投入回数は、1回であってもよく、3回以上であってもよい。
【符号の説明】
【0071】
1…多液混合装置
2…共用流路
60…制御装置
65He…硬化剤投入予定量決定部(第1液投入予定量決定部)
65Me…主剤投入予定量決定部(第2液投入予定量決定部)
65Md…主剤投入量検出部(第2液投入量検出部)
80…コンピュータ
N1:1…主剤(第2液)S硬化剤(第1液)の目標混合比
V1a…硬化剤(第1液)の実測投入量
V1t…硬化剤(第1液)の目標投入量
V2t…主剤(第2液)の目標投入量
V2a…主剤(第2液)の実測投入量
V2a:V1a…前回投入済みの主剤(第2液)と硬化剤(第1液)の実測混合比
VC4…主剤(第2液)の次回の投入予定量
VC6…硬化剤(第1液)の次回の投入予定量
Voff_m1…第1補正量(第2液の実測投入量と第2液の目標投入量との誤差に相当する補正量)
Voff_m2…第2補正量(目標混合比と実測混合比との誤差と対応する補正量)
Voff_m3…第3補正量(第2液の次回の投入予定量のうちの第2液の実測投入量と第2液の目標投入量との誤差に相当する補正量と対応する補正量)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1液と第2液を共用流路に交互投入して混合する多液混合装置の投入動作を制御装置によって制御するようにした多液混合システムであって、
前記制御装置は、
第2液の実測投入量を検出する第2液投入量検出部と、
前記第2液投入量検出部の検出結果に基づいて第2液の次回の投入予定量を決定する第2液投入予定量決定部と、
前記第2液の次回の投入予定量と、予め設定されている第1液と第2液の目標混合比と前回投入済みの第1液と第2液の実測混合比との誤差とに基づいて、第1液の次回の投入予定量を決定する第1液投入予定量決定部と、を備えていることを特徴とする多液混合システム。
【請求項2】
第1液と第2液を共用流路に交互投入して混合する多液混合装置の投入動作を制御する制御装置であって、
第2液の実測投入量を検出する第2液投入量検出部と、
前記第2液投入量検出部の検出結果に基づいて第2液の次回の投入予定量を決定する第2液投入予定量決定部と、
前記第2液の次回の投入予定量と、予め設定されている第1液と第2液の目標混合比と前回投入済みの第1液と第2液の実測混合比との誤差とに基づいて、第1液の次回の投入予定量を決定する第1液投入予定量決定部と、を備えていることを特徴とする多液混合装置の制御装置。
【請求項3】
前記第2液投入予定量決定部は、予め設定されている第2液の目標投入量に対し、第2液の実測投入量と前記第2液の目標投入量との誤差に相当する補正量の補正を加えることを特徴とする請求項2記載の多液混合装置の制御装置。
【請求項4】
前記第1液投入予定量決定部は、予め設定されている第1液の目標投入量に対し、前記第2液の次回の投入予定量のうちの前記第2液の実測投入量と前記第2液の目標投入量との誤差に相当する補正量と対応する補正量の補正を加えることを特徴とする請求項3記載の多液混合装置の制御装置。
【請求項5】
前記第1液投入予定量決定部は、予め設定されている第1液の目標投入量に対し、前記目標混合比と前記実測混合比との誤差と対応する補正量の補正を加えることを特徴とする請求項2又は請求項4に記載の多液混合装置の制御装置。
【請求項6】
第1液と第2液を共用流路に交互投入して混合する多液混合装置の投入動作を制御する方法であって、
第2液の実測投入量を検出する第2液投入量検出ステップと、
前記第2液投入量検出部の検出結果に基づいて第2液の次回の投入予定量を決定する第2液投入予定量決定ステップと、
前記第2液の次回の投入予定量と、予め設定されている第1液と第2液の目標混合比と前回投入済みの第1液と第2液の実測混合比との誤差とに基づいて、第1液の次回の投入予定量を決定する第1液投入予定量決定ステップと、を含むことを特徴とする多液混合装置の制御方法。
【請求項7】
第1液と第2液を共用流路に交互投入して混合する多液混合装置の投入動作を制御するコンピュータに、
第2液の実測投入量を検出する第2液投入量検出処理と、
前記第2液投入量検出部の検出結果に基づいて第2液の次回の投入予定量を決定する第2液投入予定量決定処理と、
前記第2液の次回の投入予定量と、予め設定されている第1液と第2液の目標混合比と前回投入済みの第1液と第2液の実測混合比との誤差とに基づいて、第1液の次回の投入予定量を決定する第1液投入予定量決定処理と、を実行させるためのプログラム。
【請求項1】
第1液と第2液を共用流路に交互投入して混合する多液混合装置の投入動作を制御装置によって制御するようにした多液混合システムであって、
前記制御装置は、
第2液の実測投入量を検出する第2液投入量検出部と、
前記第2液投入量検出部の検出結果に基づいて第2液の次回の投入予定量を決定する第2液投入予定量決定部と、
前記第2液の次回の投入予定量と、予め設定されている第1液と第2液の目標混合比と前回投入済みの第1液と第2液の実測混合比との誤差とに基づいて、第1液の次回の投入予定量を決定する第1液投入予定量決定部と、を備えていることを特徴とする多液混合システム。
【請求項2】
第1液と第2液を共用流路に交互投入して混合する多液混合装置の投入動作を制御する制御装置であって、
第2液の実測投入量を検出する第2液投入量検出部と、
前記第2液投入量検出部の検出結果に基づいて第2液の次回の投入予定量を決定する第2液投入予定量決定部と、
前記第2液の次回の投入予定量と、予め設定されている第1液と第2液の目標混合比と前回投入済みの第1液と第2液の実測混合比との誤差とに基づいて、第1液の次回の投入予定量を決定する第1液投入予定量決定部と、を備えていることを特徴とする多液混合装置の制御装置。
【請求項3】
前記第2液投入予定量決定部は、予め設定されている第2液の目標投入量に対し、第2液の実測投入量と前記第2液の目標投入量との誤差に相当する補正量の補正を加えることを特徴とする請求項2記載の多液混合装置の制御装置。
【請求項4】
前記第1液投入予定量決定部は、予め設定されている第1液の目標投入量に対し、前記第2液の次回の投入予定量のうちの前記第2液の実測投入量と前記第2液の目標投入量との誤差に相当する補正量と対応する補正量の補正を加えることを特徴とする請求項3記載の多液混合装置の制御装置。
【請求項5】
前記第1液投入予定量決定部は、予め設定されている第1液の目標投入量に対し、前記目標混合比と前記実測混合比との誤差と対応する補正量の補正を加えることを特徴とする請求項2又は請求項4に記載の多液混合装置の制御装置。
【請求項6】
第1液と第2液を共用流路に交互投入して混合する多液混合装置の投入動作を制御する方法であって、
第2液の実測投入量を検出する第2液投入量検出ステップと、
前記第2液投入量検出部の検出結果に基づいて第2液の次回の投入予定量を決定する第2液投入予定量決定ステップと、
前記第2液の次回の投入予定量と、予め設定されている第1液と第2液の目標混合比と前回投入済みの第1液と第2液の実測混合比との誤差とに基づいて、第1液の次回の投入予定量を決定する第1液投入予定量決定ステップと、を含むことを特徴とする多液混合装置の制御方法。
【請求項7】
第1液と第2液を共用流路に交互投入して混合する多液混合装置の投入動作を制御するコンピュータに、
第2液の実測投入量を検出する第2液投入量検出処理と、
前記第2液投入量検出部の検出結果に基づいて第2液の次回の投入予定量を決定する第2液投入予定量決定処理と、
前記第2液の次回の投入予定量と、予め設定されている第1液と第2液の目標混合比と前回投入済みの第1液と第2液の実測混合比との誤差とに基づいて、第1液の次回の投入予定量を決定する第1液投入予定量決定処理と、を実行させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−20245(P2012−20245A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−160664(P2010−160664)
【出願日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(000117009)旭サナック株式会社 (194)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(000117009)旭サナック株式会社 (194)
【Fターム(参考)】
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