説明

多焦点レンズアレイおよび三次元立体像の表示装置

【課題】簡単な構造で実現でき、コストも抑えることができる多焦点レンズアレイおよび三次元立体像の表示装置を提供すること。
【解決手段】二次元画像を表示装置2上に表示する。表示された二次元画像を多焦点レンズアレイ3に入射する。このアレイ3は、平面上に配置された複数のレンズであって、当該平面に対して傾斜した面上に焦点包括面が形成されるように前記複数のレンズの各々の焦点距離が設定されている。この焦点包括面に、6枚の透明パネルからなる立体拡散パネル1を配置し、奥行き方向に周期的に移動させると、そこに、装置2からの画像光によって三次元立体像の断面像が描写され、その反射光を見る者は、残像効果により、三次元立体像を見ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多焦点レンズアレイおよび三次元の立体像を三次元空間上に表示させる三次元立体像の表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
立体画像の表示は、その表示性能とコストが合えば次のような分野において多く使われることが予想される。医療分野では、CTスキャンなどの立体的なデータを空間に表示させることで、手術前に病巣部を確認することができ、非常に有効である。建築関係では、CADデータを立体視することで、空間的な部位の確認ができ、こちらも有効である。設備設計やロボット設計などでも、空間的な部品配置が実際に見えるため、無駄の無い設計が可能となる。また、都市開発や、地域開発においても、三次元の立体画像で検討を行うことで、より実際に近い検討が可能となる。航空管制においても、飛行機の位置と高度が瞬時に確認できるため、ニアミスなどの危険を減らすことが可能となる。自衛分野においても、立体的な地形情報・空間情報を瞬時に把握できるため、活用される機会が多い。娯楽関係でもゲームなどの画像を操作して楽しむ分野においても、立体的な画像を複数の人が色々な角度から同時に見たり操作したりする新しい方式による、エンターテイメントが期待できる。
【0003】
三次元の立体像を三次元空間上に表示させる場合、左右の目の視角差を利用して、人間が見たときに立体に見えるようにする方法と、実際に三次元空間上に表示させ、360度全方向から見えるようにする方法とがある。実際に三次元空間上に表示させる方法としては、特許文献2などにあるように、空間上にレーザーで実際の立体画像を表示させる方法などがある。
【0004】
【特許文献1】特開2000−115812号公報
【特許文献2】特開2000−338900号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、左右の目の視角差を利用する場合は、たとえば特許文献1などにあるように、ある方向から見ると、立体として見えるが、別の場所からは見ることができなかったり、立体として見えないという問題がある。また、レーザーなどを使った場合は、装置が大掛かりになり、大きさ、重量などの制約により設置場所が限られたり、コストも高くなるという問題がある。
【0006】
そこで、本発明の目的は以上のような問題を解消した多焦点レンズアレイおよび三次元立体像の表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、平面上に配置された複数のレンズであって、当該平面に対して傾斜した面上に焦点包括面が形成されるように前記複数のレンズの各々の焦点距離が設定されている多焦点レンズアレイを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、二次元画像を表示する表示装置と、前記表示装置の表示面からの光を入射する位置に配置された請求項1の多焦点レンズアレイと、前記焦点包括面上に位置し、前記多焦点レンズアレイを介して結像された、前記表示装置の表示面からの光を反射する面を有する透明または半透明な反射物体と、前記反射物体および前記多焦点レンズアレイを前記表示装置の表示面と前記多焦点レンズアレイとの間の間隔を維持したまま周期的に移動するように駆動する駆動手段と、前記表示装置の表示面上に表示された二次元画像からの光によって前記反射物体の前記面に三次元立体像の断面像が描写され、且つ、前記反射物体および前記多焦点レンズアレイの移動に同期して、当該反射物体の前記面に前記移動に応答した位置の前記三次元立体像の断面像が描写されるように、前記表示装置によって表示する二次元画像のデータを生成する画像データ生成手段とを具えたことを特徴とする。
【0009】
このような構成では、二次元画像を表示する表示装置の表示面からの光の光路上において当該光を反射物体の反射面が反射し、この反射物体が移動する。この移動に応答して表示装置は次々と別の画像(立体像の断面)を表示する。これを見る人間は、残像を記憶するので、反射物体が早く移動することによって、あたかも空間に立体像があるかのように見ることができる。また、簡単な構造で実現でき、小型化も可能であり、設置場所の制約も受けにくく、コストも抑えることができるようになる。
【0010】
ここで、前記複数のレンズの厚さは2mm以下であることとすることができる。
【0011】
これによって、空気抵抗が少なく、高速での移動を可能にするレンズアレイを提供することができる。
【0012】
さらに、本発明においては、前記反射物体は、複数の反射面を有することとすることができる。
【0013】
これによって、各反射面は立体像の一部を表示すればよいので、立体像の表示エリアを1つの反射面が移動しなくても済むことになり、駆動手段、反射物体の設計の自由度が増え、駆動部分の劣化を有効に防止でき、さらに、動きの速い立体像の表示が可能となる。
【0014】
さらに、前記移動周期は5Hz以上とすることができる。
【0015】
これによって、動きのある立体像であっても、残像効果によって動いて見えることが可能となる。
【0016】
さらに、前記駆動手段は、前記表示装置の表示面からの光の光路中において、前記反射物体および多焦点レンズアレイを周期的に平行移動するように駆動することができる。
【0017】
さらに、前記駆動手段は、前記表示装置の表示面からの光の光路中において、前記反射物体および多焦点レンズアレイを周期的に回転するように駆動することができる。
【0018】
さらに、前記反射物体の形状を、極座標表示で、
X=r*cosΘ
Y=r*sinΘ
Z=a*Θ
(X,Y,Z:三次元直交座標系の座標軸
r:半径
Θ:角度
a:定数)
で表される曲面の一部を含むこととすることができる。
【0019】
これによって、曲面上に表示される断面を計算する場合、高さ方向(Z)が、角度(Θ)に比例するため、反射物体の回転による断面計算が簡単な足し算で計算可能となり、計算速度が速く回路やアルゴリズムも単純になる。
【0020】
さらに、前記反射物体を、前記面上にガラスビーズを付着させたものとすることができる。
【0021】
これによって、高輝度の三次元の立体像を表示させることが可能となる。
【0022】
さらに、前記反射物体を、前記面上に蛍光塗料を付着させたものとすることができる。
【0023】
これによって、高輝度の三次元の立体像を表示させることが可能となる。
【0024】
さらに、前記表示装置を、液晶パネル、ELディスプレイ、CRTディスプレイなどのフラットディスプレイ装置とすることができる。
【0025】
これによって、一般に普及している二次元のディスプレイ装置を使用することができる。
【0026】
さらに、前記表示装置を、液晶プロジェクタ、DLPプロジェクタなどの投影型ディスプレイ装置とすることができる。
【0027】
これによって、高輝度の光源を使えるため、高輝度の三次元の立体像を表示させることが可能となる。
【0028】
さらに、画像データ生成手段は、前記駆動手段からの前記反射物体の駆動に関連する信号に同期させて前記二次元画像データを生成することができる。
【0029】
これによって、ぶれを効果的に抑制して、安定した三次元の立体像を表示させることが可能となる。
【0030】
さらに、前記表示装置によって単色光の二次元画像を表示し、前記反射物体を複数の反射面を有するものとし、前記反射物体の前記複数の反射面に各々別個の色を変換して反射する材料を使用することによってカラーの立体像を合成することができる。
【0031】
これによって、表示装置は単色光として輝度と密度を上げることができるので、高輝度、高密度の三次元の立体像を表示させることが可能となる。
【0032】
さらに、複数の三次元立体像の表示装置を並置することによって前記複数の反射物体の各々に三次元立体像を分割表示させることができる。
【0033】
これによって、大きな空間に三次元の立体像を表示させることが可能となる。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、簡単な構造で実現でき、小型化も可能であり、設置場所の制約も受けにくく、コストも抑えることができる多焦点レンズアレイおよび三次元立体像の表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明を適用するのに好適である実施例について説明を行う。
【0036】
(実施例1)
図1は実施例1に係る三次元立体像の表示装置の全体を示す図である。2は二次元画像を表示する表示装置としてのフラットディスプレイ装置であり、このフラットディスプレイ装置2は、出力ケーブル7を介してコンピュータシステム5から供給された二次元画像データに応答して二次元画像を表示面上に表示する。1は等間隔に平行に並べた6枚の各々平面からなるフィルムを有する反射物体としての立体拡散パネルであって、フラットディスプレイ装置2の表示面の直上(すなわち、表示面上の画像光の光路上)に、各フィルムが表示面に対して斜めに位置するように駆動装置4(動作は後述する)に支持されている。
【0037】
立体拡散パネル1の各フィルムは平面からなる透明なメッシュのフィルムにガラスビーズを吹き付けたものである(半透明なフィルムであってもよい)。このような構造のフィルムによれば、ガラスビーズによって白板よりも高い反射効率で光を反射(拡散)し、且つ、光を透過することもできる。また、各フィルムは、その平面に直角方向の位置にいる者8の側に対して、垂直から上端側が前に傾斜しており、且つその下端には、詳細は後述するが、平板上に構成されたレンズアレイ3が固定的に取り付けられている。このレンズアレイ3は、フラットディスプレイ装置2の表示面に接近しており、この表示面上の画像光を傾斜したフィルムの面に結像する。駆動装置4は、立体拡散パネル1およびレンズアレイ3を、レンズアレイ3と表示面との間の間隔を一定に維持したまま、水平方向に(これを見る者8側からは奥行き方向に)往復移動するように駆動する。駆動装置4は、立体拡散パネル1が往復移動の原点位置にあるときに位置情報信号線6を介してコンピュータシステム5に正のパルスを出力する。
【0038】
フラットディスプレイ装置2の表示面に画像を表示すると、表示画像からの光が立体拡散パネル1の各フィルム面で反射するので、立体拡散パネル1を見る者8は、そこに画像を見ることができる。以下、この反射部を立体拡散パネル1の画像表示部と称する。したがって、この画像表示部に立体画像が表示されるとすると、各フィルムの面はその立体画像の断面を表示することになる。
【0039】
立体拡散パネル1の画像表示部には、次のような手順で立体画像の表示を行うことができる。まず、コンピュータシステム5で作成した三次元の立体画像を図2のようなX,Y,Z(X:画面の横方向,Y:画面の奥行き方向,Z:画面の高さ方向)バッファに展開した。このバッファから立体拡散パネル1が、三次元空間の中にいる位置での断面部分の情報を取り出し、表示する。実際の表示方法を以下の図で説明する。
【0040】
図3は、表示させたい立体図形である。図4の(a)は原点位置での立体拡散パネル1の位置とその時に、立体図形を切断する断面位置を計算して示したものである。図4の(b)はこれにより計算された、二次元のフラットディスプレイ装置2に表示される画像である。図5,図6,図7はそれぞれ、立体拡散パネル1が奥行き方向に移動した時点での断面の切り取り部分とこれにより計算された、フラットディスプレイ装置2に表示される画像である。立体拡散パネル1の形状はある程度固定であるため、一度断面形状を作成しておきさえすれば、前述した画像を作成したX,Y,Zバッファからの画像の切り出しは、ポインターの足し算だけで容易に行うことができる。立体拡散パネル1の移動に応答して、これに同期したかたちで、フラットディスプレイ装置2にそれぞれの画像を出力することによって、三次元の立体像を空間に表示させることができる。図8に、ある時間間隔に表示される、三次元の立体像と二次元のフラットディスプレイ装置2に映し出される画像を重ね合わせた像を示す。十分に短い時間の間にこれらを表示することで、人間の目には、残像として残るため、あたかも、三次元の立体が空間に描写されているかのように見える。
【0041】
具体的には、立体拡散パネル1を7.5HzのSin波で振動させた。立体拡散パネル1が原点位置にきたときに、出力される正のパルス信号に応答して、コンピュータシステム5から、二次元の画像信号をRGB出力の標準である60Hzのノンインターレース信号としてフラットディスプレイ装置2に出力した。二次元の画像信号は、5画面分準備し、16.6msec毎に次の信号になるように更新した。立体拡散パネル1は、往復移動するため、立体拡散パネル1の往復移動位置に対応させた5画面分の画像を作成した。各画像をA,B,C,D,Eとし、原点位置に対応する画像をCとし、Cの画像から表示開始し、且つ立体拡散パネル1を原点位置から移動開始させると、画像の表示順序はC→DE→D→C→B→A→B→Cの繰り返し画像を出力することになる。
【0042】
本実施例では、この処理をコンピュータシステム5のソフトウエアで全て実行したが、専用のディスプレイアダプタなどのハードウエアで、処理させた方が効率が高く、コンピュータシステム5に負荷をかけない表示が行える。
【0043】
三次元の立体像を表示させている途中で、X,Y,Zバッファの内容を書き換えることによって、表示される立体像を動かすことができる。また、以上のような構成の複数の三次元立体像の表示装置を並置することによって複数の立体拡散パネル1の各々に三次元立体像を分割表示させることができ、より大きな空間により大きな立体像を表示することもできる。
【0044】
図16に実施例1で使用したレンズアレイ3を示す。実施例1では、1列ずつ同じ焦点距離として、列が変わると、焦点距離が順に長くなるような構成とした。しかも、各々の焦点距離は、各焦点の包括面が平面となるように構成されている。
【0045】
実際には、Niからなる金型に、焦点距離の異なるレンズの型を形成し、そこに樹脂(たとえばZEONOX(登録商標))を射出成型することで作成した。即ち、レンズアレイ3は、平板上に形成される。また、各レンズは、この平板面と平行になっており、したがって、その平面と直交方向上で焦点を結ぶ。レンズの焦点距離は、10mm〜200mmまでとし、レンズ中心とレンズ中心との間の間隔は、50μm(500dpi)、厚さは、最大高さで、1.5mmとした。最大高さは、2mm以下が高速移動に関して好ましい。軽量で薄いレンズアレイであるので、稼動する構造が簡単になり、強度的な制約がなくなり、他の機構部品に対する負荷も軽減される。
【0046】
図17に実施例1のレンズアレイ3とその焦点を結んだ平面(即ち、焦点包括面であり、立体拡散パネル1の各フィルム面に該当する)を示す。20はレンズであり、21はその焦点、22はレンズアレイ3の面(平面)であり、23は焦点の包括面である。実施例1では、焦点の包括面は平面であり、レンズアレイ3の面と傾きを持っている。
【0047】
(実施例2)
図9に実施例2の全体を示す。図9に示すように、本実施例は、立体拡散パネルの構造が実施例1と異なり、その駆動の仕方も実施例1と異なり、フラットディスプレイ装置2に供給する画像データも実施例1と異なる。
【0048】
駆動装置4は、適当なアーム(不図示)を介して、フラットディスプレイ装置2の直上に同装置の表示面と垂直に回転軸9を配置し、この回転軸9に立体拡散パネルを構成する4枚のパネル(曲板)1a,1b,1c,1dを固定し、これらの曲板を回転軸9を中心に回転させる。4枚のパネル1a,1b,1c,1dは90度毎に回転軸9に固定され、各パネルの下端および上端は直線状であり、且つ、上端は下端から見て回転方向側に90度進んだ位置に位置するようにその間がわん曲しており、4枚のパネル1a,1b,1c,1dの上下端の間の外縁は1つの円柱に全て接する形状をしている。4枚のパネル1a,1b,1c,1dは、各々、透明なプラスチック板からなり、その面上に蛍光体を塗布した。4枚のパネル1a,1b,1c,1dの下端には、平板上に構成されたレンズアレイ30が固定的に取り付けられており、4枚のパネル1a,1b,1c,1dと共に回転する。なお、4枚のパネル1a,1b,1c,1dは、フラットディスプレイ装置2の表示面と一定の間隔を保って回転する。
【0049】
図18に実施例2で使用したレンズアレイを示す。詳細は後述するが、実施例2では、極座標表示で、
X=r*cosΘ
Y=r*sinΘ
Z=a*Θ
(X,Y,Z:三次元直交座標系の座標軸
r:半径
Θ:角度
a:定数)
で表される空間(即ち、各パネル1a,1b,1cまたは1d上であり、焦点包括面である)に焦点を結ぶような焦点距離を各々持つ複数のレンズを扇形に配置したレンズアレイ30を作成した。実際には、Niからなる金型に、焦点距離の異なるレンズの型を形成し、そこに樹脂(たとえばZEONOX(登録商標))を射出成型することで作成した。即ち、レンズアレイ30は、平板上に形成される。また、各レンズは、この平板面と平行になっており、したがって、その平面と直交方向上で焦点を結ぶ。
【0050】
図19は実施例2のレンズアレイ30とその焦点を結んだ曲面(焦点包括面)を示す。31はレンズであり、32はその焦点、33はレンズアレイ30の面(平面)であり、34は焦点の包括面である。
【0051】
フラットディスプレイ装置2としては、一般的な液晶ディスプレイ装置を使用した。立体拡散パネルの回転数は900rpm(15Hz)とした。
【0052】
本実施例では、立体拡散パネルは、4枚のパネル1a,1b,1c,1dから構成されているため、1つのポイントにつき、1秒間に60回の画像を更新することが可能となる。4分割の(4枚の)パネルをそれぞれ第1パネル、第2パネル、第3パネル、第4パネルと称すると、立体拡散パネルを回転させ、フラットディスプレイ装置2の表示面上の画像光による第1パネルの表示以後、同じ場所に第2パネルが来たときに、フラットディスプレイ装置2による表示画像を更新し、以降、同様にすることによって、立体拡散パネルを見る者8は、残像効果により、そこに表示される立体画像があたかも動いたかのように見える。
【0053】
立体拡散パネルの回転とフラットディスプレイ装置2による表示画像との同期は、立体拡散パネルの回転軸9に回転エンコーダを付け、その回転検出パルスを位置情報信号線6を介してコンピュータシステム5に供給する。コンピュータシステム5は、回転検出パルス信号に応答して、フラットディスプレイ装置2に出力する信号を更新する。
【0054】
立体拡散パネル1によって表示する立体画像は、コンピュータシステム5で作成した(実施例1と同様)。この立体画像を断面に分解するときに、つぎのような処理を行った。立体像は、X,Y,Z座標で指定されているため、この空間全体に対して、その座標をr,Θ,z(r:半径,Θ:角度)の極座標表示に変換した。このとき、各r,Θのポイントに対して、Z方向に対してリングバッファの構造とした。次に、立体拡散パネル1により切り取られる断面形状について、各r,Θに対してZ位置を示すポインターを設定し、ポインターで示したデータを集めることによって、一枚の断面画像を作成した。立体拡散パネル1が回転すると、その断面の高さは、
Z=a*Θ
で表されるため、角度の変化は高さの変化に比例する。そのため、角度が進むごとに、Z方向のポインターを1つ変化させることによって、立体拡散パネル1が立体像を切断する断面画像をすばやく表示させることが可能となる。この立体拡散パネル1に表示される立体像と、フラットディスプレイ装置2の表示面に表示される画像を図10〜図13に示す。実施例1と同様に三次元の立体像を空間に表示させることが可能となる。
【0055】
以上の処理はコンピュータシステム5のソフトウエアで全て実行したが、単純な計算であるため、LSIなどのハードウエアで、処理させた方がなお高速処理が可能となる。また、立体拡散パネル1は、回転と奥行き方向への往復移動とを組み合わせて駆動することもできる。
【0056】
(実施例3)
図14に全体を示す本実施例は、実施例2の構成と同様であるが、表示装置として、液晶プロジェクタ10を使用した。液晶プロジェクタ10は、拡大表示させるための光学系を使用しているので、ミラー11を設置して、この液晶プロジェクタ10からの投射光を平行光に変換し、レンズアレイ30を介して、立体拡散パネル1に投射した。この光学系以外は実施例2と同様に処理することができる。なお、液晶プロジェクタ10およびミラー11は本発明に専用の構成となるように設計することもでき、こうすることによって、無駄を省くことができる。
【0057】
(実施例4)
図15に示す表示装置として、ELディスプレイ装置12を使用し、立体拡散パネル13として、3枚のパネル13a,13b,13cを120度毎に回転軸9に固定し、下端にレンズアレイ30を固定的に取り付けた。各パネルおよびレンズアレイ30の構成(設計)手法は実施例2と同様である。
【0058】
ELディスプレイ装置12は、単色光からなる画像を表示する。
【0059】
各パネルの下端および上端は直線状であり、且つ、上端は下端から見て回転方向側に120度進んだ位置に位置するようにその間がわん曲しており、3枚のパネル13a,13b,13cの上下端の間の外縁は1つの円柱に全て接する形状をしている。3枚のパネル13a,13b,13cは、各々、青色、赤色、緑色の色変換材料を埋め込んだ曲板からなり、ELディスプレイ装置12からの単色光の画像を照射されると、各々青色、赤色、緑色の光(光の3原色)を反射する。
【0060】
画像処理は実施例2と同様にして行うことができ、本実施例では、単色光を発光させ、青色、赤色、緑色の光(光の3原色)を反射することによって、残像効果によって、空間的に目的のカラー画像が合成されて見ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】実施例1に係る三次元立体像の表示装置の全体を示す図である。
【図2】二次元の表示装置に供給する画像の表示バッファの記憶内容の一例を示す図である。
【図3】表示させたい立体図形を示す図である。
【図4】a)は原点位置での立体拡散パネル1の位置とその時に、立体図形を切断する断面位置を計算して示した図であり、b)はこれにより計算された、二次元のフラットディスプレイ装置2に表示される画像を示す図である。
【図5】(a)および(b)は、立体拡散パネル1が奥行き方向に移動した時点での断面の切り取り部分を示す図、およびこれにより計算された、フラットディスプレイ装置2に表示される画像を示す図である。
【図6】(a)および(b)は、立体拡散パネル1が奥行き方向に移動した時点での断面の切り取り部分を示す図、およびこれにより計算された、フラットディスプレイ装置2に表示される画像を示す図である。
【図7】(a)および(b)は、立体拡散パネル1が奥行き方向に移動した時点での断面の切り取り部分を示す図、およびこれにより計算された、フラットディスプレイ装置2に表示される画像を示す図である。
【図8】ある時間間隔に表示される、三次元の立体像と二次元のフラットディスプレイ装置2に映し出される画像を重ね合わせた像を示す図である。
【図9】実施例2の全体を示す図である。
【図10】(a)および(b)は、ある時間での立体拡散パネル1に表示される立体像を示す図、およびフラットディスプレイ装置2の表示面に表示される画像を示す図である。
【図11】(a)および(b)は、別のある時間での立体拡散パネル1に表示される立体像を示す図、およびフラットディスプレイ装置2の表示面に表示される画像を示す図である。
【図12】(a)および(b)は、さらに別のある時間での立体拡散パネル1に表示される立体像を示す図、およびフラットディスプレイ装置2の表示面に表示される画像を示す図である。
【図13】(a)および(b)は、さらに別のある時間での立体拡散パネル1に表示される立体像を示す図、およびフラットディスプレイ装置2の表示面に表示される画像を示す図である。
【図14】実施例3の全体を示す図である。
【図15】実施例4の全体を示す図である。
【図16】多焦点レンズアレイの構造を示す図である。
【図17】多焦点レンズアレイの焦点の包括面を示す図である。
【図18】他の多焦点レンズアレイの構造を示す図である。
【図19】他の多焦点レンズアレイの焦点の包括面を示す図である。
【符号の説明】
【0062】
1 立体拡散パネル
2 フラットディスプレイ装置
3 レンズアレイ
4 駆動装置
5 コンピュータシステム
6 位置情報信号線
7 出力ケーブル
8 観察者
21 焦点
23 焦点の包括面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面上に配置された複数のレンズであって、当該平面に対して傾斜した面上に焦点包括面が形成されるように前記複数のレンズの各々の焦点距離が設定されていることを特徴とする多焦点レンズアレイ。
【請求項2】
請求項1において、
前記複数のレンズの厚さは2mm以下であることを特徴とする多焦点レンズアレイ。
【請求項3】
請求項1において、
前記焦点包括面は平面であることを特徴とする多焦点レンズアレイ。
【請求項4】
請求項1において、
前記焦点包括面は曲面であることを特徴とする多焦点レンズアレイ。
【請求項5】
請求項4において、
前記曲面の形状が、極座標表示で、
X=r*cosΘ
Y=r*sinΘ
Z=a*Θ
(X,Y,Z:三次元直交座標系の座標軸
r:半径
Θ:角度
a:定数)
で表される曲面の一部を含むことを特徴とする多焦点レンズアレイ。
【請求項6】
二次元画像を表示する表示装置と、
前記表示装置の表示面からの光を入射する位置に配置された請求項1の多焦点レンズアレイと、
前記焦点包括面上に位置し、前記多焦点レンズアレイを介して結像された、前記表示装置の表示面からの光を反射する面を有する透明または半透明な反射物体と、
前記反射物体および前記多焦点レンズアレイを前記表示装置の表示面と前記多焦点レンズアレイとの間の間隔を維持したまま周期的に移動するように駆動する駆動手段と、
前記表示装置の表示面上に表示された二次元画像からの光によって前記反射物体の前記面に三次元立体像の断面像が描写され、且つ、前記反射物体および前記多焦点レンズアレイの移動に同期して、当該反射物体の前記面に前記移動に応答した位置の前記三次元立体像の断面像が描写されるように、前記表示装置によって表示する二次元画像のデータを生成する画像データ生成手段とを具えたことを特徴とする三次元立体像の表示装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記反射物体は、複数の反射面を有することを特徴とする三次元立体像の表示装置。
【請求項8】
請求項6において、
前記移動周期は5Hz以上であることを特徴とする三次元立体像の表示装置。
【請求項9】
請求項6において、
前記駆動手段は、前記表示装置の表示面からの光の光路中において、前記反射物体および前記多焦点レンズアレイを周期的に平行移動するように駆動することを特徴とする三次元立体像の表示装置。
【請求項10】
請求項6において、
前記駆動手段は、前記表示装置の表示面からの光の光路中において、前記反射物体および前記多焦点レンズアレイを周期的に回転するように駆動することを特徴とする三次元立体像の表示装置。
【請求項11】
請求項6において、
前記反射物体は、前記面上にガラスビーズを付着させたことを特徴とする三次元立体像の表示装置。
【請求項12】
請求項6において、
前記反射物体は、前記面上に蛍光塗料を付着させたことを特徴とする三次元立体像の表示装置。
【請求項13】
請求項6において、
前記表示装置は、フラットディスプレイ装置であることを特徴とする三次元立体像の表示装置。
【請求項14】
請求項6において、
前記表示装置は、投影型ディスプレイ装置であることを特徴とする三次元立体像の表示装置。
【請求項15】
請求項6において、
画像データ生成手段は、前記駆動手段からの前記反射物体の駆動に関連する信号に同期させて前記二次元画像データを生成することを特徴とする三次元立体像の表示装置。
【請求項16】
請求項6において、
前記表示装置は単色光の二次元画像を表示し、前記反射物体は複数の反射面を有し、前記反射物体の前記複数の反射面に各々別個の色を変換して反射する材料を使用することによってカラーの立体像を合成することを特徴とする三次元立体像の表示装置。
【請求項17】
複数の請求項6の三次元立体像の表示装置を並置することによって前記複数の反射物体の各々に三次元立体像を分割表示させることを特徴とする三次元立体像の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2007−212794(P2007−212794A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−33020(P2006−33020)
【出願日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(503361248)富士電機デバイステクノロジー株式会社 (1,023)
【Fターム(参考)】