説明

多環式化合物の製造方法及び新規多環式化合物

【課題】環状ジケトンを原料とし、これを環化させることによって、多環式化合物を製造する。
【解決手段】下記式(1)


[式中、X及びYは、それぞれ独立に炭素数1〜20の2価の有機基を示す。Rは、炭素数1〜20の1価の有機基、ハロゲン原子、保護されていてもよい水酸基、保護されていてもよいアミノ基、ニトロ基又は水素原子である。]で表される化合物を環化させる多環式化合物の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環状ジケトンを原料とする多環式化合物の製造方法に関する。具体的には、環状ジケトンを原料とし、これを環化させることによって、多環式化合物を製造する方法に関する。また、そのような方法によって合成できる、新規な多環式化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
多環式化合物は、医薬品や農薬の合成中間体などとして有用な化合物である。例えば、非特許文献1に記載されているウィーランド−ミッシャー(Wieland−Miescher)ケトン(下記式(a)参照)は、抗がん剤であるタキソールを含む50種類以上の天然物の全合成に利用されてきた。
【0003】
【化1】

【0004】
ウィーランド−ミッシャーケトンは、天然物の全合成の出発原料として好適に用いられ、多環構造を基本骨格として保持したまま、あるいは環が開裂して、目的化合物へと合成される。また、出発原料の多環式化合物の橋頭位の不斉炭素のキラリティーが最終化合物まで保持される場合もあり、出発原料の光学純度が重要であることも多い。このように、多環式化合物は有用な化合物であり、その簡便な製造方法が求められている。
【0005】
ベンゾイン縮合は、通常、アルデヒド−アルデヒド間の炭素−炭素結合形成反応であるが、アルデヒド−ケトン間の炭素−炭素結合形成反応へも利用できる。触媒として、シアン化物イオンや含窒素複素環式カルベンが好適に用いられている。また、分子内でベンゾイン縮合を行えば、環化反応を行うこともできる。非特許文献1〜3には、含窒素複素環式カルベンを触媒に用いたベンゾイン縮合による、多環式化合物の合成方法について記載されている。反応に供される基質として各種ケトアルデヒドが示されているが、脂環式ケトアルデヒドを基質に用いて、ベンゾイン縮合により多環式化合物の合成を行った例は記載されていない。このようにして得られる多環式化合物は脂肪族の多環式化合物であり、合成中間体として有用であると考えられる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Tetrahedron Letters、2000年、第41巻、p.6951−6954
【非特許文献2】Angewandte Chemie Int. Ed.、2006年、第45巻、p.3492−3494
【非特許文献3】Angewandte Chemie Int. Ed.、2006年、第45巻、p.1463−1467
【非特許文献4】Chemical Communications、2008年、p.2263−2265
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、多環式化合物の新たな製造方法を提供することを目的とする。具体的には、環状ジケトンを原料とし、これを環化させることによって、多環式化合物を製造する方法を提供することを目的とするものである。また、そのような方法によって製造できる新規な多環式化合物を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、下記式(1)
【0009】
【化2】

【0010】
[式中、X及びYは、それぞれ独立に炭素数1〜20の2価の有機基を示す。Rは、炭素数1〜20の1価の有機基、ハロゲン原子、保護されていてもよい水酸基、保護されていてもよいアミノ基、ニトロ基又は水素原子である。]
で表される化合物を環化させる、下記式(2)
【0011】
【化3】

【0012】
[式中、X、Y及びRは、前記式(1)と同じ。Rと橋頭位の炭素間及びOHと橋頭位の炭素間の太線で表した結合は、RとOHの相対配置がシス(cis)であることを示す。]
で表される多環式化合物の製造方法を提供することによって解決される。
【0013】
上記式(1)及び(2)において、X及びYが、それぞれ独立に下記式(3)
【化4】

[式中、R(1)〜R(n)、R’(1)〜R’(n)はそれぞれ独立に水素原子、1価の有機基、ハロゲン原子、保護されていてもよい水酸基、保護されていてもよいアミノ基又はニトロ基を示す。nは1〜20の整数である。R(1)〜R(n)、R’(1)〜R’(n)は相互に結合して環を形成してもよい。]
で示される炭素数1〜20の2価の有機基であることが好適である。このとき、nが、2〜4であることがより好適である。Rが、炭素数1〜20の置換基を有してもよい1価の炭化水素基であることも好適である。
【0014】
上記製造方法において、含窒素複素環式カルベンからなる触媒の存在下、式(1)で示される化合物を環化させることが好適である。このとき、トリアゾリウム塩又はチアゾリウム塩に塩基を作用させて前記含窒素複素環式カルベンを生成させることがより好適である。キラリティーを有する触媒の存在下、式(1)で示される化合物を環化させ、光学活性な多環式化合物を得ることも好適である。
【0015】
下記式(2)
【0016】
【化5】

【0017】
[式中、Xは、炭素数3〜20の2価の有機基を示す。Yは、炭素数1〜20の2価の有機基を示す。Rは、炭素数1〜20の1価の有機基、ハロゲン原子、保護されていてもよい水酸基、保護されていてもよいアミノ基、ニトロ基又は水素原子である。Rと橋頭位の炭素間及びOHと橋頭位の炭素間の太線で表した結合は、RとOHの相対配置がシス(cis)であることを示す。]
で表される多環式化合物は新規化合物である。
【0018】
下記式(2)
【0019】
【化6】

【0020】
[式中、X及びYは、それぞれ独立に置換基を有してもよいエチレン基を示す。Rは、炭素数1〜20の1価の有機基、ハロゲン原子、保護されていてもよい水酸基、保護されていてもよいアミノ基、ニトロ基又は水素原子である。Rと橋頭位の炭素間及びOHと橋頭位の炭素間の太線で表した結合は、RとOHの相対配置がシス(cis)であることを示す。]
で表される多環式化合物も新規化合物である。
【0021】
また、下記式(2A)
【0022】
【化7】

【0023】
[式中、X及びYは、それぞれ独立に炭素数1〜20の2価の有機基を示す。Rは、炭素数1〜20の1価の有機基、ハロゲン原子、保護されていてもよい水酸基、保護されていてもよいアミノ基、ニトロ基又は水素原子である。]
又は下記式(2B)
【0024】
【化8】

【0025】
[式中、X及びYは、それぞれ独立に炭素数1〜20の2価の有機基を示す。Rは、炭素数1〜20の1価の有機基、ハロゲン原子、保護されていてもよい水酸基、保護されていてもよいアミノ基、ニトロ基又は水素原子である。]
で表される光学活性な多環式化合物も新規化合物である。
【発明の効果】
【0026】
本発明の製造方法によれば、環状ジケトンを原料とし、これを環化させることによって、簡便に多環式化合物を製造することができる。また、そのような方法によって製造できる新規な多環式化合物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明は、下記式(1)
【0028】
【化9】

【0029】
[式中、X及びYは、それぞれ独立に炭素数1〜20の2価の有機基を示す。Rは、炭素数1〜20の1価の有機基、ハロゲン原子、保護されていてもよい水酸基、保護されていてもよいアミノ基、ニトロ基又は水素原子である。]
で表される化合物を環化させる、下記式(2)
【0030】
【化10】

【0031】
[式中、X、Y及びRは、前記式(1)と同じ。Rと橋頭位の炭素間及びOHと橋頭位の炭素間の太線で表した結合は、RとOHの相対配置がシス(cis)であることを示す。]
で表される多環式化合物の製造方法である。
【0032】
上記式(1)で表わされる化合物は、1,3−ジケトン構造を有する環状ジケトンであり、2つのケトン基に隣接する炭素原子には、アルデヒド基を有する置換基(−Y−CHO)が結合している。環化反応は、前記1,3−ジケトン構造を構成する2個のケトン基のうちの1個と前記アルデヒド基との間でおこり、上記式(2)で表わされる化合物が得られる。このとき、RとOHの相対配置はシス(cis)である。相対配置がシスであれば光学活性体又はラセミ体のどちらであってもよい。これまで、非芳香族系の環状ジケトンを基質に用いて、ベンゾイン縮合により多環式化合物の合成を行った例はなかった。本発明の製造方法によれば、環状ジケトンを原料として、ベンゾイン縮合により、多環式化合物を簡便に製造できる。このようにして得られる化合物は、脂肪族の多環式化合物であり、合成中間体として有用であると考えられる。
【0033】
上記式(1)及び(2)で示される化合物において、Xは、炭素数1〜20の2価の有機基である。Xの炭素数は10以下であることが好適であり、炭素数が5以下であることがより好適である。また、Xの炭素数は2以上であることが好適である。炭素数が4以上の場合には、環を形成する炭素−炭素結合の中で、ケトンの二重結合と共役しない位置の炭素−炭素結合が二重結合であってもよい。2価の有機基としては、下記式(3)
【0034】
【化11】

【0035】
[式中、R(1)〜R(n)、R’(1)〜R’(n)はそれぞれ独立に水素原子、1価の有機基、ハロゲン原子、保護されていてもよい水酸基、保護されていてもよいアミノ基又はニトロ基を示す。nは1〜20の整数である。R(1)〜R(n)、R’(1)〜R’(n)は相互に結合して環を形成してもよい。]
で示される2価の有機基であることが好適である。このとき、R(1)〜R(n)、R’(1)〜R’(n)はそれぞれ独立に水素原子、1価の有機基、ハロゲン原子、保護されていてもよい水酸基、保護されていてもよいアミノ基又はニトロ基である。このときの1価の有機基の例としては、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアリールアルキル基、置換基を有してもよいアリールアルケニル基、置換基を有してもよいアリールアルキニル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよい複素環基、アルコキシ基、アリーロキシ基、保護されていてもよいアルデヒド基、保護されていてもよいカルボキシル基又はその塩、保護されていてもよいアルキルカルボニル基、保護されていてもよいアリールカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、アルキルカルボニロキシ基、アリールカルボニロキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アルキルアンモニウム基、アリールアンモニウム基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルアゾ基、アリールアゾ基などが挙げられる。nは、1〜20の整数である。nが2以上であることが好適である。また、nが5以下であることが好適であり、4以下であることがより好適である。
【0036】
Yは、炭素数が1〜20の2価の有機基である。Yの炭素数は10以下であることが好適であり、炭素数が5以下であることがさらに好適である。また、Yの炭素数は2以上であることが好適である。2価の有機基としては、下記式(3)
【0037】
【化12】

【0038】
[式中、R(1)〜R(n)、R’(1)〜R’(n)はそれぞれ独立に水素原子、1価の有機基、ハロゲン原子、保護されていてもよい水酸基、保護されていてもよいアミノ基又はニトロ基を示す。nは1〜20の整数である。R(1)〜R(n)、R’(1)〜R’(n)は相互に結合して環を形成してもよい。]
で示される2価の有機基であることが好適である。このとき、R(1)〜R(n)、R’(1)〜R’(n)はそれぞれ独立に水素原子、1価の有機基、ハロゲン原子、保護されていてもよい水酸基、保護されていてもよいアミノ基又はニトロ基である。このときの1価の有機基の例としては、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアリールアルキル基、置換基を有してもよいアリールアルケニル基、置換基を有してもよいアリールアルキニル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよい複素環基、アルコキシ基、アリーロキシ基、保護されていてもよいアルデヒド基、保護されていてもよいカルボキシル基又はその塩、保護されていてもよいアルキルカルボニル基、保護されていてもよいアリールカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、アルキルカルボニロキシ基、アリールカルボニロキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アルキルアンモニウム基、アリールアンモニウム基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルアゾ基、アリールアゾ基などが挙げられる。nは、1〜20の整数である。nが2以上であることが好適である。nが1の場合には、環化により形成される環は4員環であり、環の歪のエネルギーが大きいため、環化が進みにくいと考えられる。また、nが5以下であることが好適であり、4以下であることがより好適であり、3以下であることがさらに好適である。特に、nが2又は3であることが好適である。この場合、環化により形成される環は5員環又は6員環であり、これらの環は歪みのエネルギーも小さく、環化しやすいと考えられるからである。
【0039】
Rは、炭素数1〜20の1価の有機基、ハロゲン原子、保護されていてもよい水酸基、保護されていてもよいアミノ基、ニトロ基又は水素原子である。なかでも、炭素数1〜20の置換基を有してもよい1価の炭化水素基であることが好適である。このときの炭化水素基の例としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、シクロアルキル基などが挙げられる。置換基の例としては、ハロゲン原子、保護されていてもよい水酸基、複素環基、アルコキシ基、アリーロキシ基、保護されていてもよいアルデヒド基、保護されていてもよいカルボキシル基又はその塩、保護されていてもよいアルキルカルボニル基、保護されていてもよいアリールカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、アルキルカルボニロキシ基、アリールカルボニロキシ基、保護されていてもよいアミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アンモニウム基、アルキルアンモニウム基、アリールアンモニウム基、保護されていてもよいチオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、保護されていてもよいスルフィン酸基又はその塩、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、保護されていてもよいスルホン酸基又はその塩、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルアゾ基、アリールアゾ基、保護されていてもよいリン酸基又はその塩、保護されていてもよい亜リン酸基又はその塩、シアノ基、ニトロ基、アジド基などが挙げられる。Rが炭素数1〜20の1価の炭化水素基であることがより好適である。Rの炭素数は1〜10であることが好適である。
【0040】
X及びYが、それぞれ独立に上記式(3)で示される2価の有機基である場合において、X、Yともに、nが2〜4であることが好適な実施態様である。この場合、環化により得られる化合物は、5〜7員環を任意に組み合わせてなる多環式化合物であり、このような化合物は、合成中間体として特に有用であると推定されるからである。
【0041】
本発明の製造方法において、環化させる際、触媒を用いることで、反応を促進させることができる。触媒としては、シアン化物イオンや含窒素複素環式カルベンなどが挙げられる。なかでも、含窒素複素環式カルベンからなる触媒の存在下で環化させることが好ましい。この場合の反応は、はじめに、含窒素複素環式カルベンが、原料の1,3−ジケトン構造の2位に結合している置換基(−Y−CHO)のアルデヒド基と反応して、含窒素複素環式カルベンとアルデヒドとの複合体が形成される。カルベンが付加することでアルデヒドは極性転換して、分子内の1,3−ジケトン構造を構成する2個のケトンのいずれか一方と反応して環が形成される。アルデヒド基の付加反応は、原料の環に対してアルデヒドを有する置換基が向いている方向と同一方向から行われる。よって、得られる多環式化合物の橋頭位に隣接して存在する2つの不斉炭素原子の、Rと水酸基の相対立体配置は、下記式(2A)又は(2B)のようにシス(cis)となる。環化した後、含窒素複素環式カルベンは、脱離して触媒として再生される。
【0042】
【化13】

【0043】
【化14】

【0044】
本発明においては、下記式(4)
【0045】
【化15】

【0046】
[式中、R、R及びRは、それぞれ独立に炭素数1〜20の有機基、ハロゲン原子、ニトロ基又はシアノ基を示す。R、R及びRは相互に結合して環を形成してもよい。Aはアニオンを表す。]
で表わされるトリアゾリウム塩、又は下記式(5)
【0047】
【化16】

【0048】
[式中、R、R及びRは、それぞれ独立に炭素数1〜20の有機基、ハロゲン原子、ニトロ基又はシアノ基を示す。R、R及びRは相互に結合して環を形成してもよい。Aはアニオンを表す。]
で表わされるチアゾリウム塩に、塩基を作用させて生成させた含窒素複素環式カルベンが好適に用いられる。塩基を作用させることによって、それぞれの塩は脱プロトン化されて、カルベンが生成する。
【0049】
上記式(4)及び(5)において、R、R、R、R、R及びRはそれぞれ独立に炭素数1〜20の有機基、ハロゲン原子、ニトロ基又はシアノ基である。有機基の例としては置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアリールアルキル基、置換基を有してもよいアリールアルケニル基、置換基を有してもよいアリールアルキニル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよい複素環基、アルコキシ基、アリーロキシ基、保護されていてもよいアルデヒド基、保護されていてもよいカルボキシル基又はその塩、保護されていてもよいアルキルカルボニル基、保護されていてもよいアリールカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、アルキルカルボニロキシ基、アリールカルボニロキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アルキルアンモニウム基、アリールアンモニウム基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルアゾ基、アリールアゾ基などが挙げられる。
【0050】
はアニオンであれば特に限定されないが、塩化物アニオン、BF、PFなどが用いられる。
【0051】
トリアゾリウム塩又はチアゾリウム塩に作用させる塩基は、有機塩基及び無機塩基のどちらも用いることができる。有機塩基の例としては、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)などのアミンなどが挙げられる。無機塩基の例としては、炭酸セシウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムなどのアルカリ金属の炭酸塩などが挙げられる。
【0052】
環化させる際に用いる溶媒は特に制限されないが、トルエン、塩化メチレン、クロロホルム、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド又はジメチルスルホキシドなどが好適に用いられる。溶媒の使用量は、特に限定されるものではなく、適宜選択することができる。また反応温度は通常、−30℃〜100℃の範囲で適宜選択される。反応温度は、好適には、0℃〜90℃であり、より好適には、10℃〜80℃である。反応時間は特に限定はなく、クロマトグラフィーなどで反応を追跡して判断することができる。反応生成物の精製方法は、一般的に知られている任意の方法を採用でき、例えばカラムクロマトグラフィーなどで精製することができる。
【0053】
本発明の製造方法において、キラリティーを有する触媒の存在下、式(1)で示される化合物を環化させることも好適である。キラリティーを有する触媒であれば特に限定されないが、キラリティーを有する含窒素複素環式カルベンが好適に用いられる。また、キラリティーを有する式(4)で示されるトリアゾリウム塩又は式(5)で示されるチアゾリウム塩に塩基を作用させて生成される含窒素複素環式カルベンがより好適に用いられる。キラリティーを有する触媒を用いると、環化により得られる多環式化合物の橋頭位にある2つの不斉炭素の立体配置は制御され、光学活性な多環式化合物が得られる。
【0054】
以下、上記製造方法によって製造することのできる新規な多環式化合物について説明する。
【0055】
下記式(2)
【0056】
【化17】

【0057】
[式中、Xは、炭素数3〜20の2価の有機基を示す。Yは、炭素数1〜20の2価の有機基を示す。Rは、炭素数1〜20の1価の有機基、ハロゲン原子、保護されていてもよい水酸基、保護されていてもよいアミノ基、ニトロ基又は水素原子である。Rと橋頭位の炭素間及びOHと橋頭位の炭素間の太線で表した結合は、RとOHの相対配置がシス(cis)であることを示す。]
で表される多環式化合物は新規化合物であり、本発明の製造方法によって、簡便に合成できる。また、このような化合物は、合成中間体として有望である。
【0058】
上記式(2)で示される化合物において、Xは、炭素数3〜20の2価の有機基である。Xの炭素数は10以下であることが好適であり、炭素数が5以下であることがより好適である。炭素数が4以上の場合には、環を形成する炭素−炭素結合の中で、ケトンの二重結合と共役しない位置の炭素−炭素結合が二重結合であってもよい。2価の有機基としては、下記式(3)
【0059】
【化18】

【0060】
[式中、R(1)〜R(n)、R’(1)〜R’(n)はそれぞれ独立に水素原子、1価の有機基、ハロゲン原子、保護されていてもよい水酸基、保護されていてもよいアミノ基又はニトロ基を示す。nは3〜20の整数である。R(1)〜R(n)、R’(1)〜R’(n)は相互に結合して環を形成してもよい。]
で示される炭素数3〜20の2価の有機基であることが好適である。このとき、R(1)〜R(n)、R’(1)〜R’(n)はそれぞれ独立に水素原子、1価の有機基、ハロゲン原子、保護されていてもよい水酸基、保護されていてもよいアミノ基又はニトロ基である。1価の有機基の例としては、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアリールアルキル基、置換基を有してもよいアリールアルケニル基、置換基を有してもよいアリールアルキニル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよい複素環基、アルコキシ基、アリーロキシ基、保護されていてもよいアルデヒド基、保護されていてもよいカルボキシル基又はその塩、保護されていてもよいアルキルカルボニル基、保護されていてもよいアリールカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、アルキルカルボニロキシ基、アリールカルボニロキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アルキルアンモニウム基、アリールアンモニウム基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルアゾ基、アリールアゾ基などが挙げられる。nは3〜20の整数である。nが3〜5であることが好適であり、nが3又は4であることがより好適である。この場合、式(2)のXが含まれる環は、6員環又は7員環であり、合成中間体として特に有望であるからである。なお、nが3のときXは置換基を有してもよい1,3−プロピレン基であり、nが4のときXは置換基を有してもよい1,4−ブチレン基であり、nが5のときXは置換基を有してもよい1,5−ペンチレン基である。
【0061】
Yは、炭素数1〜20の2価の有機基である。Yの炭素数は10以下であることが好適であり、炭素数が5以下であることがさらに好適である。また、Yの炭素数は2以上であることが好適である。2価の有機基としては、下記式(3)
【0062】
【化19】

【0063】
[式中、R(1)〜R(n)、R’(1)〜R’(n)はそれぞれ独立に水素原子、1価の有機基、ハロゲン原子、保護されていてもよい水酸基、保護されていてもよいアミノ基又はニトロ基を示す。nは1〜20の整数である。R(1)〜R(n)、R’(1)〜R’(n)は相互に結合して環を形成してもよい。]
で示される炭素数1〜20の2価の有機基であることが好適である。このとき、R(1)〜R(n)、R’(1)〜R’(n)はそれぞれ独立に水素原子、1価の有機基、ハロゲン原子、保護されていてもよい水酸基、保護されていてもよいアミノ基又はニトロ基である。1価の有機基の例としては、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアリールアルキル基、置換基を有してもよいアリールアルケニル基、置換基を有してもよいアリールアルキニル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよい複素環基、アルコキシ基、アリーロキシ基、保護されていてもよいアルデヒド基、保護されていてもよいカルボキシル基又はその塩、保護されていてもよいアルキルカルボニル基、保護されていてもよいアリールカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、アルキルカルボニロキシ基、アリールカルボニロキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アルキルアンモニウム基、アリールアンモニウム基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルアゾ基、アリールアゾ基などが挙げられる。nは1〜20の整数である。nが2以上であることが好適である。また、nが5以下であることが好適であり、4以下であることがより好適であり、3以下であることがさらに好適である。nが2又は3であることが特に好適である。この場合、環化により形成される環は5員環又は6員環であり、合成中間体として特に有望であるからである。なお、nが2のときYは置換基を有してもよい1,2−エチレン基であり、nが3のときYは置換基を有してもよい1,3−プロピレン基であり、nが4のときYは置換基を有してもよい1,4−ブチレン基であり、nが5のときYは置換基を有してもよい1,5−ペンチレン基である。
【0064】
Rは、前述の製造方法における、式(2)についての説明の記載と同様である。
【0065】
また下記式(2)
【0066】
【化20】

【0067】
[式中、X及びYは、それぞれ独立に置換基を有してもよいエチレン基を示す。Rは、炭素数1〜20の1価の有機基、ハロゲン原子、保護されていてもよい水酸基、保護されていてもよいアミノ基、ニトロ基又は水素原子である。Rと橋頭位の炭素間及びOHと橋頭位の炭素間の太線で表した結合は、RとOHの相対配置がシス(cis)であることを示す。]
で表される多環式化合物も、新規化合物である。
【0068】
上記式(2)で示される化合物において、Xは、置換基を有してもよいエチレン基を示す。置換基としては、炭素数1〜18の1価の有機基、ハロゲン原子、保護されていてもよい水酸基、保護されていてもよいアミノ基又はニトロ基が好適である。このときの1価の有機基の例としては、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアリールアルキル基、置換基を有してもよいアリールアルケニル基、置換基を有してもよいアリールアルキニル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよい複素環基、アルコキシ基、アリーロキシ基、保護されていてもよいアルデヒド基、保護されていてもよいカルボキシル基又はその塩、保護されていてもよいアルキルカルボニル基、保護されていてもよいアリールカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、アルキルカルボニロキシ基、アリールカルボニロキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アルキルアンモニウム基、アリールアンモニウム基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルアゾ基、アリールアゾ基などが挙げられる。
【0069】
Yは、置換基を有してもよいエチレン基を示す。置換基としては、炭素数1〜18の1価の有機基、ハロゲン原子、保護されていてもよい水酸基、保護されていてもよいアミノ基又はニトロ基が好適である。このときの1価の有機基の例としては、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアリールアルキル基、置換基を有してもよいアリールアルケニル基、置換基を有してもよいアリールアルキニル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよい複素環基、アルコキシ基、アリーロキシ基、保護されていてもよいアルデヒド基、保護されていてもよいカルボキシル基又はその塩、保護されていてもよいアルキルカルボニル基、保護されていてもよいアリールカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、アルキルカルボニロキシ基、アリールカルボニロキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アルキルアンモニウム基、アリールアンモニウム基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルアゾ基、アリールアゾ基などが挙げられる。
【0070】
Rは、前述の製造方法における、式(2)についての説明の記載と同様である。
【0071】
また、下記式(2A)
【0072】
【化21】

【0073】
[式中、X及びYは、それぞれ独立に炭素数1〜20の2価の有機基を示す。Rは、炭素数1〜20の1価の有機基、ハロゲン原子、保護されていてもよい水酸基、保護されていてもよいアミノ基、ニトロ基又は水素原子である。]
又は下記式(2B)
【0074】
【化22】

【0075】
[式中、X及びYは、それぞれ独立に炭素数1〜20の2価の有機基を示す。Rは、炭素数1〜20の1価の有機基、ハロゲン原子、保護されていてもよい水酸基、保護されていてもよいアミノ基、ニトロ基又は水素原子である。]
で表される光学活性な多環式化合物は、新規化合物である。なお、上記式(2A)において、Rと橋頭位の炭素間及びOHと橋頭位の炭素間のくさび型の実線で表した結合は、R及びOHが紙面に対して上側に向いていることを示し、上記式(2B)において、Rと橋頭位の炭素間及びOHと橋頭位の炭素間のくさび型の破線で表した結合は、R及びOHが紙面に対して下側に向いていることを示す。キラリティーを有する触媒の存在下で環化反応を行うことで、橋頭位の2つの不斉炭素の立体配置の制御が可能であり、光学活性な多環式化合物が得られる。医薬品は光学活性体が使用される場合が多く、このような光学活性な多環式化合物は医薬品の合成中間体として好適に用いられる。
【0076】
上記式(2A)及び(2B)において、X、Y及びRは、前述の製造方法における、式(2)についての説明の記載と同様である。
【実施例】
【0077】
本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0078】
実施例1
基質1a 54.7mg(0.300mmol)とトリアゾリウム塩の触媒A 21.8mg(0.060mmol)の乾燥テトラヒドロフラン溶液(1mL)へ、アルゴン雰囲気下、トリエチルアミン(8.4μL,0.060mmol)を加えた。その反応混合物を66℃にて24時間撹拌した後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応をクエンチした。生成物を酢酸エチルで4回抽出し、有機層を合わせて飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル(3:1))によって(±)-cis-6-Hydroxy-1-methylbicyclo[4.3.0]nonane-2,7-dione(2a)(44.3mg,81%)を淡黄色結晶として単離した。反応式は下記式(I)の通りである。塩基とトリアゾリウム塩の存在下、環状ジケトンを環化反応させ、多環式化合物が得られた。得られた化合物(±)-2aは新規化合物である。
【0079】
【化23】

【0080】
実施例1で得られた化合物(±)-2aのデータを以下に示す。
mp 102‐103℃
1H NMR (CDCl3,600MHz) 1.10(s,3H),1.58‐1.62(m,1H),1.76‐1.86(m,2H),1.99‐2.03(m,1H),2.12‐2.19(m,1H),2.34‐2.58(m,5H),2.42(br s,1H)
13C NMR (CDCl3,150MHz) 16.4,20.9,28.1,30.0,31.8,36.9,54.6,84.2,211.9,216.4
IR(KBr) 3385,2953,1747,1682,1447,1423,1406,1321,1277,1263,1153,1111,1055,1011,988cm-1
Anal.Calcd for C10H14O3:C,65.91;H,7.74. Found:C,65.96;H,7.88
HRMS(EI) calcd for C10H14O3 182.0943,found 182.0929(M+)
【0081】
実施例2
触媒としてチアゾリウム塩B 16.2mg(0.060mmol)を用いて実施例1と同様の反応を行った。添加する触媒以外はすべて実施例1と同様に行った。その結果、(±)-2a(15.6mg,29%)を淡黄色結晶として単離した。反応式は下記式(II)の通りである。塩基とチアゾリウム塩の存在下、環状ジケトンを環化反応させ、多環式化合物が得られた。
【0082】
【化24】

【0083】
実施例3
基質1b(58.9mg,0.300mmol)とトリアゾリウム塩A(21.8 mg,0.060mmol)の乾燥テトラヒドロフラン溶液(1mL)へ、アルゴン雰囲気下、トリエチルアミン(8.4μL,0.060mmol)を加えた。その反応混合物を66℃にて24時間撹拌した後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応をクエンチした。生成物を酢酸エチルで4回抽出し、有機層を合わせて飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル(3:1))によって(±)-cis-1-Hydroxy-6-methylbicyclo[4.4.0]decane-2,7-dione(2b)(34.7mg,59%)をオフホワイトの結晶として単離した。反応式は下記式(III)の通りである。塩基とトリアゾリウム塩の存在下、環状ジケトンを環化反応させ、多環式化合物が得られた。得られた化合物(±)-2bは新規化合物である。
【0084】
【化25】

【0085】
実施例3で得られた化合物(±)-2bのデータを以下に示す。
mp 137-138℃
1H NMR(CDCl3,600MHz) 0.98(s,3H),1.50‐1.56(m,2H),1.94‐2.01(m,2H),2.07‐2.12(m,1H),2.19‐2.27(m,1H),2.38‐2.43(m,2H),2.47‐2.54(m,2H),2.68‐2.79(m,2H),3.84(s,1H)
13C NMR(CDCl3,150MHz)15.3,21.5,22.6,32.3,33.4,36.4,37.1,56.3,82.6,211.6,211.9
IR(KBr) 3479,2972,2947,2870,1713,1420,1379,1244,1146,1115,934,679cm-1
Anal. Calcd for C11H16O3:C,67.32;H,8.22.Found:C,66.99;H,8.10
HRMS(EI) calcd for C11H16O3 196.1099,found 196.1095(M+)
【0086】
実施例4
基質1c(50.5mg,0.300mmol)とトリアゾリウム塩A(21.8mg,0.060mmol)の乾燥テトラヒドロフラン溶液(1mL)へ、アルゴン雰囲気下、トリエチルアミン(8.4μL,0.060mmol)を加えた。その反応混合物を66℃にて24時間撹拌した後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応をクエンチした。生成物を酢酸エチルで4回抽出し、有機層を合わせて飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル(3:1))によって(±)-cis-1-Hydroxy-5-methylbicyclo[3.3.0]octane-2,6-dione(2c)(41.3mg,82%)をオフホワイトの結晶として単離した。反応式は下記式(IV)の通りである。塩基とトリアゾリウム塩の存在下、環状ジケトンを環化反応させ、多環式化合物が得られた。得られた化合物(±)-2cは新規化合物である。
【0087】
【化26】

【0088】
実施例4で得られた化合物(±)-2cのデータを以下に示す。
mp 111℃(dec)
1H NMR (CDCl3,600MHz) 1.09(s,3H),1.78‐1.82(m,1H),1.86‐1.91(m,1H),1.94‐1.99(m,1H),2.11‐2.17(m,1H),2.37‐2.44(m,1H),2.52‐2.65(m,3H),2.76(s,1H)
13C NMR (CDCl3,150 MHz) 13.4,26.9,29.9,32.0,34.9,57.1,87.8,216.4,217.4
IR (KBr) 3477,3441,2970,2926,1732,1709,1420,1381,1244,1207,1146,1051,1003cm-1
HRMS (EI) calcd for C9H12O3 168.0786,found 168.0776(M+)
【0089】
実施例5
基質1d(54.8mg,0.300mmol)とトリアゾリウム塩A(21.8mg,0.060mmol)の乾燥テトラヒドロフラン溶液(1mL)へ、アルゴン雰囲気下、トリエチルアミン(8.4μL,0.060mmol)を加えた。その反応混合物を66℃にて24時間撹拌した後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応をクエンチした。生成物を酢酸エチルで4回抽出し、有機層を合わせて飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル(3:1))によって(±)-cis-1-Hydroxy-6-methylbicyclo[4.3.0]nonane-2,7-dione(2d)(41.5mg,76%)をオフホワイトの結晶として単離した。反応式は下記式(V)の通りである。塩基とトリアゾリウム塩の存在下、環状ジケトンを環化反応させ、多環式化合物(±)-2dが得られた。
【0090】
【化27】

【0091】
実施例5で得られた化合物(±)-2dのデータを以下に示す。
mp 78-81℃
1H NMR (CDCl3,600MHz) 1.04(s,3H),1.53(dq,J=3.4,14.1Hz,1H),1.81(dt,J=3.4,14.0Hz,1H),1.92‐2.01(m,2H),2.09‐2.14(m,1H),2.50‐2.57(m,2H),2.60‐2.62(m,2H),2.68‐2.74(m,1H),3.97(s,1H)
13C NMR(CDCl3,150MHz) 12.9,23.6,31.5,32.3,33.9,36.6,59.7,84.4,212.4,217.1
IR (KBr) 3464,2964,2937,2878,1730,1705,1457,1217,1130,1072,961,922cm-1
HRMS (EI) calcd for C10H14O3 182.0943,found 182.0946(M+)
【0092】
実施例6
基質1e(58.9mg,0.300mmol)とトリアゾリウム塩A(21.8mg,0.060mmol)の乾燥テトラヒドロフラン溶液(1mL)へ、アルゴン雰囲気下、トリエチルアミン(8.4μL,0.060mmol)を加えた。その反応混合物を66℃にて24時間撹拌した後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応をクエンチした。生成物を酢酸エチルで4回抽出し、有機層を合わせて飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル(3:1))によって(±)-cis-7-Hydroxy-1-methylbicyclo[5.3.0]decane-2,8-dione(2e)(43.0mg,73%)をオフホワイトの結晶として単離した。反応式は下記式(VI)の通りである。塩基とトリアゾリウム塩の存在下、環状ジケトンを環化反応させ、多環式化合物が得られた。得られた化合物(±)-2eは新規化合物である。
【0093】
【化28】

【0094】
実施例6で得られた化合物(±)‐2eのデータを以下に示す。
mp 99‐99.5℃
1H NMR (CDCl3,600MHz) 1.07(s,3H),1.33‐1.52(m,3H),1.64‐1.66(m,1H),1.96‐2.02(m,2H),2.04‐2.11(m,1H),2.15‐2.21(m,1H),2.29‐2.36(m,2H),2.46(ddd,J=2.4,10.9,20.2Hz,1H),2.63(s,1H),2.94‐2.99(m,1H)
13C NMR(CDCl3,150MHz) 19.7,22.2,26.4,26.8,30.4,33.9,40.2,57.6,79.2,215.7,220.4
IR (KBr)3491,2993,2968,2951,2937,2928,2866,1746,1695,1445,1410,1256,1148,1103,1049,1015,976cm-1
Anal. Calcd for C11H16O3:C,67.32;H,8.22.Found:C,66.94;H,7.85
HRMS(EI) calcd for C11H16O3 196.1099,found 196.1088(M+)
【0095】
実施例7
基質1f(63.1mg,0.300mmol)とトリアゾリウム塩A(21.8mg,0.060mmol)の乾燥テトラヒドロフラン溶液(1mL)へ、アルゴン雰囲気下、トリエチルアミン(8.4μL,0.060mmol)を加えた。その反応混合物を66℃にて24時間撹拌した後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応をクエンチした。生成物を酢酸エチルで4回抽出し、有機層を合わせて飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル(5:1))によって(±)-cis-7-Hydroxy-1-methylbicyclo[5.4.0]undecane-2,8-dione(2f)(25.4mg,40%)を透明のオイルとして単離した。反応式は下記式(VII)の通りである。塩基とトリアゾリウム塩の存在下、環状ジケトンを環化反応させ、多環式化合物が得られた。得られた化合物(±)-2fは新規化合物である。
【0096】
【化29】

【0097】
実施例7で得られた化合物(±)-2fのデータを以下に示す。
1H NMR(CDCl3,600MHz) 0.95(s,3H),1.32‐1.40(m,1H),1.54‐1.58(m,1H),1.61‐1.65(m,1H),1.71‐1.79(m,1H),1.88‐1.97(m,3H),1.99‐2.08(m,2H),2.13‐2.17(m,1H),2.31‐2.34(m,1H),2.44‐2.48(m,1H),2.49‐2.55(m,1H),3.26(ddd,J=2.5,10.8,13.3Hz,1H),4.23(s,1H)
13C NMR(CDCl3,150MHz) 18.8,21.1,23.1,26.0,31.3,34.9,36.5,40.9,58.7,78.6,214.1,216.3
IR(neat) 3441,2947,2862,1709,1697,1447,1312,1265,1238,1126,1099,1065,980,733cm-1
HRMS(EI) calcd for C12H18O3 210.1256,found 210.1243(M+)
【0098】
実施例8
トリアゾリウム塩C(33.1mg,0.090mmol,30mol%)と炭酸セシウム(29.3mg,0.090mmol,30mol%)の乾燥塩化メチレン溶液(3mL)をアルゴン雰囲気下23℃で30分間撹拌した。そこへ基質1a(54.7mg,0.300mmol)の乾燥塩化メチレン溶液(3mL)を加えた。その反応混合物を23℃にて24時間撹拌した後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応をクエンチした。生成物を塩化メチレンで4回抽出し、有機層を合わせて飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル(3:1))によって(+)-2a(27.4mg,50%,78%ee)を淡黄色結晶として単離した。生成物の光学純度はキラルカラムを用いたガスクロマトグラフィーによって決定した。反応式は下記式(VIII)の通りである。塩基とキラリティーを有するトリアゾリウム塩の存在下、環状ジケトンを環化反応させ、光学活性な多環式化合物が得られた。
【0099】
【化30】

【0100】
実施例8で得られた化合物(+)-2aのデータを以下に示す。
[α]20D +71.9(c0.98,CHCl3)
GC:CP-cyclodextrin-β-2,3,6-M-19 column(Varian,φ0.25mm×25m),Inj. 250℃,Col. 150℃,Det. 220℃,(-)-2a 33.2min,(+)-2a 35.1min
【0101】
実施例9
トリアゾリウム塩C(33.1mg,0.090mmol,30mol%)と炭酸セシウム(29.3mg,0.090mmol,30mol%)の乾燥塩化メチレン溶液(3mL)をアルゴン雰囲気下40℃で30分間撹拌した。そこへ基質1b(58.9mg,0.300mmol)の乾燥塩化メチレン溶液(3mL)を加えた。その反応混合物を40℃にて24時間撹拌した後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応をクエンチした。生成物を塩化メチレンで4回抽出し、有機層を合わせて飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル(3:1))によって(+)-2b(39.6mg,67%,>99%ee)をオフホワイトの結晶として単離した。生成物の光学純度はキラルカラムを用いたガスクロマトグラフィーによって決定した。反応式は下記式(IX)の通りである。塩基とキラリティーを有するトリアゾリウム塩の存在下、環状ジケトンを環化反応させ、光学活性な多環式化合物が得られた。
【0102】
【化31】

【0103】
実施例9で得られた化合物(+)-2bのデータを以下に示す。
[α]28D +85.1(c1.00,CHCl3)
GC:CP-cyclodextrin-β-2,3,6-M-19 column,Inj. 250℃,Col. 150℃,Det. 220℃,(-)-2b 54.8min,(+)-2b 57.3min
【0104】
実施例10
トリアゾリウム塩C(33.1mg,0.090mmol,30mol%)と炭酸セシウム(29.3mg,0.090mmol,30mol%)の乾燥塩化メチレン溶液(3mL)をアルゴン雰囲気下23℃で30分間撹拌した。そこへ基質1c(50.5mg,0.300mmol)の乾燥塩化メチレン溶液(3mL)を加えた。その反応混合物を23℃にて24時間撹拌した後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応をクエンチした。生成物を塩化メチレンで4回抽出し、有機層を合わせて飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル(3:1))によって(+)-2c(16.0mg,32%,26%ee)をオフホワイトの結晶として単離した。生成物の光学純度はキラルカラムを用いたガスクロマトグラフィーによって決定した。反応式は下記式(X)の通りである。塩基とキラリティーを有するトリアゾリウム塩の存在下、環状ジケトンを環化反応させ、光学活性な多環式化合物が得られた。
【0105】
【化32】

実施例10で得られた化合物(+)-2cのデータを以下に示す。
[α]28D +28.5(c0.52,CHCl3)
GC:CP-cyclodextrin-β-2,3,6-M-19 column,Inj. 250℃,Col. 135℃,Det. 220℃,(-)-2c 33.7min,(+)-2c 34.8min
【0106】
実施例11
トリアゾリウム塩C (33.1mg,0.090mmol,30mol%)と炭酸セシウム(29.3mg,0.090mmol,30mol%)の乾燥塩化メチレン溶液(3mL)をアルゴン雰囲気下40℃で30分間撹拌した。そこへ基質1d(54.9mg,0.300mmol)の乾燥塩化メチレン溶液(3mL)を加えた。その反応混合物を40℃にて24時間撹拌した後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応をクエンチした。生成物を塩化メチレンで4回抽出し、有機層を合わせて飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル(3:1))によって(+)-2d(23.3mg,43%,95%ee)を淡黄色の結晶として単離した。生成物の光学純度はキラルカラムを用いたガスクロマトグラフィーによって決定した。反応式は下記式(XI)の通りである。塩基とキラリティーを有するトリアゾリウム塩の存在下、環状ジケトンを環化反応させ、光学活性な多環式化合物が得られた。
【0107】
【化33】

実施例11で得られた化合物(+)-2dのデータを以下に示す。
[α]31D +12.1(c1.00,CHCl3)
GC:CP-cyclodextrin-β-2,3,6-M-19 column,Inj. 250℃,Col. 150℃,Det. 220℃,(-)-2d 28.6min,(+)-2d 30.3min
【0108】
実施例12
基質1e(58.9mg,0.300mmol)とトリアゾリウム塩D(28.0mg,0.060mmol,20mol%)の乾燥テトラヒドロフラン溶液(1mL) へ、アルゴン雰囲気下、トリエチルアミン(8.4μL,0.060mmol,20mol%)を加えた。その反応混合物を23℃にて24時間撹拌した後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応をクエンチした。生成物を塩化メチレンで4回抽出し、有機層を合わせて飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル(3:1))によって(‐)-2e(48.9mg,83%,69%ee)を白色の結晶として単離した。生成物の光学純度はキラルカラムを用いたガスクロマトグラフィーによって決定した。反応式は下記式(XII)の通りである。塩基とキラリティーを有するトリアゾリウム塩の存在下、環状ジケトンを環化反応させ、光学活性な多環式化合物が得られた。
【0109】
【化34】

実施例12で得られた化合物(-)-2eのデータを以下に示す。
[α]30D -71.9(c1.00,CHCl3)
GC:CP-cyclodextrin-β-2,3,6-M-19 column,Inj. 250℃,Col. 150℃,Det. 220℃,(+)-2e 30.5min,(-)-2e 32.1min
【0110】
実施例13
トリアゾリウム塩C(33.1mg,0.090mmol,30mol%)と炭酸セシウム(29.3mg,0.090mmol,30mol%)の乾燥塩化メチレン溶液(3mL)をアルゴン雰囲気下40℃で30分間撹拌した。そこへ基質1f(63.1mg,0.300mmol)の乾燥塩化メチレン溶液(3mL)を加えた。その反応混合物を40℃にて24時間撹拌した後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応をクエンチした。生成物を塩化メチレンで4回抽出し、有機層を合わせて飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル(5:1))によって(-)-2f(29.6mg,47%,86%ee)を淡黄色のオイルとして単離した。生成物の光学純度はキラルカラムを用いたガスクロマトグラフィーによって決定した。反応式は下記式(XIII)の通りである。塩基とキラリティーを有するトリアゾリウム塩の存在下、環状ジケトンを環化反応させ、光学活性な多環式化合物が得られた。
【0111】
【化35】

実施例13で得られた化合物(-)-2fのデータを以下に示す。
[α]29D -46.7(c1.00,CHCl3)
GC:CP-cyclodextrin-β-2,3,6-M-19 column,Inj. 250℃,Col. 150℃,Det. 220℃,(+)-2f 45.5min,(-)-2f 47.7min

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)
【化1】

[式中、X及びYは、それぞれ独立に炭素数1〜20の2価の有機基を示す。Rは、炭素数1〜20の1価の有機基、ハロゲン原子、保護されていてもよい水酸基、保護されていてもよいアミノ基、ニトロ基又は水素原子である。]
で表される化合物を環化させる、下記式(2)
【化2】

[式中、X、Y及びRは、前記式(1)と同じ。Rと橋頭位の炭素間及びOHと橋頭位の炭素間の太線で表した結合は、RとOHの相対配置がシス(cis)であることを示す。]
で表される多環式化合物の製造方法。
【請求項2】
X及びYが、それぞれ独立に下記式(3)
【化3】

[式中、R(1)〜R(n)、R’(1)〜R’(n)はそれぞれ独立に水素原子、1価の有機基、ハロゲン原子、保護されていてもよい水酸基、保護されていてもよいアミノ基又はニトロ基を示す。nは1〜20の整数である。R(1)〜R(n)、R’(1)〜R’(n)は相互に結合して環を形成してもよい。]
で示される炭素数1〜20の2価の有機基である請求項1記載の多環式化合物の製造方法。
【請求項3】
nが、2〜4である請求項2記載の多環式化合物の製造方法。
【請求項4】
Rが、炭素数1〜20の置換基を有してもよい1価の炭化水素基である請求項1〜3記載の多環式化合物の製造方法。
【請求項5】
含窒素複素環式カルベンからなる触媒の存在下、式(1)で示される化合物を環化させる請求項1〜4記載の多環式化合物の製造方法。
【請求項6】
トリアゾリウム塩又はチアゾリウム塩に塩基を作用させて前記含窒素複素環式カルベンを生成させる請求項5記載の多環式化合物の製造方法。
【請求項7】
キラリティーを有する触媒の存在下、式(1)で示される化合物を環化させ、光学活性な多環式化合物を得る請求項1〜6のいずれか記載の多環式化合物の製造方法。
【請求項8】
下記式(2)
【化4】

[式中、Xは、炭素数3〜20の2価の有機基を示す。Yは、炭素数1〜20の2価の有機基を示す。Rは、炭素数1〜20の1価の有機基、ハロゲン原子、保護されていてもよい水酸基、保護されていてもよいアミノ基、ニトロ基又は水素原子である。Rと橋頭位の炭素間及びOHと橋頭位の炭素間の太線で表した結合は、RとOHの相対配置がシス(cis)であることを示す。]
で表される多環式化合物。
【請求項9】
下記式(2)
【化5】

[式中、X及びYは、それぞれ独立に置換基を有してもよいエチレン基を示す。Rは、炭素数1〜20の1価の有機基、ハロゲン原子、保護されていてもよい水酸基、保護されていてもよいアミノ基、ニトロ基又は水素原子である。Rと橋頭位の炭素間及びOHと橋頭位の炭素間の太線で表した結合は、RとOHの相対配置がシス(cis)であることを示す。]
で表される多環式化合物。
【請求項10】
下記式(2A)
【化6】

[式中、X及びYは、それぞれ独立に炭素数1〜20の2価の有機基を示す。Rは、炭素数1〜20の1価の有機基、ハロゲン原子、保護されていてもよい水酸基、保護されていてもよいアミノ基、ニトロ基又は水素原子である。]
又は下記式(2B)
【化7】

[式中、X及びYは、それぞれ独立に炭素数1〜20の2価の有機基を示す。Rは、炭素数1〜20の1価の有機基、ハロゲン原子、保護されていてもよい水酸基、保護されていてもよいアミノ基、ニトロ基又は水素原子である。]
で表される光学活性な多環式化合物。

【公開番号】特開2011−42598(P2011−42598A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−190546(P2009−190546)
【出願日】平成21年8月19日(2009.8.19)
【出願人】(504147243)国立大学法人 岡山大学 (444)
【Fターム(参考)】