説明

多用途型サトウキビ栽培管理装置並びに栽培管理方法

【課題】1台のトラクターに着脱するだけで、圃場の耕転砕土、種キビの切断・植付け作業、生育各段階ごとの培土といったサトウキビ栽培における異なる各作業内容が可能な多用途型のサトウキビ栽培管理方法と管理装置を実現する。
【解決手段】トラクターに装着状態の耕転用のロータリユニットの後部に着脱可能な植付けユニットと、左右一対の培土鋤とを用意しておき、圃場の耕転時には、植付けユニットや培土鋤は取り外し、植付け時には、植付けユニットを装着すると共に、溝掘り鋤で形成した植付け溝に、搭載されている種キビ切断機でカットされた種キビを連続的に落下させ、覆土された後を鎮圧ローラで加圧し、培土時には、ロータリユニットに左右一対の培土鋤を装着すると共に、左右一対のロータリ爪車を中央で左右に分離し所定の間隔を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サトウキビ栽培における様々な作業を一式の多用途型サトウキビ栽培管理装置で省力化可能な方法と装置に関する。
【背景技術】
【0002】
サトウキビ栽培では、圃場の耕耘、砕土、種キビの切断・植付け、生育途中の各段階ごとの培土、収穫といった、各種内容の作業が必要であるが、これらは何れも重労働である。
サトウキビ農家の高齢化や後継者不足もあって、農作業の機械化が一層進んでいるが、前記作業内容ごとの専用機が殆どである。そのため、農機具の購入費の負担が嵩むだけでなく、保管スペースの確保などの保管上の問題や、稼働率の低下、維持メンテナンス等の負担も大きい。
【0003】
このような問題に対応すべく、例えば特開2000−262119で提案されている全茎式多条植付機のように、1圃場当たりの植え畦数を増やし、単位面積当たりの作物収穫量をアップさせるために、苗投入口から投入されたさとうきびの原料苗を各々切断し、種苗として排出する苗切断部と、耕作用トラクタが走行する圃場に対し、該走行方向に沿って2条の植え溝を同時に形成可能なブレードを有する畦立部を具備すると共に、耕作用トラクタで本2条植プランタをけん引させながら走行させ、畦立部のブレードにより、該走行方向に沿って2条の植え溝を同時に形成していきながら、苗投入口から投入された原料苗を苗切断部でそれぞれ切断し、畦立部を介してそれぞれの植え溝に排出して行く構造を採っている。
【0004】
また、実用新案登録第3040360号で提案されているように、さとうきび植付時における苗切断と植付けの作業能率向上を省力化できるさとうきびトラクタ用全茎苗切断給苗式植付機を提供すべく、トラクタに直装される植付機において、ロータベータのPTOから無段変速装置を介して全茎苗切断給苗装置内の引き込みロール部により、人力投入されたさとうきび全茎苗を1本ずつ引き込み、さらに全茎苗が、切断刃の付いた2軸式の切断部により切断され、さとうきび切断苗を連続的に植付部へ供給できる全茎苗切断給苗装置と耕耘用のロータベータ、植溝作溝用のリッジャ、施肥機、施薬装置、苗覆土板から構成され、一工程で耕耘、作溝、苗切断、植付け、施肥、施薬、覆土の7作業が出来る構造を採っている。
【特許文献1】特開2000−262119
【特許文献2】実用新案登録第3040360号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1のような構造は、トラクターの車軸に歯車を設けて、原料苗の切断機構を駆動するため、植付け専用機と成らざるを得ない。したがって、特に、サトウキビ生育途中の培土作業は全く配慮されておらず、また圃場の耕転砕土の際は、トラクター車軸の歯車からチェーンを分離するなどの作業が面倒である。
これに対し、特許文献2の場合は、耕耘、作溝、苗切断、植付け、施肥、施薬、覆土の7作業が出来るため、多用途型のように思われるかもしれないが、あくまでも、さとうきび植付時における苗切断と植付けの作業能率向上のために、植付け作業時に限って一工程で各種の作業を可能にしたのであって、特に生育各段階ごとの培土作業は全く不可能である。
台風銀座と言われている沖縄では、台風時の倒伏を抑制できるようなしっかりした根を確保するには、1m前後まで成長した後に最終培土することが理想的である。ところが、従来の中耕ロータリ式培土法では、車高が低いために、充分な高培土が不可能であった。 本発明の技術的課題は、このような問題に着目し、1台のトラクターに着脱するだけで、圃場の耕転砕土、種キビの切断・植付け作業、生育各段階ごとの培土といった異なる各作業内容が可能な多用途型のサトウキビ栽培管理方法と管理装置を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の技術的課題は次のような手段によって解決される。請求項1は、トラクターに装着状態の耕転用のロータリユニットの後部に着脱可能な植付けユニットと、左右一対の培土板を用意しておき、
圃場の耕転時には、植付けユニットや培土鋤は取り外し、
植付け時には、植付けユニットを装着すると共に、作溝器で形成した植付け溝に、搭載されている種キビ切断機でカットされた種キビを連続的に落下させ、覆土された後を鎮圧ローラで加圧し、
培土時には、ロータリユニットに左右一対の培土鋤を装着すると共に、左右一対のロータリ爪車を中央で左右に分離し所定の間隔を設けることを特徴とするサトウキビの栽培管理機械化方法である。
【0007】
このように、トラクターに装着状態の耕転用ロータリユニットの後部に着脱可能な植付けユニットと、左右一対の培土鋤とを有しているため、圃場の耕転時には、植付けユニットや培土鋤は取り外せば、耕転作業が可能となり、また植付け時には、植付けユニットを装着すれば、溝掘り鋤で形成した植付け溝に、搭載されている種キビ切断機でカットされた種キビが連続的に落下する。その上に覆土された土は、鎮圧ローラで加圧される。
一方、培土時には、植付けユニットは取り外して、ロータリユニットの後部に左右一対の培土鋤を装着すると共に、左右一対のロータリ爪ホルダーを中央で左右に分離し、かつ所定の間隔を設けることによって、耕転された土壌がサトウキビの根元に培土される。
以上のように、少なくともトラクターと、中央で左右に分離できる左右一対のロータリ爪車を有し、後部に着脱手段を有するロータリユニットと、植付けユニットと、培土鋤を含むセットをそろえておけば、圃場の耕転砕土、種キビの切断・植付け作業、生育段階ごとの培土といった異なる各作業内容すべてを一式のセットで栽培管理を機械化できる。
【0008】
請求項2は、少なくとも溝掘り鋤と種キビ切断機と覆土手段と鎮圧ローラを有する前記の植付けユニットは、仮スタンド手段によって前傾姿勢で自立している状態において、ロータリユニットの後部上側のU字状フックを植付けユニットの水平軸に引っ掛けて持ち上げて前傾姿勢を正常状態とすることで、それぞれの下側に形成されている連結手段で互いに連結することを特徴とする請求項1に記載のサトウキビの栽培管理機械化方法である。
このように、少なくとも溝掘り鋤と種キビ切断機と覆土手段と鎮圧ローラを有する前記の植付けユニットは、仮スタンド手段によって前傾姿勢に自立させるので、ロータリユニット後部上側のU字状フックを植付けユニットの水平軸に引っ掛けやすい。次いで、ロータリユニットを上昇させると、植付けユニットの前部を持ち上げて前傾姿勢を正常な連結姿勢に矯正できる。その結果、ロータリユニット後部と植付けユニット前部の連結穴同士が自動的に位置合わせされるので、連結ピンを挿入するだけで、容易に連結できる。
【0009】
請求項3は、請求項1に記載のサトウキビの栽培管理機械化方法を実施するサトウキビ栽培管理機械化装置であって、トラクターに装着状態にできる耕転用のロータリユニットの後部に着脱手段を有しており、
該ロータリユニット後部の着脱手段と着脱できる植付けユニットと、左右一対の培土鋤とを有している。
そのため、トラクターにロータリユニットを装着した状態では圃場の耕転ができる。ロータリユニット後部の着脱手段を用いて、植付けユニットを連結し装着すると、サトウキビの植付けが可能となり、植付けユニットを取り外して、左右一対の培土鋤を装着すると培土作業が可能となる。
【0010】
請求項4は、前記ロータリユニットは、そのロータリ爪車を中央で左右に分離でき、かつ所定の間隔を設定できる構造である。
そのため、ロータリ爪車を中央で左右に分離して所定の間隔を設定すれば、生えているサトウキビの左右両側の土壌を耕転してから、サトウキビの根元に培土できる。
【0011】
請求項5は、培土鋤の鉛直軸を予め挿入した状態の取付けフレームを、ロータリユニット後部の着脱手段に後方から着脱固定可能とした構造である。そのため、培土鋤を取付けた状態の取付けフレームを、ロータリユニット後部の着脱手段に後方から取付け固定できるので、鉛直軸を有する培土鋤を、ロータリユニットの上下操作無しで、容易に取付け取外しできる。
【0012】
請求項6は、前記の植付けユニットは、溝掘り用の鋤と覆土手段と鎮圧ローラと苗キビ搭載手段を有し、かつ種キビ切断機を搭載している構造である。そのため、苗キビ搭載手段に積載されている全茎の苗キビを種キビ切断機でカットして、溝掘り鋤で形成した植付け溝に連続的に落下させ、その上に覆土手段で覆土した後、鎮圧ローラで加圧できるので、一連の植付け作業が機械化される。
【0013】
請求項7は、前記の植付けユニットは、
連結時に前傾姿勢で自立させる仮スタンド手段を有していること、
ロータリユニットの後部上側のU字状フックを引っ掛ける水平軸を有し、かつ引っ掛け上昇状態で、ロータリユニット後部下側の連結横穴と対応する位置に、連結用水平穴を有していて、横からピンや軸、ボルトを挿入可能と構造となっている。
そのため、植付けユニットを前傾姿勢に自立させた状態で、ロータリユニットを後退させて、上側のU字状フックを植付けユニットの水平軸に引っ掛けて持ち上げると、ロータリユニット後部下側の連結横穴と植付けユニットの対応する位置の連結用水平穴とが相互に自動的に位置合わせされるので、横からピンや軸、ボルトを挿入するだけで、容易に相互に連結できる。
【発明の効果】
【0014】
請求項1のように、少なくともトラクターと、中央で左右に分離できる左右一対のロータリ爪車を有し、後部に着脱手段を有するロータリユニットと、植付けユニットと、培土鋤を含むセットをそろえておけば、圃場の耕転砕土、種キビの切断・植付け作業、生育段階ごとの培土といった異なる各作業内容すべてを一式のセットで栽培管理を機械化できる。
【0015】
請求項2のように、溝掘り鋤と種キビ切断機と覆土手段と鎮圧ローラを有する植付けユニットは、仮スタンド手段によって前傾姿勢に自立させるので、ロータリユニット後部上側のU字状フックを植付けユニットの水平軸に引っ掛けやすい。次いで、ロータリユニットを上昇させると、植付けユニットの前部を持ち上げて前傾姿勢を正常な連結姿勢に矯正でき、ロータリユニット後部と植付けユニット前部の連結穴同士が自動的に位置合わせされるので、連結ピンを横から挿入するだけで、容易に連結できる。
【0016】
請求項3のように、耕転用のロータリユニットの後部に着脱手段を有しており、該ロータリユニット後部の着脱手段と着脱できる植付けユニットと、左右一対の培土鋤とを有しているので、トラクターにロータリユニットを装着して圃場の耕転ができる。ロータリユニット後部の着脱手段を用いて、植付けユニットを装着すると、サトウキビの植付けが可能となり、植付けユニットを取り外して、左右一対の培土鋤を装着すると培土作業が可能となる。
【0017】
請求項4のロータリユニットは、そのロータリ爪車を中央で左右に分離でき、かつ所定の間隔を設定できるため、ロータリ爪車を中央で左右に分離して所定の間隔を設定すれば、生えているサトウキビの左右両側の土壌を耕転してから、サトウキビの根元に培土できる。
【0018】
請求項5のように、培土鋤を取付けた状態の取付けフレームを、ロータリユニット後部の着脱手段に後方から取付け固定できるので、鉛直軸を有する培土鋤を、ロータリユニットの上下操作無しで、容易に取付け取外しできる。
【0019】
請求項6によると、苗キビ搭載手段に積載されている全茎の苗キビを種キビ切断機でカットして、溝掘り鋤で形成された植付け溝に連続的に落下させ、その上に覆土手段で覆土した後、鎮圧ローラで加圧できるので、一連の植付け作業を機械化できる。
【0020】
請求項7によると、植付けユニットを前傾姿勢に自立させた状態で、ロータリユニットを後退させて、上側のU字状フックを植付けユニットの水平軸に引っ掛けて持ち上げると、ロータリユニット後部下側の連結横穴と植付けユニットの対応する位置の水平穴とが相互に自動的に位置合わせされるので、連結ピンを横から挿入するだけで、容易に相互に連結できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
次に本発明による多用途型サトウキビ栽培管理装置と栽培方法が実際上どのように具体化されるか実施形態を説明する。図1は、本発明による多用途型サトウキビ栽培管理装置の基本構成を示す斜視図で、トラクターTの後部に耕転用のロータリユニットRを連結してある。図2は、左右のロータリ爪車r1・r2を分離した状態の背面図であり、ロータリ回転力は、中央のPTO入力軸iから得る。トラクターのPTO出力軸で駆動されるPTO入力軸iで駆動される歯車が、ギヤケースG中に内蔵されている。このギヤケースGの左右の水平のカバー筒部1・1を介して一体化されている縦方向の支持フレームf1・f2には、上部に着脱用のU字状フックuを有し、下部に連結孔hを有している。
【0022】
また、カバー筒部1・1中の左右方向のガイド筒1g・1gに、左右一対のロータリ爪車r1・r2を保持しているスライド筒1s・1sが左右方向にスライド可能に支持されている。
図示例では、左側のスライド筒1sは、中心位置まで寄った状態であり、右側のスライド筒1sは、中心位置から右側に寄って、右側のロータリ爪車r2が培土分だけ、中心位置から間隔を設定した状態である。
カバー筒部1・1とガイド筒1g・1gとスライド筒1s・1sと補助筒1e・1e中には、ギヤケースG中の歯車で回転駆動される回転軸が水平に内蔵され、チェーンケーシング2、2中のチェーンchを介して左右のロータリ爪車r1・r2を回転させる。csは、チェーンスプロケットである。補助筒1e・1e中から突出した回転軸先端には、肥料ホッパー4・4中の攪拌器をベルト駆動するプーリを取付けてある。
スライド筒1s・1sを左右にスライドさせるための駆動力は、スクリュー駆動や歯車駆動などが可能であるが、図示の送り手段1aは、チェーンを固定してあり、スライド筒1s・1sと連動移動するスプロケットを回転することで、チェーン1aに沿って往復駆動される。この駆動は、手動でも機械力でもよい。
【0023】
圃場を耕転する際は、図1のように、左右のロータリ爪車r1・r2を接近させ、両者の全幅をフル利用して、広い幅を耕転する。培土の際は、図3や図2右半分のように、左右のロータリ爪車r1・r2が互いに分離する方向に、ガイド筒1g・1g上で、スライド筒1s・1sを移動し、各圃場の畝間隔などに応じて分離間隔を手軽に設定できる。その結果、培土用の土壌を採取する畝間領域が左右のロータリ爪車r1・r2で耕転される。
また、図3、図4のように、チェーンケーシング2、2から左右に延長した部分に、例えばコ字状の鋤取付けブラケット5・5を固設して、縦ピン孔H・Hに培土鋤3・3を取付け支持しておく。このとき、図3のように、培土鋤3の鉛直軸3aを予め挿入固定した状態の取付けフレーム3fを、ロータリユニット後部のコ字状ブラケット5・5中に後方から容易に押し込み、鉛直ボルトやピンP・Pを左右の縦ピン孔H・H中に挿入し、取付け固定する。
肥料収納ホッパー4・4中の肥料は、培土時の圃場にガイドホースGHによって→(矢印)位置に送られ施用される。
【0024】
図1〜図3のように、軸受けハウジング兼チェーンケーシング2、2と一体の従来のスライド筒2s・2sの1段上方に、新たなガイド筒1g・1g、スライド筒1s・1s、補助筒1e・1eを継ぎ足すことで、ギヤケースGを1段高くしてある。その結果、従来のギヤケースGまでの高さ32cmを44cmに高くできたので、1m程度の高いサトウキビでも折れることなしに、高培土が可能となり、耐風強度が高くなる。なお、量産する場合は、従来のスライド筒2s・2sを省き、ロータリ爪車r1・r2の軸受けハウジング兼チェーンケーシング2、2を高くするだけで足りる。
【0025】
図3、図4のように、ロータリユニットRの左右の支持フレームf1・f2の上下背面に、着脱手段として、U字状のフックu・uと横穴h・hを設けてあり、連結し易いように、後方に突出させてある。
図5は、前記のU字状フックu・uと横穴h・hに植付けユニットが連結された状態の右側面図である。
この植付けユニットは、かご状の苗キビ積載ケージCの下部に、溝掘り用の鋤6と左右一対の覆土手段7と鎮圧ローラ8とを装備してある。さらに、ケージC中の左右中間に一対の制御ローラ9・9を有し、その下方に一対の回転カッター10・10から成る種キビ切断機を搭載してある。いま、トラクター走行中に椅子21に座っている作業者が、サトウキビ全長を制御ローラ9・9間に1〜2本ずつ挿入すると、下側の回転カッター10・10間を通過する際に例えば25cm間隔にカットされ、鋤6で形成された植付け溝中に連続的に落下する。
【0026】
制御ローラ9・9と回転カッター10・10も油圧モータで駆動されるが、制御ローラ9・9の回転速度は、回転カッター10・10の回転速度を上回らない範囲で、速くも遅くも制御でき、かつ正回転も逆回転もできる。したがって、制御ローラ9・9の通常回転では短めにカットされ、回転速度を遅くしてサトウキビ送りに制動を加えると長めにカットされるので、20〜40cm程度の範囲で自由に長さ調節できる。なお、制御ローラ9・9外周に配列された10本のスポンジローラの外径を変えると、カット長さの調節範囲をさらに拡大できる。一対の制御ローラ9・9を複数段重ねにすると、動作の信頼性はより向上する。
制御ローラ9・9と回転カッター10・10は油圧モータで回転駆動されるので、図2のロータリユニットR上の油圧ポンプopと油圧ホースで連結するだけで足り、トラクター側と植付けユニットとのホース連結や分離は不要である。
【0027】
鋤6で掘った溝中に落下した種キビの上に、肥料ホッパー4・4から給肥ホースHで給肥され、その上に後側の左右一対の覆土板7・7で覆土すると、後続の鎮圧ローラ8で覆土土壌が加圧される。鎮圧ローラ8の後側に延びているガイドホースghの下端から、液体の除草剤が動噴散布されて、一連の植付け作業が完了となる。動力噴霧装置iaは、図2のロータリユニットR上に装備され、PTO入力軸iで駆動される。
【0028】
図6は、図5のケージCの前方斜視図で、ほぼ四角枠状の上フレーム17と下フレーム18との間には、左右2本の前支柱19、20を渡してあり、下フレーム18内の左右に苗キビ積載部11・11を取付けてある。図示のように、四角状ケージCの四隅の仮スタンド足12、13を立てた状態で、前足12より後足13を高くして、前傾姿勢で自立する構造にしてある。そして、ケージC前面には、図1、図3の左右の支持フレームf1・f2の上下背面のU字状フックu・uと横穴h・hと対応する位置において、U字状フックu・uを引っ掛けるための水平軸14、14と下部水平穴15、15を、前記左右の前支柱19、20の上下両端に設けてある。この上部の水平軸14・14と下部の水平穴15、15は、ロータリユニット側と連結し易いように、図7の如く前方に突出させてある。
【0029】
連結に際しては、図7のような前傾姿勢のケージCの前面に向けて、ロータリユニットを後退させ、図8のように、その左右のU字状フックu・uをケージCの水平軸14・14の下部に位置合わせした状態で、ロータリユニットを上昇さて、U字状フックu・uで水平軸14・14を引っ掛け、さらに持ち上げる。その結果、前傾姿勢のケージCが鉛直状態となり、ロータリユニット下部の横穴h・hとケージC側の下部水平穴15・15が自動的に位置合わせされるので、図9のように、横穴(h・h)と下部水平穴(15・15)にピン16を挿入することで連結完了となる。
その後、左右の前足12と後足13をそれぞれ、取り外し、折り畳み、短縮又は上方にスライドして、仮スタンド足12、13を退避させると、図5のように、植付け機が土壌上で作動可能な状態となる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
以上のように、本発明によると、トラクターに装着状態の耕転ロータリユニットの後部に着脱可能な植付けユニットと、左右一対の培土鋤とを有し、圃場の耕転時には、植付けユニットや培土鋤は取り外し、植付け時には、植付けユニットを装着して、種キビ切断と溝掘りと植付けと覆土と鎮圧の一連の作業を機械化できる。また、培土時には、左右一対の培土鋤をロータリユニットに後方から装着すると共に、ロータリの左右間隔を設定することで、成長各段階ごとの培土が容易になり、サトウキビ成長後の高培土も可能で、耐風強度をアップできる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明による多用途型サトウキビ栽培管理装置の基本構成を示す斜視図である。
【図2】図1のロータリユニットの右側のロータリ爪車を分離した状態の背面図である。
【図3】ロータリユニットの後部に培土鋤を取付けた状態の斜視図である。
【図4】図3の培土鋤取付け部の細部を示す斜視図である。
【図5】ロータリユニット後部に植付けユニットが連結された状態の右側面図である。
【図6】図5のケージの仮スタンド足を立てた状態の前方斜視図である。
【図7】図6のケージ前面の水平軸と下部水平穴の拡大斜視図である。
【図8】ケージ前面の上部水平軸にロータリユニット後部のU字状フックを引っ掛ける直前の斜視図である。
【図9】ロータリユニット後部と植付け機の連結完了状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0032】
T トラクター
R ロータリユニット
r1・r2 ロータリ爪車
f1・f2 支持フレーム
i PTO入力軸
G ギヤケース
op 油圧ポンプ
1 カバー筒部
1g ガイド筒
1s スライド筒
1e 補助筒
2 チェーンケーシング
ch チェーン
cs チェーンスプロケット
3・3 培土鋤
4・4 肥料収容ホッパー
4a 農薬収容ホッパー
5 培土鋤取付けブラケット部
u・u U字状フック
H・H 縦ピン孔
h・h 連結横孔
GH 肥料用のガイドホース
gh 農薬又は除草剤用のガイドホース
C ケージ
6 溝掘り鋤
7 覆土板
8 鎮圧ローラ
9・9 制御ローラ
10・10 種キビ切断機の回転カッター
10c カッター刃
11・11 苗キビ積載部
12・12 前足
13・13 後足
14・14 上部水平軸
15・15 下部水平穴
16 横ピン
19・20 前支柱
21 椅子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラクターに装着状態の耕転用のロータリユニットの後部に着脱可能な植付けユニットと、左右一対の培土鋤とを用意しておき、
圃場の耕転時には、植付けユニットや培土鋤は取り外し、
植付け時には、植付けユニットを装着すると共に、溝掘り鋤で形成した植付け溝に、搭載されている種キビ切断機でカットされた種キビを連続的に落下させ、覆土された後を鎮圧ローラで加圧し、
培土時には、ロータリユニットに左右一対の培土鋤を装着すると共に、左右一対のロータリ爪車を中央で左右に分離し所定の間隔を設けることを特徴とするサトウキビの栽培管理機械化方法。
【請求項2】
少なくとも溝掘り鋤と種キビ切断機と覆土手段と鎮圧ローラを有する前記の植付けユニットは、仮スタンド手段によって前傾姿勢で自立している状態において、ロータリユニットの後部上側のU字状フックを植付けユニットの水平軸に引っ掛けて持ち上げて前傾姿勢を正常状態とすることで、それぞれの下側に形成されている連結手段で互いに連結することを特徴とする請求項1に記載のサトウキビの栽培管理機械化方法。
【請求項3】
トラクターに装着状態にできる耕転用のロータリユニットの後部に着脱手段を有しており、
該ロータリユニット後部の着脱手段と着脱できる植付けユニットと、左右一対の培土鋤とを有していることを特徴とするサトウキビの栽培管理装置。
【請求項4】
前記ロータリユニットは、そのロータリ爪車を中央で左右に分離でき、かつ所定の間隔を設定できる構造であることを特徴とする請求項3に記載のロータリユニット。
【請求項5】
培土鋤の鉛直軸を予め挿入した状態の取付けフレームを、ロータリユニット後部の着脱手段に後方から着脱固定可能となっていることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載のロータリユニット。
【請求項6】
前記の植付けユニットは、溝掘り用の鋤と覆土手段と鎮圧ローラと苗キビ搭載手段を有し、かつ種キビ切断機を搭載していることを特徴とする請求項3に記載の植付けユニット。
【請求項7】
前記の植付けユニットは、
連結時に前傾姿勢で自立させる仮スタンド手段を有していること、
ロータリユニットの後部上側のU字状フックを引っ掛ける水平軸を有し、かつ引っ掛け上昇状態で、ロータリユニット後部下側の連結横穴と対応する位置に、連結用水平穴を有していて、横からピンや軸、ボルトを挿入可能となっていることを特徴とする請求項3又は請求項6に記載の植付けユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−183258(P2009−183258A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−29782(P2008−29782)
【出願日】平成20年2月8日(2008.2.8)
【出願人】(595102178)沖縄県 (36)
【出願人】(598118190)株式会社くみき (1)
【Fターム(参考)】