説明

多用途摺動プラグ

本発明は、ハウジング(13)とハウジング(13)内のパッシブ・ポジションおよびハウジングの外のアクティブ・ポジションに摺動され得る異なる規格の少なくとも2つのプラグ・コンタクト(40、50)とを含む多用途摺動プラグ(11)に関する。上記のプラグ・コンタクト(40、50)はそれぞれが、作動ヘッド(15)を備えるスライド(47、57)および導電性ピン(41、43、45;51、53、55)を有する。個々のプラグ・コンタクト(40、50)は1つのスライダ上に3つの導電性ピン(41、43、45;51、53、55)を有する。上記の少なくとも2つのスライド(47、57)はC形であり、C形の端部が他のスライダ(47、57)のC形の端部の間に置かれるように対向して配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多用途プラグのハウジング内へ入るようにおよび多用途プラグのハウジングから出るように移動され得る摺動接点を備える多用途プラグに関する。これらのプラグ・コンタクトは作動ヘッドを備えるプラスチック製のスライダを有し、個別の特定の電源プラグ規格のプラグのピンがこのスライダ上に配置される。
【背景技術】
【0002】
このタイプの多用途プラグはWO02/063723A2により知られている。この多用途プラグは、各々が2つのピンを備える異なる規格の4つのプラグ・コンタクトを有する。英国規格のプラグ・コンタクトはさらにソケット・クロージャを開けるため追加的なオープナーを有する。このオープナーは、プラスチック製のスライダとして形成されるキャリア部分を備える単一部品から作られる。このキャリア部分はC形に形成されている。作動ヘッドおよびオープナーがC形の一方の端部に配置され、UKプラグ・コンタクトのフェーズ・ピン(phase pin)がもう一方の端部に配置される。C形キャリア部分の2つの端部の間にはUKプラグ・コンタクトのニュートラル・ピン(neutral pin)が置かれる。AUプラグ・コンタクトがこのC形の内側に配置される。C形UKキャリア部分の一方の側には、オープナーに隣接してUSプラグ・コンタクトがあり、他方側にはUKピンに隣接してEUプラグ・コンタクトが配置される。
【0003】
この多用途プラグの欠点は、このプラグが3ピン・プラグではないことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO02/063723A2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の目的は、WO02/063723に記載されているタイプの、3つのピンを有する多用途プラグを創出することである。さらなる目的は、最も重要な複数の工業国のプラグ規格を含み、可能な限りコンパクトに構成される多用途プラグを提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、本発明に従い、独立請求項の特徴により達成される。
【0007】
したがって、この多用途摺動プラグは、既知の方式で、ハウジングおよび異なる規格の少なくとも2つのプラグ・コンタクトを有する。これらのプラグ・コンタクトはハウジング内のパッシブ・ポジション(passive position)およびハウジングの外のアクティブ・ポジション(active position)へと移動され得る。各プラグ・コンタクトは、作動ヘッドを備えるスライダおよびスライダ上にある導電性ピンを有する。
【0008】
本発明によると、個々のプラグ・コンタクトは、1つの(共通)スライダ上に配置される3つの導電性ピンを有する。スライダは上から見た概ねの形状がC形、G形、U形またはV形であり、これらの形状はスライダの2つ以上の脚部によって形成される。いずれの場合も、脚部の間に空間がある。これらのスライダは、1つの脚部が他のスライダの空間内に置かれることによって各々が互いに係合されるように構成される。これは、これらのスライダが、パッシブ・ポジションにあるときに、C形、G形、V形またはU形の一方の端部が他のスライダのC形、G形、V形またはU形の端部間に置かれるように、互いに配置されることを意味する。本発明によるスライダのこのような配置には、多用途プラグが非常にコンパクトになり、複数の摺動接点が最小の空間内に配置され得るという利点がある。さらに、プラグを構成するのに必要となる構成要素の数を最小に維持することが可能となる。
【0009】
本発明の有利な実施形態は従属請求項によって定義される。好適には、導電性ピンは、それぞれ、フェーズ・ピン、ニュートラル・ピンおよびアース・ピンで形成され、スライダは、それぞれ、アース・ピンが互いに直接に隣接されるように配置される。このような形の配置によりプラグの構成が大幅に単純化される。
【0010】
上述したように、上から見たスライダの形状は複数存在するが、共通の特徴として、ピンの間に、具体的には一方の側にあるフェーズ・ピンおよびニュートラル・ピンと他方側にあるアース・ピンとの間に、隣接するスライダのピン保持用脚部が係合される空間が存在する。このような形に作られるスライダは概念的に見ると概してC形である。以下で特にC形のスライダに言及する場合、それは本発明の目的を限定するものではなく、本発明による機能を可能にするすべての形態を含んでいる。
【0011】
1つの作動ヘッドが、第1の好適にはC形のスライダの一方の端部のところに配置される。もう一方の作動ヘッドが、第2の好適にはC形のスライダの端部間に配置される。第2のC形スライダは作動ヘッドがあることで概してY形となる。第1のC形スライダは、場合によっては、作動ヘッドがあることでクエスチョン・マークまたは“S”の形態をとってよい。本発明の文脈におけるC形という用語は、単に、第1のピンと第3のピンとの間のスライダの形状がアーク形状、カーブ形状またはループ形状であることおよびプラグ・コンタクトの第2のピンがこのアーク上に配置されることを意味することを理解されたい。スライダがこのようなデザインであることにより、上記の定義に従う、第1のプラグ・コンタクトのスライダのピン保持位置は、2つのスライダがパッシブ・ポジションにある場合は隣接するスライダ内のループすなわち空間の内側に配置される。
【0012】
スライダはC形に対して垂直に、すなわちピンの軸方向に変位可能であることから、この形の摺動領域が必要となる。これは、U形の輪郭のそれぞれが一方の脚部を介して噛み合うことにより摺動領域が互いに嵌着されることを意味する。摺動部分すなわち摺動領域がこのように構成されることにより、プラグ・コンタクトの三角形に配置される3つのピンが第2のプラグ・コンタクトのやはり三角形に配置される3つのピンと交差することが可能となる。それにより、多用途プラグを小さい体積で作ることができるようになる。
【0013】
概してC形の3つのスライダが存在する場合、それらのうちの2つが中央のスライダのループ内に係合される。したがって、第1のスライダおよび第3のスライダのそれぞれが、一方の端部が第2のC形スライダの2つの端部の間に置かれるように配置される。言い換えると、2つのU形摺動領域のそれぞれが第3の摺動領域の1つの脚部を囲み、それらはそれぞれが、一方の脚部がこの第3の摺動領域の両脚部の間に置かれるように延在する。したがって、このもう1つの摺動領域とは中央のプラグ・コンタクトの摺動領域のことである。
【0014】
第4の、またはそれ以上のプラグ・コンタクトが存在してもよい。
【0015】
ピンがアクティブ・ポジションの外にあるときに通電した構成要素に連結されることがないように、上記のプラグ・コンタクトの各ピンは、スライダ上のピンに近接して配置されかつスライダから突き出ている短いミニ・ピンに連結される。このミニ・ピンは、スライダがアクティブ・ポジションへと押し込まれるときに、導電性ストリップ内に差し込まれる。ミニ・ピンは、スライダがアクティブ・ポジションから外されるときにストリップから再び引き抜かれる。
【0016】
通電しているストリップが単純な形状を有することができるように、好都合には、異なるスライダのミニ・ピンは互いに位置合わせされている。
【0017】
スライダは誘導される必要がある。簡単なガイドがロッドから構成されており、このロッドはスライダ内の孔を通して係合されている。したがって、2つのスライダの少なくとも1つはガイド・ロッドを受けるためのガイド開口部を有する。このガイド・ロッドはハウジングの一部分であり、ハウジングと一体に作製されることが好ましい。
【0018】
スライダおよびピンをアクティブ・ポジションに固定するためにロック体が設けられる。このロック体はスライダ上の止め具と協働する。好都合には、各スライダが少なくとも1つのこのような止め具を有する。C形スライダには、有利には、スライダの背面上にある各ピンの隣に、アクティブ・ポジションにあるときにロック体と協働する止め具が形成されている。
【0019】
有利には、多用途摺動プラグは、以下の国:USA、スイス、イタリア、オーストラリア、ドイツ(接地プラグ)、フランス(接地プラグ)、イスラエル、インド、南アフリカ、の規格のうちの少なくとも3つの、好適には少なくとも4つの、特に好適には少なくとも5つのプラグ・コンタクトを有する。これらのプラグはさらに別の国の規格のソケットに電気的に接続される。これらのプラグにより、対応する国々において旅行者が所有する電気デバイスを使用することが可能となる。
【0020】
好適な実施形態によると、3つの、好適には4つのアース・ピンは、好適には互いに直接に隣接するように、実質的に直線状に配置される。これにはプラグが非常にコンパクトになるという利点がある。好適には、プラグ・コンタクトがハウジングの一方の側に配置され、3つのソケット開口部を有する特定の国の規格のソケットが反対側に配置され、これらのソケット開口部がプラグ・コンタクトの対応するピンに電気的に接続される。
【0021】
本発明の主題には請求項14による3ピン万能プラグもある。
【0022】
以下では、さらなる有利な特徴が図の説明より明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明による多用途プラグを備えるプラグ・セットを示す側面図である。
【図2】ハウジングの内側にある摺動接点を示す斜視図である。
【図3】摺動接点を示す正面図である。
【図4】個々の摺動接点、および第4の摺動接点の挿入本体を示す正面図である。
【図5】挿入本体を備える摺動接点を示す斜視図である。
【図6】摺動接点を示す側面図である。
【図7】摺動接点を示す背面図である。
【図8】ロック体およびプレートと共に摺動接点を示す斜視図である。
【図9】摺動接点の考えられる異なる6つの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1に示されるセットは、多用途ソケット9を備えるプラグ10と、このプラグ10用のソケット12を背面に備える多用途プラグ11とを含む。多用途ソケットは異なる国の規格の複数のソケットを有することができ、その構成は使用地域によって異なっていてよい。多用途プラグ11はハウジング13を有し、異なる規格のプラグ・ピンを備える4つの摺動接点がその中に収容される。これらの摺動接点は各々が、ハウジング13の外側に配置される作動ヘッド15を有する。これらの作動ヘッド15は、それぞれ、延長部分すなわちバー23(図2)を介して、ハウジング13内に配置されたスライダに連結される。各バー23(図2)はハウジング13内のスロット17を通るように延在する。このスロット17を通してプレート19を見ることができる。これらのプレート19は、摺動接点がハウジング内のパッシブ・ポジションからアクティブ・ポジション(図には示されない)へと移動されるときにバー23によって側方に押しやられる。アクティブ・ポジションでは、対象となる摺動接点のピンがハウジングから突き出るようになっており、それにより、通常のピンの長さでハウジングの外側に存在できるようになる。プレート19が側方に押しやられることにより、第2の摺動接点が同時にアクティブ・ポジションに移動される可能性が防止される。
【0025】
摺動接点をアクティブ・ポジションに固定するために、ロック体が存在する。このロック体は解除ボタン21を有する(図8)。この解除ボタン21は基部位置にあるときはばね要素によって予め引っ張られている。解除ボタン21が作動されると、ロック体のアームが摺動接点の摺動方向に対して垂直に押される。解除ボタン21がこのように解除位置まで移動されると、摺動接点が自由に移動できるように搭載された状態となる。解除ボタン21は、解放されると、ばね要素の作用により図示される基部位置まで戻る。この基部位置では、ロック体がアクティブ・ポジションにある摺動接点をロックする。
【0026】
図2はパッシブ・ポジションにある摺動接点を示している。イタリアおよびスイス規格のソケット用の第1の摺動接点30が存在している。この第1の摺動接点30は、挿入本体39、ならびに、フェーズ用(ピン31)、ニュートラル用(ピン33)および接地用(ピン35)の3つのピンを有する。アース・ピン35は2つ示されており、三角形の位置にあるピンはスイスのソケット用であり、直線位置にあるピンはイタリアのソケット用である。
【0027】
その上には、AU規格のソケット用の第2の摺動接点40が配置されている。このプラグ・コンタクト40は実質的にU形のスライダ47を有する。このスライダ47は、第1の脚部46の遠位端のところにAU規格のアース・ピン45を担持する。フェーズ用(ピン41)およびニュートラル用(ピン43)の斜めのピンがスライダ47の第2の脚部48上に配置されている。フェーズ・ピン41の隣には、第2の脚部48上にあるバー23によって作動ヘッド15が成型されている。
【0028】
UKプラグ・コンタクト50のスライダ57の第1の脚部54が、U形スライダ47の2つの脚部46、48によって形成される空間52内に突き出ている。この脚部54はフェーズ51用およびニュートラル53用の2つのピンを担持する。オープナーおよびUK規格のアース・ピン55が第2の脚部56上に配置される。作動ヘッド15を備えるバー23が、2つの脚部54、56の間の領域の、スライダ57上に形成される。
【0029】
US規格のソケット用のプラグ・コンタクト60のスライダ67も概してC形またはG形である。作動ヘッド15を備えるバー23が一方の脚部62の第1の端部のところに成型されている。スライダ67上にあるフェーズ・ピン61がこのバー23に隣接して配置される。ここでは、スライダ67は、上にアース・ピン55が配置されている、隣接するUKスライダ57の脚部56を第2の脚部64で取り囲んでいる。USフェーズ・ピン61が脚部64上に配置される。多用途摺動プラグが組み立てられた状態では、USフェーズ・ピン61およびUSニュートラル・ピン63は、UKアース・ピン55の両側に配置される(図2)。スライダ67は第4の側面上にあるUKアース・ピン55を囲んでおり、脚部64上にUSアース・ピン65をさらに担持している。したがって、USアース・ピン65はAUアース・ピン45に直接に隣接している。これらの両方のアース・ピン45、65は、UK摺動接点50の概してC形のスライダ57の内側に配置される。
【0030】
この構成はさらに図3でより明確に示されている。この図では、個々のスライダの間の距離が明確に分かるようになっている。これは図7にも当てはまる。これらの距離は、個々のスライダ34、47、57、67が互いに独立して誘導されることを示している。これらのスライダが接触することはない。これらのスライダは長い距離にわたって互いから最小の距離だけ分離されているが、いくつかの位置ではその距離が大きくなっている。これらの位置はプラグ10用の2つのコンタクト・ソケットによって占有される。示した例示の実施形態では、ソケット12は、ドイツ規格の接地ソケットおよびフランス規格の接地ソケットの両方を受けることができる接地ソケットとして設計されている。この目的のために、多用途プラグ11のソケット内にあるアース接点は、フランス規格に対応するピンの形態およびドイツ規格に対応する2つのコンタクト・ストリップの形態になっていることが保証されている。これらは摺動接点のための摺動領域の外側に置かれる。しかし、FRアース・ピンの増設部分には、コンタクト・ピン(図には示されない)がハウジング13の内側に配置されている。このコンタクト・ピンはAUプラグ・コンタクト40のスライダ25によって保持される。プラグ・コンタクトが任意の国の規格の複数の組み合わせを含むことができるのとまったく同じ方式で、ソケット12が任意の国の規格のソケットとして設計され得ることは明らかである。万能プラグの場合、ソケットは、万能プラグのプラグ・コンタクトとは別の規格に属する。
【0031】
他のピンに対しては、スライダ上のピンのすぐ近傍に金属ミニ・ピン27が設けられる。これらのミニ・ピンは関連するメイン・ピンに導電接触されている。プラグ・コンタクトがアクティブ・ポジションにある場合、ミニ・ピンがコンタクト・ストリップ(図には示されない)に電気的に接続され、このコンタクト・ストリップが、多用途プラグ11のソケット12のコンタクト・ソケットすなわち接地デバイスに電気的に接続されることになる。
【0032】
スライダ37、47、57、67の間には複数の空間が存在する。これらの空間の機能を以下で説明する(図3、7および8)。
【0033】
UKアース・ピン55とUSライブ・ピン61との間には、ロック部分70の第1のアーム71(図8)のための第1の通過位置81が形成される。この第1のアーム71は、アース・ピン55に直接に隣接する位置91のところでUKスライダ57をロックする。
【0034】
グライダ25のフェーズ側には、ロック部分70のアーム72のための第2の通過位置82がある。この第2のアーム72は、フェーズ・ピン51に近接する位置92のところでUKスライダ57をロックする。
【0035】
グライダ25のニュートラル側には、ロック部分70の第3のアーム73のための第3の通過位置83がある。この第3のアーム73は、AUアース・ピン45に近接する位置93(図7)のところでAUプラグ・コンタクト40のスライダ47をアクティブ・ポジションおよびパッシブ・ポジションにロックする。
【0036】
さらにUKプラグ・コンタクト50とAUプラグ・コンタクト40との間のニュートラル・コンダクタ側には、第4の通過位置84がある。第4のアーム74がこの通過位置を通って延在しており、位置94のところでスライダ57をロックする。このロッキングはスライダ57のアクティブ・ポジションのみで行われる。第4のアーム74はパッシブ・ポジションでは例外的に機能しない。
【0037】
CH/ITスライダ37とAUスライダ47との間には、対称をなす2つの通過位置85および86が存在する。ロック部分70の第5のアーム75および第6のアーム76がこれらの2つの通過位置を通って延在している。これらの第5のアーム75および第6のアーム76は、位置95のところでCH/ITスライダ37を、位置96のところでAUスライダ47を両方ともロックする。これらの位置は両方ともフェーズ用およびニュートラル用のピンに近接する。
【0038】
スライダ47と67との間の、作動ヘッド15とは逆側を向いている、アース・ピン45および65のニュートラル側には通過位置87がある。ロック部分70の第7のアーム77がこの通過位置87を通って延在している。この第7のアーム77はアース・ピン65に近接する位置97のところでUSスライダ67をロックする。
【0039】
最後に、USプラグ・コンタクト60のスライダ67とハウジング13との間に、2つの通過位置88および89がある。ロック部分70の第8のアーム78および第9のアーム79がこれらの通過位置88および89を通って延在している。これらの第8のアーム78および第9のアーム79は、それぞれ、フェーズ・ピン61およびニュートラル・ピン63に近接する位置98および99のところでスライダ67をロックする。
【0040】
CH/ITプラグ・コンタクト30のアース・ピンを除いた各ピンは、プラグ・コンタクトがアクティブ・ポジションにあるときに、すぐ近傍の位置で支持される。これにより、ハウジングから突き出たプラグ・コンタクトがソケット内に挿入されている場合でもピンが非常に安定して支持されるようになる。
【0041】
CH/ITプラグ・コンタクト30はハウジング上にある挿入本体39のガイドによって同様に良好に誘導され、2つのアームによって適切に支持される。したがって、挿入時にプラグ・コンタクトが歪むことはなく、挿入時にハウジング内へと誤って押し戻されることがなくなる。
【0042】
個々のスライダ47、57、67はガイド・ロッド上で誘導される。このため、これらのスライダ47、57、67は各々が、これらのガイド・ロッドを保持するための円筒孔を有する。図4は4つのプラグ・コンタクト30、40、50、60および挿入本体39を個別に示している。この図および図7では、これらの孔には参照符号49、59および69が付されている。図4はまた、スライダ57内の正方形開口部を参照符号29で示している。この開口部29は、プラグ10のピン用の2つのコンタクト・ソケットのうちの一方のための空間を形成している。もう一方のコンタクト・ソケットは、多用途プラグ11のアース・ピン55、65、45および35を通る中央平面を中心に対称をなすように配置される(図には示されない)。
【0043】
図3は、考えられる2つの極端な位置にある、CH/ITプラグ・コンタクト30のアース・ピン35を示している。アース・ピン35は、頂位置では、残りの2つのピン31および33を含む線上すなわち平面内に配置される。この位置では、プラグ・コンタクトがITソケットに挿入され得る。
【0044】
図4、5および7に示されるアース・ピン35の位置では、プラグ・コンタクト30がスイス規格のソケットに挿入され得る。アース・ピン35はイタリアおよびスイス規格用の2つの位置の間で手動で移動され得る。この目的のために、アース・ピン35は金属プレート101内のスロット内で誘導される(図4、5および7)。
【0045】
図5は図4と同じ部品を示しているが、より理解しやすいように斜視図になっている。図6は、パッシブ・ポジションにあるプラグ・コンタクト30、40、50、60を側面図で示している。
【0046】
各プラグ・コンタクト30、40、50、60は、作動ヘッド15により個別に、アクティブ・ポジションにくるように右方向に押され得る。次いで、バー23がハウジング13のスロット17内で移動される。進められたプラグ・コンタクトのスロット17の後ろにはガイド・ロッドがあり、多用途プラグの内側まで到達するのを防止している。パッシブ・ポジションに留まっている場合、プラグ・コンタクトのスロット17はプレート19(図8)によって覆われている。
【0047】
プラグ・コンタクトはアクティブ・ポジションおよびパッシブ・ポジションの両方においてロックされる。図8から分かるように、止められているスライダはそれらがパッシブ・ポジションにある場合にロック体70によってロックされる。進められたプラグ・コンタクトはアクティブ・ポジションにおいてロック体70によってロックされる。この目的のために、スライダの背面にはさらにストップ位置91から99が形成されている。これらのロック位置は、図7の背面図では、図3、4または5のスライダの正面図と同じ参照符号37、45、57、67が付されている。
【0048】
図9は、本発明に従って、複数の構成において摺動接点が互いに組み合わされ得ることを示している。図9.1は本発明による方式で構成されたUSプラグ・コンタクトおよびUKプラグ・コンタクトのみを示している。図9.2では、UKプラグ・コンタクトの代わりに、AUプラグ・コンタクトが示されており、これにCHプラグ・コンタクトが組み合わされている。図9.3では、UKプラグ・コンタクトおよびAUプラグ・コンタクトが本発明に従って互いに係合されて配置されている。図9.4では、CH/ITプラグ・コンタクトが加えられている。
【0049】
図9.5は、概してC形、G形、V形またはU形のスライダを備える3つの摺動接点の組み合わせを示している(CH/ITプラグ・コンタクトを除く)。最後に、図9.6では、上で詳細に説明した好適な組み合わせが示されているが、CHプラグ・コンタクトは含まれない。
【0050】
図で示した例示の実施形態の共通の特徴は、プラグ・コンタクトのC形、G形、V形またはU形のスライダが他のC形、G形、V形またはU形のプラグ・コンタクトの隣接するスライダの脚部を囲んでいることである。したがって、C形、G形、V形またはU形の2つの隣接するプラグ・コンタクトは、第1のプラグ・コンタクトの一方の脚部の端部が第2のプラグ・コンタクトの両脚部によって画定される空間内で係合されさらに逆に第2のプラグ・コンタクトの一方の脚部の端部が第1のプラグ・コンタクトの両脚部によって画定される空間内で係合されるように、互いに対して配置される。示された各組み合わせは、延長部分および作動ヘッドまで含めるとその形状が概してY形であるスライダを有する。
【0051】
要約すると、本発明は、多用途摺動プラグが、外のアクティブ・ポジションへ移動され得、さらにハウジング内のパッシブ・ポジションへと戻るように移動され得る少なくとも2つの摺動プラグ・コンタクトをハウジング内に有するものであると説明され得る。摺動プラグ・コンタクトはスライダを有し、そのスライダの上に3つの導電性コンタクト・ピンが配置される。1つのプラグ・コンタクトのスライダはC形、G形、V形またはU形として形成され、プラグ・コンタクトを前進および後退させるための作動ヘッドが一方の脚部上に形成される。これらの3つのコンタクト・ピンは脚部上に配置される。第2の摺動接点プラグもC形、G形、U形またはV形として形成され、例えば一方の脚部の端部のところに、作動ヘッドを備えるバーが形成され、さらに、その湾曲したC形、G形、U形またはV形スライダ上に3つのコンタクト・ピンが配置される。この湾曲したC形、G形、U形またはV形スライダは隣接するC形、G形、U形またはV形スライダのアームを囲んでおり、それにより、コンタクト・ピン、具体的には接地コンタクト・ピンが、他のC形、G形、U形またはV形スライダの脚部の間に配置されるようになる。
【0052】
本発明は、ハウジング13と、ハウジング13内のパッシブ・ポジションおよびハウジングの外のアクティブ・ポジションへと移動され得る異なる規格の少なくとも2つのプラグ・コンタクト40、50とを備える多用途摺動プラグ11に関する。これらのプラグ・コンタクト40、50は、それぞれ、作動ヘッド15を備えるスライダ47、57および導電性ピン41、43、45;51、53、55を有する。個々のプラグ・コンタクト40、50は、1つのスライダ上に配置される3つの導電性ピン41、43、45;51、53、55を有する。少なくとも2つのスライダ47、57はC形に形成され、C形の一方の端部がもう一方のスライダ45、57のC形の端部間に置かれるように互いに配置される。
【符号の説明】
【0053】
9 多用途ソケット
10 プラグ
11 多用途プラグ
12 ソケット
13 ハウジング
15 作動ヘッド
17 ハウジング13内のスロット
19 プレート
21 解除ボタン
23 バー
25 グライダ
27 ミニ・ピン
29 プラグ10のコンタクト・ソケット用の正方形開口部
30 第1の摺動接点(CHおよびIT規格)
31 CH/ITフェーズ・ピン
33 CH/ITニュートラル・ピン
35 CH/ITアース・ピン
37 CH/ITプラグ・コンタクトのスライダ
39 挿入本体
40 AU規格の摺動接点
41 AUフェーズ・ピン
43 AUニュートラル・ピン
45 AUアース・ピン
47 AU摺動接点40のスライダ
46、48 摺動接点40の第1および第2の脚部
49 AUスライダ47内の円筒孔
50 UK摺動接点
51 UKフェーズ・ピン
52 空間
53 UKニュートラル・ピン
54、56 UKプラグ・コンタクト50の第1および第2の脚部
55 UKオープナーおよびアース・ピン
57 UK規格のスライダ
59 UKスライダ57内の円筒孔
60 US規格のソケット用のプラグ・コンタクト
61 USフェーズ・ピン
62、64 USプラグ・コンタクト60の第1および第2の脚部
63 USニュートラル・ピン
65 USアース・ピン
67 プラグ・コンタクト60のUSスライダ
69 USスライダ67内の円筒孔
70 ロック体
71〜79 ロック体の第1から第9までのアーム
81〜89 ロック体の第1から第9までのアーム用の通過位置
91 アース・ピン55に隣接する位置
92 UKフェーズ・ピン51から短い距離にある位置
93 AUアース・ピン45から短い距離にある位置
94 位置
95 CH/ITスライダ37をロックするための位置
96 AUスライダをロックするための位置
97 USスライダ67をロックするための位置
98 フェーズ・ピン61から短い距離にある位置
99 ニュートラル・ピン63から短い距離にある位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング(13)と第1の規格の少なくとも1つのプラグ・コンタクト(40)および第2の別の規格の第2のプラグ・コンタクト(50)とを備える多用途摺動プラグ(11)において、これらのプラグ・コンタクト(40、50)のそれぞれが、作動ヘッド(15)を備えるスライダ(47、57)および導電性ピン(41、43、45;51、53、55)を有し、かつ、これらのピン(41、43、45;51、53、55)が後退させられた前記ハウジング(13)内のパッシブ・ポジションから前記導電性ピン(41、43、45;51、53、55)が前記ハウジングから突き出るアクティブ・ポジションまで軸方向(..)に移動され得る、多用途摺動プラグ(11)であって、各プラグ・コンタクト(40、50)が1つのスライダ(47、57;47、67;57;67)上に配置される3つの導電性ピン(41、43、45;51、53、55)を有すること、前記スライダ(47、57;47、67;57;67)が上から見て概してC形、G形、U形またはV形の形状を有し、これらの形状が前記スライダ(47、57;47、67;57;67)の2つ以上の脚部によって形成され、いずれの場合もこれらの脚部の間に空間があること、および、前記スライダ(47、57;47、67;57;67)が、他のスライダの空間内で互いに1つの脚部と係合されるように配置されること、を特徴とする多用途摺動プラグ。
【請求項2】
前記導電性ピン(41、43、45;51、53、55)がそれぞれフェーズ・ピン、ニュートラル・ピンおよびアース・ピンで形成されること、および、前記スライダ(47、57;47、67;57;67)がそれぞれ、前記アース・ピンが互いに直接に隣接するように配置されることを特徴とする、請求項1に記載の多用途摺動プラグ。
【請求項3】
ハウジング(13)と、前記ハウジング(13)内のパッシブ・ポジションおよび前記ハウジングの外のアクティブ・ポジションへと移動され得かつそれぞれが作動ヘッド(15)を備えるスライダ(47、57)および導電性ピン(41、43、45;51、53、55)を有する、異なる規格の少なくとも2つのプラグ・コンタクト(40、50)と備える多用途摺動プラグ(11)であって、前記個々のプラグ・コンタクト(40、50)が、1つのスライダ上に配置される3つの導電性ピン(41、43、45;51、53、55)を有すること、および、少なくとも2つの前記スライダ(47、57)がC形の形状であり、かつ、C形の一方の脚部が他の前記スライダ(47、57)のC形の端部間に置かれるように互いに配置されること、を特徴とする多用途摺動プラグ。
【請求項4】
1つの作動ヘッド(15)が前記第1のC形スライダ(47)の一方の端部のところに配置され、別の作動ヘッド(15)が前記第2のC形スライダ(57)の端部間に配置される、ことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の多用途摺動プラグ。
【請求項5】
互いの後ろに配置される3つのC形、G形、U形またはV形スライダ(47、57、67)を備える少なくとも3つのプラグ・コンタクト(40、50、60)が存在し、それらの前記第1のスライダ(47)および第3のスライダ(67)のそれぞれが、一方の脚部が前記第2のC形、G形、U形またはV形スライダ(57)の前記空間内に置かれるように係合される、ことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の多用途摺動プラグ。
【請求項6】
第4の規格の第4のプラグ・コンタクト(30)が存在することを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の多用途摺動プラグ。
【請求項7】
前記プラグ・コンタクト(30、40、50、60)の各ピン(41、43、45;51、53、55)が、前記ピン(31、33、35、41、43、51、53、55、61、63、65)に近接して前記スライダ(37、47、57、67)から突き出る短いミニ・ピン(27)に導電接続される、ことを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の多用途摺動プラグ。
【請求項8】
異なるスライダ(37、47、57、67)の前記ミニ・ピン(27)が互いに位置合わせされていることを特徴とする、請求項7に記載の多用途摺動プラグ。
【請求項9】
前記スライダ(47、57、67)の少なくとも1つがガイド開口部(49、59、69)を有し、そこを通ってガイド・ロッドが突き出ている、ことを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の多用途摺動プラグ。
【請求項10】
前記C形スライダ(47、57、67)の各ピン(41、43、45、51、53、55、61、63、65)の隣の、前記スライダの背面上に、前記アクティブ・ポジションにあるときにロック体(70)と協働する止め具(91から99)が形成される、ことを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の多用途摺動プラグ。
【請求項11】
前記多用途摺動プラグが、以下の国:USA、スイス、イタリア、オーストラリア、ドイツ(接地プラグ)、フランス(接地プラグ)、イスラエル、インド、南アフリカ、の規格のうちの少なくとも3つの、好適には少なくとも4つの、特に好適には少なくとも5つのプラグ・コンタクト(40、50、60)を有する、ことを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の多用途摺動プラグ。
【請求項12】
3つの、好適には4つのプラグ・コンタクトの前記アース・ピンが実質的に直線状に配置されることを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載の多用途摺動プラグ。
【請求項13】
前記プラグ・コンタクトが前記ハウジングの一方の側に設けられること、および、3つのソケット開口部を備える特定の国の規格のソケットが反対側に設けられ、これらのソケット開口部が前記プラグ・コンタクトの対応するピンに電気的に接続されることを特徴とする、請求項1〜12のいずれかに記載の多用途摺動プラグ。
【請求項14】
ハウジング(13)と第1の規格の少なくとも1つのプラグ・コンタクト(40)および第2の別の規格の第2のプラグ・コンタクト(50)とを備える3ピン万能プラグ(11)において、これらのプラグ・コンタクト(40、50)のそれぞれが、作動ヘッド(15)を備えるスライダ(45、57)および導電性ピン(41、43、45;51、53、55)を有し、かつ、これらのピン(41、43、45;51、53、55)が後退させられた前記ハウジング(13)内のパッシブ・ポジションから前記導電性ピン(41、43、45;51、53、55)が前記ハウジングから突き出るアクティブ・ポジションまで軸方向(..)に移動され得る、3ピン万能プラグ(11)であって、各プラグ・コンタクト(40、50)が1つのスライダ(47、57)上に配置される3つの導電性ピン(41、43、45;51、53、55)を有すること、前記スライダ(47、57)が概して上から見てC形、G形、U形またはV形の形状を有し、これらの形状が前記スライダ(47、57)の2つ以上の脚部によって形成され、いずれの場合もこれらの脚部の間に空間があること、および、前記スライダ(47、57)が、1つの脚部が他のスライダの前記空間内に置かれるように互いに係合されるように配置されること、を特徴とする3ピン万能プラグ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9.1】
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【図9.2】
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【図9.3】
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【図9.4】
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【図9.5】
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【図9.6】
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【公表番号】特表2011−524613(P2011−524613A)
【公表日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−513836(P2011−513836)
【出願日】平成21年6月16日(2009.6.16)
【国際出願番号】PCT/CH2009/000205
【国際公開番号】WO2009/152630
【国際公開日】平成21年12月23日(2009.12.23)
【出願人】(510333036)
【Fターム(参考)】