説明

多発性硬化症に対するRXRアンタゴニスト治療

本発明では、レチノイドアンタゴニスティク活性を有するレチノイド、特にRXRアンタゴニストと称されるレチノイドXレセプターアンタゴニスト、その製剤学的に認容性の塩および製剤学的に認容性のエステルならびに製剤学的に認容性のアミドが多発性硬化症の治療において、例えば経口投与のようにRXRアンタゴニストを全身投与することにより効能があることが分かった。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、選択的レチノイン酸レセプター(RAR)拮抗活性、レチノイドXレセプター(RXR)拮抗活性または混合RAR-RXR拮抗活性を有するレチノイドから成るレチノイドアンタゴニストの、多発性硬化症を治療するための医薬品を製造するための使用、ならびに多発性硬化症を治療するためのこのようなレチノイドアンタゴニストの使用、このようなレチノイドアンタゴニストを患者に投与することから成る多発性硬化症の治療法、多発性硬化症を治療するためのレチノイドアンタゴニストの治療における使用、多発性硬化症の治療において使用するためのレチノイドアンタゴニスト、および/または多発性硬化症の治療において使用するための製剤学的組成物(レチノイドアンタゴニストを含む)に関する。
【0002】
本発明の背景
レチノイドは、構造的にビタミンAに関係する化合物のクラスであり、天然および合成化合物から成る。一連のレチノイドは、皮膚疾患および腫瘍疾患の治療において臨床的に有効であることが分かっていた。
【0003】
レチノイドの活性は、ステロイド、甲状腺ホルモン、ビタミンD、ペルオキシソーム 増殖因子活性化レセプターのスーパーファミリーに属する核内レチノイドレセプターであるRARα、β、γおよび/またはRXRα、β、γにより媒介されていると考えられている(Pfahl et al., Vitamins and Hormones 49, 327-382(1994))。レセプターアゴニスティック活性を有するレチノイドは、レセプターと結合して、これらを活性化するのに対して、レセプター拮抗活性を有するレチノイドはレセプターに結合するが、これらを活性化しない。
【0004】
実験的に、レチノイドレセプター拮抗活性を有するレチノイド(レチノイドアンタゴニスト)は、レチノイドレセプターアゴニスティック活性を有するレチノイド(レチノイドアゴニスト)の多くの特性を妨げることにおいて有効である。例えば、細胞増殖の阻害、細胞分化の誘発、アポトーシスの誘発および血管形成の阻害である(Bollag et al., Int. J. Cancer 70, 470-472(1997))。レチノイドアンタゴニストは、ビタミンA過剰症シンドロームの徴候および症状および奇形発生のようなレチノイドアゴニストの有毒な副作用も抑制する(Standeven et al., Toxicol. Appl. Pharmacol. 138, 169-175(1996); Eckhardt and Schmitt. Toxicol. Letters 70, 299-308(1994))。従って、これらはレチノイドアゴニストにより起こる不利な事態の予防または治療において臨床的に有意である。
【0005】
レチノイドアンタゴニストは、レチノイド誘発性毒性作用および副作用、特にいわゆるビタミンA過剰症シンドロームの予防および治療において臨床的に使用することが推奨されてきた。レチノイドアンタゴニストは、レチノイドレセプターアゴニストまたは他の核内レセプターアゴニストと組み合わせて、前新生物または腫瘍性損傷、硝子体網膜症および網膜剥離の予防および治療に使用することも推奨されてきた。さらに、レチノイドアンタゴニストは、その抗増殖作用に基づいて、レチノイドレセプターアゴニストに集中的な特定の新生物の治療用に単剤として使用できる(WO 97/09297参照)。
【0006】
さらに、レチノイドアンタゴニストは、2型ヘルパーT細胞(Th2)媒介性免疫疾患またはイムノグロブリンE(IgE)媒介性疾患、アレルギー疾患、アトピー疾患またはTh2-関連サイトカインにより媒介される疾患の治療を予測する実験モデルにおいて効能があることが分かっている。これらは、アトピー性皮膚炎(神経皮膚炎)、アレルギー性鼻炎または花粉症およびアレルギー性気管支喘息を含む(WO 99/24024およびWO 00/53562参照)。
【0007】
本発明の一般的説明
極めて予想外にも、レチノイドアンタゴニスト、特にRXRアンタゴニストが多発性硬化症の治療において有効であることが、あらゆる種類の薬剤投与により、有利には全身投与、特に腸内投与により初めて見出された。
【0008】
本発明の詳細な説明
以後の詳細な説明では、使用という用語が使用されるときは、これは多発性硬化症、特に好ましくは以下に記載するものを治療するための医薬品を製造するための、選択的レチノイン酸レセプター(RAR)拮抗活性、レチノイドXレセプター(RXR)拮抗活性または混合RAR-RXR拮抗活性を有するレチノイドから成るレチノイドアンタゴニストの使用、多発性硬化症を治療するための、このようなレチノイドアンタゴニストの使用、このようなレチノイドアンタゴニストを患者、特にこのような治療を必要とする患者に前記治療に有効な用量で投与することを含む多発性硬化症の治療方法、多発性硬化症を治療するためのこのようなレチノイドアンタゴニストの治療における使用、多発性硬化症の治療において使用するための、このようなレチノイドアンタゴニスト、および/または有利には前記治療において有効量であるレチノイドアンタゴニストを有する、多発性硬化症の治療において使用するための製剤学的組成物を特記されない限り意味する。
【0009】
本発明の範囲内および開示では、“レチノイドアンタゴニスト”という用語は、RAR、有利にはRXRまたは混合RAR-RXR拮抗活性を有するレチノイドまたは化合物に使用される。
【0010】
WO 99/24024およびWO 00/53562(この中に記載されている別の化合物および化合物クラスに関して参照して本明細書中に取り入れることとする)に記載されているRARアンタゴニストの他に、本発明は特に次の化合物:
式I
【0011】
【化1】

[式中、点線は結合を表すか(よって実線と一緒にRaとRbを有する炭素原子の間で二重結合を形成する)、または点線は無く(よって単結合を形成する)、かつ点線結合がある場合には、Raはメチル、Rbは水素であり、点線結合が無い場合はRaとRbは一緒にメチレンであり、RaとRbを有する2個の炭素原子と一緒に、有利にはシス置換シクロプロピル環を形成し;かつRcは、C〜C−アルコキシであり;これらの化合物の合成は、US 6326397に開示されている]
の化合物
式II
【0012】
【化2】

[式中、点線は結合を表すか(よって実線と一緒にRaとRbを有する炭素原子の間で二重結合を形成する)、または点線は無く(よって単結合を形成する)、かつ点線結合がある場合には、Raはメチル、Rbは水素であり、点線結合が無い場合はRaとRbは一緒にメチレンであり、RaとRbを有する2個の炭素原子と一緒に、有利にはシス置換シクロプロピル環を形成し;かつRcは、C〜C−アルコキシであり;このような化合物の合成は、例えばL.G.Hamman, J. Org. Chem. 65, 3233(2000)およびSS. Canan Koch et al., J. Med. Chem. 39, 3229(1996)に記載されている]の化合物、または
式III
【0013】
【化3】

[式中、・・・K・・・は、C〜C−アルキレン、特に−CH−CH−CH−、または=CH−CH=である(よって2個の炭素原子と一緒に結合・・・K・・・は、ベンゼン環を形成する);かつRcはC〜C−アルコキシである;このような化合物の合成は、例えば、EP 0728742およびUS 5986131に記載されている]
の化合物の1つ以上、またはそれぞれの場合に、それらの製剤学的に認容性の塩、または製剤学的に認容性のエステルまたは製剤学的に認容性のアミド、または後者の2個の場合には各々その製剤学的に認容性の塩の使用に関する。
【0014】
最も有利には、表1に記載されているレチノイドXレセプター(RXR)アンタゴニスト化合物A、B、C、D、E、FおよびGから成るグループから選択される化合物、またはその製剤学的に認容性の塩、特に化合物Aまたはその製剤学的に認容性の塩の使用である。
【0015】
【表1】

“製剤学的に認容性の塩”という表現には、少なくとも1つの塩形成基、例えばアミノのような塩基性基を有するか、または特にカルボキシルもしくはスルホニルのような酸性基を有する場合にはレチノイドアンタゴニストの分野で化学的に許容可能な塩、かつ温血動物、特にヒト(例えば、患者)に、例えば、製剤学的に認容性の組成物で適用可能なものが含まれる。レチノイドアンタゴニストの製剤学的に認容性の通常の塩は、いずれも利用可能である。使用できる通常の塩の中には、塩基性塩があり、これには例えば、ナトリウム塩またはカリウム塩のようなアルカリ金属塩、カルシウムまたはマグネシウム塩のようなアルカリ土類金属塩、およびアンモニウム塩またはアルカリアンモニウム塩が含まれる。
【0016】
本明細書内でレチノイド(例えばRXR)アンタゴニストを引用する場合には、これはレチノイド(例えばRXR)酸アンタゴニスト、それらのエステルまたはアミドを意味し、それぞれ遊離した形および/または製剤学的に認容性の塩の形(=“その製剤学的に認容性のアミド、エステルおよび/または塩”)を意味する。
【0017】
本発明に従って、意外にもレチノイドアンタゴニストの投与は、多発性硬化症のある患者の治療において効能があることが分かった。
【0018】
本発明は、特にレチノイドアンタゴニストの使用に関する(これは、上記および下記に有利なものとして挙げるようなRXRアンタゴニストに関連する本発明の有利な実施態様である)、その際、治療すべき疾患は、このようなアンタゴニストで治療できる多発性硬化症である(=治療に応答する、治療学的である、すなわち、例えば、1つ以上の症状の緩和により、および/または多発性硬化症および/または1つ以上の症状の発生または進行の延期により、および/または予防的、例えば、多発性硬化症および/または1つ以上のその症状のいずれかのステージの開始の遅延または予防により治療する、例えば、肢の弱さ、痙性、感覚異常症、運動失調、震え、眼筋麻痺、視神経炎、膀胱および腸コントロールの欠如、および/またはそのようなもの)。
【0019】
RXRアンタゴニスト(レチノイドXレセプター選択的)が多発性硬化症の治療において有効であるという発見は予想外であった。これに関する例示的な証拠は、実施例中の多発性硬化症に関するモデル系で示されている(例1参照)。
【0020】
多発性硬化症(MS)は、中枢神経系の炎症性脱髄疾患であり、自己免疫疾患、特に1型ヘルパーT細胞(Th1)媒介性免疫疾患であると考えられている。病原的には、血液脳関門(BBB)が破壊されると、続いて血液誘導性自己反応性免疫T細胞が移動し、マクロファージが脳内に入る。このプロセスは、脳柔組織の白質中でプラーク形成を生じ、神経鞘の脱髄および軸索損失を導く。これらの損傷は、MSの臨床的な相対的症状を説明するものである。
【0021】
マトリックスメタロプロテアーゼ(MMPs)は、細胞外基質と基礎膜成分を特に消化する酵素である。MMP-9またはゼラチナーゼB(EC 3.4.24.35)は、血液脳関門の破壊の原因であると考えられており、これは脳への自己活性T細胞の移動を容易にし、中枢神経系に有害な影響を与える。このMMP-9の重要な役割は、幾つかの要因により支持されている。MSでは、MMP-9の高いタンパク質レベルが脳脊髄液(CSF)と血清中で実証されている。核磁気共鳴(MRI)走査により証明されたプラーク形成は、新たなガドリニウム促進損傷を伴って血清MMP-9が増大した後に生じる。さらに、プロセシングMSタンパク質の末梢血単核細胞中のMMP-9mRNAとタンパク質レベルは、影響のないコントロールのレベルよりも高い(Leppert D et al.: T cell gelatinases mediate basement membrane transmigration in vitro, J Immunol 1995, 154: 4379-4389; Leppert D et al.: Interferon beta-1b inhibits gelatinase secretion and in vitro migration of human T cells: A possible mechanism for treatment efficacy in multiple seclerosis, Ann Neuro 1996, 40: 846-852; Leppert D et al.: Matrix metalloproteinase-9 (gelatinase B) is selectively elecated in CSF during relapses and stable phases of multiple sclerosis, Brain 1998, 121: 2327-2334; Lee M A et al.: Serum gelatinase B, TIMP-1 and TIMP-2 levels in multiple sclerosis. A longitudinal clinical and MRI study, Brain 1999, 122: 191-197; Oezenci V et al.: Multiple sclerosis: Pro- and anti- inflammatory cytokines and metalloproteinases are affected differentially by treatment with IFN-β, J. Neuroimmunol. 2000, 108: 236-243; Lindberg R et al.: The expression profile of matrix metalloproteinases (MMPs) and their inhibitors (TIMPs) in lesions and normal appearing white matter of multiple sclerosis, Brain 2001, 124: 1743-1753; Waubant E et al. IFN-β lowers MMP-9/TIMP-1 ratio, which predicts new enhancing lesions in patients with SPMS, Neurology 2003, 60: 52-57; Gelatinases B/matrix metalloproteinase-9 clears interferon-β and is a target for immunotherapy, Brain 2003, 126: 1-11; Gilli F et al.: Neutralizing antibodies against IFN-β in multiple sclerosis: antagonization of IFN-β mediated suppression of MMPs, Brain 2004, 127: 1-10参照)。
【0022】
これらの全てのデータは、MMP-9が新規MS損傷の形成に関係していることを示している。従って、MMP-9生産、放出または活性を阻害する化合物がMSに好ましい作用を有すると期待できる。インターフェロン−β(IFN-β)は、MMP-9をダウンレギュレートすることが分かっており、かつこれが実際にはMS中のIFN-βの治療効果に少なくとも貢献しているのであろう。
【0023】
意外にも、RXRアンタゴニストとIFN-βが似た作用メカニズムにより、MSにおいてそれらの活性を作用させていることが分かった。末梢血単核細胞(PBMC)中のMMP-9発現を測定した場合には、極めて予想外にも、ELISAおよびザイモグラフィーにより測定した化合物A(表1参照)のようなRXRアンタゴニストがmRNAおよびMMP-9のタンパク質発現において極めて強い抑制作用を有した。一般にどのRXRアンタゴニストにも使用できる有用なアッセイの詳細については、例1を参照されたい。
【0024】
これに鑑みて、本発明は上記のような使用に関し、特にIFN-βと組合せたRXRアンタゴニストの使用を含み、これは相互に促進作用および相乗作用を導くことができる。
【0025】
得られた結果は、MMP-9の生産、放出または活性におけるRXRアンタゴニストの抑制効果の証拠を提供しており、従って、多発性硬化症(MS)の(予防的かつ治療学的)治療におけるRXRアンタゴニストの活性についての証拠を提供している。よって、この疾患におけるRXRアンタゴニスト、特に有利なものとして挙げたもの(表1参照)の使用は、本発明の最も有利な実施態様である。この使用は、一次進行型MS、再発寛解型MS、二次進行型MS、または急性期MS、またはこれらの組合せのような様々なステージのMSから成り、発症および進行の治療ならびに予防を含む。
【0026】
さらに、以下の例2で使用される試験系で証明されているように、欧州特許出願04017927.7に記載されている(これを参照して本明細書に取り入れることとする)RXRアンタゴニストの平行した抗炎症特性も、MSの治療、特に炎症プロセスに関わるステージ、例えば、急性期での治療におけるRXRアンタゴニストの好ましい作用に貢献している。
【0027】
“治療”という用語には、予防的(prophylactic)および/または特に治療学的治療が含まれる。化合物は、前記患疾の治療に有効な量で、特にこのような治療を必要とする患者に投与される。
【0028】
MSを治療するために、活性化合物、すなわちレチノイドアンタゴニスト、特にRXRアゴニスト、その製剤学的に認容性の塩、またはその製剤学的に認容性のエステルまたはアミドは、有利には全身、より有利には腸内、特に経口投与される。有利には、前記活性化合物は、前記活性化合物と1つ以上の製剤学的に認容性のキャリヤーまたは前記活性化合物と相溶性の希釈剤を含有する組成物として投与される。このような組成物の製造では、製剤学的に認容性の通常のキャリヤーが利用できる。薬物を経口投与する場合には、これは一般に一定の間隔をあけて、通常は食事時間でまたは1日に1回投与される。毒性試験からの情報に基づいて、レチノイドアンタゴニストは、経口投与される場合に、副作用を全く示さないか、または穏やかにしか示さない用量で有効である。従って、活性化合物の経口投与が一般に有利である。
【0029】
MSの治療では、レチノイドアンタゴニストは経口投与される場合に、粘膜皮膚、筋骨格、神経性症状発現のようなビタミンA過剰症の毒性シンドロームに属する有害な事態や、トランスアミナーゼ、トリグリセリドおよびコレステロールの上昇を誘発しないか、または僅かにだけしか誘発しない。さらに、これらはオールトランス型レチノイン酸(トレチノイン)、13−シスレチノイン酸(イソトレチノイン)、エトレチネートおよびアシトレチンのような皮膚疾患および腫瘍疾患の治療において臨床的に有効であることが知られているレセプターアゴニスティックなレチノイドとは反対に殆ど催奇性ではない。
【0030】
極めて予想外にも、ELISAおよびザイモグラフィーにより測定した化合物A(表1参照)のようなRXRアンタゴニストは、末梢血単核細胞(PBMC)中で測定したMMP-9のタンパク質発現において極めて強い抑制作用を有した。
【0031】
MSの治療では、レチノイドアンタゴニスト、その製剤学的に認容性の塩または製剤学的に認容性のエステルまたはアミドは、単独で、または他の治療剤と組合せて、例えば、1つ以上の製剤学的活性物質、有利には多発性硬化症の治療において有効な製剤学的活性剤、例えば、コルチコステロイド、インターフェロン、特にインターフェロン−β、グラタリマーアセテート(glatarimer acetate)(Copaxone(R), Teva Morion Partners, TEVA Pharmaceutical Industries Ltd.;アミノ酸Glu、Lys、AlaおよびTyrのランダム鎖ポリマー)、抗体製剤ナタリズマブ(natalizumab)(Antegren(R), Elan Pharmaceuticals, Inc., and Biogen, Inc)および/またはMSの治療において有効である非ステロイド系薬(NSAIDS)と組合せて使用できる。
【0032】
他の物質と組合せて使用する場合には、レチノイドアンタゴニストおよび前記の他の物質は、別々に投与することができ、または有効量で1つの製剤学的組成物に挿入するか、または1つのパーツのキットを形成して、その成分を別々な時または重複して投与してもよく、有利には付加的または相乗効果を可能にするように、かつ/または同時に投与してもよい。
【0033】
上記のレチノイドアンタゴニスト、その塩およびエステルまたはアミドは特に製剤学的に認容性の腸内調製物、特に経口調製物において有効である。これらの製剤学的組成物は、活性化合物を相溶性の製剤学的に認容性のキャリヤー材料と共同して有する。
【0034】
経口投与に適切な1つ以上の通常のキャリヤー材料を使用できる。適切なキャリヤー材料には、水、ゼラチン、アラビアゴム、ラクトース、スターチ、ステアリン酸マグネシウム、タルク、植物油、ポリアルキレン−グリコール、鉱油およびそのようなものが含まれる。さらに、製剤学的活性調製物は、他の製剤学的活性剤を含有していてもよい。さらに、着香剤、保存薬、錯化剤、顔料、染料、安定剤、界面活性剤、乳化剤、湿潤剤、可溶化剤、緩衝液などのような添加剤を、製剤学的配合で認められた慣習に従って添加してもよい。
【0035】
製剤学的調製物は、特に次のものを含むどの通常の形も満たすことができる:腸内、特に経口投与用の固形型、例えば、錠剤、カプセル剤(例えば、硬質または軟質ゼラチンカプセル剤)、丸剤、サッシェ、粉末剤、顆粒剤およびそのような物。微粉化粉末、噴霧剤、エーロゾルおよびそのような物も、例えば気道を介して投与するために有効である。製剤学的調製物は、滅菌してもよくおよび/または保存剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧を変えるための塩および/または緩衝液のような補助剤を含有していてもよい。
【0036】
有利な経口剤形の例には、錠剤、丸剤、サッシェまたは硬ゼラチンもしくは軟質ゼラチンのカプセル剤、メチルセルロールまたは消化管中で容易に溶解する他の適切な材料の物が含まれる。それぞれの錠剤、丸剤、サッシェまたはカプセル剤は、有利には活性成分を約10〜約500mg、より有利には約20〜約200mg含有できる。活性成分は、完全な経口剤形の重さに基づいて、2〜98質量%、有利には20〜90質量%の量で存在してもよい。本発明に従って検討される経口投薬量は、処方する内科医により決定されるように各患者の必要に応じて変化できる(例えば、患者の症状、大きさ、年齢、可能性としてあり得る他の治療法での障害およびそのようなもの)。しかし、一般に患者の体重1kg当たり0.2〜20mg、有利には0.5〜10mg、最も有利には体重1kg当たり約1mg〜約3mgの日用量が利用される。この用量は、患者の要求に応じて内科医により決定されるどの用量スケジュールに従って投与されてもよい。
【0037】
治療の投薬量は、通常個人の投与ルート、年齢、体重および疾患症状に依存する。適切な剤形は、当業者に公知であるかまたは自体公知の方法で容易に得ることができる。本発明の範囲内で特に適切である硬質ゼラチンカプセル剤または軟質ゼラチンカプセル剤、錠剤およびサッシェの調製物は、上記の教示に従って容易に調節できる。
【0038】
上記で開示されたようなレチノイドアンタゴニストの製剤学的活性は、特に表1に挙げられている化合物:A、B、C、D、E、FおよびGを使用して、以下に示すような様々な試験モデルで証明できる。
【0039】
記載したこれらの剤形の他に、本発明で有効なものとして非経口の剤形(例えば、注射および/または点滴用の液剤または分散剤)も考えられる。しかし、腸内投与に適切な相応する剤形も有利である。
【0040】
本発明の有利な実施態様は、請求項、特に従属請求項に挙げてある。よって、この全てを参照して実施例に取り入れることとする。
【0041】
以下の実施例は本発明を説明するものであるが、この範囲に限定されることはない:
例1:多発性硬化症(MS)の病理発生におけるマトリックスメタロプロテアーゼMMP-9の重要な役割に基づいた、MSのモデル系におけるRXRアンタゴニストの作用
方法の詳細については次を参照:(A)in vitroでのヒト末梢血単核細胞(PBMC)におけるMMP-9タンパク質の発現におけるRXRアンタゴニストの作用(Leppert D et al, J Immunol 1995, 154: 4379-4389);(B)Leppert D et al, Ann Neurol 1996, 40: 846-852;(C)Leppert D et al, Brain 1998, 121, 2327-2334;(D)Lindberg R et al, Brain 2001, 124: 1743-1753;(E)Gilli F et al, Brain 2004, 127: 1-10、これらを特に方法に関して参照して、本明細書中に取り入れることとする。
【0042】
方法:新しいヒト末梢血単核細胞(PBMC)を用意し、かつLeppert D et al, Ann Neurol 1996, 40: 846-852に記載されているようにPHAで刺激することにより広げた。10−6M、10−7M、10−8M濃度で、1×10細胞をRXRアンタゴニスト化合物Aで18時間前処理した。ベヒクルをコントロールとして使用した。
【0043】
2個の異なる実験体で、化合物Aで前処理した後に、あるグループでは、PBMCsをインターロイキン−2(IL-2)50U/mlで24時間刺激し、また他のグループではIL-2で刺激しなかった。
【0044】
上記濃度の化合物Aの作用を、IL-2で刺激したPBMCの培地およびIL-2で刺激していない培地中でベヒクルコントロールと比較した。MMP-9タンパク質の発現は、ザイモグラフィーおよびELISAを用いる分析により測定した。特に上記の(A)の“コンディションド培地(CM)のザイモグラフ分析 ”と(C)の“MMP-9用のELISA(酵素結合イムノソルベントアッセイ)”をそれぞれ参照されたい。
【0045】
結果
表2と3から分かるように、RXRアンタゴニスト化合物Aは、MMP-9の生産、放出または活性において著しい抑制作用または阻害作用を有した。MMP-9タンパク質発現の阻害の程度は、用量依存性であり、かつIL-2で刺激したPBMCsの培地と、IL-2で刺激していないPBMCsの培地で誘発することができる。
【0046】
【表2】

【0047】
【表3】

【0048】
結論:RXRアンタゴニストは、多発性硬化症の製剤モデル系でMMP-9の生産、放出または活性を阻害した。MMP-9活性は、多発性硬化症の病因で重要なファクターの原因であると考えられているので、RXRアンタゴニストはMSの治療ならびに多発性硬化症の臨床的症状発現の進行の予防において有効であると期待される。RXRアンタゴニストでのMSの治療および予防は、MSの様々なステージで有効である:一次進行型MS、急性期、再発寛解型MSおよび/または二次進行型MS。
【0049】
以下の実施例は、中枢神経系の炎症性脱髄疾患である多発性硬化症の治療でレチノイドアンタゴニストの使用を支持する炎症疾患の治療における有益な抗炎症作用を示す。
例2:骨および関節の炎症性疾患の例:リウマチ様関節炎のある患者から採取した髄膜線維芽細胞により誘発されたヒト軟骨の分解/破壊におけるRXRアンタゴニストの作用。リウマチ様関節炎(RA)および変形性関節症(OA)のEx vivo、in vitro でのモデル系
方法:髄膜線維芽細胞の活性におけるRXRアンタゴニストの作用を、それらの活性化状態に応じて、すなわち炎症性サイトカインインターロイキン−1β(1L-1β)による同時刺激により変性して測定した。さらに、これがヒト軟骨の分解およびそれに引き続くヒトでの関節破壊の原因であるmRNAコード化分解酵素マトリックスメタロプロテアーゼ−1(MMP-1)の蓄積において変化を伴うかどうかを測定した。リウマチ用関節炎のある患者から採取した付着性の滑液細胞を、軟骨崩壊用のin vitroアッセイで5継代培養した後に使用した。0.1%(0.1g/100ml)ヒト軟骨粉末でコーティングしたフラスコ中でインキュベートした細胞をMatrigel(R)を用いて固定した(BD Biosciences, Becton, Dickinson & Co., Boston, MS, USA)。培地へのスルフェート化グリコサミノグリカン(sGAG)の放出を、S. Bjoernssonにより記載されている方法に従って(Anal. Biochem. 256, 229-237(1998)参照)、アルシアンブルードットブロット分析を用いて、市販の比色試験によりモニターし、かつmRNAコード化MMP-1の蓄積をリアルタイムPCRにより定量化した(TaqMan(R)(Roche Diagnostics, Basle, Switzerland))。
【0050】
初めにエタノールで希釈し、次にベヒクルまたは培養液で希釈して所望の用量/濃度にしたレチノイドアゴニストオールトランス型レチノイン酸および9−シスレチノイン酸(両方ともビタミンAの生理学的代謝産物である)ならびにRXRアンタゴニスト化合物Aを、時間経過で(in vitroアッセイに0〜35日、MMP-1mRNAに0〜48時間、表7、8および10参照)および用量依存的に(10−7〜10−9M、表5、6および9参照)試験した。これはIL-1β(100pg/ml)の存在もしくは不在下に行った。
【0051】
結論
IL-1βの不在下では、レチノイドパンアゴニストである9−シスRAはin vitroでの軟骨崩壊を用量依存的(最大10−7〜10−8Mの間)に増大したのに対して、これとは反対にRXRアンタゴニスト化合物Aは、髄膜線維芽細胞の基礎活性に何の影響も及ぼさなかった(表4)。
【0052】
【表4】

【0053】
しかし、sGAGの減少により証明されているように、極めて予想外にもIL-1βの存在では、RXRアンタゴニスト化合物Aは、IL-1β依存的に軟骨破壊を著しく阻害した(表5)。
【0054】
【表5】

【0055】
時間経過は、レチノイドアゴニスト9-cis RAがin vitroで軟骨崩壊を著しく増大したことを確証したのに対して、レチノイドアンタゴニスト化合物Aでは、これとは異なった。この効果は、IL-1βの存在および不在の両方で観察された(表6と7)。
【0056】
【表6】

【0057】
【表7】

【0058】
最後に、in vitroでの軟骨破壊は、12時間インキュベートした髄膜線維芽細胞中のMMP-1mRNAの蓄積とよく相関した(表8、9);
【0059】
【表8】

【0060】
【表9】

【0061】
結論:RXRアンタゴニストは、リウマチ様関節炎および変形性関節症における関節の崩壊に関する薬理学的モデル系で軟骨崩壊を阻害したので、炎症性疾患を治療するために有用である。
【0062】
以下の実施例は、RXRアンタゴニストの経口投与によりMSを治療するための製剤学的調製物を例証するものである。ここに記載される調製物は、本発明で使用するために有効であり、かつ示された錠剤により、かつ標準的な方法を用いて製造した。その際、“活性化合物”は、表1に挙げた化合物A、B、C、D、E、F およびGのうちの1つから、有利には化合物Aから成る:
例3:軟質ゼラチンカプセル剤用の充填素材および該充填素材で充填したカプセル剤
軟質ゲルカプセル剤用の充填素材を以下の成分を使用して製造した:
【0063】
【表10】

【0064】
次に、この充填素材を使用して、以下の含有量を有する軟質ゼラチンカプセル剤を製造した:
【0065】
【表11】

【0066】
例4:硬質ゼラチンカプセル剤:以下のように硬質ゼラチンカプセル剤を製造した:
【0067】
【表12】

【0068】
例5:錠剤:以下のように錠剤を製造した:
【0069】
【表13】

【0070】
例6:サッシェ:以下の成分を用いてサッシェを製造した:
【0071】
【表14】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
多発性硬化症を治療するための、または多発性硬化症を治療するための製剤学的調製物を製造するための、レチノイドアンタゴニスト、その製剤学的に認容性のエステルまたはアミド、またはこれらの製剤学的に認容性の塩の使用。
【請求項2】
レチノイドアゴニストは、式I
【化1】

[式中、点線は結合を表し、よって実線と一緒にRaとRbを有する炭素原子の間で二重結合を形成するか、または無しを表し、よって単結合を形成し、かつ点線結合がある場合には、Raはメチル、Rbは水素であり、点線結合が無い場合はRaとRbは一緒にメチレンであり、RaとRbを有する2個の炭素原子と一緒に、有利にはシス置換シクロプロピル環を形成し;かつRcは、C〜C−アルコキシである]
の化合物;
式II
【化2】

[式中、点線は結合を表し、よって実線と一緒にRaとRbを有する炭素原子の間で二重結合を形成するか、または無しを表し、よって単結合を形成し、かつ点線結合がある場合には、Raはメチル、Rbは水素であり、点線結合が無い場合はRaとRbは一緒にメチレンであり、RaとRbを有する2個の炭素原子と一緒に、有利にはシス置換シクロプロピル環を形成し;かつRcは、C〜C−アルコキシである]
の化合物;および
式III
【化3】

[式中、・・・K・・・は、C〜C−アルキレン、特に−CH−CH−CH−、または=CH−CH=であり、よって2個の炭素原子と一緒に結合・・・K・・・は、ベンゼン環を形成し;かつRcはC〜C−アルコキシである]
の化合物から成るグループから選択されるレチノイドRXRアンタゴニスト化合物またはそれぞれの場合に、その製剤学的に認容性のアミド、エステルおよび/または塩である、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
レチノイドアンタゴニストは、
(2E,4E)−(1RS,2RS)−5−[2−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ブトキシ−フェニル]−シクロプロピル]−3−メチル−ペンタ−2,4−ジエン酸、
(2E,4E)−(1RS,2RS)−5−[2−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−エトキシ−フェニル]−シクロプロピル]−3−メチル−ペンタ−2,4−ジエン酸、
(2E,4E,6Z)−7−[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−2−エトキシフェニル]−3−メチル−2,4,6−オクタトリエン酸エチルエステル、
(2E,4E)−3−メチル−5−[2−(2,6,6−トリメチル−シクロヘキセ−1−エニルエチニル)−シクロヘプテ−1−エニル]−ペンタ−2,4−ジエン酸、
(2E,4E)−3−メチル−5−[(1RS,2RS)−2−(5,5,8,8−テトラメチル−3−プロポキシ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2−イル)−シクロプロピル]−ペンタ−2,4−ジエン酸、
(2E,4E,6Z)−3−メチル−7−[(5,5,8,8−テトラメチル−3−プロポキシ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2−イル)−オクタ−2,4,6−トリエン酸、および
特に(2E,4E,6Z)−7−[2−ブトキシ−3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)フェニル]−3−メチル−2,4,6−オクタトリエン酸
から成るグループから選択されるRXRアンタゴニスト、またはそれぞれの場合に、その製剤学的に認容性のアミド、エステルおよび/または塩である、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
多発性硬化症と関連する1つ以上の症状を治療する、または治療すべきである、請求項1から3までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項5】
治療する、または治療すべき多発性硬化症は、一次進行型多発性硬化症のステージである、請求項1から4までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項6】
治療する、または治療すべき多発性硬化症は、再発寛解型多発性硬化症のステージである、請求項1から4までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項7】
治療する、または治療すべき多発性硬化症は、二次進行型多発性硬化症のステージである、請求項1から4までのいずれか1項に記載の使用
【請求項8】
治療する、または治療すべき多発性硬化症は、急性期の多発性硬化症である、請求項1から4までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項9】
治療する、または治療すべき多発性硬化症は、炎症プロセスに関わるステージである、請求項1から8までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項10】
炎症が疾患の症状発現の1要素である多発性硬化症、特に急性期の多発性硬化症を治療するための製剤学的調製物を製造するための、請求項1から3までのいずれか1項に記載のレチノイドアンタゴニスト、その製剤学的に認容性のエステルまたはアミド、またはこれらの製剤学的に認容性の塩の使用。
【請求項11】
製剤学的調製物は、レチノイドRXRアンタゴニストと、製剤学的活性物質、特に多発性硬化症またはその1つ以上の症状に対して有効であるものから成るグループから選択される1つ以上の他の薬剤とを有する、固定した組合せの形であるか、または同時、別々もしくは連続して使用するためのパーツのキットの組合せである、請求項1から10までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項12】
多発性硬化症またはその1つ以上の症状に対して有効である1つ以上の他の薬剤は、インターフェロン、特にインターフェロンβ、グラタリマーアセテートおよびナタリズマブから成るグループの1つ以上から選択される、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
製剤学的調製物は、経口投与用であり、特に被験者の体重1kg当たり約0.2mg〜約20mg、より有利には1.0〜5mgの化合物の日用量である、請求項1から12までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項14】
製剤学的調製物は、レチノイドアンタゴニストを10〜500mg、有利には20〜200mg有する錠剤、カプセル剤、丸剤またはサッシェの形で製造される、請求項13に記載の使用。
【請求項15】
製剤学的調製物は、レチノイドRXRアンタゴニストと、多発性硬化症に対して有効である1つ以上の他の薬剤とを有し、固定した組合せの形であるか、または同時、別々もしくは連続して使用するためのパーツのキットの組合せである、請求項1から14までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項16】
多発性硬化症の治療、特に炎症が該疾患の症状発現の1要素である場合において使用するための、レチノイドアンタゴニスト、特に請求項2または3のいずれか1項に記載したようなもの、その製剤学的に認容性のエステルまたはアミド、またはこれらの製剤学的に認容性の塩。
【請求項17】
一次進行型ステージの多発性硬化症の治療において使用するための、レチノイドアンタゴニスト、特に請求項2または3のいずれか1項に記載したようなもの、その製剤学的に認容性のエステルまたはアミド、またはこれらの製剤学的に認容性の塩。
【請求項18】
再発寛解型ステージの多発性硬化症の治療において使用するための、レチノイドアンタゴニスト、特に請求項2または3のいずれか1項に記載したようなもの、その製剤学的に認容性のエステルまたはアミド、またはこれらの製剤学的に認容性の塩。
【請求項19】
二次進行型ステージの多発性硬化症の治療において使用するための、レチノイドアンタゴニスト、特に請求項2または3のいずれか1項に記載したようなもの、その製剤学的に認容性のエステルまたはアミド、またはこれらの製剤学的に認容性の塩。
【請求項20】
急性期のステージの多発性硬化症の治療、特に炎症が該疾患の症状発現の1要素である場合において使用するための、レチノイドアンタゴニスト、特に請求項2または3のいずれか1項に記載したようなもの、その製剤学的に認容性のエステルまたはアミド、またはこれらの製剤学的に認容性の塩。
【請求項21】
それぞれの多発性硬化症ステージが炎症プロセスに関わる請求項16に記載の多発性硬化症、または請求項17から20までのいずれか1項に記載にステージの多発性硬化症の治療において使用するための、レチノイドアンタゴニスト、特に請求項2または3に記載したようなもの、その製剤学的に認容性のエステルまたはアミド、またはこれらの製剤学的に認容性の塩。
【請求項22】
レチノイドアンタゴニスト、その製剤学的に認容性のエステル、製剤学的に認容性のアミドおよび/またはこれらの製剤学的に認容性の塩、特に請求項2または3のいずれか1項に記載したようなものを、多発性硬化症の治療に有効な量で、有利には請求項13に記載の用量で、このような治療を必要とするホ乳類、特にヒトに投与することから成る、多発性硬化症、特に炎症が該疾患の症状発現の1要素である場合の治療方法。
【請求項23】
レチノイドアンタゴニスト、その製剤学的に認容性のエステル、製剤学的に認容性のアミドおよび/または製剤学的に認容性の塩、特に請求項2または3のいずれか1項に記載したようなもの、および製剤学的に認容性のキャリヤー材料を有する、多発性硬化症、特に炎症が該疾患の症状発現の1要素である場合を治療するための製剤学的調製物。

【公表番号】特表2008−508209(P2008−508209A)
【公表日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−522966(P2007−522966)
【出願日】平成17年7月16日(2005.7.16)
【国際出願番号】PCT/EP2005/007763
【国際公開番号】WO2006/010504
【国際公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【出願人】(506426177)
【氏名又は名称原語表記】Werner Bollag
【住所又は居所原語表記】Birmannsgasse 14A, CH−4055 Basel, Switzerland
【Fターム(参考)】