説明

多発性硬化症の組み合せ治療

本発明は多発性硬化症の治療に関し、単球及び白血球の内皮細胞への接着を遮断する抗-α-4インテグリン抗体等の第二の薬剤との組み合せにある、リンパ球の数を減じる2-クロロ-2'-デオキシアデノシン(2-CdA)等の第一の薬剤を、それらを必要とする患者に投与することを含んで成る。抗-α-4インテグリン抗体と組み合された2-CdAの使用は、それぞれ単独での処置よりもMSに有効であり得る。更に、当該組み合せ治療は、個々の薬剤に付随する任意の副作用を抑制して、同一の治療効果を維持するために、1種以上の薬剤の投与量を減じまたは変化させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単球の数を減じる薬理学的活性を有する第一の薬物及び内皮細胞への単球と白血球の接着を遮断する第二の薬物により特徴付けられる薬剤の組み合せを、それらを必要とする患者に投与することによる多発性硬化症(MS)を治療するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多発性硬化症(MS)は、進行性の神経性自己免疫性疾患であり、米国だけでも250,000〜350,000人が罹患している。それは脳及び脊髄における脱髄をもたらす。ヒトにおける中枢神経系(CNS)の慢性炎症性脱髄疾患がもっとも広く知られている。疾患の始まりは、典型的に20歳から40歳の間で発症し、女性の罹患率は男性の2倍である。MSの始まりはCNS機能障害の最初の神経性徴候の発症によって定義付けられる。この脱髄による徴候は、衰弱、視覚障害、協調運動失調、パラテーゼ(parathesis)(異常なうずき)、CNS炎症、脳萎縮及び認識機能障害を含む。性機能障害及び括約筋機能障害もまた見られる。疾患の経過は予測不能であるが、しばしば徴候の再燃、その後の緩和のサイクルで進行する。緩和は長さにおいて変化し、そして数年間持続するが、永続的であることは稀である。脳脊髄液(CSF)分析及び磁気共鳴映像法(MRI)の進歩は、診断プロセスを簡易化し、そして早期の診断を促進させた(Noseworthy等, NEJM, 2000, 343(13):938-952)。
【0003】
MSは疾患の4つの経過:再発-寛解(RR)-、二次進行性(SP)-、一次進行性(PP)-及び進行性再発(PR)-MSによって分類され得る。80%を超える患者は、最初に神経症状の臨床的再燃を呈するRR経過を示し、その後、完全、または完全ではない回復が続くだろう(Lublin及びReingold, Neurology, 1996, 46:907-911)。RRMSの間、障害(disability)の蓄積は、再発からの不完全な回復をもたらす。RRMSを有する患者のおよそ半分は、発症後約10年以内にSPMSに移行する。SP段階の間の、障害の悪化は、再燃後、後遺症の蓄積をもたらすだけでなく、再燃の間の潜行性の進行をももたらす(Lublin及びReingold、上記)。MS患者の10%が疾患のPP経過を呈し、それは疾患の発症からの徴候の潜行性の進行によって特徴づけられる。5%未満の患者がPRMSを有し、且つPPMS患者と同じ不良な予後を共有する。
【0004】
確かな発症メカニズムは多様な患者のサブグループに関与し、且つ疾患分類及び治療のために幅広い意味を有し得ることが示唆されている(Lassmann等, 2001, Trends MoI. Med., 7, 115-121; Lucchinetti等. 2001, Curr. Opin. Neurol., 14, 259-269)。しかし、MSの病因は知られておらず、多くの研究では、MSの進行及び/または再燃において、活性化T細胞の存在中で、活性化単球及びマクロファージを関連させた(Fredrickson等., 1987, Acta. Neurol. Scand, 75 :352-355 ; Huber等, 1984, J. Exp. Med, 160 :310-316)。顕微鏡レベルでは、単球、小膠細胞(CNSのマクロファージ)、及び活性化T-細胞はMSが再燃する間の神経細胞の脱髄領域中で見出される(Cecil, Textbook of Medicine (1979), Beeson等. (eds.), W.B. Saunders Co., Philadelphia, PA.)。活性化リンパ球は及びマクロファージは、急性炎症性脳病変の発病及びMSに付随する血液脳関門(BBB)の機能停止に関連している(Coles等. 1999, Ann. Neurol. 46(3): 296-304)。
【0005】
炎症性細胞の存在と疾患進行の関連性の観点では、MSの最新の医薬は、疾患修飾処置(disease-modifying treatment)、即ち、MSの経過を修飾するものであり、免疫系を調節または抑制することによって作用する。RRMSのための4種のFDAに認可された免疫調節剤:3種のβインターフェロン(Betaseron(商標)、Berlex;Avonex(商標)、Biogen;Rebif(商標)、Serono)及び酢酸グラチラマー(Glatimer aceate)(Copaxone(商標)、Amgen)がある。悪化しているMSのために更に1種のFDAに認可された免疫抑制剤ミトキサントロン(Novantrone(商標)、Amgen)がある。しかしながら、これらの薬物が実際に疾患の進行を予防するか否か、またはそれらの効果が長期に渡り持続し得るか否かは不明である。更に、少数の患者ではインフルエンザに似た症状、及びいくかの症例では、脱毛、血液細胞異常、及びうつ病等の副作用に耐えることができない(Fillippini等. Interferons in relapsing remitting multiple sclerosis: a systematic review. Lancet, 361:545-552, 2003)。
【0006】
a. 2-クロロ-2'-デオキシアデノシン
多様な更なる薬剤がMS治療のための臨床試験にある。特に塩素化プリンアナログ2-クロロ-2'-デオキシアデノシン(2-CdA)は、MSの治療に有用であることが示唆されている(EP 626853B1及びUS 5,506,214)。その作用の様式は、活性化された単球及びマクロファージについての薬理学的活性に起因し得る。いくつかの臨床試験では、2-CdAがMS患者に静脈内投与及び皮下投与されることを発表している。MS治療のための経口剤の有効量も発表されている(US 5,506,214)。
【0007】
2-CdAを用いた2つのダブルブラインド、プラセボコントロールフェーズII試験が、進行性MSの治療においてそれぞれ実施された(Selby等, 1998, Can. J. Neurol. Sd., 25: 295-299)及びRRS(Romine等., 1999, Proc. Assoc. Amer. Phys., 111(1): 35-44)。第一の試験では、7日間、0.1 mg/kgの用量で、4ヶ月間、継続して静脈内注射がされた。第二の試験では、2-CdAは、5日間、0.07 mg/kgの用量で、皮下注射された。プラセボコントロールフェーズIII試験が、PPMS及びSPMSを有する患者で実施された。この試験では、患者は皮下注射によって、0.07 mg/kgの用量で、2ヶ月間または6ヶ月間、2-CdAを受けた。
【0008】
上記臨床試験では、Kuzke Extended Disability Status Scale (EDSS)、Scripps Neurologic Rating Scale (SNRS)スコア及びMRI発見の観点において、MS患者における2-CdA治療の効果が実証された(Beutler等, 1996, PNAS USA, 93:1716- 1720; Romine等, 1999,上記)。このフェーズII試験では、2-CdAがMRI測定脳病変を有意に減少させることを示した(Rice等, 2000,上記)。欠陥がある免疫機能に関連した増加した感染症または骨髄抑制等のいくつかの副作用が、最高用量で観察された(Selby等, 1998,上記; Beuler等 1994, Acta hematol, 91: 10-15)。有効量と副作用発生の間の安全域は狭かったので、MS治療のための2-CdAの経口投与経路は排除された(Beutler等, 1996, Sem. In Hematol, 33 1(Sl): 45-52)。
【0009】
b. 抗-α-4インテグリン抗体
MS治療のための臨床試験にある更なる薬剤は、インテグリンスーパーファミリーのα-4鎖に特異的であるヒト化モノクローナル抗体である。α-4-β-1インテグリン(VLA-4)は、活性化したリンパ球及び単球の細胞外表面で発現し、急性炎症性脳病変の発病及びMSに付随する血液脳関門(BBB)の機能停止に関連している(Coles等.上記)。α-4インテグリンに対する薬剤は、それらの抗炎症能に関して、in vitro 及び動物モデルのin vivo の両方で試験された(Yednock等., 1992, Nature, 356: 63-66; US 5,840,229; US 6,001,809)。In vitroでの実験では、抗-α-4インテグリン抗体がリンパ球の脳内皮への付着を遮断することが実証された(Tubridy等., 1999, Neurology, 53(3), 466-472)。MSの動物モデルである、実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)における実験では、抗-α-4インテグリン抗体の投与は、脳の炎症を予防し、その後の動物における麻痺が実証された。まとめると、これらの実験は、BBBを越える炎症性細胞のトラフィッキングを予防するような、MS治療のために潜在的に有用な治療剤としての抗-α-4剤を特定する。
【0010】
フェーズIII試験では、月一回の300mgの抗-α-4抗体の単回投与が、MS病変を有意に減少させることを示した。この試験において見られた過敏性型反応を含む副作用は、免疫グロブリンに関連し、そしてこの事実は当該薬剤が抗体であることに起因するだろう。報告されてはいないが、抗体治療等のタンパク質療法による重要な問題は、免疫応答の誘発、及びその後の慢性的な投与の困難性を生む治療に対する中和抗体の発達である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
MS治療において、近年いくつかの進展はあるが、有効性を改善し且つ副作用を軽減する治療剤の開発を促進するために更なる改良が成される必要がある。従って、当業界では、改良されたMS治療の必要性が存在する。本発明はこれらの必要性を満たし、そして更に他の関連した利点を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
発明の概要
本発明は、多発性硬化症を治療するための新規の薬剤の組み合せの使用に関する。
【0013】
本発明は、第一の薬剤及び第二の薬剤をそれらを必要とする患者に投与することを含んで成り、前記第一の薬剤はリンパ球の数を減少させる薬理学的特質を有し、そして前記第二の薬剤は単球及び白血球の内皮細胞への接着を遮断する。
【0014】
本発明の1つの態様は、前記第一の薬剤が2-CdAであり、且つ前記第二の薬剤が抗-α-4インテグリン抗体である。
【0015】
本発明の更なる態様は、必要とされるいずれか、または両方の薬剤の有効量を減少させて、多発性硬化症の治療において最大の治療的利益を提供する。
【0016】
本発明の更なる態様は、多発性硬化症を治療するために使用される、第一の薬剤及び第二の薬剤を含んで成る医薬組成物を提供し、前記第一の薬剤はリンパ球の数を減少させる薬理学的特質を有し、且つ前記第二の薬剤は単球及び白血球の内皮細胞への接着を遮断する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
発明の詳細な説明
本発明はMSを治療するための方法に関し、2-CdA及び抗-α-4インテグリン抗体をそれらを必要とする患者に投与することを含んで成る。2-CdA及び抗-α-4インテグリン抗体はMS治療のためにそれぞれ個別に使用されてきたが、これらの薬剤はMS治療のために組み合せて使用されてきてはいない。2-CdAと抗-α-4インテグリン抗体を組み合せることは、個々の薬剤を単独で投与するよりもMS治療においてより有効である。更に、組み合せ治療は、治療的薬効を生み出すことが要求される単剤または両剤の投与量を減じること、または治療的薬効を生み出すことが要求される治療期間を減じることを可能にする。単剤または両剤の投与量を減じることは、個々の薬剤の投与に付随する副作用(免疫グロブリン関連過敏性反応及び/または抗-α-4インテグリン抗体に対する免疫応答等)も減じ得る。
【0018】
理論に拘束されずに、薬剤の組み合せは相乗効果を提供し得る。薬剤の相乗効果は個々の薬剤のそれぞれの異なる作用メカニズムに起因し得る。2-CdAはリンパ球の数を減じる医薬効果を有し、一方、抗-α-4インテグリン抗体は単球及び白血球の内皮細胞への接着を遮断する。それは特に本発明の方法がリンパ球の数を減じさせる2-CdA以外の薬剤、及びα-4サブユニットを含むインテグリンと特異的に結合し、且つ当該インテグリンの活性を阻害する抗-α-4インテグリン抗体以外の薬剤の使用を含むことを意図する。
【0019】
本発明の1つの観点によれば、第一の薬剤及び第二の薬剤を、それを必要とする患者に投与することを含む多発性硬化症を治療するための方法が提供され、前記第一の薬剤はリンパ球の数を減じる薬理学的特性を有し、且つ前記第二の薬剤は単球及び白血球の内皮細胞への接着を遮断する。
【0020】
本発明の1つの観点によれば、第一の薬剤及び第二の薬剤を、それを必要とする患者に投与することを含む多発性硬化症を治療するための方法が提供され、前記第一の薬剤は医薬製剤であり、またリンパ球の数を減じる薬理学的特質を有し、且つ前記第二の薬剤は医薬製剤であり、単球及び白血球の内皮細胞への接着を遮断する。
【0021】
更なる観点によれば、前記第一の薬剤が2-クロロ-2'-デオキシアデノシンまたは医薬的に許容され得るそれらの塩である、本発明に係る方法が提供される。
【0022】
更なる観点によれば、前記第二の薬剤が抗-α-4インテグリン抗体である、本発明に係る方法が提供される。
【0023】
更なる観点によれは、前記第二の薬剤がモノクローナル抗体である、本発明に係る方法が提供される。
【0024】
更なる観点によれは、前記第二の薬剤がキメラ抗体である、本発明に係る方法が提供される。
【0025】
更なる観点によれは、前記第二の薬剤がヒト抗体である、本発明に係る方法が提供される。
【0026】
更なる観点によれは、前記第二の薬剤がヒト化抗体である、本発明に係る方法が提供される。
【0027】
更なる観点によれは、前記第二の薬剤が一本鎖抗体である、本発明に係る方法が提供される。
【0028】
更なる観点によれは、前記第二の薬剤が抗体Fabフラグメントである、本発明に係る方法が提供される。
【0029】
更なる観点によれは、前記組成物が準最適用量の前記第一の薬剤及び有効量の前記第二の薬剤を含んで成る、本発明に係る方法が提供される。
【0030】
更なる観点によれは、前記組成物が有効量の前記第一の薬剤及び準最適用量の前記第二の薬剤を含んで成る、本発明に係る方法が提供される。
【0031】
更なる観点によれは、前記組成物が準最適用量の前記第一の薬剤及び第二の薬剤を含んで成る、本発明に係る方法が提供される。
【0032】
更なる観点によれは、前記第一の薬剤及び第二の薬剤が同時に投与される、本発明に係る方法が提供される。
【0033】
更なる観点によれは、前記第一の薬剤及び第二の薬剤が連続して投与される、本発明に係る方法が提供される。
【0034】
更なる観点によれば、請求項1または2に記載された薬剤及び前記薬剤を使用するための指示書を含む、多発性硬化症を治療するためのキットが提供される。
【0035】
更なる観点によれば、多発性硬化症を治療するために使用される、リンパ球の数を減じる薬理学的特質を有する第一の薬物、及び単球及び白血球の内皮細胞への接触を遮断する第二の薬剤を含んで成る医薬組成物が提供される。
【0036】
更なる観点によれば、多発性硬化症を治療するために使用される、第一の薬剤として、リンパ球の数を減じる薬理学的特質を有する医薬製剤、及び第二の薬剤として、単球及び白血球の内皮細胞への接着を遮断する医薬製剤を含んで成る組成物が提供される。
【0037】
他の観点によれば、炎症性または自己免疫性疾患を治療するための医薬を調製するための活性剤の組み合せの使用が提供され、前記活性剤の組み合せは:
(a) リンパ球の数を減じる薬剤;
(b) 単球及び白血球の内皮細胞への接着を遮断する薬剤、を含んで成る。
【0038】
他の観点によれば、前記薬剤(a)が2-クロロ-2'-デオキシアデノシンまたはそれらの医薬的に許容され得る塩である、本発明に係る使用が提供される。
【0039】
他の観点によれば、前記薬剤(b)が抗-α-4インテグリン抗体である、本発明に係る使用が提供される。
【0040】
他の観点によれば、前記抗-α-4インテグリン抗体がモノクローナル抗体である、本発明に係る使用が提供される。
【0041】
他の観点によれば、前記抗-α-4インテグリン抗体がキメラ抗体である、本発明に係る使用が提供される。
【0042】
他の観点によれば、前記抗-α-4インテグリン抗体がヒト抗体である、本発明に係る使用が提供される。
【0043】
他の観点によれば、前記抗-α-4インテグリン抗体がヒト化抗体である、本発明に係る使用が提供される。
【0044】
他の観点によれば、前記抗-α-4インテグリン抗体が一本鎖抗体である、本発明に係る使用が提供される。
【0045】
他の観点によれば、前記抗-α-4インテグリン抗体が抗体Fabフラグメントである、本発明に係る使用が提供される。
【0046】
他の観点によれば、前記組み合せが準最適用量の薬剤(a)及び有効量の薬剤(b)を含んで成る、本発明に係る使用が提供される。
【0047】
他の観点によれば、前記組み合せが有効量の薬剤(a)及び準最適用量の薬剤(b)を含んで成る、本発明に係る使用が提供される。
【0048】
他の観点によれば、前記組み合せが準最適用量の薬剤(a)及び薬剤(b)を含んで成る、本発明に係る使用が提供される。
【0049】
他の観点によれば、前記薬剤(a)及び薬剤(b)が同時に使用される、本発明に係る使用が提供される。
【0050】
他の観点によれば、前記薬剤(a)及び薬剤(b)が連続して使用される、本発明に係る使用が提供される。
【0051】
他の観点によれば、前記自己免疫性疾患が多発性硬化症である、本発明に係る使用が提供される。
【0052】
他の観点によれば、(a)2-クロロ-2'-デオキシアデノシンまたは医薬的に許容され得るそれらの塩、(b)抗-α-4インテグリン抗体、及び前記薬剤を使用するための指示書を含む、多発性硬化症を治療するためのキットが提供される。
【0053】
他の観点によれば、(a)2-クロロ-2'-デオキシアデノシンまたは医薬的に許容され得るそれらの塩、(b)抗-α-4インテグリン抗体;及びそれらの医薬的に許容され得る担体、希釈剤または賦形剤を含んで成る医薬組成物が提供される。
【0054】
1. 定義
本明細書において使用される"治療継続期間"とは、治療初日から治療終了時までの本発明に係る2-CdA及び抗-α-4インテグリン抗体の投与期間を言う。
【0055】
本明細書において使用される"有効量(effective amount)"とは、抗-α-4インテグリン抗体との組み合せにある2-CdAの投与計画について本明細書において使用される場合、他の薬剤が存在せずに投与された場合に、それぞれ個々の薬剤が単剤として投与された場合に有効であり得る最大のMS治療をもたらす、2-CdAまたは抗-α-4インテグリン抗体のいずれかの量を言う。
【0056】
本明細書において使用される"有効性(efficacy)"とは、投与計画の文脈において使用される場合、特定の治療計画の効果を言う。有効性は、本発明の投与計画に対する応答における疾患の経過中の変化に基づき測定され得る。例えば、MS治療の有効性は、RRMSにおける再発の頻度及びMRI等の方法を用いて検出されるCNS中の新しい病変の存在または不存在によって測定され得る。
【0057】
本明細書で使用される"免疫応答を誘発する"及び"免疫応答を誘発している"とは、当該薬剤が導入された対象における抗-α-4インテグリン抗体に対する免疫応答の産生を意味する。対象における免疫応答は、抗-α-4インテグリン抗体との血清の反応性によって特徴付けられ、それは未処置の対象の少なくとも2倍、より好適には未処置の対象の3倍、及び更により好適には未処置の対象の少なくとも4倍の反応性である。
【0058】
本明細書で使用される"治療の終了"とは、患者が2-CdA及び/または抗-α-4インテグリン抗体を免除される初日を意味する。
【0059】
本明細書で使用される"との組み合せにある"とは、2-CdA及び抗-α-4インテグリン抗体の投与の説明に用いる場合、2-CdAが抗-α-4インテグリン抗体の投与前、投与時、投与後に投与され得ることを意味する。
【0060】
本明細書において使用される"病的な炎症"とは、MSに付随する不適切且つ慢性の炎症(特に更なる脱髄を阻害する)を意味する。かかる炎症は、浸潤白血球を含む炎症性細胞の高められた応答によって特徴付けられる。時間が経てば、かかる病的な炎症は、しばしば不適切な炎症領域中の組織、即ちCNS組織の損傷をもたらす。
【0061】
本明細書において使用される"緩和"とは、患者が疾患の徴候の減少または安定化を経験するMS進行の経過周期を意味する。これはCNS病変の部分的治癒の周期、及び/またはCNS炎症の減少であってよい。
【0062】
本明細書で使用される"特異的に結合する"とは、特異的な結合対の一方が、その特異的結合パートナー以外の分子(例えば、その結合パートナーに対しては約1000倍以上の親和性)に任意の有意な結合を示さない状況を意味する。
【0063】
本明細書で使用される"準最適用量"とは、抗-α-4インテグリン抗体との組み合せにおける2-CdAの投与計画の文脈で使用される場合、2-CdAまたは抗-α-4インテグリン抗体のいずれかの投与量を意味し、上記定義した有効量に満たない量である。
【0064】
本明細書で使用される"実質的に相同(substantially homologous)"とは、配列中に変化を有する任意のポリペプチドを意味する。つまり、官能的に同等のアミノ酸は、ポリペプチド中の1つ以上のアミノ酸に置き換わることによって、当該ポリペプチドの結合特質に影響を及ぼさず、または殆ど影響を及ぼさない変化を生み出す。例えば、配列中の一つ以上のアミノ酸残基は類似の極性の他のアミノ酸によって置換され得る。
【0065】
本明細書で使用される"処置、治療"及び"処置する、治療する"等の表現は、一般的に所望される薬理学的及び生理学的効果を得ることを意味する。当該効果は、それらの疾患、徴候または症状を予防または部分的に予防する観点において予防的であってよく、及び/または疾患、症状、徴候、もしくは当該疾患に起因する副作用の部分的治癒または完全な治癒の観点において治療的であってよい。本明細書で使用される用語"処置、治療"とは、哺乳動物、特にヒトにおける疾患の任意の処置、治療をカバーし、そして:(a)罹患しやすいが、まだ罹患していると診断されていない対象における疾患の発症を予防し;(b)疾患を阻害し、即ち疾患の発達を阻み;または疾患を軽減し、即ち疾患及び/またはその徴候或いは症状の退行を引き起こす、ことを含んで成る。
【0066】
2. 組み合せ
本発明に係る2-CdAは、抗-α-4インテグリン抗体との組み合せにおいて投与される。当該薬剤の投与量は、それぞれ有効量であってよい。好適には、少なくとも1つの薬剤の投与量は準最適用量である。より好適には、それぞれの薬剤の投与量は、準最適用量である。
【0067】
当該2つの薬剤は、互いに同時または連続して投与され得る。同時に投与される場合、これらの薬剤は同一の組成物中または異なる組成物中に製剤化され得る。当該2つの薬剤が同一の製剤の部分として投与されない場合は、当該2つの薬剤は同一または異なる投与経路によって投与され得る。2-CdA及び抗-α-4インテグリン抗体の相対投与(relative administration)は、特定の投与経路及び/または個々の成分の製剤に依存し得る。2-CdA 及び抗-α-4インテグリン抗体の相対投与は、患者が徴候の緩和または再燃を経験しているか否かに依存して相違し得る。
【0068】
薬剤の組み合せは、1以上の治療周期のために投与され得る。個々の治療サイクルは、制限されずに、約2ヶ月〜6ヶ月を含む任意の期間であってよく、ここで2-CdAは、1日約1〜2回、1月で計約5〜7日間投与され、そして抗-α-4インテグリン抗体は、1月周期ごとに約1回、または1月ごとに約1〜4回、または1週ごとに約1回投与される。また月周期の数は約6〜約12であってよく、または12を超えてよい。月周期の数は、MSの経過(例えば患者がRR-またはSPMSを経験しているか否か)及び患者が徴候の緩和または再燃を経験しているか否か、に応じて変化されてよい。
【0069】
3. 2-CdA
2-CdA及びその薬理学的に許容され得る塩は、本発明の実行において使用され得る。2-CdAを調製するための方法は当業界において周知である。例えば2-CdAの調製は、欧州特許出願No.173,059 A2及びRobins等, J. Am. Chem. Soc, 1984, 106: 6379、WO 04/028462、US 5,208,327及びWO 00/64918において発表されている。或いは2-CdAの医薬調製品は、Bedford Laboratories, Bedford, Ohioから購入できる。
【0070】
一般的に、2-CdAの投与量は、一定の基準に達するために、そして好適には所望される血漿中濃度を維持するために比較的広範囲に渡り変化させてよい。2-CdAの投与量は、約0.5 nM〜約50 nM、好適には約1 nM〜約10 nMの患者の血漿中濃度を提供するために十分であってよい。2-CdAの有効な一日投与量は、約0.04〜約1.0 mg/kg体重、より好適には約0.04〜約0.20 mg/kg/日、最適には約0.lmg/kg体重であってよい。2-CdAの更なる投与量はUS 5,506,214に発表され、その内容は参考文献によって本明細書に組み込まれている。
【0071】
4. 抗-α-4インテグリン抗体
抗-α-4インテグリン抗体はα-4サブユニットを含むインテグリンと特異的に結合し、且つインテグリンの活性を阻害し得る。更に当該抗体は、α-4インテグリン(例えばα-4-β-lまたはα-4-β-7)を含むインテグリンダイマーと結合し得る。抗-α-4インテグリン抗体は、α-4インテグリンまたはα-4インテグリンを含む受容体以外の任意のポリペプチドとの有意な結合を示し得ない。当該抗体は、107モル/1、またはより好適には108モル/リットル以上の結合親和性でα-4インテグリンに結合し得る。
【0072】
一般的に、抗-α-4インテグリン抗体の投与量は、一定の基準に達するため、そして好適には所望される血漿中濃度を維持するために比較的広範囲に渡り変化させてよい。抗-α-4インテグリン抗体の有効量は、MRIで検出される脳中の病変について最大の減少及び/または抑制を提供する投与量である。当該抗体の投与量は、少なくとも6ヶ月、より好適には12ヶ月の経過期間、そしておそらく数年間に渡り、月あたり約300 mg未満が投与され得る。他の好適な投与計画は、1月に、患者の体重1kg当たり3 mgである。抗-α-4インテグリン抗体の更なる投与量は米国特許公報2004/0009169に発表され、その内容は参考文献によって本明細書に組み込まれている。
【0073】
本発明の抗体は、IgG、IgM、IgA、IgD、及びIgEの分類の抗体、並びにFab and F(ab')2を含むそれらのフラグメント及び誘導体を含む。更に当該抗体は、制限されずに、一本鎖抗体、キメラ抗体製品、ヒト抗体、"ヒト化"抗体製品、及び"霊長類化"抗体製品、CDR-移植抗体製品、を含む組換え抗体製品であってよい。本発明の抗体は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、アフィニティー精製抗体、またはそれらの混合物を含み、特異的に抗-α-4インテグリンに対して十分に結合することを示す。更に当該抗体は抗体フラグメントであってもよい。当該抗体はWO 01/55210において発表されたものを含む標準技術を用いて生産してよく、その内容は参考文献によって本明細書に組み込まれている。
【0074】
また抗体の多くはラベルに付着させてよい。ラベルは当業界において公知のシグナル産生酵素、抗原、他の抗体、レクチン、炭水化物、ビオチン、アビジン、放射性同位体、毒素、重金属、及び他の組成物であってよい。付着技術は、当業界において周知である。
【0075】
更なる抗体は、当業界において入手可能な技術を用いて同定され得る。例えば、本発明のモノクローナル抗体は、ファージディスプレイ技術を用いて生産できる。その後、α-4インテグリンまたはα-4インテグリンを含むダイマーに選択的に結合する抗体フラグメントが単離される。ファージディスプレイを介する係る抗体を生産するための好適な方法の例は、米国特許No.6,225,447;6,180,336;6,172,197;6,140,471;5,969,108;5,885,793;5,872,215;5,871,907;5,858,657;5,837,242;5,733,743;及び5,565,332に開示され、その内容は参考文献によって本明細書に組み込まれている。
【0076】
当該抗体は、抗体全体または部分的抗体(例えば、一本鎖Fv)をコードするポリヌクレオチドを患者に投与することによって提供され得る。当該ポリヌクレオチドは、適宜ビヒクルにおいて対象に投与され、当該対象において治療有効量の抗体を発現させることを可能にする。
【0077】
5. 組成物
本発明の組成物は、1種以上の医薬的に許容され得る追加の成分、例えば、ミョウバン、安定剤、抗菌剤、緩衝剤、着色剤、香味剤、アジュバント等を更に含んでよい。
【0078】
本発明の組成物は、慣用方法において製剤化された錠剤またはロゼンジの形態にあってよい。例えば、経口投与のための錠剤及びカプセルは、制限されずに結合剤、充填剤、潤滑剤、崩壊剤及び湿潤剤を含む慣用的な賦形剤を含んでよい。結合剤は、制限されずにシロップ、アカシア、ゼラチン、ソルビトール、トラガカント、デンプン粘液及びポリビニルピロリドンを含む。充填剤は、制限されずにラクトース、糖、微晶性セルロース、トウモロコシデンプン、リン酸カルシウム、及びソルビトールを含む。潤滑剤は、制限されずにステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、タルク、ポリエチレングリコール、及びシリカを含む。崩壊剤は、制限されずに、ジャガイモデンプン、及びスターチグリコール酸ナトリウムを含む。湿潤剤は、制限されずに、ラウリル硫酸ナトリウムを含む。錠剤は当業界において周知な方法でコーティングしてよい。
【0079】
本発明の組成物は、制限されずに、水性または油性懸濁物、溶液、乳液、シロップ、及びエリキシルを含む液体製剤であってもよい。当該組成物は、使用前に水または他の適切なビヒクルにより構築される乾燥製品として製剤化されてもよい。かかる液体調製品は、制限されずに懸濁剤、乳化剤、非水性ビヒクル及び保存剤を含む添加剤を含んでよい。懸濁剤は、制限されずにソルビトールシロップ、メチルセルロース、グルコース/シュガーシロップ、ゼラチン、ヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ステアリン酸アルミニウムゲル、及び水素化食用脂を含む。乳化剤は、制限されずにレシチン、ソルビタンモノオレエート、及びアカシアを含む。非水性ビヒクルは、制限されずに食用油、アーモンド油、ヤシ油、油性エステル、プロピレングリコール、及びエチルアルコールを含む。保存剤は、制限されずにメチルまたはp-ヒドロキシ安息香酸プロピル及びソルビン酸を含む。
【0080】
本発明の組成物は、坐剤としても製剤化されてよく、それは制限されずにココアバターまたはグリセリドを含む坐剤の基剤を含んでよい。本発明の組成物は、吸入剤にも製剤化されてよく、それは制限されずに溶液、懸濁剤、または乳液を含む形態であってよく、乾燥パウダーとして、またはジクロロジフルオロメタンまたはトリクロロフルオロメタン等の推進剤を用いるエアロゾルの形態において投与されてよい。また本発明の組成物は、制限されずに、クリーム、軟膏、ローション、ペースト、薬用の石膏(medicated plaster)、パッチまたは膜を含む水性または非水性のビヒクルを含む経皮的な製剤に製剤化されてもよい。
【0081】
本発明の組成物は、制限されずに注射または継続注入を含む非経口投与のためにも製剤化され得る。注射用製剤は、油性または水性ビヒクル中の懸濁物、溶液、または乳液の形態であってもよく、そして制限されずに懸濁剤、安定剤、及び分散剤を含む薬剤製剤を含んでもよい。当該組成物は、制限されずに殺菌水、ピロゲン不存在水を含む適宜ビヒクルと共に再構築するためのパウダー形態においても提供され得る。
【0082】
本発明の組成物はデボー製剤としても製剤化されてよく、それは注入(implantation)または筋肉注射によって投与され得る。当該組成物は、適切なポリマー性材料または疎水性材料(例えば、許容され得るオイル中の乳液)、イオン交換樹脂と共に、またはやや溶けにくい誘導体(例えば、やや溶けにくい塩)として製剤化されてもよい。
【0083】
本発明の組成物は、リポソーム調製品としても製剤化されてよい。リポソーム調製品は、注目の細胞または角質層を通過し、そして細胞膜と融合し、細胞中へ含有物の運搬をもたらすリポソームを含むことができる。例えば、Yaroshの米国特許No.5,077,211、Redziniak等の米国特許No.4,621,023またはRedziniak等の米国特許No.4,508,703で発表されたようなリポソームが使用され得る。他の適切な製剤は、ニオソーム(niosome)を採用することができる。ニオソームは大きな非イオン性脂質から成る膜を有するリポソームに似た脂質ビヒクルであり、いくつかの形態は、角質層を横断する化合物を輸送するのに有効である。
【0084】
2-CdAの代表的な製剤は、US 6,194,395及びUS 5,506,214、WO 96/19230、WO 96/19229、WO 04/087100及びWO 04/087101に発表されており、その内容は参考文献によって本明細書に組み入れられている。
【0085】
6. 投与
本発明の組成物は、制限されずに、経口、非経口、経舌下、経皮、経直腸、経粘膜、局所、吸入を介する、口腔を介する投与、またはそれらの組み合せを含む任意の方法で投与され得る。非経口投与は、制限されずに、静脈内、動脈内、腹腔内、皮下、筋肉内、髄腔内、及び関節内を含む。本発明の組成物は、徐放組成物、及び遅延制御した(slow controlled) i.v.注入を可能にするインプラントの形態のおいても投与され得る。
【0086】
本発明は、本発明の範囲を限定することを意図するものではない、任意の方法における以下の実施例によって更に説明される。
【実施例】
【0087】
実施例1 多発性硬化症の治療
慢性多発性硬化症を有する60人の患者の試験が行われる。それぞれの患者は最初に正常な肝機能、腎機能、及び骨髄機能が検査され、ベースライン値が確立される。患者は、表1に挙げた治療群の1群に無作為に割り当てられる。
【表1】

【0088】
群2〜4及び8〜10のそれぞれの患者は、殺菌保存剤が存在しない等張生理食塩水に溶解した2-CdAで処置される。一方、群1及び5〜7の患者はプラセボ(生理食塩水)を受ける。2-CdAは、月1回計1年間、計7日間静脈投与される。群5〜10のそれぞれの患者は、ナタリズマブで処置され、また群1〜4はプラセボ(生理食塩水)を受ける。ナタリズマブは、2-CdA処置と同日の処置により、月1回計1年間、計7日間静脈内投与される。
【0089】
患者は、MSの進行に付随する脳病変の任意の進行または改善があるかどうかを決定するためにモニターされる。全ての患者はベースラインを有し、そしてMRIは12ヶ月で調査される(病変が局在する脳または脊髄)。
【0090】
群1〜3及び5の患者は、脳病変の増加を有す。群4及び6〜10の患者は、脳病変の減少を有す。重要なことは、群10の患者は、脳病変の大きな減少を示す。更に、群8の患者は、群4及び6の患者と類似した脳の病変の減少を有す。このデータは、2-CdAとナタリズマブの組み合せが、単独で投与されたいずれの薬剤よりも有効であることを示す。更に、当該データは2-CdAとナタリズマブの組み合せは、単独で投与された2-CdAまたはナタリズマブの無効な投与量で有効であることを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炎症性または自己免疫性疾患を治療するための医薬を調製するための活性剤の組み合せの使用であって、前記活性剤の組み合せが:
(a) リンパ球の数を減少させる薬剤;
(b) 単球及び白血球の内皮細胞への接着を遮断する薬剤を含んで成る、使用。
【請求項2】
前記薬剤(a)が2-クロロ-2'-デオキシアデノシンまたは医薬的に許容され得るそれらの塩である、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記薬剤(b)が 抗-α-4インテグリン抗体である、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
前記抗-α-4インテグリン抗体がモノクローナル抗体である、請求項3に記載の使用。
【請求項5】
前記抗-α-4インテグリン抗体がキメラ抗体である、請求項3に記載の使用。
【請求項6】
前記抗-α-4インテグリン抗体がヒト抗体である、請求項3に記載の使用。
【請求項7】
前記抗α-4インテグリン抗体がヒト化抗体である、請求項3に記載の使用。
【請求項8】
前記抗-α-4インテグリン抗体が一本鎖抗体である、請求項3に記載の使用。
【請求項9】
前記抗-α-4インテグリン抗体が抗体Fabフラグメントである、請求項3に記載の使用。
【請求項10】
前記組み合せが準最適用量の薬剤(a)及び有効量の薬剤(b)を含んで成る、請求項1〜9のいずれか1項に記載の使用。
【請求項11】
前記組み合せが有効量の薬剤(a)及び準最適用量の薬剤(b)を含んで成る、請求項1〜9のいずれか1項に記載の使用。
【請求項12】
前記組み合せが準最適用量の薬剤(a)及び薬剤(b)を含んで成る、請求項1〜9のいずれか1項に記載の使用。
【請求項13】
前記薬剤(a)及び薬剤(b)が同時に使用される、請求項1〜12のいずれか1項に記載の使用。
【請求項14】
前記薬剤(a)及び薬剤(b)が連続して使用される、請求項1〜13のいずれか1項に記載の使用。
【請求項15】
前記自己免疫性疾患が多発性硬化症である、請求項1〜14のいずれか1項に記載の使用。
【請求項16】
(a)2-クロロ-2'-デオキシアデノシンまたは医薬的に許容され得るそれらの塩、(b)抗-α-4インテグリン抗体及び前記薬剤を使用するための説明書を含んで成る多発性硬化症を治療するためのキット。
【請求項17】
(a)2-クロロ-2'-デオキシアデノシンまたは医薬的に許容され得るそれらの塩、(b)抗-α-4インテグリン抗体;及びそれらの医薬的に許容され得る担体、希釈剤、または賦形剤を含んで成る医薬組成物。

【公表番号】特表2008−524310(P2008−524310A)
【公表日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−547483(P2007−547483)
【出願日】平成17年12月20日(2005.12.20)
【国際出願番号】PCT/EP2005/056943
【国際公開番号】WO2006/067134
【国際公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【出願人】(504320031)ラボラトワール セローノ ソシエテ アノニム (14)
【Fターム(参考)】