説明

多目的トイレの操作スイッチの案内システム

【課題】 介助用車利用者も一般利用者も迷うことなく、多目的トイレの操作スイッチを的確に選択することができる、多目的トイレの操作スイッチの案内システムを提供する。
【解決手段】 介助用車利用者か一般利用者1かを検出するためのセンサー16と、このセンサー16からの出力に応じて前記介助用車利用者に適した操作スイッチ19か前記一般利用者1に適した操作スイッチ18の何れかを選択して表示する表示装置18A,19Aとを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多目的トイレの操作スイッチの案内システムに係り、特に、介助用車利用者と一般利用者とが共用する鉄道車両の多目的トイレの操作スイッチの案内システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
駅や公共建築物では、一般利用者用トイレと多目的トイレが別に設置されており、それぞれで操作方法は異なるが混乱することは少ない。しかし、鉄道車両の列車内トイレ、特に、近郊鉄道車両では、設置されているトイレが少なく、一般利用者用トイレと多目的トイレが兼用されていることが多い。
【0003】
また、トイレ内の人の有無の検出に関する提案(下記特許文献1参照)がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−241263号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記したように一般利用者用トイレと多目的トイレが兼用される場合には、多目的トイレの操作方法にあわせると、一般利用者が混乱することになる。例えば、車いすの人とその他の人では操作スイッチを押しやすい位置が異なるため、2つの操作スイッチの操作部が配置されることになり、どちらを操作すればよいのか迷うといった問題があった。
【0006】
本発明は、上記状況に鑑みて、介助用車利用者も一般利用者も迷うことなく、多目的トイレの操作スイッチを的確に選択することができる多目的トイレの操作スイッチの案内システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕多目的トイレの操作スイッチの案内システムにおいて、介助用車利用者か一般利用者かを検出するためのセンサーと、このセンサーからの出力に応じて前記介助用車利用者に適した操作スイッチか前記一般利用者に適した操作スイッチの何れかを選択して表示する表示装置とを具備することを特徴とする。
【0008】
〔2〕上記〔1〕記載の多目的トイレの操作スイッチの案内システムにおいて、前記センサーは多目的トイレ内の床に配置される圧力センサー装置であり、利用者によってかけられた圧力の検知数により介助用車利用者か一般利用者かを判別することを特徴とする。
【0009】
〔3〕上記〔2〕記載の多目的トイレの操作スイッチの案内システムにおいて、前記圧力センサー装置を前記多目的トイレ外部のドアの近傍の床にも設置することを特徴とする。
【0010】
〔4〕上記〔2〕記載の多目的トイレの操作スイッチの案内システムにおいて、前記圧力センサー装置を前記多目的トイレのドアレールの下にも設置することを特徴とする。
【0011】
〔5〕上記〔2〕記載の多目的トイレの操作スイッチの案内システムにおいて、前記圧力検知数が4ヶ所以上であれば介助用車利用者であり、前記圧力検知数が1ヶ所又は2ヶ所で変動する場合には一般利用者と判別することを特徴とする。
【0012】
〔6〕上記〔1〕記載の多目的トイレの操作スイッチの案内システムにおいて、前記センサーは、トイレ外壁の低い位置に配置された介助用車利用者のための操作スイッチ、またはトイレ外壁の高い位置に配置された一般利用者のための操作スイッチであり、これらの操作スイッチの操作により介助用車利用者か一般利用者かを判別することを特徴とする。
【0013】
〔7〕上記〔1〕記載の多目的トイレの操作スイッチの案内システムにおいて、前記センサーは前記多目的トイレの天井に配置される撮像装置付センサーであり、前記多目的トイレでの利用者の占有面積の大小により介助用車利用者か一般利用者かを判別することを特徴とする。
【0014】
〔8〕上記〔7〕記載の多目的トイレの操作スイッチの案内システムにおいて、前記利用者の占有面積が大の場合は介助用車利用者であり、前記利用者の占有面積が小である場合には一般利用者であると判別することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、介助用車利用者も一般利用者も迷うことなく、多目的トイレの操作スイッチを的確に選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施例を示す介助用車利用者と一般利用者の判別方法を説明する模式図である。
【図2】本発明の第1実施例を示す介助用車利用者と一般利用者とが兼用する多目的トイレの操作スイッチの案内システムの第1の態様を示す模式図である。
【図3】本発明の第1実施例を示す介助用車利用者と一般利用者とが兼用する多目的トイレの操作スイッチの案内システムの第2の態様を示す模式図である。
【図4】本発明の第2実施例を示す介助用車利用者と一般利用者とが兼用する多目的トイレの操作スイッチの案内システムの第1の態様を示す模式図である。
【図5】本発明の第2実施例を示す介助用車利用者と一般利用者とが兼用する多目的トイレの操作スイッチの案内システムの第2の態様を示す模式図である。
【図6】本発明の第3実施例を示す介助用車利用者と一般利用者とが兼用する多目的トイレの操作スイッチの案内システムの第1の態様を示す模式図である。
【図7】本発明の第3実施例を示す介助用車利用者と一般利用者とが兼用する多目的トイレの操作スイッチの案内システムの第2の態様を示す模式図である。
【図8】本発明の第4実施例を示す介助用車利用者と一般利用者とが兼用する多目的トイレの操作スイッチの案内システムの第1の態様を示す模式図である。
【図9】本発明の第4実施例を示す介助用車利用者と一般利用者とが兼用する多目的トイレの操作スイッチの案内システムの第2の態様を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の多目的トイレの操作スイッチの案内システムは、介助用車利用者か一般利用者かを検出するためのセンサーと、このセンサーからの出力に応じて前記介助用車利用者に適した操作スイッチか前記一般利用者に適した操作スイッチの何れかを選択して表示する表示装置とを具備する。
【実施例】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0019】
なお、本明細書においては、介助用車とは車椅子またはベビーカー等をさし、その介助用車を使用する者を介助用車利用者と定義する。
【0020】
図1は本発明の第1実施例を示す介助用車利用者と一般利用者の判別方法を説明する模式図である。
【0021】
この図に示すように、本実施例では、介助用車利用者であるベビーカー利用者3(ベビーカー2に乗っている子供と付添い人),車椅子利用者5と一般利用者1が兼用する多目的トイレの床6に圧力センサー装置7を配置し、その圧力センサー装置7からの圧力検知数を検出する。図1(a)に示すように、一般利用者1の場合は、歩行に伴って圧力検知数が1カ所又は2カ所変動するが、図1(b)に示すような介助用車利用者であるベビーカー利用者3又は車椅子利用者5の場合には、ベビーカー2又は車椅子4とがそれぞれ4輪車であるため、常時4カ所以上が床面に接しており圧力検知数は4カ所以上となる。
【0022】
このように、多目的トイレ内の床6に配置される圧力センサー装置7からの圧力検知数が1カ所又は2カ所と変動する場合には一般利用者と判断し、圧力検知数が常時4カ所以上検知されている場合には介助用車利用者3,5と判別する。
【0023】
図2は本発明の第1実施例を示す介助用車利用者と一般利用者とが兼用する多目的トイレの操作スイッチの案内システムの第1の態様を示す模式図、図3はその案内システムの第2の態様を示す模式図である。
【0024】
これらの図において、11は多目的トイレ、12はその多目的トイレ11の天井、13は多目的トイレ11の床、14は多目的トイレ11の便器、15は多目的トイレ11のドア、16は多目的トイレ11の床13に敷設される複数の素子からなる圧力センサー装置、17は圧力センサー装置16からの出力信号により圧力検知数を計測する制御装置、18は制御装置17に接続される一般利用者1の使用に適した操作スイッチ、18Aは操作スイッチ18の表示装置、19は制御装置17に接続される介助用車利用者3の使用に適した操作スイッチ、19Aは操作スイッチ19の表示装置である。
【0025】
一般利用者1が多目的トイレ11の中に入ると、多目的トイレ11の床13に敷設された複数の素子からなる圧力センサー装置16により一般利用者1の歩行に伴う圧力検知数が出力される。この場合には、利用者が一般利用者1であることを示す1ヶ所乃至2ヶ所の圧力が検出されるので、制御装置17からは一般利用者1の使用に適した操作スイッチ18の表示装置(表示灯)18Aへと出力信号が送られて、操作スイッチ18の表示装置18Aが駆動されて点灯する。
【0026】
したがって、一般利用者1は迷うことなく操作スイッチ18を操作することができる。
【0027】
一方、図3に示されるように、介助用車利用者3が多目的トイレ11の中に入ると、多目的トイレ11の床13に敷設された複数の素子からなる圧力センサー装置16により介助用車利用者3の通過に伴う圧力検知数が出力される。この場合には、利用者が介助用車利用者3であることを示す4ヶ所以上の圧力が検出されるので、制御装置17からは介助用車利用者3の使用に適した操作スイッチ19の表示装置19Aへと出力信号が送られて、操作スイッチ19の表示装置19Aが駆動されて点灯する。
【0028】
したがって、介助用車利用者3は迷うことなく操作スイッチ19を操作することができる。
【0029】
図4は本発明の第2実施例を示す介助用車利用者と一般利用者とが兼用する多目的トイレの操作スイッチの案内システムの第3の態様を示す模式図、図5はその案内システムの第4の態様を示す模式図である。
【0030】
この実施例では、圧力センサー装置16Aを多目的トイレ11の外のドア15の前に、または圧力センサー装置16Bをドア15のレール下に配置するように構成した。小型の多目的トイレ11ではトイレに入ってから圧力を検知し、利用者を判別するのでは案内システムの動作が遅くなる恐れがあるが、本実施例では多目的トイレ11の外のドア15前かドア15の通過時に検知するようにしたので、案内システムの動作が遅れることはない。このドア15前の圧力センサー装置16Aまたはドアレール上の圧力センサー装置16Bにより利用者の判別が行われた場合、多目的トイレ11内での圧力センサー装置16の動作は無効になるように制御装置17で制御する。介助用車利用者3か一般利用者1かの判別は、多目的トイレ外では上記した第1実施例と同様に行い、ドア15のレール上では2ヶ所が常に検知されていれば介助用車利用者と判断し、その他の場合は一般利用者と判定する。
【0031】
図6は本発明の第3実施例を示す介助用車利用者と一般利用者とが兼用する多目的トイレの操作スイッチの案内システムの第5の態様を示す模式図、図7はその案内システムの第6の態様を示す模式図である。
【0032】
この実施例では、多目的トイレ11外の高い位置に第1の操作ボタン20Aを、低い位置に第2の操作ボタン20Bを配置する。
【0033】
そこで、一般利用者1によって第1の操作ボタン20Aが操作されると、トイレ内では一般利用者1の使用に適した操作スイッチ18の表示装置18Aが点灯する。一方、介助用車利用者3によって第2の操作ボタン20Bが操作されると、トイレ内では介助用車利用者3の使用に適した操作スイッチ19の表示装置19が点灯する。
【0034】
よって、利用者1,3は迷うことなく、それぞれの操作スイッチを操作することができる。
【0035】
図8は本発明の第4実施例を示す介助用車利用者と一般利用者とが兼用する多目的トイレの操作スイッチの案内システムの第5の態様を示す模式図、図9はその案内システムの第6の態様を示す模式図である。
【0036】
これらの図において、21は多目的トイレ、22はその多目的トイレ21の天井、23は多目的トイレ21の床、24は多目的トイレ21の便器、25は多目的トイレ21のドア、26は多目的トイレ21の天井22に配置される撮像装置付きセンサー、27は撮像装置付きセンサー26に接続される利用者の占有面積を求める制御装置、28は一般利用者1の使用に適した操作スイッチ、28Aは操作スイッチ28の表示装置、29は介助用車利用者3の使用に適した操作スイッチ、29Aは操作スイッチ29の表示装置である。
【0037】
この実施例では、多目的トイレ21の天井22に撮像装置付センサー26を配置して、多目的トイレ21内での利用者の占有面積を求める。図8に示すように、一般利用者1の場合は、撮像装置付センサー26によって得られる一般利用者1の占有面積は頭と肩によるものだけであるので、その占有面積は小さい。したがって、制御装置27からの出力信号は、一般利用者の使用に適した操作スイッチ28に送られ、操作スイッチ28の表示装置28Aが駆動され点灯する。
【0038】
したがって、一般利用者1は迷うことなく操作スイッチ28を操作することができる。
【0039】
一方、図9に示されるように、介助用車利用者3が多目的トイレ21の中に入ると、多目的トイレ21の天井22に配置された撮像装置付きセンサ26からの出力信号は制御装置27に送らる。介助用車利用者3の多目的トイレ21内での占有面積は介助用車利用者3の頭や肩の面積に加えて車椅子等(ここではベビーカー2)の面積が加わるので、一般利用者の占有面積に比べると大きなものとなる。したがって、制御装置27からの出力信号は、介助用車利用者3の使用に適した操作スイッチ29に送られ、操作スイッチ29の表示装置29Aが駆動されて点灯する。
【0040】
したがって、介助用車利用者3は迷うことなく操作スイッチ29を操作することができる。
【0041】
このように、第4実施例では、撮像装置付きセンサー26によって求められる利用者の占有面積の大小により介助用車利用者なのか一般利用者なのかが判別され、いずれの利用者も操作すべき操作スイッチを迷うことなく確実に操作することができる。
【0042】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明の多目的トイレの操作スイッチの案内システムは、鉄道車両に設置される多目的トイレにおける操作スイッチの案内システムとして利用可能である。
【符号の説明】
【0044】
1 一般利用者(一般歩行者)
2 ベビーカー
3,5 介助用車利用者
4 車椅子
6,13,23 多目的トイレの床
7,16,16A,16B 圧力センサー装置
11,21 多目的トイレ
12,22 多目的トイレの天井
14,24 多目的トイレの便器
15,25 多目的トイレのドア
17,27 制御装置
18,28 一般利用者の使用に適した操作スイッチ
18A,19A,28A,29A 操作スイッチの表示装置
19,29 介助用車利用者の使用に適した操作スイッチ
20A トイレ外壁の高い位置の第1の操作ボタン
20B トイレ外壁の低い位置の第2の操作ボタン
26 撮像装置付きセンサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)介助用車利用者か一般利用者かを検出するためのセンサーと、
(b)該センサーからの出力に応じて前記介助用車利用者に適した操作スイッチか前記一般利用者に適した操作スイッチの何れかを選択して表示する表示装置とを具備することを特徴とする多目的トイレの操作スイッチの案内システム。
【請求項2】
請求項1記載の多目的トイレの操作スイッチの案内システムにおいて、前記センサーは多目的トイレ内の床に配置される圧力センサー装置であり、利用者によってかけられた圧力の検知数により介助用車利用者か一般利用者かを判別することを特徴とする多目的トイレの操作スイッチの案内システム。
【請求項3】
請求項2記載の多目的トイレの操作スイッチの案内システムにおいて、前記圧力センサー装置を前記多目的トイレ外部のドアの近傍の床にも設置することを特徴とする多目的トイレの操作スイッチの案内システム。
【請求項4】
請求項2記載の多目的トイレの操作スイッチの案内システムにおいて、前記圧力センサー装置を前記多目的トイレのドアレールの下にも設置することを特徴とする多目的トイレの操作スイッチの案内システム。
【請求項5】
請求項2記載の多目的トイレの操作スイッチの案内システムにおいて、前記圧力検知数が4ヶ所以上であれば介助用車利用者であり、前記圧力検知数が1ヶ所又は2ヶ所で変動する場合には一般利用者と判別することを特徴とする多目的トイレの操作スイッチの案内システム。
【請求項6】
請求項1記載の多目的トイレの操作スイッチの案内システムにおいて、前記センサーは、トイレ外壁の低い位置に配置された介助用車利用者のための操作スイッチ、またはトイレ外壁の高い位置に配置された一般利用者のための操作スイッチであり、これらの操作スイッチの操作により介助用車利用者か一般利用者かを判別することを特徴とする多目的トイレの操作スイッチの案内システム。
【請求項7】
請求項1記載の多目的トイレの操作スイッチの案内システムにおいて、前記センサーは前記多目的トイレの天井に配置される撮像装置付センサーであり、前記多目的トイレでの利用者の占有面積の大小により介助用車利用者か一般利用者かを判別することを特徴とする多目的トイレの操作スイッチの案内システム。
【請求項8】
請求項7記載の多目的トイレの操作スイッチの案内システムにおいて、前記利用者の占有面積が大の場合は介助用車利用者であり、前記利用者の占有面積が小である場合には一般利用者であると判別することを特徴とする多目的トイレの操作スイッチの案内システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2010−233804(P2010−233804A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−84841(P2009−84841)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000173784)財団法人鉄道総合技術研究所 (1,666)
【出願人】(000003377)東急車輛製造株式会社 (332)
【Fターム(参考)】