説明

多糖類複合体及びその製造方法

【課題】本発明の目的は、加工適性の良く、簡便な精製工程で容易かつ安価に得ることができ、構造が均一で、イオンコンプレックスを形成するカルボキシル基やアミノ基が制御可能で、添加剤により目的に応じた性能を有し、また生体適合性、生分解性に優れる多糖類複合体及びその製造方法を提供することにある。
【解決手段】酸化多糖類が酸化により多糖類のピラノース環の6位にカルボキシル基又はその塩を導入した酸化多糖類であり、酸化多糖類とキトサンを溶解または分散させた溶液を調整する工程と、溶液を酸またはアルカリで中和処理することにより酸化多糖類とキトサンのポリイオンコンプレックスを形成し水不溶化する工程とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生分解性、生体親和性に優れる天然物由来の多糖類の複合体に関するものであり、その、水系での簡便な製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、天然多糖類は新しいタイプの生分解性高分子材料として、また生体親和性材料として注目され、その利用について多くの研究がなされ、数々の知見が報告されている。
【0003】
特にキチン、キトサンは生物活性効果のある生体親和性材料として注目されている。
キトサンはカニやエビなどの甲殻類、カブトムシやコオロギなどの昆虫類の骨格物質として存在し、また菌類や細胞壁にも存在するキチン(N−アセチルD−グルコサミン残基が多数、β−(1,4)−結合した多糖類)の脱アセチル化合物でグルコサミンのβ−(1,4)−結合した多糖類であり、唯一の天然カチオン性多糖類としても利用されている。
【0004】
一方、ポリカチオン性物質とポリアニオン性物質からなるポリイオンコンプレックス材料は、水系で容易に調製できて、水に不溶な物質が得られることから、従来から様々な提案がなされている(特開平6−100468号公報、特開平7−33682号公報、特開11−130697号公報、特開2002−638号公報等)。例えば、天然物であるヒアルロン酸やコンドロイチン、キチン、キトサン、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、デキストラン等の多糖類、及びカルボキシメチルセルロース等の多等類誘導体、またゼラチンやポリアミノ酸及びポリペプチド及びタンパク質、さらにはポリアクリル酸等の合成高分子を利用したポリイオンコンプレックスがある。
【0005】
しかし、合成高分子は、分子内でのカチオン性基或いはアニオン性基のコントロールが可能で、様々な物性のポリイオンコンプレックスを調製し易い反面、生分解性や生体親和性に乏しく、適用範囲が限定される。
また生分解性や、生体親和性に優れる天然材料も、タンパク質材料にはヒトや動物由来のウイルス感染の危険性があり、天然多糖類では、天然物故にカチオン性、或いはアニオン性の官能基のコントロールはできず、多様な要求物性に対応するポリイオンコンプレックスを形成することが難しいという欠点を有する。
さらにカルボキシメチルセルロース等の従来の多糖類誘導体では、置換度はコントロールできても、分子内、或いは分子間での置換基分布はバラバラであり、生体内での分解や代謝の機序が明確ではないという問題点を有していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−5296号公報
【特許文献2】特開平10−279604号公報
【特許文献3】特開平11−21302号公報
【特許文献4】特開2001−49591号公報
【特許文献5】国際公開第95/7303号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、加工適性の良く、簡便な精製工程で容易かつ安価に得ることができ、構造が均一で、イオンコンプレックスを形成するカルボキシル基やアミノ基が制御可能で、添加剤により目的に応じた性能を有し、また生体適合性、生分解性に優れる多糖類複合体及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、少なくとも酸化多糖類とキトサンからなる多糖類複合体の製造方法であって、前記酸化多糖類が酸化により多糖類のピラノース環の6位にカルボキシル基又はその塩を導入した酸化多糖類であり、且つ、少なくとも前記酸化多糖類と前記キトサンを溶解または分散させた溶液を調整する工程と、前記溶液を酸またはアルカリで中和処理することにより酸化多糖類とキトサンのポリイオンコンプレックスを形成し水不溶化する工程とを備えることを特徴とする多糖類複合体の製造方法である。
【0009】
請求項2の発明は、前記酸化多糖類と、前記キトサンと、多孔化剤、架橋剤、分解促進剤、カップリング剤、増量剤、抗菌剤から選択される少なくとも1の添加剤とを溶解または分散させた溶液を調整する工程を備えることを特徴とする請求項1に記載の多糖類複合体の製造方法である。
【0010】
請求項3の発明は、前記酸化多糖類が、水に溶解又は分散させた多糖類を水系で、N−オキシル化合物の触媒の存在下、酸化剤を用いて酸化する方法により得られ、かつ天然多糖類のピラノース環中6位の1級水酸基を選択的に酸化されてなることを特徴とする請求項1または請求項2記載の多糖類複合体の製造方法である。
【0011】
請求項4の発明は、前記キトサンとして、その構成単糖であるグルコサミンとN−アセチルグルコサミンの比率が、45:55から55:45の範囲にあることを特徴とする請求項1乃至請求項3記載の多糖類複合体の製造方法である。
【0012】
請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の多糖類複合体の製造方法により製造されたことを特徴とする多糖類複合体である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、水不溶性の多糖類複合体を簡便な方法で容易かつ安価に得ることができ、さらに、改質用添加剤を含ませることにより多糖類複合体の物性や、構造、性能、および加工性を容易に改質することができる。また本発明の多糖類複合体は、天然多糖類と化学構造が制御されたウロン酸構造を有する酸化多糖類と、N−アセチルグルコサミン及びグルコサミンよりなるキトサンからなるポリイオンコンプレックスであるため、容易に生分解し、生体親和性が高いことから、経口投与の医薬品、経皮吸収用の医薬品、及び外科手術等で生体内にて利用される医療用材料、および農薬、食品、化粧品等として利用できる。
さらに本発明では、従来の天然物材料からなるポリイオンコンプレックスと違い、ポリイオンコンプレックスを形成するカルボキシル基とアミノ基を制御できることから、構造が明確で安全性が高く、多糖類複合体の物理的特性等をコントロールしやすく、様々な要求特性に対応することが可能となる。
さらに本発明によれば、COOH型の酸化多糖類とアセチル化率を制御した水溶性キトサンを用いることで、中性領域での添加剤成分を包含した複合化が可能であり、酸やアルカリによる中和処理を必要とせず、塩の影響をなくすことも可能で、且つ酸性、アルカリ性の両領域で完全に水溶性となる複合体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の多糖類複合体の一実施例を示す化学構造式である。
【図2】本発明に用いるアミロウロン酸ナトリウム塩を重水に溶解して測定した13C−NMRスペクトルと原料のデンプンを重水に溶解して測定した13C−NMRスペクトルである。
【図3】本発明に用いるセロウロン酸ナトリウム塩を重水に溶解して測定した13C−NMRのスペクトルである。
【図4】本発明に用いるキトウロン酸ナトリウム塩を重水に溶解して測定した13C−NMRのスペクトルである。
【図5】本発明に用いる30%N−アセチル化キトサンを塩化重水素酸重水溶液に溶解して測定した1H−NMRスペクトルである。
【図6】本発明に用いる50%N−アセチル化キトサンを塩化重水素酸重水溶液に溶解して測定した1H−NMRスペクトルである。
【図7】本発明に用いる50%N−アセチル化キトサンを重水に溶解して測定した1H−NMRスペクトルである。
【図8】本発明に用いる60%N−アセチル化キトサンを塩化重水素酸重水溶液に溶解して測定した1H−NMRスペクトルである。
【図9】本発明に用いる酸化多糖類、及びキトサンの、試験例1に従い測定した生分解度を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の詳細を説明する。
本発明の多糖類複合体は、選択性の高い酸化方法により多糖類のピラノース環の6位にカルボキシル基又はその塩を導入した酸化多糖類をポリアニオン成分とし、構成単糖であるN−アセチルグルコサミンとグルコサミンの比率をコントロールしたキトサンをポリカチオン成分として、両者のポリイオンコンプレックスを形成して、1種類以上の多糖類の改質用添加剤及び/または改質添加成分を含んでなることを特徴とするものである。
【0016】
先ず、本発明においてポリイオンコンプレックスを形成するためのポリアニオン成分となる酸化多糖類について説明する。本発明に用いられる酸化多糖類は、天然多糖類のピラノース環の6位を選択的に酸化し、カルボキシル基またはその塩を導入したウロン酸構造を有する多糖類である。原料の天然多糖類としては、その種類、由来などは特に限定されるものではないが、ほとんど単一の構成単糖が直鎖状に連なったセルロース、キチン、デンプン等は、原料の調達、酸化処理の容易さ、また酸化により生成するウロン酸の安全性の観点から、特に好ましい。
【0017】
本発明に用いられる酸化多糖類は、カルボキシメチル化など多糖類への誘導体化によるカルボキシル基の導入とは異なり、1つのピラノース環内に1つだけ6位に選択的にカルボキシル基が導入され、分子間、分子内での分布が均一であり、且つ、水酸基へエステル結合またはエーテル結合により置換基を導入するものではない為、ポリイオンコンプレックスを形成する際の立体障害による影響が少ない。また、生体内外で分解された後の置換基の影響がない。例えばセルロースが酸化されたものはセロウロン酸と呼ばれ、グルクロン酸がβ−1,4結合で連なっている。デンプンが酸化されたものはアミロウロン酸と呼ばれ、グルクロン酸がα−1,4結合で連なっている。キチンが酸化されたものはキトウロン酸または6−オキシキチンと呼ばれ、N−アセチルグルコサミノウロン酸(N−アセ
チルグルコサミンの6位炭素がカルボキシル基になったもの)がβ−1,4結合で連なっている。
【0018】
天然にもアルギン酸、ペクチン、ヒアルロン酸などウロン酸類は存在するが、主にヘテロ多糖類が多く、天然物故に糖残基の分布や導入される側鎖の影響など、制御不能な部分が多く、本発明のポリアニオン成分としては好ましくない。本発明に用いられるポリアニオン成分は、酸化度を制御してウロン酸の割合をコントロールした酸化多糖類であることが一つの特徴である。
【0019】
以下、本発明の酸化多糖類を得る為の酸化方法について述べる。
本発明における酸化方法はN−オキシル化合物などの触媒の存在下で、水に溶解又は分散させた多糖類を水系で処理することを特徴とするもので、多糖類のピラノース環の6位を選択的に酸化して、カルボキシル基又はその塩を導入することができる。
【0020】
本発明の酸化多糖類は、N−オキシル化合物(オキソアンモニウム塩)の存在下、酸化剤を用いて、原料の多糖類を酸化することにより得ることができる。N−オキシル化合物としては、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジン−N−オキシル(以下TEMPOと称する)などが挙げられる。この酸化方法では、酸化の程度に応じて、カルボキシル基を均一かつ効率よく導入できる。N−オキシル化合物は触媒としての量で済み、例えば、多糖類の構成単糖のモル数に対し、10ppm〜5%あれば充分であるが、0.05%から3%が好ましい。
【0021】
酸化剤としては、ハロゲン、次亜ハロゲン酸,亜ハロゲン酸や過ハロゲン酸又はそれらの塩、ハロゲン酸化物、窒素酸化物、過酸化物など、目的の酸化反応を推進し得る酸化剤であれば、いずれの酸化剤も使用できる。
【0022】
さらに本酸化方法では、臭化物やヨウ化物との共存下で酸化反応を行うと、温和な条件下でも酸化反応を円滑に進行させることができ、カルボキシル基の導入効率を大きく改善できる。この臭化物又はヨウ化物の使用量は、酸化反応を促進できる範囲で選択でき、例えば、多糖類の構成単糖のモル数に対し0〜100%である。しかし、反応効率の点から、1〜50%が好ましい。
【0023】
本発明における多糖類の酸化方法では、例えばN−オキシル化合物にはTEMPOを用い、臭化ナトリウムの存在下、酸化剤として次亜塩素酸ナトリウムを用いて行うのが特に好ましい。
【0024】
また、構成単糖残基の1級水酸基への酸化の選択性を上げ、副反応を抑える目的で、反応温度は室温以下、より好ましくは系内を5℃以下で反応させることが望ましい。さらに、反応中は系内をアルカリ性に保つことが好ましい。この時のpHは9〜13、より好ましくはpH10〜12に保つとよい。
【0025】
ここで、この酸化方法はpHを一定値に保つ際に添加されるアルカリの量により酸化度を制御できることを特徴としている。糖残基1モルに対し、添加するアルカリが1モルであると、全ての糖残基中6位の一級水酸基がカルボキシル基にまで酸化される。
従って、アルカリや前記酸化剤の添加量を少なくして、カルボキシル基の導入量を少なくすれば、ポリイオンコンプレックスを形成する際の酸化多糖類とキトサンとの接点が少なくなり、多糖類複合体の物性を制御することが可能である。
【0026】
また、原料となる多糖類の結晶性が高い場合、酸化効率が悪くなるが、それぞれの溶解し得る溶媒に一旦溶解させ、再生処理を施すことで、酸化効率を改善することができる。
【0027】
また、酸化多糖類の6位カルボキシル基は、ナトリウム塩など塩で存在する方が安定であり、これらの酸化多糖類の塩は水溶性が高い。またこの酸化多糖類塩の水溶液に塩酸などの酸を添加するか、イオン交換樹脂で処理することにより、脱塩したCOOH型の酸化多糖類を得ることができる。特に、前記したアミロウロン酸、及びキトウロン酸(または6−オキシキチン)は、COOH型でも水溶性を示す。
【0028】
続いて、本発明においてポリイオンコンプレックスを形成するためのポリカチオン成分となるキトサンについて説明する。
N−アセチルグルコサミンと、グルコサミンがβ−1、4グリコシド結合した多糖で、一般にグルコサミンの割合が高いものをキトサン、N−アセチルグルコサミンの割合が高いものをキチンという。キチンは蟹やエビの骨格物質として、また菌類などの細胞壁に存在し、脱灰、除タンパク、脂質および色素の除去などの精製工程を経て得られるものであり、キトサンはこれらの工程と同時か、或いは上記工程で得られたキチンを、さらに酸やアルカリで加水分解して脱アセチル化処理することにより得られるのが一般的である。また、構成単糖であるN−アセチルグルコサミンとグルコサミンは生体内にも存在し、生体内外において容易に分解し、その安全性は高いと言える。
【0029】
本発明に用いられるキトサンとしては、上記した一般的なキトサンが適用可能であり、原料や精製方法、重合度等については特に限定されるものではない。また、構成単糖中のグルコサミンの割合は20から100%であることが望ましい。グルコサミンはカチオン性の遊離のアミノ基を有するため、この割合は本発明の多糖類複合体の物性を制御する上で重要な因子となるものである。
【0030】
N−アセチルグルコサミンとグルコサミンの割合、つまりN−アセチル基とアミノ基の割合は、酸やアルカリでの加水分解による脱アセチル化や、逆に無水酢酸などを用いたN−アセチル化の手法により制御可能である。脱アセチル化反応においては加水分解の反応時間により、N−アセチル化反応においては試薬の添加量により、アミノ基の割合を制御できる。
【0031】
ここで、キトサンは希酸溶液に対して塩を形成して溶解するが、中性からアルカリ性では水不溶である。しかしグルコサミンとN−アセチルグルコサミンの比率が、45:55から55:45の範囲では幅広いpH領域で水に可溶であることが知られている。この水溶性キトサンを調製する場合は、均一系でのN−アセチル化或いは脱アセチル化を行うことが重要となる。
【0032】
この水溶性キトサンは、幅広いpH領域の水に可溶なため、酸性溶液ではもちろん、前記ウロン酸塩のアルカリ性を示す水溶液中でも溶解し、アルカリ性水溶液でもウロン酸とキトサンの均一な分布の複合体を製造することができる。
【0033】
また、この水溶性キトサンを対イオンなく水に溶解させたものと、ウロン酸のCOOH型を用いてポリイオンコンプレックスを形成させた複合体は、対イオンの除去作業を必要とせず、工程を短縮できるとともに、生体内における塩の影響もない。
【0034】
ここで、キトサンのグルコサミンとN−アセチルグルコサミンの比率は、一般に脱アセチル化度或いはN−アセチル化度((N−アセチル化度(%))=100%−(脱アセチル化度(%)))と呼ばれるが、コロイド滴定や、KBr錠剤法による赤外分光法(IR)、或いは酸性溶液に溶解して核磁気共鳴分光法(NMR)などにより求めることができる。
【0035】
本発明には、多糖類複合体中に多糖類の改質用添加剤及び/または改質添加成分を含ませることができる。改質用添加剤は、複合の物性、構造、性能、および加工性を改質させる目的で添加させるものであれば、物質や種類や形態は、特に限定されるものではないが、多孔化剤、架橋剤、界面活性剤、耐水化剤、撥水剤、充填剤、分解促進剤、接着剤、可塑剤、カップリング剤、抗菌剤、柔軟剤、滑剤、増量剤、着色剤、紫外線吸収剤、又はこれらの混合物からなる添加剤成分が挙げられ、要求物性に応じて選定される。また、これらの添加剤及び/又は添加成分を含むということは、多糖類複合体に添加などをすることにより、組成物中に添加剤及び/又は添加成分が含まれている状態をいう。また、これら添加剤及び/又は添加成分は、多糖類複合体と結合し一体化していてもよいし、そうでなくてもよい。また、添加剤及び/又は添加成分は少なくとも一度含まれている状態でいればよく、加えた後除去することにより改質してもよい。
【0036】
例えば、多複合体の伸びやフレキシビリティを改善する為に、複合体に多孔化剤を添加することができる。中空、スポンジ状の構造物を複合体に担持させることも多孔化剤を添加する一つの手法である。また、中和により複合体を製造する際にカルボキシル基やアミノ基の対イオンが塩を生じる。この塩は、複合体中に均一に分散しており、後の水洗により除去することが可能である。塩を除去した複合体は、多孔化しており、多孔化していない複合体と比較して伸びが大きく、フレキシビリティが大きいなどの物性が付与される。これらの塩も一つの多孔化剤と言える。
また、複合体中の結合を強化し、強度を上げる為に、架橋剤を添加し、多糖類中に含ませることができる。架橋剤はカルボジイミドやエポキシ系の架橋剤など種類や形態は特に限定されるものではなく、要求物性や目的に応じて選定される。
また、複合体の分解性を向上させる為に複合体中に各種分解促進剤を添加することができる。分解促進剤には、酵素やデンプンなどが挙げられる。
【0037】
本発明の多糖類複合体は、前記した酸化多糖類、キトサン、添加剤成分の3成分を必須成分として、その他に、医薬成分、農薬、抗菌剤、防カビ剤、防虫剤、芳香剤、防臭剤、脱臭剤などの薬効成分や、薬効を調整するための成分や、ポリイオンコンプレックスを形成する際に二次的に生成する成分等を含んでいても構わない。また上記の必須3成分も、それぞれ1種類或いは2種類以上を組み合わせて用いても構わない。さらに各成分の混合比も、ポリイオンコンプレックスを形成する範囲であれば特に限定されず、要求物性に合わせて調整されるべきものである。
【0038】
また、複合体を形成する酸化多糖類とキトサンは分子レベルで複合化させる為にも、適した溶媒で溶解させてポリイオンコンプレックスを形成させることが好ましい。本発明では特に水を媒体として用いるのが好ましく、必要に応じてアルコールやアセトンなどの有機溶媒を添加することもできる。また溶液中の酸化多糖類或いはキトサン或いは添加剤の濃度もこれらの複合体が形成する範囲にあれば特に限定されるものではなく、複合体の要求特性に応じて選択できるものである。
以下に本発明の多糖類複合体のポリイオンコンプレックスを形成する方法を例示する。
【0039】
まず第1の方法は、添加剤成分を溶解または分散させた水溶液に、前記酸化多糖類又はその塩の粉末或いは水溶液と、前記キトサン又はその塩の粉末或いは水溶液を添加すると、酸化多糖類とキトサンはポリイオンコンプレックスを形成して水に不溶化する。この際予め溶液中に存在した添加剤成分は多糖類複合体中に取り込まれ、添加剤成分を包含した本発明の多糖類複合体が得られる。必要に応じて、水洗処理を施せば、対イオン同士の塩を除去することができる。また均一な多糖類複合体を得るためには十分に攪拌しながら混合することが好ましい。
【0040】
さらに第2の方法では、まず前記酸化多糖類と前記キトサン及び添加剤成分を共に溶解又は分散させた溶液を調製し、よく攪拌しながら酸又はアルカリで中和処理することにより、酸化多糖類とキトサンのポリイオンコンプレックスを形成させて水不溶化するとともに、添加剤成分を包含させて本発明の多糖類複合体を得ることができる。必要に応じて、水洗することで中和により生じた塩を除去することが可能である。また中和の手法は特に限定されるものではなく、複合体の要求特性に応じて選択できる。
【0041】
酸化多糖類は幅広いpH領域で溶解する為、酸性の溶液にも溶解する。従ってキトサンの酸性水溶液に粉末、或いは水溶液で酸化多糖類を添加して溶解させると、両多糖類を溶解した酸性水溶液を調製できる。また逆に、脱アセチル化度が45から55%の水溶性キトサンは幅広いpH領域で水に溶解するため、酸化多糖類のアルカリ性の水溶液に粉末、或いは水溶液で水溶性キトサンを添加して溶解させると、両多糖類を溶解したアルカリ性水溶液を調製できる。従って添加する添加剤成分の特性に合わせて、酸性とアルカリ性の液性を選択することも可能である。
【0042】
この方法により得られる多糖類複合体は、カチオン性、アニオン性の両多糖類が均一に分散した溶液からポリイオンコンプレックスを形成する為に、含まれる多糖類の分布がより均一な複合体となる。さらにこの多糖類複合体はポーラスな構造を有する為に水に膨潤させたときの引張り伸びが大きいなどの特徴を有する。
【0043】
さらに第3の方法は、前記酸化多糖類及び前記キトサンを溶解又は分散させた水溶液を予め別々に調製しておき、各々の水溶液を混合することでポリイオンコンプレックスを形成することを特徴とするものである。この際、添加剤成分は両多糖類溶液の一方或いは双方、或いは両水溶液とは別に調製しておいて、混合することにより、添加剤成分を包含した多糖類複合体を得ることができる。
【0044】
ここでキトサンとして脱アセチル化度が45から55%の水溶性キトサンを、酸化多糖類として予め対イオンを除いたCOOH型を用いて、それぞれの水溶液を混合してポリイオンコンプレックスを形成すると、対イオン塩の生成がなく、塩の除去作業を必要とせず、また生体内における塩の影響もないため、特に好ましい。
【0045】
水溶液を混合する手法は特に限定されるものではなく、複合体の要求特性に応じて選択できる。例えば酸化多糖類或いはキトサンの一方の溶液をキャストして乾燥皮膜を形成してから、その上にもう一方の溶液をキャストしてその界面にポリイオンコンプレックスを形成する等の手法も適用できる。
【0046】
上記に3通りの本発明の多糖類複合体の製造方法を詳しく説明したが、さらに、前記酸化多糖類と前記キトサンからポリイオンコンプレックスを形成させてから、添加剤溶液を塗布、添加剤溶液に浸漬、或いは添加剤成分を貼り合わせたりすることで多糖類複合体に添加剤成分を担持させても構わない。
【0047】
また、本発明の多糖類複合体は必要に応じ乾燥させることもできる。乾燥後の複合体は水に溶解しないが膨潤する為、乾燥させた複合体を水などの溶媒で膨潤させて形状を変化させたり、貼り合わせたり、積層したりすることも可能である。
また多糖類複合体の形状としては、スポンジ状、板状、フィルム状、顆粒状、繊維状、ゲル状、フレーク状、パウダー状など任意に選定できる。
【0048】
こうして得られる本発明の多糖類複合体は、例えば図1に示すように酸化多糖類由来のCOO−とキトサン由来のNH3+によりイオンコンプレックス構造が形成された多糖類複合体のマトリックス中に添加剤成分を包含しているものである。
本発明の多糖類複合体は、天然多糖類と生体適合性の高いウロン酸類と、N−アセチルグルコサミン及びグルコサミンから成り、容易に生分解或いは代謝されるため、経口投与の医薬品、経皮吸収用の医薬品、及び外科手術等で生体内にて利用される医療用材料、および農薬、食品、化粧品等として利用できる。さらに本発明では、ポリイオンコンプレックスを形成するカルボキシル基とアミノ基を制御できることから、および多糖類複合体の物理的特性等をコントロールしやすく、様々な要求特性に対応することが可能となる。
【実施例】
【0049】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。
【0050】
<製造例1>
(酸化デンプン(アミロウロン酸ナトリウム塩)の調製)
原料のデンプンは市販のコンスターチを用いた。デンプン5gを水100mlに加熱溶解させ、冷却しておく。このデンプン溶液に、TEMPO0.1g、臭化ナトリウム1.25gを溶解させた水溶液を加えた。次に、反応系を冷却し、次亜塩素酸ナトリウム水溶液(Cl=5%)50gを添加し、酸化反応を開始した。反応温度は常に5℃以下に維持した。反応中は系内のpHが低下するが、0.5N−NaOH水溶液を逐次添加し、pH10.75に調整した。そして6位の1級水酸基の全モル数に対し、100%のモル数に対応するアルカリ添加量に達した時点で、エタノールを添加し、反応を停止させ、水:アルコール=2:8よりなる溶液により充分洗浄した後、アセトンで脱水し、40℃で減圧乾燥させ、白い粉末状の酸化度100%の酸化デンプンを得た(図2)。
【0051】
<製造例2>
(酸化セルロース(セロウロン酸ナトリウム塩)の調製)
原料のセルロースは市販の再生セルロースを用いた。セルロース5gを水350mlに懸濁させた。このセルロース溶液に、TEMPO0.1g、臭化ナトリウム1.25gを溶解させた水溶液を加えた。次に、反応系を冷却し、次亜塩素酸ナトリウム水溶液(Cl=5%)50gを添加し、酸化反応を開始した。反応温度は常に5℃以下に維持した。反応中は系内のpHが低下するが、0.5N−NaOH水溶液を逐次添加し、pH10.75に調整した。そして6位の1級水酸基の全モル数に対し、100%のモル数に対応するアルカリ添加量に達した時点で、エタノールを添加し、反応を停止させ、水:アルコール=2:8よりなる溶液により充分洗浄した後、アセトンで脱水し、40℃で減圧乾燥させ、白い粉末状の酸化度100%の酸化セルロースを得た(図3)。
【0052】
<製造例3>
(酸化度60%の酸化セルロース(ナトリウム塩)の調製)
次亜塩素酸ナトリウム水溶液を30gにする以外は酸化セルロースの調製1と同様の調整を繰り返し、酸化反応を開始した。pH維持の為に添加した0.5N−NaOH水溶液が37ml(グルコース残基のモル数に対し60mol%の水酸化ナトリウム)に達したところで反応を停止した。以降酸化セルロースの調製と同様の洗浄を繰り返し、酸化度60%の酸化セルロース(ナトリウム塩)を得た。
【0053】
<製造例4>
(酸化キチン(キトウロン酸ナトリウム塩)の調製)
原料となるキチンには蟹ガラから脱灰、除タンパク、脂質および色素の除去などの工程を経て得られた市販のキチンを用いた。
キチンを10g、45%水酸化ナトリウム水溶液150gに浸漬し、室温以下で2時間攪拌した。これに、砕いた氷を850g、周りを氷水などで冷やし、攪拌しながら添加した。このアルカリ処理によりキチンはほぼ溶解する。塩酸で中和し、十分に水洗した後、乾燥させないものを試料とした。
この5%キチン懸濁液100gに、TEMPO0.1g、臭化ナトリウム1.25gを溶解させた水溶液を加え、キチンの固形重量の全体に対する濃度が約2wt%になるよう調製した。次に、反応系を冷却し、次亜塩素酸ナトリウム水溶液(Cl=5%)35gを添加し、酸化反応を開始した。反応温度は常に5℃以下に維持した。反応中は系内のpHが低下するが、0.5N−NaOH水溶液を逐次添加し、pH10.75に調整した。そして6位の1級水酸基の全モル数に対し、100%のモル数に対応するアルカリ添加量に達した時点で、エタノールを添加し、反応を停止させ、水:アルコール=2:8よりなる溶液により充分洗浄した後、アセトンで脱水し、40℃で減圧乾燥させ、白い粉末状の酸化度100%の酸化キチンを得た(図4)。
【0054】
<製造例5〜8>
(酸化多糖類のCOOH型の調製)
上記製造例1〜4の酸化多糖類はナトリウム塩として単離される。この粉末をそれぞれ2%水溶液とし、塩酸を用いてpHを1に調製した。過剰のエタノールで沈殿濾過、水:アセトン=1:7よりなる溶液により充分脱塩した後、アセトンで脱水し、40℃で減圧乾燥させ、上記したそれぞれの酸化多糖類(アミウロン酸、セロウロン酸、酸化度60%の酸化セルロース、キトウロン酸)のCOOH型を得た。
【0055】
<製造例9>
(N−アセチル化度30%のキトサンの調製)
脱アセチル化度100%のキトサン5gを10%酢酸95gに溶解し、メタノール500gで希釈し、攪拌しながら無水酢酸0.95gを加え、室温で15時間攪拌した。2N−NaOH水溶液を加えて中和するとフレークが析出するので、これを濾過し、メタノール及び水:アセトン=1:7よりなる溶液により充分に洗浄した後、アセトンで脱水し、40℃で減圧乾燥させて、フレーク状のN−アセチル化度30%のキトサンを得た(図5)。
【0056】
<製造例10>
(N−アセチル化度50%の水溶性キトサンの調製)
脱アセチル化度100%のキトサン5gを10%酢酸95gに溶解し、メタノール500gで希釈し、攪拌しながら無水酢酸1.59gを加え、室温で15時間攪拌した。2N−NaOH水溶液を加えて中和するとフレークが析出するので、これを濾過し、メタノール及び水:アセトン=1:7よりなる溶液により充分に洗浄した後、アセトンで脱水し、40℃で減圧乾燥させて、フレーク状のN−アセチル化度50%のキトサンを得た(図6、図7)。このキトサンは水溶性であり、1wt%の水溶液でpH8.2であった。さらに酸やアルカリを加えてpHを変動させても溶解していた。
【0057】
<製造例11>
(N−アセチル化度60%のキトサンの調製)
脱アセチル化度100%のキトサン5gを10%酢酸95gに溶解し、メタノール500gで希釈し、攪拌しながら無水酢酸1.90gを加えると1時間程でゲル化したが、そのまま室温で15時間静置した。2N−NaOH水溶液を加えて中和して濾過し、メタノール及び水:アセトン=1:7よりなる溶液により充分に洗浄した後、アセトンで脱水し、40℃で減圧乾燥させて、フレーク状のN−アセチル化度60%のキトサンを得た(図8)。
【0058】
<試験例1>
製造例2、4、6の酸化多糖類、及び製造例9、10のN−アセチル化キトサン、および微結晶セルロース粉末、さらに置換度0.7のカルボキシメチルセルロースナトリウム塩について、下記の方法にて、土壌中の好気性微生物による生分解性を評価した。結果を図9に示す。カルボキシルメチルセルロースナトリウム塩が殆ど分解しないのに対して、本発明の原料となる酸化多糖類およびキトサンは、ほぼセルロースと同様に分解することが分かる。
【0059】
(生分解性の評価方法)
八幡物産(株)製の微生物酸化分解測定装置(MODA)を用い、試験土壌として、水分60%に調整した標準コンポスト(八幡物産(株)製 YK−2)250ccと、水分18%に調整した海砂250ccを混合したものを用いた。試料10gを試験土壌と均一に混合して、カラム状の反応筒に充填し、反応筒内の温度を35℃で一定に保持した。さらに反応筒下方より水蒸気を飽和した脱炭酸空気を40ml/分で通気し、反応筒上部からはガス漏れなく配管されて、アンモニアガスを除くために硫酸水浴中を通り、水分を除くためにシリカゲルと塩化カルシウムを充填した吸湿筒を通り、さらにソーダタルク及びソーダライムを充填した吸収筒に導かれる。試料が好気的に生分解して発生する二酸化炭素は全て、吸収筒に吸収されるため、吸収筒の重量変化から生分解により発生した二酸化炭素量を定量できるものである。なお試料を入れない試験土壌のみの空試験を同時に行い、空試験で発生した二酸化炭素量を差し引いて、分解により発生した二酸化炭素量を求めた。試料10g中の炭素含量から理論的に発生する二酸化炭素量を算出し、理論量に対する発生二酸化炭素量の割合を生分解度として、図9に示した。
【0060】
<実施例1>
製造例10で作成したN−アセチル化度50%の水溶性キトサン1gと、製造例2で作製したセロウロン酸ナトリウム塩1gを0.1N−塩酸溶液100mLに溶解した。その後、0.2N−NaOH水溶液を加えてpH7に調製し、ゲルを生成、実施例1の複合体を得た。この複合体中には中和により生成した塩化ナトリウムが包含されていた。この塩化ナトリウムは複合体の多孔化剤として働き、複合体が多孔化された。水洗により塩化ナトリウムを除去した複合体は、微細かつ均一な孔を持ったスポンジ状の構造を取り、吸水量が増加するなどの特徴を示した。
【0061】
<実施例2>
製造例10で作成したN−アセチル化度50%の水溶性キトサン1gと、製造例1で作製したアミロウロン酸ナトリウム塩1gを0.1N−酢酸溶液100mLに溶解した。その後、0.2N−NaOH水溶液を加えてpH7に調製し、ゲルを生成させた。この複合体を60℃のオーブンで乾燥させ、実施例2の複合体を得た。この複合体中には中和により生成した酢酸ナトリウムが包含されている。
【0062】
<比較例1>
製造例10で作成したN−アセチル化度50%の水溶性キトサンの1wt%水溶液100mLに、製造例5で作製したアミロウロン酸のCOOH型の2wt%水溶液50mLを攪拌しながら混合するとゲルが生成した。この複合体を60℃のオーブンで乾燥させ、比較例1の多糖類複合体を得た。
【0063】
<実施例2と比較例1の評価>
実施例2と比較例1の複合体を水に浸漬した。どちらも膨潤はするが溶解しなかった。1時間後、複合体の引張り伸びを測定した。その結果、実施例2は比較例1の複合体の1.5〜2倍の伸び率を示した。生成した酢酸ナトリウムが、複合体の伸び率を改善したことが分かった。
【0064】
なお、上記実施例で用いなかった製造例の材料や製造例に記載していない材料を用いても本発明の多糖類複合体を得ることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも酸化多糖類とキトサンからなる多糖類複合体の製造方法であって、
前記酸化多糖類が酸化により多糖類のピラノース環の6位にカルボキシル基又はその塩を導入した酸化多糖類であり、且つ、
少なくとも前記酸化多糖類と前記キトサンを溶解または分散させた溶液を調整する工程と、
前記溶液を酸またはアルカリで中和処理することにより酸化多糖類とキトサンのポリイオンコンプレックスを形成し水不溶化する工程と
を備えることを特徴とする多糖類複合体の製造方法。
【請求項2】
前記酸化多糖類と、前記キトサンと、多孔化剤、架橋剤、分解促進剤、カップリング剤、増量剤、抗菌剤から選択される少なくとも1の添加剤とを溶解または分散させた溶液を調整する工程を備えることを特徴とする請求項1に記載の多糖類複合体の製造方法。
【請求項3】
前記酸化多糖類が、水に溶解又は分散させた多糖類を水系で、N−オキシル化合物の触媒の存在下、酸化剤を用いて酸化する方法により得られ、かつ天然多糖類のピラノース環中6位の1級水酸基を選択的に酸化されてなることを特徴とする請求項1または請求項2記載の多糖類複合体の製造方法。
【請求項4】
前記キトサンとして、その構成単糖であるグルコサミンとN−アセチルグルコサミンの比率が、45:55から55:45の範囲にあることを特徴とする請求項1乃至請求項3記載の多糖類複合体の製造方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の多糖類複合体の製造方法により製造されたことを特徴とする多糖類複合体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−209376(P2009−209376A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−151244(P2009−151244)
【出願日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【分割の表示】特願2002−216408(P2002−216408)の分割
【原出願日】平成14年7月25日(2002.7.25)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】