説明

多結晶シリコンインゴットの製造方法

【課題】高品質な多結晶シリコンインゴットを作製する。
【解決手段】坩堝20の周囲に配置された3n個(nは自然数)の抵抗加熱ヒータに3相交流を供給し、3相交流によって生じる回転磁場を作用させつつ、坩堝20内のシリコンを加熱して溶解させる加熱工程と、上記回転磁場を作用させつつ、坩堝20の底部から上部に向けて冷却してシリコンを凝固させる冷却工程と備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多結晶シリコンインゴットの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池などに用いられる多結晶シリコンインゴットの製造方法として、キャスト法により製造されたインゴットからウエハを切り出す方法が広く用いられている。
【0003】
キャスト法とは、鋳型となる坩堝内で溶融シリコンを凝固させてシリコンインゴットを製造する方法である。溶融シリコンを坩堝内で凝固させる方法としては、固体状のシリコン原料を坩堝内に投入し、溶解させて溶融シリコンにした後、同一の坩堝内でシリコン溶湯を凝固させる方法、または、固体状のシリコン原料を坩堝内に投入し、溶解させて溶融シリコンにした後、別の坩堝内に溶融シリコンを移し、その坩堝内で溶融シリコンを凝固させる方法などがある。
【0004】
キャスト法においては、シリコンインゴットを製造する際に、坩堝の底部から一方向に温度勾配をつけながら溶融シリコンを凝固させることで、偏析係数が小さな金属不純物類(Fe,Al,Tiなど)をシリコンインゴットの上端に凝集させて、上端以外の部分の金属不純物濃度を数ppm程度にまで低減可能な一方向凝固が広く行なわれている。金属不純物濃度の高い上端部分を取り除いたシリコンインゴットからウエハを製造することにより、不純物濃度の少ないウエハが得られる。
【0005】
上記の製造方法を用いてウエハを製造する過程で、シリコンインゴットの内部に析出する窒化物および炭化物などの不純物を含む異物が発生する場合がある。この異物のうち大きいものは目視またはカメラにて識別可能であるが、シリコンインゴットの内部に含まれる異物を除去することは難しい。
【0006】
異物のうち小さいものは、たとえば、22nd European Photovoltaic Solar Energy Conference,3-7 September 2007,Milan,Italy、p.994-997(非特許文献1)に記載されているように、10μm程度の大きさであり非常に小さい。そのため、シリコンインゴットを太陽電池の製造ラインに投入する前に、シリコンインゴットに含まれる異物を識別することは非常に困難である。
【0007】
異物を含むシリコンインゴットが太陽電池の製造ラインに投入されると、ウエハを切り出す際にワイヤーソーのワイヤーを切断させることがある。また、異物を含むウエハを用いて太陽電池などのデバイスを作製した場合、異物によりリーク電流が発生して太陽電池が不良となり、歩留まり低下の原因となる。
【0008】
また、上記の製造方法を用いてウエハを製造する過程で、溶融シリコンを凝固させる際に固液界面において組成的過冷却が発生することで、固液界面が不安定になりデンドライト成長およびセル成長などが発生、または、結晶状態に大きな乱れが発生することにより多結晶シリコンの質が低下する。
【0009】
異物の発生を抑制するために溶融シリコンを攪拌してシリコンインゴットを製造する方法を開示した先行文献として、特開平5−254817号公報(特許文献1)、特開平10−182135号公報(特許文献2)および特開平10−25190号公報(特許文献3)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平5−254817号公報
【特許文献2】特開平10−182135号公報
【特許文献3】特開平10−25190号公報
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】22nd European Photovoltaic Solar Energy Conference,3-7 September 2007,Milan,Italy、p.994-997
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
特許文献1にて開示されている方法によれば、コイルを用いて磁界を加える誘導加熱方式により溶融シリコンを撹拌して不純物を排出させているが、装置が非常に高価となり、また、坩堝の材料として黒鉛部材などの導電性材料を使用する必要性があり、坩堝の材料選択の自由度がない。
【0013】
特許文献2にて開示されている方法によれば、凝固界面より上方の溶融シリコン内に不活性ガスを吹き込むことにより溶融シリコンを撹拌しているが、不活性ガスを吹き込むガス管を溶融シリコン内に直接浸漬させる必要があり、溶融シリコンが汚染され、また、耐熱温度の面からガス管の材料選択の自由度が少ない。
【0014】
特許文献3にて開示されている方法によれば、単結晶引上げ炉の結晶成長用坩堝に送り込まれる融液を調製する際、Ar雰囲気に保持された溶解容器に固体原料を供給し、溶解容器の周囲に等間隔で配置された3n個(nは自然数)の抵抗加熱ヒータに三相交流を供給し、三相交流によって生じる回転磁場を作用させながら固体原料を加熱溶解している。しかしながら、この方法にて多結晶シリコンを成長させると上記の組成的過冷却が発生し、多結晶シリコンの品質が低下する。
【0015】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであって、高品質な多結晶シリコンインゴットを作製できる多結晶シリコンインゴットの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に基づく多結晶シリコンインゴットの製造方法は、坩堝の周囲に配置された3n個(nは自然数)の抵抗加熱ヒータに3相交流を供給し、3相交流によって生じる回転磁場を作用させつつ、坩堝内のシリコンを加熱して溶解させる加熱工程と、上記回転磁場を作用させつつ、坩堝の底部から上部に向けて冷却してシリコンを凝固させる冷却工程と備える。
【0017】
好ましくは、3相交流の周波数が50Hz以上1000Hz以下である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、高品質な多結晶シリコンインゴットを作製できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係る多結晶シリコンインゴットの製造方法を実施するための製造装置の構成を示す一部断面図である。
【図2】図1のII−II線矢印方向から見た図である。
【図3】同実施形態に係る多結晶シリコンインゴットの製造方法において、3相交流の周波数によるワイヤ断線率、異物混入率およびリーク電流不良率の変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態に係る多結晶シリコンインゴットの製造方法について説明する。以下の実施形態の説明においては、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態に係る多結晶シリコンインゴットの製造方法を実施するための製造装置の構成を示す一部断面図である。図2は、図1のII−II線矢印方向から見た図である。
【0022】
図1,2に示すように、本発明の一実施形態に係る多結晶シリコンインゴットの製造方法を実施するための製造装置1は、ステンレスからなる略直方体状の筐体10を含む。筐体10の上部には、後述するガス供給管13の一端を筐体10の内部に導入するための開口11が設けられている。筐体10の下部に、筐体10内を排気するための排気口12が設けられている。
【0023】
筐体10の内部に、坩堝20が配置されている。坩堝20は、載置台40上に載置されている。坩堝20は、シリカで構成されている。ただし、坩堝20の材質はシリカに限られずグラファイトなどでもよい。坩堝20の内面には、溶融シリコンとの反応を防止するために、窒化珪素粉が塗布されている。窒化珪素粉は、乾燥された後、焼結されている。
【0024】
載置台40は、支持台50上に載置されている。載置台40および支持台50は、高い熱伝導性および耐熱性を有する材料で形成されている。支持台50は、下部で支持部71に接続されている。支持部71は、矢印72で示すように上下に移動可能となるように、筐体10の外に配置された駆動部70に接続されている。駆動部70は、モータを有している。
【0025】
駆動部70は、筐体10の外に配置された冷却部90と接続されている。冷却部90は、冷却媒体を駆動部70および支持部71の内部で循環させることにより、駆動部70および支持部71を冷却している。冷却部90は、ポンプおよび熱交換器を有している。冷却部90により支持部71を冷却することにより、支持台50および載置台40を介して、坩堝20の底部を冷却することができる。
【0026】
坩堝20の周囲に抵抗加熱ヒータ30が配置されている。抵抗加熱ヒータ30は、互いに間隔を置いて坩堝20を取り囲むように配置された第1抵抗加熱ヒータ31、第2抵抗加熱ヒータ32および第3抵抗加熱ヒータ33から構成されている。
【0027】
本実施形態においては、平面視において、第1抵抗加熱ヒータ31および第2抵抗加熱ヒータ32の各々は屈曲形状を有し、第3抵抗加熱ヒータ33は直線形状を有している。ただし、第1抵抗加熱ヒータ31、第2抵抗加熱ヒータ32および第3抵抗加熱ヒータ33の形状は上記に限られず、平面視において湾曲形状でもよい。
【0028】
第1抵抗加熱ヒータ31、第2抵抗加熱ヒータ32および第3抵抗加熱ヒータ33の各々は、筐体10の外に配置された3相交流電源34に接続されている。3相交流電源34は、u,v,wの3系統を有している。3相交流電源34の3系統と抵抗加熱ヒータ30とがそれぞれ接続されている。
【0029】
具体的には、3相交流電源34のu系統と第1抵抗加熱ヒータ31とが接続されている。3相交流電源34のv系統と第2抵抗加熱ヒータ32とが接続されている。3相交流電源34のw系統と第3抵抗加熱ヒータ33とが接続されている。
【0030】
支持台50の上方に断熱材からなる中蓋60が配置されている。中蓋60は、抵抗加熱ヒータ30の周囲を囲む側壁部と、支持台50に対向する天井部とを有している。天井部には、ガス供給管13の一端を中蓋60の内側に導入するための孔が設けられている。側壁部と天井部とに囲まれた中蓋60の内側が加熱領域61となる。
【0031】
加熱領域61には、図示しない熱電対が配置されている。熱電対は3相交流電源34に接続されている。熱電対による測定温度が3相交流電源34にフィードバックされることにより、抵抗加熱ヒータ30への印加電圧が制御される。
【0032】
ガス供給管13の一端は加熱領域61内において坩堝20の上方に位置し、他端は筐体10の外に配置された図示しないガス供給部に接続されている。ガス供給部から送られるArなどの不活性ガスは、ガス供給管13の内部を通過して加熱領域61内に供給される。ガス供給部は、各種のガスを貯蔵した複数のガスボンベおよびマスフローコントローラを含む。
【0033】
排気口12は、筐体10の外に配置された図示しない排気部に接続されている。排気部は、各種の真空ポンプを含む。加熱領域61内に供給された不活性ガスは、排気口12を通過して筐体10の外部に排出される。
【0034】
以下、本実施形態に係る多結晶シリコンインゴットの製造方法について説明する。
まず、約400kgの粒状または塊状のシリコンを坩堝20内に入れる。その後、排気部の真空ポンプを稼動させて筐体10内を減圧する。ガス供給管13から加熱領域61内にArガスを10リットル/分程度供給する。この状態で、筐体10内の圧力が0.6Pa以上0.9Pa以下程度となるように排気部による排気量を調節する。
【0035】
次に、3相交流電源34をONにして抵抗加熱ヒータ30に電圧を印加する。抵抗加熱ヒータ30に電圧が印加されることにより、加熱領域61内の温度が上昇する。本実施形態においては、加熱領域61内の温度を1550℃まで上昇させて2時間保持する。融点が1410℃であるシリコンは、坩堝20内で完全に融解する。
【0036】
溶融シリコン80には、抵抗加熱ヒータ30に供給される3相交流によって矢印81で示す向きの回転磁場が作用する。具体的には、120度づつ位相がずれた3系統u,v,wの電圧のそれぞれが第1抵抗加熱ヒータ31、第2抵抗加熱ヒータ32および第3抵抗加熱ヒータ33に印加されることにより、溶融シリコン80に回転磁場の回転方向と同じ方向の回転力が働く。その結果、溶融シリコン80が円周方向に攪拌される。鉛直方向においては、熱対流により溶融シリコン80が攪拌される。
【0037】
溶融シリコン80を攪拌することにより、溶融シリコン80の温度ムラ、および、溶融シリコン80に含まれる炭化物および窒化物などの不純物の濃度ムラを低減できる。
【0038】
その後、溶融シリコン80の温度が融点付近になるように抵抗加熱ヒータ30に印加する電圧を下げる。融点より少し高い温度まで溶融シリコン80が冷却されると、駆動部70を稼動させて支持部71を下方に移動させつつ、抵抗加熱ヒータ30に印加する電圧をさらに下げる。
【0039】
支持部71が下降することにより、坩堝20の底部が加熱領域61の外側に位置するようになる。そこで、冷却部90を稼動することにより坩堝20の底部を冷却する。その結果、坩堝20は、底部から上部に向けて冷却される。このようにして、加熱領域61内に位置する溶融シリコン80に回転磁場を作用させつつ、溶融シリコン80を1℃/時間程度の冷却速度で徐冷する。
【0040】
その結果、坩堝20内において、底部から順に溶融シリコン80が凝固し、凝固していない溶融シリコン80の回転磁場による攪拌は維持される。このように加熱中および冷却中に回転磁場を作用させて多結晶シリコンインゴットを作製することにより、多結晶シリコンインゴット内に析出する炭化物および窒化物などの不純物を含む異物の発生を効果的に抑制できる。また、組成的過冷却の発生による固液界面の不安定化を抑制することも可能である。
【0041】
一般に、固相のシリコンに含まれる不純物の濃度は、固液界面を境に分配(偏析)係数を用いた下記のScheilの式に従う。
s=k・C0(1−fs)k-1
s:固相のシリコンに含まれる不純物の濃度
0:凝固前の溶融シリコンに含まれる不純物の初期濃度
k:分配(偏析)係数
s:固相の割合
分配係数kは、不純物元素の種類、溶融シリコンの凝固速度および溶融シリコンの攪拌速度などの要因により変化する。本実施形態においては、溶融シリコンの回転磁場による攪拌により分配係数kが小さくなる。そのため、固相のシリコンに含まれる不純物の濃度が低くなり、窒化珪素および炭化珪素などの不純物の析出を抑制することができる。
【0042】
多結晶シリコンインゴットの温度が900℃付近まで下がると、ガス供給部から送られるガスをArからHeに変える。その後、多結晶シリコンインゴットを室温まで冷却する。
【0043】
多結晶シリコンインゴットから不純物および結晶欠陥を多く含む端部を除去し、所定の大きさに切断してブロック状にする。さらに、ブロック状の多結晶シリコンインゴットをワイヤーソーにより所定の厚さに切断することにより複数枚のウエハが得られる。このウエハは、炭化物および窒化物などの不純物の析出が抑制された高品質の多結晶シリコンで構成されているため、基板として用いられることにより太陽電池の特性向上に寄与する。
【0044】
本実施形態に係る多結晶シリコンインゴットの製造方法により作製したウエハを用いて太陽電池を製作した。本発明者は、抵抗加熱ヒータ30に供給される3相交流の周波数に着目し、周波数と多結晶シリコンインゴットの諸特性との関係を実験した。以下、実験の詳細について説明する。
【0045】
(実験例)
まず、比較例として、抵抗加熱ヒータ30に直流電源を接続し、その他は本実施形態の多結晶シリコンインゴットの製造方法と同様にしてウエハを作製した。すなわち、回転磁場を作用させないで加熱工程および冷却工程を行なった。作製されたウエハを用いて太陽電池を作製した。
【0046】
比較例において、ブロック状の多結晶シリコンインゴットを所定の厚さに切断する際に断線したワイヤーソーのワイヤ断線率を算定した。ワイヤ断線率は、ワイヤーソーによる切断回数に対するワイヤーソーの断線回数の割合である。ワイヤーソーが断線する理由は、多結晶シリコンインゴットに含まれる異物によって切断抵抗が急激に変化するためである。
【0047】
また、目視または画像解析などによりウエハに異物が含まれている異物混入率を算定した。異物混入率は、作製されたウエハの枚数に対する異物が確認されたウエハの枚数の割合である。
【0048】
さらに、作製された太陽電池の逆方向電圧下におけるリーク電流不良率を算定した。リーク電流不良率は、作製された太陽電池の個数に対して、−12Vの電圧を印加した際に2.5A以上の電流が流れた太陽電池の個数の割合である。
【0049】
次に、実施例として、本実施形態に係る多結晶シリコンインゴットの製造方法におけるワイヤ断線率、異物混入率およびリーク電流不良率を算定した。3相交流の周波数を1Hz〜2000Hzの範囲で変化させ、比較例で算定されたワイヤ断線率、異物混入率およびリーク電流不良率をそれぞれ1として規格化した。
【0050】
図3は、本実施形態に係る多結晶シリコンインゴットの製造方法において、3相交流の周波数によるワイヤ断線率、異物混入率およびリーク電流不良率の変化を示すグラフである。図3においては、縦軸に比較例の算定結果を1として規格化した実施例のワイヤ断線率、異物混入率およびリーク電流不良率、横軸に3相交流の周波数を示している。
【0051】
図3に示すように、3相交流の周波数が50Hz以上でワイヤ断線率、異物混入率およびリーク電流不良率が著しく低下していた。3相交流の周波数が50Hz以上1000Hz以下の範囲では、3相交流の周波数が大きくなるに従ってワイヤ断線率、異物混入率およびリーク電流不良率が徐々に低下していた。
【0052】
ただし、3相交流の周波数が1000Hzより大きくなると、ワイヤ断線率、異物混入率およびリーク電流不良率は略横ばいになった。これは、3相交流の周波数の増加に対する回転磁場の回転数の増加率が低下するすべり現象が原因と推測される。
【0053】
上記の結果から、3相交流の周波数を50Hz以上1000Hz以下にすることにより、ワイヤ断線率、異物混入率およびリーク電流不良率を著しく低減できる。すなわち、3相交流の周波数を50Hz以上1000Hz以下にすることにより、高品質の多結晶シリコンインゴットを製造することができる。
【0054】
本実施形態においては、坩堝20の周囲に3個の抵抗加熱ヒータを配置したが、抵抗加熱ヒータの数はこれに限られず、3の自然数倍(3n)個であればよい。たとえば、6個の抵抗加熱ヒータを設け、u,v,wの各系統に対して2個の抵抗加熱ヒータを接続してもよい。
【0055】
このように抵抗加熱ヒータの数を多くすることにより強力な回転磁場を発生させて、溶融シリコン80の攪拌をさらに強力に行なうことができる。その結果、多結晶シリコンインゴット内に析出する炭化物および窒化物などの不純物を含む異物の発生と組成的過冷却による固液界面の不安定化とをさらに抑制できる。
【0056】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0057】
1 製造装置、10 筐体、11 開口、12 排気口、13 ガス供給管、20 坩堝、30 抵抗加熱ヒータ、31 第1抵抗加熱ヒータ、32 第2抵抗加熱ヒータ、33 第3抵抗加熱ヒータ、34 交流電源、40 載置台、50 支持台、60 中蓋、61 加熱領域、70 駆動部、71 支持部、80 溶融シリコン、90 冷却部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
坩堝の周囲に配置された3n個(nは自然数)の抵抗加熱ヒータに3相交流を供給し、前記3相交流によって生じる回転磁場を作用させつつ、前記坩堝内のシリコンを加熱して溶解させる加熱工程と、
前記回転磁場を作用させつつ、前記坩堝の底部から上部に向けて冷却して前記シリコンを凝固させる冷却工程と
備える、多結晶シリコンインゴットの製造方法。
【請求項2】
前記3相交流の周波数が、50Hz以上1000Hz以下である、請求項1に記載の多結晶シリコンインゴットの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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