説明

多結晶シリコン及びその製造方法

【課題】表面ダストの含量が少なくコスト的に好ましい多結晶シリコンを提供する。
【解決手段】多結晶シリコン破砕破片を含有する多結晶シリコンであって、前記破砕破片の少なくとも90%が明細書中に記載のサイズを有する前記多結晶シリコンにおいて、シリコンダスト粒子の割合が、400μm未満の粒子サイズについては15ppmw未満であり、50μm未満の粒子サイズについては14ppmw未満であり、10μm未満の粒子サイズについては10ppmw未満であり、かつ1μm未満の粒子サイズについては3ppmw未満であることと、さらに、金属による表面汚染が、0.1ppbw以上で100ppbw以下であることと、を特徴とする前記多結晶シリコンによって解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多結晶シリコン及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多結晶シリコン、短縮してポリシリコンは、今日では多量に工業的に製造され、とりわけ光電装置で使用するための及びウェハ製造元で単結晶を製造するための原料として用いられる。全ての用途において、原料の高い純度が望まれる。
【0003】
ポリシリコンの製造に際して、気相から析出させた後に、ポリシリコンロッドを破砕して再加工のために小さい破片にする必要がある。その際に、高純度のシリコンは、しかしながら、破砕工具の使用によって多かれ少なかれ不純物原子(Fremdatom)で汚染される。更に、シリコンダスト粒子(Siliciumstaubpartikel)が生じて、それが破砕破片へと付着する。
【0004】
通常は、シリコン破砕物は、例えば単結晶引き上げのためのような高価な使用分野のために、再加工及び/又は包装の前に清浄化される。それは、従来技術に従って、1つもしくは複数の化学的な湿式清浄化工程で行われる。その際、種々の化学薬品及び/又は酸からの混合物が、特に、付着している不純物原子を表面から再び除去するために使用される。しかしながら、この方法は、面倒であり、かつ費用がかかる。
【0005】
US6,916,657号から、不純物粒子もしくは不純物原子が、結晶引き上げに際してその歩留まりを下げうることは知られている。また、付着しているシリコンダストは、これについて悪影響を及ぼすことがある。
【0006】
雑誌"クリーンルーム技術(Reinraumtechnik)"(2006年1月、"汚染源としての高純度シリコンダスト(Hochreiner Siliziumstaub als Kontaminationsquelle)";Reinraumtechnik 1/2006,Ivo Croessmann)から、ポリシリコン上のシリコンダストの測定方法が知られている。そこには、単結晶へと再加工する際のその悪影響が挙げられている。湿式化学的に清浄化されたポリシリコンは、約10ppmwの"ダスト(Staub)"値を有し、輸送後には5μm未満のダスト粒子サイズ分布で60ppmwまでを有することが開示されている。
【0007】
WO2009/09003688号から、材料混合物中に存在する表面汚染されたシリコン材料であってシリコンの質量に対して1ppb〜1000ppmの表面汚染を有するシリコン材料を、表面に付着している材料の篩別によって選別するための方法が知られている。しかしながら、その篩別によって、約50μm未満の付着しているシリコンダストの減少は起こらず、より大きい離れた粒子の分離のみが十分に起こるにすぎない。
【0008】
US2003/0159647号A1から、シリコン破砕物の加工方法であって、シリコン破片から有孔板を通じた気流によってダストを除去するダスト除去システムを準備する前記方法が知られている。低いダスト値について報告されているが、詳細は述べられていない。
【0009】
しかしながら、気流によるダスト除去(Entstaubung)は、特に表面に強く付着している小さいシリコン粒子(<50μm)についてはあまり効果的ではない。小さいシリコン破砕破片は、エアジェットを回避することがある。良くない場合には、ポリシリコン破砕破片の流動層中での激しい運動によってそれどころか粒子の増加が生ずることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】US6,916,657号
【特許文献2】WO2009/09003688号
【特許文献3】US2003/0159647号A1
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】雑誌"クリーンルーム技術"(2006年1月、"汚染源としての高純度シリコンダスト";Reinraumtechnik 1/2006,Ivo Croessmann)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の課題は、表面ダストの含量が少なくコスト的に好ましい多結晶シリコンを提供することにあった。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記本発明の課題は、多結晶シリコン破砕破片を含有する第一の破砕サイズの多結晶シリコンであって、前記破砕破片の少なくとも90%が10〜40mmのサイズを有する前記多結晶シリコンにおいて、シリコンダスト粒子の割合が、400μm未満の粒子サイズについては15ppmw未満であり、50μm未満の粒子サイズについては14ppmw未満であり、10μm未満の粒子サイズについては10ppmw未満であり、かつ1μm未満の粒子サイズについては3ppmw未満であることと、さらに、金属による表面汚染が、0.1ppbw以上で100ppbw以下であることと、を特徴とする前記多結晶シリコンによって解決される。
【0014】
好ましくは、第一の破砕サイズのその多結晶シリコンにおいて、シリコンダスト粒子の割合は、400μm未満の粒子サイズについては10ppmw未満である。殊に好ましくは、シリコンダスト粒子の割合は、400μm未満の粒子サイズについては5ppmw未満である。
【0015】
好ましくは、シリコンダスト粒子の割合は、50μm未満の粒子サイズについては10ppmw未満である。殊に好ましくは、シリコンダスト粒子の割合は、50μm未満の粒子サイズについては3ppmw未満である。
【0016】
好ましくは、シリコンダスト粒子の割合は、10μm未満の粒子サイズについては5ppmw未満である。殊に好ましくは、シリコンダスト粒子の割合は、10μm未満の粒子サイズについては1ppmw未満である。
【0017】
好ましくは、シリコンダスト粒子の割合は、1μm未満の粒子サイズについては1ppmw未満である。殊に好ましくは、シリコンダスト粒子の割合は、1μm未満の粒子サイズについては0.1ppmw未満である。
【0018】
本発明による第一の破砕サイズの多結晶シリコンのシリコンダスト粒子の上述の好ましい及び殊に好ましい割合は、好ましくは、以下の好ましい金属による表面汚染と組み合わされる:
好ましくは、金属による表面汚染は、2.5ppbw以上で、100ppbw以下である。
【0019】
好ましくは、金属による表面汚染は、0.6ppbw以上で、2.5ppbw以下である。
【0020】
好ましくは、金属による表面汚染は、0.1ppbw以上で、0.6ppbw以下である。
【0021】
本発明による多結晶シリコンの表面汚染の金属は、好ましくは、Fe、Cr、Ni、Na、Zn、Al、Cu、Mg、Ti、W、K、Co及びCaからなる群を包含する。Mn及びAgなどの別の金属は、無視できるほど低い濃度で存在する。
【0022】
好ましくは、鉄による表面汚染は、0.01ppbw以上で、50ppbw以下である。好ましくは、鉄による表面汚染は、0.5ppbw以上で、50ppbw以下である。好ましくは、鉄による表面汚染は、0.1ppbw以上で、0.5ppbw以下である。好ましくは、鉄による表面汚染は、0.01ppbw以上で、0.1ppbw以下である。
【0023】
好ましくは、タングステンによる表面汚染は、0.01ppbw以上で、50ppbw以下である。好ましくは、タングステンによる表面汚染は、1ppbw以上で、50ppbw以下である。好ましくは、タングステンによる表面汚染は、0.1ppbw以上で、1ppbw以下である。好ましくは、タングステンによる表面汚染は、0.01ppbw以上で、0.1ppbw以下である。
【0024】
更に、前記本発明の課題は、多結晶シリコン破砕破片を含有する第二の破砕サイズの多結晶シリコンであって、前記破砕破片の少なくとも90%が20〜60mmのサイズを有する前記多結晶シリコンにおいて、シリコンダスト粒子の割合が、400μm未満の粒子サイズについては15ppmw未満であり、50μm未満の粒子サイズについては14ppmw未満であり、10μm未満の粒子サイズについては10ppmw未満であり、かつ1μm未満の粒子サイズについては3ppmw未満であることと、さらに、金属による表面汚染が、0.1ppbw以上で100ppbw以下であることと、を特徴とする前記多結晶シリコンによって解決される。
【0025】
好ましくは、この第二の破砕サイズの多結晶シリコンにおけるシリコンダスト粒子の割合は、400μm未満の粒子サイズについては10ppmw未満である。殊に好ましくは、シリコンダスト粒子の割合は、400μm未満の粒子サイズについては5ppmw未満である。
【0026】
好ましくは、シリコンダスト粒子の割合は、50μm未満の粒子サイズについては10ppmw未満である。殊に好ましくは、シリコンダスト粒子の割合は、50μm未満の粒子サイズについては3ppmw未満である。
【0027】
好ましくは、シリコンダスト粒子の割合は、10μm未満の粒子サイズについては5ppmw未満である。殊に好ましくは、シリコンダスト粒子の割合は、10μm未満の粒子サイズについては1ppmw未満である。
【0028】
好ましくは、シリコンダスト粒子の割合は、1μm未満の粒子サイズについては1ppmw未満である。殊に好ましくは、シリコンダスト粒子の割合は、1μm未満の粒子サイズについては0.1ppmw未満である。
【0029】
本発明による第二の破砕サイズの多結晶シリコンのシリコンダスト粒子の上述の好ましい及び殊に好ましい割合は、好ましくは、以下の好ましい金属による表面汚染と組み合わされる:
好ましくは、金属による表面汚染は、2.0ppbw以上で、100ppbw以下である。好ましくは、金属による表面汚染は、0.5ppbw以上で、2.0ppbw以下である。好ましくは、金属による表面汚染は、0.1ppbw以上で、0.5ppbw以下である。
【0030】
本発明による多結晶シリコンの表面汚染の金属は、好ましくは、Fe、Cr、Ni、Na、Zn、Al、Cu、Mg、Ti、W、K、Co及びCaからなる群を包含する。Mn及びAgなどの別の金属は、無視できるほど低い濃度で存在する。
【0031】
好ましくは、鉄による表面汚染は、0.01ppbw以上で、50ppbw以下である。好ましくは、鉄による表面汚染は、0.5ppbw以上で、50ppbw以下である。好ましくは、鉄による表面汚染は、0.1ppbw以上で、0.5ppbw以下である。好ましくは、鉄による表面汚染は、0.01ppbw以上で、0.1ppbw以下である。
【0032】
好ましくは、タングステンによる表面汚染は、0.01ppbw以上で、50ppbw以下である。好ましくは、タングステンによる表面汚染は、1ppbw以上で、50ppbw以下である。好ましくは、タングステンによる表面汚染は、0.1ppbw以上で、1ppbw以下である。好ましくは、タングステンによる表面汚染は、0.01ppbw以上で、0.1ppbw以下である。
【0033】
更に、前記本発明の課題は、多結晶シリコン破砕破片を含有する第三の破砕サイズの多結晶シリコンであって、前記破砕破片の少なくとも90%が45mm超のサイズを有する前記多結晶シリコンにおいて、シリコンダスト粒子の割合が、400μm未満の粒子サイズについては15ppmw未満であり、50μm未満の粒子サイズについては14ppmw未満であり、10μm未満の粒子サイズについては10ppmw未満であり、かつ1μm未満の粒子サイズについては3ppmw未満であることと、さらに、金属による表面汚染が、0.1ppbw以上で100ppbw以下であることと、を特徴とする前記多結晶シリコンによって解決される。
【0034】
好ましくは、この第三の破砕サイズの多結晶シリコンにおけるシリコンダスト粒子の割合は、400μm未満の粒子サイズについては10ppmw未満である。殊に好ましくは、シリコンダスト粒子の割合は、400μm未満の粒子サイズについては5ppmw未満である。
【0035】
好ましくは、シリコンダスト粒子の割合は、50μm未満の粒子サイズについては10ppmw未満である。殊に好ましくは、シリコンダスト粒子の割合は、50μm未満の粒子サイズについては3ppmw未満である。
【0036】
好ましくは、シリコンダスト粒子の割合は、10μm未満の粒子サイズについては5ppmw未満である。殊に好ましくは、シリコンダスト粒子の割合は、10μm未満の粒子サイズについては1ppmw未満である。
【0037】
好ましくは、シリコンダスト粒子の割合は、1μm未満の粒子サイズについては1ppmw未満である。殊に好ましくは、シリコンダスト粒子の割合は、1μm未満の粒子サイズについては0.1ppmw未満である。
【0038】
本発明による第三の破砕サイズの多結晶シリコンのシリコンダスト粒子の上述の好ましい及び殊に好ましい割合は、好ましくは、以下の好ましい金属による表面汚染と組み合わされる:
好ましくは、金属による表面汚染は、1.5ppbw以上で、100ppbw以下である。好ましくは、金属による表面汚染は、0.2ppbw以上で、1.5ppbw以下である。好ましくは、金属による表面汚染は、0.1ppbw以上で、0.2ppbw以下である。
【0039】
本発明による多結晶シリコンの表面汚染の金属は、好ましくは、Fe、Cr、Ni、Na、Zn、Al、Cu、Mg、Ti、W、K、Co及びCaからなる群を包含する。Mn及びAgなどの別の金属は、無視できるほど低い濃度で存在する。
【0040】
好ましくは、鉄による表面汚染は、0.01ppbw以上で、10ppbw以下である。好ましくは、鉄による表面汚染は、0.5ppbw以上で、10ppbw以下である。好ましくは、鉄による表面汚染は、0.05ppbw以上で、0.5ppbw以下である。好ましくは、鉄による表面汚染は、0.01ppbw以上で、0.05ppbw以下である。
【0041】
好ましくは、タングステンによる表面汚染は、0.01ppbw以上で、50ppbw以下である。好ましくは、タングステンによる表面汚染は、0.5ppbw以上で、50ppbw以下である。好ましくは、タングステンによる表面汚染は、0.05ppbw以上で、0.5ppbw以下である。好ましくは、タングステンによる表面汚染は、0.01ppbw以上で、0.05ppbw以下である。
【0042】
更に、前記本発明の課題は、多結晶シリコン破砕破片を含有する第四の破砕サイズの多結晶シリコンであって、前記破砕破片の少なくとも90%が3〜15mmのサイズを有する前記多結晶シリコンにおいて、シリコンダスト粒子の割合が、400μm未満の粒子サイズについては45ppmw未満であり、50μm未満の粒子サイズについては30ppmw未満であり、10μm未満の粒子サイズについては20ppmw未満であり、かつ1μm未満の粒子サイズについては10ppmw未満であることと、さらに、金属による表面汚染が、0.1ppbw以上で1ppmw以下であることと、を特徴とする前記多結晶シリコンによって解決される。
【0043】
好ましくは、この第四の破砕サイズの多結晶シリコンにおけるシリコンダスト粒子の割合は、400μm未満の粒子サイズについては30ppmw未満である。殊に好ましくは、シリコンダスト粒子の割合は、400μm未満の粒子サイズについては15ppmw未満である。
【0044】
好ましくは、シリコンダスト粒子の割合は、50μm未満の粒子サイズについては20ppmw未満である。殊に好ましくは、シリコンダスト粒子の割合は、50μm未満の粒子サイズについては10ppmw未満である。
【0045】
好ましくは、シリコンダスト粒子の割合は、10μm未満の粒子サイズについては15ppmw未満である。殊に好ましくは、シリコンダスト粒子の割合は、10μm未満の粒子サイズについては6ppmw未満である。
【0046】
好ましくは、シリコンダスト粒子の割合は、1μm未満の粒子サイズについては5ppmw未満である。殊に好ましくは、シリコンダスト粒子の割合は、1μm未満の粒子サイズについては0.5ppmw未満である。
【0047】
本発明による第四の破砕サイズの多結晶シリコンのシリコンダスト粒子の上述の好ましい及び殊に好ましい割合は、好ましくは、以下の好ましい金属による表面汚染と組み合わされる:
好ましくは、金属による表面汚染は、10ppbw以上で、1ppmw以下である。好ましくは、金属による表面汚染は、4.5ppbw以上で、10ppbw以下である。好ましくは、金属による表面汚染は、0.1ppbw以上で、4.5ppbw以下である。
【0048】
本発明による多結晶シリコンの表面汚染の金属は、好ましくは、Fe、Cr、Ni、Na、Zn、Al、Cu、Mg、Ti、W、K、Co及びCaからなる群を包含する。Mn及びAgなどの別の金属は、無視できるほど低い濃度で存在する。
【0049】
好ましくは、鉄による表面汚染は、0.01ppbw以上で、500ppbw以下である。好ましくは、鉄による表面汚染は、1.0ppbw以上で、500ppbw以下である。好ましくは、鉄による表面汚染は、0.3ppbw以上で、1.0ppbw以下である。好ましくは、鉄による表面汚染は、0.01ppbw以上で、0.3ppbw以下である。
【0050】
好ましくは、タングステンによる表面汚染は、0.01ppbw以上で、500ppbw以下である。好ましくは、タングステンによる表面汚染は、10ppbw以上で、500ppbw以下である。好ましくは、タングステンによる表面汚染は、1ppbw以上で、10ppbw以下である。好ましくは、タングステンによる表面汚染は、0.01ppbw以上で、1ppbw以下である。
【0051】
更に、前記本発明の課題は、多結晶シリコン破砕破片を含有する第五の破砕サイズの多結晶シリコンであって、前記破砕破片の少なくとも90%が0.5〜5mmのサイズを有する前記多結晶シリコンにおいて、シリコンダスト粒子の割合が、400μm未満の粒子サイズについては70ppmw未満であり、50μm未満の粒子サイズについては62ppmw未満であり、10μm未満の粒子サイズについては60ppmw未満であり、かつ1μm未満の粒子サイズについては40ppmw未満であることと、さらに、金属による表面汚染が、0.1ppbw以上で10ppmw以下であることと、を特徴とする前記多結晶シリコンによって解決される。
【0052】
好ましくは、この第五の破砕サイズの多結晶シリコンにおけるシリコンダスト粒子の割合は、400μm未満の粒子サイズについては40ppmw未満である。殊に好ましくは、シリコンダスト粒子の割合は、400μm未満の粒子サイズについては20ppmw未満である。
【0053】
好ましくは、シリコンダスト粒子の割合は、50μm未満の粒子サイズについては30ppmw未満である。殊に好ましくは、シリコンダスト粒子の割合は、50μm未満の粒子サイズについては15ppmw未満である。
【0054】
好ましくは、シリコンダスト粒子の割合は、10μm未満の粒子サイズについては25ppmw未満である。殊に好ましくは、シリコンダスト粒子の割合は、10μm未満の粒子サイズについては12ppmw未満である。
【0055】
好ましくは、シリコンダスト粒子の割合は、1μm未満の粒子サイズについては10ppmw未満である。殊に好ましくは、シリコンダスト粒子の割合は、1μm未満の粒子サイズについては1ppmw未満である。
【0056】
本発明による第五の破砕サイズの多結晶シリコンのシリコンダスト粒子の上述の好ましい及び殊に好ましい割合は、好ましくは、以下の好ましい金属による表面汚染と組み合わされる:
好ましくは、金属による表面汚染は、100ppbw以上で、10ppmw以下である。好ましくは、金属による表面汚染は、20ppbw以上で、100ppbw以下である。好ましくは、金属による表面汚染は、0.1ppbw以上で、20ppbw以下である。
【0057】
本発明による多結晶シリコンの表面汚染の金属は、好ましくは、Fe、Cr、Ni、Na、Zn、Al、Cu、Mg、Ti、W、K、Co及びCaからなる群を包含する。Mn及びAgなどの別の金属は、無視できるほど低い濃度で存在する。
【0058】
好ましくは、鉄による表面汚染は、0.01ppbw以上で、1ppmw以下である。好ましくは、鉄による表面汚染は、5.0ppbw以上で、1000ppbw以下である。好ましくは、鉄による表面汚染は、1.0ppbw以上で、5.0ppbw以下である。好ましくは、鉄による表面汚染は、0.01ppbw以上で、1.0ppbw以下である。
【0059】
好ましくは、タングステンによる表面汚染は、0.01ppbw以上で、5ppmw以下である。好ましくは、タングステンによる表面汚染は、100ppbw以上で、5ppmw以下である。好ましくは、タングステンによる表面汚染は、10ppbw以上で、100ppbw以下である。好ましくは、タングステンによる表面汚染は、0.01ppbw以上で、10ppbw以下である。
【0060】
上述の全ての破砕サイズの多結晶シリコンは、全く湿式化学的処理をしなくても、表面ダスト及び金属汚染に関して前記の特性を維持する。それは、例えばさらにより低い金属汚染を達成するため又は多結晶シリコンを表面のエッチング処理に供するために後続のプロセス工程における湿式化学的処理が好ましくないことを意味するわけではない。
【0061】
ダスト粒子での低い負荷は、以下に詳細に説明される特定のダスト除去法(Entstaubungsverfahren)の結果生じる。金属値(Metallwerte)は、全てのクレームされた範囲及び好ましい範囲において、特にシリコンの破砕破片への破砕に際しての汚染の少ない加工の使用によって並びに好適なクリーンルームクラスの選択によって達成される。
【0062】
従って、特に要求の高い使用のためには、特に汚染の少ない加工は、低いクリーンルームクラスと、例えばクリーンルームクラス100と組み合わされる(米国連邦規格(US FED STD)209Eに準拠、ISO14644−1により代替)。クラス100(ISO5)では、1リットルあたり最大0.5μm直径の粒子が最大3.5個含まれていてよい。
【0063】
種々の破砕サイズで挙げられた金属による表面汚染についての好ましい範囲並びに鉄による汚染及びタングステンによる汚染についての範囲は、クレームされた範囲の低い方の範囲と高い方の範囲に相当する。
【0064】
低い範囲では、汚染の少ない加工が必要である。この多結晶シリコンは、金属による低い汚染が望まれる特に要求の高い使用のために適している。
【0065】
好ましくは、全ての挙げられた破砕サイズについて、金属汚染、鉄汚染及びタングステン汚染についての高い方の範囲と低い方の範囲が互いに組合せされる。
【0066】
ここで、例えば第三の破砕サイズの多結晶シリコンについては、以下の金属汚染が特に好ましい:
要求の高い使用のため:
全金属 0.1ppbw〜0.2ppbw
鉄 0.01ppbw〜0.05ppbw
タングステン 0.01ppbw〜0.05ppbw
あまり要求の高くない使用のため:
全金属 0.2ppbw〜1.5ppbw
鉄 0.05ppbw〜0.5ppbw
タングステン 0.05ppbw〜0.5ppbw
【0067】
前記本発明の課題は、また、多結晶シリコンの製造方法であって、細いロッド上でシーメンス反応器中で析出された多結晶シリコンを破砕破片へと破砕すること、前記破砕破片を約0.5mmから45mm超までのサイズクラスで分級すること、それらのシリコン破砕破片を圧縮空気又はドライアイスによって処理して、それらの破砕破片からシリコンダストを除去することを含み、その際、前記破砕破片の化学的な湿式清浄化は行われない前記方法によって解決される。
【0068】
最後に、前記本発明の課題は、また、造粒物の形で又はロッド、ロッド破片もしくは破砕破片の形で存在する多結晶シリコンから圧縮空気又はドライアイスによってダスト除去するための第二の本発明による方法であって、多結晶シリコンからシリコンダストを除去するために、全く湿式化学的処理を行わない前記方法によって解決される。
【0069】
好ましくは、両方の本発明による方法では、シリコンは、汚染の少ない工具を用いて破砕破片に破砕される。
【0070】
今までは、先行技術において、半導体工学で使用することが予定されている場合に、許容される金属レベル及び粒子レベルを達成するために、多結晶シリコン破砕破片を化学的に清浄化することが慣用であった。
【0071】
本発明者らは、本来高すぎる金属粒子レベルを有している清浄化されていないポリシリコンであっても、事前にダスト除去をすれば、半導体工学での要求の高い使用のために好適であることを明らかにした。
【0072】
それは、ポリシリコン破砕物中の金属製の不純物及びそれ以外の不純物粒子が、単結晶の引き上げの際の転位の主要因の一つとして考えられていたという点からは、驚くべきことである。湿式化学的処理を行っていないポリシリコンは、湿式化学的処理をされたポリシリコンと比較してx倍も高い金属汚染を有する。これは、前記開示の通り、破砕サイズに応じて、0.1ppbw〜10000ppbwである。現行の考えは、結晶引き上げに際して問題を起こさないために、金属汚染は最大で100pptwであってよいことに起因している。しかしながらここで、シリコンダストが明らかにさらにより重要な役割を担うことが判明した。ダスト除去された清浄化されていないポリシリコンは、比較的高い金属負荷にもかかわらず、引き上げプロセスに際して優れた特性を示す。
【0073】
更に、圧縮空気又はドライアイスによるダスト除去に供された、100pptw未満の低い金属レベルを有する化学的に清浄化されたポリシリコンは、約1ppmwの検出限界未満の低減されたシリコン粒子レベルを有し、高価値の用途(例えば半導体用途のための単結晶引き上げ及び要求の高いソーラー用途)で明らかにより高い引き上げ性能を示すことを確認した。
【0074】
シリコン上に付着しているダスト、特に数μmから何百μmまでのサイズのシリコン粒子の形のダストの影響は、先行技術においては十分に顧慮されていなかった。
【0075】
本発明者らは、ソーラー用途のためのシリコンのブロック鋳造(Blockgiessen)の場合にも、本発明による多結晶シリコンは、より良い効果をもたらすことが確認された。
【0076】
それは、破砕サイズとは無関係に当てはまる。前記破砕サイズは、以下に、それぞれシリコン破砕破片の表面上の2点間の最も長い間隔(=最大長さ)として以下のように定義される:
・ 破砕サイズ0(BG0)(mm): 約0.5〜5
・ 破砕サイズ1(BG1)(mm): 約3〜15
・ 破砕サイズ2(BG2)(mm): 約10〜40
・ 破砕サイズ3(BG3)(mm): 約20〜60
・ 破砕サイズ4(BG4)(mm): >約45
その際、それぞれ、破砕フラクションの少なくとも約90質量%が、上述のサイズ範囲内にある。
【0077】
ポリシリコンは、好ましくは汚染が少なく破砕される。
【0078】
特に低い金属値を達成するために、生成物と接触する破砕機及び篩別装置(Siebanlage)中の全ての装置部分は、好ましくはプラスチックもしくはシリコンなどの汚染の少ない材料又はセラミック、石英もしくは硬質金属などの別の摩耗の少ない材料で構成されている。
【0079】
更に、好ましくはクリーンルームクラス1000未満、特に好ましくはクリーンルームクラス100未満、殊に好ましくはクリーンルームクラス10未満で作業される。
【0080】
汚染が少なく破砕されたポリシリコンのダスト除去は、圧力空気及び/又はドライアイスによって行われる。
【0081】
その際、シリコン破砕物は、ダスト除去の間に静的に存在してもよいが、再配置(Umlagern)されてもよい。
【0082】
その際、ダスト除去は、あらゆる技術的に慣用の圧力で並びに種々のノズル配置及びノズル量で行ってよい。
【0083】
ダスト除去は、一連のプロセスにおける1つ以上の箇所で、すなわち例えば、破砕の直後に、及び/又は分級の後に、及び/又は包装の直前に、又は輸送の後にも、例えば坩堝装置の直前に、行うことができる。
【0084】
シリコン表面の効果的な吹き付け除去(Abblasen)のために、商慣習の圧縮空気式ガンも使用できる。好ましくは、前記圧縮空気ガンは、汚染の少ない材料から、特に好ましくは特殊鋼(Edelstahl)、硬質金属又はプラスチック(PU、PP又はPE)から製造される。
【0085】
圧縮空気としては、空気、二酸化炭素、又は例えば窒素もしくはアルゴンなどの別の不活性ガスも使用することができる。また、任意のガス混合物、又は例えばオゾンなどの追加の化学的な浄化作用を有するガス添加物も考えられる。
【0086】
好ましくは、本発明によるポリシリコンの製造に際して、ガス圧力1〜20バール、好ましくは5〜10バールでのダスト除去が適用される。小さい破砕サイズの場合に、その際、傾向的により小さい圧力で作業される。
【0087】
その際、シリコン破砕破片の表面は、少なくとも2m/sの、好ましくは10m/s超の、特に好ましくは100m/s超のガス速度で吹き付け除去される。
【0088】
シリコン表面上へのガスジェットの作用は、1秒未満の1つの短いインパルスを表すか又はその複数の短いインパルスであってもよいし、複数秒もしくは複数分の持続噴射であってもよい。
【0089】
不純物粒子による汚染をなくすために、好ましくは、乾燥した(露点40℃未満)、油及び油脂を含まない、清浄化されたガスで、特に好ましくは半導体品質のガスで、もしくはその体積に対して10ppm未満の、好ましくは1ppm未満の、特に好ましくは0.1ppm未満の異種原子割合で作業される。
【0090】
特に良好な結果は、空気出口のできるだけ近くで、空気をさらに、10μm未満の、好ましくは0.1μm未満の、特に好ましくは0.001μm未満のパーティクルフィルタで清浄化した場合に達成される。
【0091】
清浄化されるべきシリコン破片の破砕サイズ及び表面のダスト負荷の程度に応じて、回転するか又はパルス化するノズルを有し種々のノズル形状を有する商慣習の高圧清浄機(Hochdruckreiniger)が可能である。
【0092】
更なる好ましい一実施態様においては、清浄化すべき材料を、振動樋(Ruettelrinne)上で又は好ましくは破砕サイズに対して幾らか小さいメッシュ幅を有するダストを通すメッシュ生地を有する輸送ベルトを介して運ばれる。この搬送装置にわたって、1つの強力な大きいノズルも、複数の小さいノズルも、シリコン破片に対して種々の位置、構成及び配置において可能である。
【0093】
特に好ましいのは、1つ以上の旋回装置(Wendeeinrichtung)によるシリコン材料の配置の自動的な変更である。
【0094】
特に好ましくは、シリコン破砕物のダスト除去は、ドライアイスによって行われる。
【0095】
ドライアイス清浄化は、精製されたCO2をドライアイス粒子の形で高速ノズルによって吹き付けることによって、表面上に付着している粒子を除去する。不純物粒子及びシリコンダスト粒子は、運動エネルギーと、熱衝撃作用と、シリコン破砕物からの昇華効果との組み合わせによって引き離される。
【0096】
驚くべきことに、このために、商慣習の清浄化装置(例えばCold Jet社製の装置)は、これが汚染の少ない材料を備えている場合には使用できることが判明した。
【0097】
好ましくは、その際に、ドライアイス貯蔵容器のために、プラスチックライニング(例えばPU、PP又はPE)が使用される。
【0098】
装置がドライアイスブロックをもって作業される場合に、好ましくは約マイナス80℃に冷えたアイス粒子の製造のために、摩耗の少ないセラミックもしくは硬質金属製の加工工具が使用される。
【0099】
不純物粒子による汚染をなくすためには、例えば食品品質の二酸化炭素ガスをベースとした超純粋なドライアイスが使用される。
【0100】
ドライアイス粒子は、その際、清浄化されたガス(フィルタを通された圧縮空気、CO2、半導体品質の窒素などの不活性ガス又はそれらの混合物)を用いて、1〜20バールの圧力で、好ましくは3〜10バールの圧力で、"汚染の少ない"ベンチュリノズルにおいて加速され、そこから清浄化されるべきシリコン表面へと2m/s超の、好ましくは10m/s超の、特に好ましくは100m/s超の速度で吹き付けられる。
【0101】
ドライアイス清浄化は、ポリシリコン上に全く残留物を残さない。さらに、材料は乾燥したままである。湿式化学的な方法でのような面倒な乾燥は、必要なくなる。
【0102】
ドライアイスの使用量は、その際、ノズルの構成及び圧力範囲に応じて変動する。
【0103】
更なる好ましい一実施態様は、圧縮空気によるダスト除去とドライアイスによるダスト除去との組み合わせにある。
【0104】
本発明による製造方法の使用によって、生産において相当の費用が削減できる。それというのも、例えば非常に多くのダストを生ずる破砕装置も分級装置も使用できるからである。
【0105】
本発明による方法は、また、ポリシリコン製の緻密な又は多孔質の破砕破片に限定されるものではなく、他のポリシリコン製の物、例えば造粒物又はいわゆるカットロッド(Cut−Rods)もしくはFZ/CZロッドなどの物のダスト除去のためにも使用することができる。
【0106】
本発明を、ここで実施例と比較例をもとに詳細に説明する。
【実施例】
【0107】
複数の多結晶シリコンロッドを、破砕機を用いて、種々のサイズの破砕破片に破砕し、分級した。微細材料を、その際、篩別によって分離した。
【0108】
特に低い金属値を達成するために、生成物と接触する破砕機及び分級装置中の全ての装置部分は、プラスチックもしくはシリコンなどの汚染の少ない材料又はセラミック、石英もしくは硬質金属などの別の摩耗の少ない材料で構成されていた。
【0109】
その際、前記材料は破砕サイズ4の目標サイズまで破砕されたが、全ての別のサイズの破砕破片も生じた。
【0110】
引き続き、種々の分級された破砕サイズフラクションから無作為に複数のサンプルを取り出し、これに付着しているダスト及び金属を測定した。
【0111】
付着しているシリコン粒子の測定のために、複数百gの重さを有する複数の破砕破片を取り出し、きれいな篩マントル(Siebstrumpf)(メッシュ幅160μm)に入れて、それらの粒子を水浴中で引き離した。水浴中の粒子の数とサイズを、次いで、シリコンサンプルの秤量に対して、レーザー回折もしくはBeckmann社製のCoulter LS 13320を用いて測定した。
【0112】
表面金属の測定のために、同様に、無作為に複数のサンプル破片を取り出し、そして金属汚染を、シリコン表面の化学的剥離と、引き続いて剥離された溶液のICPMSによる分析とによって測定した。
【0113】
結果を、第1表〜第4表に示す。
【0114】
高いダスト値が、特に小さい破砕サイズの場合に示された。
【0115】
それに対して、金属値は、中規模のレベルにあり、これは、汚染の少ない加工に起因する。
【0116】
第1表は、破砕サイズ4についてのダスト値を示している。
【0117】
それぞれ、種々の最大の考察された粒子サイズについて、濃度はppmwで表される。
【0118】
第1表 − 破砕サイズ4 − ダスト[ppmw]
【表1】

【0119】
第2表は、破砕サイズ3についてのダスト値をppmwで示している。
【0120】
それぞれ、種々の最大の考察された粒子サイズについて、濃度はppmwで表される。
【0121】
第2表 − 破砕サイズ3 − ダスト[ppmw]
【表2】

【0122】
第3表は、破砕サイズ2についてのダスト値をppmwで示している。
【0123】
それぞれ、種々の最大の考察された粒子サイズについて、濃度はppmwで表される。
【0124】
第3表 − 破砕サイズ2 − ダスト[ppmw]
【表3】

【0125】
第4表は、破砕サイズ1についてのダスト値をppmwで示している。
【0126】
それぞれ、種々の最大の考察された粒子サイズについて、濃度はppmwで表される。
【0127】
第4表 − 破砕サイズ1 − ダスト[ppmw]
【表4】

【0128】
第5表は、破砕サイズ0についてのダスト値をppmwで示している。
【0129】
それぞれ、種々の最大の考察された粒子サイズについて、濃度はppmwで表される。
【0130】
第5表 − 破砕サイズ0 − ダスト[ppmw]
【表5】

【0131】
第6表は、破砕サイズによる金属値をpptwで示している。
【0132】
第6表
【表6】

【0133】
実施例1
ここで、本発明による方法は、シリコン破砕破片に使用した。
【0134】
破砕サイズ分布0から4を有する100gの破砕破片をそれぞれ複数取り出し、本発明に従って、乾燥された油を含まない、0.1μmのパーティクルフィルタによって清浄化された圧縮空気で商慣習のハンドノズルを用いて機械的な再配置(Umlagerung)をしながら破砕サイズに対して幾らか小さいメッシュ幅を有するプラスチック篩(メッシュ幅のサイズ:その都度の破砕サイズの長さの下限値の約50%が好ましい)上で1〜10秒にわたって吹き付け除去した。圧力は、約5バールで、ノズル(開口断面積約1mm2)での空気吹き出し速度10m/s超であった。
【0135】
引き続き、無作為に選択されたサンプル破片で、ダスト負荷量とタングステン濃度を測定した。
【0136】
全ての破砕サイズで、付着しているダストの粒子サイズは、平均して2分の1を下回るだけ低減できた。
【0137】
その結果は、モニター元素Wをもとに、表面金属での汚染の軽い低減も達成されることを示している。金属での汚染は、第6表によれば、基本的に中程度のレベルで存在する。
【0138】
しかしながら、ダスト除去は、驚くべきことに、モニター元素タングステンをもとに確認できるように、金属レベルの軽い低減ももたらす。タングステンについては、120pptwという結果が生じた。
【0139】
第7表は、実施例1の全ての破砕サイズについてのダスト値をppmwで示している。
【0140】
そこでは、明らかな改善を確認できる。
【0141】
REM像(示さず)によって、面積あたりに確認できる付着しているシリコン粒子の量が低減されることが確認される。
【0142】
第7表
【表7】

【0143】
実施例2
実施例1と同様に行ったが、上記の汚染が少なく製造された破砕サイズ0〜4の種々のシリコン破砕サイズ分布から、それぞれ100gの破片を複数取り出し、本発明に従ってドライアイスによってダスト除去した。
【0144】
そのためには、Cold Jet社製の商慣習の可搬型の装置(Aeroタイプ)を使用し、ドライアイス流量速度は約1kg/分であった。
【0145】
ドライアイスは、数pptaだけの金属(Fe、Cr、Caなど)の汚染を有するにすぎない。
【0146】
それらのポリシリコン破砕破片を、引き続き、手動で破砕サイズに対して幾らか小さいメッシュ幅(サイズはその都度の破砕サイズの長さの下限値の約50%である)を有するPUプラスチック篩上で手作業で再配置させ、1〜10秒間にわたり平面ノズル(Flachduese)を用いて吹き付け除去した。
【0147】
それらのノズルは、複数cmの長さと複数mmの幅の開口断面を有していた。
【0148】
圧力は、破砕サイズに応じて、1〜10バールであり、ノズルでの空気吹き出し速度は10m/s超であった。
【0149】
より小さい破砕サイズの場合に、装置の低められた出力もしくは圧力でダスト除去された。
【0150】
引き続き、再び無作為に選択されたサンプル破片で、ダスト負荷量と金属を測定した。
【0151】
それらの金属は、再びモニター元素のタングステンで測定して、圧縮空気による清浄化に対してなおも軽く改善することができた。
【0152】
さらに、全ての破砕サイズでは、全ての粒子サイズ(参考例と比較して)が、3分の1超だけ低減されている。
【0153】
第8表は、実施例2からの全ての破砕サイズについてのダスト値をppmwで示している。
【0154】
第8表
【表8】

【0155】
金属による汚染は、中程度のレベルで存在する。
【0156】
第9表は、実施例1(圧縮空気)、実施例2(ドライアイス)についてのタングステンの濃度を示しており、かつ参照として、汚染の少ない加工後であるが、ダスト除去をしていない場合の値(第6表を参照)を、それぞれpptwで示している。
【0157】
従って、タングステンは、比較のために個別に表される。それというのも、ここでは、横断汚染(Querkontamination)は、周囲の状況と取り扱いによって回避できるからである。
【0158】
第9表
【表9】

【0159】
比較例
比較例において、緻密に析出された非孔質のポリシリコンを、DE102006035081号A1と同様の方法によって破砕し、分級し、化学的に清浄化し、そしてポリエチレン袋に包装して、分析のために輸送した。比較例においては、従って、湿式化学的な清浄化が行われる。
【0160】
引き続き、種々のポリエチレン袋から無作為にサイズ4のサンプル破片を取り出し、ダスト負荷量と金属を測定し、REM写真を撮った。
【0161】
ここで、全てのダスト値(第11表を参照)は、検出限界にあるという結果が生じた。金属値(第10表を参照)は、実施例1及び2(第6表を参照)よりも明らかに低い。
【0162】
第10表は、比較例についての金属値をpptwで示している。
【0163】
第10表
【表10】

【0164】
第11表は、比較例についてのダスト値をppmwで示している。
【0165】
第11表
【表11】

【0166】
湿式化学的清浄化によって、本発明による方法よりも明らかに良好な金属値がもたらされることが明らかになる。
【0167】
しかしながら、本発明の目的は、特に好ましい多結晶シリコンを提供し、面倒で高価な湿式化学的処理を省くことができるということであった。
【0168】
本発明者らは、許容できる中程度のレベルに金属汚染が変動する限りは、シリコンダストが、多くの用途にとって金属での負荷よりも重要であることを見出した。そのことは、汚染の少ない加工によって、特に要求の高い用途において、低いクリーンルームクラスと組み合わせて、そして本発明によるダスト除去法によって達成できた。
【0169】
従って、本発明によって、非常に低いダスト割合を有し、かつ多くの用途に許容できる金属汚染を伴う明らかにより好ましい多結晶シリコンが提供される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多結晶シリコン破砕破片を含有する多結晶シリコンであって、前記破砕破片の少なくとも90%が10〜40mmのサイズを有する前記多結晶シリコンにおいて、シリコンダスト粒子の割合が、400μm未満の粒子サイズについては15ppmw未満であり、50μm未満の粒子サイズについては14ppmw未満であり、10μm未満の粒子サイズについては10ppmw未満であり、かつ1μm未満の粒子サイズについては3ppmw未満であることと、さらに、金属による表面汚染が、0.1ppbw以上で100ppbw以下であることと、を特徴とする前記多結晶シリコン。
【請求項2】
多結晶シリコン破砕破片を含有する多結晶シリコンであって、前記破砕破片の少なくとも90%が20〜60mmのサイズを有する前記多結晶シリコンにおいて、シリコンダスト粒子の割合が、400μm未満の粒子サイズについては15ppmw未満であり、50μm未満の粒子サイズについては14ppmw未満であり、10μm未満の粒子サイズについては10ppmw未満であり、かつ1μm未満の粒子サイズについては3ppmw未満であることと、さらに、金属による表面汚染が、0.1ppbw以上で100ppbw以下であることと、を特徴とする前記多結晶シリコン。
【請求項3】
多結晶シリコン破砕破片を含有する多結晶シリコンであって、前記破砕破片の少なくとも90%が45mm超のサイズを有する前記多結晶シリコンにおいて、シリコンダスト粒子の割合が、400μm未満の粒子サイズについては15ppmw未満であり、50μm未満の粒子サイズについては14ppmw未満であり、10μm未満の粒子サイズについては10ppmw未満であり、かつ1μm未満の粒子サイズについては3ppmw未満であることと、さらに、金属による表面汚染が、0.1ppbw以上で100ppbw以下であることと、を特徴とする前記多結晶シリコン。
【請求項4】
多結晶シリコン破砕破片を含有する多結晶シリコンであって、前記破砕破片の少なくとも90%が3〜15mmのサイズを有する前記多結晶シリコンにおいて、シリコンダスト粒子の割合が、400μm未満の粒子サイズについては45ppmw未満であり、50μm未満の粒子サイズについては30ppmw未満であり、10μm未満の粒子サイズについては20ppmw未満であり、かつ1μm未満の粒子サイズについては10ppmw未満であることと、さらに、金属による表面汚染が、0.1ppbw以上で1ppmw以下であることと、を特徴とする前記多結晶シリコン。
【請求項5】
多結晶シリコン破砕破片を含有する多結晶シリコンであって、前記破砕破片の少なくとも90%が0.5〜5mmのサイズを有する前記多結晶シリコンにおいて、シリコンダスト粒子の割合が、400μm未満の粒子サイズについては70ppmw未満であり、50μm未満の粒子サイズについては62ppmw未満であり、10μm未満の粒子サイズについては60ppmw未満であり、かつ1μm未満の粒子サイズについては40ppmw未満であることと、さらに、金属による表面汚染が、0.1ppbw以上で10ppmw以下であることと、を特徴とする前記多結晶シリコン。
【請求項6】
表面汚染の金属が、Fe、Cr、Ni、Na、Zn、Al、Cu、Mg、Ti、W、K、Co及びCaからなる群を包含する、請求項1から5までのいずれか1項に記載の多結晶シリコン。
【請求項7】
鉄による表面汚染は、0.01ppbw〜50ppbwであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の多結晶シリコン。
【請求項8】
タングステンによる表面汚染は、0.01ppbw〜50ppbwであることを特徴とする、請求項7に記載の多結晶シリコン。
【請求項9】
鉄による表面汚染は、0.01ppbw〜10ppbwであることを特徴とする、請求項3に記載の多結晶シリコン。
【請求項10】
タングステンによる表面汚染は、0.01ppbw〜50ppbwであることを特徴とする、請求項9に記載の多結晶シリコン。
【請求項11】
鉄による表面汚染は、0.01ppbw〜500ppbwであることを特徴とする、請求項4に記載の多結晶シリコン。
【請求項12】
タングステンによる表面汚染は、0.01ppbw〜500ppbwであることを特徴とする、請求項11に記載の多結晶シリコン。
【請求項13】
鉄による表面汚染は、0.01ppbw〜1ppmwであることを特徴とする、請求項5に記載の多結晶シリコン。
【請求項14】
タングステンによる表面汚染は、0.01ppbw〜5ppmwであることを特徴とする、請求項13に記載の多結晶シリコン。
【請求項15】
シリコンダスト粒子の割合が、50μm未満の粒子サイズについては10ppmw未満であることを特徴とする、請求項1から3又は7から10までのいずれか1項に記載の多結晶シリコン。
【請求項16】
シリコンダスト粒子の割合が、1μm未満の粒子サイズについては1ppmw未満であり、かつ10μm未満の粒子サイズについては5ppmw未満であることを特徴とする、請求項1から3又は7から10までのいずれか1項に記載の多結晶シリコン。
【請求項17】
シリコンダスト粒子の割合が、400μm未満の粒子サイズについては30ppmw未満であることを特徴とする、請求項4又は11から12までのいずれか1項に記載の多結晶シリコン。
【請求項18】
シリコンダスト粒子の割合が、50μm未満の粒子サイズについては20ppmw未満であることを特徴とする、請求項4又は11から12までのいずれか1項に記載の多結晶シリコン。
【請求項19】
シリコンダスト粒子の割合が、10μm未満の粒子サイズについては15ppmw未満であることを特徴とする、請求項4又は11から12までのいずれか1項に記載の多結晶シリコン。
【請求項20】
シリコンダスト粒子の割合が、1μm未満の粒子サイズについては5ppmw未満であることを特徴とする、請求項4又は11から12までのいずれか1項に記載の多結晶シリコン。
【請求項21】
シリコンダスト粒子の割合が、400μm未満の粒子サイズについては40ppmw未満であることを特徴とする、請求項5又は13から14までのいずれか1項に記載の多結晶シリコン。
【請求項22】
シリコンダスト粒子の割合が、50μm未満の粒子サイズについては30ppmw未満であることを特徴とする、請求項5又は13から14までのいずれか1項に記載の多結晶シリコン。
【請求項23】
シリコンダスト粒子の割合が、10μm未満の粒子サイズについては25ppmw未満であることを特徴とする、請求項5又は13から14までのいずれか1項に記載の多結晶シリコン。
【請求項24】
シリコンダスト粒子の割合が、1μm未満の粒子サイズについては10ppmw未満であることを特徴とする、請求項5又は13から14までのいずれか1項に記載の多結晶シリコン。
【請求項25】
請求項1から24までのいずれか1項に記載の多結晶シリコンの製造方法であって、細いロッド上でシーメンス反応器中で析出された多結晶シリコンを破砕破片へと破砕すること、前記破砕破片を約0.5mmから45mm超までのサイズクラスで分級すること、それらのシリコン破砕破片を圧縮空気又はドライアイスによって処理して、シリコンダストを、前記破砕破片の化学的な湿式清浄化をすることなく除去することを含む前記方法。
【請求項26】
造粒物の形で又はロッド、ロッド破片もしくは破砕破片の形で存在する多結晶シリコンから圧縮空気又はドライアイスによってダスト除去するための方法であって、多結晶シリコンからシリコンダストを除去するために、全く湿式化学的処理を行わない前記方法。
【請求項27】
シリコンを汚染の少ない工具で破砕破片へと破砕し、分級し、そしてダスト除去する、請求項25又は26に記載の方法。
【請求項28】
圧縮空気又はドライアイスでの処理を、1〜50バールの圧力で行う、請求項25から27までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
少なくとも2m/sの流速の圧縮空気又はドライアイスでの処理により吹き付け除去される、請求項25から28までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
圧縮空気又はドライアイスでの処理を、0.01〜2000秒にわたって行う、請求項25から29までのいずれか1項に記載の方法。

【公開番号】特開2012−46412(P2012−46412A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−183660(P2011−183660)
【出願日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(390008969)ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト (417)
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
【住所又は居所原語表記】Hanns−Seidel−Platz 4, D−81737 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】