説明

多結晶磁気熱量材料

【課題】大きな磁気熱量効果を有する磁気熱量材料を提供すること。
【解決手段】上記課題は、一般式
MnaCobGecx
[式中、
Aは、B又はC、すなわち、ホウ素又は炭素であり、
0≦x≦0.5、
0.9≦a≦1.1、
0.9≦b≦1.1、
0.9≦c≦1.0、
Mn若しくはCoの最大30モル%までをFe、Ni、Cr、V若しくはCuと置換しても良く、又はMn、Co若しくはGeの最大30モル%までを空孔により置換しても良い。]で表わされ、且つ
斜方晶TiNiSi構造型の相及び六方晶Ni2In構造型の相が、−40℃未満の温度で存在することを特徴とする多結晶磁気熱量材料による本発明によって達成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多結晶磁気熱量材料に関し、それらの製品を製造するための多結晶磁気熱量材料、及び冷却器、熱交換器又は発電機で、特に、冷蔵庫で使用するための多結晶磁気熱量材料に関する。
【背景技術】
【0002】
熱磁気材料、磁気熱量材料ともまた呼ばれるものは、冷蔵庫又はエアコンユニット等における冷却のために、熱ポンプ中で、又は機械エネルギーへの変換の中間接続をすることの無い熱からの電力の直接生成のために、使用され得る。
【0003】
そのような材料は、基本的に公知であり、WO2004/068512等にも記載されている。磁気冷却技術は磁気熱量効果(MCE)に基づくものであり、公知の蒸気循環冷却法の代替手段を構成することができる。磁気熱量効果を示す材料では、外部磁場による無作為調整の磁気モーメントの整列が材料の加熱をもたらす。この熱は、MCE材料から周囲大気へと熱伝達により除去され得る。磁場がその後切られ、又は除去された時、周囲温度未満への材料の冷却をもたらす磁気モーメントは、前の無作為配置へと戻る。この効果は、冷却目的で利用され得る;また、Nature,415巻、2002年1月10日、150−152頁参照。一般的に、水等の熱媒体が磁気熱量材料からの熱の除去のために用いられる。
【0004】
同様に、熱磁気発電機で用いられる材料は磁気熱量効果に基づく。磁気熱量効果を示す材料では、外部磁場による無作為調整の磁気モーメントの整列が、その材料の加熱をもたらす。この熱は、MCE材料から周囲大気へと熱伝達によって放出され得る。その磁場がその後切られ、又は除去された時、周囲温度未満への材料の冷却をもたらす磁気モーメントは、前の無作為配置へと戻る。この効果は最初に冷却目的で利用され、次に熱の電気エネルギーへの変換のために利用され得る。
【0005】
電気エネルギーの磁気熱量発電は磁気加熱及び冷却と関連付けられる。最初の着想の時は、エネルギー生成方法は、熱磁気(pyromagnetic)エネルギー発生として記載された。ペルチェ素子又はゼーべック型素子と比較して、これらの磁気熱量素子は有意に高いエネルギー効率を有し得る。
【0006】
この物理的現象に対する研究は19世紀後半に開始され、二人の科学者、TeslaとEdisonが、熱磁気発電機(pyromagnetic generators)の特許を出願した。1984年には、Kirolが多くの施用可能性を記載し、それらの熱力学解析を行った。そのとき、ガドリニウムは室温に近い施用のための可能性のある材料であると考えられた。
【0007】
熱磁気発電機は、N.TeslaによるUS428,057等に記載されている。鉄又は他の磁性材料の磁気特性が部分的に若しくは完全に破壊され得ること、又は特定の温度への加熱の結果として消失し得ることが記載されている。冷却の過程で、磁気特性は回復し、開始状態に戻る。この効果は電気エネルギーを発生させるために活用され得る。導電体が変化する磁場にさらされるとき、磁場の変化は導電体中に電流の誘導をもたらす。例えば、磁性材料がコイルに囲まれ、それから永久磁場中で加熱され、その後冷却される場合、電流が加熱及び冷却のそれぞれの過程においてコイル中に誘導される。これは、熱エネルギーが、機械仕事への中間変換無く電気エネルギーに変換されることを許す。Teslaにより記載された方法では、磁性材料として鉄が、オーブン又は閉型炉(closed fireplace)を用いて加熱され、その後再び冷却される。
【0008】
熱磁気又は磁気熱量施用のために、高効率を達成可能であるために、その材料は効率的な熱交換を許すべきである。冷却の過程及び発電の過程の両方で、熱磁気材料が熱交換器中で用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】WO2004/068512
【特許文献2】US428,057
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Nature,415巻、2002年1月10日、150−152頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、大きな磁気熱量効果を有する磁気熱量材料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
その目的は、一般式
MnaCobGecx
[式中、
Aは、B又はC、すなわち、ホウ素又は炭素であり、
0≦x≦0.5、
0.9≦a≦1.1、
0.9≦b≦1.1、
0.9≦c≦1.0、
Mn若しくはCoの最大30モル%までをFe、Ni、Cr、V若しくはCuと置換しても良く、又はMn、Co若しくはGeの最大30モル%までを空孔により置換しても良い。]で表わされ、且つ
斜方晶TiNiSi構造型の相及び六方晶Ni2In構造型の相が、−40℃未満の温度で存在することを特徴とする多結晶磁気熱量材料による本発明によって達成される。
【0013】
本発明の一実施の形態では、2.8<a+b+c<3.2又はa+b+c=3である。Aはホウ素又は炭素であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、0.1Tの磁場で決定された、MnCoGe0.98、Mn0.9Fe0.1CoGe及びMnCo0.9Cu0.1Geの磁化の温度依存性を示す図である(それぞれ、四角形、円形及び三角形で示す)。
【図2】図2は、室温で決定されたMnCoGe0.98、Mn0.9Fe0.1CoGe及びMnCo0.9Cu0.1GeのX線構造パターンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明によれば、斜方晶TiNiSi構造型の相及び六方晶Ni2In構造型の相の両方の相が存在する多結晶磁気熱量材料が、思いがけなく高い磁気熱量効果を示すことがわかった。その材料は、事実上、本質的に二相性磁気熱量材料である。前記二相の少なくとも5質量%、より好ましくは少なくとも10質量%、特に少なくとも15質量%が、多結晶磁気熱量材料中に存在する。
【0016】
本発明の材料と比較して、指定されたその相の一相のみを含むそれらの材料は、小さい磁気熱量効果を示すのみである。通常、単相の材料はより良好な使用特性を有すると想定される点で、これはいっそう驚くべきことである。
【0017】
磁気熱量材料の二つの型がこの効果を示す:非化学量論であるMnCoGe型の材料であって、且つGe副格子中の空孔、又はCo副格子中のFe、Ni、Cr、V若しくはCu置換の何れかを示すものである。
【0018】
加えて、少量のホウ素を化学量論のMnCoGeに添加することにより得られる格子間原子としてのホウ素により形成されたMnCoGe構造は、大きな磁気熱量効果を示す。最も大きな磁気熱量効果は、侵入型合金で観察される。
【0019】
磁気モーメント及び磁気熱量効果が順番に調整され得ることの結果として、その割合の調整は相転移を調整させることができる。キュリー温度を超えるとその材料は通常単相形態で存在するが、キュリー温度未満では二相の形態で存在する。
【0020】
金属間化合物MnCoGeは、345Kのキュリー温度で斜方晶TiNiSi構造型に結晶化する。MnCoGeは典型的な二次磁気相転移を示す。5Tの磁場変化と共に、MnCoGeの等温磁気エントロピー変化は約5Jkg-1-1である。他の元素によるCoの置換は磁気モーメント及びキュリー温度の双方を下げるだろうと予想されていた。しかしながら、本発明によると、斜方晶TiNiSi構造型から六方晶Ni2In構造型への可能な構造転移がその化合物での大きな磁気熱量効果をもたらすことがわかった。
【0021】
本発明の磁気熱量材料では、好ましくは0.001<x<0.1である。より好ましくは、xは0.01から0.05の値を有する。
【0022】
好ましくは、Mn又はCoの最大25モル%、より詳細には、10〜20モル%、特に3〜10モル%が、指定されたように置換される。
【0023】
本発明により使用される熱磁気材料は、任意の好適な方法で製造され得る。
【0024】
本発明の磁気熱量材料は、その材料のための出発元素若しくは出発合金を固相転化又は液相転化、その後に冷却させ、それから加圧、焼結及び不活性ガス雰囲気下で熱処理、そして続いて室温へ冷却することによるか、あるいは出発元素若しくは出発合金融解物を溶融紡糸することにより、製造され得る。
【0025】
熱磁気材料は、例えば、その材料のための出発元素又は出発合金のボールミル中での固相反応、その後の加圧、焼結及び不活性ガス雰囲気下での熱処理、及びその後の室温への徐冷等の冷却により製造される。そのような方法はJ.Appl.Phys.99,2006,08Q107等に記載されている。
【0026】
溶融紡糸を介した方法もまた可能である。これは、改良された磁気熱量効果をもたらすより均一な元素分布を可能とする;Rare Metals、25巻、2006年8月、544−549頁参照。ここに記載された方法によると、出発元素は最初にアルゴンガス雰囲気で誘導融解され、それから融解状態でノズルを通して回転する銅製ローラへと噴霧される。1000℃での焼結及び室温への徐冷が後に続く。
【0027】
加えて、その製造のために、参照がWO2004/068512になされてもよい。
【0028】
それゆえ、磁気熱量材料の製造方法であって、
以下の工程:
a)固体及び/又は液体の相において、金属に基づくその材料に対応する化学元素及び/又は合金を化学量論比で転化させる工程、
b)任意に、工程a)で得られた反応生成物を固体へと転化させる工程、
c)工程a)又はb)で得られた固体を焼結及び/又は熱処理する工程、
d)工程c)で得られた焼結及び/又は熱処理された固体を、少なくとも100k/sの冷却速度で急冷する工程
を含む方法が用いられることが好ましい。
【0029】
金属に基づく材料が、焼結及び/又は熱処理後に周囲温度へと徐冷されるのでは無く、高い冷却速度で急冷される場合、熱ヒステリシスを有意に減少させることができ、且つ大きな磁気熱量効果を達成させることができる。この冷却速度は少なくとも100K/sである。その冷却速度は、好ましくは100−1000K/sであり、より好ましくは200−1300K/sである。特に、冷却速度は300−1000K/sであることが好ましい。
【0030】
急冷は、水又は水性液体、例えば、冷水又は氷/水混合物で固体を急冷する等の任意の好適な冷却法により達成され得る。固体は、例えば、氷冷された水中へと陥ることを許され得る。固体を、液体窒素等のサブクールガスで急冷することもまた可能である。急冷のためのさらなる方法は、当業者にとって公知である。ここで有利なことは、制御された、急速な冷却である。
【0031】
磁気熱量材料の製造の残りの部分は、最後の工程が焼結及び/又は熱処理した固体の本発明の冷却速度での急冷を含むという条件であり、それほど重要ではない。本方法は、上述の通り、磁気冷却のための任意の好適な熱磁気材料の製造が施されてよい。
【0032】
本方法の工程(a)では、後の熱磁気材料中に存在する元素及び/又は合金が、固相又は液相で、熱磁気材料に対応する化学量論比で転化される。
【0033】
工程a)で、密閉容器若しくは押出機中でその元素及び/又は合金の複合加熱により、又はボールミル中での固相反応により、その反応が実施されることが好ましい。特に、ボールミル中で実施される、固相反応の実施が特に好ましい。そのような反応は基本的に公知である;上述の文献参照。典型的に、後の熱磁気材料中に存在する、個々の元素粉末又は個々の元素の二種以上の合金粉末は、粉末形態で好適な質量割合で混合される。必要であれば、微結晶粉末混合物を得るために、その混合物は付加的に粉砕され得る。この粉末混合物は、好ましくはボールミル中で加熱される。これは、さらなる微粉砕及びまた良好な混合をもたらし、且つ粉体混合物中での固相反応をもたらす。あるいは、個々の元素が、選択された化学量論比で粉末として混合され、それから融解される。
【0034】
密閉容器中での複合加熱は、揮発性元素の固定及び化学量論比の制御を許す。特に、リンを使用する場合、これは開放系では容易に気化するだろう。
【0035】
その反応は、一以上の中間工程が設けられ得る、固体の焼結及び/又は熱処理により後に続かれる。例えば、工程a)で得られる固体は、焼結及び/又は熱処理される前に成形され得る。
【0036】
あるいは、ボールミルから得られる固体を溶融紡糸法へと送ることが可能である。溶融紡糸法は、それ自体公知であり、Rare Metals、25巻、2006年8月、544−549頁、及びまたWO2004/068512等に記載されている。
【0037】
これらの方法では、工程a)で得られる組成物が融解され、回転する、冷たい金属製ローラ上に噴霧される。この噴霧は、噴霧ノズル上流の昇圧又は噴霧ノズル下流の減圧を用いて達成され得る。典型的に、適宜に、付加的に冷却され得る、回転する銅製ドラム又はローラが用いられる。銅製ドラムは、好ましくは10〜40m/s、特に20〜30m/sの表面速度で回転する。銅製ドラム上では、液体組成物は好ましくは102〜107K/s、より好ましくは少なくとも104K/s、特に0.5〜2×106K/sの割合で冷却される。
【0038】
溶融紡糸も、工程a)での反応と同様、減圧下又は不活性ガス雰囲気下で実施され得る。
【0039】
溶融紡糸は、後に続く焼結及び熱処理が短縮され得るので、高い加工速度で達成される。したがって、工業規模では特に、熱磁気材料の製造は、有意に、より経済的に実行可能となる。噴霧乾燥もまた、高い加工速度をもたらす。溶融紡糸が実施されることが特に好ましい。
【0040】
あるいは、工程b)では、工程a)で得られた組成物の融解物が噴霧塔へと噴霧される噴霧冷却が実施され得る。この噴霧塔は、例えば、付加的に冷却されてもよい。噴霧塔では、103〜105K/s、特に約104K/sの冷却速度がしばしば達成される。
【0041】
工程c)では、固体の焼結及び/又は熱処理が、好ましくは最初に焼結のための800〜1400℃の範囲の温度で、それから熱処理のための500〜750℃の範囲の温度で実施される。例えば、その後焼結は500〜800℃の範囲の温度で実施され得る。成形体/固体のために、焼結は、より好ましくは1000〜1300℃、特に1100〜1300℃の範囲の温度で実施される。その後、熱処理は600〜700℃等で実施され得る。
【0042】
焼結は、好ましくは1〜50時間、より好ましくは2〜20時間、特に5〜15時間の期間で実施される。熱処理は、好ましくは10〜100時間、より好ましくは10〜60時間、特に30〜50時間の期間で実施される。正確な期間は、その材料に従った実際的な必要条件に調整され得る。
【0043】
溶融紡糸法を使用する場合、焼結又は熱処理の期間は有意に、例えば、5分から5時間、好ましくは10分から1時間の期間で短縮され得る。焼結のための10時間及び熱処理のための50時間のそうではない慣習的な値と比較して、これは大きな時間優位性を結果としてもたらす。焼結/熱処理は、その材料がさらに圧縮されるように、粒界の部分的な溶融を結果としてもたらす。
【0044】
従って、工程b)での融解及び急冷は、工程c)の持続時間を大幅に低減させることを許す。また、これは熱磁気材料の連続的な製造を許す。
【0045】
本発明の磁気熱量材料は任意に好適な施用に用いられ得る。例えば、それらは冷却器、熱交換器又は発電機に用いられる。冷蔵庫に用いられることが特に好ましい。
【0046】
本発明を、実施例により詳細に説明する。
【実施例】
【0047】
MnCoGe型の多結晶試料を、化学量論量の純元素から光アーク融解により製造した。均一相を得るために、鋳物試料を50MPa(500mbar)のアルゴン雰囲気下で500℃又は800℃で5日間熱処理し、それから水で室温へと急冷した。
【0048】
室温で、粉末試料で、X線散乱法により結晶構造を決定した。直流磁化を、最大5Tまでの場で、且つ5〜400Kの温度範囲内で作動するQuantum Design MPMS2 Squid磁気計で決定した。
【0049】
図1は、0.1Tの磁場で決定された、MnCoGe0.98、Mn0.9Fe0.1CoGe及びMnCo0.9Cu0.1Geの磁化の温度依存性を示している(それぞれ、四角形、円形及び三角形で示す)。中間の試料のみを加熱処理した。MnCoGe0.98、Mn0.9Fe0.1CoGe及びMnCo0.9Cu0.1Geのキュリー温度の値は、325K、292K及び263Kである。熱ヒステリシスが、一次磁気転移に対応して、強磁性から常磁性状態への転移で観察される。
【0050】
図2は、室温で決定されたMnCoGe0.98、Mn0.9Fe0.1CoGe及びMnCo0.9Cu0.1GeのX線構造パターンを示す。測定温度が臨界温度を超えるので、臨界温度が有意に室温を下回る試料のために、Ni2In型の単相の大きさのみを観察する。強度を、任意の単位で作図する。
【0051】
非化学量論比のMnCoGe化合物の磁気特性を表1に、以下にまとめている。磁気熱量効果における有意な増大が、僅かに変更された磁気モーメントのみにより観察されている。
【0052】
【表1】

【0053】
MnCoGe合金への多くのホウ素原子の付加が、一次磁気転移をもたらす。x=0.01、0.02及び0.03であるMnCoGeBx化合物のX線回折図は、500℃付近の熱処理の場合に、六方晶及び斜方晶構造の同時存在を示している。
【0054】
500℃で熱処理したMnCoGeB0.02の磁化曲線は、明らかな熱ヒステリシスを示している。そのうえ、その試料は初めての効果を示している。最初の冷却及び最初の加熱のための熱ヒステリシスは32Kであるが、その次の冷却及び加熱のためにはほんの16Kである。
【0055】
非常に大きな磁気熱量効果が、異なる組成物で観察されている。5Tの磁場における変化のための67.3Jkg-1-1という最も大きな値が、x=0.01及びコバルト含量の3%の空孔を有する試料であって、850℃で熱処理したものに観察されている。
【0056】
表2は、規則化温度(odering temperature)(Tc)の変化、熱ヒステリシス(ΔThys)、磁気エントロピーの変化(−ΔSm)、及び850℃で加熱されたMnCoGeBx化合物の磁気モーメントを記録している。
【0057】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式
MnaCobGecx
[式中、
Aは、B又はCであり、
0≦x≦0.5、
0.9≦a≦1.1、
0.9≦b≦1.1、
0.9≦c≦1.0であり、
Mn若しくはCoの最大30モル%までがFe、Ni、Cr、V若しくはCuにより置換されても良いか、又はMn、Co若しくはGeの最大30モル%までが空孔により置換されても良い。]で表わされ、且つ
斜方晶TiNiSi構造型及び六方晶Ni2In構造型の相が、−40℃未満の温度で存在することを特徴とする多結晶磁気熱量材料。
【請求項2】
0.001<x<0.1である、請求項1に記載の磁気熱量材料。
【請求項3】
xが0.01〜0.05の値を有する、請求項2に記載の磁気熱量材料。
【請求項4】
Mn又はCoの最大25モル%までが、Fe、Ni、Cr、V若しくはCuにより置換されても良い請求項1〜3の何れか1項に記載の磁気熱量材料。
【請求項5】
Mn又はCoの1〜20モル%、好ましくは3〜10モル%が、Fe、Ni、Cr、V若しくはCuにより置換されても良い請求項4に記載の磁気熱量材料。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか1項に記載の熱磁気材料を製造する方法であって、
当該材料のための出発元素又は出発合金を固相転化又は液相転化、任意に冷却させ、その後に加圧、焼結、不活性ガス雰囲気下で熱処理、及びその後に室温へ冷却することによるか、あるいは
出発元素又は出発合金の融解物を溶融紡糸することにより、製造する方法。
【請求項7】
以下の工程:
a)前記金属に基づく材料に対応する化学元素及び/又は合金を、固相及び/又は液相において、化学量論比で転化させる工程、
b)任意に、工程a)で得られた反応生成物を固体へと転化させる工程、
c)工程a)又はb)で得られた固体を焼結及び/又は熱処理する工程、
d)工程c)で得られた焼結及び/又は熱処理された固体を少なくとも100K/sの冷却速度で急冷する工程
を含む請求項6に記載の方法。
【請求項8】
請求項1〜5の何れか1項に記載の磁気熱量材料を、冷却器、熱交換器又は発電機中で使用する方法。
【請求項9】
冷蔵庫中で使用する請求項8に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−502510(P2013−502510A)
【公表日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−525157(P2012−525157)
【出願日】平成22年8月17日(2010.8.17)
【国際出願番号】PCT/EP2010/061962
【国際公開番号】WO2011/020826
【国際公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(510276652)テクノロジー、ファウンデーション、エステーヴェー (2)
【Fターム(参考)】