説明

多能性成体幹細胞、その起源、それを得る方法および維持する方法、それを分化させる方法、その使用法、ならびにそれ由来の細胞

【課題】本発明は、哺乳類多能性成体幹細胞(MASC)に関し、より詳細には、MASCを入手
し、維持し、そして分化させる方法を提供することを課題とする。疾患の治療におけるMASCの使用を提供することもまた、本発明の課題である。
【解決手段】上記課題は、中胚葉性、外胚葉性および内胚葉性系統の各々に分化することができる細胞であって、また、これら細胞型の少なくとも1つに実際に分化できる細胞および細胞集団を提供することによって、達成された。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
oct3/4陽性で、CD34およびCD45に陰性であり、中胚葉性、外胚葉性および内胚葉性系統の各々であって、その少なくとも一つの細胞型に分化することができ、かつ胎盤から得られたものである、胚性幹細胞、胚性生殖細胞または生殖細胞ではない単離細胞。
【請求項2】
テロメラーゼ陽性で、CD34およびCD45に陰性であり、中胚葉性、外胚葉性および内胚葉性系統の各々であって、その少なくとも一つの細胞型に分化することができ、かつ胎盤から得られたものである、胚性幹細胞、胚性生殖細胞または生殖細胞ではない単離細胞。
【請求項3】
哺乳類に由来することを特徴とする請求項1または2記載の細胞。
【請求項4】
骨芽細胞、軟骨細胞、脂肪細胞、線維芽細胞、骨髄間質、骨格筋、平滑筋、心筋、眼、内皮、上皮、肝、膵、造血、グリア、神経細胞および稀突起膠細胞の細胞型より成る群から選択される細胞に分化できることを特徴とする請求項1または2記載の細胞。
【請求項5】
前記哺乳類がマウスであることを特徴とする請求項3記載の細胞。
【請求項6】
前記哺乳類がラットであることを特徴とする請求項3記載の細胞。
【請求項7】
前記哺乳類がヒトであることを特徴とする請求項3記載の細胞。
【請求項8】
分化がinvivoまたはex vivoで誘導されることを特徴とする請求項1または2記載の細胞。
【請求項9】
分化がinvivoまたはex vivoで誘導されることを特徴とする請求項4記載の細胞。
【請求項10】
前記細胞が構成的にoct4および高レベルのテロメラーゼを発現することを特徴とする請求項1または2記載の細胞。
【請求項11】
前記細胞がCD44、MHCクラスIおよびMHCクラスII発現について陰性であることを特徴とする請求項10記載の細胞。
【請求項12】
遺伝子組み換えされていることを特徴とする請求項1または2記載の細胞。
【請求項13】
多能性成体幹細胞(MASC)を単離する方法であって:
(a)哺乳類の胎盤由来の組織から、MASCによって発現されない1つ以上の細胞表面マーカーを発現する細胞を除去する;または
(a)哺乳類の胎盤由来の組織から、MASCによって発現される1つ以上の細胞表面マーカーを発現する細胞を選択する;または
(a)前記工程(a)および(a)を組合せて実施する;そして
(b)細胞を培養して、MASC細胞集団を得る;工程を含むことを特徴とする方法であって、ここで、該MASCは、テロメラーゼ陽性、oct3/4陽性であり、そして、CD34陰性およびCD45陰性である、方法。
【請求項14】
(a)請求項1または2記載の細胞を胚盤胞と接触させ;さらに
(b)出生までの適切な期間胎児の妊娠が続くように、前記工程(a)の胚盤胞を代理母に移植する;工程を含む、非ヒト動物を作る方法であって、ここで、該MASCは、テロメラーゼ陽性、oct3/4陽性であり、そして、CD34陰性およびCD45陰性である、方法。
【請求項15】
前記胎児がキメラであることを特徴とする請求項14記載の方法。
【請求項16】
MASCを分化させる方法であって:
(a)哺乳類の胎盤由来の組織から、MASCによって発現されない1つ以上の細胞表面マーカーを発現する細胞を除去する;または
(a)哺乳類の胎盤由来の組織から、MASCによって発現される1つ以上の細胞表面マーカーを発現する細胞を選択する;または
(a)前記工程(a)および(a)を組合せて実施する;
(b)細胞を培養して、MASC細胞集団を得る;そして
(c)ジメチルスルホキシドおよびイソプロテレノールの存在下で前記細胞集団を培養する;工程を含むことを特徴とする方法であって、ここで、該MASCは、テロメラーゼ陽性、oct3/4陽性であり、そして、CD34陰性およびCD45陰性である、方法。
【請求項17】
血液または個々の血液成分を作成する方法であって:
(a)胎盤を含む組織試料からMASCを単離し;そして
(b)MASCを培養して分化させて血液または血液成分を形成する;工程を含み、
前記血液成分が、赤血球、白血球または血小板であることを特徴とする方法であって、ここで、該MASCは、テロメラーゼ陽性、oct3/4陽性であり、そして、CD34陰性およびCD45陰性である、方法。
【請求項18】
以下の工程を含む方法によって単離されたMASCを含む組成物であって、該組成物が、非経口投与、経口投与、またはカテーテル投与によって、あるいは医薬として許容される生分解性基材と共に哺乳類宿主に投与され、それによってMASCがinvivoで定着し、さらに必要に応じて分化することを特徴とする組成物であって、ここで、該MASCは、テロメラーゼ陽性、oct3/4陽性であり、そして、CD34陰性およびCD45陰性である、組成物:
(a)哺乳類の胎盤由来の組織から、MASCによって発現されない1つ以上の細胞表面マーカーを発現する細胞を除去する;または
(a)哺乳類の胎盤由来の組織から、MASCによって発現される1つ以上の細胞表面マーカーを発現する細胞を選択する;または
(a)前記工程(a)および(a)を組合せて実施する;
(b)細胞を培養して、MASC細胞集団を得る。
【請求項19】
請求項1または2記載の細胞あるいはその子孫細胞を含み、非経口投与、経口投与、またはカテーテル投与によって、あるいは医薬として許容される生分解性基材と共に、必要とする患者に投与されることを特徴とする治療用組成物であって、ここで、該MASCは、テロメラーゼ陽性、oct3/4陽性であり、そして、CD34陰性およびCD45陰性である、組成物。
【請求項20】
請求項1または2記載の細胞あるいはその子孫細胞を含む、口、食道、膣および肛門を含む粘膜組織の細胞構成を助けるための組成物であって、患者に投与され、それによって前記細胞またはその子孫細胞が前記組織の構成成分になることを特徴とする組成物であって、ここで、該MASCは、テロメラーゼ陽性、oct3/4陽性であり、そして、CD34陰性およびCD45陰性である、組成物。
【請求項21】
治療上有効量の請求項1または2記載の細胞あるいはその子孫細胞を含む、虚血を治療するための治療組成物であって、必要とする患者に投与され、それによって前記細胞または子孫細胞が、虚血のせいで欠陥が生じた患者の体の一以上の領域にホーミングし、そこに定着してその領域の虚血を軽減させることを特徴とする組成物であって、ここで、該MASCは、テロメラーゼ陽性、oct3/4陽性であり、そして、CD34陰性およびCD45陰性である、組成物。
【請求項22】
請求項1または2記載の細胞あるいはその子孫細胞を含む、炎症を治療するための組成物であって、必要とする患者に投与され、それによって前記細胞または子孫細胞が、炎症のせいで欠陥が生じた患者の体の一以上の領域にホーミングし、そこに定着してその領域の炎症が軽減させることを特徴とする組成物であって、ここで、該MASCは、テロメラーゼ陽性、oct3/4陽性であり、そして、CD34陰性およびCD45陰性である、組成物。
【請求項23】
治療上有効な量の請求項1または2記載の細胞あるいはその子孫細胞を含み、人工血管を含む三次元マトリクスを介して必要とする患者に投与されることを特徴とする治療用組成物であって、ここで、該MASCは、テロメラーゼ陽性、oct3/4陽性であり、そして、CD34陰性およびCD45陰性である、組成物。
【請求項24】
腹部大動脈瘤、心臓バイパス手術、末梢血管疾患または冠血管疾患の治療用であることを特徴とする請求項23記載の組成物。
【請求項25】
請求項1または2記載の細胞と、医薬として許容される担体とを含む治療用組成物。
【請求項26】
拒絶を生じさせることなく患者に異種MASCを移植するための組成物であって、プロモーターに機能的に結合した前記患者のMHC抗原をコードする核酸配列がex vivoで導入されそして移植された患者において拒絶を阻害するのに十分なレベルで該MHC抗原が発現される請求項1または2記載の細胞を含み、非経口投与、経口投与、またはカテーテル投与によって、あるいは医薬として許容される生分解性基材と共に移植されることを特徴とする組成物。
【請求項27】
MASCが移植された患者において拒絶を生じさせることなく患者に異種MASCを移植するための組成物であって、移植された細胞への拒絶が阻害されるようにMHC抗原の発現が遺伝子導入によってノックアウトされて該MHC抗原が発現されない請求項1または2記載の細胞を含み、非経口投与、経口投与、またはカテーテル投与によって、あるいは医薬として許容される生分解性基材と共に移植されることを特徴とする組成物。
【請求項28】
単離されたラット多能性成体幹細胞(MASC)であることを特徴とする請求項1または2記載の細胞。
【請求項29】
骨芽細胞、軟骨細胞、脂肪細胞、線維芽細胞、骨髄間質、骨格筋、平滑筋、心筋、眼、内皮、上皮、肝、膵、造血、グリア、神経細胞および稀突起膠細胞の細胞型より成る群から選択される細胞に分化できることを特徴とする請求項28記載の細胞。
【請求項30】
ラットMASCを単離する方法であって:
(a)ラットの胎盤から、MASCによって発現されない1つ以上の細胞表面マーカーを発現する細胞を除去する;または
(a)ラットの胎盤から、MASCによって発現される1つ以上の細胞表面マーカーを発現する細胞を選択する;または
(a)前記工程(a)および(a)を組合せて実施する;
(b)細胞を培養して、MASC細胞集団を得る;工程を含むことを特徴とする方法であって、ここで、該MASCは、テロメラーゼ陽性、oct3/4陽性であり、そして、CD34陰性およびCD45陰性である、方法。
【請求項31】
所望の分化因子の存在下で細胞を培養する工程を含むことを特徴とする、請求項1または2記載の細胞を分化させる方法。
【請求項32】
請求項1または2記載の細胞を含む、患者において定着および分化細胞を形成するための組成物。
【請求項33】
請求項31記載の方法によって得られた分化細胞。
【請求項34】
MASCによって発現されない1つ以上の細胞表面マーカーを発現する細胞がCD45+細胞であることを特徴とする請求項13、16または30記載の方法。
【請求項35】
MASCによって発現されない1つ以上の細胞表面マーカーを発現する細胞がCD45+細胞であることを特徴とする請求項18記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−289197(P2007−289197A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−151049(P2007−151049)
【出願日】平成19年6月6日(2007.6.6)
【分割の表示】特願2002−565063(P2002−565063)の分割
【原出願日】平成14年2月14日(2002.2.14)
【出願人】(503294429)
【氏名又は名称原語表記】FURCHT, Leo T.
【出願人】(503294407)
【氏名又は名称原語表記】VERFAILLIE, Catherine M.
【出願人】(503294430)
【氏名又は名称原語表記】REYES, Morayma
【Fターム(参考)】