説明

多色縞模様の歯磨剤組成物

本発明は、多色縞模様歯磨剤組成物であって、
a.以下を含む複数の縞相:
1.半透明または透明ゲル相に縞模様の外観を作り出す、着色剤粒子の有効量を含む半透明または透明ゲル相である少なくとも1つの第1相と、
2.少なくとも1つの第2相
ここで、前記第1相と前記第2相が対比色を有し、全ての相がレオロジー的に同等である、及び
b.分配手段からの押出しの前に、相が隣接相と界面接触している歯磨剤分配手段、を含む前記歯磨剤組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つまたはそれ以上の異なる縞相を有する、審美的に美しく味の良い、多色歯磨剤組成物に関する。より詳細には、本発明は、2つまたはそれ以上の相が分配手段、例えば歯磨きチューブの中で物理的に分離していない、低価格で用途の広い縞模様の練り歯磨きまたはゲルに関する。更に、少なくとも1つの縞相は、低濃度の混入またはカプセル化された着色または白色粒子を、透明または半透明のゲルマトリックスに組み込むことにより作り出される。
【背景技術】
【0002】
審美的効果は、歯磨剤製品が消費者に受け入れられるために重要な役割を果たすことが知られている。これらの審美的効果(色、風味等)は、消費者が市場で特定の製品を識別し、製品が他の入手可能な消費者製品に対して望ましく、心地よい、独自の特性を有することを確認できるようにする。審美的価値は、また、製品に対する消費者の認識及び使用も促す。対比色の縞または斑紋は、歯磨剤製品において知られている。そのような縞または斑紋は審美的効果を提供し、ユーザーはそれを心地よく思い、歯磨剤の使用を進める。例えば、水溶性染料を含有する縞模様の歯磨剤製が、従来技術で既知であり、例えば、米国特許第4,358,437号、4,568,534号及び4,487,757号に開示されているようなものである。しかし、これらの水溶性染料の使用は、染色の相間での不可視のブリージングという結果を招く。
1つの縞から別の縞構成成分への色のブリージングまたは移染の問題は、1つの着色構成成分が白色ベースの表面に適用される場合に特に重大である。このため、実質的に可視ブリージングを示さない着色剤が必要とされる。
【0003】
従来技術では、縞模様の歯磨剤組成物における色の移染及びブリージングを減少させる幾つかの方法が示唆されている。例えば、米国特許第5,876,701号(ウォング(Wong)ら、1999年3月2日発行)は、少なくとも1つの歯磨剤構成成分が、DSCで測定した融点範囲の約110℃〜約145℃を有する高密度ポリエチレンマトリックス中に混入されている着色剤を含有する、色ブリージングに安定な縞模様及び/またはまだら模様の歯磨剤を教示している。また米国特許第3,957,964号、第3,929,988号、第4,071,614号及び第4,348,378号は、カプセル化された成分、例えば風味剤を含有する歯磨剤を開示している。これらの成分は、製造及び保管の間、他の歯磨剤成分と分離して保持されている。次にカプセル化された成分は、消費者による歯磨きの間に歯磨剤の中へ放出される。更に、従来技術は、米国特許第4,202,878号において、殻材料が、カルナウバろう、キャンデレラろう、カスターろう、石蝋及びヤマモモろうのような非毒性であり、天然由来のろうから形成されているカプセル中に内包されている水不溶性染料を教示している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、加工費用を実質的に減少させるが、依然として着色剤の可視ブリージングが実質的にない、縞模様及びまだら模様の歯磨剤を製造する代替的な組成物及び方法の必要性が存在する。本発明は、歯磨剤相の間で実質的に着色剤のブリージングがない、審美的に美しく味の良い、縞模様及びまだら模様の練り歯磨きまたはゲルに関する。この多色歯磨剤組成物は、分配手段、例えば、歯磨きチューブ中に物理的に分離されていない縞模様の相を含む。更に、少なくとも1つの縞相は、低濃度の混入またはカプセル化粒子を透明または半透明のゲルマトリックス中に組み込むことにより作り出される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は多色縞模様の歯磨剤組成物であって、
a.以下を含む複数の縞相:
1.半透明または透明ゲル相の縞模様の外観を作り出す、着色剤粒子の有効量を含む半透明または透明ゲル相である少なくとも1つの第1相と、
2.少なくとも1つの第2相を含み、
ここで、前記第1相と前記第2相が対比色を有し、全ての相がレオロジー的に同等である、及び、
b.分配手段からの押出しの前に、相が隣接相と界面接触している歯磨き剤分配手段、を含む前記歯磨剤組成物に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
(定義)
本明細書で使用する時、「抗結石」または「抗歯石」剤は、結石または歯石形成に関連する鉱物(例えば、リン酸カルシウム)の付着を減少、制御、抑制、予防及び/または最小化するのに有効な材料を意味する。
【0007】
本明細書で使用する時、「色」は、白色、赤色、青色、黄色、緑色等のような視覚的に認知できる任意の色を意味する。
【0008】
本明細書で使用する時、「複数個の縞相」は、組成物が2つまたはそれ以上の縞を有することを意味する。
【0009】
本明細書で使用する時、「多色」または「対比色」は、それぞれ異なる相が異なる色を有するか、相が少なくとも2つの異なる色を有するか、または相が同じ色の少なくとも2つの異なる色合いまたは色相を有することを意味する。相が同じ色の少なくとも2つの異なる色合いまたは色相を有する場合、これらの異なる色合いまたは色相は、目眼観察により縞模様の外観を提示していなければならない。
【0010】
本明細書で使用する時、「安全かつ有効な量」は、健全な医療/歯科判断の範囲内で、治療するべき状態を有意(肯定的に)に改変するために十分に多く、深刻な副作用を避けるために(妥当な利益/危険比により)十分に低い量の構成成分を意味する。構成成分の安全かつ有効な量は、治療を受ける特定の状態、治療を受ける患者の年齢及び体調、状態の重篤度、治療の期間、併用治療、使用する特定の形態及びそれから構成成分が適用される特定のビヒクルにより変わる。
【0011】
本明細書で使用する時、「口腔ケア組成物」または「口腔用組成物」は、治療薬の全身投与の目的で意識的に飲み込まれるのではなく、口腔活性の目的で実質的に全ての歯の表面及び/または口腔粘膜組織に接触するために十分な時間口腔に保持される生成物を意味する。
【0012】
これ以降、使用される全ての百分率及び比率は、特に指示がない限り、組成物全体の重量による。
本明細書で参照されている全ての測定は、他に指示がない限り25℃で行なわれている。本明細書中で参照されている成分の百分率、比率及び濃度は、全て、他に指示がない限り、成分の実際の量に基づき、市販の製品として成分と組み合わされうる溶媒、充填剤または他の材料を包含しない。
本明細書に記載された全ての出版物、特許出願及び発行された特許は、その全てが参考として本明細書に組み込まれる。いかなる参照文献の引用も、特許請求する本発明に対する従来技術としての有用性の決定に関する容認ではない。
【0013】
ここで、「含む」は、用語「含む」を意味し、「から成る」及び「から実質的に成る」を包含する。
【0014】
(着色剤粒子)
半透明また透明ゲル相に存在する色は、着色剤粒子によってのみ提供され、他のいかなる着色剤または染料も半透明また透明ゲル相に含有されていない。1つの実施形態において、着色剤粒子は、色が混入されているか、カプセル化された色粒子である。様々な材料が色粒子を混入またはカプセル化するために使用することができる。これらには、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、天然ろう、ゲル化剤、合成ろう、非乳化等級ポリエチレンのような水溶性熱可塑性ポリマー、エチルセルロースのような不溶性結合剤、ポリビニルピロリドンのような水溶性結合剤及びこれらの混合物が包含される。
【0015】
本発明の組成物中の着色剤粒子の濃度は、組成物の約0.05重量%〜約5重量%であり、別の実施形態では、約0.1重量%〜約3重量%であり、別の実施形態では、約0.15重量%〜約2重量%であり、更に別の実施形態では、約0.5重量%〜約1.5重量%である。1つの実施形態において、透明または半透明ゲル相を十分に着色するために、このゲル相は、着色剤粒子の約0.5重量%〜約2重量%、別の実施形態では、0.6〜約1.5重量%、別の実施形態では、約0.7重量%〜約1重量%を含有する。
【0016】
特定の、色が混入された粒子またはカプセル化された色粒子及びそれらの製法方法は、下記の参照文献で開示されている。HDPEは、米国特許第5,876,701号(ウォング(Wong)ら、1999年3月2日発行)に開示され、それは、少なくとも1つの歯磨剤構成成分が、DSCで測定した融点範囲の約110℃〜約145℃を有する高密度ポリエチレンマトリックス中に混入されている着色剤を含有することを教示している。着色された混入合成ろうは、米国特許第6,315,986号(ウォング(Wong)ら、2001年11月13日発行)に開示されている。
【0017】
単独で使用されるか、ポリビニルピロリドンのような水溶性結合剤と組み合わされて使用され、着色剤等の水不溶性粉末機能化材料と塊になるエチルセルロースのような不溶性結合剤は、米国特許第4,443,564号(ハウスチャイルド(Hauschild)ら、1984年4月17日発行)、米国特許第4,444,570号(バート(Barth)ら、1984年4月24日発行)及び米国特許第4,663,152号(バート(Barth)ら、1987年5月5日発行)に開示されている。
【0018】
天然ろうとゲル化剤の粒塊は、米国特許第4,202,878号(リッツ(Ritze)、1980年5月13日発行)に開示されている。米国特許第4,202,878号に開示されている適したろうには、非毒性であり、約0〜約65(ASTM試験D1321−65)、好ましくは約0〜5の硬度値を有するものが挙げられる。適したろうの例には、カルナウバろう、キャンデリラろう、精製モンタンろう、カスターろう、パラフィン、セレシンろう及びヤマモモろうが挙げられる。好ましいろうは、21℃(70°F)超、より好ましくは82℃(180°)〜110℃(230°F)の融点を有する。本明細書中で使用することのできるこれらの特性を有する、さらなるろうは、Soap & Chem.Specialties、第33巻、141頁(1957)に開示されている。産業ろう(Industrial Waxes)、I巻及びII巻、H.ベネット(H.Bennett)、ケミカルパブリッシングカンパニーインク(Chemical Publishing Co.,Inc.)、ニューヨーク、1963年の、ろう及びその特性についての考察も参照すること。また、米国特許第878号に開示されているものは、安定した堅いゲルを形成する適したゲル化剤であり、それらは、非毒性であり、歯磨剤中で混合されたときまたは練り歯磨きチューブから押し出されたとき、従来の剪断応力に耐えるほど硬く、使用時により小さい粒子に崩壊して口に悪い感触を与えないほど十分に砕けやすく、着色が薄く、風味及び香気が無害であり、練り歯磨き成分と適合性がある。色素粒子の粒塊の形成に使用することができるゲル化剤には、寒天、キャッサバデンプン、アビセル(Avicel(FMC社(FMC Corp.)製微結晶セルロース)及びB.F.グッドリッチケミカル社(B.F.Goodrich Chemical Company)より供給されるカーボポール(Carbopol)940のような高分子量カルボキシビニルポリマーが挙げられる。
【0019】
加えて、米国特許第4,007,259号及び米国特許第3,928,559号は、歯磨剤にまだら模様をつけるために、非乳化等級のポリエチレンのような水溶性熱可塑性ポリマーを有する粒子を開示している。
加えて、米国特許第4,069,311号(マンナラ(Mannara)、1978年1月17日発行)で教示されている不溶性結合剤を有する斑紋も、本明細書で使用することができる。
【0020】
本明細書で使用される色混入粒子は、1つの実施形態では、約200〜約500μm、別の実施形態では、約250μm〜約350μm、更に別の実施形態では、約270〜約320μmの範囲の平均粒径を有する。
本着色剤粒子に使用される着色剤は、顔料、染料、レーキ及びこれらの混合物から成る群から選択される。本発明の粒子に使用される染料は、歯磨剤相中に均一に分布されている。
本発明の粒子に使用される顔料には、二酸化チタン、酸化クロムグリーン、ウルトラマリーンブルー及びピンク、三酸化二鉄、アイシャドーブルーKO、色指数77510、EG番号ブルー15(C-ブルー17)、染色綿リンター及び染色木材パルプのような染色セルロース粒子が挙げられる。
【0021】
本着色剤粒子に使用される染料には、合衆国法典連邦規定(U.S.Code of Federal Regulations)セクション74のタイトル21に示されているような食品及び薬剤に許可されている種類の天然及び合成染料が挙げられ、FD&CレッドNO.3(テトラヨードフルオレセインのナトリウム塩)、FD&CイエローNO.5(4−p−スルホフェニルアゾ−1−p−スルホフェニル−5−ヒドロキシピラゾール−3カルボン酸)のナトリウム塩)、FD&CイエローNO.6(p−スルフォフェニルアゾ−B−ナフトール−6−モノスルホネートのナトリウム塩)、FD&CグリーンNO.1、FD&CグリーンNO.3(4−{〔4−(N−エチル−p−スルホベンジルアミノ)−フェニル〕−(4−ヒドロキシ−2−スルホニウムフェニル)−メチレン}−〔1−(N−エチル−N−p−スルホベンジル)−Δ−3,5−シクロヘキサジエンイミン〕のニナトリウム塩〕、FD&CブルーNO.1(ジベンジルジエチルジアミノトリフェニルカルビノールトリスルホン酸無水物のニナトリウム塩)、FD&CブルーNO.2(インジゴチンのジスルホン酸のナトリウム塩)、FD&CイエローNO.10及びこれらの混合物のような染料及びそれらのレーキ等の、食品及び摂取用薬剤での使用における食品医薬品化粧品法(Food Drug & Cosmetic Act)により現在認可されている一般的な食品用色素添加剤である。水不溶性染料と水溶性染料の混合物も本発明で使用することができる。
好ましい着色剤は、アルミナ、ジルコニア及びチタン、好ましくはアルミナ水和物のような基質上の水溶性染料を約0.1重量%〜40重量%、好ましくは約7重量%〜約30重量%含む。
【0022】
第1相及び第2相は、本明細書中で記載されている、同一または異なる口腔活性剤または局所口腔ケアキャリアを含むことができる。半透明または透明ゲル相に存在する色は、着色剤粒子によってのみ提供され、他の着色剤または染料は半透明または透明ゲル相に含有されていない。第2相も、色が着色剤粒子によってのみ提供されているゲルであることができ、他の着色剤または染料は(対比色を有する限り)第2相に含有されていない。第2相は、また、TiO2(または他の白化顔料)を含むことができ、第2相は白色縞である。第2相はまた、染料、顔料、例えば、カプセル化または混入された着色剤ではない、任意の粒径の着色剤も含有することができる。
1つの実施形態では、第2相は、TiO2(または他の白化顔料)を含み、ここで第2相は、また、第1相と同一または同様の粒径の同一の着色剤粒子を含み、ここで第1相は、約0.6〜1%の着色剤粒子を含み、第2相は、約0.2〜約0.5重量%の着色剤粒子を含む。
【0023】
(相のレオロジー)
組成物の異なる相は、同様のレオロジー特性を有する。1つの実施形態において、組成物の異なる相は、レオロジー的に同等である。本明細書で使用する時、用語「レオロジー的に同等」は、異なる相の粘度が、他の任意の相の粘度と、約20%以下、別の実施形態では、約10%以下、更に別の実施形態では、約5%以下で異なるべきであることを意味する。本発明の歯磨剤組成物の異なる相のレオロジー的同等性は、異なる相の相層の界面境界を越える成分の混合を予防することに役立つ。
【0024】
本組成物の相の粘度は、25℃でブルックフィールド粘度計モデルRV111、スピンドルE、回転0.26ラド/秒(2.5r.p.m)を使用して、ブルックフィールド単位約18からブルックフィールド単位約60(トルク%)までである。
粘度は、分配手段から押出された後、組成物が、約1〜約5分間にわたってその元の粘度を実質的に保持するような粘度である。
【0025】
(組成物及び分配手段の製造方法)
本発明によると、少なくとも2つの縞相を含む、縞模様の多色歯磨剤が提供される。異なる相は、分配手段の中に納められたとき、押出される前に、向かい合い、並列している平行層が、隣接相と界面接触するように配置されている。保管している間、本組成物の異なる相は、あらゆる成分(例えば、色素)が1つの相から別の相へブリードするか、または拡散する傾向をほとんどか、または全く示すことはない。従って、従来の歯磨きチューブ及び包装手段の使用が可能であり、そのため包装及び製造費用が削減される。
【0026】
歯磨剤組成物に縞模様を付ける幾つかの技術が、当該技術分野において既知である。本明細書における組成物に縞模様をつける方法は、方法が分配手段中の異なる相を物理的に分離しない限り、あらゆる既知の方法から選択することができる。例えば、深縞付けにより歯磨剤の縞模様付けを達成することができる。深縞付け法において、縞模様の相及びベース材料は、ディスペンサー中、所望の縞模様で互いに界面接触しているか、並列しているので、ベース歯磨き相への縞相の初期付着が、ディスペンサーからの押出しの前に実施される。
【0027】
1つの実施形態において、ゲル相(第1相)の第2相に対する量は、一般に、約20:80〜約80:20の比率であり、別の実施形態では、約40:60〜約60:40の範囲であり、更に別の実施形態では、約50:50である。
分配手段は、分配手段がゲル相を他の相から物理的に分離しない限り任意の押し出しチューブであるか、または歯磨剤組成物を分配する当該技術(例えば、キャップ付き開口部を有するアルミニウム押し出しチューブ)で既知の他の容器(ポンプまたはボトル)であることができる押し出しチューブには、例えば、英国特許明細書962,757に記載されている充填装置及び方法により、組成物の異なる相が装填される。1つの実施形態において、白色ペースト相(第2相)が中心に位置し、ゲル相が、中心管の周囲方向に配向された空間から分配される。半透明または透明ゲルが、中心管に対して直径方向で反対側に位置する2つの管から分配されうる。それで白色ペースト相及び交互になった色ゲル縞を有する練り歯磨きを得ることができる。
【0028】
1つの実施形態において、異なる相は、第2相がTiO2を含有し、ゲルの第1相がTiO2を含有しないが、着色剤粒子を有することを除いて、実質的に同一の成分を有する。第1相と第2相を有する歯磨剤は、2、4、6、8個等の縞を有する歯磨剤を製造することができる。3つの相を使用する場合、3、6、9個等の縞を有する歯磨剤を得ることができる。
1つの実施形態において、分配手段は、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリ塩化ビニリデンまたは同様の材料のような透明または半透明の合成有機ポリマー材料の変形しうるチューブである。透明な分配手段により、消費者が歯磨剤のまだら模様及び縞模様の外観を見ることができる。
【0029】
(任意の口腔ケア活性剤)
本発明は、任意に、抗結石剤、フッ化物イオン源、抗菌剤、象牙質減感剤、麻酔剤、抗真菌剤、抗炎症剤、選択的H−2拮抗剤、抗カリエス剤、再無機質化剤及びこれらの混合物から成る群から選択される、安全かつ有効な量の口腔ケア活性剤を含む。
口腔ケア活性剤は、安全かつ有効な量で組成物に存在することができる。これらの量は当業者とって既知であり、下記で開示されている。口腔ケア活性剤は、本組成物の第1相及び/または第2相のうちの1つまたは両方に存在することができる。
【0030】
(抗カリエス剤及びフッ化物イオン源)
活性剤は、組成物の使用中に遊離フッ化物イオンを提供する、フッ化物イオン源を含んでもよい。1つの実施形態において、フッ化物イオン源は、フッ化ナトリウム、フッ化第一スズ、フッ化インジウム、フッ化アミンのような有機フッ化物及びモノフルオロリン酸ナトリウムから成る群から選択される。フッ化ナトリウムは、別の実施形態におけるフッ化物イオンである。ノリス(Norris)らによる米国特許第2,946,725号(1960年7月26日発行)及びウイダー(Widder)らによる米国特許第3,678,154号(1972年7月18日発行)は、そのような塩、並びにフッ化物イオン源として使用することができる他のものを開示している。これらの特許は、参照としてその全体が本明細書に組み込まれる。
【0031】
本組成物は、安全かつ有効な量のフッ化物イオン源を任意に含んでもよい。別の実施形態では、遊離フッ化物イオンの濃度は、約50ppm〜約3500ppm、別の実施形態では、約100ppm〜約3000ppm、別の実施形態では、約200ppm〜約2,800ppm、別つの実施形態では、約500ppm〜約1,500ppmである。
【0032】
(抗結石剤)
本発明の組成物は、安全かつ有効な量の少なくとも1つの抗結石剤を任意に含んでもよい。この量は、一般に組成物の約0.01重量%〜約40重量%、別の実施形態では、約0.1重量%〜約25重量%、更に別の実施形態では、約4.5重量%〜約20重量%、更に別の実施形態では、約5重量%〜約15重量%である。抗結石剤は、また、実質的に、組成物の他の構成成分と適合性があるべきである。
【0033】
抗結石剤は、ポリホスフェート及びそれらの塩、ポリアミノプロパンスルホン酸(AMPS)及びそれらの塩、ポリオレフィンスルホネート及びそれらの塩、ポリビニルホスフェート及びそれらの塩、ポリオレフィンホスフェート及びそれらの塩、ジホスホネート及びそれらの塩、ホスホノアルカンカルボン酸及びそれらの塩、ポリホスホネート及びそれらの塩、ポリビニルホスホネート及びそれらの塩、ポリオレフィンホスホネート及びそれらの塩、ポリペプチド、並びにこれらの混合物から成る群より選択される。1つの実施形態では、塩はアルカリ金属塩である。別の実施形態では、抗結石剤は、ポリホスフェート及びそれらの塩、ジホスホネート及びそれらの塩、並びにこれらの混合物から成る群より選択される。別の実施形態において、抗結石剤は、ピロホスフェート、ポリホスフェート及びこれらの混合物から成る群から選択される。
【0034】
(ポリホスフェート)
本発明の1つの実施形態では、抗結石剤はポリホスフェートである。ポリホスフェートには、いくつかの環状誘導体が存在する可能性もあるが、主として直鎖状構造に配置された2つ以上のホスフェート分子から成ると一般に理解されている。直鎖状ポリホスフェートは、(XPO3nに相当し、式中、nは約2〜約125であり、好ましくはnは4よりも大きく、そしてXは、例えばナトリウム、カリウムなどである。(XPO3nについては、nが少なくとも3である場合、そのポリホスフェートの性質はガラス質である。これらのホスフェートの対イオンは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、C2〜C6アルカノールアンモニウム及び塩の混合物でありうる。ポリホスフェートは、一般に、カリウム塩、ナトリウム塩、アンモニウム塩及びこれらの混合物のような、全体的にまたは部分的に中和された水溶性アルカリ金属塩として使用される。無機ポリホスフェート塩には、アルカリ金属(例えば、ナトリウム)トリポリホスフェート、テトラポリホスフェート、二酸ジアルキル金属(例えば、ジナトリウム)、一酸トリアキル金属(例えば、トリナトリウム)、リン酸水素カリウム、リン酸水素ナトリウム、アルカリ金属(例えば、ナトリウム)ヘキサメタホスフェート及びこれらの混合物が挙げられる。テトラポリホスフェートよりも大きいポリホスフェートは、通常は無定形ガラス状物質として生じる。1つの実施形態では、ポリホスフェートは、FMCコーポレーション(FMC Corporation)で製造され、ソダフォス(Sodaphos)(n≒6)、ヘキサフォス(Hexaphos)(n≒13)、及びグラスH(Glass H)(n≒21)、及びそれらの混合物として市場で知られている。ポリホスフェート源は、一般に組成物の約0.5重量%〜約20重量%、1つの実施形態では、約4重量%〜約15重量%、更に別の実施形態では、約6重量%〜約12重量%含まれる。
【0035】
ホスフェート源は、カーク及びオスマー(Kirk & Othmer)著、エンサイクロペディア・オブ・ケミカル・テクノロジー(Encyclopedia of Chemical Technology)、4版、18巻、ウィリー−インターサイエンス・パブリッシャーズ(Wiley-Interscience Publishers)(1996)、685〜707頁に詳細に記載されており、これらは、カーク及びオスマー(Kirk & Othmer)に引用されるすべての参考文献を含めて、参照としてその全体が本明細書に組み込まれる。
【0036】
1つの実施形態では、上ポリホスフェートは、下記式
XO(XPO3n
(式中、Xはナトリウムまたはカリウムであり、nは平均約6〜約125である)を有する直鎖状「ガラス質」ポリホスフェートである。
【0037】
1つの実施形態では、ポリホスフェートの式のいずれの場合にもnが少なくとも2である場合、抗結石剤の濃度は組成物の約4.5重量%〜約40重量%、別の実施形態では、約5重量%〜約25重量%、更に別の実施形態では、約8重量%〜約15重量%である。ポリホスフェートは、米国特許第4,913,895号に開示されており、参考として本明細書に組み込まれる。
【0038】
(ピロホスフェート)
本発明の組成物に有効なピロホスフェートには、アルカリ金属ピロホスフェート、ジ−、トリ−、及びモノ−カリウム、またはナトリウムピロホスフェート、ジアルカリ金属ピロホスフェート塩、テトラアルカリ金属ピロホスフェート塩、並びにこれらの混合物が含まれる。1つの実施形態では、ピロホスフェート塩は、ピロリン酸三ナトリウム、ピロリン酸二水素二ナトリウム(Na2227)、ピロリン酸二カリウム、ピロリン酸四ナトリウム(Na427)、ピロリン酸四カリウム(K427)、及びこれらの混合物から成る群から選択される。ピロホスフェート塩は、米国特許第4,515,772号(パラン(Parran)ら、1985年5月7日発行)、及び米国特許第4,885,155号(パラン(Parran)ら、1989年12月5日発行)に記載されており、これらは、その全体が、並びにそれらに開示される引用文献も参考として本明細書に組み込まれる。ピロホスフェート塩は、カーク及びオスマー(Kirk & Othmer)著、エンサイクロペディア・オブ・ケミカル・テクノロジー(Encyclopedia of Chemical Technology)、第3版、17巻、ウィリー−インターサイエンス・パブリッシャーズ(Wiley-Interscience Publishers)(1982)、685〜707頁に詳細に記載されており、これらは、カーク及びオスマー(Kirk & Othmer)に引用されるすべての参考文献を含めて、その全体が参照として本明細書に組み込まれる。
【0039】
1つの実施形態では、本発明の組成物は、ピロリン酸四ナトリウムを含む。ピロリン酸四ナトリウムは、無水塩の形状、または十水和物の形状、または本発明の組成物の固体形状で安定なあらゆる他の種であってよい。塩はその固体粒子の形態であるが、その結晶性及び/または無定形の状態であってもよく、塩の粒径は好ましくは、審美的に許容され、使用時に容易に可溶性であるように十分小さい。
【0040】
本発明の組成物におけるピロホスフェートの濃度は、安全かつ有効な任意の量であり、一般に、組成物の約1.5重量%〜約15重量%、別の実施形態では、約2重量%〜約10重量%、更に別の実施形態では、約3重量%〜約8重量%である。
【0041】
(その他の抗結石)
ポリオレフィンスルホネートには、オレフィン基が、2個またはそれ以上の炭素原子、及びそれらの塩を含有するものが包含される。ポリオレフィンホスホネートには、オレフィン基が2個またはそれ以上の炭素原子を含有するものが包含される。ポリビニルホスホネートには、ポリビニルホスホン酸が包含される。ジホスホネート及びそれらの塩には、アゾシクロアルカン−2,2−ジホスホン酸及びそれらの塩、アゾシクロアルカン−2,2−ジホスホン酸のイオン及びそれらの塩(アルカン部分には5個、6個、または7個の炭素原子を有し、窒素原子は非置換であるか、または、例えばメチルのような低級アルキル置換基を有するもの)、アザシクロヘキサン−2,2−ジホスホン酸、アザシクロペンタン−2,2−ジホスホン酸、N−メチル−アザシクロペンタン−2,3−ジホスホン酸、EHDP(エタンヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸)、AHP(アザシクロヘプタン−2,2−ジホスホン酸、a.k.a.1−アザシクロヘプチリデン−2,2−ジホスホン酸)、エタン−1−アミノ−1,1−ジホスホネート、ジクロロメタン−ジホスホネートなどが挙げられる。ホスホノアルカンカルボン酸またはそのアルカリ金属塩には、それぞれ酸またはアルカリ金属塩として、PPTA(ホスホノプロパントリカルボン酸)、PBTA(ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸)が挙げられる。ポリオレフィンホスフェートには、オレフィン基が2個またはそれ以上の炭素原子を含有するものが挙げられる。ポリペプチドには、ポリアスパラギン酸及びポリグルタミン酸が包含される。
【0042】
アザシクロアルカン−2,2−ジホスホン酸は、米国特許第3,941,772号(プロジャー(Ploger)ら、1976年3月2日発行、ヘンケル社(Henkel)に譲渡)及び米国特許第3,988,443号(プロジャー(Ploger)ら、1976年10月26日発行)に開示されており、これらは、その全体が参照として本明細書に組み込まれる。
ピロホスフェートに代えて、またはピロホスフェートと組み合わせて使用する任意の剤としては、ポリアクリレート類、及び無水マレイン酸またはマレイン酸とメチルビニルエーテル(例えばガントレ(Gantrez))のコポリマーを含めて、例えば米国特許第4,627,977号(ガファル(Gaffar)ら)に記載の合成アニオン性ポリマーとして知られる材料(この開示はその全体が参照として本明細書に組み込まれる)、並びに、例えばポリアミノプロパンスルホン酸(polyamino propoane sulfonic acid)(AMPS)、クエン酸亜鉛三水和物、ポリホスフェート類(例えば、トリポリホスフェート、ヘキサメタホスフェート)、ジホスホネート類(例えば、EHDP、AHP)、ポリペプチド類(ポリアスパラギン及びポリグルタミン酸等)及びこれらの混合物が挙げられる。
【0043】
(抗菌剤、減感剤、麻酔剤、抗真菌剤)
抗菌性抗プラーク剤も本組成物に任意に存在することもできる。そのような薬剤には、米国特許第3,506,720号のメルクインデックス11版、1529頁(項目番号9573及びビーチャムグループ(Beecham Group)PLCによる欧州特許出願0,251,591(1988年1月7日発行)に記載されているトリクロサン、5−クロロ−2−(2,4−ジクロロフェノキシ)−フェノール、クロルヘキシジン(メルクインデックス、no.2090)、アレキシジン(メルクインデックス、no.222、ヘキセチジン(メルクインデックス、no.4624)、サンギナリン(メルクインデックス、no.8320)、塩化ベンザルコニウム(メルクインデックス、no.1066)、サリチルアニリド(メルクインデックス、no.8299)、臭化ドミフェン(メルクインデックス、no.3411)、塩化セチルピリジニウム(CPC)(メルクインデックス、no.2024、塩化テトラデシルピリジニウム(TPC)N−テトラデシル−4−エチルピリジニウムクロリド(TDEPC)、オクテニジン、デルモピノール、オクタピノール及び他のピペリジノ誘導体、精油の抗菌有効量及びこれらの組み合わせ、例えば、シトラール、ゲラニアール、及びメントール、ユーカリプトール、オイカリブトール、チモールとサリチル酸メチルの組み合わせ;抗菌性金属及びその塩、例えば、亜鉛イオン、スズイオン、銅イオン及び/またはこれらの混合物を提供するもの、ビスビグアニドまたはフェノール類、オーグメンチン、アモキシリリン、テトラサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン及びメトロニダゾールのような抗生物質、並びに上記抗菌性抗プラーク剤類似体または塩が挙げられるが、それらには限定されない。象牙質減感剤は、硝酸カリウム、塩化ストロンチウムのような薬剤を包含する。麻酔剤は、リドカインまたはベンゾカインのような薬剤を包含し、抗カビ剤は、カンジダ・アルビカンスを処置するものである。存在する場合、これらの薬剤は、一般的に安全かつ有効な量、例えば、本発明の組成物の約0.1重量%〜5重量%で存在する。
【0044】
(抗炎症剤)
抗炎症剤が、本発明の組成物に存在してもよい。そのような薬剤には、アスピリン、ケトロラク、フルルビプロフェン、イブプロフェン、ナプロキセン、インドメタシン、アスピリン、ケトプロフェン、ピロキシカム及びメクロフェナム酸のような非ステロイド性抗炎症剤、バルデコキシブ、セレコキシブ及びロフェコキシブのようなCOX−2阻害物質、並びに及びこれらの混合物が挙げられるが、それらには限定されない。存在する場合、抗炎症剤は、一般に、本発明の組成物の約0.001重量%〜約5重量%含む。ケトロラクは、米国特許第5,626,838号(1997年5月6日発行)に記載されており、その全体が参照として本明細書に組み込まれる。
【0045】
(H−2拮抗薬)
本発明は、米国特許第5,294,433号(シンガー(Singer)ら、1994年3月15日発行)で開示されている化合物を包含する選択的H−2拮抗物質の安全かつ有効な量を含んでもよく、その全体が参照として本明細書に組み込まれる。
【0046】
(局所口腔キャリア)
本発明は、本組成物の第1相及び/または第2相のうちの1つまたは両方に局所口腔キャリアを任意に含む。本発明のキャリアは、以下でより詳細に記載する、練り歯磨き及び歯磨きゲルの通常及び従来の構成成分を包含してもよい。
【0047】
本明細書で使用する時、「薬学的に許容されうる局所口腔キャリア」または「口腔キャリア」とは、局所的な口腔投与に適した、1つまたはそれ以上の適合性のある固体または液体フィラー希釈剤、或いはカプセル化物質を意味する。本明細書で使用する時、「適合性のある」とは、本発明の組成物及び方法により、組成物の構成成分が、組成物の安定性及び/または口腔ケアの状態を治療または予防する効果を、相互作用して実質的に減少させることなく混合できることを意味する。
【0048】
「練り歯磨きキャリア」は、例えば米国特許3,988,433号(ベネディクト(Benedict))で開示されており、その開示は参照として本明細書に組み込まれる(例えば、研磨材料、起泡剤、結合剤、保湿剤、着香剤及び甘味剤等)。本発明の組成物の調製に適したキャリアは、当該技術分野において周知である。それは、味、価格、貯蔵安定性等のような二次的考察に応じて選択される。
【0049】
本発明の組成物は、練り歯磨き及び歯磨きゲルのような歯磨剤の形態である。このような練り歯磨き及び歯磨きゲルの構成成分は、一般に、1つまたはそれ以上の、歯科用研磨剤(約10%〜約50%)、界面活性剤(約0.5%〜約10%)、増粘剤(約0.1%〜約5%)、保湿剤(約10%〜約55%)、着香剤(約0.04%〜約2%)、甘味剤(約0.1%〜約3%)、着色剤(約0.01%〜約0.5%)及び水(約2%〜約45%)を包含する。そのような練り歯磨きまたは歯磨きゲルは、1つまたはそれ以上の追加の抗カリエス剤(薬0.05%〜約10%の追加の抗カリエス剤)及び抗結石剤(約0.1%〜約13%)を包含してもよい。
本発明の組成物に包含されうるキャリアの種類は、特定の非限定的実施例とともに次の通りである。
【0050】
(研磨剤)
本発明の組成物の局所的口腔キャリアに有用な歯の研磨剤は、多くの異なる物質を包含する。選択される物質は、目的の組成物に適合性があり、象牙質を過度に削らないものでなければならない。適した研磨剤としては、例えば、ゲル及び沈殿物を含むシリカ、不溶性のポリメタリン酸ナトリウム、水和アルミナ、炭酸カルシウム、オルトリン酸二カルシウム二水和物、ピロリン酸カルシウム、リン酸三カルシウム、ポリメタリン酸カルシウム、並びに尿素及びホルムアルデヒドの粒子状縮合生成物のような樹脂性研磨剤物質が挙げられる。
【0051】
本組成物に使用される別の種類の研磨剤は、米国特許第3,070,510号(クーリー(Cooley)及びグレーベンシュテッター(Grabenstetter)、1962年12月25日発行)に記載されている粒子状熱硬化性重合樹脂である。適した樹脂としては、例えば、メラミン類、フェノール類、尿素類、メラミン−尿素類、メラミン−ホルムアルデヒド類、尿素−ホルムアルデヒド類、メラミン−尿素−ホルムアルデヒド類、架橋エポキシド類、及び架橋ポリエステル類が挙げられる。
【0052】
様々な種類のシリカ歯科用研磨剤は、歯のエナメル質または象牙質を過度に研磨させない優れた歯の洗浄及び艶出性能という特有の効果があるので好ましい。他の研磨剤と同様に、本明細書のシリカ研磨艶出物質は、一般に、約0.1〜約30ミクロン、好ましくは約5〜約15mミクロンの範囲の平均粒径を有する。研磨剤は、沈殿シリカまたはパダー(Pader)らの米国特許第3,538,230号(1970年3月2日発行)及びディグリオ(DiGiulio)の米国特許第3,862,307号(1975年1月21日発行)で記載されているシリカキセロゲルのようなでシリカゲルあることができ、この両方はその全体が参照として本明細書に組み込まれる。好ましいものは、W.R.グレース・アンド・カンパニー(W.R.Grace & Company)のダビソン化学部門(Davison Chemical Division)から、商品名「シロイド(Syloid)」として市販されているシリカキセロゲルである。また、J.M.ヒュ−バー社(J.M.Huber Corporation)によってゼオデント(Zeodent)(登録商標)の商品名で市販されているもののような沈殿シリカ物質、特に表記ゼオデント119(登録商標)を持つシリカが好ましい。本発明の練り歯磨きに有用なシリカの歯の研磨剤の種類はウェイソン(Wason)の米国特許第4,340,583号(982年7月29日発行)にさらに詳しく記載されている。本明細書に記載の練り歯磨き組成物中の研磨材は、一般的に、組成物の約6重量%〜約70重量%の濃度で存在する。好ましくは、練り歯磨きは、組成物の約10重量%〜約50重量%の研磨剤を含有する。
【0053】
特に好ましい沈殿シリカは、全てプロクター・アンド・ギャンブル社(Procter & Gamble Co.)に譲渡された、米国特許第5,603,920号(1997年2月18日発行)、第5,589,160号(1996年12月31日発行)、第5,658,553号(1997年8月19日発行)、第5,651,958号(1997年7月29日発行)に開示されているシリカである。これらの全ての特許はその全体が参照として本明細書に組み込まれる。研磨剤の混合物を使用することができる。
【0054】
(増粘剤)
練り歯磨きまたはゲルの調製においては、幾らかの増粘材料を添加して組成物の所望の粘稠度を提供し、使用の際の所望の放出特性を提供し、貯蔵安定性を提供し、組成物の安定性を提供すること等が一般的に必要でありうる。好ましい増粘剤は、カルボキシビニルポリマー、カラゲナン、ヒドロキシエチルセルロース、ラポナイト、並びにカルボキシメチルセルロースナトリウム及びカルボキシメチルヒドロキシエチルセルロースナトリウムのようなセルロースエーテルの水溶性塩である。カラヤゴム、キサンタンガム、アラビアゴム、及びトラガカントゴムなどの天然ガムも使用することができる。さらに質感を改善するために、コロイド状ケイ酸アルミニウムマグネシウムまたは超微粒子状シリカを、増粘剤の一部として使用することができる。
【0055】
増粘剤は、高分子ポリエーテル化合物、例えば、炭素原子1〜18個を含有するアルキルまたはアシル基で末端保護された酸化ポリエチレンまたはポリプロピレン(M.W.300〜1,000,000)を包含することができる。
増粘剤またはゲル化剤の好ましい種類としては、ペンタエリスリトールのアルキルエーテル若しくはスクロースのアルキルエーテルで架橋されたアクリル酸のホモポリマー、またはカルボマーの種類が挙げられる。カルボマーは、B.F.グッドリッチからカーボポール(Carbopol)(登録商標)シリーズとして市販されている。特に好ましいカーボポールとしては、カーボポール934、940、941、956及びこれらの混合物が挙げられる。
【0056】
練り歯磨き組成物全体の約0.1重量%〜約15重量%、別の実施形態では約0.2重量%〜約6重量%、更に別の実施形態では、約0.4重量%〜約5重量%の増粘剤を使用することができる。
【0057】
(保湿剤)
本発明の組成物の局所的口腔キャリアの別の任意の構成成分は、保湿剤である。保湿剤は、練り歯磨き組成物が空気に曝されて硬化しないようにし、口への潤い感を組成物に与え、特定の保湿剤は練り歯磨き組成物に望ましい甘い香味を付与するのに役立つ。保湿剤は、純粋な保湿剤に基づき、一般に本明細書の組成物を約0重量%〜約70重量%、好ましくは約5重量%〜約25重量%含む。本発明の組成物における使用に好適な保湿剤としては、グリセリン、ソルビトール、キシリトール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール及びプロピレングリコールのような食用多価アルコール、特にソルビトール及びグリセリンが挙げられる。
【0058】
(アルカリ金属重炭酸塩)
本発明はまたアルカリ金属重炭酸塩を含んでもよい。アルカリ金属重炭酸塩は水溶性であり、安定化されていない場合には、水性系で二酸化炭素を放出する傾向がある。重曹としても既知である重炭酸ナトリウムは、好ましいアルカリ金属重炭酸塩である。本組成物は、アルカリ金属重炭酸塩を約0.5%〜約30%、1つの実施形態では約0.5%〜約15%、更に別の実施形態では約0.5%〜約5含有してもよい。
【0059】
(その他の担体)
商業的に好適な本明細書の口腔用組成物の調製に用いられる水は、好ましくはイオン含有量が低く、有機不純物を含まないことが必要である。水は、一般的に、本発明の組成物の約5重量%〜約70重量%、別の実施形態では、約10〜約50重量%、別の実施形態では、約11重量%〜約30重量%、更に別の実施形態では、約15重量%〜約25重量%含まれる。この水の量には、添加される遊離水に加えて、ソルビトールなど他の物質と共に導入される水が含まれる。第1相の清澄性の達成を促進するため、少ない量の水が好ましい。
【0060】
二酸化チタンもまた本組成物に添加されてもよい。二酸化チタンは、組成物に不透明度を加える白色粉末である。二酸化チタンは、一般的に歯磨剤組成物の約0.1重量%〜約5重量%、別の実施形態では、約0.25重量%〜約1重量%含む。
他の任意の薬剤としては、その遊離酸或いは部分的にまたは好ましくは完全に中和された水溶性アルカリ金属(例えば、カリウム、好ましくはナトリウム)、またはアンモニウム塩の形で使用される合成アニオン性ポリマーのポリカルボキシレート、が挙げられ、これらは、米国特許第4,152,420号(ガファル(Gaffar))、米国特許第3,956,480号(ディヒター(Dichter)ら)、米国特許第4,138,477号(ガファル(Gaffar)ら)、米国特許第4,183,914号(ガファル(Gaffar)ら)、及び米国特許第4,906,456号(ガファル(Gaffar)ら)に開示されており、これらは全て、その全体が参照として本明細書に組み込まれる。無水マレイン酸またはマレイン酸と、他の重合可能なエチレン性不飽和モノマー、好ましくは約30,000〜約1,000,000の分子量(M.W.)を有するメチルビニルエーテル(メトキシエチレン)との1:4〜4:1のコポリマーが好ましい。これらのコポリマーは、例えば、GAFコーポレーション(GAF Corporation)のガントレ(Gantrez)AN139(分子量500,000)、A.N.119(分子量250,000)、好ましくはS−97医薬品等級(分子量70,000)として入手可能である。
【0061】
(界面活性剤(起泡剤))
本発明の組成物は、任意に、界面活性剤の安全かつ有効な量、別の実施形態では、界面活性剤の組成物を約0.001重量%〜約20重量%、別の実施形態では、約0.05重量%〜約6重量%、更に別の実施形態では、約0.1重量%〜約3重量%含む。
好適な界面活性剤は、広範囲のpHで適度に安定であり、泡であるものであり、非イオン性、アニオン性、両性、カチオン性、双性イオン性、合成洗剤及びこれらの混合物が挙げられる。多くの適した非イオン性及び両性界面活性剤が、米国特許第3,988,433号(ベネディクト(Benedict))、米国特許第4,051,234号(1977年9月27日発行)に開示されており、多くの適した非イオン性界面活性剤が、米国特許第3,959,458号(アグリコラ(Agricola)ら、1976年5月25日発行)に開示されており、共にその全体が参照として本明細書に組み込まれる。
【0062】
(着香剤)
本発明の組成物はまた、安全かつ有効な量の着香剤を含んでもよい。適した着香剤としては、ウインターグリーン油、ペパーミント油、スペアミント油、クローブの芽の油、メントール、アネトール、サリチル酸メチル、オイカリプトール、1−メンチルアセテート、セージ、オイゲノール、オランダセリ油、オキサノン、α−イリソン、マジョラム、レモン、オレンジ、プロペニルグエトール、シナモン、バニリン、チモール、リナロール、CGAとして知られるシンナムアルデヒドグリセロールアセタール、及びこれらの混合物が挙げられる。着香剤は、一般的に、組成物の約0.001重量%〜約20重量%の濃度、別の実施形態では、約0.01重量%〜約5重量%の濃度、更に別の実施形態では、約1重量%〜約2重量%の濃度で組成物に使用される。
【0063】
(甘味剤、冷却剤、唾液分泌剤、加温剤)
本発明の組成物は、任意にスクラロース、ショ糖、グルコース、サッカリン、ブドウ糖、果糖、ラクトース、マンニトール、ソルビトール、フルクトース、マルトース、キシリトール、サッカリン塩、タウマチン、アスパルテーム、D−トリプトファン、ジヒドロカルコン、アセスルファム及びシクラメート塩、特にシクラミン酸ナトリウム及びナトリウムサッカリン、並びにこれらの混合物等の甘味剤を含んでもよい。組成物は、一般的に、これらの剤を組成物の約0.1重量%〜約10重量%、別の実施形態では、約0.1重量%〜約1重量%含有する。
【0064】
香味剤及び甘味剤に加え、冷却剤、唾液分泌剤、加温剤及び局部麻酔剤を、任意成分として本発明の組成物に使用することができる。これらの剤は、組成物の約0.001重量%〜約10重量%、別の実施形態では、約0.1重量%〜約1重量%の濃度で組成物に存在する。
【0065】
冷却剤は、様々な物質の任意のものとすることができる。このような物質に含まれるものは、カルボキサミド、メントール、ケタール、ジオール及びこれらの混合物である。本組成物に好ましい冷却剤は、「WS−3」として商業的に既知であるN−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミド、「WS−23」として既知であるN,2,3−トリメチル−2−イソプロピルブタンアミド、及びこれらの混合物のようなパラメンタンカルボキシアミド剤である。追加の好ましい冷却剤は、メントール、高砂(Takasago)製のTK−10として既知である3−1−メントキシプロパン−1,2−ジオール、ハーマン・アンド・ライマー(Haarmann and Reimer)製のMGAとして既知であるメントングリセロールアセタール、及びハーマン・アンド・ライマー(Haarmann and Reimer)製のフレスコラト(Frescolat)(登録商標)として既知であるメンチルラクテートから成る群から選択される。本明細書で使用されるメントール及びメンチルという用語には、これらの化合物の右旋性異性体及び左旋性異性体、並びにこれらのラセミ混合物が包含される。TK−10は、米国特許第4,459,425号(アマノ(Amano)ら、1984年7月10日発行)に記載されている。WS−3及びその他の薬剤は、米国特許第4,136,163号(ワトソン(Watson)ら、1979年1月23日発行)に記載されており、両方の開示はその全体が参照として本明細書に組み込まれる。
【0066】
本発明の好ましい唾液分泌剤としては、高砂(Takasago)製のジャンブ(Jambu)(登録商標)が挙げられる。好ましい加温剤としては、トウガラシ及びベンジルニコチネートのようなニコチネートエステルが挙げられる。好ましい局部麻酔剤としては、ベンゾカイン、リドカイン、クローブの芽の油、及びエタノールが挙げられる。
【0067】
(組成物の使用)
被験者による使用の頻度は、好ましくは、1週間当たり約1回から1日当たり約4回まで、別の実施形態では、1週間当たり約3回から1日当たり約3回まで、更に別の実施形態では、1日当たり約1回から1日当たり約2回までである。このような治療の期間は、通常1日程度から一生涯の範囲である。
この発明の組成物は、ヒト及び下等動物(例えば、ペット、動物園、家畜)に有用である。
【実施例】
【0068】
以下の非限定的な例により、本発明の範囲内の好ましい実施形態についてさらに説明する。本発明の範囲から逸脱することなく、これらの実施例の多くの変形が可能である。
従来の加工技術で製造された次の組成物は、次に記載されている。
【0069】
【表1】

1カルナウバをFD&CレッドNO.40アルミニウムレーキに混入した(CAS25956−17−6)。
【0070】
【表2】

1.高密度ポリエチレン(CAS26221−73−8)または低密度ポリエチレン及びイエローNO.10アルミニウムレーキ(CAS688−14−04−0)
2.FD&Cレッドに混入されたカルナウバろう。No.30
【0071】
ゲル相及び第2相を上記成分からそれぞれ別個に調製し、上記記載の深縞模様付け法により、開口練り歯磨きチューブの中に装填した。全ての実施例において、各相は、等しい量で使用している。
【0072】
本発明の特定の実施形態を記載したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本発明の様々な変更及び修正が可能であることは、当業者には明らかである。本発明の範囲内にあるこのようなすべての修正形態については、添付の特許請求の範囲内に含めるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多色縞模様の歯磨剤組成物であって、
a.以下を含む複数の縞相:
1.半透明又は透明ゲル相に縞模様の外観を作り出す、着色剤粒子の有効量を含む半透明又は透明ゲル相である少なくとも1つの第1相と、
2.少なくとも1つの第2相
ここで、前記第1相と前記第2相が対比色を有し、全ての相がレオロジー的に同等である、及び
b.分配手段からの押出しの前に、相が隣接相と界面接触している歯磨き剤分配手段、を含む前記歯磨剤組成物。
【請求項2】
着色剤粒子の濃度が組成物の約0.1重量%〜約3重量%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
着色剤粒子の濃度が組成物の約0.15重量%〜約2重量%である、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
着色剤粒子の濃度が組成物の約0.5重量%〜約1.5重量%である、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
組成物が少なくとも3つの縞相を有する、請求項2に記載の組成物。
【請求項6】
組成物が少なくとも4つの縞相を有する、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
着色剤粒子が、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、天然ろう、ゲル化剤、合成ろう、水溶性熱可塑性ポリマー、不溶性結合剤、水溶性結合剤及びこれらの混合物から成る群から選択される材料に混入されている染料、顔料又はレーキを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記材料が、合成石蝋、合成ろう、カルナウバろう、キャンデリラろう、精製モンタンろう、カスターろう、パラフィン、セレシンろう及びヤマモモろう、並びにこれらの混合物から成る群から選択される、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
半透明又は透明ゲル相の色が、着色剤粒子によってのみ提供される、請求項1に記載の組成物。

【公表番号】特表2006−514117(P2006−514117A)
【公表日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−510376(P2005−510376)
【出願日】平成15年11月20日(2003.11.20)
【国際出願番号】PCT/US2003/037154
【国際公開番号】WO2004/047783
【国際公開日】平成16年6月10日(2004.6.10)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】