説明

多血小板血漿からなる組成物

本発明の課題は、活性の高い多血小板血漿を容易にかつ安価に提供することである。
採血して得られた全血を、遠心分離によらず、選択促進的に赤血球を凝集沈降させることによる。例えば、有機リン酸化合物の残基を有するポリマーを添加することによる。具体的には有機リン酸化合物の残基を有するポリマーを全血に添加し、一定時間静置させると選択促進的に赤血球を凝集沈降させることができ、上清には生体内での状態に限りなく近いインタクトな血小板を多く含み、また、同時にフィブリノゲンなどの血漿タンパクや白血球も多く含む活性の高い多血小板血漿を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療の分野で使用される多血小板血漿およびその調製方法に関する。
本出願は、参照によりここに援用されるところの、日本特許出願番号特願2004-024815号からの優先権を請求する。
【背景技術】
【0002】
現在、失われた組織の再生の分野において、医学、工学はますます進歩を遂げている。
しかし、近年、医療用として使われている血液製剤や、動物(特に牛)から作製された生理的活性物質を使用することで、それらに混入するウイルス、プリオン等による感染により、安全を脅かされる事件が多数おこっており、社会的問題となっている。このようなことから、医療すべてに対する安全性について、非常に関心が高まっている。
また、日常の臨床応用の場においては、安全というだけでなく、その操作が確実、簡便なこともまた、重要なことである。
【0003】
こういった背景から、以前から術後の止血、創傷治癒促進剤として効果が認められてきたフィブリン製剤から発展させ、自己の血液成分を用いて、創傷治癒を早めるという治療方法が脚光を浴びるようになってきた。例えば、活性化された血小板は、創傷治癒早期において、細胞の遊走、分化を誘導する物質を分泌するため、手術の前に、自己の血液より血小板を濃縮した血漿(多血小板血漿: platelet-rich plasma (以下単に「PRP」という場合がある。))を作っておき、術部に血小板を活性化させたPRPを塗布して、治癒の促進を図ろうというものである。多数の臨床家によって、この方法による創傷治癒の促進が図られたという報告がなされるようになった。
【0004】
この方法は、自己の血液を使うという非常に安全な方法の上に、ある程度の確実な成績が得られるものの、操作法の複雑さ、危険性、手間、熟練した人手を必要とすることおよび高価な器具の購入、保守経費の増大等の問題点がある。
【0005】
多血小板血漿の調製方法や、血液を成分に分離する方法および装置等はすでに多く報告されている(特許文献1)。臨床検査用の多血小板血漿は、前腕正中静脈より採血し、3.1w/v%クエン酸ナトリウムを1.5mL含むプラスチックチューブに全血を4.5mLずつ加え、転倒混和したものを500g 15分間22℃で遠心した上清より得られる(非特許文献1)。しかし、従来の遠心分離法によると、操作が煩雑であり、赤血球を沈降させることができても、操作時に血小板などの血球や、血漿タンパクにダメージが加わることは避けられない。
以下、便宜上従来法によって得られた多血小板血漿を「PRP」とよび、本発明の多血小板血漿と区別する。
【0006】
全血から赤血球細胞を分離して白血球の豊富な血漿(LRP)を得るために、連銭形成凝集剤およびエンハンサーを全血に加える方法が開示されている(特許文献2)。ここでは、連銭形成凝集剤として、例えばデキストラン、へスパン、ペンタスパン、フィコールなどが例示されており、エンハンサーとしてシュウ酸の塩、マロン酸の塩、マンニトールおよびスクロースなどが例示されている。
【0007】
術後の止血、創傷治癒促進剤として使用する多血小板血漿は、血小板成分のみならず、できるだけ生体に存在するときと同じ状態のフィブリノゲンなどの血漿タンパクや白血球を含めた血液成分を多く含むことが望ましく、このような活性の高い多血小板血漿が望まれている。
【0008】
PRPは、遠心分離または血液から血球を沈殿させることにより得られたものであっても、少なくとも血小板活性が既に亢進しており、また、組織および/または器官修復促進剤として使用するには、トロンビン等の凝固反応誘導剤を使用することが必要であった。
【特許文献1】特開平5−203639号公開公報
【特許文献2】特表平8−510322号公表公報
【非特許文献1】臨床検査法提要第31版第400頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、組織および/または器官修復促進剤として多血小板血漿を使用する場合に、必ずしもトロンビン等の凝固反応誘導剤の使用を必要とせず、効果のある活性の高い多血小板血漿を容易にかつ安価に提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、有機リン酸化合物の残基を有するポリマーを全血に添加して選択促進的に赤血球を凝集沈降させて得た多血小板血漿は、生体内での血小板に近いインタクトな血小板を含み、トロンビン等の凝固反応誘導剤を使用することなく組織および/または器官修復促進剤として使用できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0011】
すなわち本発明は、以下からなる。
1. 血液に有機リン酸化合物の残基を有するポリマーを添加することによる多血小板血漿の調製方法。
2.血液に有機リン酸化合物の残基を有するポリマーを添加し、赤血球を選択的に沈降させる工程を含む多血小板血漿の調製方法。
3.有機リン酸化合物の残基を有するポリマーとして、以下の式(I):
【化1】

(式中、R1、R2およびR3はそれぞれ独立に炭素数が1〜8の直鎖または分岐のアルキル基で、aは1〜12の整数である。)で示される基を側鎖に有する化合物を含む前項1または2に記載の多血小板血漿の調製方法。
4.有機リン酸化合物の残基を有するポリマーとして、以下の式(II):
【化2】

(式中、Xは-Hまたは-CH3、R1、R2およびR3はそれぞれ独立に炭素数が1〜8の直鎖または分岐のアルキル基で、bは1〜4000の整数、cは1〜6の整数、dは1〜12の整数である。)で示される化合物を含む前項3に記載の多血小板血漿の調製方法。
5.有機リン酸化合物の残基を有するポリマーとして、さらに以下の式(III):
【化3】

(式中、Yは-Hまたは-CH3、Zは-H,-OH,-COOH, -COONa, -COOK, -SO3H, -SO3Na, -SO3K, -NH2, -NHR1, -NR1R2, -N+R1R2R3OH-, -N+R1R2R3SO3- , -N+R1R2R3NO3-, -N+R1R2R3PO3-〔R1,R2,R3は各々-(CH2)xH、xは1〜5の整数〕,-O-PO3Na, -O-PO3K, -O-PO3H, -OR4H, -COOR4H, -C=O-R4H, 〔R4は脂肪族炭化水素、炭化水素の数0〜20〕または-O-R5〔R5は芳香族炭化水素基〕、eは1〜4000の整数、fは0〜20の整数)で示される化合物を含む前項1〜4のいずれか1に記載の多血小板血漿の調製方法。
6.有機リン酸化合物の残基を有するポリマーとして、以下の式(IV):
【化4】


(式中、gは1〜4000の整数)で示される化合物を含む前項4または5に記載の多血小板血漿の調製方法。
7.有機リン酸化合物の残基を有するポリマーとして、以下の式(V)〜式(VII)のいずれか:
【化5】

(式中、h,iはそれぞれ独立に1〜4000の整数)

【化6】

(式中、j,kはそれぞれ独立に1〜4000の整数)

【化7】

(式中、l,m,nはそれぞれ独立に1〜4000の整数)で示される化合物を含む前項3〜6のいずれか1に記載の多血小板血漿の調製方法。
8.前項1〜7のいずれか1に記載する調製方法により得られた多血小板血漿。
9.前項8に記載の多血小板血漿を含む組織および/または器官修復促進剤。
10.前項8に記載の多血小板血漿を含む組織および/または器官修復促進剤、歯科インプラント周囲の骨造成の添加剤、骨欠損部への骨もしくは人工骨の移植の際の添加剤、創傷治癒促進剤、形成および/または美容を目的とした治療後もしくは処置後の組織治癒促進剤、皮膚疾患治療剤、皮膚潰瘍治療剤、神経組織修復剤および/または外科手術後の組織修復剤。
11.前項8に記載の多血小板血漿を投与することによる以下に示すいずれかの治療方法または処置方法:
1)歯科インプラント周囲の骨造成
2)皮膚疾患
3)形成および/または美容のための組織修復
4)骨欠損部修復
5)神経組織修復
6)外科手術後の組織修復
12.前項8に記載の多血小板血漿を調製するためのポリマー。
13.前項12に記載のポリマーを含む多血小板血漿調製用試薬または試薬キット。
14.前項8に記載の多血小板血漿を調製するための器具。
【発明の効果】
【0012】
本発明の有機リン酸化合物の残基を有するポリマーを血液に添加すると、赤血球が他の血球よりも選択的に凝集沈降し、損傷が少なく限りなくインタクトな状態の血小板を含む多血小板血漿が得られるため、組織および/または器官修復促進剤として有効に使用することができる。さらに本手法で取得した多血小板血漿の使用にあたっては、特にトロンビン等の凝固反応誘導剤を減じたり、場合によっては使用しないことも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】ポリマーを血液に加え、20分および30分静置したときの赤血球の沈降状態を示す図である。(実施例7)
【図2】本発明の多血小板血漿および従来法である遠心法により得られたPRPにおける血小板回収率を示す図である。(実施例8)
【図3】本発明の多血小板血漿および従来法である遠心法により得られたPRPにおけるフィブリノゲン量を示す図である。(実施例8)
【図4】本発明の多血小板血漿および従来法である遠心法により得られたPRPにおける血小板活性化率(CD62P)を示す図である。(実施例8)
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
血小板は損傷した組織に粘着・凝集して血栓を形成し、止血に際して、また、他の細胞を遊走、分化誘導する物質の貯蔵、放出に関して、非常に重要な役割を果たしている。フィブリンは、血漿中のフィブリノゲンにトロンビンが作用して生じるもので、血液凝固の最終段階に関わるものである。さらに、組織修復のために細胞が浸潤し細胞分化するための足場としても重要である。また、白血球は細菌や有害な微生物などの浸入を防ぐ働きがあり、免疫機能や殺菌機能を有し、特に白血球のなかでも単球/マクロファージは、組織修復にも重要な役割を担っていることが知られている。
【0015】
血小板は、刺激や採血からの時間の経過とともに急速に機能が失われる。このため、血小板に対する刺激が少なく短時間に分離可能な遠心分離以外の手法では、ある程度機能を保持した血小板を得ることは不可能であった。全血を静置すると次第に赤血球が沈降するが、通常この速度は非常に遅いため、高度の炎症反応時などの病的な血液以外では、数時間以上放置しても血小板を含む血漿は得られないことが知られている。
【0016】
本発明の多血小板血漿の調製方法によって、全血から選択促進的に赤血球を沈降させることができ、上清中に血小板ばかりか白血球、フィブリノゲンなどの組織修復に不可欠な成分にほとんど損傷を与えず、それぞれの活性を保持したまま得ることができる。さらに、本発明により得られた多血小板血漿は、ほとんど活性化状態の見られない限りなくインタクトな状態の血小板を含む。限りなくインタクトな状態の血小板は、高い止血、凝血効果が得られる等の特徴を有するだけでなく高い成長因子の放出能が維持されるため、このような血小板を含む多血漿は優れた品質を有する。
【0017】
本発明においては、選択促進的に赤血球を凝集沈降させることができ、処理開始後3時間以内、好ましくは2時間以内、より好ましくは1時間以内、更に好ましくは30分以内に、全血に含まれる赤血球を80%以上好ましくは90%以上を凝集させることによって沈降させ、全血液量の少なくとも15%以上の多血小板血漿を得ることができる。
【0018】
本発明の多血小板血漿の調製に使用する全血は、ヒトまたはヒトを除く動物において、通常採血する方法に従って取得すればよい。また、採血した全血はそのままでは凝固してしまうため、採血後抗凝固剤を予め加えておくことが望ましい。抗凝固剤としては、通常使用されているものであって、生体に対して毒性を示さないものであればよく、例えば、クエン酸ナトリウム、抗凝固クエン酸デキストロース(ACD)、EDTA、ヘパリン、低分子ヘパリン、フサン、ヒルジン、アルガトロバンなど、一般的に使用されるものであれば良い。
【0019】
本発明の多血小板血漿調製のための処理血液の量は特に制限されずその用途によって異なり、使用目的、使用量に応じて適切な量を選択することができる。本発明の方法は、例えば、自己の血液を採血したものについて適用させることができ、献血などで得られた血液にも適用させることができる。本発明は、このように高い活性を有する血小板を簡便に得る方法であるので、血小板製剤の調製にも用いることができる。
【0020】
(有機リン酸化合物の残基を有するポリマー)
全血から選択促進的に赤血球を凝集沈降させるために、有機リン酸化合物の残基を有するポリマーを全血に添加することができる。有機リン酸化合物の残基を有するポリマーとして、式(I):
【化8】

【0021】
(式中、R1、R2およびR3はそれぞれ独立に炭素数が1〜8の直鎖または分岐のアルキル基で、aは1〜12の整数である。)で示される基を側鎖として含む化合物を構成単位に含めることができる。
【0022】
有機リン酸化合物の残基を有するポリマーとして、具体的には式(II):
【化9】

【0023】
(式中、Xは-Hまたは-CH3、R1、R2およびR3はそれぞれ独立に炭素数が1〜8の直鎖または分岐のアルキル基で、bは1〜4000の整数、cは1〜6の整数、dは1〜12の整数である。)に示す化合物を含めることができる。
【0024】
また、本発明に使用するポリマーは、式(II)から選択される1の化合物のみを構成単位とするホモポリマーであってもよいし、式(II)から選択される2以上の化合物を構成単位として含むヘテロポリマーであっても良い。さらに、他の構成単位を含むヘテロポリマーであっても良い。具体的には、式(III):
【化10】

【0025】
(式中、Yは-Hまたは-CH3、Zは-H,-OH,-COOH, -COONa, -COOK, -SO3H, -SO3Na, -SO3K, -NH2, -NHR1, -NR1R2, -N+R1R2R3OH-, -N+R1R2R3SO3- , -N+R1R2R3NO3-, -N+R1R2R3PO3-〔R1,R2,R3は各々-(CH2)xH、xは1〜5の整数〕,-O-PO3Na, -O-PO3K, -O-PO3H, -OR4H, -COOR4H, -C=O-R4H, 〔R4は脂肪族炭化水素、炭化水素の数0〜20〕または-O-R5〔R5は芳香族炭化水素基〕、eは1〜4000の整数、fは0〜20の整数)に示すメタクリラート化合物を含んでいても良い。
【0026】
本発明に使用するポリマーは具体的にはメタクリル系ポリマーを例示することができ、例えば式(IV):
【化11】

【0027】
(式中、gは1〜4000の整数)に示す2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(2-methacryloyl oxyethyl phosphorylcholine(MPC))若しくはその誘導体を含んでいても良い。
【0028】
本発明に使用するヘテロポリマーの例として、次の式(V)および/または(VI):

【化12】

【化13】

【0029】
(式中、h,iおよびj,kはそれぞれ独立に1〜4000の整数)に示す化合物を含めることができる。例えば、式(V)および(VI)に示された各々2種の構成化合物の割合は適宜選択することができ、例えば2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)とメタクリラート化合物の構成比を7:3, 8:2, 9:1等と適宜選択することができる。
【0030】
また、本発明に使用するヘテロポリマーの例として次の式(VII):
【化14】

【0031】
(式中、l,m,nはそれぞれ独立に1〜4000の整数)で示される化合物を含めることもでき、示された3種の構成化合物の割合も適宜選択することができる。式(VII)のPMSBに含まれる2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC), カリウム 3-メタクリロイルオキシプロピル スルホナート(Potassium 3-Methacryloyloxypropyl sulfonate(PMPS))およびn-ブチル メタクリラート(BMA)の構成比は、例えば25:20:55、45:5:50、41:4:55等と適宜選択することができる。尚、本明細書において、PMSB25はMPC:PMPS:BMAの構成比が25:20:55のものを意味し、PMSB45はMPC:PMPS:BMAの構成比が45:5:50のものを意味する。
【0032】
本発明で使用できるポリマーの平均分子量としては、好ましくは1000〜500万の範囲であり、より好ましくは1000〜100万である。
【0033】
(多血小板血漿の調製方法)
本発明の多血小板血漿を調製するために、抗凝固剤を含む血液量1.5mLに対して、上記有機リン酸化合物の残基を有するポリマーを、0.0015〜150mg、好ましくは0.15〜45mg、より好ましくは1.5〜4.5mg添加することができる。換算すると、約0.0001〜10w/v%、好ましくは0.01〜3w/v%、より好ましくは0.1〜0.3w/v%となる。より多量の多血小板血漿を調製する場合には、血液量を増加し、上記と同じ割合で有機リン酸化合物の残基を有するポリマーを添加することができる。上記有機リン酸化合物の残基を有するポリマーは、採血した血液を入れる容器に加えておくこともできるし、採血用注射筒に直接加えておくこともできる。
【0034】
上記の範囲から選択される量のポリマーを、抗凝固剤を含む血液に添加し、該ポリマーが血液全体にいきわたるように静かに混和後、静置しておくことにより選択促進的に赤血球の沈降が認められ、上清には血小板のみならず血漿成分や白血球等の血液成分を含む多血小板血漿を得ることができる。赤血球の沈降は、遅くとも3時間、好ましくは2時間以内で認められ、早ければ処理開始後10分程度で認められ、30分から40分程度で、本発明の目的の多血小板血漿を得ることができる。
また、赤血球の分離が不十分な場合やより短時間での分離が必要な場合には、従来の血小板の凝集を引き起こさない程度の弱い遠心分離をさらに行うこともできる。具体的には、142Gで5分以下の遠心分離を加えることができる。
【0035】
(本発明の多血小板血漿の使用)
本発明の方法により調製された多血小板血漿は、創傷治癒剤、歯科インプラント周囲の骨造成の添加剤、骨欠損部への骨もしくは人工骨の移植の際の添加剤、創傷治癒促進剤、皮膚疾患治療剤、皮膚潰瘍治療剤、形成あるいは美容を目的とした治療もしくは処置後の組織治癒促進剤、外科手術後の組織修復剤、整形外科領域の術後の組織修復剤、神経組織修復剤などあらゆる組織、器官における治癒促進剤として適用することが可能である。つまり、本発明の多血小板血漿により、上記の疾患や皮膚もしくは組織の損傷等を治療することができる。
【0036】
本発明の多血小板血漿は、ヒトのみならず、ヒトを除く哺乳類にも適用することができる。哺乳類の例としては、特に地上に生息する動物が挙げられ、一般的にペットとして飼育されるイヌ、ネコ、ハムスター等にも適用することができる。また、競走馬や闘牛用ウシのように、スポーツにおいて活用される動物等に対しても適用することができる。
【0037】
本発明の方法により、自己の血液から調製された多血小板血漿は、上記の治療または処置の目的で使用することができる。また、血液型等が適合すれば自己の血液由来でなくとも使用することももちろん可能である。
【0038】
使用方法として、具体的には創傷部位に本発明の多血小板血漿を必要量塗布する、注入する等の投与方法を適用することができる。
【0039】
(調製用試薬、器具ならびにキット)
本発明の多血小板血漿は、上述したように自己の血液から簡便かつ容易に、治療等に効果的な多血小板血漿を調製できることが最大の特徴である。簡便かつ容易に調製するためには、本発明の調製方法に使用する有機リン酸化合物の残基を有するポリマーを試薬として備えておくことにより達成される。
【0040】
具体的には上記「有機リン酸化合物の残基を有するポリマー」の欄で説明した各種のポリマーを、バイヤルやアンプル等の適当な容器に充填した試薬、これらの試薬を複数含むもの、あるいは溶解液などを含む試薬キットなども本発明に含まれる。さらに、本発明の調製方法に使用される器具として、具体的には、採血に使用するシリンジや採血管、さらには採血された血液に有機リン酸化合物の残基を有するポリマーを添加するための滅菌処理されたプラスチックなどの容器もしくは試験管などが挙げられる。本発明の多血小板血漿調製キットは、上記例示した試薬や器具から選択される試薬および器具をキット化したものが挙げられる。本キットを使用することで、採血したベッドサイド等で容易に本発明の多血小板血漿を容易に調製することができる。
【0041】
さらに、本発明の有機リン酸化合物の残基を有するポリマーを、採血の際に用いるシリンジや容器にあらかじめ充填したものも好ましく用いられる。抗凝固剤として広く使用されるクエン酸ナトリウムやACDの中に、有機リン酸化合物の残基を有するポリマーを溶かし込んでおき、それを上述のシリンジや容器に充填したものも特に好ましく用いられる。
【0042】
本発明は、上記方法によって調製された多血小板血漿、多血小板血漿を調製する目的で使用する本発明において特定されるポリマーにもおよぶ。
【実施例】
【0043】
以下、本発明を実施例および実験例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0044】
(実施例1)
本実施例は、全血(末梢血)に各種モノマーまたはポリマーを添加したときの、赤血球の沈降効果を確認することを目的とする。
【0045】
次の方法で7種の試料を調製した。抗凝固剤として、抗凝固クエン酸デキストロース(以下「ACD」、シグマ社製)を3.13w/v%混入したものをACD溶液とした。0.15mLに血液を1.35mL加え、全体を1.5mLとしたものを全血試料(コントロール)とした。
【0046】
本実施例において、試料2は式VIに記載するMPCおよびBMAを8:2の割合で含むヘテロポリマーPoly(MPC-co-BMA)(PMB(8:2))(分子量100000)、試料3は式IVに記載するMPCのみを構成単位とするホモポリマー(分子量100000)を使用した。ポリグルタミン酸はシグマ社製(分子量53,785)を使用した。
【0047】
試料1:コンロトール
試料2:PMB(8:2) 3mgをACD溶液0.15mLに溶かし、血液1.35mLと混合した。
試料3:PMPC 3mgをACD溶液0.15mLに溶かし、血液1.35mLと混合した。
試料4:ポリグルタミン酸 0.1mgをACD溶液0.15mLに溶かし、血液1.35mLと混合した。
試料5:ポリグルタミン酸 0.5mgをACD溶液0.15mLに溶かし、血液1.35mLと混合した。
試料6:ポリグルタミン酸 0.7mgをACD溶液0.15mLに溶かし、血液1.35mLと混合した。
試料7:ポリグルタミン酸 3mgをACD溶液0.15mLに溶かし、血液1.35mLと混合した。
【0048】
1)赤血球の沈殿について
上記各試料を30分間静置した後の赤血球の沈降は、試料4のポリグルタミン酸を添加した系と、試料2および3のMPCを含むポリマーを添加した系では、ほぼ同等であった。
【0049】
2)血小板数
各種試料を30分間静置した後の上清に含まれる白血球(WBC)、赤血球(RBC)、血小板(PLT)を計測した。計測は、日本光電株式会社製全自動血球測定器(Celltacα(MEC-6318))により行った。
その結果、試料3より得られた上清は、試料4より得られた上清と同様に、白血球、血小板数が高い値を示した(表1)。
【表1】

【0050】
(実施例2)
本実施例は、式VIIに示すPMSBを添加する際に、抗凝固剤の添加の有無による赤血球の沈降状態を確認することを目的とする。
【0051】
次の方法で5種の試料を調製した。実施例1と同様にACD溶液に血液を1.35mL加え、全体を1.5mLとしたものを全血試料(コントロール)とした(試料1)。試料2〜5は、各重量のPMSBをACD溶液またはハンクス液(インビトロゲン社製)に溶解したものを血液に添加し調製した。ここで、試料2および4のPMSB25は式VIIに記載するMPC、PMPS、BMAを25:20:55の割合で含むPMSB(分子量100000)であり、試料3および5のPMSB45は同様に式VIIに記載する化合物を45:5:50の割合で含むPMSB(分子量100000)である。以下の実施例についても同様である。
【0052】
試料1:コントロール
試料2:PMSB25 3mgを0.15mLのACD溶液に溶かし、血液1.35mLと混合した。
試料3:PMSB45 3mgを0.15mLのACD溶液に溶かし、血液1.35mLと混合した。
試料4:PMSB25 3mgを0.15mLのハンクス液に溶かし、血液1.35mLと混合した。
試料5:PMSB45 3mgを0.15mLのハンクス液に溶かし、血液1.35mLと混合した。
【0053】
上記各試料を30分間静置した後、試料2および3では赤血球の沈殿が認められ、上清に多血小板血漿を得ることができた。一方試料4および5の抗凝固剤を含まない系では試料が凝固してしまい、多血小板血漿を得ることはできなかった。
【0054】
(実施例3)
本実施例は、各PMSBを添加したときの効果を調べることを目的とする。
【0055】
実施例1および実施例2の方法と同様に次の4種の試料を調製した。
試料1:コントロール
試料2:ポリグルタミン酸 3mgを0.15mLのACD溶液に溶かし、血液1.35mLと混合した。
試料3:PMSB25 3mgを0.15mLのACD溶液に溶かし、血液1.35mLと混合した。
試料4:PMSB45 3mgを0.15mLのACD溶液に溶かし、血液1.35mLと混合した。
【0056】
上記各試料を30分間静置した後、試料2〜4について赤血球の沈殿が認められ、上清に多血小板血漿を得ることができた。上記静置したときの上清中の白血球(WBC)、血小板数(PLT)、凝固時間および血小板活性(CD62P)を表2に示した。
凝固時間は、1.5mLのエッペンドルフチューブに各試料の上清を0.5mL、日本薬局方 塩化カルシウム注射液(CaCl2として、1.11g/20mL)を0.05mL、さらに抗凝固剤無添加の自己血0.05mLを加え混合し、5分ごとにチューブを傾斜させ、凝固を観察し、測定した。
CD62Pは血小板内の分泌顆粒膜に内在する分子量140kdの糖蛋白質であり、血小板がひとたび活性化されると血小板の細胞膜表面に移行して発現するので、血小板活性化の指標とされている。CD62Pは、BD Biosciences社製抗体をもちいてフローサイトメトリー法で測定した。
【0057】
その結果、試料3および4より得られた多血小板血漿の凝固に要する時間は25〜50分であり、試料2より得られた多血小板血漿と比較して優れた凝固能を示した。また、試料2より得られた多血小板血漿のCD62P値は高値であり血小板活性の亢進が認められたが、試料3および4より得られた多血小板血漿のCD62P値は低値であった(表2)。
【表2】

【0058】
(実施例4)
本実施例は、各PMSBを添加したときの効果を調べることを目的とする。
【0059】
実施例3と同様に次の4種の試料を調製した。
試料1:コントロール
試料2:ポリグルタミン酸 3mgを0.15mLのACD溶液に溶かし、血液1.35mLと混合した。
試料3:PMSB25 3mgを0.15mLのACD溶液に溶かし、血液1.35mLと混合した。
試料4:PMSB45 3mgを0.15mLのACD溶液に溶かし、血液1.35mLと混合した。
【0060】
上記各試料を30分間静置した後、試料2〜4について赤血球の沈殿が認められ、上清に多血小板血漿を得ることができた。上記静置したときの上清中の白血球(WBC)、血小板数(PLT)および凝固時間を、実施例1および実施例3に記載の方法に従い測定した。
その結果、試料3および4より得られた多血小板血漿の凝固に要する時間は、10〜20分であり、試料2より得られた多血小板血漿と比較して優れた凝固能を示した(表3)。
【表3】

【0061】
(実施例5)
本実施例は、各種ポリマーを添加したときの効果を調べることを目的とする。
【0062】
次の5種の試料を調製した。ACDを水に3.13w/v%混入したACD溶液およびコントロール 試料1は実施例1と同様に調製した。試料3および4は式IVに記載するMPCのみを構成単位とするホモポリマー(分子量100000)を使用し、試料5は式VIに記載するMPCおよびBMAを8:2の割合で含むヘテロポリマー(PMB(8:2))(分子量100000)を使用した。各種ポリマーを水に5w/v%となるように溶解したものをポリマー溶液とした。
【0063】
試料1:コントロール
試料2:ポリグルタミン酸3mgを0.15mLのACD溶液に溶かし、血液1.35mLと混合した。
試料3:ポリマー溶液(PMPC) 0.06mLに3mgのポリグルタミン酸を添加し、0.09mLのACD溶液を加え、血液1.35mLと混合した。
試料4:ポリマー溶液(PMPC) 0.06mLに0.09mLのACD溶液を加え、血液1.35mLと混合した。
試料5:ポリマー溶液(PMB(8:2)) 0.06mLに0.09mLのACD溶液を加え、血液1.35mLと混合した。
【0064】
上記各試料を30分間静置したときの上清中の白血球(WBC)、血小板数(PLT)、凝固時間および血小板の活性化率(CD62P)を実施例1および実施例3と同様に測定した。
その結果、CD62Pは、ポリグルタミン酸を含む試料2および3より得た多血小板血漿では高い値を示したのに対し、試料4および5より得た多血小板血漿では低値を示すことが確認された。また、試料4および5より得られた多血小板血漿は10分以内で凝固したのに対し、ポリグルタミン酸を含む試料2および3より得た多血小板血漿は、試料4および5の場合と同量の塩化カルシウムを加えても凝固に要する時間が長かった。さらに、試料4および5より得られた多血小板血漿は、抗凝固剤無添加の血液を加えなくても塩化カルシウムの添加のみで10分以内で凝固した(表4)。
【表4】

【0065】
(実施例6)
本実施例は、本発明の方法により得られた多血小板血漿とPRPに含まれるフィブリノゲン量を測定することを目的とする。
【0066】
次の3種の試料を調製した。試料1および2は実施例1の方法に従い、30分静置した。試料3は、ACD3.8w/v%を混入した水溶液0.85mLに血液を加え、全体を8.5mLとしたものをPRPkit(クラサン株式会社)を用いて調製した。3600rpmで15分遠心後、さらに2400rpmで10分遠心し、上清を得た。
【0067】
試料1:コンロトール
試料2:PMB(8:2) 3mgをACD溶液0.15mLに溶かし、血液1.35mLと混合した。
試料3:従来法(遠心法)
【0068】
上記試料より得た上清について、フィブリノゲン量を測定した。測定は、ベーリンガーマンハイム製試薬を用いたトロンビン法により行った。
その結果、試料1および2において高いフィブリノゲン値が得られた。このことから、本発明の方法により得られた多血小板血漿は操作時に変性、損失などすることなく高いフィブリノゲン量を保有していることが確認された(表5)。
【表5】

【0069】
(実施例7)
本実施例は、式(V)に示すヘテロポリマーを添加したときの凝固時間を調べることを目的とする。
次の2種の試料を調製した。試料1は実施例1の方法に従い20分および30分静置し、上清を得た。試料2は、ACD3.8w/v%を混入した水溶液0.85mLに血液を加え、全体を8.5mLとしたものを15mLのコニカルチューブ(BDファルコンチューブ)に加え、1000rpmで10分遠心し、上清を得た。試料1における赤血球の沈殿状態については図1に示した。
【0070】
試料1:MPCとメタクリル酸コポリマー(3:7)3mgをACD溶液0.15mLに溶かし、血液1.35mLと混合した。
試料2:従来法(遠心法)
【0071】
上記試料より得た上清について凝固時間を測定した。凝固時間は、実施例3と同様に1.5mLのエッペンドルフチューブに各試料の上清を0.5mL、日本薬局方 塩化カルシウム注射液(CaCl2として、1.11g/20mL)を0.05mL、さらに抗凝固剤無添加の自己血0.05mLを加え混合し、混合5分後より1分ごとにチューブを傾斜させ、凝固を観察した。
その結果、試料1では8分で凝固が観察されたのに対し、従来法により得られた試料2では凝固に13分を要した。このことから、本発明の方法により得られた多血小板血漿は、優れた凝固能を有していることが確認された(表6)。
【表6】

【0072】
(実施例8)
本実施例は、PMBポリマーを添加したときの血小板回収率、フィブリノゲン量および血小板活性化率(CD62P)を調べることを目的とする。
次の2種の試料を調製した。試料1は実施例5の方法に従い30分静置し、上清を得た。試料2はACD3.8w/v%を混入した水溶液0.85mLに血液を加え、全体を8.5mLとしたものを15mLのコニカルチューブ(BDファルコンチューブ)に加え、2400rpmで10分遠心後、血小板を含む上清を採取し、さらに3600rpmで15分遠心後、上清を得た。
【0073】
試料1:ポリマー溶液(PMB(8:2)) 0.06mLに0.09mLのACD溶液を加え、血液1.35mLと混合した。
試料2:従来法(遠心法)
【0074】
上記試料より得た上清について、血小板回収率、フィブリノゲン量およびCD62Pを測定した。
血小板回収率は、次式に従い求めた。
{(上清量×上清中の血小板濃度)/(採血量×採血時の血小板濃度)}×100(%)
CD62Pは実施例3に記載の方法により測定した。
フィブリノゲン量は実施例6に記載の方法により測定した。
【0075】
各試料より得た上清の血小板回収率は図2に、フィブリノゲン量は図3に、および血小板活性化率(CD62P)は図4に示した。その結果、血小板回収率およびフィブリノゲン量は試料1より得た多血小板血漿は試料2(従来法)より得たものと同等であった。さらに、血小板活性化率は、試料1より得た多血小板血漿の方が低く抑えられており、試料2より得た上清に比べて優れた性状の多血小板血漿であることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0076】
以上説明したように、本発明の調製方法により得た多血小板血漿は、血小板回収率およびフィブリノゲン量については従来の遠心法により得られたPRPと遜色はなく、血小板の活性を非常に高く保持していた。これにより、優れた性状の多血小板血漿を簡便に提供することができる。特に、自己の血液成分を原料として本発明の方法により得られた多血小板血漿が、組織および/または器官修復促進剤、具体的には歯科インプラント周囲の骨造成の添加剤、骨欠損部への骨もしくは人工骨の移植の際の添加剤、創傷治癒促進剤、形成および/または美容を目的とした治療後もしくは処置後の組織治癒促進剤、皮膚疾患治療剤、皮膚潰瘍治療剤、神経組織修復剤および/または外科手術後の組織修復剤として医療の現場で活用されうる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液に有機リン酸化合物の残基を有するポリマーを添加することによる多血小板血漿の調製方法。
【請求項2】
血液に有機リン酸化合物の残基を有するポリマーを添加し、赤血球を選択的に沈降させる工程を含む多血小板血漿の調製方法。
【請求項3】
有機リン酸化合物の残基を有するポリマーとして、以下の式(I):
【化1】

(式中、R1、R2およびR3はそれぞれ独立に炭素数が1〜8の直鎖または分岐のアルキル基で、aは1〜12の整数である。)で示される基を側鎖に有する化合物を含む請求の範囲第1項または第2項に記載の多血小板血漿の調製方法。
【請求項4】
有機リン酸化合物の残基を有するポリマーとして、以下の式(II):
【化2】

(式中、Xは-Hまたは-CH3、R1、R2およびR3はそれぞれ独立に炭素数が1〜8の直鎖または分岐のアルキル基で、bは1〜4000の整数、cは1〜6の整数、dは1〜12の整数である。)で示される化合物を含む請求の範囲第3項に記載の多血小板血漿の調製方法。
【請求項5】
有機リン酸化合物の残基を有するポリマーとして、さらに以下の式(III):
【化3】

(式中、Yは-Hまたは-CH3、Zは-H,-OH,-COOH, -COONa, -COOK, -SO3H, -SO3Na, -SO3K, -NH2, -NHR1, -NR1R2, -N+R1R2R3OH-, -N+R1R2R3SO3- , -N+R1R2R3NO3-, -N+R1R2R3PO3-〔R1,R2,R3は各々-(CH2)xH、xは1〜5の整数〕,-O-PO3Na, -O-PO3K, -O-PO3H, -OR4H, -COOR4H, -C=O-R4H, 〔R4は脂肪族炭化水素、炭化水素の数0〜20〕または-O-R5〔R5は芳香族炭化水素基〕、eは1〜4000の整数、fは0〜20の整数)で示される化合物を含む請求の範囲第1項〜第4項のいずれか1に記載の多血小板血漿の調製方法。
【請求項6】
有機リン酸化合物の残基を有するポリマーとして、以下の式(IV):
【化4】


(式中、gは1〜4000の整数)で示される化合物を含む請求の範囲第4項または第5項に記載の多血小板血漿の調製方法。
【請求項7】
有機リン酸化合物の残基を有するポリマーとして、以下の式(V)〜式(VII)のいずれか:
【化5】

(式中、h,iはそれぞれ独立に1〜4000の整数)

【化6】

(式中、j,kはそれぞれ独立に1〜4000の整数)

【化7】

(式中、l,m,nはそれぞれ独立に1〜4000の整数)で示される化合物を含む請求の範囲第3項〜第6項のいずれか1に記載の多血小板血漿の調製方法。
【請求項8】
請求の範囲第1項〜第7項のいずれか1に記載する調製方法により得られた多血小板血漿。
【請求項9】
請求の範囲第8項に記載の多血小板血漿を含む組織および/または器官修復促進剤。
【請求項10】
請求の範囲第8項に記載の多血小板血漿を含む組織および/または器官修復促進剤、歯科インプラント周囲の骨造成の添加剤、骨欠損部への骨もしくは人工骨の移植の際の添加剤、創傷治癒促進剤、形成および/または美容を目的とした治療後もしくは処置後の組織治癒促進剤、皮膚疾患治療剤、皮膚潰瘍治療剤、神経組織修復剤および/または外科手術後の組織修復剤。
【請求項11】
請求の範囲第8項に記載の多血小板血漿を投与することによる以下に示すいずれかの治療方法または処置方法:
1)歯科インプラント周囲の骨造成
2)皮膚疾患
3)形成および/または美容のための組織修復
4)骨欠損部修復
5)神経組織修復
6)外科手術後の組織修復
【請求項12】
請求の範囲第8項に記載の多血小板血漿を調製するためのポリマー。
【請求項13】
請求の範囲第12項に記載のポリマーを含む多血小板血漿調製用試薬または試薬キット。
【請求項14】
請求の範囲第8項に記載の多血小板血漿を調製するための器具。

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図1】
image rotate


【国際公開番号】WO2005/072753
【国際公開日】平成17年8月11日(2005.8.11)
【発行日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−517521(P2005−517521)
【国際出願番号】PCT/JP2005/001231
【国際出願日】平成17年1月28日(2005.1.28)
【出願人】(502281493)
【Fターム(参考)】