説明

多重エマルジョンの合体による、流体を混合するためのシステム

多重エマルジョンの合体による、小体積の流体を混合するための、方法、装置、組成物、およびキットを含めたシステム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先出願の相互参照
本願は、すべての目的のために、その全体が参照により本明細書に組み込まれている、2009年9月2日に出願された米国仮特許出願第61/275,860号の、米国特許法第119条(e)を含めたすべての適用可能な国内法および国際法下での利益に基づき、この利益を主張する。
【0002】
追加資料の相互参照
本願は、以下の資料、すなわち、2006年5月9日に発行された、米国特許第7,041,481号、2010年7月8日に公開された、米国特許出願公開第US−2010−0173394−A1号、およびJoseph R. Lakowicz、PRINCIPLES OF FLUORESCENCE SPECTROSCOPY(2版 1999)を、すべての目的のために、その全体において参照により組み込む。
【背景技術】
【0003】
緒言
多くの生物医学的用途は、試薬と組み合わせた試料のハイスループットアッセイを利用する。例えば、研究用途および臨床用途において、標的特異的な試薬を使用するハイスループット遺伝子検査は、とりわけ、薬物発見、生物マーカー発見、および臨床診断のための試料についての高品質な情報をもたらすことができる。別の例として、感染症検出は、高信頼度の結果を生成するために、複数の遺伝学的標的について試料をスクリーニングするステップを必要とすることが多い。
【0004】
トレンドは、体積の低減、およびより多くの標的の検出に向かっている。しかし、より小さい体積を混合することは、より複雑な計測装置を必要とする場合があり、これは費用を増大させる。したがって、より高速、より低費用で、かつ/または機器の複雑性を低減して、試料および試薬のより多くの組合せの検査を可能にするために、技術の改善が必要である。
【0005】
エマルジョンは、ハイスループットアッセイに革命を起こすための相当な有望性を有する。乳化技法は、生化学的反応のための独立した反応チャンバーとして機能する、数十億の水滴を作り出すことができる。例えば、水性試料(例えば、200マイクロリットル)を、液滴(例えば、それぞれ50ピコリットルの400万の液滴)に区画化することによって、個々のサブコンポーネント(例えば、細胞、核酸、タンパク質)を、超ハイスループット様式で個別に操作、処理、および試験することを可能にすることができる。
【0006】
試料を液滴に分割することにより、多数の利点がもたらされる。小反応体積(ピコリットル〜ナノリットル)を利用することができ、反応速度を増大させ、より濃縮された生成物を形成することによって、より早い検出を可能にする。また、マイクロリットルスケールで実施される従来のバルク体積反応と比較した場合、はるかに多くの数の独立した測定(数千〜数百万)を試料に対して行うことができる。したがって、試料を、より正確に(すなわち、同じ検査のより多くの繰り返し)、かつより深く(すなわち、より多くの数の異なる検査)分析することができる。さらに、小反応体積では、より少ない試薬が使用され、それによって、消耗品の1検査当たりの費用が下がる。さらに、マイクロ流体技術は、液滴の生成、混合、インキュベーション、分割、分類、および検出のために使用されるプロセスに対して制御をもたらすことによって、繰り返し可能な液滴ベースの測定を実現することができる。
【0007】
水滴を油中に懸濁することによって、油中水型エマルジョン(W/O)を作り出すことができる。エマルジョンは、界面活性剤を用いて安定化させることによって、加熱、冷却、および輸送の間の液滴の合体を低減または防止することができ、それによって熱サイクリングを実施することを可能にする。したがって、エマルジョンは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用して、液滴中の核酸標的分子の単一コピー増幅を実施するのに使用されている。
【0008】
エマルジョンの液滴中の核酸標的の1つの分子を区分すると、より大きい試料体積の増幅において遭遇する問題が軽減される。特に、液滴は、各液滴中の試料の複雑性が低減されるので、複雑で不均一な核酸集団を含む試料からの、標的のより効率的で均一な増幅を促進することができる。バルク増幅においてバイアスに導く要因、例えば、増幅効率、G+C含量、およびアンプリコンアニーリングなどの強い影響は、液滴の区分によって最小限にすることができる。バイアスされない増幅は、存在が、複雑な臨床試料中の高濃度のバックグラウンド種によってマスクされる場合がある、病原体または癌細胞などの稀有な種の検出において極めて重要となる場合がある。
【0009】
その魅力にもかかわらず、エマルジョンベースアッセイは、数十、数百、数千、またはさらには数百万の個々の試料/試薬の組合せを必要とする場合のあるハイスループット検査に関して技術的課題を提示する。エマルジョンベースアッセイのための試料および試薬は一般に、エマルジョンを形成する前に、比較的大きい体積(例えば、マイクロリットル)でより容易かつ確実に混合することができるが、この手法は、相当な量の試料および試薬を消費する。対照的に、ピコリットルからナノリットルの体積の試料を試薬と制御して混合することにより、試料および試薬が温存される。しかし、エマルジョン中のこうした小体積の混合は、多くの異なる試料および/または試薬を用いたハイスループット、エマルジョンベースアッセイを実施するためにスケールアップすることが困難である複雑な計測装置を必要とする場合がある。例えば、試料液滴および試薬液滴のエマルジョンを別々に形成することができ、次いで試料および試薬の個々の液滴を、電気的合体(electro−coalescence)を使用して、近接させ、合併することができる。それにもかかわらず、この技法は一般に、一連の試料液滴および試薬液滴の正確なタイミング、能動的なフィードバックループ、および一様流を必要とし、それによって複雑性および費用を増大させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
選択された試料および試薬をオンデマンドで混合することなどの、サブマイクロリットルの体積の試料および試薬の混合を実現するための方法および装置の必要性が残っている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示は、多重エマルジョンの合体によって小体積の流体を混合するための、方法、装置、組成物、およびキットを含めたシステムを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本開示の態様による、複合液滴(compound droplet)内の小体積の試料および試薬の混合を実現するための、多重エマルジョンの複合液滴内の内側液滴および外側液滴の例示的な合体を例示する図である。
【図2】本開示の態様による、(a)多重エマルジョンを形成および合体させ、(b)多重エマルジョンの合体によって生成されるアッセイ混合物を分析するための例示的なシステムの概略図である。
【図3】本開示の態様による、多重エマルジョンを使用して1つまたは複数の試料を検査する例示的な方法の流れ図である。
【図4】本開示の態様による、改変されて多重エマルジョンを作り出すことができる前駆体エマルジョンを形成するための例示的デバイスの概略図である。
【図5】本開示の態様による、異なる型の前駆体エマルジョンを混合することによって形成される例示的な組成物の概略図である。
【図6】本開示の態様による、多重エマルジョンを作り出し、合体させるための例示的なデバイスの概略図であり、このデバイスは、(a)前駆体エマルジョンのコード化された混合物を多重エマルジョンに変換し、(b)多重エマルジョン内で複合液滴の内側液滴および外側液滴を融合する。
【図7】本開示の態様による、多重エマルジョンを作り出し、合体させるための別の例示的なデバイスの概略図であり、(a)個々の前駆体エマルジョンを、空間的および時間的に分離された多重エマルジョンに連続的に変換し、(b)各多重エマルジョン内で複合液滴の内側液滴および外側液滴を融合するプロセスにおけるデバイスである。
【図8】本開示の態様による、内側液滴の融合によって、複合液滴内で小体積の試料および試薬、すなわち、少なくとも1つの試料液滴および少なくとも1つの試薬液滴の混合を実現するための別の多重エマルジョンの例示的な合体を例示する図である。
【図9】本開示の態様による、改変されて図8の多重エマルジョンを作り出すことができる、試薬液滴(例えば、プライマー液滴)の前駆体エマルジョンを形成するための例示的なデバイスの概略図である。
【図10】本開示の態様による、多重エマルジョン中で図8の試薬液滴と合わせることができる、試料液滴の前駆体エマルジョンを形成するための例示的なデバイスの概略図である。
【図11】本開示の態様による、試薬液滴のライブラリーおよび試料液滴のライブラリーを形成するための例示的なシステムの概略図であり、各ライブラリーのメンバーは、動的にアクセスすることができるアレイ中に配置されている。
【図12】本開示の態様による、多重エマルジョンを作り出し、合体させるためのさらに別の例示的なデバイスの概略図であり、(a)試料エマルジョンおよびプライマーエマルジョンの混合物を多重エマルジョンに変換し、(b)多重エマルジョンの個々の複合液滴内で試料およびプライマーの液滴を融合するプロセスにおけるデバイスである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示は、多重エマルジョンの合体によって小体積の流体を混合するための、方法、装置、組成物、およびキットを含めたシステムを提供する。多重エマルジョンは、小体積の流体の制御された混合をもたらすために、加熱などによって誘導的に合体するように構成することができる。
【0014】
多重エマルジョンは、複合エマルジョン(compound emulsion)および/または液滴内の液滴とも呼ばれ、一般に、連続相を形成する不混和性担体流体(例えば、油または水)中に分散した複合液滴を含む。各複合液滴は、少なくとも1つの試料液滴(すなわち、少なくとも1つの試料含有液滴)、および少なくとも1つの試薬液滴(すなわち、少なくとも1つの試薬含有液滴)を含むことができる。複合液滴の少なくとも1つの試料液滴および少なくとも1つの試薬液滴は、内側液滴とすることができ、または外側液滴内に配置された少なくとも1つの内側液滴とすることができる(もしくは逆の場合も同様に)。いずれにしても、試料液滴および試薬液滴は、互いに混和性であってもよい(例えば、ともに水性である)が、不混和性流体(例えば、油)の少なくとも1つの層によって互いに分離されていてもよく、これは、連続相と同じ組成または別個の組成を有することができる。不混和性流体の層は、バリア液滴によってもたらすことができる。バリア液滴は、試料液滴および試薬液滴の両方を被包する外側液滴(試料液滴および試薬液滴の両方が内側液滴である場合)、または試料液滴もしくは試薬液滴を被包するが、両方を被包しない中間の液滴(試料液滴および試薬液滴が内側液滴および外側液滴である場合(もしくは逆の場合も同様に))とすることができる。いずれにしても、不混和性流体は、混合が望まれるまでなど、各複合液滴の試料液滴および試薬液滴を互いに隔てた状態に保つバリアとしての機能を果たすことができる。いくつかの実施形態では、多重エマルジョンは、各相において支配的な流体に従って記述される場合、油中水型中油中水型(W/OW/O)エマルジョンまたは水中油中水型(W/O/W)とすることができる。
【0015】
複合液滴の試料液滴および試薬液滴は、共同で、試料の一区画(a partition)上で対象とする検査を実施するためのアッセイ混合物を提供することができる。例えば、試料液滴は、検査される試料の一区画を含むことができ、試薬液滴(または複合液滴内の2つ以上のタイプの試薬液滴)は、検査のための少なくとも1つの試薬を含むことができる。合体の前に、試料液滴および試薬液滴は、バリア液滴によって互いに隔てることができる。いくつかの実施形態では、試料液滴および試薬液滴は、共同で、一区画の試料およびその試料区画上で特定の検査を実施するのに必要な化学成分のすべてを含む、完全なアッセイ組成物を提供することができる。
【0016】
個々の複合液滴の試料液滴および試薬液滴を融合する(合体させる)ことによって、試料試薬および試薬液滴の内容物の混合を生じさせることができる。混合により例えば、とりわけ、反応を開始し、反応を停止し、かつ/または反応を起こさせることができる。融合は、自発的に起こる場合があり、かつ/または誘導されて所望の時間に混合を開始することができる。融合が誘導性である場合、融合は、多重エマルジョンの温度の変更(例えば、上昇)などの任意の適当な処理によって、制御可能に、かつ/または選択的に誘導することができる。より低い温度または温度範囲(例えば、約0℃〜40℃)などの第1の温度または第1の温度範囲で、試料液滴および試薬液滴は、互いに隔たったままであることができる。また、上昇した(より高い)温度または範囲(例えば、約40℃超)などの第2の温度または第2の温度範囲で、複合液滴内の試料液滴および試薬液滴の融合を誘導することができる。したがって、融合は、多重エマルジョンを加熱(または冷却)することによって誘導することができる。
【0017】
本明細書に開示される多重エマルジョンは、任意の他の適当な特徴を有することができる。多重エマルジョン内の液滴(とりわけ、例えば、内側液滴、外側液滴、中間の液滴、および/またはバリア液滴)の各サイズは、例えば、液滴のそのサイズについての平均直径の約20%、10%、または5%未満である、直径の標準偏差を伴った均一なサイズにすることができる。代わりに、またはさらに、本明細書に開示される複合液滴のいずれも、既定のコードを用いて標識することができる。コード標識化は、別個のタイプを識別するための対応する区別可能なコードを使用することによって、別個のタイプの複合液滴および/または融合液滴の混合物の分析を可能にすることができる。別個のタイプの複合液滴/融合液滴は、別個の試料、別個の試薬、または両方を含むことができ、各別個の試料および/または試薬は、その付随した区別可能なコードを通じて識別可能である。したがって、多重エマルジョンは、同じ試薬を用いた複数の試料のアッセイ(すなわち、異なる試料に対して同じ検査を実施すること)、複数の異なる試薬を用いた試料のアッセイ(すなわち、同じ試料に対して異なる検査を実施すること)、または複数の試薬を用いた複数の試料のアッセイ(すなわち、複数の試料のそれぞれに対して複数の検査を実施すること)を可能にすることができる。
【0018】
多重エマルジョンは、少なくとも1つの界面活性剤、または2つ以上の異なる界面活性剤を含むことができ、これは、多重エマルジョンを安定化することができる。各界面活性剤の濃度は、調製および貯蔵のために多重エマルジョンを安定化する一方で、高温などで合体が誘導される際に、多重エマルジョンの特定のタイプの液滴の不安定化を可能にするように選択することができる。いくつかの例では、親水性界面活性剤は、少なくとも1つの水相中に存在することができ、疎水性界面活性剤は、多重エマルジョンの少なくとも1つの不混和性相(例えば、油相)中、多重エマルジョンの任意のこれらの相を形成するのに使用される、対応する流体ストリーム中、および/または多重エマルジョンから生成される融合エマルジョンの対応する相中に存在することができる。
【0019】
本開示は、試料を検査するための方法も提供する。多重エマルジョンを得ることができる。多重エマルジョンは、1つまたは複数の試料を含み、不混和性連続相中に配置された複数の複合液滴を含むことができる。各複合液滴は、不混和性流体の層によって分離された、内側液滴および外側液滴を含むことができる。個々の複合液滴の内側液滴および外側液滴は、融合されることによって、試料の区画を試薬と混合する融合液滴を形成することができる。試料は内側液滴によって、試薬は外側液滴によって供給される場合があり、逆の場合もある。融合は、任意選択により、複合液滴の温度を上昇させることなどによる誘導を用いて行うことができる。シグナルは、融合液滴から検出することができ、シグナルは、融合液滴中の試薬を用いて試料の区画に対して実施された検査の結果を表す。
【0020】
本明細書に開示されるシステムは、小体積の流体を混合するための他の手法に対して相当な利点を提供することができる。これらの利点として、以下の任意の組合せを挙げることができる。(1)小体積の反応物をオンデマンドで試料と混合する能力、(2)小体積反応器(例えば、フェムトリットル、ピコリットル、またはナノリットル)中での多数の試薬の試料との混合、小体積反応器中での多数の試料の試薬との混合、および/または低費用計測装置で再現可能なプロセスを使用した、小体積中での試薬の試料との混合を実現するためのスケーラブルな方法および装置、(3)アッセイ費用を低減するために最小量の試薬を使用するハイスループット流体混合、(4)同じ機器で、1または最大数千もしくはそれ以上の標的の存在について試料をスクリーニングする能力、(5)小体積の混合を開始することができ、精密な計測装置を使用した液滴ストリームの複雑なタイミングを必要としない起動ステップ、(6)中央集中施設でより複雑な混合ステップを実施し、エンドユーザーの機器の複雑性をより少なくさせ、それによって、検査をより実施しやすくする能力、(7)1検査当たりの消耗品の数を低減するハイスループットアッセイプラットフォーム、および/または(8)流体の複雑性が最小限にされ(流体の接続、バルブなどの数を低減することなどによって)、単純化された機器構造を伴った、多くの検査試薬および試料の適応。
【0021】
本開示のさらなる態様は、以下の節で提示される。
(I)定義、(II)多重エマルジョンの合体、(III)システムの概要、(IV)前駆体エマルジョンの形成および混合、(V)混合エマルジョンの形成および合体、(VI)内側液滴の互いの融合をもたらす多重エマルジョン、および(VII)選択された実施形態。
【0022】
I.定義
本開示において使用される技術用語は、当業者によって一般に認識される意味を有する。しかし、以下の用語は、以下に記載されるように、さらなる意味を有する。
【0023】
エマルジョン − 不混和性液体中に配置された液滴を含む組成物。液滴は、少なくとも1つの分散相によって形成され、不混和性液体は、連続相を形成する。連続相はまた、または代わりに、担体および/または担体相と呼ぶことができる。分散相(または多重エマルジョンの分散相の少なくとも1つ)は、連続相と不混和性であり、これは、分散相(すなわち、液滴)および連続相(すなわち、不混和性液体)は、混合して均一にならないことを意味する。液滴は、連続相中で任意の均一な分布または不均一な分布を有することができる。液滴は、連続相によって互いに隔てられ、連続相によって被包される(すなわち、囲まれる/囲繞される)。エマルジョンは、単分散、すなわち、均一なサイズの液滴からなっていてもよく、または多分散、すなわち、様々なサイズの液滴からなっていてもよい。単分散である場合、エマルジョンの液滴は、平均液滴体積(または直径)の約50%、20%、10%、または5%未満である体積(または直径)の標準偏差だけサイズが変化する場合がある。
【0024】
エマルジョンは、任意の適当な組成物を有することができる。エマルジョンは、支配的な液体化合物、または各相中の液体化合物のタイプを特徴とすることができる。エマルジョン中の支配的な液体化合物は、水および油とすることができる。例えば、エマルジョンは、油中水型(W/O)エマルジョン(すなわち、連続油相中の分散した水相)、水中油型(O/W)エマルジョン、油中水中油型(O/W/O)エマルジョン、油中水型中油中水型(W/O/W/O)エマルジョンなどであってもよい。任意の他の適当な成分、例えば、少なくとも1つの界面活性剤、試薬、試料、他の添加剤、標識、またはこれらの任意の組合せなどが、任意のエマルジョン相中に存在してもよい。
【0025】
「油」は、水と不混和性である任意の液体(または液化可能な)化合物または液体化合物の混合物とすることができる。油は、合成であっても、天然に存在してもよい。油は、炭素および/またはケイ素を含んでいても、含んでいなくてもよく、水素および/またはフッ素を含んでいても、含んでいなくてもよい。油は、親油性であっても、疎油性であってもよい。言い換えれば、油は一般に、有機溶媒と混和性であっても、不混和性であってもよい。例示的な油として、とりわけ、少なくとも1つのシリコーン油、鉱油、フルオロカーボン油、植物油、またはこれらの組合せを挙げることができる。
【0026】
区画 − バルク体積の分離された部分。区画は、バルク体積中に含まれる試料(または試薬)から生成される試料区画(または試薬区画)とすることができる。バルク体積から生成される区画は、サイズが実質的に均一であってもよく、または異なるサイズを有していてもよい(例えば、2つ以上の別個の均一なサイズの区画のセット)。区画は、液体区画とすることができ、これは、液体周囲を有する区画であり、かつ/または少なくとも主に、体積的に液相である。例示的な液体区画は、液滴またはスラグである。
【0027】
液滴 − エマルジョンの連続相などの不混和性の第2の液体によって(かつ/またはより大きい液滴によって)被包されている小体積の第1の液体。エマルジョン中の液滴の体積および/または液滴の平均体積は、例えば、とりわけ、約1マイクロリットル未満(もしくは約1マイクロリットル〜1ナノリットルの間、もしくは約1マイクロリットル〜1ピコリットルの間)、約1ナノリットル未満(もしくは約1ナノリットル〜1ピコリットルの間)、または約1ピコリットル未満(もしくは約1ピコリットル〜1フェムトリットルの間)とすることができる。液滴(またはエマルジョンの液滴)は、とりわけ、約1000、100、もしくは10マイクロメートル未満、または約1000〜10マイクロメートルの直径(または平均直径)を有することができる。液滴は、球状であっても非球状であってもよい。液滴は、単純な液滴であっても、複合液滴であってもよい。
【0028】
複合液滴 − 少なくとも1つの液滴が、少なくとも1つの他の液滴を被包する液滴。複合液滴は、少なくとも2種の不混和性液体を含み、液体の一方は、複合液滴中で他方の液体を被包することによって、液滴内に少なくとも1つの液滴を形成する。別の液滴によって被包される液滴は、内側液滴として記述することができ、これは、複合液滴の最内側の液滴であっても、最内側の液滴でなくてもよい。別の液滴を被包する液滴は、外側液滴として記述することができ、これは、複合液滴の最外側の液滴であっても、最外側の液滴でなくてもよい。複合液滴と対照的に、単純な液滴は、別の液滴によって被包されない。
【0029】
多重エマルジョン − 複合液滴を含むエマルジョン。多重エマルジョンは、その構成する複合液滴の被包のレベルによって特徴づけることができ、より高次のエマルジョンは、より低次のエマルジョンより多くのレベルの被包を有する。例えば、二重エマルジョンは、液滴内の液滴として構築された複合液滴を含み、三重エマルジョンは、液滴内の液滴内の液滴として構築される複合液滴を含むなどである。対照的に、単一エマルジョンは、連続相中に単純な液滴を含む。
【0030】
前駆体エマルジョン − さらなる被包のための先行する液滴を提供するエマルジョン。前駆体エマルジョンは、単一エマルジョンであってもよく、これは、さらなる被包によって処理されて多重エマルジョンを形成することができ、または、より低次の多重エマルジョンであってもよく、これは、さらなる被包によって処理されてより高次の多重エマルジョンを形成することができる。
【0031】
界面活性剤 − これが溶解している液体の表面張力を低減することができる界面活性物質。界面活性剤はまた、または代わりに、洗浄剤および/または湿潤剤として記述することができ、親水性部分および疎水性部分の両方を組み込むことができ、これらは、共同で、界面活性剤に二重の親水性−疎水性の特性を付与することができる。界面活性剤は、いくつかの場合では、その疎水性と比べたその親水性によって特徴づけることができる。親水性界面活性剤は、油より水に対して大きな親和性を有することができ、一方、疎水性界面活性剤は、水より油に対して大きな親和性を有することができる。本明細書に開示されるエマルジョンおよび/またはその任意の相は、少なくとも1つの親水性界面活性剤、少なくとも1つの疎水性界面活性剤、またはこれらの組合せを含むことができる。代わりに、またはさらに、本明細書に開示されるエマルジョンおよび/またはその任意の相は、少なくとも1つの非イオン性(および/またはイオン性)洗浄剤を含むことができる。さらに、本明細書に開示されるエマルジョンおよび/またはその任意の相は、とりわけ、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、またはTween 20を含む界面活性剤を含むことができる。
【0032】
検査 − 何かを特徴づけるのに使用される手順および/または反応、ならびにこの手順および/または反応から得られる任意のシグナル、値、データ、および/または結果。検査はまた、アッセイとして記述することができる。検査は、少なくとも1つの「検査混合物」または「アッセイ混合物」を使用して実施することができ、これは、組成物であって、もしあれば、反応を起こさせるために組成物を処理する前、間、および/または後に1つまたは複数の検査シグナルが検出される組成物である。検査またはアッセイは、とりわけ、試料中の1つまたは複数の分析物の存在(例えば、濃度)または活性を判定することができる。
【0033】
反応 − 化学反応、結合相互作用、表現型の変化、またはこれらの組合せ。例示的な反応は、基質の生成物への酵素触媒変換および/または基質もしくは生成物の結合パートナーへの結合である。
【0034】
試料 − 任意の適当な供給源からの対象とする化合物、組成物、および/または混合物。試料は、試料中に存在し得る少なくとも1つの分析物に関連する側面などの試料の側面を分析する検査のための、対象とする一般的な被検体である。試料は、収集されたままのその天然の状態、および/または例えば、とりわけ、貯蔵、保存、抽出、溶解、希釈、濃縮、精製、濾過、1つまたは複数の試薬との混合、区画化、さらなる処理、またはこれらの任意の組合せの後の変更された状態で分析することができる。臨床試料として、とりわけ、血液、唾液、尿、糞便、痰、粘液、乳、流体吸引液、および/または組織を挙げることができる。環境試料として、とりわけ、水、土壌、および/または空気を挙げることができる。研究試料として、培養細胞、初代細胞、ウイルス、小生物などを挙げることができる。さらなる試料として、食糧、武器コンポーネント、疑わしい混入物などを挙げることができる。
【0035】
分析物 − 検査において分析される試料の成分または潜在的な成分。分析物は、試料が対象とする一般的な被検体である検査における、対象とする具体的な被検体である。分析物は、例えば、とりわけ、核酸、タンパク質、酵素、細胞、ウイルス、小器官、巨大分子集合体、薬物候補(および/または潜在的な薬物)、脂質、炭水化物、無機物質、またはこれらの任意の組合せとすることができる。分析物は、試料中のその存在、活性、および/または他の特性について検査することができる。分析物の存在は、試料中の分析物の、またはその1つもしくは複数の区画中の、絶対数もしくは相対数、濃度、二元的評価(例えば、存在もしくは非存在)に関連付けることができる。
【0036】
試薬 − 試料に対する特定の検査を実施するために試料と組み合わされる化合物、化合物のセット、および/または組成物。試薬は、標的特異的試薬とすることができ、これは、検査における特定の標的または分析物の検出に特異性を付与する任意の試薬組成物である。試薬は、任意選択により、検査のための化学反応物および/または結合パートナーを含むことができる。試薬として、例えば、とりわけ、少なくとも1つの核酸、タンパク質(例えば、酵素)、細胞、ウイルス、小器官、巨大分子集合体、潜在的な薬物、脂質、炭水化物、無機物質、またはこれらの任意の組合せを挙げることができる。例示的な実施形態では、試薬は、増幅試薬、例えば、標的を増幅するための少なくとも1つのプライマーもしくは一対のプライマー、および/または増幅シグナルをもたらすための少なくとも1つのプローブなどとすることができる。
【0037】
核酸 − ヌクレオチドモノマーの鎖を含む化合物。核酸は、とりわけ、一本鎖または二本鎖(すなわち、別の核酸と塩基対形成した)とすることができる。核酸の鎖は、とりわけ、少なくとも約10または100などの、任意の適当な数のモノマーから構成することができる。一般に、核酸鎖の長さは、その供給源に対応し、合成核酸(例えば、プライマーおよびプローブなどの核酸試薬)は、一般により短く、生物学的に産生される核酸(例えば、核酸分析物)は、一般により長い。
【0038】
核酸は、天然もしくは人工構造、またはこれらの組合せを有することができる。天然構造を有する核酸、すなわち、デオキシリボ核酸(DNA)およびリボ核酸(RNA)は、交互に並ぶペントース糖基およびリン酸基の主鎖を有する。各ペントース基は、核酸塩基(例えば、プリン(アデニン(A)もしくはグアニン(T)など)、またはピリミジン(シトシン(C)、チミン(T)、もしくはウラシル(U)など))に連結される。人工構造を有する核酸は、天然核酸の類似体であり、例えば、天然の主鎖のペントースおよび/またはリン酸基への変更によって作り出すことができる。例示的な人工核酸には、グリコール核酸(GNA)、ペプチド核酸(PNA)、ロックされた核酸(LNA)、トレオース核酸(TNA)などが含まれる。
【0039】
核酸の配列は、核酸塩基が主鎖に沿って配置される順序によって定義される。この配列は一般に、核酸の、水素結合によってパートナー鎖に特異的に結合する(または分子内二本鎖を形成する)能力を決定する。特に、チミン(またはウラシル)とのアデニン対およびシトシンとのグアニン対。他の核酸とのアデニン−チミンおよびグアニン−シトシン塩基対の連続したストリングを形成することによって逆平行様式で別の核酸に結合することができる核酸は、「相補的」と呼ばれる。
【0040】
複製 − 核酸またはそのセグメントの相補的コピーを形成するプロセス。複製される核酸および/またはセグメントは、複製のための鋳型(および/または標的)である。
【0041】
増幅 − コピー数が増加するプロセス。増幅は、複製が経時的に繰り返して起こることによって、鋳型の多数のコピーを形成するプロセスである場合がある。増幅は、増幅が進行する際に、コピーの数の指数関数増加または線形増加を生じさせることができる。例示的な増幅ストラテジーには、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、ループ媒介性等温増幅(LAMP)、ローリングサークル複製(RCA)、カスケード−RCA、核酸配列ベース増幅(NASBA)などが含まれる。また、増幅は、線形または円形の鋳型を利用することができる。増幅は、熱サイクリングまたは等温的などの任意の適当な温度条件下で実施することができる。さらに、増幅は、増幅混合物中で実施し、またはその発生について検査することができ、増幅混合物は、もしあれば、混合物中の核酸標的を増幅することができる任意の組成物である。増幅混合物は、とりわけ、少なくとも1つのプライマー、少なくとも1つのプローブ、少なくとも1つの複製酵素(例えば、少なくとも1つのポリメラーゼ、例えば、少なくとも1つのDNAおよび/もしくはRNAポリメラーゼなど)、デオキシヌクレオチド(および/もしくはヌクレオチド)トリホスフェート(dNTPおよび/もしくはNTP)の任意の組合せ、またはこれらの任意の組合せを含むことができる。
【0042】
PCR − 複製の連続的なラウンドを実現するために、加熱および冷却のサイクルの繰り返し(すなわち、熱サイクリング)を利用する増幅。PCRは、とりわけ、より高い変性温度とより低いアニーリング/伸長温度などの2つ以上の温度設定値の間、より高い変性温度、より低いアニーリング温度と、中間の伸長温度などの3つ以上の温度設定値の中での熱サイクリングによって実施することができる。PCRは、Taq DNAポリメラーゼなどの熱安定性ポリメラーゼを用いて実施することができる。PCRは一般に、連続的なサイクルにわたって、生成物アンプリコンの量の指数関数増加を生じさせる。
【0043】
RT−PCR(逆転写−PCR)−RNAの逆転写によって生成される相補的DNA鋳型を利用するPCR。RT−PCRは、(1)逆転写酵素などを用いたRNAの相補的DNAコピーの形成、および(2)鋳型として相補的DNAを使用するPCR増幅によって、RNA試料の分析を可能にする。
【0044】
リアルタイムPCR − アンプリコン形成が各熱サイクルの完了後などの反応の間に測定されるPCRベース分析。リアルタイムPCRは一般に、標的増幅のカイネティクスに基づいた標的の定量化をもたらす。
【0045】
エンドポイントPCR − アンプリコン形成が熱サイクリングの完了後に測定されるPCRベース分析。エンドポイントPCRは一般に、核酸標的が増幅混合物中に存在するかどうか(検出可能なレベルで)の定性的(あり/なし)判定をもたらす。
【0046】
アンプリコン − 増幅反応の生成物。アンプリコンは、一本鎖もしくは二本鎖、またはこれらの組合せであってもよい。アンプリコンは、核酸標的の任意の適当なセグメントまたは全長に対応する。
【0047】
プライマー − 核酸鋳型の複製を開始することができ、かつ/またはこの複製を開始するために使用される核酸。したがって、プライマーは、より長い鋳型と相補的である、より短い核酸である。複製の間に、プライマーは、鋳型配列に基づいて伸長されることによって、鋳型の相補的コピーである、より長い核酸を生じさせる。プライマーは、DNA、RNA、またはその類似体(すなわち、人工核酸)であってもよく、任意の適当な長さ、例えば、少なくとも約10、15、または20ヌクレオチドなどを有することができる。例示的なプライマーは、化学的に合成される。プライマーは、核酸標的を増幅するための一対のプライマーとして供給される場合がある。プライマーの対は、センスプライマーおよびアンチセンスプライマーとすることができ、これらは、得られるアンプリコンの対向する末端(およびしたがってサイズ)を共同で画定する。
【0048】
プローブ − 標識に接続される核酸。プローブは、核酸標的および/またはアンプリコンについての配列特異的結合パートナーとすることができる。例示的なプローブは、互いに近接した際に蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)を共同で示す一対の色素に接続された1つまたは複数の核酸を含む。色素の対はそれぞれ、第1および第2のエミッター、またはエミッター(レポーター)およびクエンチャーをもたらすことができる。色素の対からの蛍光発光は、プライマー伸長の間のプローブ(例えば、Taqmanプローブ)の切断などによって互いに分離される場合、またはプローブ(例えば、分子指標プローブ)がアンプリコンに結合する場合、変化する。
【0049】
標識 − 任意の実体、例えば、分子、分子複合体、化合物、生物学的粒子、または液滴などに接続され、または組み込まれた識別および/または区別用マーカーまたはアイデンティファイヤー。標識は、標識された実体を生成するために特定の実体を標識することとして記述することができる。標識は、例えば、実体を光学的に検出可能にし、または少なくともより光学的に検出可能にする色素であってもよい。標識化に使用される例示的な色素は、蛍光色素(フルオロフォア)および蛍光クエンチャーである。
【0050】
コード − 液滴タイプの混合物中で、一方のタイプの液滴(例えば、第1の試料および/または試薬を含む)を、1つまたは複数の他方のタイプの液滴(例えば、第2の試料および/または試薬を含む)と区別するための機構。コードはまた、または代わりに、バーコードまたはアイデンティファイヤーとして記述することができる。異なるタイプの液滴を区別するための例示的なコードとしてとりわけ、異なる液滴サイズ、色素、色素の組合せ、1つまたは複数の色素の量、封入されたコード粒子、またはこれらの任意の組合せを挙げることができる。
【0051】
結合パートナー − 互いに結合するメンバーの対のメンバー。各メンバーは、とりわけ、原子、分子、分子複合体、化合物、および/または生物学的粒子(細胞、ウイルス、小器官など)とすることができる。結合パートナーは、互いに特異的に結合することができる。特異的な結合は、約10−4、10−6、10−8、または10−10M未満の解離定数を特徴とすることができる。例示的な特異的結合パートナーとして、ビオチンおよびアビジン/ストレプトアビジン、センス核酸および相補的なアンチセンス核酸、プライマーおよびその標的、抗体および対応する抗原、受容体およびそのリガンド、核酸および核酸中に存在する配列モチーフを認識するタンパク質などが挙げられる。
【0052】
チャネル − 流体の移動のための細長い通路。チャネルは一般に、流体がチャネルに入る少なくとも1つの入口、および流体がチャネルから出る少なくとも1つの出口を含む。入口および出口の機能は互換性となり得、すなわち、流体は、一般に様々な時間で、一方向のみに、または反対方向にチャネルを通じて流れることができる。チャネルは、入口と出口の間の通路を画定し、囲む壁を含むことができる。チャネルは、とりわけ、管(すなわち、中空の、少なくとも一般に円柱状の構造)によって、および/または平面構造(例えば、チップ)の中もしくは上に形成することができる。チャネルは、分岐していても、分岐していなくてもよい。チャネルは、線形であっても、非線形であってもよい。例示的な非線形チャネルには、平面の流路または非平面の流路(例えば、らせん状の流路)に沿って延在するチャネルが含まれる。チャネルは、マイクロ流体チャネルとすることができ、これは、約1ミリメートル未満の特徴的な左右面(例えば、チャネルの平均直径)を有するチャネルである。
【0053】
II.多重エマルジョンの合体
図1は、試料2712および試薬2714を含む小体積の流体などの、小体積の流体の混合を実現するための例示的な多重エマルジョン2710を合体させるプロセスを示す。
【0054】
多重エマルジョン2710は、連続的な担体相2718、すなわち、油2720などの不混和性流体または液体中に配置される複数の複合液滴2716を含むことができる(提示を単純にするために、ここでは、多重エマルジョンのただ1つの複合液滴2716が示されている)。各複合液滴2716は、1つまたは複数の試薬を含む少なくとも1つの試薬液滴、および一区画の試料を含む少なくとも1つの試料液滴を含むことができる。例えば、ここでは、内側液滴2722は、試薬2714を含む試薬液滴であり、外側液滴2724は、内側液滴を囲む試料液滴、および不混和性のバリア液滴2726である。不混和性液滴2726は、内側液滴および外側液滴を分離し、これらを混合から防止する不混和性流体2728(例えば、油2730)の層を作り出す介在性の液滴として記述することができる。
【0055】
融合液滴2736の融合エマルジョン2734を形成するために、2732で示したように、多重エマルジョン2710の合体(融合とも呼ばれる)が起こる場合があり、かつ/または誘導する(加熱などによって)ことができる。各融合液滴2736において、試料2712および試薬2714などの内側液滴および外側液滴の内容物を混合するために、内側液滴および外側液滴が複合液滴2716内で合併しており、これによりアッセイ混合物2738を作り出すことができる。また、不混和性液滴2726は、融合液滴2736によって囲まれていてもよい。
【0056】
多重エマルジョン中の他の複合液滴2716は、融合の代わりに、2740で示したように、分割して分裂する場合がある。特に、複合液滴の不混和性液滴2726は、連続相2718と融合することによって、複合液滴から内側液滴2722を排出する場合がある。結果として、液滴2722、2724は、連続相によって別々に被包される場合があり、その結果、液滴2722も2724も他方を被包せず(すなわち、それぞれは、他方の外側である)、液滴の試料および試薬は混合しない。融合2732または分裂2740の相対的な量は、とりわけ、相対的な液滴のサイズ、合体を誘導するのに使用される条件、ならびに/または分散相および/もしくは連続相の組成を変更することによって調整することができる。
【0057】
各液滴および/または相は、任意の適当な流体組成物を有することができる。内側液滴2722および外側液滴2724は一般に、少なくとも支配的な溶媒として水を含む水性組成物などの、互いに混和性である組成物を有する。対照的に、連続相2718および不混和性流体2728は一般に、内側液滴および外側液滴2722、2724の両方と不混和性である。連続相2718および不混和性流体2728は、互いに混和性であってもよく、同じまたは別個の組成物を有することができる。例えば、連続相2718および不混和性流体2728はともに、同じ油または油の混合物などの、同じ液体化学化合物または液体化学化合物の混合物から主に、またはもっぱら構成することができる。例示的な実施形態では、連続相および/または不混和性流体は、少なくとも主に、デカメチルシクロペンタシロキサンなどのシリコーン油である。
【0058】
エマルジョンは、少なくとも1つの疎水性界面活性剤および/または少なくとも1つの親水性界面活性剤を含むことができる。例えば、連続相2718および/もしくは不混和性流体2728は、少なくとも1つの疎水性界面活性剤を含むことができ、内側液滴2722および/もしくは外側液滴2724は、少なくとも1つの親水性界面活性剤を含むことができ、またはこれらの任意の組合せである。いくつかの実施形態では、連続相および/または不混和性流体は、連続相および/または不混和性流体中に、約0.1〜10%、約1〜5%、または約1%w/wの疎水性界面活性剤(例えば、Dow CorningからのDC 5225C Formulation Aid 2.0によって提供される)を含むことができる。いくつかの実施形態では、内側液滴および/または外側液滴を形成するのに使用される水相は、約0.001〜5%または約1%w/wの、Tween 20(ポリエチレングリコールソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート; HLB 16)などの親水性界面活性剤を含むことができる。
【0059】
合体に対する単純エマルジョンおよび多重エマルジョンの安定性は、界面活性剤のタイプおよび濃度、溶媒、温度、イオン強度、水/油界面で界面活性剤と競合し得る他の種、電荷などの合わされた性質の関数である。したがって、これらの性質のそれぞれ、またはこれらの組合せは、合体を促進または阻害するために選択および/または変更することができる。
【0060】
試料2712および試薬2714を含む複合液滴2716は、コード2746を用いて標識することができる。コードは、複合液滴、および複合液滴から形成される融合液滴2736を、他の試料/試薬を含む他のタイプの複合液滴と混合され、区別されるのを可能にすることができる。コードは、内側液滴2722、外側液滴2724、バリア液滴2726、またはこれらの組合せの中に存在し得る。コードは、液滴中に散在性に位置していても、液滴の一部のみを占める粒子2748によって(または2つ以上の粒子によって個々に、もしくは共同で)担持されていてもよい。コードは、光学的に検出可能とすることができ、コードが識別されるのを可能にする固有の光学的特性などの既定の光学的特性を有することができる。例示的なコードは、蛍光性(例えば、蛍光ビーズ、量子ドット)、反射性(例えば、微細加工されたナノバーコード)などである粒子によって担持され得る。
【0061】
III.システムの概要
図2は、多重エマルジョン2710を形成および合体し、多重エマルジョンの合体によって生成されるアッセイ混合物2738を分析するための例示的なシステム2760を示す。このシステムは、調製アセンブリー2762、融合アセンブリー2764、処理アセンブリー2766、および検出アセンブリー2768を含むことができる。流体は一般に、少なくとも1つのチャネル2769によってもたらされる流路に沿って、調製アセンブリーから検出アセンブリーにシステムを通じて流れる。
【0062】
調製アセンブリー2762は、少なくとも1つの試料2712、および1つまたは複数の試薬2714から多重エマルジョンを形成することができる。調製アセンブリーは、少なくとも1つの試料2712を受け入れ、保持するための少なくとも1つの試料リザーバ2770、および1つまたは複数の試薬2714を受け入れ、保持するための1つまたは複数の試薬リザーバ2772を含むことができる。調製アセンブリーはまた、連続流体2718および/または不混和性流体2728を受け入れ、保持するための1つまたは複数の他のリザーバ2774を含むことができる(図1を参照)。
【0063】
試薬は、アセンブリー2762の少なくとも1つの液滴発生器2776を使用して多重エマルジョンを形成することによって試料と制御可能に会合させることができる。液滴発生器2776は、試料2712、1つまたは複数の試薬2714、連続相2718、および不混和性流体2728から多重エマルジョン2710を生成することができる。それぞれは、多重エマルジョン2710を生成するためにポンプによって液滴発生器に運ぶことができる。液滴発生器は、システムによって形成され、またはシステムからオフラインで別々に形成される前駆体エマルジョンから多重エマルジョンを生成することができる。
【0064】
融合アセンブリー2764は、多重エマルジョンの合体を誘導して、被包されたアッセイ混合物2738を担持する融合エマルジョン2734にすることができる。融合アセンブリーは、ヒーター2780、または多重エマルジョンの合体を制御可能に誘導する他のデバイス(例えば、音波デバイス、電場を生成するデバイスなど)を含んでもよい。融合アセンブリーは、処理アセンブリー2766の一部であってもよく、またはチャネル2769に沿って処理アセンブリーの上流に一般に位置されるデバイスなど、処理デバイスと異なっていてもよい。
【0065】
処理アセンブリー2766は、融合エマルジョン2734を、アッセイ混合物2738内の成分の反応を促進(および/または制限)する1つまたは複数の条件に曝すことができる。例えば、処理アセンブリーは、融合エマルジョンがチャネル2769を通じて検出アセンブリー2768へと移動する際に、融合エマルジョンの温度を調節することができる。したがって、処理アセンブリーは、融合エマルジョンを、少なくとも1つの加熱ゾーン2782を使用して高温に曝すことができ、これは、融合エマルジョン中で反応を刺激することができる。さらに、処理アセンブリーは、融合エマルジョンを、処理アセンブリーの加熱ゾーン2782および冷却ソーン2784を通じた融合エマルジョンの往復移動を使用して、加熱および冷却の繰り返しのサイクル(すなわち、熱サイクリング)にかけることができる。したがって、いくつかの実施形態では、システム2760は、核酸増幅を実施するのに使用することができ、これを通じて、融合エマルジョンは、個々の融合液滴中の核酸標的の増幅について検査される。
【0066】
検出アセンブリー2768は、処理アセンブリー2766を通じて融合液滴が移動する間、および/または移動した後の融合液滴からのシグナルを検出することができる。検出アセンブリーは、個々の融合液滴からの1つまたは複数のシグナルを検出することができ、かつ/または2つ以上の液滴から一括してシグナルを検出することができる。したがって、融合液滴は、各液滴が検出アセンブリーを通過して流れる際に個々に検出され得る。検出アセンブリーは、融合液滴の任意の適当な光学的、電気的、および/または化学的特性を検出することができる。例えば、検出アセンブリーは、少なくとも1つの光学的な特性、例えば、とりわけ、蛍光強度、蛍光共鳴エネルギー移動、蛍光消光、蛍光偏光、蛍光寿命、散乱、吸光度、反射率、またはこれらの組合せなどを検出することができる。いくつかの実施形態では、検出アセンブリーは、融合液滴を励起するための光を発する光源2786、および融合液滴からの放射光を測定する検出器2788を含むことができる。
【0067】
多重エマルジョンの形成および/またはシステム2760の任意の他の態様の操作は、制御装置2790の制御下にあってもよい。例えば、制御装置は、とりわけ、試薬および試料の選択、流量(すなわち、ポンプスピード)、液滴発生器の選択および/または操作(例えば、液滴サイズ、生成速度など)、加熱および/または冷却ゾーンの温度および/またはサイズ(例えば、加熱/冷却プロファイル)、検出アセンブリーの操作、データ収集、データ処理、ユーザーインターフェースの操作、またはこれらの任意の組合せを制御することができる。
【0068】
図3は、多重エマルジョンを使用して1つまたは複数の試料を分析する例示的な方法2800を示す。この方法は、示された、任意の適当な順序で実施されるステップの任意の組合せを含むことができ、各ステップは、1回または複数回実施される。この方法を利用することによって、複数の融合液滴中の所与の試料/試薬の組合せに対して同じ検査を実施することができる。あるいは、この方法を、特に特徴的なコードを活用して利用することによって、複数の試料に対する同じ検査、同じ試料に対する複数の異なる検査、または複数の異なる試料に対する複数の異なる検査を実施することができる。
【0069】
多重エマルジョンは、2802に示されたように得ることができる。多重エマルジョンは、上述したシステム2760などの試料分析システムによって少なくともある程度形成することができ、または試料分析システムからオフラインで少なくともある程度、もしくは完全に形成することができる。多重エマルジョンを得るステップは、2804に示されたような1つの前駆体エマルジョン(または2つ以上の前駆体エマルジョン)を形成するステップ、2806に示されたような前駆体エマルジョンを混合するステップ、および2808に示されたような混合された(または混合されていない)前駆体エマルジョンから多重エマルジョンを形成するステップの任意の組合せを含むことができる。
【0070】
1つまたは複数の前駆体エマルジョンを形成することができる。各前駆体エマルジョンは、それぞれが、それぞれのバリア液滴によって被包された複数の内側液滴を含む二重(またはより多重の)エマルジョンとすることができる。内側液滴は、試料および/または試薬を含むことができ、任意選択により、検出され、識別のために試料/試薬と相関され得る識別コードを含むことができる。前駆体エマルジョンは、試料分析システムによって形成することができ、またはユーザーに分配するための中央集中施設でのより大きなスケールなどで、システムからオフラインで形成することができる。後者の場合では、前駆体エマルジョンは、ユーザーが、ユーザーによって生成される試料エマルジョンと合わせることができる、PCR試薬などの一般に使用される試薬を含むことができる。
【0071】
2つ以上の前駆体エマルジョンを混合することによって、前駆体エマルジョンの混合物を作り出すことができる。混合物は、それぞれの別個の試料および/または別個の試薬を含む別個のタイプの内側液滴を含むことができる。別個のタイプの内側液滴は、各別個のタイプの内側液滴中に含められる対応する規定のコードを介して区別可能であってもよい(または区別可能でなくてもよい)。いくつかの実施形態では、各多重エマルジョンを形成するのに、ただ1つの前駆体エマルジョンが利用される場合がある。
【0072】
多重エマルジョンは、混合された(または混合されていない)前駆体エマルジョンから形成することができる。多重エマルジョンは、複数の複合液滴を含む三重(またはより多重の)エマルジョンとすることができ、各複合液滴は、バリア液滴によって被包された内側液滴を含み、これは、さらには外側液滴によって被包される。内側液滴は、混合された前駆体エマルジョンから形成される場合、少なくとも2つの別個の試料、少なくとも2つの別個の試薬、または両方の区画をそれぞれ含む、少なくとも2つのタイプのものとすることができる。任意選択により、多重エマルジョンは、特に、特徴的なコードが多重エマルジョンの複合液滴中に組み込まれる場合、1つまたは複数の他の多重エマルジョンとさらに混合することができる。
【0073】
多重エマルジョンは、2810に示されたように、融合されることによって融合エマルジョンを形成することができる。多重エマルジョンの融合は、自発的に起こる場合があり、その結果、融合液滴を処理する前の十分な時間遅延以外に(または遅延なし)処理をまったく必要としない。あるいは、多重エマルジョンは、液滴の融合を制御可能に誘導してアッセイ混合物を形成するように処理することができる。処理として、温度を変更するための加熱/冷却、圧力の印加、組成の変更(例えば、化学添加物を介して)、音響エネルギーの印加(例えば、超音波処理を介して)、光への曝露(例えば、光化学反応を刺激するために)、電場の印加、またはこれらの任意の組合せを挙げることができる。処理は、連続的であっても、時間的に変化してもよい(例えば、パルス状、ショック、および/または繰り返しの処理)。この処理は、エマルジョンパラメータの段階的または迅速な変化をもたらすことによって、液滴融合の定常状態または一過性の開始を生じさせることができる。いずれにしても、多重エマルジョンの安定性、および液滴融合を誘導するための処理に対するその応答性は、多重エマルジョンの1つまたは複数の相について、適切な界面活性剤のタイプ、界面活性剤の濃度、臨界ミセル濃度、イオン強度などを選択することによって、多重エマルジョンを形成する間に決定され得る。
【0074】
融合エマルジョンは、2812に示されるように処理することができる。処理は、融合エマルジョンを、対象とする少なくとも1つの反応が起こり得る(かつ/または停止される)任意の条件または条件のセットに、任意の適合な時間曝すステップを含むことができる。したがって、処理は、とりわけ、既定の設定値付近で融合エマルジョンの温度を維持するステップ、2つ以上の既定の設定値の間で融合エマルジョンの温度を変更するステップ(融合エマルジョンを熱サイクルにかけることなど)、融合エマルジョンを光に曝露するステップ、融合エマルジョンにかけられた圧力を変更するステップ、融合エマルジョンに少なくとも1つの化学物質を添加するステップ、融合エマルジョンに電場を印加するステップ、またはこれらの任意の組合せを含むことができる。
【0075】
シグナルは、2814に示されるように、処理後および/または処理中に融合エマルジョンから検出することができる。シグナルは、とりわけ、光学的、電気的、化学的、またはこれらの組合せで検出することができる。検出されるシグナルは、融合エマルジョン中で実施される、対象とする少なくとも1つの反応に対応する検査シグナルを含むことができる。代わりに、またはさらに、検出されるシグナルは、融合エマルジョン中に存在するコードに対応するコードシグナルを含むことができる。検査シグナルおよびコードシグナルは一般に区別可能であり、同じまたは別個の検出器を使用して検出され得る。例えば、検査シグナルおよびコードシグナルはそれぞれ、蛍光シグナルとして検出することができ、これは、とりわけ、励起波長(もしくはスペクトル)、発光波長(もしくはスペクトル)、および/または融合液滴中の別個の位置(例えば、コードシグナルは、融合液滴に関して、検査シグナルより局在的なものとして検出可能となり得る)に基づいて区別可能となり得る。別の例として、検査シグナルおよびコードシグナルは、蛍光として検出される検査シグナル、および光反射率として検出されるコードシグナルなど、別個の光学特性として検出することができる。さらなる例として、検査シグナルを光学的に検出することができ、コードシグナルを電気的に検出することができ、逆の場合もある。
【0076】
検出シグナルに対応するデータを処理することができる。データ処理は、アッセイ結果を、分析される各アッセイ混合物(融合液滴)にアッセイ結果を対応付けることができ、これは、アナログ値であってもデジタル値であってもよい。いくつかの実施形態では、デジタル値は、アッセイ混合物中の分析物についての陽性検査または陰性検査に対応するバイナリであってもよい。また、またはさらに、データ処理は、コードシグナルを、既定のコードおよび/またはエマルジョン形成の間に既定のコードと付随した試料/試薬と相関させることによって、各アッセイ混合物(融合液滴)中に存在する試料/試薬を識別することができる。また、1つまたは複数の検査シグナルを、識別された試料/試薬と相関させることによって、検査結果を識別された試料/試薬に対応付けることができる。
【0077】
IV.前駆体エマルジョンの形成および混合
図4は、前駆体エマルジョン2822を形成するための例示的なデバイス2820を示す。デバイス2820は、第1の液滴発生器2824および第2の液滴発生器2826など、連続して配置された複数の液滴発生器を備えることができる。
【0078】
液滴発生器は、前駆体エマルジョン2822の内側液滴および外側液滴を連続的に作り出すことができる。第1の液滴発生器2824は、試薬液滴2830の単一エマルジョン2828(すなわち、複合エマルジョンの将来の内側液滴2722(図1を参照))を形成することができ、各試薬液滴は、試薬2832、および任意選択によりコード2834を含む。他の実施形態では、第1の液滴発生器2824は、試料液滴の単一エマルジョンを形成することができる。次に第2の液滴発生器2826は、単一エマルジョン2828から前駆体エマルジョン2822(二重エマルジョン)を形成することができる。特に、第2の液滴発生器は、試薬液滴2830およびコード2834が、より大きい液滴2838(すなわち、多重エマルジョンの将来のバリア液滴2726(図1を参照))によって被包される複合液滴2836を作り出すことができる。例示的な実施形態では、各相中の支配的な流体に従って、単一エマルジョン2828は、油中水型(W/O)エマルジョンと記述することができ、前駆体エマルジョン2822は、水中油中水型(W/O/W)エマルジョンと記述することができる。
【0079】
各液滴発生器は、ポンプ2840〜2844によって運ばれる流体ストリームを供給することができる。例えば、ここでは、3つのポンプが、第1および第2の液滴発生器2824、2826に流体を供給する。しかし、任意の適当な数のポンプを、流体を運ぶのに利用することができる。適当となり得る例示的なポンプは、容積移送式真空ポンプ(例えば、シリンジポンプ)であり、これは、流体の流路を通じて所望の流量(例えば、1nL〜100μL/分)で流体を運ぶのに使用することができる。流量と各液滴発生器の比は、所望のサイズ(直径)および頻度の液滴を作り出すのに調節可能である場合がある。
【0080】
第1の液滴発生器2824は、フィードストリーム(feed stream)2846、および少なくとも1つの被包化ストリーム(encapsulating stream)2848を受け入れることができる。ストリームは、合流部2850(例えば、四方向合流部または交差合流部)で受け入れることができる。流体の交点で形成される液滴発生器の合流部は、液滴を生成する流れ集束合流部とすることができる。合流部2850は、フィードチャネル2852およびクロスチャネル2854、2856の交点で形成することができる。フィードチャネルは、フィードストリーム2846を合流部2850に運搬することができ、第1のポンプ2840によって運ばれる。1つまたは複数のクロスチャネルは、油の1つまたは複数の被包化ストリーム2848を、第2のポンプ2842によって運ばれて合流部2850に運搬することができる。フィードストリーム2846は、試薬2832およびコード2834を含む水性ストリームとすることができる。例えば、試薬2832は、核酸標的を増幅するための少なくとも1つのプライマー(または一対のプライマー)を含むことができる。本開示においてここで、および他で記載されるフィードストリームおよび/または被包化ストリームは、それぞれ高HLB界面活性剤および低HLB界面活性剤、または逆の場合など、界面活性剤を含むことができる。単一エマルジョン2828は、流出チャネル2860中で運搬される流出ストリームとして合流部2850から流れることができる。
【0081】
流出チャネル2860は、第2の液滴発生器2826のためのフィードチャネルとして機能することができる。したがって、流出ストリームは、第2の液滴発生器2826のためのフィードストリームとして機能を果たし得る。フィードストリームは、流出チャネル2860と、被包化ストリームを運搬するクロスチャネル2866、2868との交点で形成される合流部2864(例えば、別の四方向合流部)で被包することができる。被包化ストリームは、水相(ここでは「水」と表示されている)とすることができ、これは、とりわけ、塩、緩衝液、および/または界面活性剤(例えば、親水性界面活性剤)を含むことができる。したがって、試薬液滴2830は、油などの不混和性液体のバリア液滴によって、第2の液滴発生器において被包することができ、これは、さらには、水性連続相中に配置することができる。前駆体エマルジョン2822は、流出チャネル2874中の合流部2864から流れることができ、リザーバ2876中に貯蔵することができる。
【0082】
前駆体エマルジョン2822は、個々に、または混合物として貯蔵することができる(以下を参照)。いずれの場合でも、複合液滴の濃度は、液滴と連続相の間の密度差を使用して重力によって経時的に濃縮することができる。液滴の濃縮は、下流処理ステップにおける水性試料の希釈を最小限にするのに有益となり得る。
【0083】
図4のデバイスによって作り出される各W/O/Wエマルジョンは、ユニークなコードで標識することができるので、個々のW/O/Wエマルジョンを混合することによって、試薬の所望の組合せのパネルまたはライブラリーを作成することができ、これに対して試料をスクリーニングすることができる(または逆の場合もある)。
【0084】
デバイス2820は、とりわけ、内径が約1〜500ミクロンまたは約20〜250ミクロンの範囲であるチャネル(例えば、チャネル2852〜2856、2860、2866、2868、2874の任意の組合せ)を備えることができる。チャネルの内径は、生成される液滴の直径に対応し得る。例えば、第1の流出チャネル2860は、試薬液滴2830の所望の直径に対応する内径を有することができ、第2の流出チャネル2874は、より大きい液滴2838の所望の直径に対応する内径を有することができる。したがって、第1の流出チャネルの内径は、第2の流出チャネルの内径より小さい場合がある。実例のためにのみ意図された例示的な実施形態では、フィードチャネル2852および第1の流出チャネル2860の直径は、ほぼ同じであってよく、例えば約50マイクロメートルなどである。対照的に、第2の流出チャネル2874の直径は、約100マイクロメートルとすることができる。
【0085】
デバイス2820の内部表面の疎水性/親水性の特性は、デバイスの機能にとって重要となり得る。一般に、水などの親水性流体と接触する内部表面は、親水性であり、油などの疎水性流体と接触する内部表面は、疎水性である。例えば、図4において、水性ストリームを運搬するチャネルの内部表面は、親水性であり(例えば、チャネル2852、2866、2868、および2874の内部表面)、実線として示されている。対照的に、疎水性ストリーム(例えば、油)を運搬するチャネルの内部表面は、疎水性であり(例えば、チャネル2854、2856、および2860のチャネルの内部表面)、内部表面において点線で示されている。親水性および疎水性内部表面のこの選択を用いると、液滴発生器の合流部に入るフィードストリームは、合流部のクロスチャネルまたは流出チャネルの表面を濡らす場合がない。また、液滴の外側表面は、液滴が流れるチャネルの表面を濡らす場合がなく、それによって、エマルジョンの不安定化を防止する。
【0086】
デバイス2820の流路は、任意の適当なプロセスによって形成することができる。例えば、チャネルは、キャピラリー管材料によって形成されるキャピラリーとすることができる。キャピラリーは、マイクロ流体用クロスコネクタおよび/またはTコネクタ(例えば、Labsmith、Livermore、CA)を使用して接続することができる。あるいは、流路のいずれも、例えば、とりわけ、フォトリソグラフィー、熱エンボス加工、射出成形、またはこれらの組合せなどの微細加工プロセスを使用して構築することができる。
【0087】
例示的な実施形態では、デバイス2820の流路は、親水性(例えば、Si−OH表面官能性を有する)である溶融石英キャピラリー管から構築することができる。キャピラリー管の表面は、コーティング(例えば、ガラス処理用に市販されているものなどの有機シラン(例えば、Aquapel (PPG Industries))を使用する共有結合性コーティング)を施すことによって疎水性にすることができる。1本のキャピラリー管を、所望の親水性/疎水性の領域を有するように改造することができる。例えば、キャピラリー管の端部を、管に空気を同時に通過させながら、Aquapel中に管を1分間ディップコーティングすることによって疎水性にすることができる。これにより、1つの疎水性の端部、ならびに親水性のフローチャネルおよび端部が作られる。キャピラリー管は、例えば、キャピラリー管にAquapelを1分間通過させ、その後空気を通過させ、キャピラリー管を乾燥させることによって、完全に疎水性にすることができる。乾燥した後、キャピラリー管の端部をはがすことによって親水性の端部を露出することができる。
【0088】
図5は、異なるタイプの複数の前駆体エマルジョン2822、2892、2894を混合することによって形成される例示的な組成物2890の概略図である。各前駆体エマルジョンは、水中油中水型(W/O/W)エマルジョンである場合がある。各前駆体エマルジョンは、別個の試料および/または別個の試薬を含むことができ、対応する、別個の、既定のコードで標識することができる。例えば、各前駆体エマルジョンは、増幅される、対応する異なる核酸標的のための、異なるプライマー対およびプローブを含むことができる。ここでは、それぞれが別個の試薬(2832、2896、および2898)、および対応する別個のコード(それぞれ、2834、2900、および2902)を含む3つのエマルジョンが、実例として混合されているが、他の実施形態では、任意の適当な数の前駆体エマルジョン、したがって任意の適当な数の異なる液滴タイプ、異なる試薬、異なる試料、および/または異なるコードを組み合わせることができる。各前駆体エマルジョンは、第1の液滴発生器に流れるフィードストリーム中の試薬(2832、2896、もしくは2898)(および/または試料)、ならびにコード(2834、2900、または2902)の投入量を変更することによって、図4のデバイス2820などの任意の適当なデバイスを使用して形成することができる。
【0089】
V.混合されたエマルジョンの形成および合体
図6は、多重エマルジョンを形成および融合するための例示的なデバイス2910の概略図を示す。このデバイスは、とりわけ、試料投入領域2912、液滴発生器2914、および融合領域2916を備えることができる。デバイス2910は、前駆体エマルジョンを生成する別のデバイスに接続されていてもよく(例えば、図4のデバイス2820)、またはそのようなデバイスとの物理的接続をまったく有さなくてもよい。また、デバイス2910は、試料分析システムの一部であってもよく(例えば、図2のシステム2760の調製アセンブリー2762および/または融合アセンブリー2764の少なくとも一部を提供する)、または試料分析システムとの物理的接続をまったく有さなくもよい。
【0090】
試料投入領域2912では、試料2918(および/または試薬)を前駆体エマルジョンと混合することができる。前駆体エマルジョンは、1つの前駆体エマルジョン(例えば、前駆体エマルジョン2822)であっても、または前駆体エマルジョンの混合物(例えば、組成物2890)であってもよい。ここでは、図5中の生成された組成物2890が、デバイス2910の操作を例示するのに使用されている。組成物2890および水性試料2918は、それぞれのポンプ2922、2924によって運ばれる前駆体エマルジョンおよび試料の流体ストリームによって供給される流体合流部2920で混合することができる。混合は、デバイス2910によって実施されるものとしてここでは示されているが、代わりに、前駆体エマルジョンおよび試料は、デバイスからオフラインで混合することができる。オンラインでの混合は、流体フローチャネル中で前駆体エマルジョンの液滴を均一な間隔で投入することを実現するのに有益となり得る。前駆体エマルジョンおよび試料の連続相はともに、混合を可能にするために水性とすることができる。
【0091】
液滴発生器2914は、図4の液滴発生器について上記に開示した任意の特徴を有することができる。例えば、液滴発生器2914は、第1の液滴発生器2824のように一般に構築される場合がある。特に、液滴発生器2914は、水性連続相を運搬する親水性フィードチャネル2926(固体内部表面とともに示されている)を含んでいてもよい。液滴発生器2914はまた、油などの不混和性液体を運搬する疎水性クロスチャネル2928、2930を含むことができ、疎水性流出チャネル2932をさらに含むことができる(各疎水性表面は、点線で示されている)。流出チャネル2932は、フィードチャネル2926より大きい、かつ/または前駆体エマルジョン液滴の直径より大きい内径を有することができる。特に、流出チャネル2932は、形成される所望のサイズの複合液滴に対応する内径を有することができる。実例のためにのみ意図された例示的な実施形態では、フィードチャネル2926の直径は、約100マイクロメートルとすることができる。対照的に、流出チャネル2932の直径は、約150マイクロメートルとすることができる。また、水性連続相および/または不混和性液体は、本開示において他で記載したように、界面活性剤を含んでいてもよい。
【0092】
ポンプ2934は、ポンプ2922、2924とともに、液滴発生器の流体合流部で、フィードストリームと油ストリームの合流点を作り出すことができる。結果として、フィードストリーム中を流れる試料液滴および二重液滴(W/O/W多重エマルジョン)は、油によりともに被包されることによって、流出チャネル2932中でW/O/W/O多重エマルジョン2936を形成することができる。ここでは、多重エマルジョン2936は、同じ試料、ならびに異なる試薬およびコードを含む、異なるタイプのコード化された複合液滴2938の混合物として示されている(図5も参照)。
【0093】
液滴発生器(例えば、図6中の液滴発生器2914または図4の液滴発生器2824)に到着する、より低次の液滴(例えば、単一または二重液滴)の頻度は、液滴発生器を出る、より高次の液滴(例えば、それぞれ二重または三重液滴)の頻度に対応するように調整することができる。言い換えれば、流入および流出の頻度は、均一な、より高次の液滴を実現するためにほぼ同じとすることができる。これらの頻度は、フィードストリームと被包化ストリームの流量比、およびフィードストリーム中のより低次の液滴の濃度(すなわち、間隔)を調整して、より低次の液滴が液滴発生器に到着するタイミングが、液滴形成の頻度と一致するのを確実にすることによって制御することができる。
【0094】
融合領域2916は、多重エマルジョン2936に所望の時間で熱を印加するヒーター2940を含んでもよい。印加される熱は、多重エマルジョンの複合液滴内で融合を誘導することによって、融合液滴2942を形成することができる(図1も参照)。融合液滴は、個々の複合液滴の内側液滴と外側液滴との混合から生じ得る。例えば、W/O/W/Oエマルジョンは、O/W/Oエマルジョンに変換することができ、この中で、以前は隔てられていた試料および試薬が、試料と試薬のコード化された混合物として合併される。次いで融合液滴は、増幅(例えば、PCR)、および処理された液滴からのシグナル検出を促進するために、熱サイクリングなどによってさらに処理することができる。
【0095】
図7は、多重エマルジョンを作り、合体させるための別の例示的なデバイス2960を示す。デバイス2960は、図6のデバイス2910のように一般に構築することができ、図6と同様に表示された液滴発生器2914および融合領域2916などの等価な要素を含む。ポンプは、提示を単純化するために図7から省略されている。デバイス2960は、前駆体エマルジョンを生成する別のデバイスに接続されていてもよく(例えば、図4のデバイス2820)、またはそのようなデバイスとの物理的接続をまったく有さなくてもよい。また、デバイス2960は、試料分析システムの一部であってもよく(例えば、図2のシステム2760の調製アセンブリー2762および/または融合アセンブリー2764の少なくとも一部を提供する)、または試料分析システムとの物理的接続をまったく有さなくもよい。いずれにしても、デバイス2960によって生成される融合液滴は、増幅アッセイにおいて使用することができる。
【0096】
デバイス2960を利用することによって、空間的および時間的に分離された様式で、別個の多重エマルジョンを作り、合体させることができる。言い換えれば、別個の多重エマルジョンを、異なる多重エマルジョン(およびこれらから形成される融合エマルジョン)が、これらの形成の異なる時間、およびデバイスの流路に沿った(かつ/またはデバイスが組み込まれているシステムの流路に沿った)異なる位置に基づいて区別可能で識別可能であるように、連続的に作り出すことができる。したがって別個のエマルジョンは、デバイス2960を別々に出ることができ、かつ/または下流の検出器(例えば、図2の検出アセンブリー2768)に別々に到着することができる。
【0097】
デバイス2960は、図6のデバイス2910のように、液滴発生器2914においてさらなる被包化前駆体エマルジョンが示されている。しかし、図7において、前駆体エマルジョン2822、2892、および2894は、デバイス2960に流入する前に混合されない。代わりに、各前駆体エマルジョンの液滴は、前駆体液滴の他の群から流路に沿って間隔を置いて配置された群として液滴発生器2914に流れる。言い換えれば、試料投入領域2912を通過して流れる前駆体液滴の各群の間に物理的および時間的なギャップが存在し得る。したがって、前駆体エマルジョン2822、2892、および2894、ならびにこれらから生成されるより高次の多重エマルジョンの液滴は、コード(例えば、図4〜6に示されたコード2834、2900、および2902)を使用することなく追跡および識別することができる。
【0098】
様々な組合せの試薬および試料を、それぞれがいつ流路に導入されるかに基づいて、多重エマルジョン中で互いに会合させることができる。前駆体エマルジョン2822、2892、および2894は、セレクター2962を使用して、流路中に個々にかつ選択可能に(selectably)導入することができる。同様に、試料(例えば、試料2964、2966、2968のいずれか)は、試料投入領域2912を介して各前駆体エマルジョンと同時に試料を投入することによって、各前駆体エマルジョンと個々にかつ選択可能に会合させることができる。試料は、別のセレクター2970を使用して一連の試料から選択することができる。したがって、各タイプの多重エマルジョン(およびこれから形成される融合エマルジョン)は、流路に沿ったその位置によって時間的および/または空間的に識別することができる。各セレクター2962、2970は、例えば、とりわけ、マルチポートバルブまたはオートサンプラーとすることができる。
【0099】
図7は、試料のライブラリーから選択可能となり得る試料を含む連続相によって個々にさらに被包される、事前に被包された試薬のライブラリー(2832、2896、2898;例えば、プライマーライブラリー)を示す。しかし、試薬および試料の相対的な位置は、交替することができる。言い換えれば、試料は、試料のライブラリーを形成するために事前に被包することができ、これは、試薬のライブラリー(例えば、プライマーライブラリー)から選択可能となり得る試薬を含む連続相によって個々にさらに被包することができる。
【0100】
VI.互いに内部液滴の融合をもたらす多重エマルジョン
図8は、エマルジョンの複合液滴内で小体積の試料2992および試薬2994の混合を実現するための別の多重エマルジョン2990の例示的な合体を例示する図を示す。ここでは、内側液滴および外側液滴が複合液滴内で融合するのではなく(図1を参照)、2つ以上の内側液滴2996が複合液滴内で融合する。特に、3002に示されているように、試料2992の少なくとも1つの区画を含む少なくとも1つの試料液滴2998、および少なくとも1つの試薬2994を含む少なくとも1つの試薬液滴3000が融合されることによって(例えば、熱を印加することによって誘導される融合)、少なくとも1つの融合液滴3004を形成し、これは、核酸アッセイ(例えば、融合液滴中の核酸増幅)などのアッセイを実施するための試料および試薬の混合物をもたらす。
【0101】
多重エマルジョン2990は、連続担体相3006、すなわち、不混和性流体または液体(例えば、この例では水)中に配置された複数の複合液滴を含むことができる(提示を単純化するために、ここでは多重エマルジョンのただ1つの複合液滴3008が示されている)。各複合液滴3008は、担体相3006と不混和性である外側液滴またはバリア液滴3010を含むことができる。例えば、ここでは、バリア液滴は、内側液滴2996を分離し、任意選択により、融合が誘導されるまで、互いに融合するその能力を制限する不混和性流体の層を作り出すための油を含む。したがって、バリア液滴3010は、複合液滴の内側液滴のそれぞれを被包することができる。いくつかの実施形態では、エマルジョン2990は、水中油中水型(W/O/W)エマルジョンとすることができる。
【0102】
複合液滴3008は、任意の適当な数の内側液滴を含むことができる。いくつかの実施形態では、複合液滴は、平均で約1、2、もしくはそれ以上の内側液滴、または平均で少なくとも約1、2、5、10、20、100、もしくはそれ以上の各タイプの内側液滴を含むことができる。複合液滴中により多い数の内側液滴を使用することにより、各複合液滴中の試料および試薬の全体積の統計的変動を低減することができ、かつ/または各複合液滴内の試料液滴の体積と試薬液滴の体積の比の統計的変動を低減することができ、それによって、試料および試薬を含有する、より多い数の融合液滴およびアッセイ混合物を生成する。試料液滴と試薬液滴の平均比(数または体積による)は、同じであっても異なっていてもよい。2つ以上の試薬液滴が複合液滴中に存在する場合、試薬液滴は、同じまたは異なる組成を有することができる。したがって、複合液滴は、より少ない数の試薬エマルジョンから、融合液滴中により多い数の試薬の組合せの作製を可能にするために、2つ以上の別個のタイプの試薬液滴を含むことができる。
【0103】
統計的変動のために、多重エマルジョン中の複合液滴のサブセットが欠乏し、したがって検査を実施するのに不適当な場合がある。例えば、これらの不十分な複合液滴は、試料液滴をまったく含まない、試薬液滴をまったく含まない、許容される範囲外である試料液滴と試薬液滴の比を含む、またはこれらの組合せである場合がある。さらに、いくつかの複合液滴では、試料液滴と試薬液滴の融合が起こらない場合がある。したがって、融合後に複合液滴に対して実施される測定は、試料と試薬の適切な混合物を欠いている複合液滴からのデータを除外するために選別することができる。あるいは、これらの不十分な複合液滴によって生じるバックグラウンドシグナルは、許容される場合がある。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の標識またはマーカーを、試料液滴および試薬液滴中に配置することによって、試料および試薬を含む融合液滴を、他の内側液滴と区別するのを可能にすることができる(例えば、光学的および/または電気的検出によって)。
【0104】
図9は、試薬液滴3000(例えば、少なくとも1つのプライマーまたは一対のプライマーを含むプライマー液滴)の前駆体エマルジョンを形成するための例示的なデバイス3020を示し、これは、図8の多重エマルジョン2990を作り出すために試料液滴を用いて改変することができる。デバイス3020は、少なくとも1つの試薬の試薬ストリーム3024から試薬液滴を作り出す液滴発生器3022を含むことができる。例えば、試薬ストリーム3024は、特定の核酸標的を増幅するためのプライマーの混合物などの1つまたは複数のプライマーの水性組成物を含むことができる。試薬ストリーム3024は、液滴発生器の合流部3027で、不混和性担体流体(例えば、油)の1つまたは複数のストリーム3026と合流することによって、試薬液滴3000を生成することができる。試薬液滴は、試薬のライブラリーを提供するためのコンテナまたは容器(例えば、マイクロプレート)の任意のアレイの一部であってもよい、ウェル3029などのコンテナまたは容器中に試薬エマルジョン3028として収集することができる。試薬組成物および/または不混和性担体流体は、本開示の他で記載されるように、1つまたは複数の界面活性剤を含んでもよい。
【0105】
図10は、試料液滴2998の前駆体エマルジョンを形成するための例示的なデバイス3030を示し、これは、図8の多重エマルジョン2990を作り出すために試薬液滴を用いて改変することができる。デバイス3030は、試料ストリーム3034の区画から試料液滴を作り出す液滴発生器3032を含むことができる。試料ストリームは、試料または試料アリコートを含む水性組成物で形成することができる。いずれにしても、試薬ストリーム3024(図9を参照)および試料ストリーム3034を形成する組成物は、混和性流体から構成することができる。試料ストリーム3034は、液滴発生器の合流部3037で、不混和性担体流体(例えば、油)の1つまたは複数のストリーム3036と合流することによって、試料液滴2998を生成することができる。試料液滴は、試料のライブラリーを提供するためのコンテナまたは容器(例えば、マイクロプレート)の任意のアレイの一部であってもよい、ウェル3039などのコンテナまたは容器中に試料エマルジョン3038として収集することができる。試料ストリームおよび/または不混和性担体流体は、本開示の他で記載されるように、1つまたは複数の界面活性剤を含んでもよい。試料液滴および試薬液滴はそれぞれ、油中水型(W/O)エマルジョン中に存在し得る。
【0106】
図11は、それぞれがそれぞれのアレイ中に配置された、様々な試薬エマルジョン3028の試薬ライブラリー(例えば、一次ライブラリー3052)および様々な試料エマルジョン3038の試料ライブラリー3054を形成するための例示的システム3050の概略図を示す。システム3050は、試薬(例えば、プライマー対1〜n)および試料(例えば、試料1〜n)を受け入れ、各試薬または試料から試薬液滴または試料液滴の別々のエマルジョンを作り出す液滴発生器(「DG」)3022、3032を提供するための1つまたは複数のデバイス3020および/またはデバイス3030(図9および10を参照)を含むことができる。各それぞれのライブラリーの異なるメンバーおよび/または異なるライブラリーの異なるメンバーを生成するのに、同じ液滴発生器または異なる液滴発生器を使用することができる。いずれにしても、各試薬エマルジョン3028または試料エマルジョン3038は、オンデマンドで、選択されたエマルジョンの液滴の検索を可能にするために、マイクロプレート3056によって形成されるアレイなどのアレイ中の既知のアドレスに貯蔵することができる。任意の適当な数の異なる試料および試薬を、各アレイ中に配置することができる。例えば、試薬アレイおよび試料アレイのそれぞれは、2つ以上の別々のメンバーのそれぞれの試薬ライブラリーまたは試料ライブラリーであってもよく、試薬ライブラリーおよび試料ライブラリー中のメンバーの数は異なっていてもよい。あるいは、ただ1つの試料エマルジョンまたは試薬エマルジョンを形成することができる。さらに、いくつかの実施形態では、試薬ライブラリーおよび/または試料ライブラリーは、試料分析システムからオフラインで(またはオンラインで)調製することができる(例えば、図2を参照)。
【0107】
図12は、多重エマルジョンを作り出し、合体させるための例示的なデバイス3060の概略図を示す。デバイス3060は、(b)試料ライブラリーの様々な試料エマルジョン(3038)のいずれか1つ(または複数)からの任意の試料液滴2998と組み合わせるための、(a)プライマーライブラリーの様々な試薬エマルジョン(3028)のいずれか1つ(または複数)からの任意の試薬液滴3000の選択を可能にすることができる。別の言い方をすれば、システムは、1つの組合せから別の組合せに迅速に切り替えることができるので、前駆体エマルジョンのアレイから形成される多重エマルジョンを使用することにより、オンデマンドで、すなわち任意の時間に、アレイ中の任意の試薬および任意の試料の組合せを可能にする動的なプラットフォームが可能になる。
【0108】
試薬液滴および試料液滴の選択された組合せは、セレクター3062を操作することによってそのそれぞれのアレイから取り出され、合流部3068(例えば、マイクロ流体合流部)で合流するそれぞれのチャネル3064、3066中に導入されて、試薬ストリームと試料ストリームの合流点を形成することができる。セレクター3062は、試薬エマルジョンおよび/もしくは試料エマルジョンの少なくとも一部を移動させ、かつ/またはそのような移動を調節する任意のデバイスであってよい。セレクターは、例えば、とりわけ、エマルジョンアレイと、チャネル3064および/もしくは3066ならびに/またはオートサンプラー(例えば、自動ピペットデバイス)との間のマルチポート接続とすることができる。
【0109】
試薬液滴3000および試料液滴2998のストリームは、合わされた試料/試薬ストリーム3070で合流部3068から液滴発生器3072に流れることができる。液滴発生器は、連続相(例えば、水性連続相)中に配置される複合液滴3074を作り出すことができる。各複合液滴3074は、概して、少なくとも1つの試料液滴2998および少なくとも1つの試薬液滴3000を含む複数の内側液滴を含むことができる。内側液滴は、連続相および内側液滴と不混和性である流体で形成されるバリア液滴3076によって被包され得る。各複合液滴中に含まれる試料液滴および試薬液滴の平均数は、試料/試薬液滴のサイズ、ストリーム3070中の液滴のこれらのタイプの比および密度、形成されるバリア液滴のサイズなどによって求める(かつ調整する)ことができる。
【0110】
複合液滴3074は、ヒーターによって形成された加熱ゾーンを通って移動することができる。熱を印加することにより、内側液滴の融合を誘導して、試料液滴および試薬液滴から融合液滴3078を形成することができる。融合は、複合液滴内で複数の内側液滴を1つの内側液滴に変換することができる。あるいは、融合は、いくつかの複合液滴中で失敗し、または不完全である場合があり、その結果、他の複合液滴の融合が完了した後に、複合液滴内で2つ以上の内側液滴が残る。
【0111】
いずれにしても、融合液滴は、バリア液滴3076によって連続相から分離され得る。界面活性剤を適切に選択することにより、連続相との内側液滴の融合よりはるかに効率的な、互いの内側液滴の融合が可能になる。
【0112】
各融合液滴は、少なくとも1つの試料液滴および少なくとも1つの試薬液滴の内容物を混合することによって作り出されるアッセイ混合物を含むことができる。例えば、アッセイ混合物は、融合液滴中に核酸標的が存在する場合に核酸標的を増幅することができる。
【0113】
VII.選択された実施形態
本節では、多重エマルジョンを作製および使用するための方法および組成物に関する本開示の選択された実施形態を提示する。
1. 試料分析の方法であって、(A)不混和性担流体中に配置された複数の複合液滴を得るステップであって、各複合液滴は、試料の一区画を含む少なくとも1つの試料液滴、少なくとも1つの試薬を含む少なくとも1つの試薬液滴、および試薬液滴から試料液滴を分離するバリア液滴を含むステップと、(B)個々の複合液滴内で、少なくとも1つの試料液滴および少なくとも1つの試薬液滴を融合することによって、融合液滴を形成するステップであって、融合液滴のそれぞれにおいて、試料の少なくとも1つの区画が少なくとも1つの試薬と混合されることによって、アッセイを実施するための混合物を作り出すステップと、(C)融合液滴の1つまたは複数からの1つまたは複数のシグナルを検出するステップと、(D)シグナルに基づいてアッセイの結果を判定するステップとを含む方法。
2. 融合するステップが、複合液滴を加熱することによって融合を誘導するステップを含む、パラグラフ1に記載の方法。
3. 融合を誘導するステップが、融合液滴中に核酸標的が存在する場合に核酸標的を増幅することができる増幅混合物を融合液滴中で作り出す、パラグラフ1または2に記載の方法。
4. 少なくとも1つの試薬液滴が、核酸標的を増幅することができる一対のプライマーを含む、パラグラフ3に記載の方法。
5. 1つまたは複数のシグナルを検出するステップが、融合液滴の1つまたは複数からの蛍光シグナルを検出するステップを含む、パラグラフ1から4のいずれかに記載の方法。
6. 融合するステップの後に、融合液滴を複数回熱サイクルにかけるステップをさらに含む、パラグラフ1から5のいずれかに記載の方法。
7. 得るステップが、親水性界面活性剤および疎水性界面活性剤を含む多重エマルジョンを得るステップを含む、パラグラフ1から6のいずれかに記載の方法。
8. 判定するステップが、シグナルを試料中の分析物の存在と相関させるステップを含む、パラグラフ1から7のいずれかに記載の方法。
9. 複数の複合液滴が、第2のタイプの複合液滴と混合される第1のタイプの複合液滴を含み、第1および第2のタイプの複合液滴のそれぞれが、第1および第2のタイプの液滴の区別を可能にするそれぞれの別個のコードを含み、シグナルを検出するステップが、検査シグナルを検出し、(a)融合液滴からのコードシグナルを検出するステップと、(b)検査シグナルを、第1のタイプおよび第2のタイプの複合液滴と相関させるためにコードシグナルを利用するステップとをさらに含む、パラグラフ1から8のいずれかに記載の方法。
10. 第1および第2のタイプの複合液滴が、別個の試薬または別個の試料を含み、コードシグナルを利用するステップが、検査シグナルを別個の試薬または試料と相関させるステップを含む、パラグラフ9に記載の方法。
11. 第1および第2のタイプの複合液滴が、それぞれの別個の核酸標的を増幅するための別個のプライマーを含み、コードシグナルを利用するステップが、検査シグナルを、融合液滴中の別個の核酸標的の存在と相関させるステップを含む、パラグラフ10に記載の方法。
12. 少なくとも1つの試料液滴および少なくとも1つの試薬液滴がともに、バリア液滴によって被包される、パラグラフ1から11のいずれかに記載の方法。
13. バリア液滴が、少なくとも1つの試料液滴または少なくとも1つの試薬液滴によって被包される、パラグラフ1から11のいずれかに記載の方法。
14. 試料分析の方法であって、(A)連続担体相中に配置された複数の複合液滴を得るステップであって、各複合液滴は、試料の一区画を含む少なくとも1つの試料液滴、1つまたは複数のプライマーを含む少なくとも1つの試薬液滴、および試薬液滴から試料液滴を分離するバリア液滴を含むステップと、(B)個々の複合液滴内で、少なくとも1つの試料液滴および少なくとも1つの試薬液滴を融合することによって、融合液滴を形成するステップであって、各融合液滴は、融合液滴中に核酸標的が存在する場合に核酸標的を増幅することができる増幅混合物を作り出すための1つまたは複数のプライマーと混合された、少なくとも1つの区画の試料を含むステップと、(C)融合液滴の1つまたは複数からの1つまたは複数のシグナルを検出するステップと、(D)シグナルに基づいて、もしあれば、試料中の核酸標的の存在を判定するステップとを含む方法。
15. 融合するステップが、複合液滴を加熱することによって融合を誘導するステップを含む、パラグラフ14に記載の方法。
16. 1つまたは複数のシグナルを検出するステップが、融合液滴の1つまたは複数からの蛍光シグナルを検出するステップを含む、パラグラフ14または15に記載の方法。
17. 融合するステップの後に、融合液滴を複数回熱サイクルにかけるステップをさらに含む、パラグラフ14から16のいずれかに記載の方法。
18. 得るステップが、親水性界面活性剤および疎水性界面活性剤を含む多重エマルジョンを得るステップを含む、パラグラフ14から17のいずれかに記載の方法。
19. 複数の複合液滴が、第2のタイプの複合液滴と混合される第1のタイプの複合液滴を含み、第1および第2のタイプの複合液滴のそれぞれが、第1および第2のタイプの液滴の区別を可能にするそれぞれの別個のコードを含み、シグナルを検出するステップが、検査シグナルを検出し、(a)融合液滴からのコードシグナルを検出するステップと、(b)検査シグナルを、第1のタイプおよび第2のタイプの複合液滴と相関させるためにコードシグナルを利用するステップとをさらに含む、パラグラフ14から18のいずれかに記載の方法。
20. 第1および第2のタイプの複合液滴が、別個の試薬または別個の試料を含み、コードシグナルを利用するステップが、検査シグナルを別個の試薬または試料と相関させるステップを含む、パラグラフ19に記載の方法。
21. 第1および第2のタイプの複合液滴が、それぞれの別個の核酸標的を増幅するための別個のプライマーを含み、コードシグナルを利用するステップが、検査シグナルを、融合液滴中の別個の核酸標的の存在と相関させるステップを含む、パラグラフ20に記載の方法。
22. 少なくとも1つの試料液滴および少なくとも1つの試薬液滴がともに、バリア液滴によって被包される、パラグラフ14から21のいずれかに記載の方法。
23. バリア液滴が、少なくとも1つの試料液滴または少なくとも1つの試薬液滴によって被包される、パラグラフ14から21のいずれかに記載の方法。
24. 連続担体相中に配置された複数の複合液滴を含む、試料分析のための組成物であって、各複合液滴は、試料の一区画を含む少なくとも1つの試料液滴、少なくとも1つの試薬を含む少なくとも1つの試薬液滴、および試薬液滴から試料液滴を分離するバリア液滴を含み、個々の複合液滴内で、少なくとも1つの試料液滴および少なくとも1つの試薬液滴を融合するステップが、融合液滴を形成し、各融合液滴は、アッセイを実施するための混合物を作り出すための少なくとも1つの試薬と混合された、少なくとも1つの区画の試料を含む組成物。
25. 融合液滴を形成するための、個々の複合液滴内での試料液滴と試薬液滴の融合が、熱を印加することにより誘導可能である、パラグラフ24に記載の組成物。
26. 試薬液滴が、試料液滴に存在しない1つまたは複数の試薬を含む、パラグラフ24または25に記載の組成物。
27. 融合が、融合液滴中に核酸標的が存在する場合に核酸標的を増幅するためのアッセイ混合物を各融合液滴中で作り出す、パラグラフ24から26のいずれかに記載の組成物。
28. 少なくとも1つの試薬液滴が、核酸標的を増幅するための一対のプライマーを含む、パラグラフ27に記載の組成物。
29. 複数の複合液滴が、第1のタイプの複合液滴、および第1のタイプの複合液滴と混合される第2のタイプの複合液滴を含み、第1および第2のタイプの複合液滴のそれぞれが、第1および第2のタイプの複合液滴の区別を可能にするそれぞれの別個のコードを含む、パラグラフ24から28のいずれかに記載の組成物。
30. 第1および第2のタイプの複合液滴がそれぞれ、別個の試薬、別個の試料、または両方を含む、パラグラフ29に記載の組成物。
31. 第1および第2のタイプの複合液滴がそれぞれ、別個の核酸標的を増幅するための別個のプライマーを含む、パラグラフ30に記載の組成物。
32. 第1および第2のタイプの液滴がそれぞれ、別個の供給源に由来する試料を含む、パラグラフ30に記載の組成物。
33. 少なくとも1つの試料液滴および少なくとも1つの試薬液滴がともに、バリア液滴によって被包される、パラグラフ24から32のいずれかに記載の組成物。
34. バリア液滴が、少なくとも1つの試料液滴または少なくとも1つの試薬液滴によって被包される、パラグラフ24から32のいずれかに記載の組成物。
35. 連続担体相中に配置された2つ以上のタイプの複合液滴の混合物を含む、試料分析のための組成物であって、各タイプの複合液滴は、複合液滴の他のタイプからそのようなタイプを区別するコードを含み、各複合液滴は、試料の一区画を含む少なくとも1つの試料液滴、少なくとも1つの試薬を含む少なくとも1つの試薬液滴、および試薬液滴から試料液滴を分離するバリア液滴を含み、個々の複合液滴内で、少なくとも1つの試料液滴および少なくとも1つの試薬液滴を融合するステップは、融合液滴を形成し、融合液滴のそれぞれにおいて、試料の少なくとも1つの区画は、アッセイを実施するための混合物を作り出すための少なくとも1つの試薬と混合され、各タイプの複合液滴のコードは、そのようなタイプの複合液滴によって含まれる別個の試薬または別個の試料に対応する組成物。
36. 2つ以上のタイプの複合液滴が、複合液滴の融合の前に、光学的に互いに区別可能である、パラグラフ35に記載の組成物。
37. 連続担体相中に配置された複数の複合液滴を含む、試料分析のための組成物であって、各複合液滴は、試料の一区画を含む少なくとも1つの試料液滴、1つまたは複数のプライマーを含む少なくとも1つの試薬液滴、および試薬液滴から試料液滴を分離するバリア液滴を含み、個々の複合液滴内で、少なくとも1つの試料液滴および少なくとも1つの試薬液滴を融合するステップは、融合液滴を形成し、各融合液滴は、融合液滴中に核酸標的が存在する場合に核酸標的を増幅することができる増幅混合物を作り出すための1つまたは複数のプライマーと混合された、少なくとも1つの区画の試料を含む組成物。
38. 融合するステップが、試料の一区画を熱安定性ポリメラーゼと混合する、パラグラフ37に記載の組成物。
39. 個々の複合液滴の試料液滴および試薬液滴が、より低い温度で互いに分離したままであり、より高い温度で互いに融合する、パラグラフ37または38に記載の組成物。
40. 試料分析の方法であって、(A)それぞれが、少なくとも1つの試料含有液滴、少なくとも1つの試薬含有液滴、および試薬含有液滴から試料含有液滴を分離するバリア液滴を含む、複数の複合液滴を得るステップと、(B)個々の複合液滴内で、試料含有液滴および試薬含有液滴を融合することによって、アッセイを実施するためのアッセイ混合物を作り出すための、試料および試薬を合わせる融合液滴を形成するステップとを含む方法。
41. 融合するステップが、複合液滴を加熱することによって融合を誘導するステップを含む、パラグラフ40に記載の方法。
42. 融合するステップが、融合液滴中で増幅混合物を作り出し、増幅混合物が、融合液滴中に核酸標的が存在する場合に核酸標的を増幅することができる、パラグラフ40または41に記載の方法。
43. 試薬含有液滴が、核酸標的を増幅するための少なくとも1つのプライマーを含む、パラグラフ40から42のいずれかに記載の方法。
44. 融合するステップの後に、融合液滴を熱サイクルにかけるステップをさらに含む、パラグラフ40から43のいずれかに記載の方法。
45. 得るステップが、親水性界面活性剤および疎水性界面活性剤を含む多重エマルジョンを形成するステップを含む、パラグラフ40から44のいずれかに記載の方法。
46. 試料含有液滴および試薬含有液滴がともに、バリア液滴によって被包される、パラグラフ40から45のいずれかに記載の方法。
47. バリア液滴が、試料含有液滴または試薬含有液滴によって被包される、パラグラフ40から45のいずれかに記載の方法。
48. 複数の融合液滴からデータを収集するステップと、収集したデータに基づいてアッセイの結果を判定するステップとをさらに含む、パラグラフ40から47のいずれかに記載の方法。
49. データを収集するステップが、複数の融合液滴からの蛍光強度シグナルを検出するステップを含む、パラグラフ48に記載の方法。
50. 結果を判定するステップが、試料中の分析物の存在および/または活性を判定するステップを含む、パラグラフ48または49に記載の方法。
51. 複数の複合液滴が、第1のタイプの複合液滴および第2のタイプの複合液滴を含み、第1および第2のタイプの複合液滴のそれぞれが、第1および第2のタイプの液滴の区別を可能にするそれぞれの別個のコードを含み、データを収集するステップが、検査シグナルの検出を含み、(a)融合液滴からのコードシグナルを検出するステップと、(b)検査シグナルを、第1のタイプおよび第2のタイプの複合液滴と相関させるためにコードシグナルを利用するステップとをさらに含む、パラグラフ48から50のいずれかに記載の方法。
52. 第1および第2のタイプの複合液滴が、別個の試薬または別個の試料を含み、コードシグナルを利用するステップが、検査シグナルを、別個の試薬または試料と相関させるステップを含む、パラグラフ51に記載の方法。
53. 第1および第2のタイプの複合液滴が、それぞれの別個の核酸標的を増幅するための別個のプライマーを含み、コードシグナルを利用するステップが、検査シグナルを、融合液滴中の別個の核酸標的の存在と相関させるステップを含む、パラグラフ51または52に記載の方法。
54. (A)それぞれが、少なくとも1つの試料含有液滴、少なくとも1つの試薬含有液滴、および試薬含有液滴から試料含有液滴を分離するバリア液滴を含む、連続相中に配置された複数の複合液滴を含む、試料分析のための組成物であって、融合液滴を形成するための、個々の複合液滴内での試料含有液滴および試薬含有液滴の融合が、複合液滴を加熱することによって誘導可能であり、融合液滴は、試料および試薬を合わせることによって、アッセイを実施するためのアッセイ混合物を作り出す組成物。
55. 各複合液滴が、それぞれが異なる試薬を含む少なくとも2つの試薬含有液滴を含む、パラグラフ54に記載の組成物。
56. 複合液滴を加熱するステップが、各融合液滴中に核酸標的が存在する場合に核酸標的を増幅することができるアッセイ混合物を各融合液滴中で作り出す、パラグラフ54または55に記載の組成物。
57. 少なくとも1つの試薬含有液滴が、核酸標的を増幅するための一対のプライマーを含む、パラグラフ54から56のいずれかに記載の組成物。
58. 複数の複合液滴が、第1のタイプの複合液滴および第2のタイプの複合液滴を含み、第1および第2のタイプの複合液滴のそれぞれが、第1および第2のタイプの液滴の区別を可能にするそれぞれの別個のコードを含む、パラグラフ54から57のいずれかに記載の組成物。
59. 第1および第2のタイプの複合液滴がそれぞれ、別個の試薬または別個の試料、または両方を含む、パラグラフ58に記載の組成物。
60. 第1および第2のタイプの複合液滴がそれぞれ、別個の核酸標的を増幅するための別個のプライマーを含む、パラグラフ58または59に記載の組成物。
61. 第1および第2のタイプの液滴がそれぞれ、別個の供給源に由来する試料を含む、パラグラフ58または59に記載の組成物。
62. 試料含有液滴および試薬含有液滴がともに、バリア液滴によって被包される、パラグラフ54から61のいずれかに記載の組成物。
63. 試料分析の方法であって、(A)それぞれが異なる試薬含有液滴を含む一連の事前形成されたエマルジョンから1つのエマルジョンを選択するステップと、(B)それぞれが少なくとも1つの試料含有液滴、選択されたエマルジョンからの少なくとも1つの試薬含有液滴、および試薬含有液滴から試料含有液滴を分離するバリア液滴を含む複合液滴を形成するステップと、(C)個々の複合液滴内で、試料含有液滴および試薬含有液滴を融合することによって、アッセイを実施するためのアッセイ混合物を作り出すための、選択されたエマルジョンからの試薬を試料と合わせる融合液滴を形成するステップとを含む方法。
64. 1つのエマルジョンを選択するステップが、事前形成されたエマルジョンのアレイから1つのエマルジョンを選択するステップを含む、パラグラフ63に記載の方法。
65. 1つのエマルジョンを選択するステップが、事前形成されたエマルジョンによって含まれている一連の異なるプライマーから1つまたは複数のプライマーを選択するステップを含む、パラグラフ64に記載の方法。
66. 複合液滴を形成するステップが、それぞれが、バリア液滴によって被包された試料含有液滴および試薬含有液滴を有する複合液滴を形成するステップを含む、パラグラフ63から65のいずれかに記載の方法。
67. エマルジョンが第1のエマルジョンであり、それぞれ異なる試料含有液滴を含む一連の事前形成されたエマルジョンから第2のエマルジョンを選択するステップをさらに含み、形成するステップが、各複合液滴中に、第1および第2のエマルジョンのそれぞれの少なくとも1つの液滴を配置する、パラグラフ63から66のいずれかに記載の方法。
68. 融合するステップが、複合液滴を加熱するステップを含む、パラグラフ63から67のいずれかに記載の方法。
【0114】
上記に示された開示は、独立した有用性を伴った複数の別個の発明を包含することができる。これらの発明のそれぞれは、その好適な形式で開示されているが、本明細書に開示および例示されたようなその特定の実施形態は、多数の変形が可能であるため、限定的意味で考慮されるべきでない。本発明の要旨は、本明細書に開示された様々な要素、特徴、機能、および/または性質のすべての新規であり、自明のものでない組合せおよびサブコンビネーションを含む。以下の特許請求の範囲は特に、新規であり、自明のものでないとみなされる、ある特定の組合せおよびサブコンビネーションを指摘する。特徴、機能、要素、および/または性質の他の組合せおよびサブコンビネーションで具現される発明は、本願および関連出願からの優先権を主張する出願において請求され得る。そのような請求も、異なる発明を対象としても、同じ発明を対象としても、元の特許請求の範囲に対して、範囲がより広くても、より狭くても、等しくても、または異なっていても、本開示の発明の要旨の範囲内に含まれるとみなされる。
【符号の説明】
【0115】
2710 多重エマルジョン
2712 試料
2714 試薬
2716 複合液滴
2718 連続的な担体相
2720 油
2722 内側液滴
2724 外側液滴
2726 不混和性のバリア液滴
2728 不混和性流体
2730 油
2732 融合
2734 融合エマルジョン
2736 融合液滴
2738 アッセイ混合物
2740 分裂
2746 コード
2748 粒子
2760 システム
2762 調製アセンブリー
2764 融合アセンブリー
2766 処理アセンブリー
2768 検出アセンブリー
2769 チャネル
2770 試料リザーバ
2772 試薬リザーバ
2774 他のリザーバ
2776 液滴発生器
2780 ヒーター
2782 加熱ゾーン
2784 冷却ソーン
2786 光源
2788 検出器
2790 制御装置
2800 多重エマルジョンを使用して1つまたは複数の試料を分析する例示的な方法
2804 1つの前駆体エマルジョン(または2つ以上の前駆体エマルジョン)を形成するステップ
2806 前駆体エマルジョンを混合するステップ
2808 混合された(または混合されていない)前駆体エマルジョンから多重エマルジョンを形成するステップ
2810 融合
2812 融合液滴の処理
2814 シグナルの検出
2820 前駆体エマルジョンを形成するための例示的なデバイス
2822 前駆体エマルジョン
2824 第1の液滴発生器
2826 第2の液滴発生器
2828 単一エマルジョン
2830 試薬液滴
2832 試薬
2834 コード
2836 複合液滴
2838 より大きい液滴
2840 ポンプ
2842 ポンプ
2844 ポンプ
2846 フィードストリーム
2848 被包化ストリーム
2850 合流部
2852 フィードチャネル
2854 クロスチャネル
2856 クロスチャネル
2860 流出チャネル
2864 合流部
2866 クロスチャネル
2868 クロスチャネル
2874 流出チャネル
2876 リザーバ
2890 組成物
2892 前駆体エマルジョン
2894 前駆体エマルジョン
2896 試薬
2898 試薬
2900 コード
2902 コード
2910 多重エマルジョンを形成および融合するための例示的なデバイス
2912 試料投入領域
2914 液滴発生器
2916 融合領域
2918 水性試料
2920 流体合流部
2922 ポンプ
2924 ポンプ
2926 親水性フィードチャネル
2928 疎水性クロスチャネル
2930 疎水性クロスチャネル
2932 疎水性流出チャネル
2934 ポンプ
2936 W/O/W/O多重エマルジョン
2938 コード化された複合液滴
2940 ヒーター
2942 融合液滴
2960 多重エマルジョンを作り、合体させるための別の例示的なデバイス
2962 セレクター
2964 試料
2966 試料
2968 試料
2970 セレクター
2990 多重エマルジョン
2992 試料
2994 試薬
2996 内側液滴
2998 試料液滴
3000 試薬液滴
3004 融合液滴
3006 連続担体相
3008 複合液滴
3010 バリア液滴
3020 試薬液滴の前駆体エマルジョンを形成するための例示的なデバイス
3022 液滴発生器
3024 試薬ストリーム
3026 不混和性担体流体のストリーム
3027 液滴発生器の合流部
3028 試薬エマルジョン
3029 ウェル
3030 試料液滴の前駆体エマルジョンを形成するための例示的なデバイス
3032 液滴発生器
3034 試料ストリーム
3036 不混和性担体流体のストリーム
3037 液滴発生器の合流部
3038 試料エマルジョン
3039 ウェル
3050 試薬ライブラリーおよび試料ライブラリーを形成するための例示的なシステム
3052 一次ライブラリー
3054 試料ライブラリー
3056 マイクロプレート
3060 多重エマルジョンを作り出し、合体させるための例示的なデバイス
3062 セレクター
3064 チャネル
3066 チャネル
3068 合流部
3070 合わされた試料/試薬ストリーム
3072 液滴発生器
3074 複合液滴
3076 バリア液滴
3078 融合液滴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料分析の方法であって、
それぞれが、少なくとも1つの試料含有液滴、少なくとも1つの試薬含有液滴、および試薬含有液滴から試料含有液滴を分離するバリア液滴を含む、複数の複合液滴を得るステップと
アッセイを実施するためのアッセイ混合物を作り出すために、試料および試薬を結合させる融合液滴を形成するため、個々の複合液滴内で試料含有液滴および試薬含有液滴を融合するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記融合するステップが、複合液滴を加熱することによって融合を誘導するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記融合するステップが、融合液滴中で増幅混合物を作り出し、該増幅混合物が、融合液滴中に核酸標的が存在する場合、該核酸標的を増幅することができる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記試薬含有液滴が、核酸標的を増幅するための少なくとも1つのプライマーを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記融合するステップの後に、融合液滴を熱サイクルにかけるステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記得るステップが、親水性界面活性剤および疎水性界面活性剤を含む多重エマルジョンを形成するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記試料含有液滴および前記試薬含有液滴がともに、バリア液滴によって被包される、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記バリア液滴が、前記試料含有液滴または前記試薬含有液滴によって被包される、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記複数の融合液滴からデータを収集するステップと、収集したデータに基づいてアッセイの結果を判定するステップとをさらに含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記データを収集するステップが、複数の融合液滴からの蛍光強度シグナルを検出するステップを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記結果を判定するステップが、試料中の分析物の存在および/または活性を判定するステップを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
複数の複合液滴が、第1のタイプの複合液滴および第2のタイプの複合液滴を含み、第1および第2のタイプの複合液滴のそれぞれが、第1および第2のタイプの液滴の区別を可能にするそれぞれの別個のコードを含み、データを収集するステップが、検査シグナルの検出を含み、さらに(a)融合液滴からのコードシグナルを検出するステップと、(b)検査シグナルを、第1のタイプおよび第2のタイプの複合液滴と相関させるためにコードシグナルを利用するステップとを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記第1および第2のタイプの複合液滴が、別個の試薬または別個の試料を含み、前記コードシグナルを利用するステップが、検査シグナルを、別個の試薬または試料と相関させるステップを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1および第2のタイプの複合液滴が、それぞれの別個の核酸標的を増幅するための別個のプライマーを含み、前記コードシグナルを利用するステップが、検査シグナルを、融合液滴中の別個の核酸標的の存在と相関させるステップを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
連続相中に配置された複数の複合液滴であって、それぞれが、少なくとも1つの試料含有液滴、少なくとも1つの試薬含有液滴、および前記試薬含有液滴から前記試料含有液滴を分離するバリア液滴を含む複合液滴であって、
融合液滴を形成するための、個々の複合液滴内での試料含有液滴および試薬含有液滴の融合が、複合液滴を加熱することによって誘導可能であり、及び前記融合液滴は、アッセイを実施するためのアッセイ混合物を作り出すために、試料および試薬を結合させる組成物。
【請求項16】
各複合液滴が、それぞれが異なる試薬を含む少なくとも2つの試薬含有液滴を含む、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記複合液滴を加熱するステップが、前記融合液滴中に核酸標的が存在する場合、核酸標的を増幅することができるアッセイ混合物を各融合液滴中で作り出す、請求項15に記載の組成物。
【請求項18】
少なくとも1つの試薬含有液滴が、核酸標的を増幅するための一対のプライマーを含む、請求項15に記載の組成物。
【請求項19】
前記複数の複合液滴が、第1のタイプの複合液滴および第2のタイプの複合液滴を含み、該第1および第2のタイプの複合液滴のそれぞれが、第1および第2のタイプの複合液滴の区別を可能にするそれぞれの別個のコードを含む、請求項15から18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
前記第1および第2のタイプの複合液滴がそれぞれ、別個の試薬または別個の試料、または両方を含む、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
前記第1および第2のタイプの複合液滴がそれぞれ、別個の核酸標的を増幅するための別個のプライマーを含む、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
前記第1および第2のタイプの液滴がそれぞれ、別個の供給源に由来する試料を含む、請求項20に記載の組成物。
【請求項23】
前記試料含有液滴および試薬含有液滴がともに、前記バリア液滴によって被包される、請求項15から18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項24】
試料分析の方法であって、
それぞれが異なる試薬含有液滴を含む一連の事前形成されたエマルジョンから1つのエマルジョンを選択するステップと、
それぞれが少なくとも1つの試料含有液滴、選択されたエマルジョンからの少なくとも1つの試薬含有液滴、および前記試薬含有液滴から前記試料含有液滴を分離するバリア液滴を含む複合液滴を形成するステップと、
アッセイを実施するためのアッセイ混合物を作り出すため、選択されたエマルジョンからの試薬を試料と結合させる融合液滴を形成するために、個々の複合液滴内で、前記試料含有液滴および前記試薬含有液滴を融合するステップと、を含む方法。
【請求項25】
前記1つのエマルジョンを選択するステップが、事前形成されたエマルジョンのアレイから1つのエマルジョンを選択するステップを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記1つのエマルジョンを選択するステップが、事前形成されたエマルジョンによって含まれている一連の異なるプライマーから1つまたは複数のプライマーを選択するステップを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記複合液滴を形成するステップが、それぞれが、前記バリア液滴によって被包された前記試料含有液滴および前記試薬含有液滴を有する複合液滴を形成するステップを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
エマルジョンが第1のエマルジョンであり、それぞれ異なる試料含有液滴を含む一連の事前形成されたエマルジョンから第2のエマルジョンを選択するステップをさらに含み、前記形成するステップが、各複合液滴中に、第1および第2のエマルジョンのそれぞれの少なくとも1つの液滴を配置する、請求項24から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記融合するステップが、前記複合液滴を加熱するステップを含む、請求項24から27のいずれか一項に記載の方法。

【図5】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2013−503630(P2013−503630A)
【公表日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−527909(P2012−527909)
【出願日】平成22年8月24日(2010.8.24)
【国際出願番号】PCT/US2010/046519
【国際公開番号】WO2011/028539
【国際公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(511074338)クァンタライフ・インコーポレーテッド (5)
【Fターム(参考)】