説明

多重カーテン

【課題】本発明は、表側のカーテンを開閉して裏側のカーテンを表出させることができる多重カーテンを提供することを目的とするものである。
【解決手段】第一カーテン1がカーテンレール4により吊り下げられており、第一カーテン1の上縁部にはレール部材3が取付固定されている。レール部材3は、合成樹脂製の透明なシート材からなり、上縁部に対して下縁部及び左右の側縁部が縫い付けられて固定されている。第二カーテン2は、レール部材3の上縁部に摺動可能に係合して吊り下げられている。第二カーテン2のみを横引きして開閉することで、第一カーテン1を表出させたり、2つのカーテンを重ね合わせたりすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーテンの上縁部に別のカーテンが取り付けられた多重カーテンに関する。
【背景技術】
【0002】
窓や出入り口に対するインテリア用品としてカーテンが広く普及しており、その中で上縁部をカーテンレール等の吊下げ具に取り付けるタイプのカーテンでは、厚地のカーテン及びレース地等からなる薄地のカーテンを二重に吊り下げて一般に使用されている。
【0003】
こうした二重にカーテンを吊り下げる場合カーテンレールが2本必要になり、またカーテンの間の間隔が空くためその分スペースが必要になるといった問題がある。そのため、2つのカーテンを一体化した二重カーテンが提案されている。例えば、特許文献1では、1つのカーテンレールに係合するカーテンフックに2つのカーテンを吊り下げるようにした二重カーテンが記載されている。また、特許文献2では、所要の色柄や襞模様を有するカーテン表地に装着するカーテンフックに、カーテン裏地の上縁部に連続形成した係合孔を係合させて、カーテン表地及びカーテン裏地を一体化した二重カーテンが記載されている。また、特許文献3では、透光性のカーテンと非透光性のカーテンを重なり合うように上縁で結合してカーテンレールに吊り下げるようにし、非透光性のカーテンの裾部を昇降コードにより上下可能とした二重カーテンが記載されている。
【特許文献1】特開昭55−94221号公報
【特許文献2】特許第3177786号公報
【特許文献3】特開2000−201802号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の特許文献では、2つのカーテンを1つのカーテンレールで吊り下げて両者の間の隙間を小さくするようにしているが、従来のカーテンのように一方のみ開閉することができず、2つのカーテンを一体として開閉しなければならないといった制約がある。特許文献3では、非透光性のカーテンの裾部を上下するようにしているが、従来のカーテンのように横引きで開閉することはできない。
【0005】
そのため、タイプの異なるカーテン生地を組み合せても裏側のカーテン全体が表側に表出することができず、インテリア用品としての装飾効果に低下してしまう。
【0006】
そこで、本発明は、表側のカーテンを開閉して裏側のカーテンを表出させることができる多重カーテンを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る多重カーテンは、吊下げ用係合部材を上縁部に設けた第一カーテンと、前記上縁部に取り付けられたレール部材と、前記レール部材に摺動可能に係合する吊下げ用係合部材を上縁部に設けた第二カーテンとを備えていることを特徴とする。さらに、前記レール部材は、前記上縁部の長手方向に沿って取り付けられた帯状シート材からなることを特徴とする。さらに、前記レール部材は、前記帯状シート材の上縁部に前記第二カーテンの前記吊下げ用係合部材が摺動可能に係合することを特徴とする。さらに、前記第二カーテンは、前記第一カーテンの色柄を透視可能な生地材料からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
上記のような構成を有することで、第一カーテンの上縁部に取り付けられたレール部材に第二カーテンの吊下げ用係合部材を摺動可能に係合するので、第二カーテンをレール部材に沿って横引きにより開閉することができ、従来のカーテンと同様に第一カーテン全体を表出させることが可能となる。
【0009】
そして、レール部材として第一カーテンの上縁部の長手方向に沿って取り付けられた帯状シート材を用いれば、従来のカーテンにも容易に適用することが可能な極めて簡単な構造とすることができ、コスト負担も少なくて済む。また、帯状シート材に柔軟性のある材料や折畳み可能な材料を使用することで、第一カーテンを横引きにより開閉する場合にレール部材が第一カーテンとともに折り畳まれてスムーズな開閉動作が可能となる。
【0010】
そして、レール部材である帯状シート材の上縁部に第二カーテンの吊下げ用係合部材を摺動可能に係合すれば、第二カーテンを第一カーテンに簡単に着脱することができ、また第二カーテンの横引きによるスムーズな開閉動作を行うことが可能となる。
【0011】
また、第二カーテンとして第一カーテンの色柄を透視可能な生地材料を用いることで2つのカーテンの組合せによる装飾効果を高めることができる。すなわち、2つのカーテンを間隔を狭くして設置することができるので、両者の組合せによる様々な表出効果を得ることができる。例えば、第二カーテンを第一カーテンと重ね合わせた状態では第二カーテンにより半透明の淡い色調で第一カーテンの色柄が表出し、第二カーテンのみ横引きした状態では第一カーテンの色柄が直接表出し、第一カーテンのみ横引きした状態では第二カーテンの透光した状態となる。こうした様々なバリエーションを楽しめるインテリアとして使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて詳しく説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を実施するにあたって好ましい具体例であるから、技術的に種々の限定がなされているが、本発明は、以下の説明において特に本発明を限定する旨明記されていない限り、これらの形態に限定されるものではない。
【0013】
図1及び図2は、本発明に係る実施形態に関する外観斜視図である。第一カーテン1がカーテンレール4により吊り下げられており、第一カーテン1の上縁部にはレール部材3が取付固定されている。そして、第二カーテン2はレール部材3に摺動可能に係合して吊り下げられている。
【0014】
図1は、第二カーテン2が横引きされて拡がった閉じた状態であり、拡がった閉じた状態の第一カーテン1と重なった状態にされている。図2は、第二カーテン2が横引きされて折り畳まれた開いた状態であり、第一カーテン1のみ拡がった閉じた状態となっている。
【0015】
第一カーテン1及び第二カーテン2は、従来のカーテンと同様の用いることができ、上縁部に吊下げ用係合部材として複数のカーテンフックが取り付けられている。カーテン生地としては、従来の二重カーテンのように、裏側の第一カーテン1には遮光性のある厚地のカーテンで、様々なデザインの色柄を表出したものを使用することができる。
【0016】
第二カーテン2にはレース地のような透視可能な薄地のカーテン生地を使用すればよい。薄地のカーテン生地以外にも細長い紐を多数配列した紐暖簾タイプの生地を使用することができる。また、透明なフィルム状のシート材を用いてカーテン生地として使用してもよい。そして、消臭機能等の様々な機能をカーテン生地に加工処理してもよい。
【0017】
透視可能な第二カーテン2を厚地で色柄のある第一カーテン1に重ね合わせることで、第一カーテン1の色柄が半透明となって淡い色合いの装飾効果が表出する。また、第二カーテン2に色柄を備えた薄地の生地を使用して第一カーテン1の色柄との重ね合せによる相乗効果で別の異なる色柄を表出するようすることもできる。そして、図2に示すように、第二カーテン2のみ横引きして折り畳まれた開いた状態にすれば、第一カーテン1の色柄全体が直接表出するようになる。
【0018】
図3は、第一カーテン1の表側から見た図(図3(a))及び裏側から見た図(図3(b))である。第一カーテン1は、従来のカーテンと同様に厚地の生地を用いて裁断及び縫製されており、上縁部1aには、表側に帯状のレール部材3が取り付けられ裏側に公知のカーテンフック10が複数取り付けられている。
【0019】
レール部材3は、合成樹脂製の透明なシート材からなり、上縁部1aの横方向の全長にわたって取り付けられている。レール部材3の両側縁部及び下縁部が上縁部1aに縫製等により固定されており、カーテンの芯地として兼用することもできる。レール部材3の上縁部には第二カーテン2のカーテンフックが係合して摺動可能に支持するため、レール部材3は第二カーテン2を支持可能な強度を備えている。また、カーテンフックの係合によるレール部材3の上縁部の歪みを抑えるために、周縁部以外の箇所に適宜上下方向又は横方向に縫い付けるようにしてもよい。強度を高めるために、下半部に別途シート材を重ね合わせて固定するようにしてもよい。
【0020】
また、第一カーテン1が横引きにより折り畳まれる際にレール部材3を折り畳み可能とするために、折り目となる部分の下半部を縫い付けたり、切り込みを入れるようにすることもできる。上下方向の折り曲げに対しては硬く、左右方向の折り曲げに対しては柔かい素材であれば、レール部材として使用できる。
【0021】
図4は、第二カーテン2の表側から見た図(図4(a))及び裏側から見た図(図4(b))である。第二カーテン2は、従来のカーテンと同様にレース地のような薄地の生地を用いて裁断及び縫製されており、上縁部2aには、裏側に公知のカーテンフック20が複数取り付けられている。
【0022】
図5は、レール部材3に第二カーテン2のカーテンフック20を係合して支持した状態を示す一部拡大斜視図であり、図6は、図5におけるA−A断面図である。第一カーテン1の上縁部1aの裏側にはカーテンフック10を装着する筒状の係合孔部1bが形成されており、S字状に折り曲げられたカーテンフック10の一方の端部11が係合孔部1bに下から上に貫通するように挿着される。そして、カーテンレール4には、摺動可能に支持部材40が収容されており、支持部材40に取り付けられた係合リング41にカーテンフック10の屈曲部が係合している。こうしたカーテンの吊り下げ構造は公知のものであるが、第一カーテン1の吊り下げ構造としてはこれ以外の公知のものを用いてもよい。
【0023】
第一カーテン1の表側には合成樹脂製の透明なシート材からなるレール部材3が取付固定されている。レール部材3は、その下縁部及び左右の側縁部が縫い付けられて固定されており、上縁部のみ縫い付けられずに開放した状態とされている。
【0024】
第二カーテン2の上縁部2aの裏側にはカーテンフック20を装着する筒状の係合孔部2bが形成されており、S字状に折り曲げられたカーテンフック20の一方の端部21が係合孔部2bに下から上に貫通するように挿着される。そして、カーテンフック20の屈曲部がレール部材3の上縁部に引っ掛けるように係合して第二カーテン2が吊り下げられる。
【0025】
レール部材3の上縁部は、第二カーテン2の重量により変形するものの上縁部が極端に歪むことはなくカーテンフック20がスムーズに摺動することができる。したがって、第二カーテン2のみを横引きして容易に開閉することが可能となる。そして、第一カーテン1に対して第二カーテン2を近接させて重ね合わせることができ、両者の重ね合せによる第一カーテン1の色柄の変化を表出させることが可能となる。
【0026】
図7は、第二カーテン2を吊り下げるカーテンフック20の変形例に関する断面図である。図7(a)では、カーテンフック20’はU字状に湾曲し、その両端部21’及び22’の先端はさらに内側に折れ曲るように湾曲形成されている。そして、レール部材3の上部は、第一カーテン1側が下部よりも厚く形成されて段差部3aが形成されている。
【0027】
カーテンフック20’は、レール部材3の上部を跨ぐように取り付けられる。一方の端部21’は第二カーテン2の係合孔部に挿着され、その先端が上方に湾曲して係合孔部の下端部に係合してしっかりと第二カーテン2を支持するようになる。また、他方の端部22’は、その先端が上方に湾曲して段差部3aに係合するようになっている。そして、段差部3aに係合した状態でカーテンフック20’がレール部材3の上部を摺動し、安定した状態で第二カーテン2の開閉動作を行なうことができる。
【0028】
図7(b)では、カーテンフック20”が「の」字状に湾曲形成され、上方に折れ曲るように形成された一方の端部21”が第二カーテン2の係合孔部を貫通して挿着される。そして、下方に延設された他方の端部22”は、レール部材3の上部に跨ぐように取り付けられて、レール部材3の上部を摺動するようになっている。
【0029】
なお、以上説明した例では、第二カーテンの上縁部に別のレール部材を固定して別のカーテンを摺動可能に取り付けることで簡単に多重化していくことができる。また、第一カーテンの上縁部を広幅にして複数のレール部材を固定して複数のカーテンを摺動可能に取り付けることでも簡単に多重化することが可能である。そして、多重化されたカーテンを別々に横引きして開閉することができ、カーテンの組合せによる色柄のバリエーションを大きくすることが可能となる。
【0030】
図8は、第一カーテン1及び第二カーテン2の両方を横引きして折り畳んだ開いた状態を示す斜視図である。この状態では、第一カーテン1の折り畳んだ状態と同様にレール部材3も折り畳まれた状態となっている。したがって、従来の二重カーテンと同様の開閉動作を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係る実施形態に関する外観斜視図である。
【図2】図1に示す実施形態において第二カーテンが開いた状態を示す外観斜視図である。
【図3】第一カーテンを表側及び裏側から見た図である。
【図4】第二カーテンを表側及び裏側から見た図である。
【図5】レール部材に第二カーテン2を支持した状態を示す一部拡大斜視図である。
【図6】図5のA−A断面図である。
【図7】第二カーテンを吊り下げるカーテンフックの変形例に関する断面図である。
【図8】第一カーテン及び第二カーテンを横引きして開いた状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0032】
1 第一カーテン
2 第二カーテン
3 レール部材
4 カーテンレール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吊下げ用係合部材を上縁部に設けた第一カーテンと、前記上縁部に取り付けられたレール部材と、前記レール部材に摺動可能に係合する吊下げ用係合部材を上縁部に設けた第二カーテンとを備えていることを特徴とする多重カーテン。
【請求項2】
前記レール部材は、前記上縁部の長手方向に沿って取り付けられた帯状シート材からなることを特徴とする請求項1に記載の多重カーテン。
【請求項3】
前記レール部材は、前記帯状シート材の上縁部に前記第二カーテンの前記吊下げ用係合部材が摺動可能に係合することを特徴とする請求項2に記載の多重カーテン。
【請求項4】
前記第二カーテンは、前記第一カーテンの色柄を透視可能な生地材料からなることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の多重カーテン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−183369(P2009−183369A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−24491(P2008−24491)
【出願日】平成20年2月4日(2008.2.4)
【出願人】(395003648)株式会社カズマ (5)
【Fターム(参考)】