説明

多重レーザトリガリングシステム及び方法

蛍光標識粒子(38)の放射を測定するシステムは、サイトメトリー用のフロー・チャンバーと、複数の励起光源(32)と、複数の散乱光デテクタと、該複数の散乱光デテクタに接続されるトリガ(60)と、集光光学系(120)と、少なくとも1個の蛍光デテクタと、積分器(118)とを含み、前記散乱光デテクタのそれぞれは複数の励起光源(32)のうちの1個だけからの光を検出するように設計され、粒子(38)からの散乱光を検出するように配置され、前記トリガ(60)は、前記散乱光デテクタのうちの1個に投射される散乱光が予め定められた閾値を超えるとき、信号を発生し、前記少なくとも1個の蛍光デテクタは、集光光学系(120)によって集光された発光を受光し、出力を発生するためのものであり、該少なくとも1個の蛍光デテクタは不連続な波長の多数のバンドにだけ応答するように設計され、前記積分器(118)はトリガ(60)からの信号に応答して前記少なくとも1個の蛍光デテクタの出力を記録するためのものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フロー・サイトメトリー法に関し、より具体的には、フロー・サイトメトリー法における複数のレーザを用いるシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明に係る出願は、2004年1月23日に出願された、「多重レーザトリガリングシステム及び方法」という名称の米国特許出願第10/763,652号を基礎とする優先権を主張し、当該出願明細書の内容は引用によりその全体が本明細書に取り込まれる。
【0003】
図1に示す典型的なフロー・サイトメータ10では、サンプル粒子溶液12はシース液14と組み合わされる。前記粒子は蛍光標識される場合があり、細胞か、あるいは、ポリスチレンその他の材料でできたミクロスフェアかの場合がある。シース液14は、解析のためサンプル液12を含む粒子に水力学的に焦点が当たるようなやり方で流れる。サンプル液12を含む粒子と、シース液14とは流路16に沿って流れる。典型的にはレーザである励起光源18は、粒子12の内部又は表面に存在するいずれかのレポーター色素からの蛍光を誘発するように、前記粒子が流路16に沿って流れる際に前記粒子に合焦する。前記粒子からのいずれかの蛍光は前記レーザの光束に垂直に配置される集光光学系20を通じて捕捉され、光電子増倍管22を用いて検出される。
【0004】
前方散乱光(forward angle light scatter、FALS)デテクタ24は、典型的には光電子増倍管その他の光検出器であり、前記レーザ軸からほんの少しずらして配置され、前記粒子による散乱光を捕捉する。前記粒子の存在を示し、かつ、通常はデータ収集のトリガとなるのは、前記GALSデテクタ由来の信号である。前記FALSデテクタ信号の振幅が予め定められた閾値よりも大きく、粒子の存在を示すときには、データ収集電子機器がトリガされ、前記光電子増倍管によって発生した信号が、積分値及び/又はピーク値として取得される。
【0005】
1本のレーザだけのシステムについては、該レーザ光束の前記流路への整合と、散乱光を集光するための整合とは、簡単である。典型的には、整合は、FALS応答が最大になるように前記レーザ光束の位置を調整し、その後、蛍光信号が最大になるように集光光学系を調整することを含む。以下の特許文献1に例示されており、特許文献1の全内容は引用によって本明細書に取り込まれる。
【特許文献1】米国特許第4,038,556号明細書
【0006】
多重化を容易にするために、粒子は1個または2個以上の励起光源によって励起される必要がある1個または2個以上エンコード色素を含む場合がある。複数の励起光源を使用することは、全ての励起光源が集光光学系に対して整合される必要があるため、複雑さのレベルを増大するのが一般的である。
【0007】
1つの解決策は、励起光源を、フロー・チャンバー内の同じ点に合焦するように整合することである。励起光源は共線的である場合もそうでない場合もあるが、検出ゾーンでは一致するべきである。前記励起光源同士の整合は、フロー・チャンバーを粒子が通過する際の各励起光源からの前方散乱信号をオシロスコープを用いて観察することによっって実行されるべきである。前記励起光源の位置は、前記励起光源からの前方散乱が時間的に一致するまで調整される。これは、前記励起光源がフロー・チャンバー内で同じ場所で粒子を照射する結果になる。この調整は、非常に手間と時間がかかることがしばしばであり、前記励起光源の相対的な整合のずれが1個または2個以上蛍光チャンネルの信号の低下につながる場合がある。
【0008】
各粒子が各励起光源を順次通過するように励起光源を分離することが望ましいことがしばしばある。励起光源の分離は、信号を粒子から空間的に分離することにつながり、この空間的な分離は別々の励起光源に対する前記粒子の特異的な応答を捕捉することを容易にする。しかし、励起光源の分離は、前記信号が時間的に分離されるために、複雑さを増大させる。分離されたレーザを採用するシステムの例は、特許文献2に開示されるが、特許文献2は引用により本明細書に取り込まれる。
【特許文献2】米国特許第4,243,318号明細書
【0009】
ゲーテッドアンプ又はディレイラインの使用のような時間的な分離に対する代替的な解決策は、励起光源の相対的な分離の知識が既にあることを要求し、実験の途中で励起光源又はコア速度ドリフトについて較正することができない。代替的な解決策の例は、特許文献3ないし5と、ベックマン・コールターEPIC750及びベックマン・コールターELITEのマニュアルとに示され、これらは引用により本明細書に取り込まれる。
【特許文献3】米国特許第5,528,045号明細書
【特許文献4】米国特許第5,682,038号明細書
【特許文献5】米国特許第5,880,474号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、2個または3個以上の励起光源をフロー・チャンバー内の粒子と整合する改良された方法の必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
発明の概要
よって、本発明は、蛍光標識粒子の発光を測定するシステムに向けられる。前記システムは、蛍光標識粒子が通過するための流路を有するサイトメータ用フロー・チャンバーを含む。前記システムは、複数の励起光源を有し、該励起光源のそれぞれは前記サイトメータ用フロー・チャンバーに投射される光束を発する。複数の散乱光デテクタが前記サイトメータ用フロー・チャンバーの流路と光学的に連絡し、それぞれが前記複数の励起光源のたった1つからの光を検出するように構成され、前記蛍光標識粒子が前記サイトメータ用フロー・チャンバーの流路を通過する際に該蛍光標識粒子からの散乱光を検出するように配置される。
【0012】
トリガが前記複数の散乱光デテクタに接続される。前記トリガは前記散乱光デテクタの1つに投射される散乱光が予め定められた閾値を超えるときに信号を発する。集光光学系は前記サイトメータ用フロー・チャンバーの流路と光学的に連絡し、前記蛍光標識粒子からの発光を集光する。
【0013】
少なくとも1個の蛍光デテクタが前記集光光学系によって集光された発光を受光して、出力を発生する。前記少なくとも1個の蛍光デテクタは、不連続な(discrete)波長のバンドにだけ応答するように設計される。電子積分器は、前記トリガからの信号に応答する前記少なくとも1個の蛍光標識デテクタの出力を記録するために、前記トリガと、前記少なくとも1個の蛍光標識デテクタとに接続される。
【0014】
さらに、本発明は、複数の色素を有する粒子の蛍光を測定する方法に向けられる。前記方法は、第1励起光源で粒子に呼びかける(interrogate)ステップと、第1励起光源由来の光だけを検出するように設計された散乱光デテクタを用いて、第1励起光源を用いる前記粒子への呼びかけを検出するステップと、前記粒子が第1励起光源によって呼びかけられていることを検出するとき、蛍光デテクタを用いて前記粒子によって発光されるいかなる蛍光をも検出するステップとを含む。
【0015】
さらに、前記方法は、第2励起光源を用いて粒子に呼びかけるステップと、第2励起光源由来の光だけを検出するように設計された散乱光デテクタを用いて、第2励起光源を用いて粒子への呼びかけを検出するステップと、前記粒子が第2励起光源によって呼びかけられていることが検出されるとき、蛍光デテクタを用いて前記粒子によって発光するいかなる蛍光をも検出するステップとを含む。
【0016】
さらに、本発明による蛍光標識粒子の発光を測定するシステムは、複数のトリガを有する場合があり、該複数のトリガのそれぞれは別々の散乱光デテクタに連結される。前記システムは、複数の蛍光デテクタを有する場合もある。複数の積分器が前記複数のトリガと連結される場合があり、各積分器は1つのトリガからの信号に応答する、前記複数の蛍光デテクタのうちの少なくとも1個の出力を記録するように設計される。選択的には、前記システムは、前記複数の積分器及び前記複数のトリガに連結されたコントローラを有し、該コントローラは、異常データが取得されることを阻止するために、前記複数の積分器および前記複数のトリガを制御するようにプログラムされる。
【0017】
発明の詳細な説明
本発明は、フロー・サイトメトリーと同時に使用されるのが典型的である。フロー・サイトメトリーでは、粒子が一列になってフロー・チャンバーの検出領域を通過する際に、1個または2個以上の励起光源が該粒子に呼びかけるために用いられる。サンプル粒子は励起光源によって励起される蛍光レポーター色素を含む及び/又は該蛍光レポーター色素でコーティングされるミクロスフェアの場合がある。典型的には、前記ミクロスフェアは直径0.5ないし10μmのポリスチレン粒子である。
【0018】
前記励起光源は、ダイオードレーザ、固相レーザ、ガスレーザ、色素レーザ、アーク灯その他の当業者に知られた光源の場合がある。例えば、532nmレーザは、フィコエリスリン(PE)、CY3及びDBCY3色素のような色素の蛍光を約550ないし620nmで励起するのに用いられる場合があり、635nmレーザはスクアリン及びシアニン色素のような色素の蛍光を約650nmないし750nmで励起するのに用いられる場合がある。488nmで発光する第3のレーザが含まれる場合もあり、本明細書に開示される発明は4個又は5個以上のレーザに拡張することは容易である。使用されるかもしれない追加の色素は、フルオレセイン、Alexa532及びAlexa633を含む。使用されるかもしれない追加の励起光源の波長は、650nm及び750nmを含む。
【0019】
励起される蛍光は蛍光デテクタによって検出される。典型的には、蛍光デテクタは光電子増倍管その他の当業者に知られたデテクタである。前記蛍光デテクタは時間ある時間窓の中で蛍光デテクタによって生じる信号を収集する積分器に連結されるのが典型的である。積分器は、蛍光デテクタによって受光された信号全てを積分するのに用いられる場合があるだけではなく、該蛍光デテクタによって受光されたピーク又は最大強度を記録するためにも用いられる場合がある。
【0020】
本発明では、2個または3個以上の散乱光デテクタで散乱光を捕捉することによって、2個または3個以上の励起光源を整合しその整合を維持する必要性が最小になる。各散乱光デテクタは光ダイオードその他の既知のデテクタを有するのが典型的である。バンドパスフィルタが各光ダイオードの前に設置されて、1個の励起光源だけからの光が該光ダイオードに到達することを可能にする。したがって、散乱光デテクタが散乱光を検出するとき、調査対象の粒子が特定の励起光源からの光束の光路に存在することがわかる。前記散乱光デテクタの信号が特定の励起光源と連携する蛍光デテクタからのデータ取得をトリガする場合がある。代替的には、前記散乱光デテクタの信号が全ての蛍光デテクタからのデータ取得をトリガする場合がある。典型的には、データ処理は前記信号がディレイラインを通過した後で行われる。前記ディレイラインの使用は米国特許第 5,367,474号明細書に説明され、該明細書の内容は引用により本明細書に取り込まれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図2ないし9は、本発明の1つの実施態様によるフロー・サイトメータ30を示す。3個の励起光源32、34、36は、それぞれが流路40に沿った異なる点で粒子38に呼びかけるように、合焦する。散乱光センサとして機能する3個の光ダイオード42、44、46は順番に配置される。各光ダイオードは別々のバンドパスフィルタ48、50、52と光学的に連結され、前記励起光源のうち1個だけからの光を前記光ダイオードに透過させることを可能にする。さらに、光ダイオード42、44、46のそれぞれの前に配置され、該光ダイオードによって検出される散乱光を集光する、別々の集光レンズ54、56、58を有する。光学的には、光束ダンプ(dump、図示されない)が散乱しない励起光源光束のそれぞれをブロックして、該光束が前記集光レンズに入らないように阻止する。前記光ダイオードはトリガ60と電気的に接続される。トリガ60は積分器62と電気的に接続される。積分器62は複数の蛍光デテクタ(図示されない)と電気的に接続される。前記蛍光デテクタは前記励起光源光束の直接の光路の外になるように配置される。各光ダイオードは別々のトリガに接続され、該トリガのそれぞれは別々の積分にに接続され、該積分器のそれぞれは別々の蛍光デテクタに接続される場合がある。
【0022】
図2及び3において、流路40を通って流れる粒子38は第1励起光源32からの光束64を横切る。第1励起光源32の波長の光のみを検出するように第1バンドパスフィルタ48とともに設計される第1光ダイオード42は散乱光を検出する。検出される散乱光の量が予め選択された閾値より高い場合には、トリガ60が積分器62をトリガして第1励起光源32によって励起された色素に係る蛍光デテクタからの信号を積分させる。第2及び第3励起光源34、36からの散乱光を検出するように設計された第2及び第3光ダイオード44、46はいかなる光も検出しない。
【0023】
図4及び5では、粒子38は第2励起光源34からの光束66を横切る。第2の励起光源34の波長の光しか検出しないように第2バンドパスフィルタ50とともに設計される第2光ダイオード44が散乱光を検出する。検出される散乱光の量が予め選択された閾値よりも高い場合は、トリガ60が積分器62をトリガして第2励起光源34によって励起される色素に係る蛍光デテクタからの信号を積分させる。第1および第3励起光源32、36からの散乱光を検出するように設計される第1および第3光ダイオード42、46はいかなる光も検出しない。
【0024】
図6及び7では、粒子38は第3励起光源36からの光束68を横切る。第3励起光源36の波長の光だけを検出するように第3バンドパスフィルタ52とともに設計される第3光ダイオード46は散乱光を検出する。検出される散乱光が予め選択される閾値より高い場合は、トリガ60が積分器62をトリガして第3励起光源36によって励起される色素に係る蛍光デテクタからの信号を積分させる。第1および第2励起光源32、34からの散乱光を検出するように設計される第1および第2光ダイオード42、44はいかなる光も検出しない。
【0025】
前記励起光源は前記流路の異なる部分に合焦する必要はない。バンドパスフィルタは各光ダイオードが1個の励起光源からの光だけを検出できるようにするため、前記積分器を適切にトリガすることが可能になる。重複が起こるときには、散乱光が2個または3個以上の光ダイオードによって検出され、適切な蛍光デテクタでの積分を開始させる。
【0026】
図8及び9に示すとおり、本発明の第1の追加の実施態様では、粒子38は第2及び第3励起光源34、36からの交差する光束66、68を横切る。第2励起光源34の波長の光のみを検出するように設計された第2光ダイオード44が散乱光を検出し、第2励起光源34によりトリガされる蛍光色素に係る蛍光デテクタによって積分をトリガする。
【0027】
同時に、第3励起光源36の波長の光のみを検出するように設計された第3光ダイオード46が散乱光を検出し、第3励起光源36によってトリガされる蛍光色素に係る蛍光デテクタによって積分をトリガする。第1励起光源32からの散乱光を検出するように設計された第1光ダイオード42はいかなる光も検出せず、第1励起光源32に対応する蛍光デテクタによって積分をトリガしない。
【0028】
好ましくは、前記レーザ光束は前記流路との交点では楕円形をしている。前記楕円形光束の長径と短径とのアスペクト比は、約10対1で、前記楕円の短径がサンプルの流れの軸を横切るように配向する。短径は約8ミクロンで、長径は約80ミクロンである。好ましくは、前記光束が重複しない範囲でできるだけ流路に沿って互いに近づくような間隔で配置される。前記光束間の間隔は約30乃至50ミクロンであることが好ましい。
【0029】
図10及び11は、本発明の第2の追加の実施態様による散乱光デテクタの配置を示す。フーリエレンズとして作用する1個の大開口数凸レンズ69が3個の励起光源全てからの散乱光を集光する。前記レーザ光束は前記レンズの前方に配置される1個の光束ダンプ(図示されない)によってブロックされる。3個の光ダイオード70、72、74が前記レンズの光軸からほぼ等距離に配置される。光ダイオード70、72、74は、前記レンズから焦点距離1つ分離れ、前記レンズの光軸に垂直な面に配置される。前記光ダイオードの面では、前記粒子によって散乱された光の光学的フーリエ変換が行われる。この変換は、散乱光の強度対散乱角を光の強度対前記レンズの光軸からの距離に転換する。この変換は光源の場所には無関係である。各光ダイオードは約+/− 1°から約+/− 19°までの広い角度範囲にわたる光を捕捉し、電子信号は粒径とともに単調増加する。
【0030】
選択的には、1個の光ダイオード70が他の光ダイオード72、74のいずれかの面積のほぼ2倍である。面積の差が励起波長とともに変化する前記光ダイオードの感度を補償するのに役立つ。前記光ダイオードは青色の波長の励起光には感度が低く、励起光が赤色及び赤外の波長に移るにつれて感度が上がる。さらに、より小さい前記2個の光ダイオード用のプリアンプの利得が感度の差をさらに補償するために調整される場合がある。前記調整の目的は、ある一定の粒径の粒子について各ダイオードからほぼ同じ振幅の信号を得ることである。
【0031】
各光ダイオードの前には光学フィルター76、78、80があって、前記3個の励起光波長のうち1個だけしか該光ダイオードには到達しないようにしている。各光ダイオードデテクタ70、72、74からの出力は、各信号が独立のトリガとして作用することができるように、トリガ(図示されない)として作用する分離された信号処理基板に供給される。さらに、3個の光ダイオード70、72、74全てからの出力信号は互いに加算されて、得られた複合信号が1個の表示用スコープチャンネル(scope channel for display)に供給される場合がある。
【0032】
各信号処理基板は、前記光ダイオードからの出力が予め定められたトリガのレベルに達したかどうかを決定するために該出力をテストする。前記光ダイオードからの出力が予め定められたトリガのレベルより高い場合には、前記信号処理基板は、適当な前記蛍光デテクタから受信した信号を積分するように積分器(図示されない)に指示する。
【0033】
いったんトリガされると、前記積分器は予め選択された最低時間の間検出されたいかなる信号をも積分する場合がある。信号処理基板は、前記出力が前記予め定められたトリガのレベルより低くなるまで、前記トリガ光ダイオードからの出力をテストし続ける。いったん前記トリガ光ダイオードからの出力が予め定められたトリガのレベルより低くなると、前記信号処理基板は、積分を停止するように前記積分器に指示する。
【0034】
図12に示す本発明の第3の追加の実施態様では、光ファイバ束82が前記散乱光デテクタを形成するために用いられる。34個のレーザ84、86、88が励起光源として用いられる。光ファイバ束82は、3組の異なる光ファイバ90、92、94を含む。光ファイバ90、92、94のそれぞれは3個のレーザ84、86、88の1つに対応する。光ファイバ90、92、94のそれぞれは別々の光ダイオード96、98、100に向けられる。光ダイオード96、98、100のそれぞれは前記3個のレーザの1つからの光を検出する役割を担う。前記光ダイオードはフーリエレンズとともに用いられる場合もあれば、フーリエレンズとともには用いられない場合もある。
【0035】
光ダイオード96、98、100のそれぞれの前にはバンドパスフィルタ102、104、106があって、1個の波長の光だけが光ダイオード96、98、100に伝送されるようにする。図12に示すように、光ファイバ束82は、光ファイバが2本置きに(every third fiber)同じ組のメンバーにあって、同一の光ダイオードに接続するように、配置される場合がある。前記励起光源の相対位置はわかっているため、実験ごとの励起光源の位置の小さな変動は許容される場合がある。
【0036】
本発明は、少数の蛍光デテクタでも実施可能である。典型的には、検出されるべき異なる色素のそれぞれについて1個の独立した蛍光デテクタが使われる。各蛍光デテクタの前にはフィルターがあって、特定の色素の波長を有する光だけを透過させる。
【0037】
典型的には、2個の異なる励起光源を有するシステムであって該励起光源のそれぞれが1個の粒子上の2個の異なる色素を励起するシステムでは、4個の異なる蛍光デテクタが必要である。粒子が第1励起光源の前を通過するとき、第1励起光源によって励起される色素に係る2個の蛍光デテクタは積分を開始する。同様に、前記粒子が第2励起光源の前を通過するとき、第2励起光源によって励起される色素に係る2個の蛍光デテクタは積分を開始する。
【0038】
本発明は、どの励起光源がある時点で粒子に呼びかけているのかを知るために、各励起光源に特異的な散乱光デテクタを用いる。さらに、本発明は、必要な蛍光デテクタの数を減らすために、各蛍光デテクタと連係する多帯域バンドパスフィルタを用いる。
【0039】
本発明の第4の追加の実施態様が図13に示される。図13に示すとおり、蛍光デテクタと連係する多帯域バンドパスフィルタを用いる代表的なシステムは、流路110内の粒子108に合焦した2個の励起光源106を有する。この実施態様では、前記2個の励起光源はレーザである。一方のレーザは波長532nmで他方のレーザは波長635nmである。前記2個のレーザ波長のうちの1個に対応する別々のバンドパスフィルタ114にそれぞれ接続される2個光ダイオード112が、散乱された励起光を受光するように配置される。各光ダイオードは積分器118に電気的に接続されたトリガ116に電気的に接続される。選択的には、コントローラ119がトリガ116及び積分器118に接続される。図13では、流路110は紙面に垂直に配向されることに留意せよ。したがって、2個の励起光源106、光ダイオード112、バンドパスフィルタ114、トリガ116及び積分器118のうちそれぞれ1個ずつしか図示されない。
【0040】
粒子に係る色素によって発光した蛍光は蛍光集光光学系120によって集光される。第1光電子増倍管122及び第2光電子増倍管124が蛍光デテクタとして用いられる。第1および第2光電子増倍管122、124は積分器118に電気的に接続され、50/50ミラー126を挟んで90°の角になるように配置される。50/50ミラー126は、投射光の50%を反射し、投射光の50%を透過するように設計される。
【0041】
第1光電子増倍管122は第1二帯域バンドパスフィルタ128に接続される。第2光電子増倍管124は第2二帯域バンドパスフィルタ130に接続される。二帯域バンドパスフィルタ128、130のそれぞれは、前記2個のレーザのそれぞれによって励起される1個の色素から発光される光を透過するように設計される。
【0042】
この実施態様では、各粒子は、532nmの励起光に対して575nm及び605nmで発光するフィコエリスリン(PE)と、635nmの励起光に対して660nmで発光するスクアレン色素BCD646と、635nmの励起光に対して780nmで発光するシアニン色素BCD676という、3種類の色素を有する。当業者によって理解されるように、他の色素が上記に列挙した色素の代わりに用いられる場合がある。
【0043】
第1二帯域バンドパスフィルタ128は532nmの励起光由来の575nmの光と、635nmの励起光由来の660nmの光とを透過する。第2二帯域バンドパスフィルタ130は、532nmの励起光由来の605nmの光と、635nmの励起光由来の780nmの光とを透過する。当業者により認められるとおり、他の励起光源/発光の組み合わせも可能である。
【0044】
前記レーザは、手作業又は自動で該レーザを再定位して前方散乱検知用の光ダイオードを監視することによって、互いから空間的にオフセットを有するように配置される。前記レーザは、2個の光ダイオード112が時間的に一致しないときに、空間的にオフセットを有するように配置されるといえる。
【0045】
前記光ダイオードは、現在どのレーザが粒子を照射しているかを示すため、各光電子増倍管からの反応は特定の色素に割り当てられる場合がある。例示の目的のために、前記粒子は最初に前記532nmレーザに応対し(address)、それから、前記635nmレーザに応対する。しかし、当業者に了解されるとおり、順番は使用前にわかっている必要はない。
【0046】
前記532nmのバンドパスフィルタを有する光ダイオードが反応を検出するとき、粒子108は532nmレーザの前にある。応対させられる色素はPEで、575nm及び605nmで発光する。これら2個のチャンネル由来の蛍光が発光の大部分を占める。第1および第2光電子増倍管の両方からの出力が積分されPEに割り当てられる。
【0047】
粒子108が流路110を継続して流れていく際に、該粒子は前記635nmレーザに到達し、635nmバンドパスフィルタを有する光ダイオードは前記光電子増倍管からの信号の積分をトリガする。応対させられる2個の色素は今度はBCD646及びBCD676である。第1光電子増倍管からの出力はBCD646に割り当てられ、第2光電子増倍管からの出力はBCD676に割り当てられる。実際には、前記蛍光デテクタと組み合わされた前記散乱光検知光ダイオードは、各光電子増倍管からの積分情報が、どのレーザが前記粒子に呼びかけるかに基づいて動的に割り当てられることを可能にする。
【0048】
粒子が励起光の光路を横切るとき、散乱が該粒子から多くの向きに発生する。前方角散乱が優占的であるが、かなりの量の散乱が前記励起光の方向に直交して発生する。
【0049】
図14に示される第5の追加の実施態様では、散乱光デテクタが側方散乱光を集光するように配置される。この実施態様では、レーザのような励起光源が2個ある。励起光106は流路110内の粒子108に合焦する。前記粒子に連係する色素によって発光する側方散乱光および蛍光は蛍光集光光学系120によって集光される。図14では、流路110は紙面に対して垂直に配向している点に留意せよ。したがって、2個の励起光源106のうち1個だけしか図示されない。
【0050】
前記集光光学系を出る光路に対して約45°に配置される第1ガラス片132は、ほぼ4%のような少量の光を反射する。前記反射光は、前記2個のレーザのうちの1個だけからの光を伝導するように設計された、第1光フィルター136を透過する。第1光フィルター136を透過した前記反射光は、その後、光電子増倍管又は光ダイオードのような第1光デテクタ140によって検出される。
【0051】
第1ガラス片132を透過した光は、前記集光光学系を出る光路に対して約45°に配置される第2ガラス片134を投射する。第2ガラス片134はほぼ4%のような少量の光を反射する。第2ガラス片134から反射した光は、他方のレーザからの光を伝導するように設計された第2光フィルター138を透過する。第2光フィルター138を透過した反射光は、その後、光電子増倍管又は光ダイオードのような第2光デテクタ142によって検出される。
【0052】
第1および第2光ダイオード140、142からの出力は、各レーザと連係する蛍光デテクタ144に接続される積分器(図示されない)のためのトリガとして機能する信号処理基板に送られる。選択的には、コントローラ(図示されない)が前記信号処理基板及び積分器に接続される。
【0053】
本発明の発想は監視される色素がより多くの数の場合に拡張できる。Xがシステム内のいずれか1個のレーザによって励起される色素の最大数の場合には、X個のデテクタが必要で、レーザの数をYとするとき、最大Y個の透過帯域数を含むフィルターが各デテクタの前にある。例えば、全部で15個の色素と3個のレーザとがあり、各レーザによって5個の色素が励起される場合には、5個のデテクタが用いられ、各デテクタは3個の透過帯域数を有する多帯域バンドパスフィルタに接続される。
【0054】
本発明はレーザが良好な蛍光情報を得るために整合できる範囲を増加するが、該範囲は限度がある。前記限度は、蛍光集光光学系の視野領域が主な原因である。典型的には、前記蛍光集光光学系は粒子からの蛍光発光を集光し、その後、数百ミクロンの幅のピンホールを通る蛍光発光を合焦して、蛍光発光を前記蛍光デテクタにコリメートする。前記ピンホールは散乱光を空間的にフィルター処理して除外するために存在する。蛍光が前記光学系が集光して前記ピンホールを通って伝導することができる範囲を超えるように前記励起光源が移動する場合には、集光効率が低下して、蛍光強度が減衰する。この限度は、前記ピンホールを垂直なスリットに置き換えることによって幾分減少する場合がある。前記光学系が集光し伝導する範囲は前記粒子の流れに沿って拡張する。
【0055】
空間的に分離した励起光源からの独立したトリガが用いられるときにある種の条件が制御されない場合には、異常なデータが取得される場合がある。これらの異常には複数の原因があり、正確なデータを保証するために前記トリガからの信号を処理するコントローラによって制御可能である。
【0056】
異常データの第1の原因は、トリガ信号が前記励起光源のうちの1個からは発生するが他の励起光源のいずれからも発生しないときに起こる。これは、1個の散乱光デテクタに対応するトリガによる信号は予め定められた閾値を超えるに十分な振幅があるが、全ての散乱光デテクタからの信号はそれぞれについて予め定められた閾値を超すには不十分なときに発生する。第1の異常データの原因を防止する第1の方法は、前記散乱光デテクタ信号の振幅に対して前記トリガ閾値を可能な限り低く保つことである。しかし、デブリ、光学的なノイズ及び電子的なノイズからスプリアスなトリガ信号を防止するようにバックグランドのノイズレベルより上に前記予め定められた閾値を保つべきであるから、このアプローチには限界がある。
【0057】
異常データの第1の原因を防止する第2の方法は、ある「イベント」を開始させて、それから、該「イベント」信号を用いて次のトリガを可能にするために、第1のトリガ閾値を超えるのに十分な振幅の散乱光デテクタ信号を要求することである。この方法を用いると、タイムアウト手段も用意すべきであるが、該タイムアウト手段は、次にトリガ閾値を超えることが1回または2回以上ない場合に前記「イベント」の持続時間を制限する。単純な実施態様では、単一のタイムアウト手段が前記「イベント」の開始によって始動し、前記要求されたトリガの全てが発生しない場合には、前記「イベント」の予想される終了時の少し後で計測終了になる。
【0058】
より複雑な実施態様では、前記タイムアウト手段は、2個の続いて起こるトリガの間の予想される時間より少し長い時間に設定されるべきであり、1個のトリガが起こらない場合には強制的にトリガを起こさせるべきである。複数の独立したトリガを有するシステムでは、このタイムアウト手段は独立のトリガの対の候補のそれぞれの間で再設定(reset)され再始動(rearm)されるべきである。この実施態様は、どのトリガが欠けているか見つけることを可能にする。いずれの実施態様においても、トリガ機能の強制は捕捉及び取得のサイクルの一体性を維持する。強制されたトリガを含むいずれかのデータフレームは、そのフレームが疑わしいデータを含む場合があり、最終的なデータセットには含まれるべきではないことを表すように印を入れるべきである。
【0059】
データが異常になる可能性の第2の原因は、データが取得される粒子の近傍を移動する第2の粒子が存在することである。この問題は、サンプル粒子の頻度が上昇するにつれて、深刻さが増大する。前記捕捉のプロセスのサイクル時間のために、2個の続いて起こるイベントの間には、該2個のイベントの両方が捕捉できない有限の距離があり、これが「ビジー」時間である。この「ビジー」時間のために、全ての「イベント」は、捕捉された「イベント」と、捕捉されなかった「イベント」という、2つのクラスに分けられる。「捕捉されなかったイベント」については、データが記録されないだけでなく、「捕捉されなかったイベント」からの信号の一部が「捕捉されたイベント」のための捕捉時間帯(capture window)に該当する場合には、「捕捉されたイベント」からのデータを汚す場合がある。
【0060】
データを汚す「捕捉されなかったイベント」は、「捕捉されたイベント」の前に起こるものと、「捕捉されたイベント」の後に起こるものという2つのクラスに分類される。前に起こる「捕捉されなかったイベント」は、それ以前に起こる「捕捉されたイベント」の「ビジー」時間内に起こるイベントである。前記トリガ及び積分器を含ま、捕捉システムがあるイベントの捕捉を終えて、再始動の準備ができる場合には、進行中の別のイベントがないことの決定が行われるべきである。前記捕捉システムがイベントの最中に再始動される場合には、サンプル粒子の位置が正確に決定できず、該粒子に関するデータは正確に捕捉できない。したがって、前記再始動のプロセスはイベントが進行中でないことを確認するために、前記トリガ信号をテストすべきである。
【0061】
前記捕捉システムが「捕捉されなかったイベント」の直後に再始動され、すぐ後に続く次のイベントによってトリガされる場合には、両方のイベントが前記捕捉時間帯の間に存在することがある。この問題を防止する1つの方法は、予め選択された遅延時間の分だけ先行するイベントの終了時を超えて延長される時間の間前記捕捉のプロセスの再始動を停止することである。前記予め選択された遅延時間は、例えば、前記捕捉時間帯の幅の約半分に等しい場合がある。全てのイベントが前記遅延時間を再設定し、改めて計時開始する(restart)。
【0062】
次に起こる「捕捉されなかったイベント」によるデータの汚れを検出し補償するために、前記捕捉システムは、前記「ビジー」時間の最中、追加のイベントがないかどうか前記トリガのプロセッサを調べる。追加のイベントが起こる場合には、前記「捕捉されたイベント」はデータが汚れている可能性があるとして印が付けられ、最終的なデータセットには含まれるべきでない。
【0063】
データが異常になる可能性の第3の原因は、「捕捉されなかったイベント」の粒子が存在することであって、該粒子は、前記捕捉された粒子と同じ捕捉時間帯にあるようには見えないくらい前記捕捉された粒子から離れていながら、次のトリガを早まってトリガさせるのに十分近い状態で移動する。この可能性を低くするために、前記タイムアウト手段は、予想されるトリガの時間を範囲とする実行可能時間帯(enabling window)を提供するように改変される。これは、トリガが前記捕捉された粒子からの信号に依存することを可能にする一方で、早まったトリガ発動を見分ける。前記実行可能時間帯が終了してもトリガが起こらない場合には、対応関係を維持するために、上述のとおり第1トリガが強制的に発動される。強制的に発動されたトリガを含むいずれかのデータフレームは、フレームが疑わしいデータを含むかもしれず、最終データセットには含まれるべきでないということを表す印を付けられるべきである。
【0064】
「捕捉されたイベント」を汚す可能性がある最後の原因は、捕捉のプロセスの最中ではあるが、異なるレーザ位置にある2個のイベントについて捕捉時間帯の重複がある場合である。この問題の可能性は、レーザ呼びかけポイントの数が増え、該呼びかけポイントの間の距離が広がり、サンプル粒子の頻度が増えると高まる。この問題の困難さは、異なる光学的測定チャンネル間の光学的な隔離の程度に依存する。2個または3個以上の捕捉時間帯の間で重複が起こったという事実は検出可能で、異常な結果になった可能性のフラグを立てるのに用いられる場合がある。
【0065】
不正確な捕捉となる可能性があるこれらの原因の全ては、異常なデータが取得されることを防止するために、トリガ信号を処理する電子回路によって検出され制御されるべきである。
【0066】
本発明は、2個または3個以上の励起光源からの光束がフロー・セル内の1点で交差する必要性を除去する。さらに、本発明は、他の励起光源によって励起された色素からの蛍光の干渉(クロストーク)を低減する。さらに、各励起光源が専用の位置センサーを有するため、励起光源の全体的な整合が制限的でない。より少ない数の光電子増倍管及び付随する電子回路とともに多帯域バンドパスフィルタを使用する結果、顕著なコスト及びスペースの節約になる。
【0067】
本発明は好ましい実施態様を参照してかなり詳細に説明したが、他の実施態様が想定できる。したがって、添付する請求の範囲の精神及び範囲は、本明細書に説明される好ましい実施態様の説明に限定されるべきではない。
【0068】
請求の範囲、要約及び図面を含む明細書に開示された全ての特徴と、開示されたいずれかの方法又は工程の全てのステップとは、かかる特徴及び/又はステップの少なくとも一部が相互に排除的である組み合わせを除いて、いかなる組み合わせで組み合わされる場合がある。請求の範囲、要約及び図面を含む明細書に開示されるそれぞれの特徴は、特記されない限り、同一、均等又は類似の目的に機能する代替的な特徴によって置換可能である。したがって、特記されない限り、開示されるそれぞれの特徴は、均等又は類似の特徴の一連の上位概念の一実施例に過ぎない。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】従来技術のフロー・サイトメトリーシステムのダイアグラム。
【図2】3個の励起光源を用いる本発明の1つの実施態様のフロー・サイトメトリーシステムのダイアグラムであって、前記3個の励起光源のうち第1励起光源からの光束を粒子が通過する、フロー・サイトメトリーシステムのダイアグラム。
【図3】図2のシステムの散乱光デテクタから受光する信号を示すグラフ。
【図4】図2のフロー・サイトメトリーシステムのダイアグラムであって、前記3個の励起光源のうち第2励起光源からの光束を粒子が通過する、フロー・サイトメトリーシステムのダイアグラム。
【図5】図4のシステムの散乱光デテクタから受光する信号を示すグラフ。
【図6】図2のフロー・サイトメトリーシステムのダイアグラムであって、前記3個の励起光源のうち第3励起光源からの光束を粒子が通過する、フロー・サイトメトリーシステムのダイアグラム。
【図7】図6のシステムの散乱光デテクタから受光する信号を示すグラフ。
【図8】3個の励起光源を用いる本発明の第1の追加の実施態様のフロー・サイトメトリーシステムを示すダイアグラムであって、第2及び第3励起光源は流路に沿って少し異なる点で交差する、フロー・サイトメトリーシステムを示すダイアグラム。
【図9】図8のシステムの散乱光デテクタから受光する信号を示すグラフ。
【図10】本発明の第2の追加の実施態様の散乱光デテクタの配置を示すダイアグラム。
【図11】図10の散乱光デテクタの側面図。
【図12】本発明の第3の追加の実施態様の散乱光デテクタの配置を示すダイアグラム。
【図13】複数の励起光源を用いる本発明の第4の追加の実施態様のフロー・サイトメトリーシステムを示すダイアグラム。
【図14】側方散乱光デテクタとして配置された、複数の励起光デテクタを用いる本発明の第4の追加の実施態様のフロー・サイトメトリーシステムを示すダイアグラム。
【符号の説明】
【0070】
10、30 フロー・サイトメータ
12 サンプル粒子溶液
14 シース液
16、40、110 流路
18、32、34、36 励起光源
20 集光光学系
22 光電子増倍管
24 前方散乱光(FALS)デテクタ
38、108 粒子
42 、44、46、70、72、74、96、98、100、112 光ダイオード
48、50、52、102、104、106、114 バンドパスフィルタ
54、56、58 集光レンズ
60、116 トリガ
62、118 積分器
64、66、68 光束
69 大開口数凸レンズ
76、78、80 光ファイバ
82 光ファイバ束
84、86、88 レーザ
90、92、94 ファイバの組
119 コントローラ
120 蛍光集光光学系
122 第1光電子増倍管
124 第2光電子増倍管
126 50/50ミラー
128 第1二帯域バンドパスフィルタ
130 第2二帯域バンドパスフィルタ
132 第1ガラス片
134 第2ガラス片
136 第1光ファイバ
138 第2光ファイバ
140 第1光デテクタ
142 第2光デテクタ
144 蛍光デテクタ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
サイトメトリー用フロー・チャンバーと、複数の励起光源と、複数の散乱光デテクタと、トリガと、集光光学系と、少なくとも1個の蛍光デテクタと、少なくとも1個の積分器とを含む、蛍光標識粒子の放射を測定するシステムであって、
前記サイトメトリー用フロー・チャンバーは、前記蛍光標識粒子が通るための流路を有し、
前記励起光源のそれぞれは、前記サイトメトリー用フロー・チャンバーに投射される光束を発光し、
前記散乱光デテクタは前記サイトメトリー用フロー・チャンバーの流路と光学的に連絡し、該散乱光デテクタのそれぞれは前記複数の励起光源のうち1個だけからの光を検出するように設計され、前記蛍光標識粒子が前記サイトメトリー用フロー・チャンバーの流路を通過する際に、該蛍光標識粒子からの散乱光を検出するように配置され、
前記トリガは前記複数の散乱光デテクタに接続され、該トリガは、前記散乱光デテクタのうち1個に投射される散乱光が予め定められた閾値を超えるとき、信号を発信し、
前記集光光学系は、前記蛍光標識粒子からの発光を集光するために、前記サイトメトリー用フロー・チャンバーの流路と光学的に連絡し、
前記少なくとも1個の蛍光デテクタは前記集光光学系によって集光された前記発光を受光して出力を発生するためのものであって、該少なくとも1個の蛍光デテクタは不連続な複数の波長のバンドにだけ応答するように設計され、
前記少なくとも1個の積分器は、前記トリガからの信号に応答する前記少なくとも1個の蛍光デテクタの出力を記録するために、前記トリガ及び前記少なくとも1個の蛍光デテクタに接続される、蛍光標識粒子の放射を測定するシステム。
【請求項2】
3個の励起光源と3個の散乱光デテクタとを含み、該散乱光デテクタのそれぞれは前記3個の励起光源のうち1個だけからの光を検出するように設計される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記3個の励起光源は前記流路に沿って配置され、前記3個の散乱光デテクタは各散乱光デテクタが前記3個の励起光源のうち異なる1個に対応するように設計される、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
バンドパスフィルタが各散乱光デテクタの前に配置され、該バンドパスフィルタは前記3個の励起光源のうち1個の波長だけが前記デテクタに到達することを許す、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記3個の励起光源は励起光の光軸の周りに配置され、
光ファイバ束が前記励起光の光軸を取り巻くように設計され、該光ファイバ束は3組の光ファイバを含み、該光ファイバの各組は前記3個の散乱光デテクタのうち異なる1個と光学的に接続される、請求項2に記載のシステム。
【請求項6】
前記複数の散乱光デテクタのそれぞれはバンドパスフィルタを含み、各バンドパスフィルタは1個の励起光源だけからの光が透過することを許す、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
少なくとも2個の励起光源が前記フロー・チャンバーの流路内に重複するように合焦する、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記複数の散乱光デテクタのそれぞれは光ダイオードを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記少なくとも1個の蛍光デテクタは光電子増倍管を含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記少なくとも1個の蛍光デテクタは少なくとも1個の透過帯域を有するフィルターを含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記複数の励起光源のうち少なくとも1個はレーザを含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記複数の励起光源は2個のレーザを含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項13】
予め定められた数のレーザと、少なくとも1個の蛍光デテクタとを含む、複数の色素を有する粒子の蛍光を測定するシステムであって、
(a)前記レーザの少なくとも1個は最大の個数の色素を励起し、
(b)前記蛍光デテクタのそれぞれは、
(i)光電子増倍管と、(ii)多重バンドパスフィルタとを含み、
該多重バンドパスフィルタは前記光電子増倍管と光学的に連絡し、該多重バンドパスフィルタは不連続な波長の多数のバンドを前記光電子増倍管に透過させ、前記バンドの数は前記予め定められた数のレーザの個数と同じかこれ未満かであり、
蛍光デテクタの個数は前記色素の最大の個数と等しい、複数の色素を有する粒子の蛍光を測定するシステム。
【請求項14】
(a)前記レーザの個数と等しい複数の散乱光デテクタと、(b)該散乱光デテクタと接続されるトリガと、(c)該トリガ及び少なくとも1個の蛍光デテクタと接続される少なくとも1個の積分器とを含み、
前記トリガは、前記散乱光デテクタのうちの1個に投射される散乱光が予め定められた閾値を超えるとき、信号を発生し、
前記積分器は、前記トリガからの信号に応答して、前記少なくとも1個の蛍光デテクタの出力を記録する、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
複数の色素を有する粒子の蛍光を測定する方法であって、
(a)第1励起光源で粒子に呼びかけるステップと、
(b)第1励起光源からの光だけを検出するように設計される散乱光デテクタを用いて、第1励起光源での前記粒子の呼びかけを検出するステップと、
(c)前記粒子が第1励起光源によって呼びかけられていることが検出されるとき、蛍光デテクタを用いて前記粒子によって発光されるいかなる蛍光をも検出するステップと、
(d)第2励起光源で粒子に呼びかけるステップと、
(e)第2励起光源からの光だけを検出するように設計された散乱光デテクタを用いて、第2励起光源での前記粒子の呼びかけを検出するステップと、
(f)前記粒子が第2励起光源によって呼びかけられていることが検出されるとき、蛍光デテクタを用いて前記粒子によって発光されるいかなる蛍光をも検出するステップとを含む、複数の色素を有する粒子の蛍光を測定する方法。
【請求項16】
(a)前記粒子が第1励起光源によって呼びかけられていることが決定されるとき、第1励起光源によって励起されることが知られている色素に検出された蛍光のいずれかを割り当てるステップと、
(b)前記粒子が第2励起光源によって呼びかけられていることが決定されるとき、第2励起光源によって励起されることが知られている色素に検出された蛍光のいずれかを割り当てるステップとを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記複数の蛍光デテクタのうちの少なくとも1個はフィルターを含み、該フィルターは、第1励起光源によって励起されると第1色素によって発光される光だけを透過し、第2励起光源によって励起されると第2色素によって発光される光だけを透過する、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
複数のトリガと、複数の蛍光デテクタと、複数の積分器とを含み、
該トリガのそれぞれは、前記複数の散乱光デテクタのうちの対応する独立した1個の散乱光デテクタに接続され、各トリガは、前記対応する散乱光デテクタに投射される散乱光が予め定められた閾値を超えるとき信号を発生し、
前記積分器のそれぞれは前記複数のトリガの内の対応する独立した1個のトリガに接続され、各積分器は、前記対応するトリガからの信号に応答する前記複数の蛍光デテクタのうちの少なくとも1個の出力を記録するように設計される、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
前記複数の積分器に接続されたコントローラを含み、該コントローラは、異常データが取得されることを防止するために、前記複数の積分器と、前記複数のトリガとを制御するようにプログラムされる、請求項19に記載のシステム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2007−519006(P2007−519006A)
【公表日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−551315(P2006−551315)
【出願日】平成17年1月21日(2005.1.21)
【国際出願番号】PCT/US2005/001996
【国際公開番号】WO2005/073694
【国際公開日】平成17年8月11日(2005.8.11)
【出願人】(591028256)ベックマン コールター インコーポレイテッド (24)
【氏名又は名称原語表記】BECKMAN COULTER,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】4300N.Harbor Boulevard Fullerton,California 92834−3100 U.S.A.
【Fターム(参考)】