説明

多重層巡回冗長検査コードを使用する無線通信装置

【課題】CRCチェックの両レベルにおいて検出されないエラーイベントを減らす。
【解決手段】
伝送ブロックに対し第1CRCパリティビットブロックを生成し伝送ブロックへの第1CRCパリティビットブロックを関連付ける第1CRC符号器と;関連付け後に伝送ブロックを複数のコードブロックに分けるセグメント化器と;それぞれコードブロックに対し第2CRCパリティビットブロックを生成しそれぞれコードブロックへの第2CRCパリティビットブロックを関連付ける第2符号器とを含む無線通信装置。第1及び第2CRCパリティビットブロックは第1及び第2生成多項式にそれぞれ基づく。第1生成多項式と第2生成多項式は異なりうる。伝送ブロックはセグメント化前にインターリーブされるか、コードブロックは第2CRCパリティビットブロックで符号化される前にインターリーブされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無線通信に一般に関する。より詳細には、本開示は周期冗長検査(CRC)コードの使用による、データ符号化に関する。
【背景技術】
【0002】
CRC符号化は、一般に無線通信システムにおいて送信されたデータのエラー検出を行なうために使用される。たとえば開発中の3GPP LTE規格は、伝送ブロック(TB)全体に基づき、24個のCRCパリティビットを生成することを提案している。伝送ブロックには24個のCRCパリティビットが付加され、その後この伝送ブロックは、複数のコードブロック(CB)に分けられる。LTEの提案によると、24個のCRCパリティビットは更にそれぞれコードブロック(CB)に基づき計算されて、対応するコードブロックに付加される。LTEの提案によると、伝送ブロックに基づくCRCパリティビットの生成において、ならびにコードブロックに基づくCRCパリティビットの生成において同じ生成多項式が使用される。第1伝送CRC符号化によって、受信機による残余エラー検出が容易になる。コードブロックのCRC符号化は、ターボ復号の処理数の削減、ターボ復号の反復数の削減、またはターボ復号器メモリの使用量の削減を行なうために、受信機によって使用されることが提案されている。このコードブロックはその後、送信前にターボ符号などによってチャネル符号化される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−180172号公報
【特許文献2】特開2003−243993号公報
【特許文献3】国際公開第2006/114855号
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Ericsson, et al.,Way forward for CRC attachment for turbo−coded transport channels,3GPP TSG RAN WG1 Meeting #50, R1−073843,2007年8月20日,URL,http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_50/Docs/R1−073843.zip
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
CRCチェックの両レベルにおいて検出されないエラーイベントを、減らす無線通信装置が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の様々な態様、特徴、および利点は、添付の図面を参照し以下の詳細な説明を十分に検討することによって、本技術分野の当業者に更に明らかになるであろう。図面は明確にするために簡素化されてもよく、必ずしも縮尺で描かれてはいない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】無線通信システムを示す概略図。
【図2】送信機を有する無線通信装置の、概略ブロック図。
【図3】受信機を有する無線通信装置の、概略ブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1において、無線通信システム100は、地理的領域に分散したネットワークを形成する1つ以上の固定ベースインフラストラクチャユニットを含む。基地局(ベースユニット)は、アクセスポイント、アクセス端末、Node−B、eNode−Bとして、または本技術分野において使用される他の用語で称されることもある。1つ以上の基地局101,102は、供給エリア(たとえばセル)内またはセルセクタ内の複数の遠隔ユニット103,110に対して機能する。遠隔ユニット103,110は、固定ユニットまたは携帯端末であってもよい。遠隔ユニット103,110は、加入者ユニット、移動局、ユーザ、端末、加入者ステーション、ユーザ設備(UE)、ターミナルとして、または本技術分野において使用される他の用語で称されることもある。
【0009】
一般に、基地局101,102は、時間領域および/または周波数領域において遠隔ユニットとして機能するために、ダウンリンク通信信号104,105を送信する。遠隔ユニット103,110は、アップリンク通信信号106,113によって1つ以上の基地局101,102と通信を行なう。1つ以上の基地局は、遠隔ユニットとして機能する1つ以上の送信機および1つ以上の受信機を含んでもよい。遠隔ユニットは、1つ以上の送信機および1つ以上の受信機を含んでもよい。
【0010】
一実施形態において、通信システムは、OFDMAまたはアップリンク送信用の次世代シングルキャリア(SC)方式のFDMAアーキテクチャ、たとえばインターリーブされた周波数分割多元接続(IFDMA)、局所化された周波数分割多元接続(LFDMA)、IFDMAまたはLFDMAを用いた離散フーリエ変換−拡散直交周波数分割多重(DFT−SOFDM)を利用する。OFDM方式のシステムにおいて、無線リソースはOFDMシンボルを含み、このOFDMシンボルは、サブキャリアのグループであるスロットに分割され得る。典型的なOFDM方式のプロトコルは、開発中の3GPP LTEプロトコルである。
【0011】
エラー検出は、巡回冗長検査(CRC)によって、プロトコルデータユニット(たとえば伝送ブロック)に対して行なわれる。図2は、無線通信システムにおける送信用のCRCコードデータに対して構成された無線通信装置としての、送信機200またはその部分を示す。図1において、このようなデータは、基地局101と遠隔ユニット103の間で送信される。3GPP LTEの一実施例において、データまたはプロトコルデータユニットは、伝送ブロックである。CRC符号化は、通常、基地局と遠隔ユニットとの両方の送信機200で行なわれる。図2において、送信機200は、伝送ブロック202に対し第1CRCパリティビットブロック204を生成するように構成された第1CRC符号器(エンティティ)210を含む。
【0012】
伝送ブロック202全体は、通常、CRCパリティビットの計算または生成に使用される。レイヤ1に配信された伝送ブロック202のビットをa,a,a,a,...,aA−1として表し、パリティビットをp,p,p,p,...,pL−1として表す。Aは伝送ブロック202のサイズであり、Lはパリティビットの数である。3GPP LTEの一実施例において、第1ブロックは24個のCRCパリティビットを含む(すなわちLは24ビットに設定される)。しかし、一般的には、他の数のパリティビットが伝送ブロック202に含まれる場合がある。パリティビットは、第1CRC生成多項式としての第1送信多項式212に基づき計算される。第1CRCパリティビットブロック204は、通常、伝送ブロック202に関連付けられている。図2において、第1CRCパリティビットブロック204が、伝送ブロック202に付加される。他の実施形態において、第1CRCパリティビットブロック204は、伝送ブロック202の他の部分に付加される。
【0013】
図2において、送信機200は、セグメント化器214も含む。第1CRCパリティビットブロック204が付加された伝送ブロック202は、セグメント化器214に配信される。セグメント化器214に対するコードブロックの入力ビットのシーケンスは、b,b,b,b,...,bB−1として表され、B>0である。セグメント化器214は、関連付けられた第1CRCパリティビットブロック204を有する伝送ブロック202を、複数のコードブロック206,207,208に分ける。第2CRC符号器(エンティティ)216は、複数のコードブロック206,207,208のそれぞれに対し、第2CRCパリティビットブロック230,232,234を生成するように構成されている。第2CRCパリティビットブロック230,232,234のそれぞれは、第2送信多項式218に基づく。3GPP LTEの一実施例において、第2CRCパリティビットブロック230,232,234はまた、24個のCRCパリティビットを含む。第2CRCパリティビットブロック230,232,234のそれぞれは、第2CRCパリティビットブロック230,232,234の基準となる対応するコードブロック206,207,208に関連付けられる。図2において、第2CRCパリティビットブロック230,232,234は、対応するコードブロック206,207,208に付加される。この処理は、セグメント化されたコードブロック206,207,208のそれぞれに連続的に実行されてもよい。幾つかの実施例において、セグメント化は条件付けされている。たとえばBが、最大コードブロックサイズ(たとえばZ=6144)よりも大きい場合、入力ビットシーケンスのセグメント化が行なわれ、L=24ビットの追加のCRCシーケンスが、コードブロック206,207,208のそれぞれに付加される。この場合、CRCビットは、第2生成多項式に基づき計算される。Bが最大コードブロックサイズ以下である場合、コードブロックのセグメント化器214は透過的であり、第2CRCパリティビットブロック230,232,234は不要である。
【0014】
図2に示す第1CRC符号器210と第2CRC符号器216とに、共通の生成多項式を使用する場合、CRCチェックの一方のレベルまたは両レベルにおいて検出されないエラーイベントが生じることを発明者らは認めた。CRCチェックの両レベルにおいてエラーイベントが検出されない場合、受信機は、誤ったブロックを、正しいブロックとして容認する。このため、CRCチェックの両レベルにおいて検出されないエラーイベントを、減らすことが好ましい。CRCコードについて、0以外の符号語に相当するエラーイベントは、CRC復号器によっては検出することができない(符号語が非周期的にシフトした形態は、なお符号語であることに留意されたい)。したがって、第1CRC符号器と第2CRC符号器とに共通の生成多項式を選択した場合、コードブロック206,207,208の系統的部分において検出できないエラーイベントは、CRCチェックの両レベルにおいて検出されないまま残り、受信機は誤ったブロックを容認する場合がある。
【0015】
発明者らは更に、伝送ブロック202およびセグメント化されたコードブロック206,207,208を符号化するCRCに対し、互いに異なる生成多項式を使用することによって、2レベルのCRCチェックのエラー検出能力が改善され得ることを認めた。したがって、幾つかの実施形態において、第1生成多項式と第2生成多項式は互いに異なる。一実施形態において、たとえば第1生成多項式と第2生成多項式は、少なくとも1つの互いに異なる因数を有する。別の実施形態において、第1生成多項式と第2生成多項式は、共通の因数を共有しない。別の実施形態において、第1生成多項式と第2生成多項式は、多項式係数の互いに異なる組を有する。他の実施形態において、第1生成多項式と第2生成多項式は、他の特性によって識別される。一般的に、第1生成多項式と第2生成多項式は、これらの特性および/または他の特性の組合せによって識別されてもよい。一実施形態において、第1生成多項式と第2生成多項式は、(D+1)の因数および/または共通の次数を共有する。他の実施形態においては、第1生成多項式と第2生成多項式は、以下に記載の生成多項式と同様である。
【0016】
一実施例において、第1次数生成多項式と第2次数生成多項式は、最大で(D+1)の因数を共有する以下の次数24のCRC生成多項式を含む一群から選択される;
CRC24,a(D)=D24+D23+D+D+D+1。この生成多項式は、以下の形式に因数分解することができる:gCRC24,a(D)=(D+l)(D23+D+1) 。
【0017】
CRC24,b(D)=D24+D21+D20+D17+D15+D11+D+D+D+D+D+1。この生成多項式は、以下の形式に因数分解することができる:gCRC24,b(D)=(D+1)(D23+D22+D21+D19+D18+D17+D14+D13+D12+D11+D+D+1) 。
【0018】
CRC24,c(D)=D24+D23+D18+D17+D14+D11+D10+D+D+D+D+D+D+1。この生成多項式は、以下の形式に因数分解することができる:gCRC24,c(D)=(D+1)(D23+D17+D13+D12+D11+D+D+D+D+D+1) 。
【0019】
CRC24,d(D)=D24+D23+D14+D12+D+1。この生成多項式は、以下の形式に因数分解することができる:gCRC24,d(D)=(D+1)(D+D+1)(D10+D+D+D+D+D+D+D+1)(D10+D+D+D+1) 。
【0020】
CRC24,e(D)=D24+D21+D20+D16+D15+D14+D13+D12+D11+D10+D+D+D+D+1 。
CRC24,f(D)=D24+D22+D20+D19+D18+D16+D14+D13+D11+D10+D+D+D+D+D+1。この生成多項式は、以下の形式に因数分解することができる:gCRC24,f(D)=(D+1)(D11+D+D+D+D+D+1)(D11+D+D+D+D+D+D+D+1) 。
【0021】
CRC24,g(D)=D24+D22+D21+D20+D19+D17+D16+D+D+D+D+D+D+1。この生成多項式は、以下の形式に因数分解することができる:gCRC24,g(D)=(D+1)(D22+D19+D18+D16+D15+D13+D11+D+D+D+D+D+1) 。
【0022】
CRC24,h(D)=D24+D21+D20+D17+D13+D12+D+1。この生成多項式は、以下の形式に因数分解することができる:gCRC24,h(D)=(D+1)(D11+D10+D+D+D+D+D+D+1)(D11+D10+D+D+D+D+D+D+1) 。
【0023】
CRC24,i(D)=D24+D22+D12+D10+D+D+D+1。この生成多項式は、以下の形式に因数分解することができる:gCRC24,i(D)=(D+1)(D11+D+1)(D11+D+D+D+D+D+1) 。
【0024】
CRC24,j(D)=D24+D22+D20+D19+D17+D16+D15+D14+D10+D+D+D+D+D+1。この生成多項式は、以下の形式に因数分解することができる:gCRC24,j(D)=(D12+D11+D+D+D+D+1)(D12+D11+D+D+D+D+D+D+1) 。
【0025】
別の実施例において、第1次数生成多項式と第2次数生成多項式は、上記の次数24のCRC生成多項式のうちの1つと、上記の次数24のCRC生成多項式のうちの1つの逆数とを含む一群から選択される。次数n−kの逆数の多項式g(D)は、Dn−kg(D−1)である。たとえばgCRC24a(D)の逆数は、1+D+D18+D19+D23+D24=(D+1)(D23+D18+1)である。より特定の実施例において、第1次数生成多項式と第2次数生成多項式は、gCRC24a(D)の群と、gCRC24a(D)の逆数の群とから選択される。
【0026】
別の実施例において、第1次数生成多項式と第2次数生成多項式は、D24+D23+D+D+D+1;D24+D21+D20+D17+D15+D11+D+D+D+D+D+1);およびD24+D23+D18+D17+D14+D11+D10+D+D+D+D+D+D+1を含む生成多項式の一群から選択される。別の実施例において、第1生成多項式と第2生成多項式のうちの少なくとも1つは、D24+D23+D+D+D+1である。
【0027】
LビットのCRC符号器によって、以下の多項式計算を実行してもよい。CRCの計算において、CRCの計算に対する入力ビットをa,a,a,a,...,aA−1として表し、パリティビットをp,p,p,p,...,pL−1として表す。Aは入力シーケンスのサイズであり、Lはパリティビットの数である。パリティビットは、周期的な生成多項式によって、またはL個のCRCパリティビットが付加されたCRC生成多項式(gCRC(D))によって生成される。符号化は系統的な形式で行なわれる。すなわちGF(2)において、多項式は以下のとおりである:
A+L−1+aA+L−2+...+aA−1+pL−1+pL−2+...+pL−2D+pL−1
【0028】
この多項式をgCRC(D)で割った場合、剰余は0に相当する。CRC連結部分に続くビットは、b,b,b,b,...,bB−1と表され、B=A+Lである。aとbの関係は、以下のとおりである:
k=0,1,2,...,A−1の場合、b=a
【0029】
k=A,A+1,A+2,...,A+L−1の場合、b=P(L−1(k−A))

別のアプローチでは、aとbの関係は以下のとおりである:
k=0,1,2,... A−1の場合、b=a
【0030】
k=A,A+1,A+2,...,A+L−1の場合、b=P(k−A)
図2において、送信機200は、関連付けられた第2CRCパリティビットブロック230,232,234を含むコードブロック206,207,208のそれぞれを符号化するように構成されたチャネル符号器222を、更に含む。チャネル符号器222は、任意数の異なる形式を具現化してもよい。異なる形式とは、これらに制限されないが、他のチャネル符号器のうち、ターボ符号器または畳込み符号器を含む。送信機200は、チャネル符号化後にコードブロック206,207,208を連結するように構成された送信連結器224を更に含む。送信連結器224の出力は、送信用の電力増幅器に繋がれる。送信連結器224は、送信用にコードブロック206,207,208を準備するために、1つ以上のひと続きの他のオペレーション(たとえばレート調整、HARQ冗長バージョンの選択、チャネルのインターリービング、ビットスクランビング、物理的なチャネルリソースへのマッピング、ビットからシンボルへのマッピング、IFFT、DFT拡散など)を行なってもよい。
【0031】
図3は、CRCコードで符号化されたデータの受信および復号化を行なうように構成された無線通信装置としての、受信機300またはその部分を示す。受信機300は、対応する第2CRCパリティビットブロック230,232,234にそれぞれ関連付けられたコードブロック206,207,208を受信する。CRC符号化が行なわれたこれらのコードブロック206,207,208は、図2に示す送信機200によって送信されたコードブロックに相当する。受信機300は、CRC解除器310を含む。このCRC解除器310は、受信した複数のコードブロック206,207,208のそれぞれに関連付けられた第2CRCパリティビットブロック230,232,234を分割解除することによって、コードブロック206,207,208とするように構成されている。第2CRCパリティビットブロック230,232,234の解除は、第2CRC生成多項式としての第2受信多項式312に基づく。図3のCRC解除器310によって実行される機能は、図2の第2CRC符号器216によって実行される処理のほぼ逆である。したがって、図3のCRC解除器310によって使用される第2受信多項式312は、図2のコードブロック206,207,208について第2CRCパリティビットブロック230,232,234の生成および関連付けを行なうために第2CRC符号器216が使用する第2送信多項式218と同様である。
【0032】
図3において、受信機300は、推定伝送ブロック205を形成するように構成された受信連結器314を含む。推定伝送ブロック205は、前記推定伝送ブロック205に関連付けられた第1CRCパリティビットブロック204を有する。コードブロック206,207,208にそれぞれ関連付けられた第2CRCパリティビットブロック230,232,234がCRC解除器310によって解除された後、受信連結器314は、コードブロック206,207,208を互いに連結する。図3の受信連結器314は、図2のセグメント化器214によって実行される処理のほぼ逆である。したがって、図3において、第1CRCパリティビットブロック204は、図2の伝送ブロック202に関連付けられた第1CRCパリティビットブロック204にほぼ相当する。
【0033】
図3において、受信機300は、第1CRC復号器(エンティティ)316を含む。第1CRC復号器316は、第1CRC生成多項式としての第1受信多項式318に基づき、推定伝送ブロック205に対しCRCチェックを行なうように構成されている。上記のように、図3の第1受信多項式318は、図2の第1送信多項式212に相当する。受信機300が回収した推定伝送ブロック205は、送信された伝送ブロック(たとえば図2の伝送ブロック202)に対応するか否かが、CRCチェックによって決定される。CRCチェックによってエラーが検出されると、推定伝送ブロック205は、送信された伝送ブロック202には対応しないと判定されるため、再送信が要求されてもよい。エラーが検出されない場合、推定伝送ブロック205は、送信された伝送ブロック202に対応すると判定されるため、より上位のレイヤに配信される。CRCチェックには、CRCコード性能の測定結果として、検出されないエラーの可能性があることは一般に知られている。
【0034】
幾つかの実施形態において、受信機300は、第2CRC復号器(エンティティ)320を含む。この第2CRC復号器320は、受信機300において受信した複数のコードブロック206,207,208に対し、CRCチェックを行なうように構成されている。推定伝送ブロック205を形成するためにコードブロック206,207,208が互いに連結される前に、つまり推定伝送ブロック205のCRCチェックを行なう前に、第2CRC復号器320は、コードブロック206,207,208のチェックを行なう。幾つかの実施形態において、推定伝送ブロック205に関係付けられた第1CRCパリティビットブロック204は、第1受信多項式318に基づく。この第1受信多項式318は、コードブロック206,207,208に関連付けられた第2CRCパリティビットブロック230,232,234の基礎を形成する第2受信多項式312とは異なる。しかし、他の実施形態において、第1受信多項式318と第2受信多項式312は、以下に記載の生成多項式と同様である。幾つかの実施形態において、コードブロック206,207,208のCRC符号化は、ターボ復号化の処理数の削減、ターボ復号化の反復数の削減、またはターボ復号器メモリ使用量の削減を行なうために、受信機300によって使用されてもよい。
【0035】
第2CRC復号器320を含む幾つかの実施形態において、推定伝送ブロック205に対し行なわれたCRCチェックは、条件付けされている。一実施例において、複数のコードブロック206,207,208のCRCチェックによってエラーが検出されない場合のみ、推定伝送ブロック205のCRCチェックを行なう。図3において、条件付きコントローラ322は、コードブロック206,207,208においてエラーが検出されたか否かに基づき、第1CRC復号器316が推定伝送ブロック205のCRCチェックを行なうか否かを制御する信号を供給する。幾つかの実施例において、第2CRC復号器320によってコードブロック206,207,208においてエラーが検出される場合、コードブロック206,207,208は再送信される。幾つかの実施例において、エラーが検出される場合、伝送ブロック202は再送信される。
【0036】
図2に示す一代替実施形態において、第1CRCパリティビットブロック204を生成するのに使用される第1送信多項式212と、と第2CRCパリティビットブロック230,232,234を生成するのに使用される第2送信多項式218とは、少なくとも1つの因数を共有する。一実施例において、第1生成多項式と第2生成多項式は同じである。この代替実施形態において、インターリービングオペレーションは、第1CRCパリティビットブロック204の関連付けの後、伝送ブロック202において行なわれる。インターリービングは、インターリーバ器240によって行なわれる。一実施形態において、インターリービングはセグメント化前に行なわれる。したがって、インターリーバ器240は、第1CRC符号器210とセグメント化器214の間に位置する。一代替実施形態において、インターリービングは、セグメント化後、且つコードブロック206,207,208のCRC符号化前に行なわれる。この代替実施形態において、インターリーバ器240は、セグメント化器214と第2CRC符号器216の間に位置する。インターリービングパターンは、以下のように規定されてもよい。すなわち第1CRCパリティビットブロック204の関連付けの後に伝送ブロック202をインターリーブすることと、インターリーブした伝送ブロック202を複数のコードブロック206,207,208に分けることとは、第1CRCパリティビットブロック204の関連付けの後に伝送ブロック202を複数のコードブロック206,207,208に分けることと、コードブロック206,207,208を個々にインターリーブすることとに相当する。この相当性は概念的であってもよく、この場合、インターリービングは、セグメント化前に行なわれる。あるいはこの相当性は物理的であってもよく、この場合、セグメント化後に複数のサブインターリービングを行なうことによって、インターリーバが実現される。一実施例において、伝送ブロック202のインターリービングは、ビットレベルで行なわれる。別の実施例において、伝送ブロック202のインターリービングは、それぞれ複数のビットを含むビットグループの順序を変更することによって行なわれる。
【0037】
幾つかの実施例において、図2のインターリーバの順序変更は、第1レベルのCRCチェックと、第2レベルのCRCチェックとの間において検出できない同じエラーイベントの存在を容認しない場合がある。これによって、エラー検出特性が向上する。インターリービングは1つの選択肢であるが、第1レベルのCRCチェックと第2レベルのCRCチェックの間において検出できない同じエラーの存在を容認しない順序付け(またはインターリービング)に加え、更に転換を実行することも可能である。伝送ブロック202とコードブロック206,207,208との間に導入されたインターリービングによって、一度に1ビットまたは1バイト(または他のサイズのビットグループ)を、インターリーブしてもよい。インターリービングを伝送ブロック202レベルで行なう場合、第1CRCパリティビットブロック204の関連付けの後に伝送ブロック202に関連付けられたインターリーバが必要である。あるいはインターリービングは、コードブロックレベルで行なってもよい(すなわち互いに異なるセグメント同士のビットが混合されないインターリービング)。コードブロックレベルのインターリービングについては、合計でC個のサブインターリーバが必要とされてもよい(Cは、メッセージセグメントの個数)。i番目のサブインターリーバは、i番目のコードブロックに関連付けられている。伝送ブロックレベルまたはコードブロックレベルにおけるインターリーバは、単純な形式(たとえば逆転、すなわち後端から前端までのビットの読出し)、周期的なシフト、ビット反転など)であってもよい。インターリービングにおいて、受信機300には追加のレイテンシまたは追加の回路が必要となる場合があるが、インターリーバを適切に選択することによって、正確な量の削減が可能になる。
【0038】
図3は、第1生成多項式と第2生成多項式が共通であり、伝送ブロック202またはコードブロック206,207,208が、送信機200によってインターリーブされる実施例を示す。この実施例において、受信機300は、デインターリーバ器328を含む。送信機200において伝送ブロック202に対しインターリービングが行なわれる場合、デインターリーバ器328は、図3に示す受信連結器314の後に位置する。送信機200においてコードブロック206,207,208に対しインターリービングが行なわれる場合、デインターリーバ器328は、受信連結器314の前に位置する。
【0039】
第1CRC符号器210と第2CRC符号器216とにおいてインターリービングをしないで共通の生成多項式を使用する場合に比べ、通常、第1CRC符号器210と第2CRC符号器216とに互いに異なる生成多項式を使用するために、且つ伝送ブロック202への第1CRCパリティビットブロック204の関連付けの後にインターリービングを行なうために、一層多くの回路および/またはメモリが必要とされる。しかし、エラー検出性能を向上させることによって、複雑さの増加に関連し、コストが一層高くなる。
【0040】
本開示およびその最良のモードを、所有権を立証すると共に且つ当業者が同様に作成および使用を行なえるように記載したが、本明細書に開示する実施形態の等価物が存在すること、ならびに本発明の範囲および精神から逸脱しないで変形および変更がなされる得ることを理解されたい。これらの変形および変更は、実施形態ではなく添付の特許請求の範囲によって制限される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝送ブロックに対し第1CRCパリティビットブロックを生成し、そして前記伝送ブロックへの前記第1CRCパリティビットブロックの関連付けを行なうように構成された第1CRC符号器であって、前記第1CRCパリティビットブロックは第1生成多項式に基づくことと;
第1CRC符号器に接続された入力部を有するセグメント化器であって、前記セグメント化器は、前記関連付けの後に前記伝送ブロックを、複数のコードブロックに分けるように構成されることと;
それぞれ前記コードブロックに対し第2CRCパリティビットブロックを生成するように構成された第2CRC符号器であって、前記第2CRCパリティビットブロックのそれぞれは、前記第1生成多項式とは異なる第2生成多項式に基づき、前記第2CRC符号器は、それぞれ前記コードブロックへの前記第2CRCパリティビットブロックの関連付けを行ない、それぞれ前記コードブロックに関連付けられた前記第2CRCパリティビットブロックは、対応する前記コードブロックに基づき生成されることと;
それぞれ関連付けられた前記第2CRCパリティビットブロックを有する前記コードブロックを符号化するように構成されたチャネル符号器と
を有し、
前記第1生成多項式と前記第2生成多項式は、共通の次数を有する、
無線通信装置。
【請求項2】
前記第1生成多項式と前記第2生成多項式は、少なくとも1つの互いに異なる因数を有する、
請求項1記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記第1生成多項式と前記第2生成多項式は、因数を共有しない、
請求項1記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記第1生成多項式と前記第2生成多項式は、前記因数として(D+1)を共有する、
請求項3記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記第1生成多項式と前記第2生成多項式は、互いに異なる多項式係数の組を有する、
請求項1記載の無線通信装置。
【請求項6】
前記第1生成多項式と前記第2生成多項式は、
24+D23+D+D+D+1;
24+D21+D20+D17+D15+D11+D+D+D+D+D+1;および
24+D23+D18+D17+D14+D11+D10+D+D+D+D+D+D+1
を有する生成多項式の一群から選択される、
請求項1記載の無線通信装置。
【請求項7】
前記第1生成多項式は、D24+D23+D18+D17+D14+D11+D10+D+D+D+D+D+D+1である、
請求項1記載の無線通信装置。
【請求項8】
前記第2生成多項式は、D24+D23+D+D+D+1である、
請求項1記載の無線通信装置。
【請求項9】
プロセッサに結合された送信機を有する無線通信装置であって、前記プロセッサは、
伝送ブロックに対し第1CRCパリティビットブロックを生成することであって、前記第1CRCパリティビットブロックは第1生成多項式に基づくことと;
前記伝送ブロックへの前記第1CRCパリティビットブロックの関連付けを行なうことと;
前記関連付けの後に前記伝送ブロックを、複数のコードブロックに分けることと;
それぞれ前記コードブロックに対し前記第2CRCパリティビットブロックを生成することであって、それぞれ前記第2CRCパリティビットブロックは、前記第1生成多項式とは異なる第2生成多項式に基づくことと;
それぞれ前記コードブロックへの、第2CRCパリティビットブロックの関連付けを行なうことであって、それぞれ前記第2CRCパリティビットブロックは、対応する前記コードブロックに基づき生成されることと;
関連付けられた前記第2CRCパリティビットブロックを有するそれぞれ前記コードブロックを、チャネル符号化することと;
前記チャネル符号化の後に、前記コードブロックを互いに連結することと
を実行するように構成され、
前記第1生成多項式と前記第2生成多項式は、共通の次数を有する、
無線通信装置。
【請求項10】
前記第1生成多項式と前記第2生成多項式は、
24+D23+D+D+D+1;
24+D21+D20+D17+D15+D11+D+D+D+D+D+1;および
24+D23+D18+D17+D14+D11+D10+D+D+D+D+D+D+1
を有する生成多項式の一群から選択される、
請求項9記載の無線通信装置。
【請求項11】
前記第1生成多項式は、D24+D23+D18+D17+D14+D11+D10+D+D+D+D+D+D+1である、
請求項9記載の無線通信装置。
【請求項12】
前記第2生成多項式は、D24+D23+D+D+D+1である、
請求項9記載の無線通信装置。
【請求項13】
プロセッサに結合された受信機を有する無線通信装置であって、前記プロセッサは、
受信した複数のコードブロックのそれぞれに関連付けられた第2CRCパリティビットブロックを、前記コードブロックから分割解除することであって、前記第2CRCパリティビットブロックは、第2生成多項式と、対応する前記コードブロックとに基づき生成されることと;
前記第2CRCパリティビットブロックの解除後に、前記コードブロックを互いに連結することによって推定伝送ブロックを形成することであって、前記推定伝送ブロックは、前記推定伝送ブロックに関連付けられた第1CRCパリティビットブロックを有し、前記第1CRCパリティビットブロックは、第2生成多項式とは異なる第1生成多項式に基づくことと;
前記第1生成多項式に基づき、前記推定伝送ブロックのCRCチェックを行なうことと
を実行するように構成され、
前記第1生成多項式と前記第2生成多項式は、共通の次数を有する、
無線通信装置。
【請求項14】
複数の前記コードブロックのCRCチェックは、前記推定伝送ブロックのCRCチェックの前に行なわれる、
請求項13記載の無線通信装置。
【請求項15】
複数の前記コードブロックのCRCチェックによってエラーが検出されない場合のみ、前記推定伝送ブロックのCRCチェックが行なわれる、
請求項14記載の無線通信装置。
【請求項16】
前記第1生成多項式と前記第2生成多項式は、
24+D23+D+D+D+1;
24+D21+D20+D17+D15+D11+D+D+D+D+D+1;および
24+D23+D18+D17+D14+D11+D10+D+D+D+D+D+D+1
を有する生成多項式の一群から選択される、
請求項13記載の無線通信装置。
【請求項17】
前記第1生成多項式は、D24+D23+D18+D17+D14+D11+D10+D+D+D+D+D+D+1である、
請求項13記載の無線通信装置。
【請求項18】
前記第2生成多項式は、D24+D23+D+D+D+1である、
請求項14記載の無線通信装置。
【請求項19】
伝送ブロックに対し第1CRCパリティビットブロックを生成し、そして前記伝送ブロックへの前記第1CRCパリティビットブロックの関連付けを行なうように構成された第1CRC符号器であって、前記第1CRCパリティビットブロックは第1生成多項式に基づくことと;
第1CRC符号器に接続された入力部を有するセグメント化器であって、前記セグメント化器は、前記関連付けの後に前記伝送ブロックを、複数のコードブロックに分けるように構成されることと;
それぞれ前記コードブロックに対し第2CRCパリティビットブロックを生成するように構成された第2CRC符号器であって、前記第2CRCパリティビットブロックのそれぞれは第2生成多項式に基づき、前記第2CRC符号器は、それぞれ前記コードブロックへの前記第2CRCパリティビットブロックの関連付けを行ない、それぞれ前記コードブロックに関連付けられた前記第2CRCパリティビットブロックは、対応する前記コードブロックに基づき生成されることと;
それぞれ関連付けられた前記第2CRCパリティビットブロックを有する前記コードブロックを符号化するように構成されたチャネル符号器と
を有する無線通信装置であって、
前記第1生成多項式はD24+D23+D18+D17+D14+D11+D10+D+D+D+D+D+D+1であり、
前記第2生成多項式はD24+D23+D+D+D+1である、
無線通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−195956(P2012−195956A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−133596(P2012−133596)
【出願日】平成24年6月13日(2012.6.13)
【分割の表示】特願2010−524949(P2010−524949)の分割
【原出願日】平成20年9月10日(2008.9.10)
【出願人】(510284071)モトローラ モビリティ エルエルシー (50)
【氏名又は名称原語表記】MOTOROLA MOBILITY LLC
【Fターム(参考)】