説明

多重金属腐食防止剤

【課題】多重金属腐食防止剤を提供すること。
【解決手段】本発明の対象は、
a)潤滑油;
b)トリアゾール金属不活性化剤;
c)ホウ酸エステル;及び、所望により
d)リン酸アミン
を含む潤滑油組成物である。
本発明は、潤滑油の寿命の間の銅、鉛、鉄及び亜鉛を腐食から保護し得るエンジン潤滑油の作成を可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、潤滑油中における鉛、銅、鉄及び亜鉛の腐食を抑制することを目的とする。潤滑油は、例えば、低灰分、低リンエンジンオイル(エンジン液)又は工業用オイルである。
【背景技術】
【0002】
点火エンジンの金属部分の保護は、中性ないし過剰塩基の洗浄剤のジチオリン酸亜鉛(ZnDTP)との組み合わせによりもたらされてきた。
【0003】
自動車のための排ガス後処理システムは、現在、排ガス法、特に新しい日本の又はヨーロッパの法律に適合するために要求される。これらのシステムの効率性は、金属、硫黄及びリン含有添加剤に由来する潤滑油灰分により損なわれ得る。それ故、灰分含有洗浄剤並びにリン及び灰分含有ZnDTPの量は、現在のそして差し迫った規格に適合するために近頃作製されたオイルでは減少されている。これは、エンジンにおいて金属部分の減少した腐食保護をもたらし得る。
【0004】
米国特許第4,734,209号明細書には、機能液のための銅不動態化剤が開示されている。
【0005】
米国特許第5,171,463号明細書及び同5,032,300号明細書は、ベンゾトリアゾールをベースとした銅不動態化剤を教示する。
【0006】
米国特許第6,410,490号明細書は、潤滑油のためのベンゾトリアゾール添加剤を教示する。
【0007】
米国特許第6,008,165号明細書及び同6,010,986号明細書は、鉛腐食を抑制するための手段としてホウ酸塩を教示する。
【0008】
意外にも、特定の金属不活性化剤、ホウ酸エステル、及び所望によりリン酸アミンの組み合わせが、潤滑油に添加した場合、エンジンにおけるベアリング及び他の部分の高水準の保護を保つことを見出した。
【0009】
本発明は、潤滑油の寿命の間、銅、鉛、鉄及び亜鉛を腐食から保護し得るエンジン潤滑油の作成を可能にする。過剰塩基の洗浄剤は当業者に知られており、また例えば、フェネート、スルホン酸塩又はサリチル酸塩である。ZnDTPと洗浄剤の含有量はSAPS制限(硫酸塩灰分、リン及び硫黄)により抑制される。ZnDTP含有量は様々なエンジンオイル規格において%−P含有量に設定された最大限度により主に統制される。ILSAC及びAPIは以下の通りに乗用車オイルについてのP含有物を段階的に減らした。
【0010】
許容される最大%−P
ILSAC GF−1/API SH 0.12
(1992)
ILSAC GF−2及び3/API SJ及びSL 0.10
(1996−2001)
ILSAC GF−4/API SM 0.08
(2004)
【0011】
次の分類、GF−5(2009向けに予定されたもの)は触媒コンバーター毒作用テストを使用することによるP−レベルを要求する。該テストが利用できない場合は、P制限度は、最大0.06又は0.05%Pのいずれかにさらに下がる。
【0012】
ヨーロッパでは、後処理装置を有するガソリンエンジン及びディーゼルエンジンに対するACEA2004規格もまた、リン含有物の減少を要求する。
【0013】
許容される%−P
C1 ≦0.05
C2 0.070−0.090
C3 0.070−0.090
【0014】
新しいACEA E6高馬力ディーゼルエンジン規格は、リンについて0.08%の最大限度を有する。総灰分限度もまた、下げられる。これは、洗浄剤及びZnDTP含有物に影響を与える。
【0015】
硫黄限度はZnDTPやスルホン酸塩洗浄剤(また硫化フェノラート洗浄剤)がもたらし得る貢献を制限するため、それもまた平均化の一部である。
【0016】
これら材料の減少は、エンジン中における銅や鉛腐食から潤滑油を保護することにかけては結果として能力の減少に導く。さらに、燃料についての経済的要求は、モノオレイン酸グリセロールや特定のモリブデン化合物のような摩擦調整剤の一層の使用を余儀なくさせる。これらの材料は銅又は鉛或いは両方に対して腐食性であり得る。米国特許第2,898,299号明細書は、銅−鉛ベアリング合金に対するモノオレイン酸グリセロールの侵食性を教示する。米国特許第5,631,213号明細書、欧州特許出願公開第1,382,659号明細書及びD.T.ジェーン、J.R.シャンクリン、及びC.F.スタチュー、“エンジンオイル作成における銅合金の腐食抑制:耐磨耗、摩擦調整剤、分散剤相乗効果”、サエペーパー(SAE Paper) 2002−01−2767、は銅及び銅合金に対する特定のモリブデン化合物の腐食性を教示する。加えて、特定の工業用オイルは亜鉛を侵食する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】米国特許第4,734,209号明細書
【特許文献2】米国特許第5,171,463号明細書
【特許文献3】米国特許第5,032,300号明細書
【特許文献4】米国特許第6,410,490号明細書
【特許文献5】米国特許第6,008,165号明細書
【特許文献6】米国特許第6,010,986号明細書
【特許文献7】米国特許第2,898,299号明細書
【特許文献8】米国特許第5,631,213号明細書
【特許文献9】欧州特許公開第1,382,659号明細書
【非特許文献】
【0018】
【非特許文献1】D.T.ジェーン、J.R.シャンクリン、及びC.F.スタチュー、“エンジンオイル作成における銅合金の腐食抑制:耐磨耗、摩擦調整剤、分散剤相乗効果”、サエペーパー(SAE Paper) 2002−01−2767.
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の対象は、
a)潤滑油;
b)トリアゾール金属不活性化剤;
c)ホウ酸エステル;及び、所望により
d)リン酸アミン
を含む潤滑油組成物である。
【0020】
本発明の潤滑油組成物中に存在する成分b)、c)及びd)は、以下に特定されている。
【0021】
本発明の更なる対象は、潤滑油中の鉛、銅、鉄及び亜鉛の腐食を抑制する方法であって、該潤滑油に
b)トリアゾール金属不活性化剤;
c)ホウ酸エステル;及び、所望により
d)リン酸アミン
を配合することを含む方法である。
【0022】
本発明のエンジンオイルは、例えば、植物油、鉱物のような天然の又は合成のベース流動体のいずれかを利用する。通常、API I、II及びIII族、鉱油や合成油、IV族、ポリ−α−オレフィン、V族、例えば、エステルが利用される。合成油はまたフィッシャー−トロップシュガス液合成手順から得られ得る。これらの生成物はしばしば水添異性化(hydroisomerized)され得る。2種以上の上述のベース流動体の混合物が使用され得る。完成した流動体は、例えば、内燃機関エンジンに、例えば、オットー、ディーゼル、2サイクルワンケル又は軌道型のエンジンを接着した、例えば自動車に使用される。
【0023】
本発明のエンジンオイルは、例えば、約1.1質量%未満の灰分を含有する。例えば、本エンジンオイルは約0.9質量%未満の灰分又は約0.8質量%未満の灰分を含有する。本エンジンオイルは約0.1質量%未満のリンを含有する。例えば、本発明のエンジンオイルは約0.08質量%未満、約0.07質量%未満又は約0.06質量%未満のリンを含有する。本発明のエンジンオイルは、例えば、約0.5質量%未満の硫黄、例として、約0.4質量%未満の硫黄を有する。
【0024】
灰分は、硫酸塩灰化技術、ASTM D874により決定される。
【0025】
工業用潤滑油は、例えば、ポリアルキレングリコールであり、そして例えば、風車に使用される。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本トリアゾール金属不活性化剤は、1,2,4−トリアゾール類又はベンゾトリアゾール類のものである。
【0027】
1,2,4−トリアゾール類の金属不活性化剤は、例えば、米国特許第4,734,209号明細書に開示されている。
【0028】
1,2,4−トリアゾール金属不活性化剤は、例えば、

【化1】

{式中、R1及びR2は同一又は相違し、そして炭素原子数1乃至20のアルキル基、炭素原子数3乃至20のアルケニル基、炭素原子数5乃至12のシクロアルキル基、炭素原子数7乃至13のアラルキル基又は炭素原子数6乃至10のアリール基を表し、又はR1
2は、それぞれが結合している窒素原子と一緒になって、5、6又は7員の複素環を形
成しても良く、又はR1及びR2は部分式
【化2】

(式中、
Xは、O、S又はNを表し、
3は、水素原子又は炭素原子数1乃至20のアルキル基を表し、
4は、炭素原子数1乃至12のアルキレン基を表し、
nは、0又は1乃至6の整数を表す。)で表される基を表し、
又はR1とR2の一方は部分式
【化3】

で表される基を表すか、
又はR2は部分式(II)で表される基を表し、そしてR1は部分式
【化4】

(式中、
mは、0又は1を表し、mが0の場合は、Aは式(II)で表される基を表し、mが1の場合は、Aはアルキレン基又は炭素原子数6乃至10アリーレン基を表し、及びR5
式(II)で表される基を表す。)で表される基を表す。}で表されるものである。
4は、例えば、炭素原子数1乃至6のアルキレン基、例として、炭素原子数2乃至3
のアルキレン基を表す。指数nは、例として、0、1、2、3、4、5又は6を表す。
【0029】
式(I)で表される具体的な化合物は、1−(又は4)−(ジメチルアミノメチル)トリアゾール、1−(又は4)−(ジエチルアミノメチル)トリアゾール、1−(又は4)−(ジ−イソプロピルアミノメチル)トリアゾール、1−(又は4)−(ジ−n−ブチルアミノメチル)トリアゾール、1−(又は4)−(ジ−n−ヘキシルアミノメチル)トリアゾール、1−(又は4)−(ジ−イソオクチルアミノメチル)トリアゾール、1−(又は4)−(ジ−(2−エチルヘキシル)アミノメチル)トリアゾール、1−(又は4)−(ジ−n−オクチルアミノメチル)トリアゾール、1−(又は4)−(ジ−n−デシルアミノメチル)トリアゾール、1−(又は4)−(ジ−n−ドデシルアミノメチル)トリアゾール、1−(又は4)−(ジ−n−オクタデシルアミノメチル)トリアゾール、1−(又は4)−(ジ−n−エイコシルアミノメチル)トリアゾール、1−(又は4)−[ジ−(プロペ−2’−エニル)アミノメチル]トリアゾール、1−(又は4)−[ジ−(ブテ
−2’−エニル)アミノメチル]トリアゾール、1−(又は4)−[ジ−(エイコセ−2’−エニル)アミノメチル]トリアゾール、1−(又は4)−(ジ−シクロヘキシルアミ
ノメチル)トリアゾール、1−(又は4)−(ジ−ベンジルアミノメチル)トリアゾール、
1−(又は4)−(ジ−フェニルアミノメチル)トリアゾール、1−(又は4)−(4’−
モルホリノメチル)トリアゾール、1−(又は4)−(1’−ピロリジノメチル)トリアゾ
ール、1−(又は4)−(1’−ピペリジノメチル)トリアゾール、1−(又は4)−(1
’−ペルヒドロアゼピノメチル)トリアゾール、1−(又は4)−[(2’、2’’−ジヒ
ドロキシエチルアミノメチル)]トリアゾール、1−(又は4)−(ジブトキシプロピル−
アミノメチル)トリアゾール、1−(又は4)−(ジブチルチオプロピル−アミノメチル)
トリアゾール、1−(又は4)−(ジ−ブチルアミノプロピル−アミノメチル)トリアゾール、N,N−ビス−(1−又は4−トリアゾリルメチル)ラウリルアミン、N,N−ビス−(1−又は4−トリアゾリルメチル)オレイルアミン、N,N−ビス−(1−又は4−トリアゾリルメチル)エタノールアミン及びN,N、N’,N’−テトラ−(1−又は4−トリアゾリルメチル)エチレンジアミンを含む。
【0030】
好ましい実施態様は、1,2,4−トリアゾール(I)は1−(ジ−イソオクチルアミノメチル)−1,2,4−トリアゾール及び1−(ジ−(2−エチルヘキシル)アミノメチル)−1,2,4−トリアゾールから成る群から選ばれるところの、潤滑油組成物に関する。
【0031】
ベンゾトリアゾール金属不活性化剤は、例えば、米国特許第5,032,300号明細書及び同第5,171,463号明細書に開示されているものである。
【0032】
ベンゾトリアゾール金属不活性化剤は、例えば、

【化5】

(式中、
6は、炭素原子数1乃至12のアルキル基を表し、
7は、炭素原子数1乃至12のアルキル基、1個以上のO原子によって中断された炭
素原子数1乃至12のアルキル基又は炭素原子数5乃至12のシクロアルキル基を表し及び
8及びR9は、水素原子又はメチル基を表す。)で表されるものである。
【0033】
式(III)で表される化合物の具体的な例は、1−(2−メトキシプロピ−2−イル)トリルトリアゾール、1−(1−メトキシエチル)トリルトリアゾール、1−(1−メトキシプロピル)トリルトリアゾール、1−(1−イソブトキシブチル)トリルトリアゾール、1−(1−第三ブトキシブチル)トリルトリアゾール、1−(1−ヘキシルオキシブチル)トリルトリアゾール、1−(1−オクチルオキシブチル)トリルトリアゾール、1−(1−ブトキシ−2−メチルプロピル)トリルトリアゾール、1−(1−ドデシルオキシブチル)トリルトリアゾール、1−(1−イソプロピルオキシエチル)トリルトリアゾール、1−(1−イソプロピルオキシプロピル)トリルトリアゾール、1−(1−イソ
プロピルオキシブチル)トリルトリアゾール、1−(1−シクロヘキシルオキシプロピル)トリルトリアゾール、1−(1−シクロヘキシルオキシヘプチル)トリルトリアゾール、1−(1−シクロヘキシルオキシブチル)トリルトリアゾール、1−[1−(2−メト
キシエトキシ)ブチル] トリルトリアゾール及び1−[1−(2−エトキシエトキシ)ブ
チル] トリルトリアゾールを含む。
【0034】
好ましい実施態様は、ベンゾトリアゾール(III)は、1−(2−メトキシプロピ−2−イル)トリルトリアゾール、1−(1−シクロヘキシルオキシプロピル)トリルトリアゾール、1−(1−シクロヘキシルオキシヘプチル)トリルトリアゾール及び1−(1−シクロヘキシルオキシブチル)トリルトリアゾールから成る群から選ばれるところの潤滑油組成物に関する。
【0035】
(1−(2−メトキシプロピ−2−イル)トリルトリアゾールは、
【化6】

である。
【0036】
1−(1−シクロヘキシルオキシヘプチル)トリルトリアゾールは、
【化7】

である。
【0037】
ベンゾトリアゾール金属不活性化剤は、例えば、米国特許第6,410,490号明細書に開示されているものである。
【0038】
ベンゾトリアゾール金属不活性化剤は、例えば、

【化8】

{式中、
10は、水素原子又は炭素原子数1乃至12のアルキル基を表し、及び
11及びR12は同一又は相違し、そして炭素原子数1乃至20のアルキル基、
炭素原子数3乃至20のアルケニル基、炭素原子数5乃至12のシクロアルキル基、炭素原子数7乃至13のアラルキル基又は炭素原子数6乃至10のアリール基を表し、又はR11とR12は、それぞれが結合している窒素原子と一緒になって、5、6又は7員の複素環を形成しても良く、又はR11とR12は部分式
【化9】

(式中、
Xは、O、S又はNを表し、
3は、水素原子又は炭素原子数1乃至20のアルキル基を表し、
4は、炭素原子数1乃至12のアルキレン基を表し、
nは、0又は1乃至6の整数を表す。)で表される基を表し、
又はR11及びR12の一方は部分式
【化10】

で表される基を表すか、
又はR12は式(II)で表される基を表し、そしてR11は部分式
【化11】

(式中、
mは、0又は1を表し、mが0の場合、Aは式(II)で表される基を表し、そしてmが1の場合、Aはアルキレン基又は炭素原子数6乃至10アリーレン基を表し、及びR5
は式(II)で表される基を表す。)で表される基を表す。}で表されるものである。
4は、例えば、炭素原子数1乃至6のアルキレン基、例として、炭素原子数2乃至3
のアルキレン基を表す。指数nは、例として、0、1、2、3、4、5又は6を表す。
【0039】
式(IV)で表されるベンゾトリアゾール金属不活性化剤は、例えば、ベンゾトリアゾールとホルムアルデヒド及びアミンを反応させるような、例えば、米国特許第4,701,273号明細書に説明されているように既知の方法により調製される。好ましくは、R10が水素原子又はメチル基である。
【0040】
好ましい実施態様は、ベンゾトリアゾール(IV)は1−[ビス−(2−エチルヘキシ
ル)アミノメチル−4−メチル]ベンゾトリアゾールであるところの潤滑油組成物に関す
る。
【0041】
トリアゾール金属不活性化剤は、潤滑油の質量に基づいて、約0.01乃至約0.03%存在する。例として、トリアゾールは、潤滑油の質量に基づいて、約0.02乃至約0.2質量%又は約0.03乃至約0.1質量%存在する。
【0042】
ホウ酸エステル化合物は、例えば、米国特許第6,008,165号明細書及び同第6,010,986号明細書に開示されているものである。
【0043】
ホウ酸エステルは、例えば、式(R15O)3B又は
【化12】

(式中、
15は、独立して水素原子、炭素原子数1乃至20のアルキル基、炭素原子数3乃至20のアルケニル基、炭素原子数5乃至12のシクロアルキル基、炭素原子数7乃至13のアラルキル基または炭素原子数6乃至19のアリール基を表す、但し、少なくとも1つのR15基は水素原子ではない。)で表されるものである。
【0044】
15は、例えば、炭素原子数4乃至16のアルキル基を表す。例として、3つのR15基全てがアルキル基を表す。
【0045】
好ましい実施態様は、ホウ酸エステルは、ホウ酸トリエチル、ホウ酸トリプロピル、ホウ酸トリイソプロピル、ホウ酸トリブチル、ホウ酸トリフェニル、ホウ酸トリヘキシル、ホウ酸トリシクロヘキシル、ホウ酸トリオクチル、ホウ酸トリイソオクチル、ホウ酸トリデシル、ホウ酸トリ(炭素原子数8乃至10のアルキル)、ホウ酸トリ(炭素原子数12乃至15のアルキル)及びホウ酸オレイルから成る群から選ばれるところの潤滑油組成物に関する。
【0046】
ホウ酸エステルは、潤滑油の質量に基づいて、約0.02乃至約1.0質量%存在する。例として、ホウ酸エステルは、潤滑油の質量に基づいて、約0.03乃至約0.9質量%、約0.04乃至約0.7質量%、又は約0.05乃至約0.5質量%存在する。
【0047】
アルキル基は直鎖であるか又は枝分れ鎖であり、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、第二ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−テトラデシル基、n−ヘキサデシル基、n−オクタデシル基又はn−エイコシル基である。
【0048】
アルケニル基は直鎖であるか又は枝分れ鎖であり、例えば、プロペ−2−エニル基、ブテ−2−エニル基、2−メチル−プロペ−2−エニル基、ペンテ−2−エニル基、ヘキサ−2,4−ジエニル基、ドデセ−10−エニル基又はエイコセ−2−エニル基である。
【0049】
シクロアルキル基は、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、シクロデシル基、アダマンチル基又はシクロドデシル基である。
【0050】
アラルキル基は、例えば、ベンジル基、2−フェニルエチル基、ベンズヒドリル基又はナフチルメチル基である。
【0051】
アリール基は、例えば、フェニル基又はナフチル基である。
【0052】
1とR2が、結合している窒素原子と一緒になって複素環基を形成する場合、該複素環基は、例えば、モルホリン、ピロリジン、ピペリジン又はペルヒドロアゼピン環である。
【0053】
アルキレン部分は、例えば、メチレン基、エチレン基、1:2−又は1:3−プロピレン基、1:4−ブチレン基、1:6−へキシレン基、1:8−オクチレン基、1:10−
デシレン基及び1:12−ドデシレン基を含む。
【0054】
アリーレン部分は、例えば、フェニレン基またはナフチレン基を含む。
【0055】
成分d)のリン酸アミンは、例として、アミン及び混合モノ及びジ酸リン酸塩を含む塩である。モノ及びジ酸リン酸アミンは以下の構造式を有する:
【化13】

(式中、
27は、水素原子、未置換の又は1個以上の炭素原子数1乃至6のアルコキシ基により置換された炭素原子数1乃至25の直鎖状の又は枝分れ鎖状のアルキル基、飽和の非環式基又は脂環式基、又はアリール基を表す;R28は、未置換の又は1個以上の炭素原子数1乃至6のアルコキシ基により置換された炭素原子数1乃至25の直鎖状の又は枝分れ鎖状のアルキル基、飽和の非環式基又は脂環式基、又はアリール基を表す;
29は、水素原子、炭素原子数1乃至25の直鎖状の又は枝分れ鎖状のアルキル基、飽和の又は不飽和の非環式基又は脂環式基、又はアリール基を表す;及び
30及びR31は、それぞれ他とは独立に、炭素原子数1乃至25の直鎖状の又は枝分れ鎖状のアルキル基、飽和の又は不飽和の非環式基又は脂環式基、又はアリール基を表す。)
【0056】
好ましい実施態様は、R27及びR28は直鎖状の又は枝分かれした炭素原子数1乃至12のアルキル基を表し;そしてR29、R30及びR31は直鎖状の又は枝分かれした炭素原子数1乃至18のアルキル基を表すところの潤滑油組成物に関する。
【0057】
さらに好ましい実施態様は、リン酸アミンは、

【化14】

(式中、
33はn−ヘキシル基を表し、R34は炭素原子数11乃至14の枝分かれしたアルキル基を表し、そしてx=1の場合、y=2であり;x=2の場合、y=1である。)で表されるものであるところの潤滑油組成物に関する。
【0058】
リン酸アミンは潤滑油の質量に基づいて、約0.02乃至約0.50質量%存在する。例えば、リン酸アミンは潤滑油の質量に基づいて、約0.03乃至約0.4質量%存在する。
【0059】
潤滑油はさらに粘度指数向上剤を含んでも良い。適する粘度指数向上剤の例は、ポリアクリル酸塩、ポリメタクリル酸塩、ビニルピロリドン/メタクリル酸塩共重合体、ポリビニルピロリドン、ポリブテン、オレフィン共重合体、スチレン/アクリレート共重合体及びポリエーテルである。
【0060】
潤滑油はさらに無灰分散剤、洗浄剤及び/又は耐磨耗系、ZnDTPか無灰リン化合物
かそれともリンが使われていない耐摩耗添加剤のいずれかを含んでも良い。
【0061】
耐摩耗添加剤は、
1)ジヒドロカルビルジチオリン酸金属塩(金属はアルミニウム、鉛、錫、マンガン、コバルト、ニッケル又は銅であるが、ほとんどの場合亜鉛である。)。亜鉛塩(ジアルキルジチオリン酸亜鉛)は
【化15】

(式中、
R及びR’は独立して炭素原子数1乃至20のアルキル基、炭素原子数3乃至20のアルケニル基、炭素原子数5乃至12のシクロアルキル基、炭素原子数7乃至13のアラルキル基又は炭素原子数6乃至10のアリール基を表し、例えば、R及びR’は独立して炭素原子数1乃至12のアルキル基を表す。)として表される;及び
2)硫化オレフィンや植物油、リン酸トリトリル、リン酸トリクレシル、塩素化パラフィン、アルキル及びアリールジ及びトリ硫化物、リン酸モノ及びジアルキルのアミン塩、メチルホスホン酸アミン塩、ジエタノールアミノメチルトリルトリアゾール、ジ(2−エチル−ヘキシル)−アミノメチルトリルトリアゾール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール誘導体、エチル[(ビスイソプロピルオキシホスフィノチオイル)チオ]プロピオン酸塩、トリフェニルチオリン酸塩(トリフェニルホスホロチオエート)、トリス(アルキルフェニル)ホスホロチオエート及びそれらの混合物のような硫黄及び/又はリン及び/又はハロゲン原子を含む化合物、例えば、トリス(イソノニルフェニル)ホスホロチオエート、ジフェニルモノノニルフェニルホスホロチオエート、イソブチルフェニルジフェニルホスホロチオエート、3−ヒドロキシ−1,3−チアホスフェタン 3−オキサイドのドデシルアミン塩、トリチオリン酸5,5,5−トリス(イソオクチル 2−アセテート)、1−(N,N−ビス(2−エチルヘキシル)アミノメチル)−2−メルカプト−1H−1,3−ベンゾチアゾール又は5−オクチルジチオカルバミン酸エトキシカルボニルのような2−メルカプトベンゾチアゾール誘導体
から成る群から選ばれる。
【0062】
適する分散剤は、
1)高分子量フェノール、アルキレンポリアミド及びホルムアルデヒドのようなアルデヒドの縮合反応生成物であるマンニッヒ塩基;
2)オレフィンポリマーとコハク酸アシル化剤(酸、無水物、エステル又はハロゲン化物)の反応生成物であって、さらに有機ヒドロキシ化合物及び/又はアミンと反応させたものであるコハク酸ベースの分散剤;及び
3)高分子量アミド類及びエステル類、例えば、ヒドロカルビルアシル化剤と、グリセロール、ペンタエリトリトール又はソルビトールのような多価脂肪族アルコールとの反応生成物
から成る群から選ばれる。
【0063】
分散される粒子に結び付く極性官能基と結合された油溶性高分子量骨格を通常含む無灰(無金属)ポリマー材料は典型的には分散剤として使用される。一般に、使用される炭化水素骨格材料はオレフィンポリマーやコポリマー、特にエチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、スチレンであり;前記ポリマーの骨格に組み込まれた更なる官能基があっても、なくても良い。アミン、アルコール、アミド又はエステルのような極性材料は、
橋かけを介して前記骨格に結合される。
【0064】
洗剤は、有機酸のカルシウム、マグネシウム、バリウム、ナトリウム、又はリチウム塩、例えば、スルホン酸塩、アルキルフェネート、硫化アルキルフェノラート、カルボン酸塩、サリチル酸塩、ホスホン酸塩、チオホスホン酸塩及びホスフィン酸塩から成る群から選ばれる。塩は中性でも良いし、又は例えば、金属水酸化物又は炭酸塩により過剰塩基にされていて良い。
【0065】
また本発明の対象は、潤滑油添加剤組成物であり、該組成物は
b)トリアゾール金属不活性化剤;
c)ホウ酸エステル;及び
分散剤
を含む。
【0066】
適する分散剤は、潤滑油での使用のために知られているもの、例えば、ポリイソブテニルスクシンイミド、ポリブテニルホスホン酸誘導体、又は酢酸ビニルとフマル酸エステル類のコポリマーである。
【0067】
例えば、適する分散剤はヒドロカルビル基で置換されたコハク酸アシル化剤のアミン又はアルコール生成物である。分散剤は特にポリイソブテニルスクシンイミドである。例えば、米国特許第5,112,507号明細書、同第6,440,905号明細書や同第5,587,432号明細書及びそこに引用されている参考文献に開示されているような分散剤。
【0068】
トリアゾール金属不活性化剤のホウ酸エステルに対する質量:質量の比は約1:10乃至約10:1であり、例えば、約1:7乃至約7:1、約1:5乃至約5:1、約1:3乃至約3:1である。例えば、トリアゾール金属不活性化剤のホウ酸エステルに対する質量:質量の比は約1:2乃至約1:5又は約1:2乃至約1:4である。
【0069】
前記添加剤組成物に使用される分散剤の質量は、トリアゾール金属不活性化剤とホウ酸エステルの総質量に基づいて約1%乃至約50%である。例として、前記添加剤組成物における分散剤の質量は、トリアゾール金属不活性化剤とホウ酸エステルの総質量に基づいて、約2%乃至約30%、約3%乃至約25%又は約4%乃至約20%である。
【0070】
例として、典型的な添加剤組成物は、各々質量で分散剤約5%、トリアゾール金属不活性化剤約25%及びホウ酸エステル約70%である。
【実施例】
【0071】
腐食ベンチテストのためには、:C.M クザーノ及びJ.C.ワン、銅及び鉛含有する材料のディーゼル潤滑油による腐食、J.Soc.Tribologists and
Lubrication Engineers,51(1)89−95,1994;及びASTM D 5968とD 6594を参照。このテストは銅や鉛腐食から保護する潤滑油の能力を立証するためにエンジンオイル規格で一般に用いられている。
【0072】
<実施例1>
以下の配合物を、API II族ベースオイル中に0.05%のリン及び摩擦調整剤を含む5W−30 SM型乗用車モーターオイルにおいて準備した。成分は、全配合物に基づく、質量%で特定した。
【0073】
【表1】

【0074】
ホウ酸エステルは(R15O)3Bであり、ここでR15は混合された炭素原子数5乃至1
3のアルキル基を表す。ホウ酸塩は60ppm及び120ppmB処理レベルで使用される。トリアゾール金属不活性化剤Aは1−(ジ−(2−エチルヘキシル)−アミノメチル)−1,2,4−トリアゾールである。トリアゾール金属不活性化剤Bはメチル−1−(ジ−(2−エチルヘキシル)−アミノメチル)−ベンゾトリアゾールである。
【0075】
高温腐食ベンチテストはASTM D 6594(135℃で168時間)に従って実行された。腐食結果は質量によるppmの増加において次の通りである。
【0076】
【表2】

【0077】
<実施例2>
添加剤混合物を、5質量%のスクシンイミド分散剤、HITEC 646、25質量%の1−(ジ−2−エチルヘキシル)アミノメチル)−1,2,4−トリアゾール及び70質量%のホウ酸エステル(R15O)3B(式中、R15は混合された炭素原子数5乃至13
のアルキル基を表す。)を一緒にブレンドすることにより製造した。該混合物を、ポリアルキレングリコール工業用オイルに配合した。
【0078】
ポリアルキレングリコール(PAG)における亜鉛腐食について次の結果を下記に示す。腐食結果は125℃で30分間後に得られたZnのppmである。
【0079】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)潤滑油;
b)トリアゾール金属不活性化剤;
c)ホウ酸エステル;及び、所望により
d)リン酸アミン;
を含む、潤滑油組成物であって、
前記トリアゾール金属不活性化剤は、式
【化1】

{式中、R1及びR2は同一又は相違し、そして炭素原子数1乃至20のアルキル基、炭素原子数3乃至20のアルケニル基、炭素原子数5乃至12のシクロアルキル基、炭素原子数7乃至13のアラルキル基又は炭素原子数6乃至10のアリール基を表し、又はR1
2は、それぞれが結合している窒素原子と一緒になって5、6又は7員の複素環を形成
しても良く、又はR1及びR2は部分式
【化2】

(式中、
Xは、O、S又はNを表し、
3は、水素原子又は炭素原子数1乃至20のアルキル基を表し、
4は、炭素原子数1乃至12のアルキレン基を表し、
nは、0又は1乃至6の整数を表す。)で表される基を表し、
又はR1及びR2の一方は部分式
【化3】

で表される基を表すか、
又はR2は部分式(II)で表される基を表し、そしてR1は部分式
【化4】

(式中、
mは、0又は1を表し、mが0の場合、Aは式(II)で表される基を表し、そしてmが1の場合、Aはアルキレン基又は炭素原子数6乃至10アリーレン基を表し、及びR5
は式(II)で表される基を表す。)で表される基を表す。}で表される1,2,4−トリアゾールであるか;又は
前記トリアゾール金属不活性化剤は、式(III)
【化5】

(式中、
6は、炭素原子数1乃至12のアルキル基を表し、
7は、炭素原子数1乃至12のアルキル基、1個以上のO原子によって中断された炭
素原子数1乃至12のアルキル基又は炭素原子数5乃至12のシクロアルキル基を表し及び
8及びR9は、水素原子又はメチル基を表す。)で表されるベンゾトリアゾールであるか;
又は
前記トリアゾール金属不活性化剤は、式(IV)
【化6】

{式中、
10は、水素原子又は炭素原子数1乃至12のアルキル基を表し、及び
11及びR12は同一又は相違し、そして炭素原子数1乃至20のアルキル基、
炭素原子数3乃至20のアルケニル基、炭素原子数5乃至12のシクロアルキル基、炭素原子数7乃至13のアラルキル基又は炭素原子数6乃至10のアリール基を表し、又はR11及びR12は、それぞれが結合している窒素原子と一緒になって、5、6又は7員の複素環を形成しても良く、又はR11とR12は部分式
【化7】

(式中、
Xは、O、S又はNを表し、
3は、水素原子又は炭素原子数1乃至20のアルキル基を表し、
4は、炭素原子数1乃至12のアルキレン基を表し、
nは、0又は1乃至6の整数を表す。)で表される基を表し、
又はR11及びR12の一方は部分式
【化8】

で表される基を表すか、
又はR12は式(II)で表される基を表し、そしてR11は部分式
【化9】

(式中、
mは、0又は1を表し、mが0の場合、Aは式(II)で表される基を表し、そしてmが1の場合、Aはアルキレン基又は炭素原子数6乃至10アリーレン基を表し、及びR5
は式(II)で表される基を表す。)で表される基を表す。}で表されるベンゾトリアゾールであるところの組成物。
【請求項2】
前記1,2,4−トリアゾール(I)は、1−(ジ−イソオクチルアミノメチル)−1,2,4−トリアゾール及び1−(ジ−(2−エチルヘキシル)アミノメチル)−1,2,4−トリアゾールから成る群から選ばれる、請求項1に記載の潤滑油組成物。
【請求項3】
前記ベンゾトリアゾール(III)は、1−(2−メトキシプロピ−2−イル)トリルトリアゾール、1−(1−シクロヘキシルオキシプロピル)トリルトリアゾール、1−(1−シクロヘキシルオキシヘプチル)トリルトリアゾール及び1−(1−シクロヘキシルオキシブチル)トリルトリアゾールから成る群から選ばれる、請求項1に記載の潤滑油組成物。
【請求項4】
前記ベンゾトリアゾール(IV)は、1−[ビス−(2−エチルヘキシル)アミノメチル−4−メチル]ベンゾトリアゾールである、請求項1に記載の潤滑油組成物。
【請求項5】
前記ホウ酸エステルは、式(R15O)3B又は
【化10】

(式中、
15は、独立して水素原子、炭素原子数1乃至20のアルキル基、炭素原子数3乃至20のアルケニル基、炭素原子数5乃至12のシクロアルキル基、炭素原子数7乃至13のアラルキル基または炭素原子数6乃至19のアリール基を表すが、但し、少なくとも1つのR15基は水素原子ではない。)で表されるものである、請求項1に記載の潤滑油組成物。
【請求項6】
前記ホウ酸エステルは、ホウ酸トリエチル、ホウ酸トリプロピル、ホウ酸トリイソプロピル、ホウ酸トリブチル、ホウ酸トリフェニル、ホウ酸トリヘキシル、ホウ酸トリシクロヘキシル、ホウ酸トリオクチル、ホウ酸トリイソオクチル、ホウ酸トリデシル、ホウ酸トリ(炭素原子数8乃至10のアルキル)、ホウ酸トリ(炭素原子数12乃至15アルキル)及びホウ酸オレイルから成る群から選ばれる、請求項5に記載の潤滑油組成物。
【請求項7】

【化11】

(式中、
27は、水素原子、未置換の又は1個以上の炭素原子数1乃至6のアルコキシ基により置換された炭素原子数1乃至25の直鎖状の又は枝分れ鎖状のアルキル基、飽和の非環式基又は脂環式基、又はアリール基を表し;R28は、未置換の又は1個以上の炭素原子数1乃至6のアルコキシ基により置換された炭素原子数1乃至25の直鎖状の又は枝分れ鎖状のアルキル基、飽和の非環式基又は脂環式基、又はアリール基を表し;
29は、水素原子、炭素原子数1乃至25の直鎖状の又は枝分れ鎖状のアルキル基、飽和の又は不飽和の非環式基又は脂環式基、又はアリール基を表す;及び
30及びR31は、それぞれ他とは独立に、炭素原子数1乃至25の直鎖状の又は枝分れ鎖状のアルキル基、飽和の又は不飽和の非環式基又は脂環式基、又はアリール基を表す。)で表されるモノ又はジ酸のリン酸アミンを含む、請求項1に記載の潤滑油組成物。
【請求項8】
27及びR28は直鎖状の又は枝分かれした炭素原子数1乃至12のアルキル基を表し、そしてR29、R30及びR31は直鎖状の又は枝分かれした炭素原子数1乃至18のアルキル基を表す、請求項7に記載の潤滑油組成物。
【請求項9】
前記リン酸アミンは、式
【化12】

(式中、
33はn−ヘキシル基を表し、R34は炭素原子数11乃至14の枝分かれしたアルキル基を表し、そしてx=1の場合、y=2を表し;x=2の場合、y=1である。)で表されるものである、請求項7に記載の潤滑油組成物。
【請求項10】
潤滑油中の鉛、銅、鉄及び亜鉛の腐食を抑制する方法であって、該潤滑油に
b)トリアゾール金属不活性化剤;
c)ホウ酸エステル;及び、所望により
d)リン酸アミン
を配合することを含む方法。


【公表番号】特表2010−518205(P2010−518205A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−548648(P2009−548648)
【出願日】平成20年1月28日(2008.1.28)
【国際出願番号】PCT/EP2008/050932
【国際公開番号】WO2008/095805
【国際公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【出願人】(396023948)チバ ホールディング インコーポレーテッド (530)
【氏名又は名称原語表記】Ciba Holding Inc.
【Fターム(参考)】