説明

多階調フォトマスク、多階調フォトマスクの製造方法、パターン転写方法及び薄膜トランジスタの製造方法

【課題】位相シフト効果を生じさせるために遮光部に所定の光透過性を持たせた多階調フォトマスクにおいて、遮光部内での透光部や半透光部との境界から離れた領域にて、被加工体上のレジスト膜の感光を抑制する。
【解決手段】透明基板上に成膜された光学膜をパターニングすることにより形成された透光部、遮光部、及び半透光部を含む転写用パターンを備え、被加工体上に、複数の異なる残膜値をもつレジストパターンを形成する多階調フォトマスクにおいて、光学膜は、多階調フォトマスクの露光光に含まれる代表波長の位相を略180度シフトさせる作用をもつとともに、代表波長の光に対して3%〜50%の透過率を有し、透光部と半透光部においては、透明基板表面の一部が露出し、遮光部は、多階調フォトマスクの露光条件において解像しない線幅の微細透過パターンを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子デバイス用の回路パターン等を被転写体に転写するための転写用フォトマスクに関し、特に、液晶表示装置等の表示デバイスを効率よく製造するための多階調フォトマスク、その製造方法、及び前記多階調フォトマスクを用いたパターン転写方法並びに薄膜トランジスタの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、遮光膜を透過する光の位相と、半透明膜を透過する光の位相とを150度〜210度の範囲内で異ならせるように構成された階調マスクが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−65138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の階調フォトマスクでは、遮光膜を透過する露光光の位相と、半透明膜を透過する露光光の位相とを上記範囲内で異ならせることで、遮光部と半透光部との境界領域における露光光(回折光)を相殺する効果(位相の反転効果。以下、位相シフト効果とも呼ぶ)を生じさせ、遮光部と半透光部との境界部分において、透過光強度を急激に変化させることができる。そのため、係る階調フォトマスクを用いてレジスト膜を露光すると、遮光部と半透光部との境界部分に対応する領域で光解像性を向上させ、被加工体上に形成されるレジストパターンの端部を切り立った形状とすることができる。
【0005】
被加工体上に形成されるレジストパターンの端部を切り立った形状とすることにより、レジストパターンをエッチングマスクとして用いて被加工体に回路パターン等を形成する際に、該パターンの線幅や形状の制御を容易に行えるようになる。特に、被加工体上に形成したレジストパターンをアッシング等して減膜することにより、被加工体に対して2段階のエッチングを行う際には、特に有利な効果が得られる。すなわち、レジストパターンの端部を被加工体の表面に対して垂直に近い(勾配が大きい)形状とすれば、このレジストパターンを1度目のエッチングを行った後、このレジストパターンを減膜することで新たなレジストパターンを形成する際に、減膜量の差異によるレジストパターンの線幅変動を抑制することができる。その結果、新たなレジストパターンを用いて2度目のエッチングを行う際に、被加工体の加工精度を向上させることができる。これに対し、レジストパターンの端部が被加工体の表面に対して水平に近い(勾配が小さい)形状となった場合には、減膜量のわずかな差異によってレジストパターンの線幅が大きく変化してしまい、被加工体の加工精度が低下してしまうこととなる。換言すれば、所望の線幅を得るためのレジストパターンの減膜量のマージンが極めて狭くなってしまい、調整が困難な好ましくない条件となる。
【0006】
上記を考慮すると、多階調フォトマスクに位相シフト効果を利用することには一定の利点がある。
【0007】
しかしながら、位相シフト効果を有する多階調フォトマスクには、以下の課題がある。つまり、多階調フォトマスクが上述の位相シフト効果を得るには、遮光部に用いる光学膜にある程度の透過率を与える必要がある。これは、遮光部が露光光を完全に遮光してしまうと、遮光部と、これに隣接する透光部や半透光部との境界部分において、位相反転による透過光の相殺効果が得られなくなってしまうためである。このため、遮光部は、レジストを感光させないの範囲内で、所定の透過率(例えば特許文献1の記載によると、0.1%〜10%の透過率)を有している必要がある。遮光部に所定の透過率を与えることにより、遮光部と、これに隣接する透光部や半透光部との境界部分において、位相反転による露光光の相殺効果を得ることができ、上記境界付近において露光光の強度を急激に変化させることができるようになる。しかしながら、遮光部に透過率を持たせた場合には、遮光部内における上記境界付近以外の領域(すなわち、隣接する透光部や半透光部との境界から離れた領域)において、遮光性が不十分になってしまう場合があることが、発明者の鋭意研究によって見出された。すなわち、遮光部内における上記境界から離れた領域においては、隣接する透光部や半透光部を透過した光が届かないため、位相反転による透過光の相殺効果は得られず、さらには、遮光部を透過した透過光が、却って被加工体のレジスト膜を感光させてしまうことがある。
【0008】
そこで本発明は、位相シフト効果を生じさせるために遮光部に所定の光透過性を持たせた多階調フォトマスクにおいて、遮光部内での透光部や半透光部との境界から離れた領域にて、被加工体上のレジスト膜の感光を抑制させることが可能な多階調フォトマスク、その製造方法、及び前記多階調フォトマスクを用いたパターン転写方法並びに薄膜トランジスタの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様によれば、
透明基板上に成膜された光学膜をパターニングすることにより形成された透光部、遮光部、及び半透光部を含む転写用パターンを備え、被加工体上に、複数の異なる残膜値をもつレジストパターンを形成する多階調フォトマスクにおいて、
前記光学膜は、前記多階調フォトマスクの露光光に含まれる代表波長の光の位相を略180度シフトさせる作用をもつとともに、前記代表波長の光に対して3%〜50%の透過率を有し、
前記透光部と前記半透光部とにおいては、前記透明基板表面の一部が露出し、
前記遮光部は、前記多階調フォトマスクの露光条件において解像しない線幅の微細透過パターンを有する多階調フォトマスクが提供される。
【0010】
本発明の第2の態様によれば、
前記微細透過パターンは、前記遮光部における露光光の透過強度分布を平坦化するものである第1の態様に記載の多階調フォトマスクが提供される。
【0011】
本発明の第3の態様によれば、
前記転写用パターンは、薄膜トランジスタ製造用パターンであり、前記半透光部はチャネルを形成するものである第1又は第2の態様に記載の多階調フォトマスクが提供される。
【0012】
本発明の第4の態様によれば、
透明基板上に成膜された光学膜をパターニングすることにより形成された透光部、遮光部、及び半透光部を含む転写用パターンを備え、被加工体上に、複数の異なる残膜値をもつレジストパターンを形成する多階調フォトマスクの製造方法において、
前記透明基板上に前記光学膜が成膜されたフォトマスクブランクを用意する工程と、
前記フォトマスクブランクに対してフォトリソグラフィ工程を施すことにより、前記光学膜をパターニングして前記転写用パターンを形成するパターニング工程と、を有し、
前記光学膜は、前記多階調フォトマスクの露光光に含まれる代表波長の光の位相を略180度シフトさせる作用をもつとともに、前記代表波長の光に対して3%〜50%の透過率を有し、
前記パターニング工程においては、
前記透明基板表面の一部を露出させることで前記透光部と前記半透光部を形成し、
前記遮光部に、前記多階調フォトマスクの露光条件において解像しない線幅の微細透過パターンを形成する多階調フォトマスクの製造方法が提供される。
【0013】
本発明の第5の態様によれば、
第1から第3のいずれかの態様に記載の多階調フォトマスク、又は第4の態様に記載の多階調フォトマスクの製造方法により製造される多階調フォトマスクを介して、i線、h線、g線のいずれかの光を含む露光光を、LCD用露光機により前記被加工体上のレジスト膜に照射して、複数の異なる残膜値をもつ前記レジストパターンを前記被加工体上に形成するパターン転写方法が提供される。
【0014】
本発明の第6の態様によれば、
第1から第3のいずれかの態様に記載の多階調フォトマスク、又は第4の態様に記載の多階調フォトマスクの製造方法により製造される多階調フォトマスクを介して、i線、h線、g線のいずれかの光を含む露光光を、LCD用露光機により前記被加工体上のレジスト膜に照射して、複数の異なる残膜値をもつ前記レジストパターンを前記被加工体上に形成する薄膜トランジスタの製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、位相シフト効果を生じさせるために遮光部に所定の光透過性を持たせた多階調フォトマスクにおいて、遮光部内での透光部や半透光部との境界から離れた領域にて、被加工体上のレジスト膜の感光を抑制させることが可能な多階調フォトマスク、その製造方法、及び前記多階調フォトマスクを用いたパターン転写方法並びに薄膜トランジスタの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係る多階調フォトマスクの製造工程を示すフロー図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る多階調フォトマスクの上面構成図である。
【図3】従来の多階調フォトマスクの上面構成図である。
【図4】本発明の実施例及び参考例を示す図である。
【図5】本発明の更なる参考例を示す図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る多階調フォトマスクを用いた薄膜トランジスタ基板の製造工程の示す図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る多階調フォトマスクを用いた薄膜トランジスタ基板の製造工程を示す図であり、図6の続きを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
液晶表示装置に代表される表示デバイスには、従来以上に微細な構造をもつものが増加する傾向にある。これは、薄膜トランジスタ(TFT)基板、カラーフィルタ(フォトスペーサ、色版)などに共通する傾向であるが、これら表示デバイスにおいて、動作の速さ、明るさ、そして消費電力が小さいこと等が、益々重視される性能として注目されていることと深い関係がある。
【0018】
例えば、液晶の動作をつかさどる薄膜トランジスタ(TFT)においては、従来以上にパターンを微細化し、これによって、動作速度を上げたり、消費電力を抑えることが可能である。特に、TFTのチャネル部分の幅(Channel Length)の寸法を微細化することで、上記性能向上が期待できる。ところが、フォトマスクに形成する転写用パターンの線幅やピッチが微細化することに連動し、転写に用いる露光条件を大幅に変更することは、現実には多くの投資と開発が必要である。例えば、現在、露光光としてはi線、h線、g線の波長域含む光源(水銀ランプなど)が用いられることが多いが、微細パターンの解像性を上げるために、より短波長の光源を用いる場合には、用いるレジストの素材の選択を含む、パターニング条件の構築を行う必要が生じる。或いは、単一波長によって解像性を高めようとする場合には、照度の低下により、露光時間の増大、生産効率の低下をもたらす。
【0019】
しかしながら、上記の手段の代わりに、或いは、上記手段と共に用いて、フォトマスクの構成上の工夫により、従来以上に微細なパターンを被加工体上に安定して形成することができれば、非常に有利である。本発明はこうした課題を解決する。
【0020】
<本発明の一実施形態>
以下に、本発明の一実施形態を図1及び図2を参照しながら説明する。図1は本実施形態に係る多階調フォトマスク100の製造工程を示すフロー図であり、図2は本実施形態に係る多階調フォトマスク100の上面構成図である。
【0021】
(1)多階調フォトマスクの構成
図1の(d)や図2に示すように、多階調フォトマスク100は、透明基板10と、透明基板10上に形成された光学膜30(本実施形態では所定の透過率をもつ遮光性の強い膜)をパターニングすることによって形成された遮光部101、半透光部103、及び透光部102を含む所定の転写用パターンと、を備えている。
【0022】
透明基板10は、例えば石英(SiO)ガラスや、SiO,Al,B,RO(Rはアルカリ土類金属),RO(Rはアルカリ金属)等を含む低膨張ガラス等からなる平板として構成されている。透明基板10の主面(表面及び裏面)は、研磨されるなどして平坦且つ平滑に構成されている。透明基板10は、例えば一辺が300mm〜1800mm程度の方形とすることができる。透明基板10の厚さは例えば5mm〜20mm程度とすることができる。
【0023】
転写用パターンは、被加工体上に、複数の異なる残膜値をもつレジストパターンを形成するように構成されている。なお、複数の異なる残膜値をもつレジストパターンとは、第1の残膜値をもつレジスト残膜の部分と、第1の残膜値より小さい第2の残膜値をもつレジスト残膜の部分と、を有するレジストパターンをいう。ここで、残膜値とは、露光、現像後に形成されるレジストパターンの高さ(厚み)をいう。被加工体上に形成されたレジスト膜がポジレジストからなる場合には、後述する遮光部101によって、被加工体上に第1の残膜値をもつレジスト残膜を形成し、後述する半透光部103によって、第2の残膜値をもつレジスト残膜を形成し(第1の残膜値>第2の残膜値)、後述する透光部102によって、レジスト残膜が無い部分を形成する。複数の異なる残膜値をもつレジストパターンの利用方法については、後述する薄膜トランジスタの製造方法と併せて説明する。
【0024】
転写用パターンは、光学膜30を一回のフォトリソグラフィ工程により加工して形成されたものであることが好ましい。なお、転写用パターンは、図2に示すように、遮光部101、透光部102及び半透光部103を備える。半透光部は、線幅1.5μm〜3.0μm、好ましくは1.8μm〜2.5μmの透明基板10が露出したものとすることが好ましい。なお、被加工体(薄膜)上には、これに対応して、上記半透光部103の線幅より大きい線幅(例えば、2μm〜4μm)のパターン(抜きパターン)を形成することができる。この場合に生じるバイアス値(例えば多階調フォトマスク100上の半透光部103の線幅と、被加工体上に形成されるチャネルの線幅との差)は、例えば0.2μm〜1.5μm(片側0.1〜0.75μm)とすることができる。
【0025】
多階調フォトマスク100の露光光としては、i線(365nm)、h線(405nm)又はg線(436nm)を含む光を用いることが出来る。露光光としては、i線、h線、g線をそれぞれ単独で用いてもよく、又はこれらを組み合わせて用いてもよい。i線、h線、g線を含むブロードバンド光を用い、十分な照射エネルギーを得ることが、生産効率上好ましい。なお、上記波長の露光光を用いる際には、露光装置の光学系としては、例えばNA(開口数)が0.07〜0.1、コヒーレンス(σ)が0.4〜1.0であるような光学系を用いることが好ましく、露光時の照度は30〜100mJ/cmとすることができる。
【0026】
光学膜30は、上述の露光光に対して完全な遮光性を有する膜ではなく、所定の光透過性を有する膜として構成されている。すなわち、光学膜30は、上述の多階調フォトマスク100の露光光の代表波長の光に対して、例えば3%〜50%、好ましくは3%〜30%、より好ましくは4%〜15%の透過率を有する膜として構成されている。例えば、露光光の代表波長をi線(365nm)としたときに、光学膜30は、h線に対して4%〜15%の透過率を有する膜として構成されている。
【0027】
また、光学膜30は、上述の多階調フォトマスク100の露光光の位相を、略180度シフトさせる作用を有する膜として構成されている。すなわち、光学膜30は、光学膜30を透過する露光光(後述する遮光部101を透過する露光光)と、光学膜30を透過しない露光光(後述する透光部102、半透光部103、遮光部101内に形成された微細透過パターン30aを透過する露光光)との位相差を、略180度シフトさせる作用を有する膜として構成されている。なお、ここで「略180度」とは、180±30度である。例えば、露光光の代表波長をi線(365nm)としたときに、i線に対する位相シフト量が180±30度とすることができる。
【0028】
光学膜30が、上述の透過率及び上述の位相シフト作用を有することにより、遮光部101と、それに隣接する透光部102や半透光部103との境界領域において、回折光を相殺し、透過光強度を急激に変化させる位相シフト効果を生じさせることが出来る。また、後述する微細透過パターン30aが形成された領域において、同様の露光光の相殺効果を生じさせ、露光光の透過を抑制し、透過強度分布が平坦化させる効果を生じさせることができる。これらの効果については後述する。
【0029】
光学膜30は、例えばクロム(Cr)またはCr化合物からなる膜として構成することができる。好ましくは、CrO、CrC、CrN、CrONなどを用いることができる。なお、光学膜30の表面に更にCr化合物(CrO、CrC、CrN、CrON等)を積層すれば(図示せず)、光学膜30の表面に反射抑制機能を持たせることが出来る。このような材料で形成した場合、光学膜30は、例えば硝酸第2セリウムアンモニウム((NHCe(NO)及び過塩素酸(HClO)を含む水溶液からなるクロム用エッチング液を用いてエッチングすることができる。又は、金属シリサイドを用いることができる。例えば、MoSi化合物(MoSiN、MoSiON、MoSiOCN等)を用いても良い。この場合はフッ酸など、フッ素系のエッチャントを用いることができる。なお、光学膜30は、上述の透過率及び上述の位相シフト作用を備えるものであれば、単層であっても積層であってもよいが、いずれの場合も一度のフォトリソグラフィ工程で加工できる膜として構成されていることが好ましい。光学膜30が複数の層が積層されることで形成されている場合には、各々の層が、同一のエッチャント(エッチング液又はエッチングガス)によってエッチング可能な材料で構成されていることが好ましい。
【0030】
遮光部101とは、多階調フォトマスク100を用いて露光し、被加工体上に形成されたポジレジスト膜からレジストパターンを形成する際、残膜値が最も大きく形成される部分、すなわち、後述する半透光部103による残膜値(第2の残膜値)よりも大きい残膜値(第1の残膜値)を形成する部分をいう。
【0031】
遮光部101は、上述の光学膜30が所定の形状の光学膜パターン30pに形成されてなる。すなわち、透明基板10上に光学膜パターン30pが形成されてなる。従って、遮光部101は、光学膜30が有する上述の透過率及び上述の位相シフト作用を備えることになる。すなわち、遮光部101は、上述の多階調フォトマスク100の露光光の代表波長の光に対して、例えば3%〜50%、好ましくは3%〜30%、より好ましくは4%〜15%の透過率を有すると共に、遮光部101を透過する多階調フォトマスク100の露光光の位相を、略180度シフトさせる作用を有する。このように、遮光部101は、必ずしも完全な遮光性をもつ部分という意味ではない。但し、遮光部101が有する透過率は、被加工体上に形成されたポジレジスト膜を実質的に感光させない透過率とすることが好ましい。
【0032】
遮光部101が上述の透過率及び上述の位相シフト作用を有することにより、遮光部101と、それに隣接する透光部102や半透光部103との境界領域において、露光光強度を急激に変化させる位相シフト効果を生じさせることが出来る。その結果、被加工体上に形成されたレジスト膜を露光した際に、レジストパターンの端部の立ち上がり形状を、より垂直に近い(勾配が大きい)形状とすることができるようになる。
【0033】
また、遮光部101には、遮光部101に隣接する透光部102や半透光部103との境界から所定距離離れた領域(ここでは遮光部101の幅のほぼ1/2の位置)に、微細透過パターン30aが設けられている。微細透過パターン30aは、多階調フォトマスク100の露光条件において解像しない線幅を有している。また、微細透過パターン30aは、遮光部101を構成する光学膜パターン30pが部分的にエッチングされて除去されることで形成されている。従って、微細透過パターン30aを透過する露光光は、光学膜パターン30p(光学膜30)自体を透過しないため、位相シフトは生じない。これに対し、遮光部101内における微細透過パターン30a以外の部分を透過する露光光は、光学膜パターン30p(光学膜30)自体を透過するため、位相が略180度シフトすることになる。この位相差により、遮光部101内であって、遮光部101に隣接する透光部102や半透光部103との境界から所定距離離れた領域(すなわち微細透過パターン30aが設けられた領域)において、遮光部101内における露光光の透過強度に変化が生じ、露光光の透過強度分布が平坦化されることとなる。すなわち、遮光部101内においては、微細透過パターン30aを透過する露光光と、微細透過パターン30a以外の部分を透過する露光光とが互いに相殺し合うことになり、露光光の透過強度が、被加工体上に形成されたポジレジスト膜を感光させないレベルにまで低下することとなる。
【0034】
なお、微細透過パターン30aは、被加工体上に解像しない線幅(大きさ)であれば、ライン状(直線、曲線)のスペースパターン(以下、ライン状パターン)であってもよく、又はドット状のホールパターンであってもよく、その形状や個数(本数)に制約は無い。図2(a)には、遮光部101内に、その幅の略1/2の位置にライン状の微細透過パターン30aが1本設けられた構成例を、図2(b)には、遮光部101内にライン状の微細透過パターン30aが、遮光部101の幅の略1/3の間隔で2本設けられた構成例をそれぞれ示している。なお、一般のLCD露光装置においては、解像限界の線幅が3μm程度であるから、微細透過パターン30aの線幅(大きさ)は、例えば0.2μm〜1.0μmとするのが好ましく、0.3μm〜0.7μmとするのがより好ましい。また、上記微細透過パターンは、遮光部101と半透光部103との境界から例えば2〜8μmの位置に設けることが好ましく、遮光部101の幅がより大きい場合には、図2(b)のように、複数設けることができる。図2(a)の例では、光学膜パターン30pの幅が3μm〜8μmとした時に、微細透過パターン30aを1つ設けている。
【0035】
半透光部103とは、多階調フォトマスク100を用いて露光し、被加工体上に形成されたポジレジスト膜からレジストパターンを形成する際、遮光部101による残膜値(第1の残膜値)よりも小さい残膜値(第2の残膜値)を形成する部分をいう。
【0036】
半透光部103は、透明基板10上に形成された光学膜30がエッチングにより除去され、透明基板10の表面が部分的に露出している。このように構成すると、透光部102を透過した露光光と半透光部103を透過した露光光との間で位相差が無いため、被加工体上に形成されたポジレジスト膜を露光する際、半透光部103と透光部102との境界部分に対応する位置で暗部が形成されることが無い。この点で、半透光部103に半透光性の膜を設ける多階調フォトマスクに対して有利である。
【0037】
なお、半透光部103は、その幅の設定により、光の干渉の影響を受け、半透光部103を透過する露光光の強度(光量)を、透光部101に比べて所定量減少させることができ、半透光性(半遮光性)の領域として機能することになる。半透光部103の透過率(転写時の実効的な透過率)は、例えば10%〜80%(透光部102の透過率を100%としたとき。以下同様)、より好ましくは20〜60%に構成されている。なお、半透光部103を複数設ける場合には、その幅は異なっても良く、その幅の相異により、透過率の異なる複数の半透光性の領域(第1、第2)を含んでいても良い。その場合には、それぞれの半透光性の領域が、透過率に応じて異なるレジスト残膜値を形成する部分となる。
【0038】
透光部102とは、多階調フォトマスク100を用いて露光し、被加工体上に形成されたポジレジスト膜からレジストパターンを形成する際、レジスト残膜を生じさせない部分をいう。透光部102は、後述するように透明基板10上に形成された光学膜30がエッチングにより除去されて、透明基板10の表面が部分的に露出することで構成されている。
【0039】
(2)多階調フォトマスクの製造方法
次に、上述の多階調フォトマスク100の製造方法について、図1を用いて説明する。
【0040】
(マスクブランクの用意)
まず、図1(a)に示すように、透明基板10上に光学膜30が形成され、光学膜30上にレジスト膜40が形成されたフォトマスクブランク100bを準備する。透明基板10や光学膜30の構成は上述の通りである。レジスト膜40は、ポジ型フォトレジスト材料或いはネガ型フォトレジスト材料により構成することが可能である。以下の説明では、レジスト膜40がポジ型フォトレジスト材料より形成されているものとする。レジスト膜40は、例えばスリットコータやスピンコータ等を用いて形成することができる。
【0041】
(レジストパターンの形成)
続いて、図1(b)に示すように、電子線或いはレーザ描画装置を用いてレジスト膜40に描画露光を行い、レジスト膜40を感光させ、レジスト膜40に現像液を供給して現像を施し、遮光部101の形成予定領域を覆う(すなわち、透光部102及び半透光部103の形成予定領域が開口した)レジストパターン40pを形成する。なお、レジストパターン40pを形成する際には、微細透過パターン30aの形成予定領域も併せて開口させるようにする。
【0042】
(光学膜のエッチング)
続いて、図1(c)に示すように、レジストパターン40pをマスクとして光学膜30をエッチングし、光学膜パターン30pを形成する。光学膜30のエッチングは、例えばウェットエッチングにより行う。エッチャントとしては、上述のクロム用エッチング液を用いることができる。その結果、透光部102、半透光部103、微細透過パターン30aの形成予定領域を覆っていた光学膜30がエッチングによりそれぞれ除去され、下地の透明基板10の表面が部分的に露出することとなる。
【0043】
(レジストパターンの剥離)
光学膜30のエッチングが完了したら、図1(d)に示すように、光学膜パターン30p上に形成されているレジストパターン40pを剥離する。以上の工程を実施することにより、本実施形態に係る多階調フォトマスク100が製造される。
【0044】
(3)薄膜トランジスタの製造方法
次に、上述の多階調フォトマスク100を介して、i線、h線、g線のいずれかの光を含む露光光をLCD用露光機により被加工体上のレジスト膜に照射して、複数の異なる残膜値をもつレジストパターンを被加工体上に形成し、ガラス基板71上にTFT部78と配線部79とを形成する薄膜トランジスタ基板(以後、TFT基板と呼ぶ)の製造工程の一工程について、図6、図7を用いて説明する。
【0045】
まず、図6(a)に示すように、ガラス基板71上に、パターニングされたゲート電極72が形成され、その後に、ゲート絶縁膜73、第1半導体膜(a−Si膜)74、第2半導体膜(n+a−Si膜)75、ソース/ドレイン用金属膜76、及びポジ型フォトレジスト膜77が順次積層された被加工体を用意する。
【0046】
次に、図6(b)に示すように、遮光部101、透光部102及び半透光部103を有する上述の多階調フォトマスク100を用いてポジ型フォトレジスト膜77を露光し、その後現像する。TFTのソース/ドレイン形成予定領域には、多階調フォトマスク100の遮光部101が対応し、TFTのチャネル形成予定領域には、多階調フォトマスク100の半透光部103が対応する。露光光としてはi線、h線、g線を含む光を用いる。また、露光装置の光学系としては、例えばNA(開口数)が0.07〜0.1、コヒーレンス(σ)が0.7〜1.0であるような光学系を用いることができる。
【0047】
これにより、TFT部78においては、チャネル形成予定領域及びソース/ドレイン形成予定領域をそれぞれ覆うレジストパターン77aが形成される。また、配線部79においては、配線形成予定領域を覆うレジストパターン77bが形成される。なお、多階調フォトマスク100の半透光部103は、TFT部78のチャネル形成予定領域に対応する部分に形成されているため、TFT部78においては、チャネル形成予定領域におけるレジストパターン77aの厚さが、ソース/ドレイン形成予定領域におけるレジストパターン77aよりも薄くなっている。すなわち、上述の多階調フォトマスク100を用いて露光を行うことで、複数の異なる残膜値をもつレジストパターンが形成される。
【0048】
なお、遮光部101は、上述したように所定の透過率及び所定の位相シフト作用を有することから、遮光部101と、それに隣接する透光部102や半透光部103との境界領域において、ポジ型フォトレジスト膜77に照射される露光光強度を急激に変化させる位相シフト効果を生じさせることが出来る。これにより、レジストパターン77a,77bの端部の立ち上がり形状を、それぞれ垂直に近い(勾配が大きい)形状とすることができる。
【0049】
また、遮光部101には、上述したように、遮光部101に隣接する透光部102や半透光部103との境界から離れた領域に、微細透過パターン30aが形成されている。微細透過パターン30aは、多階調フォトマスク100の露光条件において解像しない線幅を有しており、光学膜パターン30pの下地である透明基板10の表面が部分的に露出することで形成されている。従って、微細透過パターン30aを透過する、露光光が、ポジ型フォトレジスト膜77上に解像せず、その一方、遮光部101に生じる、位相が反転した透過光を相殺する作用をもつ。その結果、遮光部101に対応する領域で、ポジ型フォトレジスト膜77に照射される露光光強度を弱めることができ、レジストパターン77a,77bの残膜形状を良好にし、厚さを確実に確保することができるようになる。
【0050】
次に、図6(c)に示すように、レジストパターン77a,77bをマスクとして、ソース/ドレイン用金属膜76、第2半導体膜75及び第1半導体膜74をエッチングする。
【0051】
次に、図7(a)に示すように、チャネル形成予定領域を覆う薄いレジスト膜が完全に除去されるまで酸素アッシング等を実施し、レジストパターン77a,77bをそれぞれ減膜する。その結果、TFT部78においてはソース/ドレイン形成予定領域を覆い、チャネル形成予定領域が開口されたレジストパターン77cが形成され、配線部79においては、配線形成予定領域を覆うレジストパターン77bが残存する。この段階におけるレジストパターン77c,77bは、それぞれ酸素アッシングされているので、上記図6(b)に示す工程で形成されたレジストパターン77a,77bよりも全体的に膜厚が薄くなっている。
【0052】
その後、図7(b)に示すように、レジストパターン77bをマスクとして、TFT部78におけるソース/ドレイン用金属膜76及び第2半導体膜75をエッチングし、次いで第2半導体膜75をエッチングする。
【0053】
最後に、図7(c)に示すように、残存したレジストパターン77b,77cをそれぞれ除去する。この工程により、TFT部78にはソース電極/ドレイン電極76a,76bが形成され、その間にチャネル部が形成される。
【0054】
(4)本実施形態に係る効果
本実施形態によれば、以下に示す一つまたは複数の効果を奏する。
【0055】
(a)本実施形態に係る遮光部101は、上述したように所定の透過率及び所定の位相シフト作用を有する膜として構成されている。これにより、遮光部101と、それに隣接する透光部102や半透光部103との境界において、それぞれを透過した露光光を相殺させる位相シフト効果を生じさせることができ、上述の境界領域における露光光強度を急激に変化させることができるようになる。これにより、レジストパターン77a,77bの端部の立ち上がり形状を、より垂直に近い(勾配が大きい)形状とすることができる。その結果、レジストパターン77a,77bをそれぞれ減膜して新たなレジストパターンを形成する際の寸法変動を抑制することができ、同時に、減膜量のマージンを増やすことができる。すなわち、被加工体の加工精度を容易に向上させることができるようになる。
【0056】
(b)本実施形態に係る遮光部101には、遮光部101に隣接する透光部102や半透光部103との境界から離れた領域に、微細透過パターン30aが形成されている。微細透過パターン30aは、多階調フォトマスク100の露光条件において解像しない線幅を有している。また、微細透過パターン30aは、光学膜パターン30pの下地である透明基板10の表面が部分的に露出することで形成されている。従って、微細透過パターン30aを透過する露光光は、被加工体のレジスト膜上には解像せず、その一方で、遮光部101に生じる、位相が反転した透過光を相殺する作用をもつ。その結果、ポジ型フォトレジスト膜77の不要な感光を回避することができ、レジストパターン77a,77bの立体形状と残膜厚さを確実に確保することができるようになる。そして、レジストパターン77a,77bを減膜した際に、目標線幅が得やすく、また下地が不要に露出してしまうこと等を確実に回避できるようになる。
【0057】
(c)本実施形態に係る半透光部103は、透明基板10上に形成された光学膜30がエッチングにより除去されて、透明基板10の表面が部分的に露出することで構成されている。そのため、透光部102を透過した露光光と半透光部103を透過した露光光との間で位相差を無くすることができ、ポジ型フォトレジスト膜77を露光する際に、半透光部103と透光部102との境界部分に対応する位置での暗部が形成されない。これにより、半透光部103と透光部102との境界部分におけるレジスト残りを回避することができ、被加工体の加工精度を向上させることができるようになる。
【0058】
(d)光学膜30を単層又は同様のエッチング特性をもつ素材による積層とすれば、フォトリソグラフィ工程を1回として製造することできる。また、単層であれば成膜工程1回とすることができる。また、その場合、フォトリソグラフィ工程を繰り返して製造する多階調フォトマスクに比べ、パターンのアライメントずれによる転写性の劣化が生じない。
【0059】
<本発明のさらに他の実施形態>
以上、本発明の実施形態を具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【実施例】
【0060】
本発明の実施例として、図2(a)に例示する転写パターンを備えた多階調フォトマスク100、すなわち遮光部101内の幅の略中央に、微細透過パターン30aが形成された多階調フォトマスク100を用い、被加工体上に形成されたポジレジスト膜を感光させ、現像することでレジストパターンを形成した場合の形状を、光学シミュレーションによって求めた。
【0061】
ここで用いた多階調フォトマスク100は、光学膜30の透過率が5%(代表波長をi線に対して)のものを使用した。また、位相シフト量は、i線に対して180度(g線157.3度、h線167.4度)の膜を用いた。適用した露光条件としては、LCD用露光機の条件を適用し、i線、h線、g線を含むブロードバンド光を露光光として用いた。露光機の光学系は、NA(開口数0.085)、σ(コヒーレンス)0.9、光源の光強度はg:h:i=1:0.8:0.95である。
【0062】
上記条件下で、図2(a)に示す転写パターンの、A線の位置に対応するレジストパターンの断面形状(現像後、減膜前)を、図4(a)に示す。ここでは、チャネル部分のレジスト残膜値を7000Åとし、レジストパターンの減膜時の変動マージン(以下、減膜マージン)を14400μm±3600とし、この部分でのレジスト断面の傾斜に起因する線幅変動を評価する。
【0063】
本実施例では、多階調フォトマスク100上の半透光部103(チャネル部分に対応)の幅を2.35μmとした。このとき、上記減膜マージンによって、レジストパターン断面の傾きに起因する、線幅変動量が1.1μmであった。また、上記半透光部103に対応する、減膜マージンの中央値(14400Å)における幅は、2.4μmであった。更に、ソース、ドレインに対応するレジストパターンの頂部が、後述する図4(b)に比べて平坦化されており、被加工体をエッチングする際のエッチングマスクとしての、立体形状が良好であることがわかる。
【0064】
図4(b)に参考例を示す。ここでは、図3に示す転写パターン、すなわち、微細透過パターンを持たない遮光部101’を用いて、同様に露光した場合に形成されるレジストパターンの断面形状を示している。
【0065】
ここでは、ソース、ドレインに対応するレジストパターンの頂部に凹みがある。この凹みは、フォトマスク上の遮光部に使用した光学膜がもつ透過率に起因するものである。言うまでもなく、レジストパターンの形状としては、頂点がフラットであることが好ましい。特に、透過率の異なる複数の半透光部をもつ多階調フォトマスクを設計する際には、レジスト残膜値は更に厳密に設計値どおりの値を安定してもつ必要がある。
【0066】
尚、図4(b)と図4(a)を比較すると、上記レジストパターンの線幅変動においても、前者が1.2μmであり、後者が1.1μmであることから、図4(a)に示す本発明のフォトマスクが有利であることがわかる。
【0067】
次に、更なる参考例として、光学膜として露光光を透過しない(OD3以上)の膜を使用し、図3に示すパターンを用いて、同様に露光した場合に形成されるレジストパターンの断面形状を図5(a)に示す。
【0068】
ここでは、ソース、ドレインに相当する、フォトマスクの遮光部において、露光光が透過しないので、レジストパターンの頂部に凹みは無い。しかしながら、現像後、減膜前のレジストパターンにおいてチャネル部に対応する部分のレジスト残膜値を、図4と同様に7000Åとし、減膜マージンを上記実施例と同様に14400±3600Åとしたとき、上記減膜マージンによって、レジストパターン断面の傾きに起因する線幅変動量は、1.2μmであった。
【0069】
また、半透光部103’に対応する、減膜マージンの中央値(14400Å)における幅は2.6μmとなり、上記実施例に対して大きくなってしまった。そこで、チャネル部に対応する部分をより微細化する目的で、実施例と同様に2.4μmとするため、減膜マージンを13200±3600Åに下げたところ、図5(b)に示すように、減膜マージン中央値(13200Å)における線幅変動量が、1.3μmに増加してしまった。
【0070】
以上により、本発明の多階調フォトマスクによると、透過光のプロファイルが改善され、被加工体上に形成されるレジストパターンが極めて良好になることが明らかになる。
【符号の説明】
【0071】
10 透明基板
30 光学膜
30p 光学膜パターン
100 多階調フォトマスク
101 遮光部
101’ 遮光部
102 透光部
103 半透光部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基板上に成膜された光学膜をパターニングすることにより形成された透光部、遮光部、及び半透光部を含む転写用パターンを備え、被加工体上に、複数の異なる残膜値をもつレジストパターンを形成する多階調フォトマスクにおいて、
前記光学膜は、前記多階調フォトマスクの露光光に含まれる代表波長の位相を略180度シフトさせる作用をもつとともに、前記代表波長の光に対して3%〜50%の透過率を有し、
前記透光部と前記半透光部とにおいては、前記透明基板表面の一部が露出し、
前記遮光部は、前記多階調フォトマスクの露光条件において解像しない線幅の微細透過パターンを有する
ことを特徴とする多階調フォトマスク。
【請求項2】
前記微細透過パターンは、前記遮光部における露光光の透過強度分布を平坦化するものである
ことを特徴とする請求項1に記載の多階調フォトマスク。
【請求項3】
前記転写用パターンは、薄膜トランジスタ製造用パターンであり、前記半透光部はチャネルを形成するものである
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の多階調フォトマスク。
【請求項4】
透明基板上に成膜された光学膜をパターニングすることにより形成された透光部、遮光部、及び半透光部を含む転写用パターンを備え、被加工体上に、複数の異なる残膜値をもつレジストパターンを形成する多階調フォトマスクの製造方法において、
前記透明基板上に前記光学膜が成膜されたフォトマスクブランクを用意する工程と、
前記フォトマスクブランクに対してフォトリソグラフィ工程を施すことにより、前記光学膜をパターニングして前記転写用パターンを形成するパターニング工程と、を有し、
前記光学膜は、前記多階調フォトマスクの露光光に含まれる代表波長の光の位相を略180度シフトさせる作用をもつとともに、前記代表波長の光に対して3%〜50%の透過率を有し、
前記パターニング工程においては、
前記透明基板表面の一部を露出させることで前記透光部と前記半透光部を形成し、
前記遮光部に、前記多階調フォトマスクの露光条件において解像しない線幅の微細透過パターンを形成する
ことを特徴とする多階調フォトマスクの製造方法。
【請求項5】
請求項1から3のいずれかに記載の多階調フォトマスク、又は請求項4に記載の多階調フォトマスクの製造方法により製造される多階調フォトマスクを介して、i線、h線、g線のいずれかの光を含む露光光を、LCD用露光機により前記被加工体上のレジスト膜に照射して、複数の異なる残膜値をもつ前記レジストパターンを前記被加工体上に形成する
ことを特徴とするパターン転写方法。
【請求項6】
請求項1ないし3のいずれかに記載の多階調フォトマスク、又は請求項4に記載の多階調フォトマスクの製造方法により製造される多階調フォトマスクを用い、i線、h線、g線のいずれかの露光光をLCD用露光機により前記被加工体上のレジスト膜に照射して、複数の異なる残膜値をもつ前記レジストパターンを前記被加工体上に形成する
ことを特徴とする薄膜トランジスタの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図6】
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【図7】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−76922(P2013−76922A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−217784(P2011−217784)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000113263)HOYA株式会社 (3,820)
【Fターム(参考)】