説明

大口径ボーリング等仮設足場の支持方法

【課題】急傾斜の崩壊防止用に設置する大口径ボーリング等仮設足場からは、地山に非常に大きな荷重が加わり、その荷重で固結力の小さい地盤が破壊して地すべりが発生する。
【解決手段】地表から堅固な地盤まで、軽量な打撃機械で支持杭を打設して仮設足場に加わる荷重を受けて地盤の破壊を防ぐ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、急傾斜地崩壊防止工事の大口径ボーリング等仮設足場のすべり崩壊防止方法に関する。
【背景技術】
【0002】
前記に述べた急傾斜地では、長雨や豪雨で斜面が崩れ災害が発生して尊い人命の失われることがある。その災害を未然に防ぐために土留柵工と称する急傾斜地の崩壊防止工事方法がある。
【0003】
急傾斜地とは、斜面傾斜が30°以上の崩れやすい崖地を言い、そのうち土留柵工の施工対象範囲は、崩壊が予想される土砂の層厚が1〜2mで、斜面傾斜45°以下の斜面である。
【0004】
土留柵工とは、急斜面に大口径ボーリングで地盤の堅固な深さまで孔を掘り、その孔にH鋼や鋼管杭を建て込み、杭の抑止力で土砂の崩壊を防止するものである。
その土留柵工を施工するには、崩壊しやすい急斜面に重いボーリング機械を乗せた仮設足場を設置しなければならない。
【発明の表示】

【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記した不安定な急斜面の上に重量物のボーリング機械を載せた仮設足場を設置すると、その荷重で地盤が破壊されて、地山に図1のようなすべり面ができて地すべりが発生する。
【0006】
そこで、仮設足場設置後の地山の安定方法の検討と対策を講ずる必要がある。地山は非常に急峻な地形を成すので、小型機械や簡易足場で作業が簡便にできる方法を考えなければならない。その簡便な方法として次ぎのことが考えられる。
▲1▼地山を安定地盤の約2mまで掘削し、その上に直接仮設足場を設置する。
▲2▼杭を安定地盤まで打設して、その杭の上に仮設足場を設置する間接基礎がある。
しかし、▲1▼の直接仮設足場を安定地盤に設置する方法は、不安定な地山を2.0m掘削することになり、土砂崩壊の危険性がある。そこで杭による間接基礎が適当と考えた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、仮設足場から地山に働く力を、地表から2m以深の安定地盤に、杭で支持させて安定を図るものである。
その支持方法は下記のとおりである。
▲1▼図2に示すとおり小型のボーリング機械で孔を安定地盤まで削孔し、そのボーリング孔にH鋼や鋼管杭を建て込む。(図3参照)
▲2▼図4、図5に示すようにH鋼や鋼管杭を杭打ち機で安定地盤まで打設する。
▲3▼そして図6のとおり地山に設置した杭の上に仮設足場を載せて、溶接やボルトナットで固定する。
なお、杭の設置は、図7に示すとおり土留柵工の計画箇所周辺に4箇所以上とする。
【0008】
【発明の効果】
【0009】
支持杭の施工は、上層の崩積土はゆるいので軽量なボーリング機械でも容易に掘削ができ、杭も容易に建て込むことができた。また杭打ち機でも杭を容易に打設することができた。
その結果、仮設足場を急傾斜に設置しても地盤の破壊で地すべりの発生することはなくなった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、本発明の実施の形態を図1〜図7に基づいて説明する。
【0011】
図1は、急傾斜地に設置した仮設足場とボーリング機械である。
急傾斜地の地表(1)の上に重いボーリング機械(10)を載せた仮設足場(8)を設置すると、その荷重は、地表(1)から下層の崩積土に伝達(6)されるが、崩積土(2)のせん断強度が小さいとその地盤は破壊されて地すべりが発生し、崖下の家屋に被害を与える危険性がある。
【0012】
そこで、本発明にて仮設足場から加わる荷重を、杭で安定地盤へ間接的に支持させて仮設足場の安全を図るものである。
【0013】
図2は、簡易な仮設足場(8)の上に載せた小型ボーリング機械(10)で削孔中の断面図で、図3は、ボーリング孔に支持杭(16)を建て込んだ断面図である。
まず、計画する仮設足場(8)の延長線沿いの支持杭(16)を設置する4地点に単管パイプなどで簡易足場(11)を組み、その簡易足場(11)に小型のボーリング機械(10)を載せて、地表(1)から安定地盤(3)までボーリングを行う。そして図3で示すように開けられたボーリング孔(13)へ鋼管またはH鋼などの支持杭(16)を建て込む。 その建て込んだ支持杭(16)の中や周囲を土砂で埋設し、建て込んだ支持杭(16)の上に、仮設足場(8)の脚部を載せて溶接やボルトナット(22)で固定し、仮設足場(8)から加わる荷重を安定地盤(3)へ支持させる方法。
【0014】
図4は、杭打ち込み機で支持杭を打設中の断面図で、図5は、支持杭打設後の断面図である。
まず、図4で示すとおり計画する仮設足場(8)の延長線沿いの支持杭(16)を設置する4地点に単管パイプなどで簡易足場(11)を組み、その簡易足場(11)上の支持杭(16)の施工箇所に鋼管またはH鋼などの支持杭(16)を建て、その支持杭(16)の上部に杭打ち機(17)を被せ入れ、エアーまたは油圧で杭を打設して図5のように支持杭(16)を安定地盤(3)まで入れ、その支持杭(16)の頭部に仮設足場の脚部を載せて溶接やボルトナット(22)で固定し、仮設足場(8)から加わる荷重を安定地盤(3)へ支持させる方法。
【図面の簡単な説明】
【図1】急傾斜地に設置した仮設足場とすべり破壊の断面図。
【図2】簡易仮設足場の上に載せた小型ボーリング機械で削孔中の断面図。
【図3】ボーリング孔に支持杭を建て込んだ断面図。
【図4】杭打ち込み機で支持杭を打設中の断面図。
【図5】打ち込み機で支持杭打設後の断面図。
【図6】支持杭の上に仮設足場を設置した断面図。
【図7】仮設足場と土留柵工および杭の打設位置平面図。
【符号の説明】
1地表 16支持杭
2崩積土 16−1建て込み杭
3安定地盤 16−2打ち込み杭
4破壊すべり面 17杭打ち機
5想定すべり面 18エアーホース
6地表に働く応力 19ボーリング位置
7クラック 20土留柵工用H鋼杭
8仮設足場 21支持杭計画位置
9手摺 22溶接+ボルトナット固定
10ボーリング機械
11簡易足場
12送水ホース
13ボーリング孔
14ボーリングロット
15ビット

【特許請求の範囲】
本発明は、仮設足場から地山に働く力を、地表から2m以深の安定地盤に、杭で支持させて安定を図るものである。その支持方法は下記のとおりである。
【請求項1】
計画する仮設足場(8)の延長線沿いの支持杭(16)を設置する4地点に単管パイプなどで簡易足場(11)を組み、その簡易足場(11)に小型のボーリング機械(10)を載せて、地表(1)から安定地盤(3)までボーリングを行う。そして図3で示すように開けられたボーリング孔(13)へ鋼管またはH鋼などの支持杭(16)を建て込む。 その建て込んだ支持杭(16)の中や周囲を土砂で埋設し、建て込んだ支持杭(16)の上に、仮設足場(8)の脚部を載せて溶接やボルトナット(22)で固定し、仮設足場(8)から加わる荷重を安定地盤(3)へ支持させる方法。
【請求項2】
計画する仮設足場(8)の延長線沿いの支持杭(16)を設置する4地点に単管パイプなどで簡易足場(11)を組み、その簡易足場(11)上の支持杭(16)の施工箇所に鋼管またはH鋼などの支持杭(16)を建て、その支持杭(16)の上部に杭打ち機(17)を被せ入れ、エアーまたは油圧で杭を打設して図5のように支持杭(16)を安定地盤(3)まで入れ、その支持杭(16)の頭部に仮設足場の脚部を載せて溶接やボルトナット(22)で固定し、仮設足場(8)から加わる荷重を安定地盤(3)へ支持させる方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−52515(P2011−52515A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−221535(P2009−221535)
【出願日】平成21年9月1日(2009.9.1)
【出願人】(504008508)株式会社伊丸特殊工事 (1)
【Fターム(参考)】