説明

大型タイル接着材

【課題】施工性、耐久性、強度発現性に優れている大型タイル接着材の提供。
【解決手段】(A)水硬性物質100質量部に対し、(B)細骨材を24〜99質量部、(C)ポリマーを3〜25質量部、(D)セルロース誘導体又はセルロース誘導体とスターチ類を有効成分とする保水剤0.13〜0.5質量部、(E)アルカリ土類金属硫酸塩0.4〜5質量部を含有してなるタイル接着材であって、(C)ポリマーと(E)アルカリ土類金属硫酸塩の質量比[(C)/(E)]がポリマーの固形分換算で2〜19、さらに(D)保水剤と(C)ポリマーの質量比[(D)/(C)]がポリマーの固形分換算で0.015〜0.10である大型タイル接着材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施工性、耐久性、強度発現性に優れ、大型タイル張付用に適したセメント系のタイル接着材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、集合住宅の外壁、エントランス部の内壁、床、室内の床等にタイルが施工されることは多く、その場合の張付け材はセメントモルタル、エポキシ樹脂などが一般に使用されている。また、タイルの寸法が200×200mm以上の大型タイルの場合は、機械的に躯体コンクリートに固定するか、セメント系急結材を混和したポリマーセメントモルタルや超速硬セメントを使用したポリマーセメントモルタルが考案されている(特許文献1、2)。
また、一般に外壁にタイルを張り付ける場合は、剥落の危険を考慮して付着強度の高いセメントモルタルで張り付けている。しかし、施工費用を低廉化するため、躯体コンクリートに直接セメントモルタルで張り付ける直張り工法を採用する事例の増加してきた。直張り工法は、施工管理が難しく、施工面積が大きい現場では、躯体コンクリートとの付着力を施工箇所全体に安定的に出すことが困難である。一方で、水溶性高分子エマルジョン、再乳化形粉末樹脂、軽量骨材の普及に伴い、これらを使用することでヤング率を低減し(特許文献3)、曲げじん性、破断時の伸びを向上することによりディファレンシャルムーブメントに対し安定的な付着力を維持する方策も提案されている(特許文献4、5)。
【特許文献1】特開平6−80457号公報
【特許文献2】特開2005−314220号公報
【特許文献3】特開平10−299220号公報
【特許文献4】特開2004−189569号公報
【特許文献5】特開2006−273597号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、これまでの考案された大型タイル用張付け材は、急結材あるいは超速硬セメントとポリマーを組み合わせ早期に大型タイルを躯体コンクリートに張り付け硬化させることを主眼に置いているため、タイル張り付け材の施工性、可使時間が十分確保されたものがなく、実現場への適当性に欠けていた。また、モザイクタイル、二丁掛けタイル等に適用されているタイル張付け材では大型タイルを張り付けてもずれる虞があった。
従って、本発明の目的は、大型タイル張り付け時のタイルのずれ、剥がれがなく、施工性、可使時間が十分確保される大型タイル用の接着材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
そこで本発明者らは、大型タイル張付に適した接着材について種々検討した結果、アルカリ土類金属硫酸塩とポリマーの配合比、保水剤とポリマーの配合比をある一定の範囲で調整する等により、大型タイル張り付け時のタイルのずれ、剥がれが防止でき、また、張り付け後ずれがあっても適性に修正が可能で躯体コンクリートとの安定的な付着強度が得られることを見出し、本発明を完成させた。
【0005】
すなわち、本発明は、(A)水硬性物質100質量部に対し、(B)細骨材を24〜99質量部、(C)ポリマーを3〜25質量部、(D)セルロース誘導体又はセルロース誘導体とスターチ類を有効成分とする保水剤0.13〜0.5質量部、(E)アルカリ土類金属硫酸塩0.4〜5質量部を含有してなるタイル接着材であって、(C)ポリマーと(E)アルカリ土類金属硫酸塩の質量比[(C)/(E)]がポリマーの固形分換算で2〜19、さらに(D)保水剤と(C)ポリマーの質量比[(D)/(C)]がポリマーの固形分換算で0.015〜0.10である大型タイル接着材を提供するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明により施工性、耐久性、強度発現性に優れた大型タイル張付け用のタイル接着材を提供でき
る。特に、大型タイル張り付け時のタイルのずれ、剥がれがなく、施工性、可使時間が十分確保される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明のタイル接着材には、硬化成分として(A)水硬性物質を含有する。(A)水硬性物質は、市販のセメントが使用可能である。これには例えば、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント等が挙げられる他、高炉セメント、フライアッシュセメント等の混合セメント、白色セメント、ジェットセメント、アルミナセメント等の特殊セメントも挙げられる。
【0008】
本発明のタイル接着材に使用する(B)細骨材は、珪砂、寒水石、石灰砂、川砂、陸砂、砕砂等の普通骨材とパーライト、エチレン酢酸ビニル共重合体−炭酸カルシウム発泡体、発泡ポリスチレン粒等の軽量骨材を組み合わせ、変形追従性の向上と静弾性係数の低減を考慮したものが好ましい。(B)細骨材の配合量は、水硬性物質100質量部に対し、24〜99質量部が好ましく、25〜98質量部がより好ましく、35〜70質量部が特に好ましい。24質量部未満では、タイル接着材の乾燥収縮と静弾性係数が大きくなり、タイルの浮き、剥離の発生する虞がある。99質量部を超えると強度低下の虞があり、付着強度も低下する虞がある。
【0009】
さらに(B)細骨材の普通骨材と軽量骨材の夫々の好ましい配合量は、普通骨材が(A)水硬性物質100質量部に対し22〜96質量部であり、軽量骨材が0.6〜3.7質量部が好ましい。普通骨材が22質量部未満では乾燥収縮と静弾性係数が大きくなり、96質量部を超えると施工性が低下するとともに付着強度も低下することがある。また、軽量骨材が0.6質量部未満では静弾性係数が大きくなり、3.7質量部を超えると強度と施工性が低下することがある。
【0010】
本発明のタイル接着材に用いる(C)ポリマーとしては、再乳化形粉末樹脂やポリマーディスパージョンが挙げられる。再乳化形粉末樹脂としてはJIS A 6203に規定された再乳化形粉末樹脂が使用できる。また、ポリマーディスパージョンとしては、同じくJIS A 6203に規定されたものを使用することができる。
再乳化形粉末樹脂としては、エチレン酢酸ビニル、酢酸ビニル/バーサチック酸ビニルエステル、酢酸ビニル/バーサチック酸ビニル/アクリル酸エステル、ポリアクリル酸エステル、スチレンブタジエンなどを主成分とする粉末状の樹脂を使用することができる。また、ポリマーディスパージョンとしては、エチレン酢酸ビニル、スチレンブタジエン、又はポリアクリル酸エステルなどを主成分とする樹脂を使用することができる。また、再乳化形粉末樹脂の製造方法は限定されることなく、粉末化方法やブロッキング防止法などのいずれの製法によって製造してもよい。さらに、ポリマーディスパージョンの製造方法は限定されることなく、界面活性剤をポリマーディスパージョンの乳化剤とした製法などのいずれの製法によって製造してもよい。
【0011】
(C)ポリマーの配合量は、(A)水硬性物質100質量部に対し固形分換算で3〜25質量部であるが、4〜20質量部が好ましく、より好ましくは5〜19質量部である。(C)ポリマーの配合量が、3質量部未満では混和した効果がなく、25質量部を超えると粘性が高くなり施工性が低下する。
【0012】
本発明のタイル接着材に用いる(D)保水剤は、セルロース誘導体又はセルロース誘導体とスターチ類である。セルロース誘導体としては水に溶解するものであればいずれのものでも良く、例えばメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、セルロース硫酸エステル等の水溶性セルロース誘導体が挙げられる。これらの中でもメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースが好ましい。
【0013】
(D)保水剤としてセルロース誘導体とともにスターチ類を併用することが可能である。スターチ類としては、コーンスターチ、ポテトスターチ、タピオカスターチなどが使用可能である。セルロース誘導体とスターチ類の好ましい割合は、セルロース誘導体100質量部に対しスターチ類4〜12質量部である。4質量部未満では、混和した効果がなく、12質量部を超えると粘性が増し施工性が低下するとともに凝結時間が長くなる。低温環境では硬化不良の発生する虞がある。
【0014】
(D)保水剤の配合量は、(A)水硬性物質100質量部に対し0.13〜0.5質量部であり、より好ましくは、0.14〜0.39質量部であり、さらに好ましくは、0.14〜0.35質量部である。0.13質量部未満では混和した効果がなく、0.5質量部を超えると硬化遅延が置き、強度発現性が低下するとともに粘性が高くなり施工性が低下する虞がある。
【0015】
(D)保水剤と(C)ポリマーをタイル接着材に混和することにより保水性及び躯体コンクリートとタイルへの付着力を向上させることが可能であるが、粘性が増すため一般に施工性は低下する。しかし(D)保水剤と(C)ポリマーの配合比を質量比[(D)/(C)](ポリマーの固形分換算)で0.015〜0.10、特に0.02〜0.08、さらに0.04〜0.08に調整することにより、タイル接着材のコテ塗り作業性が向上すると共にタイルのずれを防止するこことが可能となる。0.015未満では保水性が低下し、ドライアウトを起こす虞があり、0.10を超えると凝結遅延を起こす虞がある。
【0016】
本発明のタイル接着材に使用する(E)アルカリ土類金属硫酸塩としては、硫酸マグネシウム、無水石膏等が好ましく、これらは1種のみで使用することも2種以上併用することも可能である。配合量は、水硬性物質100質量部に対し0.4〜5.0質量部であるが、0.5〜5.0質量部が好ましく、より好ましくは1.5〜4.0質量部である。0.4質量部未満では混和した効果がなく、5質量部を超えると可使時間が短くなり施工性が低下し、付着強度が低下する。無水石膏はブレーン比表面積6000〜10000cm2/gのII型無水石膏が好ましい。ブレーン比表面積6000cm2/g未満では反応性が低く低温で未反応のものが残り、実現場では気温と湿度が上がるとともに反応を開始する虞があり、膨張ひび割れを発生する可能性がある。ブレーン比表面積10000cm2/gを超えると単位水量が増し、ひび割れの発生する虞があるとともにコテ作業性と強度発現性が低下する。
また、(C)ポリマーと(E)アルカリ土類金属硫酸塩の質量比[(C)/(E)]は、ポリマーの固形分換算で2〜19であるが、3〜18が好ましく、特に3.5〜17.5が好ましい。
【0017】
(A)水硬性物質がアルミナセメントを含む場合は、アルミナセメントを含めた水硬性物質100質量部に対し、凝結調整剤を総量で1.5〜3質量%混和させ使用することが望ましい。また、凝結調整剤は、凝結遅延を与えるものとして、例えば、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、グルコン酸、及びコハク酸等のオキシカルボン酸又はそれらのナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、及びアルミニウム塩等を挙げることができる。硬化促進効果を与えるものとしては、例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、重炭酸リチウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、及び重炭酸アンモニウムなどのアルカリ炭酸塩が挙げられる。より好ましくはこれらの有機酸類とアルカリ炭酸塩類を1種ずつまたは1種ずつ以上組み合わせると適切な凝結調整が可能である。
【0018】
(A)水硬性物質がアルミナセメントを含む場合は、(E)アルカリ土類金属硫酸塩は、アルミナセメント100質量部に対し、30〜70質量部とすることが好ましく、さらに、35〜69質量部とすることが好ましい。30質量部未満では適切な硬化促進効果が低温時に得られず、70質量部を超えると未反応の無水石膏が残り耐久性を低下させる虞がある。
【0019】
上記成分の他、本発明接着材には減水剤が使用できる。本発明に使用される減水剤は、増粘剤と併用しても減水効果が失われず、良好な施工性を得られるものであれば使用可能である。例えば、ポリカルボン酸系減水剤、太平洋マテリアル(株)製:商品名「コアフローNF−200」などが挙げられる。減水剤の配合量は、水硬性物質100質量部に対し0.15〜0.50質量部が好ましく、さらに好ましくは、0.19〜0.46質量部である。
【0020】
本発明のタイル接着材の製造方法は、特に限定されるものではなく、一般的なセメントモルタルやセ
メントペースト概ね同様の方法で製造することができ、例えば市販のモルタルミキサーに配合材料を投入し、適宜練り混ぜるだけで容易に得ることができる。また、本発明のタイル接着材の施工は、従来から行われているコテ塗りによる左官工法で、例えば床面や壁面の何れにも施工することができる。本発明のタイル接着材施工後にタイルを張り付けることにより、躯体コンクリートへのタイル張りができる。
【実施例1】
【0021】
以下、実施例により本発明を具体的に詳しく説明するが、本発明はここで表す実施例に限定されるものではない。
【0022】
実施例1〜6、比較例11〜16
表1に本発明のタイル接着剤の配合例を、表2に比較例のタイル接着剤の配合例を示した。使用材料は次の通りである。
<使用材料>
A1 普通セメント 太平洋セメント(株)製商品名 普通ポルトランドセメント
A2 早強セメント 太平洋セメント(株)製商品名 早強ポルトランドセメント
A3 アルミナセメント 太平洋マテリアル(株)製商品名 太平洋アルミナセメント1号
A4 ジェットセメント 小野田ケミコ(株)商品名 スーパージェットセメント
B1 寒水石 粒径0.3〜1.2mm
B2 珪砂5号 前田建材工業(株)製 JIS5号珪砂
B3 珪砂7号 前田建材工業(株)製 JIS7号珪砂
B4 発泡スチロール 最大粒径2mm 平均粒径 0.8mm 嵩比重 0.023kg/L
B5 黒曜石発泡体 太平洋マテリアル(株) 最大粒径2mm 平均粒径0.8mm 嵩比重 0.23kg/L
B6 真珠岩発泡体 太平洋マテリアル(株) 最大粒径1.2mm 平均粒径0.6mm 嵩比重0.19kg/L
B6 EVA−炭酸カルシウム発泡体1 最大粒径2mm 平均粒径0.8mm 嵩比重0.10kg/L
B7 EVA−炭酸カルシウム発泡体2 最大粒径1mm 平均粒径0.6mm 嵩比重0.11kg/L
D1 保水剤 BASFコンストラクションシステムズ(株) チローゼMH6002P4
D2 コーンスターチ アベベ社製商品名 FIX1
E1 硫酸マグネシウム 市販試薬 無水硫酸マグネシウム
E2 II型無水石膏 II型無水石膏 ブレーン比表面積8000cm2/g
F 減水剤 太平洋マテリアル(株)製商品名 コアフローNF-200
G1 炭酸リチウム 市販試薬 炭酸リチウム
G2 ロシェル塩 市販試薬 酒石酸カリウムナトリウム
C1 EVA系粉末樹脂 市販品 再乳化形粉末樹脂 エチレン酢酸ビニル共重合体
C2 アクリルエマルジョン ニチゴー・モビニール(株)製商品名 モビニール7700
【0023】
【表1】

【0024】
【表2】

【0025】
[コンシステンシーの評価]
タイル接着材について、JISR5201に準拠した方法で、20℃の実験室で練り上がった直後のモルタルのフロー値を測定し、タイル施工に適ったコンシステンシーが得られているかの評価指標とした。尚、コンシステンシーはフロー値が慨ね160〜180mmであればタイル工事に適うと判断される。
【0026】
[単位容積質量の測定]
作製したタイル接着材をJISA1171により500mLステンレス製容器で単位容積質量を測
定した。
【0027】
[可使時間の測定]
JISR5201に準拠した方法で、20℃の実験室で練り上がった直後のモルタルのフロー値を測定した後、15分ごとにフロー値を測定し160〜180mmを保持した時間を可使時間とした。
【0028】
[曲げ強度の評価]
公共建築協会規格に従い、温度20℃湿度60%の実験室で作製した強度試験測定用の4×4×16cmの供試体を用い、JISR5201に従い、曲げ強度を測定した。尚、供試体は、温度20℃湿度80%に保った養生槽で24時問湿空養生を行った後、所定材齢まで温度20℃湿度60%の試験室で養生を行った。曲げ強度試験は、材齢7日で実施した。
【0029】
[圧縮強度の評価]
材齢7日の曲げ強度試験終了後の供試体を用い、JISR5201により圧縮強度を測定した。
【0030】
[標準養生での付着強度の評価]
タイル業協会規格に従い、温度20℃、湿度60%の実験室で300×300×60mmのコンクリート平板にタイル接着材を4mm厚さで塗り付け、小口タイルを張り付けた。所定材齢まで温度20℃、湿度60%の実験室で養生し、材齢7日で付着強度を測定した。
【0031】
[熱劣化による付着強度の評価]
タイル業協会規格に従い、温度20℃、湿度60%の実験室で300×300×60mmのコンクリート平板にタイル接着材を5mm厚さで塗り付け、小口タイルを張り付けた。材齢14日まで温度20℃、湿度60%の実験室で養生を行い、70℃の乾燥機に7日間入れ付着強度を測定した。
【0032】
[熱冷繰り返しによる付着強度の評価]
日本建築仕上学会規格M−101セメントモルタル塗り用吸水調整材の試験方法により温度20℃、湿度60%の実験室で300×300×60mmのコンクリート平板にタイル接着材を5mm厚さで塗り付け、小口タイルを張り付けた。材齢10日でシリコンシーリング材でタイル張付け面以外の5面をシールし、材齢14日で試験を開始した。試験は、300サイクル実施し、付着強度を実施した。
以上の試験結果を表3、表4に示す。
【0033】
【表3】

【0034】
【表4】

【0035】
施工性
タイル接着材のコテ作業性とタイル張付け性能を確認するため、600×1500×90mmのコンクリート板を垂直に立てタイル接着材を5mm厚さで400×1000mm金ゴテで塗り付け45三丁掛けタイルを2枚張り付け、直ちにタイルを剥がし次の項目について評価した。
【0036】
[コテ作業性の評価方法]
コテ伸びは、垂直に立てた600×1500×90mmのコンクリート板に塗り付け金ゴテで押し広げ、5mm厚さにするために抵抗の小さいもの及び5分未満で押し広げられたものを良好(○)とし、抵抗が大きく5分以上かかったものを不良(×)とした。また、使用した金ゴテにタイル接着材が残らないものを良好(○)とし、金ゴテに残ったものを不良(×)とした。ダレの発生の有無は、塗り付け直後にダレの発生しなかったものを良好(○)とし、ダレの発生したものを不良(×)とした。3項目の中で1項目でも不良(×)があれば評価は不良×とした。
【0037】
[タイル張付け性能及び付着性能の評価方法]
タイルを張り付け10分間経過してもズレが発生しないものを良好(○)とし、張り付け直後にズレが発生したもの、タイルが付着せず張り付けが困難であったものを不良(×)とした。
タイル3枚とも裏面全体にタイル接着材が付着していたものを良好(○)とし、タイルの裏足にタイル接着材が付着していないもの、タイルが付着せず張付けが困難であったものを不良(×)とした。
2項目の中で1項目でも不良(×)があれば評価は不良(×)とした。
施工性の評価を表5に示す。
【0038】
【表5】

【0039】
表3〜5から明らかなように、本発明の大型タイル接着材は耐久性、強度発現性、施工性に優れていることが判る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)水硬性物質100質量部に対し、(B)細骨材を24〜99質量部、(C)ポリマーを3〜25質量部、(D)セルロース誘導体又はセルロース誘導体とスターチ類を有効成分とする保水剤0.13〜0.5質量部、(E)アルカリ土類金属硫酸塩0.4〜5質量部を含有してなるタイル接着材であって、(C)ポリマーと(E)アルカリ土類金属硫酸塩の質量比[(C)/(E)]がポリマーの固形分換算で2〜19、さらに(D)保水剤と(C)ポリマーの質量比[(D)/(C)]がポリマーの固形分換算で0.015〜0.10である大型タイル接着材。
【請求項2】
(A)水硬性物質がアルミナセメントを含むものである請求項1記載の大型タイル接着材。
【請求項3】
(C)ポリマーがセメント混和用ポリマーディスパージョン及び/又は再乳化型粉末樹脂である請求
項1又は2記載の大型タイル接着材。

【公開番号】特開2010−150075(P2010−150075A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−329636(P2008−329636)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(501173461)太平洋マテリアル株式会社 (307)
【Fターム(参考)】