説明

大型車両

本発明は、直径が3.5mよりも大きく、軸方向幅が37インチ(93.98cm)よりも大きいラジアル構造のタイヤを備えた重量がメートル法で500トンよりも重い大型車両、例えば輸送車両又は「土木」車両であって、少なくとも2本のタイヤを備えたフロントアクスル及び原動力の少なくとも一部を伝達するリヤアクスルとを有する大型車両に関する。本発明によれば、車両のリヤアクスルは、少なくとも5本のタイヤを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直径が3.5mよりも大きく、軸方向幅が37インチ(93.98cm)よりも大きいラジアル構造のタイヤを備えた重量がメートル法で500トンよりも重い例えば輸送車両又は「土木」車両のような大型車両(重車両)に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に重量物又は重い荷重を支持するために設計されたかかる車両は、2本の操舵輪(ホイール)を備えたフロント操舵アクスルと、各側に1対ずつ分布して設けられている4本の駆動輪(ホイール)を備えたリヤアクスルとを有し、リヤアクスルは、大抵の場合、剛性である。
【0003】
アクスルは、車両の固定構造体を地面に連結できるようにする要素の組立体又は集成体として定義される。
【0004】
タイヤの軸方向又は横断方向は、タイヤの回転軸線に平行である。
タイヤの円周方向又は長手方向は、タイヤの周囲に相当し、タイヤの転がり方向により定められる方向である。
タイヤの回転軸線は、タイヤが通常の使用の際に回転する中心となる軸線である。
【0005】
積荷(荷重)を輸送する車両、特に鉱山又は砕石場で用いられるようになった車両の場合、接近及び生産の需要の問題により、これら車両の製造業者は、車両の最大積載量を増大させようとしている。その結果、車両は、ますます大型になり、かくしてそれ自体重くなり、一層重い積荷を輸送することができる。これら車両の現行の車重は、メートル法で数百トンに達する場合があり、同じことは、輸送される積荷(荷重)にもいえ、重量の合計は、メートル法で600トンに達する場合がある。
【0006】
車両の最大積載量は、タイヤの耐荷力に直接関連しているので、最大積載量を増大するためには、タイヤ中に入れられる空気の量を増大させることが必要であることが知られている。
【0007】
現在、上述したように、この種の車両、例えば鉱山に用いられるダンプ車は、これら需要に応えるよう1対ずつ配置された4本のホイールが取り付けられているリヤアクスルを有している。
【0008】
さらに、これらホイールの寸法形状及びその結果としてのタイヤの寸法形状並びに特に下方ゾーンの剛性に鑑みて、リムへのタイヤの取付けを可能にするためにはホイールを幾つかの部品の状態で製造することが必要である。交換又は保守の場合にこのようなタイヤの脱着に必要な作業は、長く且つ厄介である。これら作業中に取り扱う必要のあるクランプ部品の数は、200を超える場合があり、クランプトルクの非常に高いレベルは、これと関連している。これら作業に要する時間はその結果として長く、したがって鉱山の開発の際の努力目標である生産性にとって好ましくない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
現在の需要は、これら車両の最大積載量の絶えざる増加に向く傾向があるので、上記において列記した種々のパラメータの結果として、タイヤの幅が広くなり、それによりタイヤの中の空気の量が増大している。タイヤの直径は、約4mの場合、今や、特にこれらタイヤの輸送上の理由でかかる直径をこれ以上増大させることは事実上不可能であるようになっている。事実、これらタイヤの寸法形状は、その輸送条件、特に道路の幅及び橋の桁下空間によって制限される。同様に、特に駆動力伝動システム及び制動システムの位置設定を可能にするリム直径を減少させることは、事実上不可能である。
【0010】
これらの研究中、本発明者は、これら「広幅」タイヤにより輸送荷重の増大が効果的に可能になるが、種々の欠点が生じることを立証するのに成功した。事実、試験の示すところによれば、これらタイヤの耐摩耗性は、現行のタイヤの耐摩耗性と比べて減少し、更に、かかるタイヤの耐摩耗性が減少する。
【0011】
さらに、国際公開第WO00/71365号パンフレットは、タイヤの取付けを単純化することができる方法を記載しており、タイヤは、リムとして役立つハブに直接取り付けられる。この場合、独立のリングが、リム受座(シート)として役立ち、係止リングにより定位置に保持され、かかる係止リングは、特にプロフィールが相補している結果としてハブにしっかりと連結される。
【0012】
かくして、本発明者は、摩耗の観点からのタイヤの性質が現行のタイヤの性質に対して見劣りしないままの状態で特に鉱山で用いられる積載車両の最大積載量の一層の増加を期待しているユーザからの新たな需要に応える仕事に取り組んだ。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的は、本発明によれば、直径が3.5mよりも大きく、軸方向幅が37インチ(93.98cm)よりも大きいラジアル構造のタイヤを備えた重量がメートル法で500トンよりも重い大型車両、例えば輸送車両又は「土木」車両であって、少なくとも2本のタイヤを備えたフロントアクスル及び原動力の少なくとも一部を伝達するリヤアクスルとを有する大型車両において、前記リヤアクスルは、少なくとも5本のタイヤを備えていることを特徴とする車両によって達成される。
【0014】
本発明の有利な一実施形態によれば、リヤアクスルは、従来形態では例えば、リヤアクスルの両側に3つずつ互いに組み合わされた少なくとも6本のタイヤを備える。
【0015】
かかる車両の実施形態により、現在の状況に対して品質が見劣りしない満足のゆく耐久性及び耐摩耗性を保持しながらこの種の車両の最大積載量を増大させることができる。本発明者は、3本のタイヤを互いに組み合わせ、従って2本のツインタイヤの場合よりも複雑な取付け作業を必要とするかかる構造の複雑さは、例えば上述したような解決策よりも生産性の観点においてそれほど不都合ではなく、その結果タイヤの幅を広げて最大積載量を増大させることができるということを立証できた。事実、研究の示すところによれば、最大積載量が同じであるとすれば、耐久性及び耐摩耗性の増大は、偶発的な損傷に起因して時々の交換を含むタイヤの脱着に必要な時間の増加を補償する。
【0016】
かかる車両の設計において考慮に入れなければならないもう1つのパラメータは、その嵩及び特にその幅である。事実、この種の車両は、例えば、山腹又は山の斜面に形成された走路を辿らなければならない鉱山に用いられることが意図されており、これら走路の幅は、大抵の場合、軌道が最適サイズに切削されているので制限され、かかる切削手順ではそれ自体、結果的に土及び岩の輸送が必要となる。本発明者は又、アクスルの各側に第3のタイヤを追加しても、許容できないほどのバルクは生じないことを立証することができた。というのは、定義によれば、タイヤを全て合わせた幅は、減少するからである。事実、問題の荷重の場合、本発明の車両の幅方向バルクは、追加のタイヤ相互間のギャップの存在にもかかわらず、ツインタイヤを備えた車両の幅方向バルクよりも小さい。加うるに、シャーシ上に位置決めされたダンプ車体の中に入れて大きな荷重を運搬することを機能としてもつダンプ車タイプの車両は、このシャーシの高さ位置に、サスペンション要素を有し、これらサスペンション要素の軸方向バルクは、最大積載量で決定され、アクスルの高さ位置で車両の軸方向バルクに対して直接的な影響を持つ。これらサスペンション要素の機能は特に、アンチロール構造として作用することにより、これらサスペンション要素は実際には、軸方向バルクを示し、この軸方向バルクは、特に、運搬されている荷重の結果として曲り部上で生じるロール力に耐えるよう特に定められている。
【0017】
本発明の一変形実施形態によれば、通常の積荷条件下においては、地面と接触状態にあるゾーンのタイヤの撓みは、30%よりも小さい。大きな撓み及びかくしてタイヤの変形は、タイヤの半径方向及び円周方向剛性を減少させ、貧弱な耐摩耗性の一因となり、タイヤの耐久性に悪影響を及ぼす。
【0018】
同様に、好ましくは、タイヤのアスペクト比は、0.80よりも大きく、好ましくは1よりも大きい。かかるアスペクト比により、特に、アクスルに取り付けられたタイヤの軸方向バルクを制限することができる。
【0019】
上述したように、本発明の車両は、荷重が所与の場合に、ツインタイヤを備えた上述の車両の場合よりも生産性の観点から効率的である。さらに、リヤアクスルに6本のタイヤを用いることは、タイヤを交換する必要があるとき、これらが別個独立のホイールに取り付けられている場合効率にとって好ましくないことは明らかである。事実、特に、他の2つに関し軸方向内側寄りに位置するタイヤを交換する必要があるとき、最初の2つのホイールを取り外して第3のホイールに接近し、その後、交換手順に取りかかることが必要であり、従って、これには多くの作業が必要である。
【0020】
かくして、本発明は、上述したような車両とリヤアクスルへのホイールレス(wheel-less)取付け方式を組み合わせることを提案し、タイヤは、この目的で設けられたハブに、タイヤビード受座を形成する第1の取付けリング及びこの第1のリング、かくしてタイヤの位置決めを保証する第2の係止リングの介在により定位置で取り付けられる。この種の取付けは、上述の国際公開第WO00/71365号パンフレットに既に記載されている。この実施形態によれば、本発明では、係止リングを受け入れる凹部をアクスルに設けることが必要であり、これらリングのうちの2つの位置決めが、タイヤごとに必要である。 本発明の有利な実施形態によれば、リヤアクスルは、原動力を伝達するせいぜい4本のタイヤを備える。この実施形態によれば、リヤアクスルに取り付けられた少なくとも2本のタイヤ、好ましくは2本の軸方向外側のタイヤは、有利には、原動力を伝達せず、これらの唯一の本質的機能として、荷重の一部を支持するという機能を有する。かかる実施形態により、特に車両が湾曲部のコースを辿っているときに生じる長手方向応力を減少させることができる。事実、少なくともツインタイヤを備えた車両が湾曲部のコースを辿っているとき、軸方向最も外側寄りに位置するタイヤは、もし湾曲部の外側に位置決めされている場合、辿る距離が長く、湾曲部の内側に位置決めされている場合、辿る距離が短い。 本発明は、タイヤの幅を広げて同じ荷重を運搬する上述のシステムに関し、相互に組み合わされたタイヤにより支持されるこれら長手方向応力の大幅な減少を可能にするという顕著な利点を奏し、事実、幅の広いツインタイヤの場合、かかる長手方向応力は、同一タイヤのサイドウォール相互間で大きな程度まで生じるので大きいままである。
【0021】
本発明の有利な変形例によれば、リヤアクスルは、原動力を伝達するせいぜい2本のタイヤを備え、その結果、本質的機能が荷重の一部を支持することにある4本のタイヤを備える。
特に後者の変形実施形態によれば、本発明では又、フロントアクスルのタイヤは有利には原動力の一部を伝達する。
【0022】
変形実施形態では、本発明では又、フロントアクスルは、4本のタイヤを備え、フロントアクスルの少なくとも2本のタイヤは、上述したように原動力の一部を伝達する。好ましくは、2本の軸方向内側のタイヤは好ましくは、原動力を伝達するタイヤである。
【0023】
かかる実施形態によれば、本発明では更に有利には、リヤアクスルの場合に関して上述したように、タイヤがホイールレス(wheel-less)取付け方式で取り付けられ、かかるタイヤは、例えば上述の国際公開第WO00/71365号パンフレットに記載されている方法に従って、この目的で設けられたアクスルに、タイヤビード受座を形成する第1の取付けリング及びこの第1のリング、かくしてタイヤの位置決めを保証する第2の係止リングの介在により定位置で取り付けられる。この実施形態によれば、本発明では、係止リングを受け入れる4つの凹部を両側に設けることが必要であり、これらリングのうちの2つをタイヤごとに位置決めすることが必要である。
本発明の別の変形実施形態では、車両が直線状ではない軌道を辿っているときにのみ、又は好ましくは曲率半径が所定の値よりも小さい湾曲部を車両が辿っているとき、少なくとも2本のタイヤ、好ましくは軸方向外側寄りのリヤアクスルのタイヤは、原動力を伝達しない。かかる実施形態は、タイヤと原動力を伝達する部材との間に設けられた連結解除装置によって達成できる。かかる装置は、当業者に知られている任意の手段により車両の操舵部材によって制御できる。
【0024】
同じように、本発明は有利には、車両が直線状ではない軌道を辿っているときにのみ、又は好ましくは曲率半径が所定の値よりも小さい湾曲部を車両が辿っているときにのみ効果を示すようフロントアクスルの少なくとも2本のタイヤが、原動力の一部を伝達する変形例を提供する。
【0025】
本発明の他の実施形態によれば、同一アクスルのタイヤが原動力の少なくとも一部を伝達するとき、アクスルは、互いに異なる回転速度を互いに異なるタイヤに与えることができる1つ以上の装置を備え、かかる回転速度は特に、特に湾曲部を走行するときの種々のタイヤの摩耗を制限するようになっている。
【0026】
かかる変形実施形態では、例えば、リヤアクスルのタイヤが全て、例えば差動歯車装置のような装置の介在により原動力の伝達に加担し、それにより車両の走行条件の関数としてタイヤの各々の関与が制御される。
【0027】
本発明は又、各タイヤが例えばタイヤと関連したホイール内に組み込まれ又は例えば上述の国際公開第WO00/71365号パンフレットに記載された方法の実施形態の場合にタイヤの付近でアクスルハブに組み込まれた電気モータと関連した例えば上述したような車両を提供する。
【0028】
この後者の実施形態によれば、特に、リヤアクスルが奇数本のタイヤ、特に7本以上のタイヤを備えることが可能であり、これらタイヤは有利には、中央のタイヤに対しアクスルに対称に分布して取り付けられる。
【0029】
車両のかかる実施形態は、フロントアクスルにも当てはまることが可能であり、このフロントアクスルは、この場合同じ仕方で3本のタイヤを備えるのがよい。
【0030】
これら種々の考えられる実施形態によれば、タイヤと関連して電気モータを用いることにより、タイヤ及び辿る軌道の関数として原動力を可変的に分布させることができる。
【0031】
同じように、本発明では又、原動力を伝達するタイヤのうち何本かだけが、電気モータにより制御され、これらタイヤは、例えば、フロントアクスルのタイヤであるのがよく、リヤアクスルのタイヤは、従来型のモータ付き及び伝動方式を保持する。
【0032】
原動力が電気モータにのみ起因して得られる場合、本発明では又、タイヤのうち或る特定のものだけが、かかる電気モータと関連し、他のタイヤは、これらの本質的機能として耐荷力だけを有する。
本発明の実施形態がどのようなものであれ、タイヤが全て、制動装置と個々に関連したままであり、それにより最適条件下においてこの種の車両を減速し又は停止させることができるので有利であることに変わりはない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
本発明の他の有利な細部及び特徴は、図1及び図2を参照して行なわれる本発明の実施形態の例の説明から以下において明らかになろう。
図の理解を単純にするために図は同一縮尺ではない。図は、車両の長手方向中間平面を表す軸線XX′に関して対称に延びる車両の半部だけを示している。
【0034】
図1は、本発明に従って構成されていて、リヤアクスルに取り付けられた6本のタイヤ及びフロントアクスルに取り付けられた2本の操舵タイヤを有する車両半部1の略図である。この図は、車両の半部しか示していないので、リヤアクスル7には3本のタイヤ2,3,4しか示されず、フロントアクスル8には1本のタイヤ5しか示されていない。
この図1に概略的に示された車両1は、積載状態における全重量がメートル法で850トンオーダの大型車両である。
【0035】
車両に装着されているタイヤは、アスペクト比H/Sが1に等しい大型タイヤであり、Hは、リムに取り付けられたタイヤの高さであり、Sは、タイヤがその稼働中のリムに取り付けられ、その推奨圧力までインフレートされたときのタイヤの最大軸方向幅である。このタイヤの寸法は、44R69である。
【0036】
これらのタイヤは、半径方向に差し向けられ、各タイヤビード内に繋留されたスチールから成る非伸長性金属ケーブルで構成されたラジアルカーカス補強材を有する。
【0037】
タイヤ2,3,4は、国際公開第WO00/71365号パンフレットに記載された方法を用いて取り付けられる。この方法によれば、車両のハブ7は、タイヤビードを受け入れる受座(シート)を形成する表面を備えたリングの介在によりタイヤを受け入れるよう設計されている。これらリングの表面は有利には、形状が切頭円錐形である。受入れリングはそれ自体、係止リングの介在によりアクスルのハブに係止され、係止リングの表面の一部は、ハブに設けられていて、これら係止リングが挿入された凹部と形状が相補している。
【0038】
このように具体化された車両は、現行の車両よりも大きな最大積載量を可能にし、これはメートル法で850トンオーダである。同一形式の車両の設計、即ち、同じ最大積載量が得られるよう意図されていて、リヤアクスルに1対ずつの配置状態の4本のタイヤを備えた車両の設計の結果として、寸法85/65R69のタイヤが用いられることになる。この種の車両は存在していないので、試験を実施することは不可能であったが、計算及びシミュレーションにより、当業者がかかる車両により運搬可能な荷重、その寸法形状並びにタイヤに課される応力及びその結果としてのタイヤが耐える摩耗及び疲労の見積りについての情報を得ることができる単純な方法が提供される。
【0039】
かくして、全体的な寸法の測定は、これら2つの車両を元に行われ、得られた結果の示すところによれば、本発明の車両は、リヤアクスル7の方向に測定して10.20mの軸方向幅を示している。1対ずつ配置された4本のタイヤを備える車両について同様に測定した軸方向幅は、12.1mである。これらの値は明らかに、車両の幅に関して増大を示している。
【0040】
さらに、本発明の車両に取り付けられた6本の44R69タイヤを支持したアクスルの有効寿命及び1対ずつ取り付けられた85/65R69の4本のタイヤを支持したアクスルの有効寿命を示すためのシミュレーションを行なった。
【0041】
得た結果は、以下に示されている。
5000時間の使用に対応する場合を100の基準とすれば、結果の示すところによれば、本発明の車両のタイヤの平均有効寿命は、リヤアクスルの6本のタイヤが駆動タイヤである場合、115に等しく、これに対し、従来構成の類似のタイヤに装着されたタイヤ、即ち、リヤアクスルの4本のタイヤの平均有効寿命は、90に等しい。
【0042】
本発明に従って得られた結果は明らかに良好であるように思われる。
これらの結果が当業者により予測できず又は少なくとも明らかではなかったということを実証するための試験を行った。同じことが例えば積荷の少ない車両、特に総合積荷がメートル法で90トンの車両に関して行われた。6本のタイヤを備える形態では、寸法1,800R33のタイヤを用い、4本のツインタイヤを備えた形態では、寸法30/70R33のタイヤが用いられる。
【0043】
車両の全体サイズと関連して得られた結果は次の通りである。
上述の車両に取り付けられた寸法1,800R33の3本のタイヤは、結果的に軸方向の全体サイズが1.990mである。
同一の車両に取り付けられた寸法30/70R33の3本のタイヤは、結果的に軸方向の全体サイズが1.850mである。
【0044】
上述の結果の示すところによれば、この種の車両の場合、リヤアクスルに6本のタイヤを設ける解決策は、バルクの観点で価値が低く、従って有効寿命の観点で疑いもなく価値が低い。というのは、6本のタイヤ構成におけるリヤアクスルの軸方向外側のタイヤは、極めて大きな応力を受け、かくして大きな摩耗を受けるからである。これらの結果から明らかなこととして、低最大積載量の車両に関して得られる情報では、本発明により達成される利点を予測することはできない。
【0045】
本発明は又、上述したように、唯一の本質的機能として荷重支持機能を有し、原動力の伝達には関与しないタイヤ4を提供する。かかる実施形態は、タイヤをフリーホィーリング型のシステムに固定したものから成り、それによりこのタイヤ3の自由回転が可能である。車両がカーブしたコース、特に曲率半径の小さい湾曲部上を辿るとき、この実施形態により、車両はアクスル上のその位置だけによる追加の応力を受けないで、そのコースを辿ることができ、それにより車両は、タイヤ2,3よりも長い又は短い軌道を辿るようになる。別の実施形態では、同じ理由で、本発明では又、タイヤ2だけがリヤアクスル7の高さ位置で原動力を伝達する。
【0046】
この後者の実施形態によれば、本発明では、フロントアクスル8に取り付けられたタイヤ5も又、これまた原動力の伝達に加担することができる。さらに、タイヤ5が原動力の一部を伝達するということにより、カーブした軌道に関して車両の取扱い性が向上する場合がある。事実、フロントアクスル8のタイヤにより部分的に伝達される原動力は、これらのタイヤを方向転換させたとき、特に車両が積載状態にあるとき、軌道の追従を容易にすることができる。事実、或る特定の積載及び走行条件下においては、カーブした軌道に関するかかる車両の取扱いは、車両がリヤアクスル7に取り付けられていて、原動力を伝達する6本のタイヤを備えている場合、非常に困難であり又は事実上不可能である。というのは、かかる車両は、フロントアクスルのタイヤにより課される方向転換に応答しないからである。これら条件の結果として、更に、フロントアクスルのタイヤの割れ及び破壊が生じる場合がある。
【0047】
本発明の別の変形例では、タイヤ2,3,4,5は全て、原動力の伝達に関与し、タイヤ2,3,4,5は、電気モータにより別々に制御される。かかる実施形態により、車両に取り付けられた種々のタイヤの介在により、辿る軌道及びこの車両の荷重状態の関数として可変割合の原動力を伝達することができる。
【0048】
図2は、フロントアクスル8′に取り付けられ、したがって操舵タイヤである補助タイヤ6′が設けられている点において上述の実施形態とは異なる本発明の車両1′の別の実施形態を示している。このタイヤ6′の追加により、荷重をより多くのタイヤに分布させることができる。かかる実施形態により、例えば、最大積載量を更に一段と増大させ又は変形例としてタイヤの寸法を減少させることができる。本発明のかかる構成により、特に、メートル法で1000トンよりも重い最大積載量が得られる。
【0049】
また、図2の実施形態により、結果的にフロントアクスル8′の操舵タイヤの割れを生じさせやすいというような上述した条件下において車両の取扱い性を向上させることができる。事実、タイヤの本数を増やすことにより、結果的に割れを生じさせる応力に対する耐性を高くすることができ、かくしてうまく方向転換を行なうことができる。
車両1′のかかる実施形態では、タイヤ6′は、例えば荷重の一部を支持する機能しか備えなくてもよい。他の実施形態によれば、タイヤ6′は、上述したように永続的に又は一時的に、或いは変形例として、例えば電気モータを用いることにより可変的に原動力の伝達に加担することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の車両の上から見た略図である。
【図2】本発明の第2の実施形態の車両の上から見た略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直径が3.5mよりも大きく、軸方向幅が37インチ(93.98cm)よりも大きいラジアル構造のタイヤを備えた重量がメートル法で500トンよりも重い大型車両、例えば輸送車両又は「土木」車両であって、少なくとも2本のタイヤを備えたフロントアクスル及び原動力の少なくとも一部を伝達するリヤアクスルとを有する大型車両において、前記リヤアクスルは、少なくとも5本のタイヤを備えている、車両。
【請求項2】
前記リヤアクスルは、少なくとも6本のタイヤを備えている、請求項1記載の車両。
【請求項3】
通常の積荷及び圧力条件下において且つ平らな地面上では、地面との接触ゾーンのタイヤの撓みは、30%未満である、請求項1又は2記載の車両。
【請求項4】
前記タイヤのアスペクト比は、0.8よりも大きく、好ましくは1よりも大きい、請求項1〜3のうちいずれか一に記載の車両。
【請求項5】
前記リヤアクスルは、前記原動力の少なくとも一部を伝達するせいぜい4本のタイヤを備えている、請求項1〜4のうちいずれか一に記載の車両。
【請求項6】
前記フロントアクスルは、前記原動力の少なくとも一部を伝達する少なくとも2本のタイヤを備えている、請求項1〜5のうちいずれか一に記載の車両。
【請求項7】
前記フロントアクスルは、4本のタイヤを備え、2本のタイヤは、前記原動力の少なくとも一部を伝達する、請求項1〜6のうちいずれか一に記載の車両。
【請求項8】
前記原動力を伝達する前記タイヤは、電気モータにより制御される、請求項1〜7のうちいずれか一に記載の車両。
【請求項9】
前記タイヤは、前記タイヤのビード受座を形成する第1の取付けリング及び前記第1のリングを位置決めするようにする第2の係止リングの仲介によりハブに取り付けられ、前記係止リングは、特にハブに設けられた凹部とプロフィールが相補していることの結果としてハブにしっかりと連結されている、請求項1〜8のうちいずれか一に記載の車両。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−513418(P2009−513418A)
【公表日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−519851(P2006−519851)
【出願日】平成16年7月12日(2004.7.12)
【国際出願番号】PCT/EP2004/007663
【国際公開番号】WO2005/016731
【国際公開日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(599093568)ソシエテ ド テクノロジー ミシュラン (552)
【出願人】(599105403)ミシュラン ルシェルシュ エ テクニーク ソシエテ アノニム (228)